説明

複合型モ−タの駆動回路

【目的】互いに連結された一対の直流モ−タを備え、これらの直流モ−タが同時に回転することにより、被駆動体を駆動する複合型モ−タを駆動するに際し、バックラッシュを防ぐと同時に、強いモ−タトルクが得られるように駆動する。
【構成】入力電圧V1(V5)に比例するモ−タ印加電圧V3(V7)を出力する第1の駆動回路と、入力電圧に比例しないモ−タ印加電圧V4(V8)を出力する第2の駆動回路とを有し、複合型モ−タ1の使用状態に応じて、各直流モ−タ20,30に印加する印加電圧が異なる第1の駆動状態と、これ等の各直流モ−タに略同一の電圧を印加する第2の駆動状態とで設定可能に構成する。

【発明の詳細な説明】
【産業上の利用分野】
【0001】本発明は、互いに連結された複数の直流モ−タを備え、これらの直流モ−タが同時に回転することにより、被駆動体を駆動する複合型モ−タの駆動回路に関する。
【0002】
【従来の技術】本出願人は、平成6年8月12日に特願平6−211842号として、直流モ−タを複数個設け、これらの直流モ−タの回転軸を連結することにより、複数個の直流モ−タが協働して例えばタ−ンテ−ブルを駆動する際の複合型モ−タの駆動回路を提案している。
【0003】かかる複合モ−タは、ギア又はタイミングベルト等からなる連結部材によりその回転軸が互いに連結されるものであるが、連結部材のバックラッシュによりスム−スな回転が妨げられるのを防ぐため、この駆動回路は複数の直流モ−タにそれぞれ印加する駆動電圧を異ならせるようにしている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】例えば、コンパクトディスクプレ−ヤのディスクを回転駆動するスピンドルモ−タに印加される電圧は、CLV制御のような負帰還制御時には微妙にレベル変動するが、このような条件下で前記した複合型モ−タを使用した場合、両直流モ−タの回転状態のバラツキに起因して生じるバックラッシュを実用域まで減少するために、各直流モ−タに所定の電圧差の駆動電圧を印加するか、又は一方の直流モ−タの端子間を高インピ−ダンズ状態にすることが要求されることが実験的にわかった。しかしながら、定常状態時にあっては強いトルクは必要ないため、この様なアンバランスな電圧印加状態であっても特に問題はない。
【0005】一方、CDプレ−ヤで、ディスクの最外周記録領域から最内周記録領域までサ−チが行われた場合、これに応じてスピンドルモ−タ回転数を約2.3倍に引き上げ、またその逆の場合には1/2.3倍まで引き下げる必要があるが、これを短時間で達成するためには、強力なモ−タトルクが必要となる。
【0006】この様な、スピンドルモ−タの急激な加減速時には、通常モ−タ端子間に高い電圧が印加されるが、この時前記した複合型モ−タの駆動回路では、一方のモ−タに対して他方のモ−タには常時それ以下の電圧しか印加されないため、所望のモ−タトルクが得られず非常に効率のわるい使用状態となる。
【0007】
【課題を解決するための手段】被駆動体を駆動すべく、一対のモ−タと該一対のモ−タのそれぞれの回転軸を連結する連結手段とを備えた複合型モ−タを駆動する駆動回路であり、入力電圧に比例する第1の駆動電圧を前記一対のモ−タの内一方のモ−タに印加する第1の駆動回路と、前記入力電圧が印加されて流れるダイオ−ド特性を有する回路素子の順方向電流に略比例する第2の駆動電圧を前記一対のモ−タの内他方のモ−タに印加する第2の駆動回路とからなり、
【0008】前記入力電圧が所定のレベル範囲内で変動するときには前記第2の駆動電圧レベルが前記第1の駆動電圧レベルに対して十分小さい第1の駆動状態で、また前記入力電圧が前記所定のレベル範囲外の所定の値に設定されたときに前記第1と第2の駆動電圧が略同一レベルになる第2の駆動状態でそれぞれ各モ−タを駆動可能とする。
【0009】前記第2の駆動回路は、印加される電圧に対して流れる電流が非直線的に変化する非直線素子によってゲインが設定され、前記入力電圧が所定のレベル範囲内にあるときの第1のゲインに対し、前記所定のレベル範囲外の所定のレベルにあるときの第2のゲインを大きく設定して得られる第2の駆動電圧を前記一対のモ−タの内他方のモ−タに印加するように構成してもよい。
【0010】
【作用】直流モ−タへの印加電圧が細かく変動し、あまり強いモ−タトルクを必要としない時には前記第1の駆動状態で、また強いモ−タトルクを必要とする時には前記第2の駆動状態で駆動することにより、バックラッシュを抑えると共に、必要に応じて強いモ−タトルクも引き出せる。
【0011】
【実施例】以下に本発明回路によって駆動される複合型モ−タの第1実施例を説明する。図1は、複合型モ−タ1の各構成部品を示す展開図、図2はこの複合型モ−タ1の斜視図である。取付けネジ2,3がモ−タシャ−シ4に形成された孔5,6を貫通して第1及び第2の直流モ−タ20,30の取付け孔7,8に螺合することにより、直流モ−タ20,30がモ−タシャ−シ4に固定されている。
【0012】ここで、直流モ−タ20,30は単独で使用可能な同一の汎用モ−タであり、その外径、特性は共通である。なお、モ−タシャ−シ4には、複合型モ−タ1を所要の装置に固定するための取付け孔13,14が形成されている。
【0013】互いに平行とされたモ−タ20,30の回転軸21、31には同一径のギア22,32が取付けられており、これらギア22,32は内周側に歯9が形成されたタイミングベルト10によって連結されている。従って、直流モ−タ20,30は、その回転数の比が1対1で連結されている。
【0014】第1の直流モ−タ20の回転軸21は、第2の直流モ−タ30の回転軸31より長く形成されると共に、トップカバ−11に形成された孔12を貫通して外部に伸びており、複合型モ−タ1の回転出力軸として用いられる。従って、複合型モ−タ1の回転出力は、直流モ−タ20,30の回転出力の合成出力として取り出される。また、トップカバ−11には、爪15,15が形成されており、モ−タシャ−シ4に形成された孔16,16に係合されることにより、ギア22,32及びタイミングベルト10を覆い、塵、ゴミ等の付着を防止する。
【0015】以下に本発明回路によって駆動される複合型モ−タの第2実施例をその斜視図である図3をもって説明する。上述の第1の実施例において、直流モ−タ20,30はタイミングベルト10により連結されていたが、第2実施例においては、両モ−タを歯車で連結するもので、第2実施例の複合型モ−タ40は、直流モ−タ50,60の回転軸51,61に平歯車52,62が取付けられており、この平歯車52,62は、モ−タシャ−シ41に軸支された連結歯車42によって連結されている。従って、複合型モ−タ40の回転出力は、直流モ−タ50,60の回転出力の合成出力として直流モ−タ50の回転軸51から取り出される。
【0016】以下に、上述の複合型モ−タ1,40を、CD−ROMドライブ装置におけるディスクを回転駆動し、またディスクに記憶された情報を再生するためのベ−スメカニズム80に搭載され、ディスクを回転駆動するスピンドルモ−タ及び光学ピックアップを駆動するフィ−ドモ−タとして適用した場合を説明する。
【0017】図4はベ−スメカニズム80を示す斜視図であり、ディスク(図示せず)を支持するタ−ンテ−ブル82は、ディスクの中心孔に係合されるコ−ン形状の円形凸部83と、ディスクを載置する円形の載置面84とからなる。このタ−ンテ−ブル82は、シャ−シ81の一方の面にモ−タシャ−シ4が固定された、上述の第1実施例で説明した複合型モ−タ1の回転出力軸21に固定されている。
【0018】シャ−シ81の他方の面には平行に伸びる2本のガイドシャフト85,86が固定配置され、このガイドシャフト85,86に沿って対物レンズ87を有する光学ピックアップ88が移動可能に支持されている。この光学ピックアップ88には、光学ピックアップ88の移動方向と平行に伸びるラック89が固定されており、ラック89はシャ−シ81の他方の面に軸支された小径の第1の減速ギア90に噛合している。
【0019】大径の第2の減速ギア91は、第1の減速ギア90と同軸上に一体形成されており、この第2の減速ギア91は、シャ−シ81の他方の面に軸支された小径の第3の減速ギア92に噛合している。大径の第4の減速ギア93は、第3の減速ギア92と同軸上に一体的に形成されており、この第4の減速ギア93は、シャ−シ81の一方の面に固定された上述の第2実施例で説明した複合型モ−タ40における回転出力軸51に固定された小径のギア94に噛合している。
【0020】以下に、前記した複合型モ−タ1、40を回転駆動する本発明の一実施例を示す駆動回路を図5をもって説明する。尚、前記した図1乃至図4の記載と共通する構成要素には、同符号が記されている。
【0021】前記した光学ピックアップ88は、CDフォ−マットに則って形成されたCD−ROMディスク(以下単にディスクと称す)100の記録面と対向する位置に対物レンズ87を保持し、更にこれを記録面に対して垂直な方向及び半径方向に駆動するためのアクチュエ−タ部を有するが、図には半径方向に駆動するためのトラッキングコイル104のみが示されている。
【0022】即ち、このトラッキングコイル104に電流が流れると、対物レンズ87はその電流の流れる方向に応じ、中心方向への偏倚力に抗してディスク半径方向に移動し、そうでない時には、この偏倚力によって中心位置でバランスするように構成されている。
【0023】また、この光学ピックアップ88は、対物レンズ87を介してレ−ザ−収束光をディスク100の記録面に照射し、その反射光を内部に配置したディテクタによって検出し、これを電気信号に変換した検出信号S1を出力する。この検出信号S1は、RFアンプ118を介して信号処理回路119に入力すると共に、トラッキングエラ−検出回路(以後TE検出回路と称す)101に入力する。信号処理回路119は、CDフォ−マットに則って入力した信号をEFM復調し、更にCIRCによる誤り訂正を行なってデ−タを出力すると共に、サブコ−ド信号S2、及びフレ−ム同期信号S3を検出し出力する。
【0024】TE検出回路101は、入力した信号を基に公知の方法でトラッキングエラ−信号(以後TE信号を称す)S4を検出し、この信号を位相補償回路102、駆動回路103を介してトラッキングコイル104に印加する。この時、駆動回路103によってトラッキングコイル104に印加される印加電圧信号S5は、ロ−パスフィルタ105を介してスイッチ106の一方の入力端子に接続されている。
【0025】トラッキング制御回路115は、サブコ−ド信号S2、及び操作者による操作等に基づいてサ−チ指令回路135から出力されるサ−チ指令信号S6を入力し、後述する要領でフィ−ド信号S7をスイッチ106の他方の入力端子に出力すると共に、スイッチ切換信号S8をスイッチ106の切換信号入力端子に印加する。
【0026】スイッチ106の可動端子は、減衰器107の入力部に接続されている。この減衰器の出力部は、抵抗108を介して演算増幅器110のマイナス入力端子に接続されると共に、ダイオ−ド111のカソ−ド、及びダイオ−ド112のアノ−ドにそれぞれ接続されている。演算増幅器110のマイナス入力端子と出力端子間には抵抗109が接続されると共に、その出力端子は前記したフィ−ド用の複合型モ−タ40の一方の直流モ−タ50の電圧印加端子に接続される。
【0027】ダイオ−ド111のアノ−ド、及びダイオ−ド112のカソ−ドは、共に演算増幅器114のマイナス入力端子に接続され、このマイナス入力端子と出力端子間には抵抗113が接続されると共に、その出力端子は複合型モ−タ40のもう一方の直流モ−タ60の電圧印加端子に接続されている。各直流モ−タの他方の印加端子、及び各演算増幅器のプラス入力端子は、それぞれグランドに接続されている。
【0028】前記したようにこれ等の直流モ−タ50,60は軸接続されているが、回転検出器117は、同様にこれ等の直流モ−タと軸接続された回転体116との協働によって、複合型モ−タ40の一回転当たり所定数発生するパルスを含む検出パルス信号S9をトラッキング制御回路115に出力する。
【0029】この検出パルス信号S9の1パルス数当たりの光学ピックアップ88の移動量は予め定められ、これによりトラッキング制御回路115は、必要に応じてこのパルス数をカウントすることにより光学ピックアップ88の移動量を確認することができる。
【0030】位相比較器121は、内部発振器120から出力される所定周波数の基準信号S10に対するディスクトラックに所定の間隔で記録されたフレ−ム同期信号S3の位相を比較し、その進み遅れの各状態に応じて低、高の2値レベル間で変化する判定信号S11をロ−パスフィルタ122を介してスイッチ123の一方の固定入力端子に出力する。
【0031】スピンドルモ−タ制御回路131は、サブコ−ド信号S2とサ−チ指令回路135から出力されるサ−チ指令信号S14とを入力し、後述する要領でスピンドル信号S12をスイッチ123の他方の固定入力端子に出力すると共に、スイッチ切換信号S13をスイッチ123の切換信号入力端子に印加する。
【0032】スイッチ123の可動端子は、減衰器124の入力部に接続されている。この減衰器の出力部は、抵抗125を介して演算増幅器134のマイナス入力端子に接続されると共に、ダイオ−ド127のカソ−ド、及びダイオ−ド128のアノ−ドにそれぞれ接続されている。演算増幅器126のマイナス入力端子と出力端子間には抵抗126が接続されると共に、その出力端子は前記したスピンドル用の複合型モ−タ1の一方の直流モ−タ20の電圧印加端子に接続される。
【0033】ダイオ−ド127のアノ−ド、及びダイオ−ド128のカソ−ドは、共に演算増幅器130のマイナス入力端子に接続され、このマイナス入力端子と出力端子間には抵抗129が接続されると共に、その出力端子は複合型モ−タ1のもう一方の直流モ−タ30の電圧印加端子に接続されている。各直流モ−タの他方の印加端子、及び各演算増幅器のプラス入力端子は、それぞれグランドに接続されている。
【0034】前記したようにこれ等の直流モ−タ20,30は軸接続されているが、回転検出器133は、同様にこれ等の直流モ−タと軸接続された回転体132との協働によって、複合型モ−タ1の一回転当たり所定数発生するパルスを含む検出パルス信号S15をスピンドルモ−タ制御回路131に出力する。
【0035】以上の構成において、その動作を説明する。尚、フォ−カスサ−ボについては、必要に応じて正常な状態で動作しているものとし、その説明を省略する。まず、図5の枠200内の回路について、図6の特性図を参照しながらその動作を説明する。直流モ−タ60への印加電圧V4の変化カ−ブは、ダイオ−ド111と112との電圧−電流特性によって形成される。
【0036】即ち、減衰率−0.6の減衰器107の入力電圧V1が−1Vから+1Vまで変化して、その出力電圧V2が+0.6Vから−0.6Vまで変化するとき、図5のように接続された2つのダイオ−ドの両端間には順方向特性に従って電流Iが流れる。印加電圧V4は、演算増幅器114によってこの電流をI−V変換したもので図6のカ−ブで変化し、同図に示すように減衰器107の入力電圧V1が1Vの時、9Vの印加電圧が得られるように抵抗113によって変換率が設定されている。
【0037】一方、直流モ−タ50への印加電圧V3は、減衰器107の入力電圧V1の変化に対して直線的に変化し、図6に示すようにこの入力電圧V1が1Vの時、9Vの印加電圧が得られるように抵抗108,109の値が設定されている。
【0038】この様な設定条件を基に通常の信号再生が行われるとき、トラッキング制御回路115は、スイッチ106の可動端子が図5に示すポジションを保つように制御信号S8を出力する。この時トラッキングコイル104にはTE信号S4に応じて変動する電圧が印加され、更にこの印加電圧信号S5のDC成分が減衰器107の入力電圧V1となって複合型モ−タ40を駆動する。
【0039】これ等の各系が負帰還に構成されることにより、対物レンズ87は、トラッキングずれが小さくなる方向にその中心位置から素早く移動し、また光学ピックアップ88は、対物レンズ87が中心位置に来るように、フィ−ド用の複合型モ−タ40によって、比較的ゆっくり移動するトラッキング制御が行われる。
【0040】この実施例回路では、この時のV1の変動範囲が略±0.4Vの範囲に納まるように回路が設計されており、このため直流モ−タ50の印加電圧V3は、V1の変化に比例して±3.6Vの範囲で変化するが、直流モ−タ60の印加電圧V4は、ほとんど0Vを保っている。
【0041】一方、この信号再生時において、スピンドルモ−タ制御回路131は、スイッチ123の可動端子が図5に示すポジションを保つように制御信号S13を出力する。そして、スピンドル用の複合型モ−タ1には、基準信号S10とフレ−ム同期信号S3との比較に基づく電圧が印加されることにより、線速度一定のCLV制御を行なうための一般的なPLL制御が行われる。
【0042】尚、このPLLのル−プは、基準信号S10とフレ−ム同期信号S3との位相差制御だけではなく、周波数差をも引き込むように構成されているものとし、更に、枠201内の回路は枠200内の回路と同じ構成で、同じ回路動作をするように構成され、更にこのPLL制御時には減衰器124の入力電圧V1の変動範囲が略±0.4Vの範囲に納まるように回路が設計されている。
【0043】このため、上記の枠200内の回路動作説明から明らかなように、このPLL制御時にあって、直流モ−タ20の印加電圧V7は、V1の変化に比例して±3.6Vの範囲で変化する一方で、直流モ−タ30の印加電圧V8は、ほとんど0Vを保っている。
【0044】以上の様に、トラッキング制御、及びCLV制御による通常の信号再生時には、各複合型モ−タ1,40のそれぞれモ−タ60,30は0V近辺の電圧しか印加されないようになっているため、前記したような負帰還制御時における複合型モ−タのバックラッシュを抑制することができる。
【0045】尚、この信号再生時に、トラッキング制御回路115及びスピンドルモ−タ制御回路131は、信号処理回路119からそれぞれサブコ−ド信号S2を入力し、この情報から、現再生位置をディスク上の最内周トラック近傍の記録開始位置からの絶対再生時間として確認できるようになっている。
【0046】次に、サ−チ指令回路135は、操作者による入力等に基づいてサ−チ移動先の情報をサ−チ指令信号S6,S14によって出力するが、トラッキング制御回路115がこのサ−チ指令信号S6を受けると、先ず現在の再生位置と移動先の目的位置との差を時間換算してレ−ザ−光の照射ポイントの移動距離を求める。
【0047】そして、この移動を実行するために、先ずスイッチ制御信号S8によってスイッチ106の接続状態を図5のトラッキング制御状態からその負帰還を解除してフィ−ド信号S7を選択する状態に移行し、このフィ−ド信号S7を±1Vの電圧値に設定する。この極性は移動方向に応じて設定される。従って、この時の減衰器107の入力電圧V1は±1Vとなるので、複合型モ−タ40は、図6の特性図から明らかなように、その一対の直流モ−タ50,60の印加電圧V3,V4が共に±9Vとなって駆動され、光学ピックアップ88の移動を開始する。
【0048】この時の光学ピックアップ88の移動量は、検出パルス信号S9のパルス数をカウントすることによって検出される。その後、例えば所望の移動距離の80%まで移動が完了した段階で、制動のためにフィ−ド信号S7の電圧極性を所定時間だけ逆にした後、再度スイッチ106の接続を図5の状態にして、トラッキング制御が再開されるようにスイッチ制御信号S8を設定する。
【0049】以上の動作によって、照射ポイントは目標の位置近傍に持ち来されるが、最終的には、トラッキング制御が再開されてサブコ−ド信号S2が読みだされ、現再生位置が確認された段階で、更に1トラックジャンプ等の微小移動が行われて目的位置に到達するが、これ等の動作については、その詳細な説明を省略する。
【0050】このサ−チを行なうに際して、移動先でのCLV制御が速やかにロックされるように、照射ポイントの移動と同時にスピンドル用の複合型モ−タ1の回転速度を変え、移動先でのCLV制御に最適な回転状態となるような制御が行われる。
【0051】このため、スピンドルモ−タ制御回路131がこのサ−チ指令信号S14を受けると、サ−チ先の絶対時間を確認してそこでのCLV制御に必要な最適回転速度ωmを算出する。そして、検出パルス信号S15を監視して確認される現在の複合型モ−タ1の回転速度ωrとの比較に応じて、これらが短時間で接近する方向に加減速すべく、その目的に応じてスピンドル信号S12のレベルを±1Vに設定する。
【0052】そしてこの設定と同時に、スイッチ制御信号S13によってスイッチ123の接続状態を図5のCLV制御状態からその負帰還を解除してスピンドル信号S12を選択する状態に移行する。従って、この時の減衰器124の入力電圧V5は±1Vとなるので、スピンドル用の複合型モ−タ1は、図5の特性図から明らかなように、その一対の直流モ−タ20,30の印加電圧V7,V8が共に±9Vとなって駆動され、ディスク回転速度の加減速を開始する。
【0053】ここで、ディスクの外周側の再生位置Aから内周側の再生位置Bまでのサ−チが行われる場合、再生位置Bでの最適回転速度ωmと現在の回転速度ωrの関係はωm>ωrとなり、複合型モ−タ1には短時間で加速するために設定されたスピンドル信号S12の電圧値1Vが印加される。そして例えば、回転速度Vrが最適回転速度Vmまで加速された段階で、再度スイッチ123が図5に示す状態となってCLV制御が再開されるようにスイッチ制御信号S13を制御する。
【0054】逆にディスクの内周側の再生位置から外周側の再生位置までのサ−チが行われる場合には、スピンドル信号S12の電圧値を−1Vとし、回転速度の速やかな減速を行なって、同様にしてCLV制御を再開するように構成することは勿論である。
【0055】以上の如く、サ−チ時には、各複合型モ−タ1,40から高いモ−タトルクを引き出すために、通常の再生時にくらべ高い電圧が印加されると共に、各一対の直流モ−タに同一レベルの電圧が印加されるように制御される。
【0056】次に、図5の枠201内のダイオ−ド127,128、演算増幅器130及び抵抗129で構成されたI−V変換器部分に換え、同様の働きをする他の実施例をそれぞれ図7、図9に示す。図7の第2の実施例の場合、減衰器6の出力電圧V6はバリスタ142の一端に印加される。このバリスタ142の他端は演算増幅器140のマイナス入力端子に接続されると共に、抵抗141を介してその出力端子に接続される。更にこの演算増幅器のプラス入力端子はグランドに接続されると共に、その出力電圧V8が直流モ−タ30の端子に印加されるように構成される。
【0057】図8は、このバリスタ142の特性を示す特性図で、印加電圧によって抵抗値が変化することを示している。これによると所定電圧Vrを境に抵抗値が大きく変化し、低い印加電圧のときより高い印加電圧のときの方が抵抗値が小さくなることが理解される。このため、図7のように回路を構成することによって、この増幅器のゲインは、電圧V6が所定電圧Vrより低いV6<┃Vs┃の範囲で変化するときのゲインG1に対して、Vrより高い電圧Vlの時のゲインG2の関係はG1<G2となる。
【0058】従って、この回路を採用したとき、CLV制御による通常の信号再生時には減衰器124の出力電圧V6がV6<┃Vs┃の範囲で変し、且つ、サ−チ時には電圧V6がVlとなって、この時の直流モ−タ30への印加電圧V8が直流モ−タ20への印加電圧V7と同レベルとなるように各回路定数を設定することによって、上記実施例と同等の効果が得られることが理解される。この時減衰器124は、必要に応じて増幅器としてもよいし、スピンドル信号S12のレベルも±1Vでなくてもよい。
【0059】次に、図9の第3の実施例の場合、減衰器124の出力電圧V6は抵抗145の一端に印加される。この抵抗145の他端は演算増幅器143のマイナス入力端子に接続されると共に、ランプ144を介してその出力端子に接続される。更にこの演算増幅器のプラス入力端子はグランドに接続されると共に、その出力電圧V8が直流モ−タ30の端子に印加されるように構成される。
【0060】図10は、このランプ144の特性を示す特性図で、印加電圧によって抵抗値が変化することを示している。これによると所定電圧Vr近辺を境に抵抗値が大きく変化し、低い印加電圧のときより高い印加電圧のときの方が抵抗値が高くなることが理解される。このため、図9のように回路を構成することによって、この増幅器のゲインは、電圧V6が所定電圧Vrより低いV6<┃Vs┃の範囲で変化するときのゲインG1に対して、Vrより高い電圧Vlの時のゲインG2の関係はG1<G2となる。
【0061】従って、この回路を採用したとき、CLV制御による通常の信号再生時には減衰器6の出力電圧V6がV6<┃Vs┃の範囲で変し、且つ、サ−チ時には電圧V6がVlとなって、この時の直流モ−タ30への印加電圧V8が直流モ−タ20への印加電圧V7と同レベルとなるように各回路定数を設定することによって、上記実施例と同等の効果が得られることが理解される。この時減衰器124も上記第2の実施例の場合と同じように、必要に応じて増幅器としてもよいし、スピンドル信号S12のレベルも±1Vでなくてもよい。
【0062】尚、前記実施例では、連結手段としてタイミングベルトを用いた複合型モ−タの第1実施例をスピンドルモ−タとして使用し、ギアを用いた第2実施例をフィ−ド用モ−タとして使用したが、これに限定されるものでなく、この逆の使用でも良いし、また両者が同種の複合型モ−タを採用してもよいのは勿論である。
【0063】また、前記複合型モ−タの第2実施例では、回転出力を直流モ−タ50の回転軸から取り出すように構成したが、連結歯車42の回転軸から取り出すように構成してもよい。また、前記実施例では、複合型モ−タと本願回路とを、CD−ROMのドライブ装置に採用した場合を示したが、これに限定されるものではなく、種々の態様が考えられるものである。
【0064】更に、前記実施例回路では、ダイオ−ドを用いてこの順方向電流特性のカ−ブを得たが、これに限定されるものではなく、トランジスタのベ−ス・エミッタ間の電圧電流特性を利用しても良いなど種々の態様が考えられるものである。
【0065】
【発明の効果】本発明回路によれば、あまり強いトルクが必要とされず、印加電圧が常に変動するような例えば負帰還制御によって複合型モ−タを駆動する時には、複合型モ−タ内の各直流モ−タの駆動状態を変えてバックラッシュを抑制し、この複合型モ−タから強力なトルクを引き出す場合には、各モ−タに略同一の電圧を印加するようにしているため、複合型モ−タの利点を最大限に引き出すと共に、その弱点をカバ−することができる。
【0066】また、このための駆動回路が、ダイオ−ド、バリスタ、ランプといった非直線素子と演算増幅器の簡単な組合せで構成できるため、回路構成を複雑に、コストアップすることなく目的が達成できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】複合型モ−タの第1の実施例における各構成部品を示す展開図。
【図2】図1に示す複合型モ−タの斜視図。
【図3】複合型モ−タの第2の実施例における斜視図。
【図4】CD−ROMドライブ装置におけるベ−スメカニズムの斜視図。
【図5】本発明による複合型モ−タの駆動回路のブロック図。
【図6】本発明の説明に供する特性図。
【図7】本発明による複合型モ−タの駆動回路の第2の実施例を示す部分回路図。
【図8】本発明の説明に供する特性図。
【図9】本発明による複合型モ−タの駆動回路の第3の実施例を示す部分回路図。
【図10】本発明の説明に供する特性図。
【符号の説明】
1 複合型モ−タ
10 タイミングベルト
20 直流モ−タ
30 直流モ−タ
40 複合型モ−タ
50 直流モ−タ
60 直流モ−タ
82 タ−ンテ−ブル
88 光学ピックアップ
100 CD−ROMディスク
101 トラッキングエラ−検出回路
105 ロ−パスフィルタ
107 減衰器
110 演算増幅器
114 演算増幅器
115 トラッキング制御回路
119 信号処理回路
120 内部発振器
121 位相比較器
124 減衰器
127 ダイオ−ド
128 ダイオ−ド
130 演算増幅器
131 スピンドルモ−タ制御回路
134 演算増幅器
140 演算増幅器
142 バリスタ
143 演算増幅器
144 ランプ

【特許請求の範囲】
【請求項1】 被駆動体を駆動すべく、一対のモ−タと該一対のモ−タのそれぞれの回転軸を連結する連結手段とを備えた複合型モ−タを駆動する駆動回路であり、入力電圧に比例する第1の駆動電圧を前記一対のモ−タの内一方のモ−タに印加する第1の駆動回路と、前記入力電圧が印加されて流れるダイオ−ド特性を有する回路素子の順方向電流に略比例する第2の駆動電圧を前記一対のモ−タの内他方のモ−タに印加する第2の駆動回路とからなり、前記入力電圧が所定のレベル範囲内で変動するときには前記第2の駆動電圧レベルが前記第1の駆動電圧レベルに対して十分小さい第1の駆動状態で、また前記入力電圧が前記所定のレベル範囲外の所定の値に設定されたときに前記第1と第2の駆動電圧が略同一レベルになる第2の駆動状態でそれぞれ各モ−タを駆動可能にしたことを特徴とする複合型モ−タの駆動回路。
【請求項2】 被駆動体を駆動すべく、一対のモ−タと該一対のモ−タのそれぞれの回転軸を連結する連結手段とを備えた複合型モ−タを駆動する駆動回路であり、入力電圧に比例する第1の駆動電圧を前記一対のモ−タの内一方のモ−タに印加する第1の駆動回路と、印加される電圧に対して流れる電流が非直線的に変化する非直線素子によってゲインが設定され、前記入力電圧が所定のレベル範囲内にあるときの第1のゲインに対し、前記所定のレベル範囲外の所定のレベルにあるときの第2のゲインを大きく設定して得られる第2の駆動電圧を前記一対のモ−タの内他方のモ−タに印加する第2の駆動回路とからなり、前記入力電圧が前記所定のレベル範囲内で変動するときには前記第2の駆動電圧レベルが前記第1の駆動電圧レベルに対して小さい第1の駆動状態で、また前記入力電圧が前記所定のレベルに設定されたときに前記第1と第2の駆動電圧が略同一レベルになる第2の駆動状態でそれぞれ各モ−タを駆動可能にしたことを特徴とする複合型モ−タの駆動回路。
【請求項3】 前記連結手段は、ギアからなることを特徴とする請求項第1または第2項に記載の複合型モ−タの駆動回路。
【請求項4】 前記連結手段は、タイミングベルトからなることを特徴とする請求項第1または第2項に記載の複合型モ−タの駆動回路。
【請求項5】 前記被駆動体は情報が記録されたディスクであり、前記ディスクに記録された情報を再生する再生時には前記一対のモ−タを前記第1の駆動状態にし、また前記ディスクの回転速度を速やかに変化する際には第2の駆動状態にすることを特徴とする第1項または第2項記載の複合型モ−タの駆動回路。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図5】
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