説明

複合粒子、複合粒子の製造方法、複合粒子分散液並びにそれを用いた画像表示媒体及び装置

【課題】顔料表面を緻密な高分子皮膜で被覆することにより、電気絶縁性が高く電気泳動特性が優れた粒子を提供すること、ならびにこの粒子を用いて表示特性に優れた画像表示媒体、装置を提供する。
【解決手段】白色乃至着色粒子が樹脂に被覆されている複合粒子において、該白色乃至着色粒子が分散剤を用いて分散媒に分散可能であり、かつ該樹脂が該白色乃至着色粒子に吸着した該分散剤分子中の反応性基と少なくとも1種のモノマーとの反応により生成した重合体で且つ該分散媒に溶解しないことを特徴とする複合粒子。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像表示媒体用電気泳動粒子に適用しうる電気泳動粒子、並びにそれを用いた電気泳動粒子分散液、画像表示媒体及び画像表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、文字や静止画、動画等のいわゆる画像の表示用端末としてCRTや液晶ディスプレイが用いられている。これらはデジタルデータを瞬時に表示し、書き換えることができるが、装置を常に持ち歩くことは困難であり、長時間の作業では眼が疲労したり、電源をオフにしては表示できないなど多くの欠点もある。一方、文字や静止画を書類などとして配布や保存するときは、プリンターにて紙媒体に記録される。この紙媒体は、いわゆるハードコピーとして、広く使用されているものである。ハードコピーは、ディスプレイより文章を読みやすく、疲れにくく、自由な姿勢で読むことができる。さらに、軽量で自由に持ち運びが可能である特徴を有する。しかし、ハードコピーは使用された後は廃棄され、リサイクルされるが、そのリサイクルには多くの労力と費用を要するので省資源の点では問題が残る。
【0003】
以上のディスプレイとハードコピーの両方の長所を持った書き換えが可能なペーパーライクな表示媒体へのニーズは高く、これまでに高分子分散型液晶、双安定性コレステリック液晶、エレクトロクロミック素子、電気泳動素子等を用いた表示媒体が反射型で明るい表示ができ、かつメモリー性のある表示媒体として注目されている。中でも電気泳動素子を用いたものは、表示品質、表示動作時の消費電力の点で優れている。(例えば、特許文献1、特許文献2参照)電気泳動表示媒体では、一組の透明電極の間に、着色した分散媒中に分散媒の色とは異なる色を有する複数の電気泳動粒子を分散させた分散液を封入してある。この場合、その電気泳動粒子(単に泳動粒子とも言う)は、分散媒中で表面に電荷を帯びており、透明電極の一方に泳動粒子の電荷と逆向きの電圧を与えた場合には、泳動粒子がそちらに堆積して泳動粒子の色が観測され、泳動粒子の電荷と同じ向きの電圧を与えた場合には泳動粒子は反対側に移動するため分散媒の色が観測される。これにより表示を行うことができる。
【0004】
泳動粒子には表示・非表示状態に関わる白色・着色といった光学的性質と、外部電界に対して速やかに応答して移動するための良好な帯電性能が求められる。このうち紙のような白さを呈するために白色を有する粒子としては専ら光散乱能が高い酸化チタンなどの無機顔料が従来から使用されており、これらをそのまま或いは粒子分散剤などの添加剤を添加して分散安定性を向上させた上で使用されることもあった。しかし、これらの顔料は一般的に完全な絶縁体ではなく、体積抵抗率は絶縁体に比べて小さい。したがって電気泳動表示における外部電界の範囲では電界方向に沿って良好に泳動することは困難であり、特に表示切替の繰り返し安定性の点で劣る。さらに比重が分散媒に比べて著しく大きいため沈降を防ぐことが出来ず、時間と共に表示状態が変化してしまい表示のメモリー性の点で問題があった。一方、絶縁性および比重の観点で帯電粒子としては各種のポリマー粒子が好ましく、外部電界に対しても良好に泳動するものが数多くある。しかし、従来のポリマー粒子には表示材料として満足のいく光学的機能を持った白色粒子はなかった。
【0005】
これら二つの要求を満たすために、上記顔料とポリマーを加熱溶融などにより複合化したものを微粉砕したものを利用することが従来より行われている。(例えば、特許文献3参照)しかし、この場合でも粒子と分散媒の比重が完全に一致するわけではなく、また粉砕による微粒化には限度があり、粒径が大きいほど泳動速度が遅くなる泳動表示媒体では表示切替速度の点で課題がある。さらに顔料が完全にポリマーに内包されるわけではなく表面にもある程度存在するために粒子の帯電にもバラつきが生じ、完全に上記問題を解決できるわけではない。
【0006】
前記課題を解決する試みとして、有機溶媒に粒状物質を分散してなる分散液組成物において粒状物質の外表面に自己分散化高分子化合物が吸着している分散液組成物が開示されている。(例えば、特許文献4参照)しかし、この粒子分散液組成物はその製造方法において該高分子化合物をその良溶媒に溶解したものに粒状物質を加え、さらにそこに該高分子化合物の貧溶媒を加えて該高分子化合物を析出させて該粒状物質に吸着させるため、高分子化合物の2溶媒系における溶解及び析出の平衡の制御が難しく、生成物が凝集することなく安定に貧溶媒中に分散させるためには高分子化合物の組成が非常に限定され、また良溶媒の選択の余地も限られてしまうという問題がある。
【0007】
また、有機溶媒中に顔料とモノマーを加え、有機溶媒中で反応を行って顔料表面に高分子層を形成する手法が報告されている。(例えば、非特許文献1参照)しかし、この場合、使用されている反応溶媒は極性の有機溶媒であるメタノールであり、得られる粒子はメタノールで安定に分散する粒子である。したがって、電気泳動表示で使用される絶縁性の有機溶媒では安定に分散することは困難であり、また安定化させるために粒子分散剤を添加するとすれば非常に多量の使用を必要とし、粒子の電気泳動特性を損なってしまうという問題がある。
【0008】
一方、分散媒と相溶性を有する高分子鎖を粒子表面に化学的に結合させたグラフト化粒子が開示されている。(例えば、特許文献5、6及び7参照)しかし、これらはいずれも分散性は向上するが、高分子鎖が分散媒と相溶性があるため粒子と分散媒の間の界面が実質的に固体粒子表面であり、電気泳動粒子に求められる電気絶縁性が低く良好な電気泳動特性は得られない。
【0009】
これら上記課題を解決する手段として本発明の発明者は粒径が小さく分散安定性、帯電性の優れた複合粒子の製造方法が開示されている。(例えば、特許文献8参照)
また特に白色粒子に関しては上記の課題を解決するものとして、本発明の発明者によるビニルナフタレンを構成要素に有する微粒子が開示されている。(例えば、特許文献9参照)この微粒子は屈折率が高く光散乱効果が優れており、高分子微粒子の中では極めて白色度が高い。また高分子であるため比重が小さく分散安定性に優れ、泳動表示媒体には好適である。ただし、屈折率は酸化チタンよりは小さいので同等以上の白色度を呈するためには表示面側に多数の粒子が存在させる必要がある。そのため電極間の距離が大きくなり、駆動に必要な電圧が高くなってしまう課題があった。
【0010】
さらにこれらの組み合わせとして酸化チタンをポリビニルナフタレンで内包する複合粒子も開示されている。(例えば、非特許文献2参照)しかしこの場合もポリビニルナフタレンの皮膜が緻密ではなく、完全に高分子皮膜で覆われているわけではない。したがって部分的に顔料表面が露出し、絶縁性が低下するという問題があった。
【特許文献1】特開平5−173194号公報
【特許文献2】特許第2612472号公報
【特許文献3】特公昭51−46396号公報
【特許文献4】特開2001−98206号公報
【特許文献5】特開平3−258866号公報
【特許文献6】特開平5−173193号公報
【特許文献7】特表2004−526210号公報
【特許文献8】特開2005−265938号公報
【特許文献9】特開2006−96985号公報
【非特許文献1】9th International Display Workshop(IDW’02)予稿集 p.1361(2002)
【非特許文献2】2005年 高分子学会第54回高分子討論会 発表番号2Pb078
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
したがって、本発明は上述に鑑みてなされたものであり、顔料表面を緻密な高分子皮膜で被覆することにより、電気絶縁性が高く電気泳動特性が優れた粒子を提供すること、並びにこの粒子を用いて表示特性に優れた画像表示媒体及び装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
顔料等の固体粒子を凝集させることなく非極性溶媒中に安定に分散させるためには、一般に顔料吸着性の官能基と溶媒親和性部位を併せ持つ分散剤と呼ばれる物質を用いる。該分散剤が固体粒子に吸着することにより、該固体粒子は非極性溶媒中で分散剤の溶媒親和性部位に起因する立体効果により安定に分散される。このような状態の固体粒子分散液中で溶媒に不溶な樹脂の重合を行ったとき、該固体粒子に吸着した該分散剤が重合反応に起用する反応基を有していれば、樹脂生成は固体粒子表面で進行することとなり、結果として固体粒子表面を樹脂が被覆する形態の複合粒子が得られることを見出した。このようにして得られた複合粒子は非極性有機溶媒中で外側の被服樹脂の絶縁性に起因する良好な帯電特性を示す。また、また固体粒子は一次粒子の状態で初めに分散されているので、得られる複合粒子は固体粒子の一次粒子を核とする微小粒径の粒子となる。そのため、本発明で提供される複合粒子は電気泳動現象を利用する画像表示媒体で使用した場合、帯電性が良く、泳動に伴う粘性抵抗も受けにくいため、低電圧で高速に応答するという特長を有する。
【0013】
特に白色粒子の場合、固体粒子として酸化チタン、被服樹脂として一般式(II)に示すモノマーを構成要素に含むポリマーを使用すると白色度に対して効果が得られることが明らかとなった。分散媒中の白色粒子が白色を呈するのは分散媒と粒子の屈折率の差により光が散乱するためであり、その度合いは両者の屈折率の差と相関がある。すなわち分散媒と粒子の屈折率の差が大きいほど白色反射率が高く紙のように白く見えることとなる。酸化チタンは屈折率が大きく、この点で専ら白色泳動粒子として使用されてきた。一方ポリマーとして屈折率の高い一般式(II)を含む樹脂で被覆したものは光散乱性が酸化チタンと遜色なく、しかも複合粒子の表面は樹脂層であるため電気絶縁性の高いものであった。
【0014】
本発明は以上の知見に基づくものである。
【0015】
即ち、本発明によれば下記の技術的手段が提供される。
【0016】
[1]白色乃至着色粒子が樹脂に被覆されている複合粒子において、該白色乃至着色粒子が分散剤を用いて分散媒に分散可能であり、かつ該樹脂が該白色乃至着色粒子に吸着した該分散剤分子中の反応性基と少なくとも1種のモノマーとの反応により生成した重合体で且つ該分散媒に溶解しないことを特徴とする複合粒子。これによれば、粒子が該粒子に吸着した分散剤分子中の反応性基と少なくとも1種のモノマーとの反応により生成した重合体で被覆されるので、緻密な樹脂皮膜が粒子表面に形成され絶縁性の高い電気泳動性が優れた粒子を得ることが出来る。
【0017】
[2]前記樹脂がマクロマーをさらに構成要素として含むことを特徴とする上記[1]に記載の複合粒子。これによれば、モノマーにさらに少なくとも樹脂がマクロマーを構成要素として含むので、マクロマー部位と溶媒との相溶性によりさらに溶媒中で安定に分散する複合粒子を得ることができる。
【0018】
[3]前記マクロマーが下記一般式(I)に示すシリコーンマクロマーであることを特徴とする上記[2]に記載の複合粒子。これによれば、マクロマーが一般式(I)に示すシリコーンマクロマーであることにより、シリコーン部位と非極性有機溶媒の相溶性により、非極性有機溶媒中でさらに安定に分散する複合粒子を得ることができる。
【0019】
【化5】

[式中、R1は水素原子またはメチル基、R1’は水素原子または炭素数1〜4のアルキル基、nは自然数、xは1〜3の整数を表わす。]
[4]前記複合粒子が白色粒子であり、且つ該モノマーが少なくとも一般式(II)に示すモノマーを含むことを特徴とする上記[1]乃至[3]のいずれか一つに記載の複合粒子。これによれば、白色粒子が一般式(II)に示す化合物を構成要素として含む樹脂により被覆されることにより、屈折率が高くなるので、散乱強度が高い粒子を得ることが出来る。
【0020】
【化6】

[ただし、ナフタレン環に結合する任意の水素原子は炭素数1〜12のアルキル基またはハロゲン基によって置換されていても良い。]
[5]白色乃至着色粒子を分散剤を用いて分散媒に分散し、該白色乃至着色粒子に吸着した該分散剤分子中の反応性基と少なくとも1種のモノマーとを反応させて該分散媒に溶解しない樹脂を生成させ該白色乃至着色粒子を被覆して複合化することを特徴とする複合粒子の製造方法。これによれば、粒子に吸着した分散剤分子中の反応性基と少なくとも1種のモノマーとの反応により粒子表面に緻密な樹脂皮膜を形成することができるので、絶縁性の高く電気泳動性が優れた粒子を得ることが出来る。
【0021】
[6]前記モノマーが該分散媒に可溶であり、且つ該樹脂が該分散媒に不溶であることを特徴とする上記[5]に記載の複合粒子の製造方法。これによれば、モノマーを可溶化する溶媒中で重合を行い、該溶媒に不溶な重合体である粒子を析出させることにより、さらに樹脂皮膜の膜厚のばらつきが少ない複合粒子を得ることが出来る。
【0022】
[7]前記モノマーにさらに少なくともマクロマーを含むことを特徴とする上記[5]又は[6]に記載の複合粒子の製造方法。これによれば、モノマーにさらに少なくともマクロマーを含むので、マクロマー部位と溶媒との相溶性により、さらに溶媒中で安定に分散する複合粒子を得ることができる。
【0023】
[8]前記マクロマーが一般式(I)に示すシリコーンマクロマーであることを特徴とする上記[7]に記載の複合粒子の製造方法。これによれば、マクロマーが一般式(I)に示すシリコーンマクロマーであることにより、シリコーン部位と非極性有機溶媒の相溶性により、非極性有機溶媒中でさらに安定に分散する複合粒子を得ることができる。
【0024】
【化7】

[式中、R1は水素原子またはメチル基、R1’は水素原子または炭素数1〜4のアルキル基、nは自然数、xは1〜3の整数を表わす。]
[9]前記複合粒子が白色粒子であり、且つ該モノマーが少なくとも一般式(II)に示すモノマーを含むことを特徴とする上記[5]乃至[8]のいずれか一つに記載の複合粒子の製造方法。これによれば、白色粒子が少なくとも一般式(II)に示す化合物を構成要素として含む樹脂により被覆されることにより、屈折率が高く散乱強度が高い白色の複合粒子を得ることが出来る。
【0025】
【化8】

[ただし、ナフタレン環に結合する任意の水素原子は炭素数1〜12のアルキル基またはハロゲン基によって置換されていても良い。]
[10]少なくとも上記[1]乃至[4]のいずれか一つにおける複合粒子を非極性溶媒に分散させたことを特徴とする複合粒子分散液。これによれば、上記[1]乃至[4]のいずれか一つにおける複合粒子を含む粒子を非極性溶媒に分散させることにより、粒子の光散乱強度が高く非極性溶媒中での分散安定性も高いので、電気泳動表示に好適な粒子分散液が得られる。
【0026】
[11]所定の間隔を設けて配設された少なくとも一方が光透過性である二つの電極基板間に、少なくとも上記[10]の粒子分散液を含有してなり、前記二電極基板間に電圧を印加することによる粒子の電気泳動により表示動作を行う画像表示媒体。これによれば、少なくとも上記[10]の粒子分散液を含有してなるので、白色反射率が高く表示メモリー性に優れた画像表示媒体および画像表示装置を提供することができる。
【0027】
[12]上記[11]に記載の画像表示媒体を構成要素に有することを特徴とする画像表示装置。これによれば、少なくとも上記[10]の粒子分散液を含有してなるので、白色反射率が高く表示メモリー性に優れた画像表示媒体および画像表示装置を提供することができる。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、複合粒子が該複合粒子に吸着した分散剤分子中の反応性基と少なくとも1種のモノマーとの反応により生成した重合体で被覆されるので、顔料表面を緻密な高分子皮膜で被覆することができ、これによって電気絶縁性が高く電気泳動特性が優れた複合粒子を提供することができる。さらに、この複合粒子を用いて表示特性に優れた画像表示媒体及び画像表示装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
本発明の第1の実施の形態において、複合粒子は白色乃至着色粒子が樹脂に被覆されているものであり、該白色乃至着色粒子は分散剤を用いて分散媒に分散可能であり、かつ該樹脂は該白色乃至着色粒子に吸着した該分散剤分子中の反応性基と少なくとも1種のモノマーとの反応により生成した重合体で且つ該分散媒に溶解しない。粒子が樹脂に被覆されることにより複合粒子表面は実質的に樹脂膜であり電気絶縁性が高い。また、この複合粒子の形態として白色粒子乃至着色粒子として分散剤を用いて分散媒に分散可能なものを使用することにより粒径が小さい粒子とすることができる。すなわち粉体の状態では一般に一次粒子の凝集体として粒径の大きい粒子であっても、ほぼ一次粒子の状態として存在し得る。このとき白色粒子乃至着色粒子に吸着した分散剤が反応性基を有することにより、粒子表面近くを反応の足場として重合反応が進行することにより樹脂皮膜が粒子表面に形成された複合粒子となっている。
【0030】
白色粒子としては、二酸化珪素、酸化アルミニウム、酸化チタンなどの金属酸化物の固体粒子が使用できる。黒色の着色粒子としては、例えば、カーボンブラック、アニリンブラック、ファーネスブラック、ランプブラック等が使用できる。シアンの着色粒子としては、例えば、フタロシアニンブルー、メチレンブルー、ビクトリアブルー、メチルバイオレット、アニリンブルー、ウルトラマリンブルー等が使用できる。マゼンタの着色粒子としては、例えば、ローダミン6Gレーキ、ジメチルキナクリドン、ウォッチングレッド、ローズベンガル、ローダミンB、アリザリンレーキ等が使用できる。イエローの着色粒子としては、例えば、クロムイエロー、ベンジジンイエロー、ハンザイエロー、ナフトールイエロー、モリブデンオレンジ、キノリンイエロー、タートラジン等が使用できる。
【0031】
分散剤とは粒子分散液において溶媒に対して溶解性があり、粒子存在時には該粒子に吸着性がある化合物であり、静電反発ないし分散剤分子の立体効果により粒子同士の凝集を防ぐものである。本実施の形態で使用できる粒子分散剤としては、公知の粒子分散剤として使用される界面活性剤の内、反応性基を有するものであり、好ましくは高分子系の分散剤である。なお、この反応性を有する基は粒子に対して吸着性を有する基と同じであっても異なっていても良い。また粒子に対して吸着性を有する基を分子内に複数有する場合には、粒子への吸着に寄与しない部分を別の反応性を有する基に変性したものでも良い。例えば粒子に吸着性を有する基がアミノ基の場合、その一部をハロゲン基とビニル基を有する化合物で処理し、アミノ基とハロゲン基を反応させてこの部分をビニル基に変性することができる。
【0032】
モノマーとしては該分散剤の反応性を有する基と反応しうるモノマーが選ばれる。例えば分散剤の反応性を有する基がビニル基の場合、例えば、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ビニルラウレート、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、スチレン、ビニルトルエン、ビニルアセテート、ジビニルベンゼン、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールトリ(メタ)アクリレート、ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールヘキサントリ(メタ)アクリレート、ぺンタエリスリットテトラ(メタ)アクリレート、1,3−ジブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、等のビニル基を有するモノマーの少なくとも1
種が挙げられる。これら組み合わせるモノマーの種類、重合時の配合比を好適に定めることにより、非極性溶媒に不溶な樹脂とすれば良い。
【0033】
また、モノマーとして塩基性基または酸性基を有するものを使用しても良い。塩基性基を有する樹脂で被覆された粒子は一般に正に、酸性基を有する樹脂で被覆された粒子は一般に負に帯電する。
【0034】
アミノ基を有するモノマーの例としては、N−メチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N−エチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジブチルアミノエチルアクリレート、N,N−ジ−tert−ブチルアミノエチルアクリレート、N−フェニルアミノエチルメタクリレート、N,N−ジフェニルアミノエチルメタクリレート、アミノスチレン、ジメチルアミノスチレン、N−メチルアミノエチルスチレン、ジメチルアミノエトキシスチレン、ジフェニルアミノエチルスチレン、N−フェニルアミノエチルスチレン、2−N−ピペリジルエチル(メタ)アクリレート、2−ビニルピリジン、4−ビニルピリジン、2−ビニル−6−メチルピリジン等が挙げられる。
【0035】
酸性基を有するモノマーの例としては、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、無水イタコン酸、フマル酸、桂皮酸、クロトン酸、ビニル安息香酸、2−メタクリロキシエチルコハク酸、2−メタクリロキシエチルマレイン酸、2−メタクリロキシエチルヘキサヒドロフタル酸、2−メタクリロキシエチルトリメリット酸、ビニルスルホン酸、アリルスルホン酸、スチレンスルホン酸、2−スルホエチルメタクリレート、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、3−クロロアミドホスホキシプロピルメタクリレート、2−メタクリロキシエチルアシッドホスフェート、ヒドロキシスチレン等が挙げられる。
【0036】
本発明における複合粒子の好ましい粒径範囲は1μm以下である。1μmよりも大きいと粒子の分散媒中での分散安定性が低下し沈降しやすくなり、表示媒体では表示メモリー性に悪影響を及ぼす。
【0037】
本発明の第2の実施の形態において、該複合粒子における該樹脂がマクロマーをさらに構成要素として含む。マクロマーは反応性を有する高分子であり、特に片末端反応型のラジカル重合系マクロマーの重合体は主鎖に対して多くの側鎖が結合した櫛型構造をとる。この櫛型構造部分に溶媒に相溶する性質を持たせることにより、該マクロマーと他のモノマーとの共重合体は他のモノマーから得られる重合体の性質に加えて大きな立体効果が付与されて溶媒に対する分散安定性が増す。このようなマクロマーの例としては、片末端メタクリロイル基変性ポリメタクリル酸メチル、片末端メタクリロイル基変性ポリメタクリル酸エチル、片末端メタクリロイル基変性ポリメタクリル酸ブチル、片末端メタクリロイル基変性ポリメタクリル酸オクチル、片末端メタクリロイル基変性ポリメタクリル酸ドデシル、等が挙げられる。
【0038】
本発明の第3の実施の形態において、該複合粒子における該マクロマーは下記一般式(I)に示すシリコーンマクロマーである。
【0039】
【化9】

[式中、R1は水素原子またはメチル基、R1’は水素原子または炭素数1〜4のアルキル基、nは自然数、xは1〜3の整数を表わす。]
該マクロマーのポリシロキサン部位は非極性有機溶媒、特に脂肪族系炭化水素やシリコーンオイルといった電気泳動画像表示媒体に好適に用いられる分散媒に対して優れた親和性を有するので、該分散媒に対して良好な分散安定性を有する複合粒子を得ることができる。
【0040】
本発明の第4の実施の形態において、該複合粒子は該粒子が白色粒子であり、且つ該モノマーが少なくとも一般式(II)に示すモノマーを含む。
【0041】
【化10】

[ただし、ナフタレン環に結合する任意の水素原子は炭素数1〜12のアルキル基またはハロゲン基によって置換されていても良い。]
一般式(II)に示す化合物はナフタレン骨格に起因する高い屈折率とビニル基に起因する重合反応性を有する。すなわち一般式(II)に示す化合物を含むモノマーから得られる重合体は高い屈折率を有する固体となりうる。したがって白色粒子を一般式(II)に示す化合物を含むモノマーから得られる重合体で被覆した複合粒子は光散乱性の高い白色粒子となる。一般式(II)に示す化合物の例としては1−ビニルナフタレン、2−ビニルナフタレンなどが挙げられる。また、ナフタレン環に結合する任意の水素原子は屈折率や重合反応時の析出速度を制御する目的で炭素数1〜12のアルキル基またはハロゲン基によって置換されていても良い。
【0042】
本発明の第5の実施の形態における複合粒子の製造方法は、白色乃至着色粒子を分散剤を用いて分散媒に分散し、該白色乃至着色粒子に吸着した該分散剤分子中の反応性基と少なくとも1種のモノマーとを反応させて該分散媒に溶解しない樹脂を生成させ該白色乃至着色粒子を被覆して複合化する。
【0043】
分散媒としては、例えば電気泳動による表示に用いる粒子の場合には表示媒体に好適に使用される非極性の有機溶媒であることが好ましい。本発明の実施の形態において分散安定性が高い複合粒子を製造すれば、該複合粒子は表示媒体を構成する分散媒中でも良好な分散安定性を示し、表示安定性を有することとなる。このような非極性有機溶媒としてはペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、ドデカン等のパラフィン系炭化水素、イソヘキサン、イソオクタン、イソドデカン等のイソパラフィン系炭化水素、流動パラフィン等のアルキルナフテン系炭化水素、ベンゼン、トルエン、キシレン、アルキルベンゼン、ソルベントナフサ等の芳香族炭化水素、ジメチルシリコーンオイル、フェニルメチルシリコーンオイル、ジアルキルシリコーンオイル、アルキルフェニルシリコーンオイル、環状ポリジアルキルシロキサン又は環状ポリアルキルフェニルシロキサン等のシリコーンオイルが挙げられる。
【0044】
白色又は着色の粒子を上記の溶媒から選ばれる分散媒に分散させるには該粒子を分散可能な分散剤を該分散媒に溶解したものに加えて混合分散すれば良い。この場合、分散手段として特に限定はされず、ホモジナイザー、ボールミル、サンドミル、アトライター等公知の分散手段を用いてもよい。白色又は着色の粒子および分散剤としては本発明の第1の実施の形態で挙げる材料が使用できる。
【0045】
この粒子分散液に分散在中の反応性を有する基と反応しうるモノマーを添加して重合反応を行うことにより粒子表面に樹脂皮膜を形成させる。モノマーとしては本発明の第1の実施の形態で挙げる材料が使用できる。
【0046】
本発明の第6の実施の形態における複合粒子の製造方法は、モノマーを可溶化する溶媒中で重合を行い、該溶媒に不溶な重合体である粒子を析出させる、いわゆる分散重合法と呼ばれるものである。このような方法で得られる複合粒子はその析出段階での溶媒に対する分散性を制御することにより粒径が比較的揃い、また分散安定性にも優れた粒子となる。また粒子表面に吸着した分散剤の反応性基を基点にポリマーが生成するので、粒子表面を緻密な樹脂皮膜で覆い、且つ皮膜の膜厚を反応時間やモノマーの仕込み量によって容易に制御することができる。分散性を制御する手段としては、公知の分散重合で好適に使用される分散剤を添加したり、後述のマクロマーと共重合することなどが挙げられる。
【0047】
本発明の第7の実施の形態における複合粒子の製造方法では、モノマーにさらに少なくともマクロマーを含む。マクロマーは反応性を有する高分子であり、特に片末端反応型のラジカル重合系マクロマーの重合体は主鎖に対して多くの側鎖が結合した櫛型構造をとる。この櫛型構造部分に溶媒に相溶する性質を持たせることにより、樹脂皮膜に大きな立体効果が付与されて溶媒に対する分散安定性が増す。このようなマクロマーとしては本発明の第2の実施の形態におけるマクロマーが挙げられる。
【0048】
本発明の第8の実施の形態における複合粒子の製造方法では、マクロマーが上記の一般式(I)に示すシリコーンマクロマーである。該マクロマーのポリシロキサン部位は非極性有機溶媒、特に脂肪族系炭化水素やシリコーンオイルといった電気泳動画像表示媒体に好適に用いられる分散媒に対して優れた親和性を有するので、該分散媒に対して分散安定性と帯電性を有する複合粒子を得ることができる。このようなマクロマーとしては本発明の第3の実施の形態におけるマクロマーが挙げられる。
【0049】
本発明の第9の実施の形態における複合粒子の製造方法では、粒子が白色粒子であり、且つ少なくとも上記の一般式(II)に示すモノマーを含む。この一般式を有する化合物はナフタレン骨格に起因する高い屈折率を有するので、被服樹脂も高い光散乱性を有する。したがって複合粒子の製造に該モノマーを含むことにより、得られる複合粒子も高い光散乱性を有し、白色を呈することとなる。
【0050】
本発明の第10の実施の形態において、複合粒子分散液は少なくとも本発明の第1乃至第4の実施の形態における複合粒子を非極性溶媒に分散させたものである。非極性溶媒には分散粒子の分散性を制御するために分散剤などが必要に応じて添加されることもある。粒子分散液における固形分の重量割合は、所望の濃度の色が得られるように適宜設定されるが、0.1〜25重量%程度が適当である。これら各成分を非極性溶媒中に加え混合分散することにより粒子分散液を得る。この場合、分散手段としてホモジナイザー、ボールミル、サンドミル、アトライター等公知の分散手段を用いてもよい。
【0051】
本発明の第11の実施の形態を図1に基づき説明する。図1において1および2は導電層で少なくとも一方は光透過性である。導電層としてはAl、Ag、Ni、Cu等の金属やITO、SnO2、ZnO:Al等の透明導電体をスパッタリング法、真空蒸着法、CVD法、塗布法等で薄膜状に形成したもの、あるいは導電剤を溶媒あるいは合成樹脂バインダに混合して塗布したものが用いられる。導電剤としてはポリメチルベンジルトリメチルクロライド、ポリアリルポリメチルアンモニウムクロライド等のカチオン性高分子電解質、ポリスチレンスルホン酸塩、ポリアクリル酸塩等のアニオン性高分子電解質や電子伝導性の酸化亜鉛、酸化スズ、酸化インジウム微粉末等が用いられる。導電層は自体が自己保持機能を有する程度に厚い場合もあるし、図示しない自己保持機能を有する基体上に導電層が設けられている場合もあり、いずれの場合も好適に使用できる。また、導電層1、2は、異方導電性を示す層であってもよいし、厚さ方向に導電性部分が貫通したパターン状ないしマルチドット状のセグメントを有する層であってもよい。いずれにおいても導電層1、2の一部に電源電極をコンタクトすれば導電層1、2の間に電界を生じさせることが可能となるので、白色乃至着色粒子は確実に移動できる。表示を行うには導電層1、2間の電圧印加手段を用意すればよいので、簡便である。
【0052】
図1において、3はマイクロカプセルである。ただし、マイクロカプセルは必須用件ではなくフォトリソグラフィーなどにより微細な隔壁を設けたセル内に後述の粒子分散液を封入しても良い。いずれにせよ2つの電極間を微細な多数のセルで区切った方が重力による粒子の偏りや粒子同士の凝集を防ぐことができるので好ましい。マイクロカプセルの作製方法としては、コアセルベーション法、相分離法など公知の方法が使用でき特に限定されない。4は白色粒子である。白色粒子としては上記した本発明の1乃至4の実施の形態における複合粒子の内、白色粒子を使用したものが挙げられる。粒子分散液における固形分の重量割合は、所望の濃度の色が得られるように適宜設定されるが、0.1〜25重量%程度が適当である。これら各成分を非極性溶媒中に加え混合分散することにより粒子分散液を得る。この場合、分散手段としてホモジナイザー、ボールミル、サンドミル、アトライター等公知の分散手段を用いてもよい。
【0053】
図1において、5は着色分散媒であり、非極性有機溶媒が白色粒子の色とは異なる色に着色されている。着色分散媒には分散粒子の分散性を制御するために分散剤などが必要に応じて添加されることもある。使用される染料の例としては、上記分散媒に可溶な油溶性染料が挙げられ、Colour IndexにおいてSolvent dyeに分類される染料が好適に使用される。これらの染料にはアゾ系、アントラキノン系、フタロシアニン系、トリアリルメタン系の各色の染料が存在する。これら油性染料は、例えば、スピリットブラック(SB、SSBB、AB)、ニグロシンベース(SA、SAP、SAPL、EE、EEL、EX、EXBP、EB)、オイルイエロー(105、107、129、3G、GGS)、オイルオレンジ(201、PS、PR)、ファーストオレンジ、オイルレッド(5B、RR、OG)、オイルスカーレット、オイルピンク312、オイルバイオレット#730、マクロレックスブルーRR、スミプラストグリーンG、オイルブラウン(GR、416)、スーダンブラックX60、オイルグリーン(502、BG)、オイルブルー(613、2N、BOS)、オイルブラック(HBB、860、BS)、バリファーストイエロー(1101、1105、3108、4120)、バリファーストオレンジ(3209、3210)、バリファーストレッド(1306、1355、2303、3304、3306、3320)、バリファーストピンク2310N、バリファーストブラウン(2402、3405)、バリファーストブルー(3405、1501、1603、1605、1607、2606、2610)、バリファーストバイオレット(1701、1702)、ヴァリファーストブラック(1802、1807、3804、3810、3820、3830)が代表的なものとして挙げられるが、本発明の目的に反しない限り、ここに記載された染料以外の油性染料又は油溶性染料であっても構わない。
【0054】
図1において、6は接着支持層であり、マイクロカプセルを導電層1、2間に保持する。接着支持層6には導電層に接着する任意の公知の材料が使用できるが、透明であること、また電気的絶縁性に優れることが好ましい。特に無溶剤型の硬化材料が好ましい。このような材料としては光硬化型のエポキシ樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂が挙げられる。
【0055】
別の本発明の第11の実施の形態を図2に基づき説明する。図2において、4A、4Bは白色乃至着色粒子であり、4A、4Bの色および帯電極性はそれぞれ異なる。図2において、7は分散媒であり、無色透明であることが白色乃至着色粒子4A、4Bの色の違いに基づく画像のコントラストに悪影響を与えないので好ましい。分散媒7には分散粒子の分散性を制御するために分散剤などが必要に応じて添加されることもある。粒子分散液を構成する白色粒子の例としては、前記白色複合粒子が挙げられる。着色粒子の例としては、上記着色複合粒子が挙げられる。図2において1及び2は導電層で少なくとも一方は光透過性である。導電層としては上記の材料が使用できる。導電層1、2の一部に電源電極をコンタクトすれば導電層1、2の間に電界を生じさせることが可能となり、2種の粒子4A、4Bは確実にかつそれぞれ逆方向に移動できる。表示を行うには導電層1、2間の電圧印加手段を用意すればよいので簡便である。
【0056】
本実施の形態における画像表示媒体を製造するには、上記で得られる粒子分散液含有マイクロカプセルと接着支持層となる接着剤とを混合した混合物を電極基板に塗布し、対向電極基板を張り合わせる。塗布方法としてはブレード、ワイヤーバー、ディッピング、スピンコートなど公知の塗膜形成方法が使用でき、また特に限定されない。これらの工程により簡便に画像表示媒体を製造することが可能となる。
【0057】
本発明の第12の実施の形態を図3に基づき説明する。図3に示されるように、本発明の画像表示装置10は画像表示媒体11を備え、そして、図示しない駆動回路、演算回路、内部メモリー、電源等を備えている。表示媒体における電極は、ドットマトリックスを形成し、指定のドットをON表示することにより、全体として画像を表示する。図3において、12は筺体であり、また、13は情報入力手段である。
【実施例】
【0058】
本発明を実施例によりさらに詳細に説明する。ただし、本発明は下記の実施例に限定されるものではない。
【0059】
(実施例1)
(1.分散剤の作製)
撹拌機、温度計及び還流冷却器を備えた反応容器にメタクリロキシプロピル変性シリコーン(チッソ サイラプレーンFM−0721)14重量部、メタクリル酸ジメチルアミノエチル(東京化成)6重量部、重合開始剤であるアゾビスジメチルバレロニトリル0.1重量部をシリコーンオイル(信越化学 KF−96L 1cs)180重量部に溶解した溶液を収容し、窒素雰囲気下で60℃で6時間加熱した。反応終了後シリコーンオイルを蒸発させて除去し、均一で透明な樹脂を得た。
【0060】
(2.分散剤への反応性基の付与)
次に、撹拌機、温度計及び還流冷却器を備えた反応容器内に前記分散剤0.5重量部、酸化チタン(石原産業、CR−90)10重量部、シリコーンオイル80重量部を合わせて氷冷しながらホモジナイザーで1時間超音波照射し、酸化チタンを分散した。終了後4−ビニルベンジルクロリド0.1重量部を加えて40℃で3時間加熱して酸化チタンに吸着した分散剤の余剰のアミノ基をビニル基に変性した。
【0061】
(3.白色複合粒子の作製)
続いて上記に2−ビニルナフタレン30重量部、マクロマーであるメタクリロキシプロピル変性シリコーン(チッソ サイラプレーンFM−0721)30重量部、メタクリル酸ジメチルアミノエチル0.5重量部、及び重合開始剤である過酸化ラウロイル7.5重量部 を加え、65℃で10時間反応させた。反応終了後固体成分のみを回収、乾燥することによりアミノ基を有し正帯電性である白色の酸化チタン−樹脂複合粒子を作製した。
【0062】
(4.画像表示媒体の作製と動作)
水290部に尿素10部、レソルシノール1部、エチレン−無水マレイン酸共重合体10部を溶解したものを水酸化ナトリウム水溶液でpHを3.5に調整した。別にイソパラフィン系炭化水素溶媒(エクソン化学 Isopar G)の染料(バイエル マクロレックスブルーRR)飽和溶液30部に上記複合粒子3部を加え超音波分散したものを粒子分散液として調製し、この分散液を上記水溶液に加え、さらにホルムアルデヒド溶液25部を加えて50℃で3時間加熱撹拌した。反応終了後吸引ろ過と水洗、乾燥によりマイクロカプセルを回収した。
【0063】
上記で得られたマイクロカプセルを紫外線硬化エポキシ樹脂(商品名:スリーボンド 3121)中に分散させ、ITO電極付きガラス基板上にワイヤーバーで塗布した。次にもう一枚のITO電極で電極間が100μmになるように塗布膜を挟み、その後紫外線を照射し硬化させた。なお、上記電極間は、10〜200μmが好ましい。
【0064】
上部ITO電極に−50Vを印加すると、白色複合粒子は速やかに上部電極側に電着し、上部基板面から見ると白色に見えた。次に上部電極に+50Vを印加すると、白色複合粒子は速やかに下部電極側に移動し、上部基板側から見ると染料の色に起因する着色状態が鮮明に見られた。また白色表示時の光反射率(白色入射光量に対する反射光量の割合)は45%であり、この白色状態を電圧印加しない状態で1日放置したところ光反射率にほとんど変化はなかった。
【0065】
(比較例1)
(画像表示媒体の作製と動作)
白色複合粒子として実施例1の2において分散剤の変性を行わなかった以外は実施例1と同様に酸化チタン−樹脂複合粒子を作製した。この複合粒子を使用した以外は実施例1と同様に画像表示媒体を作製し電圧を印加させて表示切替を行ったところ、白色表示時の光反射率は30%であり、また表示切替にも数秒を要した。
【0066】
(実施例2)
(1.白色複合粒子の作製)
実施例1の3において、メタクリル酸ジメチルアミノエチル0.5重量部を加えなかった以外は実施例1と同様に複合粒子を合成したところ、明確な帯電極性を示さない白色の酸化チタン−樹脂複合粒子が得られた。
【0067】
(2.黒色複合粒子の作製)
撹拌機、温度計及び還流冷却器を備えた反応容器内に前記分散剤0.5重量部、カーボンブラック(キャボット、Printex A)2.5重量部、シリコーンオイル80重量部を合わせて氷冷しながらホモジナイザーで1時間超音波照射し、カーボンブラックを分散した。終了後4−ビニルベンジルクロリド0.1重量部を加えて40℃で3時間加熱してカーボンブラックに吸着した分散剤の余剰のアミノ基をビニル基に変性した。続いて上記にメタクリル酸メチル30重量部、マクロマーであるメタクリロキシプロピル変性シリコーン(チッソ サイラプレーンFM−0721)30重量部、メタクリル酸ジメチルアミノエチル0.5重量部、及び重合開始剤である過酸化ラウロイル7.5重量部 を加え、65℃で10時間反応させた。反応終了後固体成分のみを回収、乾燥することによりアミノ基を有し正帯電性である黒色のカーボンブラック−樹脂複合粒子を作製した。
【0068】
(3.画像表示媒体の作製と動作)
上記白色複合粒子6部と黒色複合粒子1部をシリコーンオイル30部に加えて超音波分散したものを粒子分散液として調製した以外は実施例1と同様に画像表示媒体を作製した。
【0069】
この画像表示媒体の上部ITO電極に−50Vを印加すると、黒色複合粒子は速やかに上部電極側に電着し、上部基板面から見ると黒色に見えた。次に上部電極に+50Vを印加すると、黒色複合粒子は速やかに下部電極側に移動し、上部基板側から見ると白色に見えた。白色表示時の光反射率は45%であり、黒色表示時の光反射率は2%であった。またこの白色状態を電圧印加しない状態で1日放置したところ反射率にほとんど変化はなかった。
【0070】
(比較例2)
(画像表示媒体の作製と動作)
白色複合粒子として実施例2の1において分散剤の変性を行わず、また黒色複合粒子として実施例2の2において分散剤の変性を行わなかった以外は実施例2と同様に画像表示媒体を作製し電圧を印加させて表示切替を行ったところ、白色表示時の光反射率は30%であり、黒色表示時の光反射率は5%であった。また表示切替にも数秒を要した。
【0071】
以上、本発明の好ましい実施例について詳述したが、本発明はかかる特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の趣旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】本発明の一実施の形態を示す画像表示媒体の断面図である。
【図2】本発明の他の一実施の形態を示す画像表示媒体の断面図である。
【図3】本発明の一実施の形態を示す画像表示装置の模式図である。
【符号の説明】
【0073】
1 導電層
2 導電層
3 マイクロカプセル
4、4A、4B 白色乃至着色粒子
5 着色分散媒
6 接着支持層
7 分散媒
10 画像表示装置
11 画像表示媒体
12 筺体
13 情報入力手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
白色乃至着色粒子が樹脂に被覆されている複合粒子において、該白色乃至着色粒子が分散剤を用いて分散媒に分散可能であり、かつ該樹脂が該白色乃至着色粒子に吸着した該分散剤分子中の反応性基と少なくとも1種のモノマーとの反応により生成した重合体で且つ該分散媒に溶解しないことを特徴とする複合粒子。
【請求項2】
前記樹脂がマクロマーをさらに構成要素として含むことを特徴とする請求項1に記載の複合粒子。
【請求項3】
前記マクロマーが下記一般式(I)に示すシリコーンマクロマーであることを特徴とする請求項2に記載の複合粒子。
【化1】

[式中、R1は水素原子またはメチル基、R1’は水素原子または炭素数1〜4のアルキル基、nは自然数、xは1〜3の整数を表わす。]
【請求項4】
前記複合粒子が白色粒子であり、且つ該モノマーが少なくとも一般式(II)に示すモノマーを含むことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の複合粒子。
【化2】

[ただし、ナフタレン環に結合する任意の水素原子は炭素数1〜12のアルキル基またはハロゲン基によって置換されていても良い。]
【請求項5】
白色乃至着色粒子を分散剤を用いて分散媒に分散し、該白色乃至着色粒子に吸着した該分散剤分子中の反応性基と少なくとも1種のモノマーとを反応させて該分散媒に溶解しない樹脂を生成させ該白色乃至着色粒子を被覆して複合化することを特徴とする複合粒子の製造方法。
【請求項6】
前記モノマーが該分散媒に可溶であり、且つ該樹脂が該分散媒に不溶であることを特徴とする請求項5に記載の複合粒子の製造方法。
【請求項7】
前記モノマーにさらに少なくともマクロマーを含むことを特徴とする請求項5又は6に記載の複合粒子の製造方法。
【請求項8】
前記マクロマーが一般式(I)に示すシリコーンマクロマーであることを特徴とする請求項7に記載の複合粒子の製造方法。
【化3】

[式中、R1は水素原子またはメチル基、R1’は水素原子または炭素数1〜4のアルキル基、nは自然数、xは1〜3の整数を表わす。]
【請求項9】
前記複合粒子が白色粒子であり、且つ該モノマーが少なくとも一般式(II)に示すモノマーを含むことを特徴とする請求項5乃至8のいずれか一項に記載の複合粒子の製造方法。
【化4】

[ただし、ナフタレン環に結合する任意の水素原子は炭素数1〜12のアルキル基またはハロゲン基によって置換されていても良い。]
【請求項10】
少なくとも請求項1乃至4のいずれか一項に記載の複合粒子を非極性溶媒に分散させたことを特徴とする複合粒子分散液。
【請求項11】
所定の間隔を設けて配設された少なくとも一方が光透過性である二つの電極基板間に、少なくとも請求項10に記載の複合粒子分散液を含有してなり、前記二電極基板間に電圧を印加することによる粒子の電気泳動により表示動作を行うことを特徴とする画像表示媒体。
【請求項12】
請求項11に記載の画像表示媒体を構成要素に有することを特徴とする画像表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2008−122468(P2008−122468A)
【公開日】平成20年5月29日(2008.5.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−303152(P2006−303152)
【出願日】平成18年11月8日(2006.11.8)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】