説明

複写機能付き情報保護媒体

【課題】記入の煩わしさが解消でき、申込みが安価に行え、媒体自体のコストも抑えた複写機能付き情報保護媒体を提供する。
【解決手段】複写片付き申込媒体(複写機能付き情報保護媒体)10は、複写基材部11と、隠蔽シート12と、再剥離再貼付糊13と、保護シート14などとを備え、複写基材部11は、2枚のシート状基材11T、11Bが積層され、上側のシート状基材(ノーカーボントップ紙)11Tに記入した情報を下側のシート状基材(ノーカーボンボトム紙)11Bに複写する複写構造(発色剤、顕色剤)を有するものであり、隠蔽シート12は、上側のシート状基材11Tに記入した情報を隠蔽するものであり、再剥離再貼付糊13は、隠蔽シート12の裏面の周縁部にコの字状に設けられ、使用時に、下側のシート状基材11Bと隠蔽シート12とを貼り合わせて封緘するものであり、保護シート14は、再剥離再貼付糊13を使用時まで保護するものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、申込書などに好適に使用できる複写機能付き情報保護媒体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
2005年4月1日より、個人情報保護法が完全施行され、様々な申込ハガキについて個人情報記入欄を隠蔽する形態が利用されてきている(例えば、特許文献1)。
また、利用者の利便性を向上させるため、公共料金支払などにもカード払いを可能とする事例が増えつつある。
公共料金をカード払いにすることによって、利用者にとっては、分割払いが可能になったり、ショッピング金額に応じて付与されるポイントやマイルが貯まったりするメリットが生まれ、公共事業者にとっては、未収金回収業務から解放されるメリットがある。
【0003】
カード払いにするためには、利用者に申込みを行ってもらわなければならず、当然、申込時には、例えば、ガス会社や電力会社であれば契約者番号を伝えたり、水道会社であれば住所を明記したりしてもらう必要がある。
そして、申込みにあたっては、一度に電気、ガス、水道すべてを申込む場合もあれば、電気だけ、ガスだけ、といった場合もある。
【0004】
カード会社では、通常は、月次で請求書を送っており、ほとんどの場合、会報誌やDMを同封した「封書」で送られる。
当然、上述した申込ハガキも、請求書に同封されることが前提となるが、前述した数社分の申込書をすべて同封する場合、以下のような問題がある。
【0005】
(1)隠蔽ラベル付きハガキを、例えば、3社分すべて同封しようとすると、請求書に同封することが困難になる。この理由は、(a)封入機に封入点数制限があること、(b)重量増により請求書送付時の郵券代が上昇してしまうこと(定形封書の場合、25gまで¥80、50gまで¥90)、(c)それぞれ返送されると申込時の郵券代が上昇してしまうこと、などといったものによる。
【0006】
(2)1枚のハガキの中に2、3社分を封入すると手間がかかる。この理由は、(a)カード会社から各公共事業者に申込書のコピーを送るのが一般的だが、3社一括した申込書の場合、個人情報保護を勘案すると残り2社分の個人情報を隠蔽して送る必要があること、(b)スペースが小さくなり、書きにくく、読みにくいこと、(c)公共事業者ごとに住所・氏名・電話番号などの記入が必要であり面倒であること、などといったものによる。
【0007】
言うまでもなく、ハガキのみ3社分を用意し、隠蔽ラベルを1枚に減らせば、重量規制の問題は解消する可能性もあるが、やはり、3社分は申込みできなくなる。
【特許文献1】特開2001−130175号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の課題は、記入の煩わしさが解消でき、申込みが安価に行え、媒体自体のコストも抑えた複写機能付き情報保護媒体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、以下のような解決手段により、前記課題を解決する。なお、理解を容易にするために、本発明の実施例に対応する符号を付して説明するが、これに限定されるものではない。
請求項1の発明は、複数のシート状基材(11T、11B)が積層され、上側のシート状基材(11T)に記入した情報を下側のシート状基材(11B)に複写する複写構造を有する複写基材部(11)と、少なくとも前記記入した情報を隠蔽する隠蔽シート(12)と、前記複写基材部(11)と前記隠蔽シート(12)とを貼り合わせて封緘する封緘手段と、を備える複写機能付き情報保護媒体である。
請求項2の発明は、請求項1に記載の複写機能付き情報保護媒体において、前記封緘手段は、再剥離再貼付粘着剤層(13)であること、を特徴とする複写機能付き情報保護媒体である。
請求項3の発明は、請求項2に記載の複写機能付き情報保護媒体において、前記再剥離再貼付粘着剤層(13)を使用時まで保護する保護シート(14)を備えること、を特徴とする複写機能付き情報保護媒体である。
請求項4の発明は、請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の複写機能付き情報保護媒体において、前記複写基材部(11)は、前記シート状基材(11T、11B)同士が少なくとも一部で擬似接着されていること、を特徴とする複写機能付き情報保護媒体である。
請求項5の発明は、請求項3に記載の複写機能付き情報保護媒体において、前記シート状基材(11T)は、前記保護シート(14)を兼用しており、使用時に前記再剥離再貼付粘着剤層(13)を表出させるカット線(17)を備えること、を特徴とする複写機能付き情報保護媒体である。
請求項6の発明は、請求項1に記載の複写機能付き情報保護媒体において、前記封緘手段は、水分で活性化する再湿糊層(18)であること、を特徴とする複写機能付き情報保護媒体である。
請求項7の発明は、請求項6に記載の複写機能付き情報保護媒体において、前記再湿糊層(18)と対向する部分に剥離層(19)を備えること、を特徴とする複写機能付き情報保護媒体である。
請求項8の発明は、請求項7に記載の複写機能付き情報保護媒体において、前記剥離層(19)は、不連続に設けられていること、を特徴とする複写機能付き情報保護媒体である。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、複写構造を有する複写基材部を備えるので、数社分の記入が一度に行え、記入の煩わしさが解消でき、カード会社でのコピー作業も簡単である。
また、封緘手段により、この複写機能付き情報保護媒体が封書化され、2社以上の申込みの場合は、郵券代が安価になる。
さらに、封書化されれば、ハガキのように『本体2g以上』との規格がないため、各基材を薄くすることで媒体自体の単価を抑えることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明は、記入の煩わしさが解消でき、申込みが安価に行え、媒体自体のコストも抑えた複写機能付き情報保護媒体を提供するという目的を、ノーカーボン紙を用いた複写基材部を再剥離再貼付糊によって封緘し、封書化することにより実現する。
【実施例1】
【0012】
以下、図面等を参照して、本発明の実施例について、さらに詳しく説明する。
図1は、本発明による複写機能付き情報保護媒体の実施例1を示す図である。
実施例1の複写片付き申込媒体(複写機能付き情報保護媒体)10は、複写基材部11と、隠蔽シート12と、再剥離再貼付糊(再剥離再貼付粘着剤層、封緘手段)13と、保護シート14などとを備える。
【0013】
複写基材部11は、2枚のシート状基材11T、11Bが積層され、上側のシート状基材11Tに記入した情報を下側のシート状基材11Bに複写する複写構造を有するものである。
本実施例では、上側のシート状基材11Tは、連量が40g/平米のノーカーボントップ紙であり、下側のシート状基材11Bは、連量が80g/平米のノーカーボンボトム紙であり、複写構造は、発色剤と顕色剤とによって実現されている。
また、上側のシート状基材11Tは、後述する再剥離再貼付糊13の粘着代分だけ、下側のシート状基材11Bよりも小さいサイズとなっており、表面には、数社分の個人情報記入欄が設けられている。
【0014】
隠蔽シート12は、上側のシート状基材11Tの上方に設けられ、上側のシート状基材11Tに記入した情報(個人情報など)を隠蔽するものであり、連量が70kg/四六(81.4g/平米)の上質紙である。
再剥離再貼付糊13は、隠蔽シート12の裏面の周縁部にコの字状に設けられ、使用時に、下側のシート状基材11Bと隠蔽シート12とを貼り合わせて封緘するものである。なお、再剥離再貼付糊13は、全面塗布も可能であるが、コの字状に塗布した方が安価に製造できる。
【0015】
保護シート14は、再剥離再貼付糊13を覆うようにして設けられ、再剥離再貼付糊13を使用時まで保護するものであり、連量が55kg/四六(64.0g/平米)の上質紙である。
隠蔽シート12、上側のシート状基材11T及び下側のシート状基材11Bは、左端部がライン糊15によって綴じ合わされている。
【0016】
次に、実施例1による複写片付き申込媒体10の使用方法について説明する。
まず、保護シート14と上側のシート状基材11Tとの間から、この複写片付き申込媒体10を見開く。
ついで、上側のシート状基材11Tに名前や住所などの個人情報を記入する。
さらに、保護シート14を剥がし、再剥離再貼付糊13を表出させる。
そして、隠蔽シート12の周縁部と下側のシート状基材11Bの周縁部とを、再剥離再貼付糊13で貼り合わせ、複写片付き申込媒体10を封緘する。
最後に、この状態で、ポストに投函する。
受取側では、再剥離再貼付糊13部分で開封し、記入された情報と複写された情報とを確認する。
【0017】
このように、実施例1の複写片付き申込媒体10によれば、以下のような効果がある。
(1)複写構造を有する複写基材部11を備えるので、数社分の記入が一度に行え、記入の煩わしさが解消でき、カード会社(受取側)でのコピー作業も簡単である。
(2)再剥離再貼付糊13で封緘することにより、この複写片付き申込媒体10が封書化され、2社以上の申込みの場合は、郵券代が安価になる。
【0018】
(3)再剥離再貼付糊13で封緘されるため、開封作業が簡単である。
(4)封書は、ハガキのように『本体2g以上』との規格がないため、各基材を薄くすることで媒体自体の単価を抑えることができる。
【0019】
(5)ライン糊15で一端を綴じ合わせる形態のため、2つ折り加工が不要である。
(6)状況に応じて、複写基材部11の複写枚数を増やすこともできる。
【実施例2】
【0020】
図2は、本発明による複写機能付き情報保護媒体の実施例2を示す図である。
なお、前述した実施例1と同様な機能を果たす部分には、同一の符号又は末尾に統一した符号を付して、重複する説明や図面を適宜省略する。
実施例2の複写片付き申込媒体10−2は、複写基材部11のシート状基材11T、11B同士が剥離可能な接着構造(接着剤/剥離層など)16によって、コの字状に擬似接着されている。なお、剥離可能な接着構造16は、複写部分を避けて設ける必要がある。
したがって、封緘時には、実施例1の複写片付き申込媒体10のように、隠蔽シート12を下側のシート状基材11Bに接着させるのではなく、上側のシート状基材11Tに接着させることができ、上側のシート状基材11Tを小さなサイズにする必要もない。
【0021】
このように、実施例2の複写片付き申込媒体10−2によれば、使用方法は実施例1のものと同様でありながら、上側のシート状基材11Tのスペースを広く使える利点がある。
また、複写基材部11があらかじめ綴じ合わされているため、記入時に上側のシート状基材11Tと下側のシート状基材11Bとがずれてしまうことがない。
さらに、受取側でも、剥離可能な接着構造16部分で簡単に開封して、複写内容を確認することができる。
【0022】
図3は、本発明による複写機能付き情報保護媒体の実施例3を示す図である。
実施例3の複写片付き申込媒体10−3は、実施例1のものと比較して、複写基材部11が、3枚のシート状基材11T、11M、11Bが積層されたものに変更されている。
上側のシート状基材11Tと下側のシート状基材11Bとは、実施例1のものと同様であるが、その間に、中間のシート状基材11Mが追加され、中間のシート状基材11Mは、連量が40g/平米のノーカーボンミドル紙である。
また、上側のシート状基材11Tは、実施例1で存在していた保護シート14の役割を兼用しており、上側のシート状基材11Tと中間のシート状基材11Mとには、使用時に再剥離再貼付糊13を表出させるためのコの字状のカット線17が切り込まれている。
さらに、上側のシート状基材11Tと中間のシート状基材11Mとのカット線17の外側部分は、同時に剥がし取れるように、ライン糊15で綴じ合わせてある(断面図参照)。
【0023】
そして、この複写片付き申込媒体10−3を使用する場合には、下側のシート状基材11Bと中間のシート状基材11Mの間からページを見開き、図3(A)に示すように、カット線17に沿って中間のシート状基材11Mと上側のシート状基材11Tの内側部分のみを下側のシート状基材11B側に開く。
ついで、上側のシート状基材11Tに個人情報を記入し、中間のシート状基材11Mと上側のシート状基材11Tの外周部を剥がし、再剥離再貼付糊13を表出させ、再度貼り合わせて封緘し、封書として投函する。
【0024】
このように、実施例3の複写片付き申込媒体10−3によれば、剥がし取る部分を2、3枚目の周縁部のみにしたので、保護シート14分の用紙が1枚減り、軽量化とコストダウンが図れる。
【0025】
図4は、本発明による複写機能付き情報保護媒体の実施例4を示す図である。
実施例4の複写片付き申込媒体10−4は、封緘手段に、再剥離再貼付糊13ではなく、再湿糊(再湿糊層)18を使用したものである。
再湿糊18は、隠蔽シート12の裏面の周縁部に、コの字状に設けられ、水分で活性化する糊である。
再湿糊18は、水で湿らせると接着力が発揮されるので、使用時まではべたつくことがなく、実施例1のように保護シート14で保護する必要がない。
【0026】
また、下側のシート状基材11Bの周縁部であって、再湿糊18と対向する部分には、コの字状の不連続な剥離パターン(剥離層)19が設けられており、上側のシート状基材11Tは、2枚配置されている。
【0027】
このように、実施例4の複写片付き申込媒体10−4は、実施例1の特徴を活かした形態であり、封緘時には、再湿糊18でしっかりと接着させながら、開封時には、剥離パターン19によって、剥離可能とすることで事務作業軽減が図れる。
【0028】
(変形例)
以上説明した実施例に限定されることなく、種々の変形や変更が可能であって、それらも本発明の均等の範囲内である。
例えば、複写構造は、ノーカーボン紙を用いる例で説明したが、カーボン紙を用いてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明による複写機能付き情報保護媒体の実施例1を示す図である。
【図2】本発明による複写機能付き情報保護媒体の実施例2を示す図である。
【図3】本発明による複写機能付き情報保護媒体の実施例3を示す図である。
【図4】本発明による複写機能付き情報保護媒体の実施例4を示す図である。
【符号の説明】
【0030】
10、10−2、10−3、10−4 複写片付き申込媒体(複写機能付き情報保護媒体)
11 複写基材部
11T 上側のシート状基材
11M 中間のシート状基材
11B 下側のシート状基材
12 隠蔽シート
13 再剥離再貼付糊(再剥離再貼付粘着剤層、封緘手段)
14 保護シート
15 ライン糊
16 剥離可能な接着構造
17 カット線
18 再湿糊(再湿糊層)
19 剥離パターン(剥離層)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のシート状基材が積層され、上側のシート状基材に記入した情報を下側のシート状基材に複写する複写構造を有する複写基材部と、
少なくとも前記記入した情報を隠蔽する隠蔽シートと、
前記複写基材部と前記隠蔽シートとを貼り合わせて封緘する封緘手段と、
を備える複写機能付き情報保護媒体。
【請求項2】
請求項1に記載の複写機能付き情報保護媒体において、
前記封緘手段は、再剥離再貼付粘着剤層であること、
を特徴とする複写機能付き情報保護媒体。
【請求項3】
請求項2に記載の複写機能付き情報保護媒体において、
前記再剥離再貼付粘着剤層を使用時まで保護する保護シートを備えること、
を特徴とする複写機能付き情報保護媒体。
【請求項4】
請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の複写機能付き情報保護媒体において、
前記複写基材部は、前記シート状基材同士が少なくとも一部で擬似接着されていること、
を特徴とする複写機能付き情報保護媒体。
【請求項5】
請求項3に記載の複写機能付き情報保護媒体において、
前記シート状基材は、前記保護シートを兼用しており、使用時に前記再剥離再貼付粘着剤層を表出させるカット線を備えること、
を特徴とする複写機能付き情報保護媒体。
【請求項6】
請求項1に記載の複写機能付き情報保護媒体において、
前記封緘手段は、水分で活性化する再湿糊層であること、
を特徴とする複写機能付き情報保護媒体。
【請求項7】
請求項6に記載の複写機能付き情報保護媒体において、
前記再湿糊層と対向する部分に剥離層を備えること、
を特徴とする複写機能付き情報保護媒体。
【請求項8】
請求項7に記載の複写機能付き情報保護媒体において、
前記剥離層は、不連続に設けられていること、
を特徴とする複写機能付き情報保護媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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