説明

複数の資源管理装置が接続されたシステムにおけるアドレス割当方法、資源管理装置及びプログラム

【課題】複数のネットワーク資源ドメインを経由するパスを設定する際に、ノード装置に割り当てられるIPアドレスが重複して割り当てられないようにする方法等を提供する。
【解決手段】各資源管理装置は、自ら管理するネットワーク資源ドメインの中で、ノード装置へ割当可能なIPアドレス範囲を蓄積したアドレス資源蓄積部を有する。第1の資源管理装置が、第1のネットワーク資源ドメインに属する第1のノード装置と、第2のネットワーク資源ドメインに属する第2のノード装置との間でパスを確立すべきパス要求を受け付ける。次に、第1の資源管理装置が、第2の資源管理装置との間で、第1のアドレス資源蓄積部の中で未割当のIPアドレスと、第2のアドレス資源蓄積部の中で未割当のIPアドレスとを交換する。そして、両資源管理装置は、互いに未割当のIPアドレスを、第1のノード装置及び第2のノード装置上のネットワーク端点へ割り当てる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ノード装置に提供するネットワーク資源(Resource)を管理する資源管理装置の技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、地理的に分散した計算資源及びストレージ資源を、高速なネットワーク資源(例えばMPLS(Multi-Protocol Label Switching)技術)で相互に結ぶことによって、大規模高性能計算システムを構築することが可能となってきた。また、このようなシステムは、仮想サーバ及び仮想ストレージを、仮想ネットワークで相互に結ぶことによって、物理的機器の違いを抽象化した仮想化技術も提供する。即ち、各通信装置の持つネットワーク資源(通信帯域等)は、資源管理装置によって管理される。資源管理装置は、自ら管理するネットワーク資源ドメインに接続される通信装置を管理する。
【0003】
図1は、複数の資源管理装置を備えたシステム構成図である。
【0004】
図1によれば、複数のネットワーク資源ドメインA〜Cが相互に接続されている。また、ネットワーク資源ドメイン毎に、1つの資源管理装置1(ネットワーク資源ドメインA用、B用及びC用)が備えられている。資源管理装置1は、自らの管理対象となるネットワーク資源ドメインに配置された複数のノード装置上のネットワーク端点に対して、IPアドレスを割り当てる。資源管理装置1は、自ら管理すべきIPアドレスを蓄積した「アドレス資源蓄積部」を有する。
【0005】
資源管理装置1は、例えば運用管理者によって操作されるオペレーションクライアント2からの要求に応じて、ノード装置上のネットワーク端点間に「パス」を設定する。1対向のノード装置間を「リンク」といい、1つ以上のリンクからなるノード装置間を「パス」という。資源管理装置1は相互に連携して、パスを設定する。
【0006】
従来、ユーザから要求されたノード装置上のネットワーク端点を結ぶ「パス」を、オンデマンドに作成する技術がある(例えば非特許文献1参照)。
【0007】
このように、ノード装置間にパスが作成された後、ネットワークの疎通を確認するためには、pingが一般的に利用される。ping(packet internet groper)とは、TCP/IP(Transmission Control Protocol / Internet Protocol)ネットワークの接続性を診断するプログラムである。送信元ノード装置上のネットワーク端点から、宛先ノード装置上のネットワーク端点のIPアドレスへ向けて、ICMP(Internet
Control Message Protocol)の32バイトのデータを送信し、宛先ノード装置から応答メッセージの返信があるか否かを判断する。pingプログラムを実行するためには、各ノード装置のネットワーク端点に対して、IPアドレスを割り当てる必要がある。
【0008】
IPアドレスを自動的に付与する技術として、DHCP(Dynamic Host Configuration
Protocol)がある。この技術によれば、通信装置からの要求に応じて、アドレス割当装置(例えばルータ)は、自らが管理しているIPアドレスの一部を割り当てる。更に、GMPLS(Generalized Multi-Protocol Label Switching)のシグナリングを用いて、対向する通信装置のIPアドレスを割り当てる技術もある(例えば特許文献1参照)。
【0009】
IPアドレスを割り当てることにより、例えば、図1のように、送信元ノード装置上のネットワーク端点から、異なるネットワーク資源ドメインを介した宛先ノード装置上のネットワーク端点に向けて、pingプログラムを実行することによって、設定されたパスの疎通を確認することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2006−60536号公報
【非特許文献】
【0011】
【非特許文献1】A. Takefusa, M. Hayashi, N. Nagatsu, H.Nakada, T. Kudoh, T. Miyamoto, T. Otani, H. Tanaka, M. Suzuki, Y. Sameshima, W.Imajuku, M. Jinno, Y. Takigawa, S. Okamoto, Y. Tanaka and S. Sekiguchi,"G-lambda: Coordination of a Grid Scheduler and Lambda Path Service overGMPLS," FGCS, vol. 22, pp. 868-875, June 2006.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
従来技術によれば、パスを作成した後、送信元ノード装置及び宛先ノード装置上のネットワーク端点へIPアドレスを割り当てる。その後、そのパスの疎通を確認するために、pingプログラムが実行される。
【0013】
しかしながら、DHCPの技術によれば、単一のアドレス割当装置(例えばルータ)がIPアドレス範囲を管理しているために、複数のネットワーク資源ドメインに跨る場合、異なる資源管理装置それぞれが、同一のIPアドレスを各ネットワーク端点へ重複して割り当てる場合がある。特に、サブネットマスクされたローカルアドレスについては、異なる資源管理装置であれば、重複して割り当てられる場合がある。そのために、従来、MPLSパスのようなネットワークパスのネットワーク端点に割り当てるIPアドレスは、通信事業者自らのルールに基づいて、割り当てられていた。
【0014】
また、特許文献1に記載された技術によれば、他のネットワーク資源ドメインを跨った場合、パスを作成するタイミングでIPアドレスが割り当てられるために、第1の資源管理装置が第1のノード装置上のネットワーク端点に割り当てたIPアドレスと、第2の資源管理装置の第2のノード装置上のネットワーク端点に割り当てたIPアドレスとが、重複してしまう場合がある。また、第1の資源管理装置が第1のノード装置上のネットワーク端点に割り当てたIPアドレスは、第2の資源管理装置の他のノード装置上のネットワーク端点に既に割り当てられたものである場合もある。このような場合、パス設定のシーケンスを再度やり直す必要がある。これは、パスの予約の時点で、事前にIPアドレスまで確保して割り当てておくができないことに基づく。
【0015】
そこで、本発明は、複数のネットワーク資源ドメインを経由するパスを設定する際に、パスのネットワーク端点に割り当てられるIPアドレスが重複して割り当てられないようにするアドレス割当方法、資源管理装置及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明によれば、第1のネットワーク資源ドメインを管理する第1の資源管理装置と、第2のネットワーク資源ドメインを管理する第2の資源管理装置とが接続されたシステムにおけるアドレス割当方法であって、
第1の資源管理装置は、第1のネットワーク資源ドメインの中で、ノード装置上のネットワーク端点へ割当可能なIPアドレス範囲を蓄積した第1のアドレス資源蓄積部を有し、
第2の資源管理装置は、第2のネットワーク資源ドメインの中で、ノード装置上のネットワーク端点へ割当可能なIPアドレス範囲を蓄積した第2のアドレス資源蓄積部を有し、
第1の資源管理装置が、第1のネットワーク資源ドメインに属する第1のノード装置と、第2のネットワーク資源ドメインに属する第2のノード装置との間でパスを確立すべきパス要求を、オペレーションクライアントから受信する第1のステップと、
第1の資源管理装置が、第2の資源管理装置との間で、第1のアドレス資源蓄積部の中で未割当のIPアドレスと、第2のアドレス資源蓄積部の中で未割当のIPアドレスとを交換する第2のステップと、
第1の資源管理装置及び第2の資源管理装置は、両方のアドレス資源蓄積部の中で互いに未割当のIPアドレスを、第1のノード装置及び第2のノード装置上のネットワーク端点へ割り当てる第3のステップと
を有することを特徴とする。
【0017】
本発明のアドレス割当方法における他の実施形態によれば、
第2のステップについて、
第1の資源管理装置が、第1のアドレス資源蓄積部の中で未割当の第1のIPアドレス範囲を含む問合せ要求を、第2の資源管理装置へ送信する第21のステップと、
第2の資源管理装置が、第1のIPアドレス範囲の中で、第2のアドレス資源蓄積部で未割当の第2のIPアドレスを、第1の資源管理装置へ送信する第22のステップと
を有するものであってもよい。
【0018】
本発明のアドレス割当方法における他の実施形態によれば、
第22のステップについて、第2の資源管理装置が、第1のIPアドレス範囲が全て、第2のアドレス資源蓄積部で割当済みである場合、第2のアドレス資源蓄積部の中で未割当の第2のIPアドレス範囲を、第1の資源管理装置へ送信するステップと、
第1の資源管理装置が、第2のIPアドレス範囲の中で、第1のアドレス資源蓄積部で未割当の第1のIPアドレスを、第2の資源管理装置へ送信するステップと
を有するものであってもよい。
【0019】
本発明のアドレス割当方法における他の実施形態によれば、IPアドレス範囲は、サブネットを用いたクラスレスアドレッシング方式によって指定されるものであってもよい。
【0020】
本発明のアドレス割当方法における他の実施形態によれば、システムは、第1のネットワーク資源ドメインと、第2のネットワーク資源ドメインとの間に、1つ以上の他のネットワーク資源ドメインが介在するものであってもよい。
【0021】
本発明のアドレス割当方法における他の実施形態によれば、オペレーションクライアントからの指示に基づいて、パスが切断された場合、第1の資源管理装置及び第2の資源管理装置は、当該パスにおけるネットワーク端点に割り当てたIPアドレスを解放するものであってもよい。
【0022】
本発明によれば、1つのネットワーク資源ドメインを管理する資源管理装置について、他の資源管理装置と連携して、複数のネットワーク資源ドメインがノード装置を介して接続されたネットワーク資源を管理する資源管理装置であって、
当該資源管理装置が管理するネットワーク資源ドメインの中で、ノード装置へ割当可能なIPアドレス範囲を蓄積したアドレス資源蓄積手段と、
オペレーションクライアントから、当該資源管理装置のネットワーク資源ドメインに属する第1のノード装置と、他方のネットワーク資源ドメインに属する第2のノード装置との間でパスを確立すべきパス要求を受信するパス要求受付手段と、
他方の資源管理装置との間で、当該アドレス資源蓄積部の中で未割当のIPアドレスと、他方の資源管理装置の中で未割当のIPアドレスとを交換するアドレス交換手段と、
両方の資源管理装置で互いに未割当のIPアドレスを、第1のノード装置上のネットワーク端点に割り当てるIPアドレス割当手段と
を有することを特徴とする。
【0023】
本発明によれば、1つのネットワーク資源ドメインを管理する資源管理装置について、他の資源管理装置と連携して、複数のネットワーク資源ドメインがノード装置を介して接続されたネットワーク資源を管理する資源管理装置に搭載されたコンピュータを機能させるプログラムであって、
当該資源管理装置が管理するネットワーク資源ドメインの中で、ノード装置上のネットワーク端点へ割当可能なIPアドレス範囲を蓄積したアドレス資源蓄積手段と、
オペレーションクライアントから、当該資源管理装置のネットワーク資源ドメインに属する第1のノード装置と、他方のネットワーク資源ドメインに属する第2のノード装置との間でパスを確立すべきパス要求を受信するパス要求受付手段と、
他方の資源管理装置との間で、当該アドレス資源蓄積部の中で未割当のIPアドレスと、他方の資源管理装置の中で未割当のIPアドレスとを交換するアドレス交換手段と、
両方の資源管理装置で互いに未割当のIPアドレスを、第1のノード装置上のネットワーク端点に割り当てるIPアドレス割当手段と
してコンピュータを機能させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0024】
本発明のアドレス割当方法、資源管理装置及びプログラムによれば、複数のネットワーク資源ドメインを経由するパスを設定する際に、パスのネットワーク端点に割り当てられるIPアドレスが重複して割り当てられないようにすることができる。これによって、本発明によれば、パスを設定した後、IPアドレスの重複によって疎通が成功しないというケースが無くなる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】複数の資源管理装置を備えたシステム構成図である。
【図2】本発明におけるシーケンス図である。
【図3】本発明の資源管理装置における機能構成図である。
【図4】資源管理装置を用いた次世代ネットワークのシステム構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。
【0027】
図2は、本発明におけるシーケンス図である。
【0028】
(S211)最初に、オペレーションクライアント2が、資源管理装置Aへパス要求を送信する。ここで、「パス要求」は、資源管理装置Aが、ネットワーク資源ドメインAに属するノード装置Aと、ネットワーク資源ドメインCに属するノード装置Cとの間でパスを確立すべきものであるとする。
(S212)パス要求を受け付けた資源管理装置Aは、パス要求を、資源管理装置B及びCへ送信する。
(S213)資源管理装置B及びCは、パス要求に基づくパスの帯域を確保する。
(S214)そして、資源管理装置B及びCは、予約完了を、資源管理装置Aへ返信する。
(S215)資源管理装置Aは、予約完了を、オペレーションクライアント2へ返信する。
これによって、パス要求に基づくパスの帯域が確保される。このように、各資源管理装置にパス設定が要求された場合、他の資源管理装置と連携しながらパスが設定される。
【0029】
資源管理装置A〜Cは、自ら管理するネットワーク資源ドメインの中で、ノード装置上のネットワーク端点へ割当可能なIPアドレス範囲を蓄積したアドレス資源蓄積部を有する。ここで、IPアドレス毎に、「未割当/割当済み」が区別されて管理されている。
【0030】
また、IPアドレス範囲は、サブネットを用いたクラスレスアドレッシング方式によって管理されていることが好ましい。サブネットを調整することによって様々な大きさのIPアドレス範囲を指定することができる。例えば、192.168.0.1/27と指定することによって、192.168.0.1を含む32個のアドレスを範囲を指定することとなり、192.168.1.1/26を指定することによって、192.168.0.1を含む64個のアドレス範囲を指定することとなる。
【0031】
(S22)次に、資源管理装置Aは、資源管理装置Cとの間で、装置Aのアドレス資源蓄積部の中で未割当のIPアドレスと、装置Cのアドレス資源蓄積部の中で未割当のIPアドレスとを交換する。
ここで、S22Aは第1の実施形態を表し、S22Bは第2の実施形態を表す。但し、S221及びS222は、両実施形態とも同じ処理である。
【0032】
[S22A]
(S221)資源管理装置Aは、アドレス資源蓄積部Aの中で未割当の第1のIPアドレス範囲を検索する。
(S222)資源管理装置Aは、未割当の第1のIPアドレス範囲を含む「問合せ要求」を、資源管理装置Cへ送信する。
【0033】
(S223A)資源管理装置Cは、問合せ要求に含まれる第1のIPアドレス範囲の中で、アドレス資源蓄積部Cに未割当の第2のIPアドレスを検索する。
(S224A)資源管理装置Cは、未割当の第2のIPアドレスを検索できた場合、第2のIPアドレスを含む「割当応答」を、資源管理装置Aへ返信する。
【0034】
[S22B]
S221及びS222は、前述と同様である。
(S223B)資源管理装置Cは、未割当の第2のIPアドレスを検索できなかった場合、即ち、問合せ要求に含まれる第1のIPアドレス範囲の全てが既に割り当てられている場合、アドレス資源蓄積部Cの中で未割当の第2のIPアドレス範囲を検索する。
(S224B)資源管理装置Cは、未割当の第2のIPアドレス範囲を含む「問合せ要求」を、資源管理装置Aへ送信する。
(S225B)資源管理装置Aは、問合せ要求に含まれる第2のIPアドレス範囲の中で、アドレス資源蓄積部Aに未割当の第1のIPアドレスを検索する。
(S226B)資源管理装置Aは、未割当の第1のIPアドレスを検索できた場合、第1のIPアドレスを含む「割当応答」を、資源管理装置Cへ返信する。
【0035】
(S23)最後に、第1の資源管理装置及び第2の資源管理装置は、両方のアドレス資源蓄積部の中で互いに未割当のIPアドレスを、第1のノード装置及び第2のノード装置上のネットワーク端点へ割り当てる。
【0036】
尚、第1のネットワーク資源ドメインと第2のネットワーク資源ドメインとの間には、1つ以上の他のネットワーク資源ドメインが介在するものであってもよい。
【0037】
図3は、本発明の資源管理装置における機能構成図である。
【0038】
図3によれば、資源管理装置1は、通信インタフェース10と、アドレス資源蓄積部11と、パス要求受付部12と、パス設定部13と、アドレス交換部14と、アドレス割当部15とを有する。通信インタフェースを除くこれら機能構成部は、資源管理装置に搭載されたコンピュータを機能させるプログラムを実行することによって実現される。
【0039】
通信インタフェース10は、当該資源管理装置が管理するネットワーク資源ドメインのネットワークに接続される。資源管理装置1は、自ら管理するノードと通信する共に、他のネットワーク資源ドメインに属する他の資源管理装置とも通信することができる。
【0040】
アドレス資源蓄積部11は、当該資源管理装置が管理するネットワーク資源ドメインの中で、ノード装置上のネットワーク端点へ割当可能なIPアドレス範囲を蓄積する。前述したように、IPアドレス毎に、「未割当/割当済み」が区別されて管理されている。また、IPアドレス範囲は、サブネットを用いたクラスレスアドレッシング方式によって管理されていることが好ましい。
【0041】
パス要求受付部12は、オペレーションクライアント2から、当該資源管理装置のネットワーク資源ドメインに属する第1のノード装置と、他方のネットワーク資源ドメインに属する第2のノード装置との間でパスを確立すべきパス要求を受け付ける(前述した図2のS211及びS215参照)。勿論、パス要求は、オペレーションクライアント2から受け付けるものであってもよいし、他の資源管理装置から受信するものであってもよい。パス要求の内容は、パス設定部13へ出力される。
【0042】
尚、パス要求受付部12は、オペレーションクライアント2からのパス切断指示も受け付ける。そのパス切断指示は、パス設定部13へ通知される。
【0043】
パス設定部13は、他の資源管理装置との間で、パスの帯域確保を予約する(前述した図2のS212〜S214参照)。パスの帯域確保の予約が完了した場合、その旨を、アドレス交換部14へ通知する。尚、パス設定部13は、パス要求受付部12からパス切断指示を受けた場合、パスを切断する。その場合、アドレス資源蓄積部11に対して、IPアドレスの解放が指示される。
【0044】
アドレス交換部14は、他方の資源管理装置との間で、当該アドレス資源蓄積部の中で未割当のIPアドレスと、他方の資源管理装置の中で未割当のIPアドレスとを交換する(前述した図2のS22参照)。決定されたIPアドレスは、アドレス割当部15へ出力される。
【0045】
アドレス割当部15は、両方の資源管理装置で互いに未割当のIPアドレスを、ノード装置上のネットワーク端点に割り当てる(図2のS23参照)。
【0046】
次に、アドレス交換部14について詳細に説明する。アドレス交換部14は、問合せ要求部141と、問合せ受信部142と、未割当アドレス検索部143と、割当応答送信部144と、割当応答受信部145とを有する。
【0047】
問合せ要求部141は、パスが設定された後、アドレス資源蓄積部の中で未割当のIPアドレス範囲を検索し、未割当のIPアドレス範囲を含む問合せ要求を、宛先ノード装置が属する他方の資源管理装置へ送信する。
【0048】
問合せ受信部142は、宛先ノード装置が属する他方の資源管理装置から、問合せ要求を受信する。問合せ受信部142は、アドレス資源蓄積部11を参照し、問合せ要求に含まれるIPアドレス範囲の全てが、「割当済み」であるか否かを確認する。
(1)問合せ要求に含まれるIPアドレス範囲の全てが、「割当済み」である場合、問合せ要求部141へ、逆に他方の資源管理装置へ問合せ要求を送信するべく指示する。
(2)問合せ要求に含まれるIPアドレス範囲の全てが、「割当済み」でない場合、そのIPアドレス範囲を、未割当アドレス検索部143へ出力する。
【0049】
未割当アドレス検索部143は、問合せ受信部142及び割当応答受信部145から通知された未割当アドレス範囲の中で、アドレス資源蓄積部11を参照し、未割当のIPアドレスを検索する。そのIPアドレスは、割当応答送信部144へ出力される。
【0050】
割当応答送信部144は、未割当アドレス検索部143からIPアドレスを受け付け、そのIPアドレスを含む割当応答を、他方の資源管理装置へ送信する。
【0051】
割当応答受信部145は、宛先ノード装置が属する他方の資源管理装置から、割当応答を受信する。割当応答にIPアドレスが含まれている場合、そのIPアドレスをアドレス割当部15へ出力する。また、割当応答にIPアドレス範囲が含まれている場合、そのIPアドレス範囲を未割当アドレス検索部143へ出力する。
【0052】
図4は、資源管理装置を用いた次世代ネットワークのシステム構成図である。
【0053】
図4によれば、複数の資源管理装置が、次世代ネットワーク(NGN:Next Generation Network)におけるリソース受付制御機能(RACF:Resource and Admission Control Functions)装置として適用されている。端末(ノード装置)は、UNI(User Network Interface)を介して、先ずサービス・ストラタムにおけるセッション制御機能に対する接続要求を送信する。このセッション制御機能は、資源要求情報を、転送制御機能を有するトランスポート・ストラタムへ送信する。その資源要求情報は、トランスポート・ストラタムにおける1つのリソース受付制御機能サーバ(資源管理装置)によって受信される。リソース受付制御機能装置は、他のリソース受付制御機能装置と相互に連携し、複数のネットワーク資源ドメインに渡ってネットワーク資源の確保を実行する。これによって、転送制御機能のシステム全体におけるネットワーク資源の利用性能を向上させることができる。
【0054】
以上、詳細に説明したように、本発明のアドレス割当方法、資源管理装置及びプログラムによれば、複数のネットワーク資源ドメインを経由するパスを設定する際に、パスのネットワーク端点に割り当てられるIPアドレスが重複して割り当てられないようにすることができる。これによって、本発明によれば、パスを設定した後、IPアドレスの重複によって疎通が成功しないというケースが無くなる。
【0055】
前述した本発明の種々の実施形態について、本発明の技術思想及び見地の範囲の種々の変更、修正及び省略は、当業者によれば容易に行うことができる。前述の説明はあくまで例であって、何ら制約しようとするものではない。本発明は、特許請求の範囲及びその均等物として限定するものにのみ制約される。
【符号の説明】
【0056】
1 資源管理装置
10 通信インタフェース
11 アドレス資源蓄積部
12 パス要求受付部
13 パス設定部
14 アドレス交換部
141 問合せ要求部
142 問合せ受信部
143 未割当アドレス検索部
144 割当応答送信部
145 割当応答受信部
15 アドレス割当部
2 オペレーションクライアント
3 ノード装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のネットワーク資源ドメインを管理する第1の資源管理装置と、第2のネットワーク資源ドメインを管理する第2の資源管理装置とが接続されたシステムにおけるアドレス割当方法であって、
第1の資源管理装置は、第1のネットワーク資源ドメインの中で、ノード装置上のネットワーク端点へ割当可能なIPアドレス範囲を蓄積した第1のアドレス資源蓄積部を有し、
第2の資源管理装置は、第2のネットワーク資源ドメインの中で、ノード装置上のネットワーク端点へ割当可能なIPアドレス範囲を蓄積した第2のアドレス資源蓄積部を有し、
第1の資源管理装置が、第1のネットワーク資源ドメインに属する第1のノード装置と、第2のネットワーク資源ドメインに属する第2のノード装置との間でパスを確立すべきパス要求を、オペレーションクライアントから受信する第1のステップと、
第1の資源管理装置が、第2の資源管理装置との間で、第1のアドレス資源蓄積部の中で未割当のIPアドレスと、第2のアドレス資源蓄積部の中で未割当のIPアドレスとを交換する第2のステップと、
第1の資源管理装置及び第2の資源管理装置は、両方のアドレス資源蓄積部の中で互いに未割当のIPアドレスを、第1のノード装置及び第2のノード装置上のネットワーク端点へ割り当てる第3のステップと
を有することを特徴とするアドレス割当方法。
【請求項2】
第2のステップについて、
第1の資源管理装置が、第1のアドレス資源蓄積部の中で未割当の第1のIPアドレス範囲を含む問合せ要求を、第2の資源管理装置へ送信する第21のステップと、
第2の資源管理装置が、第1のIPアドレス範囲の中で、第2のアドレス資源蓄積部で未割当の第2のIPアドレスを、第1の資源管理装置へ送信する第22のステップと
を有することを特徴とする請求項1に記載のアドレス割当方法。
【請求項3】
第22のステップについて、第2の資源管理装置が、第1のIPアドレス範囲が全て、第2のアドレス資源蓄積部で割当済みである場合、第2のアドレス資源蓄積部の中で未割当の第2のIPアドレス範囲を、第1の資源管理装置へ送信するステップと、
第1の資源管理装置が、第2のIPアドレス範囲の中で、第1のアドレス資源蓄積部で未割当の第1のIPアドレスを、第2の資源管理装置へ送信するステップと
を有することを特徴とする請求項2に記載のアドレス割当方法。
【請求項4】
前記IPアドレス範囲は、サブネットを用いたクラスレスアドレッシング方式によって指定されることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のアドレス割当方法。
【請求項5】
前記システムは、第1のネットワーク資源ドメインと、第2のネットワーク資源ドメインとの間に、1つ以上の他のネットワーク資源ドメインが介在することを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載のアドレス割当方法。
【請求項6】
オペレーションクライアントからの指示に基づいて、前記パスが切断された場合、第1の資源管理装置及び第2の資源管理装置は、当該パスにおけるノード装置上のネットワーク端点に割り当てたIPアドレスを解放することを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載のアドレス割当方法。
【請求項7】
1つのネットワーク資源ドメインを管理する資源管理装置について、他の資源管理装置と連携して、複数のネットワーク資源ドメインがノード装置を介して接続されたネットワーク資源を管理する資源管理装置であって、
当該資源管理装置が管理するネットワーク資源ドメインの中で、ノード装置へ割当可能なIPアドレス範囲を蓄積したアドレス資源蓄積手段と、
オペレーションクライアントから、当該資源管理装置のネットワーク資源ドメインに属する第1のノード装置と、他方のネットワーク資源ドメインに属する第2のノード装置との間でパスを確立すべきパス要求を受信するパス要求受付手段と、
他方の資源管理装置との間で、当該アドレス資源蓄積部の中で未割当のIPアドレスと、他方の資源管理装置の中で未割当のIPアドレスとを交換するアドレス交換手段と、
両方の資源管理装置で互いに未割当のIPアドレスを、第1のノード装置上のネットワーク端点に割り当てるIPアドレス割当手段と
を有することを特徴とする資源管理装置。
【請求項8】
1つのネットワーク資源ドメインを管理する資源管理装置について、他の資源管理装置と連携して、複数のネットワーク資源ドメインがノード装置を介して接続されたネットワーク資源を管理する資源管理装置に搭載されたコンピュータを機能させるプログラムであって、
当該資源管理装置が管理するネットワーク資源ドメインの中で、ノード装置へ割当可能なIPアドレス範囲を蓄積したアドレス資源蓄積手段と、
オペレーションクライアントから、当該資源管理装置のネットワーク資源ドメインに属する第1のノード装置と、他方のネットワーク資源ドメインに属する第2のノード装置との間でパスを確立すべきパス要求を受信するパス要求受付手段と、
他方の資源管理装置との間で、当該アドレス資源蓄積部の中で未割当のIPアドレスと、他方の資源管理装置の中で未割当のIPアドレスとを交換するアドレス交換手段と、
両方の資源管理装置で互いに未割当のIPアドレスを、第1のノード装置上のネットワーク端点に割り当てるIPアドレス割当手段と
してコンピュータを機能させることを特徴とする資源管理装置用のプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−199723(P2012−199723A)
【公開日】平成24年10月18日(2012.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−61803(P2011−61803)
【出願日】平成23年3月18日(2011.3.18)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成22年度、独立行政法人情報通信研究機構「高度通信・放送研究開発委託研究/新世代ネットワークサービス基盤構築技術に関する研究開発 課題イ ネットワーク広域制御を利用するアプリケーションのためのフレームワーク技術」、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
【出願人】(000208891)KDDI株式会社 (2,700)
【Fターム(参考)】