説明

複数の糸を連続的に巻取るための方法及び装置

本発明は、複数の糸を複数のボビン(5)に連続的に巻取るための方法及び装置に関する。この場合、複数のボビンが、駆動される2つの巻取りスピンドル(7.1,7.2)で同時に保持され、巻き取られる。巻取りスピンドル(7.1,7.2)はそれぞれ、回転可能に支承された2つのボビンリボルバ(10.1,10.2)に配置されており、これらのボビンリボルバは、糸を引き取って巻取りを継続するための、駆動される2つの別の巻取りスピンドル(11.1,11.2)を有している。巻取り中に、糸は巻取りスピンドルに対応配置された2つの圧着ローラ(6.1,6.2)によってボビン(5)に供給され、この際に、圧着ローラ(6.1,6.2)はボビン(5)の外周面に当接している。2つの巻取りスピンドルにおけるボビン増大中に、前置接続された装置からすべての糸をできるだけ一様に引き出すことができるようにするために、本発明によれば、巻取りスピンドルの交換中に、圧着ローラ(6.1,6.2)が2つの圧着ローラを、2つの巻取りスピンドルのボビンのボビン周速度よりも高い周速度で、糸を供給するために駆動するようにした。このために、2つの圧着ローラ(6.1,6.2)が共通のローラ駆動装置によって駆動可能されるようになっており、この場合、ローラ駆動装置は、ボビンリボルバ(10.1,10.2)の回転駆動装置を制御する制御装置(21)に接続されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の上位概念部に記載した、複数の糸を複数のボビンに連続的に巻取るための方法、並びにこの方法を実施するための、請求項9の上位概念部に記載した装置に関する。
【0002】
冒頭に述べた方法及び装置は、国際公開第03/068648号パンフレットにより公知である。
【0003】
公知の方法及び装置によれば、複数の糸が、互いに並列配置された2つの巻取り部において同時にボビンとして巻き取られる。このために、複数の巻取りスピンドルが、それぞれ1つのスピンドル駆動装置によって駆動される。各巻取りスピンドルは、それぞれ1つの圧着ローラに対応配置されており、この圧着ローラは揺動レバーを介して半径方向で可動に巻取りスピンドルに保持されている。糸をボビンに巻取る間、自由に回転する圧着ローラは、ボビンの外周面に当接する。2つの巻取りスピンドルは、それぞれ1つのボビンリボルバに片持ち式に突き出して配置されている。ボビンリボルバは、それぞれ1つの、180°ずらして配置された第2の巻取りスピンドルを支持している。従ってボビンリボルバを回転させることによって、ボビンは、ボビンリボルバに対応配置された2つの巻取りスピンドルに交互に巻き取られるようになっている。ボビン交換のために、それぞれ作業位置にある、満管ボビンを有する巻取りスピンドルが、ボビンリボルバを回転運動させることによって、対応配置された圧着ローラから離れる方向に移動せしめられる。それと同時に、それぞれ第2の巻取りスピンドルが、糸を引き取るために圧着ローラと接触する。
【0004】
公知の方法及び装置においては、装置の上部構造内の公差に基づいて、並びに2つの巻取りスピンドルにおける糸の番手変化に基づいて、種々異なる直径のボビンが巻き取られる、という欠点がある。特に満管ボビンを有する巻取りスピンドルが圧着ローラと接触することなしに、糸の引き出しを行うボビン交換の段階において、特に完全に延伸されている糸において糸が弛む原因となる糸の緊張変化は避けられない。
【0005】
これに対して本発明の課題は、冒頭に述べた形式の方法及び装置を改良して、ボビン交換中に糸の緊張が著しく変化することなしに、同時に巻き取られたすべての糸において糸の均一なドラフトが維持されるようにすることである。
【0006】
この課題は、請求項1に記載した特徴を有する方法、及び請求項9に記載した特徴を有する装置によって解決された。
【0007】
本発明の有利な実施態様は、従属請求項の特徴及びこれらの特徴の組み合わせてよって規定されている。
【0008】
本発明は、例えばヨーロッパ特許公開第0391101号明細書により公知なような、1つの巻取りスピンドルにおいて複数の糸を複数のボビンに巻取る基本的な巻取り機が公知であることによって容易に推考可能なものではない。この場合、巻取り機はスピンドル駆動装置によって駆動され、圧着ローラはローラ駆動装置によって駆動される。圧着ローラの上側で糸道内における糸張力を所定のレベルに維持するために、ボビン交換段階中に圧着ローラの周速度が高められる。これによって有利な形式で、巻取りスピンドルへの糸供給に影響を及ぼすことができる。しかしながらこの場合、複数の糸を2つの巻取りスピンドルに同時に供給することは、まったく考慮されない。
【0009】
本発明は、種々異なる巻取り直径にも拘わらず、2つの巻取りスピンドルへの糸の供給が、糸と圧着ローラとの間に調節された巻き掛け比によってほぼ規定される、という特別な利点を有している。このために2つの圧着ローラは、巻取りスピンドルの交換中に、2つの巻取りスピンドルのボビンのそれぞれのボビン周速度よりも高い、糸をガイドするための周速度で駆動される。さらに、本発明による装置は、2つの圧着ローラのためのローラ駆動装置を有しており、このローラ駆動装置は、ボビンリボルバの回転駆動装置に対応配置された制御装置に接続されている。これによって、圧着ローラの周速度を、ボビンリボルバの回転運動に関連して変化させることができる。
【0010】
圧着ローラにおける周速度の上昇は、有利な形式で2つの圧着ローラを同期的に加速することによって得られる。このために、ローラ駆動装置は、2つの圧着ローラを互いに接続する伝動手段を有するそれぞれ1つの電動機によって形成されているか、又は共通の制御器によって制御されるそれぞれ2つの別個の電動機によって形成されている。
【0011】
圧着ローラがボビンの巻取り中に、ボビンと圧着ローラとの間のスリップ調節が可能であるように駆動される、本発明の方法の変化実施例は、特に、巻取り運動中に発生する、ボビン直径の増大の差を補償することができる、という利点を有している。従って、圧着ローラはボビンを駆り立てるように駆動することも、また制動するように駆動することもできる。有利な形式で、圧着ローラの回転数をやや高くすると、糸の巻取りが促進される。
【0012】
ボビン形成に影響を及ぼすためのその他の調節可能性は、請求項4及び5に記載した本発明の実施態様による方法の変化例によって得られる。このために、圧着ローラは有利な形式で、高さ調節可能なホルダに堅固に結合されているので、各巻取りスピンドルにおいてほぼ同じように組み合わされた対応配置が維持される。しかも、2つの巻取りスピンドルにおいてボビンを巻取るために、圧着ローラによって提供される当接力を簡単な手段で調節することができる。
【0013】
しかしながら基本的に、圧着ローラを可動な手段を介してホルダに接続することも可能である。
【0014】
作業中にできるだけ2つの巻取りスピンドルを同じ回転数で、及びひいてはボビンの同じ周速度で、駆動することができるようにするために、本発明の有利な実施態様によれば、各巻取りスピンドルがそれぞれ同期的に駆動され、かつ制御されるようになっている。
【0015】
作業位置にある巻取りスピンドルにおける糸の巻取り中に必要な、ボビンを増大させるための変位運動は、可動なホルダを用いて圧着ローラを連行ガイドすることによって、又は2つのボビンリボルバの回転運動有利には同期的な回転運動によって実施される。ホルダを運動させるために特にキャリッジ又はキャリッジガイドが提案されており、このキャリッジ又はキャリッジガイドによって2つの圧着ローラは同期的に移動せしめられる。
【0016】
しかしながら選択的に、圧着ローラを、旋回可能に機械フレームに直接固定されたそれぞれ2つの可動な揺動レバーで保持することも可能である。この実施態様は特に、変位運動がもっぱら2つのボビンリボルバの回転によって実施される変化実施例のための適している。
【0017】
2つの巻取りスピンドルにおける糸の巻取り中に、糸をできるだけ一定に引き出し、かつ供給することを保証するために、ボビン周速度を調節するためのスピンドル駆動装置の調整は有利な形式で同期的に行われる。このために、有利な形式で圧着ローラのうちの1つの回転速度が検出され、ボビン周速度を調節するための調整値として用いられる。本発明のこの実施態様は、特に、ボビン巻取り中における巻取りスピンドルの駆動回転数が共通の調整回路によって制御されることを特徴としている。制御装置によって、圧着ローラのそれぞれ測定された回転速度に基づく複数の巻取りスピンドルの駆動回転数の共通の変化が、検出された圧着ローラの回転速度がほぼ一定に維持されるように実施される。この場合、調整回路に接続されていない第2の圧着ローラは、1つのセンサによって監視されている圧着ローラと同じ状態に自動的に移動せしめられる。本発明による装置の実施態様によれば、この方法の変化実施例を実施するために、1つの圧着ローラの回転速度を検出するために、この圧着ローラに対応配置された回転数センサが設けられている。この回転数センサは、制御装置によって作業位置にもたらされている巻取りスピンドルのスピンドル駆動装置に接続されて1つの調整回路を形成している。それによって、センサ信号は、有利な形式で2つのスピンドル駆動装置を制御するために用いられる。
【0018】
以下に本発明による方法を、図面に示した本発明による装置の幾つかの実施例を用いて詳しく説明する。
【0019】
図1乃至図4は、本発明による方法を実施するための本発明による装置の第1実施例の異なる方向から見た概略図、
図5は、図1に示した実施例の駆動思想を示す概略図、
図6は、図1に示した実施例の別の駆動思想を示す概略図、
図7は、本発明による装置の別の実施例の概略図である。
【0020】
図1乃至図4には、本発明による巻取り装置の第1実施例を異なる方向から見た概略図が示されている。この場合、図1は、この実施例の側面図、図2は巻取りスピンドルの平面図、図3及び図4は異なる運転状態における実施例の正面図である。どの図面に関する説明であるかの指摘がなければ、以下の説明はすべての図面に当てはまる。
【0021】
本発明による巻取り装置の実施例は、2つの巻取り部29.1及び29.2を有しており、これらの巻取り部29.1,29.2は、機械フレーム12内に並列配置されている。この場合、巻取り部29.1及び29.2は、中央の左右対称平面に対して鏡面対称的に配置されている。従って、右側の巻取り部29.1が、機械フレーム21内に回転可能に支承されたボビンリボルバ(ボビン回転タレット)10.1より成っている。このボビンリボルバ10.1に、片持ち式に突き出す第1の巻取りスピンドル7.1が保持されていて、この第1の巻取りスピンドル7.1に対して180°ずらして、同じく片持ち式に突き出す第2の巻取りスピンドル11.1が保持されている。図示の運転状態では、第1の巻取りスピンドル7.1が、複数の糸を巻取るための作業位置にある。第2の巻取りスピンドル11.1は、満管のボビンを空の巻管と交換するための交換位置にある。
【0022】
第1のボビンリボルバ10.1に対して鏡面対称的に、第2の巻取り部29.2に、同一の水平面に配置された第2のボビンリボルバ10.2が機械フレーム12内で保持されている。ボビンリボルバ10.2は、片持ち式に突き出す巻取りスピンドル7.2と11.2とを支持している。図示の作業位置では、巻取りスピンドル7.2が作業位置にあり、巻取りスピンドル11.2が交換位置にある。
【0023】
2つのボビンリボルバ10.1,10.2は、共通の回転駆動装置30に連結されており、この場合、ボビンリボルバ10.1及び10.2は逆の回転方向で駆動可能である。回転駆動装置30は、中央の制御装置21に接続されている。ボビンリボルバ10.2及び10.2で保持された各巻取りスピンドル7.1,7.2,11.1及び11.2に、それぞれ1つのスピンドル駆動装置が対応配置されている。図1には、巻取り部29.2の巻取りスピンドル7.2及び11.2のスピンドル駆動装置23.2及び31.2が示されている。2つの巻取り部29.1及び29.2の巻取りスピンドルのスピンドル駆動装置23.1,23.2,31.1及び31.2は、図2に示されているように、中央の制御装置21に接続されている。
【0024】
各ボビンリボルバ10.1,10.2の前方には、糸道内でそれぞれ1つの圧着ローラ6.1,6.2が配置されている。この場合、複数の糸1.1をそれぞれ1つのボビンに巻取るために、巻取り部29.1内で、圧着ローラ6.1が巻取りスピンドル7.1と協働する。糸1.1の巻取り中に、圧着ローラ6.1は、巻き取ろうとするボビン9の外周面に当接する。
【0025】
これに対応して、糸1.2の第2の糸群を複数のボビンに巻取るために、巻取り部29.2内で、圧着ローラ6.2が、作業位置にある巻取りスピンドル(この場合7.2)と協働する。この場合も、圧着ローラ6.2は、巻き取ろうとするボビン9の外周面に当接する。
【0026】
圧着ローラ6.1及び6.2は、ホルダ13に回転可能に支承されていて、ホルダ13によって互いに堅固に結合されている。この場合、圧着ローラ6.1及び6.2には、図1に示されているように、ローラ駆動装置17が対応配置されている。
【0027】
ホルダ13は、圧着ローラ6.1,6.2の前方に配置された綾振り部材4を支持している。綾振り部材4は、巻取り部29.1と29.2との間の糸供給部の中心平面内に配置されていて、各巻取り部29.1及び29.2にそれぞれ綾振り糸ガイド5.1及び5.2を有しており、これらの綾振り糸ガイドを通って、供給されてくる糸1.1及び1.2が綾振りストローク内で往復移動せしめられる。綾振り部材4は、綾振り糸ガイド5.1及び5.2をガイドするための1つ又は複数の溝を外周面に有している可逆溝付きドラムによって形成されている。
【0028】
ホルダ13の上側に、糸ガイド支持体3が設けられており、この糸ガイド支持体3は、トップ糸ガイド2.1及び2.2は、巻取りスピンドル7.1と7.2との間で糸供給部を形成している。この場合、糸ガイド2.1のグループは巻取り部29.1に対応配置されていて、糸ガイド2.2のグループは巻取り部29.2に対応配置されている。
【0029】
ホルダ13は、キャリッジ15及びキャリッジガイド14.1及び14.2によって垂直方向で可動に機械フレーム12に保持されている。この場合、キャリッジ15は、力センサ32によってキャリッジガイド14.1及び14.2内で、圧着ローラ6.1及び6.2がそれぞれ所定の当接力で糸1.1及び1.2の巻取り中にそれぞれのボビン9に当接するように、保持されている。力センサ32は、この実施例では2つの負荷軽減シリンダユニット16.1及び16.2によって構成されており、これらの負荷軽減シリンダユニット16.1及び16.2によって、2つの圧着ローラ6.1及び6.2、並びにホルダ13及び、ホルダ13に付加的に取り付けられた構成部分(例えば綾振り部材4)の全重量が支えられている。装置の両側でキャリッジ15に作用する負荷軽減シリンダユニット16.1及び16.2は、制御装置21に接続されていて、この制御装置21によって、負荷軽減シリンダユニット16.1及び16.2は、その支持作用を制御できる。これによって、巻取り中に、圧着ローラ6.1及び6.2とボビン9との間に作用する当接力は、全重量の一部によって規定される。
【0030】
図1乃至図4に示した実施例では、巻取り部29.1及び29.2においてそれぞれ4本の糸が1つのボビンに巻き取られる。基本的に、同時に巻き取られる糸の数は1例である。従って、各巻取り部29.1及び29.2毎に1つ又は複数の糸が同時に巻き取られる。しかしながら実際には、このような形式の巻取り装置はもっぱら複数の糸を巻取るために使用される。
【0031】
巻取りスピンドル7.1及び7.2において巻取り過程を開始するために、圧着ローラ6.1及び6.2がキャリッジ15及び負荷軽減シリンダ6.1及び6.2によって、下の位置にガイドされる。糸群の糸1.1及び1.2が巻管にキャッチされ、予備糸が巻き取られてから、巻取り走行運動が開始される。ボビン9の巻取り中に、負荷軽減シリンダユニット16.1及び16.2は、所定の当接力がボビン9に作用するように、調整され、制御される。当接力は、有利な形式で、巻取りスピンドル7.1及び7.2に糸が巻き取られる間一定に保たれる。しかしながら、巻取り走行運動中に、当接力の所定の力のプロフィールを調節することも可能である。このために、例えば負荷軽減シリンダユニット16.1及び16.2内の負荷軽減圧力は、所定の値に調節され、センサされ、制御装置21を介して制御される。このような形式の圧力制御によって、有利な形式でキャリッジ15の変位運動を制御することができる。
【0032】
糸1.1及び1.2の巻取り中にボビン9の増大に基づいて必要な変位運動は、この実施例においては基本的に、可動に保持されたキャリッジ15によっても、また可動に保持された巻取りスピンドル7.1及び7.2によっても実施することができる。ホルダ13に圧着ローラ6.1及び6.2を堅固に配置することによって、ボビン9の増大はキャリッジ15の運動によって同期的に行われる。
【0033】
ボビンリボルバ10.1及び10.2の回転駆動装置30は、変位運動を有利な形式で段階的に又は連続的に実施するために駆動される。この場合、2つのボビンリボルバ10.1及び10.2は、伝動手段によって互いに連結されている。
【0034】
図4には、この実施例の作業状態が示されている。この作業状態において、巻取りスピンドル7.1及び7.2は、ボビンリボルバ10.1及び10.2の回転駆動装置30を作動させることによって、ボビン交換作業方向へ旋回せしめられている。この場合、満管ボビン9は、圧着ローラ6.1及び6.2との接触から解除されている。この段階において同時に、制御装置21によって、圧着ローラ6.1及び6.2の加速がローラ駆動装置17を介して導入される。2つの圧着ローラ6.1及び6.2は、所定の周速度で同期的に加速され、この周速度は、2つの巻取りスピンドル7.1及び7.2における、離反旋回せしめられた満管ボビンのボビン周速度よりも高い。これによって、巻取りスピンドル7.1及び7.2の満管ボビン9に供給されてくる糸のそれぞれに駆動力を及ぼす糸摩擦が生ぜしめられる。従って、圧着ローラ6.1及び6.2の周速度は、各糸の糸走行速度よりも高い。この状態は、ボビン交換中維持され、ボビンリボルバの回転運動に関連して制御される。圧着ローラ6.1及び6.2と、巻取りスピンドル11.1及び11.2において新たに形成しようとするボビンとが新たに接触すると直ちに、圧着ローラ6.1及び6.2は、糸の連続的な巻取りのための初期値にリセットされる。
【0035】
本発明による巻取り装置の前記実施例の駆動思想を説明するために、以下に図5を用いて可能な実施例を説明する。見やすくするために、図5には、駆動のために必要な、巻取り部29.1及び29.2の装置部分が概略的に示されている。
【0036】
図5に示した駆動思想においては、巻取りスピンドル7.1の巻取り部29.1はスピンドル駆動装置23.1に連結されている。スピンドル駆動装置23.1には制御器24.1が対応配置されており、この制御器24.1は、上位の制御装置21に接続されている。この場合、巻取りスピンドル7.1に巻き取られたボビン9は破線で示されている。ボビン9の外周面には圧着ローラ6.1が当接しており、この圧着ローラ6.1は同様に破線で示されている。圧着ローラ6.1はローラ端部18.1を有している。ローラ端部18.1には回転数センサ20が対応配置されており、この回転数センサ20によって圧着ローラ6.1の回転速度が検出される。回転数センサ20は制御装置21に接続されている。
【0037】
圧着ローラ6.1のローラ端部18.1は、伝動手段19によって第2の圧着ローラ6.2のローラ端部18.2に連結されている。この実施例では伝動手段19は、ベルト又はチェーンによって機械的に構成されているので、2つの巻取り部の2つの圧着ローラ6.1及び6.2は同じ回転数で逆方向に回転する。伝動手段19を駆動するために、電動機25が駆動ホイール33に接続されている。駆動ホイール33は伝動手段19に連結されている。電動機25には制御器27が対応配置されており、この制御器27は制御装置21に連結されている。これによって、制御器27と電動機25と駆動ホイール33及び伝動手段19とは、ローラ駆動装置17を形成している。
【0038】
ボビンリボルバ10.1及び10.2を駆動するために、各リボルバ軸34.1及び34.2は、伝動手段35例えばチェーンによって互いに連結されている。この場合、リボルバ軸34.1は回転駆動装置30によって駆動される。回転駆動装置30は所属の制御器36によって制御され、この場合、制御器36は中央の制御装置21に接続されている。
【0039】
巻取り部29.1内では、ボビンリボルバ10.1に保持された第2の巻取りスピンドル11.1が、スピンドル駆動装置31.1及び所属の制御器24.2によって駆動される。制御器24.3は制御装置21に連結されている。
【0040】
巻取り部29.2において、糸をボビンに巻取るために、巻取りスピンドル7.2はスピンドル駆動装置22.2によって反時計回り方向で駆動される。この場合、圧着ローラ6.2はボビンの外周面において、圧着ローラ6.1の相応の回転数で時計回り方向に回転する。圧着ローラ6.1と6.2との間の回転運動の伝達は、伝動手段19によって行われる。2つの巻取り部29.1及び29.2内において糸は同期的に巻き取られるので、各巻取り部7.1及び7.2においてそれぞれ1つの同じ形のボビン9が形成される。
【0041】
巻取り部29.2において非作業位置で保持されている巻取りスピンドル11.2は、スピンドル駆動装置31.2及び所属の制御器24.4を介して駆動される。制御器24.4は制御装置21に接続されている。
【0042】
糸の一定の巻取り速度を維持するために、圧着ローラ6.1の回転速度は回転数センサ20によって連続的に検出され、制御装置21に送られる。制御装置21に、圧着ローラ6.1の目標回転数がメモリーされている。圧着ローラ6.1のセンサされた実際回転速度と圧着ローラ6.1のメモリーされた目標回転速度との間の許容できないずれが検出されると直ちに、制御信号が発信され、制御器24.1及び24.2に送られる。制御器24.1及び24.2は、スピンドル駆動装置23.1及び23.2の駆動回転数を所望の形式で変えるようになっている。これによって、糸の全巻取り作業中にボビンの一定の周速度が調節される。この場合、スピンドル駆動装置23.1及び23.2は、非同期モータ又は同期モータによって形成される。
【0043】
電動機25によって、圧着ローラ6.1及び6.2のローラ駆動装置と巻取りスピンドル7.1及び7.2の駆動装置との間の負荷比が重ねて調節される。これによって圧着ローラ6.1及び6.2は、ボビンの外周面に駆動力も、また制動力も作用させることもできる。負荷比は、制御装置21によって供給され、制御される。
【0044】
巻き取られたボビンが所定の最大直径に達した場合、制御装置21及び制御器36を介して回転駆動装置30が作動せしめられ、それによって、ボビンリボルバ10.1と10.2とは逆方向に回転せしめられ、巻取りスピンドル7.1及び7.2が満管ボビンと共に圧着ローラ6.1及び6.2から離れる方向に移動されるようになっている。それと同時に、制御装置21及び制御器27を介してローラ駆動装置の電動機25は、圧着ローラ6.1及び6.2が高められた周速度に加速されるように制御される。伝動手段19によって、2つの圧着ローラ6.1及び6.2は同期的に加速されるので、すべての糸に同じように作用する。これによって、有利な形式で、ボビン交換過程は、複数の糸を処理する場合でも、前置された処理装置又は紡糸装置に作用することなしに、行うことができる。
【0045】
図6には、図1に示した本発明による装置の実施例のための駆動思想の別の実施例が示されている。図6に示された駆動思想は、図5に示した駆動思想の前記実施例とほぼ同じである。その点に関しては前記説明が参照される。ここでは、相違点だけについで説明する。圧着ローラ6.1及び6.2のローラ駆動装置は、2つの電動機28.1及び28.2と、これらの電動機に対応配置された制御器27とによって形成されている。制御器27は制御装置21に接続されているので、圧着ローラ6.1及び6.2を駆動するために、各電動機28.1,28.2は同じ調節で駆動される。
【0046】
また、図5による前記実施例に対して、巻取りスピンドル7.1及び7.2のスピンドル駆動装置23.1及び23.2はそれぞれ制御器24.1によって制御される。この場合、スピンドル駆動装置23.1及び23.2は、同期モータ又は非同期モータとして構成されている。同様に、スピンドル駆動装置31.1及び31.2には制御器24.2が対応配置されている。制御器24.1及び24.2は、制御装置21に接続されている。
【0047】
ボビンリボルバ10,1及び10.2の回転駆動装置は、2つの別個の回転駆動装置30.1及び30.2によって形成されており、これらの別個の回転駆動装置30.1,30.2は制御装置1に接続されている。
【0048】
各駆動装置の機能及び制御は、前記実施例と同様に行われるので、それについてはその説明が参照される。
【0049】
図7には、本発明による装置の別の実施例の概略的な正面図が示されている。図7に示した実施例は、図1に示した実施例とほぼ同じであるので、それについては前記説明が参照され、ここでは相違点についてだけ説明する。この場合、同じ機能を有する構成部材には同じ符号が付けられている。
【0050】
前記実施例に対して、図7に示した実施例では、圧着ローラ6.1及び6.2は、2つの別個の揺動レバー37.1及び37.2によって旋回可能に機械フレーム12で保持されている。揺動レバー37.1及び37.2には、それぞれ1つのストロークセンサ38.1及び38.2が対応配置されており、これらのストロークセンサによって、圧着ローラ6.1及び6.2の運動を検出する。ストロークセンサ38.1及び38.2は、信号ラインを介して、図示していない制御装置に接続されている。
【0051】
圧着ローラ6.1及び6.2には、糸道内でそれぞれ別個の綾振り部材4.1及び4.2が対応配置されている。各綾振り部材4.1及び4.2は、この実施例ではウイング形綾振り部材として構成されている。この場合、各糸は、その巻取り部において逆方向に駆動されるウイングによって往復運動せしめられる。
【0052】
ここで説明及び図示されていないすべての構成部分及び駆動部材は、前記実施例のものと同じである。
【0053】
図示の駆動状態では、それぞれ複数のボビン9が、運転位置にある巻取りスピンドル7.1及び7.2において巻き取られる。糸1.1及び1.2の巻取り中、変位運動はボビンリボルバ10.1及び10.2の回転駆動装置によって実施される。このために、圧着ローラ6.1及び6.2のストローク運動が、所属のストロークセンサ38.1及び38.2によって検出され、制御装置に信号として送られる。圧着ローラ6.1及び6.2のうちの1つの実際値が所定の目標範囲からずれると直ちに、制御装置においてボビンリボルバ10.1及び10.2の回転駆動装置を作動させるための制御指令が発信される。ボビンリボルバ10.1及び10.2の回転運動は、圧着ローラ6.1及び6.2がその目標範囲を再び占めるまで行われる。
【0054】
圧着ローラ6.1及び6.2の駆動は、前記実施例と同様に行われるので、ボビン交換中に2つの圧着ローラ6.1及び6.2は、巻取りスピンドル7.1及び7.2における、離反旋回せしめられた満管ボビンの各ボビン速度よりも高い、高められた周速度に加速される。
【0055】
本発明による方法並びに本発明による装置は、特に紡糸されたばかりの糸を巻取るために適している。この場合、複数の糸は紡糸装置から又は処理装置から引き出される。特にボビン交換過程中における、糸のほぼ一定の引き出し力を保証することによって、前置接続された処理装置若しくは紡糸装置内においてすべての糸を一様に処理することができる。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本発明による巻取り装置の第1実施例の側面図である。
【図2】本発明による巻取り装置の第1実施例の平面図である。
【図3】本発明による巻取り装置の第1実施例の正面図である。
【図4】巻取り装置の第1実施例の、図3とは異なる運転状態における正面図である。
【図5】図1に示した実施例の駆動思想を示す概略図である。
【図6】図1に示した実施例の別の駆動思想を示す概略図である。
【図7】本発明による装置の別の実施例の概略図である。
【符号の説明】
【0057】
1.1,1.2 糸
2.1,2.2 糸ガイド
3 糸ガイド支持体
4 綾振り部材
5.1,5.2 綾振り糸ガイド
6.1,6.2 圧着ローラ
7.1,7.2 作業位置にある巻取りスピンドル
8.1,8.2 巻管
9.1,9.2 ボビン
10.1,10.2 ボビンリボルバ
11.1,11.2 非作業位置にある巻取りスピンドル
12 機械フレーム
13 ホルダ
14.1,14.2 キャリッジガイド
15 キャリッジ
16.1,16.2 負荷軽減シリンダユニット
17 ローラ駆動装置
18.1,18.2 ローラ端部
19 伝動手段
20 回転数センサ
21 制御装置
23.1,23.2 スピンドル駆動装置
24,24.1,24.2 制御器
25 電動機
26 ベルト駆動装置
27 制御器
28.1,28.2 電動機
29.1,29.2 巻取り部
30 回転駆動装置
31.1,31.2 スピンドル駆動装置
32 力センサ
33 駆動ホイール
34.1,34.2 リボルバ軸
35 伝動手段
36 制御器
37.1,37.2 揺動レバー
38.1,38.2 ストロークセンサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の糸を複数のボビンに連続的に巻取るための方法であって、複数のボビンを、駆動される2つの巻取りスピンドルで同時に保持し、巻取り、この際に複数の糸を、巻取りスピンドルに対応配置された2つの圧着ローラによって複数のボビンに供給し、ボビン完成後に巻取りスピンドルを圧着ローラから離れる方向に移動させ、別の2つの駆動される2つの巻取りスピンドルを、糸の引き渡しのために、かつ巻取り作業を続けるために、圧着ローラに供給する方法において、
2つの圧着ローラを、巻取りスピンドルの交換中に、2つの巻取りスピンドルにおけるボビンのボビン周速度よりも高い、糸をガイドするための周速度で駆動することを特徴とする、複数の糸を連続的に巻取るための方法。
【請求項2】
圧着ローラを同期的に周速度に加速する、請求項1記載の方法。
【請求項3】
圧着ローラを、ボビンの巻取り中に、ボビンと圧着ローラとの間でスリップ補償が発生するように、駆動維持する、請求項1又は2記載の方法。
【請求項4】
糸の巻取り中に圧着ローラによって生ぜしめられる、ボビンに対する当接力をほぼ一定に維持する、請求項1から3までのいずれか1項記載の方法。
【請求項5】
糸の巻取り中に圧着ローラによって生ぜしめられる、ボビンに対する当接力を所定の力のプロフィールに従って変える、請求項1から3までのいずれか1項記載の方法。
【請求項6】
ボビンスピンドルを同期的に駆動及び制御する、請求項1から5までのいずれか1項記載の方法。
【請求項7】
巻取り中に、ボビンの増大に対する変位運動を実施するために、圧着ローラを可動なホルダによって共通にガイドする、請求項1から6までのいずれか1項記載の方法。
【請求項8】
ボビンの周速度を制御するために、圧着ローラのうちの1つの周速度を検出し、この検出された周速度に応じて2つの巻取りスピンドルの駆動回転数を、検出された圧着ローラの回転速度がほぼ一定に保たれるように、一括して変える、請求項1から7までのいずれか1項記載の方法。
【請求項9】
請求項1から8までのいずれか1項記載の方法を実施するための装置であって、可動な2つのボビンリボルバ(10.1,10.2)を有しており、これらのボビンリボルバに、ボビン(5)の糸を同時に巻取るための複数の巻管(8)を受容するそれぞれ2つの巻取りスピンドル(7.1,7.2,11.1,11.2)が、片持ち式に突き出して保持されており、ボビンリボルバ(10.1,10.2)に対応配置された少なくとも1つの回転駆動装置(30)を有しており、前記巻取りスピンドル(7.1,7.2,11.1,11.2)に対応配置された複数のスピンドル駆動装置(23,23.2,31.1,31.2)を有しており、それぞれ作業位置で保持された巻取りスピンドル(7.1,7.2,11.1,11.2)に対応配置された、回転可能に支承された2つの圧着ローラ(6.1,6.2)を有しており、これらの2つの圧着ローラが、巻取り中にボビン(9)の外周面に当接するようになっている形式のものにおいて、
2つの圧着ローラ(6.1,6.2)が1つのローラ駆動装置(17)によって駆動可能であって、ローラ駆動装置(17)が、ボビンリボルバ(10.1,10.2)の回転駆動装置(30)に対応配置された制御装置(21)に接続されていることを特徴とする、複数の糸を連続的に巻取るための装置。
【請求項10】
ローラ駆動装置(18)が、伝動手段((19)と電動機(23)とによって形成されており、2つの圧着ローラ(6.1,6.2)は、これら2つの圧着ローラ(6.1,6.2)が同じ回転数で逆方向に駆動可能であるように、伝動手段(19)によって互いに結合されている、請求項9記載の装置。
【請求項11】
ローラ駆動装置(18)が、圧着ローラ(6.1,6.2)間に対応配置された電動機(28.1,28.2)によって形成されており、電動機(28.1,28.2)が制御器(27)によって同期的に制御可能である、請求項9記載の装置。
【請求項12】
2つの圧着ローラ(6.1,6.2)が可動なホルダ(13)に堅固に又は可動に結合されていて、それによって、2つの圧着ローラ(6.1,6.2)が一緒に、ボビン(9)の増大中に、巻取りスピンドル(7.1,7.2,11.1,11.2)に対して相対的にガイド可能である、請求項9から11までのいずれか1項記載の装置。
【請求項13】
ホルダ(13)及び/又は圧着ローラ(6.1,6.2)がそれぞれ1つの制御可能な力センサ(23)と協働する、請求項11記載の装置。
【請求項14】
ホルダ(13)が、キャリッジ(15)及びキャリッジガイド(14.1,14.2)によって機械フレーム(12)に保持され、これらのキャリッジ及びキャリッジガイドによって、圧着ローラ(6.1,6.2)が一緒に、巻取りスピンドル(7.1,7.2,11.1,11.2)に対して相対的な変位運動を実施する、請求項12又は13記載の装置。
【請求項15】
圧着ローラ(6.1,6.2)がそれぞれ2つの可動な揺動レバー(37.1,37.2)に保持されていて、これらの揺動レバー(37.1,37.2)が互いに独立して圧着ローラ(6.1,6.2)を巻取りスピンドル(7.1,7.2,11.1,11.2)に対して半径方向にガイドする、請求項9から11までのいずれか1項記載の装置。
【請求項16】
1つの圧着ローラ(6.1)に、この圧着ローラ(6.1)の回転数を検出するための回転数センサ(20)が対応配置されており、該回転数センサ(20)と、巻取りスピンドル(7.1,7.2,11.1,11.2)のスピンドル駆動装置(23.1,23.2,31.1,31.2)とが、制御装置(21)によって1つの調整回路に接続されている、請求項9から15までのいずれか1項記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2007−536181(P2007−536181A)
【公表日】平成19年12月13日(2007.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−511983(P2007−511983)
【出願日】平成17年4月29日(2005.4.29)
【国際出願番号】PCT/EP2005/004676
【国際公開番号】WO2005/108263
【国際公開日】平成17年11月17日(2005.11.17)
【出願人】(503420235)ザウラー ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング ウント コンパニー コマンディートゲゼルシャフト (51)
【氏名又は名称原語表記】Saurer GmbH & Co. KG
【住所又は居所原語表記】Landgrafen Str. 45, D−41069 Moenchengladbach, Germany
【Fターム(参考)】