説明

複合光制御板

【課題】点状光源からの光を均一に分散可能な複合光制御板を提供する。
【解決手段】複合光制御板は、延在方向と直交方向に並列配置された凸状部を有する第1及び第2光制御板、等方性光拡散板が、板厚方向に第1光制御板30、第2光制御板40、等方性光拡散板50の順で配置され、第1及び第2凸状部の延在方向が直交し、凸状部の延在方向に直交する断面形状と、第1及び第2の凸状部が形成された各々の面から光を入射させた場合の第1及び第2の光制御板における各々の全光線透過率が所定の条件式を満足する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複合光制御板に関する。
【背景技術】
【0002】
直下型画像表示装置90として、例えば図11に示すように、透過型画像表示部95の背面側に光源93が配置されたものが広く用いられている。透過型画像表示部95としては、例えば液晶セル96の両面に直線偏光板97,98が配置された液晶表示パネルが挙げられる。光源93としては、直管型の冷陰極線管などのような線状光源が複数本、互いに並行に配置されて用いられている。
【0003】
かかる直下型画像表示装置90としては、光源93からの光を均一に分散させて透過型画像表示部95を均一に照明できることが望ましく、このため光源93と透過型画像表示部95との間には、光源93側から入射した光を、その向きを変えて反対側の透過型画像表示部95側から出射させる機能を有する光学素子が用いられ、このような光学素子として一枚の光制御板92が配置されて用いられている〔特許文献1:特開平7−198913号公報〕。なお、光源から93から出力された光は光制御板92により面状の光として出射されるため、光源93と光制御板92とは、面光源装置91を構成していることとなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平7−198913号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年、直管型冷陰極線管に代えて、省エネルギーの観点から、発光ダイオードを光源として用いることが検討されている。発光ダイオードは通常、点状光源であり、これを離散的に配置して用いられる。
【0006】
しかし、従来の光制御板では、発光ダイオードのような点状光源と組み合わせて直下型画像表示装置に用いると、点状光源からの光を十分に均一なものとすることができず、透過型画像表示部によって表示される画像は、点状光源の近傍と、点状光源から離れた位置とで明るさが異なるものになるという問題があった。
【0007】
そこで、本発明は、点状光源からの光を均一に分散させることが可能な複合光制御板、面光源装置、透過型画像表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る複合光制御板は、第1の凸状部が形成された第1の凸状部形成面を有しており、当該第1の凸状部が、一方向に延在すると共に当該第1の凸状部の延在方向と略直交する方向に並列して配置されている第1の光制御板と、第1の光制御板の第1の凸状部形成面から出射された光が入射する面とは反対側の面であって第2の凸状部が形成された第2の凸状部形成面を有しており、当該第2の凸状部が、第1の凸状部の延在方向と略直交する方向に延在すると共に当該第1の凸状部の並列方向と略直交する方向に並列して配置されている第2の光制御板と、第2の光制御板の第2の凸状部形成面と対向する位置に配置されており、第2の凸状部形成面から入射される光を、拡散光として出射する第1の等方性光拡散板と、を備えており、第1の凸状部及び第2の凸状部は、延在方向に直交する断面形状が以下に定義される形状にそれぞれ形成されており、第1の光制御板及び第2の光制御板の少なくとも一方における以下に定義されるTt1が、65%以上85%未満である。
【0009】
第1の凸状部の断面形状:第1の凸状部の延在方向に直交する断面において、当該第1の凸状部の並列方向に対する両端を通る軸線をu軸とし、当該u軸上において当該両端の中心を通り当該u軸に直交する軸線をv軸とし、当該第1の凸状部のu軸方向の長さをwIaとしたとき、−0.475wIa≦u≦0.475wIaの範囲において、式(1)
【数1】


〔式(1)において、vI0(u)は、式(2)
【数2】


(式(2)において、hIaは0.25wIa以上0.75wIa以下であり、kIaは−1.0以上0未満である。)
で定義される。〕
を満たしているv(u)で表される形状。
【0010】
第2の凸状部の断面形状:第2の凸状部の延在方向に直交する断面において、当該第2の凸状部の並列方向に対する両端を通る軸線をuII軸とし、当該uII軸上において当該両端の中心を通り当該uII軸に直交する軸線をvII軸とし、当該第2の凸状部のuII軸方向の長さをwIIaとしたとき、−0.475wIIa≦uII≦0.475wIIaの範囲において、式(3)
【数3】


〔式(3)において、vII0(uII)は、式(4)
【数4】


(式(4)において、hIIaは0.25wIIa以上0.75wIIa以下であり、kIIaは−1.0以上0未満である。)
で定義される。〕
を満たしているvII(uII)で表される形状。
【0011】
Tt1:第1及び第2の凸状部の各々の延在方向と直交する方向に延びる各々のスリットを通過した光を、当該第1及び第2の凸状部が形成された各々の面から入射させた場合の第1及び第2の光制御板における各々の全光線透過率。
【0012】
この構成では、第1及び第2の光制御板は、上述した断面形状の凸状部を有しているので、点状光源上にこれらを配置した場合、点状光源からの光は線状の光に変換される。本発明に係る複合光制御板では、第1及び第2の光制御板の凸状部の延在方向が互いに略直交するように配置されているので、点状光源からの光は、当該点状光源からの光であっても、第1の光制御板によって凸状部の延在方向と略直交する並列方向に沿った線状の光に変換され、次に、第2の光制御板によって当該並列方向と略直交する方向に沿った線状の光に変換される。これにより、点状光源の光を互いに略直交する方向に分散し、面状の光として出射することが可能となる。
【0013】
また、本願発明では、第1及び第2の光制御板の少なくとも一方の上記Tt1に基づく全光線透過率が65%以上85%未満である。これにより、このような条件の光制御板からは、拡散された光が出射されるようになり輝度がより均一となる。さらに、本願発明では、第2の光制御板の光出射側に第1の等方性光拡散板が配置されている。これにより、第2の光制御板を通過して得られた面状の光をより均一に分散させることができる。このように、上記複合光制御板では、点状光源の光を均一に分散し、板厚方向に直交する面での輝度均一度が高い面状の光として出射することが可能となる。
【0014】
本発明に係る複合光制御板は、第1の等方性光拡散板において、第1の光制御板と対向する面から光を入射させた場合の全光線透過率をTt2、第1の光制御板と対向する面から光を入射させた場合のヘイズをHとしたとき、下記式(5)
【数5】


を満たしていてもよい。
【0015】
この構成では、第1の等方性光制御板から出射される光が十分に拡散されるので、上記複合光制御板は、点状光源の光を、より均一に分散し、板厚方向に直交する面での輝度均一度がより高い面状の光として出射することが可能となる。
【0016】
本発明に係る面光源装置は、上記複合光制御板と、互いに離間して配置されており、複合光制御板を構成する第1の光制御板の第1の凸状部形成面とは反対側の面に光を供給する複数の光源と、を備えていてもよい。
【0017】
この構成では、上記の複合光制御板を備えているので、点状光源の光を均一に分散し、板厚方向に直交する面での輝度均一度が高い面状の光として出射することが可能となる。
【0018】
本発明に係る透過型画像表示装置は、上記の複合光制御板と、互いに離間して配置されており、複合光制御板を構成する第1の光制御板の第1の凸状部形成面とは反対側の面に光を供給する複数の光源と、複数の光源から出力され複合光制御板を通過した光によって照明される透過型画像表示部と、を備えていてもよい。
【0019】
この構成では、上記の複合光制御板を備えているので、点状光源の光を、均一に分散し、板厚方向に直交する面での輝度均一度が高い面状の光を生成し、透過型画像表示部を照明することができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明に係る複合光制御板、面光源装置、透過型画像表示装置によれば、点状光源からの光を均一に分散させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本実施形態に係る透過型画像表示装置の構成を模式的に示す斜視図である。
【図2】図1に示した透過型画像表示装置に用いられる光拡散板ユニットの斜視図である。
【図3】第1の光拡散板が有する凸状部の断面形状の例を示す図面である。
【図4】第1の光拡散板が有する凸状部の断面形状が満たす条件を示す図面である。
【図5】第2の光拡散板が有する凸状部の断面形状が満たす条件を示す図面である。
【図6】全光線透過率の取得方法を説明するための模式図である。
【図7】光拡散板の全光線透過率の取得方法を説明するための模式図である。
【図8】本実施例に係るバックライト装置を示した側面図、平面図である。
【図9】実施例1を説明するための断面図、平面図である。
【図10】本実施例及び比較例に係る各光拡散板ユニットの輝度均一度評価の結果を示す図表である。
【図11】従来の透過型画像表示装置の構成を模式的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、同一または相当要素には同一符号を付し、重複する説明は省略する。また、図面の寸法比率は、説明のものと必ずしも一致していない。
【0023】
〔透過型画像表示装置〕
透過型画像表示装置1は、図1に示すように、透過型画像表示部10と、透過型画像表示部10の背面側に配置された面光源装置20とを備えている。以下の説明では、図1に示すように、面光源装置20と透過型画像表示部10の配列方向をz方向(板厚方向)と称し、z方向に直交する方向であって互いに直交する2方向をx方向及びy方向と称す。
【0024】
透過型画像表示部10としては、例えば液晶セル11の両面に直線偏光板12,13が配置された液晶表示パネルが挙げられる。この場合、透過型画像表示装置1は液晶表示装置(又は液晶テレビ)である。液晶セル11及び偏光板12,13は、従来の液晶表示装置等の透過型画像表示装置1で用いられているものを用いることができる。液晶セル11としてはTFT(Thin Film Transistor)型、STN(Super TwistedNematic)型等の公知の液晶セルが例示される。
【0025】
面光源装置20は、いわゆる直下型の面光源装置である。面光源装置20は、図1に示すように、光拡散板ユニット(複合光制御板)21と、光拡散板ユニット21の背面側に配置された複数の点状光源22と、を含んでいる。
【0026】
〔光拡散板ユニット21〕
光拡散板ユニット21は、図2に示すように、z方向に沿って、点状光源22側から順に配置された第1の光拡散板(第1の光制御板)30、第2の光拡散板(第2の光制御板)40、及び第1の等方性光拡散板50を備えている。光拡散板ユニット21を構成する第1及び第2の光拡散板30,40と、第1の等方性光拡散板50とにおける平面視形状(図1及び図2におけるz方向からみた形状)はほぼ同一であり、通常、長方形である。第1及び第2の光拡散板30,40と、第1の等方性光拡散板50とにおける平面視形状のサイズは、目的とする透過型画像表示装置1の画面サイズに適合するように選択されるが、通常は250mm×440mm以上、好ましくは1020mm×1800mm以下である。第1及び第2の光拡散板30,40と、第1の等方性光拡散板50とにおける平面視形状は、長方形に限らず、正方形としてもよいが、以下では、特に断らない限り、長方形として説明する。以下、これらの第1及び第2の光拡散板30,40、第1の等方性光拡散板50について順に説明する。
【0027】
〔第1の光拡散板〕
第1の光拡散板30は、図2に示すように、略平坦な下面(第1の凸状部形成面とは反対側の面)31と、第2の光拡散板40側に凸である凸状部(第1の凸状部)33が複数形成された上面(第1の凸状部形成面)32とを有する板状体である。下面31に入射した光は、上面32から出射可能である。ここでは、「板」と称しているが、厚さが1mm以上のシート状であってもよいし、1mm未満のフィルム状であってもよい。また、第1の光拡散板30の下面31は通常、平坦面であるが、鏡面であっても良いし、全面に亙って光拡散性を有する面であっても良い。
【0028】
凸状部33は、y方向に略並行な方向X11に延びており、延在方向X11に略直交する方向X12に並列配置されている。延在方向X11及び並列方向X12はそれぞれy方向及びx方向に並行であることが好ましいが、例えば製造誤差等により±10°程度ずれていてもよい。複数の凸状部33の断面形状は、凸状部33間でほぼ同一である。また、凸状部33の延在方向において、断面形状はほぼ均一である。隣接する2つの凸状部33,33の端33aは並列方向X12において同じ位置にある。第1の光拡散板30の厚さd1は、下面31と凸状部33の頂部33bとのz方向の距離であり、通常は0.1mm以上5mm以下である。最も光源22側に近い位置に配置される第1の光拡散板30としては、厚さが1mm以上のシートのものが望ましい。
【0029】
〔第1の光拡散板の凸状部〕
第1の光拡散板30が有する凸状部33の形状について、図3及び図4を用いて説明する。図3及び図4においては、凸状部33の延在方向X11に直交する並列方向X12をu軸としてu座標系を設定している。ここで、u軸は複数の凸状部33の並列方向に並行な軸(x軸)(図2参照)に対応する。v軸は、第1の光拡散板30の厚み方向に並行な軸(z軸)(図2参照)に対応する。このu座標系のu面において、凸状部33の断面形状は、両端33aI,33aIがu軸上に位置する。
【0030】
凸状部33の断面形状は、下記式(6)を満足するv(u)で表される。
【数6】


〔式(6)において、vI0(u)は、式(7)
【数7】


を満たす。〕
【0031】
Iaは上記のとおり凸状部33のu軸方向の長さであり、hIaは凸状部33をvI0(u)で示される形状とした場合における凸状部33の両端33a,33a間における最大高さに対応する。図3では、hIaが0.525wIaであり、kIaが−0.400であって、v(u)=vI0(u)の場合を示している。この場合に、凸状部33の断面形状は、v軸に対して対称な輪郭線を有している。ただし、当該輪郭線は、図4に示すように、ある幅wIaに対してvI0(u)を求めた場合に、0.95×vI0(u)で示される輪郭線と、1.05×vI0(u)で示される輪郭線の間の領域を通る輪郭線であればよい。換言すれば、式(6)において、任意の位置unに対するv(un)は、位置unにおける凸状部33の高さに対応する。よって、任意の位置unに対するv(un)が、0.95vI0(un)以上1.05vI0(un)を満たしていればよい。
【0032】
なお、凸状部33の両端部近傍での製造誤差及び強度分布に与える影響を考慮して、凸状部33の断面形状は、−0.475wIa≦u≦0.475wIaにおいて、式(6)を満たすv(u)で表されていればよい。
【0033】
凸状部33の幅wIaは、凸状部33の形成が容易であることから、通常40μm以上、好ましくは250μm以上であり、凸状部33に起因する模様が肉眼で視認されにくいことから、通常800μm以下、好ましくは450μm以下である。幅wIaとして具体的には、wIa=410μm、wIa=400μm及びwIa=325μmが例示できるが、wIaの値はこれに限定されるものではない。
【0034】
凸状部33は、上記式(7)におけるhIaは0.4wIa以上0.7wIa以下であることが好ましく、kIaは−0.5以上であることが好ましい。
【0035】
Ia及びkIaとしては、
(A)hIaが0.4825wIa以上0.521wIa以下であり、kIaが−0.232以上−0.227以下であるか、
(B)hIaが0.5966wIa以上0.6837wIa以下であり、kIaが−0.075以上−0.069以下であるか、または、
(C)hIaが0.525wIaであり、kIaが−0.4であることがさらに好ましい。
【0036】
Ia及びkIaが上記(A)で示される凸状部33の形状として具体的には、例えばhIa=0.521wIa、kIa=−0.229で示される形状、hIa=0.521wIa、kIa=−0.227で示される形状、hIa=0.4825wIa、kIa=−0.232で示される形状が挙げられる。
【0037】
上記(B)で示される凸状部33の形状として具体的には、例えばhIa=0.5966wIa、kIa=−0.075で示される形状、hIa=0.6837wIa、kIa=−0.069で示される形状が挙げられる。
【0038】
〔第2の光拡散板〕
第2の光拡散板40は、略平坦な下面(第2の凸状部形成面とは反対側の面)41と、第1の等方性光拡散板50側に凸である凸状部(第2の凸状部)43が複数形成された上面(第2の凸状部形成面)42とを有する板状体である。下面41から入射した光は、上面42から出射可能である。ここでは、「板」と称しているが、厚さが1mm以上のシート状であってもよいし、1mm未満のフィルム状であってもよい。また、第2の光拡散板40の下面41は通常、平坦面であるが、鏡面であっても良いし、全面に亙って光拡散性を有する面であっても良い。
【0039】
凸状部43は、x方向に略並行な方向(延在方向)X21に延びており、延在方向X21に略直交する方向(並列方向)X22に並列配置されている。延在方向X21及び並列方向X22はそれぞれx方向及びy方向に並行であることが好ましいが、例えば製造誤差等により±10°程度ずれていてもよい。複数の凸状部43の断面形状は、凸状部43間でほぼ同一である。また、凸状部43の延在方向X21において、断面形状はほぼ均一である。隣接する2つの凸状部43,43の端43aは並列方向X22において同じ位置にある。第2の光拡散板40の厚さd2は、下面41と凸状部43の頂部43bとのz方向の距離であり、通常は0.1mm以上5mm以下である。
【0040】
〔第2の光拡散板の凸状部〕
第2の光拡散板40が有する凸状部43の形状について、図5を用いて説明する。図5においては、凸状部43の延在方向X21に直交する並列方向X22をuII軸としてuIIII座標系を設定している。ここで、uII軸は複数の凸状部43の並列方向に平行な軸(y軸)(図2参照)に対応する。vII軸は、第2の光拡散板40の厚み方向に平行な軸(z軸)(図2参照)に対応する。このuIIII座標系のuIIII面において、凸状部43の断面形状は、両端43aII,43aIIがuII軸上に位置し、頂部43bIIがvII軸上に位置する。
【0041】
凸状部43の断面形状は、下記式(8)を満足するvII(uII)で表される。
【数8】


〔式(8)において、vII0(uII)は、式(9)
【数9】


を満たす。〕
【0042】
IIaは上記のとおり凸状部43のuII軸方向の長さであり、hIIaは凸状部43をvII0(uII)で示される形状とした場合における凸状部43の両端43aII,43aII間における最大高さに対応する。図5では、hIIaが0.525wIIaであり、kIIaが−0.400であってvII(uII)=vII0(uII)の場合を示している。この場合、凸状部43の断面形状は、vII軸に対して対称な輪郭線を有している。ただし、当該輪郭線は、図5に示すように、ある幅wIIaに対してvII0(uII)を求めた場合に、0.95×vII0(uII)で示される輪郭線と、1.05×vII0(uII)で示される輪郭線の間の領域を通る輪郭線であればよい。換言すれば、式(8)において、任意の位置unに対するvII(uIIn)は、位置uIInにおける凸状部43の高さに対応する。よって、任意の位置uIInに対するvII(uIIn)が、0.95vII0(uIIn)以上1.05vII0(uIIn)を満たしていればよい。
【0043】
なお、凸状部43の両端部近傍での製造誤差及び強度分布に与える影響を考慮して、凸状部43の断面形状は、−0.475wIIa≦uII≦0.475wIIaにおいて、式(8)を満たすvII(uII)で表されていればよい。
【0044】
式(9)において、好ましい凸状部43のwIIa、hIIa、kIIaは、上述した第1の光拡散板30の凸状部33のwIa、hIa、kIaと同様である。
【0045】
〔第1及び第2の光拡散板の構成材料〕
第1及び第2の光拡散板30,40は透明材料からなる。透明材料の屈折率は通常1.46〜1.62である。透明材料としては、透明樹脂材料、透明ガラス材料が例示でき、透明樹脂材料としては、PMMA(ポリメタクリル酸メチル樹脂)(屈折率1.49)、シクロオレフィン樹脂(屈折率1.51〜1.55)、ポリカーボネート樹脂(屈折率:1.59)、MS樹脂(メタクリル酸メチル−スチレン共重合体樹脂)(屈折率:1.56〜1.59)、ポリスチレン樹脂(屈折率:1.59)、AS樹脂(アクリロニトリル−スチレン共重合体樹脂)(屈折率:1.56〜1.59)、アクリル系紫外線硬化樹脂(屈折率:1.46〜1.58)などが例示され、コストの面及び吸水率が低い点で、好ましくはポリスチレン樹脂である。
【0046】
透明材料として透明樹脂材料を用いる場合、この透明樹脂材料に紫外線吸収剤、帯電防止剤、酸化防止剤、加工安定剤、難燃剤、滑剤などの添加剤を添加することもできる。これらの添加剤はそれぞれ単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0047】
紫外線吸収剤としては、例えばベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン計紫外線吸収剤、シアノアクリレート系紫外線吸収剤、マロン酸エステル系紫外線吸収剤、シュウ酸アニリド系紫外線吸収剤、トリアジン系紫外線吸収剤などが挙げられ、好ましくはベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、トリアジン系紫外線吸収剤である。
【0048】
透明樹脂材料には、光拡散剤を添加することもできる。光拡散剤として通常は、光拡散板を構成する透明材料とは屈折率が異なる粉末が用いられ、これを透明材料中に分散させて用いられる。このような光拡散剤としては、例えばスチレン樹脂粒子、メタクリル樹脂粒子などの有機粒子、炭酸カリウム粒子、シリカ粒子などの無機粒子が用いられ、その粒子径は通常0.8μm以上50μm以下である。
【0049】
〔第1及び第2の光拡散板の層構成〕
第1及び第2の光拡散板30,40は、単独の透明材料で構成された単層板であってもよいし、互いに異なる透明材料で構成された層が積層された構造の多層板であってもよい。第1及び第2の光拡散板30,40が多層板である場合、当該光拡散板の片面または両面は、通常10μm以上200μm以下、好ましくは20μm以上100μm以下の厚みのスキン層が形成された構造とし、このスキン層を構成する透明樹脂材料として紫外線吸収剤が添加されたものを用いることが好ましい。かかる構成とすることにより、点状光源22や外部からの光に含まれることのある紫外線による第1及び第2の光拡散板30,40の劣化を防止することができ、特に点状光源22として紫外線の占める割合が比較的大きいものを用いた場合には、紫外線による劣化を防止できることから、下面31,41にスキン層が形成されていることが好ましく、このとき上面32,42にはスキン層が形成されていないことが、コストの面でさらに好ましい。スキン層を構成する透明樹脂材料として紫外線吸収剤が添加されたものを用いる場合、その含有量は、透明樹脂材料を基準として通常0.5質量%以上5質量%以下、好ましくは1質量%以上2.5質量%以下である。
【0050】
第1及び第2の光拡散板30,40は、片面または両面に帯電防止剤が塗布されていてもよい。この帯電防止剤を塗布することにより、静電気によるホコリの付着などを防止して、ホコリの付着による光線透過率の低下を防止することができる。
【0051】
〔第1及び第2の光拡散板の全光線透過率〕
第1及び第2の光拡散板30,40における下記に示す第1の全光線透過率Tt1は、65%以上85%未満である。
【0052】
第1及び第2の光拡散板30,40における第1の全光線透過率Tt1は、JIS K7361−1(1997年)に準拠して測定されるものである。具体的には、第1の全光線透過率Tt1は、図6に模式的に示すように、光源71と測定対象である第1及び第2の光拡散板30,40との間にスリット72を設け、光源71から出力されスリット72を通った光を第1及び第2の光拡散板30,40に照射し、積分球73で受光した当該透過光に基づいて測定される。その際、測定対象となる第1及び第2の光拡散板30,40は、図7に示すように、スリット72の開放部の長辺方向X31と、凸状部33,43の延在方向X11,X21とを互いに直交させると共に、凸状部33,43が形成された面(第1及び第2の凸状部形成面)31,41を光源71に向けて配置される。
【0053】
本実施形態のように、第1及び第2の光拡散板30,40における第1の全光線透過率Tt1は、第1及び第2の光拡散板30,40の両方が65%以上85%未満であることが望ましいが、第1及び第2の光拡散板30,40の一方のみを65%以上85%未満としてもよい。この場合には、第1の光拡散板40の第1の全光線透過率Tt1を当該範囲に設定することが好ましい。
【0054】
また、第1及び第2の光拡散板30,40の第1の全光線透過率Tt1は、75%以上80%未満であることが、並列方向X12,X22へ光を拡散させる効果を阻害し過ぎない点において好適である。なお、第1及び第2の光拡散板30,40の第1の全光線透過率Tt1は、例えば上記光拡散剤を添加することにより調整することができる。
【0055】
〔第1及び第2の光拡散板の製造〕
第1及び第2の光拡散板30,40は、例えば透明材料から削り出す方法により製造することができる。また、透明材料として透明樹脂材料を用いる場合は、例えば射出成形法、押出成形法、フォトポリマー法、プレス成形法などの通常の方法により製造することができる。
【0056】
〔第1の等方性光拡散板〕
第1の等方性光拡散板50は、共に略平坦な下面(第2の光制御板と対向する面)51及び上面52を有する板状体である。第1の等方性光拡散板50は、下面51に入射した光を等方的に散乱させながら上面52から出射しうる光学素子であって、例えば透明材料中に光拡散剤が分散されたもの、透明材料からなる基材の表面に光拡散剤を塗布したもの、透明材料からなる基材の表面に微細な円形凸レンズを形成したものが挙げられる。また、第1の等方性光拡散板50の厚さ(第1の等方性光拡散板50の下面51から上面52までの距離)d3は、通常は0.1mm以上5mm以下であり、1mm未満のフィルム状であってもよいし、1mm以上のシート状であってもよい。また、透明材料及び光拡散剤としては、第1及び第2の光拡散板30,40において挙げたものと同様のものが挙げられる。
【0057】
〔第1の等方性光拡散板における透過率とヘイズとの関係〕
第1の等方性光拡散板50は、下記に示す第2の全光線透過率Tt2とヘイズHとに基づいたH/Tt2が下記式(10)を満たしている。
【数10】

【0058】
第1の等方性光拡散板50における第2の全光線透過率Tt2は、JIS K7361−1(1997年)に準拠して測定されるものである。具体的には、第2の全光線透過率Tt2は、光源71から出力された光を第1の等方性光拡散板50に照射し、積分球73で受光した当該透過光に基づいて測定される。その際、測定対象となる第1の等方性光拡散板50は、光拡散板ユニット21として第1の等方性光拡散板50を配置したときに、点状光源22に向けられる面51(図2参照)を光源71に向けて配置される。
【0059】
ヘイズHは、全光線透過率Ttに対する拡散光線透過率Tdの比として定義される。ヘイズHは、JIS K7136(2000年)に準拠して測定され、第1の等方性光拡散板50の下面51から光を照射して測定されたものである。
【0060】
〔光拡散板ユニットの配置〕
光拡散板ユニット21を構成する第1の光拡散板30、第2の光拡散板40、及び第1の等方性光拡散板50は、互いに固定することなく、単に重ね合わされているだけであってもよい。また、光拡散板ユニット21は、これらを構成する各部材の位置が互いに移動することによって、第1及び第2の光拡散板30,40における凸状部33,43の頂部33b,43bや、第2の光拡散板40における下面41及び等方性光拡散板50における下面51が損傷することを防止するために、例えば縁部において、互いに接着してもよい。
【0061】
第1の光拡散板30と第2の光拡散板40とは、通常、空気層を介して重ね合わされており、図2に示すように、その間隔d12(第1の光拡散板30の上面32に形成された凸状部33の頂部33bから、第2の光拡散板40の下面41までの距離)は、通常0.5mm以下である。光拡散板ユニット21をコンパクトなものとする観点から、この空気層を介した間隔d12が0mmであってもよい。すなわち、第1の光拡散板30に形成された凸状部33の頂部33bが、第2の光拡散板40の下面41に接していてもよい。
【0062】
第2の光拡散板40と第1の等方性光拡散板50とについても、上記と同様に、通常、空気層を介して重ね合わされており、図2に示すように、その間隔d23(第2の光拡散板40の上面42に形成された凸状部43の頂部43bから、第1の等方性光拡散板50の下面51までの距離)は、通常0.5mm以下である。光拡散板ユニット21をコンパクトなものとする観点から、この空気層を介した間隔d23が0mmであってもよい。すなわち、第2の光拡散板40に形成された凸状部43の頂部43bが、第1の等方性光拡散板50の下面51に接していてもよい。
【0063】
〔点状光源〕
点状光源22は、互いに離間して配置されており、光拡散板ユニット21を構成する第1の光拡散板30の下面31に光を供給する。点状光源22としては、LED(発光ダイオード)などが好ましい。
【0064】
複数の点状光源22は、図1に示すように、x方向に等間隔Lx及びy方向に等間隔Ly(図示せず)で配置することができる。間隔Lxと間隔Lyとは、同じ間隔であってもよいし、どちらか一方が長くてもよい。間隔Lx及び間隔Lyは、点状光源22の発光部間の距離とすることができ、通常10mm以上150mm以下である。また、光拡散板ユニット21では、点状光源22から第1の光拡散板30の下面31までの光源距離D1が、通常3mm以上50mm以下となるように、点状光源22と第1の光拡散板30とが配置される。透過型画像表示装置1又は面光源装置20では、Lx,Ly及びDについて、Lx/D及びLy/Dがそれぞれ2以上、さらには2.5以上であることが、面光源装置20を薄くすることができる点で好ましい。
【0065】
また、第1の光拡散板30から出射される光をより遠くに到達させることができるという観点から、点状光源22の配置間隔Lx又はLyが長いほど、すなわちLx/D又はLy/Dの値が大きいほど、第1の光拡散板30の凸状部33の断面形状を示す上記式(7)におけるkIaが0に近く、且つhIaが0.75wIaに近いことが好ましい。同様の観点から、点状光源22の配置間隔Lx又はLyが短いほど、すなわちLx/D又はLy/Dの値が小さいほど、第1の光拡散板30の凸状部33の断面形状を示す上記式(7)におけるkIaが−1に近く、且つhIaが0.25wIaに近いことが好ましい。
【0066】
点状光源22としてのLED光源を採用する場合、LED光源としては、様々な出光分布を持つものがあるが、LED光源の法線方向(出光方向の正面)に対して、40度から80度方向の光度が最大となる出光分布を持つものが、面内の光を均一にし易いという点において、好ましく用いられる。LED光源のタイプとしては具体的に、ランバーシアン型、砲弾型、サイドエミッション型などが挙げられる。
【0067】
次に、光拡散板ユニット21の作用効果について、図1に示すような光拡散板ユニット21を含む面光源装置20が透過型画像表示装置に適用されている場合を例にして説明する。この構成では、第1及び第2の光拡散板30,40は、上述した断面形状の凸状部33,43を有しているので、点状光源22上にこれらをそれぞれ配置した場合、点状光源22からの光は線状の光に変換される。本実施形態に係る光拡散板ユニット21では、図2に示すように、点状光源22上に、第1及び第2の光拡散板30,40の凸状部33,43の延在方向X11,X21が互いに略直交するように配置されている。このため、点状光源22からの光は、第1の光拡散板30によって並列方向X12に沿った線状の光に変換された後、第2の光拡散板40によって、上述の並列方向X12と直交する並列方向X22に沿った線状の光に変換される。これにより、点状光源22の光を互いに略直交する方向に分散し、面状の光として出射することが可能となる。
【0068】
さらに本実施形態に係る光拡散板ユニット21では、第1の光拡散板30の第1の全光線透過率Tt1が65%以上85%未満であるので、第1の光拡散板30に入射する光は拡散されて輝度が均一なX12方向の線状の光に変換される。そして、第2の光拡散板40の第1の全光線透過率Tt1が65%以上85%未満であるので、第2の光拡散板40に入射する光は拡散されて輝度が均一なX22方向の線状の光に変換される。また、第2の光拡散板40の光出射側に第1の等方性光拡散板50が配置されているので、第2の光拡散板40から出射された輝度が均一な面状の光は、第1の等方性光拡散板50によって拡散され、より輝度が均一な面状の光に変換される。これにより、面(xy平面)内方向において輝度がより均一な光に変換することができる。このように、上記光拡散板ユニット21は、点状光源22の光を、均一に分散し、z方向に直交する面(xy平面)での輝度均一度が高い面状の光として出射することが可能となる。
【0069】
また、本実施形態に係る光拡散板ユニット21では、第1の等方性光拡散板50における第2の全光線透過率Tt2及びヘイズHに基づくH/Tt2が1.0以上であるので、第1の等方性光拡散板50から出射される光が十分に拡散される。これにより、上記光拡散板ユニット21では、点状光源22の光を、より均一に分散し、z方向に直交する面(xy平面)での輝度均一度がより高い面状の光として出射することが可能となる。
【実施例】
【0070】
以下、実施例1〜5及び比較例1〜8を、主に図8〜図10を参照しながら説明する。図8(A)及び図8(B)は、それぞれ本実施例に係るバックライト装置を示した側面図、平面図である。図9(A)及び図9(B)は、それぞれ実施例1を説明するための断面図、平面図である。図10は、各本実施例及び各比較例の各実施条件及びその輝度均一度評価結果を示す図表である。
【0071】
本実施例では、以下に示すものを最初に準備した。
<樹脂シートの原料>
光拡散板230の原料として、以下に示す2種類の透光性樹脂A,Bを用意した。
(1)透光性樹脂A
スチレン樹脂(東洋スチレン製「HRM40」、屈折率1.59)
(2)透光性樹脂B
MS樹脂(新日鐵化学製「MS200NT」、屈折率1.57、スチレン/メタクリル酸メチル=80質量部/20質量部)
【0072】
<光拡散板、等方性光拡散板>
以下に示す光拡散板240,260、等方性光拡散板250,270を用意した。
(1)光拡散板240(SHARP製液晶TV(LC−20E5)に使用されているレンズフィルム)
(2)等方性光拡散板250(大日本印刷製「D121UZ」)
(3)光拡散板260(大日本印刷製「PM6」)
(4)等方性光拡散板270(大日本印刷製「D121UY」)
【0073】
等方性光拡散板250,270における第2の全光線透過率Tt2、ヘイズH、及びH/Tt2は、以下のとおりであった。なお、第2の全光線透過率Tt2及びヘイズHは、それぞれJIS K7361−1(1997年)及びJIS K 7136(2000年)に準拠したヘイズメータHM−150型((株)村上色彩技術研究所製)を用いて測定した値を指している。
<等方性光拡散板250>
第2の全光線透過率Tt2:69.5(%)
ヘイズH:95.2(%)
H/Tt2:1.37
<等方性光拡散板270>
第2の全光線透過率Tt2:67.8(%)
ヘイズH:95.0(%)
H/Tt2:1.40
【0074】
光拡散板240,260におけるTt1、ピッチw(wIIa)及び凸部の高さh(hIIa)、k(kIIa)は、それぞれ以下のとおりであった。
<光拡散板240>
第1の全光線透過率Tt1:91.8(%)
ピッチw:170(μm)
凸部の高さh:81.26(μm)
:−0.13〜−0.07
<光拡散板260>
第1の全光線透過率Tt1:92.8(%)
ピッチw:50(μm)
凸部の高さh:25(μm)
:0
【0075】
<点状光源>
点状光源として以下に示すLED光源102を用意した。
LED光源:GoldenDragon W5KM(OSRAM製)
<バックライト装置>
バックライト装置として、図8(A)及び図8(B)に示すような、高輝度白色反射フィルムの貼付された基盤103上に1個のLED光源102を取り付け、LED光源102の周辺に反射率100%のミラー板104を配置したバックライト装置101を用意した。また、バックライト装置101は、下記に示す実施例1〜実施例5及び比較例1〜8毎に、バックライト装置におけるミラー板104同士の内面距離L1及び高さD1を調整した。なお、内面距離L1は、上記実施形態における光源間隔Lx,Lyに対応するので、以下、光源間隔L1と称し、高さD1は、上記実施形態における光源距離Dに対応するので、以下、光源距離D1と称す。そして、このバックライト装置101に、1/4W、250Ωの抵抗を取り付けて、電圧12V、電流1Aを印加して点灯させた。
【0076】
(実施例1)
実施例1においては、透光性樹脂A及び透光性樹脂Bを基に、以下に示すように、光拡散剤マスターバッチA及び光拡散剤マスターバッチBをそれぞれ準備した。
【0077】
<光拡散剤マスターバッチA>
透光性樹脂Aに拡散剤と紫外線吸収剤とをドライブレンドした後、スクリュー径65mmの2軸押出機のホッパーに投入し、シリンダー内で溶融混合した後、ストランド状に押出してペレット化することにより、ペレット状の光拡散剤マスターバッチAを作製した。なお、シリンダー内の温度は、下流に行くほど徐々に高温となるように設定(例えばホッパーの下部が200℃、押出ダイ付近が250℃)して押出しを行った。
【0078】
<光拡散剤マスターバッチB>
透光性樹脂Bに拡散剤と紫外線吸収剤とをドライブレンドした後、スクリュー径65mmの2軸押出機のホッパーに投入し、シリンダー内で溶融混合した後、ストランド状に押出してペレット化することにより、ペレット状の光拡散剤マスターバッチBを作製した。なお、シリンダー内の温度は、下流に行くほど徐々に高温となるように設定(例えばホッパーの下部が200℃、押出ダイ付近が250℃)して押出しを行った。
【0079】
<光拡散板の製造>
透光性樹脂Aに光拡散剤マスターバッチAをドライブレンドした後、シリンダー内の温度が190〜250℃の第1押出機で溶融混練して、フィードブロックに供給した。一方、光拡散剤マスターバッチBをシリンダー内の温度が190〜250℃の第2押出機で溶融混練して、フィードブロックに供給した。これにより、上記第1押出機からフィードブロックに供給される樹脂が中間層(基層)となり、上記第2押出機からフィードブロックに供給される樹脂が表層(凸状部形成面側)となるように押出樹脂温度250℃でマルチマニホールドダイより共押出成形を行い、ポリシングロールで挟圧と冷却を行うことによって、厚さ1.5mmの2層の積層板(中間層1.45mm、表層0.05mm×1)からなる光拡散板230を作製した。
【0080】
光拡散板230の製造時にポリシングロールの表面に形状を施すことで、光拡散板230の一方の面に複数の凸状部(図示せず)を転写し表面形状部を形成した。転写された凸状部は、ピッチw(wIa)が325μmで等間隔に光拡散板230の全面に配列し、その高さh(hIa)が165.75(0.51w)μmであった。
【0081】
上記のようにして作製した光拡散板230の第1の全光線透過率Tt1は、80%であった。第1の全光線透過率Tt1は、JIS K7361−1(1997年)に準拠したヘイズメータHM−150型((株)村上色彩技術研究所製)を用いて測定した値を指している。具体的な測定方法は、上述したとおり、光拡散板230の凸状部が形成された面側を、第1の全光線透過率Tt1の測定に用いられるヘイズメータに内蔵されている光源に向けると共に、光源と、光拡散板230との間にスリットを設けた。そして、光源から出力されスリットを通った光を光拡散板230に照射してその透過光を積分球で受光した。このとき、スリットの開放部の長辺方向と、凸状部の延在方向とが並行になるように配置して測定を行った。
【0082】
<輝度均一度評価法>
実施例1において準備したバックライト装置101の光源間隔L1及び光源距離D1は、それぞれ35mm、15mmである。図9(A)に示すように、当該バックライト装置101の前面101A側を上側に向け、後面101B側を床面Fに配置してLED光源102を点灯させた。そして、以下の条件(i)〜(iii)で重ね合わされた光拡散板ユニット220でバックライト装置101の開放面101Aを塞いだ。
(i)第1の部材としての光拡散板230、第2の部材としての光拡散板240、及び第3の部材としての等方性光拡散板250を、上下方向において下からこの順番で重ね合わせた。
(ii)光拡散板230及び光拡散板240は、凸状部が形成された面が上面となるように重ね合わせた。
(iii)光拡散板230が有する凸状部の延在方向である第1方向X11(図9(B)参照)と、光拡散板240が有する凸状部の延在方向である第1方向X21(図9(B)参照)とが互いに直交するように重ね合わせた。
【0083】
しかる後、このように重ね合わされた光拡散板ユニット220の前面220Aにおける面内の輝度を輝度測定計(株式会社アイ・システム製「Eye Scale−3WS」)を用いて以下の(1)〜(4)に従って測定した。当該輝度測定計は、CCDカメラで画像をとらえた範囲の輝度を測定し、評価・解析する装置である。
【0084】
(1)恒温恒湿(温度25.0℃、湿度50.0%)の暗室内で測定した。
(2)光拡散板ユニット220の前面220Aにおける面が全て映りこむように、第3の部材としての等方性光拡散板250の上面から輝度測定計におけるCCDカメラ280までの距離D280を40.0cmとした。
(3)光拡散板ユニット220の前面220Aにおける中央部Cを中心とした35mm×35mmの範囲を測定範囲として指定した。
(4)図9(B)に示すように、上記測定範囲について、X方向に1mm間隔で35箇所、Y方向に1mm間隔で35箇所、合計1225(35×35)箇所の測定スポットS11〜S35 35を設定し、当該測定スポットの輝度をそれぞれ測定した。ここで、X方向は、第1方向X11に対応し、Y方向は、第1方向X21に対応する。
【0085】
次に、各測定スポットで測定された輝度に基づいて算出される以下の指標U1〜U4について評価した。各指標の評価方法については以下のとおりである。
【0086】
指標U1:上記1225箇所の測定スポットにおいて、X方向へ並ぶ35個の測定スポットSm1〜Sm 35について、一行ごとに輝度平均値Mを算出した。これにより、Y方向に並ぶに35個の輝度平均値M〜M35が算出される。次に、このように算出された輝度平均値の中から、最大値「C2」と、Y方向における測定範囲の中心に対応する輝度平均値(一方の端部から17番目の行M17の輝度平均値)「C3」とを抽出した。このようにして抽出された「C3」に対する「C2」の割合(C3/C2×100)が95%以下であれば、U1の評価を×とする。なお、このU1は、光源直上付近においてX方向に沿って輝度が低くなっていないかを評価している。
【0087】
指標U2:上記1225箇所の測定スポットにおいて、Y方向へ並ぶ35個の測定スポット一列ごとに輝度平均値Nを算出した。これにより、X方向に35個の輝度平均値N〜N35が算出される。次に、このように算出された輝度平均値の中から、最大値「C2」と、X方向における測定範囲の中心に対応する輝度平均値(一方の端部から17番目の列N17の輝度平均値)「C3」とを抽出した。このようにして抽出された「C3」に対する「C2」の割合(C3/C2×100)が95%以下であれば、U2の評価を×とする。なお、このU2は、光源直上付近においてY方向に沿って輝度が低くなっていないかを評価している。
【0088】
指標U3:上記1225箇所の測定スポットにおいて、X方向へ並ぶ35個の測定スポットSm1〜Sm 35について、一行ごとに輝度平均値Mを算出した。これにより、Y方向に並ぶ35個の輝度平均値M〜M35が算出される(図10(B)参照)。次に、このように算出された輝度平均値の中から、最小値「C1」と、最大値となる「C2」と、Y方向における測定範囲の中心部に対応する輝度平均値(一方の端部から17番目の行M17の輝度平均値)「C3」とを抽出した。このようにして抽出された「C1」〜「C3」に基づいて、(((C1+(C2−C1)/2+C1)/2)/C3)×100(%)の値を算出する。そして、当該値が大きいほどX方向おける輝度均一度がよいと評価する。
【0089】
指標U4:上記1225箇所の測定スポットにおいて、Y方向へ並ぶ35個の測定スポットS1n〜S35 nについて、一列ごとに輝度平均値Nを算出した。これにより、X方向に並ぶ35個の輝度平均値N〜N35が算出される(図10(B)参照)。次に、このように算出された輝度平均値の中から、最小値「C1」と、最大値となる「C2」と、X方向における測定範囲の中心部に対応する輝度平均値(一方の端部から17番目の列N17の輝度平均値)「C3」とを抽出した。このようにして抽出された「C1」〜「C3」に基づいて、(((C1+(C2−C1)/2+C1)/2)/C3)×100(%)の値を算出する。そして、当該値が大きいほどY方向における輝度均一度がよいと評価する。
【0090】
以上に説明した実施例1における光拡散板ユニット220の構成及び指標U1〜U4の評価結果を図10の図表に示す。
【0091】
(実施例2)
バックライト装置101の光源間隔L1を39mmとした以外は、実施例1と同様に光拡散板ユニット220を構成し、実施例1と同様の方法で輝度均一度を評価した。実施例2における指標U1〜U4の評価結果を図10の図表に示す。なお、光源間隔L1を39mmに変更したことに伴い、測定範囲及び測定スポットの数をそれぞれ39mm×39mm、1521(39×39)箇所とした。
【0092】
(実施例3)
バックライト装置101の光源間隔L1及び光源距離D1をそれぞれ39mm、13.5mmとした以外は、実施例1と同様に光拡散板ユニット220を構成し、実施例1と同様の方法で輝度均一度を評価した。実施例3における指標U1〜U4の評価結果を図10の図表に示す。
【0093】
(実施例4)
第1の部材としての光拡散板230の凸状部について、ピッチw(wIa)が235μm、高さh(hIa)が105.75(0.45w)μm、kが−0.105以上−0.095以下、第1の全光線透過率Tt1を75%とした点以外は、実施例1と同様に光拡散板ユニット220を構成し、実施例1と同様の方法で輝度均一度を評価した。実施例4における指標U1〜U4の評価結果を図10の図表に示す。
【0094】
(比較例1及び比較例2)
第1の部材としての光拡散板230の第1の全光線透過率Tt1を85%とした点以外は、実施例2及び実施例3のそれぞれと同様に光拡散板ユニットを構成し、それぞれ実施例2及び実施例3と同様の方法で輝度均一度を評価した。比較例1及び比較例2における指標U1〜U4それぞれの評価結果を図10の図表に示す。
【0095】
(比較例3)
第1の部材としての光拡散板230の凸状部について、ピッチw(wIa)が325μm、高さh(hIa)が165.75(0.51w)μm、k(kIa)が−0.232以上−0.227以下とし、第2の部材として等方性光拡散板270、第3の部材として等方性光拡散板270、第4の部材として等方性光拡散板250を使用した光拡散板ユニットを構成し、実施例1と同様の方法で輝度均一度を評価した。比較例3における指標U1〜U4の評価結果を図10の図表に示す。
【0096】
(比較例4)
第1の部材としての光拡散板230の凸状部について、ピッチw(wIa)が325μm、高さh(hIa)が165.75(0.51w)μm、k(kIa)が−0.232以上−0.227以下とし、第2の部材として光拡散板260、第3の部材として等方性光拡散板250を使用した光拡散板ユニットを構成し、実施例1と同様の方法で輝度均一度を評価した。比較例4における指標U1〜U4の評価結果を図10の図表に示す。
【0097】
(評価結果)
L1/D1毎、w,h,k毎に実施例と比較例とを比較した。例えば、第1の部材としての光拡散板230の凸状部の形状がw=325μm、h=165.75(0.51w)μm,k=−0.232〜−0.227であって、L1/D1=2.60である実施例2と比較例1との輝度均一度評価結果を比較すると、実施例2における指標U2の評価が×であることが確認された。また、光拡散板230の凸状部の形状が同様であり、L1/D1=2.89である実施例3と比較例2における輝度均一度評価結果を比較しても、実施例における指標U2の評価が×であることが確認できた。
【0098】
これにより、第1の部材として上記第1の全光線透過率Tt1が85%未満であり、所定の形状を有する光拡散板230を使用することは、点状光源からの光をX方向及びY方向に均一に分散させる効果が大きいことと同時に、光源直上付近の輝度が低下することを抑制できることが確認できた。
【0099】
また、例えば、第1の部材としての光拡散板230の凸状部の形状がw=325μm、h=165.75(0.51w)μm,k=−0.232〜−0.227であって、L1/D1=2.33である実施例1の輝度均一度評価結果と、比較例3の輝度均一度評価結果とを比較すると、比較例3における指標U4の評価が相対的に低いことが確認された。これにより、第2の部材として光拡散板240を配置することはY方向に光を分散させる効果が大きいことが確認できた。
【0100】
また、例えば、第1の部材としての光拡散板230の凸状部の形状がw=325μm、h=165.75(0.51w)μm,k=−0.232〜−0.227であって、L1/D1=2.33である実施例1と比較例4との輝度均一度評価結果を比較すると、実施例4における指標U2の評価が×であることが確認された。これにより、第2の部材としてkが0未満の形状を有する光拡散板240を使用することは、点状光源からの光をX方向及びY方向に均一に分散させる効果が大きいことと同時に、光源直上付近の輝度が低下することを抑制できることも確認できた。
【0101】
また、例えば、第1の部材としての光拡散板230の凸状部の形状がw=235μm、h=105.75(0.45w)μm,k=−0.105〜−0.095であって、L1/D1=2.60である実施例4は、その輝度均一度評価結果から、U1及びU2の評価が○であり、実施例2と同等のU3及びU4の評価が得られることが確認できた。
【0102】
以上、実施例について説明したが、本発明は、上記実施例に限定されるものではない。また、本発明は上記実施形態に限られるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0103】
1…透過型画像表示装置、10…透過型画像表示部、11…液晶セル、12,13…偏光板、20…面光源装置、21…光拡散板ユニット(複合光制御板)、22…点状光源、30…第1の光拡散板(第1の光制御板)、31…下面(第1の凸状部形成面とは反対側の面)、32…上面(第1の凸状部形成面)、33…凸状部(第1の凸状部)、40…第2の光拡散板(第2の光制御板)、41…下面(第2の凸状部形成面とは反対側の面)、42…上面(第2の凸状部形成面)、43…凸状部、50…第1の等方性光拡散板、51…下面(第2の凸状部形成面と対向する面)、52…上面、71…光源、72…スリット、73…積分球、101…バックライト装置、102…光源、103…基盤、104…ミラー板、220…光拡散板ユニット(複合光制御板)、230…光拡散板(光制御板)、240…光拡散板(光制御板)、250…等方性光拡散板、260…光拡散板(光制御板)、270…等方性光拡散板、280…カメラ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の凸状部が形成された第1の凸状部形成面を有しており、当該第1の凸状部が、一方向に延在すると共に当該第1の凸状部の延在方向と略直交する方向に並列して配置されている第1の光制御板と、
前記第1の光制御板の前記第1の凸状部形成面から出射された光が入射する面とは反対側の面であって第2の凸状部が形成された第2の凸状部形成面を有しており、当該第2の凸状部が、前記第1の凸状部の延在方向と略直交する方向に延在すると共に当該第1の凸状部の並列方向と略直交する方向に並列して配置されている第2の光制御板と、
前記第2の光制御板の前記第2の凸状部形成面と対向する位置に配置されており、前記第2の凸状部形成面から入射される光を、拡散光として出射する第1の等方性光拡散板と、
を備えており、
前記第1の凸状部及び前記第2の凸状部は、延在方向に直交する断面形状が以下に定義される形状にそれぞれ形成されており、
前記第1の光制御板及び前記第2の光制御板の少なくとも一方における以下に定義されるTt1が、65%以上85%未満である複合光制御板。
第1の凸状部の断面形状:前記第1の凸状部の延在方向に直交する断面において、当該第1の凸状部の並列方向に対する両端を通る軸線をu軸とし、当該u軸上において当該両端の中心を通り当該u軸に直交する軸線をv軸とし、当該第1の凸状部のu軸方向の長さをwIaとしたとき、−0.475wIa≦u≦0.475wIaの範囲において、式(1)
【数1】


〔式(1)において、vI0(u)は、式(2)
【数2】


(式(2)において、hIaは0.25wIa以上0.75wIa以下であり、kIaは−1.0以上0未満である。)
で定義される。〕
を満たしているv(u)で表される形状。
第2の凸状部の断面形状:前記第2の凸状部の延在方向に直交する断面において、当該第2の凸状部の並列方向に対する両端を通る軸線をuII軸とし、当該uII軸上において当該両端の中心を通り当該uII軸に直交する軸線をvII軸とし、当該第2の凸状部のuII軸方向の長さをwIIaとしたとき、−0.475wIIa≦uII≦0.475wIIaの範囲において、式(3)
【数3】


〔式(3)において、vII0(uII)は、式(4)
【数4】


(式(4)において、hIIaは0.25wIIa以上0.75wIIa以下であり、kIIaは−1.0以上0未満である。)
で定義される。〕
を満たしているvII(uII)で表される形状。
Tt1:前記第1及び第2の凸状部の各々の延在方向と直交する方向に延びる各々のスリットを通過した光を、当該第1及び第2の凸状部が形成された各々の面から入射させた場合の前記第1及び第2の光制御板における各々の全光線透過率。
【請求項2】
前記第1の等方性光拡散板において、前記第1の光制御板と対向する面から光を入射させた場合の全光線透過率をTt2、前記第1の光制御板と対向する面から光を入射させた場合のヘイズをHとしたとき、下記式(5)
【数5】


を満たしている、請求項1に記載の複合光制御板。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の複合光制御板と、
互いに離間して配置されており、前記複合光制御板を構成する前記第1の光制御板の前記第1の凸状部形成面とは反対側の面に光を供給する複数の光源と、
を備えている、面光源装置。
【請求項4】
請求項1又は2に記載の複合光制御板と、
互いに離間して配置されており、前記複合光制御板を構成する前記第1の光制御板の前記第1の凸状部形成面とは反対側の面に光を供給する複数の光源と、
前記複数の光源から出力され前記複合光制御板を通過した光によって照明される透過型画像表示部と、
を備えている、透過型画像表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−99413(P2012−99413A)
【公開日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−247815(P2010−247815)
【出願日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【出願人】(000002093)住友化学株式会社 (8,981)
【Fターム(参考)】