説明

複数型のヒトパピローマウイルスに由来する核酸の検出

【課題】発ガンリスクに関連する感染因子の診断検出、特に、核酸配列を検出するためのインビトロ核酸増幅及び検出アッセイ方法によりヒトパピローマウイルス(HPV)を検出するための組成物及びアッセイ方法を提供する。
【解決手段】生物試料中に含有される複数の型のヒトパピローマウイルス(HPV)核酸配列を検出するための核酸配列及び方法。インビトロで多型のHPV核酸を増幅するための核酸オリゴマー及び増幅したHPV配列を検出するための核酸検出プローブ配列を収容したキット。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、米国35U.S.C.119(e)により、仮特許出願第60/634,458号(2004年12月8日出願)に基づく優先権を主張し、これを本明細書に援用する。
【0002】
発明の分野
本発明は、発ガンリスクに関連する感染因子の診断検出、特に、核酸配列を検出するためのインビトロ核酸増幅及び検出アッセイ方法によりヒトパピローマウイルス(HPV)を検出するための組成物及びアッセイ方法に関する。
【背景技術】
【0003】
ヒトパピローマウイルス(HPV)は上皮組織を感染の標的とし、主として、扁平上皮ガン及び腺ガン等の様々なガンの病因である。HPV関連のガンとしては、頭頚部(喉頭、口腔、中咽頭、扁桃腺及び食道)、呼吸器、胸部、皮膚、子宮頚及び肛門のガンがあげられる。HPV感染はあるガンの発症に必要な要因と考えられるが、他の要因もまた発ガンに影響を及ぼしうる(Braakhuis et al., 2004, J. Natl. Cancer Inst. 96(13): 998-1006; Dahlstrand et al., 2004, Anticancer Res. 24(3b): 1829-35; Daling et al., 2004, Cancer 101(2): 270-80; Ha et al., 2004, Crit. Rev. Oral Biol. Med. 15(4): 188-96; Hafkamp et al., Acta Otolaryngol. 124(4): 520-6; Harwood et al., 2004, Br.
J. Dermatol. 150(5): 949-57; Rees et al., 2004, Clin. Otolaryngol. 29(4): 301-6; Widschwendter et al., 2004, J. Clin. Virol. 31(4): 292-7)。
【0004】
少なくとも77の異なる型のHPVが同定されている。そのうち、HPV16及びHPV18は頻繁に様々なHPV関連のガンに関係づけられているが、HPV型に関連するリスクレベルはパピローマ関連ガンの形態の相異に応じて異なる場合がある。ガンに対するHPV感染の関係を解明するために、上皮におけるヒトパピローマウイルスの病原性が研究された。HPVは重層上皮の基底層細胞に感染して、多コピーのエピソーム又は組み込まれたゲノムとして定着し、これによりウイルスDNAは細胞染色体と共に複製される(Longworth et al., 2004, Microbiol. MoI. Biol. Rev. 68(2):362-72により概説)。細胞分裂時に娘細胞は基底層から移動して分化し、その際、栄養性HPVウイルス複製及び後期遺伝子発現が活性化されて子孫HPVが産生される。感染した個体の免疫系が通常1〜2年以内にHPV感染を浄化することはあるが、感染した基底細胞が数十年間存続する場合もある。HPV感染により染色体が不安定となり、異数化し、それによりHPV組込みが促進される(Melsheimer et al., 2004, Clin. Cancer Res. 10(9): 3059-63; Reidy et al., 2004, Laryngoscope 114(11): 1906-9)。HPVのゲノム組込みに際して、HPV E2遺伝子が破壊され、その結果、調節タンパク質pRb及びp53を標的とするガンタンパク質をコードするHPV E6/E7 5ガン遺伝子が脱制御発現する可能性がある。このように、細胞調節を変化させる一連の事象の結果、発ガンがおこる可能性がある(Braun et al., 2004, Cancer Lett. 209(1): 37-49; Fan et al., 2004, Crit. Rev. Eukaryot. Gene Expr. 14(3): 183-202; Fiedler et al., 2004, FASEB J. 18(10): 1120-2; Psyrri et al., 2004, Cancer Res., 64(9): 3079-86; Si et al., 2004, J. Clin. Virol. 32(1): 19-23)。
【0005】
子宮頚ガンの発症率は世界的に高く、新たな発症例が年450,000例と推定されており、HPV感染と子宮頚ガンの関連が多くの研究及び疫学調査の課題であった。子宮頚ガン発症のリスクが高い関連するHPV型(HR−HPV)としては、個々の型の疫学的
重要性が地理的領域の相異又は臨床試験パラメーターに応じて異なる可能性があるものの、HPV型16、18、31、33、35、39、45、51、52、56、58、59、66、68及び73があげられる(Munoz et al., 2004, Int. J. Cancer 111(2) : 278-85; Chaturvedi et al., 2005, J. Med. Virol. 75(1): 105-13; Smith et al., 2004, Int. J. Gynaecol. Obstet. 87(2): 131-7)。一般に子宮頚ガン発症のリスクが低い(L
R−HPV)と考えられるHPV感染としては、HPV型6、11、43、43、44、61、71及び72があげられる。
【0006】
HPV感染した女性では、子宮頚感染によりコンジローム(生殖器いぼ)、子宮頚上皮内新生物(CIN)、及び子宮頚ガンがおこる可能性がある(Kahn et al., 2004, Adolesc. Med. Clin 15(2): 301-21, ix)。子宮頚細胞の細胞学的検査は多くの国で子宮頚ガン検出のための主なスクリーニング手段であり、治療法の決定及び/又はその後のモニタリングのため、通常はCIN等級システム(1〜3)を用いて前ガン病変を監視している。細胞学的スクリーニングのほか、HPV核酸の分子スクリーニングは細胞学的検査の間隔を延ばすことができる、経費的に有効な予後検査となりうる(Wiley et al., 2004, Curr. Oncol. Rep. 6(6): 497-506; Zielinski et al., 2004, Obstet. Gynecol. Surv. 59(7): 543-53; Clavel et al., 2004, Br. J. Cancer 90(9): 1803-8)。分子アッセイ方法はヒトの生物検体、例えばパパニコラウス塗抹標本中の特定のHPVタンパク質及び核酸配列を検出するために開発された(Chen et al., 2005, Gynecol. Oncol. 99(3): :578-84; Carozzi et al., 2005, Am. J. Clin. Pathol. 124(5): 716-21; Molden et al., 2005, Cancer Epidemiol. Biomarkers Prev. 14(2): 367-72; Asato et al., 2004, J. Infect. Dis. 189(1): 1829-32; Federschneider et al., 2004, Am. J. Obstet. Gynecol. 191(3): 757-61; Remmerbach et al., J. Clin. Virol. 30(4):302-8)。
【0007】
共通のHPV型に対するワクチン接種は、生殖器いぼであるコンジロームの治療若しくは予防、又はガン、特に子宮頚ガンの発症予防に有用であろう。様々な形態のHPVワクチン化が開発又は試験中である(Ault et al.,2004, Vaccine 22(23-24): 3004-7; Corona
Gutierrez et al., 2004, Hum. Genet. Ther. 15(5): 421-31; Harper et al., 2004, Lancet 364(9447): 1757-65; Roden et al., 2004, Hum. Pathol. 35(8):971-82)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
HPV感染患者、特に子宮頚組織にHR−HPV型が感染した女性の診断及び予後情報を医師に提供すべく、生物検体中のHPVの存在を効果的に高感度で検出することが求められる。ワクチン接種の短期及び長期有効性を判定すべく、HPV感染のワクチン接種を受けた個体から得た生物検体中のHPVの存在を効果的に高感度で検出することも求められる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
発明の概要
本発明は、生物試料中に存在する可能性のある複数のHPV型の核酸配列を検出するための組成物及び方法を含む。
【0010】
本発明の1の側面では、増幅オリゴマー混合物が提供され、混合物中の個々のオリゴマー配列は配列番号18〜配列番号42よりなる群から選択され、前記群には前記特定配列の相補的オリゴマー配列又はRNA均等物が含まれる。本混合物の好ましい態様としては、配列番号19若しくは42、21、23、25、27、29、31、33及び35の第1増幅オリゴマー、並びに配列番号37、38、39、40及び41の第2増幅オリゴマー、又は前記オリゴマー配列の相補的オリゴマー配列若しくはRNA均等物が含まれる。他の好ましい態様では、配列番号18、20、22、24、26、28、30、32、3
4及び36の第1増幅オリゴマー、並びに配列番号37、38、39、40及び41の第2増幅オリゴマー、又は前記オリゴマー配列の相補的オリゴマー配列若しくはRNA均等物があげられる。他の好ましい態様としては、配列番号19若しくは42、21、23、25、27、29、31、33及び35の第1増幅オリゴマー、並びに配列番号38、39、40及び41の第2増幅オリゴマー、又は前記オリゴマー配列の相補的オリゴマー配列若しくはRNA均等物があげられる。他の好ましい態様としては、配列番号18、20、22、24、26、28、30、32、34及び36の第1増幅オリゴマー、並びに配列番号38、39、40及び41の第2増幅オリゴマー、又は前記オリゴマー配列の相補的オリゴマー配列若しくはRNA均等物があげられる。オリゴマー混合物のある態様では、1以上の個々のオリゴマーが、少なくとも1つの2’−メトキシRNA基、少なくとも1つの2’−フルオロ置換RNA基、少なくとも1つのペプチド核酸結合、少なくとも1つのホスホロチオエート結合、少なくとも1つのメチルホスホネート結合又は前記いずれかの組合わせを含む主鎖があげられる。前記の混合物の態様は、キットに収容されていてもよい。
【0011】
本発明の他の側面では、オリゴマー混合物が提供され、混合物中の個々のオリゴマー配列は配列番号11〜配列番号17、配列番号44〜配列番号54、及び配列番号58よりなる群から選択され、前記群には前記特定配列の相補的オリゴマー配列又はRNA均等物が含まれる。この混合物の好ましい態様としては、配列番号11〜17又は前記オリゴマー配列の相補的オリゴマー配列若しくはRNA均等物があげられる。他の好ましい態様としては、配列番号11〜15及び17、又は前記オリゴマー配列の相補的オリゴマー配列若しくはRNA均等物があげられる。他の好ましい態様としては、配列番号11〜15及び17、並びに少なくとも1つの配列番号44〜配列番号54及び配列番号58のオリゴマー、又は前記オリゴマー配列の相補的オリゴマー配列若しくはRNA均等物があげられる。他の好ましい態様としては、配列番号11、12、14、15、17、44、45及び52、又は前記オリゴマー配列の相補的オリゴマー配列若しくはRNA均等物があげられる。混合物の好ましい態様としては、各オリゴマー配列が、前記オリゴマーに直接又は間接的に結合した標識を含むものがあげられる。ある好ましい態様では、各オリゴマー配列が化学発光性化合物である標識があげられ、これはより好ましくはアクリジニウムエステル(AE)化合物である。混合物のある好ましい態様では、各オリゴマー配列が少なくとも1つの2’−メトキシRNA基を含む主鎖を有する。前記の混合物の態様は、キットに収容されていてもよい。
【0012】
本発明の他の側面では、少なくとも2つのオリゴマーの混合物が提供され、混合物中の個々のオリゴマー配列は配列番号1〜10よりなる群から選択され、前記群には前記特定配列の相補的オリゴマー配列又はRNA均等物があげられる。この混合物の好ましい態様としては、配列番号2、4、6、8及び10から選択される少なくとも2つのオリゴマーであって、リガンド部分が各オリゴマーに結合したものがあげられる。混合物の他の好ましい態様としては、配列番号2、4、6、8及び10のオリゴマーであって、リガンド部分が各オリゴマーに結合したものがあげられる。混合物の他の好ましい態様としては、配列番号1、3、5、7及び9から選択される少なくとも2つのオリゴマーがあげられる。混合物の他の好ましい態様としては、配列番号1、3、5、7及び9のオリゴマーがあげられる。ある好ましい態様としては、少なくとも1つのオリゴマーが、少なくとも1つの2’−メトキシRNA基、少なくとも1つの2’−フルオロ置換RNA基、少なくとも1つのペプチド核酸結合、少なくとも1つのホスホロチオエート結合又は少なくとも1つのメチルホスホネート結合を含む主鎖を有する。前記の混合物の好ましい態様は、キットに収容されている。
【0013】
本発明の他の側面では、生物試料中に存在するヒトパピローマウイルス(HPV)核酸を検出するための、下記の工程を含む方法が提供される:HPV型16、18、31、33、35、39、45、51、52、56、58、59及び68のうち少なくとも1つのRNAを含有する生物試料中の核酸を、E6/E7標識領域配列内のHPV配列を増幅する増幅オリゴマーの混合物と接触させ、前記際、混合物は多型のHPV標識領域配列を増幅するための第1増幅オリゴマー及び第2増幅オリゴマーから構成され;少なくとも1つのHPV型中の標識領域配列に由来するHPV配列を、増幅オリゴマー及び核酸ポリメラーゼによりインビトロで増幅して、HPV増幅生成物を生成させ;HPV増幅生成物と特異的にハイブリダイズするのに十分に相補的である検出プローブオリゴマーを用いて増幅生成物を検出して、試料中にHPV16、18、31、33、35、39、45、51、52、56、58、59及び68型のうち少なくとも1つが存在することを示す。好ましい態様では、増幅工程に、配列番号19若しくは42、21、23、25、27、29、31、33及び35の第1増幅オリゴマー、並びに配列番号37、38、39、40及び41の第2増幅オリゴマー又は前記オリゴマー配列の相補的オリゴマー配列若しくはRNA均等物を用いる。他の好ましい態様では、増幅工程に、配列番号18、20、22、24、26、28、30、32、34及び36の第1増幅オリゴマー並びに配列番号37、38、39、40及び41の第2増幅オリゴマー又は前記オリゴマー配列の相補的オリゴマー配列若しくはRNA均等物を用いる。好ましい1態様では、増幅工程に、配列番号19若しくは42、21、23、25、27、29、31、33及び35の第1増幅オリゴマー、並びに配列番号38、39、40及び41の第2増幅オリゴマー又は前記オリゴマー配列の相補的オリゴマー配列若しくはRNA均等物を用いる。他の好ましい態様では、増幅工程に、配列番号18、20、22、24、26、28、30、32、34及び36の第1増幅オリゴマー並びに配列番号38、39、40及び41の第2増幅オリゴマー又は前記オリゴマー配列の相補的オリゴマー配列若しくはRNA均等物を用いる。この方法の好ましい態様はさらに、増幅工程の前に、試料中のHPV RNAと捕捉オリゴマーを接触させることにより、HPV型16、18、31、33、35、39、45、51、52、56、58、59及び68のうち少なくとも1つのRNAを試料中の他の成分から分離し、そして捕捉オリゴマー及びHPV RNAを含む複合体を試料中の他の成分から分離する工程を含む。この分離工程を含む好ましい態様としては、捕捉オリゴマーは少なくとも2つのオリゴマーから構成される捕捉オリゴマー混合物中に存在し、混合物中の個々のオリゴマー配列は配列番号1〜10よりなる群から選択され、前記群には前記特定配列の相補的オリゴマー配列又はRNA均等物があげられる。この分離工程を含む方法の好ましい態様では、捕捉オリゴマーは下記の:配列番号2、4、6、8及び10から選択される少なくとも2つのオリゴマーであって、リガンド部分が各オリゴマーに結合したもの;又は配列番号2、4、6、8及び10のオリゴマーであって、リガンド部分が各オリゴマーに結合したもの;又は配列番号1、3、5、7及び9から選択される少なくとも2つのオリゴマー;又は配列番号1、3、5、7及び9のオリゴマーから構成される捕捉オリゴマー混合物中に存在する。この方法の好ましい態様では、増幅工程に実質的に定温(isothermal)である増幅法を用いる。この方法の好ましい態様では増幅工程に転写関連増幅法を用いる。この方法の1態様では、検出工程にプローブオリゴマー混合物を使用し、混合物中の少なくとも1つのプローブオリゴマーがHPV増幅生成物に特異的に結合して、試料中に少なくとも1つのHPV型が存在することを示すシグナルを発生させる。好ましい態様では、検出工程に、配列番号11〜17又は前記オリゴマー配列の相補的オリゴマー配列若しくはRNA均等物から構成されるプローブオリゴマー混合物を用いる。検出工程の他の好ましい態様では、検出工程に、配列番号11〜15及び17又は前記オリゴマー配列の相補的オリゴマー配列若しくはRNA均等物から構成されるプローブオリゴマー混合物を用いる。検出工程の他の好ましい態様では、配列番号11〜15及び17、並びに少なくとも1つの配列番号44〜配列番号54及び配列番号58のオリゴマー又は前記オリゴマー配列の相補的オリゴマー配列若しくはRNA均等物から構成されるプローブオリゴマー混合物を用いる。検出工程の他の好ましい態様では、配列番号11、12、14、15、17、44、45及び52又は前記オリゴマー配列の相補的オリゴマー配列若しくはRNA均等物から構成されるプローブオリゴマー混合物を用いる。この方法の1態様はさらに、非HPV−内部対照配列を増幅及び検出する。内部対照を含む好ましい態様としては、接触工程がさらに、非HPV−内部対照配列を試料に導入することがあげあれ、増幅工程がさらに、非HPV−内部対照配列を増幅して、増幅した内部対照配列を生成することがあげられ、かつ検出工程がさらに、増幅した内部対照配列を検出して、この工程が適切に行われたことを示すシグナルを発生させることがあげられる。
【0014】
以下の記述、及び本明細書の一部である添付図面は、本発明の原理を説明するためのものである。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】あるHPV型の遺伝的関係を示す進化系統樹の図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
発明の詳細な記述
本発明は、ヒトから得た生物試料中に存在する多数のHPV型(16、18、31、33、35、39、45、51、52、56、58、59、66及び68)に由来する核酸配列を検出するためのオリゴマー配列及び方法を含む。前記配列及び方法はHPV感染の診断に有用であり、HPV配列の検出が発ガン関連の予後情報を提供する持続感染が含まれる。前記配列及びアッセイ方法は、ガンのリスクがある患者の状態のモニタリング、及び/又は治療法に対する患者の応答のモニタリングにも有用である。前記アッセイ方法はHPV核酸の存在を高感度に検出するので、HPV関連ガンの血管空間侵襲又はリンパ節転移を検出するにも有用であり、すなわちさらに予後情報を提供する。前記配列及びアッセイ方法は、HPV曝露された個体に抗HPVワクチン接種した後、接種の有効性をモニタリングするためにも有用である。
【0017】
標的(ターゲット)としたHPV型は、子宮頸ガンに関連する高リスク型を累積的に示す。好ましくは、異なるHPV型間で共通の又は極めて類似するE6/E7遺伝子配列を標的とすることによりグループ内の1より多いHPV型を検出し、一方で、例えばインビトロ核酸増幅反応又はハイブリダイゼーション検出反応の混合物中に存在した場合に生じる可能性のある不都合なオリゴヌクレオチド間相互作用が起こらないように、オリゴマー配列を設計した。また前記配列は、子宮頸ガンのリスクが低いと特定されたHPV型にみられる関連配列(例えばHPV型6、11、42、43及び44)を検出しないように設計された。標識配列の比較のために、種々のHPV型を図1に示すような遺伝的関係に基づいて分類し、本明細書中では、HPV型16、31及び35を含むグループA1、HPV型33、52及び58を含むグループA2、HPV型6、11、42、43及び44を含むグループB、HPV型18、45及び59を含むグループC1、並びにHPV型51、56及び66を含むグループDという。配列の比較のために、公開されたデータベース(GenBank)から入手できる公知配列を手作業又はコンピューター化されたアルゴリズムによりアラインさせ、アラインした配列を用いて、様々な基準に適合するオリゴマーである可能性が示唆されるオリゴヌクレオチド配列を合成及び試験のために選択した。この基準には、約15〜30ntの長さの範囲の配列、GC含量、及び選択した配列を含むハイブリダイゼーション複合体の予測T、並びに自己ハイブリダイゼーション又は選択した他のオリゴマーとの分子間ハイブリダイゼーションによる予測可能な二次構造が実質的に存在しないことが含まれる。グループ内の1又は好ましくは1より多いHPV型の標識HPVゲノム配列又はRNA配列を、選択したすべてのオリゴヌクレオチド配列について実質的に同一のハイブリダイゼーション条件下で特異的に認識するように選択した配列を設計した。アラインメント及び選択に用いた公知配列としては、GenBank寄託番号AF092932、AF125673、AF404678、D90400、J04353、K02718、M12732、M27022、M73236、M14119、M62849、M74117、X05015、X74477、X74479、X74481、X74483、X77858及びY13218があげられた。選択した配列から、インビトロで標準方法によりオリゴマーを合成し、例えばオリゴマーと通常は前記オリゴマー配列の相補配列を含有する合成RNAとを含むハイブリダイゼーション複合体のTを実験的に測定して前記の合成オリゴマーを特定し、以前報告があった条件(例えば米国特許第5,399,491号及び5,554,516号、Kacianら;及び第5,283,174号、Arnoldら)を用いて核酸増幅及び検出反応におけるその機能特性を解明した。前記方法に用いるために、HPV特異的配列を他の配列に結合させることができる:例えば配列番号18、20、22、24、26、28、30、32、34及び36に示す5’側プロモーター配列と結合させるか、又は配列番号1、3、5、7及び9に示すように3’側テール配列と結合させる。
【0018】
多数の異なるHPV型を検出するアッセイで機能するオリゴマーを効率的に選択するために下記の方法を用いた。まずHPVグループの検出プローブとして作用するオリゴマーを選択し、増幅すべきHPVゲノム配列又はRNA配列の標識領域を決定した。次いで、各候補標識領域について増幅オリゴマーを選択し、合成し、検出すべきグループの個々のHPV型(例えばグループA1のHPV16、31及び35)を用いた増幅反応で試験した。増幅及び検出反応により、あるグループの各HPV型について実質的に類似の陽性結果が得られた場合、異なるグループ(例えばA1とA2)のオリゴマーを多重増幅及び検出反応で組合わせ、この組合わせたグループの各HPV型を試験し、本オリゴマー混合物が適正に機能して組合わせたグループの各HPV型が陽性結果となるか、又は不都合な相互作用(例えば混合物中のオリゴマー間で)によりアッセイの感度若しくは特異性が低下するか否かを判定した。多重フォーマットのアッセイ結果が許容できなかった場合、1以上のオリゴマーを実質的に同じ様式で再設計、合成及び試験した。このプロセスを種々の組合わせのオリゴマーについて繰返して、HPV型16、18、31、33、35、39、45、51、52、56、58、59、66及び68を増幅及び検出する多重アッセイで機能する組合わせのオリゴマーを得た。各標識HPV配列について陽性結果が得られ、一方ではオリゴマー間の妨害的な相互作用が最小限に抑えられるように経験的に判定した最適量のオリゴマーを混合物中に用いて、多重アッセイ方法をさらに最適化した。
【0019】
多数のHPV型の配列を増幅及び検出するために用いた選択したオリゴマー配列を表1にまとめる。便宜上、前記配列についてHPVグループ表示を示したが、あるオリゴマー配列が多重反応において他のグループの型のHPV配列を認識する機能をもつ可能性もあることは理解されるであろう。表1中の配列はDNA配列として示されているが、前記態様で、それらに対応するRNA配列からなる配列、及び開示したDNA配列又はそれらに対応するRNA配列に完全に相補的な配列も含まれることは理解されるであろう。
【0020】
【表1】

【0021】
【表2】

【0022】
【表3】

【0023】
以下に記載するように、前記オリゴマーのうちあるものは、好ましくは、プロモータープライマーという態様を含む増幅オリゴマーとして用いられ、あるものは好ましくは検出プローブとして用いられ、あるものは好ましくは捕捉プローブオリゴマーとして、HPV標識配列を増幅する前に、生物試料の他の成分からのHPV核酸の分離を促進するために用いられる。捕捉プローブオリゴマーは、好ましくはE6/E7遺伝子配列中の配列を標的とする。これに対し、増幅オリゴマー及び検出オリゴマーは、E7遺伝子配列を標的とする。前記オリゴマー配列及びそれらを用いる方法は、ヒトで発ガンリスクへの関連が高い多数の異なるHPV型を検出するのに有用である。それらは、ヒト細胞内で構成的発現するとガンに進行する可能性がある、細胞周期脱制御及び細胞増殖をもたらすHPV遺伝子E6及びE7の発現を検出するのに有用である。エピソームHPVを有する細胞ではHPV E6/E7遺伝子発現が抑制されるので、本発明のアッセイ方法及びオリゴマー成分は、新生物及び発ガンに関連するHPV発現を検出することにより予後情報を提供するために、生物試料中に存在するE6/E7 RNAを検出するように設計された。
【0024】
本発明及びその好ましい態様が理解されるように、以下の定義を示す。本明細書中で用いる他の科学用語及び技術用語は、当業者が一般に理解しているのと同様の意味である。用語の一般的定義は、例えばDictionary of Microbiology and Molecular Biology, 第2版(Singleton et al., 1994, John Wiley & Sons, ニューヨーク州ニューヨーク)、又はThe Harper Collins Dictionary of Biology(Hale & Marham, 1991 , Harper Perennial, ニューヨーク州ニューヨーク)中にある。別途記載しない限り、本明細書中で使用又は意図した技術は当業者に周知の標準的な方法である。
【0025】
「生物試料」は、標識核酸を含有する可能性のある、生存又は死亡したヒトから得られる組織又は材料であればいかなるものでもよい。これには、例えば喉頭、口腔、中咽頭、扁桃腺、若しくは食道組織、呼吸器若しくは滲出物の試料;子宮頚若しくは肛門のスワブ試料;リンパ節、消化器、便、尿、精液、喀痰、末梢血、血漿、血清又は他の体液を含む生検組織;組織若しくは材料の試料があげられる。生物試料を周知の方法で処理して組織又は細胞構造を物理的又は機械的に破壊し、さらに酵素、緩衝剤、塩類、界面活性剤などを含有しうる溶液中へ細胞内成分を放出させることができる。
【0026】
「核酸」は、窒素塩基又は塩基類似体を含み、ホスホジエステル結合又はポリヌクレオチドを形成する他の公知の結合で互いに連結した、ヌクレオシド又はヌクレオシド類似体を含む多量体化合物(オリゴマー又はポリマー)をいう。核酸としては、一般的なリボ核酸(RNA)、デオキシリボ核酸(DNA)又はキメラDNA−RNA及びこれらの類似体があげられる。核酸の「主鎖」は様々な結合から構成されてもよく、1以上の糖−ホスホジエステル結合、ペプチド−核酸結合(「ペプチド核酸」すなわちPNA中;参照:国際特許公開第95/32305号、Hydig−Hielsenら)、ホスホロチオエート結合、メチルホスホネート結合又は前記組合わせが含まれる。核酸の糖部分は、リボース若しくはデオキシリボース又はこれに類する化合物であって、公知の置換基、例えば2’−メトキシ置換基及び2’−ハライド置換基(例えば2’−F)を有するものでもよい。窒素塩基は下記の:一般的な塩基(A、G、C、T、U)、前記類似体(例えばイノシン;The Biochemistry of the Nucleic Acids 5-36, Adams et al.,第11版, 1992)、プリン塩基又はピリミジン塩基の誘導体(例えばN−メチルデオキシグアノシン、デアザ−又はアザ−プリン類、デアザ−又はアザ−ピリミジン類、5又は6位に置換基をもつピリミジン塩基、2、6及び/又は8位に変化又は交換した置換基をもつプリン塩基、例えば2−アミノ−6−メチルアミノプリン、O−メチルグアニン、4−チオ−ピリミジン類、4−アミノ−ピリミジン類、4−ジメチルヒドラジン−ピリミジン類、及びO−アルキル−ピリミジン類、並びにピラゾロ化合物、例えば非置換又は3−置換ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン類;米国特許第5,378,825号、第6,949,367号及び国際特許公開第93/13121号)でもよい。核酸は、1以上の残基について主鎖に窒素塩基を含まない「非塩基」残基を含んでもよい(米国特許第5,585,481号、Arnoldら)。核酸は、RNA及びDNA中にある一般的な糖、塩基及び結合のみを含んでもよく、あるいは一般的な成分と置換体を含んでもよい(例えば2’−メトキシ主鎖により結合した一般的な塩基又は一般的な塩基と1以上の塩基類似体の混合物を含む核酸)。核酸には、「ロックされた核酸」(LNA)、二環式フラノース単位がRNA模倣型糖コンホメーション内にロックされた1以上のLNAヌクレオチドモノマーを含有する類似体を含んでもよく、これは、一本鎖RNA(ssRNA)、一本鎖DNA(ssDNA)又は二本鎖DNA(dsDNA)中の相補配列に対するハイブリダイゼーション親和性を高める(Vester et al., 2004, Biochemistry 43(42): 13233-41)。インビトロで核酸を製造するための合成方法は当技術分野で周知である。
【0027】
互換性をもつ用語「オリゴマー」と「オリゴヌクレオチド」は、一般に1,000個未満の残基がある核酸をいい、下限が約2〜5ヌクレオチドであるサイズ範囲のものをも含む。好ましいオリゴマーは、下限が約5〜約15ヌクレオチドで上限が約60〜約150ヌクレオチドであるサイズ範囲に含まれる。より好ましくは、オリゴマーは約15〜約100ヌクレオチドのサイズ範囲にある。オリゴマーは天然源から精製することができるが、好ましくは、いかなる公知の酵素法又は化学的方法でも合成される。
【0028】
「増幅オリゴヌクレオチド」又は「増幅オリゴマー」は、標識核酸又は前記相補配列にハイブリダイズしてインビトロ核酸増幅反応に関与するオリゴマーをいう。増幅オリゴマーを「プライマー」又は「プロモータープライマー」としてもよい。一般にプライマーは鋳型核酸鎖にハイブリダイズし、重合反応で延長されて鋳型核酸に相補的な鎖を生成する3’末端がある。プライマーの5’側領域は標識核酸に対して非相補的であってもよく、例えば、それは5’側プロモーター配列を含んでもよく、このオリゴマーはプロモータープライマーという。当業者であれば、標識相補配列があり、プライマーとして機能するいずかなるオリゴマーを、5’側にプロモーター配列を含む、プロモータープライマーとして機能するように修飾できることを認識するであろう。同様に、プロモータープライマーは、そのプロモーター配列とは無関係にプライマーとして機能することができる。増幅オリゴヌクレオチドの好ましい態様は、標識配列(又は前記相補鎖)に対して相補的な少なくとも10個の連続塩基、より好ましくは少なくとも12個の連続塩基を含む。前記連続塩基は、前記オリゴマーがハイブリダイズする標識領域に対して少なくとも約80%、より好ましくは少なくとも約90%、最も好ましくは約100%相補的である。増幅オリゴマーの長さは、好ましくは約10〜約65ヌクレオチドであり、修飾されたヌクレオチド又は塩基類似体を含んでもよい。
【0029】
「増幅」は、標識配列、その相補配列又は標識配列のフラグメントの多数コピーを得るためのインビトロ方法をいう。「フラグメント」の増幅は、完全ではない標識領域配列又はその相補配列を含む増幅核酸の生成物をいう。例えば、完全な遺伝子をアッセイのための標識配列ということができるが、増幅は、標識遺伝子配列に含まれる、より小さな配列(例えば約85〜200ヌクレオチド)のコピーを作製することができる。公知の増幅方法としては、例えば転写関連増幅、レプリカーゼ介在増幅、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)リガーゼ連鎖反応(LCR)、及び鎖置換増幅(SDA)があげられる。レプリカーゼ介在増幅には、自己複製RNA分子及びQB−レプリカーゼ等のレプリカーゼを用いる(米国特許第4,786,600号、Kramerら)。PCR増幅は、DNAポリメラーゼ、プライマー及び温度周期を用いて、DNA又はcDNAの2つの相補鎖の多数コピーを合成する(米国特許第4,683,195号、第4,683,202号及び第4,800,15号9、Mullisら;並びにMethods in Enzymology, 1987, Vol. 155: 335-350)。LCR増幅は、少なくとも4つの別個のオリゴヌクレオチドを用い、多数サイクルのハイブリダイゼーション、ライゲーション及び変性により標識及びその相補鎖を増幅する(例えば米国特許第5,427,930号、Birkenmeyerら;米国特許第5,516,663号、Backmanら;及び欧州特許出願公開第0320308号)。SDAは、制限エンドヌクレアーゼの認識部位を含むプライマーを用い、これによりエンドヌクレアーゼは標識配列を含む半修飾DNA二本鎖の一方の鎖に切れ目を入れ、続いて一連のプライマー延長及び鎖置換の工程で増幅を行う(例えば米国特許第5,422,252号、Walkerら;米国特許第5,547,861号、Nadeauら;米国特許第5,648,211号、Fraiserら)。転写関連増幅は、以下に記載する好ましい態様である。当業者であれば、この好ましい態様に示されたオリゴヌクレオチド及び方法を分子生物学の当業者が、プライマー依存型増幅系に使用するために適合できることは自明であろう。
【0030】
「転写関連増幅(transcription-associated amplification)」又は「転写介在増幅(transcription-mediated amplification)」(TMA)は、RNAポリメラーゼを用いて核酸鋳型から多数のRNA転写体を生成するあらゆるタイプの核酸増幅法をいう。前記方法は、一般にRNAポリメラーゼ、DNAポリメラーゼ、デオキシリボヌクレオシド三リン酸、リボヌクレオシド三リン酸、及び鋳型相補的オリゴヌクレオチド(プロモーター配列を含み、場合により1以上の他のオリゴヌクレオチドを含んでもよい)を用いる。転写関連増幅の変法は以前の報告(米国特許第5,399,491号及び第5,554,516号、Kacianら;米国特許第5,437,990号、Burgら;国際公開第WO88/01302号及びWO88/10315号、Gingerasら;米国特許第5,130,238号、Malekら;米国特許第4,868,105号及び第5,124,246号、Urdeaら;国際公開WO95/03430号、Ryderら;並びに米国特許出願第11/213,519号、Beckerら、2005年8月26日出願)のとおり当業者に周知である。KacianらのTMA法が、以下に記載する標識配列検出に用いる増幅法の好ましい態様である。好ましい態様はTMA又は転写関連増幅を用いて記載されるが、当業者であれば、本明細書に開示する増幅オリゴマーが、オリゴマー配列のポリメラーゼ介在延長に基づく他の増幅法の使用に容易に適用できることを認識するであろう。
【0031】
「検出プローブ」は、核酸中の、好ましくは増幅した配列中の標識配列に、ハイブリダイゼーションを促進する条件下で特異的にハイブリダイズして、標識配列又は増幅した核酸の検出できるようにする核酸オリゴマーをいう。検出は直接(すなわち、標識又は増幅した核酸に直接ハイブリダイズするプローブによる)又は間接(すなわち、標識又は増幅した核酸にプローブを連結する中間分子構造体にハイブリダイズするプローブによる)のいずれでもよい。プローブの「標識」は、プローブ配列が標識配列に対して100%相補的である必要はないが、一般に増幅した核酸配列(すなわちサブセット)内にある配列であって、標準的な水素結合(塩基対合)によりプローブオリゴマーの少なくとも一部に特異的に結合する配列をいう。「十分に相補的」である配列は、プローブの標識特異的配列に完全には相補的でない標識配列にプローブオリゴマーを安定にハイブリダイズさせることができる。プローブは、標識特異的配列のほかに、三次元配置又は検出機能に寄与する他の配列を含んでもよい(例えば米国特許第5,118,801号及び第5,312,728号、Lizardiら;米国特許第6,849,412号、第6,835,542号、第6,534,274号及び第6,361,945号、Beckerら)。
【0032】
「十分に相補的」とは、一連の相補的塩基間の水素結合により他の配列にハイブリダイズできる連続核酸配列をいい、標準的な塩基対合(例えばG:C、A:T又はA:U対合)により前記配列中の各位置で相補的であってもよく、あるいは適当なハイブリダイゼーション条件下で配列全体が他の配列に特異的にハイブリダイズしうる限り、1以上の非相補残基を含んでもよい。連続塩基は、あるオリゴマーを特異的にハイブリダイズさせることを意図した配列に対して、好ましくは少なくとも約80%、より好ましくは少なくとも約90%、最も好ましくは約100%相補的である。適当なハイブリダイゼーション条件は当業者に周知であり、配列組成に基づいて容易に推定できるか、あるいは日常的な試験方法により経験的に判定できる(例えばSambrook et al., Molecular Cloning, A Laboratory Manual, 第2版 (Cold Spring Harbor Laboratory Press, ニューヨーク州コールド・スプリング・ハーバー, 1989), §§1.90-1.91, 7.37-7.57, 9.47-9.51及び11.47-11.57、特に§§9.50-9.51, 11.12-11.13, 11.45-11.47及び11.55-11.57)。
【0033】
「捕捉プローブ」又は「捕捉オリゴマー」は、混合物中の他の成分から標識核酸を分離するために、標識配列を支持体に特異的に結合する手段を提供する、少なくとも1つの核酸オリゴマーをいう。捕捉オリゴマーは、標識を支持体に連結させるためにいかなる公知のリガンド相互作用に基づいてもよいく、好ましい態様は支持体に固定化されたオリゴマーに塩基対ハイブリダイゼーションにより標識を連結させる。捕捉オリゴマーの態様は、2つの結合領域、すなわち標識配列結合領域及び固定化プローブ結合領域を、通常は同一オリゴマー上に含むが、前記領域は1以上のリンカーで互いに結合した2つの異なるオリゴマー上にあってもよい。「固定化プローブ」は、捕捉オリゴマーを直接又は間接的に固定化支持体に結合させる核酸をいう。固体支持体に結合した固定化オリゴマーは、混合物中の結合していない物質から結合した標識配列を分離するのを促進する。例えばニトロセルロース、ナイロン、ガラス、ポリアクリラート、混合ポリマー、ポリスチレン、シランポリプロピレン等の公知のいかなる支持体材料、及び金属粒子、好ましくは磁性付着可能
な粒子から作製した公知の固体支持体、例えば溶液中のマトリックス又は粒子をも使用できる。好ましい標識捕捉材料及び方法は以前の報告(米国特許第6,110678号及び第6,280,952号、Weisburgら)のとおりである。
【0034】
「分離」又は「精製」とは、生物試料中の1以上の成分を生物試料中の他の1以上の成分から分離することをいう。例えば、試料成分には一般に、例えばタンパク質、炭水化物、脂質及び細胞小器官又は細胞屑を含有しうる水溶液中の核酸が含まれる。好ましくは、分離又は精製工程により、試料中に存在する他の成分が少なくとも約70%、より好ましくは少なくとも約90%、さらに好ましくは少なくとも約95%除去される。
【0035】
「標識」は、検出できる、又は検出可能な応答をもたらしうる、分子部分又は化合物をいう。標識を核酸プローブに直接又は間接的に結合させることができる。直接標識化は、標識をプローブに連結する結合又は相互作用で行うことができ、これには共有結合又は非共有相互作用、例えば水素結合、疎水性及びイオン性相互作用又はキレート若しくは配位錯体の形成が含まれる。間接的標識化は、検出可能なシグナルを増強できる直接又は間接的に標識された架橋部分、すなわち「リンカー」を用いて行うことができる。標識は、いずれか公知の検出可能部分、例えば放射性核種、配位子、酵素若しくは酵素基質、反応性基、又は、例えば検出可能な色を付与する色素、ビーズ若しくは粒子、発光性化合物(例えば生物発光性、リン光性又は化学発光性の標識)、並びに蛍光性化合物等の発色団でもよい。好ましくは、標識プローブ上の標識は均一アッセイ系で検出でき、すなわち、結合していないプローブを含有する混合物中に存在する結合した標識プローブが、結合していないプローブと比較して、例えば安定性又は識別可能な分解等の検出可能な変化を示す。均一アッセイ系に使用するのに好ましい標識は化学発光性化合物であり、好ましい化学発光性化合物はアクリジニウムエステル(「AE」)化合物である。これには標準的AE又は前記誘導体(例えばナフチル−AE、オルト−AE、1−又は3−メチル−AE、2,7−ジメチル−AE、4,5−ジメチル−AE、オルト−ジブロモ−AE、オルト−ジメチル−AE、メタ−ジメチル−AE、オルト−メトキシ−AE、オルト−メトキシ(シンナミル)−AE、オルト−メチル−AE、オルト−フルオロ−AE、1−又は3−メチル−オルト−フルオロ−AE、1−又は3−メチル−メタ−ジフルオロ−AE、及び2−メチル−AE)が含まれる(米国特許第5,656,207号、Woodheadら;第5,658,737号、Nelsonら;及び第5,639,604号、Arnold,Jr.ら)。標識を核酸に結合させる合成法及び標識を検出する方法は周知である(Sambrook et al., Molecular Cloning, A Laboratory Manual, 第2版 (Cold Spring Harbor Laboratory Press, ニューヨーク州コールド・スプリング・ハーバー, 1989), 10章;米国特許第5,658,737号、Nelsonら;第5,656,207号、Woodheadら;第5,547,842号、Hoganら;第5,283,174号、Arnoldら;第4,581,333号、Kourilskyら;及び欧州特許出願公開第O747706、Beckerら)。
【0036】
「本質的に・・からなる」とは、開示した増幅オリゴマー態様によるインビトロ増幅反応及び開示した検出プローブ態様による検出によりグループA1、A2、C1、C2及びDのうちいずれか1つ又はすべての特定多数のHPV標識配列を検出する能力が実質的に変化しない他の1以上の成分、組成物又は工程が、本発明の組成物、キット又は方法に含まれてもよいことをいう。前記材料又は操作がグループA1、A2、C1、C2及びDのうちいずれか1つ又はすべての特定多数のHPV標識配列をインビトロ増幅及び検出反応により検出することを妨げる1以上の成分、組成物又は工程は、いずれもこの用語に含まれない。
【0037】
本発明には、ヒトの生物試料中のHPV核酸を検出するための組成物(核酸捕捉オリゴマー、増幅オリゴマー及びプローブ)及び方法が含まれる。捕捉プローブ、増幅オリゴマー及び検出プローブとして用いるのに適当なオリゴマー配列を選択するために、公開されたデータベース(例えばGenBank)から入手できる31の公知のサブタイプの公知のHPV RNA又はDNA配列(部分配列を含む)を、E6/E7遺伝子配列中の同一又は類似配列の領域を一致させることによりアラインし、周知の分子生物学的方法で比較した。オリゴマーを設計する際に考慮した他の事項としては、配列の相対GC含量、予測二次構造(例えば分子内ハイブリッドを形成するヘアピンターン)が相対的に存在しないこと、当技術分野で周知の方法によるハイブリダイゼーション条件下でオリゴマーが混合物中に存在する際に予測される分子内相互作用が相対的に存在しないことがあげられる。この比較及び予測はコンピューター化されたアルゴリズムを用いて促進できるが、当業者であれば比較を手作業で容易に実施できる。HPV E6/E7配列を比較して、実質的な配列類似性をもつ近縁タイプの配列をグループA1、A2、B、C1、C2及びDに分けた。近縁グループ内とグループ間の両方で配列比較を行い、グループ内でE6/E7配列の配列変動が比較的少ない部分(すなわちコンセンサス領域)を同定し、1以上のHPV型中の標識配列へのハイブリダイゼーションに適当な合成オリゴマーを設計するための基礎として選択した。検出すべき個々のHPV型それぞれに特異的な増幅オリゴマーと検出オリゴマーの組合わせではなく、コンセンサス配列に対するオリゴマーを設計することにより、反応混合物中のオリゴマーの総数が少なくなり、増幅反応で生じることが知られている意図しないオリゴマー相互作用(例えば「プライマー二量体」又は非標識増幅生成物の形成)の確率が低くなり、一般に単一反応に用いる検出プローブの数に正比例するバックグラウンドシグナルも低下する。ただし、コンセンサス配列を用いることに基づくオリゴマーは、一般に設計するのがより困難である。コンセンサス配列の設計に利用できる標識領域はより制限され、設計したオリゴマーのうちあるものは意図した1以上の標識配列に対して完全に相補的ではない場合があるからである。すなわち、前記オリゴマー組合わせを用いて検出すべき1以上のHPV型について、オリゴマー配列とグループ内の1以上のHPV型に関してオリゴマーが意図した相補的標識配列との間で、1以上の不適正塩基対合が起きる可能性がある。また、オリゴマーがグループ内の1つのHPV型(例えばグループA1内のHPV16)の標識配列には完全に一致し、前記グループ内の他のHPV型(例えばHPV31及び/又は35)に対しては不適正塩基対合(1以上)を含むものの前記グループ内の型の増幅及び/又は検出に際して機能する場合もある。同様に、ある1つの1グループに機能するように設計したオリゴマー(例えばグループA2に対する増幅オリゴマー)が、他の増幅オリゴマーとの組合わせで1より多いグループの複数型(例えばグループA1とA2の型)の配列を増幅する機能をもつ場合もある。これらを考慮して、増幅オリゴマーは、E7遺伝子内のHPV遺伝子配列(センス鎖又は相補鎖配列)にハイブリダイズして、一般に約80〜約150ヌクレオチドの配列を増幅するように設計された(例えば各態様では下記の:HPV16の107nt、HPV18の152nt、HPV31の118nt、HPV33の82nt、HPV35の109nt、HPV39の96nt、HPV45の152nt、HPV51の133nt、HPV52の86nt、HPV56の146nt、HPV58の83〜85nt、HPV59の132nt及びHPV68の99ntの配列が増幅された)。検出プローブは、対応するプライマー対を用いて増幅した配列に含まれる標識配列にハイブリダイズするように、特定の対のプライマーの標識配列間の配列を検出するように設計された。捕捉プローブオリゴマーを設計するための標識領域は、E6/E7遺伝子配列でHPV型又はグループの増幅のための標識配列に対して一般に5’側にあった。多くの場合、設計及び経験的試験を繰返して行い、表1に示したオリゴマーの選択を最適化した。
【0038】
捕捉プローブの態様としては、配列番号1〜10の態様があげられ、好ましい態様としては、配列番号1、3、5、7及び9に示す実質的にホモポリマー型の3’テール領域(T30)があげられる。
【0039】
検出プローブオリゴマーの態様としては、配列番号11〜17、41、44〜54及び58の態様があげられる。オリゴマーとして合成し、試験した約50のデザインから、好ましいプローブオリゴマーのサイズは20〜23ntの範囲、GC含量は約40〜50%及び推定融解温度(T)は約55〜70℃であった。プローブの各態様を合成し、非ヌクレオチドリンカー部分及び以前報告された方法(米国特許第5,185,439号、第5,585,481号及び第5,656,744号、Arnold Jr.ら;並びに米国特許第5,639,604号、Arnoldら、第10欄第6行〜第11欄3行目、及び実施例8)を用いて、化学発光性AE化合物(例えば2−メチル−AE)で標識した。好ましい標識位置は、オリゴマーの中心領域、A/T塩基対領域の付近、3’若しくは5’末端、又は検出に際して避けるべき公知の非標的配列がある不適正塩基対合の位置若しくはその付近である。AE−標識プローブの態様は、下記の位置:配列番号15及び53はnt4と5の間;配列番号11、14、17、44、50及び52ではnt5と6の間;配列番号15、17、47、48、52及び54ではnt7と8の間;配列番号12、14、41、45、47、49、54及び58ではnt8と9の間;配列番号47及び48ではnt9と10の間;配列番号17、44及び47ではnt10と11の間;配列番号13、44、45、46、47、50、51及び53ではnt11と12の間;配列番号13、15、51及び53につきではnt12と13の間;配列番号14、16、45、47及び54ではnt13と14の間;配列番号13、14、49及び52ではnt14と15の間;配列番号13及び52ではnt15と16の間;配列番号44ではnt16と17の間;配列番号44、47及び58ではnt17と18の間;配列番号51ではnt19と20の間;配列番号50ではnt20と21の間、;並びに配列番号44ではnt21と22の間;で標識されたものが含まれる。好ましい態様では、下記の:配列番号11はnt5と6の間;配列番号15及び17はnt7と8の間;配列番号12はnt8と9の間、;配列番号44はnt10と11の間;配列番号45はnt11と12の間;配列番号14はnt13と14の間;並びに配列番号52はnt14と15の間;の位置で標識されたAE−標識プローブが含まれる。好ましい態様の検出プローブを、2’−メトキシ主鎖で連結したRNA塩基配列として合成した。配列番号49〜54のプローブ態様は、累積的に配列番号55の配列を標的とし、重複する配列番号49〜53のプローブは全て配列番号56の配列を含む。
【0040】
前記検出プローブの態様では、グループA1、A2、C2、C2及びDに含まれる複数のHPV型、すなわちHPV型16、31、35、33、52、58、18、45、59、39、68、51及び56中のHPV配列を検出するプローブの混合物が含まれる。前記混合物の好ましい態様は、配列番号11〜15及び17の検出プローブから構成される。特に好ましい態様は、下記のAE−標識プローブの混合物:nt5と6の間に標識された配列番号:11;nt8と9の間に標識された配列番号:12;nt15と16の間に標識された配列番号:13;ntが13と14の間に標識された配列番号:14;nt7と8の間に標識された配列番号:15;並びにnt7と8の間に標識された配列番号:17;である。前記混合物の他の好ましい態様は、配列番号11、12、14、15、17、44、45及び52のプローブから構成される。特に好ましい態様は、下記のAE−標識プローブの混合物:nt5と6の間に標識された配列番号:11;nt8と9の間に標識された配列番号:12;nt13と14の間に標識された配列番号:14;nt7と8の間に標識された配列番号:15;nt7と8の間に標識された配列番号:17;nt10と11の間に標識された配列番号44;nt11と12の間に標識された配列番号45;並びにnt14と15の間に標識された配列番号52;である。当業者であれば、検出プローブを、例えばグループA1、A2、C1、C2若しくはD内のHPV型又は関連型の組合わせ、例えばグループA1とA2個々のグループのHPVを検出するために用いることができることを認識するであろう。上記各標識グループにより同定された前記検出プローブの好ましい態様としては、下記の:配列番号:11がグループA1;配列番号:12がグループA2;配列番号:13又は配列番号44、45及び52の混合物がグループC1;配列番号:14がグループC2;並びに配列番号15及び17がグループD;が含まれる。
【0041】
増幅オリゴマーの態様としては、配列番号18〜42があげられる。ある態様はHPV配列を標的とする配列のみ:配列番号19、21、23、25、27、29、31、33、35、37、38、39、40、41及び42の配列を含むが、その他は他の機能性配列、すなわちプロモーター配列を含む。配列番号43のプロモーター配列をオリゴマーの5’末端に含むプロモータープライマーの態様としては、配列番号18、20、22、24、26、28、30、32、34及び36の配列があげられる。HPV特異的配列と、HPV特異的配列に結合した5’側プロモーターを含むプロモータープライマーとして構造的に関連する配列は、下記の:配列番号19と18、配列番号42と18、配列番号21と20、配列番号23と22、配列番号25と24、配列番号27と26、配列番号29と28、配列番号31と30、配列番号33と32、配列番号35と34、及び配列番号37と36である。HPV型の配列をグループ毎に増幅するために好ましい増幅オリゴマーの混合物又は組合わせとしては、下記の:グループA1は、配列番号18又は19、配列番号20又は21、及び配列番号22又は23と配列番号38;グループA2は、配列番号24又は25、及び配列番号26又は27と配列番号38;グループC1は配列番号28又は29及び配列番号30又は31と配列番号39;グループC2は配列番号32又は33と配列番号40;並びにグループDは配列番号34又は35及び配列番号36又は37と配列番号;があげられる。好ましい態様は、HPV型16、31、35、33、52、58、18、45、59、39、68、51及び56由来の配列(すなわちグループA1、A2、C1、C2及びDの全てに含まれるHPV)を共に増幅する増幅オリゴマー混合物を用いる。HPV型16、31、35、33、52、58、18、45、59、39、68、51及び56に対する前記増幅オリゴマー混合物の好ましい1態様としては、配列番号18、20、22、24、26、28、30、32、34、36、38、39、40及び41があげられる。HPV型16、31、35、33、52、58、18、45、59、39、68、51及び56に対する前記増幅オリゴマー混合物の好ましい他の態様としては、配列番号19、21、23、25、27、29、31、33、35、37、38、39、40及び41があげられる。
【0042】
生物試料中の複数のHPV配列を検出するためのアッセイ方法は、下記の:HPVグループA1、A2、C1、C2及びDに含まれるHPV型に由来するE6/E7標識領域の少なくとも1つのHPV核酸配列をプライマーとして少なくとも2つの増幅オリゴマーを用いて、好ましくは転写関連増幅反応により増幅し、増幅した核酸を生成させる工程;増幅した核酸に含まれる配列に対して十分に相補的である検出プローブ配列とハイブリダイズさせて増幅した核酸を検出する工程を含む。好ましい態様は、配列番号18、20、22、24、26、28、30、32、34、36、38、39、40及び41の増幅オリゴマー混合物を増幅反応、すなわち転写関連増幅反応に用いる。他の好ましい態様は、配列番号19、21、23、25、27、29、31、33、35、37、38、39、40及び41の増幅オリゴマー混合物を増幅反応に用いる。増幅した配列に検出プローブが特異的に結合することにより発生するシグナルを検出して増幅した核酸を検出するが、前記特異的結合は、検出プローブ配列に完全に相補的な増幅核酸中の配列のハイブリダイゼーションでおこるものでなくてもよい。シグナルは、増幅した配列が標識されておらず、標識された検出プローブに結合して検出される場合があり、この場合は結合した標識された検出プローブが検出可能なシグナルを発生する。シグナルは、増幅した配列が標識されていない検出プローブに結合した後、増幅した核酸とプローブを含む複合体を検出することにより検出される場合があり、これは例えば検出プローブと増幅した核酸から構成されるハイブリダイゼーション複合体の形成により発生するシグナル、例えば電気シグナルを検出することにより行われる。好ましい態様では、化学発光性化合物で標識した配列番号11〜17の検出プローブを用いる。好ましい態様では、増幅したHPV型16、31、35、33、52、58、18、45、59、39、68、51及び56のHPV配列を検出する検出プローブ混合物を用いる。検出に用いるプローブ混合物の好ましい態様は、配列番号11〜15及び17のプローブ、より好ましくは化学発光性化合物で標識したものから構成される。検出に用いるプローブ混合物の他の好ましい態様は、AE−標識した配列番号11〜15及び17のプローブ混合物である。検出に用いるプローブ混合物の他の好ましい態様は、配列番号11、12、14、15、17、44、45及び52のプローブ、より好ましくは化学発光性化合物で標識したものから構成される。検出に用いるプローブ混合物の他の好ましい態様は、AE−標識した配列番号11、12、14、15、17、44、45及び52のプローブ混合物である。アッセイの他の態様は、グループA1、A2、C1、C2又はDのHPV型を検出するための増幅した核酸の確認アッセイの場合のように個々のグループのHPV型を検出するために、又はグループA1とA2等のHPV型の組合わせを検出するために検出プローブを使用できる。前記アッセイの好ましい態様では、下記の検出プローブ:グループA1のHPV型の検出に配列番号11;グループA2のHPV型の検出に配列番号12;グループC1のHPV型の検出に配列番号13又は配列番号44、45及び52の混合物;グループC2のHPV型の検出に配列番号14;あるいはグループDのHPV型の検出に配列番号15及び17;を用いる。
【0043】
このアッセイの他の態様では、試験する生物試料各々に2つの増幅及び検出反応を用いる。第1反応は、グループA1、A2、C1、C2又はDのHPV型を増幅して、少なくとも1つのHPV型から少なくとも1つの増幅したHPV型を生成できる増幅オリゴマー混合物を含む。第2反応は、HPV型16と18両方の配列を増幅する増幅オリゴマー混合物が含まれる。その後前記2つの増幅反応の増幅生成物を別個に検出できる。第1増幅反応は、グループA1、A2、C1、C2又はDのHPV型を検出する検出プローブ混合物で増幅生成物を検出して、試料中に前記のHPV型のうち少なくとも1つが存在することを検出する。第2反応は、HPV16とHPV18の増幅配列の検出に特異的な検出プローブ混合物で増幅生成物を検出して、試料中にHPV16、HPV18又は両型が存在することを検出する。このアッセイは、下記の理由で他の診断情報を提供する。第1の増幅及び検出反応により陽性結果が得られた場合は前記試料はグループA1、A2、C1、C2又はDのHPV型のいずれか1つを含有していたことになる。第2の増幅及び検出反応によっても陽性結果が得られた場合、前記被験試料は最も一般的なHR−HPV型であるHPV16及び/又はHPV18のうち少なくとも1つを含有していたことになる。第1反応により陽性結果が得られ、第2反応により陰性結果が得られた場合、HR−HPV型が前記試料中に存在するが、HPV16又はHPV18ではない。当該情報に基づいて、医療関係者は前記患者に適する追跡モニタリングを選択できる。本アッセイの態様は、第1反応に配列番号18、20、22、24、26、28、30、32、34、36、38、39、40及び41の増幅オリゴマー混合物、又は配列番号19、21、23、25、27、29、31、33、35、37、38、39、40及び41の増幅オリゴマー混合物を用い、増幅生成物を配列番号11〜15及び17のプローブオリゴマー混合物、又はプローブ配列番号11、12、14、15、17、44、45及び52から構成される混合物で検出する。HPV16及びHPV18検出のための第2反応には、配列番号18、28及び39の増幅オリゴマー混合物、又は配列番号19、29及び39の増幅オリゴマー混合物を増幅工程で用い、検出工程では配列番号11と13の検出プローブ混合物を用いる。単一試料の他のアッセイ態様は、3つの反応を含む:前記のようにグループA1、A2、C1、C2又はDのHPV型のうちいずれか1つを増幅及び検出する第1反応、HPV16配列のみを増幅及び検出する第2反応、並びにHPV18配列のみを増幅及び検出する第3反応。この3部アッセイは、比較的少ない反応を用いて試料中に存在するHPV核酸のタイプに関する重要な診断情報を提供する。
【0044】
HPV検出のためのアッセイには、増幅工程の前に捕捉工程を用いて標識HPV RNAを単離又は精製する工程も含まれる。好ましい態様では、捕捉プローブオリゴマー混合物をハイブリダイゼーション条件下で用いる。捕捉オリゴマーの一部はグループA1、A2、C1、C2又はDの少なくとも1つのHPV型のHPV E6/E7標識配列に特異的にハイブリダイズし、捕捉オリゴマーの他の部分は、増幅工程の前に捕捉したRNAを他の試料成分から分離するのを促進するために、捕捉したHPV RNAを固体支持体に固定化する結合対(リガンド)の一方として作用する。後続の増幅反応に用いる1以上の増幅オリゴマーがHPV捕捉工程に際して含有されていてもよい。増幅オリゴマーはHPV RNA中において捕捉プローブオリゴマーの標識配列とは別個の標識配列にハイブリダイズし、標識捕捉を妨げることなく標識上のプライマーを増幅反応の開始のために提示するからである。好ましい態様では、配列番号2、4、6、8,及び10を含む捕捉プローブ混合物を用いる。他の好ましい態様では、配列番号1、3、5、7及び9の捕捉プローブ混合物の場合のように、3’テール部分に共有結合した配列番号2、4、6、8及び10のHPV特異的配列を含む捕捉プローブオリゴマー混合物を用いる。捕捉プローブのHPV特異的配列はHPV標識配列にハイブリダイズし、このテール部分は固体支持体に固定化された相補配列(オリゴ−dT)にハイブリダイズする。溶液相核酸ハイブリダイゼーションに伴うハイブリダイゼーション動態を利用するために、捕捉工程のハイブリダイゼーションは溶液中に遊離している捕捉オリゴマー及びHPV標識RNAを用いて行われることが好ましい。このハイブリダイゼーションにより捕捉オリゴマー:HPV RNA複合体が生成し、次いでこれが、捕捉オリゴマーのテール部分と固定化された相補配列とのハイブリダイゼーションにより固定化プローブに結合し、生成した複合体は標準法(例えば濾過、遠心分離、磁気分離)により他の試料成分から分離される。当業者であれば、捕捉工程を実施するため、テール部分と固定化プローブの間のいかなる結合対リガンド又は相補配列組をも使用できることを理解するであろう。好ましい態様において、固定化プローブは磁気結合可能な単分散粒子に付着したオリゴ−dTであり、したがって反応混合物を収容した容器に磁力を付与することにより、HPV RNAを含有するハイブリダイゼーション複合体は溶液から容易に分離される。捕捉されたHPV標識RNAを1回以上洗浄して、標識を潜在インヒビターからさらに精製する(例えばHPV RNA:捕捉オリゴマー:固定化プローブ複合体が付着した粒子を洗浄液中に再懸濁し、複合体が付着した粒子を洗浄液から回収する)。操作工程数を少なくするために、HPV標識核酸を捕捉オリゴマーから放出させずに増幅してもよい。標識捕捉工程中に増幅オリゴマーが存在すれば、捕捉されたHPV標識RNAにハイブリダイズした増幅オリゴマーの3’末端からの重合により初回増幅反応(cDNA形成)を達成できる。
【0045】
HPV検出のためのアッセイは、場合により非HPV−内部対照(IC)核酸を含んでもよく、これが同一アッセイ反応混合物中でIC配列に特異的な増幅オリゴマー及び検出オリゴマーにより増幅及び検出され、HPV関連のシグナルとは異なる陽性シグナルを発する(例えば、IC特異的プローブにはHPVプローブと対比して異なるAE標識を用い、前記識別可能なシグナルを周知の方法(例えば米国特許5,658,737号、第5,756,706号、第5,827,656号及び第5,840,873号、Nelsonら)で別個に検出する)。増幅され、増幅したIC配列からシグナルが検出されたことは、HPV標識に関するシグナルが得られない場合に(例えばHPVの存在に関して陰性結果を示す試料)、アッセイ工程のアッセイ試薬、条件及び性能が前記アッセイで適切に用いられたことを証明する。ICは、定量的結果が必要な場合にアッセイの内部検量物質として使用できる。すなわち、ICの増幅及び検出から得られたシグナルを用いて、増幅したHPV標識配列に関して得られたシグナルに基づいて試料中のHPV核酸の量を定量するためのアルゴリズムに用いるパラメーターを設定する。ICの好ましい態様は、天然源由来のランダム化配列である(例えばランダムに再配列したHPV配列)。好ましいICは、反応毎の正確なIC量を得るためにインビトロで合成したRNA転写体、例えばクローン化したランダム化配列から作製された転写物である。インビトロで合成したIC標識配列特異的なプライマー及びプローブを用いて、HPV配列の増幅及び検出に用いるのと実質的に同一のアッセイ条件によりIC標識を増幅し、増幅したIC配列を検出する。標識捕捉工程を含む好ましい態様では、アッセイはさらに、HPV標識の精製に用いたものと同一の捕捉工程でIC特異的な捕捉プローブを含む。したがってICは、アッセイのあらゆる工程でHPV被分析体と同様に処理される。
【0046】
捕捉されたHPV標識領域の増幅は、様々な公知の核酸増幅反応を用いて達成できるが、好ましくは転写関連増幅反応を用いる。前記態様では、単一コピーの標識核酸から多数の核酸鎖が生成し、したがって増幅した配列に結合している検出プローブにより標識を検出できる。転写関連増幅は、以前報告があったように(例えばKacianらが米国特許第5,399,491号及び第5,554,516号に記載した転写介在増幅(TMA)、及びDaveyらが米国特許第5,409,818号に記載した核酸配列ベース増幅(NASBA))実質的に定温条件下で行われる。要するに、転写関連増幅は、標識特異的配列及びRNAポリメラーゼに対するプロモーター配列を含有するプロモータープライマー、もうひとつのプライマー、合成活性と分解活性を供給する酵素(逆転写酵素(RT)、DNA依存性RNase、及びRNAポリメラーゼ)、基質(デオキシリボヌクレオシド三リン酸、リボヌクレオシド三リン酸)、並びに適当な塩類、緩衝剤及び補因子を溶液中に用いて、核酸鋳型から複数のRNA転写体を生成する。要するに、プロモータープライマーが標識RNA配列に特異的にハイブリダイズし、逆転写酵素がプロモータープライマーの3’末端から延長して第1鎖cDNAを形成する。このcDNAは、いかなる方法(例えば二本鎖の変性)でも第2プライマーとのハイブリダイゼーションに利用できるが、好ましくはcDNA:RNA二本鎖中のRNA鎖を消化するRNaseH活性(例えばRT酵素により供給される)を用いる。第2プライマーがこのcDNAに結合し、第2プライマーの3’末端からRTによって新たなDNA鎖が合成され、一端に機能性プロモーター配列をもつ二本鎖DNAが形成される。RNAポリメラーゼがプロモーター配列に結合し、多数の転写体(「アンプリコン」)を転写する。前記アンプリコンが増幅プロセス後の工程で用いられ、各々新たなラウンドの複製のための鋳型として作用し、多量の増幅核酸が生成する(各RNA鋳型鎖から約100〜3,000コピーが合成される)。
【0047】
プロモータープライマーオリゴヌクレオチドは、適当なRNAポリメラーゼが結合するとプロモーターとして機能する5’側プロモーター配列、及び標識領域配列に特異的にハイブリダイズする3’側配列を含む。好ましい態様としては、T7RNAポリメラーゼに特異的なT7プロモーター配列があげられる。プロモータープライマーの好ましい態様としては、配列番号18、20、22、24、26、28、30、32、34及び36があげられ、配列番号38〜41のプライマーと組合わせて用いられる。
【0048】
HPV配列の転写介在増幅では、HPV RNAが例えば配列番号18、20、22、24、26、28、30、32、34及び36のうち1以上のプロモータープライマーにハイブリダイズし、RT活性によりプロモータープライマーから、HPV RNAを鋳型として用いてcDNAが合成される。次いで例えば配列番号38〜41のうち1以上の第2プライマーがこのcDNA鎖にハイブリダイズし、RT−介在重合によりDNA二本鎖が形成されて機能性二本鎖プロモーターが形成され、それに特異的RNAポリメラーゼが結合してHPV配列からRNA転写体を転写してHPV増幅生成物を生成する。このハイブリダイゼーション工程及び重合工程、cDNA合成工程を繰返すと、RNA転写体が産生され、こうしてHPV標識特異的な増幅生成物が生成する。
【0049】
増幅オリゴマーを用いる他のインビトロ核酸増幅方式(例えばPCR又はSDA)を用いてHPV標識配列を増幅することもでき、それはプライマー上にプロモーター配列を必要としないことは認識されるであろう。前記増幅方法で、好ましい増幅オリゴマー混合物には配列番号19、21、23、25、27、29、31、33、35及び37の第1プライマーオリゴマー並びに配列番号38〜41の第2プライマーオリゴマーを用いる。
【0050】
検出工程では一般に、試料中に存在する可能性のある標識HPV型のいずれか1つを検出するためのHPV特異的プローブ混合物を用いる。すなわち、増幅したHPV配列(例えばRNA転写体又はアンプリコン)に少なくとも1つのプローブが特異的に結合した場合、陽性結果が得られる。グループA1、A2、C1、C2及びDのHPV型を検出するアッセイについて、検出工程には検出プローブ混合物、好ましくは配列番号11〜15及び17の混合物、又は配列番号11、12、14、15、17、44、45及び52の混合物を用いる。2又は3つの増幅反応及び検出反応を伴うアッセイで、1つの反応でグループA1、A2、C1、C2及びDのHPV型のいずれか1つの存在を検出し、他の反応でHPVのサブセット、例えばHPV16及び/又はHPV18を検出するために、サブセットのHPV型の検出工程に単一プローブ又はプローブサブセット混合物を用いる(例えば配列番号11、配列番号13若しくは配列番号44を個別に、又は配列番号11及び配列番号13及び44の混合物)。好ましい態様では、結合したプローブを結合していないプローブから精製せずに(すなわち均一検出系)検出されるシグナルを発生する標識プローブを用いる。より好ましくは、プローブをアクリジニウムエステル(AE)化合物で標識して、検出可能な化学発光性シグナルを発生させる(米国特許第5,283,174号及び第5,656,744号、Arnoldら;米国特許第5,658,737号、Nelsonら)。
【0051】
本明細書に記載した方法では、捕捉オリゴマー、増幅オリゴマー及び検出プローブオリゴマーは、HPV型16、18、31、33、35、39、45、51、52、56、58、59及び68のE6/E7遺伝子領域中にある多型のHPV標識配列の検出に有用と同定された特異的配列がある。多数のHPV型に共通の標識配列を選択して、又は多数のHPV型に共通の構造的特徴があるが標的(ターゲット)とするグループ内の全ての型に(又は1つの型についてすら)同一ではないコンセンサス配列を作製して、遺伝的に関連するグループ内の1より多いHPV型にハイブリダイズする多数のオリゴマーを設計した。増幅オリゴマーの態様は、配列番号18〜42であり、検出プローブオリゴマーの態様は配列番号11〜17、41、44〜54及び58である。化学発光性化合物で標識したプローブは、プローブオリゴマーに対して実質的に相補的な他のオリゴマーをプローブオリゴマーにハイブリダイズさせて、保存時に標識プローブを安定にすることができる。前記プローブ保護オリゴマーの態様は、配列番号59〜64である。捕捉プローブオリゴマーの好ましい態様は、標識領域配列を回収可能な固相に連結するための結合パートナーとして作用するいかなる部分(すなわちリガンド、例えばビオチン又はアビジン)に結合できる、配列番号2、4、6、8及び10のHPV標識結合配列がある。捕捉プローブの態様は、3’テール配列dT30を含む配列番号1、3、5、7及び9のように、固定化した相補的オリゴマーにハイブリダイズするテール配列を含んでもよい。前記オリゴマーは一般に連続DNA配列として開示されているが、RNA均等配列、あるいは1以上の位置に塩基類似体(例えばイノシン)又は合成プリン及びピリミジン誘導体、例えばP又はK塩基による置換を含む類似配列(Lin & Brown, 1989, Nucl. Acids Res. 17:10373-83; Lin & Brown, 1992, Nucl. Acids Res. 20: 5149-52)が実質的に同一の態様で機能することは認識されるであろう。RNA標識に結合するオリゴマーの各態様は核酸主鎖の1以上の結合に2’−メトキシ主鎖を含んでもよい。2’−メトキシ主鎖を用いて合成された好ましい態様では、一般に2’−メトキシ主鎖で連結された位置にRNA塩基を用いる。
【0052】
本発明の態様としては、検体中のHPV核酸を検出するための工程を実施するのに有用な材料の様々な組合わせから構成されるキットがあげられる。好ましいキットは、グループA1、A2、C1、C2及びDのHPV型の核酸配列をインビトロ増幅するためのプライマーとして作用する増幅オリゴヌクレオチドを収容する。キットの一例は、HPV標識配列の対鎖に相補的で増幅すべきHPV配列の両端をフランキングする第1及び第2増幅オリゴヌクレオチドを収容する。各態様では、配列番号18又は19、20又は21、22又は23、24又は25、26又は27、28又は29、30又は31、32又は33、34又は35、及び36又は37を第1増幅オリゴマーとして含み、配列番号38〜41を第2プライマーとして含む、増幅オリゴマーが収容される。第1増幅オリゴヌクレオチドの長さは、好ましくは最高100nt、より好ましくは20〜60ntで、HPV標識領域配列に相補的な前記のヌクレオチド塩基には、1以上の塩基類似体の置換が含まれてもよい。第2増幅オリゴヌクレオチドの長さは、好ましくは最高100nt、より好ましくは15〜25ntで、1以上の窒素塩基類似体を含んでもよい。キットの態様は、さらにHPV増幅生成物を検出する1以上のプローブオリゴマーを収容することができる。前記のプローブの態様としては、配列番号11〜17、44〜54及び58のオリゴマー、好ましくは配列番号11、12、14、15、17、44、45及び52のプローブがあげられる。キットの態様はさらに、使用前にプローブオリゴマーの機能性成分を安定化するためにプローブオリゴマーとの混合物として装填された、例えば配列番号57及び59〜64の他のオリゴマーを収容することができる。キットは、標識核酸を試料から精製するための捕捉オリゴマーとして作用するオリゴマーをも収容することができる。キットに用いる捕捉オリゴマーの例としては、グループA1、A2、C1、C2及びDのHPV型中のHPV E6/E7遺伝子領域内のHPV標識配列に相補的な約25〜30ntのものを含有するオリゴマーがあげられる。キットに収容される捕捉オリゴマーの態様としては、好ましくは、捕捉オリゴマーを固体支持体に結合させるリガンドに付着した配列番号2、4、6、8及び10のHPV特異的配列を含むオリゴマーがあげられる。キット中の捕捉オリゴマーの好ましい態様としては、配列番号1、3、5、7及び9のオリゴマー混合物があげられる。これは配列番号2、4、6、8及び10のHPV特異的配列の3’末端に付着した実質的にホモポリマー状のテール配列を含有する。前記のキットの態様では、オリゴマーが特定配列の相補配列、RNA及びDNA均等物、又は特定配列のRNA/DNAキメラ、又は特定配列中に1以上のヌクレオチド類似体置換を含んでもよい実質的に均等な配列からなるキットが含まれることは、理解されるであろう。キットの態様はオリゴマーを個別に包装された成分として収容できるが、好ましくはオリゴマーの混合物、例えば標識捕捉オリゴマーと第1増幅オリゴマーの混合物、又はプローブオリゴマーの混合物を収容できることも理解されるであろう。本発明方法を実施するのに有用なキットとしては、本明細書に開示する増幅オリゴマー及び/又は検出プローブのいずれかを互いに組合わせて包装されたものがあげられる。キットは、増幅オリゴヌクレオチド及び/又は検出プローブと組合わせて包装できる捕捉オリゴマーを収容してもよい。本発明方法を実施するのに有用なキットはさらに、本明細書に開示する標識捕捉、インビトロ増幅、及び/又は増幅生成物の検出の工程に使用する1以上の試薬を収容できる。当業者には、本発明に様々なキット形態が含まれることは自明であろう。
【0053】
標識捕捉工程で試料からHPV RNAを捕捉し、捕捉したHPV標識配列を転写介在増幅反応で増幅し、増幅した配列を標識した検出プローブで均一反応で検出し、結合したプローブから発生する被験試料中のHPVの存在を指示する化学発光性シグナルを検出するアッセイ方法で、本明細書に記載のオリゴマーを試験した。前記アッセイに用いた一般的な工程は以前報告された(米国特許第6,110,678号、第6280,952号及び第6,534,273号、Weisburgら、標識捕捉関連;米国特許第5,399,491号及び第5,554,516号、Kacianら、転写介在増幅関連;並びに米国特許第5,283,174号及び第5,656,744号、Arnoldら、並びに米国特許第5,658,737号、Nelsonら、化学発光性標識及び検出に関連)。
【0054】
本明細書に記載するHPV検出アッセイには、一般に下記の試薬を用いた。試料輸送溶液は、15mM一塩基性リン酸ナトリウム、15mM二塩基性リン酸ナトリウム、1mM EDTA、1mM EGTA、及び110mMラウリル硫酸リチウム(LLS)(pH6.7)を含有した。標識捕捉試薬は、250mM HEPES、310mM水酸化リチウ
ム、1.88M塩化リチウム、100mM EDTA、pH6.4、及び250μg/ml磁性粒子(1ミクロンのSERA−MAG(商標)MG−CM粒子、Seradyn,Inc.、インディアナ州インディアナポリス)に(dT)14オリゴマーが共有結合したものを含有した。洗浄液は、10mM HEPES、150mM塩化ナトリウム、6.5mM水酸化ナトリウム、1mM EDTA、0.3%(v/v)エタノール、0.02%(w/v)メチルパラベン、0.01%(w/v)プロピルパラベン、及び0.1%(w/v)ラウリル硫酸ナトリウム(pH7.5)を含有した。プローブ試薬は、1以上の標識された検出プローブを、100mMコハク酸リチウム、2%(w/v)LLS、15mMメルカプトエタンスルホネート、1.2M塩化リチウム、20mM EDTA、及び3%(v/v)エタノールからなる溶液(pH4.7)を含有した。増幅試薬は、他の反応成分と混合して、47.6mM Na−HEPES、12.5mM N−アセチル−L−システイン、2.5% TRITON(商標)X−100、54.8mM KCl、23mM MgCl、3mM NaOH、各0.35mM dNTP(dATP、dCTP、dGTP、dTTP)、7.06mM rATP、1.35mM rCTP、1.35mM UTP、8.85mM rGTP、0.26mM NaEDTA、5%v/vグリセロール、2.9%トレハロース、0.225%エタノール、0.075%メチルパラベン、0.015%プロピルパラベン、及び0.002%フェノールレッドを含有する混合物(pH7.5〜7.6)を生成する濃厚混合物であるが、増幅試薬の他の配合物も同様に良好に機能しうる。プライマーを増幅試薬に添加するか、又は増幅試薬とは別に増幅反応に添加してもよい。酵素は、モロニーネズミ白血病ウイルス逆転写酵素(Moloney Murine Leukemia Virus Reverse Transcriptase)(MMLV−RT)及びバクテリオファージT7RNAポリメラーゼであり、その単位は機能的に下記のように規定されている:1U MMLV−RTは、200〜400μmolオリゴdT−プライムド−ポリ(A)を鋳型として用いて1nmol dTTPを37℃10分で取り込み、1U T7 RNAポリメラーゼは、T7プロモーターを含むDNA鋳型を用いて1nmolATPをRNA中へ37℃で1時間取り込む。ハイブリダイゼーション試薬は、100mMコハク酸、2%(w/v)のLLS、100mM水酸化リチウム、15mMアルドリチオール−2(aldrithiol−2)、1.2Mの塩化リチウム、20mMのEDTA、及び3.0%(v/v)のエタノール(pH4.7)から構成された。選択試薬は、600mMホウ酸、182.5mM水酸化ナトリウム、1%(v/v)オクトキシノール(octoxynol)(TRITON(登録商標)X−100)(pH8.5)であった。検出試薬は、1mMの硝酸及び32mMの過酸化水素を含有する検出試薬Iであり、検出試薬IIは1.5Mの水酸化ナトリウムであった。HPVアッセイのオリゴマーを一般に下記の濃度:各捕捉プローブオリゴマーは反応当たり2.5pmol、標識捕捉試薬に含まれる各プロモータープライマーは反応当たり2.5pmol、増幅混合物に含まれる各非プロモータープライマーは反応当たり15pmol、増幅混合物に含まれる各プロモータープライマーは反応当たり1.25〜7.5pmol、並びに各検出プローブは反応当たり0.03pmolで用いた。実施した試験で、HPV標識は一般にインビトロで合成された転写体であり、検出すべきHPV型(1以上)のE6/E7遺伝子配列の全て又は一部を含み、反応当たり25〜100,000コピー、通常は反応当たり100又は1000コピーの濃度で用いられた。さらに詳細を以下の実施例に示す。前記は本発明の若干の態様の代表例である。
【実施例1】
【0055】
HPV E6/E7配列の標識の捕捉、増幅及び検出
本実施例は、試料中のHPV型16、18、31、33、35、39、45、51、52、56、58、59及び68由来の標識配列を検出する多くの試験に用いられるアッセイ工程及び条件を記載する。
【0056】
標識捕捉工程では、オリゴマー配列番号1、3、5、7及び9の混合物(各2.5pmol)を、各試験に適当な100又は1000コピーのHPV標識RNA(すなわちHPV型16、18、31、33、35、39、45、51、52、56、58、59及び68の1以上のE6/E7転写体)を含有する標識捕捉試薬0.5mlを含む反応に用いた。前記の反応混合物は、各2.5pmolの配列番号18、20、22、24、26、28、30、32、34及び36のオリゴマーをも含有した。混合物を62℃で30分間、次いで室温で30分間インキュベートして、オリゴマーを標識配列にハイブリダイズさせ、次いで容器の外側に磁力を付与して(約5〜10分間)、磁性粒子上のハイブリダイゼーション複合体を他の反応成分から分離し、他の試料成分を吸引除去し、粒子上のハイブリダイゼーション複合体を1mlの洗浄液により室温で洗浄し、上記同様に磁力を付与し、吸引して磁性粒子上のハイブリダイゼーション複合体を洗浄液から分離した。
【0057】
少なくとも1つのT7プロモータープライマーを含むハイブリダイゼーション複合体中に捕捉されたHPV標識RNAをその後増幅反応に用いた。反応は、各40mM Trizma塩基、pH7.5、17.5mMKCl、20mM MgCl、5%ポリビニルピロリドン(PVP)、各1mM dNTP、各4mM rNTP、及び反応当たり各15pmolの配列番号38〜41オリゴマー、並びに各反応に最適量の下記のT7プライマーオリゴマー:配列番号18(1.25pmol)、配列番号20(7.5pmol)、配列番号22(1.25pmol)、配列番号24(2.5pmol)、配列番号26(2.5pmol)、配列番号28(2.5pmol)、配列番号30(2.5pmol)、配列番号32(7.5pmol)、配列番号34(1.25pmol)、及び配列番号36(1.25pmol)を含有した。蒸発を防ぐために反応物を不活性油の層(200μl)で覆い、62℃で10〜15分間の後、42℃で3〜5分間インキュベートした。次いで酵素(反応当たり約750U MMLV RT及び約2000UのT7 RNAポリメラーゼ)を添加し、混合し、増幅反応物を42℃で約1時間インキュベートした。
【0058】
増幅した配列を検出するため、AE化合物で標識した、反応当たり各0.03pmolの配列番号11〜16のオリゴマー混合物又は配列番号11〜15及び17のオリゴマー混合物を含有するプローブ試薬0.1mlを増幅混合物に添加し、62℃で約20分間インキュベートした後0.25mlの選択試薬を添加し、混合物を62℃で約10分間インキュベートし、次いで反応物を室温に冷却し(約15分間)、検出試薬I及びIIを順に添加した後、実質的に以前の報告(米国特許第5,658,737号、第25欄第27−46行目;Nelson et al., 1996, Biochem. 35: 8429-8438, 8432)に従い、結合プローブから化学発光を発生させ、シグナル(相対光単位、すなわちRLU)をルミノメーター(Leader HC+, Gen−Probe Inc.,カリフォルニア州サンディエゴ)で検出した(2秒間)。
【0059】
一連の多重アッセイでは、HPV型16、18、31、33、35、39、45、51、52、56、58、59、68毎に、前記アッセイ方法で既知量の各標識(反応当たり25〜1000コピー)を含有する試料を用いて増幅して検出した。このHPV型全てが200コピー以上の各標識HPV RNAを含有する試料について一般に約650,000RLU〜2,000,000RLU以上の範囲の陽性シグナルが生じたが、HPV型31、35、18、45、59及び68は試料中に25コピーしか標識RNAが存在しない場合でも陽性シグナル(500,000RLU以上)が生じた。この結果より、多重アッセイのおおよその感度は、HPV18、31、35、45、51、56、59及び68では反応当たり25コピー、HPV16では反応当たり50コピー、HPV33、39及び58では反応当たり200コピー、HPV52では反応当たり400コピーであった。
【0060】
この多重アッセイが、アッセイで検出することを想定しないHPV型、すなわち低リスクHPV型と交差反応しないことを示すため、低リスクHPV型6、11、42、43及び44から調製したインビトロE6/E7転写体を標識核酸として用いて(反応当たり1,000,000及び10,000,000コピーを使用)、同じ多重増幅及び検出反応工程を実施した。すなわち、低リスクHPV型はこのアッセイで検出されたグループA1、A2、C1、C2及びDの高リスクHPV型より反応当たり1,000〜10,000倍多いコピー数で試験した。本アッセイで試験した低リスクHPV標識は、陽性対照(各標識HPVにつき個々の反応で1000コピーのHPV16、18、33、39及び51インビトロE6/E7転写体を試験した)と比較して陰性結果であった。陽性対照は1,000,000RLU以上ないし2,000,000RLU以上の陽性シグナルが生じ、これに対し低リスクHPV型は陰性シグナルが生じた(約14,000RLU以下)。
【実施例2】
【0061】
グループA2、C1、C2及びDのHPV型の増幅及び検出
本実施例は、異なるグループの個々のHPV型の増幅及び検出を増幅オリゴマーと検出オリゴマーの組合わせにより実施したいくつかの試験を示す。E7領域の既知量のインビトロ転写体(反応当たり100〜100,000コピー)を用いて調製した被験試料中の標識配列を効率的に検出するために、増幅工程及び検出工程のみを用いて、実質的に上記のとおり反応を行った。陰性対照は、同一試験を行ったが標識転写体を含有しない試料であった。前記グループの反応で試験したそれぞれの非プロモータープライマー(15pmol)及びそれぞれのプロモータープライマー(5〜7.5pmol)(下記のデータ表と共にその配列番号で示す)を反応当たり同一量で用いて、増幅反応を各グループごとに実施した。既知量の各HPV標識RNAを含有する調製試料を、増幅試薬(40mM Trizma塩基、pH7.5、17.5mM KCl、20mM MgCl、5%ポリビニルピロリドン(PVP)、各1mM dNTP、各4mM rNTP)及び各グループにつき下記のデータ表に示した各増幅オリゴマーと混合した。蒸発を防ぐために反応物を不活性油の層で覆い、62℃で10〜15分間、次いで42℃で3〜5分間インキュベートし、次いで酵素(反応当たり約750U MMLV RT及び約2000UのT7 RNAポリメラーゼ)を添加し、混合し、増幅反応物を42℃で約1時間インキュベートした。増幅反応の後、一定部分の各増幅反応物を、ハイブリダイゼーション試薬及び各グループにつき下記のデータ表に示したAE標識プローブ(反応当たり100fmol)と混合し、混合物をインキュベートしてプローブを増幅生成物にハイブリダイズさせ(62℃で約20分間)、次いで選択試薬を添加して非結合プローブ上の標識を不活性化した(62℃で約10分間)。この検出反応混合物を室温に冷却し、検出試薬I及びIIを順に添加して結合プローブからの化学発光を誘導し、この化学発光シグナル(RLU)を実質的に以前の報告(米国特許第5,658,737号;Nelson et al., 1996, Biochem. 35: 8429-8438, 8432)と同様にルミノメーターで検出した。グループA2、C1、C2及びDのHPV型についての試験結果を下記に示す。
【0062】
【表4】

【0063】
【表5】

【0064】
結果は、選択したオリゴマーがグループ内の異なるHPV型の増幅及び検出に有効で、反応当たりわずか100コピーの標識RNAで多くの場合陽性結果が得られたことを示す。本明細書に開示した他の増幅オリゴマーと検出オリゴマー組合わせを各HPV標識転写体と共に用いて多数の同様な試験を実施し、反応当たりわずか100コピーの標識RNAで多くの場合陽性結果が得られ、反応当たり1000コピーで常に陽性結果であった。
【実施例3】
【0065】
グループA1、A2、C1、C2及びDのHPV型を増幅及び検出する多重アッセイ
本実施例は、HPV型16、18、31、33、35、39、45、51、52、56、58、59、68を検出した実施例1に記載したものと同様な多重アッセイで得た結果を示す。この多重アッセイはさらに内部対照(IC)RNA(ランダム化した非HPV RNA配列)を含有し、HPV被分析体の検出に用いたのと同一のアッセイ条件でIC特異的なプライマー及びプローブで同時に増幅及び検出して、識別可能な化学発光シグナルを発生させた。
【0066】
アッセイの標識捕捉部分で、標識捕捉試薬及び既知量のHPV標識RNA(HPV型16、18、31、33、35、39、45、51、52、56、58、59又は68のE6/E7遺伝子領域のインビトロ転写体;反応当たり100〜1,000コピー)を含む試料を含有する反応物内に、配列番号1(0.65pmol/μl)、配列番号3及び配列番号9(各2.5pmol/μl)並びに配列番号5及び配列番号7(各0.5pmol/μl)の捕捉オリゴマー混合物を用いた。この捕捉反応混合物を順に62℃で30分間、室温で30分間インキュベートして、固体支持体粒子上のHPV RNA:捕捉オリゴマー:固定化プローブから構成されるハイブリダイゼーション複合体を形成させた。上記同様容器の外側に磁力を付与して粒子上のハイブリダイゼーション複合体を他の試料成分から分離し、他の試料成分を吸引除去し、粒子上のハイブリダイゼーション複合体を実質的に洗浄した。
【0067】
次いでハイブリダイゼーション複合体中に捕捉されたHPV標識RNAを、増幅試薬及び増幅オリゴマー(プロモータープライマー混合物及び非プロモータープライマー混合物から反応に供給される)を含有する転写介在増幅反応物中で増幅した。用いたプロモータープライマーは、配列番号18(1.25pmol/μl)、配列番号20(7.5pmol/μl)、配列番号22(1.25pmol/μl)、配列番号24(7.5pmol/μl)、配列番号26(7.5pmol/μl)、配列番号28(2.5pmol/μl)、配列番号30(2.5pmol/μl)、配列番号32(7.5pmol/μl)、配列番号34(1.25pmol/μl)、及び配列番号36(1.25pmol/μl)であった。他方のプライマーは、配列番号38、39、40及び41であった(各15pmol/μl)。内部対照に特異的なプロモータープライマー及びプライマーを、内部対照RNAを含有する反応物に同様に添加した。蒸発を防ぐために混合物を不活性油の層で覆い、順に62℃で10〜15分間、42℃で約5分間インキュベートした。実質的に上記同様酵素(MMLV RT及びT7 RNAポリメラーゼ)を添加し、混合し、増幅反応物を42℃で約60分間(45〜75分間)インキュベートした。
【0068】
増幅したHPV配列を検出するために、一定部分の増幅混合物を、プローブ試薬並びに配列番号11、12、14、15、17、44、45及び52(それぞれ2−メチル−AEで標識し、反応当たり1.5×10RLUの量となるように添加した)のプローブオリゴマー混合物と混合した。増幅した内部対照配列の検出には、内部対照に特異的な合成オリゴマーを識別可能なAE化合物(2’−フルオロ−AE)で標識したものを用い、反応当たり8.5×10RLUの量となるように添加した。検出混合物を62℃で約20分間インキュベートし、次いで室温に約5分間冷却し、選択試薬を添加し、混合物を62℃で約10分間インキュベートし、次いで室温に約15分間冷却した時点で、順に検出試薬I及びIIを用いて化学発光を発生させ、結合したプローブ中のAE標識から発生する化学発光シグナル(RLU)を、実質的に上記と同様に検出した。
【0069】
前記アッセイで、各HPV標識につき合計10の複製試料を試験し、コピー数をアッセイした。これに関して、用いた2つの異なるロットの増幅試薬について代表データを下記に示す。複製反応の型ごとに、増幅した標識HPVについて平均した検出RLU(平均)、及びHPV標識RNAを含有しない同一処理した試料において得られたバックグラウンドレベルを検出RLUが超えた場合に陽性とみなした試験の%を共に示す。本結果は、結果に若干の変動がみられた(例えば個々の検体、個々のアッセイの性能又は試薬ロット間)ものの、本多重アッセイによりHPV型16、18、31、33、35、39、45、51、52、56、58、59及び68が検出されたことを示す。上記結果は、異なる被験HPV型に関するアッセイの相対感度も示す。
【0070】
【表6】

【0071】
【表7】

【0072】
以上の実施例は、特許請求の範囲に記載の本発明の側面及び好ましい態様を説明する。
[請求項1]
増幅オリゴマー混合物であって、混合物中の個々のオリゴマー配列は配列番号18〜配列番号42よりなる群から選択され、前記群には前記特定配列の相補的オリゴマー配列又はRNA均等物が含まれる、下記の:
配列番号19若しくは42、21、23、25、27、29、31、33及び35の第1増幅オリゴマー、並びに配列番号37、38、39、40及び41の第2増幅オリゴマー、又は前記オリゴマー配列の相補的オリゴマー配列若しくはRNA均等物;
配列番号18、20、22、24、26、28、30、32、34及び36の第1増幅オリゴマー、並びに配列番号37、38、39、40及び41の第2増幅オリゴマー、又は前記オリゴマー配列の相補的オリゴマー配列若しくはRNA均等物;
配列番号19若しくは42、21、23、25、27、29、31、33及び35の第1増幅オリゴマー、並びに配列番号38、39、40及び41の第2増幅オリゴマー、又は前記オリゴマー配列の相補的オリゴマー配列若しくはRNA均等物;あるいは
配列番号18、20、22、24、26、28、30、32、34及び36の第1増幅オリゴマー、並びに配列番号38、39、40及び41の第2増幅オリゴマー、又は前記オリゴマー配列の相補的オリゴマー配列若しくはRNA均等物;
を含む混合物。
[請求項2]
1以上の個々のオリゴマーが、少なくとも1つの2’−メトキシRNA基、少なくとも1つの2’−フルオロ置換RNA基、少なくとも1つのペプチド核酸結合、少なくとも1つのホスホロチオエート結合、少なくとも1つのメチルホスホネート結合、又は前記いずれかの組合わせを含む主鎖を含む、請求項1のオリゴマー混合物。
[請求項3]
キットに収容された、請求項1のオリゴマー混合物。
[請求項4]
オリゴマー混合物であって、混合物中の個々のオリゴマー配列は配列番号11〜配列番号17、配列番号44〜配列番号54、及び配列番号58よりなる群から選択され、前記群には前記特定配列の相補的オリゴマー配列又はRNA均等物が含まれる、下記の:
配列番号11〜17、又は前記オリゴマー配列の相補的オリゴマー配列若しくはRNA均等物;
配列番号11〜15及び17、又は前記オリゴマー配列の相補的オリゴマー配列若しくはRNA均等物;
配列番号11〜15及び17、並びに少なくとも1つの配列番号44〜配列番号54及び配列番号58のオリゴマー、又は前記オリゴマー配列の相補的オリゴマー配列若しくはRNA均等物;あるいは
配列番号11、12、14、15、17、44、45及び52、又は前記オリゴマー配列の相補的オリゴマー配列若しくはRNA均等物;
を含む混合物。
[請求項5]
各オリゴマー配列が、前記オリゴマーに直接又は間接的に結合した標識を含む、請求項4のオリゴマー混合物。
[請求項6]
各オリゴマー配列が、化学発光性化合物である標識を含む、請求項4のオリゴマー混合物。
[請求項7]
各オリゴマー配列が、少なくとも1つの2’−メトキシRNA基を含む主鎖を有する、請求項4のオリゴマー混合物。
[請求項8]
キットに収容された、請求項4のオリゴマー混合物。
[請求項9]
少なくとも2つのオリゴマーの混合物であって、混合物中の個々のオリゴマー配列は配列番号1〜10よりなる群から選択され、前記群には前記特定配列の相補的オリゴマー配列又はRNA均等物が含まれる、下記の:
配列番号2、4、6、8及び10から選択される少なくとも2つのオリゴマーであって、リガンド部分が各オリゴマーに結合したもの;
配列番号2、4、6、8及び10のオリゴマーであって、リガンド部分が各オリゴマーに結合したもの;
配列番号1、3、5、7及び9から選択される少なくとも2つのオリゴマー;又は
配列番号1、3、5、7及び9のオリゴマー;
を含む混合物。
[請求項10]
少なくとも1つのオリゴマーが、少なくとも1つの2’−メトキシRNA基、少なくとも1つの2’−フルオロ置換RNA基、少なくとも1つのペプチド核酸結合、少なくとも1つのホスホロチオエート結合、又は少なくとも1つのメチルホスホネート結合を含む主鎖を含む、請求項9のオリゴマー混合物。
[請求項11]
キットに収容された、請求項9のオリゴマー混合物。
[請求項12]
生物試料中に存在するヒトパピローマウイルス(HPV)核酸を検出する方法であって、
HPV16、18、31、33、35、39、45、51、52、56、58、59及び68型のうち少なくとも1つのRNAを含有する生物試料中の核酸を、E6/E7標識領域配列内のHPV配列を増幅する増幅オリゴマーの混合物と接触させる工程であって、前記混合物は、以下の:
配列番号19若しくは42、21、23、25、27、29、31、33及び35の第1増幅オリゴマー、並びに配列番号37、38、39、40及び41の第2増幅オリゴマー、又は前記オリゴマー配列の相補的オリゴマー配列若しくはRNA均等物;
配列番号18、20、22、24、26、28、30、32、34及び36の第1増幅オリゴマー、並びに配列番号37、38、39、40及び41の第2増幅オリゴマー、又は前記オリゴマー配列の相補的オリゴマー配列若しくはRNA均等物;
配列番号19若しくは42、21、23、25、27、29、31、33及び35の第1増幅オリゴマー、並びに配列番号38、39、40及び41の第2増幅オリゴマー、又は前記オリゴマー配列の相補的オリゴマー配列若しくはRNA均等物;あるいは
配列番号18、20、22、24、26、28、30、32、34及び36の第1増幅オリゴマー、並びに配列番号38、39、40及び41の第2増幅オリゴマー、又は前記オリゴマー配列の相補的オリゴマー配列若しくはRNA均等物;
から構成される;
少なくとも1つのHPV型中の標識領域配列に由来するHPV配列を、前記増幅オリゴマー及び核酸ポリメラーゼを用いてインビトロで増幅して、HPV増幅生成物を生成させる工程;及び
HPV増幅生成物と特異的にハイブリダイズするのに十分に相補的である検出プローブオリゴマーを用いて増幅生成物を検出して、試料中にHPV16、18、31、33、35、39、45、51、52、56、58、59及び68型のうち少なくとも1つが存在することを示す工程;
を含む方法。
[請求項13]
さらに、増幅工程の前に、試料中のHPV RNAと捕捉オリゴマーを接触させること
により、HPV型16、18、31、33、35、39、45、51、52、56、58、59及び68のうち少なくとも1つのRNAを試料中の他の成分から分離し、そして捕
捉オリゴマー及びHPV RNAを含む複合体を試料中の他の成分から分離する工程を含む、請求項12の方法。
[請求項14]
捕捉オリゴマーが、少なくとも2つのオリゴマーから構成される捕捉オリゴマー混合物中に存在し、混合物中の個々のオリゴマー配列は配列番号1〜10よりなる群から選択され、前記群には前記特定配列の相補的オリゴマー配列又はRNA均等物が含まれる、請求項13の方法。
[請求項15]
捕捉オリゴマーが以下の:
配列番号2、4、6、8及び10から選択される少なくとも2つのオリゴマーであって、リガンド部分が各オリゴマーに結合したもの;
配列番号2、4、6、8及び10のオリゴマーであって、リガンド部分が各オリゴマーに結合したもの;
配列番号1、3、5、7及び9から選択される少なくとも2つのオリゴマー;又は
配列番号1、3、5、7及び9のオリゴマー;
から構成される捕捉オリゴマー混合物中に存在する、請求項13の方法。
[請求項16]
増幅工程に、実質的に定温(isothermal)である増幅方法を用いる、請求項12の方法。
[請求項17]
増幅工程に転写関連増幅法を用いる、請求項12の方法。
[請求項18]
検出工程にプローブオリゴマー混合物を使用し、混合物中の少なくとも1つのプローブオリゴマーがHPV増幅生成物に特異的に結合して、試料中に少なくとも1つのHPV型が存在することを示すシグナルを発生させる、請求項12の方法。
[請求項19]
検出工程に以下の:
配列番号11〜17、又は前記オリゴマー配列の相補的オリゴマー配列若しくはRNA均等物;
配列番号11〜15及び17、又は前記オリゴマー配列の相補的オリゴマー配列若しくはRNA均等物;
配列番号11〜15及び17、並びに少なくとも1つの配列番号44〜配列番号54及び配列番号58、又は前記オリゴマー配列の相補的オリゴマー配列若しくはRNA均等物;あるいは
配列番号11、12、14、15、17、44、45及び52、又は前記オリゴマー配列の相補的オリゴマー配列若しくはRNA均等物;
から構成されるプローブオリゴマー混合物を用いる、請求項18の方法。
[請求項20]
接触工程がさらに、非HPV−内部対照配列を試料に導入することを含み、
増幅工程がさらに、非HPV−内部対照配列を増幅して、増幅した内部対照配列を生成させることを含み、かつ
検出工程がさらに、増幅した内部対照配列を検出して、本工程が適切に行われたことを示すシグナルを発生させることを含む、
請求項12の方法。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
増幅オリゴマー混合物であって、混合物中の個々のオリゴマー配列は配列番号18〜配列番号42よりなる群から選択され、前記群には前記特定配列の相補的オリゴマー配列又はRNA均等物が含まれる、下記の:
配列番号19若しくは42、21、23、25、27、29、31、33及び35の第1増幅オリゴマー、並びに配列番号37、38、39、40及び41の第2増幅オリゴマー、又は前記オリゴマー配列の相補的オリゴマー配列若しくはRNA均等物;
配列番号18、20、22、24、26、28、30、32、34及び36の第1増幅オリゴマー、並びに配列番号37、38、39、40及び41の第2増幅オリゴマー、又は前記オリゴマー配列の相補的オリゴマー配列若しくはRNA均等物;あるいは
配列番号19若しくは42、21、23、25、27、29、31、33及び35の第1増幅オリゴマー、並びに配列番号38、39、40及び41の第2増幅オリゴマー、又は前記オリゴマー配列の相補的オリゴマー配列若しくはRNA均等物;
を含む混合物。

【図1】
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【公開番号】特開2012−165751(P2012−165751A)
【公開日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−102644(P2012−102644)
【出願日】平成24年4月27日(2012.4.27)
【分割の表示】特願2007−545597(P2007−545597)の分割
【原出願日】平成17年12月8日(2005.12.8)
【出願人】(500169900)ジェン−プローブ・インコーポレーテッド (32)
【Fターム(参考)】