説明

複合パネル及びその切断方法

【課題】切断特性が良好な複合パネルと、その切断方法を提供する。
【解決手段】複合パネル1は、基板2に対し仕上げ材3を接着剤4によって張り付けたものである。この接着剤4は硬質粒体5を含有している。基板2の材料としては、木質板又は樹脂板が好適である。仕上げ材3としては、タイル、石材、ガラスなどの無機質板が好適であり、特にタイル又は石材が好適である。硬質粒体5としては、石材の破砕物、タイル、衛生陶器、レンガなどのセラミック製品の破砕物、砂を篩分けしたものなどが好適である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タイルパネルなどの複合パネルに係り、特にダイヤモンドホイール等による切断性に優れた複合パネルに関する。また、本発明は、この複合パネルをダイヤモンドホイール等によって切断する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
セメント系ボード、合板、樹脂板などよりなる基板にタイルを接着剤によって張り付けたタイルパネルは、建築物の外装材や内装材として広く用いられている(例えば特許文献1)。
【0003】
このようなタイルパネルなどの複合パネルを施工するに際し、現場寸法に合わせて切断することがある。この切断には、ダイヤモンドホイールを用いることが多い。
【特許文献1】特開2001−132202
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
複合パネルをダイヤモンドホイールで切断する場合、基板が木質系や樹脂板であると、切り屑や木ヤニがダイヤモンドホイールなどの切断刃に付着して刃が目詰りし、切れ味が次第に低下してくる。
【0005】
本発明は、このような問題点を解決し、切断特性が良好な複合パネルと、その切断方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1の複合パネルは、基板に板状の仕上げ材を接着剤にて接着してなる複合パネルにおいて、該接着剤が硬質粒体を含有していることを特徴とするものである。
【0007】
請求項2の複合パネルは、請求項1において、前記硬質粒体はセラミック粒子又は石材粒子であり、硬質粒体の粒径が0.05〜2mmであり、接着剤中の硬質粒体の含有量が5〜70体積%であることを特徴とするものである。
【0008】
請求項3の複合パネルは、請求項1又は2において、前記仕上げ材がタイル又は石材であり、基板が木質板又は樹脂板であることを特徴とするものである。
【0009】
請求項4の複合パネルの切断方法は、請求項1ないし3のいずれか1項に記載の複合パネルを切断刃で切断することを特徴とするものである。
【0010】
請求項5の複合パネルの切断方法は、請求項4において、前記切断刃はダイヤモンドホイールであることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明の複合パネルは、仕上げ材を基板に接着する接着剤中に硬質粒体を含有させている。この複合パネルを切断刃で切断する場合、切断刃に付着する切り屑や木ヤニ等がこの硬質粒体によって削り取られる。これにより、切断刃の目詰りが防止され、複合パネルが効率よく切断される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、図面を参照して本発明について詳細に説明する。
【0013】
第1図は実施の形態に係る複合パネルの厚み方向の断面図、第2図はその一部の模式的な拡大図である。
【0014】
この複合パネル1は、基板2に対し仕上げ材3を接着剤4によって張り付けたものである。この接着剤4は硬質粒体5を含有している。複合パネル1は、内装用、外装用などのいずれでもよい。
【0015】
基板2の材料としては、木質板又は樹脂板が好適である。木質板としては合板が例示される。樹脂板としては、PE樹脂、PP樹脂などの合成樹脂板が好適であるが、これに限定されない。基板2は2種以上の板状体を積層した積層板であってもよい。このような積層板としては、アルミ板と発泡樹脂ボードとを積層したものが例示される。基板には硬質粒体を配合してもよい。
【0016】
木質板よりなる基板2の厚さは、5〜20mm程度が好適であり、樹脂板の場合は5〜20mm程度が好適であるが、これに限定されない。
【0017】
仕上げ材3としては、タイル、石材、ガラスなどの無機質板が好適であり、特にタイル又は石材が好適である。第1図では、基板2に1枚の仕上げ材3が張り付けられているように図示されているが、1枚の基板2に2枚以上の仕上げ材3が張り付けられてもよい。この場合、仕上げ材3同士は突き付けられてもよく、目地間隔をあけて配列されてもよい。後者の場合、目地には目地材を充填するのが好ましいが、空目地とされてもよい。目地材を充填する場合、この目地材にも硬質粒体を配合してもよい。
【0018】
接着剤4としては、ウレタン系、変成シリコーン系などの合成樹脂系接着剤が好適である。接着剤層の厚さは、硬質粒体の最大粒径以上であればよいが、接着剤の硬化時のズレを考えると2.5mm以下がよい。
【0019】
接着剤4に含有させる硬質粒体5としては、アルミナ、炭酸カルシウム、石材の破砕物、タイル、衛生陶器、レンガなどのセラミック製品の破砕物、砂、けい砂を篩分けしたものなどが好適である。
【0020】
硬質粒体の粒径が過度に大きいと、接着剤層の厚みが過大となり、過度に小さいと、複合パネルの切断性向上効果が乏しくなるので、硬質粒体としては粒径が0.2〜1mmの範囲にあるものが好ましい。ただし、粒径が0.2mmよりも小さい微粒子をフィラーや顔料等として含有してもよい。
【0021】
接着剤4中の硬質粒体の含有量は、過多であると接着剤の接着力が不足し、過少であると複合パネルの切断性向上効果が乏しくなるので、5〜70体積%特に10〜40体積%程度とするのが好ましい。
【0022】
このように構成された複合パネルを切断するための切断刃としてはダイヤモンドホイールが好適である。
【実施例】
【0023】
以下、実施例及び比較例について説明する。以下の実施例及び比較例では、仕上げ材として300×300×5.5mmの陶器質タイルを用いた。
【0024】
接着剤としては、ウレタン系又は変成シリコーン系の市販のタイル張り用接着剤を用いた。接着剤層の厚みは1.0mmとした。
【0025】
硬質粒体2としては、天然砂を篩分けし、最大粒径1.0mm、最小粒径0.3mm、平均粒径0.6mmとしたものを用いた。硬質粒体の配合量は表1の通りとした。
【0026】
基板としては厚さ9mmの合板又は厚さ12mmのポリプロピレン板(比重0.90)を用いた。
【0027】
切断試験には、(株)INAX製のダイヤモンドホイールを用いた。
【0028】
実施例1〜4、比較例1
基板、接着剤、硬質粒体含有率を表1の通りとし、基板にタイルを接着剤で張り付け、接着剤の硬化後、ダイヤモンドホイールにより回転数6400rpmにて切断した。複合パネルの送り速度は1200mm/分とした。
【0029】
その結果、実施例1〜4では、切断長さ10m以上にわたって、ダイヤモンドホイールに目詰りを生じさせることなく複合パネルを切断することができた。
【0030】
比較例1は、接着剤に硬質粒体を配合しなかったこと以外は実施例1〜4と同じ条件である。この比較例1では、複合パネルを7cm切断したところでダイヤモンドホイールに目詰りが生じ、実施例1〜3に比べて被切断性に劣ることが認められた。
【0031】
実施例5〜8、比較例2
接着剤を変成シリコーン系としたこと以外は実施例1〜4、比較例1と同様にして試験を行った。その結果を表1に示す。
【0032】
実施例9〜12、比較例3
基板を発泡樹脂板としたこと以外は実施例1〜4、比較例1と同様にして試験を行った。その結果を表1に示す。
【0033】
【表1】

【0034】
表1の通り、本発明例の複合パネルはダイヤモンドホイールによる切断性が良好であることが認められた。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】実施の形態に係る複合パネルの断面図である。
【図2】図1の一部の拡大図である。
【符号の説明】
【0036】
1 複合パネル
2 基板
3 仕上げ材
4 接着剤
5 硬質粒体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板に板状の仕上げ材を接着剤にて接着してなる複合パネルにおいて、
該接着剤が硬質粒体を含有していることを特徴とする複合パネル。
【請求項2】
請求項1において、前記硬質粒体はセラミック粒子又は石材粒子であり、
硬質粒体の粒径が0.05〜2mmであり、
接着剤中の硬質粒体の含有量が5〜70体積%であることを特徴とする複合パネル。
【請求項3】
請求項1又は2において、前記仕上げ材がタイル又は石材であり、基板が木質板又は樹脂板であることを特徴とする複合パネル。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれか1項に記載の複合パネルを切断刃で切断することを特徴とする複合パネルの切断方法。
【請求項5】
請求項4において、前記切断刃はダイヤモンドホイールであることを特徴とする複合パネルの切断方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2009−34899(P2009−34899A)
【公開日】平成21年2月19日(2009.2.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−200981(P2007−200981)
【出願日】平成19年8月1日(2007.8.1)
【出願人】(000000479)株式会社INAX (1,429)
【Fターム(参考)】