説明

装飾表示体

【課題】本発明は、全体として立体的な拡大虚像群を構成することができ、装飾効果をより一層向上させることが可能な装飾表示体を提供することを目的とする。
【解決手段】透明素材11の表面に、複数の凸レンズ状の集光素12からなる集光素パターン13が形成されるとともに、透明素材11の裏面に、着色された複数の画素14からなる画像パターン15が形成される。画素パターン15は透明素材11の裏面において平面方向に複数の領域1,2,3に区分けされ、各領域における画素14の配列ピッチp、q、rが隣り合う領域同士で変化する。各領域1,2,3の拡大虚像A,B,Cが平面方向に段階的に深さを変化しながら透明素材11の下方に現出し、全体として立体的な拡大虚像群を構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技機やゲーム機の外層パネル、包装箱、広告体、飾り品などの各種商品の装飾に用いられる装飾表示体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、遊技機やゲーム機の外層パネル、包装箱、広告体、飾り品などの各種商品では、表面に図柄の装飾が施される場合が多い。ところが、従来の図柄の装飾は、各種商品の表面上に印刷されているだけなので、消費者の視覚を刺激する効果に欠け、消費者の興味を引くには限界がある。
【0003】
ところで、従来、図柄の拡大虚像を各種商品の表面から上方または下方に現出させる装飾表示体が知られている。例えば、シート状の透明素材の裏面に着色された複数の画素を各画その並びに方向性を持たせて2次元的に当配列して画素パターンが形成されるとともに、透明素材の表面に複数の凸レンズ状の集光素を各集光素の並びに前記画素パターンと同じ方向性を持たせて2次元的に等配列して集光素パターンを形成し、各画素の配列ピッチと各集光素の配列ピッチとが異なるようにして、各画素の拡大虚像を透明素材の上方又は下方に現出させる(特許文献1参照)。
【0004】
この装飾表示体を各種商品の装飾に使用すると、見る位置に制限を受けることなく、揺らぎの少ない静的な状態で、図柄の拡大虚像が上方または下方に現出するため、従来の単なる図柄の装飾と比較して消費者の視覚を刺激する効果が高められる。
【0005】
【特許文献1】特開2001−180198号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述の装飾表示体では、図柄の拡大虚像が単独で透明素材の上方又は下方に現出したものにすぎなかった。もとより、透明素材の裏面に画素の配列ピッチが互いに異なる複数層の画素パターンが設けられたものも併せて提案されているが、あくまでも図柄の拡大虚像が上下に重複しながら別々に見えるにすぎなかった。
【0007】
本発明は、上述の技術的背景に鑑みてなされものであって、全体として立体的な拡大虚像群を構成することができ、装飾効果をより一層向上させることが可能な装飾表示体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記課題を解決するために、シート状または板状の透明素材の表面に、複数の凸レンズ状の集光素を各集光素の並びに方向性を持たせて2次元的に配列して集光素パターンが形成されるとともに、前記透明素材の裏面に、着色された複数の画素を各画素の並びに前記集光素パターンと同じ方向性を持たせて2次元的に配列して画素パターンが形成され、前記各集光素と各画素の配列ピッチが異なるように前記集光素パターンと前記画素パターンとが形成されることにより、前記画素の拡大虚像を透明素材の上方又は下方に現出する装飾表示体であって、前記画素パターンは前記透明素材の裏面において平面方向に複数の領域に区分けされ、各領域における前記画素の配列ピッチが隣り合う領域同士で変化することにより、各領域における前記画素の拡大虚像が平面方向に段階的に高さまたは深さを変化しながら透明素材の上方又は下方に現出し、全体として立体的な拡大虚像群を構成することを特徴とする。これによれば、画素の拡大虚像が単に上下に重複しながら現出するのではなく、平面方向に段階的に高さまたは深さを変化しながら現出するため、各拡大虚像が組み合わさることで全体として立体的な拡大虚像群を構成することができる。
【0009】
また、前記各領域の画素パターンは、各領域ごとに画素径が変化していてもよい。これによれば全体として立体的な拡大虚像群に対して画素径の変化による装飾効果も持たせることができる。
【0010】
また、前記各領域の画素パターンは、拡大虚像が下方に現出する領域の画素径が大きく形成されてもよい。これによれば拡大虚像が下方に現出する領域の画素密度が大きくなり、当該拡大虚像が全体として濃い状態に見えるため、人の目に対して当該拡大虚像をより一層下方に見せることができる。
【0011】
また、前記各領域の画素パターンは、透明素材の厚み方向に層状に形成されてもよい。これによれば各領域の画素パターンを順次形成し得るため、装飾表示体を製造し易くなる。
【0012】
また、前記各領域の画素パターンは、隣接する領域の画素パターンと上下に重複する部分を有してもよい。これによれば隣接する領域の画素パターンの間に不要な隙間が発生することを防止できる。しかも各領域の画素パターンの精密な形状や位置の設定が軽減され、装飾表示体を製造し易くなる。
【0013】
また、前記各領域の画素パターンは、隣接する領域の画素パターンと上下に重複する部分に着色された透明または不透明の印刷層が形成されてもよい。これによれば異なる領域の画素の拡大虚像が上下に重複して現出する部分が軽減され、よりきれいで立体的な拡大虚像群を得ることができる。
【0014】
また、前記各領域の画素パターンは、前記透明素材の中心部に向かって段階的に高くなる又は深くなるように区分けされていてもよい。これによれば全体として凸状に中心に向かって次第に高くなっていく拡大虚像、又は全体として凹状に中心に向かって次第に深くなっていく立体的な拡大虚像群を構成することができる。
【0015】
また、別の透明素材に集光素パターンが形成されるとともに、さらに別の透明素材に各領域の画素パターンが形成され、これら集光素パターンの透明素材と画素パターンの透明素材とが本体となるシート状又は板状の前記透明素材の表裏両面に貼付されてもよい。これによれば集光素パターンと画素パターンを別々の透明素材に印刷したあと、それらを本体の透明素材に貼り合わせるため、本装飾表示体を製造し易くなる。また、集光素パターンと画素パターンを印刷した透明素材を店舗のウインドのような既設の透明素材に直接貼り付けることができ、本装飾表示体を既設の商品に対しても適用することが可能となる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、画素の拡大虚像が単に上下に重複しながら現出するのではなく、平面方向に段階的に高さまたは深さを変化しながら現出するため、各拡大虚像が組み合わさることで全体として立体的な拡大虚像群を構成することができる。
【0017】
このため画素パターンの形状や色による平面的な拡大虚像の装飾効果のみならず、さらにそれら拡大虚像を立体的に組み合わせた拡大虚像群の装飾効果が加わるため、装飾表示体の装飾効果をより一層向上させることができ、ひいては各種商品に応じたデザインの創作性を幅を広げることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
[実施形態1]
次に本発明の実施形態に係る装飾表示体について図1〜図4を参照しつつ説明する。
【0019】
本装飾表示体(10)は、アクリル板等の板状の透明素材(11)の表面に、無着色又は着色の透明インキを用いて複数の凸レンズ状の集光素(12)を印刷して集光素パターン(13)を形成するとともに、透明素材(11)の裏面に、着色された透明又は不透明インキを用いて複数の画素(14)を印刷して画素パターン(15)を形成してなる。
【0020】
前記集光素パターン(13)は、複数の凸レンズ状の集光素(12)を各集光素(12)の並びに方向性を持たせて2次元的に配列して集光素パターン(13)が形成される。
【0021】
本実施形態では、図2に示すように、x方向とこれに直交するy方向へ同じピッチsで各集光素(12)をマトリクス状に等配列して集光素パターン(13)を形成している。なお、各集光素(12)の配列は必ずしも直交するパターンである必要はなく、一方の配列方向に対する他方の配列方向が90度より小さい角度又は90度より大きい角度をなすようにしてもよい。
【0022】
前記画素パターン(15)は、複数の画素(14)を各画素(14)の並びに前記集光素パターン(13)と同じ方向性を持たせて2次元的に配列して形成される。
【0023】
本実施形態では、画素パターン(15)は、前記透明素材(11)の裏面において平面方向に第1の領域(1)の画素パターン(15A)、第2の領域(2)の画素パターン(15B)および第3の領域(3)の画素パターン(15C)にそれぞれ区分けされている。
【0024】
第1の領域(1)の画素パターン(15A)は、最も外側に位置する矩形環状に形成されている。この画素パターン(15A)は、図2(a)に示すように、x方向とこれに直交するy方向へ同じピッチpで各画素(14)をマトリクス状に等配列して画素パターンを形成している。
【0025】
第2の領域(2)の画素パターン(15B)は、第1の領域(1)の画素パターン(15A)の内側に位置する矩形環状に形成されている。この画素パターン(15B)は、図2(b)に示すようにx方向とこれに直交するy方向へ同じピッチqで各画素(14)をマトリクス状に等配列して画素パターンを形成している。
【0026】
第3の領域(3)の画素パターン(15C)は、第2の領域(2)の画素パターン(15B)の内側に位置する矩形状に形成されている。この画素パターン(15C)は、図2(c)に示すようにx方向とこれに直交するy方向へ同じピッチrで各画素(14)をマトリクス状に等配列して画素パターンを形成している。
【0027】
これら第1〜第3の領域(1)(2)(3)の画素パターン(15A)(15B)(15C)の形成に際しては、透明素材(11)に順次形成していくものとしてもよいし、透明素材(11)に同時に形成するものとしてもよい。
【0028】
なお、本実施形態では第1〜第3の領域(1)(2)(3)の画素(14)はいずれも集光素(12)と同じ形状および直径に形成されている。
【0029】
第1〜第3の領域(1)(2)(3)の画素パターン(15A)(15B)(15C)のおける各画素(14)の配列ピッチp、q、rは、いずれも集光素パターン(13)における集光素(12)の配列ピッチsよりも小さく設定されており、xyの各方向について複数個おきの集光素(12)が画素(14)と完全に重なり、その周囲の集光素(12)が画素(14)から順次内側に位置ずれするように構成される。このため第1〜第3の領域(1)(2)(3)の画素パターン(15A)(15B)(15C)の拡大虚像は、見る位置に制限を受けることなく、揺らぎの少ない静的な状態で透明素材(11)の下方に現出することになる。
【0030】
また、第1〜第3の領域(1)(2)(3)の画素パターン(15A)(15B)(15C)の各画素(14)の配列ピッチp、q、rの間の関係については、各配列ピッチがp<q<rとなる関係となるように隣り合う領域同士で変化するように構成している。
【0031】
ところで、画素(14)の配列ピッチが集光素(12)の配列ピッチsよりも小さい場合、画素(14)の配列ピッチが集光素(12)の配列ピッチsから離れて小さくなると、画素(14)の拡大虚像の現出位置が浅くなり、画素(14)の拡大虚像の拡大率が小さくなる。逆に、画素(14)の配列ピッチが集光素(12)の配列ピッチsに近づいて大きくなると、画素(14)の拡大虚像の現出位置が深くなり、画素(14)の拡大虚像の拡大率が大きくなる。
【0032】
このため第1の領域(1)の画素(14)の配列ピッチpが集光素(12)の配列ピッチsに最も離れて小さいため、図3に示すように第1の領域(1)の画素(14)の拡大虚像(A)の現出位置が最も浅くなるとともに、図4に示すように画素(14)の拡大虚像(A)が小さい状態で現出する。
【0033】
また、第2の領域(2)の画素(14)の配列ピッチqは第1の領域(1)の画素(14)の配列ピッチpよりも集光素(12)の配列ピッチsに近く大きいため、図3に示すように第2の領域(2)の画素(14)の拡大虚像(B)の現出位置が次に深くなるとともに、図4に示すように画素(14)の拡大虚像(B)が中位の状態で現出する。
【0034】
また、第3の領域(3)の画素(14)の配列ピッチrは第2の領域(2)の画素(14)の配列ピッチqよりも集光素(12)の配列ピッチsに近く大きいため、図3に示すように第3の領域(3)の画素(14)の拡大虚像(C)の現出位置が最も深くなるとともに、図4に示すように画素(14)の拡大虚像(C)が大きな状態で現出する。
【0035】
したがって、第1〜第3の領域(1)(2)(3)の拡大虚像(A)(B)(C)を全体として見た場合、各拡大虚像(A)(B)(C)が平面方向に段階的に深さを変化しながら透明素材(11)の下方に現出するため、全体として凹状に中心に向かって次第に深くなっていく立体的な拡大虚像群を構成することができる。
【0036】
なお、図1〜図3に示す集光素(12)および画素(14)の大きさおよび配列ピッチなどは、説明の便宜上、強調的に大きく図示したものである。特に図3は第1〜第3の画素(14)のピッチが変化することを説明するために、画素(14)や集光素(12)の個数を少なくし且つ大きく図示したものであり、実際には各領域には非常に小さい集光素(12)および画素(14)が所定の配列ピッチで2次元的に非常に数多く配列されている。
【0037】
[実施形態2]
次に本発明の第2の実施形態に係る装飾表示体(10)について図5及び図6を参照しつつ説明する。
【0038】
この装飾表示体(10)は、実施形態1と同様に画素パターン(15)を前記透明素材(11)の裏面において平面方向に第1〜第3の領域(1)(2)(3)に区分けしている。
【0039】
そして、第1〜第3の領域(1)(2)(3)の画素パターン(15A)(15B)(15C)の各画素(14)の配列ピッチp、q、rは、図5に示すように、いずれも集光素パターン(13)における集光素(12)の配列ピッチsよりも大きく設定され、xyの各方向について複数個おきの集光素(12)が画素(14)と完全に重なり、その周囲の集光素(12)が画素(14)から順次外側に位置ずれするように構成される。
【0040】
このため第1〜第3の領域(1)(2)(3)の画素パターン(15A)(15B)(15C)の拡大虚像(A)(B)(C)は、見る位置に制限を受けることなく、揺らぎの少ない静的な状態で透明素材(11)の上方に現出することになる。
【0041】
また、第1〜第3の領域(1)(2)(3)の画素パターン(15A)(15B)(15C)の各画素(14)の配列ピッチp、q、rの間の関係については、各配列ピッチがp>q>rとなる関係となるように隣り合う領域同士で変化するように構成している。
【0042】
ところで、画素(14)の配列ピッチが集光素(12)の配列ピッチsよりも大きい場合、画素(14)の配列ピッチが集光素(12)の配列ピッチsから離れて大きくなると、画素(14)の拡大虚像の現出位置が低くなり、かつ画素(14)の拡大虚像の拡大率が小さくなる。逆に、画素(14)の配列ピッチが集光素(12)の配列ピッチsに近づいて小さくなると、画素(14)の拡大虚像の現出位置が高くなり、かつ画素(14)の拡大虚像の拡大率が大きくなる。
【0043】
このため第1の領域(1)の画素(14)の配列ピッチpが集光素(12)の配列ピッチsに最も離れて大きいため、図6に示すように第1の領域(1)の画素(14)の拡大虚像(A)の現出位置が最も低くなるとともに、画素(14)の拡大虚像(A)が小さい状態で現出する。
【0044】
また、第2の領域(2)の画素(14)の配列ピッチqは第1の領域(1)の画素(14)の配列ピッチpよりも集光素(12)の配列ピッチsに近く小さいため、第2の領域(2)の画素(14)の拡大虚像(B)の現出位置が次に高くなるとともに、画素(14)の拡大虚像(B)が中位の状態で現出する。
【0045】
また、第3の領域(3)の画素(14)の配列ピッチrは第2の領域(2)の画素(14)の配列ピッチqよりも集光素(12)の配列ピッチsに近く小さいため、第3の領域(3)の画素(14)の拡大虚像(C)の現出位置が最も高くなるとともに、画素(14)の拡大虚像(C)が大きな状態で現出する。なお、第1〜第3の領域(1)(2)(3)の拡大虚像(A)(B)(C)を上方から垂直に見た場合、実施形態1における拡大虚像群(図4)と同じ状態で現出する。
【0046】
したがって、第1〜第3の領域(1)(2)(3)の拡大虚像(A)(B)(C)を全体として見た場合、第1〜第3の領域(3)の画素(14)の各拡大虚像が平面方向に段階的に高さを変化しながら透明素材(11)の上方に現出するため、全体として凸状に中心に向かって次第に高くなっていく立体的な拡大虚像群を構成することができる。
【0047】
[実施形態3]
次に本発明の第3の実施形態に係る装飾表示体(10)について図7及び図8を参照しつつ説明する。
【0048】
この装飾表示体(10)は、実施形態1と同様に画素パターン(15)を前記透明素材(11)の裏面において平面方向に第1〜第3の領域(1)(2)(3)に区分けし、第1〜第3の領域(1)(2)(3)の画素パターン(15A)(15B)(15C)における画素径を各領域ごとに変化させている。なお、第1〜第3の領域(1)(2)(3)の画素パターン(15A)(15B)(15C)における全体形状や配列ピッチp、q、rについては実施形態1のものと同一である。
【0049】
このように第1〜第3の領域(1)(2)(3)の画素パターン(15A)(15B)(15C)における画素径を各領域ごとに変化させることにより、全体として立体的な拡大虚像群に対して画素径の変化による装飾効果も持たせることができる。
【0050】
また、本実施形態では、第1〜第3の領域(1)(2)(3)の画素パターン(15A)(15B)(15C)は、画素パターン(15A)の画素径<画素パターン(15B)の画素径<画素パターン(15C)の画素径となるように、拡大虚像(A)(B)(C)の現出位置が深い領域になるにつれて画素径が大きくなっている。
【0051】
これにより図8に示すように拡大虚像の現出位置が深い領域の画素密度が大きくなり、現出位置が深い領域の画素(14)の拡大虚像が全体として濃い状態に見えるため、人の目に対して当該拡大虚像をより一層深く見せることができる。
【0052】
[実施形態4]
次に本発明の第4の実施形態に係る装飾表示体(10)について図9を参照しつつ説明する。
【0053】
この装飾表示体(10)は、実施形態1と同様に前記透明素材(11)の裏面において平面方向に第1〜第3の領域(3)に区分けし、さらに第1〜第3の領域(1)(2)(3)の画素パターン(15)が透明素材(11)の厚み方向に層状に形成されている。
【0054】
すなわち、第1の領域(1)の画素パターン(15)を透明素材(11)に最も近い第1層、第2の領域(2)の画素パターン(15)を次に透明素材(11)に近い第2層、第3の領域(3)の画素パターン(15)を透明素材(11)から最も離れた第3層として構成している。なお、第1〜第3の領域(3)の画素パターン(15)における全体形状や配列ピッチp、q、rについては実施形態1のものと同一である。
【0055】
これにより各領域の画素パターン(15)を順次形成し得るため、装飾表示体(10)を製造し易くなる。
【0056】
[実施形態5]
次に本発明の第5の実施形態に係る装飾表示体(10)について図10を参照しつつ説明する。
【0057】
この装飾表示体(10)は、前記透明素材(11)の裏面において平面方向に第1〜第3の領域(1)(2)(3)に区分けし、第1〜第3の領域(1)(2)(3)の画素パターン(15A)(15B)(15C)が透明素材(11)の厚み方向に層状に形成されるとともに、隣接する領域の画素パターンと一部を上下に重複する部分を有する。
【0058】
すなわち、第1の領域(1)の画素パターン(15A)は、最も外側に位置する矩形環状に形成し、透明素材(11)に最も近い第1層に構成している。
【0059】
また、第2の領域(2)の画素パターン(15B)は、第1の領域(1)の画素パターン(15A)と上下に重複しながら、第1の領域(1)の画素パターン(15A)よりも内側に延設された矩形環状に形成し、第1の領域(1)の画素パターン(15A)の次に透明素材(11)に近い第2層に構成している。
【0060】
また、第3の領域(3)の画素パターン(15C)は、第1および第2の領域(1)(2)の画素パターン(15A)(15B)と上下に重複しながら、第2の領域(2)の画素パターン(15B)よりも内側に延設された矩形状(本実施形態では透明素材(10)と同形状)に形成し、透明素材(11)から最も離れた第3層に構成している。
【0061】
なお、第1〜第3の領域(3)の画素パターン(15)における配列ピッチp、q、rについては実施形態1のものと同一である。
【0062】
このように隣接する領域の画素パターン(15)と上下に重複する部分を有することにより、隣接する領域の画素パターン(15)の間に不要な隙間が発生することを防止できる。しかも各領域の画素パターン(15)の精密な形状や位置の設定が軽減され、装飾表示体(10)を製造し易くなる。
【0063】
[実施形態6]
次に本発明の第6の実施形態に係る装飾表示体(10)について図11を参照しつつ説明する。
【0064】
この装飾表示体(10)は、実施形態5と同様に前記透明素材(11)の裏面において平面方向に第1〜第3の領域(1)(2)(3)に区分けし、第1〜第3の領域(1)(2)(3)の画素パターン(15A)(15B)(15C)を透明素材(11)の厚み方向に層状に形成するとともに、隣接する領域の画素パターン(15)と上下に重複する部分を有している。
【0065】
そして、さらに隣接する領域の画素パターン(15)と上下に重複する部分に着色された透明または不透明の印刷層(16)(17)が形成されている。
【0066】
すなわち、第1の領域(1)の画素パターン(15A)(第1層)と第2の領域(2)の画素パターン(15B)(第2層)との間の重複部分に、着色された透明または不透明の印刷層(16)が形成されている。
【0067】
また、第2の領域(2)の画素パターン(15)(第2層)と第3の領域(3)の画素パターン(15)(第3層)との間の重複部分に、着色された透明または不透明の印刷層(17)が形成されている。
【0068】
なお、第1〜第3の領域(1)(2)(3)の画素パターン(15)における全体形状や配列ピッチp、q、rについては実施形態5のものと同一である。
【0069】
このように隣接する領域の画素パターン(15)と上下に重複する部分に着色された透明または不透明の印刷層(16)(17)が形成されているため、異なる領域の画素(14)の拡大虚像が上下に重複して現出することがなくなり、よりきれいで立体的な拡大虚像群を得ることができる。
【0070】
なお、上記各実施形態では、透明素材(11)の表裏両面へ直接印刷を施したが集光素パターン(13)および画素パターン(15)を形成しているが、図12に示すように、別の透明素材(18)に集光素パターン(13)を印刷したものや、別の透明素材(19)に画素パターン(15)を印刷したものを本体となるシート状または板状の前記透明素材(11)の表裏両面に貼付するようにしてもよい。これにより本装飾表示体(10)を製造し易くなるほか、集光素パターン(13)と画素パターン(15)を印刷した透明素材(11)を店舗のウインドのような既設の透明素材(11)に直接貼り付けることができ、本装飾表示体(10)を既設の商品に対しても適用することが可能となる。
【0071】
また、画素パターン(15)を第1〜第3の領域(1)(2)(3)に区分けするものとしたが、その他の個数や形状の領域に区分けするものとしてもよい。
【0072】
また、各拡大虚像が次第に深くなる拡大虚像又は高くなる拡大虚像群となるようにしたが、拡大虚像が起伏が生じる拡大虚像群となるようにしてもよい。
【0073】
また、画素は円形のものとしたが、四角形、星形、十字形あるいは線状形などその他の形状であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【図1】本装飾表示体の平面図である。
【図2】本装飾表示体の集光素と画素の関係を示す模式図である。
【図3】本装飾表示体の模式断面と拡大虚像の現出位置を示す図である。
【図4】本装飾表示体の拡大虚像の平面図である。
【図5】第2の実施形態に係る本装飾表示体の集光素と画素の関係を示す模式図である。
【図6】図5の本装飾表示体の模式断面と拡大虚像の現出位置を示す図である。
【図7】第3の実施形態に係る本装飾表示体の模式断面と拡大虚像の現出位置を示す図である。
【図8】図7の本装飾表示体の拡大虚像の平面図である。
【図9】第4の実施形態に係る本装飾表示体の模式断面と拡大虚像の現出位置を示す図である。
【図10】第5の実施形態に係る本装飾表示体の模式断面と拡大虚像の現出位置を示す図である。
【図11】第6の実施形態に係る本装飾表示体の模式断面と拡大虚像の現出位置を示す図である。
【図12】その他の実施形態に係る本装飾表示体の模式断面と拡大虚像の現出位置を示す図である。
【符号の説明】
【0075】
1・・・第1の領域
2・・・第2の領域
3・・・第3の領域
10・・・装飾表示体
11・・・透明素材
12・・・集光素
13・・・集光素パターン
14・・・画素
15・・・画素パターン
15A・・・第1の領域の画素パターン
15B・・・第2の領域の画素パターン
15C・・・第3の領域の画素パターン
16,17・・・印刷層
18、19・・・別の透明素材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート状または板状の透明素材の表面に、複数の凸レンズ状の集光素を各集光素の並びに方向性を持たせて2次元的に配列して集光素パターンが形成されるとともに、前記透明素材の裏面に、着色された複数の画素を各画素の並びに前記集光素パターンと同じ方向性を持たせて2次元的に配列して画素パターンが形成され、前記各集光素と各画素の配列ピッチが異なるように前記集光素パターンと前記画素パターンとが形成されることにより、前記画素の拡大虚像を透明素材の上方又は下方に現出する装飾表示体であって、
前記画素パターンは前記透明素材の裏面において平面方向に複数の領域に区分けされ、各領域における前記画素の配列ピッチが隣り合う領域同士で変化することにより、各領域における前記画素の拡大虚像が平面方向に段階的に高さまたは深さを変化しながら透明素材の上方又は下方に現出し、全体として立体的な拡大虚像群を構成することを特徴とする装飾表示体。
【請求項2】
前記各領域の画素パターンは、各領域ごとに画素径が変化している請求項1に記載の装飾表示体。
【請求項3】
前記各領域の画素パターンは、拡大虚像が下方に現出する領域の画素径が大きく形成されている請求項2に記載の装飾表示体。
【請求項4】
前記各領域の画素パターンは、透明素材の厚み方向に層状に形成されている請求項1から請求項3のいずれかに記載の装飾表示体。
【請求項5】
前記各領域の画素パターンは、隣接する領域の画素パターンと上下に重複する部分を有する請求項4に記載の装飾表示体。
【請求項6】
前記各領域の画素パターンは、隣接する領域の画素パターンと上下に重複する部分に着色された透明または不透明の印刷層が形成されている請求項5に記載の装飾表示体。
【請求項7】
前記各領域の画素パターンは、前記透明素材の中心部に向かって段階的に高くなる又は深くなるように区分けされている請求項1から請求項6のいずれかに記載の装飾表示体。
【請求項8】
別の透明素材に集光素パターンが形成されるとともに、さらに別の透明素材に各領域の画素パターンが形成され、これら集光素パターンの透明素材と画素パターンの透明素材とが本体となるシート状又は板状の前記透明素材の表裏両面に貼付される請求項1から請求項7のいずれかに記載の装飾表示体。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate


【公開番号】特開2010−105233(P2010−105233A)
【公開日】平成22年5月13日(2010.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−277931(P2008−277931)
【出願日】平成20年10月29日(2008.10.29)
【特許番号】特許第4413264号(P4413264)
【特許公報発行日】平成22年2月10日(2010.2.10)
【出願人】(599144859)美濃商事株式会社 (7)
【Fターム(参考)】