説明

複合耐力壁パネル及び床のラージスパン自己支持ビルディングの建築

普通の梁及び柱のないラージスパンビルディングは、両方とも鋼製ストリップウェブによって相互接続された2つのコンクリート層から構成され、垂直の荷重支持の合成壁パネルと合成フロアから形成される。両方の切妻と接続されて壁パネルによってサポートされ、組み立てられた屋根/シーリングユニットから形成された堅い水平面は、横向きに抗して同時にそれらを支えるとともに、それらのバックリング長さを減らして、縦に配置された壁パネルの配置された頂部の横方向の移動を制限する。床等に適用するならば、垂直板と固く接続されて全体的な構造の安定性をさらに改善する。従って、発明された合成の壁パネルとフロアは同じ目的に適応する。その全体的な構造は、ほっそりしたパネルで作られた堅いボックスの如く支えられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プレストレスされ、補強されたコンクリートの産業ビルディングあるいはその他の類似するビルディングの床構造に関し、特に、構造体の完全部となる鋼製部に関する。本発明の分野は、構造やビルディング要素に関するIPC分類E04B1/00、あるいは特にグループE04C3/00や3/294で概して述べられる。
【背景技術】
【0002】
本発明の目的は、複合垂直耐力壁パネルと複合床で形成されるラージスパンビルディングを建築するための新しいアッセンブリシステムを確立することにあり、それによって、構造体の横方支持及び安定性は、細長い壁及び床要素のみを用いて達成され、追加的な安定構造を必要とせず、達成される。最後の課題として、内外平面を備え、それらを抜けて伸びる普通の梁及び柱を含まない、すっきりとしたラージスパンビルディングを建築する課題があった。どのようにするかが本発明の以下の開示で説明される。
【0003】
本発明は、ラージスパン、ローライズのビルディング(約20〜30mのスパン、高さ15mまで)に関し、主として、今までの多くの類似する壁パネルシステムが適用されたことのない、産業用及びこれに類するビルディングの建築を意図していることを強調するのが重要である。壁パネルのローライズコンクリートビルディングを建築する最も一般的な実践においては、追加的な構造上のサポートを要求する非支持カーテン壁が優れている。純粋な壁パネル荷重支持、自己安定性、構造は、めったに現れない。壁パネルビルディングシステムのいくつかは、本発明において取り扱われるが、ラージスパンビルディングに適用することに対して非現実的で本質的に制限される解決のためではない、ビルディングシステムに対するおおよそ類似する要素を有する。耐力壁パネルの自己支持構造体は、剛性を考慮し、大きな垂直荷重と水平力に耐えることができる能力を有し、同時に全構造体の安定性を保証するパネルの適用を必要とする。純粋な壁パネル耐力構造がなぜめったに現れないかという主たる理由は、構造体の安定性は、強いパネルのみの使用を通じて保証されることが困難であるということにある。そのような場合、パネルは細いだけでなく、大きな奥行きを必要とし、そのため、パネルの奥行きの増加は、ビルディングの高さによって、資材消費が増大し、過度となる。壁パネルの奥行きが大きくなると、重くなったり、美しくなくなってしまう。壁パネル装置自体の固さからくるパネルの奥行きは、実際に二つのコンクリート層間の距離を増大させることによって得られ、従って、それらの間に残る隙間は、何らかの材料で埋めなければならない。隙間を埋めるために用いられるいずれの材料であっても、ビルディングの広い領域を考えると費用が掛かる。
【0004】
言うまでもなく、パネルの奥行きは、何らかの形で過度に多くの原料を使うことなく増大させる必要があり、それはまた、この発明が扱う課題の一つである。しかし、経済的な方法でパネルの奥行きを増加させることに成功し、そのようにして固い耐力壁パネルを得たとしても、大きな垂直及び水平の荷重を受ける場合には、依然として、構造の安定性を確実にするのに十分でないであろうし、建築基準法の多くの他の要件だけでなく横荷重の下で、パネル頂部のたくさんのたわみを減少させないであろう。最も一般的なラージスパンビルディングは、片持柱または同様に重い屋根構造を支持する片持ち梁垂直線壁パネルを有する組み立てられた横に張っていない横断するフレームによって構成され、それらの実際の高さの二倍の座屈長さを有する垂直の片持ち梁荷重支持柱またはパネルは、横梁またはスラブのような天井を支持する。強い横に張っていない片持柱(または適正な壁パネル)に基づいたそのような構造の安定性は、もしかすると、安定性に対して支払われる最も高価な方法である。効果的な横方支持の漏れは、カラムまたはパネルの大きな断面寸法が必要となり、構造を節約して安定化させるのに適さないものにしてしまう。それに従って、本発明のさらなる課題は、パネルに課される非常に奥行のあるものとすべきという要件を小さくしつつ、他の方法で構造を安定させることである。より具体的には、追求されるものは、垂直に配置されて適量な奥行きの耐力壁パネルが組み立てられたいくらかの横断的に支持された構造であり、該構造の安定性は、構造の全ての利用可能な資源を含むことで達成される。従って、壁パネルは、そのようにして、安定性が基づく唯一の要素であることから部分的に開放され得る。それを行う方法については、発明の開示において説明される。私が知るいくつかの解決策は、現在の手段と部分的に類似し得る場合もあるが、それらは、一般的に、安定性の問題に専念したものでもなく、真のラージスパンビルディングを建設するための適応性も有しない。新しい建設システムは、二つの解決手段に基づき、最初の一方は、パネル及びフロアユニット自体の改善に努めることであり、他の一方は、構造の安定性と関連するため、これらの二つの問題は、別々に考慮されるであろう。
【0005】
私が知る垂直に配置される荷重支持の壁パネルの最も類似する解決手段は、発明者ジュゼッペ アモーミノによって書かれた米国特許第1,669,240号において開示されたものである。該開示された特許は、ビルディングを建設する目的に一般によく適合する荷重支持、サンドイッチ壁パネルのアイデアを提供するものである。しかし、該パネルは、依然として、真のラージスパンビルディングを建設するための適応性の範囲を著しく制限し得るいくつかの弱点を次の通り含んでいる。薄いコンクリート層のそれぞれの断面中央に配置されたワイヤメッシュ補強の処理により、それらはあまりにも柔軟になる。パネル高さに沿った軸力の実際の分布が中心というよりむしろ偏心であるので、層は、しばしばある不可避の局所曲げにさらされる。従って、断面の中央に配置された補強は不適当である。本発明は、開示されるように、コンクリート表面に密接に配置されたメッシュ補強の二つの間隔をおいて配置された層の新しい配列を発表するものである。そのようにして、両パネルコンクリートともかなり強化される。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述の適用においてコンクリート層を接続するためのシアコネクターとして用いられ、パネルの合成作用を確保するスチールロッドトラスは、より高く細長いパネルにおいて用いられるのに十分固いものではないかも知れない。そのような場合には、それらが多く提供される必要がある。あまりにも多くのトラスを用いることは、あまりにも多くの絶縁ストリップのより小さな断片を用いることを要し、同様に、溶接をさらに多く必要とし、同じ製造工程においてより時間を無駄遣いさせることとなる。そのような理由から、本発明では、トラスコネクタは、はるかに強く両コンクリート層に継続的に固定される、より固いスチールウェブのより少ないピースに置き換えられる。同じ特許の中で、十分な支持面を提供すべくその頂部で厚く形成された内側のコンクリート層を成す床支持は、それが偏心を起こすために、奇抜に形成される。多大な垂直荷重は、従って、そのようなサポートを介して伝えられ、不必要な局所曲げモーメントを起こし、パネル要素の中で永久歪みを起こす。また、そのような方法で、屋根/床は、中間に配置された補強を有する一つの薄い内側のコンクリート層のみによって事実上支持される。そのような荷重集中は、発表されたものより本格的なサポートを必要とする。さらなる欠陥は、パネルの製造に関連し、特に、トラスの隣接したペアの間に挟まれたファイバーグラスストリップを接合するための“適当な合成樹脂”を用いて風変わりなものと同様に、上側コンクリート層の型の底をトラスに一時的に固定する方法に関連する。隣接した絶縁体ストリップの間に“グラウトまたは絶縁材”を埋める最終ステップは、迅速な製造のためには、容認し難いほど時間を無駄遣いする作業であり得る。本発明は、パネルを製造するより効率的な方法を導入するものである。
【0007】
現在の技術水準では、それらでビルディングを建築する多くの方法だけでなく、荷重支持壁パネルの多くの解決手段がある。しかしながら、そのような建設システムは、一般的には広く普及しておらず、特に、ラージスパン、ローライズの工業的及び同様な建築には応用適用されていない。その理由の一つは、確かに、そのようなビルディングの安定性の漏れであり、特に、スパンが20m以上であり、パネルの高さが9mを超える場合に、パネル単独では確保が困難である。私が知る壁パネルビルディングを建設することの全ての解決手段は、安定性の問題に全く対応したものではない。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、ビルディングの全体構造体の安定性を確実にするための役目として一般的に用いられる柱、梁あるいは支持フレームといった普通の要素を用いず、自己安定性を有し、ローライズでラージスパンな産業ビルディング及びこれに類似するビルディングに関連する。そういった訳で、本開示の顕著な役目は、安定性、重い屋根及び床を支持するために役立つパネルに接触する組立構造体の支持を取り扱う。新しく創作された複合壁パネルは、早い工期のためだけでなく、ラージスパンな構造体を建築するための公知な壁サンドイッチパネルに適合するよう意図される。細長い垂直耐力パネルの組立からなる、自己安定性を有し、ラージスパンな構造体を建築するためのシステムを完成するため、種々の発明が導入された。順序立って物事を進めるべく、建築ビルディングの壁パネル、床要素、製造装置及び製造方法が以下に続けて開示される。
【0009】
図1,4に示される新規な複合パネルは、強化され、一般的に用いられる構造上の耐力サンドイッチ壁パネルであって、内外コンクリート層からなり、耐食用に亜鉛メッキされた少なくとも二つの長手の鋼製シートストリップによって相互連結された耐力サンドイッチ壁パネルを提供する。二つのコンクリート層間の隙間は、任意の奥行きからなる断熱材層で部分的に詰められている。隙間の残りは、空気循環のために用いられるよう、空間のままである。構造上のサンドイッチの公知な特徴を除き、達成される主たる特徴は、多量の資材を消費することなく利用可能な奥行き順応性にある。二つのコンクリート層間のスペースの増加は、パネルの切断面の慣性モーメントを著しく増大させ、そのため、ほとんど資材消費の増加が無視できる鋼製ウェブストリップの高さの増加によってなされる。実際に増加されることは、コストがかからない二つのコンクリート層間の空気スペースの幅である。従って、その細長さを減少させることから(慣性モーメントが増加するようにして)その強度を引き出す壁パネルは、そのコンクリート層をより離した状態にすることによって強化されるので、少ない費用で強いパネルが得られる。この結果、二つのコンクリート層を連結する最も一般的に使用される鋼製トラスは、以下の種々な理由で、重厚なビルディングを建築することのより好ましい目的に適合する鋼製ストリップウェブに置き換えられる。第1に、鋼製ストリップは、実質的にトラスよりも強固である。広い断面積を有し、両コンクリート層に強く固定される鋼製ウェブは、総垂直荷重に耐える点で貢献する。サポートでの鋼製管に加えられる垂直荷重は、図4,6に示す如く、両コンクリート層及び鋼製ウェブ間の二つの長い連続的な結合線に沿って管が部分的に固定されるコンクリート周囲に部分的に伝えられるので、サポートでの応力集中が回避される。ウェブ(フランジを含まない)に適用されるよう消費される大量の鋼は、おおよそトラスに必要な量と等しい。一般的に、認められる限度内で横方のたわみに耐えるのに十分な剛性であるべきパネルの適切な剛性を得るべく、より多くのトラスピース、次に鋼製ウェブが必要とされる。各コンクリート層内に埋められる二つのスチールメッシュ層の適用された配置は、大きくその局所剛性を増大させ、同時に起こり得る曲げ及びクラックを減少させる。ウェブの長手の両エッジに溶接されたループにおける孔を通って挿入される短尺な鋼製ロッドは、主としてコンクリート及びウェブ間のスベリに対抗するアンカーとして提供し、図1に示す如く、コンクリート層に沿った二つのメッシュ間の一定間隔(短尺な鋼製ロッドの径に等しい)を維持する。型の上に形成される補強ケージは、各コンクリート層が固まる前にしっかりと固定され、配置及びコントロールを容易にし、誤差を減少させる信頼性のある空間を備える。追加的な長手の補強、あるいは規約によって通常認められるよりも異なるコンクリート要素の奥行きがより薄い壁を用いることが確かに可能なそれらの間のプレストレスされるスタンドを以て二つの鋼製ワイヤメッシュを引き合わせることを強調する必要がある。しかしながら、梁や柱のコンクリートカバーを制限する規約は、補強が二つの層メッシュ間で最適なものに限定されるといったケースを考慮していない。
【0010】
パネルのほかの特徴は、鋼製管を引き合わせ、二つのコンクリート層間の鋼製ウェブに垂直に位置決めされ、溶接されて、偏心を発生させず、組立ユニットの支持屋根あるいは床構造のためのサポートの頂部を画することにある。従って、支持された屋根あるいは床ユニットの反作用は、サポートの頂部にて両コンクリート層に固定される鋼製管に中心的に適用される。鋼製管は、両鋼製ウェブに溶接されるので、反作用は、サポート近傍の応力集中を回避して、両コンクリート層に効果的に伝えられる。新規なパネルは、図11に示されるように、(アッセンブリ中の)最初は、片持ち梁として(最終的には横方に取り付けられる頂部を備える片持ち梁パネルとして)、基礎の受け口に下端がしっかり固定されるように取り付けられる。結果として、パネルの下部は、図4,8に示されるように、グランド床板の下で、地面及び基礎に入るよう定められる長さでの完全なコンクリート断面を有する。これは、大きな曲げモーメントが完全な断面に適合されるところである。そのような固い底のもう一つの優位性は、壁パネルがその底で回転されて簡単に直立し、従って、パネルの底が最終的にコンクリートによって注がれる受け口となるため、底エッジのいくらかのチップ及びクラッシュが受け入れられ得る。パネル上方の毛細湿気のクリープは、周囲のレベル次第である適切な外部の非ハイグロスコピックコートによって簡単に防止され得る。湿気を阻止するその他の可能な方法は、湿気ブレーカを組み込むことである。本発明のもう一つの目的は、大量生産に適する迅速な方法でのそのようなパネルを製造するための方法及び装置である。製造方法は、図9,10に示すように、型の部分であり、可動で、上側に位置決めされたコンクリート層を注ぐための上側型部の底を一時的に固定する、追加的な装置に関連する。装置は、型の側フォーム及びパネルの鋼製ウェブにおける孔を通って駆動される種々の横方のスティックを含む。粗い表面の断熱材ストリップが、コンクリートが固まった後、底スティックの頂部上に配列される上側型の底を形成するよう用いられる。パネルの上側コンクリート層のコンクリートが固まると、可動な底は引き離される。本発明の応用の目的は、ビルディングの安定性を保証すべく、固く耐力のあるパネルを得ることにあるので、多くの他のパネルが含むサンドイッチパネルの全ての共通する特徴は、ここでは説明せず、細かく言及しない。従って、今まで、実際のラージスパンビルディングが構成され得るパネルが開示された。
【0011】
他のビルディング要素、複合床ユニットは、図5に示される、開示された壁パネルと同じように作られる。それは、それらの壁パネルと同じようにしてコンクリートに固定してそれらの間の隙間に挿入される、二つ以上の亜鉛メッキされた鋼製シートストリップによって相互連結される上下成型コンクリート層を含む。純粋なたわみにのみ支配される、床ユニットの両コンクリート層は、二つの鋼製ワイヤメッシュ層によって補強され、上側パネルユニットは、より高い切断面の位置中心(重心)を得るために、下側パネルユニットよりも厚い。圧縮される上側パネルは、幅が広いコンクリート断面領域のためにめったに必要とされない追加的な補強材を含み得る。たわみによりテンションが掛けられる下側パネルは、二つのメッシュ層間に埋められる追加的な補強バーによって通常は補強される。プレストレスの場合、補強バーは、完全あるいは部分的に、望ましいプレストレスの程度にてプレストレスされるワイヤスタンドに置き換えられ得る。鋼製ウェブを用いることによる特別な利点は、高い剪断力が存在するサポート近傍で生じる。主要なテンション応力は、とりわけ鋼製ウェブによって適切に克服される。さらに、もし剪断力が過度に生じれば、いくらかの追加的な、図5に示すような、完全な床要素に沿って延びることが必要でない端近傍での短尺な鋼製シートストリップウェブ(そのような追加的なウェブとして、図5の破線で示す中間ウェブ)を導入することが可能である。適用される鋼製ウェブの他の利点は、図4,7に示すように、壁パネル及び床ユニット間の固い鋼連結を達成するよう利用することである。床要素の鋼製ウェブを壁パネルのウェブに対してボルトで固定して得られる固い連結は、床を含むビルディングの安定性を追加的に改良し得る。しかしながら、支持されることなく、固いパネルの適用は、高くない条件下でのスモールスパンビルディングのみの建築を許す。そのような壁パネルの使用は、その細さと同様、パネルの支持能力によって制限される適用あるいはビルディング規約要求によって制限される適用のいくらかの利用可能範囲が制限される。他方、壁パネルの奥行きは、受け入れがたい異なる種類の建築学的問題を引き起こすことを多大に増加させる。例えば、もし、奥行きが35cmであって25mスパンの簡単な支持屋根構造を支持する二つの片持ち梁壁パネルが図11に示されるように作られたならば、そのパネル高さの制限は、約7mまでである。制限を越えると、そのような構造に満足できる垂直荷重下での強度及び安定性は、地震や風といった横方の荷重に支配されたとき、細いパネルの横方法の制限を満たさない。従って、創作されるパネルは、多くの他の物と同じく、支持されることなく、小さいビルディングを建築するためのモデルのみを残すが、ラージスパン且つ増加した高さを有する実際のものではない。それは、なぜ今までのシステムが実践で幅広く用いられなく失敗してきたかである。明らかなように、現実のラージスパン、高いローライズビルディングを建築することは、自己安定性屋根/床支持構造体となるのに壁パネルが役立つ自己支持の追加的な問題解決を要求する。以下において、特にスラブのような屋根天井ユニットを含むビルディングに提供できるそのような問題解決が開示される(梁が柱によって支持されるようである)。図12,13,14に示されるように、基本的な考え方は、二つの切妻に水平に連結される相互連結の屋根天井ユニットを形成する幅広く固い面によって、屋根天井レベルでの荷重支持垂直パネルの長手の列を支持することである。この考え方は、ラージスパンビルディングの代わりに、ショートスパンの複数階ビルディングが考慮されるならば、なにも新しいものではなく、コンクリートが打ちっぱなしでショートスパンの上の剪断壁に連結される強いモノリス床は存在する。しかしながら、剪断壁を提供するのに離れた二つの壁−パネル−組立切妻を連結することができる、適切で、大きく固い面を形成する可能性が無いため、ラージスパン、ローライズで組み立てられたビルディングは、そのように建築されない。簡単な構造体は、図11に示されるような平坦な底板屋根天井構造を支持する直立した壁パネルの二つの長手配列で形成される。これによって、適用された屋根天井構造がWO02/053852A1に開示された。各組の壁パネルは、示されるように一つの単一な屋根天井ユニットを支持する。従って、壁パネルは、長手の受け口を含む長手のストリップ基礎内に組み付けられる。そのような構造体は、細長い片持ち梁壁パネルが自体の安定性を維持できるまで安定している。しかし、ビルディングの高さが増加すると、壁パネルの細さは早いレートで成長し、構造体は不安定となる。壁パネルの奥行きは、構造物の制限がかなり早く到達するので、建築学的及び経済的な適正価値を超えてしまって意味がない。図14に示す配列の簡単な多数の溶接による屋根天井ユニットの隣り合う底板を相互連結し、幅広く極めて固く得られる水平面は、両切妻に対する端(最後の底板の長手のエッジ)での同じような連結にある。それ自体も壁パネルに組み立てられる切妻は、長手の壁に対して直角であり、構造体の横支持を保証することができる面における極めて大きな剛性を有する。そのような切妻は、実際、剪断壁である。そのように、壁パネルそのものによって垂直支持される長く幅広な固い水平面は、同じ壁パネルの頂部を保持し、図14に示されるような水平横方向における動きからそれらを抑制する。長手に配列される壁パネルは固い水平面に取り付けられるので、パネルは、もはや簡単な垂直片持ち梁ではなく、横方に抑制された頂部を有し且つ以前のように曲げることができない片持ち梁となる。頂部の横方の動きの抑制は、細さと同様、パネルのバックリング長さを著しく減少させる。壁パネルのバックリング長さ(Lbで示される)の減少は、図15,16においてなされる比較によって示される。図15は、切妻無しで垂直及び水平荷重が作用することによる不安定な片持ち梁壁パネル列を示す。図16は、同じ荷重作用によって水平の固い面を介する切妻によって支持される同じ片持ち梁壁パネル列のバックリングを示す。第2のケースにおいて、バックリング長さは、構造体の安定性の面で優位であることが著しく減少しているようである。この優勢性は、論理的に証明される。
【0012】
しかしながら、かなり大きく固い水平面は、建物の長さに依存し、且つ、薄くて伸縮性のある相対的なスチールコネクタの大多数の存在により、それ自体が横に柔軟である。図16に示されるように、水平面は、垂直パネルの頂部の横にバネが付属されたときに動作する。ここで図16を参照して、臨界荷重Pcrは静止状態から決定され、

それから

そして

片持ち梁パネル(図17参照)の臨界荷重のためによく知られる表現に比べて

相違を無視しておおよそ等しい二つの表現を取り

それは得られる。

従って、その頂部でバネと一体的に保持する片持ち梁の臨界力は、メンバーkLにおける純粋な片持ち梁の臨界力と相違する。バネの定数cは、屋根面と切妻の、大きな値の相互の固さを特徴付けていて、それが垂直に可動にピン留めされた端部のように事実上制限された柱の頂部を構成する。たとえバネの定数cがわずかな値だけであっても、それは壁パネルのバックリング形状のわずかな変形を起こし、それは、臨界荷重がとにかく大幅に上がる利点である。固いバネは、水平面の現実の固さを表していて、同じパネルの臨界荷重を数倍増大させる可能性がある。座屈長さ(バックリング長さ)は、以下の考慮から見出される。柱メンバーの臨界荷重のためのよく知られる表現は一般に

側部を備えた片持ち梁柱のために、その頂部のバネは得られ

ここでcは均一なバネ定数であり、これらの表現で得られ

この式は、パネルの実際の細長さを決定するために必要とされ
その結果として

そして、パネルの細長さは

バネ定数cは、モデル化されたジョイントで構成されている建物のモデルからどのような構造分析コンピュータプログラムによっても、かなり正確に決定され得る。屋根/天井底板の組み立てられた水平面の固さは、平面の長さ、組み立てられたユニットのスパン、接続の形態の大部分に依存する。該バネ定数は、切妻の柔軟性にも依存し、そのため、切妻内の大きな開口を考慮しなければならない。水平力Hとその水平たわみは、モデル化された水平面を介して計算され、それは、図17に示す如く、水平面と切妻のそれぞれを置換し、均等な梁の代替えEIbと均等な柱の代替えEIcとの組合せを含んで均等な縦フレームEIFのたわみの固さを取得するのに容易である。真の値は、現実のモデルの上で測定されて、上記の表現の中に補正係数として導入され得る。
【0013】
横方向で縦フレームの頂部で発生する最大たわみは、図17に例示するように傾斜柱(切妻)fc及び梁(水平面)fbのたわみによるもので、二つの部分を含んでいる。

最終的に、支持バネ定数が得られ

ここで
Ic−ΣIc−切妻パネルの慣性モーメントの合計
Ib−水平面の慣性モーメント
Lc−切妻パネルの平均高さ
Lb−建物の長さ
φ−接続の曲げやすさによる水平面の固さの減少を考慮に入れた変形ファクタ。それは、モデルから計算されるか、実験によって決定されることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
説明は、次の見出し、即ち、a)壁パネル、b)床要素、c)壁パネルの製造装置、d)ビルディングの建築方法、の順に並ぶ。
【0015】
a)図1における切断面によって示され、図2における断片的な縦断面によって示され、図4におけるビルディングの一部として示される複合壁パネル(1)は、両方とも約70mmの厚さからなる成型コンクリートの内層(2)及び外層(3)を含む。このコンクリート要素は、それらの間の隙間に介入された、少なくとも二つの亜鉛メッキされた鋼製シートストリップ(4)によって相互連結される。両コンクリートパネル要素(2),(3)は、二つの鋼製ワイヤメッシュ層(5)によって実質的に補強されている。パネルの幅を横断して各コンクリート層における二つの鋼製メッシュ層間には、フリーなスペースがかなり十分にあり、それに対して、必要ならば、パネルの補強のために用いられる追加的な長手の補強バー(6)が設置可能である。補強バーは、プレストレスの望ましい程度にて(全体的あるいは部分的に)プレストレスされたワイヤスタンドによって設置が可能である。しかしながら、それは、二つのメッシュ層によって閉じ込められる両側にしっかり埋められるのに理想的な補強バー(あるいはプレストレスされるワイヤスタンド)の位置である。4〜7mmの厚さの鋼製シートストリップ(4)は、図1,2,3に示されるように、孔(9)に通された短尺な鋼製ロッドアンカー(8)を備える三角形状の鋼製ループ(7)によって内外コンクリート層内に固定されて留められる。ループ(7)から両側に飛び出る鋼製ロッドアンカー(8)は、各成型コンクリートパネル要素(2),(3)の二つのメッシュ層(5)間に、二つの鋼製メッシュ層間の距離を一定に保ちつつ、正確に設置される。コンクリートに適切に固定される短尺な鋼製ロッドアンカー(8)は、同時に、強いコネクタとして働く。二つのコンクリートパネル要素(2),(3)間の隙間に部分的にのみ断熱材層(10)が詰められ、壁パネルの内側コンクリート層(2)の内面に付着される。隙間の詰められない残りは、断熱材に空気を当てるように働く空気ゾーン(11)を提供する。空気スペース(11)の奥行きと断熱材(10)の奥行きとの間の関係と同様、壁パネル(1)の全奥行きは任意であり、現地の気候の要求によるものであり、製造工程において、断熱材の厚みを変えることにより簡単に調整できる。
【0016】
図4,6に示されるように、外側パネル層(3)よりも短い内側パネル層(2)の上部は、パネルによって支持される屋根天井要素(13)のための支持レベルを画する。従って、外側パネル要素(3)の頂部(3.1)は、外側から屋根構造(13)が見えるのを隠すサポートを越えて上方に延びる。頂部サポートは、ウェブと同じように固定された長尺なロッドアンカー(16)によって横方外方に飛び出る数個の鋼製ループ(15)を介して、サポート近傍で厚くなる両コンクリート層(2),(3)内に横方で固定される小サイズの鋼製管(14)で形成される。両パネルコンクリート層(2),(3)は、もたれかかった屋根要素(13)の反作用を伝えるのに必要な分だけ、だんだんと管(14)から両コンクリート層にかけて、管(14)の対応する横方のループ(15)のためのサポート近傍で厚くなり、従って、応力集中を回避する。管(14)は、また、同様の理由で、溶接(17)によって両ウェブ(4)が溶接される。直接それ自体を支持する鋼製管(14)は、コンクリート周囲の頂部を越えて上方に僅かに飛び出て、屋根天井要素(13)が確実にもたれかかるのを確実にする。管(14)を介し、壁パネルは、横方向の力が存在するときに等しく押しつけられる両コンクリート層にて、中心に荷重が掛けられる。壁パネル(1)は、図4,8に示す如く、(アッセンブリ中の)最初は、片持ち梁として予備成型された基礎要素(18)に取り付けられ、しっかりと連結される。壁パネルの下部(19)は、断熱材無しの完全に硬いコンクリートで形成され、地下に設置されるよう適合されると共に、基礎上に固定するための小さい鋼製プレートインサート(20)が提供される。壁パネルは、その下端近傍で両側の横方における組み込まれた鋼製プレート(20)を介して、長手のストリップ基礎予備成型要素(18)に固定される。類似する鋼製プレート(21)は、ストリップ基礎要素(18)の浅い受け口(22)の底に沿って、定められたポイントで組み込まれる。建築されるとき、壁パネル(1)は、基礎底に立てかけられて直立にもたれかかるように立ち、最初はいろんな通常の方法で完全に垂直位置に調整される。それから、鋼製プレート(20),(21)は、図4,8に示されるように、垂直姿勢に位置する三角形状の鋼製プレート(23)によって相互連結され、それぞれ溶接(24),(25)によって溶接される。他の実施形態において、鋼製プレートは、基礎チャンネル底の頂部から上方に垂直に飛び出るボルトの上に孔を滑らせてからナットで固定されるよう意図される、パネルの両側に飛び出る特定細部を含み得る。そのフッティングは、定められた深さでの地下にある。その下端近傍におけるパネルの完全なコンクリート固体部は、図4,8から明らかなように、通常は地上レベル(27)の上方に位置してコンクリートが打ちっ放しであるコンクリートグランドプレート(26)の上方レベルに至るまで、受け口(22)内の底からの長さ以上に適合される。壁パネル(1)は、横方のアンカー(28)によって、重厚なコンクリートグランドプレート(26)に水平に取り付けられる。
【0017】
b)床要素(29)は、断熱材(33)を部分的に綴じ込んだ隙間内に介在してパネルと同じ方法で固定される二以上の亜鉛メッキされた鋼製ストリップウェブ(32)によって相互連結された上側成型コンクリートパネル要素(30)及び下側成型コンクリートパネル要素(31)を含み、その間に空気スペース(34)を部分的に含む。両コンクリート層は、図1から明らかな壁パネルの層と同じような二つの鋼製ワイヤメッシュ層によって補強される。
【0018】
上側パネル要素(30)は、下側パネル要素(31)よりも薄いので、曲げに必要な、切断面の高い位置の重心が得られる。必要ならば、床ユニットの上側パネル要素(30)は、図5に示すように、壁パネルに類似して、二つのメッシュ層間に埋められるいくつかの追加的な圧縮補強材(35)を含み得る。床ユニット(29)のテンションが掛けられた下側パネル(31)は、二つのメッシュ層間に埋められる十分な量の追加的な補強バー(36)によって常に補強される。補強バー(36)の代わりに、プレストレスの望ましい程度にて同じ方法で幾分プレストレスされるワイヤスタンドが用いられ得る。床要素の全長に沿って延びることを必要とせず、サポートに接近した、いくつかの追加的な短尺な鋼製シートストリップウェブ(37)が過度な剪断力の場合に含まれ得る。
【0019】
鋼製ウェブの端は、図7に示すように、壁パネル及び床ユニット間のしっかりとした連結を形成すべく利用される。壁パネルの内側コンクリートパネル要素(2)は、床要素を挿入するための長手のグローブ(38)を形成するサポートでの割込を有する。壁パネル(1)は、床の定められたレベルでの水平なグローブ(38)以内にサポートを含む。鋼製管(39)は、サポート上で中心に位置する床荷重を確実にするため、用いられる(屋根サポートでの管(14)と同じ方法で固定される)。連続的に通る壁パネル(4)の垂直鋼製ウェブは、割込無しで、グローブ(38)を通って直立する。取り付けられた床ユニット(29)は、図7に示されるように、壁パネルのウェブ(4)に一致し且つサイズがしっかりと合う二つのスロット(39)を有する固定下側コンクリート層(31)を介して、管(14)に立てかけられてもたれかかる。従って、水平なグローブ(38)を通る壁パネル(1)の垂直鋼製ウェブ(4)は、グローブでのパネルの弱くなっている切断面を強化する。適合されたとき、壁パネルの鋼製ウェブ(4)と床要素(32)のウェブとは、重なり合うようになり、ナット(40)にて簡単に連結される。この作業を管理する適切なアクセスは、グローブ(38)のワイド開口と、アッセンブリ中のサポート近傍の床ユニットの短尺な上側コンクリート層(30)との間に提供され、それにより、ボルト(40)が締結された後、隙間がコンクリートによって埋められる。図4から明らかなように、組み立てられる床ユニットの頂面上の、確定的な床コンクリート層(41)のレベルは、サポートグローブ(38)の頂部レベルよりも上であり、従って、最後は、全ての連結が隠されるようになる。
【0020】
c)断片的に図9,10に示される、壁パネル及び床ユニットを製造するための型は、いくつかの通常の固いサブ構造(43)に固定される底(42)と、二つの外側フォームサイド(44),(45)を含む。左側のフォームサイド(44)は、横方にスライドさせることによって可動であり、右側のフォームサイド(45)は、固定である。両サイドフォームは、一定の間隔で配置される矩形状の孔(46)が長手方向であって、全長に沿って明けられている。型サイドフォームにおける孔(47)の長手方向の配置は、型内に配置されると、壁パネル(1)あるいは床ユニット(29)のそれぞれ完全部として用いられる鋼製ウェブストリップ(32),(4)における対応する孔(46)と一致する。これらの孔は、手動あるいは特定装置を用いて多数の横方スティック(48)を挿入して壁パネルあるいは床ユニットの上側成型パネル要素の底を形成するために一時的に利用される。製造プロセスをより明確にすることが、二つの異なるステージでの製造手順を示す図9,10を参照して説明される。最初に、型は、左側のフォームサイド(44)をスライドさせてオープンにされ、且つ補強メッシュの二つの層が底(42)の上に配置される。長手の鋼製ウェブストリップ(4)(あるいは床ユニットの場合は(32))は、図9から明らかなように、型に沿ってループ(7)上に直立して立ち、且つ底(42)に対して垂直となるように位置決めされる。ループ(7)は、補強材の適切なコンクリートカバーを確実にするプラスチックスペーサ(12)によってそれらの頂部に供給される。薄いウェブストリップ(4)が型の全長間でグラグラするため、それらは、回転あるいは曲がらないよう、フォームサイド(46)の対応する孔及び同じくストリップ(49)における孔(46)を通って共同されるいくつかのスティック(48)によって一時的に固定される。ウェブストリップ(4)は、特定の垂直スロット治具内の両型端で挿入され得る。上側層メッシュ短尺鋼製ロッドアンカー(おおよそ20cm長)が二つの層メッシュ間のウェブストリップ(4)に直角なループ(7)における孔(9)内に簡単に挿入される。上述のことは、図1,9から明らかである。鋼製ロッドアンカー(8)は、ワイヤメッシュ(5)の二つの層間の間隔を保ち、同時に、鋼製ウェブストリップ(4)のためのアンカーとして提供する。型のフォームサイド(44),(45)が閉じられるように全ての補強が安定された後、全ての横方スティック(48)が外され、配置された補強を囲むように奥行き(70mm)で連続的に下側コンクリート層が注がれる。プレストレスの場合、プレストレスされるスタンドが補強バーの代わりに同じように配置され得る。プレストレスは、両端で適切に隣接する強く長手のフレームを含む型の追加的なサブ構造を要求する。下側に位置されるコンクリート層は、(下方に位置する外面を備える)壁パネルの場合、外側壁要素に対応するか、あるいは、床ユニットの場合の下側コンクリート要素に対応する。第1の層のコンクリートが固められた後のステージが図9に示される。上側コンクリート層が完成した後、横方スティック(48)が型サイド(46)における孔から抜かれ、同様に全ての鋼製ウェブストリップ(7)における孔(47)を通過する。狭い間隔で配置された横方スティック(48)は、ポリスチレンあるいは固い石綿の断熱材ストリップ(10)が上に配置された一時的な一方向グリッドプラットフォームを形成し、図11から明らかなように、ウェブストリップ間及びウェブストリップとサイドフォームとの間におけるウェブストリップ(4)間にしっかりと挿入される。今、断熱材ストリップ(10)の頂面は、同じ型サイド(44),(45)によって横方に閉じられる上側コンクリート層型の底を画定する。そのように形成される上側型は、壁パネルの場合における内側壁要素を注ぐために用いられ、あるいは床ユニットに場合における上側コンクリート要素のために用いられる。鋼製ウェブストリップ(4)に溶接され、断熱材表面の上に飛び出るループ(7)は、図11に示されるように下側コンクリート要素の場合と同じようにして用いられる孔を含む。次に、第1鋼製メッシュ層(5)は、上側型内に配置され、メッシュの上に延びる起立ループ(7)の上に垂直に滑らされる。今、短尺鋼製ロッドアンカー(8)は、第2メッシュ層が位置決めされる前に孔(9)内に挿入され、最後に、第2メッシュ層は、頂部に配置され、従って、いくつかの追加的な長尺な補強バー(6)が必要ならば挿入され得る。もし、両サイドのプレストレスされた壁パネルの場合、最後のメッシュ層が配置される前に、いくつかのプレストレスされるスタンドが補強バーの代わりに位置決めされ得る。上側に位置決めされるコンクリート層は、その時、コンクリートが固められ、仕切りがされ、タオルで拭かれる。広い露出面を有する両コンクリート層は、簡単に蒸気養生される。両層のコンクリートが固まった後、横方スティック(48)は引き抜いて取り除かれ、壁パネルあるいは床ユニットを開放し、型から持ち上げられるよう準備される。それらが十分に固いため、そのようなパネルは、持ち上げられ、それらが成型されたのと同じ姿勢で水平に保管され得る。
【0021】
d)最も簡単な構造部分は、ストリップ基礎要素(18)の浅い長手のソケット(22)内に取り付けられ且つしっかり固定される二つの垂直壁パネル(1)によって形成され、図11に示されるようなWO02/053852A1に係る「平坦な底板を備えるダブルプレストレスされた複合屋根天井構造」という名前で知られる屋根天井ユニット(13)を支持する。二つの垂直壁パネル(1)は、a)項で開示されるような方法で、直立され、長手の予備成型ストリップ基礎にしっかり固定された。図11から明らかなように、一対の壁パネル(1)は、壁パネル(1)の幅と全く等しい幅を有する単一の屋根天井ユニットを支持する。これは、連結部が常に保証される完全な互換性といった点で有利である。
【0022】
従って、その結果として誤差は最小限に抑えられるので、人的ミスの心配無しで、ボルト及びその他の連結手段が安心して用いられ得る。壁パネル(1)に対する屋根ユニット(13)の連結は、図4,6に示される。床ユニット(13)のスラブのようなサポート端は、組み込まれて短尺な鋼製パイプピースからなるコンクリート底板の端近傍での二つの孔(49)を含む。プレート端は、管(14)の頂面から直立して延びる二つのボルト(50)の上に両孔を滑らせて、二つのコンクリート層間に組み込まれた鋼製管(14)の上にもたれかからせ、それからナットで固定される。
【0023】
図12に示されるように、小単位が隣の他のものに取り付けられることによって長いビルディングが建築される。壁パネル(1)がマルチストリップフッティング(18)に沿って配列され、a)項で説明され、図4,8で示されるように固定される。隣り合った壁パネル(1)は、屋根ユニットの組み立てられた底板からなる共通の水平面を介して間接的に相互連結される。屋根ユニットは、縦及び横の両方の力に耐え得る、溶接鋼製インサートジョイント(54)による通常の方法で、いくつかのポイントで底板の共通エッジに沿って相互連結される。類似のジョイント(54)が隣り合った底板の共通エッジのレベリングのために最も一般的に用いられるが、本発明の主題ではない。固い水平面(51)は、最後に位置決めされる隣り合う底板の長手のエッジに沿って、多数の溶接シャージョイント(54)によって切妻(53)を形成する切妻壁パネル(52)に連結される。従って、二つの長手側に沿って位置決めされる壁パネル(1)は、横方向において実質的に支えられ、水平の固い屋根天井面(51)によってそれらの頂部にて保持される。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】図1は、重要な部分を示すパネルの断面図である。
【図2】図2は、パネルの断片垂直切断である。
【図3】図3は、図2に示される同じ断片部の構成ウェブの断片図である。
【図4】図4は、複合床ユニットの概略図である。
【図5】図5は、床及び屋根天井を備えた垂直組立パネルのアッセンブリを示すビルディング構造の片側部の断片垂直断面である。
【図6】図6は、壁パネルに取り付けられた最後の屋根/天井ユニットサポートの詳細斜視図である。
【図7】図7は、床ユニット及び壁パネル間の固い鋼連結を示す、コンクリートが注がれる前の、床ユニットサポートの詳細斜視図である。
【図8】図8は、基礎ベースへの固い連結を示す壁パネルの下部の詳細斜視図である。
【図9】図9は、パネルの下側コンクリート層が注がれた後の、特定の製造ステージを示す型部分の斜視図である。
【図10】図10は、パネルの上側コンクリート層が注がれた後の、特定の製造ステージを示す型部分の斜視図である。
【図11】図11は、屋根天井ユニットを支持する垂直な片持ち梁壁パネルの組から形成される簡単な横フレームユニットの斜視図である。
【図12】図12は、本発明によるビルディングの部分の斜視図である。
【図13】図13は、ビルディングの自己安定構造の概念を示すビルディングのサンプルモデルである。
【図14】図14は、ビルディングの安定性メカニズムがどのようにして働くかを示すビルディングの変形モデルである。
【図15】図15は、横方支持が同じ原因となるバッキング長さを示す、頂部での片持ち梁壁パネル保持を含む、簡単な構造体の横フレームの概略モデルである。
【図16】図16は、横方が不安定な構造体の側を示す、片持ち梁壁パネルを含む簡単な構造体の横フレームの概略モデルである。
【図17】図17は、構造体の支持システムのパラメータ決定のために用いられる、図14に示されるリアルモデルから派生して現れる概略モデルである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
極めて幅が広く且つ厚みが薄いコンクリート層(2),(3)であって、両方が二つの鋼製ワイヤメッシュ層(5)を備えて実質的に補強されると共に、厚みが薄い少なくとも二つの鋼製ストリップウェブ(4)によってパネルの全長に亘って連続的に相互連結されるコンクリート層(2),(3)を含み、
その間には、内側コンクリート層の内側に付着された断熱材(10)が部分的に充填され且つ残りのスペース(11)がエアベンチレーションとして用いられる、幅が広い隙間が形成され、
ストリップウェブ(4)は、そのエッジに沿って配置され溶接される複数の鋼製ループ(7)を備え、
該鋼製ループ(7)は、短尺な鋼製ロッドアンカー(8)が挿入される孔(9)を含み、
該鋼製ロッドアンカー(8)によりメッシュ層間の間隔を維持しつつ、ストリップウェブ(4)が両コンクリート層に固定され、
メッシュ層間には、追加的な長尺な補強バー(6)あるいはプレストレスされるスタンドが施される
ことを特徴とする複合壁パネル(1)。
【請求項2】
屋根平坦底板ユニット(13)を支えるための特定サポートであって、サポート近傍で大きくなる両コンクリート層(2),(3)の上に僅かに飛び出る組み付けの鋼製管(14)を備える特定サポートを含み、
管(14)は、鋼製ウェブ(4)に垂直に溶接され固定されて、かなりの応力集中を発生させることなく、鋼製管(14)から両コンクリート層(2),(3)に徐々に屋根荷重を伝えるようにし、
屋根天井ユニット(13)の底板を滑らせて二つの孔(49)に通した上でナットで固定される、管(14)の頂面から上方に延びる二つのボルト(50)の手段によって、連結が簡単に実行される
ことを特徴とする請求項1に記載の複合壁パネル。
【請求項3】
内側コンクリート層の割込に沿って形成される水平なグローブ(38)内に床ユニット(29)を支えるための特定サポートを含み、
鋼製ウェブ(4)を備える両コンクリート層に組み付けの鋼製管(14)が、管(14)に直角に通り且つグローブ(38)を連続的に通って固定され、
壁パネル(1)に対する固い床ユニット(29)の連結は、重なり合う床ユニットのストリップウェブ(32)及び壁パネルのウェブ(4)を、後でコンクリートが注がれたこととなるグローブ(38)内のボルト及びナット(40)によって連結することによって達成され、
床ユニットの下側コンクリート層(31)は、ウェブ(4)近傍のスロット(39)内に滑り込む壁パネルのウェブ(4)を備える管(14)に逆らって予めもたれかかり、
連結後、さらなる処理を必要とせず、ジョイントに沿った上側及び下側の両方の完全に真っ直ぐな連結エッジが得られる
ことを特徴とする請求項1に記載の複合壁パネル。
【請求項4】
複合耐力垂直壁パネル(1)と、いくつかの床ユニット(29)を含む複合屋根天井ユニット(13)とから構成されるビルディングであって、
壁パネル(1)は、ビルディングの周囲に沿って配列される長手のソケット(22)を備える予備成型基礎(18)のための片持ち梁として配置され且つしっかり固定され、
壁パネル(1)の幅は、連結部の一致を保証する床天井及び床ユニット(29)の幅と正確に一致し、
平坦な内面を備え、柱も梁も含まないビルディングが達成される
ことを特徴とするビルディング。
【請求項5】
複合耐力垂直壁パネル(1)と、複合床天井(13)と、屋根ユニット(29)とから構成される請求項4に記載の自己安定性ビルディングのための横方支持メカニズム原理であって、
細部(54)によって隣り合うエッジに沿って相互連結され且つ全て適合される屋根天井板(13)から形成される固い水平面(51)に頂部が取り付けられる後の、片持ち梁として取り付けられ且つしっかり一時的に固定される壁パネル(1)は、全構造体及びその横方安定性を保証する切妻壁パネル支持への接触に沿う屋根ユニットのエンドプレートに結合することによって、著しいバックリング長の減少を伴って横方向が抑制されるようになる
ことを特徴とする原理。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate


【公表番号】特表2007−516367(P2007−516367A)
【公表日】平成19年6月21日(2007.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−503339(P2005−503339)
【出願日】平成15年7月2日(2003.7.2)
【国際出願番号】PCT/HR2003/000034
【国際公開番号】WO2005/003481
【国際公開日】平成17年1月13日(2005.1.13)
【出願人】(503196824)マラ インスティテュート ディー.オー.オー. (1)
【Fターム(参考)】