説明

複合型殺菌消臭剤組成物

【課題】 殺菌性能の安定化と共に、消臭性能発現性の加速力と消臭性能自体の向上に優位性をもたらす殺菌消臭剤を提供する。
【解決手段】 (A)銀を電気分解して発生させた銀イオン、(B)水単独又は水及び水と水素結合し得る水溶性溶剤の混合物、(C)カルボキシレート基を側鎖に持つ高分子電解質、又は、それらに加えて(D)界面活性剤及び/若しくは(E)固化機能性親水性高分子化合物を含有し、かつ、(A)成分と(B)成分との合計量100重量部当たり、(C)成分の含有量が0.0001〜1重量部で、(D)成分の含有量が0〜10重量部で、(E)成分の含有量が0〜10重量部であることを特徴とする複合型殺菌消臭剤組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、殺菌消臭剤に属し、殺菌力と消臭力を互に有する無機物と有機物を複合させて、性能向上を行う組成物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来知られる殺菌剤としては、医療用抗生物質のβ−ラクタムや洗浄用のヨード類、クロルヘキシジン、銀、銅、亜鉛等の防腐性金属類等があり、一方、消臭剤としては、人向けから環境改善用に至るまで、吸着型、反応型、蒸発抑制型等、無機物系、有機物系共に数多く知られている(非特許文献1)。
また、その両方の性能を発揮する殺菌消臭剤としては、ベンザルコニウム塩やベタインなどの界面活性剤応用物が知られているが、殺菌力は幅広く認められるものの、消臭力が対称物によって弱まることがあり、用途が狭い範囲に限定されていた。
【0003】
それにより、先ず、対称物の種類に関係なく、臭気物質の蒸発を抑制するアニオン型高分子電解質の水系コロイド型消臭剤を基剤とする検討がなされ(非特許文献2)、その中に安定して存在させ得る殺菌剤成分を複合させることによる殺菌消臭剤としての機能化が試みられるようになってきた。
例えば、天然の防腐剤のプロポリスを配合したもの(特許文献1)や抗菌性を有するホウ素化合物(特許文献2)を複合したものがある。
【0004】
他方、無機物系の殺菌消臭剤として、近年、取り上げられてきた物に、前述の銀をイオン化して、その微量を水に溶かした水溶液がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第3481431号公報
【特許文献2】特許第3169270号公報
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】新しい脱臭剤と脱臭技術の展望(1994年、東レリサーチセンター)
【非特許文献2】浜中博義、食品系で抗菌空間を作るプロポリス−高分子電解質系環境清浄剤(1998年、月刊エコインダストリー、P36〜44)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、この単純、安全で、使い易い公知の銀イオン水溶液は、均一、安定なイオンの形態を保持させることが難しく、そのために、殺菌力、消臭力のどちらか一方、若しくは両方が大きく減退してしまうことが多々あった。
【0008】
本発明者らは、前記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、カルボキシレート基を側鎖に持つ高分子電解質の水系分子コロイド溶液に、銀を電気分解して発生させた銀イオンの水溶液を混入させた複合物が銀イオンを均一、安定に存在させること。そして、その複合物を対象とする環境や人体、又はそれらが接する界面へ直接散布して、作用させるか、又はさらに該複合物に対して固化機能性親水性化合物を添加して固形状にした後、対象とする環境もしくは界面に置いて、上記該複合物を気化させることにより、周辺に存在する有害化学物質を不活性化し、かつ、菌の生育を抑制する能力が変化しないという事実を見い出し、その知見に基づいて本発明を完成するに至った。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題解決の手段として、本発明の請求項1は、
(A)銀を電気分解して発生させた銀イオン、(B)水単独又は水及び水と水素結合し得る水溶性溶剤の混合物、(C)カルボキシレート基を側鎖に持つ高分子電解質、又は、それらに加えて(D)界面活性剤及び/若しくは(E)固化機能性親水性高分子化合物を含有し、かつ、(A)成分と(B)成分との合計量100重量部当たり、(C)成分の含有量が0.0001〜1重量部で、(D)成分の含有量が0〜10重量部で、(E)成分の含有量が0〜10重量部であることを特徴とする複合型殺菌消臭剤組成物を提供する。
【0010】
本発明の請求項2は、
(B)成分に対する(A)成分の含有割合が、重量比で5〜25ppmである請求項1に記載の複合型殺菌消臭剤組成物を提供する。
【0011】
本発明の請求項3は、
(C)成分のカルボキシレート基を側鎖に持つ高分子電解質が下記一般式I
【化1】

(但し、X1〜X4はH、CH3、Y1〜Y4はH、ヒドロキシメチル基若しくはヒドロキシエチル基であり、0≦a≦1、0≦b≦1で、かつ0.1≦a+b≦1、0≦c≦0.9、0≦d≦0.9で、かつ0≦c+d≦0.9、a+b+c+d=1、3000≦n≦300000である。)
にて表されるアニオン型高分子電解質である請求項1に記載の複合型殺菌消臭剤組成物を提供する。
【0012】
本発明の請求項4は、
(D)成分の界面活性剤が下記一般式II
【化2】

(但し、R1及びR2は水素若しくは炭素数合計8〜22のアシル基であり、0≦l≦40、0≦m≦40で、かつ0≦l+m≦40である。)にて表される半極性有機ホウ素界面活性剤である請求項1に記載の複合型殺菌消臭剤組成物を提供する。
【0013】
本発明の請求項5は、
(E)成分の固化機能性親水性高分子化合物が架橋型ポリアクリル酸ナトリウムか又はカラギーナンである請求項1に記載の複合型殺菌消臭剤組成物を提供する。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、銀を電気分解して発生させた銀イオンを無機物系殺菌消臭成分として選定し、それを、連続相となるカルボキシレート基を側鎖に持つ高分子電解質の水系分子コロイドである有機物系消臭剤組成物中に混入させた複合型組成物を誘導すると、懸案であった水系媒体中での銀イオンの溶解性が安定に保持され、かつ、殺菌力、消臭力共に、それぞれ別々に使用した時より強化された状態になり、身体展着用を含めた家庭用品から、産業用生産施設現場や環境清浄における業務用品に至るまで、十分に満足される効果が確認でき、信頼性をもって人間生活へ貢献がなされるようになる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明においては、(A)成分の銀を電気分解して発生させた銀イオンを溶解させると同時に、(C)成分のカルボキシレート基を側鎖に持つ高分子電解質の水系分子コロイドを形成させる媒体となる(B)成分としては、水単独以外では、水と共存させる溶媒は、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1、3−ブチレングリコール、グリセリン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、フルフラール、アセトン、メチルエチルケトン、2−メチルイミダゾリジノンなどが挙げられる。
【0016】
本発明においては、(C)カルボキシレート基を側鎖に持つ高分子電解質としては、アクリル酸ナトリウム、アクリル酸カリウム、メタクリル酸ナトリウム、メタクリル酸カリウムを単独重合若しくは共重合させるか、または、アクリルアミド、N−ビドロキシメチルアクリルアミド、N,N−ジ(ヒドロキシメチル)アクリルアミド、N−ヒドロキシエチルアクリルアミド、N,N−ジ(ヒドロキシエチル)アクリルアミド、メタクリルアミド、N−ヒドロキシメチルメタクリルアミド、N,N−ジ(ヒドロキシメチル)メタアクリルアミド、N−ヒドロキシエチルメタクリルアミド、N,N−ジ(ヒドロキシエチル)メタクリルアミドの単一重合体若しくは共重合体を水酸化ナトリウム及び/若しくは水酸化カリウムで部分又は完全加水分解させるか、又は、上記ノニオンモノマーの1種若しくは2種以上とアクリル酸ナトリウム、アクリル酸カリウム、メタクリル酸ナトリウム及びメタクリル酸カリウムの1種若しくは2種以上とを共重合させることにより得られる下記一般式I
【化3】

(但し、X1〜X4はH、CH3、Y1〜Y4はH、ヒドロキシメチル基若しくはヒドロキシエチル基であり、0≦a≦1、0≦b≦1で、かつ0.1≦a+b≦1、0≦c≦0.9、0≦d≦0.9で、かつ0≦c+d≦0.9、a+b+c+d=1、3000≦n≦300000である。)
にて表されるアニオン型高分子電解質で、例えば、化学式III、IV及びV次の化学式III、IV及びVの物である。
【0017】
【化4】

【化5】

【化6】

さらには、アルギン酸及びそのアルカリ塩類、スチレン・マレイン酸ナトリウム共重合体、スチレン・マレイン酸カリウム共重合体、カルボキシメチルセルロース及びそのアルカリ塩類等を挙げることができる。
【0018】
本発明においては、(D)成分の界面活性剤としては制限はなく、アニオン性、ノニオン性、カチオン性及び両性界面活性剤のいずれも用いることができる。
それらのうちでは、ノニオン性界面活性剤に属する物の中で特異なエネルギー状態を呈する一般式II
【化7】

(但し、R1及びR2は一方が水素で、もう一方が炭素数合計8〜22のアシル基であるか、若しくは、両方が炭素数合計8〜22のアシル基であり、0≦l≦40、0≦m≦40で、かつ0≦l+m≦40である。)にて表される半極性有機ホウ素界面活性剤が特に、本発明の複合型殺菌消臭剤組成物の安定性保持と殺菌力の向上に相乗作用をもって寄与する。
例えば、次の化学式VI、VII、VIIIの物を挙げることができる。
【化8】

【化9】

【化10】

【0019】
本発明においては、(E)成分の固化機能性親水性高分子化合物としては例えば、架橋型ポリアクリル酸ナトリウム、寒天及びカラギーナン等を挙げることができる。
【0020】
次に、(A)成分、(B)成分及び(C)成分、又はそれらに加えて(D)成分及び/若しくは(E)成分を含有させてなる本発明の複合型殺菌消臭剤組成物の性状は液体または固定であり、例えば、(A)成分、(B)成分及び(C)成分、又はそれらに加えて(D)成分を含有する液体組成物は、(B)成分と(C)成分によって予め形成させた分子コロイド液の中に、(A)成分を均一溶解させた(B)成分の溶液を常温条件下に添加して、混合させるか、又はさらに(D)成分を添加して、同様に混合させることにより、製造する。
一方、上述の液体組成物に対して、さらに(E)成分を含有させてなる固体組成物は、常温条件下に含浸吸収させて製造するか、または(E)成分が溶融混合し得る温度まで加熱した後、冷却してゲル状の固体とし、製造する。
【実施例】
【0021】
以下に、実施例を挙げて本発明の複合型殺菌消臭剤組成物の試験結果について説明するが、これらの実施例は例示的に示されるもので限定的に解釈されるべきものではないことは言うまでもない。
【0022】
<実施例1>
精製水1000gの中に、アクリル酸ナトリウムセグメント:アクリル酸カリウムセグメント=1:1よりなる平均重合度300000の共重合体を0.002g投入して製造した水コロイド液と、精製水1000gの中に、銀を電気分解して発生させた銀イオンを10ppm含有する溶液とを混合させて、本発明の複合型殺菌消臭剤組成物を製造した。
【0023】
<実施例2>
精製水1000gの中に、アクリル酸ナトリウムセグメント:アクリル酸カリウムセグメント=1:1よりなる平均重合度3000の共重合体を20gと銀を電気分解して発生させた銀イオンを10ppm含む精製水溶液1000gと、化学式VIIIの半極性有機ホウ素界面活性剤を2g混合させて、本発明の複合型殺菌消臭剤組成物を製造した。
【0024】
<実施例3>
精製水1000gの中に、化学式IIIの共重合体を0.08gと化学式IVの共重合体を0.02gと銀を電気分解して発生させた銀イオンを20ppm含む精製水溶液1000gと、ポリ(10モル)オキシエチレン=ドデシルエーテルを95gと化学式VIの半極性有機ホウ素界面活性剤を5g混合させて、本発明の複合型殺菌消臭剤組成物を製造した。
【0025】
<比較例1>
精製水1000gの中に、銀を電気分解して発生させた銀イオンを5ppmを溶解させた溶液を製造した。
【0026】
<比較例2>
精製水1000gの中に、アクリル酸ナトリウムセグメント:アクリル酸カリウムセグメント=1:1よりなる平均重合度300000の共重合体を0.001g溶解させたコロイド溶液を製造した。
【0027】
<比較例3>
精製水1000gの中に、化学式IIIの共重合体を0.08gと化学式IVの共重合体を0.02gと、硝酸銀を溶解させて銀イオンを20ppm含むように調整した精製水溶液1000gと、ポリ(10モル)オキシエチレン=ドデシルエーテルを3gと化学式VIの半極性有機ホウ素界面活性剤を0.5g混合させて、複合型殺菌消臭剤組成物を製造した。
【0028】
本発明実施例1〜3及び比較例1〜3の液体試料をそれぞれ0.1g、3cm×3cmの不織布に展着させた検体を各例について10個づつ作製し、標準寒天平板培地に貼り付けた後、37℃で24時間、一般生菌を培養した。しかる後、検体貼り付け個所及びその周辺部の菌の出方を調べた。その結果を表1に示す。
【0029】
【表1】

【0030】
表1から、銀を電気分解して発生させた銀イオンをカルボキシレート基を側鎖に持つ高分子電解質の水コロイド液に混入させている本発明実施例の液体試料の一般生菌発育阻止能力が、比較例として同様に試験した液体試料のそれより高くなっていることが判明し、本発明の複合型殺菌消臭剤組成物の優位性が裏付けられた。
【0031】
本発明実施例1〜3及び比較例1〜3の液体試料をそれぞれシャーレに5gづつ注入した後、上部に開閉コックを取り付けた装置に入れ、コックを開いて二酸化硫黄を200ppm含んだ空気2lを吹き込んだ。
つづいて、各装置内の一定時間毎の二酸化炭素の含有量を北川式検知管法によって、測定した。
また、試験用ガスをアンモニアに置き換えた系についても、同様の方法により、試験した。しかる後、系内の試験用ガスの減量率(%)を算出した。その結果を表2に示す。
【0032】
【表2】

【0033】
表2から、本発明の複合型殺菌消臭剤の消臭性能発現性の加速力と消臭能力自体の向上による優位性が明確に認められた。
【0034】
<実施例4>
実施例1で製造した液体試料の本発明の複合型殺菌消臭剤組成物100gの中に、架橋型ポリアクリル酸ナトリウムを10g投入し、常温で強制混合させ、新たに固体の本発明の混合型殺菌消臭剤組成物を製造した。
【0035】
<実施例5>
精製水880g、エチルアルコール80g、グリセリン40gの混合溶媒中に、化学式IVの共重合体0.03gと化学式Vの共重合体0.02gを添加して、常温で溶解させて水系コロイド液をつくった後、銀を電気分解して発生させた銀イオンを50ppm含む精製水溶液1000gと化学式VIの半極性有機ホウ素界面活性剤2gと化学式VIIの半極性有機ホウ素界面活性剤5gを投入して、均一混合させた。しかる後、さらに、カラギーナン35gを投入して、加熱混合させて、内温を70℃とし、融解状態を形成させてから、常温まで冷却し、固体の本発明の複合型殺菌消臭剤組成物を製造した。
【0036】
<比較例4>
比較例1の液体試料100gと架橋型ポリアクリル酸ナトリウム10gを混合して、固体試料を製造した。
【0037】
<比較例5>
比較例2の液体試料100gと架橋型ポリアクリル酸ナトリウム10gを混合して、固体試料を製造した。
【0038】
<比較例6>
精製水880g、エチルアルコール80g、グリセリン40g、化学式IVの共重合体0.03g、硝酸銀を溶解させて銀イオンを50ppm含むように調整した精製水溶液1000g、化学式VIの半極性有機ホウ素界面活性剤2g及び化学式VIIの半極性有機ホウ素界面活性剤5gを均一混合させた水系溶液にカラギーナン35gを投入した後、実施例5と同様に70℃まで加熱して融解状態とし、次いで、常温まで冷却して、固体試料を製造した。
【0039】
本発明実施例4、5及び比較例4〜6の固化試料をそれぞれ100gづつ、上蓋に直径1.5cmの穴を開けた円筒容器に取り、シロッコファンを具備した送風機内に入れた。
しかる後、送風機を作動させて、30cm離したところにある36コロニー/10cm2の一般生菌を付着させているポリエステルフィルムに対して連続的に気化物を接触させ、経過時間毎の付着菌数の変化の状況を調べた。その結果を表3に示す。
【0040】
【表3】

【0041】
表3から明らかなように、本発明の複合型殺菌消臭剤組成物は固体状態でも十分に殺菌性能の優位性が確認された。
【0042】
一方、本発明実施例4、5及び比較例4〜6の固化試料をそれぞれ上述の上蓋に直径1.5cmの穴を開けた円筒容器に取って送風機に入れ、タバコ臭が充満している91m3の部屋に設置して、1時間作動させた時の5m離れた場所での消臭性の有無を、20〜70才の無作為に選んだ100人を20人づつ各例毎の判定者として、感覚的に調べてもらった。その結果を表4に示す。
但し、タバコ臭消臭の有無の評価基準は、次の通りとした。
A … 20人の判定者中、18人以上が消臭性があると回答したもの
B … 20人の判定者中、15〜17人が消臭性があると回答したもの
C … 20人の判定者中、8〜14人が消臭性があると回答したもの
D … 20人の判定者中、消臭性があると回答した人が7人以下のもの
【0043】
【表4】

【0044】
表4では、反対イオンを含まない状態で安定分散している銀イオンとカルボキシレート基を側鎖に持つ高分子電解質の水系コロイドとを、一体化させた新規な複合型殺菌消臭剤組成物が現す消臭作用への相乗効果が明確に見られた。
【産業上の利用可能性】
【0045】
本発明の複合型殺菌消臭剤組成物は、従来の殺菌剤及び/又は消臭剤に比べて性能の発現が早く、かつ、性能も一段と優れたものであり、十分に商品価値が認められるものであるが、さらにまた、製造方法が簡便で、再現性が良く、大量生産し得ることに加えて、水系組成物として配合する原料素剤の使用量が比較的少なく、安価なコストであること等の産業的長所がある。しかも、それらの原料基剤が化学的に極めて安全性の高い物質であり、食品や食品添加物であったり、化粧品原料として以前から使用実績がある物を使用し得ること等、人間生活に際しての信頼を博している。よって、これらのことから、本発明は産業上の利用可能性が大いにあるものと考えられる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)銀を電気分解して発生させた銀イオン、(B)水単独又は水及び水と水素結合し得る水溶性溶剤の混合物、(C)カルボキシレート基を側鎖に持つ高分子電解質、又は、それらに加えて(D)界面活性剤及び/若しくは(E)固化機能性親水性高分子化合物を含有し、かつ、(A)成分と(B)成分との合計量100重量部当たり、(C)成分の含有量が0.0001〜1重量部で、(D)成分の含有量が0〜10重量部で、(E)成分の含有量が0〜10重量部であることを特徴とする複合型殺菌消臭剤組成物。
【請求項2】
(B)成分に対する(A)成分の含有割合が、重量比で5〜25ppmである前記請求項1に記載の複合型殺菌消臭剤組成物。
【請求項3】
(C)成分のカルボキシレート基を側鎖に持つ高分子電解質が下記一般式I
【化11】

(但し、X1〜X4はH、CH3、Y1〜Y4はH、ヒドロキシメチル基若しくはヒドロキシエチル基であり、0≦a≦1、0≦b≦1で、かつ0.1≦a+b≦1、0≦c≦0.9、0≦d≦0.9で、かつ0≦c+d≦0.9、a+b+c+d=1、3000≦n≦300000である。)
にて表されるアニオン型高分子電解質である前記請求項1に記載の複合型殺菌消臭剤組成物。
【請求項4】
(D)成分の界面活性剤が下記一般式II
【化12】

(但し、R1及びR2は水素若しくは炭素数合計8〜22のアシル基であり、0≦l≦40、0≦m≦40で、かつ0≦l+m≦40である。)にて表される半極性有機ホウ素界面活性剤である前記請求項1に記載の複合型殺菌消臭剤組成物。
【請求項5】
(E)成分の固化機能性親水性高分子化合物が架橋型ポリアクリル酸ナトリウムか又はカラギーナンである前記請求項1に記載の複合型殺菌消臭剤組成物。

【公開番号】特開2011−167218(P2011−167218A)
【公開日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−30857(P2010−30857)
【出願日】平成22年2月16日(2010.2.16)
【出願人】(508052444)有限会社ベル (2)
【Fターム(参考)】