説明

複層化された主板ガラス及び複層化された主板ガラスの製造方法

【課題】主板ガラスと従板ガラスとの間に発生する、結露等の問題が回避された、複層化された主板ガラス及びその製造方法を提供すること。
【解決手段】主板ガラスと、フィルムと、複層ガラスとがこの順で配置され、主板ガラスと、フィルムと、複層ガラスとが、一体に固定されていることを特徴とする複層化された主板ガラス。少なくとも外面の一方にフィルムを予め貼付した複層ガラスを準備する工程、フィルムを介して複層ガラスと、主板ガラスとを配置する工程、及び、主板ガラスと、フィルムと、複層ガラスとを一体に固定する工程、を含むことを特徴とする、複層化された主板ガラスの製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複層化された主板ガラス及び複層化された主板ガラスの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、特に高層ビル等の建造物においては、窓ガラスとして単層の窓ガラスが使用されている。近年、省エネルギーの観点から、建築物の窓開口部の断熱を行う場合、複層ガラスを使用することが行われており、高層ビル等の既存の単層ガラスの複層化が望まれている。
【0003】
単層ガラスを複層化する技術としては、特許文献1及び2に記載された技術が例示できる。
特許文献1には、主板ガラスと主板ガラスよりも短寸法に形成された従板ガラスとがその周辺部に配されているスペーサを介在して隔置され、これら板ガラス間に空気層が形成され、かつ、これら板ガラスの周辺部に金属製のアタッチメントが取り付けられてなる複層ガラスにおいて、スペーサが乾燥剤物質を分散混入してなるブチルゴム製スペーサであり、アタッチメントが従板ガラス挟持部と離隔部とを有し、従板ガラス挟持部により従板ガラスの端部が挟持され、離隔部がスペーサの板ガラス端縁側に配され、主板ガラスの端部が框の内溝に取り付けられるようにされていることを特徴とする複層ガラスが記載されている。
【0004】
特許文献2には、乾燥剤入り室温硬化接着層、透過防止層及び粘着層が順次積層されてなることを特徴とする複層ガラス用硬化吸湿接着テープを使用し、二枚の対向するガラス板又はプラスチック板を、それぞれの周辺部において、乾燥剤入り室温硬化接着層を内側に向けた前記室温硬化吸湿接着テープにより接合一体化してなることを特徴とする複層ガラスが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平9−317336号公報
【特許文献2】特開平9−272848号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1及び特許文献2に記載の複層ガラスは、主板ガラスと従板ガラスとの間を密閉することが困難であり、また、時間の経過とともにスペーサの吸湿性が低下するという問題があった。さらに、結露等が生じるようになった場合において、一度複層化した単層ガラスを補修することが困難であった。
【0007】
本発明は、上記課題を解決することを目的とするものである。すなわち本発明の目的は、主板ガラスと従板ガラスとの間に発生する、結露等の問題が回避された、複層化された主板ガラス及びその製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の上記課題は、以下の<1>及び<7>に記載の手段により解決された。好ましい実施態様である<2>〜<6>とともに以下に記載する。
<1> 主板ガラスと、フィルムと、複層ガラスとがこの順で配置され、主板ガラスと、フィルムと、複層ガラスとが、一体に固定されていることを特徴とする複層化された主板ガラス、
<2> 主板ガラスとフィルムの一面とが接触し、主板ガラスとフィルムとの間に実質的に空間が存在しない、<1>に記載の複層化された主板ガラス、
<3> 主板ガラスとフィルムとが接着されていない、<1>又は<2>に記載の複層化された主板ガラス、
<4> フィルムの一面と複層ガラスとが接触し、フィルムと複層ガラスとの間に実質的に空間が存在しない、<1>〜<3>いずれか1つに記載の複層化された主板ガラス、
<5> フィルムの一面と複層ガラスとが接着されている、<1>〜<4>いずれか1つに記載の複層化された主板ガラス、
<6> 該フィルムが粗面化処理されている、<1>〜<5>いずれか1つに記載の複層化された主板ガラス、
<7> 少なくとも外面の一方にフィルムを予め貼付した複層ガラスを準備する工程、フィルムを介して複層ガラスと、主板ガラスとを配置する工程、及び、主板ガラスと、フィルムと、複層ガラスとを一体に固定する工程、を含むことを特徴とする、複層化された主板ガラスの製造方法。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、結露等の問題が回避された、複層化された主板ガラス及びその製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の複層化主板ガラス100の一実施態様を示す断面模式図である。
【図2】本発明において、好ましく使用できる複層ガラス及びフィルムの一実施態様である。
【図3】本発明により得られる複層化された主板ガラスの一実施態様を示す概念斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の複層化された主板ガラス(以下、「複層化された主板ガラス」を、単に「複層化主板ガラス」ともいう。)は、主板ガラスと、フィルムと、複層ガラスとがこの順で配置され、主板ガラスと、フィルムと、複層ガラスとが、一体に固定されていることを特徴とする。
従来は、単層の主板ガラスを複層化するにあたり、主板ガラスをスペーサを介して従板ガラスと対向させ、これを固定することで複層化していたため、主板ガラスと従板ガラスとの間を、乾燥状態で気密に保持する必要があった。しかし、本発明の複層化主板ガラスは、複層ガラスと一体化することにより、主板ガラスを複層化するため、上記のような主板ガラスと複層ガラスとの間の気密性は必要とされない。
また、施工の面においても、従来の方法では、単層ガラス(主板ガラス)の設置された場所において、密閉性を維持するように従板ガラスと複層化することが求められ、取り付け作業が繁雑であるという問題があった。これに対し、本発明では、予め複層ガラスを製造した後、これを主板ガラスと一体に固定するのみで主板ガラスを複層化するため、工程が極めて少ない。
さらに、主板ガラスと複層ガラスとの間にフィルムを介在させることにより、ガラス同士を密着させた場合に生じるニュートンリングの発生を抑制することができる。
【0012】
また、従来の複層化された主板ガラスでは、従板ガラスとの気密性が低下し、結露等を生じた場合に、これを補修することが極めて困難であった。しかし、本発明の複層化主板ガラスは、気密性が低下し、結露等が生じるようになった場合には、複層ガラス、又は、フィルムと複層ガラスのみを交換すればよく、極めて補修が容易である。
【0013】
以下、必要に応じて図面を参照して説明する。
図1は、本発明の複層化主板ガラス100の一実施態様を示す断面模式図である。
図1において、10は主板ガラス、20はフィルム、30は複層ガラス、40は固定部材を示す。
図1において、サッシ枠11は、壁12に取り付けられた固定窓枠であり、嵌め込みサッシ枠13は、この壁12に固定されたサッシ枠11に組み込み、主板ガラス10を嵌め込むものである。ここで、主板ガラス10は、セッティングブロック14、バックアップ材15、シーリング16を使用して、嵌め込みサッシ枠13に固定されている。
なお、主板ガラスの建材(壁等)への固定の方法としてはこれに限定されるものではなく、本発明の複層化主板ガラスは、各種の建造物に設けられた主板ガラスに適用可能である。また、本発明において、適用可能な主板ガラスは、壁面開口部に設けられた主板ガラスに限定されるものではなく、間仕切等に設けられていてもよく、特に限定されない。これらの中でも、本発明は、断熱性が要求される壁面開口部に設けられた主板ガラスの複層化に特に好適である。
【0014】
主板ガラスの材質は特に限定されず、無機ガラス、有機ガラスのいずれでもよく、また、厚みについても特に限定されない。なお、本発明において「ガラス」の語は、SiO2を主成分とする無機ガラスに限定されず、アクリル樹脂等の有機ガラスをも含む意である。主板ガラスは、必要とされる強度に応じて、強化ガラス、合わせガラス等であってもよい。強化ガラスは、フロート板ガラスをガラスの軟化温度付近に加熱し、ガラス両面に空気を一様に吹き付けて急冷することにより、安定した圧縮応力層を形成することで製造することができる。また、合わせガラスは、2枚又はそれ以上のガラスの間に透明で接着力の強い樹脂中間膜を挟み、油圧又は空気圧のオートクレーブ(圧力釜)に入れ、圧着することで製造することができる。
主板ガラスは、複層化による断熱性の向上等の効果が発揮されるという観点から、単層の板ガラスであることが好ましい。
【0015】
主板ガラス10と、フィルム20と、複層ガラス30とは、この順で配置され、また、主板ガラス10と、フィルム20と、複層ガラス30とは、固定部材40により一体に固定されており、これにより、主板ガラス10は複層化され、複層化主板ガラス100となっている。
フィルム20は、主板ガラス10と複層ガラス30との間に配置される。
本発明において、フィルム20を主板ガラス10と複層ガラス30との間に配置することにより、ガラスとガラスとの接触によるニュートンリングの発生が抑制される。フィルム20を介在させず、主板ガラス10と複層ガラス30とを直接接触するように配置すると、光波の干渉により、所謂ニュートンリングが発生し、透光性や視認性が低下する。
【0016】
該フィルム20としては、紫外線防止フィルム、日射調整フィルム、飛散防止フィルム、防犯用フィルム等として上市されているフィルムが例示できる。これらの中でも、フィルムとしては紫外線防止フィルムが好ましい。
また、該フィルムの材質は特に限定されず、例えば、ポリエステルフィルム、PETフィルム等が例示できる。また、フィルムの形成方法は、あらかじめ成型されたフィルムでもよいが、直接主板ガラス又は複層ガラス上に塗付して形成してもよい。
該フィルムの厚みは特に限定されないが、20μm〜2,000μmであることが好ましく、30μm〜500μmであることがより好ましく、35μm〜200μmであることがさらに好ましい。
このようなフィルムとして、具体的には、スコッチティントTMウィンドウフィルム、レフテル(帝人(株)製)、UV Guard、F.B.S.SAFE−UP(富士フイルム(株)製)、ルミクール(リンテック(株)製)等が例示できる。
なお、該フィルムに意匠性を付すために、視界制御フィルム、例えば、ルミスティー(住友スリーエム(株)製)を使用してもよい。
【0017】
フィルム20は、主板ガラス10と複層ガラス30との間に配置されていればよいが、主板ガラス10の一面とフィルム20の一面とが接触し、主板ガラス10とフィルム20との間に実質的に空間が存在しないことが好ましい。
ここで、実質的に空間が存在しないとは、フィルムと主板ガラスが離間していないことを意味し、フィルムと主板ガラスが接触していることを意味する。従って、例えば、フィルムの表面に存在する微細な凹凸により、フィルムの全面が主板ガラスと完全に接触していない場合であっても、「実質的に空間が存在しない」に該当する。
また、主板ガラスとフィルムとの間に空間が存在すると、主板ガラスとフィルムとの間の該空間に結露等が生じる場合があるため、主板ガラスとフィルムとの間に実質的に空間が存在しないことが好ましい。
なお、主板ガラスが壁面の開口部に設けられている場合には、フィルムと接触する面は、主板ガラスの内壁側の面であることが好ましい。
【0018】
また、上記の場合、主板ガラスとフィルムとが接着されていないことが好ましい。主板ガラスとフィルムとを接着するためには、主板ガラスが設置された場所において、フィルムの貼り付け(接着)作業が必要である。また、主板ガラスに直接フィルム用塗布液を塗接する場合には、主板ガラスとフィルムとは接着している。この場合にも、主板ガラスが設置された場所において、フィルム用塗布液の塗接作業が必要となる。これに対し、主板ガラスとフィルムとが接着されていない場合、主板ガラスの複層化が容易であるので好ましい。
さらに、フィルムの劣化に伴って交換が必要となった場合に、主板ガラスに接着していると、主板ガラスからの剥離作業が必要となる。これに対し、例えば、後述するように複層ガラスに接着している場合には、複層ガラスとともに交換すればよく、補修作業が容易である。
【0019】
また、フィルム20の一面と、複層ガラス30とが接触し、フィルム20と複層ガラス30との間に実質的に空間が存在しないことが好ましい。
すなわち、本実施形態において、フィルムの一面が主板ガラスと接触し、他の一面が複層ガラスと接触し、フィルムと主板ガラス、及び、フィルムと複層ガラス、との間に空間が存在せず、一体に固定されていることが好ましい。
【0020】
また、主板ガラスと複層ガラスとの間にフィルムを配置する方法は特に限定されないが、フィルムの一面と複層ガラスとが接着されていることが好ましく、予め複層ガラスに接着することがより好ましい。予め複層ガラスに接着しておくことにより、現場での複層ガラスへのフィルムの取り付け作業が不要となり、複層化主板ガラスを容易に製造することができるので好ましい。
本発明において、複層化ガラスの製造方法としては特に限定されないが、少なくとも外面の一方にフィルムを予め貼付した複層ガラスを準備する工程、フィルムを介して複層ガラスと、主板ガラスとを配置する工程、及び、主板ガラスと、フィルムと、複層ガラスとを一体に固定する工程、を含むことが好ましい。
【0021】
複層ガラスとフィルムとを接着する方法としては特に限定されないが、接着剤、粘着剤等を用いて貼付することが好ましい。具体的には、フィルム及び/又は複層ガラスの一面に粘着剤を塗布して、複層ガラスとフィルムとを接着する方法が例示できる。また、紫外線防止フィルムとして、フィルムの一面に水貼り用の粘着剤を塗接した窓貼り用フィルムも上市されており、本発明で好適に使用できる。
なお、複層ガラスの一方の面に、フィルム用塗布液を塗接することにより、フィルムを形成してもよいが、予め形成されたフィルムを貼付することが好ましい。
【0022】
該フィルムは、少なくとも一面が粗面化処理されていることが好ましい。両面が粗面化処理されていてもよいが、フィルムの主板ガラス側の面が粗面化処理されていることが好ましい。特に、フィルムと複層ガラスとを、予め接着しておく場合には、フィルムの主板ガラス側の面が粗面化処理されていることが好ましい。
粗面化処理により、粗面化処理されたフィルムと主板ガラス、及び/又は、粗面化処理されたフィルムと複層ガラスの間に、微細な空隙が生じ、これによりニュートンリングの発生がさらに抑制されるので好ましい。
粗面化処理の方法としては特に限定されないが、例えば、一般的なサンドブラスト法等によるものでもよく、また、マット剤を含む塗膜のマット層を設けてもよい。マット層を形成するには、例えば、有機溶剤可溶線状ポリエステル樹脂、及び、二酸化ケイ素微粉末等を含む粗面化塗料を塗布乾燥する方法が例示できる。前記マット剤は一次平均粒径0.1〜30μmであることが好ましく、より好ましくは0.3〜10μmであり、さらに好ましくは0.5〜5.0μmである。マット剤の一次平均粒径が上記範囲内であると、ニュートンリングの発生を抑制する効果が高いので好ましい。
また、本発明はこれに限定されるものではなく、単にマット剤をフィルムの一面に散布したものであってもよい。
【0023】
図1において、フィルム20の周縁には、遮光性のテープ21が貼付されている。複層ガラス30のシーリング剤31の耐光性が十分でない場合、シーリング剤31を遮光することが好ましく、これにより、長期に渡って気密性を保持することができるので好ましい。なお、遮光性のテープの代わりに、遮光性材料を塗布してもよい。
なお、該フィルムと遮光性テープの厚みは同等であるか、フィルムの方が厚いことが好ましい。これにより、複層ガラス又は主板ガラスと、フィルムとの間に空間が形成されないので好ましい。実質的に空間を有していないことにより、該空間に生じる結露の問題を回避できる。
遮光性テープとしては、アルミ箔テープ等の金属箔テープ(例えば、アルミ箔テープスコッチ425(住友スリーエム(株)製)、黒色ポリエステルフィルムに粘着剤を塗布した粘着テープ(例えば、NE−tak(日栄化工(株)製))等が例示できる。
【0024】
図2に、本発明において、好ましく使用できる複層ガラス及びフィルムの一実施態様を示す。
図1及び図2を参照すれば、複層ガラス30は、対向する2枚の板状体33、33’がスペーサ32を介して配置され、スペーサ32の周囲は、シーリング剤31により封止され、板状体33と33’の間の空間が、気密に保持されている。
図2において、複層ガラス30の板状体33の外面には、フィルム20が貼付されている。また、シーリング剤31が板状体33の正面から視認できる範囲を超えて、板状体33の外面の周縁には、遮光性テープ21が貼付されている。
予め図2に示すような複層ガラス30にフィルム20及び遮光性テープ21を貼付しておき、これを主板ガラス10と一体に固定することにより、複層化主板ガラス100を製造することが好ましい。
【0025】
本実施形態において、複層ガラス30としては特に限定されず、公知の複層ガラスから適宜選択すればよい。一般的には、2枚の板ガラスをスペーサ32で一定間隔に保ち、その周囲をシーリング剤(封止材)で密閉する。また、スペーサ32に封入した乾燥剤でスペーサ内部が乾燥状態を保つようにすることも好ましい。
なお、日本板硝子(株)製スペーシアのように、複層ガラス内部を真空とすることも好ましく、前記スペーシアは、真空層を保持するマイクロスペーサーを介して2枚の板状体を配しており、封止方法が従来の方法とは異なっている。
複層ガラスは、例えば、特開2008−222507号公報、特開2008−156217号公報、特開2008−019131号公報に記載されている。
また、種々の複層ガラスが上市されており、ペアマルチ、スペーシア(以上、日本板硝子(株)製)、サンバランス、デューカット、ペヤグラス(旭硝子(株)製)、ペアレックスシリーズ(セントラル硝子(株)製)等が例示できる。
【0026】
また、複層ガラスの板状体33、33’の、フィルム20が配置される面を除く他の面、具体的には、対向する板状体33、33’の内面及びフィルム20が配置されていない板状体33’の外面に、紫外線防止フィルム、飛散防止フィルム等を貼付し、強度の向上等を図ることも好ましい。
【0027】
主板ガラス10と、フィルム20と、複層ガラス30とを一体に固定する手段としては特に限定されないが、取り外し可能な手段であることが好ましい。取り外し可能な手段であると、複層ガラスの気密性が低下した場合等に、複層ガラスの取り替えが容易であり、補修が容易であるので好ましい。
図1では、固定部材40をボルト41で壁12に固定し、これにより、主板ガラス10、フィルム20及び複層ガラス30を一体に固定している。また、複層ガラス30の傷つき、破損等を防止するために、固定部材40と複層ガラス30との間には、弾性部材42が挟持されている。なお、弾性部材42は、予め固定部材40と接着しておいてもよく、また、固定部材40を複層ガラス30に接触させる際に、弾性部材42を挟持させてもよい。
弾性体としては、ポリウレタン、ブチルゴム等が例示できる。
【0028】
図3は、本発明により得られる複層化主板ガラスの一実施態様を示す概念斜視図である。
図3において、固定部材40は、複層化主板ガラスの上部及び下部を固定するように配置されている。図3においては、下部の固定部材40は連続した1つの部材であり、複層化主板ガラス下部のほぼ全体を覆っている。しかし、本発明はこれに限定されるものではなく、複数の固定部材により固定してもよく、特に限定されない。
【0029】
本発明において、主板ガラスと、フィルムと複層ガラスとを固定する手段はこれに限定されず、主板ガラスと建材(壁、床、天井等)との配置や、固定部材の設置可能な場所等に応じて、適宜選択すればよく、当業者であれば、本明細書の記載からそのような応用は自明である。具体的には、下部の固定部材を床に固定する態様や、上部の固定部材を天井に固定する態様が例示できる。
【符号の説明】
【0030】
10 主板ガラス
11 サッシ枠
12 壁
13 嵌め込みサッシ枠
14 セッティングブロック
15 バックアップ材
16 シーリング
20 フィルム
21 遮光性テープ
30 複層ガラス
31 シーリング剤
32 スペーサ
33、33’ 板状体
40 固定部材
41 ボルト
42 弾性部材
100 複層化主板ガラス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
主板ガラスと、フィルムと、複層ガラスとがこの順で配置され、
主板ガラスと、フィルムと、複層ガラスとが、一体に固定されていることを特徴とする
複層化された主板ガラス。
【請求項2】
主板ガラスとフィルムの一面とが接触し、主板ガラスとフィルムとの間に実質的に空間が存在しない、請求項1に記載の複層化された主板ガラス。
【請求項3】
主板ガラスとフィルムとが接着されていない、請求項1又は2に記載の複層化された主板ガラス。
【請求項4】
フィルムの一面と複層ガラスとが接触し、フィルムと複層ガラスとの間に実質的に空間が存在しない、請求項1〜3いずれか1つに記載の複層化された主板ガラス。
【請求項5】
フィルムの一面と複層ガラスとが接着されている、請求項1〜4いずれか1つに記載の複層化された主板ガラス。
【請求項6】
該フィルムが粗面化処理されている、請求項1〜5いずれか1つに記載の複層化された主板ガラス。
【請求項7】
少なくとも外面の一方にフィルムを予め貼付した複層ガラスを準備する工程、
フィルムを介して複層ガラスと、主板ガラスとを配置する工程、及び、
主板ガラスと、フィルムと、複層ガラスとを一体に固定する工程、を含むことを特徴とする、
複層化された主板ガラスの製造方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate