説明

複数物質の測定方法および測定試薬

【課題】複数の測定すべき物質に特異的に結合する物質を用いる複数の物質の同時測定方法および測定試薬に関する。
【解決手段】平板を有する反応容器であって、該平板上の相互に分別認識可能な位置に、標識を検出するためのシグナルが透過可能な一定の厚みをもつ2以上の多孔性支持体を有し、該多孔性支持体には、それぞれ異なる種類の測定すべき物質に特異的に結合する物質または測定すべき物質を担持している反応容器に、それぞれ標識された該異なる種類の測定すべき物質にそれぞれ特異的に結合する物質と試料とを接触させ、多孔性支持体と複合体を形成した標識を生成させる工程、および多孔性支持体と複合体を形成した標識量を測定する工程を含む複数物質の測定方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の測定すべき物質に特異的に結合する物質を用いる複数の物質の同時測定方法および測定試薬に関する。
【背景技術】
【0002】
臨床診断検査の領域では、従来から一つの検査項目に専用の試薬を用いて、各検査項目が別個の試薬や装置で測定されてきている。しかし、近年、臨床診断において、一種類の検査項目結果だけではなく、多数の検査項目を一度に測定したいという要求が高まっている。また、専用試薬では、幼児など少量の検体量しか採取出来ない場合は、限られた項目しか検査できない場合がある。
【0003】
これを解決すべく、DNAチップなどの技術を使用して種々の抗原や抗体などをスライドガラス上に各ドットとして結合させ、検体と反応後、洗浄、蛍光標識を行って各ドットの蛍光強度をCCDカメラを使用して測定し、この蛍光強度からイメージングにより各ドットに対応する抗体や抗原の濃度を概算する方法が知られている(非特許文献1)。
また、反応場の微量化のためにマイクロタイターウエルの底面に複数の小さなドットを印字する方法でそれぞれ別々の抗原または抗体を複数固定化し、通常のサンドイッチ免疫測定法で洗浄、標識、洗浄を行い、小さなドットの発光を高感度なCCDカメラを使用して各ドットの発光強度を測定して、同時に複数の物質を検出または定量する方法が知られている(非特許文献2)。
【非特許文献1】ゲノム・バイオロジー(Genome Biol.)、2 (2):Research 0004.1-0004.13、2001年
【非特許文献2】ドラッグ・ディスカバリー・アンド・デベロプメント(Drug Discovery & Development)、81頁、October、2001年 しかし、標識を用いて測定対象物を検出する方法においては、測定反応が微小な平面で行われるため、十分な検出感度が得られないとう問題がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、複数の測定すべき物質に特異的に結合する物質を用いる複数の物質の同時測定方法および測定試薬を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、以下の(1)〜(16)に関する。
(1) 平板を有する反応容器であって、該平板上の相互に分別認識可能な位置に、標識を検出するためのシグナルが透過可能な一定の厚みをもつ2以上の多孔性支持体を有し、該多孔性支持体には、それぞれ異なる種類の測定すべき物質に特異的に結合する物質または測定すべき物質を担持している反応容器に、それぞれ標識された該異なる種類の測定すべき物質にそれぞれ特異的に結合する物質と試料とを接触させ、多孔性支持体と複合体を形成した標識を生成させる工程、および多孔性支持体と複合体を形成した標識量を測定する工程を含むことを特徴とする複数物質の測定方法。
【0006】
(2) 平板を有する反応容器であって、該平板上の相互に分別認識可能な位置に、標識を検出するためのシグナルが透過可能な一定の厚みをもつ2以上の多孔性支持体を有し、該多孔性支持体には、それぞれ異なる種類の測定すべき物質に特異的に結合する物質を担持している反応容器に、それぞれ標識された該異なる種類の測定すべき物質と試料とを接触させ、多孔性支持体と複合体を形成した標識を生成させる工程、および多孔性支持体と複合体を形成した標識量を測定する工程を含むことを特徴とする複数物質の測定方法。
【0007】
(3) 標識量の測定がCCDカメラを用いる画像処理により行われる前記(1)または(2)記載の方法。
(4) 標識が酵素、発光物質、蛍光物質および色原体から選ばれる標識である前記(1)〜(3)のいずれかに記載の方法。
(5) 酵素がアルカリフォスファターゼまたはペルオキシダーゼである前記(4)の測定方法。
【0008】
(6) 発光物質がアクリジニウム化合物である前記(4)の測定方法。
(7) 測定すべき物質が抗体である前記(1)〜(6)のいずれかに記載の方法。
(8) 標識の測定が補助試薬を用いて行われる前記(1)〜(7)のいずれかに記載の方法。
(9) 平板を有する反応容器であって、該平板上の相互に分別認識可能な位置に、標識を検出するためのシグナルが透過可能な一定の厚みをもつ2以上の多孔性支持体を有し、該多孔性支持体は、それぞれ異なる種類の測定すべき物質に特異的に結合する物質または測定すべき物質を担持している反応容器、およびそれぞれ標識された該異なる種類の測定すべき物質にそれぞれ特異的に結合する物質を含む複数物質の測定用試薬。
【0009】
(10) 平板を有する反応容器であって、該平板上の相互に分別認識可能な位置に、標識を検出するためのシグナルが透過可能な一定の厚みをもつ2以上の多孔性支持体を有し、該多孔性支持体には、それぞれ異なる種類の測定すべき物質に特異的に結合する物質を担持している反応容器、およびそれぞれ標識された該異なる種類の測定すべき物質を含む複数物質の測定用試薬。
【0010】
(11) 多孔性支持体が平板上下両面を貫通している前記(9)または(10)記載の試薬。
(12) 多孔性支持体が中空糸である前記(9)〜(11)のいずれかに記載の試薬。
(13) 測定すべき物質に特異的に結合する物質が抗体である前記(9)〜(12)のいずれかに記載の試薬。
【0011】
(14) 平板の厚みが0.01〜10mmである前記(9)〜(13)のいずれか記載の試薬。
(15) 標識が酵素、発光物質、蛍光物質および色原体から選ばれる標識である前記(9)〜(14)のいずれかに記載の試薬。
(16) 補助試薬を含有する前記(9)〜(15)のいずれかに記載の試薬。
【発明の効果】
【0012】
本発明により、複数の測定すべき物質に特異的に結合する物質を用いる複数物質の同時測定方法および測定試薬が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明の方法は、平板を有する反応容器であって、該平板上の相互に分別認識可能な位置に、標識を検出するためのシグナルが透過可能な一定の厚みをもつ2以上の多孔性支持体を有し、該多孔性支持体には、それぞれ異なる種類の測定すべき物質に特異的に結合する物質または測定すべき物質を担持している反応容器を用いて、反応液中、それぞれ標識された該異なる種類の測定すべき物質にそれぞれ特異的に結合する物質と試料とを接触させ、多孔性支持体と複合体を形成した標識を生成させる工程、および多孔性支持体と複合体を形成した標識量を測定する工程を含むことを特徴とする試料中の測定物質の測定方法である。
【0014】
また、本発明の方法は、平板を有する反応容器であって、該平板上の相互に分別認識可能な位置に、標識を検出するためのシグナルが透過可能な一定の厚みをもつ2以上の多孔性支持体を有し、該多孔性支持体には、それぞれ異なる種類の測定すべき物質に特異的に結合する物質を担持している反応容器を用いて、反応液中、それぞれ標識された該異なる種類の測定すべき物質と試料とを接触させ、多孔性支持体と複合体を形成した標識を生成させる工程、および多孔性支持体と複合体を形成した標識量を測定する工程を含むことを特徴とする試料中の測定物質の測定方法である。
【0015】
本発明の方法においては、多孔性支持体と複合体を形成した標識の検出に補助試薬を添加し補助試薬と標識を反応させる工程を含有することが好ましい。また本発明の方法においては、洗浄液で洗浄することにより未結合の標識を多孔性支持体から除去する工程を含有することが好ましい。
試料中の測定対象物および標準品を測定する際の反応温度としては、特異的反応を行うことが出来る条件であれば特に制限はないが、通常0〜100℃、好ましくは10〜60℃、より好ましくは20〜40℃である。反応時間としては、特に制限はないが、1分間〜6時間が好ましく、2分間〜1時間がより好ましく、3分間〜30分間が特に好ましい。
【0016】
本発明において使用できる試料には特に制限はないが、例えば全血、血漿、血清、臍帯血、髄液、唾液、羊水、尿、汗、膵液、涙等の生体試料や、食品、土壌等があげられる。
反応液としては、測定すべき物質と測定すべき物質に特異的に結合する物質とが反応できる溶媒であれば特に制限はないが、標識を補助試薬を用いて測定する場合は、さらに標識と補助試薬とが反応できる溶媒が好ましく、例えば水性媒体、有機溶媒およびこれらの混合物等があげられる。
【0017】
水性媒体としては例えば脱イオン水、蒸留水、緩衝液等があげられるが、緩衝液が好ましい。緩衝液に用いる緩衝剤は緩衝能を有するものならば特に限定されないが、pH1〜11の例えば乳酸緩衝剤、クエン酸緩衝剤、酢酸緩衝剤、コハク酸緩衝剤、フタル酸緩衝剤、リン酸緩衝剤、トリエタノールアミン緩衝剤、ジエタノールアミン緩衝剤、リジン緩衝剤、バルビツール緩衝剤、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン緩衝剤、イミダゾール緩衝剤、リンゴ酸緩衝剤、シュウ酸緩衝剤、グリシン緩衝剤、ホウ酸緩衝剤、炭酸緩衝剤、グリシン緩衝剤、グッド緩衝剤等があげられる。
【0018】
グッド緩衝剤としては、例えば2−モルホリノエタンスルホン酸(MES)、ビス(2−ヒドロキシエチル)イミノトリス(ヒドロキシメチル)メタン(Bis−Tris)、N−(2−アセトアミド)イミノ二酢酸(ADA)、ピペラジン−N,N’−ビス(2−エタンスルホン酸)(PIPES)、N−(2−アセトアミド)−2−アミノエタンスルホン酸(ACES)、3−モルホリノ−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸(MOPSO)、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−2−アミノエタンスルホン酸(BES)、3−モルホリノプロパンスルホン酸(MOPS)、N−[トリス(ヒドロキシメチル)メチル]−2−アミノエタンスルホン酸(TES)、2−[4−(2−ヒドロキシエチル)−1−ピペラジニル]エタンスルホン酸(HEPES)、3−[N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)アミノ]−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸(DIPSO)、N−[トリス(ヒドロキシメチル)メチル]−2−ヒドロキシ−3−アミノプロパンスルホン酸(TAPSO)、ピペラジン−N,N’−ビス(2−ヒドロキシプロパンスルホン酸)(POPSO)、3−[4−(2−ヒドロキシエチル)−1−ピペラジニル]−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸(HEPPSO)、3−[4−(2−ヒドロキシエチル)−1−ピペラジニル]プロパンスルホン酸[(H)EPPS]、N−[トリス(ヒドロキシメチル)メチル]グリシン(Tricine)、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)グリシン(Bicine)、N−トリス(ヒドロキシメチル)メチル−3−アミノプロパンスルホン酸(TAPS)、N−シクロヘキシル−2−アミノエタンスルホン酸(CHES)、N−シクロヘキシル−3−アミノ−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸(CAPSO)、N−シクロヘキシル−3−アミノプロパンスルホン酸(CAPS)等があげられる。
【0019】
緩衝液の濃度は測定に適した濃度であれば特に制限はされないが、0.001〜2.0mol/Lが好ましく、0.005〜1.0mol/Lがより好ましく、0.01〜0.1mol/Lが特に好ましい。
有機溶媒としては、アセトニトリル、ヘキサン、メタノール、エタノール、ジクロロメタン、クロロホルム、アセトン、ジメチルホルムアミド、ジオキサン、ジメチルスルホキシド等が挙げられる。
【0020】
反応液には、必要に応じて、無機塩類、防腐剤、非特異吸着反応を抑制する目的でタンパク質もしくは高分子化合物を含有したものがより好ましい。
タンパク質および高分子化合物としては、標識による非特異吸着反応を抑制できれば特に制限はないが、例えば、アルブミン、ゼラチン、カゼイン、免疫グロブリン等のタンパク質、ペブチドなどの高分子化合物があげられる。濃度としては、特に制限はないが、0.001〜10%が好ましく、0.01〜5%がより好ましく、0.05〜2%が特に好ましい。
【0021】
本発明で測定すべき物質としては、特に制限はなく、例えば酵素反応を用いて測定される成分、抗原抗体反応を用いて測定される成分、その他の特異的反応により測定される成分等があげられ、例えば下記に例示する物質が任意に複数組み合わされて用いうる。
測定すべき物質としては、2種類以上であり、2以上36種類以下の組み合わせが好ましく、3以上25種類以下の組み合わせがより好ましく、4以上9種類以下の組み合わせが特に好ましい。
【0022】
酵素反応を用いて測定される成分としては例えば、グルコース、1,5−アンヒドログルシトール、グリコアルブミン、ヘモグロビンA1c、フコース、尿素、尿酸、アンモニア、クレアチニン、総コレステロール、遊離コレステロール、高密度リポタンパク中のコレステロール(HDL−C)、低密度リポタンパク中のコレステロール(LDL−C)、超低密度リポタンパク中のコレステロール(VLDL−C)、レムナント様リポタンパク中のコレステロール(RLP−C)、トリグリセライド、リン脂質、総蛋白、アルブミン、グロブリン、ビリルビン、胆汁酸、シアル酸、乳酸、ピルビン酸、遊離脂肪酸、セルロプラスミン、アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)、クレアチンホスホキナーゼ(CPK)、ホスホキナーゼ(PK)、アミラーゼ、リパーゼ、コリンエステラーゼ、γ−グルタミルトランスペプチダーゼ、ロイシンアミノペプチダーゼ、L−乳酸デヒドロゲナーゼ(LDH)、アルドラーゼ、アルカリフォスファターゼ、酸フォスファターゼ、N−アセチルグルコサミニダーゼ、グアナーゼ、モノアミンオキシダーゼ等があげられる。
【0023】
抗原抗体反応により測定される成分としては、例えばインターロイキン、IgG、IgM、IgA、IgE、アポ蛋白AI、アポ蛋白AII、アポ蛋白B、アポ蛋白E、リウマチファクター、D−ダイマー、酸化LDL、糖化LDL、グリコアルブミン、トリヨードサイロニン(T3)、総サイロキシン(T4)、抗テンカン剤等の薬剤、C−反応性蛋白(以下CRPと略記する。)、α−フェトプロテイン(AFP)、癌胎児性抗原(CEA)、CA19−9(carbohydrate antigen 19-9)、CA15−3(carbohydrate antigen 15-3)、CA−125(carbohydrate antigen 125)、PIVKA−II(Protein induced by vitamin K absence-II)、副甲状腺ホルモン(PTH)、ヒト絨毛性ゴナドトロピン(hCG)、甲状腺刺激ホルモン(TSH)、インスリン、C−ペプタイド、エストロゲン、抗グルタミン酸脱炭酸酵素(GAD)抗体、ペプシノーゲン、HBV抗原、抗B型肝炎ウイルス(HBV)抗体、C型肝炎ウイルス(HCV)抗原、抗HCV抗体、成人T細胞性白血病ウイルス(HTLV−I)抗原、抗HTLV−I抗体、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)抗体、インフルエンザウイルス抗原、抗インフルエンザウイルス抗体、抗結核菌抗体、結核菌抗原(TBGL)マイコプラズマ抗体、ヘモグロビンA1c、心房性ナトリウム利尿ペプチド(ANP)、脳性ナトリウム利尿ペプチド(BNP)、トロポニンT、トロポニンI、クレアチニンキナーゼ−MB(CK−MB)、ミオグロビン、H−FABP(ヒト心臓由来脂肪酸結合蛋白)、デオキシニバレノール(DON)、ニバレノール(NIV)、T−2トキシン(T2)等のカビ毒類、ビスフェノールA、ノニルフェノール、フタル酸ジブチル、ポリ塩素化ビフェニル(PCB)類、ダイオキシン類、p,p’−ジクロロジフェニルトリクロロエタン、トリブチルスズ等の内分泌撹乱物質類、大腸菌等の菌類、卵、乳、小麦、そば、落花生等の食物アレルギー物質やコナヒョウダニやトヤヒョウダニ等のダニ類等のアレルギー物質、抗アレルギー物質抗体等があげられる。
【0024】
また、IL−2、IL−4、IL−6、IL−8、IL−10、IL−12、IL−13等のインターロイキン、インターフェロン−γ(IFN−γ)等のインターフェロン、腫瘍壊死因子−α(TNF−α)等の腫瘍壊死因子等のサイトカイン類があげられる。
その他の特異的結合により測定される成分としては、核酸、レクチン等があげられ、例えばras等のガン遺伝子、p53等のガン抑制遺伝子等をコードするDNAまたはRNA、ペプチド核酸、アプタマー、糖蛋白質等があげられる。
【0025】
測定すべき物質に特異的に結合する物質としては、測定すべき物質に特異的に結合するものであれば特に制限はないが、例えば、前述の測定すべき物質に特異的に結合する抗体、抗原、アプタマー、レクチンまたはDNA等があげられる。
測定すべき物質に特異的に結合する物質の選択は、測定すべき物質の決定により、当業者は適宜選択することができる。
【0026】
本発明で使用される標識としては、その量を測定出来るものであれば特に制限はなく、例えば発光物質、蛍光物質、色原体、酵素などがあげられるが、補助試薬との反応によりその量を測定できるものが好ましい。
発光物質としては、例えばルミジェン社のAPS−5、APS−3等のアクリジニウム化合物、4−(2−サクシニミジルオキシカルボニルエチル)フェニル−10−メチルアクリジウム−9−カルボン酸フルオロ硫酸(以下アクリジニウム−Iと略記する)等のアクリジウム誘導体、ジオキセタン類、ルミノール、イソルミノール、ルシゲニン、クマリン誘導体、ピラゾロピリドピリダジン誘導体、トロピックス社のアダマンチル化合物、ルミジェン社のPS-atto等があげられる。
【0027】
蛍光物質としては、3−(4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸などがあげられる。
色原体としては、単独で色素を形成する化合物であっても、二つの化合物が結合して色素を形成する化合物であってもよい。
単独で色素を形成する化合物としては、例えば、10−N−カルボキシメチルカルバモイル−3,7−ビス(ジメチルアミノ)−10H−フェノチアジン(以下、CCAPと略記する)、10−N−メチルカルバモイル−3,7−ビス(ジメチルアミノ)−10H−フェノチアジン(以下、MCDPと略記する)、N−(カルボキシメチルアミノカルボニル)−4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ジフェニルアミン ナトリウム塩(以下、DA−64と略記する)、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ジフェニルアミン、ビス[3−ビス(4−クロロフェニル)メチル−4−ジメチルアミノフェニル]アミン(以下、BCMAと略記する)等があげられる。
【0028】
二つの化合物が結合して色素となるものとしては、例えば過酸化水素水とパーオキシダーゼとの共存下で、結合して色素を形成する化合物があげられる。
具体的には、4−アミノアンチピリン(以下4−AAと略記する)や、3−メチル−2−ベンゾチアゾリノンヒドラジン等のカプラ−と、アニリン化合物、例えばN−エチル−N−(3−メチルフェニル)−N’−サクシニルエチレンジアミン(以下EMSEと略記する)、N−エチル−N−(2−ヒドロキシ−3−スルホプロピル)−m−トルイジン、N−エチル−N−スルホプロピルアニリン、N−エチル−N−スルホプロピル−3,5−ジメトキシアニリン、N−スルホプロピル−3,5−ジメトキシアニリン、N−エチル−N−スルホプロピル−3,5−ジメチルアニリン、N−エチル−N−スルホプロピル−m−トルイジン、N−エチル−N−(2−ヒドロキシ−3−スルホプロピル)−m−アニシジン、N−エチル−N−(2−ヒドロキシ−3−スルホプロピル)アニリン、N−エチル−N−(2−ヒドロキシ−3−スルホプロピル)−3−メチルアニリン・ナトリウム塩2水和物(以下TOOSと略記する)、N−エチル−N−(2−ヒドロキシ−3−スルホプロピル)−3,5−ジメトキシアニリン、N−(2−ヒドロキシ−3−スルホプロピル)−3,5−ジメトキシアニリン、N−エチル−N−(2−ヒドロキシ−3−スルホプロピル)−3,5−ジメチルアニリン、N−スルホプロピルアニリン、N−エチル−N−スルホプロピルアニリンプロピル−m−アニジン等との組み合わせ等が挙げられる。その他、4−AAとフェノールや3−ヒドロキシ−2,4,6−トリヨード酢酸の組み合わせが挙げられる。
【0029】
酵素としては、例えばペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ(以下、ALPと略記する。)などがあげられる。
補助試薬は、前述の標識を測定するために使用される試薬であり前述の標識の種類に応じて当業者であれば適宜選択できるが、例えば前述の発光物質、蛍光物質、色原体、酵素などを含有する試薬があげられる。また、アルカリ、過酸化水素等を含有する試薬もあげられる。標識がアクリジニウムエステル類のときは、例えばアルカリ、過酸化水素などが補助試薬として好適にあげられる。なお、標識が蛍光等の場合は補助試薬を用いないで行うこともできる。
【0030】
測定すべき物質または測定すべき物質と特異的に結合する物質と標識または多孔性支持体とは、公知の方法を用いて結合させることができる。標識または多孔性支持体と測定すべき物質または測定すべき物質に特異的に結合する物質とを、例えば官能基を利用して化学的に結合させる方法、または表面に物理的に結合させる方法などがある。
また、本発明において標識または多孔性支持体と測定すべき物質または測定すべき物質に特異的に結合する物質との結合は、抗体、プロテインA、ビオチンまたはストレプトアビジン等の物質、糖鎖とレクチン、または化学的な相互作用を有する物質を介して行うことができる。
【0031】
なお、標識された測定すべき物質または標識された測定すべき物質に特異的に結合する物質を含有する水溶液を標識溶液と称する。該標識液の水溶液としては、例えば前述の水性媒体をあげることができ、必要に応じてさらに無機塩等を含有させることができる。
洗浄液としては、未反応の抗原もしくは抗体を除去できるものであれば特に制限はないが、例えば脱イオン水、蒸留水、緩衝液等があげられるが、緩衝液が好ましい。更に、緩衝液に界面活性剤を含有したものがより好ましい。界面活性剤は界面活性効果を有するものであれば特に限定されないが、例えば、陽イオン性界面活性剤、陰イオン性界面活性剤、両性界面活性剤、非イオン性界面活性剤等があげられ、非イオン性界面活性剤等が好ましい。非イオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート(Tween20)やポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル(TritonX−100)等があげられる。界面活性剤の濃度としては、特に制限はないが、0.001〜20%が好ましく、0.01〜10%がより好ましく、0.05〜1%が特に好ましい。
【0032】
多孔性支持体の洗浄方法は特に制限はなく、例えば必要に応じて洗浄液を添加した後、溶液吸収手段などにより吸引除去する方法、多孔性支持体に洗浄液を通過させ、必要に応じて更に溶液吸収手段により吸引する方法等があげられる。
標識量の測定は、反応液中の標識を直接物理化学的に測定することもできるが、補助試薬を用いて、標識と補助試薬との反応により得られる生成物を測定することが好ましい。
【0033】
検出器は、標識の発生するシグナルを検出できるものであれば特に制限はないが、ウエルの全体像が輪郭良く検出できる電荷結合型撮像機(CCD)が好ましい。特に微弱な蛍光や発光を検出できる高感度なものが特に好ましい。穴の配置とその強度が検出されると、あらかじめ各穴に結合された抗原や抗体に対応する測定対象の濃度が算出され、同時に複数の結果を得ることができる。蛍光または発光等の標識からのシグナルの検出は、平板上面から蛍光または発光等のシグナルの強度を検出してもよいが、平板下面から検出する方が好適である。
【0034】
測定すべき物質の濃度は、予め既知濃度の測定すべき物質を用いて得られる検量線から求めることができる。
本発明に用いる反応容器は、平板を有し、該平板上の相互に分別認識可能な位置に、標識を検出するためのシグナルが透過可能な一定の厚みをもつ2以上の多孔性支持体を有し、該多孔性支持体は、それぞれ異なる種類の測定すべき物質に特異的に結合する物質または測定すべき物質を担持している。
【0035】
また、本発明に用いる反応容器は、平板を有し、該平板上の相互に分別認識可能な位置に、標識を検出するためのシグナルが透過可能な一定の厚みをもつ2以上の多孔性支持体を有し、該多孔性支持体には、それぞれ異なる種類の測定すべき物質に特異的に結合する物質を担持している。
具体的容器の形状としては、例えば図1〜7に示す容器が例示できる。ここで、記号Aは測定すべき物質、記号Bは測定すべき物質に特異的に結合する物質、Tは、多孔性支持体を示し、A、BおよびTに付随する数字1、2およびnは測定対象物の種類にそれぞれ対応していることを示している。ここで、nは2以上の正数であり、nの上限は特に制限はないが、好ましくは2以上36以下でありより好ましくは3以上25以下であり、特に好ましくは4以上9以下である。
【0036】
平板を有する反応容器としては、平板を有するもので有れば特に制限はなく、例えば図6に示すような平板そのもの、例えば図7に示すような平板部分が容器の凹部となっているような容器などがあげられる。平板は立方体、円柱体、多角柱体など形状には特に制限はない。
多孔性支持体としては、反応液や反応に関与する物質を保持しかつ支持体に結合していない物質が移動可能であるもので有れば特に制限はない。多孔性支持体としては、例えば線維、ポリエーテルスルホン、ポリスルホン等の中空糸、ガラス、ニトロセルロース、セルロース、ナイロン、架橋デキストラン等のフィルター、多孔性樹脂等があげられる。
【0037】
多孔性支持体は、標識が生成する光、蛍光または色素等のシグナルを透過する性質を有する。透過率としては、特に制限はないが50%以上が好ましく、70%以上がより好ましく、90%以上が特に好ましい。
平板の材質としては、標識が生成する光、蛍光または色素等のシグナルを透過する性質を有し、多孔性支持体を保持する適度な強度を有するものであれば特に制限はない。シグナルの透過率としては、特に制限はないが50%以上が好ましく、80%以上がより好ましく、99%以上が特に好ましい。平板の厚みとしては、特に制限はないが、0.01〜10mmが好ましく、0.1〜5mmがより好ましく、0.2〜2mmが特に好ましい。
平板上の多孔性支持体以外の部分は、例えば図4および5に示すような多孔性であっても、例えば図1、2および3に示すような多孔性でなくてもよい。多孔性でない部材としては樹脂等があげられる。多孔性支持体以外の部分が多孔性のときは、多孔性支持体と同一の種類でもよいが異なっていてもよい。
【0038】
多孔性支持体の形状としては、円柱、楕円柱、多角柱、角柱等制限はなく、また穴の配置が特定できる様に形状のある部分に切り込みを設けたり、逆に突起が設けられていてもよい。多孔性支持体は、例えば図1、2および4に示すように平板の表面に埋め込まれるように形成されていても、また例えば図3および5に示すように平板を貫通するように設けられていてもよい。また反応容器には、多孔性支持体に接してまたは離れて、溶液吸収手段が組み込まれていてもよい。
本発明に使用される反応容器の作成方法は、例えば図8〜11に示すように樹脂等の素材からなる円盤状の支持体を貫通してあけられた複数の小孔に、多孔性支持体として一定の径を有する中空糸の束を通し、該小孔と中空糸の間隙を樹脂で固めてた後、平板状に切り出す方法があげられる。
【0039】
多孔性支持体に測定すべき物質または測定すべき物質に特異的に結合する物質を結合させる方法は特に制限はなく、例えば中空糸等多孔性支持体に疎水結合などの物理的な結合で結合させる方法、中空糸等の多孔性支持体の表面のアミノ基あるいはカルボキシル基、N−ヒドロサクシイミド基、メルカプト基、マレイミド基などの官能基と測定すべき物質および測定すべき物質に特異的に結合する物質とを、必要であれば架橋剤を使用して反応させ化学的に結合する方法があげられる。
【0040】
多孔性支持体に、抗体、抗原等の測定すべき物質または測定すべき物質に特異的に結合する物質を結合した後、該多孔性支持体をさらに各々の樹脂を牛血清アルブミン等でブロッキング処理するのが好ましい。ブロッキングに使用するのは標識による非特異吸着反応を抑制できれば特に制限はないが、例えば、アルブミン、ゼラチン、カゼイン、免疫グロブリン等のタンパク質、ペブチドなどの高分子化合物があげられる。濃度としては、特に制限はないが、0.001〜10%が好ましく、0.01〜5%がより好ましく、0.05〜2%が特に好ましい。
【0041】
本発明の試薬は、標識を結合した複数の測定すべき物質に特異的に結合する物質、平板を有し、該平板上の相互に分別認識可能な位置に、標識を検出するためのシグナルが透過可能な一定の厚みをもつ2以上の多孔性支持体を有し、該多孔性支持体は、それぞれ異なる種類の測定すべき物質に特異的に結合する物質または測定すべき物質を担持している反応容器を含む。
【0042】
また本発明の試薬は、標識を結合した複数の測定すべき物質、および、平板を有し、該平板上の相互に分別認識可能な位置に、標識を検出するためのシグナルが透過可能な一定の厚みをもつ2以上の多孔性支持体を有し、該多孔性支持体には、それぞれ異なる種類の測定すべき物質に特異的に結合する物質を担持している反応容器を含む。
本発明の試薬は、標識を結合した複数の測定すべき物質に特異的に結合する物質を含む試薬および平板を有し、該平板上の相互に分別認識可能な位置に、標識を検出するためのシグナルが透過可能な一定の厚みをもつ2以上の多孔性支持体を有し、該多孔性支持体は、それぞれ異なる種類の測定すべき物質に特異的に結合する物質または測定すべき物質を担持している反応容器を含む試薬からなるキットの形態でもよい。
【0043】
本発明の試薬は、標識を結合した複数の測定すべき物質を含む試薬および平板を有し、該平板上の相互に分別認識可能な位置に、標識を検出するためのシグナルが透過可能な一定の厚みをもつ2以上の多孔性支持体を有し、該多孔性支持体には、それぞれ異なる種類の測定すべき物質に特異的に結合する物質を担持している反応容器を含む試薬からなるキットの形態でもよい。
【0044】
これら試薬およびキットには、必要により、前記の補助試薬、緩衝剤、補助試薬、塩類、タンパク質等を含有していてもよい。
【実施例1】
【0045】
アレルゲン結合反応容器の調製
アドバンテック社製の中空糸ナイロンメンブランカートリッジフィルター TCN020SBMEを分解して中空糸を取り出し、水洗後、50℃にて真空乾燥機にて一昼夜乾燥した。これを1%グルタルアルデヒド溶液中にて40℃で1晩反応させ、表面にアルデヒド基を形成させた後、洗浄し乾燥した。次にこの中空糸の束を、図8に示すように4個の穴が配置されている円柱形の樹脂に通し、市販のエポキシ系接着剤で樹脂と中空糸を接着した。接着剤が硬化した後、該樹脂の両表面をスライスした後、図9に示すように多孔性支持体部分に1μg/mlの濃度の杉花粉抗原混合物の溶液、ソバ由来の抽出抗原溶液、鶏卵の白身由来の抽出抗原溶液およびダニ由来の抗原溶液をそれぞれ通過させた。これを室温、一昼夜放置して抗原を結合させた後、1%BSA溶液を通過させてブロッキングした。次いで、該樹脂を鋭利なカッターで約0.2mmの厚さでスライスして円盤状の内部に中空糸メンブランフィルターを持った平板を形成し、これを1%BSA溶液中に約15℃で5日間保存しブロッキングして、図9に示す様な反応容器を製造した。
【実施例2】
【0046】
下記の検体希釈液、洗浄液、標識液を調製した。
<検体希釈液(pH 7.4)>
トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン 6mg/mL
塩酸(pH調整用) 適量
塩化ナトリウム 8.8mg/mL
牛血清アルブミン 10mg/mL
アジ化ナトリウム 1mg/mL
【0047】
<洗浄液(pH7.4)>
リン酸二水素ナトリウム 0.023mg/mL
リン酸水素二ナトリウム 0.12mg/mL
塩化ナトリウム 0.82mg/mL
水酸化ナトリウム(pH調整用) 適量
ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレ−ト(TWEEN−20)
5mg/mL
【0048】
<標識液(pH7.4)>
アルカリフォスファタ−ゼ標識抗ヒトイムノグロブリンE マウスモノクローナル抗体
1μg/mL
リン酸二水素ナトリウム 0.23mg/mL
リン酸水素二ナトリウム 1.2mg/mL
塩化ナトリウム 8.2mg/mL
水酸化ナトリウム(PH調整用) 適量
牛血清アルブミン 1mg/mL
【0049】
実施例1で得られた円盤をマイクロプレートに入れ、0.1%BSAを含有するPBS緩衝液200μLを添加して室温下で1時間放置し、容器をブロッキング処理した。液を吸引廃棄後、検体希釈液にて41倍希釈した杉花粉アレルギー患者と思われる血清検体を100μLを添加して30℃にて1時間反応させた。液を吸引、洗浄液にて洗浄後、さらにアルカリフォスファターゼ標識された抗ヒトIgEマウスモノクローナル抗体を含有する標識液を100μL添加し、30℃にて30分間反応させた。液を吸引、洗浄後、ルミジェン(Lumigen) 社製APS−5溶液を100μL添加し、すぐに富士フィルム社製化学発光画像解析システム、ルミノ・イメージアナライザーLAS−1000plus にて、底面より撮像し、各ドットの発光強度を検出し、データをコンピュータに取り込んだ。また、別途標準液として臨床的にカットオフ値付近の血清サンプルを同様に操作した。標準となる血清サンプルからの光の強度と、アレルギー患者血清検体の各ドットの光の強度を比較し、標準となる血清サンプルからの光の強度を1としたときの患者血清検体の強度比を第1表に示す。
【0050】
【表1】

【0051】
第1表から、本患者のアレルギーは杉花粉の他、ダニにも感作されている可能性が認められる。
【実施例3】
【0052】
炎症関連抗原結合反応容器の調製
図10に示す様に9個の穴が配置されている樹脂製の円盤を用い、1μg/mLのサイトカイン 抗ヒトIL−2マウスモノクローナル抗体の溶液、抗ヒトIL−4マウスモノクローナル抗体溶液、抗ヒトIL−5マウスモノクローナル抗体溶液、抗ヒトIL−8マウスモノクローナル抗体溶液、抗ヒトIL−10マウスモノクローナル抗体溶液、抗ヒトIL−12マウスモノクローナル抗体溶液、抗ヒトIL−13マウスモノクローナル抗体溶液、抗ヒトIFN−γマウスモノクローナル抗体溶液、抗ヒトTNF−αマウスモノクローナル抗体溶液を用いる以外は実施例1と同様にして、図11に示す様な反応容器を製造した。
【実施例4】
【0053】
サイトカイン同時測定(1)
実施例3で得られた円盤をマイクロプレートに入れ、0.1%BSAを含有するPBS緩衝液200μLを添加して室温下で1時間放置し、容器をブロッキングした。液を吸引廃棄後、実施例2で調製した検体希釈液にて101倍希釈した炎症患者と思われる血清検体を100μLを添加して30℃にて1時間反応させた。液を吸引、洗浄液にて洗浄後、さらにアルカリフォスファターゼ標識された抗ヒトIL−2、IL−4、IL−6、IL−8、IL−10、IL−12、IL−13、IFN−γおよびTNF−αマウスモノクローナル抗体混合物を含む標識液を100μL添加し、30℃にて30分間反応させた。液を吸引、洗浄後、ルミジェン社製APS5溶液を100μL添加し、すぐに富士フィルム社製化学発光画像解析システム、ルミノ・イメージアナライザーLAS−1000plus にて、底面より撮像し、各ドットの発光強度を検出し、データをコンピュータに取り込んだ。また、別途標準液として健常人の血清サンプルを同様に操作した。標準となる血清サンプルからの光の強度と、炎症性患者血清検体の各ドットの光の強度を比較し、標準となる血清サンプルからの光の強度を1としたときの患者血清検体の強度比を第1表に示す。
【0054】
【表2】

【0055】
第2表から、本患者は、炎症性の疾患である可能性が示唆される。
【実施例5】
【0056】
サイトカイン同時測定(2)
実施例3で得られた円盤をマイクロプレートに入れ、0.1%BSAを含有するPBS緩衝液200μLを添加して室温下で1時間放置し、容器のブロッキングをかねてエージングした。液を吸引廃棄後、実施例2で調製した検体希釈液にて101倍希釈した炎症患者と思われる血清検体を100μLを添加して30℃にて1時間反応させた。液を吸引、洗浄液にて洗浄後、さらにアクリジニウムエステル標識抗ヒトIL−2、IL−4、IL−6、IL−8、IL−10、IL−12、IL−13、IFN−γおよびTNF−αマウスモノクローナル抗体混合物を含む標識液を100μL添加し、30℃にて30分間反応させた。液を吸引、洗浄後、過酸化水素溶液50μL、アルカリ溶液50μLを添加し、すぐに富士フィルム社製化学発光画像解析システム、ルミノ・イメージアナライザーLAS−1000plusにて、底面より撮像し、各ドットの発光強度を検出し、データをコンピュータに取り込んだ。また、別途標準液として健常人の血清サンプルを同様に操作した。標準となる血清サンプルからの光の強度と、白血病患者血清検体の各ドットの光の強度を比較し、標準となる血清サンプルからの光の強度を1としたときの患者血清検体の強度比を、第3表に示す。
【0057】
【表3】

【0058】
第3表から、本患者は、炎症性の疾患である可能性が示唆される。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】本発明の反応容器の横断面を示す図である。
【図2】本発明の反応容器の横断面を示す図である。
【図3】本発明の反応容器の横断面を示す図である。
【図4】本発明の反応容器の横断面を示す図である。
【図5】本発明の反応容器の横断面を示す図である。
【図6】本発明の反応容器を示す図である。
【図7】本発明の反応容器を示す図である。
【図8】実施例1の反応容器を示す図である。
【図9】実施例1の反応容器を示す図である。
【図10】実施例3の反応容器を示す図である。
【図11】実施例3の反応容器を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
平板を有する反応容器であって、該平板上の相互に分別認識可能な位置に、標識を検出するためのシグナルが透過可能な一定の厚みをもつ2以上の多孔性支持体を有し、該多孔性支持体には、それぞれ異なる種類の測定すべき物質に特異的に結合する物質または測定すべき物質を担持している反応容器に、それぞれ標識された該異なる種類の測定すべき物質にそれぞれ特異的に結合する物質と試料とを接触させ、多孔性支持体と複合体を形成した標識を生成させる工程、および多孔性支持体と複合体を形成した標識量を測定する工程を含むことを特徴とする複数物質の測定方法。
【請求項2】
平板を有する反応容器であって、該平板上の相互に分別認識可能な位置に、標識を検出するためのシグナルが透過可能な一定の厚みをもつ2以上の多孔性支持体を有し、該多孔性支持体には、それぞれ異なる種類の測定すべき物質に特異的に結合する物質を担持している反応容器に、それぞれ標識された該異なる種類の測定すべき物質と試料とを接触させ、多孔性支持体と複合体を形成した標識を生成させる工程、および多孔性支持体と複合体を形成した標識量を測定する工程を含むことを特徴とする複数物質の測定方法。
【請求項3】
標識量の測定がCCDカメラを用いる画像処理により行われる請求項1または2記載の方法。
【請求項4】
標識が酵素、発光物質、蛍光物質および色原体から選ばれる標識である請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
酵素がアルカリフォスファターゼまたはペルオキシダーゼである請求項4の測定方法。
【請求項6】
発光物質がアクリジニウム化合物である請求項4の測定方法。
【請求項7】
測定すべき物質が抗体である請求項1〜6のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
標識の測定が補助試薬を用いて行われる請求項1〜7のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
平板を有する反応容器であって、該平板上の相互に分別認識可能な位置に、標識を検出するためのシグナルが透過可能な一定の厚みをもつ2以上の多孔性支持体を有し、該多孔性支持体は、それぞれ異なる種類の測定すべき物質に特異的に結合する物質または測定すべき物質を担持している反応容器、およびそれぞれ標識された該異なる種類の測定すべき物質にそれぞれ特異的に結合する物質を含む複数物質の測定用試薬。
【請求項10】
平板を有する反応容器であって、該平板上の相互に分別認識可能な位置に、標識を検出するためのシグナルが透過可能な一定の厚みをもつ2以上の多孔性支持体を有し、該多孔性支持体には、それぞれ異なる種類の測定すべき物質に特異的に結合する物質を担持している反応容器、およびそれぞれ標識された該異なる種類の測定すべき物質を含む複数物質の測定用試薬。
【請求項11】
多孔性支持体が平板上下両面を貫通している請求項9または10記載の試薬。
【請求項12】
多孔性支持体が中空糸である請求項9〜11のいずれかに記載の試薬。
【請求項13】
測定すべき物質に特異的に結合する物質が抗体である請求項9〜12のいずれかに記載の試薬。
【請求項14】
平板の厚みが0.01〜10mmである請求項9〜13のいずれか記載の試薬。
【請求項15】
標識が酵素、発光物質、蛍光物質および色原体から選ばれる標識である請求項9〜14のいずれかに記載の試薬。
【請求項16】
補助試薬を含有する請求項9〜15のいずれかに記載の試薬。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2006−226938(P2006−226938A)
【公開日】平成18年8月31日(2006.8.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−43508(P2005−43508)
【出願日】平成17年2月21日(2005.2.21)
【出願人】(000162478)協和メデックス株式会社 (42)
【Fターム(参考)】