説明

複数のターゲットコンピュータを制御する制御システム

【課題】 複数のコンピュータを無線で制御する制御システムを提供する。
【解決手段】 制御システム100は、少なくとも一つのローカルコンピュータ116、118、120および制御装置122を含む。このローカルコンピュータ116、118、120はローカル制御信号を送信する無線信号送信モジュール124、130、132を備える。この制御装置122はローカル制御信号を受信するために使用する無線信号受信モジュール126を備える。制御装置122は、KVMスイッチ128、134を介してローカル制御信号をターゲットコンピュータ102〜114へ送信してターゲットコンピュータ102〜114を制御する。無線信号送信モジュール124、130、132は、例えば一般の無線カードでもよい。無線通信は、従来の無線通信プロトコルを用いて行ってもよい。無線信号受信モジュール126は、例えば一般のアクセスポイントである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のターゲットコンピュータを制御する制御システムに関し、特に無線方式により複数のターゲットコンピュータを制御する制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
コンピュータ技術の発達により、複雑な計算や大量のデータの記憶はコンピュータにより処理することができるようになった。そのため、一般的に、企業は日々の記録処理のためにコンピュータを使用している。企業のMIS(Management Information System)管理者は、KVM技術により入力装置(キーボードやマウスなど)を介してデータを入力し、複数のターゲットコンピュータを遠隔制御することができる。例えば1台の入力装置でプログラム管理、データベース管理、コンピュータシステムエラー分析およびデータ共有を行うことができるため、各コンピュータをチェックする必要はなかった。
【0003】
従来のKVMシステムにおいて、制御装置は接続ラインによりコンピュータへ接続され、それらコンピュータは一般にコンピュータルームに設置されていた。そして、コンピュータルームがコンピュータで満杯になっている場合、コンピュータをさらに追加することは困難であり、コンピュータの配置を換えることも困難であった。
【0004】
また、従来のコンピュータルーム内では多数の接続ラインが使用されていたために、システム全体が非常に複雑となった。そのため、コンピュータの整理は困難であり、システムも頻繁に故障した。またシステムが一旦故障した場合、故障したコンピュータをチェックして修理することも困難であった。従来のKVMシステムとは、例えばアボセント(Avocent)社のSwitchView(登録商標)、Soronti社のVP502−SAU(登録商標)またはXceedium社のNET−KVMx(登録商標)である。
【0005】
また、複数のターゲットコンピュータを制御する方法としては、pcAnywhere(登録商標)などといったソフトウェアを使用する方法があった。しかし、ソフトウェアを使用すると、多くのコンピュータ資源が占有された。そして、ターゲットコンピュータの内の1台がクラッシュした場合、ソフトウェアによりターゲットコンピュータを終了させることができたが、ターゲットコンピュータを再起動しても、ローカルコンピュータとターゲットコンピュータとを自動的に接続させることはできなかった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の第1の目的は、複数のコンピュータを無線で制御する制御システムを提供することにある。
本発明の第2の目的は、複数のローカルコンピュータを使用して複数のターゲットコンピュータを同時に制御する、複数のターゲットコンピュータを遠隔制御する制御システムを提供することにある。
本発明の第3の目的は、一般の無線カードを使用して複数のターゲットコンピュータを制御する、複数のターゲットコンピュータを遠隔制御する制御システムを提供することにある。
本発明の第4の目的は、従来の無線用通信プロトコルを用いて複数のターゲットコンピュータを制御する、複数のターゲットコンピュータを遠隔制御する制御システムを提供することにある。
本発明の第5の目的は、ターゲットコンピュータの内の1台がクラッシュしたときに、コントロールシステムによりターゲットコンピュータを再起動させて、ローカルコンピュータとターゲットコンピュータとを再び接続させる、複数のターゲットコンピュータを遠隔制御する制御システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述の目的を達成するために、本発明は複数のターゲットコンピュータを遠隔制御する制御システムを提供する。この制御システムには少なくとも一つのローカルコンピュータおよび制御装置が含まれる。このローカルコンピュータは無線信号送信モジュールを有する。そして、この無線信号送信モジュールを用いてローカル制御信号を送信する。
【0008】
制御装置は無線信号受信モジュールを備える。制御装置は、KVMスイッチを介してローカル制御信号をターゲットコンピュータへ送信し、ターゲットコンピュータを制御する。無線信号送信モジュールは無線カードでもよい。
【0009】
複数のローカルコンピュータがターゲットコンピュータへ同時にアクセスするときに、各ローカルコンピュータは、権限によりターゲットコンピュータを制御してローカル信号の衝突を防止する。ターゲットコンピュータの内の1台がクラッシュした場合、ローカルコンピュータはターゲットコンピュータをシャットダウンしてから再起動させることができるため、ローカルコンピュータはターゲットコンピュータを制御し続けることができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明は少なくとも以下に述べるような長所を有し、各実施形態は一つ以上の長所を具備する。本実施形態の制御システムは、複数のターゲットコンピュータを無線で制御することができる。この制御システムは、複数のローカルコンピュータを使用することにより、複数のターゲットコンピュータを同時に制御することができる。この制御システムは、一般の無線カードを使用して複数のターゲットコンピュータを制御することもできる。また、この制御システムは、従来の無線通信プロトコルを用いて複数のターゲットコンピュータを制御することもできる。ターゲットコンピュータはハードウェアにより制御することができるため、ターゲットコンピュータの内の1台がクラッシュしたときに、制御システムはターゲットコンピュータを再起動させて、ローカルコンピュータとターゲットコンピュータとを再接続することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
図1は、本発明の一実施形態を示す模式図である。図1に示すように、制御システム100により複数のターゲットコンピュータ102〜114を遠隔制御する。制御システム100には、少なくとも一つのローカルコンピュータ116、118、120および制御装置122が含まれる。
【0012】
従来技術の場合、制御装置122は、接続ラインによりローカルコンピュータ116、118、120に接続されていた。また、ローカルコンピュータ116、118、120は、一般にコンピュータルームに設置されていた。そのため、コンピュータルームがコンピュータで満杯になっているときに、コンピュータをさらに追加することは困難であり、コンピュータの配置を換えることも困難であった。
【0013】
また、従来のコンピュータルームで使用される多数の接続ラインは、全体のシステムを非常に複雑にした。そのため、コンピュータの整理が難しく、システムは頻繁に故障していた。そしてシステムが一旦故障した場合、故障したコンピュータを探して修理することはさらに困難であった。従来のKVMシステムには、例えばアボセント(Avocent)社のSwitchView(登録商標)、Soronti社のVP502−SAU(登録商標)またはXceedium社のNET−KVMx(登録商標)が使用されていた。本発明は、無線通信を使用して長い間存在していた上述の問題を解決することができる。
【0014】
図1に示すように、116などのローカルコンピュータは無線信号送信モジュール124を備える。ローカルコンピュータ116は、無線信号送信モジュール124を介してローカル制御信号を送信する。
【0015】
制御装置122は無線信号受信モジュール126を備える。制御装置122は、無線信号受信モジュール126を介してローカル制御信号を受信する。制御装置122は、KVMスイッチ128を介してローカル制御信号をターゲットコンピュータ102〜114へ送信し、ターゲットコンピュータ102〜114を制御する。
【0016】
無線信号送信モジュール124は、例えば一般の無線カードである。無線信号受信モジュール126は、例えば無線アクセスポイントである。本実施形態において、無線信号送信モジュール124および無線信号受信モジュール126の通信プロトコルは、例えば802.11a、802.11bまたは802.11gである。無線信号受信モジュール126(無線アクセスポイントなど)は、上述の通信プロトコルを支援することができる。これらのプロトコルは従来のものでもよく、無線信号送信モジュールは特定のハードウェアまたはプロトコルに限定されず、市販されている無線カードをローカルコンピュータ116に装着して使用してもよい。
【0017】
本実施形態では、無線信号送信モジュール124に無線信号受信機能を持たせるとともに、無線信号受信モジュール126に無線信号送信機能を持たせることにより、ローカルコンピュータ116とターゲットコンピュータ102〜114とが信号交換できるようにしてもよい。制御システム100は、複数のローカルコンピュータ116、118、120を使用して、複数のターゲットコンピュータ102〜114を同時に制御する。ローカルコンピュータ118、120は、無線信号送信モジュール130、132を使用して、ローカル制御信号を無線信号受信モジュール126へ送信する。この時、各ローカルコンピュータは、権限によりターゲットコンピュータ102〜114を制御してローカル信号の衝突を防止する。この権限を用いることにより、少なくとも一つのターゲットコンピュータの制御権を制限することができる。
【0018】
例えば、ローカルコンピュータ116がターゲットコンピュータ102、104、106を制御するとき、ローカルコンピュータ118、120は、ターゲットコンピュータ102、104、106を制御することができない。ローカルコンピュータ118、120は、リードオンリ(Read Only)方式により、ターゲットコンピュータ102、104、106の制御画像を閲覧することしかできない。つまり、ローカルコンピュータ118、120の権限は制限されているということである。
【0019】
もう一つの実施形態において、ローカルコンピュータ116はターゲットコンピュータ102のみに限定されている。ローカルコンピュータ118の制御権はターゲットコンピュータ108、110、112、114のみに限定され、ローカルコンピュータ120の権限はターゲットコンピュータ104、106のみに限定されている。このように、各ローカルコンピュータが有するターゲットコンピュータの制御権限は限定されている。このように、複数のターゲットコンピュータを制御する複数のローカルコンピュータシステムは形成されている。
【0020】
複数のターゲットコンピュータを制御するためには、情報流出を防止するための安全性に優れたネットワークが必要である。例えば、ローカルコンピュータ116が無線信号送信モジュール124を介してローカル制御信号を送信する前に、ローカルコンピュータ116によりローカル制御信号を暗号化する。制御装置122は、無線信号受信モジュール126を介してローカル制御信号を受信した後に、そのローカル信号を復号化することにより情報流出を防止する。
【0021】
ハードウェアにより複数のターゲットコンピュータを制御する長所の一つとしては、ターゲットコンピュータがクラッシュした状態を処理することができる点がある。例えば、ローカルコンピュータ116は、ターゲットコンピュータ102を強制的に終了させてから再起動させることができる。そのため、ローカルコンピュータ116はターゲットコンピュータ102を制御し続けることができる。ローカルコンピュータ116は、システムの起動画面を監視して、BIOSパラメータを変更することができる。またターゲットコンピュータ102〜114は異なる操作システムを有してもよい。
【0022】
ローカルコンピュータ116、118、120は、ブラウザをインタフェースに使用してターゲットコンピュータ102〜114を制御することができる。ローカルコンピュータ116、118、120は、特定のソフトウェアをインタフェースに使用してターゲットコンピュータ102〜114を制御することもできる。ローカルコンピュータ116、118、120がターゲットコンピュータ102〜114を制御するとき、ローカルコンピュータ116、118、120は、ローカルコンピュータ116、118、120の少なくとも一つの表示装置に表示されたメニューからターゲットコンピュータのパラメータを選択することができる。このメニューは、例えばオンスクリーンディスプレイ(On Screen Display:OSD)であり、ローカルコンピュータはこのメニューからターゲットコンピュータを選択することができる。
【0023】
図1に示すように、KVMスイッチ128を他のKVMスイッチ134へ接続することにより、ターゲットコンピュータの数を階層的に拡張することもできる。その拡張はカスケード(cascade)式拡張と呼ばれる。ターゲットコンピュータ108〜114は、KVMスイッチ134を介して制御システム100へ追加することができる。
【0024】
図2は、本発明の好適な一実施形態による制御装置を示す模式図である。図2は、図1に示す制御装置200の応用例を示すものである。制御装置200は、制御回路202および無線信号受信モジュール204を備える。制御回路202は、ローカル制御信号を受信する。図1および図2に示すように、制御装置200は制御装置122に相当する。制御回路202は、KVMスイッチ128を介してローカル制御信号をターゲットコンピュータ102〜114へ送信し、ターゲットコンピュータ102〜114を制御する。無線信号受信モジュール204は、116などの少なくとも一つのローカルコンピュータからローカル制御信号を受信し、制御回路202へローカル制御信号を送信する。複数のターゲットコンピュータ102〜114を制御する方法は、図1に示す実施形態と同様である。
【0025】
本発明は以下に述べるような長所を有し、各実施形態は一つ以上の長所を具備する。上述の説明から分かるように、本実施形態の制御システム100は、複数のターゲットコンピュータ102〜114を無線で制御することができる。制御システム100は、複数のローカルコンピュータ116、118、120を使用することにより、複数のターゲットコンピュータ102〜114を同時に制御することができる。また、制御システム100は、一般の無線カードを使用して複数のターゲットコンピュータ102〜114を制御することもできる。さらに制御システム100は、従来の無線通信プロトコルを用いて複数のターゲットコンピュータ102〜114を制御することもできる。ターゲットコンピュータ102〜114はハードウェアにより制御することができるため、ターゲットコンピュータ102〜114の内の1台がクラッシュしても、制御システム100はターゲットコンピュータを再起動させて、ローカルコンピュータとターゲットコンピュータとを再び接続させることができる。
【0026】
上述のように好適な実施形態を開示したが、これらは決して本発明を限定するものではなく、当該技術に熟知するものなら誰でも、本発明の趣旨と領域を脱しない範囲内で各種の変更や修正を加えることができる。従って本発明の保護の範囲は、特許請求の範囲で指定した内容を基準とする。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の一実施形態を示す模式図である。
【図2】本発明の一実施形態による制御装置を示す模式図である。
【符号の説明】
【0028】
100 制御システム、102、104、106、108、110、112、114 ターゲットコンピュータ、116、118、120 ローカルコンピュータ、122、200 制御装置、124、130、132 無線信号送信モジュール、126、204 無線信号受信モジュール、128、134 KVMスイッチ、202 制御回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ローカル制御信号を受信し、KVMスイッチを介して前記ローカル制御信号をターゲットコンピュータへ送信し、前記ターゲットコンピュータを制御する制御回路と、
少なくとも一つのローカルコンピュータから前記ローカル制御信号を受信し、前記制御回路へ前記ローカル制御信号を送信する無線信号受信モジュールと、
を備えることを特徴とする複数のターゲットコンピュータを遠隔制御する制御装置。
【請求項2】
前記ローカルコンピュータは無線信号送信モジュールを有し、前記無線信号送信モジュールを使用して前記ローカル制御信号を送信することを特徴とする請求項1記載の複数のターゲットコンピュータを遠隔制御する制御装置。
【請求項3】
前記無線信号送信モジュールは、無線カードであることを特徴とする請求項2記載の複数のターゲットコンピュータを遠隔制御する制御装置。
【請求項4】
前記無線信号送信モジュールは無線信号受信機能を有し、前記無線信号受信モジュールは無線信号送信機能を有し、前記ローカルコンピュータと前記ターゲットコンピュータとが信号を交換することを特徴とする請求項2記載の複数のターゲットコンピュータを遠隔制御する制御装置。
【請求項5】
前記無線信号受信モジュールは、無線アクセスポイントであることを特徴とする請求項1記載の複数のターゲットコンピュータを遠隔制御する制御装置。
【請求項6】
複数の前記ローカルコンピュータが前記ターゲットコンピュータへ同時にアクセスするとき、各前記ローカルコンピュータは権限により前記ターゲットコンピュータを制御して前記ローカル制御信号の衝突を防止することを特徴とする請求項1記載の複数のターゲットコンピュータを遠隔制御する制御装置。
【請求項7】
前記権限は、少なくとも一つの前記ターゲットコンピュータの制御権を制限することを特徴とする請求項6記載の複数のターゲットコンピュータを遠隔制御する制御装置。
【請求項8】
前記ローカルコンピュータが無線信号送信モジュールを介して前記ローカル制御信号を送信する前に、前記ローカルコンピュータは前記ローカル制御信号を暗号化し、
前記無線信号受信モジュールを介して前記ローカル制御信号を受信した後に、前記ローカル制御信号を復号化することを特徴とする請求項1記載の複数のターゲットコンピュータを遠隔制御する制御装置。
【請求項9】
前記ターゲットコンピュータの内の1台がクラッシュしたとき、前記ローカルコンピュータは前記ターゲットコンピュータをシャットダウンしてから再起動することにより、前記ローカルコンピュータが前記ターゲットコンピュータを制御し続けることを特徴とする請求項1記載の複数のターゲットコンピュータを遠隔制御する制御装置。
【請求項10】
前記ターゲットコンピュータは異なるオペレーティングシステムを有することを特徴とする請求項1記載の複数のターゲットコンピュータを遠隔制御する制御装置。
【請求項11】
前記ローカルコンピュータは、ブラウザをインタフェースとして使用し、前記ターゲットコンピュータを制御することを特徴とする請求項1記載の複数のターゲットコンピュータを遠隔制御する制御装置。
【請求項12】
前記ローカルコンピュータは、前記ローカルコンピュータの表示装置上に示されるメニューから、前記ターゲットコンピュータのパラメータを選択することを特徴とする請求項1記載の複数のターゲットコンピュータを遠隔制御する制御装置。
【請求項13】
前記KVMスイッチを別のKVMスイッチに接続することにより、前記ターゲットコンピュータの数を階層的に拡張させることを特徴とする請求項1記載の複数のターゲットコンピュータを遠隔制御する制御装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2006−72962(P2006−72962A)
【公開日】平成18年3月16日(2006.3.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−86433(P2005−86433)
【出願日】平成17年3月24日(2005.3.24)
【出願人】(504125687)宏正自動科技股▲分▼有限公司 (4)
【Fターム(参考)】