説明

複数処理ラインシステム

【課題】ワークに対して第1及び第2処理を施す複数処理ラインシステムにおいて、第2処理の処理能力が変動しても、簡単な構成によりその変動を吸収する。
【解決手段】複数処理ラインシステムSは、第1搬送装置31とその搬送途上に設けられた第1処理装置34と、第1搬送装置31のライン下流に設けられた第2搬送装置32と、その搬送途上に設けられた第2処理装置35と、第2搬送装置32の搬送途上の第2処理装置35よりもライン下流側に設けられた第3処理装置36と、を備える。第2搬送装置32は、搬送方向に延びるように設けられワーク20を保持した袴10が搬送方向に移動自在にセットされるレール部32aと、レール部32aに搬送方向に沿って配設された複数の袴10を押し出し方式で搬送方向に送る袴送り部32bと、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワークを保持した無動力の袴を搬送しつつ、そのワークに対して複数の処理を施す複数処理ラインシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
ボトル等の容器に液を充填した製品の製造ラインでは、一般に、搬送装置により容器を保持した袴を搬送しつつ、その搬送途上に設けられた液充填装置により容器への液充填処理を施し、それに引き続いて、そのライン下流に設けられたキャッパにより容器へのキャッピング処理を施す。
【0003】
特許文献1には、ガイドレール上を搬送されるキャリア(袴)に収納された容器に液を充填し、同容器にキャップをかぶせ、容器の液レベルとキャップシールの良否を検査した後箱詰をする液充填包装ラインにおいて、ガイドレールとキャリアとによってリニアモータを構成し、ガイドレール間に配置された空容器供給装置、液充填装置、キャッパ、ケースパッカの各入口においてキャリアの走行速度をリニアモータで制御し、それによって容器の速度と各機器の処理位置とを同期し、容器同志のぶつかりを防止することが開示されている。
【特許文献1】特開平5−51087号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、スプレー製品のスプレーキャップとオーバーキャップのように2つのキャップを有する製品の製造ラインでは、2台のキャッパが連設され、それぞれ別々のキャップのキャッピング処理を施すようになっている。
【0005】
しかしながら、同じ製造ラインで単一のキャップしか有しない製品を製造する場合、キャッパの一方のみが使用され、他方のキャッパが遊休することとなる。
【0006】
本発明の課題は、ワークに対して第1及び第2処理を施す複数処理ラインシステムにおいて、第2処理の処理能力が変動しても、簡単な構成によりその変動を吸収することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成する本発明に係る複数処理ラインシステムは、
ワークを保持した無動力の袴を搬送するように構成された第1搬送装置と、
上記第1搬送装置の搬送途上に設けられ該第1搬送装置で搬送される袴に保持されたワークに対して順次所定の第1処理を施すように構成された第1処理装置と、
上記第1搬送装置のライン下流に設けられ上記第1処理装置で第1処理が施されたワークを保持し該第1搬送装置から移載された袴を搬送するように構成された第2搬送装置と、
上記第2搬送装置の搬送途上に設けられ該第2搬送装置で搬送される袴に保持されたワークに対して順次所定の第2処理を施すように構成された第2処理装置と、
上記第2搬送装置の搬送途上の上記第2処理装置よりもライン下流側に設けられ該第2搬送装置で搬送される袴に保持されたワークに対して順次所定の第3処理を施すように構成されていると共に、該第3処理に置換して該第2処理装置と同一の第2処理を施すことが可能に構成された第3処理装置と、
を備え、
上記第2搬送装置は、搬送方向に延びるように設けられワークを保持した袴が搬送方向に移動自在にセットされるレール部と、該レール部に搬送方向に沿って配設された複数の袴を押し出し方式で搬送方向に送る袴送り部と、を有する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、第2搬送装置を第1搬送装置から独立した別構成としており、また、その第2搬送装置を、レール部と袴送り部とを有し、レール部に搬送方向に沿って配設された複数の袴を袴送り部で押し出し方式で搬送方向に送る構成としているので、第2処理装置により第2処理を施すと共に第3処理装置により第3処理を施す場合と第2及び第3処理装置の両方により第2処理を施す場合とで第2処理の処理能力が変動しても、第2搬送装置におけるレール部に配設された袴を袴送り部で押し出し方式で送り搬送するといった簡単な構成により、その運転制御を変更することで、第2処理の処理能力の変動を吸収することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0010】
(液充填・キャッピング処理ラインシステムS)
本実施形態に係る液充填・キャッピング処理ラインシステムS(複数処理ラインシステム)は、袴10に保持されたボトル容器やスプレー缶等の容器20を搬送しつつ、その容器20に対して洗剤や薬剤等の液を充填する液充填処理(第1処理)及びキャップを取り付けるキャッピング処理(第2処理)を含む複数処理を施すものである。
【0011】
図1(a)〜(c)は、液充填・キャッピング処理ラインシステムSで用いられる袴10の一例を示す。
【0012】
この袴10は、矩形細長のプレート状本体11に長さ方向に沿って複数の円形孔11a(図1では3つ)が形成され、各円形孔11aに容器保持具12が嵌め込み固定されたものである。また、袴10のプレート状本体11の裏面側には、幅方向両側のそれぞれに長さ方向に沿って複数の小車輪13(図1では4つ)が相互に間隔をおいて設けられている。従って、この袴10は自走能力を有さない無動力のものである。
【0013】
図2は、液充填・キャッピング処理ラインシステムSを示す。
【0014】
この液充填・キャッピング処理ラインシステムSは、並行して延びるように設けられた第1及び第2搬送装置31,32とそれらの一端に隣接して設けられた移載装置33とを備えている。また、第1及び第2搬送装置31,32の他端側には移載機構が構成されており、全体としてループ状搬送機構が構成されている。
【0015】
第1搬送装置31は、搬送方式が特に限定されるものではなく、例えば、袴10を載せて搬送する単一又は複数の搬送ベルトで構成されたベルト搬送方式等のものが挙げられる。そして、第1搬送装置31は、長さ方向が搬送方向に一致するように設けられた袴10を搬送方向の一端側から他端側に向かって搬送するように構成されている。
【0016】
第2搬送装置32は、第1搬送装置31のライン下流に位置付けられており、搬送方向に延びるように設けられたレール部32aと、レール部32aに配設された複数の袴10を送り搬送する袴送り部32bと、を有する。
【0017】
レール部32aは、搬送方向に並行に延びる一対のレール321aで構成されており、図3(a)及び(b)に示すように、袴10の裏面の幅方向両側の一方の小車輪13の外周面が一方のレール321aに、また、他方の小車輪13の外周面が他方のレール321aにそれぞれ当接し、それによって袴10が搬送方向に移動自在にセットされるように構成されている。
【0018】
袴送り部32bは、レール部32aの一端側に設けられた袴押込機321bと他端側に設けられた袴引出機322bとで構成されている。袴押込機321b及び袴引出機322bは、同期して搬送方向の一定長さを往復動作するように構成されており、レール部32aに搬送方向に沿って配設された複数の袴10の列に対し、袴押込機321bによって複数の袴10を押し込む一方、袴引出機322bによって袴押込機321bによる押し込みに対して抵抗しつつ複数の袴10を引き抜き、それによって各袴10間に間隙が形成されないように複数の袴10の列を形成して押し出し方式で袴10を搬送方向に送るように構成されている。
【0019】
移載装置33は、第1搬送装置31の一端に搬送されてきた単一又は複数の袴10を横送りして第2搬送装置32のレール部32aにセットするように構成されている。第1及び第2搬送装置32の他端側の移載機構は、第2搬送装置32の他端に搬送されてきた袴10を第1搬送装置31にセットするように構成されている。
【0020】
この液充填・キャッピング処理ラインシステムSは、第1搬送装置31の搬送途上における一端よりもややライン上流側に設けられた液充填装置34(第1処理装置)を備えている。
【0021】
液充填装置34は、第1搬送装置31で搬送される袴10に保持された容器20に対して順次液を充填する液充填処理(第1処理)を施すように構成されている。液充填装置34のヘッド数、つまり、一処理での最大処理可能容器数は例えば1〜48である。
【0022】
この液充填・キャッピング処理ラインシステムSは、第2搬送装置32の搬送途上に一端側から他端側に向かって設けられた前側キャッパ35(第2処理装置)及びそのライン下流側の後側キャッパ36(第3処理装置)と容器抜取装置37と空容器供給装置38とエアクリーナー39とを備えている。
【0023】
前側キャッパ35は、第2搬送装置32で搬送される袴10に保持された容器20に対して順次キャップを取り付けるキャッピング処理(第2処理)を施すように構成されている。前側キャッパ35のヘッド数、つまり、一処理での最大処理可能容器数は例えば1〜48である。
【0024】
後側キャッパ36は、第2搬送装置32で搬送される袴10に保持された容器20に対して順次キャップを取り付けるキャッピング処理を施すように構成されている。後側キャッパ36は、前側キャッパ35により第1キャップを取り付けるキャッピング処理するのに加えて、第1キャップとは別に第2キャップを取り付けるキャッピング処理(第3処理)することも、また、前側キャッパ35と同時に第1キャップを取り付けるキャッピング処理することも可能に構成されている。後側キャッパ36のヘッド数、つまり、一処理での最大処理可能容器数は、例えば1〜48であり、前側キャッパ35と後側キャッパ36とで異なるキャッピング処理を施す場合に効率的に両方の処理を施すことができることから、前側キャッパ35と同一であることが好ましい。
【0025】
容器抜取装置37は、第2搬送装置32で搬送される袴10に保持された容器20を抜き取って回収するように構成されている。
【0026】
空容器供給装置38は、第2搬送装置32で搬送される袴10に空の容器20を供給するように構成されている。
【0027】
エアクリーナー39は、第2搬送装置32で搬送される袴10に保持された空の容器20に対してエアを吹き付ける容器20の内部清浄化処理を施すように構成されている。
【0028】
なお、第1及び第2搬送装置32、移載装置33、液充填装置34、前側及び後側キャッパ36等の各装置は図示しない制御装置に接続されており、制御装置が各装置を運転制御するように構成されている。
【0029】
以上の構成の液充填・キャッピング処理ラインシステムSでは、第2搬送装置32で搬送する袴10に対し、空容器供給装置38により空の容器20を供給した後、袴10に保持された容器20に対し、エアクリーナー39によりエアを吹き付けて容器20の内部清浄化処理を施す。次いで、袴10を第1搬送装置31に移載した後、第1搬送装置31で搬送する袴10に保持された容器20に対し、液充填装置34により容器20に液を充填する液充填処理を施す。続いて、移載装置33により袴10を第1搬送装置31から第2搬送装置32に移載した後、第2搬送装置32で搬送する袴10に保持された容器20に対し、前側及び後側キャッパ36により容器20にキャッピング処理を施す。そして、第2搬送装置32で搬送する袴10から、容器抜取装置37により容器20を抜き取って回収する。なお、第1及び第2搬送装置32は、処理に合わせてステップ状に袴10を搬送し、液充填処理能力(単位時間当たりの液充填容器数)とキャッピング処理能力(単位時間当たりのキャッピング容器数)とが一致するように運転制御される。
【0030】
(動作説明)
次に、この液充填・キャッピング処理ラインシステムSの動作を詳細に説明する。なお、以下では、各袴10が3個の容器20を保持するものであって、液充填装置34が9ヘッド、前側キャッパ35が6ヘッド、及び後側キャッパ36が6ヘッドである構成のものを例として説明するが、特にこれに限定されるものではない。
【0031】
<動作パターン1>
動作パターン1は、第1及び第2搬送装置31,32で搬送する袴10に保持された容器20に対し、液充填装置34により液充填処理を施した後、前側キャッパ35により第1キャップのキャッピング処理を施すのに続き、後側キャッパ36により第2キャップのキャッピング処理を施すものである。
【0032】
図4は、動作パターン1における袴10の経時的な搬送動作を示す。
【0033】
ステップ1では、第1搬送装置31において、E〜Eの袴10を移載装置33に送り出すと共にF〜Hの袴10を袴3個分、つまり、容器9個分だけ搬送方向に搬送し、移載装置33において、C〜C及びD〜Dのそれぞれ3個ずつの袴10を第2搬送装置32側に横送りし、第2搬送装置32において、A〜Bの袴10を袴2個分、つまり、容器6個分だけ搬送方向に押し出し搬送し、続くステップ2に進む。このとき、第2搬送装置32のレール部32aには移載装置33までの間に袴2個分の間隙が生じる。
【0034】
ステップ2では、第2搬送装置32において、A〜Bの袴10を袴2個分、つまり、容器6個分だけ搬送方向に押し出し搬送し、続くステップ3に進む。このとき、第2搬送装置32のレール部32aには移載装置33までの間に袴4個分の間隙が生じる。
【0035】
ステップ3では、移載装置33から第2搬送装置32にC〜Cの袴10を移載してBの袴10の後端にCの袴10の前端を当接させ、続くステップ4に進む。このとき、第2搬送装置32のレール部32aの移載装置33までの隙間が袴1個分に減じる。
【0036】
ステップ4では、第1搬送装置31において、F〜Fの袴10を移載装置33に送り出すと共にG〜Iの袴10を袴3個分、つまり、容器9個分だけ搬送方向に搬送し、移載装置33において、D〜D及びE〜Eのそれぞれ3個ずつの袴10を第2搬送装置32側に横送りし、第2搬送装置32において、A〜Cの袴10を袴2個分、つまり、容器6個分だけ搬送方向に押し出し搬送し、続くステップ5に進む。このとき、第2搬送装置32のレール部32aには移載装置33までの間に袴3個分の間隙が生じる。
【0037】
ステップ5では、移載装置33から第2搬送装置32にD〜Dの袴10を移載してCの袴10の後端にDの袴10の前端を当接させる。このとき、第2搬送装置32のレール部32aの移載装置33までの隙間が無くなる。このステップ5の状態はステップ1の前側階と同一状態であり、従って、ステップ5に続いて再びステップ1に戻り、以降同一動作を繰り返す。
【0038】
この動作パターン1では、ステップ1〜3間において、液充填装置34に位置付けられたF、F及びGの袴10に保持された9個の容器20に対し液充填処理を施し、ステップ4〜5間において、液充填装置34に位置付けられたG、G及びHの袴10に保持された9個の容器20に対し液充填処理を施す。また、ステップ1〜2間、ステップ2〜4間、及びステップ4〜1間のそれぞれにおいて、前側キャッパ35に位置付けられた袴10に保持された6個の容器20に対し第1キャップのキャッピング処理を施すと共に、後側キャッパ36に位置付けられた袴10に保持された6個の容器20に対し第2キャップのキャッピング処理を施す。従って、1回の動作サイクルの間に、18個の容器20に対して液充填処理を施し、同様に、18個の容器20に対してキャッピング処理を施し、このようにして、液充填能力とキャッピング能力とを一致させている。
【0039】
<動作パターン2>
動作パターン2は、容器20に対し、液充填装置34により液充填処理を行った後、前側及び後側キャッパ36によりキャップのキャッピング処理を行うものである。
【0040】
図5は、動作パターン2における袴10の経時的な搬送動作を示す。
【0041】
ステップ1では、第1搬送装置31において、E〜Eの袴10を移載装置33に送り出すと共にF〜Hの袴10を袴3個分、つまり、容器9個分だけ搬送方向に搬送し、移載装置33において、C〜C及びD〜Dのそれぞれ3個ずつの袴10を第2搬送装置32側に横送りし、第2搬送装置32において、A〜Bの袴10を袴4個分、つまり、容器12個分だけ搬送方向に押し出し搬送し、続くステップ2に進む。このとき、第2搬送装置32のレール部32aには移載装置33までの間に袴4個分の間隙が生じる。
【0042】
ステップ2では、移載装置33から第2搬送装置32にC〜Cの袴10を移載してBの袴10の後端にCの袴10の前端を当接させ、続くステップ3に進む。このとき、第2搬送装置32のレール部32aの移載装置33までの隙間が袴1個分に減じる。
【0043】
ステップ3では、第1搬送装置31において、F〜Fの袴10を移載装置33に送り出すと共にG〜Iの袴10を袴3個分、つまり、容器9個分だけ搬送方向に搬送し、移載装置33において、D〜D及びE〜Eのそれぞれ3個ずつの袴10を第2搬送装置32側に横送りし、第2搬送装置32において、A〜Cの袴10を袴4個分、つまり、容器12個分だけ搬送方向に押し出し搬送し、続くステップ4に進む。このとき、第2搬送装置32のレール部32aには移載装置33までの間に袴5個分の間隙が生じる。
【0044】
ステップ4では、移載装置33から第2搬送装置32にD〜Dの袴10を移載してCの袴10の後端にDの袴10の前端を当接させ、続くステップ5に進む。このとき、第2搬送装置32のレール部32aの移載装置33までの隙間が袴2個分に減じる。
【0045】
ステップ5では、第1搬送装置31において、G〜Gの袴10を移載装置33に送り出すと共にH〜Jの袴10を袴3個分、つまり、容器9個分だけ搬送方向に搬送し、移載装置33において、E〜E及びF〜Fのそれぞれ3個ずつの袴10を第2搬送装置32側に横送りし、第2搬送装置32において、A〜Dの袴10を袴4個分、つまり、容器12個分だけ搬送方向に押し出し搬送し、続くステップ6に進む。このとき、第2搬送装置32のレール部32aには移載装置33までの間に袴6個分の間隙が生じる。
【0046】
ステップ6では、移載装置33から第2搬送装置32にE〜Eの袴10を移載してDの袴10の後端にEの袴10の前端を当接させ、続くステップ7に進む。このとき、第2搬送装置32のレール部32aの移載装置33までの隙間が袴3個分に減じる。
【0047】
ステップ7では、第1搬送装置31において、H〜Hの袴10を移載装置33に送り出すと共にI〜Kの袴10を袴3個分、つまり、容器9個分だけ搬送方向に搬送し、移載装置33において、F〜F及びG〜Gのそれぞれ3個ずつの袴10を第2搬送装置32側に横送りし、続くステップ8に進む。
【0048】
ステップ8では、移載装置33から第2搬送装置32にF〜Fの袴10を移載してEの袴10の後端にFの袴10の前端を当接させる。このとき、第2搬送装置32のレール部32aの移載装置33までの隙間が無くなる。このステップ8の状態はステップ1の前側階と同一状態であり、従って、ステップ8に続いて再びステップ1に戻り、以降同一動作を繰り返す。
【0049】
この動作パターン2では、ステップ1〜2間において、液充填装置34に位置付けられたF、F及びGの袴10に保持された9個の容器20に対し液充填処理を施し、ステップ3〜4間において、液充填装置34に位置付けられたG、G及びHの袴10に保持された9個の容器20に対し液充填処理を施し、ステップ5〜6間において、液充填装置34に位置付けられたH、H及びIの袴10に保持された9個の容器20に対し液充填処理を施し、ステップ7〜8間において、液充填装置34に位置付けられたI、I及びJの袴10に保持された9個の容器20に対し液充填処理を施す。また、ステップ1〜3間、ステップ3〜5間、及びステップ5〜1間のそれぞれにおいて、前側及び後側キャッパ36に位置付けられた袴10に保持された12個の容器20に対しキャップのキャッピング処理を施す。従って、1回の動作サイクルの間に、36個の容器20に対して液充填処理を施し、同様に、36個の容器20に対してキャッピング処理を施し、このようにして、液充填能力とキャッピング能力とを一致させている。
【0050】
以上に説明したように、本実施形態に係る液充填・キャッピング処理ラインシステムSでは、第2搬送装置32を第1搬送装置31から独立した別構成としており、また、その第2搬送装置32を、レール部32aと袴送り部32bとを有し、レール部32aに搬送方向に沿って配設された複数の袴10を袴送り部32bで押し出し方式で搬送方向に送る構成としているので、上記動作パターン1のように前側キャッパ35により第1キャップのキャッピング処理を施すと共に後側キャッパ36により第2キャップのキャッピング処理を施す場合と、上記動作パターン2のように前側及び後側キャッパ36の両方で同一のキャップのキャッピング処理を施す場合とでキャッピング処理の処理能力が変動しても、第2搬送装置32におけるレール部32aに配設された袴10を袴送り部32bで押し出し方式で送り搬送するといった簡単な構成により、上記のように、その運転制御を変更することで、キャッピング処理の処理能力の変動を吸収することができる。
【0051】
なお、本実施形態では、液充填・キャッピング処理ラインシステムSを対象としたが、特にこれに限定されるものではなく、ワークを保持した無動力の袴を搬送しつつ、そのワークに対して複数の処理を施す複数処理ラインシステムであれば、他のものであってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0052】
本発明は、ワークを保持した無動力の袴を搬送しつつ、そのワークに対して複数の処理を施す複数処理ラインシステムについて有用である。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】袴の(a)平面図(b)正面図及び(c)側面図である。
【図2】実施形態に係る液充填・キャッピング処理ラインシステムの構成を模式的に示す説明図である。
【図3】レール部への袴のセット状態を示す(a)正面図及び(b)側面図である。
【図4】動作パターン1における袴の経時的な搬送動作を示す説明図である。
【図5】動作パターン2における袴の経時的な搬送動作を示す説明図である。
【符号の説明】
【0054】
S 液充填・キャッピング処理ラインシステム(複数処理ラインシステム)
10 袴
20 容器
31 第1搬送装置
32 第2搬送装置
32a レール部
32b 袴送り部
34 液充填装置(第1処理装置)
35 前側キャッパ(第2処理装置)
36 後側キャッパ(第3処理装置)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワークを保持した無動力の袴を搬送するように構成された第1搬送装置と、
上記第1搬送装置の搬送途上に設けられ該第1搬送装置で搬送される袴に保持されたワークに対して順次所定の第1処理を施すように構成された第1処理装置と、
上記第1搬送装置のライン下流に設けられ上記第1処理装置で第1処理が施されたワークを保持し該第1搬送装置から移載された袴を搬送するように構成された第2搬送装置と、
上記第2搬送装置の搬送途上に設けられ該第2搬送装置で搬送される袴に保持されたワークに対して順次所定の第2処理を施すように構成された第2処理装置と、
上記第2搬送装置の搬送途上の上記第2処理装置よりもライン下流側に設けられ該第2搬送装置で搬送される袴に保持されたワークに対して順次所定の第3処理を施すように構成されていると共に、該第3処理に置換して該第2処理装置と同一の第2処理を施すことが可能に構成された第3処理装置と、
を備え、
上記第2搬送装置は、搬送方向に延びるように設けられワークを保持した袴が搬送方向に移動自在にセットされるレール部と、該レール部に搬送方向に沿って配設された複数の袴を押し出し方式で搬送方向に送る袴送り部と、を有する複数処理ラインシステム。
【請求項2】
上記ワークが容器、上記第1処理装置による第1処理が液充填装置による容器への液充填処理、及び上記第2処理装置による第2処理がキャッパによる容器へのキャッピング処理である請求項1に記載された複数処理ラインシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−154937(P2009−154937A)
【公開日】平成21年7月16日(2009.7.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−336871(P2007−336871)
【出願日】平成19年12月27日(2007.12.27)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】