説明

複合ストランドの製造方法及びデバイス

【課題】本発明は、連続ガラスフィラメントを連続高収縮有機熱可塑性フィラメントと組み合わせることによって形成された複合ストランドの製造方法及びデバイスに関する。
【解決手段】本発明によれば、熱可塑性フィラメントを、延伸し、加熱し、且つ支持体への放出中、支持体の走行速度よりも速い速度で移動支持体(17)へ放出した後、ウェブ(10)の形態でガラスフィラメントの束又はウェブ(2)と混合させる。また、本発明は、上記方法を行うのに適するデバイスに関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の連続ガラスフィラメントを連続高収縮有機熱可塑性フィラメントと組み合わせることによって形成された複合ストランドの製造方法及びデバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
複合ストランドの製造は、特に欧州特許公開公報EP−A−0367661号に開示され、連続ガラスフィラメントが引き出される溶融ガラスを収容するブッシング(軸受筒)を含む第1の装置と、連続フィラメントを送出する有機熱可塑性樹脂が圧力下で供給される、紡糸ヘッドを含む第2の装置と、を採用する方法を記述する。
【0003】
二種類のフィラメントが少なくとも一つの複合ストランドに集合され且つ集合中フィラメントは、ウェブの形態、又はウェブとストランドの形態である。複合ストランドでは、ガラスフィラメント又はストランドは、ストランドが接触する固体面でガラスが擦れるのを防止する熱可塑性フィラメントによって取り囲まれる。
【0004】
熱可塑性フィラメントの組み込みは、ストランドの耐摩耗性を向上させることができるが、それはまた、フィラメントの収縮現象により張力をストランドに導入し、この収縮現象は、ガラスフィラメントの波形を引き起す。波形の存在は、複合ストランドがボビンの形態に巻かれるときに、ボビンがその全周にわたって変形されるので特に目立つ。
【0005】
収縮現象は、いくつかの欠点を有する:複合ストランドによって及ぼされる収縮に耐えることができるように、ボビンを作るための太いスプールによることを必要とし、且つ所望のアプリケーションに要求される理想的な幾何学的特性を有していないという事実によりボビンからのストランドの巻き戻しを妨害する。更に、係るストランドは、大型の平らな部品用の補強材として用いることができるファブリックの生産には有利ではない。なぜならば、波形のために、フィラメントが最終複合材中で完全には整合されないからである。所定の方向におけるストランドの補強能力が減じられることが分かった。
【0006】
熱可塑性フィラメントの収縮の問題を解決するために、いろいろな解決策が提案されている。
【0007】
欧州特許公開公報EP−A−0505275号では、欧州特許公開公報EP−A−0367661号で先に記述されたものと同様な複合ストランドを製造する方法が提案されており、合成繊維産業の分野で通常用いられる紡糸ヘッドを用いて熱可塑性フィラメントを形成するつもりである。この方法では、有機フィラメントによって囲まれる一つ又はそれ以上のガラスストランドで形成され、有機フィラメントを押し出すために用いられる紡糸ヘッドの構成と無関係である複合ストランドを得ることが可能である。
【0008】
欧州特許公開公報EP−A−0599695号には、混合中、ガラスフィラメントの引き出し速度よりも速い速度で熱可塑性フィラメントをガラスフィラメントと混ぜることが提案されている。速度差は、収縮現象がガラスフィラメントに対する熱可塑性フィラメントの過剰な初期長さを補償するように決定される。
【0009】
一実施形態では、熱可塑性フィラメントは、ドラムを備えている種類の可変速度延伸装置に進み、可変速度延伸装置は、過剰長さを際立たせ、これは、ガラスフィラメントが線状であり且つ熱可塑性フィラメントが波形である複合ストランドを得ることを可能にする。
【0010】
欧州特許公開公報EP−A−0616055号には、また、ガラス/熱可塑性複合ストランドの生産方法が提案されており、この方法は、熱可塑性フィラメントのウェブをガラスフィラメント束又はウェブと混ぜることを含み、熱可塑性フィラメントは、集合点の上流で、緩和温度以上の温度に加熱され、次いで冷却される。得られた複合ストランドは、波形がなく時間が経っても安定している。
【0011】
テープを巻き戻し且つストランドを巻き取る中間段階に通さない、ロービング(粗紡)の直接製造は、複合ストランドをガラスフィラメントの引き出しに対匹敵する速度でブッシング下で引取ることによって連続的に行われる。この既に高い速度(毎秒数メートル〜約10メートルの程度の)は、さらに高い集合点の上流で熱可塑性フィラメントの延伸速度と関連する。
【0012】
係る条件下で波形なしの複合ストランドの生産は、延伸装置の回転素子の相対速度の正確な同期を介して且つガラスフィラメントの引き出し速度と熱可塑性フィラメントの引き出し速度との間の初期の差を維持することによって起る。
【0013】
これらの条件は、限られた収縮を受ける熱可塑性材料に限定される。収縮が大きいときには、延伸装置は、熱可塑性フィラメントの長さを十分に増すように複合ストランドがいかなる波形も持たないようにその速度をもはや増すことができないという事実により作動できなくなる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明の目的は、混合された連続高収縮熱可塑性フィラメントと、連続グラスフィラメントとを含み、製造中いかなる波形もなく且つ時間が経っても安定したままである複合ストランドの製造を可能にする方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の目的は、溶融ガラスで充たされたブッシングの穴から機械的に引き出される連続ガラスフィラメントと、紡糸ヘッドから出る連続有機熱可塑性フィラメントとを混合することによって形成される複合ストランドを製造する方法によって達成され、熱可塑性フィラメントは、ガラスフィラメント束又はウェブとウェブの形態で混合され、ガラスフィラメントとの混合の前に、熱可塑性フィラメントが延伸され、加熱され、次いで、移動支持体へ放出され、移動支持体への熱可塑性フィラメントの放出中の速度は、支持体の走行速度よりも速い。加熱された熱可塑性フィラメントの延伸及び放出の組合せ効果は、熱可塑性フィラメントに高いレベルのけん縮を与え、その結果、複合ストランド中の熱可塑性の収縮を補償することを可能にする。
【0016】
有利には、熱可塑性フィラメントの加熱及び保護は、同時に行われる。
【0017】
本発明の第1の実施形態によれば、熱可塑性フィラメントは、ウェブの形態で、これもまたウェブの形態のガラスフィラメントまで案内され、且つコーティングロールルと全てのフィラメントを集めて複合ストランドにする点との間で同じ速度でガラスフィラメントと組み合わされる。
【0018】
他の実施形態によれば、熱可塑性フィラメントは、支持体の走行方向に、移動支持体の上に配置されたガラスフィラメントの上に放出される。かくして、けん縮された熱可塑性フィラメントと線状のガラスフィラメントとの絡み合いによって形成されたウェブが得られ、その結果、このウェブを、複合ストランドを形成するように集合させる。
【0019】
本発明による方法は、いかなる波形もない複合ストランドを得ることを可能にする:複合ストランドの成分に組み込まれたガラスフィラメントは、熱可塑性フィラメントとの集合直後線状であり、パッケージの形態での収集後線状を保つ。結局、複合ストランドの熱可塑性フィラメントは、該フィラメントに始めに与えられたけん縮のレベルに応じて線状又は波形でありうる。
【0020】
本発明のおかげで、複合ストランドの収縮がないとずれば特に在来の太さのスプールを用いて、ガラスストランドを生産するための、普通の条件下でボビンを形成することが可能であり、スプールは、ボールを得るために除去され且つ必要に応じて再使用される。これは、(外側から)巻き戻すか又は(内側から)解く方法により複合ストランドを引き出すことができる利点を有する。
【0021】
本発明による方法は、高収縮熱可塑性樹脂を用いて波形のない複合ストランドを得ることを可能にするという事実以外に、複合ストランド内のフィラメントの一様な分配と高い混合を確実にする。
【0022】
また、本発明は、この方法を行うためのデバイスも提供する。
本発明によれば、連続ガラスフィラメントから及び連続高収縮熱可塑性フィラメントから形成される複合ストランドの製造を可能にするために、このデバイスは、一方では、溶融ガラスが供給され、下面が多数の穴を有し、コーティングデバイスと関連した少なくとも一つのブッシングを含む装置と、他方では、溶融有機熱可塑性樹脂が圧力下で供給され、下面が多数の穴を備えた少なくとも一つの紡糸ヘッドを含む装置と、を含み、紡糸ヘッドが、ドラムを含む種類の延伸装置と、加熱手段を備えた熱可塑性フィラメントを放出するためのデバイスと、ドラム型移動支持体と、熱可塑性フィラメントをガラスフィラメントと混合させることができる手段と、関連し、複合ストランドの集合及び巻き取りを可能にする二つの装置に共通の手段を含む。
【0023】
ドラム延伸装置は、可変速度で作動し、好ましくは熱可塑性フィラメントの高い線速度を確保する、少なくとも二つのロールを有する。延伸装置が二つよりも多くのロールを含むとき、ロールは、対で作動するのが有利である。延伸装置は、熱可塑性フィラメントを予加熱し、かくして熱可塑性フィラメントの延伸を促進する目的で、好ましくは、熱可塑性フィラメントによって遭遇される第1のドラム内に配置された加熱手段、例えば、電気又は赤外線加熱手段を備えるのがよい。
【0024】
好ましくは、熱可塑性フィラメントを移動支持体の上に放出させることができる手段は、パルス状空気又は圧縮空気のような、液体又は気体である流体の特性を用いるデバイスである。有利には、デバイスは、ベンチュリシステムであり、その役割は、もっぱら熱可塑性フィラメントに更なる速度を与えることなく熱可塑性フィラメントに適当な空間分布及び配向を与えることによって熱可塑性フィラメントを放出させることにある。
【0025】
本発明の好ましい実施形態によれば、特に電気的な加熱手段は、熱可塑性フィラメントの放出を確実にするデバイスと関連する。このように、熱可塑性フィラメントの軟化点に近い温度での熱可塑性フィラメントの加熱は均等に且つ迅速に行われて、移動支持体の上への放出中、満足なけん縮を得ることを可能にする。
【0026】
移動支持体は、ドラムで作られるのがよく、その表面は、孔で構成され、内部容積を少なくとも二つの区画室に分けるための素子を含み、区画室の一方は、区画室を真空下に維持することができる手段に連結され、他方の区画室は、区画室を過剰圧力下にすることができる手段と関連する。区画室の大きさ及び配置は、熱可塑性フィラメントを、第1の区画室の上に位置したドラムの表面でウェブの形態で、初期けん縮状態に維持し、且つウェブが第2の区画室の上を通るときにウェブの分離を得るように選択される。
【0027】
二種類のフィラメントを混合させることができる手段は、熱可塑性フィラメントをガラスフィラメントのウェブ又は束の中に放出させることができる先に記述したようなベンチュリシステムで構成されるのがよい。好ましくは、このシステムは、ガラスフィラメントの引き出し速度と同じ速度で熱可塑性フィラメントを放出する。
【0028】
また、フィラメントの混合を確実にする手段は、ドラム移動支持体によって構成されるのがよい。この場合、ドラムは、ガラスフィラメントのウェブを支持するために用いられ、ガラスフィラメントのウェブがドラムのまわりに巻きつき、ウェブ形態のけん縮された熱可塑性フィラメントは、ドラムの母線に沿ってガラスフィラメントと混合される。
【0029】
先に記述したデバイスは、予備けん縮された高収縮熱可塑性フィラメントから及びガラスフィラメントから、複合ストランドの生産を可能にし、複合ストランドは、いかなるその後の変形もない、即ち、複合ストランドは時間がたっても安定したまま維持される。
【0030】
係るデバイスは、例えば、E−ガラス、R−ガラス、S−ガラス、AR−ガラス又はC−ガラスのような、あらゆる種類の既知のガラス、好ましくはE−ガラス、に適用することができる。
【0031】
同様に、例えば、ポリウレタン、ポリエチレンテレフタレート(PET)のようなポリエステル、ナイロン−6、ナイロン−6,6、ナイロン−11、ナイロン−12のようなポリアミドのグループに属するポリマーのような、高収縮を有することができるあらゆる熱可塑性樹脂を使用することができる。
【0032】
本発明の他の詳細及び有利な特徴は、添付した図面を参照して説明される本発明を行うためのデバイスの例の説明を読むことにより明らかになるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
図1には、本発明による完全な装置の概略図が示されている。それは、例えば、重力によって簡単に落下するビーズの形態の、常温ガラスを収容するホッパーを経てて、又はガラスを炉の頂部に直接供給する炉の前床から、溶融ガラスが供給されるブッシング1を含む。
【0034】
供給物の種類が何であれ、ブッシング1は、通常、白金ロジウム合金で作られ、抵抗加熱によって加熱されてガラスを再溶融させ又はそれを高温に保つ。溶融ガラスの複数のストリームがブッシング1から流れ、これらのストリームは、図示しない、デバイスによってフィラメント束2の形態で引かれて、また、ボビン3を形成させる。フィラメント束2の経路には、例えば、グラファイト製のコーティングロール4が配置され、該ロールは、ガラスフィラメントの上にサイズを付着させ、サイズは、フィラメントが接触する部材上でのフィラメントの摩擦を防止し又は制限するものである。サイズは、水性であってもよいし或いは無水(即ち、水の5重量%以下からなる)であってもよく、且つ複合ストランド6を形成するためにガラスフィラメントと組み合わされる熱可塑性フィラメント5の組成に組み込まれる化合物又は化合物の誘導体を含有する。
【0035】
また、図1は、熱可塑性フィラメント5が押し出される紡糸ヘッド7が概略的に示されている。紡糸ヘッド7には、引き出して冷却することによってフィラメント5を形成するために、紡糸ヘッド7の下に配置された多数の穴の中を圧力下で流れる粒体が供給される、図示しない、例えば、押し出し器から入ってくる、溶融、高収縮熱可塑性樹脂が供給される。フィラメントの冷却は、紡糸ヘッド7に対して適当な形状を有し且つフィラメントに垂直な層流を発生する調整デバイス8を用いて、強制的手法によって行われる。冷却用空気は、一定に保たれる流速、温度、湿度を有する。次いで、フィラメント5は、ロール9上を通り、一方では、フィラメント5をウェブ10の形態に集合させ、他方では、フィラメント5の経路を偏向させることを可能にする。
【0036】
ロール9上を通った後、熱可塑性フィラメントのウェブ10は、例えば、同じ速度で回転し又は熱可塑性フィラメントの走行方向に加速を行わせる異なる速度を有するロール12、13で形成された、延伸装置11を通る。延伸装置11は、フィラメント5を延伸させること及び設定速度をウェブ10に与えることの役割を有する。ロール12及び13の回転速度を、ドラム17への熱可塑性フィラメントの放出速度を正確に調整するように変えることが可能である。ロール12及び13を、必要に応じて、加熱システム、例えば、電気加熱システムと関連させてもよく、電気加熱システムは、ロールの表面との接触により熱可塑性フィラメントの均一且つ迅速な予熱を確保することを可能にする。延伸装置11は、好ましくは、対で機能する、より多数のロール、例えば、4つ又は6つのロールで形成されるのがよい。
【0037】
任意に予熱された熱可塑性フィラメントのウェブ10は、次いで、加熱され且つ任意にモータ駆動される偏向ロール14に向かって差し向けられ、例えば、ベンチュリシステム16及びドラム17で形成された、けん縮デバイス15へ通る。
【0038】
ベンチュリシステム16は、熱可塑性フィラメントを別々に保ち且つ熱可塑性フィラメントを適当サイズの標準のウェブとしてドラム17の上に放出することを可能にする。ベンチュリシステム16は、圧縮空気の注入によって作動し且つ更なる速度をウェブ10に与えない。このシステムは、例えば、熱風又は蒸気のような流体を用いる、加熱デバイス(図示せず)と関連し、且つけん縮性を改善するために熱可塑性フィラメントを熱可塑性樹脂の軟化点に近い温度にする役割を有する。
【0039】
ベンチュリシステム16の出口で、熱可塑性フィラメントのウェブ10がドラム17の上に放出される。ドラム17の回転速度は、放出中ウェブ10の速度よりも遅いので、フィラメントがドラムの表面と接触するときにフィラメントがけん縮する。
【0040】
ドラム17は、ドラムの幅よりも僅かに狭い幅を有する、中央溝18を備え、溝18には、多数の穴(図示せず)が開けられている。また、ドラム17は、同軸でドラムに対して動かない素子19を含み、素子19は、ドラムの内部を二つの区画室20、21に分けるために用いられる。区画室20は、区画室20を真空下にすることができる図示しないデバイス、例えば、吸引ポンプに連結され、区画室21は、区画室21を過剰圧力下にすることができる図示しないデバイス、例えば、空気注入デバイスに連結される。
【0041】
ドラム17の上に放出後、けん縮されたフィラメントのウェブ10は、真空下により、区画室20と同一水準の溝18内に保持され、且つ有孔面との単なる接触により、又は流体、例えば、水又はフィラメントにスプレーされたサイジング組成物を介して、冷却される。次いで、ウェブ10は、孔を通り抜ける圧搾空気の作用で区画室21と同一水準の、ドラム17の表面から分離される。
【0042】
次いで、ウェブ10は、偏向ロール22へ進み、それからベンチュリデバイス23の中へ進み、ベンチュリデバイス23は、けん縮された熱可塑性フィラメントを個々の形態に保持し、ついには、けん縮された熱可塑性フィラメントがウェブ24のガラスフィラメントと混合される。
【0043】
熱可塑性フィラメントのウェブ10とガラスフィラメントのウェブ24との結合は、コーティングロール4とフィラメントを複合ストランドに集合させるために用いられている素子25との間で起る。フィラメントの混合中、熱可塑性フィラメントは、ガラスフィラメントの速度と等しい速度で到着する。
【0044】
切り欠きを備えた偏向器26は、全てのフィラメントを適所に、特にエッジに沿って保持し、けん縮された熱可塑性フィラメントのウェブ10がガラスフィラメントのウェブ24に放出される瞬間にガラスフィラメントのウェブ24が受けた乱れを減じるのに役立つ。
【0045】
次いで、混ぜ合わされたけん縮された熱可塑性フィラメントとガラスフィラメントのウェブ27は、フィラメントを集合させて複合ストランド6にすることができるデバイス25へ進み、複合ストランド6は、所望の線密度を保証するために一定に保たれた所定の線速度で作動する、図示しない、引取りデバイスのおかげで直ぐにボビン3の形態に巻き取られる。
【0046】
ガラスフィラメントの引取りを可能にするこの線速度は、一般に、ドラム17によってけん縮された熱可塑性フィラメントのウェブ10に与えられる速度と等しい。それにも係わらず、ガラスフィラメントとの混合の点まで熱可塑性フィラメントをウェブの形態に保持する能力を改善すべく熱可塑性フィラメントに追加の張力を与えるために、放出中、熱可塑性フィラメントをより遅い速度でガラスフィラメントと混合することが可能である。これらの条件下で、熱可塑性フィラメントの放出速度とガラスフィラメントの引取り速度との間の差は、10%を越えない。
【0047】
図2は、本発明の第2の実施形態による装置を示す。この図では、共通のデバイス及び手段は、図1における同じ番号を付している。
【0048】
ブッシングから流れるガラスフィラメントの束2は、ボビン3を形成するデバイス(図示せず)によって引取られる。束2は、サイズをガラスフィラメントに付着させるコーティングロール4を通り、形成されたウェブ24は、ドラム17に巻かれて進む。
【0049】
紡糸ヘッド7から押し出され、調整装置8によって冷却された熱可塑性フィラメント5は、ロール9と同一水準でウェブ10に集められる。次いで、ウェブ10は、ロール12、13を有する延伸装置11に進み且つ図1におけると同じ条件下で延伸される。ロール13の後、ウェブ10は、任意に加熱され及び又はモータ駆動されるロール14に差し向けられ、且つベンチュリシステム16及びドラム17で形成されたけん縮装置15に差し向けられる。
【0050】
ベンチュリシステムでは、ウェブ10の熱可塑性フィラメントは、それらの個々の状態に保たれ且つ高いレベルのけん縮を得るのに役立つために軟化点に近い温度で加熱される。
【0051】
加熱されたウェブ10は、フィラメントの放出速度よりも遅い速度で回転するドラム17の上に放出され、ドラム17は、フィラメントをけん縮する。けん縮された熱可塑性フィラメントのウェブ10とガラスフィラメントのウェブ14の結合は、ドラム17の母線に沿って行われる。ウェブ10の放出は、ウェブ24のフィラメントがドラム17の溝18内に収容される間に起る;手順のこの方法は、ガラスフィラメントのウェブを邪魔するのを回避し、かくして前記フィラメント切れリスクを減じることを可能にする。
【0052】
熱可塑性フィラメントのウェブ24との接合の直後、けん縮された熱可塑性フィラメントは、ガラスフィラメントと混ざり合い且つ真空下の区画室20と同一水準で溝18の底に平らにされる。ドラム17に巻かれた熱可塑性フィラメントのウェブ及びガラスフィラメントが、圧搾空気の作用下にある区画室21と同一水準に達したとき、熱可塑性フィラメントのウェブ及びガラスフィラメントは、区画室の内側から来る空気圧の作用で表面から分離される。
【0053】
ウェブ27は、ロール22に進み、フィラメントを集束して複合ストランド6にするためのデバイス25に進み、複合ストランド6は、ボビン3の形態に巻き取られる。第2のデバイス25が、複合ストランドのより良好な集合を得るのに役立つためにドラム17の出口とロール22との間に配置されてもよい。
【0054】
本発明による方法を用いて得られたボビンは、ガラスフィラメントが線状であり且つ熱可塑性フィラメントが時間が経っても恒久且つ安定した仕方でけん縮された(または波形の)複合ストランドで構成される。複合ストランドの熱可塑性フィラメントのけん縮又は波形のレベルは、移動支持体への放出中、熱可塑性フィラメントに与えられるけん縮の程度に依存する。
【0055】
その上、複合ストランド内のガラスフィラメント及び熱可塑性フィラメントの分布は、均等であり、これは、フィラメントの良好な混合につながる。
【0056】
ある変更を上述した方法及び装置に適用することができる。第1には、互いに接触させられるときに比較的短時間に共重合することができる化合物を含む、水性か否か、いくつかの溶液で構成されたサイズを用いることができる。この場合、コーティングデバイスは、各々がサイジング溶液の一つをガラスフィラメントに付着させる、別々のロールを含む。また、巻き取り前に、水をガラスフィラメントから取り除くことができる、或いは少なくとも、含水量を実質的に減少させる乾燥デバイスを予想することもできる。
【0057】
また、本発明を、複雑な複合ストランド、即ち、異なる収縮を有する有機熱可塑性樹脂を含む複合ストランドの生産と組合せることもできる。このために、例えば、一つ又はそれ以上の紡糸ヘッドからの、異なる種類のフィラメントを形成し、そのフィラメントを個々の形態で、或いは組合せた後に、ガラスフィラメントの上に放出することができる。
【0058】
例1
複合ストランドを以下の条件の下に図1に記載した装置で製造した:
−熱可塑性フィラメント:
・熱可塑性物質:ポリエチレンテレフタレート(PET);
・フィラメントの数:1200フィラメント;
・線密度:359テックス(tex);
・デバイス8の流量:毎時500m3
・延伸装置の速度:毎分1500m;ロール12及び13の温度:240℃;溶融相の延伸比:1560;
・ベンチュリデバイス16の空気温度:260℃;
・ドラム17の回転速度:毎分990m;水噴霧による冷却;及び
・けん縮度:8%
けん縮度は、式100×(L−L0)/L0により測定した、ここに、L0はけん縮されたフィラメントの長さ、Lが線状にするの十分な引取り後の同じフィラメントの長さである。
−ガラスフィラメント:
・フィラメントの数:1600;
−複合ストランド:
・ガラス/熱可塑性樹脂重量比:75/25;
・線密度:1491テックス(tex);及び
・線速度(巻き取り):毎分1000m
ボビン3を、オーブンで32時間118℃で乾燥した。熱可塑性フィラメントの収縮は約6%であった。ボビンの形状は、乾燥後変わらなかった。
【0059】
例2
複合ストランドを以下の条件の下に図2に記載した装置で製造した:
−熱可塑性フィラメント:
・熱可塑性物質:ポリアミド(PA);
・フィラメントの数:1200フィラメント;
・線密度:466テックス(tex);
・デバイス8の流量:毎時400m3
・延伸装置の速度:毎分1800m;ロール12及び13の温度:180℃;溶融相での延伸比:3640;
・ベンチュリデバイス16の気温:200℃;
・ドラム17の回転速度:毎分1008m;水噴霧による冷却;及び
・けん縮度:10%
けん縮度を、式100×(L−L0)/L0により測定した、ここに、L0がけん縮されたフィラメントの長さ、Lが線状にするのに十分な引き取りされた後の同じフィラメントの長さである。
−ガラスフィラメント:
・フィラメントの数:1600;
−複合ストランド:
・ガラス/熱可塑性樹脂重量比:70/30;
・線密度:1597テックス(tex);及び
・線速度(巻き取り):毎分1008m
ボビン3を、オーブンで32時間118℃で乾燥した。熱可塑性フィラメントの収縮は約7%であった。ボビンの形状は、乾燥後変わらなかった。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】本発明による装置の概略図である。
【図2】本発明の第2の実施形態の概略図である。
【符号の説明】
【0061】
1 ブッシング
2 バンドル
3 ボビン
4 コーティングロール
5 熱可塑性フィラメント
6 複合ストランド
7 紡糸ヘッド
8 調整デバイス
9、12、13 ロール
10、24、27 ウェブ
11 延伸装置
14、22 偏向ロール
15 けん縮デバイス
16 ベンチュリシステム
17 ドラム
18 溝
19、25 素子(素子)
20、21 区画室
23 ベンチュリデバイス
26 偏向装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブッシング(1)から出る連続ガラスフィラメント(2,24)と、紡糸ヘッド(7)から出る連続有機熱可塑性フィラメント(5,10)と、を混合することによって形成される複合ストランド(6)の製造方法であって、
熱可塑性フィラメント(5)をウェブ(10)の形態でガラスフィラメントの束(2)又はウェブ(24)と混合し、
ガラスフィラメントの束(2)又はウェブ(24)の中への熱可塑性フィラメントの挿入前に、熱可塑性フィラメント(10)を延伸し、加熱し、且つ移動支持体(17)の上に放出し、
熱可塑性フィラメントの支持体(17)の上への放出中、熱可塑性フィラメントの速度を支持体(17)の走行速度よりも速くすることを特徴とする上記方法。
【請求項2】
混合は、熱可塑性フィラメント(5,10)を、コーティングロール(4)とフィラメントを集合させて複合ストランド(6)にするデバイス(25)との間でガラスフィラメント(2,24)の中に放出することによって行われることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
熱可塑性フィラメント(5,10)の放出中、熱可塑性フィラメント(5,10)の速度は、ガラスフィラメント(2,24)の引き出し速度と等しいことを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項4】
熱可塑性フィラメント(5,10)は、移動支持体(17)の上でガラスフィラメント(2,24)と混合されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項5】
支持体(17)は、ドラムであり、フィラメントの混合は、ドラムの母線に沿って行われることを特徴とする請求項4に記載の方法。
【請求項6】
連続ガラスフィラメント(2,24)と連続有機熱可塑性フィラメント(5,10)とを混合することによって複合ストランド(6)を製造するデバイスであり、一方では、ガラスが供給され、下面が多数の穴を有し、コーティングデバイス(4)と関連した少なくとも一つのブッシング(1)と、ブッシング(1)のこのブッシング(1)がされ、他方では、溶融有機熱可塑性樹脂が供給され、下面が多数の穴を備えた少なくとも一つの紡糸ヘッド(7)と、ブッシング(1)及び紡糸ヘッド(7)に共通し、複合ストランド(6)を集合し且つ引取るための手段(3,25)と、を備える上記デバイスであって、
紡糸ヘッド(7)は、ドラム(12,13)を含む種類の延伸装置(11)と、加熱手段が設けられる熱可塑性フィラメントを放出するためのデバイス(16)と、ドラム形移動支持体(17)と、熱可塑性フィラメント(95、10)をガラスフィラメント(2,24)と混合することができる手段(19、23)と、に関連されることを特徴とする上記デバイス。
【請求項7】
延伸装置(11)は、速い速度を熱可塑性フィラメント(5,10)に提供する少なくとも二つのドラム(12,13)を有することを特徴とする請求項6に記載のデバイス。
【請求項8】
ドラム(17)は、当該ドラムの内側を少なくとも二つの区画室(20,21)に分けるための素子(19)を含むことを特徴とする請求項6又は7に記載のデバイス。
【請求項9】
熱可塑性フィラメント(5,10)を放出するためのデバイス(16)は、ベンチュリシステムであることを特徴とする請求項6乃至8のいずれか一項に記載のデバイス。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2009−542922(P2009−542922A)
【公表日】平成21年12月3日(2009.12.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−502165(P2009−502165)
【出願日】平成19年3月23日(2007.3.23)
【国際出願番号】PCT/FR2007/050991
【国際公開番号】WO2007/113431
【国際公開日】平成19年10月11日(2007.10.11)
【出願人】(508076428)オーシーヴィー インテレクチュアル キャピタル リミテッド ライアビリティ カンパニー (43)
【Fターム(参考)】