製紙用スクリーン装置
【課題】処理能力の向上を図った製紙用スクリーン装置を提供する。
【解決手段】製紙用スクリーン装置1は、製紙原料の入口部31、精選出口部32、異物出口部33を有すると共に、該製紙原料を貯留する槽3と、この槽3内に設けて槽3内を一次室3Aと二次室3Bに区画し、天井と底面を開放すると共に、外側面に開口部を有した円筒形状のスクリーン2と、この円筒形状のスクリーン2の内側に位置する一次室3Aに設けられた撹拌部材4と、円筒形状のスクリーン2に当接して円筒形状のスクリーン2が撹拌部材4に接触しない範囲で円筒形状のスクリーン2を振動させる振動部材5とを備え、入口部31及び異物出口部33を一次室3Aに、精選出口部32を二次室3Bに臨ませたものである。
【解決手段】製紙用スクリーン装置1は、製紙原料の入口部31、精選出口部32、異物出口部33を有すると共に、該製紙原料を貯留する槽3と、この槽3内に設けて槽3内を一次室3Aと二次室3Bに区画し、天井と底面を開放すると共に、外側面に開口部を有した円筒形状のスクリーン2と、この円筒形状のスクリーン2の内側に位置する一次室3Aに設けられた撹拌部材4と、円筒形状のスクリーン2に当接して円筒形状のスクリーン2が撹拌部材4に接触しない範囲で円筒形状のスクリーン2を振動させる振動部材5とを備え、入口部31及び異物出口部33を一次室3Aに、精選出口部32を二次室3Bに臨ませたものである。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、製紙用スクリーン装置に係り、特に、処理能力の向上を図った製紙用スクリーン装置に関する。
【0002】
従来、例えば、スクリーンバスケット(円筒形状のスクリーン)の内側に回転羽根(撹拌部材)を設けたスクリーンがある(例えば、特許文献1 図16参照)。
【特許文献1】特許第3190254号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
このスクリーンにあっては、回転羽根(撹拌部材)の前部では、スクリーンバスケット(円筒形状のスクリーン)に対し加圧を生じ、回転羽根(撹拌部材)の後部では、スクリーンバスケット(円筒形状のスクリーン)に対し負圧になるようにして、スクリーンバスケット(円筒形状のスクリーン)の目洗い作用を自動的に逐次行っている。
しかしながら、この目洗い作用によっても、スクリーンバスケット(円筒形状のスクリーン)の入口側に製紙原料が淀み、これが要因となって処理能力の向上を図ることができないという問題点があった。
【0004】
本発明は、上記の問題点を除去するようにした製紙用スクリーン装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の製紙用スクリーン装置は、製紙原料の入口部、精選出口部、異物出口部を有すると共に、該製紙原料を貯留する槽と、この槽内に設けて前記槽内を一次室と二次室に区画し、天井と底面を開放すると共に、外側面に開口部を有した円筒形状のスクリーンと、この円筒形状のスクリーンの内側に位置する前記一次室に設けられた撹拌部材と、前記円筒形状のスクリーンに当接して前記円筒形状のスクリーンが前記撹拌部材に接触しない範囲で前記円筒形状のスクリーンを振動させる振動部材とを備え、前記入口部及び前記異物出口部を前記一次室に、前記精選出口部を前記二次室に臨ませたものである。
【0006】
また、請求項2記載の製紙用スクリーン装置は、請求項1記載の製紙用スクリーン装置において、円筒形状のスクリーンの外周に突出して設けられた突出部と、槽内に設けられて、前記突出部を支持する支持部材と、この支持部材と前記突出部との間に介在する振動吸収材とを備えているものである。
【0007】
また、請求項3記載の製紙用スクリーン装置は、製紙原料の入口部、精選出口部、異物出口部を有すると共に、該製紙原料を貯留する槽と、この槽内に設けて前記槽内を一次室と二次室に区画し、閉塞した天井面と開放した底面を備えると共に、外側面に開口部を有した円筒形状のスクリーンと、この円筒形状のスクリーンの外側に位置する前記二次室内に設けられた撹拌部材と、前記円筒形状のスクリーンに当接して前記円筒形状のスクリーンが前記撹拌部材に接触しない範囲で前記円筒形状のスクリーンを振動させる振動部材とを備え、前記入口部及び前記異物出口部を前記二次室に、前記精選出口部を前記一次室に臨ませたものである。
【0008】
また、請求項4記載の製紙用スクリーン装置は、請求項3記載の製紙用スクリーン装置において、円筒形状のスクリーンの下端であって、該下端に内方に向かって突出して設けられた内方突出部と、槽内に設けられて、前記内方突出部を支持する支持部材と、この支持部材と前記内方突出部との間に介在する振動吸収材とを備えているものである。
【発明の効果】
【0009】
請求項1記載の製紙用スクリーン装置によれば、円筒形状のスクリーンを振動させ、該振動は円筒形状のスクリーンが内側に位置する撹拌部材に接触しない範囲であるため、撹拌部材により円筒形状のスクリーンが損傷を受けることを防ぎ、撹拌部材によるスクリーンの目洗い作用に加え、前記円筒形状のスクリーンに淀む製紙原料に流動性を与えて処理能力の向上を図ることができる。
【0010】
また、請求項3記載の製紙用スクリーン装置によれば、円筒形状のスクリーンを振動させ、該振動は円筒形状のスクリーンが外側に位置する撹拌部材に接触しない範囲であるため、撹拌部材により円筒形状のスクリーンが損傷を受けることを防ぎ、撹拌部材によるスクリーンの目洗い作用に加え、前記円筒形状のスクリーンに淀む製紙原料に流動性を与えて処理能力の向上を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明の製紙用スクリーン装置の一実施例を図面を参照して説明する。
(実施例1)
図1乃至図4において、1は製紙用スクリーン装置で、製紙用スクリーン装置1は、例えば、製紙原料をスクリーンの内側から外側に向かって流入させて精選するスクリーンで、製紙原料から、塵、異物を除去するための円筒形状のスクリーン2が槽3内に設けられている。
【0012】
槽3は処理する製紙原料を貯留するところで、槽3には、製紙原料の入口部31、精選出口部32、異物出口部33を有する。また、入口部31は原料供給管(図示せず)に、精選出口部32は原料排出管(図示せず)に、異物出口部33は異物排出管(図示せず)に、それぞれ接続されている。なお、原料排出管(図示せず)より排出される精選された製紙原料は、他の工程へと導かれ、また、異物出口部33に接続された異物排出管(図示せず)の中途には異物排出管(図示せず)の通路を開閉する開閉弁(図示せず)が設けられている。
【0013】
上述した円筒形状のスクリーン2は、例えば、天井と底面を開放すると共に、外側面にスリット、丸孔等で形成された開口部21を有し、槽3内に設けられ、槽3内を一次室3Aと二次室3Bに区画している。なお、入口部31及び異物出口部33を一次室3Aに、精選出口部32を二次室3Bに、それぞれ臨ませるようになっている。
【0014】
また、4は撹拌部材で、撹拌部材4は、例えば、円筒形の側面に突起41を複数有し、円筒形状のスクリーン3の内側に位置する一次室3Aに設けられている。なお、撹拌部材4は、図示しないモータからの回転をベルト42、42を介して回転するようになっている。
【0015】
また、5は円筒形状のスクリーン2の側面に当接して円筒形状のスクリーン3が撹拌部材4に接触しない範囲で円筒形状のスクリーン3を振動させる振動部材で、6は振動を与える起振部(バイブレータ)である。振動部材5の先端は、図4に示すように、円筒形状のスクリーン2の側面に突出するように設けた中間突出部22に当接している。なお、場合により、中間突出部22を設けず、円筒形状のスクリーン2の側面に直接当接するようにしても良い。
【0016】
なお、円筒形状のスクリーン2の外周には、中間突出部22の他に、上方と下方に、それぞれ突出して設けられた突出部23、24(突出部23、24は、例えば、円筒形状のスクリーン2の外周に沿うように環状に設けられている。)がある。
この突出部23、24は、槽3内に設けられた支持部材7、8により支持され、この支持部材7と突出部23との間に振動吸収材9(振動吸収材9は、例えば、合成ゴム、合成樹脂、スプリング等である。)が、支持部材8と突出部24との間に振動吸収材10(振動吸収材10は、例えば、合成ゴム、合成樹脂、スプリング等である。)が、それぞれ介在している(図3参照)。
支持部材7は、槽3の内壁に接合された上部内壁支持部材71と、この上部内壁支持部材71に上第1ボルト72を介して接続されると共に、円筒形状のスクリーン2の側に突出部23を収納する断面逆L字収納部を有する上第1支持部材73と、この上第1支持部材73に下に位置し、下第1ボルト74を介して上第1支持部材73に接続される上第2支持部材75とを有している。
また、支持部材7の下に位置する支持部材8は、槽3の内壁に接合された下部内壁支持部材81と、この下部内壁支持部材81に載置されると共に、円筒形状のスクリーン2の側に突出部24を収納する断面L字収納部を有する下第1支持部材82と、この下第1支持部材82の上に位置し、ボルト83を介して接続される下第2支持部材84とを有している。
【0017】
従って、図1乃至図4記載の製紙用スクリーン装置1においては、ポンプ(図示せず)により製紙原料が原料供給管(図示せず)、入口部31を介して第1の室3Aに導入されると、円筒形状のスクリーン2の製紙原料流入側において、円筒形状のスクリーン2と、撹拌部材4の突起41による加圧・負圧の交互作用により、円筒形状のスクリーン2の目洗い作用に加え、円筒形状のスクリーン2は振動部材5により振動し、円筒形状のスクリーン2に淀む製紙原料に流動性を与えて処理能力の向上を図ることができる。
なお、振動部材5による円筒形状のスクリーン2の振動は円筒形状のスクリーン2が内側に位置する撹拌部材4の突起41に接触しない範囲としているため、撹拌部材4の突起41が円筒形状のスクリーン2に損傷を与えない。また、円筒形状のスクリーン2の振動は、振動吸収材9、10により槽3に伝達しないようにしている。
また、円筒形状のスクリーン2の間隙部21を通過した有用繊維は二次室3B内に導かれ、精選出口部32を介して槽3外へ導かれる。なお、異物出口部33に接続された異物排出管(図示せず)の開閉弁(図示せず)を適宜開くことにより、一次室3A内の異物を槽3外へ導くようになっている。
【0018】
(実施例2)
なお、上述した図1乃至図4記載の製紙用スクリーン装置1の振動部材5の振動は、水平方向によるものであったが、本願発明にあってはこれに限らず、例えば、図5乃至図7に示すように、円筒形状のスクリーン2を垂直方向に振動するようにしても良い。
この実施例にあっては、振動を与える起振部(バイブレータ)6が槽3の天井部に位置し、振動部材5が円筒形状のスクリーン2の上端面に当接している点を除けば、上述の実施例と同様であるので、本実施例においては、上述した図1乃至図4記載の製紙用スクリーン装置1と同一部分に同一符号を付してその説明を省略する。
なお、Sは槽3と振動部材5とのシールを図るシール部材で、11は合成ゴム、合成樹脂、スプリング等の振動吸収材である。
【0019】
(実施例3)
なお、上述した図1乃至図7記載の製紙用スクリーン装置は、製紙原料をスクリーンの内側から外側に向かって流入させて精選するスクリーンであったが、本願発明にあってはこれに限らず、例えば、図8及び図9に示すように、製紙原料をスクリーンの外側から内側に向かって流入させて精選するスクリーンについても、同様に適用して円筒形状のスクリーン2を振動するようにしても良い。
【0020】
即ち、製紙原料を貯留する槽3は、製紙原料の入口部31、精選出口部32、異物出口部33を有し、入口部31は原料供給管(図示せず)に、精選出口部32は原料排出管(図示せず)に、異物出口部33は異物排出管(図示せず)に、それぞれ接続されている。なお、原料排出管(図示せず)より排出される精選された製紙原料は、他の工程へと導かれ、また、異物出口部33に接続された異物排出管(図示せず)の中途には異物排出管(図示せず)の通路を開閉する開閉弁(図示せず)が設けられている。
【0021】
また、外側面にスリット、丸孔等で形成された開口部を有した円筒形状のスクリーン2は、槽3内に設けて槽3内を一次室3Aと二次室3Bに区画している。円筒形状のスクリーン2の天井面22は、閉塞しているが、底面は開放し、該底面は精選出口部32に連通するようになっている。
円筒形状のスクリーン2の外側に位置する撹拌部材4は、二次室3B内に設けられ、入口部31及び異物出口部33を二次室3Bに、精選出口部32を一次室3Aに、それぞれ臨む構成となっている。円筒形状のスクリーン2を振動させる振動部材5は、円筒形状のスクリーン2に当接して円筒形状のスクリーン2が撹拌部材4の攪拌部41に接触しない範囲で円筒形状のスクリーン2を振動(例えば、図8及び図9のように水平方向、又は図10に示すように垂直方向に振動させる。)させる。6は、上述の実施例と同様に、振動部材5に振動を与える起振部(バイブレータ)である。
【0022】
また、図9に示す23は、円筒形状のスクリーン2の下端であって、該下端に内方に向かって突出して設けられた内方突出部で、この内方突出部23は、槽3内に設けられた支持部材12に支持される。
支持部材12は、槽3の内壁に接合され、内方突出部23を収納する収納部位を有する下部内壁支持部材121と、この下部内壁支持部材の上に位置し、ボルト(図示せず)を介して接続される支持部材122とを有している。なお、14は、支持部材12と内方突出部23との間に介在する合成ゴム、合成樹脂、スプリング等の振動吸収材である。
また、本実施例においては、上述した図1乃至図4記載の製紙用スクリーン装置1と同一部分に同一符号を付してその説明を省略する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】図1は、本発明の一実施例の製紙用スクリーン装置の概略的断面図である。
【図2】図2は、図1の2−2線による概略的断面図である。
【図3】図3は、図1の一部を拡大して示す概略的一部拡大断面図である。
【図4】図4は、図1の一部を拡大して示す概略的一部拡大断面図である。
【図5】図5は、図1の他の実施例の製紙用スクリーン装置の概略的断面図である。
【図6】図6は、図5の6−6線による概略的断面図である。
【図7】図7は、図5の一部を拡大して示す概略的一部拡大断面図である。
【図8】図8は、図5の他の実施例の製紙用スクリーン装置の概略的断面図である。
【図9】図9は、図8の一部を拡大して示す概略的一部拡大断面図である。
【図10】図10は、図8の他の実施例の製紙用スクリーン装置の概略的断面図である。
【符号の説明】
【0024】
1 製紙用スクリーン装置
2 円筒形状のスクリーン
3 槽
3A 一次室
3B 二次室
4 撹拌部材
5 振動部材
21 開口部
31 入口部
32 精選出口部
33 異物出口部
【技術分野】
【0001】
本発明は、製紙用スクリーン装置に係り、特に、処理能力の向上を図った製紙用スクリーン装置に関する。
【0002】
従来、例えば、スクリーンバスケット(円筒形状のスクリーン)の内側に回転羽根(撹拌部材)を設けたスクリーンがある(例えば、特許文献1 図16参照)。
【特許文献1】特許第3190254号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
このスクリーンにあっては、回転羽根(撹拌部材)の前部では、スクリーンバスケット(円筒形状のスクリーン)に対し加圧を生じ、回転羽根(撹拌部材)の後部では、スクリーンバスケット(円筒形状のスクリーン)に対し負圧になるようにして、スクリーンバスケット(円筒形状のスクリーン)の目洗い作用を自動的に逐次行っている。
しかしながら、この目洗い作用によっても、スクリーンバスケット(円筒形状のスクリーン)の入口側に製紙原料が淀み、これが要因となって処理能力の向上を図ることができないという問題点があった。
【0004】
本発明は、上記の問題点を除去するようにした製紙用スクリーン装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の製紙用スクリーン装置は、製紙原料の入口部、精選出口部、異物出口部を有すると共に、該製紙原料を貯留する槽と、この槽内に設けて前記槽内を一次室と二次室に区画し、天井と底面を開放すると共に、外側面に開口部を有した円筒形状のスクリーンと、この円筒形状のスクリーンの内側に位置する前記一次室に設けられた撹拌部材と、前記円筒形状のスクリーンに当接して前記円筒形状のスクリーンが前記撹拌部材に接触しない範囲で前記円筒形状のスクリーンを振動させる振動部材とを備え、前記入口部及び前記異物出口部を前記一次室に、前記精選出口部を前記二次室に臨ませたものである。
【0006】
また、請求項2記載の製紙用スクリーン装置は、請求項1記載の製紙用スクリーン装置において、円筒形状のスクリーンの外周に突出して設けられた突出部と、槽内に設けられて、前記突出部を支持する支持部材と、この支持部材と前記突出部との間に介在する振動吸収材とを備えているものである。
【0007】
また、請求項3記載の製紙用スクリーン装置は、製紙原料の入口部、精選出口部、異物出口部を有すると共に、該製紙原料を貯留する槽と、この槽内に設けて前記槽内を一次室と二次室に区画し、閉塞した天井面と開放した底面を備えると共に、外側面に開口部を有した円筒形状のスクリーンと、この円筒形状のスクリーンの外側に位置する前記二次室内に設けられた撹拌部材と、前記円筒形状のスクリーンに当接して前記円筒形状のスクリーンが前記撹拌部材に接触しない範囲で前記円筒形状のスクリーンを振動させる振動部材とを備え、前記入口部及び前記異物出口部を前記二次室に、前記精選出口部を前記一次室に臨ませたものである。
【0008】
また、請求項4記載の製紙用スクリーン装置は、請求項3記載の製紙用スクリーン装置において、円筒形状のスクリーンの下端であって、該下端に内方に向かって突出して設けられた内方突出部と、槽内に設けられて、前記内方突出部を支持する支持部材と、この支持部材と前記内方突出部との間に介在する振動吸収材とを備えているものである。
【発明の効果】
【0009】
請求項1記載の製紙用スクリーン装置によれば、円筒形状のスクリーンを振動させ、該振動は円筒形状のスクリーンが内側に位置する撹拌部材に接触しない範囲であるため、撹拌部材により円筒形状のスクリーンが損傷を受けることを防ぎ、撹拌部材によるスクリーンの目洗い作用に加え、前記円筒形状のスクリーンに淀む製紙原料に流動性を与えて処理能力の向上を図ることができる。
【0010】
また、請求項3記載の製紙用スクリーン装置によれば、円筒形状のスクリーンを振動させ、該振動は円筒形状のスクリーンが外側に位置する撹拌部材に接触しない範囲であるため、撹拌部材により円筒形状のスクリーンが損傷を受けることを防ぎ、撹拌部材によるスクリーンの目洗い作用に加え、前記円筒形状のスクリーンに淀む製紙原料に流動性を与えて処理能力の向上を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明の製紙用スクリーン装置の一実施例を図面を参照して説明する。
(実施例1)
図1乃至図4において、1は製紙用スクリーン装置で、製紙用スクリーン装置1は、例えば、製紙原料をスクリーンの内側から外側に向かって流入させて精選するスクリーンで、製紙原料から、塵、異物を除去するための円筒形状のスクリーン2が槽3内に設けられている。
【0012】
槽3は処理する製紙原料を貯留するところで、槽3には、製紙原料の入口部31、精選出口部32、異物出口部33を有する。また、入口部31は原料供給管(図示せず)に、精選出口部32は原料排出管(図示せず)に、異物出口部33は異物排出管(図示せず)に、それぞれ接続されている。なお、原料排出管(図示せず)より排出される精選された製紙原料は、他の工程へと導かれ、また、異物出口部33に接続された異物排出管(図示せず)の中途には異物排出管(図示せず)の通路を開閉する開閉弁(図示せず)が設けられている。
【0013】
上述した円筒形状のスクリーン2は、例えば、天井と底面を開放すると共に、外側面にスリット、丸孔等で形成された開口部21を有し、槽3内に設けられ、槽3内を一次室3Aと二次室3Bに区画している。なお、入口部31及び異物出口部33を一次室3Aに、精選出口部32を二次室3Bに、それぞれ臨ませるようになっている。
【0014】
また、4は撹拌部材で、撹拌部材4は、例えば、円筒形の側面に突起41を複数有し、円筒形状のスクリーン3の内側に位置する一次室3Aに設けられている。なお、撹拌部材4は、図示しないモータからの回転をベルト42、42を介して回転するようになっている。
【0015】
また、5は円筒形状のスクリーン2の側面に当接して円筒形状のスクリーン3が撹拌部材4に接触しない範囲で円筒形状のスクリーン3を振動させる振動部材で、6は振動を与える起振部(バイブレータ)である。振動部材5の先端は、図4に示すように、円筒形状のスクリーン2の側面に突出するように設けた中間突出部22に当接している。なお、場合により、中間突出部22を設けず、円筒形状のスクリーン2の側面に直接当接するようにしても良い。
【0016】
なお、円筒形状のスクリーン2の外周には、中間突出部22の他に、上方と下方に、それぞれ突出して設けられた突出部23、24(突出部23、24は、例えば、円筒形状のスクリーン2の外周に沿うように環状に設けられている。)がある。
この突出部23、24は、槽3内に設けられた支持部材7、8により支持され、この支持部材7と突出部23との間に振動吸収材9(振動吸収材9は、例えば、合成ゴム、合成樹脂、スプリング等である。)が、支持部材8と突出部24との間に振動吸収材10(振動吸収材10は、例えば、合成ゴム、合成樹脂、スプリング等である。)が、それぞれ介在している(図3参照)。
支持部材7は、槽3の内壁に接合された上部内壁支持部材71と、この上部内壁支持部材71に上第1ボルト72を介して接続されると共に、円筒形状のスクリーン2の側に突出部23を収納する断面逆L字収納部を有する上第1支持部材73と、この上第1支持部材73に下に位置し、下第1ボルト74を介して上第1支持部材73に接続される上第2支持部材75とを有している。
また、支持部材7の下に位置する支持部材8は、槽3の内壁に接合された下部内壁支持部材81と、この下部内壁支持部材81に載置されると共に、円筒形状のスクリーン2の側に突出部24を収納する断面L字収納部を有する下第1支持部材82と、この下第1支持部材82の上に位置し、ボルト83を介して接続される下第2支持部材84とを有している。
【0017】
従って、図1乃至図4記載の製紙用スクリーン装置1においては、ポンプ(図示せず)により製紙原料が原料供給管(図示せず)、入口部31を介して第1の室3Aに導入されると、円筒形状のスクリーン2の製紙原料流入側において、円筒形状のスクリーン2と、撹拌部材4の突起41による加圧・負圧の交互作用により、円筒形状のスクリーン2の目洗い作用に加え、円筒形状のスクリーン2は振動部材5により振動し、円筒形状のスクリーン2に淀む製紙原料に流動性を与えて処理能力の向上を図ることができる。
なお、振動部材5による円筒形状のスクリーン2の振動は円筒形状のスクリーン2が内側に位置する撹拌部材4の突起41に接触しない範囲としているため、撹拌部材4の突起41が円筒形状のスクリーン2に損傷を与えない。また、円筒形状のスクリーン2の振動は、振動吸収材9、10により槽3に伝達しないようにしている。
また、円筒形状のスクリーン2の間隙部21を通過した有用繊維は二次室3B内に導かれ、精選出口部32を介して槽3外へ導かれる。なお、異物出口部33に接続された異物排出管(図示せず)の開閉弁(図示せず)を適宜開くことにより、一次室3A内の異物を槽3外へ導くようになっている。
【0018】
(実施例2)
なお、上述した図1乃至図4記載の製紙用スクリーン装置1の振動部材5の振動は、水平方向によるものであったが、本願発明にあってはこれに限らず、例えば、図5乃至図7に示すように、円筒形状のスクリーン2を垂直方向に振動するようにしても良い。
この実施例にあっては、振動を与える起振部(バイブレータ)6が槽3の天井部に位置し、振動部材5が円筒形状のスクリーン2の上端面に当接している点を除けば、上述の実施例と同様であるので、本実施例においては、上述した図1乃至図4記載の製紙用スクリーン装置1と同一部分に同一符号を付してその説明を省略する。
なお、Sは槽3と振動部材5とのシールを図るシール部材で、11は合成ゴム、合成樹脂、スプリング等の振動吸収材である。
【0019】
(実施例3)
なお、上述した図1乃至図7記載の製紙用スクリーン装置は、製紙原料をスクリーンの内側から外側に向かって流入させて精選するスクリーンであったが、本願発明にあってはこれに限らず、例えば、図8及び図9に示すように、製紙原料をスクリーンの外側から内側に向かって流入させて精選するスクリーンについても、同様に適用して円筒形状のスクリーン2を振動するようにしても良い。
【0020】
即ち、製紙原料を貯留する槽3は、製紙原料の入口部31、精選出口部32、異物出口部33を有し、入口部31は原料供給管(図示せず)に、精選出口部32は原料排出管(図示せず)に、異物出口部33は異物排出管(図示せず)に、それぞれ接続されている。なお、原料排出管(図示せず)より排出される精選された製紙原料は、他の工程へと導かれ、また、異物出口部33に接続された異物排出管(図示せず)の中途には異物排出管(図示せず)の通路を開閉する開閉弁(図示せず)が設けられている。
【0021】
また、外側面にスリット、丸孔等で形成された開口部を有した円筒形状のスクリーン2は、槽3内に設けて槽3内を一次室3Aと二次室3Bに区画している。円筒形状のスクリーン2の天井面22は、閉塞しているが、底面は開放し、該底面は精選出口部32に連通するようになっている。
円筒形状のスクリーン2の外側に位置する撹拌部材4は、二次室3B内に設けられ、入口部31及び異物出口部33を二次室3Bに、精選出口部32を一次室3Aに、それぞれ臨む構成となっている。円筒形状のスクリーン2を振動させる振動部材5は、円筒形状のスクリーン2に当接して円筒形状のスクリーン2が撹拌部材4の攪拌部41に接触しない範囲で円筒形状のスクリーン2を振動(例えば、図8及び図9のように水平方向、又は図10に示すように垂直方向に振動させる。)させる。6は、上述の実施例と同様に、振動部材5に振動を与える起振部(バイブレータ)である。
【0022】
また、図9に示す23は、円筒形状のスクリーン2の下端であって、該下端に内方に向かって突出して設けられた内方突出部で、この内方突出部23は、槽3内に設けられた支持部材12に支持される。
支持部材12は、槽3の内壁に接合され、内方突出部23を収納する収納部位を有する下部内壁支持部材121と、この下部内壁支持部材の上に位置し、ボルト(図示せず)を介して接続される支持部材122とを有している。なお、14は、支持部材12と内方突出部23との間に介在する合成ゴム、合成樹脂、スプリング等の振動吸収材である。
また、本実施例においては、上述した図1乃至図4記載の製紙用スクリーン装置1と同一部分に同一符号を付してその説明を省略する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】図1は、本発明の一実施例の製紙用スクリーン装置の概略的断面図である。
【図2】図2は、図1の2−2線による概略的断面図である。
【図3】図3は、図1の一部を拡大して示す概略的一部拡大断面図である。
【図4】図4は、図1の一部を拡大して示す概略的一部拡大断面図である。
【図5】図5は、図1の他の実施例の製紙用スクリーン装置の概略的断面図である。
【図6】図6は、図5の6−6線による概略的断面図である。
【図7】図7は、図5の一部を拡大して示す概略的一部拡大断面図である。
【図8】図8は、図5の他の実施例の製紙用スクリーン装置の概略的断面図である。
【図9】図9は、図8の一部を拡大して示す概略的一部拡大断面図である。
【図10】図10は、図8の他の実施例の製紙用スクリーン装置の概略的断面図である。
【符号の説明】
【0024】
1 製紙用スクリーン装置
2 円筒形状のスクリーン
3 槽
3A 一次室
3B 二次室
4 撹拌部材
5 振動部材
21 開口部
31 入口部
32 精選出口部
33 異物出口部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
製紙原料の入口部、精選出口部、異物出口部を有すると共に、該製紙原料を貯留する槽と、
この槽内に設けて前記槽内を一次室と二次室に区画し、天井と底面を開放すると共に、外側面に開口部を有した円筒形状のスクリーンと、
この円筒形状のスクリーンの内側に位置する前記一次室に設けられた撹拌部材と、
前記円筒形状のスクリーンに当接して前記円筒形状のスクリーンが前記撹拌部材に接触しない範囲で前記円筒形状のスクリーンを振動させる振動部材とを備え、
前記入口部及び前記異物出口部を前記一次室に、前記精選出口部を前記二次室に臨ませた
ことを特徴とする製紙用スクリーン装置。
【請求項2】
円筒形状のスクリーンの外周に突出して設けられた突出部と、
槽内に設けられて、前記突出部を支持する支持部材と、
この支持部材と前記突出部との間に介在する振動吸収材とを備えている
ことを特徴とする請求項1記載の製紙用スクリーン装置。
【請求項3】
製紙原料の入口部、精選出口部、異物出口部を有すると共に、該製紙原料を貯留する槽と、
この槽内に設けて前記槽内を一次室と二次室に区画し、閉塞した天井面と開放した底面を備えると共に、外側面に開口部を有した円筒形状のスクリーンと、
この円筒形状のスクリーンの外側に位置する前記二次室内に設けられた撹拌部材と、
前記円筒形状のスクリーンに当接して前記円筒形状のスクリーンが前記撹拌部材に接触しない範囲で前記円筒形状のスクリーンを振動させる振動部材とを備え、
前記入口部及び前記異物出口部を前記二次室に、前記精選出口部を前記一次室に臨ませた
ことを特徴とする製紙用スクリーン装置。
【請求項4】
円筒形状のスクリーンの下端であって、該下端に内方に向かって突出して設けられた内方突出部と、
槽内に設けられて、前記内方突出部を支持する支持部材と、
この支持部材と前記内方突出部との間に介在する振動吸収材とを備えている
ことを特徴とする請求項3記載の製紙用スクリーン装置。
【請求項1】
製紙原料の入口部、精選出口部、異物出口部を有すると共に、該製紙原料を貯留する槽と、
この槽内に設けて前記槽内を一次室と二次室に区画し、天井と底面を開放すると共に、外側面に開口部を有した円筒形状のスクリーンと、
この円筒形状のスクリーンの内側に位置する前記一次室に設けられた撹拌部材と、
前記円筒形状のスクリーンに当接して前記円筒形状のスクリーンが前記撹拌部材に接触しない範囲で前記円筒形状のスクリーンを振動させる振動部材とを備え、
前記入口部及び前記異物出口部を前記一次室に、前記精選出口部を前記二次室に臨ませた
ことを特徴とする製紙用スクリーン装置。
【請求項2】
円筒形状のスクリーンの外周に突出して設けられた突出部と、
槽内に設けられて、前記突出部を支持する支持部材と、
この支持部材と前記突出部との間に介在する振動吸収材とを備えている
ことを特徴とする請求項1記載の製紙用スクリーン装置。
【請求項3】
製紙原料の入口部、精選出口部、異物出口部を有すると共に、該製紙原料を貯留する槽と、
この槽内に設けて前記槽内を一次室と二次室に区画し、閉塞した天井面と開放した底面を備えると共に、外側面に開口部を有した円筒形状のスクリーンと、
この円筒形状のスクリーンの外側に位置する前記二次室内に設けられた撹拌部材と、
前記円筒形状のスクリーンに当接して前記円筒形状のスクリーンが前記撹拌部材に接触しない範囲で前記円筒形状のスクリーンを振動させる振動部材とを備え、
前記入口部及び前記異物出口部を前記二次室に、前記精選出口部を前記一次室に臨ませた
ことを特徴とする製紙用スクリーン装置。
【請求項4】
円筒形状のスクリーンの下端であって、該下端に内方に向かって突出して設けられた内方突出部と、
槽内に設けられて、前記内方突出部を支持する支持部材と、
この支持部材と前記内方突出部との間に介在する振動吸収材とを備えている
ことを特徴とする請求項3記載の製紙用スクリーン装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【公開番号】特開2008−223151(P2008−223151A)
【公開日】平成20年9月25日(2008.9.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−58555(P2007−58555)
【出願日】平成19年3月8日(2007.3.8)
【出願人】(000202235)相川鉄工株式会社 (18)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年9月25日(2008.9.25)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年3月8日(2007.3.8)
【出願人】(000202235)相川鉄工株式会社 (18)
【Fターム(参考)】
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