説明

複数内容物収納製品の製造方法

【課題】収納容器の複数の収納部に内容物を効率よく充填する複数内容物収納製品の製造方法を提供する。
【解決手段】外容器11と、その内部に形成される2つのパウチ12と、それぞれパウチと連通する2つの筒状の連結部材17と、バルブホルダー21を有する収納容器に、上方に配置された充填口41を有する内容物充填ノズルを用いて内容物を収納部内に充填する複数内容物収納製品の製造方法。収納容器の一部であるバルブホルダー21およびパウチ12を軸中心に回転して、それぞれの連結部材17と充填口41の位置を調整し、内容物充填ノズル40を下降させることにより連結部材17と充填口41とを連結し、内容物充填ノズル40を介して収納室に内容物を充填する、

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は複数内容物収納製品の製造方法に関する。詳しくは、収納容器が有する複数の収納部にそれぞれ内容物を充填する複数内容物収納製品の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
複数の内容物を同時に吐出する容器として、2本のエアゾール容器を連結したものが知られている。また、外容器内に2つの収納部を設け、外容器の開口部にそれぞれの内容物を吐出するバルブを備えたエアゾール容器が知られている。
例えば、特許文献1の図23には、外容器と、その外容器内に収納される2つの内袋と、それぞれの内袋と連結された2つの吐出口とからなるエアゾール容器が開示されている。また、特許文献1の図35〜42には、エアゾール容器の上方に配置された並列した2つの充填口を備えた充填ノズルを用いたエアゾール容器に内容物を充填するエアゾール製品の製造方法が開示されている。この製造方法では、エアゾール容器より上方に、同軸上に配置された充填ノズルを下降させ、2つの吐出口と2つの充填口とを連結させ、バルブを介して内容物を充填させる方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】US2006−0049205号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、このように2つの吐出口を備えたエアゾール容器と、2つの充填口を備えた充填ノズルとの連結は、ただ単に同軸上に配置して下降させるだけでは、工業的には成立しない。特に、エアゾール容器をベルトコンベア等で常時供給して生産する場合、供給されるエアゾール容器と充填ノズルの向きが異なると、充填ノズルとエアゾール容器とが連結できず内容物が充填できないことがある。また、連結できないだけでなく、エアゾール容器のステムが欠けたり折れてしまう場合もある。
本発明は、収納容器の複数の収納部に内容物を効率よく充填する複数内容物収納製品の製造方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の収納製品の製造方法は、外容器と、その内部に形成される複数の収納室と、それぞれ収納室と連通する複数の連結部とを有する収納容器の収納室に、上方に配置された充填口を有する充填ノズルを用いて内容物を充填する複数内容物収納製品の製造方法であって、前記収納容器または充填ノズルの少なくとも一方を、収納容器または充填ノズルの軸中心に回転して、それぞれの連結部と充填口の位置を調整し、前記充填ノズルを下降させることにより連結部と充填口とを連結し、前記充填ノズルを介して収納室に内容物を充填することを特徴としている。
本発明の複数内容物収納製品の製造方法は、充填口を備えた複数の充填ノズルを用いて、順番に複数の収納室に内容物を充填してもよく、複数の充填口を備えた充填ノズルを用いて、複数の収納室に内容物を同時に充填してもよい。
【0006】
本発明の複数内容物収納製品の製造方法であって、前記収納容器の一部を回転させ、それぞれ連結部と充填口の位置を調整する方法、あるいは、前記充填ノズルの一部を回転させ、それぞれ連結部と充填口の位置を調整する方法が好ましい。
本発明の複数内容物収納製品の製造方法であって、前記連結部が前記収納部と連結され
るエアゾールバルブであるのが好ましい。また、本発明の複数内容物収納製品の製造方法であって、前記充填ノズルを介して収納部に内容物を充填した後、収納部にバルブを設けるのが好ましい。
【発明の効果】
【0007】
本発明の複数内容物収納製品の製造方法は、外容器と、その内部に形成される複数の収納室と、それぞれ収納室と連通する複数の連結部とを有する収納容器の収納室に、上方に配置された充填口を有する充填ノズルを用いて内容物を充填する複数内容物収納製品の製造方法であって、前記収納容器または充填ノズルの少なくとも一方を、収納容器または充填ノズルの軸中心に回転して、それぞれの連結部と充填口の位置を調整し、前記充填ノズルを下降させることにより連結部と充填口とを連結し、前記充填ノズルを介して収納室に内容物を充填するため、充填ノズルを下降させるだけで連結部と充填口とを簡単に連結させることができる。それにより効率性を上げるだけでなく、連結部等の損傷も防止できる。
【0008】
本発明の複数内容物収納製品の製造方法であって、充填口を備えた複数の充填ノズルを用いて、順番に複数の収納室に内容物を充填する場合、それぞれの充填ノズルに合わせて収納容器または充填ノズルのどちらかを回転させてもよく、1回の回転調整でそれぞれ対応する連結部と連結するように複数の充填ノズルを固定してもよい。このように内容物あるいは充填口の数によって充填ノズルの仕様を選択することができる。
本発明の複数内容物収納製品の製造方法であって、複数の充填口を備えた充填ノズルを用いて、複数の収納室に内容物を同時に充填する場合、一度に複数の内容物を複数の収納室に充填することができるため、一層効率性が高い。
【0009】
本発明の複数内容物収納製品の製造方法であって、前記収納容器の一部を回転させ、それぞれ連結部と充填口の位置を調整する場合、回転部位を小さくすることができ、微小な調整が行いやすい。
本発明の複数内容物収納製品の製造方法であって、前記充填ノズルの一部を回転させ、それぞれ連結部と充填口の位置を調整する場合、回転部位を小さくすることができ、微小な調整が行いやすい。
【0010】
本発明の複数内容物収納製品の製造方法のであって、前記連結部が前記収納部と連結されるエアゾールバルブである場合、エアゾール容器を組み立てた後に、内容物を充填することになり、製造工程を少なくすることができる。
本発明の複数内容物収納製品の製造方法であって、前記充填ノズルを介して収納部に内容物を充填した後、収納部にバルブを設ける場合、それぞれの収納室までの抵抗が小さく、内容物の高速充填が可能となる。特に、内容物が粘性物である場合、その効果は顕著となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1a〜dは、本発明の製造方法によって製造されるエアゾール容器の一実施形態を示す斜視図、上面図、上面図のX−X線断面図、Y−Y線断面図である。
【図2】図2a〜dは、本発明の製造方法の一実施形態を示す工程図である。
【図3】図3a〜dは、本発明の製造方法の他の一実施形態を示す工程図である。
【図4】図4a〜dは、本発明の製造方法のさらに他の実施形態を示す工程図である。
【図5】図5a〜dは、本発明の製造方法のさらに他の実施形態を示す工程図である。
【図6】図6a〜dは、本発明の製造方法のさらに他の実施形態を示す工程図である。
【図7】図7a〜dは、本発明の製造方法のさらに他の実施形態を示す工程図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1は、本発明の製造方法に用いられるエアゾール容器10(収納容器)を示す。このエアゾール容器10に内容物が充填されてエアゾール製品となる。本発明の製造方法が支援とする収納製品は、図1のエアゾール容器10に複数の内容物を充填したエアゾール製品に限定されるものではない。例えば、エアゾールバルブの代わりに、ポンプバルブを設けたポンプ容器に内容物を充填したポンプ製品でもよく、隔壁によって内部が2つに区画されたチューブに内容物を充填したチューブ製品でもよい。また、図1のエアゾール容器は、2つの収納室を備えているが、3つ以上の収納室を備えていても良い。
【0013】
図1のエアゾール容器10は、外容器11と、その内部に挿入される2つのパウチ(収納室)12と、それぞれのパウチ12に連結部材17を介して連結されるエアゾールバルブ13と、そのエアゾールバルブ13を外容器11の開口部に固定する固定部材14とを有する。このエアゾール容器10の2つのパウチ12内に2種類の内容物を充填し、外容器11とパウチ12との間の空間に加圧剤を充填することによりエアゾール製品10a(図2d、図3d、図4d参照)となる。
【0014】
外容器11は、胴部、肩部、首部、フランジ部11aを有する耐圧性のものである。
パウチ12は、2枚のシートを重ね合わせた袋体16からなる可撓性を有するものであり、その上端に筒状の連結部材17が貼りつけられている。連結部材17の上端には、外方に突出したフランジ部17aが形成されている。
エアゾールバルブ13は、下端にその連結部材17が連結され、上端に筒状のステム18が上下動自在に設けられている。
固定部材14は、2つのエアゾールバルブ13を保持するバルブホルダー21と、エアゾールバルブ13およびバルブホルダー21を覆い、それらを外容器11に固定するためのマウンテンカバー22とを有する。この固定部材14は、バルブホルダー21が外容器11のフランジ部11aに載置され、マウンテンカバー22の下端が外容器11のフランジ部に対してカシメられて、固定される。
【0015】
バルブホルダー21は、円柱状の本体26と、その下端から下方に延びる円筒状のシール部27と、本体の下部から外方に向かって突出するフランジ部28と、その本体を上下に貫通し、エアゾールバルブ13を挿入して保持する筒状のホルダー部29と、加圧剤を充填するためのガス充填部30とを有している。
【0016】
円筒状のシール部27は、外容器11内に挿入されるように構成されており、その外周には環状溝27aが形成されている。環状溝27aには、バルブホルダー21と外容器11とをシールするガスケット30aが設けられる。
フランジ部28は、外容器11のフランジ部11aと係合する。
ホルダー部29は、下部に内側に突出した支持部29aを備えている。ホルダー部29は、エアゾールバルブ13を受け入れ、かつ、支持部29aでエアゾールバルブ13の重量を支持する。このとき、支持部29aとエアゾールバルブ13との間には、パウチ12の連結部材17のフランジ部17aが挟まれる。この実施形態では支持部29aの上に段部29bが形成されており、この段部29bでもエアゾールバルブ13は支持される。さらにこの段部29bには、エアゾールバルブの環状シール29cが当接し、ホルダー部29をシールしている。
ガス充填部30は、本体26を上下貫通するように形成される断面円形の孔部31と、その孔部31内で上下動自在に配置されるシール材32と、そのシール材32を常時上方に付勢するバネ33とからなる。シール材32は、上端が開口し、下底を有する筒状体で
ある。このシール材32は、その上端開口が後述するマウンテンカバー22の充填口の縁部と当接するように付勢される。
【0017】
マウンテンカバー22は、上底22aを有する筒状体であり、エアゾールバルブ13およびバルブホルダー21を覆う筒状のカバー部36と、バルブホルダー21と外容器11とを固定する円筒状の固定部37とからなる。カバー部36の上底22aには、それぞれエアゾールバルブ13のステムを通す2つの挿通孔38と、ガス充填部30に対応する箇所にガス充填部30と連通するガス充填口39が形成されている。
【0018】
次に、この本発明の充填方法を用いたエアゾール製品10aの製造方法を説明する。
図2の第1の製造方法は、エアゾールバルブ13とパウチ12とを連結する前に、パウチ12の連結部材17を固定したバルブホルダー21を回転させ内容物充填ノズル40との位置調整をして、それぞれの内容物をパウチ12に連結部材の開口から直接充填する方法である。
内容物を充填する内容物充填ノズル40は、図2bに示すように、下方に並列に突出した2つの筒状のノズル口41を備えている。
加圧剤を充填するガス充填ノズル45は、図2dに示すように、下端に筒状のガスノズル口46を備えており、下端にガスノズル口46とガス充填口39の間をシールするシール材47が設けられている。
【0019】
第1の製造方法は、初め、図2aに示すように、バルブホルダー21のホルダー部29の支持部29aと、連結部材17のフランジ部17aとが係合するように、バルブホルダー21とパウチ12とを連結させる。次いで、図2bに示すように、パウチ12を連結させたバルブホルダー21を、外容器11と同軸となるように、外容器11の上方に配置する。このとき、バルブホルダー21は支持部材48でバルブホルダー21のフランジ部28を持ち上げるようにする。パウチ12の一部は外容器11内に挿入される。このとき、2つの連結部材17の上端開口部は、バルブホルダー21のホルダー部29に支持されているため、並列に並んでいる。
【0020】
この状態において、2つのノズル口41と連結部材17とが直線上に配列され、かつ、上方に配置させた内容物充填ノズル40を用いて連結部材の開口部からパウチ12内に内容物を充填する。このとき連結部材17の2つの開口部と、内容物充填ノズル40の2つのノズル口41とが上下一直線上にならなければ、内容物充填ノズル40を下降させても、ノズル口41と連結部材17の開口部とは連結しない。そのため、図2bに示すように、バルブホルダー21をそのバルブホルダー21の中心軸を中心に回転させ、連結部材17の2つの開口部が内容物充填ノズル40の2つのノズル口41と一直線上となるように調整する。バルブホルダー21の回転は、支持部材48を回転することにより行う。また、そのバルブホルダーの回転量の調整は、赤外線等のセンサーを用いた制御装置を用いて行う。
ノズル口41と連結部材17とを連結後、内容物充填ノズル40よりパウチ12内に内容物が充填される。
【0021】
内容物をパウチ12内に充填後、図2cのように、バルブホルダー21にエアゾールバルブ13を挿入し、エアゾールバルブ13と連結部材17とを連結する。さらにマウンテンカバー14を被せ、その下端をカシメて固定部37(図2d)を形成する。最後に、図2dに示すように、ガス充填口39にガス充填用ノズル45のガスノズル口46を連結させ、ガス充填口39とガスノズル口46をシール材47でシールしながら、ガス充填部30から外容器11とパウチ12の間の空間に加圧剤を充填して、エアゾール製品10aが製造される。
この第1の製造方法では、連結部材17が連結されたバルブホルダー21を回転させて
おり、外容器11は回転させていない。つまり、収納容器(外容器とパウチ)の一部を回転させたものである。また、内容物は連結部材の開口部から充填できるため、その充填速度が速く、生産効率がよい。
【0022】
図3に本発明のエアゾール製品10aの第2の製造方法を示す。この製造方法は、エアゾールバルブ13とパウチ12とを連結し、エアゾール容器10を組み立てた後に、そのエアゾール容器10を回転させて内容物ノズル40との位置調整をして、それぞれの内容物をエアゾールバルブ13を介してパウチ12に充填する方法である。また、図3のパウチ12は、その上端にフランジ部を備えていない。しかし、上端にフランジ部を設けたものを用いても同様に製造できる。
【0023】
内容物充填ノズル40およびガス充填ノズル45は、図2の内容物充填ノズル40およびガス充填ノズル45と実質的に同じものである。しかし、図3の内容物充填ノズル40およびガス充填ノズル45は、エアゾール容器10を組み立てた後に、内容物および加圧剤を充填しているため、内容物充填ノズル40とガス充填ノズル45とを一体に備えた充填装置50が使用できる。充填装置50は、エアゾール容器の上部を覆うように構成された外筒部50aと、内容物充填ノズル40およびガス充填ノズル45を備えた充填機50bとを有する。外筒部50aの下端には、エアゾール容器10の外容器(この実施形態では肩部)と係合し、エアゾール容器10を保持するシール部50cが設けられている。このシール部50cは、外筒部50a内の空間を密閉する効果も備えている。また、内容物充填ノズル40のノズル口41の開口部は、下方に向かって拡径するようにテーパー状になっている。
【0024】
図3の製造方法は、初め、図3aに示すように、エアゾール容器10を組み立てる。つまり、バルブホルダー21のホルダー部29にエアゾールバルブ13を挿入し、その後、バルブホルダー21を挟むようにして、エアゾールバルブ13の下端にパウチ12を連結する。さらに、マウンテンカバー14を被せながら、外容器11と係合させ、マウンテンカバー14の下端をカシメて固定部37を形成し、エアゾール容器10を組み立てる。
【0025】
次いで、図3bに示すように、組み立てられたエアゾール容器10と充填装置50とを同軸上に配置させる。その後、エアゾール容器10を回転させ、エアゾールバルブ13のステム18と内容物充填ノズル40のノズル口41とが一直線上に並ぶように調整する。この実施形態におけるエアゾール容器10の回転は、エアゾール容器10を回転板49に乗せて、モータ、回転ローラー等によってその回転を調整する。しかし、エアゾール容器10を直接回転ローラーで回転させてもよい。エアゾール容器10の回転量は、上述したようにセンサーを用いた制御装置を用いて行う。
【0026】
このようにエアゾールバルブ13のステム18と内容物充填ノズル40の充填口41とを一直線上に調整した後、図3cに示すように、充填装置50を下降させ、外筒部50aの下端シール部50cがエアゾール容器の外容器11の肩部と当接させてエアゾール容器10を保持する。それと同時に、充填機50bのノズル口41とエアゾールバルブのステム18とを連結する。充填ノズル40の充填口41とエアゾールバルブ13のステム18とを連結後、充填ノズル40でステム18を押し下げてエアゾールバルブ13を開き、内容物をパウチ12内に充填する。
パウチ12内に内容物を充填した後は、図3dに示すように、ステム18を開放して元の位置に戻す。最後に、ガス充填口39にガス充填用ノズル45のガスノズル口46を連結し、ガス充填部30から外容器11とパウチ12の間の空間に加圧剤を充填して、エアゾール製品10aが製造される。
【0027】
図4に本発明のエアゾール製品10aの第3の製造方法を示す。この製造方法は、エア
ゾール容器10を組み立てた後、仮アダプター55を回転調整して仮アダプターのノズル口とステム18の位置合わせをし、仮アダプター55をエアゾール容器10に取り付け、仮アダプター55を介して内容物充填ノズル40とエアゾールバルブ12とを連通させ、内容物を充填するものである。この実施形態の仮アダプター55および内容物充填ノズル40が、請求項1の充填ノズルを構成する。つまり、その充填ノズルの一部(仮アダプター55)を回転させて位置調整を行うものである。
【0028】
内容物充填ノズル40は、仮アダプター55の本体53内に挿入できるように構成された円柱体であり、内容物を送る環状通路41aと中心通路41bとを備えている。また、内容物充填ノズル40を備えた充填装置50は、エアゾール容器10を保持するシール部50cも備えている。また、環状通路41aの下端開口部を挟むように2つの環状シール材41c、dが設けられており、中心通路41bの下端開口部の外周に環状シール材41eが設けられている。
仮アダプター55は、円筒状の本体53と、その内部で回転可能に設けられた回転アダプター部54とを備えている。しかし、本体53と回転アダプター部54とが一体に回転できるようにしてもよい。
回転アダプター部54は、内容物充填ノズル40の環状通路41aと一方のステム18とを連通する第1通路56aと、内容物充填ノズル40の中心通路41bと他方のステムとを連通する第2通路56bとを備えている。
【0029】
第1通路56aの上端開口部は、環状通路41aと連結するように回転アダプター54の中心から離れており、下端開口部はステム18と連結するようにエアゾール容器10の中心から離れている。この実施形態では、回転アダプター54の中心から上端開口部までの距離(環状通路41aの半径)と、回転アダプター54の中心から下端開口部までの距離(エアゾール容器10の中心からステム18までの距離)とを同じにしており、第1通路56aは回転アダプター部54を上下に貫通する直線通路である。また、第1通路56aの下端開口部は、下方に向かって拡径したステム挿入部57aとなっている。
第2通路56bの上端開口部は、中心通路41bと連結するように回転アダプター部54の中心に形成されており、下端開口部はステム18と連結するようにエアゾール容器10の中心から離れている。この実施形態では、第2通路56bは、上端開口部から下端開口部まで2つの曲折部を有した通路である。また、第2通路56bの下端開口部は、下方に向かって拡径したステム挿入部57bとなっている。
このように形成されているため、回転アダプター部54がどのような位置(回転位置)にあっても、回転アダプター部54の第1通路56aと内容物充填ノズル40の環状通路41a、および、回転アダプター部54の第2通路56bと内容物充填ノズル40の中心通路41bとは連通する。そして、回転アダプター部54と内容物充填ノズル40との間に環状シール材41c、d、eが設けられているため、回転アダプター部54と内容物充填ノズル40との間での内容物の漏れを防止する。
【0030】
図4の製造方法は、初め、図4aに示すように、図3aと同様にエアゾール容器10を組み立てる。つまり、バルブホルダー21とエアゾールバルブ13を連結し、エアゾールバルブ13とパウチ12を連結する。そして、それらを外容器11にマウンテンカバー14で固定する。
次いで、図4bに示すように、組み立てられたエアゾール容器10を保持し、ステム18の位置と回転アダプター部54のステム挿入部57aの位置が合うように回転アダプター部54を回転させる。ここで回転アダプター54は、内容物充填ノズル40と連結した状態で回転調整してもよい。
【0031】
仮アダプター55を回転調整し、仮アダプター54と内容物充填ノズル40を連結した後、図4cに示すように、仮アダプター55と内容物充填ノズル40を下降させ、エアゾ
ールバルブ13のステム18とステム挿入部57a、57bとを連結する。それと同時に、エアゾールバルブ13のステム18を下降させてエアゾールバルブ13を開きながら、内容物を充填する。
最後に、図4dに示すように、仮アダプター55をエアゾール容器10から取り外す。そして、ガス充填口39にガス充填用ノズル45のガスノズル口46を連結させ、ガス充填口39とガスノズル口46をシール材47でシールしながら、ガス充填部30から外容器11とパウチ12の間の空間に加圧剤を充填して、エアゾール製品10aが製造される。
【0032】
図5に本発明のエアゾール製品10aの第4の製造方法を示す。この製造方法も、図4と同様に、エアゾール容器10を組み立てた後、仮アダプター60を回調整してエアゾール容器10に取り付け、仮アダプター60を介して内容物充填ノズル61とエアゾールバルブ12とを連結させ、内容物を充填するものである。この仮アダプター60も内容物充填ノズル61の一部として位置調整を行うものである。
【0033】
仮アダプター60は、円筒状の本体63と、その下端に設けられた底部64とを備えている。本体63の側壁下端には、エアゾールバルブ13のステム18を通す2つのステム係合孔65a、bが形成されており、本体63の側壁内面上部には、一方のステム係合孔65aと連通する上連通孔66aが形成されており、本体63の側壁内面下部には他方のステム係合孔65bと連通する下連通孔66bが形成されている。また、2つのステム係合孔65a、bは、エアゾールバルブ18の受け入れが容易となるように開口側に向かって拡径するようにテーパー状となっている。さらに、底部64は上述する内容物ノズル61の先端と係合できるように凹状を呈している。
【0034】
内容物充填ノズル61は、先端が円錐状となった円柱体であり、上部側面に形成された上ノズル口67aと、下部側面に形成された下ノズル口67bと、上ノズル口67aと下ノズル口67bとそれぞれ独立して連通するノズル内通路68a、bと、側面外周であって上ノズル口67aと下ノズル口67bとの間に環状シール部68とを備えている。
このように構成されており、内容物充填ノズル61を、仮アダプター60の中心孔に挿入することにより、内容物充填ノズル61と仮アダプターの向きに関係なく、上ノズル口67aと上連通孔66aが、下ノズル口67bと下連通孔66bがそれぞれ独立して連通する。
【0035】
図5の製造方法は、初め、図5aに示すように、図3aと同様にエアゾール容器10を組み立てる。つまり、バルブホルダー21とエアゾールバルブ13を連結し、エアゾールバルブ13とパウチ12を連結する。そして、それらを外容器11にマウンテンカバー14で固定する。
次いで、図5bに示すように、組み立てられたエアゾール容器10に仮アダプター60を連結する。このとき、仮アダプター60のステム係合部65a、bとエアゾールバルブのステム18とが連結するように仮アダプター60を回転させながら連結させる。しかし、エアゾール容器10を回転させながら仮アダプター60を取り付けてもよい。
【0036】
そして、図5cに示すように、仮アダプター60内に内容物充填ノズル61を挿入する。これにより上述したように、上ノズル口67aと上連通孔66aが、下ノズル口67bと下連通孔66bがシール部68によってそれぞれ独立して連通するため、内容物充填ノズル61と仮アダプター60とは、同軸上になれば、位置決めをする必要がない。上ノズル口67aと上連通孔66aおよび下ノズル口67bと下連通孔66bを連通させ、エアゾールバルブ13のステム18を下降させてエアゾールバルブ13を開きながら、内容物を充填する。
最後に、図5dに示すように、内容物充填ノズル61を上昇させ、仮アダプター60を
エアゾール容器10から取り外す。そして、ガス充填口39からガス充填部30を介して外容器11内に加圧剤を充填する。
【0037】
図6に本発明のエアゾール製品10aの第5の製造方法を示す。この製造方法は、エアゾール容器10を組み立てた後、内容物充填ノズル40(充填装置50)を回転させてエアゾール容器10との位置調整をして、それぞれの内容物をパウチ12にエアゾールバルブ13を介して充填する方法である。充填装置50は、内容物充填ノズル40とガス充填ノズル45とを備えた充填機50bが回転してエアゾール容器との回転調整をする。その他の構成は、図3の充填装置50と実質的に同じである。
図6の製造方法は、初め、図6aに示すように、図3aと同様にエアゾール容器10を組み立てる。
【0038】
次いで、図6bに示すように、組み立てられたエアゾール容器10と充填装置50とを同軸上に配置させる。その後、充填装置50の充填機50bを回転させ、エアゾールバルブ13のステム18と内容物充填ノズル40のノズル口41とが一直線上に並ぶように調整する。
内容物充填ノズル40の充填口41がエアゾールバルブ13のステム18と一直線上となるように調整した後、図6cに示すように、充填装置50を下降させ、充填口41とエアゾールバルブ13とを連結し、内容物を充填する。この工程は、図3cと実質的に同じである。
パウチ12内に内容物を充填した後は、図6dに示すように、充填口39から加圧剤を充填して、エアゾール製品10aが製造される。この工程は、図3dと実質的に同じである。
【0039】
図7の本発明のエアゾール製品10aの第6の製造方法を示す。この製造方法は、エアゾール容器10を組み立てた後、エアゾール容器10を回転させながら、それぞれの内容物充填ノズル40a、bと順番に連結させ、内容物を充填するものである。
【0040】
この実施形態では、エアゾール容器10に上方に延びる位置決め突起71が上端周縁に設けられている。この位置決め突起71は、中心軸からの距離がステム18よりも外側となるように設けられている。
この位置決め突起71は、回転しているエアゾール容器10を止めるために用いられる。例えば、図7bに示すように、位置決め突起71を係止する段部72を備えた固定リング73を回転しているエアゾール容器10(あるいはベルとコンベア上を回転させながら移動させるエアゾール容器10)の上端に配置させる。これにより、固定リング73によって回転を停止されたエアゾール容器10は常に同じ回転位置となる。また、位置決め突起71を中心軸からの距離がステム18よりも外側となるように設けることにより、固定リング73によるステム18への損傷が防止できる。
このような位置決め突起71は、図2の第1の製造方法にも用いることができる。これにより、バルブホルダー21と内容物充填ノズル40との連結を確実に行わせることができる。
【符号の説明】
【0041】
10 エアゾール容器
11 外容器
11a フランジ部
12 パウチ
13 エアゾールバルブ
14 固定部材
16 袋体
17 連結部材
17a フランジ部
18 ステム
21 バルブホルダー
22 マウンテンカバー
22a 上底
26 本体
27 シール部
27a 環状溝
28 フランジ部
29 ホルダー部
29a 支持部
29b 段部
29c 環状シール
30 ガス充填部
30a ガスケット
31 孔部
32 シール材
33 バネ
36 カバー部
38 挿通孔
39 ガス充填口
40 内容物充填ノズル
41 ノズル口
45 ガス充填ノズル
46 ガスノズル口
47 シール材
48 支持部材
49 回転板
50 充填装置
50a 外筒部
50b 充填機
50c シール部
53 本体
54 底部
55 仮アダプター
55a 貫通孔
55b 突起貫通孔
50 仮アダプター
60 仮アダプター
61 内容物充填ノズル
63 本体
64 底部
65a、b ステム係合部
66a 上連通孔
66b 下連通孔
67a 上ノズル口
67b 下ノズル口
68 環状シール部
68a、b ノズル内通路
71 位置決め突起
72 固定リング
73 段部



【特許請求の範囲】
【請求項1】
外容器と、その内部に形成される複数の収納室と、それぞれ収納室と連通する複数の連結部とを有する収納容器の収納室に、上方に配置された充填口を有する充填ノズルを用いて内容物を充填する複数内容物収納製品の製造方法であって、
前記収納容器または充填ノズルの少なくとも一方を、収納容器または充填ノズルの軸中心に回転して、それぞれの連結部と充填口の位置を調整し、
前記充填ノズルを下降させることにより連結部と充填口とを連結し、
前記充填ノズルを介して収納室に内容物を充填する、
複数内容物収納製品の製造方法。
【請求項2】
充填口を備えた複数の充填ノズルを用いて、順番に複数の収納室に内容物を充填する、請求項1記載の複数内容物収納製品の製造方法。
【請求項3】
複数の充填口を備えた充填ノズルを用いて、複数の収納室に内容物を同時に充填する、請求項1記載の複数内容物収納製品の製造方法。
【請求項4】
前記収納容器の一部を回転させ、それぞれ連結部と充填口の位置を調整する、
請求項1記載の複数内容物収納製品の製造方法。
【請求項5】
前記充填ノズルの一部を回転させ、それぞれ連結部と充填口の位置を調整する、請求項1記載の複数内容物収納製品の製造方法。
【請求項6】
前記連結部が前記収納部と連結されるエアゾールバルブである、
請求項1記載の複数内容物収納製品の製造方法。
【請求項7】
前記充填ノズルを介して収納部に内容物を充填した後、収納部にバルブを設ける、
請求項1記載の複数内容物収納製品の製造方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−131554(P2012−131554A)
【公開日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−286771(P2010−286771)
【出願日】平成22年12月22日(2010.12.22)
【出願人】(391021031)株式会社ダイゾー (130)
【Fターム(参考)】