説明

複合ケーブル

【課題】 接続状態にある光ファイバが屈曲されても破損を低減し得る複合ケーブルを提供することを目的とする。
【解決手段】 本発明の複合ケーブル1は、複数の光ファイバ10,20と、これら光ファイバ10,20の周囲を被覆する充実の樹脂層40と、その樹脂層40の周りに巻かれる少なくとも1本の電線50とを備えている。これにより複数の光ファイバ10,20が、充実の樹脂層40によりその樹脂層内に固定することになるため、接続状態にある光ファイバが屈曲されたことに起因する破損がおきにくくなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、屈曲に起因する破損を低減し得る複合ケーブルに関する。
【背景技術】
【0002】
光信号の伝送を行う光ファイバと、電気信号や電力の伝送を行う電線とが組み合わされた複合ケーブルが知られている。このような複合ケーブルは、産業機械や、映像機器等に用いられており、例えば、複合ケーブルが映像機器に用いられる場合、画像情報等の大容量の信号が光ファイバにより伝送され、音声やテキスト情報等が電線により伝送される。
【0003】
下記特許文献1には、このような複合ケーブルが記載されている。この複合ケーブルでは、互いに撚られる2本の光ファイバが筒状部材内に収納され、その筒状部材の周囲に電線が配置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−259367号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記特許文献1の複合ケーブルが、その両端を光デバイスに接続した状態において屈曲された場合、複合ケーブルにおいて比較的に大きい強度である電線によって複合ケーブル全体の形状が固定される。このとき光ファイバは筒状部材に沿って移動可能であるため、屈曲部分における内外周長差に起因して、複合ケーブルにおいて内側寄りの光ファイバがシースから露出して撓み、外側寄りの光ファイバが引っ張られることになり、これが破損の一要因となっていた。
【0006】
そこで、本発明は、接続状態にある光ファイバが屈曲されても破損しにくい複合ケーブルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明の複合ケーブルは、複数の光ファイバと、前記複数の光ファイバの周囲を被覆する充実の樹脂層と、前記樹脂層の周りに巻かれる少なくとも1本の電線とを備えることを特徴とするものである。
【0008】
このような複合ケーブルによれば、複数の光ファイバが、充実の樹脂層によりその樹脂層内に固定することになる。このため、複合ケーブルの屈曲された場合、その屈曲部分における光ファイバの内外周長差に起因して、複合ケーブルにおいて内側寄りの光ファイバがシースから露出して撓み、外側寄りの光ファイバが引っ張られるということが軽減される。こうして、この複合ケーブルでは、接続状態にある光ファイバが屈曲されたことに起因する破損がおきにくくなる。
【0009】
また、前記電線は、等間隔に配置されることが好ましい。
【0010】
このような複合ケーブルによれば、光ファイバよりも剛性の強い電線が、複合ケーブルにおける長手方向に垂直となる断面の中心を基準として均等に位置していることになるため、複合ケーブルにおける強度の偏りが大幅に低減される。ところで、充実の樹脂層の周りに配置される電線が等間隔でない場合、その複合ケーブルの屈曲位置や屈曲方向によっては、樹脂層に対して、その樹脂層よりも剛性の強い電線から過度の力が働いてしまうことがある。しかし、充実の樹脂層の周りに電線が等間隔に配置される複合ケーブルによれば、上述したように複合ケーブルにおける強度の偏りが低減されているため、複合ケーブルの屈曲位置や屈曲方向にかかわらず、電線から樹脂層に過度の力が働くといったことが抑制される。こうして、接続状態にある光ファイバの屈曲に起因する破損がおきにくくなる。
【0011】
また、上記複合ケーブルにおいて、互いに隣り合う電線間に介在する少なくとも1本の介在ひもをさらに備えることが好ましい。
【0012】
このような複合ケーブルによれば、等間隔に配置される電線間に介在ひもが介在するため、複合ケーブルが屈曲されても、その屈曲に起因する電極のずれが低減され、より一段と強度の偏りが低減される。
【0013】
また、上記複合ケーブルにおいて、前記複数の光ファイバは、芯線に対して螺旋状に巻かれ、前記芯線と、螺旋状に巻かれる光ファイバとの間には前記樹脂層を構成する樹脂が入り込んでいないことが好ましい。
【0014】
このような複合ケーブルによれば、非光伝送対象の芯線が非存在の場合に比べて、複合ケーブルの構造の強化が図れる。また、樹脂層の変形が可能な範囲内において芯線が移動可能となるため、複合ケーブルにおいて内側寄りの光ファイバがシースから露出して撓み外側寄りの光ファイバが引っ張られるということを軽減しながらも、複合ケーブルの屈曲性を向上させることが可能となる。
【発明の効果】
【0015】
以上のように、本発明によれば、接続状態にある光ファイバが屈曲されても破損を低減し得る複合ケーブルが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の第1実施形態に係る複合ケーブル示す側面図である。
【図2】図1の複合ケーブルの長手方向に垂直な断面における構造の様子を示す図である。
【図3】図1の第1、第2光ファイバの長手方向に垂直な断面における構造の様子を示す図である。
【図4】図1の電線の長手方向に垂直な断面における構造の様子を示す図である。
【図5】複合ケーブルの接続状態を示す概略図である。
【図6】接続状態にある複合ケーブルが屈曲された様子を示す概略図である。
【図7】本発明の第2実施形態に係る複合ケーブルを示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明に係る複合ケーブルの好適な実施形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0018】
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態に係る複合ケーブル示す側面図であり、図2は、図1の複合ケーブルの長手方向に垂直となる断面を示す図である。
【0019】
図1、図2に示すように、複合ケーブル1は、1本の第1光ファイバ10と、第1光ファイバ10に巻かれる複数本の第2光ファイバ20とを有する光ファイバ束30と、光ファイバ束30を被覆する充実の被覆層40と、被覆層40に螺旋状に巻かれる複数本の電線50と、電線50を覆うようにして、電線50に螺旋状に巻かれるテープ60と、テープ60を被覆するシース70とを主な構成として備える。
【0020】
本実施形態では、第1光ファイバ10と第2光ファイバ20とは、互いに同様の構成とされている。従って、以下、第1光ファイバ10の構造・材料についてのみ説明する。図3は、図1の第1光ファイバ10の長手方向に垂直となる断面を示す図である。図3に示すように、第1光ファイバ10は、コア11と、コア11の外周面を被覆するクラッド12と、クラッド12の外周面を被覆する保護層13とを主な構成として備えている。
【0021】
クラッド12の屈折率は、コア11の屈折率よりも低くなっており、コア11を光が伝播するように構成されている。また、光ファイバ10における各構成の大きさは、その用途により適切に選択されるため特に制限されるものではないが、例えば、コア11の直径は、4μm〜50μmとされ、クラッド12の外径は、100μm〜200μmとされ、保護層13の外径は、170μm〜350μmとされている。
【0022】
また、コア11を構成する材料としては、例えば、屈折率を高くするドーパントが添加される石英等が挙げられる。このようなドーパントとしては、酸化ゲルマニウム(GeO)や酸化アルミニウム(Al)等が挙げられる。また、クラッド12を構成する材料としては、例えば、何らドーパントが添加されない石英や、フッ素(F)等の屈折率を下げるドーパントが添加される石英が挙げられる。また、保護層13を構成する材料としては、例えば、アクリレート等の紫外線硬化樹脂が挙げられる。
【0023】
また、第1光ファイバ10は、芯線として直線状に配置されている。この直線状に配置されるとは、複合ケーブル1の長手方向に沿って配置されることであり、複合ケーブル1が直線状にされる場合に、第1光ファイバ10も直線状になることを意味している。そして、この第1光ファイバ10の外周面上に、複数本の第2光ファイバ20が螺旋状に巻かれている。このように螺旋状に巻かれる第2光ファイバ20の螺旋ピッチは、特に制限されるものではないが、本実施形態においては、約100mmとされている。なお、螺旋ピッチとは、巻き間隔のことであり、具体的には第1光ファイバ10の長手方向に沿って一巻きしたときの直線距離である。
【0024】
また、図2に示すように、本実施形態では、第1光ファイバ10の外周面上に6本の第2光ファイバ20が螺旋状に巻かれている。このようにすることにより、第1光ファイバ10の外周面上に第2光ファイバ20を細密充填して、光ファイバ束30の直径を小さくすることができるため好ましい。
【0025】
こうして第1光ファイバ10の外周面上に第2光ファイバ20が螺旋状に巻かれることにより光ファイバ束30となり、上述のように、光ファイバ束30は、充実の被覆層40により被覆されている。被覆層40は、長手方向に垂直な断面における外形が円形となるように、例えば、押し出し成型によって、光ファイバ束30の周囲を充填するように被覆している。この被覆層40の直径は、特に制限されるものではないが、0.75mm〜2.0mmとされる。被覆層40の材料としては、特に制限されないが、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、あるいは、シリコン等の樹脂を挙げることができる。なお、第1光ファイバ10と、第2光ファイバ20との間に、被覆層40を構成する樹脂が入り込んでいないことが好ましい。
【0026】
図4は、電線50の長手方向に垂直な断面における構造の様子を示す図である。図4に示すように、電線50は、金属の撚り線から成る導線51と、導線51の外周を被覆する絶縁層52とを有している。この電線50の直径は、特に限定されないが、0.2mm〜2.0mmとされる。また、電線50の導線51の材料としては、導体であれば特に限定されないが、銅、鉄、ニッケル、アルミニウム等を挙げることができる。さらに絶縁層52の材料は、難燃性、耐水性、絶縁性等に優れた特性を有する材料が望ましい。このような材料としては、ポリエチレン、エチレン酢酸ビニル共重合体及びエチレンアクリル酸エチル共重合体などのエチレン系材料や、それらとポリプロピレン、エチレンプロピレンゴム、スチレン系エラストマなどのポリオレフィンをブレンドした複合樹脂をベースに、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウムなどの金属水酸化物又はリン酸エステルを添加してなるものやフッ素樹脂を挙げることができる。
【0027】
このような構成の複数の電線50が、上述のように被覆層40の外周面上に螺旋状に巻かれており、電線50が巻かれるピッチは、第2光ファイバ20が螺旋状に巻かれるピッチよりも小さくすることが好ましく、本実施形態においては、10mmとされている。また、この電線50が螺旋状に巻かれる方向は、図1に示すように第2光ファイバが巻かれる方向と同じ方向であることが、複合ケーブル1を屈曲させた際に、電線50と第2光ファイバ20とが同じ方向に位置ずれを起こすので、複合ケーブル1の屈曲性を向上させる観点から好ましい。
【0028】
また、電線50は、テープ60により覆われている。テープ60は、樹脂、或いは、金属のテープであり、図1に示すように螺旋状に巻かれている。このテープ60を構成する樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート等を挙げることができ、金属としては、アルミニウム、銅等を挙げることができる。なお、テープ60が螺旋状に巻かれる方向は、図1に示すように電線50が巻かれる方向と逆の方向とする。これは複合ケーブル1を屈曲させた際に、電線が位置ずれしようとする方向と、テープが位置ずれしようとする方向とが、逆方向になる。そのため、電線の位置ずれが大きくなりすぎてしまうことや、電線の位置ずれが元に戻らなくなってしまうことにより、電線がばらばらになることを防ぎ、複合ケーブル1の形状を維持できる観点から好ましい。なお、テープ60の電線50側の面には、接着剤が塗布されていても良い。
【0029】
テープ60の外周面上を被覆するシース70は、押し出し成型により形成されており、長手方向に垂直な断面における外形が円形とされている。このようなシース70の材料としては、電線50の絶縁層52と同様の材料を挙げることができる。
【0030】
図5は、複合ケーブル1の接続状態を示す概略図である。図5に示すように、複合ケーブル1の両端では、光ファイバのコア11と、電線の導線51とが露出される。そして、コア11の一方端は、第1コネクタCN1の筺体に設けられる貫通穴HL1を介して、第1コネクタCN1内に配置されるVCSEL(Vertical Cavity Surface Emitting Laser)等の光デバイスDV1に結合される。また、コア11の他方端は、第2コネクタCN2の筺体に設けられる貫通穴HL2を介して、第1コネクタCN2内における光デバイスDV2に結合される。一方、導線51の一方端は、第1コネクタCN1内に配置される図示しない電子デバイスに固着され、他方端は、第2コネクタCN2内に配置される図示しない電子デバイスに固着される。
【0031】
こうして、第1コネクタCN1と第2コネクタCN2とに接続される複合ケーブル1は、それぞれの電線50により、電気信号や電力の伝送を行うと共に、少なくとも第2光ファイバ20により、光信号の伝送を行う。なお、芯線としての第1光ファイバ10をダミーファイバとして光信号の伝送を行わないことが好ましい。これは、第2光ファイバ20は、第1光ファイバ10に螺旋状に巻かれるため、互いに異なる長さとなる。従って、第1光ファイバ10をダミーファイバとして、第2光ファイバのみで光信号を伝送することにより、光信号の伝送時間が異なることを防止することができる。なお、ファイバ構造ではない樹脂等の芯線として第1光ファイバ10が代替されても良い。
【0032】
以上説明したように、本第1実施形態の複合ケーブル1によれば、電線50により電力や電気信号を伝送することができると共に、少なくとも第2光ファイバ20により光信号を伝送することができる。
【0033】
ここで、接続状態にある複合ケーブルが屈曲された様子を図6に示す。具体的には、図6の(A)は、上記特許文献1のように、光ファイバが筒状部材に収納される複合ケーブル100の場合である。一方、図6の(B)は、第1光ファイバ10の外周面上に螺旋状に巻かれる第2光ファイバ20が、充実の被覆層40により被覆される本第1実施の形態の複合ケーブル1の場合である。
【0034】
光ファイバが筒状部材に収納される複合ケーブルでは、その筒状部材に沿って光ファイバが移動可能である。したがって、図6の(A)に示すように、複合ケーブル100の屈曲部分における内外周長差に起因して、複合ケーブル1において内側寄りの光ファイバがシース70から露出して撓み、外側寄りの光ファイバが引っ張られる。
【0035】
これに対し、本第1実施形態の複合ケーブル1では、図2に示すように、第1光ファイバ10の外周面上に螺旋状に巻かれる第2光ファイバ20が、充実の被覆層40により被覆されている。このため、第1光ファイバ10及び第2光ファイバ20が、被覆層40内に固定されていることになる。したがって、図6の(B)に示すように、複合ケーブル1の屈曲部分における内外周長差に起因して、複合ケーブル1において内側寄りの光ファイバがシース70から露出して撓み、外側寄りの光ファイバが引っ張られるということが軽減される。この結果、この複合ケーブル1では、接続状態にある光ファイバが屈曲されたことに起因する破損がおきにくくなる。
【0036】
また、第2光ファイバ20は、第1光ファイバ10の周りに螺旋状に巻かれているため、第1光ファイバ10が存在しない場合に比べて、複合ケーブル1の構造の強化が図れる。また、第1光ファイバ10と、第2光ファイバ20との間に被覆層40を構成する樹脂が入り込むことなく形成されている場合、被覆層40の変形が可能な範囲内において第1光ファイバ10が移動可能となる。したがって、複合ケーブル1において内側寄りの光ファイバがシース70から露出して撓み外側寄りの光ファイバが引っ張られるということを軽減しながらも、複合ケーブル1の屈曲性を向上させることが可能となる。
【0037】
さらに、複合ケーブル1においては、テープ60により電線50がばらけてしまうことを防止することができる。そして、このテープ60は、螺旋状に巻かれているため、複合ケーブル1の屈曲性が阻害されることを抑制することができる。
【0038】
また更に、複合ケーブル1においては、複合ケーブル1が屈曲する場合において、被覆層40により第2光ファイバ20が、第2光ファイバ20の横方向に位置ずれすることを防止して、第2光ファイバ20が偏在することを防止することができる。こうして第2光ファイバ20が集まることにより一部の第2光ファイバ20に応力が集中することを防止することができる。
【0039】
そして、第2光ファイバ20は、第1光ファイバ10に螺旋状に巻かれるため、互いに異なる長さとなる。従って、第1光ファイバ10をダミーファイバとして、第2光ファイバのみで光信号を伝送することにより、光信号の伝送時間が異なることを防止することができる。
【0040】
また、上述のように電線50の螺旋ピッチが、第2光ファイバ20の螺旋ピッチよりも小さい、つまり、第2光ファイバ20の螺旋ピッチが、電線50の螺旋ピッチよりも大きいことにより、第2光ファイバの曲率が高くなることを抑制することができる。従って、第2光ファイバ20により伝送される光信号の曲げ損失による劣化を抑制することができる。また、複合ケーブル1の外周側に配置される電線50は、複合ケーブル1の屈曲による影響をより強く受けるので、この電線50が小さな螺旋ピッチで巻かれることにより、複合ケーブル1の屈曲性を向上させることができる。
【0041】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について図7を参照して詳細に説明する。なお、第1実施形態と同一又は同等の構成要素については、特に説明する場合を除き、同一の参照符号を付して重複する説明は省略する。図7は、本発明の第2実施形態に係る複合ケーブルを示す断面図である。
【0042】
図7に示すように、本第2実施形態の複合ケーブル2は、電線50の何本かを、介在ひも55に置き換えている点で、第1実施形態の複合ケーブル1と異なる。
【0043】
具体的にこの複合ケーブル2では、4本の電線50A〜50Dが、2本を電線50Aと50B,50Cと50Dを組として、等間隔に配置される。そして、互いに隣り合う電線50Aと50D,50Dと50B,50Bと50C,50Cと50Aの間に、介在ひも55が2本ずつ介在している。
【0044】
この介在ひも55は、その長手方向に垂直となる断面が略円形状とされ、電線50の直径と同程度にされる。介在ひも55の材料は、例えば、ポリエチレンや、ポリプロピレン等の樹脂を挙げることができる。なお、アラミド繊維や、ポリプロピレン製などのように、難燃性、耐水性、絶縁性等に優れた特性を有する材料が好ましい。
【0045】
以上説明したように、本第2実施形態の複合ケーブル2によれば、第1実施形態と同様に、複合ケーブル2の屈曲部分における内外周長差に起因して光ファイバ10,20の一部がシース70から露出するといったことが回避される。この結果、接続状態にある光ファイバが屈曲されたことに起因する破損が低減される。
【0046】
また、この複合ケーブル2では、被覆層40の周囲に、電線50A〜50Dが等間隔に配置され、互いに隣り合う電線間に介在ひも55が介在されている。したがって、複合ケーブル2では、光ファイバ20又は介在ひも55よりも剛性の強い電線50が、複合ケーブル2における長手方向に垂直となる断面の中心を基準として均等に位置していることになるため、複合ケーブル2における強度の偏りが大幅に低減される。これに加えて、等間隔に配置される電線50間に介在ひも55が介在するため、複合ケーブル2が屈曲されても、その屈曲に起因する電線50のずれが低減され、より一段と強度の偏りが低減される。
【0047】
ところで、被覆層40の周りに配置される電線50が等間隔でなかった場合、その複合ケーブル2の屈曲位置や屈曲方向によっては、被覆層40に対して、その被覆層40よりも剛性の強い電線50から過度の力が働いてしまうことがある。しかし、本実施形態の複合ケーブル2によれば、上述したように複合ケーブル2における強度の偏りが低減されているため、複合ケーブル2の屈曲位置や屈曲方向にかかわらず、電線50から被覆層40に過度の力が働くといったことが抑制される。こうして、接続状態にある光ファイバの屈曲に起因する破損がおきにくくなる。
【0048】
以上、本発明について、実施形態を例に説明したが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0049】
例えば、上記実施形態においては、第1、第2光ファイバ10、20のコア11、21、クラッド12、22は、ガラス製とされたが、本発明において、第1、第2光ファイバの少なくとも一方をプラスチック光ファイバ(POF)としても良い。
【0050】
また、第2光ファイバ20が1本として、第1光ファイバ10の外周面上に螺旋状に巻かれても良く、複数の第2光ファイバ20が縦添えに巻かれていても良い。同様に、電線50が一本として、螺旋状に巻かれても良く、複数の電線50が縦添えに巻かれていても良い。
【0051】
また、第1光ファイバ10がポリエチレン、ポリプロピレン等の樹脂糸とされても良く、当該第1光ファイバ10又は樹脂糸が省略しても良い。ただし、第2光ファイバ20の芯線として第1光ファイバ10又は樹脂糸が存在するほうが、上述したように、非存在の場合に比べて優れた屈曲性を有する複合ケーブル1又は2が実現されるとともに、複合ケーブル1又は2の構造の強化が図れる。
【0052】
また、介在ひも55が、電線50の直径と同程度の略円形状とされたが、互いに隣り合う電線50Aと50D,50Dと50B,50Bと50C,50Cと50Aの間に介在していれば、介在ひも55の大きさ、形状、又は数を問わない。互いに隣り合う電線間に介在ひも55が介在してさえいれば、複合ケーブル1又は2が屈曲されても、その屈曲に起因する電線50のずれが低減されるからである。
【0053】
また、特に図示しないが、上記第1実施形態における被覆層40と電線50との間に、複数の繊維からなるテンションメンバを介在させても良く、上記第2実施形態における被覆層40と電線50及び介在ひも55との間にテンションメンバを介在させても良い。
【産業上の利用可能性】
【0054】
本発明によれば、接続状態にある光ファイバが屈曲されても破損を低減し得る複合ケーブルが提供される。
【符号の説明】
【0055】
1、2・・・複合ケーブル
10・・・第1光ファイバ
11・・・コア
12・・・クラッド
13・・・保護層
20・・・第2光ファイバ
21・・・コア
22・・・クラッド
23・・・保護層
30・・・光ファイバ束
40・・・被覆層
50・・・電線
51・・・導線
52・・・絶縁層
55・・・介在ひも
60・・・テープ
70・・・シース

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の光ファイバと、
前記複数の光ファイバの周囲を被覆する充実の樹脂層と、
前記樹脂層の周りに巻かれる少なくとも1本の電線と
を備えることを特徴とする複合ケーブル。
【請求項2】
前記電線は、等間隔に配置される
ことを特徴とする請求項1に記載の複合ケーブル。
【請求項3】
互いに隣り合う電線間に介在する少なくとも1本の介在ひも
をさらに備えることを特徴とする請求項2に記載の複合ケーブル。
【請求項4】
前記複数の光ファイバは、芯線に対して螺旋状に巻かれ、前記芯線と、螺旋状に巻かれる光ファイバとの間には前記樹脂層を構成する樹脂が入り込んでいない
ことを特徴とする請求項3に記載の複合ケーブル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−248343(P2012−248343A)
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−117546(P2011−117546)
【出願日】平成23年5月26日(2011.5.26)
【出願人】(000005186)株式会社フジクラ (4,463)
【Fターム(参考)】