説明

製鋼所においてカットトゥレングス棒鋼を生産する方法及び装置

【課題】連続する圧延作業のライン内で、任意の特定長さの棒鋼の束を生産するための方法及び装置を提供する。
【解決手段】顧客オーダに応じた長さに切断される棒鋼を生産する方法であって、圧延装置11によって連続した長さの棒鋼12を生産し、前記圧延装置11によって前記連続した長さの棒鋼12を生産しつつ、前記顧客オーダの棒鋼長さに等しい長さに前記連続した長さの棒鋼12を切断し、そして切断された棒鋼14を受けかつ結束するべく配置された2つのバンドリング・ステーション24a,24bの内の1つを使用し、前記圧延装置11から排出される、前記顧客オーダの長さの棒鋼14を結束する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に連続した作動において“カットトゥレングス”となる棒鋼の束を生産する方法及び装置に関する。
【0002】
より詳しくは、本発明は顧客オーダでありかつ特定長さを有するような束を生産することに関する。
【背景技術】
【0003】
鉄筋コンクリート用鋼であるにせよ特殊鋼であるにせよ、全ての棒鋼はビジネスモデルにおいて基本的な欠点を有する。即ち、それらは全て一次産品ではあるが、それらを生産するための鉄鋼圧延装置の設置には相当額の設備投資を要することになる。本発明は、そのビジネスの“一次産品”としての本来の性質を“マス・カスタマイゼーション”ビジネスに転換し、そのプロセスの多くの価値を獲得することになる。本発明により、インラインで圧延装置に“カットトゥレングス”棒鋼を生産させることになり、同時に、エンドロスを実質上削減することになる。それは、最小限の追加出資をもって如何なる既存の圧延機にも組み入れることが可能である。
【0004】
棒鋼は、12m、15m或いは18mの“標準の長さ”、及び同じサイズの棒鋼に対しては通常、2トンの束となる“標準束重量”で供給される。鉄筋コンクリート用棒鋼の場合、特定のカラム、ビーム又は床スラブ用建造物の設計に従い、棒鋼は更に短い長さに切断されなければならない。これらの短い特定長さは通常、どんな標準長さの倍数となるようにとは設計されないため、結果としては切断に伴ってエンドロスを生じる。このような“カットトゥレングス”作業は通常、工事現場或いは工事現場から離れた“カットアンドベンド”ヤードで実行される。この“カットアンドベンド”作業では、最適化プログラムによる最良のコンピュータでさえ、棒鋼端部において5%のロスを想定することが通常である。この5%という値は建築プロジェクトにおいては多大なものであり、特に昨今の棒鋼高値の状況ではなおさらである。
【0005】
船舶やトラックの貨物倉のサイズを最大限活用するために、12m、15m及び18mの標準長さが選択される一方で、標準的な束重量も又、船舶やトラックのリフティング装置の能力を最適化するのに役立っている。
【0006】
鋼片が再熱炉から出た際に、インラインで、1つの鋼片のテールエンドが次の鋼片のフロントエンドに溶接されるといったような、熱間鋼片の“フラッシュ溶接”と呼ばれる既存の技術がある。そのような作業では、いかなる端部を生じない棒鋼の連続圧延が可能になるであろうし、これは連続鋳造機における“連々鋳”に類似するものである。このエンドレス圧延処理の主たる目的は、圧延装置における先頭部とテール部の切断部分と冷却床における短い端部のロスを最小限に抑えることにある。冷却床に入る前にかなり高精度の最新フライングシャーを用いてこのフラッシュ溶接処理をすると、冷却床上では120mの長い棒鋼に対し一貫して+50/−00mmの精度を達成することができる。これは、2.5%の工業基準に対し約0.05%のエンドロスである。
【0007】
フラッシュ溶接処理は鋼片の溶接接合部の各々において温度上昇を生む。圧化/幅広がり特性の温度依存性により、鋼片の他の部分よりも高温の接合部は、幅広がりよりも多くの延びを持つことになり、結果として完成品としての基準面積よりも小さい断面の“ネッキング”を生じてしまう。このことは、接合部の面積がスチール標準で規定される最小面積よりも下回る可能性があることを意味している。特許文献1は、そのようなネッキングのかかる影響を取り除く方法を教示している。実際の作業では、棒鋼の寸法をモニタリングするために圧延ラインにゲージはセットされたが、結果は、この方法によりフラッシュ溶接接合部を含む棒鋼の全長に亘って均等な断面積を維持できたことを示している。
【0008】
フラッシュ溶接と溶接接合部における均一断面に伴い、“インライン・カットトゥレングス”棒鋼がロスなく圧延装置によって生産される。棒鋼は通常、12m(40フィート)長の150mm(6インチ)正方形の鋼片から圧延される。これらの鋼片は、50mm(2インチ)から10mm([3/8]インチ)まで様々な直径を持った仕上げ鋼棒へと圧延されることになる。鋼片の開始重量には限界があるために、それは、各径につき様々な仕上げ長さを持った棒鋼で終わることになる。鋼片の各ピースから作られる棒鋼の全長は、厳密には12m(40フィート)の公称仕上げ棒鋼長の倍数とはならず、エンドロスを生じることになる。これは通常2.5%である。上述したようなエンドレス圧延によって、鋼片は端部同士を接続した状態で溶接されて連続した無限のピースを成し、そこにはエンドロスが生じなくなる。
【0009】
棒鋼標準規格BS4449又はASTM 615の仕様書では、それが棒鋼強度を低下させないという条件付きで寸法公差が許容されている。典型例としては、BS4449(2005)の許容寸法公差はプラス・マイナス4.5%である。目標は、棒鋼強度に影響を与えることなく公称直径でマイナス3%の棒鋼、即ち軽量な棒鋼をターゲットとすることにある。単一鋼片圧延によって、仕上げ棒鋼直径をマイナス3%にすることは同じ3%分だけより長い末端部を成すことになる。これは結果としては無駄になる。鋼片を溶接することのエンドレス圧延では、より長い末端部は次に来る鋼片の一部となり、よってこのマイナス3%は使用可能な鋼として完全復帰し無駄にはならない。
【0010】
船舶輸送又はトラック輸送のため、このような仕上げ鋼棒は通常、12m(40フィート)、15m(50フィート)或いは18m(60フィート)の長さに切断される。異なる長さのカラム、ビーム或いはスラブにより、建築現場での実際の長さ要件は必ずしも12m、15m或いは18mとはならない。これらの棒鋼は別個の作業で切断されなければならない。特定の棒鋼長さに対する切断の典型的なエンドロスは5%である。
【0011】
“カットトゥレングス”棒鋼製造工程及び装置の例は特許文献2において知られている。この文献では、連続して圧延された長さの棒鋼を連続したセグメントであって、それぞれが顧客オーダの棒鋼長さの倍数の長さを有するセグメントに切断し、次いで前記セグメントを最初に顧客オーダの棒鋼長さの2倍の長さに切断し、次いで顧客オーダの棒鋼長さに等しい長さへと等分する処理工程が記述されている。そして“カットトゥレングス”棒鋼は圧延装置から排出するべく束ねられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】米国特許第6,929,167号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第2011/036137号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明の目的は、連続する圧延作業のライン内で、任意の特定長さの棒鋼の束を生産するための方法及び装置を提供することにある。
【0014】
本発明の更なる目的は、そのような方法と装置により、通常ならば連続する作業操作を中断してしまうような短い長さの棒鋼からなる束を連続して生産可能にすることにある。
【0015】
本発明の特定の目的としては、インラインでかつ圧延速度に影響を与えることなく、顧客オーダに従って“カットトゥレングス”の短いピースを生産することができる方法と装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
1つの特徴として、本発明は、顧客オーダに応じた長さに切断される棒鋼を生産する方法であって、圧延装置によって連続した長さの棒鋼を生産する段階と、前記圧延装置によって前記連続した長さの棒鋼を生産しつつ、前記顧客オーダの棒鋼長さに等しい長さに前記連続した長さの棒鋼を切断する段階と、切断された棒鋼を受けかつ結束するべく配置された2つのバンドリング・ステーションの内の1つを使用し、前記圧延装置から排出される、前記顧客オーダの長さの棒鋼を結束する段階とを有することを特徴とする方法を提供する。
【0017】
本願発明者は、連続して圧延される棒鋼を切断する長さが短くなるため、結束されることになる個々の棒鋼の生産率が増加することに認識した。しかしながら、このことは、特に所望の長さが標準的長さよりも短い場合には、この個々の棒鋼生産における増加によって障害が生じることにもなる。その結果、生産率を更に増加することはできず、連続圧延“カットトゥレングス”棒鋼生産法は、連続した長さの棒鋼の生産率(圧延機の生産性を低めることになる)を減じることなしに短い棒鋼の生産には使用できない。しかしながら本発明においては、棒鋼を束ねて圧延装置から排出することで“カットトゥレングス”棒鋼を処理するにあたって多重の経路を提供することで、棒鋼の生産性や生産効率を増加することができ、更に連続圧延工程において短い棒鋼、特に標準長さよりも短かくなるような短い“カットトゥレングス”棒鋼を迅速に生産することが可能となる。
【0018】
もう1つの特徴として、本発明は顧客オーダに応じた長さに切断される棒鋼を生産するための装置であって、連続した長さの棒鋼を生産する圧延装置と、せん断手段であって該せん断手段を作動するように構成されたCPUに結合されて、前記連続した長さの棒鋼の生産に合せて、前記顧客オーダ長さに切断された棒鋼を生産する前記せん断手段と、前記冷間シャーからの切断棒鋼を受けるべく配置され、顧客オーダ長さの棒鋼束を生産する、少なくとも2つのバンドリング・ステーションと、を有することを特徴とする装置を提供する。
【0019】
本願の請求項は、本発明の上記特徴による好ましい実施形態を規定する従属請求項を含む。
【0020】
以下の詳細な記述は、添付図面を参照し、発明の模範的な実施形態を詳しく説明するものである。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】圧延された棒鋼が特定長さの束へと切断され、2つのバンドリング・ステーションで結束されるような製鋼所の部分的概略図である。
【図2】“カットトゥレングス”の束を形成する作業を制御する中央処理装置(CPU)を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図1には、圧延棒鋼12が一定の高い速度で連続して排出される圧延装置11の出口端10が示されている。この圧延棒鋼12は、前後に結合した連続の鋼片から転造されかつ圧延装置によって熱間圧延されたものである。その圧延装置の端部10の下流側にあるのがフライングシャー13であり、同フライングシャーは中央処理装置(CPU)によって作動されてその上で棒鋼12を切断し、ローラーテーブル16のローラ15上に載せ置かれる所定長さの切断棒鋼14を成すものである。
【0023】
先に説明したように、現在の圧延機構造では高い圧延速度で実現可能な最適な長さというものがあるため、現在の操業は約120mの長さの圧延機の端部で棒鋼を生産することに限られている。
【0024】
本発明は、生産率を減じることなく特定任意の短い長さをつくることを可能にすると共に、特に、現場で必要とされる長さに対応した顧客オーダに対し、棒鋼の長さを切断することを可能にすることで、現場で生産切断することの必要性ばかりか、現場で生じる端部切りくずを完全に排除するものである。これに関しては、後でより十分に説明する。その後、切断棒鋼14は、側方に変位して冷却床16にある切欠き内へと移動され、冷却される。棒鋼14は、切欠きから切欠きへと最後の切欠きに到るまで段階的に進行し、最後の切欠きにおいて冷却され、シャッフル装置SDに向けていつでも側方に変位される状態に置かれ、シャッフル装置では所定数(例えば、10本程度)の棒鋼が収集されると共に、1バッチの棒鋼14の層として形成される。
【0025】
冷却床及びシャッフル装置の構造及び作動は従来同様であるため、ここでは詳細に記述されない。
【0026】
次いで、シャッフル装置上の棒鋼14のバッチは、シャッフル装置SDに隣接配置されるローラーテーブル17上に向けて側方移動される。ローラーテーブル17は、バッチがローラーテーブル17上で前進された方向とは逆に棒鋼14のバッチを進めるように駆動されるローラ18を有している。
【0027】
生産率を保持すると共に短い“カットトゥレングス”切断品を作るために、2つの冷間シャー19、20と夫々の可動ゲージ21、22がローラーテーブル17に沿って順に置かれ、棒鋼14を所望長さに切断する。冷間シャーはサイズが大きく1000トン以上の力を発生し、それらは頑丈な基礎に固定した状態で据え付けられる。2つの冷間シャーは最大の計画“カットトゥレングス”サイズのものを取り扱うために20mの間隔を隔てて固定される。具体的には、棒鋼14はゲージ21によって制御されて停止位置へと移動され、停止位置では冷間シャー19は、所望された“カットトゥレングス”ピースの長さの2倍に等しい量の距離をもって棒鋼の端部から隔てられる。切断されたピースはゲージ22に向かって前進し、その位置において冷間シャー20がピースを等分し、最終的な所望長さへと切断する。冷間シャー19、20の双方が棒鋼を切断することで所望切断長さに等しいピース23が得られる。可動ゲージ21、22を設けたことにより、切断対象となるピースの長さを変更するべく、冷間シャーによる棒鋼14の切断位置の調整が可能となる。この棒鋼のダブル切断により、生産率を維持することができる。また、その後のバッチのため切断ピースの長さを変更する際には、可動ゲージが所望の新規長さに対応して調整される。
【0028】
“カットトゥレングス”ピースは次いで、2つの圧延コンベアの1つを経由して側方に移動され、2つのバンドリング・ステーション24a、24bの内の一方に送られ、そこでピース23は束ねられ、出荷の準備が行われる。冷間シャー20の第1の側から切断された棒鋼はバンドリング・ステーション24aに送られる一方で、冷間シャー20の第2の側から切断された棒鋼はバンドリング・ステーション24bに送られる。
【0029】
バンドリング・ステーション24a、24bの夫々は、その上に切断されたピース23を載せ置くローラーテーブル25a、25bを備える。ピース23は従来のコレクタ26a、26b内に進み、そこにはローラが、円形の束へと各ピースを集めるために主に円形の配列で配置されている。
【0030】
切断されたピースの束を括るため、それらが短い長さ、即ち実質的に12m以下であって、例えば8m以下の長さを有する場合、隔置された3つの「括り」が必要となる。また、短いピースの長さが新たな顧客オーダに従って変わる場合には、それに応じて括り同士の隔たりやピッチも変わらなければならない。更に、発明によれば、その結束作業は圧延速度に追随して1回の停止で実行される。通常、2つの端部括りは束の端部から所定距離をおいてなされ、中央の括りはそれらの中間でなされる。収集されたピースは夫々隔てられた3つの従来結束機27a、27b、28a、28b、29a、29b内へと送り込まれ、結束機は、適当に隔てられた位置の括り30、31、32でピースの束を括る。括り30、31、32は同時に作られ、次いで束はバンドリング・ステーション24a、24bから各ローラーコンベア25a、25bを経て進行し、圧延機から排出される。
【0031】
本発明によれば、切断ピースの長さが変わった際に、間隔を調整するべく即座に結束機が調整されるように第2、第3の結束機28a、28b、29a、29bは可動支持される。これにより、切断された棒鋼がバンドリング・ステーションに沿って移動するにあたって必要とされる切断棒鋼の搬送時間を削減することができる。可動なる結束機28a、28b、29a、29bは、結束機の位置を制御するためCPUに接続された各油圧シリンダ33a、33b、34a、34bに駆動連結される。
【0032】
バンドリング・ステーション24a、24bは、同時に“カットトゥレングス”棒鋼23からなる別個の束を束ねる。
【0033】
本発明は、建築現場に必要な特定の短い長さに切断を供給することができ、既存の技術に関連する損失の全てを回復するのを可能ならしめ、同時に、圧延機の生産性をスローダウンさせない。
【0034】
本発明においてキーとなる要素は、鋼片の投入に加え、以下の要素を制御するCPUである。
a)フライングシャー13
b)レーキ・シャッフル棒
c)ローラーテーブル17
d)ローラーテーブル25
e)冷間シャー19、20
f)ゲージストッパ21、22
g)結束機27a、27b、28a、28b、29a、29b
h)油圧シリンダ33a、33b、34a、34b
【0035】

以下の例をもって、“カットトゥレングス”棒鋼を得るための圧延機の作動を詳細に説明する。
【0036】
各鋼片の重量は再加熱炉投入時、記録される。これらの投入重量は最終製品重量と比較され、そのシフトに対する材料損失を獲得することになり、それは主として酸化ロスとなる。前述したように、フラッシュ溶接工程を採用したためフロントエンドでのクロップロスは最小となり、かつ後処理でのクロップロスは皆無となる。
【0037】
フライングシャー13のコマンドとして、オペレータにより、圧延される特定サイズの棒鋼のオーダに従い、正確な数と正確な特定長さが入力される。
【0038】
従来法の場合、仮に6.4mの棒鋼オーダに対して標準的長さ12mの材料を切断する場合、結果としては6.4mの棒鋼と5.6mのショートピースが生じることになる。
【0039】
もし仮に6.4mの棒鋼オーダに対して標準的長さ15mの材料を切断する場合、6.4mの棒鋼が2本、2.2mのショートピースが生じることになる。
【0040】
仮に標準的長さ18mの材料を切断する場合、5.2mのショートピースを伴って2本の6.4m棒鋼ができることになる。
【0041】
これらの長さ不足品は通常、建築プロジェクトの別の場所の側に保管されるが、その部分はこれら切れ端の長さより短い切れ端を要求するもしれないし、さもなければスクラップとして廃棄されることになる。ともかくも、これら選択肢の全ては好ましいものとはいえない。
【0042】
本発明の場合、最終製品の特定の長さの倍数としての“カットトゥレングス”を生産するべく、オペレータはフライングシャー13に対し、CPUシーケンスのプログラマブル論理をセットすることになる。典型的な冷却床が120m長の棒鋼を受けることができるとすると、CPUでのプログラマブル論理により、オペレータはフライングシャーに対し、6.4mの18倍となる115.2mの長さに切断するようセットすることになる。仮にオーダが6.4m×500本であれば、セッティングは、89.6mの最終切断を伴い、27回の115.2m切断となり、全長として3,200m、又は6.4m×500本を製造することになる。
【0043】
冷却床へのコマンド信号は、このバッチを次のバッチから分離するための89.6mの最終切断後、2段で動くことになる。
【0044】
次のオーダが5.2mであれば、オペレータは109.2mと入力することになり、それは、先の6.4mのバッチに続いて21本の5.2mを製造することになる。例えば400本×5.2mのオーダならば、109.2mの切断回数は18となり、114.4mの最終切断を伴うことになる。このオーダの全長は、最終長さ5.2m×400本で2,080mである。又、冷却床の2段運動によって、この新規のバッチを次のバッチからを分けることになる。他のどの特定長さに対しても、いかなる量の同一サイズ棒鋼に対しても同じプロセスが繰り返されることになる。
【0045】
棒鋼の各バッチがレーキ動作とシャッフル棒によって冷却床16を去る際には、棒鋼バッチは、従来からの方法によりローラーテーブル17に向けて側方シャッフルされることになる。各バッチは別個に冷間シャー19、20へと搬送され、オーダ長さへと最終切断されることになる。この場合、最初のバッチは6.4mの最終切断長さに対し、89.6mの最終ピースを伴った115.2mとなり、2番目のバッチは5.2mの最終切断長さに対し、114.4mの最終ピースを伴った109.2mとなる。冷間シャーの切断能力により、同じバッチ長さからどのくらいの数の棒鋼が切断毎に提供されるかが決定されることになる。冷却床へ走る各棒鋼の末端が冷間シャーとは反対方向に走行しているため、フライングシャー13によって手際よく切断されたこれら末端には、冷間シャーによる上部トリミングが要らなくなるということは注目に価することである。このことは付加的な材料節約に貢献する。
【0046】
そのような短い棒鋼の切断に対し圧延機の圧延能力を維持するために2つの固定型インライン冷間シャー19、20が利用される。各冷間シャーは夫々可動ゲージストッパ21、22を有することになる。本例では、1番目のゲージストッパ21は、2×6.4 mの12.8mでセットされ、切断された棒鋼は6.4mにセットされた次のゲージストッパ24へと移動され、第2冷間シャーによって6.4mに切断される。特定長さの各バッチが完成した後は、ゲージストッパ21、22はCPUからの信号によって、次に要求された長さへと自動的に移動され、そこでロックされることになる。本例では、最初のゲージストッパ21は、2×5.2mの10.4mの位置へと移動され、片や第2のゲージストッパ22は5.2mの位置へと移動されることになる。
【0047】
夫々の特定長さを持つ棒鋼は別々に集められ、2つのバンドリング・ステーション24a、24bの内の一方を使用し、取り扱いに便利な束重量の束へと結束されることになる。CPUのプログラマブル論理での追加のコマンドがインラインの結束機27a、27b、28a、28b、29a、29bに送られ、結果として、短い棒鋼長さに沿って適当に距離を隔てた位置に「括り」が作られることになる。「括り」に対し適当なピッチを設定し、全ての「括り」を同時に作ることができ、そして従来からあるバンドリング・ステーションに沿って移動を余儀なくされる短い棒鋼に必要な搬送時間を減じるように、第2、第3結束機28a、28b、29a、29bは移動可能であり、かつ第1結束機27a、27bは固定される。括られた束は各ローラーコンベア25a、25bを経由して各バンドリング・ステーション24a、24bを去る。結束された夫々の束は計量され、更に契約番号、サイズ、長さ、ピース数、及びベンディング・スケジュールを特定する適切なバーコード・ラベルが付けられる。
【0048】
個別の作業では、特定長さのこれらの束は圧延機の近くのベンディング・ヤードへと搬送される。このベンディング・ヤードは、ベンディング棒鋼スケジュールに対し各棒鋼に必要とされる曲げを成すことになる。そして、これら切断かつ曲げられた棒鋼は、様々なビーム、カラム、スラブに装着するべく建設現場に配達される準備がなされることになる。
【0049】
全体としては、本発明の圧延作業によって、従来の製造ロスの10%もが節約でき、顧客に対しては追加コストなしで特定数の“カットトゥレングス”棒鋼を提供できるはずである。
【0050】
以上、開示された実施形態を参照して本発明を説明してきたが、請求項に規定されたように、当業者には本発明の範囲内で様々な改良や変更が可能であることが明らかになるであろう。
【符号の説明】
【0051】
10 圧延装置11の出口端
11 圧延装置
12 圧延棒鋼
13 フライングシャー
14 切断棒鋼
15 ローラーテーブル16のローラ
16 冷却床、ローラーテーブル
17 ローラーテーブル
18 ローラ
19 冷間シャー
20 冷間シャー
21 可動ゲージ、ゲージストッパ
22 可動ゲージ、ゲージストッパ
23 ピース
24 ゲージストッパ
24a バンドリング・ステーション
24b バンドリング・ステーション
25a ローラーテーブル、ローラーコンベア
25b ローラーテーブル、ローラーコンベア
26a コレクタ
26b コレクタ
27a 結束機
27b 結束機
28a 結束機
28b 結束機
29a 結束機
29b 結束機
30 位置の括り
31 位置の括り
32 位置の括り
33a 油圧シリンダ
33b 油圧シリンダ
34a 油圧シリンダ
34b 油圧シリンダ
SD シャッフル装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
顧客オーダに応じ、カットトゥレングスである棒鋼を生産する方法において、
圧延装置によって連続した長さの棒鋼を生産する段階と、
前記圧延装置によって前記連続した長さの棒鋼を生産しつつ、前記顧客オーダの棒鋼長さに等しい長さに前記連続した長さの棒鋼を切断する段階と、
切断された棒鋼を受けかつ結束するべく配置された2つのバンドリング・ステーションの内の1つを使用し、前記圧延装置から排出される、前記顧客オーダの長さの棒鋼を結束する段階とを有することを特徴とする方法。
【請求項2】
更に、前記顧客オーダ長さの棒鋼を結束するのと同時に2つのバンドリング・ステーションを運転し、前記圧延装置から排出する段階を有することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記バンドリング・ステーションの少なくとも一方は複数のバンドリング機を有すると共に、前記顧客オーダ長さの棒鋼が入力されて結束される前記バンドリング・ステーションの端部に最も近いバンドリング機は、顧客オーダの棒鋼長さに関係なく軸方向に静止した状態であることを特徴とする請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記バンドリング・ステーションにあるその他のバンドリング機の少なくとも1つは軸方向に可動であることを特徴とする請求項3に記載の方法。
【請求項5】
更に、前記顧客オーダの棒鋼長さの変化に応じて、前記可動バンドリング機の軸方向位置を動かす段階を有することを特徴とする請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記顧客オーダ長さの棒鋼は、第1及び第2の搬送手段により第1及び第2のバンドリング・ステーションに送られるか、或いは第1及び第2の搬送手段により第1及び第2のバンドリング・ステーションから除去されるか、或いはその双方が行われることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記圧延装置によって前記連続した長さの棒鋼を生産しつつ、前記顧客オーダの棒鋼長さに等しい長さに前記連続した長さの棒鋼を切断する段階は、
前記連続した長さの棒鋼を、夫々が顧客オーダの棒鋼長さの倍数となるような連続したセグメントに切断する段階と、
インライン冷間シャーにおいて前記セグメントを、最初、顧客オーダの棒鋼長さの2倍の長さに切断し、次いで顧客オーダの棒鋼長さに等しい長さに二等分する段階とを有することを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
最終切断後、前記インライン冷間シャーの第1の側にある顧客オーダ長さの棒鋼は第1のバンドリング・ステーションに搬送されると共に、最終切断後、前記インライン冷間シャーの前記第1の側と反対側に位置するインライン冷間シャーの第2の側にある顧客オーダ長さの棒鋼は第2のバンドリング・ステーションに搬送されることを特徴とする請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記圧延装置から排出されるため前記顧客オーダ長さの結束棒鋼は、切断された棒鋼を受けかつ結束するために配置された2つ以上のバンドリング・ステーションの内の1つを使用することを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
顧客オーダに応じ、カットトゥレングスである棒鋼を生産するための装置であって、
連続した長さの棒鋼を生産する圧延装置と、
せん断手段であって、該せん断手段を作動するように構成されたCPUに結合されて、前記連続した長さの棒鋼の生産に合せて、前記顧客オーダ長さに切断された棒鋼を生産する前記せん断手段と、
前記せん断手段ーからの切断棒鋼を受けるべく配置され、顧客オーダ長さの棒鋼の束を生産する、少なくとも2つのバンドリング・ステーションと、を有することを特徴とする装置。
【請求項11】
前記バンドリング・ステーションの少なくとも1つは複数のバンドリング機を有すると共に、前記顧客オーダ長さの棒鋼が入力されて結束される前記バンドリング・ステーションの端部に最も近いバンドリング機は、使用時、顧客オーダの棒鋼長さに関係なく軸方向に静止した状態であることを特徴とする請求項10に記載の装置。
【請求項12】
前記バンドリング・ステーションにあるその他のバンドリング機の少なくとも1つは軸方向に可動であることを特徴とする請求項11に記載の装置。
【請求項13】
前記可動なバンドリング機はCPUに接続されて、前記顧客オーダの棒鋼長さの変化に応じて移動することを特徴とする請求項12に記載の装置。
【請求項14】
更に、前記顧客オーダ長さの棒鋼を第1及び第2のバンドリング・ステーションに送るべく配置された第1及び第2の搬送手段を有するか、或いは棒鋼を第1及び第2のバンドリング・ステーションから除去するべく配置された第1及び第2の搬送手段を有するか、或いはそれら双方を有することを特徴とする請求項10〜13のいずれか一項に記載の装置。
【請求項15】
前記冷間シャーからの切断棒鋼を受けるべく配置され、顧客オーダ長さの棒鋼の束を生産する、少なくとも2つのバンドリング・ステーションを有することを特徴とする請求項10〜14のいずれか一項に記載の装置。
【請求項16】
前記せん断手段は、
前記圧延装置の出口端に設けられたフライングシャーと、
前記フライングシャーに接続され、夫々が顧客オーダ長さの棒鋼の長さの倍数となるような長さに前記連続した長さの棒鋼を切断する前記CPUと、
前記長さの棒鋼が連続して送られる2つのインライン冷間シャーとを有し、
前記冷間シャーは夫々、調整可能なゲージストッパを有し、
前記冷間シャーと前記ゲージストッパは、一方の冷間シャーが前記長さの棒鋼を顧客オーダの棒鋼長さの2倍に等しいピースに切断し、他方の冷間シャーが切断された前記ピースを等分に切断し、顧客オーダ長さに切断された棒鋼を生産するように、前記冷間シャーを位置決め及び作動させる前記CPUに接続されることを特徴とする請求項10〜15のいずれか一項に記載の装置。
【請求項17】
前記装置は、最終切断後、前記インライン冷間シャーの第1の側にある顧客オーダ長さの棒鋼が第1のバンドリング・ステーションに搬送されると共に、最終切断後、前記第1の側と反対側に位置するインライン冷間シャーの第2の側にある顧客オーダ長さの棒鋼が第2のバンドリング・ステーションに搬送されるように構成されることを特徴とする請求項16に記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2013−82002(P2013−82002A)
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−107758(P2012−107758)
【出願日】平成24年5月9日(2012.5.9)
【出願人】(512120786)
【Fターム(参考)】