製品検査装置及び検査方法
【課題】検査対象である製品の色調に依存することなく、極めて簡易且つ安価な構成で、製品の検査を高精度に行うことができるとともに、形状や仕様の異なる種々の製品に容易に対応することのできる製品検査装置及び検査方法を提供する。
【解決手段】製品の基準部16a〜16dが位置決めボルト38a〜38dに当接した状態において、検査部12a〜12dがアダプタ104を介して検知ブロック102を矢印Z方向に変位させると、その変位がリンク部材78によって増幅され、変位ブロック68の矢印X方向に対する変位に変換される。変位した変位ブロック68は、CCDカメラ20によって撮影され、その画像に基づき、製品の良否が判定される。
【解決手段】製品の基準部16a〜16dが位置決めボルト38a〜38dに当接した状態において、検査部12a〜12dがアダプタ104を介して検知ブロック102を矢印Z方向に変位させると、その変位がリンク部材78によって増幅され、変位ブロック68の矢印X方向に対する変位に変換される。変位した変位ブロック68は、CCDカメラ20によって撮影され、その画像に基づき、製品の良否が判定される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、製品の形状を基準製品の形状と比較して検査する製品検査装置及び検査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、技術の進歩及び競争の激化に伴い、環境を配慮した高付加価値を製品に付与するとともに、製品の軽量化やコストダウンを図ることが求められている。これらの要請に対処するため、部品点数を削減することによる製品の一体化、複雑化が進行しており、このような製品の検査を行う製品検査装置も複雑且つ高価なものとなっている。
【0003】
例えば、自動車に用いられる部品は、同じ部品であっても、対象となる車種や取り付け部位の左右、輸出先等によって細部の寸法や形状を異なる仕様とする場合がある。このような製品における製造欠陥の有無等を検査するため、車種、製造ライン、仕様等を表す識別ピンを製品の所定部位に形成し、その識別ピンの本数や寸法を確認することで製品検査を行う方法がある。なお、識別ピンには、製品を識別する目的だけでなく、生産効率を向上させるための組立案内ピンとしての機能を兼備させたものもある。従来、識別ピンの状態に基づく製品検査は、作業員の手作業によって行われていた。
【0004】
しかしながら、製品の多品種化、複雑化に伴い、経験を積んだ作業員であっても、識別ピンを用いて個々の製品を間違いなく確実に検査することは極めて困難となっている。そのため、特に、製品のライフサイクルが短く、製品の仕様変更が頻繁に発生する自動車部品のような製品においては、作業員の手を煩わせることなく、短時間で且つ正確に製品検査を行うことができ、しかも、仕様の異なる種々の製品に容易に対応できる製品検査装置が嘱望されている。
【0005】
例えば、特許文献1には、搬送される製品の画像をカメラで撮影し、その画像を処理して製品形状を求め、基準製品の形状と比較して欠陥の有無を検出する検査装置が開示されている。
【0006】
特許文献2には、搬送される製品に対して規定の検査タイミングでレーザビームを照射し、そのレーザビームを検出して製品の輪郭検査を行うことにより、不良品を抽出する検査装置が開示されている。
【0007】
特許文献3には、製品のバリに接触子を当接させ、接触子と一体に変位する変位計により接触子の変位量を検出することで、製品の外観検査を行う検査装置が開示されている。
【0008】
特許文献4には、アームの一端部に装着された接触子を製品に押圧し、支軸を中心として回動するアームの他端部の変位をリニアセンサにより検出することで、製品寸法を測定する検査装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開平8−29358号公報
【特許文献2】特開平11−337499号公報
【特許文献3】特開2008−102072号公報
【特許文献4】特開2007−315998号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、特許文献1、2に開示された先行技術のように、製品の画像を撮影し、あるいは、レーザビームで製品をスキャンする検査装置の場合、製品の検査部位の色と背景の色とのコントラストが小さいとき、あるいは、製品が透明であるときには、検査部位を抽出することが極めて困難となる。また、検査部位の形状は、通常、製品毎に異なっており、検査部位を確実に抽出して良否判定を行うためには、高度な画像処理技術が必要である。
【0011】
一方、特許文献3に開示された先行技術では、製品に接触子を当接させ、その変位量を直接検出するようにしており、製品のバリの有無を高精度に検出するためには、分解能の高いセンサが必要であり、装置が高価なものとなる。
【0012】
また、特許文献4に開示された先行技術では、アームの一端部に装着された接触子を製品に押圧し、これによって回動するアームの他端部の変位をリニアセンサで検出している。しかしながら、この構成は、接触子の変位量を直接検出する特許文献3の先行技術に代替して、アームの回転により接触子の変位方向を変換して検出するように構成したものに過ぎない。しかも、特許文献4の図2の記載からも明らかなように、アームの一端部の接触子の変位は、縮小されて他端部に伝達される構造になっている。従って、検出感度をアームを用いて高めるようにしたものではない。
【0013】
本発明は、前記の課題に鑑みてなされたものであって、検査対象である製品の色調に依存することなく、極めて簡易且つ安価な構成で、製品の検査を高精度に行うことができるとともに、形状や仕様の異なる種々の製品に容易に対応することのできる製品検査装置及び検査方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明に係る製品検査装置は、製品の基準部が当接することで、前記製品を位置決めする位置決め手段と、前記製品の所定部位に配設された検査部により押圧されて変位する第1ブロックと、前記第1ブロックに一端部が連結され、前記第1ブロックの変位を増幅して他端部に伝達する伝達部材と、前記伝達部材の前記他端部に連結され、前記伝達部材により変位する第2ブロックと、前記位置決め手段により前記製品が位置決めされたときの前記第2ブロックの位置を検出する検出手段とを備えることを特徴とする。
【0015】
前記製品検査装置において、前記伝達部材は、一端部が前記第1ブロックに連結され、他端部が前記第2ブロックに連結され、中間部が軸体により回動可能に支持されるリンク部材から構成され、前記リンク部材が回動することによる前記一端部の変位を増幅して前記他端部に伝達することを特徴とする。
【0016】
前記製品検査装置において、前記検出手段により検出した前記第2ブロックの位置を所定の閾値と比較して判定する判定手段と、前記判定手段による判定結果を報知する報知手段とを備えることを特徴とする。
【0017】
前記製品検査装置において、前記検出手段は、前記第2ブロックの画像を撮影するカメラから構成されることを特徴とする。
【0018】
前記製品検査装置において、前記製品の外観を検査する外観検査部を備え、前記カメラは、前記外観検査部に配置された前記製品の外観を撮影することを特徴とする。
【0019】
本発明に係る製品検査方法は、製品の所定部位に配設された検査部により第1ブロックを変位させる第1ステップと、前記第1ブロックの変位を増幅して第2ブロックに伝達し、前記第2ブロックを変位させる第2ステップと、前記第2ブロックの画像を撮影し、前記画像に基づいて前記第2ブロックの位置を求める第3ステップとを含み、前記第2ブロックの位置に基づいて前記製品を検査することを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
本発明の製品検査装置及び検査方法では、製品の検査部による第1ブロックの変位を伝達部材で増幅し、第2ブロックを変位させて検出することにより、極めて簡易且つ安価な構成で製品の形状を高精度に検査することができる。
【0021】
また、製品の検査部の状態を直接確認するのではなく、第2ブロックの位置に基づいて間接的に検査を行うため、例えば、第2ブロックをカメラで撮影し、その画像に基づいて製品の検査部の状態を判定する場合、製品の色が黒色等のコントラストが極めて低い色調であったとしても、その色調に関係なく、極めて良好な画像を取得し、検査部の状態を容易且つ高精度に判定することができる。
【0022】
さらに、第1ブロックを製品の検査部の形状に応じて適宜交換し、あるいは、その位置を調整することにより、形状の異なる種々の製品に容易に対応することができる。
【0023】
さらにまた、外観を検査するために製品を配置する外観検査部を併設し、外観検査部に配置された製品の外観をカメラにより撮影する構成とすることで、製品の形状だけでなく、製品の外観を含む検査を効率的に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本実施形態の製品検査装置の一部破断構成図である。
【図2】本実施形態の製品検査装置により検査される製品を下方向から見た斜視図である。
【図3】本実施形態の製品検査装置を構成する検査治具の斜視図である。
【図4】本実施形態の製品検査装置を構成する検査ユニットの斜視図である。
【図5】本実施形態の製品検査装置を構成する検査ユニットの側面説明図である。
【図6】本実施形態の製品検査装置の制御回路ブロック図である。
【図7】本実施形態の製品検査方法のフローチャートである。
【図8】本実施形態の製品検査装置を構成するCCDカメラにより撮影した画像の説明図である。
【図9】他の実施形態の製品検査装置を構成する検査治具の斜視図である。
【図10】図9に示す検査治具の側面説明図である。
【図11】図9に示す検査治具を用いた製品検査方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
【0026】
図1は、本実施形態の製品検査装置10の一部破断構成図である。製品検査装置10は、検査対象である製品Wの製造欠陥の有無等を製品形状に基づいて検査する装置である。なお、この製品検査装置10では、製造欠陥以外に、製品形状から製品Wの種別判定等を行うこともできる。
【0027】
製品Wには、図2に示すように、製品Wの種類、製造ライン、仕様等を特定するため、あるいは、製品Wの製造欠陥の検査のため、所定部位に複数の検査部12a〜12dが形成されており、識別ピンからなる検査部12a〜12cの本数、有無、長さ、凹部からなる検査部12dの深さ等の製品形状を検出することで、製品Wの種別判定や製造欠陥の検査を行うことができる。また、製品Wは、後述する検査治具に製品Wを係合させるための2つの係合孔14a、14bと、検査治具に製品Wを位置決めするための4つの基準部16a〜16dとを有する。識別ピンからなる各検査部12a〜12cは、基準部16a〜16dの位置を基準として長さが設定され、凹部からなる検査部12dは、基準部16a〜16dの位置を基準として深さが設定される。
【0028】
製品検査装置10は、照明光源18を有するCCDカメラ20(検出手段)を収納した支持台22と、支持台22上に載置される検査治具24とを備える。検査治具24は、位置決めされた製品Wの製品形状を検査するための治具であり、ボルト26a〜26dにより支持台22に着脱可能である。従って、検査治具24を交換することで、仕様の異なる製品Wの検査に対応することができる。なお、検査治具24が載置される支持台22の上面部には、CCDカメラ20を用いて検査治具24を下面部から撮影するための開口部28が形成される。
【0029】
次に、図3の斜視図に従って検査治具24の構成を説明する。検査治具24は、支持台22の開口部28(図1)にボルト26a〜26dにより固定される下部プレート30と、図示しない弾性部材により上方向に付勢される伸縮自在な3本の支柱32a〜32cを介して、下部プレート30に支持される上部プレート34とを備える。
【0030】
下部プレート30には、上部プレート34の開口部36を介して上方向に延在し、上端部に製品Wの基準部16a〜16d(図2)が当接することで、下部プレート30に対して製品Wを位置決めする4本の位置決めボルト38a〜38d(位置決め手段)が配置される。なお、位置決めボルト38a〜38dは、製品Wの基準部16a〜16dの数及び位置に応じて本数及び高さが調整可能である。また、下部プレート30には、製品Wの各検査部12a〜12dの長さ、有無及び深さを検査するための複数の検査ユニット40a〜40dが配置される。検査ユニット40a〜40dは、製品Wの各検査部12a〜12dの位置に応じて配置される。さらに、下部プレート30には、下部プレート30に対して上部プレート34が所定の位置まで接近したことを検知し、検査を開始するためのトリガ信号を生成するトリガセンサ42と、検査治具24を交換する作業用の取手44a、44bとが配設される。
【0031】
上部プレート34には、製品Wの係合孔14a、14bに係合する2本のガイドピン46a、46bと、上部プレート34に製品Wが装着されたことを検知する製品検知センサ48とが配設される。
【0032】
検査ユニット40a〜40dは、図4及び図5に示すように構成される。すなわち、検査ユニット40a〜40dは、下部プレート30に2本のボルト50a、50bによって固定されるブロック52を有する。ボルト50a、50bは、ブロック52に形成された長孔54に係合し、これにより、ブロック52の矢印Y方向に対する位置調整が可能である。ブロック52には、門形の支持部材56の脚部58a、58bがボルト60a、60bによって固定される。ボルト60a、60bは、脚部58a、58bに形成された長孔62a、62bに係合し、これにより、支持部材56の矢印X方向に対する位置調整が可能である。
【0033】
支持部材56の脚部58a、58b側の部位には、下部プレート30の面と平行に延在する長孔64a、64bが形成される。長孔64a、64bには、延在方向に所定距離離間する2本の軸体66a、66bが係合する。
【0034】
支持部材56の脚部58a、58b間には、直方体形状の変位ブロック68(第2ブロック)が配設され、この変位ブロック68に軸体66a、66bが固定される。変位ブロック68は、軸体66a、66bを介して長孔64a、64bの延在方向(矢印X方向)に変位可能である。変位ブロック68は、支持台22の内部に配設されたCCDカメラ20によりその画像を撮影するため、下部プレート30に形成された開口部70に臨む。この場合、変位ブロック68は、CCDカメラ20により撮影された画像から変位ブロック68のエッジ部72を容易に認識できる色又は光沢が選択される。また、開口部70には、変位ブロック68の撮影範囲を規制するマスク74(図5)が装着される。
【0035】
支持部材56には、T字形状からなるリンク部材78(伝達部材)が、支持部材56の上部プレート34側の部位に装着された支軸76を介して、矢印θ1、θ2方向に回動可能な状態で軸支される。リンク部材78の下部プレート30側の下端部(他端部)には、支軸76を通る直線方向に延在する長孔80a、80bが形成され、この長孔80a、80bに対して、変位ブロック68に固定された軸体66aが支持部材56の長孔64a、64bを介して係合する。
【0036】
また、支持部材56の上部プレート34側の部位には、リンク部材78に隣接して、連結ブロック82が2本のボルト84a、84bにより固定される。ボルト84a、84bは、連結ブロック82に形成された長孔86に係合し、これにより、連結ブロック82の矢印X方向に対する位置調整が可能である。連結ブロック82の位置調整は、調整ねじ88によって行われる。すなわち、図5に示すように、調整ねじ88は、頭部が連結ブロック82に固定されたブラケット90に当接する一方、支持部材56に固定されたブラケット92に螺合する。調整ねじ88を一方向に回転させることにより、連結ブロック82が調整ねじ88に押圧されてリンク部材78側に変位し、調整ねじ88を他方向に回転させることにより、連結ブロック82がブラケット90とともに反対方向に変位する。
【0037】
なお、連結ブロック82には、連結ブロック82の位置を確認するための目盛り94が形成され、この目盛り94に対応して、支持部材56側に指示板96が形成される。目盛り94に対する指示板96の指示位置に基づき、連結ブロック82の調整位置を確認することができる。
【0038】
連結ブロック82とリンク部材78との間には、スプリング98が配設される。リンク部材78は、スプリング98の弾発力により、支軸76を中心として矢印θ1方向に回転付勢される。また、リンク部材78の上部プレート34側の上端部(一端部)には、連結ブロック82を貫通する押圧ピン100の下端部が当接する。押圧ピン100は、スプリング98の弾発力に抗してリンク部材78を押圧することで、リンク部材78を矢印θ2方向に回転させる。
【0039】
押圧ピン100の上端部は、略L字形状からなる検知ブロック102(第1ブロック)に固定される。検知ブロック102は、アダプタ104を介して検査部12a〜12dを検知する。なお、図4及び図5では、識別ピンからなる検査部12a〜12cを図示しているが、凹部からなる検査部12dについても同様に、検査部12dにアダプタ104を挿入して検知することができる。検査部12a〜12dにより検知ブロック102がアダプタ104を介して矢印Z方向に変位することで、押圧ピン100がリンク部材78を押圧する。なお、アダプタ104は、検査部12a〜12dの長さや深さに応じた形状に設定される。検査部12a〜12dの形状によっては、アダプタ104を介することなく、検査部12a〜12dにより、直接、検知ブロック102を押圧するように構成してもよい。
【0040】
図6は、製品検査装置10の制御回路ブロック図である。製品検査装置10は、全体の動作制御を行う制御部106を有する。制御部106には、照明光源18、トリガセンサ42、製品検知センサ48、変位ブロック68の位置の許容範囲である閾値を設定する閾値設定部108、画像コントローラ110(判定手段)、検査部12a〜12dの判定結果を表示するOK/NGランプ112(報知手段)、及び、NGの判定結果をブザー音にて報知する警告ブザー114(報知手段)が接続される。画像コントローラ110には、閾値設定部108で設定した閾値を記憶する閾値メモリ116が接続される。画像コントローラ110は、CCDカメラ20を制御して変位ブロック68の画像を撮影し、取得した画像を処理して変位ブロック68の位置を求め、閾値メモリ116に記憶された閾値と比較することで、検査部12a〜12dの良否判定を行う。
【0041】
製品形状を検査する本実施形態の製品検査装置10は、基本的には以上のように構成される。次に、その動作について、図7に示すフローチャートに従って説明する。
【0042】
先ず、作業者は、検査対象となる製品Wに対応した検査治具24を支持台22に設置し、製品Wに形成された各検査部12a〜12dの位置、識別ピンからなる検査部12a〜12cの長さ、凹部からなる検査部12dの深さに応じて、検査ユニット40a〜40dを調整する(ステップS1)。例えば、図4において、ボルト50a、50bを緩めた状態でブロック52を矢印Y方向に変位させ、また、ボルト60a、60bを緩めた状態で支持部材56の脚部58a、58bを矢印X方向に変位させることにより、検査ユニット40a〜40dの矢印X、Y方向に対する位置を調整することができる。また、検知ブロック102に装着されるアダプタ104を選択することにより、検査部12a〜12dの長さ又は深さに応じた調整を行うことができる。
【0043】
次に、作業者は、閾値設定部108を用いて、製品Wの製品形状を特定する各検査部12a〜12dが正しく形成されているときの変位ブロック68の位置の許容範囲を、検査部12a〜12d毎の閾値として設定する(ステップS2)。設定した各閾値は、画像コントローラ110を介して閾値メモリ116に記憶される。なお、閾値の設定は、必ずしも検査治具24の設置毎に行う必要はなく、製品Wに対応した複数の閾値を予め閾値メモリ116に記憶させておき、検査治具24を設置した際に、検査対象である製品Wに対応する閾値を閾値メモリ116から読み出すようにしてもよい。
【0044】
以上の段取り作業が完了した後、作業者は、検査治具24の上部プレート34に配設されたガイドピン46a、46bに製品Wの係合孔14a、14bを係合させる。このとき、上部プレート34に配設されている製品検知センサ48が製品Wを検知する(ステップS3)。
【0045】
製品Wを上部プレート34とともに下部プレート30側に押圧し、上部プレート34を所定量変位させると、下部プレート30に配設されている位置決めボルト38a〜38dが製品Wの基準部16a〜16dに当接する。このとき、下部プレート30に配設されているトリガセンサ42が上部プレート34を検知し、各検査ユニット40a〜40dに対する製品Wの位置決めが完了したことを示す位置決め完了信号がトリガ信号として制御部106に出力される(ステップS4)。
【0046】
一方、製品Wが上部プレート34を介して下部プレート30側に変位するとき、製品Wに形成されている各検査部12a〜12dがアダプタ104を介して検知ブロック102を矢印Z方向に変位させる(図4、図5)。検知ブロック102が矢印Z方向に変位すると、検知ブロック102に固定されている押圧ピン100も矢印Z方向に変位し、その端部に当接するリンク部材78を矢印θ2方向に回動させる。
【0047】
リンク部材78が支軸76を中心として矢印θ2方向に回動すると、その端部に形成された長孔80a、80bに係合する軸体66aを介して変位ブロック68が矢印X方向に変位する。この場合、検知ブロック102の矢印Z方向の変位量は、図5に示すように、リンク部材78の支軸76から軸体66aの中心までの距離Z1と、支軸76から押圧ピン100の作用点までの距離X1との比Z1/X1を倍率として増幅される。なお、この倍率は、連結ブロック82に装着された調整ねじ88を用いて、連結ブロック82を矢印X方向に変位させることにより、微調整することができる。また、調整位置は、目盛り94に対する指示板96の位置として確認できる。
【0048】
制御部106は、製品検知センサ48からの製品検知信号と、トリガセンサ42からの位置決め完了を示すトリガ信号とが入力されると、照明光源18を駆動して変位ブロック68を下部プレート30側から照明するとともに、画像コントローラ110を介してCCDカメラ20を駆動する。画像コントローラ110は、CCDカメラ20を制御し、変位ブロック68のエッジ部72を含む部分を撮影する(ステップS5)。この場合、変位ブロック68を、エッジ部72が容易に認識できる色又は光沢に設定することにより、製品Wの色に依存することのないコントラストの高い画像を得ることができる。
【0049】
画像コントローラ110は、CCDカメラ20によって撮影された変位ブロック68の画像を処理し、例えば、図8に示すように、下部プレート30(図5参照)の開口部70の所定位置に装着されているマスク74の端部75と、変位ブロック68のエッジ部72との距離X2を変位ブロック68の位置として算出する。そして、この距離X2と、閾値メモリ116に記憶されている各検査部12a〜12dの閾値とを比較し、距離X2が許容範囲内であるか否か、すなわち、検査部12a〜12dの有無、長さ、深さの良否(OK/NG)を判定し、その判定結果を制御部106に供給する(ステップS6)。
【0050】
なお、閾値として設定されている変位ブロック68のエッジ部72の許容位置と、画像処理により得られたエッジ部72の位置とを比較して良否判定を行う代わりに、開口部70に臨む変位ブロック68の画像の面積(図8にハッチングで示す範囲)を算出し、その面積を許容範囲の面積の閾値と比較して良否判定するようにしてもよい。この場合、ハッチングで示す範囲の面積は、変位ブロック68の画像のピクセル数(画素数)に基づいて算出することができる。
【0051】
制御部106は、判定の結果、製品Wに形成されている全ての検査部12a〜12dが所望の製品形状であるとき、例えば、緑色のOK/NGランプ112を点灯させることで、作業者に対して当該製品Wが正常な製品形状であることを知らせる(ステップS7)。
【0052】
一方、製品Wに形成されている検査部12a〜12dの1つでも不良の製品形状であれば、制御部106は、例えば、赤色のOK/NGランプ112を点灯させるとともに、警告ブザー114を鳴動させ、作業者に対して当該製品Wが不良品であることを知らせる。OK/NGランプ112及び警告ブザー114により、製品Wが不良品であることが報知されると、作業者は、当該製品Wを廃棄する。この結果、良品である製品Wのみを確実に出荷することができる。
【0053】
以上の処理を繰り返すことにより(ステップS8)、複雑な構成からなる多数の製品Wの製品形状、例えば、検査部12a〜12cの本数、有無、長さ、凹部からなる検査部12dの深さ等の製品形状の良否判定検査を迅速且つ確実に行うことができる。
【0054】
図9は、他の実施形態の製品検査装置を構成する検査治具120の斜視図である。また、図10は、検査治具120の側面説明図である。検査治具120は、製品Wの形状検査を行う形状検査部122に対して、製品Wの表面の傷や汚れ等の外観検査を行う外観検査部124を併設させたものである。この場合、形状検査部122の構成は、図3に示す検査治具24と同一であるため、検査治具24の構成要素と同一の参照符号を付し、詳細な説明は省略する。
【0055】
検査治具120を構成する形状検査部122及び外観検査部124は、共通のプレート126上に配置される。検査治具120は、図1に示す検査治具24に代えて、ボルト26a〜26dにより支持台22に載置固定される。支持台22の内部には、形状検査部122に位置決めされた製品Wの製品形状の検査を行うとともに、外観検査部124に位置決めされた製品Wの傷や汚れ等の外観検査を行うためのCCDカメラ20が配置される。
【0056】
外観検査部124は、CCDカメラ20により製品Wの外観を撮影するため、プレート126に形成された方形状の開口部128を有する。この開口部128の周縁部の所定位置には、製品Wの係合孔14a、14bに係合する2本のガイドピン130a、130bと、製品Wが外観検査部124に装着されたことを検知する製品検知センサ132とが配設される。
【0057】
次に、図11に示すフローチャートに基づき、検査治具120を用いた製品検査方法について説明する。
【0058】
作業者は、検査対象となる製品Wに対応した検査治具120を支持台22に設置し、形状検査部122に製品Wを位置決めして、製品Wの形状検査を行う(ステップS11)。なお、製品Wの形状検査方法は、図3に示す検査治具24を用いた検査方法と同様であるため、その説明は省略する。
【0059】
製品Wの形状検査が終了すると(ステップS12、YES)、制御部106(図6参照)は、製品Wの検査モードを、形状検査モードから外観検査モードに切り替える(ステップS13)。そこで、作業者は、閾値設定部108を用いて、外観検査のための閾値の設定を行う(ステップS14)。設定した閾値は、閾値メモリ116に記憶される。なお、閾値の設定は、必ずしも検査モードの切り替え毎に行う必要はなく、複数の閾値を予め閾値メモリ116に記憶させておき、検査モードに応じた製品Wに対応する閾値を閾値メモリ116から読み出すようにしてもよい。
【0060】
ここで、外観検査のための閾値とは、傷や汚れ等のない理想的な状態にある製品Wの表面をCCDカメラ20により撮影して得られた理想画像と、検査対象である製品Wを撮影して得られた検査画像とを比較し、検査対象である製品Wの表面が許容できる状態であるか否かを判定するための閾値である。この閾値は、例えば、理想画像の全体濃度と検査画像の全体濃度とを比較するための1つの閾値、又は、理想画像及び検査画像を複数の領域に分割し、各領域の濃度を比較するための複数の閾値として設定することができる。
【0061】
検査モードが外観検査モードに切り替えられた後、作業者は、形状検査が終了した製品Wを形状検査部122から取り外し、外観検査部124を構成するガイドピン130a、130bに製品Wの係合孔14a、14bを係合させる。このとき、開口部128の周縁部に配設されている製品検知センサ132が製品Wを検知する(ステップS15)。
【0062】
制御部106は、製品検知センサ132から製品検知信号を受信すると、画像コントローラ110を介してCCDカメラ20を駆動する。画像コントローラ110は、CCDカメラ20を制御し、開口部128を介して製品Wの表面を撮影する(ステップS16)。
【0063】
画像コントローラ110は、CCDカメラ20によって撮影された製品Wの表面の画像を処理し、例えば、当該画像の全体の濃度と、ステップS14で設定され、閾値メモリ110に記憶されている閾値とを比較し、表面に不適切な傷や汚れが有るかどうかの良否判定(OK/NG判定)を行い、その判定結果を制御部106に供給する(ステップS17)。
【0064】
制御部106は、判定結果を、例えば、OK/NGランプ112を用いて作業者に報知する(ステップS18)。以上の処理を繰り返すことにより(ステップS19)、多数の製品Wの外観検査を効率的に行うことができる。なお、形状検査部122による製品Wの形状検査に先立ち、外観検査部124による製品Wの外観検査を行うようにしてもよいことは勿論である。
【0065】
このように、検査治具120を用いることにより、形状検査部122による製品Wの形状検査、例えば、検査部12a〜12cの本数、有無、長さ、凹部からなる検査部12dの深さ等の製品形状の検査に続けて、外観検査部124による製品Wの外観検査、例えば、製品Wの表面の傷、汚れ、不適切な変形、部品の欠損、又は、表面に記録されている文字の認識等の外観検査を効率的に行うことができる。この結果、形状検査部122と外観検査部124とが独立に構成される検査治具に比較すると、作業工程を削減できるとともに、作業に要するコストの削減にも寄与することができる。
【0066】
なお、本発明は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で変更することが可能である。
【0067】
例えば、製品Wの製品形状の良否判定を行うための閾値は、製品検査装置10の検査治具24に対して正しい形状からなる基準製品をセットし、この基準製品を位置決めしたときに得られる変位ブロック68の画像に基づく所定の許容範囲として自動設定することもできる。同様にして、製品Wの外観の良否判定を行うための閾値も、基準製品に基づいて自動設定することができる。
【0068】
また、検査治具24及び検査治具120の形状検査部122を構成する伝達部材としては、第1ブロックの変位を増幅して第2ブロックに伝達できるものであれば、リンク部材78以外の機構を用いてもよい。
【0069】
また、製品Wの外観検査においては、製品Wの表面を撮影して得られた画像をディスプレイに表示させ、作業者がその画像を目視で確認して良否判定を行うようにしてもよい。
【0070】
また、図10に示す検査治具120では、CCDカメラ20を固定した状態で、製品Wの形状検査を行うための変位ブロック68の画像と、製品Wの外観検査を行うための製品Wの画像とを同時に撮影可能としている。これに対して、形状検査部122の撮影位置と外観検査部124の撮影位置との間を、CCDカメラ20が移動可能となるように構成し、各撮影位置において、変位ブロック68の画像と製品Wの表面の画像とをそれぞれ撮影して検査を行うように構成してもよい。
【0071】
また、検査治具120の外観検査部124において、ガイドピン130a、130bの位置を調整可能に構成することにより、形状の異なる種々の製品Wに対応した製品検査装置とすることができる。
【0072】
さらに、図1に示す製品検査装置10においては、製品形状のみを検査可能な検査治具24を用いて製品Wの形状検査を行った後、検査治具24を図9に示す外観検査部124のみを有する検査治具に置き換えて、外観検査を行うようにしてもよい。
【符号の説明】
【0073】
10…製品検査装置
12a〜12d…検査部
14a、14b…係合孔
16a〜16d…基準部
18…照明光源
20…CCDカメラ
22…支持台
24、120…検査治具
30…下部プレート
34…上部プレート
38a〜38d…位置決めボルト
40a〜40d…検査ユニット
42…トリガセンサ
46a、46b、130a、130b…ガイドピン
48、132…製品検知センサ
56…支持部材
68…変位ブロック
78…リンク部材
82…連結ブロック
98…スプリング
100…押圧ピン
102…検知ブロック
106…制御部
108…閾値設定部
110…画像コントローラ
112…OK/NGランプ
114…警告ブザー
116…閾値メモリ
122…形状検査部
124…外観検査部
126…プレート
W…製品
【技術分野】
【0001】
本発明は、製品の形状を基準製品の形状と比較して検査する製品検査装置及び検査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、技術の進歩及び競争の激化に伴い、環境を配慮した高付加価値を製品に付与するとともに、製品の軽量化やコストダウンを図ることが求められている。これらの要請に対処するため、部品点数を削減することによる製品の一体化、複雑化が進行しており、このような製品の検査を行う製品検査装置も複雑且つ高価なものとなっている。
【0003】
例えば、自動車に用いられる部品は、同じ部品であっても、対象となる車種や取り付け部位の左右、輸出先等によって細部の寸法や形状を異なる仕様とする場合がある。このような製品における製造欠陥の有無等を検査するため、車種、製造ライン、仕様等を表す識別ピンを製品の所定部位に形成し、その識別ピンの本数や寸法を確認することで製品検査を行う方法がある。なお、識別ピンには、製品を識別する目的だけでなく、生産効率を向上させるための組立案内ピンとしての機能を兼備させたものもある。従来、識別ピンの状態に基づく製品検査は、作業員の手作業によって行われていた。
【0004】
しかしながら、製品の多品種化、複雑化に伴い、経験を積んだ作業員であっても、識別ピンを用いて個々の製品を間違いなく確実に検査することは極めて困難となっている。そのため、特に、製品のライフサイクルが短く、製品の仕様変更が頻繁に発生する自動車部品のような製品においては、作業員の手を煩わせることなく、短時間で且つ正確に製品検査を行うことができ、しかも、仕様の異なる種々の製品に容易に対応できる製品検査装置が嘱望されている。
【0005】
例えば、特許文献1には、搬送される製品の画像をカメラで撮影し、その画像を処理して製品形状を求め、基準製品の形状と比較して欠陥の有無を検出する検査装置が開示されている。
【0006】
特許文献2には、搬送される製品に対して規定の検査タイミングでレーザビームを照射し、そのレーザビームを検出して製品の輪郭検査を行うことにより、不良品を抽出する検査装置が開示されている。
【0007】
特許文献3には、製品のバリに接触子を当接させ、接触子と一体に変位する変位計により接触子の変位量を検出することで、製品の外観検査を行う検査装置が開示されている。
【0008】
特許文献4には、アームの一端部に装着された接触子を製品に押圧し、支軸を中心として回動するアームの他端部の変位をリニアセンサにより検出することで、製品寸法を測定する検査装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開平8−29358号公報
【特許文献2】特開平11−337499号公報
【特許文献3】特開2008−102072号公報
【特許文献4】特開2007−315998号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、特許文献1、2に開示された先行技術のように、製品の画像を撮影し、あるいは、レーザビームで製品をスキャンする検査装置の場合、製品の検査部位の色と背景の色とのコントラストが小さいとき、あるいは、製品が透明であるときには、検査部位を抽出することが極めて困難となる。また、検査部位の形状は、通常、製品毎に異なっており、検査部位を確実に抽出して良否判定を行うためには、高度な画像処理技術が必要である。
【0011】
一方、特許文献3に開示された先行技術では、製品に接触子を当接させ、その変位量を直接検出するようにしており、製品のバリの有無を高精度に検出するためには、分解能の高いセンサが必要であり、装置が高価なものとなる。
【0012】
また、特許文献4に開示された先行技術では、アームの一端部に装着された接触子を製品に押圧し、これによって回動するアームの他端部の変位をリニアセンサで検出している。しかしながら、この構成は、接触子の変位量を直接検出する特許文献3の先行技術に代替して、アームの回転により接触子の変位方向を変換して検出するように構成したものに過ぎない。しかも、特許文献4の図2の記載からも明らかなように、アームの一端部の接触子の変位は、縮小されて他端部に伝達される構造になっている。従って、検出感度をアームを用いて高めるようにしたものではない。
【0013】
本発明は、前記の課題に鑑みてなされたものであって、検査対象である製品の色調に依存することなく、極めて簡易且つ安価な構成で、製品の検査を高精度に行うことができるとともに、形状や仕様の異なる種々の製品に容易に対応することのできる製品検査装置及び検査方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明に係る製品検査装置は、製品の基準部が当接することで、前記製品を位置決めする位置決め手段と、前記製品の所定部位に配設された検査部により押圧されて変位する第1ブロックと、前記第1ブロックに一端部が連結され、前記第1ブロックの変位を増幅して他端部に伝達する伝達部材と、前記伝達部材の前記他端部に連結され、前記伝達部材により変位する第2ブロックと、前記位置決め手段により前記製品が位置決めされたときの前記第2ブロックの位置を検出する検出手段とを備えることを特徴とする。
【0015】
前記製品検査装置において、前記伝達部材は、一端部が前記第1ブロックに連結され、他端部が前記第2ブロックに連結され、中間部が軸体により回動可能に支持されるリンク部材から構成され、前記リンク部材が回動することによる前記一端部の変位を増幅して前記他端部に伝達することを特徴とする。
【0016】
前記製品検査装置において、前記検出手段により検出した前記第2ブロックの位置を所定の閾値と比較して判定する判定手段と、前記判定手段による判定結果を報知する報知手段とを備えることを特徴とする。
【0017】
前記製品検査装置において、前記検出手段は、前記第2ブロックの画像を撮影するカメラから構成されることを特徴とする。
【0018】
前記製品検査装置において、前記製品の外観を検査する外観検査部を備え、前記カメラは、前記外観検査部に配置された前記製品の外観を撮影することを特徴とする。
【0019】
本発明に係る製品検査方法は、製品の所定部位に配設された検査部により第1ブロックを変位させる第1ステップと、前記第1ブロックの変位を増幅して第2ブロックに伝達し、前記第2ブロックを変位させる第2ステップと、前記第2ブロックの画像を撮影し、前記画像に基づいて前記第2ブロックの位置を求める第3ステップとを含み、前記第2ブロックの位置に基づいて前記製品を検査することを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
本発明の製品検査装置及び検査方法では、製品の検査部による第1ブロックの変位を伝達部材で増幅し、第2ブロックを変位させて検出することにより、極めて簡易且つ安価な構成で製品の形状を高精度に検査することができる。
【0021】
また、製品の検査部の状態を直接確認するのではなく、第2ブロックの位置に基づいて間接的に検査を行うため、例えば、第2ブロックをカメラで撮影し、その画像に基づいて製品の検査部の状態を判定する場合、製品の色が黒色等のコントラストが極めて低い色調であったとしても、その色調に関係なく、極めて良好な画像を取得し、検査部の状態を容易且つ高精度に判定することができる。
【0022】
さらに、第1ブロックを製品の検査部の形状に応じて適宜交換し、あるいは、その位置を調整することにより、形状の異なる種々の製品に容易に対応することができる。
【0023】
さらにまた、外観を検査するために製品を配置する外観検査部を併設し、外観検査部に配置された製品の外観をカメラにより撮影する構成とすることで、製品の形状だけでなく、製品の外観を含む検査を効率的に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本実施形態の製品検査装置の一部破断構成図である。
【図2】本実施形態の製品検査装置により検査される製品を下方向から見た斜視図である。
【図3】本実施形態の製品検査装置を構成する検査治具の斜視図である。
【図4】本実施形態の製品検査装置を構成する検査ユニットの斜視図である。
【図5】本実施形態の製品検査装置を構成する検査ユニットの側面説明図である。
【図6】本実施形態の製品検査装置の制御回路ブロック図である。
【図7】本実施形態の製品検査方法のフローチャートである。
【図8】本実施形態の製品検査装置を構成するCCDカメラにより撮影した画像の説明図である。
【図9】他の実施形態の製品検査装置を構成する検査治具の斜視図である。
【図10】図9に示す検査治具の側面説明図である。
【図11】図9に示す検査治具を用いた製品検査方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
【0026】
図1は、本実施形態の製品検査装置10の一部破断構成図である。製品検査装置10は、検査対象である製品Wの製造欠陥の有無等を製品形状に基づいて検査する装置である。なお、この製品検査装置10では、製造欠陥以外に、製品形状から製品Wの種別判定等を行うこともできる。
【0027】
製品Wには、図2に示すように、製品Wの種類、製造ライン、仕様等を特定するため、あるいは、製品Wの製造欠陥の検査のため、所定部位に複数の検査部12a〜12dが形成されており、識別ピンからなる検査部12a〜12cの本数、有無、長さ、凹部からなる検査部12dの深さ等の製品形状を検出することで、製品Wの種別判定や製造欠陥の検査を行うことができる。また、製品Wは、後述する検査治具に製品Wを係合させるための2つの係合孔14a、14bと、検査治具に製品Wを位置決めするための4つの基準部16a〜16dとを有する。識別ピンからなる各検査部12a〜12cは、基準部16a〜16dの位置を基準として長さが設定され、凹部からなる検査部12dは、基準部16a〜16dの位置を基準として深さが設定される。
【0028】
製品検査装置10は、照明光源18を有するCCDカメラ20(検出手段)を収納した支持台22と、支持台22上に載置される検査治具24とを備える。検査治具24は、位置決めされた製品Wの製品形状を検査するための治具であり、ボルト26a〜26dにより支持台22に着脱可能である。従って、検査治具24を交換することで、仕様の異なる製品Wの検査に対応することができる。なお、検査治具24が載置される支持台22の上面部には、CCDカメラ20を用いて検査治具24を下面部から撮影するための開口部28が形成される。
【0029】
次に、図3の斜視図に従って検査治具24の構成を説明する。検査治具24は、支持台22の開口部28(図1)にボルト26a〜26dにより固定される下部プレート30と、図示しない弾性部材により上方向に付勢される伸縮自在な3本の支柱32a〜32cを介して、下部プレート30に支持される上部プレート34とを備える。
【0030】
下部プレート30には、上部プレート34の開口部36を介して上方向に延在し、上端部に製品Wの基準部16a〜16d(図2)が当接することで、下部プレート30に対して製品Wを位置決めする4本の位置決めボルト38a〜38d(位置決め手段)が配置される。なお、位置決めボルト38a〜38dは、製品Wの基準部16a〜16dの数及び位置に応じて本数及び高さが調整可能である。また、下部プレート30には、製品Wの各検査部12a〜12dの長さ、有無及び深さを検査するための複数の検査ユニット40a〜40dが配置される。検査ユニット40a〜40dは、製品Wの各検査部12a〜12dの位置に応じて配置される。さらに、下部プレート30には、下部プレート30に対して上部プレート34が所定の位置まで接近したことを検知し、検査を開始するためのトリガ信号を生成するトリガセンサ42と、検査治具24を交換する作業用の取手44a、44bとが配設される。
【0031】
上部プレート34には、製品Wの係合孔14a、14bに係合する2本のガイドピン46a、46bと、上部プレート34に製品Wが装着されたことを検知する製品検知センサ48とが配設される。
【0032】
検査ユニット40a〜40dは、図4及び図5に示すように構成される。すなわち、検査ユニット40a〜40dは、下部プレート30に2本のボルト50a、50bによって固定されるブロック52を有する。ボルト50a、50bは、ブロック52に形成された長孔54に係合し、これにより、ブロック52の矢印Y方向に対する位置調整が可能である。ブロック52には、門形の支持部材56の脚部58a、58bがボルト60a、60bによって固定される。ボルト60a、60bは、脚部58a、58bに形成された長孔62a、62bに係合し、これにより、支持部材56の矢印X方向に対する位置調整が可能である。
【0033】
支持部材56の脚部58a、58b側の部位には、下部プレート30の面と平行に延在する長孔64a、64bが形成される。長孔64a、64bには、延在方向に所定距離離間する2本の軸体66a、66bが係合する。
【0034】
支持部材56の脚部58a、58b間には、直方体形状の変位ブロック68(第2ブロック)が配設され、この変位ブロック68に軸体66a、66bが固定される。変位ブロック68は、軸体66a、66bを介して長孔64a、64bの延在方向(矢印X方向)に変位可能である。変位ブロック68は、支持台22の内部に配設されたCCDカメラ20によりその画像を撮影するため、下部プレート30に形成された開口部70に臨む。この場合、変位ブロック68は、CCDカメラ20により撮影された画像から変位ブロック68のエッジ部72を容易に認識できる色又は光沢が選択される。また、開口部70には、変位ブロック68の撮影範囲を規制するマスク74(図5)が装着される。
【0035】
支持部材56には、T字形状からなるリンク部材78(伝達部材)が、支持部材56の上部プレート34側の部位に装着された支軸76を介して、矢印θ1、θ2方向に回動可能な状態で軸支される。リンク部材78の下部プレート30側の下端部(他端部)には、支軸76を通る直線方向に延在する長孔80a、80bが形成され、この長孔80a、80bに対して、変位ブロック68に固定された軸体66aが支持部材56の長孔64a、64bを介して係合する。
【0036】
また、支持部材56の上部プレート34側の部位には、リンク部材78に隣接して、連結ブロック82が2本のボルト84a、84bにより固定される。ボルト84a、84bは、連結ブロック82に形成された長孔86に係合し、これにより、連結ブロック82の矢印X方向に対する位置調整が可能である。連結ブロック82の位置調整は、調整ねじ88によって行われる。すなわち、図5に示すように、調整ねじ88は、頭部が連結ブロック82に固定されたブラケット90に当接する一方、支持部材56に固定されたブラケット92に螺合する。調整ねじ88を一方向に回転させることにより、連結ブロック82が調整ねじ88に押圧されてリンク部材78側に変位し、調整ねじ88を他方向に回転させることにより、連結ブロック82がブラケット90とともに反対方向に変位する。
【0037】
なお、連結ブロック82には、連結ブロック82の位置を確認するための目盛り94が形成され、この目盛り94に対応して、支持部材56側に指示板96が形成される。目盛り94に対する指示板96の指示位置に基づき、連結ブロック82の調整位置を確認することができる。
【0038】
連結ブロック82とリンク部材78との間には、スプリング98が配設される。リンク部材78は、スプリング98の弾発力により、支軸76を中心として矢印θ1方向に回転付勢される。また、リンク部材78の上部プレート34側の上端部(一端部)には、連結ブロック82を貫通する押圧ピン100の下端部が当接する。押圧ピン100は、スプリング98の弾発力に抗してリンク部材78を押圧することで、リンク部材78を矢印θ2方向に回転させる。
【0039】
押圧ピン100の上端部は、略L字形状からなる検知ブロック102(第1ブロック)に固定される。検知ブロック102は、アダプタ104を介して検査部12a〜12dを検知する。なお、図4及び図5では、識別ピンからなる検査部12a〜12cを図示しているが、凹部からなる検査部12dについても同様に、検査部12dにアダプタ104を挿入して検知することができる。検査部12a〜12dにより検知ブロック102がアダプタ104を介して矢印Z方向に変位することで、押圧ピン100がリンク部材78を押圧する。なお、アダプタ104は、検査部12a〜12dの長さや深さに応じた形状に設定される。検査部12a〜12dの形状によっては、アダプタ104を介することなく、検査部12a〜12dにより、直接、検知ブロック102を押圧するように構成してもよい。
【0040】
図6は、製品検査装置10の制御回路ブロック図である。製品検査装置10は、全体の動作制御を行う制御部106を有する。制御部106には、照明光源18、トリガセンサ42、製品検知センサ48、変位ブロック68の位置の許容範囲である閾値を設定する閾値設定部108、画像コントローラ110(判定手段)、検査部12a〜12dの判定結果を表示するOK/NGランプ112(報知手段)、及び、NGの判定結果をブザー音にて報知する警告ブザー114(報知手段)が接続される。画像コントローラ110には、閾値設定部108で設定した閾値を記憶する閾値メモリ116が接続される。画像コントローラ110は、CCDカメラ20を制御して変位ブロック68の画像を撮影し、取得した画像を処理して変位ブロック68の位置を求め、閾値メモリ116に記憶された閾値と比較することで、検査部12a〜12dの良否判定を行う。
【0041】
製品形状を検査する本実施形態の製品検査装置10は、基本的には以上のように構成される。次に、その動作について、図7に示すフローチャートに従って説明する。
【0042】
先ず、作業者は、検査対象となる製品Wに対応した検査治具24を支持台22に設置し、製品Wに形成された各検査部12a〜12dの位置、識別ピンからなる検査部12a〜12cの長さ、凹部からなる検査部12dの深さに応じて、検査ユニット40a〜40dを調整する(ステップS1)。例えば、図4において、ボルト50a、50bを緩めた状態でブロック52を矢印Y方向に変位させ、また、ボルト60a、60bを緩めた状態で支持部材56の脚部58a、58bを矢印X方向に変位させることにより、検査ユニット40a〜40dの矢印X、Y方向に対する位置を調整することができる。また、検知ブロック102に装着されるアダプタ104を選択することにより、検査部12a〜12dの長さ又は深さに応じた調整を行うことができる。
【0043】
次に、作業者は、閾値設定部108を用いて、製品Wの製品形状を特定する各検査部12a〜12dが正しく形成されているときの変位ブロック68の位置の許容範囲を、検査部12a〜12d毎の閾値として設定する(ステップS2)。設定した各閾値は、画像コントローラ110を介して閾値メモリ116に記憶される。なお、閾値の設定は、必ずしも検査治具24の設置毎に行う必要はなく、製品Wに対応した複数の閾値を予め閾値メモリ116に記憶させておき、検査治具24を設置した際に、検査対象である製品Wに対応する閾値を閾値メモリ116から読み出すようにしてもよい。
【0044】
以上の段取り作業が完了した後、作業者は、検査治具24の上部プレート34に配設されたガイドピン46a、46bに製品Wの係合孔14a、14bを係合させる。このとき、上部プレート34に配設されている製品検知センサ48が製品Wを検知する(ステップS3)。
【0045】
製品Wを上部プレート34とともに下部プレート30側に押圧し、上部プレート34を所定量変位させると、下部プレート30に配設されている位置決めボルト38a〜38dが製品Wの基準部16a〜16dに当接する。このとき、下部プレート30に配設されているトリガセンサ42が上部プレート34を検知し、各検査ユニット40a〜40dに対する製品Wの位置決めが完了したことを示す位置決め完了信号がトリガ信号として制御部106に出力される(ステップS4)。
【0046】
一方、製品Wが上部プレート34を介して下部プレート30側に変位するとき、製品Wに形成されている各検査部12a〜12dがアダプタ104を介して検知ブロック102を矢印Z方向に変位させる(図4、図5)。検知ブロック102が矢印Z方向に変位すると、検知ブロック102に固定されている押圧ピン100も矢印Z方向に変位し、その端部に当接するリンク部材78を矢印θ2方向に回動させる。
【0047】
リンク部材78が支軸76を中心として矢印θ2方向に回動すると、その端部に形成された長孔80a、80bに係合する軸体66aを介して変位ブロック68が矢印X方向に変位する。この場合、検知ブロック102の矢印Z方向の変位量は、図5に示すように、リンク部材78の支軸76から軸体66aの中心までの距離Z1と、支軸76から押圧ピン100の作用点までの距離X1との比Z1/X1を倍率として増幅される。なお、この倍率は、連結ブロック82に装着された調整ねじ88を用いて、連結ブロック82を矢印X方向に変位させることにより、微調整することができる。また、調整位置は、目盛り94に対する指示板96の位置として確認できる。
【0048】
制御部106は、製品検知センサ48からの製品検知信号と、トリガセンサ42からの位置決め完了を示すトリガ信号とが入力されると、照明光源18を駆動して変位ブロック68を下部プレート30側から照明するとともに、画像コントローラ110を介してCCDカメラ20を駆動する。画像コントローラ110は、CCDカメラ20を制御し、変位ブロック68のエッジ部72を含む部分を撮影する(ステップS5)。この場合、変位ブロック68を、エッジ部72が容易に認識できる色又は光沢に設定することにより、製品Wの色に依存することのないコントラストの高い画像を得ることができる。
【0049】
画像コントローラ110は、CCDカメラ20によって撮影された変位ブロック68の画像を処理し、例えば、図8に示すように、下部プレート30(図5参照)の開口部70の所定位置に装着されているマスク74の端部75と、変位ブロック68のエッジ部72との距離X2を変位ブロック68の位置として算出する。そして、この距離X2と、閾値メモリ116に記憶されている各検査部12a〜12dの閾値とを比較し、距離X2が許容範囲内であるか否か、すなわち、検査部12a〜12dの有無、長さ、深さの良否(OK/NG)を判定し、その判定結果を制御部106に供給する(ステップS6)。
【0050】
なお、閾値として設定されている変位ブロック68のエッジ部72の許容位置と、画像処理により得られたエッジ部72の位置とを比較して良否判定を行う代わりに、開口部70に臨む変位ブロック68の画像の面積(図8にハッチングで示す範囲)を算出し、その面積を許容範囲の面積の閾値と比較して良否判定するようにしてもよい。この場合、ハッチングで示す範囲の面積は、変位ブロック68の画像のピクセル数(画素数)に基づいて算出することができる。
【0051】
制御部106は、判定の結果、製品Wに形成されている全ての検査部12a〜12dが所望の製品形状であるとき、例えば、緑色のOK/NGランプ112を点灯させることで、作業者に対して当該製品Wが正常な製品形状であることを知らせる(ステップS7)。
【0052】
一方、製品Wに形成されている検査部12a〜12dの1つでも不良の製品形状であれば、制御部106は、例えば、赤色のOK/NGランプ112を点灯させるとともに、警告ブザー114を鳴動させ、作業者に対して当該製品Wが不良品であることを知らせる。OK/NGランプ112及び警告ブザー114により、製品Wが不良品であることが報知されると、作業者は、当該製品Wを廃棄する。この結果、良品である製品Wのみを確実に出荷することができる。
【0053】
以上の処理を繰り返すことにより(ステップS8)、複雑な構成からなる多数の製品Wの製品形状、例えば、検査部12a〜12cの本数、有無、長さ、凹部からなる検査部12dの深さ等の製品形状の良否判定検査を迅速且つ確実に行うことができる。
【0054】
図9は、他の実施形態の製品検査装置を構成する検査治具120の斜視図である。また、図10は、検査治具120の側面説明図である。検査治具120は、製品Wの形状検査を行う形状検査部122に対して、製品Wの表面の傷や汚れ等の外観検査を行う外観検査部124を併設させたものである。この場合、形状検査部122の構成は、図3に示す検査治具24と同一であるため、検査治具24の構成要素と同一の参照符号を付し、詳細な説明は省略する。
【0055】
検査治具120を構成する形状検査部122及び外観検査部124は、共通のプレート126上に配置される。検査治具120は、図1に示す検査治具24に代えて、ボルト26a〜26dにより支持台22に載置固定される。支持台22の内部には、形状検査部122に位置決めされた製品Wの製品形状の検査を行うとともに、外観検査部124に位置決めされた製品Wの傷や汚れ等の外観検査を行うためのCCDカメラ20が配置される。
【0056】
外観検査部124は、CCDカメラ20により製品Wの外観を撮影するため、プレート126に形成された方形状の開口部128を有する。この開口部128の周縁部の所定位置には、製品Wの係合孔14a、14bに係合する2本のガイドピン130a、130bと、製品Wが外観検査部124に装着されたことを検知する製品検知センサ132とが配設される。
【0057】
次に、図11に示すフローチャートに基づき、検査治具120を用いた製品検査方法について説明する。
【0058】
作業者は、検査対象となる製品Wに対応した検査治具120を支持台22に設置し、形状検査部122に製品Wを位置決めして、製品Wの形状検査を行う(ステップS11)。なお、製品Wの形状検査方法は、図3に示す検査治具24を用いた検査方法と同様であるため、その説明は省略する。
【0059】
製品Wの形状検査が終了すると(ステップS12、YES)、制御部106(図6参照)は、製品Wの検査モードを、形状検査モードから外観検査モードに切り替える(ステップS13)。そこで、作業者は、閾値設定部108を用いて、外観検査のための閾値の設定を行う(ステップS14)。設定した閾値は、閾値メモリ116に記憶される。なお、閾値の設定は、必ずしも検査モードの切り替え毎に行う必要はなく、複数の閾値を予め閾値メモリ116に記憶させておき、検査モードに応じた製品Wに対応する閾値を閾値メモリ116から読み出すようにしてもよい。
【0060】
ここで、外観検査のための閾値とは、傷や汚れ等のない理想的な状態にある製品Wの表面をCCDカメラ20により撮影して得られた理想画像と、検査対象である製品Wを撮影して得られた検査画像とを比較し、検査対象である製品Wの表面が許容できる状態であるか否かを判定するための閾値である。この閾値は、例えば、理想画像の全体濃度と検査画像の全体濃度とを比較するための1つの閾値、又は、理想画像及び検査画像を複数の領域に分割し、各領域の濃度を比較するための複数の閾値として設定することができる。
【0061】
検査モードが外観検査モードに切り替えられた後、作業者は、形状検査が終了した製品Wを形状検査部122から取り外し、外観検査部124を構成するガイドピン130a、130bに製品Wの係合孔14a、14bを係合させる。このとき、開口部128の周縁部に配設されている製品検知センサ132が製品Wを検知する(ステップS15)。
【0062】
制御部106は、製品検知センサ132から製品検知信号を受信すると、画像コントローラ110を介してCCDカメラ20を駆動する。画像コントローラ110は、CCDカメラ20を制御し、開口部128を介して製品Wの表面を撮影する(ステップS16)。
【0063】
画像コントローラ110は、CCDカメラ20によって撮影された製品Wの表面の画像を処理し、例えば、当該画像の全体の濃度と、ステップS14で設定され、閾値メモリ110に記憶されている閾値とを比較し、表面に不適切な傷や汚れが有るかどうかの良否判定(OK/NG判定)を行い、その判定結果を制御部106に供給する(ステップS17)。
【0064】
制御部106は、判定結果を、例えば、OK/NGランプ112を用いて作業者に報知する(ステップS18)。以上の処理を繰り返すことにより(ステップS19)、多数の製品Wの外観検査を効率的に行うことができる。なお、形状検査部122による製品Wの形状検査に先立ち、外観検査部124による製品Wの外観検査を行うようにしてもよいことは勿論である。
【0065】
このように、検査治具120を用いることにより、形状検査部122による製品Wの形状検査、例えば、検査部12a〜12cの本数、有無、長さ、凹部からなる検査部12dの深さ等の製品形状の検査に続けて、外観検査部124による製品Wの外観検査、例えば、製品Wの表面の傷、汚れ、不適切な変形、部品の欠損、又は、表面に記録されている文字の認識等の外観検査を効率的に行うことができる。この結果、形状検査部122と外観検査部124とが独立に構成される検査治具に比較すると、作業工程を削減できるとともに、作業に要するコストの削減にも寄与することができる。
【0066】
なお、本発明は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で変更することが可能である。
【0067】
例えば、製品Wの製品形状の良否判定を行うための閾値は、製品検査装置10の検査治具24に対して正しい形状からなる基準製品をセットし、この基準製品を位置決めしたときに得られる変位ブロック68の画像に基づく所定の許容範囲として自動設定することもできる。同様にして、製品Wの外観の良否判定を行うための閾値も、基準製品に基づいて自動設定することができる。
【0068】
また、検査治具24及び検査治具120の形状検査部122を構成する伝達部材としては、第1ブロックの変位を増幅して第2ブロックに伝達できるものであれば、リンク部材78以外の機構を用いてもよい。
【0069】
また、製品Wの外観検査においては、製品Wの表面を撮影して得られた画像をディスプレイに表示させ、作業者がその画像を目視で確認して良否判定を行うようにしてもよい。
【0070】
また、図10に示す検査治具120では、CCDカメラ20を固定した状態で、製品Wの形状検査を行うための変位ブロック68の画像と、製品Wの外観検査を行うための製品Wの画像とを同時に撮影可能としている。これに対して、形状検査部122の撮影位置と外観検査部124の撮影位置との間を、CCDカメラ20が移動可能となるように構成し、各撮影位置において、変位ブロック68の画像と製品Wの表面の画像とをそれぞれ撮影して検査を行うように構成してもよい。
【0071】
また、検査治具120の外観検査部124において、ガイドピン130a、130bの位置を調整可能に構成することにより、形状の異なる種々の製品Wに対応した製品検査装置とすることができる。
【0072】
さらに、図1に示す製品検査装置10においては、製品形状のみを検査可能な検査治具24を用いて製品Wの形状検査を行った後、検査治具24を図9に示す外観検査部124のみを有する検査治具に置き換えて、外観検査を行うようにしてもよい。
【符号の説明】
【0073】
10…製品検査装置
12a〜12d…検査部
14a、14b…係合孔
16a〜16d…基準部
18…照明光源
20…CCDカメラ
22…支持台
24、120…検査治具
30…下部プレート
34…上部プレート
38a〜38d…位置決めボルト
40a〜40d…検査ユニット
42…トリガセンサ
46a、46b、130a、130b…ガイドピン
48、132…製品検知センサ
56…支持部材
68…変位ブロック
78…リンク部材
82…連結ブロック
98…スプリング
100…押圧ピン
102…検知ブロック
106…制御部
108…閾値設定部
110…画像コントローラ
112…OK/NGランプ
114…警告ブザー
116…閾値メモリ
122…形状検査部
124…外観検査部
126…プレート
W…製品
【特許請求の範囲】
【請求項1】
製品の基準部が当接することで、前記製品を位置決めする位置決め手段と、
前記製品の所定部位に配設された検査部により押圧されて変位する第1ブロックと、
前記第1ブロックに一端部が連結され、前記第1ブロックの変位を増幅して他端部に伝達する伝達部材と、
前記伝達部材の前記他端部に連結され、前記伝達部材により変位する第2ブロックと、
前記位置決め手段により前記製品が位置決めされたときの前記第2ブロックの位置を検出する検出手段と、
を備えることを特徴とする製品検査装置。
【請求項2】
請求項1記載の製品検査装置において、
前記伝達部材は、一端部が前記第1ブロックに連結され、他端部が前記第2ブロックに連結され、中間部が軸体により回動可能に支持されるリンク部材から構成され、前記リンク部材が回動することによる前記一端部の変位を増幅して前記他端部に伝達することを特徴とする製品検査装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の製品検査装置において、
前記検出手段により検出した前記第2ブロックの位置を所定の閾値と比較して判定する判定手段と、
前記判定手段による判定結果を報知する報知手段と、
を備えることを特徴とする製品検査装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の製品検査装置において、
前記検出手段は、前記第2ブロックの画像を撮影するカメラから構成されることを特徴とする製品検査装置。
【請求項5】
請求項4記載の製品検査装置において、
前記製品の外観を検査する外観検査部を備え、
前記カメラは、前記外観検査部に配置された前記製品の外観を撮影することを特徴とする製品検査装置。
【請求項6】
製品の所定部位に配設された検査部により第1ブロックを変位させる第1ステップと、
前記第1ブロックの変位を増幅して第2ブロックに伝達し、前記第2ブロックを変位させる第2ステップと、
前記第2ブロックの画像を撮影し、前記画像に基づいて前記第2ブロックの位置を求める第3ステップと、
を含み、前記第2ブロックの位置に基づいて前記製品を検査することを特徴とする製品検査方法。
【請求項1】
製品の基準部が当接することで、前記製品を位置決めする位置決め手段と、
前記製品の所定部位に配設された検査部により押圧されて変位する第1ブロックと、
前記第1ブロックに一端部が連結され、前記第1ブロックの変位を増幅して他端部に伝達する伝達部材と、
前記伝達部材の前記他端部に連結され、前記伝達部材により変位する第2ブロックと、
前記位置決め手段により前記製品が位置決めされたときの前記第2ブロックの位置を検出する検出手段と、
を備えることを特徴とする製品検査装置。
【請求項2】
請求項1記載の製品検査装置において、
前記伝達部材は、一端部が前記第1ブロックに連結され、他端部が前記第2ブロックに連結され、中間部が軸体により回動可能に支持されるリンク部材から構成され、前記リンク部材が回動することによる前記一端部の変位を増幅して前記他端部に伝達することを特徴とする製品検査装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の製品検査装置において、
前記検出手段により検出した前記第2ブロックの位置を所定の閾値と比較して判定する判定手段と、
前記判定手段による判定結果を報知する報知手段と、
を備えることを特徴とする製品検査装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の製品検査装置において、
前記検出手段は、前記第2ブロックの画像を撮影するカメラから構成されることを特徴とする製品検査装置。
【請求項5】
請求項4記載の製品検査装置において、
前記製品の外観を検査する外観検査部を備え、
前記カメラは、前記外観検査部に配置された前記製品の外観を撮影することを特徴とする製品検査装置。
【請求項6】
製品の所定部位に配設された検査部により第1ブロックを変位させる第1ステップと、
前記第1ブロックの変位を増幅して第2ブロックに伝達し、前記第2ブロックを変位させる第2ステップと、
前記第2ブロックの画像を撮影し、前記画像に基づいて前記第2ブロックの位置を求める第3ステップと、
を含み、前記第2ブロックの位置に基づいて前記製品を検査することを特徴とする製品検査方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2011−123056(P2011−123056A)
【公開日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−255714(P2010−255714)
【出願日】平成22年11月16日(2010.11.16)
【出願人】(500457601)山陽精工株式会社 (1)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年11月16日(2010.11.16)
【出願人】(500457601)山陽精工株式会社 (1)
【Fターム(参考)】
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