説明

複数の位置から単一の装置への無線データ送信のためのパワー設定及びプリコーディング

【課題】複数の位置から単一の装置への無線データ送信のためのパワー設定及びプリコーディングを提供する。
【解決手段】モバイル装置122は、複数の場所にあるアンテナ140からの無線伝送についてチャネル係数行列を決定し、該チャネル係数行列に基づきパワー・スケーリング・ベクトルを生成し、1又は複数のプリコーディング行列を該パワー・スケーリング・ベクトルの少なくとも一部に基づき選択する。アンテナは、1又は複数の基地局130に接続可能である。モバイル装置は、選択されたプリコーディング行列及びパワー・スケーリング・ベクトルを基地局へ送信し、該基地局に更なるデータを該選択されたプリコーディング行列及び該パワー・スケーリング・ベクトルに基づき送信させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して高速通信に関する。
【背景技術】
【0002】
多入力多出力(Multiple-input and multiple-output:MIMO)又は無線で送信機及び受信機の両方で複数のアンテナを使用することは、無線通信性能をデータ・スループット及びリンク・レンジの点で向上しうる。MIMOは、最新の無線通信規格、例えばIEEE(Institute of Electrical and Electronics Engineers)802.11n(Wi-Fi)、3GPP(3rd generation partnership project)LTE(Long Term Evolution)、HSPA+(Evolved High-Speed Packet Access)、IEEE802.16(Worldwide Interoperability for Microwave Access:WiMAX)等の重要な一部である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、複数の位置から単一の装置への無線データ送信のためのパワー設定及びプリコーディングを提供する。
【図面の簡単な説明】
【0004】
【図1】モバイル装置の例であるネットワーク環境を示す。
【図2】モバイル装置とセルラ・ネットワークとの間の多地点対単一点の無線接続の例を示す。
【図3】合同パワー設定及びプリコーディングの例である方法を示す。
【図4】コンピュータ・システムの例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0005】
図1は、モバイル装置の例であるネットワーク環境を示す。ネットワーク・クラウド121は、一般的にネットワーク又はネットワークの集合(例えば、インターネット、企業イントラネット、仮想私設ネットワーク、ローカル・エリア・ネットワーク、無線ローカル・エリア・ネットワーク、セルラ・ネットワーク、広域ネットワーク、都市域ネットワーク、又はこれらのネットワークの2以上の組合せ等)を表し、ネットワーク・クラウド121を介してモバイル装置122がネットワーク・クラウド121に接続された他の装置と通信してもよい。
【0006】
モバイル装置122は、一般的にポータブル・コンピュータ又はコンピュータ装置であり、ネットワークを介して通信する(例えば遠隔で)機能を有する。例えば、モバイル装置122は、携帯電話機、タブレット・コンピュータ、ラップトップ・コンピュータ、ハンドヘルド・ゲーム端末、電子書籍リーダ、又は如何なる他の適切なポータブル機器であってもよい。モバイル装置122は、1又は複数のクライアント・アプリケーション、例えばウェブ・ブラウザ(例えば、Microsoft Windows(登録商標) Internet Explorer、Mozilla Firefox、Apple Safari、Google Chrome、Opera等)又は特定用途のクライアント・アプリケーション(例えば、Microsoft Outlook、Facebook for iPhone等)を実行し、ネットワーク・クラウド121に接続された他の装置から送信されたコンテンツ及びメッセージにアクセス及びそれらを閲覧してもよい。
【0007】
モバイル装置122は、ネットワーク・クラウド121に、セルラ・ネットワーク(例えば、Global System for Mobile Communications:GSMネットワーク、Code Division Multiple Access:CDMAネットワーク、LTEネットワーク、又はこれらのネットワークの2以上の組合せ)の1又は複数の基地局130を介して接続されてもよい。基地局130は、3G(3rd generation)セルラ・ネットワーク(例えば、Universal Mobile Telecommunications System:UMTSネットワーク)ではNodeBと、又はLTE(Long Term Evolution)ネットワークではeNB(evolved NB)と表されうる。モバイル装置122は、セルラ・ネットワークではユーザ機器(UE)と表される。基地局は1又は複数のRRH(remote radio head)132に接続され、各RRHは1又は複数のアンテナ140を有する。例えば、基地局に接続されたRRHは、基地局から離れていて、基地局の無線カバレッジを拡張しうる。例えば、RRHは基地局に1又は複数の光ファイバ・ケーブルを介して接続されうる。基地局は、X2インタフェースに基づく別の基地局と通信してもよい。これは、高スループット且つ短い待ち時間の接続で実施されうる(例えば、ギガビット・イーサネット(登録商標)・ローカル・エリア・ネットワーク)。モバイル装置122は、無線で基地局と、モバイル装置122の1又は複数のアンテナ124と該基地局に接続された1又は複数のRRHの1又は複数のアンテナ140との間の無線伝送を介して、通信してもよい。以下では、DL(ダウンリンク)を基地局130(又はRRH132)からモバイル装置122への無線データ伝送の方向とする。以下では、UL(アップリンク)をモバイル装置122から基地局130(又はRRH132)への無線データ伝送の方向とする。
【0008】
モバイル装置122とセルラ・ネットワークとの間の無線接続は、シングルポイント・ツー・シングルポイントでありうる。つまり、UL及びDL伝送は(図1の矢印160により示されるように)、モバイル装置122の1又は複数のアンテナ124と、同じ場所(例えば、図1に示されたRRHの場所)にある1又は複数のアンテナ140との間である。代替として、モバイル装置122とセルラ・ネットワークとの間の無線接続は、マルチポイント・ツー・シングルポイントであり、協調マルチポイント(coordinated multi-point)処理の使用に基づきうる。CoMPは、一種のMIMO無線伝送であり、複数の送信アンテナが複数の地理的に離れた場所に設置される。図2は、図1に示されたようなモバイル装置とセルラ・ネットワークとの間のマルチポイント・ツー・シングルポイントの無線接続の例を示す。図2の例では、UL及びDL伝送は(矢印165により示されるように)複数の場所にあるアンテナ140とモバイル装置122の1又は複数のアンテナ124との間である。ここで、複数の場所からモバイル装置122へのDL伝送は、関連する基地局及びRRH間で前述のX2インタフェース及び光ファイバ・ケーブルを介して調整されうる。同様に、モバイル装置122から複数の場所へのUL伝送は、関連する基地局及びRRH間で前述のX2インタフェース及び光ファイバ・ケーブルを介して調整されうる。
【0009】
DL CoMPでは、UE向けのデータは複数の地理的に離れた地点で利用可能である。データは、UEへ同時に、複数の送信地点間で調整されて伝送されうる。複数の送信地点間の調整は、本願明細書に記載されるように、プリコーディング技術を用いることにより、ビーム形成(例えば、信号を特定方向に向ける)を可能にしうる。特定の実施形態では、モバイル装置(例えば、携帯電話機)は、セルラ・ネットワーク(例えば、LTEネットワーク)に1又は複数の基地局を介して接続されてもよい。特定の実施形態は、如何なる適切なセルラ・ネットワークをも包含する。特定の実施形態では、1又は複数の基地局からモバイル装置へのDL無線伝送は、複数の場所にあるTX(送信)アンテナとモバイル装置の1又は複数のRX(受信)アンテナとの間であってもよい。特定の実施形態では、複数の場所のそれぞれにある1又は複数のTXアンテナは、1又は複数の基地局のうちの1つに動作可能に接続されてもよい。例えば、DL無線伝送は、複数の地理的に離れたRRHの内のそれぞれの個々のTXアンテナとモバイル装置のRXアンテナとの間であってもよい。
【0010】
1又は複数のRXアンテナにおける受信無線信号の強度(例えば、振幅)は、TXアンテナとRXアンテナとの間の通信チャネル(又はDL無線伝送のための媒体)に依存してもよい。より詳細には、1又は複数のRXアンテナにおける受信無線信号は、L個の場所にあるML個のTXアンテナ(つまり、各場所にM個のTXアンテナがある)とN個のRXアンテナとの間の第1の伝送により次のように表されてもよい。
【数1】

【0011】
例えば、図2には、2個のTXアンテナが3個のTXの場所(3個の地理的に離れたRRH)のそれぞれにあり、及び2個のRXアンテナが(モバイル装置122に)ある。上述の第1の伝送モデルでは、Rは1又は複数のRXアンテナにおける受信無線信号の振幅である。Vは1又は複数のRXアンテナにおける雑音ベクトルである。Sは、長さTの基準シンボル又はデータ(TXアンテナから1又は複数のRXアンテナへ伝送される)である。HN×MLは、大きさN×MLの連結チャネル係数行列である。FML×Tはプリコーディング行列である。プリコーディング行列は、ビーム形成の目的で、送信前にデータ(例えば、基準シンボルS)を変更するために用いられうる。より詳細には、次の通りである。
【数2】

【0012】
上述の第1の伝送モデルでは、H又はHN×Mは、i番目の場所からUEまでのDLパス(i番目のRRHのM個のTXアンテナとUEのN個のRXアンテナとの間)のチャネル係数行列である。各チャネル係数hkjは、j番目のTXアンテナとk番目のRXアンテナとの間の通信媒体を表す。チャネル係数行列は、通信チャネルのチャネル状態情報を表す。特定の実施形態は、通信チャネルのチャネル状態情報の如何なる適切な表現も包含する。HN×MLは、全てのDLパスのチャネル係数行列の連結である。Fは、i番目の場所にあるTXアンテナのプリコーディング行列である。
【0013】
通常、簡単のため、通信チャネルは、TXアンテナとRXアンテナとの間で伝送される無線信号の伝搬環境の1種類の統計モデルに基づきモデル化される。例えば、チャネルは、レーリー減衰モデルに基づきモデル化されうる。レーリー減衰モデルは、建築物の密集した都市域(例えば、マンハッタン、ニューヨーク)を厳密にモデル化できる。更に、RRHにある任意のTXアンテナとUEにある任意のRXアンテナとの間のチャネルの大規模減衰(パスロス及びシャドウイングを含む)は、同一であると仮定できる。つまり、TX及びRXアンテナの異なる対の間のチャネル係数は、同一のパスロス及びシャドウ減衰効果を有しうる。セルラ・ネットワークのオペレータは、所定のプリコーディング行列のセット、コードブックとも称される、を上述の簡略化されたチャネル・モデルに基づき選択でき、該コードブックを1又は複数の基地局のそれぞれの1又は複数の記憶装置に及びセルラ・ネットワークのUEにある任意の1又は複数のローカル記憶装置に格納できる。特定の実施形態では、1又は複数の基地局は、複数の場所にあるTXアンテナに、基準信号(例えばS)をFML×Tにより変更してモバイル装置へ送信させ、モバイル装置に受信信号R(つまり、受信された基準信号)の振幅を決定させる。特定の実施形態では、モバイル装置は、1又は複数のRXアンテナにおける雑音レベル(例えばV)を決定してもよい。特定の実施形態では、モバイル装置は、連結チャネル係数行列HN×MLを受信信号R及び雑音レベルVに基づき決定してもよい。特定の実施形態では、モバイル装置は、第1の伝送モデルに基づき、特定のプリコーディング行列をコードブックから選択し、TXアンテナと1又は複数のRXアンテナとの間の空間チャネル容量を最適化してもよい。特定の実施形態では、モバイル装置は、選択(例えば、選択されたプリコーディング行列又はPMIへのインデックス)を1又は複数の基地局へ送信してもよい。例えば、モバイル装置は、選択を1又は複数の基地局うちの少なくとも1つへ送信し、該少なくとも1つの基地局に該選択を該1又は複数の基地局のうちの残りの基地局へ送信させてもよい。選択されたプリコーディング行列へのインデックスを送信することにより(選択されたプリコーディング行列自体ではなく)、モバイル装置はUL伝送のデータ負荷を低減してもよい。例えば、16個の所定のプリコーディング行列がコードブック内にある場合、モバイル装置は、多くのバイト数のデータを必要としうる選択されたプリコーディング行列自体ではなく、4ビットのデータのみを1又は複数の基地局へ送信すればよい。特定の実施形態では、1又は複数の基地局は、更なるデータをモバイル装置へ、選択されたプリコーディング行列に基づき(例えば、更なるデータを選択されたプリコーディング行列で送信前に変更して)送信してもよい。
【0014】
しかしながら、上述の(レーリー・モデルに基づく)簡略化されたチャネル・モデルは、想定と異なる伝搬環境で空間チャネル容量を最適化するには困難がある。上述の簡略化されたチャネル・モデルはまた、異なるDL伝送パス(例えば、図2に示されたような)が異なるパスロス及びシャドウ減衰効果を有する場合に、空間チャネル容量を最適化するにも困難がありうる。このような場合は、TXアンテナが異なる場所にある場合に起こり得る。一方で、セルラ・ネットワークの全てのUEに対して1つのコードブックを有することが望ましい(UEにある任意の複雑性を低減するために)。本願明細書の特定の実施形態は、異なるDL伝送パス間の(つまり、TX及びRXアンテナの異なる対の間の)異種のパスロス及びシャドウ減衰効果を補償することにより、空間チャネル容量を最適化する方法を記載する。特定の実施形態は、異なる場所にあるTXアンテナのDL伝送パワーを調整することにより、空間チャネル容量を最適化できる。
【0015】
特定の実施形態は、L個の場所にあるML個のTXアンテナ(つまり、各場所にM個のTXアンテナがある)とN個のRXアンテナとの間の次のような第2の伝送モデルに基づきうる。
【数3】

【0016】
上述の第2の伝送モデルでは、Rは1又は複数のRXアンテナにおける受信無線信号である。Vは1又は複数のRXアンテナにおける雑音ベクトルである。Sは、長さTの基準シンボル又はデータ(TXアンテナからRXアンテナへ伝送される)である。FML×Tは、第1の伝送モデルのコードブックに基づくプリコーディング行列である。つまり、第2の伝送モデルは、第1の伝送モデルのコードブックを再利用できる。第2の伝送モデルは、更に次のパワー・スケーリング・ベクトルAを定める。
【数4】

ここで、E()は期待値であり、‖ ‖は行列のFrobeniusノルムである。
【0017】
0番目の場所がL個の場所のTXアンテナの中で最も強い対応する受信信号を有すると仮定すると、L個の場所のうちのi番目の場所のそれぞれで、aはi番目の場所と0番目の場所(最強の対応する受信信号を有する場所)との間の信号強度の比である。例えば、Hiは、i番目の場所からモバイル装置へのDLパスの第1の伝送モデルにより決定されうる。例えば、aは、チャネル係数行列HのFrobeniusノルムの期待値により計算されるような振幅の信号強度比でありうる。特定の実施形態は、如何なる適切な受信信号強度の測定値をも包含する。
【0018】
第2の伝送モデルは、連結チャネル係数行列HN×ML(第1の伝送モデルにより決定されたような)をパワー・スケーリング・ベクトルAにより調整しうる。
【数5】

【0019】
つまり、第2の伝送モデルは、パワー・スケーリング・ベクトルaを用いて、DLパス間のパスロス及びシャドウ減衰効果の相違を補償できる。L個のDLパスの間のパスロス及びシャドウ減衰効果は、パワー・スケーリング・ベクトルAで等しくされうる。
【0020】
上述の第1及び第2の伝送モデルに基づき、特定の実施形態では、1又は複数の基地局は、TXアンテナに、基準信号(例えばS)をプリコーディング行列FML×Tにより変更して、モバイル装置へ送信させ、モバイル装置に受信信号R(つまり、受信された基準信号)の振幅を決定させる。特定の実施形態では、モバイル装置は、1又は複数のRXアンテナにおける雑音レベルVを決定してもよい。特定の実施形態では、モバイル装置は、連結チャネル係数行列HN×MLを受信信号R及びプリコーディング行列FML×Tに基づき(第1の伝送モデルを用いることにより)決定してもよい。特定の実施形態では、モバイル装置は、パワー・スケーリング・ベクトルAを、複数の場所からモバイル装置へのDLパスの第1のチャネル係数行列に基づき計算してもよい。特定の実施形態では、モバイル装置は、第2の連結チャネル係数行列H’N×MLを、第1の連結チャネル係数行列HN×MLをパワー・スケーリング・ベクトルAで変更することにより、計算してもよい。つまり、第2の連結チャネル係数行列は、等しいパスロス及びシャドウ減衰効果を有し、パワー・スケーリング・ベクトルAにより調整された、L個のDLパスを表す。
【0021】
特定の実施形態では、モバイル装置は、j番目の場所のためのプリコーディング行列の選択(又はPMIインデックスk)を次式に基づき決定してもよい。
【数7】

ここで、σmin(Y)は行列Yの特異値であり、最小測定基準(絶対値)を有する。
【数8】

はコードブックである。Fは、j番目の場所で以前に用いられたプリコーディング行列である。
【0022】
複数の場所のうちの各場所におけるアンテナのTX伝送パワーが所定のステップで調整される(例えば、1dBのステップで)場合、モバイル装置はPMIインデックスkを、Aを量子化したものQ(A)に基づき決定してもよい。Q(.)はTXパワー調整ステップに関して行われうる。例えば、モバイル装置は量子化されたQ(A)を多数の調整ステップで(公称値から)決定してもよい。例えば、量子化されたQ(A)は、各場所について1バイトのデータで表現されうる。一方でパワー・スケーリング・ベクトルAの本当の値は各場所について多数のデータ・バイトを必要としうる。特定の実施形態では、次に示す量子化されたパワー・スケーリング・ベクトルが用いられ、
【数9】

次のように連結チャネル係数行列を調整しうる。
【数10】

一方で、PMIインデックスkは量子化された調整済みの連結チャネル係数行列に基づき次のように決定されうる。
【数11】

【0023】
特定の実施形態では、モバイル装置は、選択(例えば、PMIインデックス)及びパワー・スケーリング・ベクトルを1又は複数の基地局へ送信してもよい。例えば、モバイル装置は、選択及びパワー・スケーリング・ベクトルを1又は複数の基地局のうちの少なくとも1つへ送信し、該少なくとも1つの基地局に該選択及びパワー・スケーリング・ベクトルを該1又は複数の基地局のうちの残りの基地局へ送信させてもよい。例えば、少なくとも1つの基地局は、モバイル装置との最強の接続を有する基地局、例えば上述の0番目の場所に接続された基地局でありうる。特定の実施形態では、モバイル装置は、量子化されたパワー・スケーリング・ベクトルを1又は複数の基地局へ送信してもよい。ここで、量子化されたパワー・スケーリング・ベクトルは前述のように少ないデータ負荷しか必要としなくてもよい。特定の実施形態では、1又は複数の基地局は、更なるデータをモバイル装置へ、選択されたプリコーディング行列及びパワー・スケーリング・ベクトルに基づき送信してもよい。例えば、1又は複数の基地局は、データを選択されたプリコーディング行列で送信前に変更してもよく、複数の場所のうちのそれぞれにある1又は複数のアンテナに、送信パワーを個々のパワー・スケーリング・ベクトルに基づき調整させてもよい。
【0024】
図3は、合同パワー設定及びプリコーディングの例である方法を示す。特定の実施形態では、モバイル装置は、無線伝送を複数の場所のそれぞれにある1又は複数のアンテナから受信してもよい。該アンテナは、1又は複数の基地局に動作可能に接続されている。特定の実施形態では、モバイル装置は、個々のチャネル係数行列を、複数の場所のそれぞれにあるアンテナからの無線伝送について決定してもよい(301)。つまり、各チャネル係数行列は、複数の場所のうちの1つにあるアンテナからモバイル装置へのDLパスに対応する。特定の実施形態では、モバイル装置はパワー・スケーリング・ベクトルをチャネル係数行列に基づき生成してもよい(302)。例えば、モバイル装置は、パワー・スケーリング・ベクトルを、複数の場所からのDLパス同士の受信信号強度の相対比に基づき生成してもよい。特定の実施形態では、モバイル装置は1又は複数のプリコーディング行列を、パワー・スケーリング・ベクトルの少なくとも一部に基づき選択してもよい(303)。特定の実施形態では、モバイル装置は、選択されたプリコーディング行列及びパワー・スケーリング・ベクトルを、1又は複数の基地局へ送信してもよく、該1又は複数の基地局に更なるデータを該選択されたプリコーディング行列及び該パワー・スケーリング・ベクトルに基づき送信させてもよい(304)。特定の実施形態は、必要に応じて図3の方法の段階を繰り返してもよい。更に、本開示は図3の方法の特定の段階を特定の順序で生じるとして記載し説明したが、本開示は図3の方法の如何なる適切な段階が如何なる適切な順序で生じるものも包含する。更に、本開示は特定の構成要素、装置又はシステムが図3の方法の特定の段階を実行するとして記載し説明したが、本開示は如何なる適切な構成要素、装置又はシステムの如何なる組合せであって図3の方法の如何なる適切な段階を実行するものも包含する。
【0025】
図4は、本発明の特定の実施形態とともに用いられてもよい例であるコンピュータ・システム800を図示する。本開示は、如何なる適切な数のコンピュータ・システム800も包含する。本開示は、如何なる適切な物理形式のコンピュータ・システム800も包含する。例として且つ限定的でなく、コンピュータ・システム800は、組み込み型コンピュータ・システム、システム・オン・チップ(SOC)、デスクトップ・コンピュータ・システム、モバイル・コンピュータ・システム、ゲーム端末、メインフレーム、メッシュ型コンピュータ・システム、サーバ、又はこれらの2以上の組み合わせであってもよい。適切な場合には、コンピュータ・システム800は、1又は複数のコンピュータ・システム800を有し、中央集中型若しくは分散型であってよく、複数の場所に渡ってよく、複数の装置に渡ってよく、1又は複数のネットワーク内の1又は複数の集団コンポーネントを有する集団の中に存在してもよい。適切な場合には、1又は複数のコンピュータ・システム800は、本願明細書に記載された1又は複数の方法の1又は複数の段階を実質的に空間的又は時間的制限なしに実行してもよい。例として且つ限定的でなく、1又は複数のコンピュータ・システム800は、本願明細書に記載された1又は複数の方法の1又は複数の段階を実時間で又はバッチ・モードで実行してもよい。1又は複数のコンピュータ・システム800は、適切な場合には、本願明細書に記載された1又は複数の方法の1又は複数の段階を異なる時間に又は異なる場所で実行してもよい。
【0026】
特定の実施形態では、コンピュータ・システム800は、プロセッサ802、メモリ804、記憶装置806、入力/出力(I/O)インタフェース808、通信インタフェース810及びバス812を有する。特定の実施形態では、プロセッサ802は、命令、例えばコンピュータ・プログラムを構成する命令を実行するハードウェアを有する。例として且つ限定的でなく、命令を実行するために、プロセッサ802は、命令を内部レジスタ、内部キャッシュ、メモリ804又は記憶装置806から読み出し(又はフェッチし)、該命令をデコードして実行し、次に1又は複数の結果を内部レジスタ、内部キャッシュ、メモリ804又は記憶装置806に書き込んでよい。特定の実施形態では、プロセッサ802は、データ、命令又はアドレスのために1又は複数の内部キャッシュを有してもよい。特定の実施形態では、メモリ804はプロセッサ802のために実行されるべき命令又はプロセッサ802のために処理されるべきデータを格納する主メモリを有する。例として且つ限定的でなく、コンピュータ・システム800は、記憶装置806からメモリ804へ命令をロードしてもよい。プロセッサ802は、次に、命令をメモリ804から内部レジスタ又は内部キャッシュへロードしてもよい。命令を実行するために、プロセッサ802は、命令を内部レジスタ又は内部キャッシュから読み出し、該命令をデコードする。命令の実行後又は実行中、プロセッサ802は、1又は複数の結果を内部レジスタ又は内部キャッシュに書き込んでよい。プロセッサ802は、次に、1又は複数の結果をメモリ804に書き込んでよい。1又は複数のバス(それぞれアドレス・バス及びデータ・バスを有してもよい)は、プロセッサ802をメモリ804に結合してよい。バス812は、以下に説明するように1又は複数のメモリ・バスを有してよい。特定の実施形態では、1又は複数のメモリ管理部(MMU)は、プロセッサ802とメモリ804との間に存在し、プロセッサ802により要求されたメモリ804へのアクセスを実現する。特定の実施形態では、メモリ804は、ランダム・アクセス・メモリ(RAM)であってもよい。このRAMは、適切な場合には揮発性メモリであってよい。適切な場合には、このRAMはダイナミックRAM(DRAM)又はスタティックRAM(SRAM)であってもよい。
【0027】
特定の実施形態では、記憶装置806はデータ又は命令のための大容量記憶装置を有する。例として且つ限定的でなく、記憶装置806は、HDD、プロッピー・ディスク・ドライブ、フラッシュ・メモリ、光ディスク、光磁気ディスク、磁気テープ、又はユニバーサル・シリアル・バス(USB)ドライブ、又はこれらの2以上の組み合わせを有してもよい。記憶装置806は、適切な場合には取り外し可能な又は取り外し不可能な(又は固定の)媒体を有してもよい。記憶装置806は、適切な場合にはコンピュータ・システム800に内蔵又は外付けであってよい。特定の実施形態では、記憶装置806は不揮発性、固体メモリである。特定の実施形態では、記憶装置806は、読み出し専用メモリ(ROM)を有する。適切な場合には、このROMは、マスク・プログラムROM、プロブラマブルROM(PROM)、消去可能なPROM(EPROM)若しくはフラッシュ・メモリ又はこれらの2以上の組み合わせであってもよい。
【0028】
特定の実施形態では、I/Oインタフェース808は、コンピュータ・システム800と1又は複数のI/O装置との間の通信のための1又は複数のインタフェースを提供するハードウェア、ソフトウェア又はこれらの両方を有する。コンピュータ・システム800は、適切な場合には、1又は複数のこれらのI/O装置を有してもよい。1又は複数のこれらのI/O装置は、人とコンピュータ・システム800との間の通信を可能にしうる。例として且つ限定的でなく、I/O装置は、キーボード、マイクロホン、ディスプレイ、タッチ・スクリーン、マウス、スピーカ、カメラ、他の適切なI/O装置又はこれらの2つ以上の組み合わせを有してもよい。I/O装置は1又は複数のセンサを有してもよい。本開示は如何なる適切なI/O装置及びそのための如何なる適切なI/Oインタフェース808も包含する。適切な場合には、I/Oインタフェース808は1又は複数の装置又はソフトウェア・ドライバを有し、プロセッサ802にこれらのI/O装置のうちの1又は複数を駆動させてもよい。I/Oインタフェース808は、適切な場合には、1又は複数のI/Oインタフェース808を有してもよい。本願明細書は特定のI/Oインタフェースを記載し説明したが、本開示は如何なる適切なI/Oインタフェースも包含する。
【0029】
特定の実施形態では、通信インタフェース810は、コンピュータ・システム800と1又は複数のコンピュータ・システム800又は1又は複数のネットワークとの間の通信(例えば、パケットベースの通信のような)のための1又は複数のインタフェースを提供するハードウェア、ソフトウェア又はこれらの両方を有する。例として且つ限定的でなく、通信インタフェース810は、イーサネット又は他の有線ネットワークと通信するためのネットワーク・インタフェース制御部(NIC)、又は無線ネットワーク、例えばWI−FIネットワークと通信するための無線NIC(WNIC)を有してもよい。本開示は如何なる適切なネットワーク及びそのための如何なる適切な通信インタフェース810も包含する。例として且つ限定的でなく、コンピュータ・システム800は、アドホック・ネットワーク、個人域ネットワーク(PAN)、ローカル・エリア・ネットワーク(LAN)、広域ネットワーク(WAN)、都市域ネットワーク(MAN)、又はインターネットの1又は複数の部分又はこれらの2つ以上の組み合わせと通信してもよい。1又は複数のこれらのネットワークの1又は複数の部分は、有線又は無線であってもよい。例として、コンピュータ・システム800は、無線PAN(WPAN)(例えばBluetooth(登録商標) WPAN)、WI−FIネットワーク(例えば、802.11a/b/g/n WI−FIネットワーク)、Wi−MAXネットワーク、セルラ・ネットワーク(例えば、GSM(登録商標)(Global System for Mobile Communications)ネットワーク、LTE(Long Term Evolution)ネットワーク)若しくは他の適切な無線ネットワーク又はこれらの2つ以上の組み合わせと通信してもよい。
【0030】
特定の実施形態では、バス812は、コンピュータ・システム800のコンポーネントを相互に結合するハードウェア、ソフトウェア又は両方を有する。例として且つ限定的でなく、バス812は、AGP(Accelerated Graphics Port)又は他のグラフィック・バス、EISA(Enhanced Industry Standard Architecture)バス、FSB(front-side bus)、HYPERTRANSPORT(HT)相互接続、INFINIBAND相互接続、LPC(low-pin-count)バス、メモリ・バス、PCI-Express(Peripheral Component Interconnect Express)バス、SATA(serial advanced technology attachment)バス、I2C(Inter-IntegratedCircuit)バス、SD(Secure Digital)メモリ・インタフェース、SDIO(Secure Digital Input Output)、USB(Universal Serial Bus)、GPIO(General Purpose Input/Output)バス若しくは他の適切なバス又はこれらの2つ以上の組み合わせを有してもよい。バス812は、適切な場合には1又は複数のバス812を有してもよい。
【0031】
本願明細書では、コンピュータ可読非一時的記憶への参照は、適切な場合には、半導体に基づく又は他の集積回路(IC)(例えば、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA)又は特定用途向け集積回路(ASIC))、ハードディスク・ドライブ(HDD)、ハイブリッド・ハードドライブ(HHD)、光ディスク、光ディスク・ドライブ(ODD)、光磁気ディスク、光磁気ドライブ、フロッピー(登録商標)・ディスク、フロッピー・ディスク・ドライブ(FDD)、磁気テープ、ホログラフィック記憶媒体、固体ドライブ(SSD)、RAMドライブ、SECURE DIGITALカード、SECURE DIGITALドライブ若しくは他の適切なコンピュータ可読非一時的記憶媒体、又はこれらの2つ以上の組み合わせを有してもよい。コンピュータ可読非一時的記憶媒体は、適切な場合には、揮発性、不揮発性又は揮発性と不揮発性との組合せであってもよい。
【0032】
本願明細書で、「又は」は、他に明示的に示されない限り又は文脈上特に示されない限り、包括的であり、排他的ではない。従って、本願明細書では、特に明示的に示されない限り又は文脈上別に示されない限り、「A又はB」は「A、B、又は両方」を意味する。更に、「及び」は、他に明示的に示されない限り又は文脈上特に示されない限り、結合及び幾つかの両方である。従って、本願明細書では、特に明示的に示されない限り又は文脈上別に示されない限り、「A及びB」は「A及びB、一緒に又は別々に」を意味する。
【0033】
本開示は、当業者が考え得る、本願明細書に記載された例である実施形態の全ての変更、代替、変形、選択肢、及び修正を包含する。更に、特定の機能を実行するよう、適応され、配置され、可能にされ、構成され、実行可能なように、動作可能なように、又は機能するようにされた装置又はシステム又は採用されている装置若しくはシステムの構成要素への添付の特許請求の範囲中の参照は、それ又は該特定の機能が作動され、オンに切り替えられ、又は解除されているか否かに拘わらず、該装置、システム又は構成要素がそのように適応され、配置され、可能にされ、構成され、使用可能にされ、動作可能にされ又は機能するようにされている限り、該装置、システム、構成要素を包含する。
【0034】
[関連出願]
本出願は、35U.S.C§119(e)に基づき2011年1月14日出願の米国仮出願番号61/433,024号、名称「Joint TX Power Setting and Precoding for LTE-A CoMP」に基づく優先権を主張するものであり、該米国仮出願の全内容を本出願に援用する。
【0035】
以上の実施形態に関し、更に以下の付記を開示する。
(付記1) モバイル装置により、
複数の場所のそれぞれで1又は複数のアンテナから受信された無線伝送について個々のチャネル係数行列を決定する段階であって、該複数の場所にある該アンテナは1又は複数の基地局に動作可能に接続されている、段階、
前記チャネル係数行列に基づきパワー・スケーリング・ベクトルを生成する段階、
前記パワー・スケーリング・ベクトルの少なくとも一部に基づき、1又は複数のプリコーディング行列を選択する段階、
前記選択されたプリコーディング行列及び前記パワー・スケーリング・ベクトルを前記1又は複数の基地局へ送信する段階であって、該1又は複数の基地局に前記選択されたプリコーディング行列及び前記パワー・スケーリング・ベクトルに基づき更なるデータを送信させる、段階、
を有する方法。
(付記2) 前記チャネル係数行列に基づきパワー・スケーリング・ベクトルを生成する段階は、前記パワー・スケーリング・ベクトルを量子化する段階を更に有する、
ことを特徴とする付記1に記載の方法。
(付記3) 前記パワー・スケーリング・ベクトルを生成する段階は、前記チャネル係数行列のそれぞれのFrobeniusノルムの決定に更に基づく、
ことを特徴とする付記1に記載の方法。
(付記4) 前記選択されたプリコーディング行列及び前記パワー・スケーリング・ベクトルを前記1又は複数の基地局へ送信する段階は、
前記選択されたプリコーディング行列及び前記パワー・スケーリング・ベクトルを前記1又は複数の基地局のうちの少なくとも1つへ送信する段階であって、該少なくとも1つの基地局に前記選択されたプリコーディング行列及び前記パワー・スケーリング・ベクトルを前記1又は複数の基地局のうちの残りの基地局へ送信させる、段階、
を有する、
ことを特徴とする付記1に記載の方法。
(付記5) 前記1又は複数の基地局に前記選択されたプリコーディング行列及び前記パワー・スケーリング・ベクトルに基づき更なるデータを送信させることは、
前記1又は複数の基地局に前記更なるデータを前記個々の選択されたプリコーディング行列で送信前に変更させる段階、
前記複数の場所にある前記アンテナに、個々の前記パワー・スケーリング・ベクトルの値に基づき送信パワーを調整させる段階、
を有する、
ことを特徴とする付記1に記載の方法。
(付記6) ソフトウェアを具現化する1又は複数のコンピュータ可読非一時的記憶媒体であって、該ソフトウェアは、実行されると、
複数の場所のそれぞれにある1又は複数のアンテナから受信された無線伝送について個々のチャネル係数行列を決定し、該複数の場所にある該アンテナは1又は複数の基地局に動作可能に接続されており、
前記チャネル係数行列に基づき、パワー・スケーリング・ベクトルを生成し、
前記パワー・スケーリング・ベクトルの少なくとも一部に基づき、1又は複数のプリコーディング行列を選択し、
前記選択されたプリコーディング行列及び前記パワー・スケーリング・ベクトルを前記1又は複数の基地局へ送信し、該1又は複数の基地局に前記選択されたプリコーディング行列及び前記パワー・スケーリング・ベクトルに基づき更なるデータを送信させる、
ことを特徴とする媒体。
(付記7) 前記チャネル係数行列に基づきパワー・スケーリング・ベクトルを生成するために、前記ソフトウェアは、更に、
前記パワー・スケーリング・ベクトルを量子化する、
ことを特徴とする付記6に記載の媒体。
(付記8) パワー・スケーリング・ベクトルを生成することは、前記チャネル係数行列のそれぞれのFrobeniusノルムの決定に更に基づく、
ことを特徴とする付記6に記載の媒体。
(付記9) 前記選択されたプリコーディング行列及び前記パワー・スケーリング・ベクトルを前記1又は複数の基地局へ送信するために、前記ソフトウェアは、
前記選択されたプリコーディング行列及び前記パワー・スケーリング・ベクトルを前記1又は複数の基地局のうちの少なくとも1つへ送信し、該少なくとも1つの基地局に前記選択されたプリコーディング行列及び前記パワー・スケーリング・ベクトルを前記1又は複数の基地局のうちの残りの基地局へ送信させる、
ことを特徴とする付記6に記載の媒体。
(付記10) 前記1又は複数の基地局に前記選択されたプリコーディング行列及び前記パワー・スケーリング・ベクトルに基づき更なるデータを送信させるために、前記ソフトウェアは、
前記1又は複数の基地局に前記更なるデータを前記個々の選択されたプリコーディング行列で送信前に変更させ、
前記複数の場所にある前記アンテナに、個々の前記パワー・スケーリング・ベクトルの値に基づき送信パワーを調整させる、
ことを特徴とする付記6に記載の媒体。
(付記11) 1又は複数のメイン・プロセッサ、
1又は複数の通信インタフェース、
命令を具現化する1又は複数のコンピュータ可読非一時的記憶媒体、
を有し、
前記命令は、実行されると、1又は複数の前記プロセッサに、
複数の場所のそれぞれにある1又は複数のアンテナから受信された無線伝送について個々のチャネル係数行列を決定し、該複数の場所にある該アンテナは1又は複数の基地局に動作可能に接続されており、
前記チャネル係数行列に基づき、パワー・スケーリング・ベクトルを生成し、
前記パワー・スケーリング・ベクトルの少なくとも一部に基づき、1又は複数のプリコーディング行列を選択し、
前記選択されたプリコーディング行列及び前記パワー・スケーリング・ベクトルを前記1又は複数の基地局へ送信し、該1又は複数の基地局に前記選択されたプリコーディング行列及び前記パワー・スケーリング・ベクトルに基づき更なるデータを送信させる、
ことを特徴とする装置。
(付記12) 前記チャネル係数行列に基づきパワー・スケーリング・ベクトルを生成するために、前記命令は、更に、実行されると、1又は複数の前記プロセッサに、前記パワー・スケーリング・ベクトルを量子化させる、
ことを特徴とする付記11に記載の装置。
(付記13) パワー・スケーリング・ベクトルを生成することは、前記チャネル係数行列のそれぞれのFrobeniusノルムの決定に更に基づく、
ことを特徴とする付記11に記載の装置。
(付記14) 前記選択されたプリコーディング行列及び前記パワー・スケーリング・ベクトルを前記1又は複数の基地局へ送信するために、前記命令は、実行されると、1又は複数の前記プロセッサに、
前記選択されたプリコーディング行列及び前記パワー・スケーリング・ベクトルを前記1又は複数の基地局のうちの少なくとも1つへ送信し、該少なくとも1つの基地局に前記選択されたプリコーディング行列及び前記パワー・スケーリング・ベクトルを前記1又は複数の基地局のうちの残りの基地局へ送信させる、
ことを特徴とする付記11に記載の装置。
(付記15) 前記1又は複数の基地局に前記選択されたプリコーディング行列及び前記パワー・スケーリング・ベクトルに基づき更なるデータを送信させるために、前記命令は、実行されると、1又は複数の前記プロセッサに、
前記1又は複数の基地局に前記更なるデータを前記個々の選択されたプリコーディング行列で送信前に変更させ、
前記複数の場所にある前記アンテナに、個々の前記パワー・スケーリング・ベクトルの値に基づき送信パワーを調整させる、
ことを特徴とする付記11に記載の装置。
(付記16) 1又は複数の前記通信インタフェースは、LTEネットワークに接続する、
ことを特徴とする付記11に記載の装置。
【符号の説明】
【0036】
121 ネットワーク・クラウド
122 モバイル装置
124、140 アンテナ
130 基地局
132 RRH
160、165 UL、DL
800 コンピュータ・システム
802 プロセッサ
804 メモリ
806 記憶装置
808 I/Oインタフェース
810 通信インタフェース

【特許請求の範囲】
【請求項1】
モバイル装置により、
複数の場所のそれぞれで1又は複数のアンテナから受信された無線伝送について個々のチャネル係数行列を決定する段階であって、該複数の場所にある該アンテナは1又は複数の基地局に動作可能に接続されている、段階、
前記チャネル係数行列に基づきパワー・スケーリング・ベクトルを生成する段階、
前記パワー・スケーリング・ベクトルの少なくとも一部に基づき、1又は複数のプリコーディング行列を選択する段階、
前記選択されたプリコーディング行列及び前記パワー・スケーリング・ベクトルを前記1又は複数の基地局へ送信する段階であって、該1又は複数の基地局に前記選択されたプリコーディング行列及び前記パワー・スケーリング・ベクトルに基づき更なるデータを送信させる、段階、
を有する方法。
【請求項2】
前記チャネル係数行列に基づきパワー・スケーリング・ベクトルを生成する段階は、前記パワー・スケーリング・ベクトルを量子化する段階を更に有する、
ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記パワー・スケーリング・ベクトルを生成する段階は、前記チャネル係数行列のそれぞれのFrobeniusノルムの決定に更に基づく、
ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記選択されたプリコーディング行列及び前記パワー・スケーリング・ベクトルを前記1又は複数の基地局へ送信する段階は、
前記選択されたプリコーディング行列及び前記パワー・スケーリング・ベクトルを前記1又は複数の基地局のうちの少なくとも1つへ送信する段階であって、該少なくとも1つの基地局に前記選択されたプリコーディング行列及び前記パワー・スケーリング・ベクトルを前記1又は複数の基地局のうちの残りの基地局へ送信させる、段階、
を有する、
ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記1又は複数の基地局に前記選択されたプリコーディング行列及び前記パワー・スケーリング・ベクトルに基づき更なるデータを送信させることは、
前記1又は複数の基地局に前記更なるデータを前記個々の選択されたプリコーディング行列で送信前に変更させる段階、
前記複数の場所にある前記アンテナに、個々の前記パワー・スケーリング・ベクトルの値に基づき送信パワーを調整させる段階、
を有する、
ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項6】
ソフトウェアを具現化する1又は複数のコンピュータ可読非一時的記憶媒体であって、該ソフトウェアは、実行されると、
複数の場所のそれぞれにある1又は複数のアンテナから受信された無線伝送について個々のチャネル係数行列を決定し、該複数の場所にある該アンテナは1又は複数の基地局に動作可能に接続されており、
前記チャネル係数行列に基づき、パワー・スケーリング・ベクトルを生成し、
前記パワー・スケーリング・ベクトルの少なくとも一部に基づき、1又は複数のプリコーディング行列を選択し、
前記選択されたプリコーディング行列及び前記パワー・スケーリング・ベクトルを前記1又は複数の基地局へ送信し、該1又は複数の基地局に前記選択されたプリコーディング行列及び前記パワー・スケーリング・ベクトルに基づき更なるデータを送信させる、
ことを特徴とする媒体。
【請求項7】
1又は複数のメイン・プロセッサ、
1又は複数の通信インタフェース、
命令を具現化する1又は複数のコンピュータ可読非一時的記憶媒体、
を有し、
前記命令は、実行されると、1又は複数の前記プロセッサに、
複数の場所のそれぞれにある1又は複数のアンテナから受信された無線伝送について個々のチャネル係数行列を決定し、該複数の場所にある該アンテナは1又は複数の基地局に動作可能に接続されており、
前記チャネル係数行列に基づき、パワー・スケーリング・ベクトルを生成し、
前記パワー・スケーリング・ベクトルの少なくとも一部に基づき、1又は複数のプリコーディング行列を選択し、
前記選択されたプリコーディング行列及び前記パワー・スケーリング・ベクトルを前記1又は複数の基地局へ送信し、該1又は複数の基地局に前記選択されたプリコーディング行列及び前記パワー・スケーリング・ベクトルに基づき更なるデータを送信させる、
ことを特徴とする装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−151844(P2012−151844A)
【公開日】平成24年8月9日(2012.8.9)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−5295(P2012−5295)
【出願日】平成24年1月13日(2012.1.13)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Opera
2.FACEBOOK
3.iPhone
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】