説明

複合半透膜又は膜エレメントの保存方法

【課題】 長期間保存した場合でも膜性能が低下しにくい複合半透膜又は膜エレメントの保存方法を提供することを目的とする。
【解決手段】 多孔性支持体上にポリアミド系樹脂を含むスキン層を有する複合半透膜の保存方法において、少なくともスキン層を脂環式ジアミン含有水溶液に接触させた状態で保存することを特徴とする複合半透膜の保存方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多孔性支持体上にポリアミド系樹脂を含むスキン層を有する複合半透膜又は該複合半透膜をエレメント容器に収納した膜エレメントの保存方法に関する。かかる複合半透膜又は膜エレメントは、超純水の製造、かん水または海水の脱塩などに好適であり、また染色排水や電着塗料排水などの公害発生原因である汚れなどから、その中に含まれる汚染源あるいは有効物質を除去・回収し、排水のクローズ化に寄与することができる。また、食品用途などで有効成分の濃縮、浄水や下水用途等での有害成分の除去などの高度処理に用いることができる。
【背景技術】
【0002】
現在、複合半透膜としては、多官能芳香族アミンと多官能芳香族酸ハロゲン化物との界面重合によって得られるポリアミドからなるスキン層が多孔性支持体上に形成されたものが多く提案されている(特許文献1)。また、多官能芳香族アミンと多官能脂環式酸ハロゲン化物との界面重合によって得られるポリアミドからなるスキン層が多孔性支持体上に形成されたものも提案されている(特許文献2)。
【0003】
上記複合半透膜は、高い塩阻止性能および水透過性能を有するが、さらに膜性能を向上させることを目的として、作製した複合半透膜に各種の後処理を行うことが提案されている。
【0004】
例えば、実用的な透水性と優れた塩阻止性および耐酸化剤性を併せ持つ複合半透膜を提供することを目的として、作製した複合半透膜を酸化剤水溶液に接触させる方法が提案されている(特許文献3)。
【0005】
また、透水性及び塩排除率の両方を希望の水準に向上させることを目的として、ポリアミド活性層を多官能性3級アルコールアミン水溶液に接触させる方法が提案されている(特許文献4)。
【0006】
また、液体分離膜から効率的に未反応残存物を除去することを目的として、液体分離膜を、界面活性剤、一価又は多価アルコール、又は有機酸とトリアルキルアミンとの塩を含む水溶液に接触させる方法が提案されている(特許文献5)。
【0007】
さらに、流量の減少防止を目的として、複合膜を分子量1000以下の糖類溶液に浸漬する方法が提案されている(特許文献6)。
【0008】
一方、上記複合半透膜や、該複合半透膜をエレメント容器に収納した膜エレメントは、通常、製造後から使用前まで純水浴中で保存されるが、長期間保存すると膜性能、特に水透過性能(透過流束)が低下するという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開平2−187135号公報
【特許文献2】特開昭61−42308号公報
【特許文献3】特開2003−80042号公報
【特許文献4】特表2008−505765号公報
【特許文献5】特開2000−24470号公報
【特許文献6】特開2000−117074号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、長期間保存した場合でも膜性能が低下しにくい複合半透膜又は膜エレメントの保存方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意検討を重ねた結果、下記保存方法を採用することにより、長期間保存した場合でも複合半透膜又は膜エレメントの膜性能が低下(経時劣化)しにくくなることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0012】
すなわち、本発明は、多孔性支持体上にポリアミド系樹脂を含むスキン層を有する複合半透膜の保存方法において、少なくともスキン層を脂環式ジアミン含有水溶液に接触させた状態で保存することを特徴とする複合半透膜の保存方法、に関する。
【0013】
また、本発明は、多孔性支持体上にポリアミド系樹脂を含むスキン層を有する複合半透膜をエレメント容器に収納した膜エレメントの保存方法において、少なくともスキン層を脂環式ジアミン含有水溶液に接触させた状態で保存することを特徴とする膜エレメントの保存方法、に関する。
【0014】
スキン層を脂環式ジアミン含有水溶液に接触させた状態で保存することにより膜性能、特に透過流束の低下を抑制できる理由は明らかではないが、水溶液中の脂環式ジアミンが、ポリアミドの末端官能基と未反応の多官能アミン成分との過剰反応を阻害し、スキン層の密度上昇が抑制されたためと考えられる。
【0015】
前記脂環式ジアミンは、ビス型脂環式ジアミンであることが好ましく、特にビス(4−アミノシクロヘキシル)メタンであることが好ましい。ビス型脂環式ジアミン、特にビス(4−アミノシクロヘキシル)メタンを用いると、透過流束の低下をより効果的に抑制することができる。
【0016】
前記脂環式ジアミン含有水溶液中の脂環式ジアミンの濃度は、10ppm〜1500ppmであることが好ましい。脂環式ジアミンの濃度が低すぎると透過流束の低下を抑制し難くなり、一方、濃度が高すぎると脂環式ジアミンがスキン層に付着しやすくなるため透過流束が低下する傾向にある。
【0017】
前記多孔性支持体がエポキシ樹脂多孔体である場合には、長期間保存後の透過流束の低下抑制効果が顕著である。その理由は明らかではないが、水溶液中の脂環式ジアミンが、エポキシ樹脂の末端官能基と未反応の多官能アミン成分との過剰反応を阻害し、エポキシ樹脂多孔体の密度上昇が抑制されたためと考えられる。
【0018】
特に、多孔性支持体がエポキシ樹脂多孔体である複合半透膜を、ビス型脂環式ジアミン、特にビス(4−アミノシクロヘキシル)メタンを含有する水溶液に接触させた状態で保存した場合には、驚くべきことに保存前よりも透過流束が向上する傾向にある。
【0019】
前記ポリアミド系樹脂の原料成分である多官能アミン成分が芳香族多官能アミンである場合には、長期間保存後の透過流束の低下抑制効果が顕著である。水溶液中の脂環式ジアミンが、未反応の芳香族多官能アミンの過剰反応を阻害し、それにより透過流束の低下が抑制されたためと考えられる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態について説明する。本発明の複合半透膜は、多孔性支持体上にポリアミド系樹脂を含むスキン層を有する。当該複合半透膜は、多官能アミン成分と多官能酸ハライド成分とを反応させてなるポリアミド系樹脂を含むスキン層を多孔性支持体の表面に形成することにより製造することができる。
【0021】
多官能アミン成分とは、2以上の反応性アミノ基を有する多官能アミンであり、芳香族、脂肪族及び脂環式の多官能アミンが挙げられる。
【0022】
芳香族多官能アミンとしては、例えば、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、o−フェニレンジアミン、1,3,5−トリアミノベンゼン、1,2,4−トリアミノベンゼン、3,5−ジアミノ安息香酸、2,4−ジアミノトルエン、2,6−ジアミノトルエン、N,N’−ジメチル−m−フェニレンジアミン、2,4−ジアミノアニソール、アミドール、キシリレンジアミン等が挙げられる。
【0023】
脂肪族多官能アミンとしては、例えば、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、トリス(2−アミノエチル)アミン、N−フェニル−エチレンジアミン等が挙げられる。
【0024】
脂環式多官能アミンとしては、例えば、1,3−ジアミノシクロヘキサン、1,2−ジアミノシクロヘキサン、1,4−ジアミノシクロヘキサン、ピペラジン、2,5−ジメチルピペラジン、4−アミノメチルピペラジン等が挙げられる。
【0025】
これらの多官能アミンは1種で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。高塩阻止性能のスキン層を得るためには、芳香族多官能アミンを用いることが好ましい。
【0026】
多官能酸ハライド成分とは、反応性カルボニル基を2個以上有する多官能酸ハライドである。
【0027】
多官能酸ハライドとしては、芳香族、脂肪族及び脂環式の多官能酸ハライドが挙げられる。
【0028】
芳香族多官能酸ハライドとしては、例えば、トリメシン酸トリクロライド、テレフタル酸ジクロライド、イソフタル酸ジクロライド、ビフェニルジカルボン酸ジクロライド、ナフタレンジカルボン酸ジクロライド、ベンゼントリスルホン酸トリクロライド、ベンゼンジスルホン酸ジクロライド、クロロスルホニルベンゼンジカルボン酸ジクロライド等が挙げられる。
【0029】
脂肪族多官能酸ハライドとしては、例えば、プロパンジカルボン酸ジクロライド、ブタンジカルボン酸ジクロライド、ペンタンジカルボン酸ジクロライド、プロパントリカルボン酸トリクロライド、ブタントリカルボン酸トリクロライド、ペンタントリカルボン酸トリクロライド、グルタリルハライド、アジポイルハライド等が挙げられる。
【0030】
脂環式多官能酸ハライドとしては、例えば、シクロプロパントリカルボン酸トリクロライド、シクロブタンテトラカルボン酸テトラクロライド、シクロペンタントリカルボン酸トリクロライド、シクロペンタンテトラカルボン酸テトラクロライド、シクロヘキサントリカルボン酸トリクロライド、テトラハイドロフランテトラカルボン酸テトラクロライド、シクロペンタンジカルボン酸ジクロライド、シクロブタンジカルボン酸ジクロライド、シクロヘキサンジカルボン酸ジクロライド、テトラハイドロフランジカルボン酸ジクロライド等が挙げられる。
【0031】
これら多官能酸ハライドは1種で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。高塩阻止性能のスキン層を得るためには、芳香族多官能酸ハライドを用いることが好ましい。また、多官能酸ハライド成分の少なくとも一部に3価以上の多官能酸ハライドを用いて、架橋構造を形成するのが好ましい。
【0032】
ポリアミド系樹脂を含むスキン層の性能を向上させるために、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸などのポリマー、ソルビトール、グリセリンなどの多価アルコールなどを共重合させてもよい。
【0033】
スキン層を支持する多孔性支持体は、スキン層を支持しうるものであれば特に限定されず、通常平均孔径10〜500Å程度の微孔を有する限外濾過膜が好ましく用いられる。多孔性支持体の形成材料としては、例えば、ポリスルホン、ポリエーテルスルホンのようなポリアリールエーテルスルホン、ポリイミド、ボリフッ化ビニリデンなど種々のものをあげることができるが、特に化学的、機械的、熱的に安定である点からポリスルホン、ポリアリールエーテルスルホンが好ましく用いられる。かかる多孔性支持体の厚さは、通常約25〜125μm、好ましくは約40〜75μmであるが、必ずしもこれらに限定されるものではない。なお、多孔性支持体は織布、不織布等による裏打ちにて補強されていてもよい。
【0034】
また、多孔性支持体としてエポキシ樹脂多孔体を用いてもよい。本発明の保存方法は、多孔性支持体がエポキシ樹脂多孔体である場合に特に有効である。以下、エポキシ樹脂多孔体の製造方法について説明する。
【0035】
エポキシ樹脂多孔体の原料としては、エポキシ樹脂、硬化剤、及びポロゲンを含むエポキシ樹脂組成物を用いる。
【0036】
エポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、臭素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールAD型エポキシ樹脂、スチルベン型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ジアミノジフェニルメタン型エポキシ樹脂、及びテトラキス(ヒドロキシフェニル)エタンベースなどのポリフェニルベースエポキシ樹脂、フルオレン含有エポキシ樹脂、トリグリシジルイソシアヌレート、複素芳香環(例えば、トリアジン環など)を含有するエポキシ樹脂などの芳香族エポキシ樹脂;脂肪族グリシジルエーテル型エポキシ樹脂、脂肪族グリシジルエステル型エポキシ樹脂、脂環族グリシジルエーテル型エポキシ樹脂、脂環族グリシジルエステル型エポキシ樹脂などの非芳香族エポキシ樹脂が挙げられる。これらは1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0037】
これらのうち、均一な三次元網目状骨格と均一な空孔を形成するため、また耐薬品性や膜強度を確保するために、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、臭素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールAD型エポキシ樹脂、フルオレン含有エポキシ樹脂、及びトリグリシジルイソシアヌレートからなる群より選択される少なくとも1種の芳香族エポキシ樹脂;脂環族グリシジルエーテル型エポキシ樹脂、及び脂環族グリシジルエステル型エポキシ樹脂からなる群より選択される少なくとも1種の脂環族エポキシ樹脂を用いることが好ましい。特に、エポキシ当量が6000以下で、融点が170℃以下であるビスフェノールA型エポキシ樹脂、臭素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールAD型エポキシ樹脂、フルオレン含有エポキシ樹脂、及びトリグリシジルイソシアヌレートからなる群より選択される少なくとも1種の芳香族エポキシ樹脂;エポキシ当量が6000以下で、融点が170℃以下である脂環族グリシジルエーテル型エポキシ樹脂、及び脂環族グリシジルエステル型エポキシ樹脂からなる群より選択される少なくとも1種の脂環族エポキシ樹脂を用いることが好ましい。
【0038】
硬化剤としては、例えば、芳香族アミン(例えば、メタフェニレンジアミン、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジフェニルスルホン、ベンジルジメチルアミン、ジメチルアミノメチルベンゼンなど)、芳香族酸無水物(例えば、無水フタル酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸など)、フェノール樹脂、フェノールノボラック樹脂、複素芳香環含有アミン(例えば、トリアジン環含有アミンなど)などの芳香族硬化剤;脂肪族アミン類(例えば、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、イミノビスプロピルアミン、ビス(ヘキサメチレン)トリアミン、1,3,6−トリスアミノメチルヘキサン、ポリメチレンジアミン、トリメチルヘキサメチレンジアミン、ポリエーテルジアミンなど)、脂環族アミン類(イソホロンジアミン、メンタンジアミン、N−アミノエチルピペラジン、3,9−ビス(3−アミノプロピル)2,4,8,10−テトラオキサスピロ(5,5)ウンデカンアダクト、ビス(4−アミノ−3−メチルシクロヘキシル)メタン、ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン、これらの変性品など)、ポリアミン類とダイマー酸からなる脂肪族ポリアミドアミンなどの非芳香族硬化剤が挙げられる。これらは1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0039】
これらのうち、均一な三次元網目状骨格と均一な空孔を形成するため、また膜強度と弾性率を確保するために、分子内に一級アミンを2つ以上有するメタフェニレンジアミン、ジアミノジフェニルメタン、及びジアミノジフェニルスルホンからなる群より選択される少なくとも1種の芳香族アミン硬化剤;分子内に一級アミンを2つ以上有するビス(4−アミノ−3−メチルシクロヘキシル)メタン、及びビス(4−アミノシクロヘキシル)メタンからなる群より選択される少なくとも1種の脂環族アミン硬化剤を用いることが好ましい。
【0040】
また、エポキシ樹脂と硬化剤の組み合わせとしては、芳香族エポキシ樹脂と脂環族アミン硬化剤の組み合わせ、又は脂環族エポキシ樹脂と芳香族アミン硬化剤の組み合わせが好ましい。これらの組み合わせにより、得られるエポキシ樹脂多孔体の耐熱性が高くなり、複合半透膜の多孔性支持体として好適に用いられる。
【0041】
ポロゲンとは、エポキシ樹脂及び硬化剤を溶かすことができ、かつエポキシ樹脂と硬化剤が重合した後、反応誘起相分離を生ぜしめることが可能な溶剤をいい、例えば、メチルセロソルブ、エチルセロソルブなどのセロソルブ類、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートなどのエステル類、及びポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールなどのグリコール類などが挙げられる。これらは1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0042】
これらのうち、均一な三次元網目状骨格と均一な空孔を形成するために、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、分子量600以下のポリエチレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、及びプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを用いることが好ましく、特に分子量200以下のポリエチレングリコール、及びプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを用いることが好ましい。
【0043】
また、個々のエポキシ樹脂又は硬化剤と常温で不溶又は難溶であっても、エポキシ樹脂と硬化剤との反応物が可溶となる溶剤についてはポロゲンとして使用可能である。このようなポロゲンとしては、例えば臭素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン社製「エピコート5058」)などが挙げられる。
【0044】
エポキシ樹脂多孔体の空孔率、平均孔径、孔径分布などは、使用するエポキシ樹脂、硬化剤、ポロゲンなどの原料の種類や配合比率、及び反応誘起相分離時における加熱温度や加熱時間などの反応条件により変化するため、目的とする空孔率、平均孔径、孔径分布を得るために系の相図を作成して最適な条件を選択することが好ましい。また、相分離時におけるエポキシ樹脂架橋体の分子量、分子量分布、系の粘度、架橋反応速度などを制御することにより、エポキシ樹脂架橋体とポロゲンとの共連続構造を特定の状態で固定し、安定した多孔構造を得ることができる。
【0045】
また、エポキシ樹脂多孔体を構成する全炭素原子に対する芳香環由来の炭素原子比率が0.1〜0.65の範囲になるように、エポキシ樹脂及び硬化剤の種類と配合割合を決定することが好ましい。上記値が0.1未満の場合には、エポキシ樹脂多孔体の特性である分離媒体の平面構造の認識性が低下する傾向にある。一方、0.65を超える場合には、均一な三次元網目状骨格を形成することが困難になる。
【0046】
また、エポキシ樹脂に対する硬化剤の配合割合は、エポキシ基1当量に対して硬化剤当量が0.6〜1.5であることが好ましい。硬化剤当量が0.6未満の場合には、硬化体の架橋密度が低くなり、耐熱性、耐溶剤性などが低下する傾向にある。一方、1.5を超える場合には、未反応の硬化剤が残留したり、架橋密度の向上を阻害する傾向にある。なお、上述した硬化剤の他に、目的とする多孔構造を得るために、溶液中に硬化促進剤を添加してもよい。硬化促進剤としては、公知のものを使用することができ、例えば、トリエチルアミン、トリブチルアミンなどの三級アミン、2−フェノール−4−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェノール−4,5−ジヒドロキシイミダゾールなどのイミダゾール類などが挙げられる。
【0047】
エポキシ樹脂多孔体の平均孔径は0.01〜0.4μmであることが好ましく、該平均孔径に調整するためには、エポキシ樹脂、硬化剤、及びポロゲンの総重量に対してポロゲンを40〜80重量%用いることが好ましい。ポロゲンの量が40重量%未満の場合には平均孔径が小さくなりすぎたり、空孔が形成されなくなる傾向にある。一方、ポロゲンの量が80重量%を超える場合には平均孔径が大きくなりすぎて均一なスキン層を多孔体上に形成することができなくなったり、塩阻止率が著しく低下する傾向にある。エポキシ樹脂多孔体の平均孔径は、0.05〜0.2μmであることが好ましい。そのためにはポロゲンを60〜70重量%用いることがより好ましく、特に好ましくは60〜65重量%である。
【0048】
また、エポキシ樹脂多孔体の平均孔径を0.01〜0.4μmに調整する方法として、エポキシ当量の異なる2種以上のエポキシ樹脂を混合して用いる方法も好適である。その際、エポキシ当量の差は100以上であることが好ましい。
【0049】
また、エポキシ樹脂多孔体の平均孔径は、全体のエポキシ当量とポロゲンの割合、硬化温度などの諸条件を適宜設定することにより目的の範囲に調整できる。
【0050】
前記エポキシ樹脂多孔体は、例えば、以下の方法で作製することができる。
【0051】
1)エポキシ樹脂、硬化剤、及びポロゲンを含むエポキシ樹脂組成物を基板上に塗布し、その後、塗布したエポキシ樹脂組成物を加熱してエポキシ樹脂を三次元架橋させる。その際に、エポキシ樹脂架橋体とポロゲンとの相分離により共連続構造が形成される。その後、得られたエポキシ樹脂シートからポロゲンを洗浄除去し、乾燥することにより、三次元網目状骨格と連通する空孔とを有するエポキシ樹脂多孔体を作製する。使用する基板は特に制限されず、例えば、プラスチック基板、ガラス基板、及び金属板などが挙げられる。
【0052】
2)エポキシ樹脂、硬化剤、及びポロゲンを含むエポキシ樹脂組成物を基板上に塗布し、その後、塗布したエポキシ樹脂組成物上に別の基板を被せてサンドイッチ構造体を作製する。なお、基板間に一定の厚みを設けるために、基板の四隅にスペーサー(例えば、両面テープ)を設けておくことが好ましい。そして、該サンドイッチ構造体を加熱してエポキシ樹脂を三次元架橋させる。その際に、エポキシ樹脂架橋体とポロゲンとの相分離により共連続構造が形成される。その後、得られたエポキシ樹脂シートを取り出し、ポロゲンを洗浄除去し、乾燥することにより、三次元網目状骨格と連通する空孔とを有するエポキシ樹脂多孔体を作製する。使用する基板は特に制限されず、例えば、プラスチック基板、ガラス基板、及び金属板などが挙げられるが、特にガラス基板を用いることが好ましい。
【0053】
3)エポキシ樹脂、硬化剤、及びポロゲンを含むエポキシ樹脂組成物を所定形状のモールド内に充填し、その後、加熱してエポキシ樹脂を三次元架橋させて、円筒状又は円柱状樹脂ブロックを作製する。その際に、エポキシ樹脂架橋体とポロゲンとの相分離により共連続構造が形成される。その後、該ブロックを円筒軸又は円柱軸を中心に回転させながら該ブロックの表面を所定厚みで切削して長尺状のエポキシ樹脂シートを作製する。そして、エポキシ樹脂シート中のポロゲンを洗浄除去し、乾燥することにより、三次元網目状骨格と連通する空孔とを有するエポキシ樹脂多孔体を作製する。
【0054】
エポキシ樹脂組成物を加熱する際の条件は特に制限されないが、温度は100〜150℃程度であり、加熱時間は10分〜5時間程度である。加熱処理後にエポキシ樹脂架橋体の架橋度を高めるためにポストキュアを行ってもよい。
【0055】
得られたエポキシ樹脂シートからポロゲンを除去するために用いられる溶剤としては、例えば、水、DMF、DMSO、THF、及びこれらの混合溶剤などが挙げられ、ポロゲンの種類に応じて適宜選択する。
【0056】
ポロゲンを除去したエポキシ樹脂多孔体の乾燥条件は特に制限されないが、温度は40〜120℃程度であり、乾燥時間は0.2〜3時間程度である。
【0057】
エポキシ樹脂多孔体の厚さは特に制限されないが、強度、実用的な透水性及び塩阻止性の観点から50〜250μm程度である。また、エポキシ樹脂多孔体は織布、不織布などで裏面を補強してもよい。
【0058】
ポリアミド系樹脂を含むスキン層を多孔性支持体の表面に形成する方法は特に制限されず、あらゆる公知の手法を用いることができる。例えば、界面縮合法、相分離法、薄膜塗布法などが挙げられる。界面縮合法とは、具体的に、多官能アミン成分を含有するアミン水溶液と、多官能酸ハライド成分を含有する有機溶液とを接触させて界面重合させることによりスキン層を形成し、該スキン層を多孔性支持体上に載置する方法や、多孔性支持体上で前記2種の溶液を接触させて界面重合させることによりスキン層を多孔性支持体上に直接形成する方法である。かかる界面縮合法の条件等の詳細は、特開昭58−24303号公報、特開平1−180208号公報等に記載されており、それらの公知技術を適宜採用することができる。
【0059】
本発明においては、多官能アミン成分を含むアミン水溶液からなる水溶液被覆層を多孔性支持体上に形成し、次いで多官能酸ハライド成分を含有する有機溶液と水溶液被覆層とを接触させて界面重合させることによりスキン層を形成する方法が好ましい。
【0060】
前記界面重合法において、アミン水溶液中の多官能アミン成分の濃度は特に制限されないが、0.1〜5重量%であることが好ましく、より好ましくは0.5〜2重量%である。多官能アミン成分の濃度が0.1重量%未満の場合にはスキン層にピンホール等の欠陥が生じやすくなり、また塩阻止性能が低下する傾向にある。一方、多官能アミン成分の濃度が5重量%を超える場合には、多官能アミン成分が多孔性支持体中に浸透しやすくなったり、膜厚が厚くなりすぎて透過抵抗が大きくなるため透過流束が低下する傾向にある。
【0061】
前記有機溶液中の多官能酸ハライド成分の濃度は特に制限されないが、0.01〜5重量%であることが好ましく、より好ましくは0.05〜3重量%である。多官能酸ハライド成分の濃度が0.01重量%未満の場合には、未反応多官能アミン成分が残留しやすくなったり、スキン層にピンホール等の欠陥が生じやすくなって塩阻止性能が低下する傾向にある。一方、多官能酸ハライド成分の濃度が5重量%を超える場合には、未反応多官能酸ハライド成分が残留しやすくなったり、膜厚が厚くなりすぎて透過抵抗が大きくなるため透過流束が低下する傾向にある。
【0062】
前記有機溶液に用いられる有機溶媒としては、水に対する溶解度が低く、多孔性支持体を劣化させず、多官能酸ハライド成分を溶解するものであれば特に限定されず、例えば、シクロヘキサン、ヘプタン、オクタン、及びノナン等の飽和炭化水素、1,1,2−トリクロロトリフルオロエタン等のハロゲン置換炭化水素などを挙げることができる。好ましくは沸点が300℃以下、さらに好ましくは沸点が200℃以下の飽和炭化水素である。
【0063】
前記アミン水溶液や有機溶液には、製膜を容易にしたり、得られる複合半透膜の性能を向上させるための目的で各種の添加剤を加えることができる。前記添加剤としては、例えば、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ドデシル硫酸ナトリウム、及びラウリル硫酸ナトリウム等の界面活性剤、重合により生成するハロゲン化水素を除去する水酸化ナトリウム、リン酸三ナトリウム、及びトリエチルアミン等の塩基性化合物、アシル化触媒、特開平8−224452号公報記載の溶解度パラメータが8〜14(cal/cm1/2の化合物などが挙げられる。
【0064】
有機溶液との接触後、多孔性支持体上の過剰な有機溶液を除去し、多孔性支持体上の形成膜を通常20〜150℃、好ましくは70〜130℃で加熱乾燥してスキン層を形成する。形成膜を加熱処理することによりスキン層の機械的強度や耐熱性等を高めることができる。加熱時間は1分〜10分程度が好ましく、さらに好ましくは2〜8分程度である。
【0065】
多孔性支持体上に形成したスキン層の厚みは特に制限されないが、通常0.05〜2μm程度であり、好ましくは、0.1〜1μmである。
【0066】
また、複合半透膜の塩阻止性、透水性、及び耐酸化剤性等をさらに向上させるために、従来公知の各種処理を施してもよい。
【0067】
本発明の複合半透膜の保存方法は、上記複合半透膜の少なくともスキン層を脂環式ジアミン含有水溶液に接触させた状態で保存することを特徴とする。また、スパイラル状などに加工した複合半透膜をエレメント容器に収納して膜エレメントを作製し、膜エレメント内の少なくともスキン層を脂環式ジアミン含有水溶液に接触させた状態で保存しても同様の効果が得られる。
【0068】
脂環式ジアミンは、水溶性のものであれば特に制限されないが、ビス型のものが好ましく、例えば、ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン、ビス(3−アミノシクロヘキシル)メタン、及びビス(2−アミノシクロヘキシル)メタンなどが挙げられる。これらは1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0069】
水溶液中の脂環式ジアミンの濃度は、スキン層及び多孔性支持体の形成材料によって適宜調整する必要があるが、通常10ppm〜1500ppmであれば膜性能の低下を長期間抑制することができ、より好ましい濃度は50ppm〜1000ppmである。
【0070】
スキン層に脂環式ジアミン含有水溶液を接触させる方法としては、浸漬、噴霧、塗布、シャワーなどあらゆる方法が例示されるが、接触状態を十分に維持したまま保存させるために浸漬することが最も好ましい。また、少なくともスキン層を脂環式ジアミン含有水溶液に接触させることにより保存中の膜性能の低下を抑制できるが、膜性能の低下をさらに抑制するためには、複合半透膜全体を脂環式ジアミン含有水溶液に接触させることが好ましい。
【0071】
複合半透膜又は膜エレメントを保存する際の温度は特に制限されないが、低温であることが好ましい。具体的には0〜60℃程度であり、好ましくは15〜50℃である。
【0072】
本発明の保存方法によると、複合半透膜又は膜エレメントを約2ヶ月保存した場合であっても、Flux比(保存後の透過流束/初期透過流束)を0.8以上に保つことができる。
【実施例】
【0073】
以下に実施例をあげて本発明を説明するが、本発明はこれら実施例によりなんら限定されるものではない。
【0074】
(多孔性支持体の作製)
製造例1
ポリスルホン(Solvay社製、P−3500)18重量%をN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)に溶解した製膜ドープを不織布基材上にウエット厚み200μmで均一に塗布した。その後、すぐに40〜50℃の水中に浸漬させることにより凝固させ、かつ溶媒であるDMFを完全に抽出洗浄することによって、不織布基材上にポリスルホン微多孔層を有するポリスルホン系多孔性支持体を作製した。
【0075】
製造例2
ビスフェノールA型エポキシ樹脂(東都化成(株)、商品名「YD−128」、エポキシ当量:184〜194(g/eq))23.3gにポリエチレングリコール200(東京化成(株))53gを加え、自転・公転ミキサー(商品名「あわとり練太郎」ARE−250)を用いて2000rpmで5分間撹拌し、溶解させてエポキシ樹脂/ポリエチレングリコール溶液を得た。次に、ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン(東京化成(株))5.2gをエポキシ樹脂/ポリエチレングリコール溶液に加え、自転・公転ミキサーを用いて2000rpmで10分間撹拌し、溶解させてエポキシ樹脂/ポリエチレングリコール/硬化剤溶液を得た。
四隅に両面テープを設けたソーダガラス板上に、前記エポキシ樹脂/ポリエチレングリコール/硬化剤溶液を塗布し、その上に別のソーダガラス板を積層してサンドイッチ構造体を得た。その後、サンドイッチ構造体を乾燥機内に入れ、120℃で3時間反応硬化させた。冷却後にエポキシ樹脂シートを取り出し、これを水中に12時間浸漬してポリエチレングリコールを除去した。その後、50℃の乾燥機内で約4時間乾燥させてエポキシ樹脂多孔性支持体を得た。エポキシ樹脂多孔性支持体の平均孔径を、水銀圧入法により、(株)島津製作所製オートポア9520型装置にて測定したところ、0.078μmであった。なお、平均孔径は、初期圧7kPaの条件のメディアン径を採用した。
【0076】
(複合半透膜の作製)
製造例3
m−フェニレンジアミン1重量%、トリエチルアミン3重量%、及びカンファースルホン酸6重量%を含有するアミン水溶液を、製造例1で作製したポリスルホン系多孔性支持体上に塗布し、その後、余分なアミン水溶液を除去することにより水溶液被覆層を形成した。次に、水溶液被覆層の表面にトリメシン酸クロライド0.2重量%を含有するイソオクタン溶液を塗布した。その後、余分な溶液を除去し、さらに120℃の熱風乾燥機中で3分間保持して、ポリスルホン系多孔性支持体上にポリアミド系樹脂を含むスキン層を形成して複合半透膜Aを作製した。
【0077】
製造例4
m−フェニレンジアミン1重量%、トリエチルアミン3重量%、及びカンファースルホン酸6重量%を含有するアミン水溶液を、製造例2で作製したエポキシ樹脂多孔性支持体上に塗布し、その後余分なアミン水溶液を除去することにより水溶液被覆層を形成した。次に、前記水溶液被覆層の表面にトリメシン酸クロライド0.2重量%を含有するイソオクタン溶液を塗布した。その後、余分な溶液を除去し、さらに120℃の熱風乾燥機中で3分間保持して、エポキシ樹脂多孔性支持体上にポリアミド系樹脂を含むスキン層を形成して複合半透膜Bを作製した。
【0078】
(初期透過流束の測定)
作製した複合半透膜A及びBを所定の形状、サイズに切断し、平膜評価用のセルにそれぞれセットした。1500ppmのNaClを含みかつNaOHを用いてpH6.5に調整した水溶液(25℃)を膜の供給側と透過側に、複合半透膜Aの場合は1.5MPaの差圧を、複合半透膜Bの場合は3.0MPaの差圧を与えて膜に接触させた。この操作によって得られた透過水の透過速度を測定し、透過流束(m/m・d)を算出した。その結果を表1に示す。
【0079】
実施例1
精製水にビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン(以下、BACMと略す)を添加して濃度100ppmのBACM水溶液を調製した。35℃に温度調節した前記BACM水溶液中に複合半透膜Aを完全に浸漬させて、11日間、20日間、及び42日間保存した。なお、通常、複合半透膜の保存は低温で行うことが好ましいが、効果の違いを短期間で発現させるために35℃のBACM水溶液を用いて促進試験を行った。各期間保存した後にBACM水溶液中から複合半透膜Aを取り出し、前記と同様の方法で透過流束を測定し、Flux比(保存後の透過流束/初期透過流束)を求めた。その結果を表1に示す。
【0080】
実施例2〜4、比較例1、2
表1記載の保存条件を採用した以外は実施例1と同様の方法で複合半透膜Aを保存し、各期間保存した後に透過流束を測定し、Flux比を求めた。その結果を表1に示す。
【0081】
実施例5、比較例3、4
複合半透膜Aの代わりに複合半透膜Bを用い、表1記載の保存条件を採用した以外は実施例1と同様の方法で複合半透膜Bを保存し、各期間保存した後に透過流束を測定し、Flux比を求めた。その結果を表1に示す。
【0082】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
多孔性支持体上にポリアミド系樹脂を含むスキン層を有する複合半透膜の保存方法において、少なくともスキン層を脂環式ジアミン含有水溶液に接触させた状態で保存することを特徴とする複合半透膜の保存方法。
【請求項2】
多孔性支持体上にポリアミド系樹脂を含むスキン層を有する複合半透膜をエレメント容器に収納した膜エレメントの保存方法において、少なくともスキン層を脂環式ジアミン含有水溶液に接触させた状態で保存することを特徴とする膜エレメントの保存方法。
【請求項3】
脂環式ジアミンが、ビス型脂環式ジアミンである請求項1又は2記載の保存方法。
【請求項4】
ビス型脂環式ジアミンが、ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタンである請求項3記載の保存方法。
【請求項5】
脂環式ジアミン含有水溶液中の脂環式ジアミンの濃度が、10ppm〜1500ppmである請求項1〜4のいずれかに記載の保存方法。
【請求項6】
多孔性支持体が、エポキシ樹脂多孔体である請求項1〜5のいずれかに記載の保存方法。
【請求項7】
ポリアミド系樹脂の原料成分である多官能アミン成分が、芳香族多官能アミンである請求項1〜6のいずれかに記載の保存方法。


【公開番号】特開2011−83664(P2011−83664A)
【公開日】平成23年4月28日(2011.4.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−236428(P2009−236428)
【出願日】平成21年10月13日(2009.10.13)
【出願人】(000003964)日東電工株式会社 (5,557)
【Fターム(参考)】