複合操作型入力装置
【課題】操作に際してねじりの発生を防ぐことができるとともに、絶縁ギャップによる影響を受けることなく押圧操作を行なうことができる複合操作型入力装置の提供。
【解決手段】押圧操作により、ドーム状金属板2が第1固定接点1bの中央固定接点1b1に接触して信号を出力する押圧操作手段と、摺動操作により、摺動子3が第2固定接点1cの固定接点1c1〜1c4のうちの該当するものに接触して信号を出力する摺動操作手段とを備えるとともに、第1固定接点1bをハウジング1の内底面の中央部分に配置し、第2固定接点1cをハウジング1の内底面の操作部材5の摺動方向に沿って第1固定接点1bを挟むように配置し、ドーム状金属板2の押圧方向を、ハウジング1の内底面に直交するハウジング1の内側面に沿う方向に設定した。
【解決手段】押圧操作により、ドーム状金属板2が第1固定接点1bの中央固定接点1b1に接触して信号を出力する押圧操作手段と、摺動操作により、摺動子3が第2固定接点1cの固定接点1c1〜1c4のうちの該当するものに接触して信号を出力する摺動操作手段とを備えるとともに、第1固定接点1bをハウジング1の内底面の中央部分に配置し、第2固定接点1cをハウジング1の内底面の操作部材5の摺動方向に沿って第1固定接点1bを挟むように配置し、ドーム状金属板2の押圧方向を、ハウジング1の内底面に直交するハウジング1の内側面に沿う方向に設定した。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、押圧操作に伴って信号を出力する押圧操作手段と、摺動操作に伴って信号を出力する摺動操作手段とを有する複合操作型入力装置に係り、携帯電話やカメラ付き電子機器等に好適な複合操作型入力装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の従来技術として特許文献1に示されるものがある。この従来技術は、本体を形成するボディ、すなわち同一面を形成するハウジングの内底面に摺動操作用の固定接点と、押圧操作用の固定接点とを形成してある。これらの固定接点は、ハウジングの内底面上に絶縁ギャップを介して形成されている。また、可動接点を構成する接触子が取り付けられたプッシュロッドを備えるとともに、このプッシュロッドに係合され、ハウジング内を摺動可能なスライダ、すなわち操作部材を備えている。
【0003】
この従来技術は、プッシュロッドをハウジングの内底面に沿う方向に押圧操作することにより、プッシュロッドに取り付けられた接触子が上述の絶縁ギャップを越えて押圧操作用の固定接点に接触し、信号を出力するようになっている。また、プッシュロッドをハウジングの内底面に沿う方向に、また、上述の押圧方向と直交する方向に移動させることにより、このプッシュロッドに係合する操作手段が摺動し、このプッシュロッドに取り付けられた接触子が摺動用の固定接点に摺接し、信号を出力するようになっている。
【0004】
すなわち、この従来技術では、プッシュロッドと、押圧操作用の固定接点と、押圧操作される上述の接触子等により、押圧操作に伴って押圧操作用の固定接点に接触子が接触して信号を出力する押圧操作手段が構成されている。また、プッシュロッドと、操作部材と、操作用の固定接点と、操作部材の摺動に伴って摺動する上述の接触子等により、摺動操作に伴って摺動用の固定接点と接触子が摺接して信号を出力する摺動操作手段が構成されている。
【特許文献1】特開平5−217464号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した従来技術は、プッシュロッドに取り付けられた接触子が、押圧操作用の可動接点と摺動操作用の可動接点との2つの可動接点を兼ね、ハウジングの内底面の同一面上に配置された押圧操作用の固定接点の上と、摺動操作用の固定接点の上を摺動するようになっていることから、すなわち押圧操作、及び摺動操作の双方に対して接触子が同一平面内を摺動することから、プッシュロッド操作に際してねじりが発生しやすい。このようなねじりを生じたときには、押圧操作用の固定接点、摺動操作用の固定接点、あるいは接触子の相互間において損傷を生じる懸念があり、このために装置の寿命が短くなりやすい。また、プッシュロッドの押圧操作に際しては、プッシュロッドを摺動操作用の固定接点と押圧操作用の固定接点との間に形成される絶縁ギャップを越えてストロークさせる必要があることから、この押圧操作時のストロークが大きくなる。これに伴ってプッシュロッドの押圧方向に沿うハウジングの形状が大きくなり、この押圧方向に対する装置の小型化の実現が難しい問題があった。
【0006】
本発明は、上述した従来技術における実状からなされたもので、その目的は、操作に際してねじりの発生を防ぐことができるとともに、絶縁ギャップによる影響を受けることなく押圧操作を行なうことができる複合操作型入力装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的を達成するために、本発明は、第1固定接点、及び第2固定接点を有するハウジングと、上記第1固定接点と、押圧操作される第1可動接点とを含み、この第1可動接点が上記第1固定接点に接触することにより信号を出力する押圧操作手段と、上記第2固定接点と、摺動可能な操作部材と、この操作部材の摺動に伴って摺動する第2可動接点とを含み、この第2可動接点が上記第2固定接点と摺接することにより信号を出力する摺動操作手段とを備えるとともに、上記第1固定接点を上記ハウジングの内底面の中央部分に配置し、上記第2固定接点を上記ハウジングの上記内底面の上記操作部材の摺動方向に沿って上記第1固定接点を挟むように配置し、上記第1可動接点の押圧方向を、上記ハウジングの上記内底面と直交するハウジングの内側面に沿う方向に設定したことを特徴としている。
【0008】
このように構成した本発明は、押圧操作手段による押圧操作に際しては、第1可動接点をハウジングの内側面に沿う方向に押圧して第1固定接点に接触させればよく、また、摺動操作手段による摺動操作に際しては、第2可動接点をハウジングの内側面に直交するハウジングの内底面に沿う方向に摺動させて、第2固定接点に摺接させればよく、押圧操作、及び摺動操作を、異なる面内、すなわちハウジングの内側面に沿う面内とハウジングの内側面と直交する内底面に沿う面内における第1可動接点、第2可動接点それぞれの一方向の動作によって実現させることができる。これによって、操作に際してのねじりの発生を防ぐことができ、第1可動接点と第1固定接点相互間の上述したねじりによる損傷、及び第2可動接点と第2固定接点相互間の上述したねじりによる損傷を防ぐことができる。
【0009】
また、押圧操作に際して、第1可動接点をハウジングの内側面に沿う方向に第1固定接点に向かって押圧することにより、ハウジングの内底面に配置される第1固定接点と第2固定接点との間に形成される絶縁ギャップを越えることなく第1可動接点の押圧操作を行なうことができる。すなわち、絶縁ギャップの影響を受けることなく押圧操作を行なうことができる。これにより、絶縁ギャップに関係するストローク分を考慮しないで済み、押圧操作時のストロークを小さくすることができる。
【0010】
また、本発明は、上記発明において、上記摺動操作手段の上記操作部材に、クリック感触を与えるクリック機構を備えたことを特徴としている。
【0011】
このように構成した本発明は、操作部材の摺動操作に際して信号の切換位置を、クリック機構によるクリック感触で明確に把握でき、優れた摺動操作性が得られる。
【0012】
また、本発明は、上記発明において、上記押圧操作手段の上記第1可動接点がドーム状金属板から成り、上記押圧操作手段が、上記ドーム状金属板を押圧可能な突起を有する駆動体を含み、上記ハウジングの上記内側面に、上記駆動体の端部を案内する溝を形成したことを特徴としている。
【0013】
このように構成した本発明は、押圧操作時には、駆動体の端部がハウジングの内側面の溝に案内されながら、駆動体の突起がドーム状金属板を押圧し、これによってドーム状金属板が反転してハウジングの内底面に設けた第1固定接点に接触し、信号を出力することができる。このように押圧操作に際してはハウジングの内側面の溝による駆動体の端部の案内を介して、第2固定接点が配設されたハウジングの内底面と直交する方向に確実に押圧操作を行なわせることができる。
【0014】
また、本発明は、上記発明において、上記摺動操作手段の上記第2可動接点が、中央に上記駆動体の上記突起が挿通される穴を有し、上記押圧操作手段の上記第1固定接点を挟むように配置され、上記第2固定接点に接触する一対の接点部を有する摺動子から成ることを特徴としている。
【0015】
このように構成した本発明は、押圧操作時には、駆動体の突起が摺動子の穴に挿通して、この駆動体の突起によるドーム状金属板の押圧が行なわれるので、摺動操作手段に影響を与えることなく押圧操作による信号の出力を実現できる。
【0016】
また、本発明は、上記発明において、上記押圧操作手段の上記駆動体が弾性を有する支持アームを含み、この支持アームに上記突起を設け、上記押圧操作手段の上記駆動体を押圧操作可能であるとともに、上記摺動操作手段の上記操作部材を摺動操作可能な操作ノブを備え、上記操作部材が、上記操作ノブが挿通する穴を有し上記操作ノブによって摺動方向に移動可能な第1操作体と、この第1操作体とは別体に設けられ、上記摺動子が取り付けられ、上記操作ノブが挿通する穴を有し、上記操作ノブによる上記第1操作体の移動に伴って摺動可能な第2操作体とから成り、上記第1操作体と上記第2操作体とを、上記操作ノブの押圧方向に沿って上記駆動体の上記支持アームを挟むように配置したことを特徴としている。
【0017】
このように構成した本発明は、押圧操作時には、操作ノブによって駆動体を押圧することにより、第1操作体と第2操作体とによって挟まれた駆動体の支持アームが撓んで、この支持アームに取り付けられた突起がドーム状金属板を押圧し、このドーム状金属板の反転による第1固定接点への接触によって信号を出力させることができる。また、摺動操作時には、操作ノブによって第1操作体を摺動方向に移動させることにより第2操作体が摺動し、この第2操作体に取り付けられた摺動子が第2固定接点上を摺接して、信号を出力させることができる。このように操作ノブの押圧と、押圧方向と直交する方向のこの操作ノブの移動を介して押圧操作、摺動操作のそれぞれによる信号の出力を確実に行なわせることができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明は、押圧操作手段に含まれる第1可動接点が接触する第1固定接点をハウジングの内底面の中央部分に配置し、摺動操作手段に含まれる第2可動接点が摺接する第2固定接点をハウジングの内底面の操作部材の摺動方向に沿って第1固定接点を挟むように配置し、第1可動接点の押圧方向を、ハウジングの内底面と直交するハウジングの内側面に沿う方向に設定してあることから、押圧操作、及び摺動操作を、異なる面内における第1可動接点、第2可動接点それぞれの一方向の動作によって実現させることができる。これによって、従来生じていたような操作に際してのねじりの発生を防ぐことができ、第1可動接点と第1固定接点相互間の上述したねじりによる損傷、及び第2可動接点と第2固定接点相互間の上述したねじりによる損傷を防ぐことができ、従来から望まれていた装置の長寿命化を実現できる。また、押圧操作に際して、絶縁ギャップの影響を受けることなく押圧操作を行なうことができる。これにより、押圧操作時のストロークを小さくすることができ、ハウジングの形状を従来に比べて小さくすることができ、押圧方向に対する装置の小型化も実現させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下,本発明に係る複合操作型入力装置を実施するための最良の形態を図に基づいて説明する。
【0020】
[本実施形態の構成]
図1は本発明に係る複合操作型入力装置の一実施形態の要部構成を示す分解斜視図、図2は本実施形態の要部平面図、図3は本実施形態の要部正面図、図4は図2のA−A断面図、図5は図2のB−B断面図である。
【0021】
図6は本実施形態に備えられるハウジングを示す図で、(a)図は平面図、(b)図は正面図、(c)図は左側面図、(d)図は右側面図である。図7は本実施形態に備えられる第2操作体及び摺動子を示す図で、(a)図は平面図、(b)図は正面図、(c)図は左側面図、(d)図は右側面図、(e)図は裏面図、図8は本実施形態に備えられる第1操作体を示す図で、(a)図は平面図、(b)図は正面図、(c)図は左側面図、(d)図は右側面図、図9は本実施形態に備えられる駆動体を示す図で、(a)図は平面図、(b)図は正面図、(c)図は左側面図、(d)図は右側面図、(e)図は裏面図である。
【0022】
図10は本実施形態が第1切換位置にあるときの状態を示す平面図、図11は本実施形態が第1切換位置にあるときの状態を示す正面図、図12は図10のC−C断面図である。図13は本実施形態が第2切換位置にあるときの状態を示す平面図、図14は本実施形態が第2切換位置にあるときの状態を示す正面図、図15は図13のD−D断面図である。
【0023】
本実施形態は、図1に示すように、収納部1aと、この収納部1aの内底面に配置された第1固定接点1b及び第2固定接点1cを有し、本体を形成する筐体、すなわちハウジング1と、このハウジング1の第1固定接点1bに接触する第1可動接点、例えばドーム状金属板2と、第2固定接点1cに摺接する第2可動接点、例えば摺動子3とを備えている。
【0024】
また、ドーム状金属板2を押圧可能な突起4bを有する駆動体4と、摺動子3が取り付けられ、摺動可能な操作部材5とを備えている。さらに、上述したドーム状金属板2、摺動子3、駆動体4、及び操作部材5がハウジング1の収納部1a内に収納された状態で、このハウジング1の収納部1aを覆うように、ハウジング1に係着されるカバー部材6とを備えている。また、図10〜12に示すように、駆動体4を押圧操作可能であるとともに、操作部材5を摺動操作可能な操作ノブ7を備えている。
【0025】
図6の(a)図にも示すように、ハウジング1は上方が開放された上述の収納部1aと、この収納部1aの一方の内側面に互いに対向するように一対形成され、収納部1aの内底面と直交する方向に延設され、駆動体4の端部を案内する溝1dと、側壁の一部を切欠き形成した開口部1eと、このハウジング1の外壁面に複数形成された係合突起1fとを備えている。
【0026】
このハウジング1の収納部1aの内底面の中央部分には、図4にも示すように、絶縁ギャップを形成する環状部1a1が突出形成され、この環状部1a1内に第1固定接点1bが、例えばインサート成形により設けられている。この第1固定接点1bは、ドーム状金属板2が選択的に導通する中央固定接点1b1と、この中央固定接点1b1の周囲に配置され、ドーム状金属板2が常時導通する周辺固定接点1b2とから成っている。また、第2固定接点1cを、ハウジング1の収納部1aの内底面の操作部材5の摺動方向に沿って第1固定接点1bを挟むように、例えば第1固定接点1bの一方の側に配置される固定接点1c1及び固定接点1c2と、第1固定接点1bの他方の側に配置される固定接点1c3及び固定接点1c4とから成っている。これらの固定接点1c2〜1c4も、例えばインサート成形により設けられている。
【0027】
上述した図1に示すように、操作部材5は、第1操作体5aと、この第1操作体5aとは別体に設けられる第2操作体5bとから成っている。第1操作体5aは、操作ノブ7が挿通する略正四角形の穴5a1と、端部の四隅のそれぞれに形成された係合部5a2とを有し、操作ノブ7によって摺動方向、つまり第2固定接点1cに含まれる固定接点1c1〜1c4を結ぶ方向に移動可能になっている。第2操作部材5bは、図7に示すように、図示下面に上述した摺動子3が取り付けられ、操作ノブ7が挿通する長方形の穴5b1と、図示上面の4箇所に形成され、第1操作体5aの4つの係合部5a2のそれぞれ該当するものとの係合によって、第1操作体5aの移動に伴ってこの第2操作体5bを摺動させる突起5b2とを備えている。
【0028】
第2操作体5bに取り付けられる摺動子3は、図1に示すように、操作ノブ7が挿通する略長方形の穴3aと、この穴3aの外側に配置され、第2固定接点1cに接触する一対の接点部3bを備えている。
【0029】
駆動体4は、図1,9等に示すように、例えば弾性を有する金属薄板から成る支持アーム4と、この支持アーム4の略中央部分に設けられ、合成樹脂から成る突起4bとを含んでいる。上述した操作部材5を構成する第1操作体5aと第2操作体5bとは、操作ノブ7の押圧方向に沿って駆動体4の支持アーム4aを挟むように配置してある。
【0030】
図1,4等に例示するように、第1操作体5aの一方側の一対の係合部5a2間に位置するこの第1操作体5aの側端部と、他方側の一対の係合部5a2間に位置するこの第1操作体5aの側端部とを結ぶ長さ寸法は、第2操作体5bの穴5b1の摺動方向に沿う長さ寸法よりも小さく設定してある。これにより、第1操作体5aと第2操作体5bとによって駆動体4を挟持した際に、摺動方向の第1操作体5a及び第2操作体5bの両側部付近においてこれらの第1操作体5aと第2操作体5bとの間に形成される隙間を介して、駆動体4の支持アーム4aの両端部がハウジング1の収納部1a内に形成される空間部に突出するようになっている。また、収納部1a内の空間部に突出した支持アーム4aの両端部のそれぞれは、ハウジング1の収納部1aの内側面に形成した上述の溝1dによって案内されるようになっている。
【0031】
カバー部材6は、図1等に示すように、操作ノブ7が挿通される穴6aと、操作部材5を構成する第1操作体5aのクリック用凹部5a3に選択的に係合するクリック用突起6bと、ハウジング1の係合突起1fのそれぞれに係合する係合穴6cを備えている。
【0032】
操作ノブ7は、図10〜12等に示すように、操作部7aと、この操作部7aに連設される操作軸7bとを備えている。この操作ノブ7の操作軸7bは、カバー部材6の穴6a、第1操作体5aの穴5a1、第2操作体5bの穴5b1に挿通され、駆動体4の支持アーム4aを押圧可能に配置してある。
【0033】
本実施形態は、上述したように、第1可動接点を形成するドーム状金属板2が接触する第1固定接点1bをハウジング1の内底面の中央部分に配置し、第2可動接点を形成する摺動子3が摺接する第2固定接点1cをハウジング1の内底面の操作部材5の摺動方向に沿って第1固定接点1bを挟むように配置してあるとともに、ドーム状金属板2の押圧方向を、ハウジング1の内底面と直交するハウジング1の内側面に沿う方向、すなわちハウジング1に形成された溝1dの延設方向に沿う方向に設定してある。
【0034】
上述した操作ノブ7と、駆動体4と、第1可動接点を形成するドーム状金属板2と、ハウジング1に形成された第1固定接点1bとによって、押圧操作に伴って、ドーム状金属板2が反転して第1固定接点1bの中央固定接点1b1に接触することにより信号を出力する押圧操作手段が構成されている。
【0035】
また、上述した操作ノブ7と、第1操作体5a及び第2操作体5bを含む操作部材5と、第2可動接点を形成する摺動子3と、ハウジング1に形成された第2固定接点1cとによって、摺動操作に伴って、摺動子3の接点部3bが第2固定接点1cの固定接点1c1〜1c4のうちの該当するものに摺接することにより信号を出力する摺動操作手段が構成されている。
【0036】
また、上述した操作部材5を形成する第1操作体5aに設けたクリック用凹部5a3と、ハウジング1に形成した開口部1eと、カバー部材6をハウジング1に係着させた際に、ハウジング1の開口部1eを介して第1操作体5aのクリック用凹部5a3に選択的に係合するカバー部材6のクリック用突起6bとによって、操作部材5にクリック感触を与える、すなわち、操作部材5の第1操作体5aを介して操作ノブ7の操作部7aにクリック感触を与えるクリック機構が形成されている。
【0037】
[本実施形態の動作]
本実施形態を、モードの選択と、モードの確定が要求される携帯電話等に適用させた場合を例に挙げて、本実施形態の動作を以下に説明する。
【0038】
本実施形態は、例えば2つの切換位置を有し、この2つの切換位置のうちの第1切換位置が第1モードに対応し、第2切換位置が第1モードとは異なる第2モードに対応するものとする。第1切換位置は、例えば図4,5に示す初期位置となっている。この初期位置つまり第1切換位置では、操作ノブ7が操作されない状態にあっては、操作部材5を形成する第1操作体5aと第2操作体5bに挟まれる駆動体4の支持アーム4aは、図4に示すように、水平方向に延設保持されており、これに伴って駆動体4の突起4bが接触する第1可動接点、すなわちドーム状金属板2は上に凸となる形状に保たれている。したがって、このドーム状金属板2は、第1固定接点1bに含まれる周辺固定接点1b2に導通するものの、中央固定接点1b1には導通しない状態となる。また、操作部材5の第2操作体5bに取り付けられた第2可動接点、すなわち摺動子3の2つの接点部3bのうちの一方の接点部3bは、第2固定接点1cのうちの固定接点1c1に接触し、他方の接点部3bは、同図4に示すように、固定接点1c3に接触する。したがって、この第1切換位置にあっては、固定接点1c1と固定接点1c3とが摺動子3を介して導通し、例えば第1モードの選択に相応する信号が出力される。
【0039】
このような状態において、図10〜12に示すように、操作ノブ7の操作部7aを押圧すると、操作軸7bがハウジング1の内側面に沿う方向に移動し、駆動体4の支持アーム4aが押される。この押圧により、支持アーム4aの端部がハウジング1に形成された溝1dに案内されるとともに、支持アーム4aが自己の保有する弾性に抗して撓み変形し、このドーム状金属板2の頂部が反転して、第1固定接点1bの中央固定接点1b1に導通する。これによって、中央固定接点1b1と周辺固定接点1b2とがドーム状金属板2を介して導通し、選択された第1モードの確定に相応する信号が出力される。
【0040】
なお、このような押圧動作の間、駆動体4の突起4bは、摺動子3の穴3a内を挿通するので、押圧による力が摺動子3に伝えられることがなく、したがって、この押圧操作が摺動子3の動きに影響を与えることがない。
【0041】
また、このような状態から操作ノブ7に加えていた押圧力を除いて押圧操作を解除すると、ドーム状金属板2の自己復帰力、及び駆動体4の支持アーム4aの自己復帰力を介して、図4に示す状態に復帰する。この状態から操作ノブ7を水平方向に動かすと、第1操作体5aがハウジング1の内底面に沿う方向に、すなわち図4の左方向に移動する。この第1操作体5aの移動により、この第1操作体5aの係合部5a2が第2操作体5bの突起5b2に係合し、これらの係合部5a2、突起5b2を介して第2操作体5bが第1操作体5aの移動とともに摺動する。第2モードに相応する第2切換位置に至ると、カバー部材6のクリック用突起6bが第1操作体5aのクリック用凹部5a3に係合し、クリック感触が得られる。
【0042】
このとき、第2操作体5bに取り付けられた摺動子3の接点部3bのうちの一方は、図4に示す第2固定接点1cのうちの固定接点1c2に摺接し、他方は固定接点1c4に摺接した状態となる。この状態になると、固定接点1c2と固定接点1c4とが摺動子3を介して導通し、上述した第1モードとは異なる第2モードの選択に相応する信号が出力される。
【0043】
なお、このような摺動操作の間、駆動体4の突起4bは、摺動子3の穴3a内を相対的に移動するが、摺動による力が駆動体4の突起4bに与えられることがなく、したがってこの摺動動作がドーム状金属板2の動きに影響を与えることはない。
【0044】
また、このような状態から、図13〜15に示すように、操作ノブ7の操作部7aを押圧すると、操作軸7bがハウジング1の内側面に沿う方向に移動し、駆動体4の支持アーム4aが押される。この押圧により、支持アーム4aの端部がハウジング1に形成される溝1dによって案内されるとともに、支持アーム4aが自己の保有する弾性に抗して撓み変形し、この駆動体4の突起4bがドーム状金属板2の頂部を押圧し、このドーム状金属板2の頂部が反転して、第1固定接点1bの中央固定接点1b1に導通する。これによって、中央固定接点1b1と周辺固定接点1b2とがドーム状金属板2を介して導通し、選択された第2モードの確定に相応する信号が出力される。
【0045】
以下同様にして、必要に応じて第1切換位置に切り換えられて第1モードが選択され、押圧操作によってその第1モードが確定され、また、第2切換位置に切り替えられて第2モードが選択され、押圧操作によってその第2モードが確定される。
【0046】
[本実施形態の効果]
このように構成した本実施形態によれば、操作ノブ7による押圧操作に際しては、ドーム状金属板2をハウジング1の内側面に沿う方向に押圧して、このドーム状金属板2を第1固定接点1bの中央固定接点1b1に接触させればよく、また、操作ノブ7による摺動操作に際しては、摺動子3をハウジング1の内側面に直交するハウジング1の内底面に沿う方向に摺動させて第2固定接点1cのうちの該当する固定接点1c1〜1c4に摺接させればよく、押圧操作及び摺動操作を、異なる面内における一方向の操作によって、すなわちハウジング1の内側面に沿う面内とハウジング1の内側面と直交する内底面に沿う面内におけるドーム状金属板2、摺動子3それぞれの一方向の操作によって実施させることができる。これによって、操作に際してのねじりの発生を防ぐことができ、ドーム状金属板2と第1固定接点1b相互間の上述したねじりによる損傷、及び摺動子3と第2固定接点1cの相互間の上述したねじりによる損傷を防ぐことができ、装置の長寿命化を実現できる。
【0047】
また、押圧操作に際して、ドーム状金属板2をハウジング1の内側面に沿う方向に、第1固定接点1bの中央固定接点1b1に向かって押圧することにより、ハウジング1の内底面に配置される第1固定接点1bと第2固定接点1cとの間に形成される絶縁ギャップを越えることなくドーム状金属板2の押圧操作を行なうことができる。すなわち、絶縁ギャップの影響を受けることなく押圧操作を行なうことができる。これにより、絶縁ギャップに関係するストローク分を考慮しないで済み、押圧方向のハウジング1の形状を小さくして、押圧方向に対する装置の小型化を実現できる。
【0048】
また、カバー部材6に形成したクリック用突起6b、第1操作体5aに設けたクリック用凹部5a3等を含むクリック機構を備えたことから、操作部材5の摺動操作に際して信号の切換位置である第1切換位置、あるいは第2切換位置を、クリック機構によるクリック感触で明確に把握でき、優れた摺動操作性が得られ、装置の信頼性の向上に貢献する。
【0049】
また、第1固定接点1bの中央固定接点1b1に選択的に導通可能な第1可動接点がドーム状金属板2から成ることから、このドーム状金属板2の反転動作によって押圧操作の信号を確実に出力させることができる。また、ハウジング1の対向する内側面のそれぞれに、駆動体4の支持アーム4aの端部を案内する溝1dを形成したことから、押圧操作に際して、溝1dによる支持アーム4aの端部の案内を介して、第2固定接点1cが配設されたハウジング1の内底面と直交する内側面に沿う方向に、確実に押圧することができる。これらによって、安定した押圧操作及び摺動操作を実現でき、このことも装置の信頼性の向上に貢献する。
【0050】
また、押圧操作時には、駆動体4の突起4bが摺動子3の穴3aに挿通して、この駆動体4の突起4bによるドーム状金属板2の押圧が行なわれるので、摺動操作手段に影響を与えることなく押圧操作による信号の出力を実現できる。
【0051】
また、上述したように押圧操作時には、操作ノブ7によって駆動体4を押圧することにより、第1操作体5aと第2操作体5bとによって挟まれた駆動体4の支持アーム4aが撓み変形して、この支持アーム4aに取り付けられた突起4bがドーム状金属板2を押圧し、このドーム状金属板2の反転による第1固定接点1bの中央固定接点1b1への接触によって信号を出力させることができる。また、摺動操作時には、操作ノブ7によって第1操作体5aを摺動方向に移動させることにより第2操作体5bが摺動し、この第2操作体5bに取り付けられた摺動子3が第2固定接点1c上を摺動して、信号を出力させることができる。このように操作ノブ7の押圧と、押圧方向と直交する方向のこの操作ノブ7の移動を介して押圧操作、摺動操作のそれぞれによる信号の出力を確実に行なわせることができ、優れた操作性を確保できる。
【0052】
また、本実施形態によれば、摺動操作によるモード選択操作の後に行なわれる押圧操作によって、モードを確定するようにしてあることから、摺動操作のみによってモードの選択と確定を同時に行なう場合に懸念されるモード選択の誤操作を確実に防止することができる。
【0053】
なお、本実施形態にあっては、駆動体4を弾性を有する金属薄板から成る支持アーム4aと、この支持アーム4aに設けた合成樹脂製の突起4bとを含む構成にしてあるが、本発明は、このように駆動体4を構成することには限定されない。例えば駆動体4の突起4bを含めた全体を金属薄板によって構成してもよく、また、支持アーム4aを含めた全体を合成樹脂によって形成してもよい。特に、駆動体4の全体を合成樹脂によって形成したものでは、支持アーム4aの端部とハウジング1の溝1dとの摺接による損耗を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本発明に係る複合操作型入力装置の一実施形態の要部構成を示す分解斜視図である。
【図2】本実施形態の要部平面図である。
【図3】本実施形態の要部正面図である。
【図4】図2のA−A断面図である。
【図5】図2のB−B断面図である。
【図6】本実施形態に備えられるハウジングを示す図で、(a)図は平面図、(b)図は正面図、(c)図は左側面図、(d)図は右側面図である。
【図7】本実施形態に備えられる第2操作体及び摺動子を示す図で、(a)図は平面図、(b)図は正面図、(c)図は左側面図、(d)図は右側面図、(e)図は裏面図である。
【図8】本実施形態に備えられる第1操作体を示す図で、(a)図は平面図、(b)図は正面図、(c)図は左側面図、(d)図は右側面図である。
【図9】本実施形態に備えられる駆動体を示す図で、(a)図は平面図、(b)図は正面図、(c)図は左側面図、(d)図は右側面図、(e)図は裏面図である。
【図10】本実施形態が第1切換位置にあるときの状態を示す平面図である。
【図11】本実施形態が第1切換位置にあるときの状態を示す正面図である。
【図12】図10のC−C断面図である。
【図13】本実施形態が第2切換位置にあるときの状態を示す平面図である。
【図14】本実施形態が第2切換位置にあるときの状態を示す正面図である。
【図15】図13のD−D断面図である。
【符号の説明】
【0055】
1 ハウジング
1b 第1固定接点(押圧操作手段)
1c 第2固定接点(摺動操作手段)
1d 溝
1e 開口部(クリック機構)
2 ドーム状金属板(第1可動接点)〔押圧操作手段〕
3 摺動子(第2可動接点)〔摺動操作手段〕
3a 穴
3b 接点部
4 駆動体(押圧操作手段)
4b 突起
5 操作部材(摺動操作手段)
5a 第1操作体
5a1 穴
5a3 クリック用凹部(クリック機構)
5b 第2操作体
5b1 穴
6 カバー部材
6b クリック用突起(クリック機構)
7 操作ノブ(摺動操作手段)(押圧操作手段)
7a 操作部
7b 操作軸
【技術分野】
【0001】
本発明は、押圧操作に伴って信号を出力する押圧操作手段と、摺動操作に伴って信号を出力する摺動操作手段とを有する複合操作型入力装置に係り、携帯電話やカメラ付き電子機器等に好適な複合操作型入力装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の従来技術として特許文献1に示されるものがある。この従来技術は、本体を形成するボディ、すなわち同一面を形成するハウジングの内底面に摺動操作用の固定接点と、押圧操作用の固定接点とを形成してある。これらの固定接点は、ハウジングの内底面上に絶縁ギャップを介して形成されている。また、可動接点を構成する接触子が取り付けられたプッシュロッドを備えるとともに、このプッシュロッドに係合され、ハウジング内を摺動可能なスライダ、すなわち操作部材を備えている。
【0003】
この従来技術は、プッシュロッドをハウジングの内底面に沿う方向に押圧操作することにより、プッシュロッドに取り付けられた接触子が上述の絶縁ギャップを越えて押圧操作用の固定接点に接触し、信号を出力するようになっている。また、プッシュロッドをハウジングの内底面に沿う方向に、また、上述の押圧方向と直交する方向に移動させることにより、このプッシュロッドに係合する操作手段が摺動し、このプッシュロッドに取り付けられた接触子が摺動用の固定接点に摺接し、信号を出力するようになっている。
【0004】
すなわち、この従来技術では、プッシュロッドと、押圧操作用の固定接点と、押圧操作される上述の接触子等により、押圧操作に伴って押圧操作用の固定接点に接触子が接触して信号を出力する押圧操作手段が構成されている。また、プッシュロッドと、操作部材と、操作用の固定接点と、操作部材の摺動に伴って摺動する上述の接触子等により、摺動操作に伴って摺動用の固定接点と接触子が摺接して信号を出力する摺動操作手段が構成されている。
【特許文献1】特開平5−217464号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した従来技術は、プッシュロッドに取り付けられた接触子が、押圧操作用の可動接点と摺動操作用の可動接点との2つの可動接点を兼ね、ハウジングの内底面の同一面上に配置された押圧操作用の固定接点の上と、摺動操作用の固定接点の上を摺動するようになっていることから、すなわち押圧操作、及び摺動操作の双方に対して接触子が同一平面内を摺動することから、プッシュロッド操作に際してねじりが発生しやすい。このようなねじりを生じたときには、押圧操作用の固定接点、摺動操作用の固定接点、あるいは接触子の相互間において損傷を生じる懸念があり、このために装置の寿命が短くなりやすい。また、プッシュロッドの押圧操作に際しては、プッシュロッドを摺動操作用の固定接点と押圧操作用の固定接点との間に形成される絶縁ギャップを越えてストロークさせる必要があることから、この押圧操作時のストロークが大きくなる。これに伴ってプッシュロッドの押圧方向に沿うハウジングの形状が大きくなり、この押圧方向に対する装置の小型化の実現が難しい問題があった。
【0006】
本発明は、上述した従来技術における実状からなされたもので、その目的は、操作に際してねじりの発生を防ぐことができるとともに、絶縁ギャップによる影響を受けることなく押圧操作を行なうことができる複合操作型入力装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的を達成するために、本発明は、第1固定接点、及び第2固定接点を有するハウジングと、上記第1固定接点と、押圧操作される第1可動接点とを含み、この第1可動接点が上記第1固定接点に接触することにより信号を出力する押圧操作手段と、上記第2固定接点と、摺動可能な操作部材と、この操作部材の摺動に伴って摺動する第2可動接点とを含み、この第2可動接点が上記第2固定接点と摺接することにより信号を出力する摺動操作手段とを備えるとともに、上記第1固定接点を上記ハウジングの内底面の中央部分に配置し、上記第2固定接点を上記ハウジングの上記内底面の上記操作部材の摺動方向に沿って上記第1固定接点を挟むように配置し、上記第1可動接点の押圧方向を、上記ハウジングの上記内底面と直交するハウジングの内側面に沿う方向に設定したことを特徴としている。
【0008】
このように構成した本発明は、押圧操作手段による押圧操作に際しては、第1可動接点をハウジングの内側面に沿う方向に押圧して第1固定接点に接触させればよく、また、摺動操作手段による摺動操作に際しては、第2可動接点をハウジングの内側面に直交するハウジングの内底面に沿う方向に摺動させて、第2固定接点に摺接させればよく、押圧操作、及び摺動操作を、異なる面内、すなわちハウジングの内側面に沿う面内とハウジングの内側面と直交する内底面に沿う面内における第1可動接点、第2可動接点それぞれの一方向の動作によって実現させることができる。これによって、操作に際してのねじりの発生を防ぐことができ、第1可動接点と第1固定接点相互間の上述したねじりによる損傷、及び第2可動接点と第2固定接点相互間の上述したねじりによる損傷を防ぐことができる。
【0009】
また、押圧操作に際して、第1可動接点をハウジングの内側面に沿う方向に第1固定接点に向かって押圧することにより、ハウジングの内底面に配置される第1固定接点と第2固定接点との間に形成される絶縁ギャップを越えることなく第1可動接点の押圧操作を行なうことができる。すなわち、絶縁ギャップの影響を受けることなく押圧操作を行なうことができる。これにより、絶縁ギャップに関係するストローク分を考慮しないで済み、押圧操作時のストロークを小さくすることができる。
【0010】
また、本発明は、上記発明において、上記摺動操作手段の上記操作部材に、クリック感触を与えるクリック機構を備えたことを特徴としている。
【0011】
このように構成した本発明は、操作部材の摺動操作に際して信号の切換位置を、クリック機構によるクリック感触で明確に把握でき、優れた摺動操作性が得られる。
【0012】
また、本発明は、上記発明において、上記押圧操作手段の上記第1可動接点がドーム状金属板から成り、上記押圧操作手段が、上記ドーム状金属板を押圧可能な突起を有する駆動体を含み、上記ハウジングの上記内側面に、上記駆動体の端部を案内する溝を形成したことを特徴としている。
【0013】
このように構成した本発明は、押圧操作時には、駆動体の端部がハウジングの内側面の溝に案内されながら、駆動体の突起がドーム状金属板を押圧し、これによってドーム状金属板が反転してハウジングの内底面に設けた第1固定接点に接触し、信号を出力することができる。このように押圧操作に際してはハウジングの内側面の溝による駆動体の端部の案内を介して、第2固定接点が配設されたハウジングの内底面と直交する方向に確実に押圧操作を行なわせることができる。
【0014】
また、本発明は、上記発明において、上記摺動操作手段の上記第2可動接点が、中央に上記駆動体の上記突起が挿通される穴を有し、上記押圧操作手段の上記第1固定接点を挟むように配置され、上記第2固定接点に接触する一対の接点部を有する摺動子から成ることを特徴としている。
【0015】
このように構成した本発明は、押圧操作時には、駆動体の突起が摺動子の穴に挿通して、この駆動体の突起によるドーム状金属板の押圧が行なわれるので、摺動操作手段に影響を与えることなく押圧操作による信号の出力を実現できる。
【0016】
また、本発明は、上記発明において、上記押圧操作手段の上記駆動体が弾性を有する支持アームを含み、この支持アームに上記突起を設け、上記押圧操作手段の上記駆動体を押圧操作可能であるとともに、上記摺動操作手段の上記操作部材を摺動操作可能な操作ノブを備え、上記操作部材が、上記操作ノブが挿通する穴を有し上記操作ノブによって摺動方向に移動可能な第1操作体と、この第1操作体とは別体に設けられ、上記摺動子が取り付けられ、上記操作ノブが挿通する穴を有し、上記操作ノブによる上記第1操作体の移動に伴って摺動可能な第2操作体とから成り、上記第1操作体と上記第2操作体とを、上記操作ノブの押圧方向に沿って上記駆動体の上記支持アームを挟むように配置したことを特徴としている。
【0017】
このように構成した本発明は、押圧操作時には、操作ノブによって駆動体を押圧することにより、第1操作体と第2操作体とによって挟まれた駆動体の支持アームが撓んで、この支持アームに取り付けられた突起がドーム状金属板を押圧し、このドーム状金属板の反転による第1固定接点への接触によって信号を出力させることができる。また、摺動操作時には、操作ノブによって第1操作体を摺動方向に移動させることにより第2操作体が摺動し、この第2操作体に取り付けられた摺動子が第2固定接点上を摺接して、信号を出力させることができる。このように操作ノブの押圧と、押圧方向と直交する方向のこの操作ノブの移動を介して押圧操作、摺動操作のそれぞれによる信号の出力を確実に行なわせることができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明は、押圧操作手段に含まれる第1可動接点が接触する第1固定接点をハウジングの内底面の中央部分に配置し、摺動操作手段に含まれる第2可動接点が摺接する第2固定接点をハウジングの内底面の操作部材の摺動方向に沿って第1固定接点を挟むように配置し、第1可動接点の押圧方向を、ハウジングの内底面と直交するハウジングの内側面に沿う方向に設定してあることから、押圧操作、及び摺動操作を、異なる面内における第1可動接点、第2可動接点それぞれの一方向の動作によって実現させることができる。これによって、従来生じていたような操作に際してのねじりの発生を防ぐことができ、第1可動接点と第1固定接点相互間の上述したねじりによる損傷、及び第2可動接点と第2固定接点相互間の上述したねじりによる損傷を防ぐことができ、従来から望まれていた装置の長寿命化を実現できる。また、押圧操作に際して、絶縁ギャップの影響を受けることなく押圧操作を行なうことができる。これにより、押圧操作時のストロークを小さくすることができ、ハウジングの形状を従来に比べて小さくすることができ、押圧方向に対する装置の小型化も実現させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下,本発明に係る複合操作型入力装置を実施するための最良の形態を図に基づいて説明する。
【0020】
[本実施形態の構成]
図1は本発明に係る複合操作型入力装置の一実施形態の要部構成を示す分解斜視図、図2は本実施形態の要部平面図、図3は本実施形態の要部正面図、図4は図2のA−A断面図、図5は図2のB−B断面図である。
【0021】
図6は本実施形態に備えられるハウジングを示す図で、(a)図は平面図、(b)図は正面図、(c)図は左側面図、(d)図は右側面図である。図7は本実施形態に備えられる第2操作体及び摺動子を示す図で、(a)図は平面図、(b)図は正面図、(c)図は左側面図、(d)図は右側面図、(e)図は裏面図、図8は本実施形態に備えられる第1操作体を示す図で、(a)図は平面図、(b)図は正面図、(c)図は左側面図、(d)図は右側面図、図9は本実施形態に備えられる駆動体を示す図で、(a)図は平面図、(b)図は正面図、(c)図は左側面図、(d)図は右側面図、(e)図は裏面図である。
【0022】
図10は本実施形態が第1切換位置にあるときの状態を示す平面図、図11は本実施形態が第1切換位置にあるときの状態を示す正面図、図12は図10のC−C断面図である。図13は本実施形態が第2切換位置にあるときの状態を示す平面図、図14は本実施形態が第2切換位置にあるときの状態を示す正面図、図15は図13のD−D断面図である。
【0023】
本実施形態は、図1に示すように、収納部1aと、この収納部1aの内底面に配置された第1固定接点1b及び第2固定接点1cを有し、本体を形成する筐体、すなわちハウジング1と、このハウジング1の第1固定接点1bに接触する第1可動接点、例えばドーム状金属板2と、第2固定接点1cに摺接する第2可動接点、例えば摺動子3とを備えている。
【0024】
また、ドーム状金属板2を押圧可能な突起4bを有する駆動体4と、摺動子3が取り付けられ、摺動可能な操作部材5とを備えている。さらに、上述したドーム状金属板2、摺動子3、駆動体4、及び操作部材5がハウジング1の収納部1a内に収納された状態で、このハウジング1の収納部1aを覆うように、ハウジング1に係着されるカバー部材6とを備えている。また、図10〜12に示すように、駆動体4を押圧操作可能であるとともに、操作部材5を摺動操作可能な操作ノブ7を備えている。
【0025】
図6の(a)図にも示すように、ハウジング1は上方が開放された上述の収納部1aと、この収納部1aの一方の内側面に互いに対向するように一対形成され、収納部1aの内底面と直交する方向に延設され、駆動体4の端部を案内する溝1dと、側壁の一部を切欠き形成した開口部1eと、このハウジング1の外壁面に複数形成された係合突起1fとを備えている。
【0026】
このハウジング1の収納部1aの内底面の中央部分には、図4にも示すように、絶縁ギャップを形成する環状部1a1が突出形成され、この環状部1a1内に第1固定接点1bが、例えばインサート成形により設けられている。この第1固定接点1bは、ドーム状金属板2が選択的に導通する中央固定接点1b1と、この中央固定接点1b1の周囲に配置され、ドーム状金属板2が常時導通する周辺固定接点1b2とから成っている。また、第2固定接点1cを、ハウジング1の収納部1aの内底面の操作部材5の摺動方向に沿って第1固定接点1bを挟むように、例えば第1固定接点1bの一方の側に配置される固定接点1c1及び固定接点1c2と、第1固定接点1bの他方の側に配置される固定接点1c3及び固定接点1c4とから成っている。これらの固定接点1c2〜1c4も、例えばインサート成形により設けられている。
【0027】
上述した図1に示すように、操作部材5は、第1操作体5aと、この第1操作体5aとは別体に設けられる第2操作体5bとから成っている。第1操作体5aは、操作ノブ7が挿通する略正四角形の穴5a1と、端部の四隅のそれぞれに形成された係合部5a2とを有し、操作ノブ7によって摺動方向、つまり第2固定接点1cに含まれる固定接点1c1〜1c4を結ぶ方向に移動可能になっている。第2操作部材5bは、図7に示すように、図示下面に上述した摺動子3が取り付けられ、操作ノブ7が挿通する長方形の穴5b1と、図示上面の4箇所に形成され、第1操作体5aの4つの係合部5a2のそれぞれ該当するものとの係合によって、第1操作体5aの移動に伴ってこの第2操作体5bを摺動させる突起5b2とを備えている。
【0028】
第2操作体5bに取り付けられる摺動子3は、図1に示すように、操作ノブ7が挿通する略長方形の穴3aと、この穴3aの外側に配置され、第2固定接点1cに接触する一対の接点部3bを備えている。
【0029】
駆動体4は、図1,9等に示すように、例えば弾性を有する金属薄板から成る支持アーム4と、この支持アーム4の略中央部分に設けられ、合成樹脂から成る突起4bとを含んでいる。上述した操作部材5を構成する第1操作体5aと第2操作体5bとは、操作ノブ7の押圧方向に沿って駆動体4の支持アーム4aを挟むように配置してある。
【0030】
図1,4等に例示するように、第1操作体5aの一方側の一対の係合部5a2間に位置するこの第1操作体5aの側端部と、他方側の一対の係合部5a2間に位置するこの第1操作体5aの側端部とを結ぶ長さ寸法は、第2操作体5bの穴5b1の摺動方向に沿う長さ寸法よりも小さく設定してある。これにより、第1操作体5aと第2操作体5bとによって駆動体4を挟持した際に、摺動方向の第1操作体5a及び第2操作体5bの両側部付近においてこれらの第1操作体5aと第2操作体5bとの間に形成される隙間を介して、駆動体4の支持アーム4aの両端部がハウジング1の収納部1a内に形成される空間部に突出するようになっている。また、収納部1a内の空間部に突出した支持アーム4aの両端部のそれぞれは、ハウジング1の収納部1aの内側面に形成した上述の溝1dによって案内されるようになっている。
【0031】
カバー部材6は、図1等に示すように、操作ノブ7が挿通される穴6aと、操作部材5を構成する第1操作体5aのクリック用凹部5a3に選択的に係合するクリック用突起6bと、ハウジング1の係合突起1fのそれぞれに係合する係合穴6cを備えている。
【0032】
操作ノブ7は、図10〜12等に示すように、操作部7aと、この操作部7aに連設される操作軸7bとを備えている。この操作ノブ7の操作軸7bは、カバー部材6の穴6a、第1操作体5aの穴5a1、第2操作体5bの穴5b1に挿通され、駆動体4の支持アーム4aを押圧可能に配置してある。
【0033】
本実施形態は、上述したように、第1可動接点を形成するドーム状金属板2が接触する第1固定接点1bをハウジング1の内底面の中央部分に配置し、第2可動接点を形成する摺動子3が摺接する第2固定接点1cをハウジング1の内底面の操作部材5の摺動方向に沿って第1固定接点1bを挟むように配置してあるとともに、ドーム状金属板2の押圧方向を、ハウジング1の内底面と直交するハウジング1の内側面に沿う方向、すなわちハウジング1に形成された溝1dの延設方向に沿う方向に設定してある。
【0034】
上述した操作ノブ7と、駆動体4と、第1可動接点を形成するドーム状金属板2と、ハウジング1に形成された第1固定接点1bとによって、押圧操作に伴って、ドーム状金属板2が反転して第1固定接点1bの中央固定接点1b1に接触することにより信号を出力する押圧操作手段が構成されている。
【0035】
また、上述した操作ノブ7と、第1操作体5a及び第2操作体5bを含む操作部材5と、第2可動接点を形成する摺動子3と、ハウジング1に形成された第2固定接点1cとによって、摺動操作に伴って、摺動子3の接点部3bが第2固定接点1cの固定接点1c1〜1c4のうちの該当するものに摺接することにより信号を出力する摺動操作手段が構成されている。
【0036】
また、上述した操作部材5を形成する第1操作体5aに設けたクリック用凹部5a3と、ハウジング1に形成した開口部1eと、カバー部材6をハウジング1に係着させた際に、ハウジング1の開口部1eを介して第1操作体5aのクリック用凹部5a3に選択的に係合するカバー部材6のクリック用突起6bとによって、操作部材5にクリック感触を与える、すなわち、操作部材5の第1操作体5aを介して操作ノブ7の操作部7aにクリック感触を与えるクリック機構が形成されている。
【0037】
[本実施形態の動作]
本実施形態を、モードの選択と、モードの確定が要求される携帯電話等に適用させた場合を例に挙げて、本実施形態の動作を以下に説明する。
【0038】
本実施形態は、例えば2つの切換位置を有し、この2つの切換位置のうちの第1切換位置が第1モードに対応し、第2切換位置が第1モードとは異なる第2モードに対応するものとする。第1切換位置は、例えば図4,5に示す初期位置となっている。この初期位置つまり第1切換位置では、操作ノブ7が操作されない状態にあっては、操作部材5を形成する第1操作体5aと第2操作体5bに挟まれる駆動体4の支持アーム4aは、図4に示すように、水平方向に延設保持されており、これに伴って駆動体4の突起4bが接触する第1可動接点、すなわちドーム状金属板2は上に凸となる形状に保たれている。したがって、このドーム状金属板2は、第1固定接点1bに含まれる周辺固定接点1b2に導通するものの、中央固定接点1b1には導通しない状態となる。また、操作部材5の第2操作体5bに取り付けられた第2可動接点、すなわち摺動子3の2つの接点部3bのうちの一方の接点部3bは、第2固定接点1cのうちの固定接点1c1に接触し、他方の接点部3bは、同図4に示すように、固定接点1c3に接触する。したがって、この第1切換位置にあっては、固定接点1c1と固定接点1c3とが摺動子3を介して導通し、例えば第1モードの選択に相応する信号が出力される。
【0039】
このような状態において、図10〜12に示すように、操作ノブ7の操作部7aを押圧すると、操作軸7bがハウジング1の内側面に沿う方向に移動し、駆動体4の支持アーム4aが押される。この押圧により、支持アーム4aの端部がハウジング1に形成された溝1dに案内されるとともに、支持アーム4aが自己の保有する弾性に抗して撓み変形し、このドーム状金属板2の頂部が反転して、第1固定接点1bの中央固定接点1b1に導通する。これによって、中央固定接点1b1と周辺固定接点1b2とがドーム状金属板2を介して導通し、選択された第1モードの確定に相応する信号が出力される。
【0040】
なお、このような押圧動作の間、駆動体4の突起4bは、摺動子3の穴3a内を挿通するので、押圧による力が摺動子3に伝えられることがなく、したがって、この押圧操作が摺動子3の動きに影響を与えることがない。
【0041】
また、このような状態から操作ノブ7に加えていた押圧力を除いて押圧操作を解除すると、ドーム状金属板2の自己復帰力、及び駆動体4の支持アーム4aの自己復帰力を介して、図4に示す状態に復帰する。この状態から操作ノブ7を水平方向に動かすと、第1操作体5aがハウジング1の内底面に沿う方向に、すなわち図4の左方向に移動する。この第1操作体5aの移動により、この第1操作体5aの係合部5a2が第2操作体5bの突起5b2に係合し、これらの係合部5a2、突起5b2を介して第2操作体5bが第1操作体5aの移動とともに摺動する。第2モードに相応する第2切換位置に至ると、カバー部材6のクリック用突起6bが第1操作体5aのクリック用凹部5a3に係合し、クリック感触が得られる。
【0042】
このとき、第2操作体5bに取り付けられた摺動子3の接点部3bのうちの一方は、図4に示す第2固定接点1cのうちの固定接点1c2に摺接し、他方は固定接点1c4に摺接した状態となる。この状態になると、固定接点1c2と固定接点1c4とが摺動子3を介して導通し、上述した第1モードとは異なる第2モードの選択に相応する信号が出力される。
【0043】
なお、このような摺動操作の間、駆動体4の突起4bは、摺動子3の穴3a内を相対的に移動するが、摺動による力が駆動体4の突起4bに与えられることがなく、したがってこの摺動動作がドーム状金属板2の動きに影響を与えることはない。
【0044】
また、このような状態から、図13〜15に示すように、操作ノブ7の操作部7aを押圧すると、操作軸7bがハウジング1の内側面に沿う方向に移動し、駆動体4の支持アーム4aが押される。この押圧により、支持アーム4aの端部がハウジング1に形成される溝1dによって案内されるとともに、支持アーム4aが自己の保有する弾性に抗して撓み変形し、この駆動体4の突起4bがドーム状金属板2の頂部を押圧し、このドーム状金属板2の頂部が反転して、第1固定接点1bの中央固定接点1b1に導通する。これによって、中央固定接点1b1と周辺固定接点1b2とがドーム状金属板2を介して導通し、選択された第2モードの確定に相応する信号が出力される。
【0045】
以下同様にして、必要に応じて第1切換位置に切り換えられて第1モードが選択され、押圧操作によってその第1モードが確定され、また、第2切換位置に切り替えられて第2モードが選択され、押圧操作によってその第2モードが確定される。
【0046】
[本実施形態の効果]
このように構成した本実施形態によれば、操作ノブ7による押圧操作に際しては、ドーム状金属板2をハウジング1の内側面に沿う方向に押圧して、このドーム状金属板2を第1固定接点1bの中央固定接点1b1に接触させればよく、また、操作ノブ7による摺動操作に際しては、摺動子3をハウジング1の内側面に直交するハウジング1の内底面に沿う方向に摺動させて第2固定接点1cのうちの該当する固定接点1c1〜1c4に摺接させればよく、押圧操作及び摺動操作を、異なる面内における一方向の操作によって、すなわちハウジング1の内側面に沿う面内とハウジング1の内側面と直交する内底面に沿う面内におけるドーム状金属板2、摺動子3それぞれの一方向の操作によって実施させることができる。これによって、操作に際してのねじりの発生を防ぐことができ、ドーム状金属板2と第1固定接点1b相互間の上述したねじりによる損傷、及び摺動子3と第2固定接点1cの相互間の上述したねじりによる損傷を防ぐことができ、装置の長寿命化を実現できる。
【0047】
また、押圧操作に際して、ドーム状金属板2をハウジング1の内側面に沿う方向に、第1固定接点1bの中央固定接点1b1に向かって押圧することにより、ハウジング1の内底面に配置される第1固定接点1bと第2固定接点1cとの間に形成される絶縁ギャップを越えることなくドーム状金属板2の押圧操作を行なうことができる。すなわち、絶縁ギャップの影響を受けることなく押圧操作を行なうことができる。これにより、絶縁ギャップに関係するストローク分を考慮しないで済み、押圧方向のハウジング1の形状を小さくして、押圧方向に対する装置の小型化を実現できる。
【0048】
また、カバー部材6に形成したクリック用突起6b、第1操作体5aに設けたクリック用凹部5a3等を含むクリック機構を備えたことから、操作部材5の摺動操作に際して信号の切換位置である第1切換位置、あるいは第2切換位置を、クリック機構によるクリック感触で明確に把握でき、優れた摺動操作性が得られ、装置の信頼性の向上に貢献する。
【0049】
また、第1固定接点1bの中央固定接点1b1に選択的に導通可能な第1可動接点がドーム状金属板2から成ることから、このドーム状金属板2の反転動作によって押圧操作の信号を確実に出力させることができる。また、ハウジング1の対向する内側面のそれぞれに、駆動体4の支持アーム4aの端部を案内する溝1dを形成したことから、押圧操作に際して、溝1dによる支持アーム4aの端部の案内を介して、第2固定接点1cが配設されたハウジング1の内底面と直交する内側面に沿う方向に、確実に押圧することができる。これらによって、安定した押圧操作及び摺動操作を実現でき、このことも装置の信頼性の向上に貢献する。
【0050】
また、押圧操作時には、駆動体4の突起4bが摺動子3の穴3aに挿通して、この駆動体4の突起4bによるドーム状金属板2の押圧が行なわれるので、摺動操作手段に影響を与えることなく押圧操作による信号の出力を実現できる。
【0051】
また、上述したように押圧操作時には、操作ノブ7によって駆動体4を押圧することにより、第1操作体5aと第2操作体5bとによって挟まれた駆動体4の支持アーム4aが撓み変形して、この支持アーム4aに取り付けられた突起4bがドーム状金属板2を押圧し、このドーム状金属板2の反転による第1固定接点1bの中央固定接点1b1への接触によって信号を出力させることができる。また、摺動操作時には、操作ノブ7によって第1操作体5aを摺動方向に移動させることにより第2操作体5bが摺動し、この第2操作体5bに取り付けられた摺動子3が第2固定接点1c上を摺動して、信号を出力させることができる。このように操作ノブ7の押圧と、押圧方向と直交する方向のこの操作ノブ7の移動を介して押圧操作、摺動操作のそれぞれによる信号の出力を確実に行なわせることができ、優れた操作性を確保できる。
【0052】
また、本実施形態によれば、摺動操作によるモード選択操作の後に行なわれる押圧操作によって、モードを確定するようにしてあることから、摺動操作のみによってモードの選択と確定を同時に行なう場合に懸念されるモード選択の誤操作を確実に防止することができる。
【0053】
なお、本実施形態にあっては、駆動体4を弾性を有する金属薄板から成る支持アーム4aと、この支持アーム4aに設けた合成樹脂製の突起4bとを含む構成にしてあるが、本発明は、このように駆動体4を構成することには限定されない。例えば駆動体4の突起4bを含めた全体を金属薄板によって構成してもよく、また、支持アーム4aを含めた全体を合成樹脂によって形成してもよい。特に、駆動体4の全体を合成樹脂によって形成したものでは、支持アーム4aの端部とハウジング1の溝1dとの摺接による損耗を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本発明に係る複合操作型入力装置の一実施形態の要部構成を示す分解斜視図である。
【図2】本実施形態の要部平面図である。
【図3】本実施形態の要部正面図である。
【図4】図2のA−A断面図である。
【図5】図2のB−B断面図である。
【図6】本実施形態に備えられるハウジングを示す図で、(a)図は平面図、(b)図は正面図、(c)図は左側面図、(d)図は右側面図である。
【図7】本実施形態に備えられる第2操作体及び摺動子を示す図で、(a)図は平面図、(b)図は正面図、(c)図は左側面図、(d)図は右側面図、(e)図は裏面図である。
【図8】本実施形態に備えられる第1操作体を示す図で、(a)図は平面図、(b)図は正面図、(c)図は左側面図、(d)図は右側面図である。
【図9】本実施形態に備えられる駆動体を示す図で、(a)図は平面図、(b)図は正面図、(c)図は左側面図、(d)図は右側面図、(e)図は裏面図である。
【図10】本実施形態が第1切換位置にあるときの状態を示す平面図である。
【図11】本実施形態が第1切換位置にあるときの状態を示す正面図である。
【図12】図10のC−C断面図である。
【図13】本実施形態が第2切換位置にあるときの状態を示す平面図である。
【図14】本実施形態が第2切換位置にあるときの状態を示す正面図である。
【図15】図13のD−D断面図である。
【符号の説明】
【0055】
1 ハウジング
1b 第1固定接点(押圧操作手段)
1c 第2固定接点(摺動操作手段)
1d 溝
1e 開口部(クリック機構)
2 ドーム状金属板(第1可動接点)〔押圧操作手段〕
3 摺動子(第2可動接点)〔摺動操作手段〕
3a 穴
3b 接点部
4 駆動体(押圧操作手段)
4b 突起
5 操作部材(摺動操作手段)
5a 第1操作体
5a1 穴
5a3 クリック用凹部(クリック機構)
5b 第2操作体
5b1 穴
6 カバー部材
6b クリック用突起(クリック機構)
7 操作ノブ(摺動操作手段)(押圧操作手段)
7a 操作部
7b 操作軸
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1固定接点、及び第2固定接点を有するハウジングと、
上記第1固定接点と、押圧操作される第1可動接点とを含み、この第1可動接点が上記第1固定接点に接触することにより信号を出力する押圧操作手段と、
上記第2固定接点と、摺動可能な操作部材と、この操作部材の摺動に伴って摺動する第2可動接点とを含み、この第2可動接点が上記第2固定接点と摺接することにより信号を出力する摺動操作手段とを備えるとともに、
上記第1固定接点を上記ハウジングの内底面の中央部分に配置し、上記第2固定接点を上記ハウジングの上記内底面の上記操作部材の摺動方向に沿って上記第1固定接点を挟むように配置し、
上記第1可動接点の押圧方向を、上記ハウジングの上記内底面と直交するハウジングの内側面に沿う方向に設定したことを特徴とする複合操作型入力装置。
【請求項2】
上記請求項1記載の発明において、
上記摺動操作手段の上記操作部材に、クリック感触を与えるクリック機構を備えたことを特徴とする複合操作型入力装置。
【請求項3】
上記請求項1または2記載の発明において、
上記押圧操作手段の上記第1可動接点がドーム状金属板から成り、
上記押圧操作手段が、上記ドーム状金属板を押圧可能な突起を有する駆動体を含み、
上記ハウジングの上記内側面に、上記駆動体の端部を案内する溝を形成したことを特徴とする複合操作型入力装置。
【請求項4】
上記請求項3記載の発明において、
上記摺動操作手段の上記第2可動接点が、中央に上記駆動体の上記突起が挿通される穴を有し、上記押圧操作手段の上記第1固定接点を挟むように配置され、上記第2固定接点に接触する一対の接点部を有する摺動子から成ることを特徴とする複合操作型入力装置。
【請求項5】
上記請求項4記載の発明において、
上記押圧操作手段の上記駆動体が弾性を有する支持アームを含み、この支持アームに上記突起を設け、
上記押圧操作手段の上記駆動体を押圧操作可能であるとともに、上記摺動操作手段の上記操作部材を摺動操作可能な操作ノブを備え、
上記操作部材が、上記操作ノブが挿通する穴を有し上記操作ノブによって摺動方向に移動可能な第1操作体と、この第1操作体とは別体に設けられ、上記摺動子が取り付けられ、上記操作ノブが挿通する穴を有し、上記操作ノブによる上記第1操作体の移動に伴って摺動可能な第2操作体とから成り、
上記第1操作体と上記第2操作体とを、上記操作ノブの押圧方向に沿って上記駆動体の上記支持アームを挟むように配置したことを特徴とする複合操作型入力装置。
【請求項1】
第1固定接点、及び第2固定接点を有するハウジングと、
上記第1固定接点と、押圧操作される第1可動接点とを含み、この第1可動接点が上記第1固定接点に接触することにより信号を出力する押圧操作手段と、
上記第2固定接点と、摺動可能な操作部材と、この操作部材の摺動に伴って摺動する第2可動接点とを含み、この第2可動接点が上記第2固定接点と摺接することにより信号を出力する摺動操作手段とを備えるとともに、
上記第1固定接点を上記ハウジングの内底面の中央部分に配置し、上記第2固定接点を上記ハウジングの上記内底面の上記操作部材の摺動方向に沿って上記第1固定接点を挟むように配置し、
上記第1可動接点の押圧方向を、上記ハウジングの上記内底面と直交するハウジングの内側面に沿う方向に設定したことを特徴とする複合操作型入力装置。
【請求項2】
上記請求項1記載の発明において、
上記摺動操作手段の上記操作部材に、クリック感触を与えるクリック機構を備えたことを特徴とする複合操作型入力装置。
【請求項3】
上記請求項1または2記載の発明において、
上記押圧操作手段の上記第1可動接点がドーム状金属板から成り、
上記押圧操作手段が、上記ドーム状金属板を押圧可能な突起を有する駆動体を含み、
上記ハウジングの上記内側面に、上記駆動体の端部を案内する溝を形成したことを特徴とする複合操作型入力装置。
【請求項4】
上記請求項3記載の発明において、
上記摺動操作手段の上記第2可動接点が、中央に上記駆動体の上記突起が挿通される穴を有し、上記押圧操作手段の上記第1固定接点を挟むように配置され、上記第2固定接点に接触する一対の接点部を有する摺動子から成ることを特徴とする複合操作型入力装置。
【請求項5】
上記請求項4記載の発明において、
上記押圧操作手段の上記駆動体が弾性を有する支持アームを含み、この支持アームに上記突起を設け、
上記押圧操作手段の上記駆動体を押圧操作可能であるとともに、上記摺動操作手段の上記操作部材を摺動操作可能な操作ノブを備え、
上記操作部材が、上記操作ノブが挿通する穴を有し上記操作ノブによって摺動方向に移動可能な第1操作体と、この第1操作体とは別体に設けられ、上記摺動子が取り付けられ、上記操作ノブが挿通する穴を有し、上記操作ノブによる上記第1操作体の移動に伴って摺動可能な第2操作体とから成り、
上記第1操作体と上記第2操作体とを、上記操作ノブの押圧方向に沿って上記駆動体の上記支持アームを挟むように配置したことを特徴とする複合操作型入力装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2008−171629(P2008−171629A)
【公開日】平成20年7月24日(2008.7.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−2442(P2007−2442)
【出願日】平成19年1月10日(2007.1.10)
【出願人】(000010098)アルプス電気株式会社 (4,263)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年7月24日(2008.7.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年1月10日(2007.1.10)
【出願人】(000010098)アルプス電気株式会社 (4,263)
【Fターム(参考)】
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