説明

複数蛇腹フィルタ構成のフィルタエレメント

内燃機関で使用する濾過効率改良型の複数蛇腹フィルタ構成のフィルタエレメント又はエアフィルタであって、折り畳んだフィルタ蛇腹部が、別の折り畳んだフィルタ蛇腹部の半径方向内側に配置され、内側の折り畳んだフィルタ蛇腹部が、外側の折り畳んだフィルタ蛇腹部よりも大きい又は深い折り畳み部の奥行きを有し、具体的には燃機関のエアフィルタ用のフィルタエレメントであって、前記フィルタエレメントが、実質的に前記フィルタエレメントの軸方向の伸張方向に延在するフィルタ折り畳み部と、実質的にそれに直交する平面内で半径方向の伸張方向に延在する第1の折り畳み部の奥行きとを有する第1のフィルタ蛇腹部と、実質的に前記フィルタエレメントの軸方向の伸張方向に延在するフィルタ折り畳み部と、実質的にそれに直交する平面内で半径方向の伸張方向に延在する第2の折り畳み部の奥行きとを有する第2のフィルタ蛇腹部とを備え、前記第2のフィルタ蛇腹部が、前記第1のフィルタ蛇腹部に対して半径方向内側に配置され、前記第2のフィルタ折り畳み部の奥行きが、対応する第1のフィルタ折り畳み部の奥行きよりも深いフィルタエレメント。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フィルタエレメント及びエアフィルタに関し、特に、内燃機関で使用する濾過効率改良型の複数蛇腹フィルタ構成のフィルタエレメントに関する。
【背景技術】
【0002】
内燃機関に必要な燃焼空気は、内燃機関の運転効率と寿命とを増大させるために、一般に濾過されてから燃焼室へ供給される。燃焼空気の濾過には、一般にエアフィルタ装置が使用される。これは、建設業又は農業などの分野で使用する周囲空気の特殊な汚濁負荷にさらされる環境で稼働する内燃機関に関して特に重要である。特に建設業又は農業などの分野では、時折、燃焼空気の濾過を必要とする極めて高い塵埃負荷が発生する。塵埃の微粒子の粒径の範囲は一般に事前に不明であるため、内燃機関へ十分に清潔な燃焼空気を供給することができるように、エアフィルタ装置は、内燃機関の動作に干渉する可能性があるあらゆる粒径の微粒子を確実に除去できるような設計でなければならない。
【0003】
特に、車両内又は車両上で使用される内燃機関の分野では、寸法を小さく保ち、他方でエアフィルタ装置の高い濾過効率を可能にしておくために、濾過効率を最適化し、空間を最適化したエアフィルタシステムの構成は必須である。
【0004】
例えば、引用文献1(EP1364695A1)は、内部燃焼空気のシリンダに供給される燃焼空気を濾過作用に曝すために内燃機関の吸気マニホールド内に組み込まれるエアフィルタを開示する。エアフィルタは、実質的に3部構成で、燃焼空気が軸方向に流れフィルタハウジング内に閉鎖式の蓋によって半径方向に挿入可能な交換式フィルタカートリッジとして構成されたフィルタエレメントをフィルタハウジング内に備える。フィルタカートリッジは、その上流側に大粒の塵埃微粒子の分離に役立つサイクロンプリセパレータを配置している。フィルタカートリッジの下流側には、蓋が開いている時にフィルタハウジング内に半径方向に挿入可能な2次又は精密フィルタエレメントがある。サイクロンプリセパレータ、フィルタカートリッジ、及び精密フィルタエレメントは半径方向に順次奥へ向かって配置され、濾過される燃焼空気はそれることなく半径方向にそれらを通過する。
【0005】
これらの可能性の1つは、メインフィルタエレメントを折り畳み式蛇腹フィルタの形態で構成することである。例えば、折り畳んだ蛇腹は、フィルタ折り畳み部が半径方向に延在し、フィルタ折り畳み部の前縁部が実質的に軸方向に延在する星形の折り畳み式フィルタエレメントからなっていてもよい。そのような折り畳み式蛇腹フィルタは、例えば、フィルタ折り畳み部の前縁部がフローの方向に対応する軸方向に延在し、フィルタ折り畳み部がそれを横断する方向に延在する折り畳み式蛇腹フィルタからフィルタエレメントが構成されるWO2008/067030号に開示されている。この折り畳んだ蛇腹は、制限された軸方向の断面又はフロー方向の断面に増大したフィルタ表面積を提供して濾過能力を向上させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】EP1364695A1公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来技術の背景に鑑み、本発明は、濾過効率を改善し、最適化されたフローを可能にする内燃機関のためのフィルタエレメント及びエアフィルタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の目的は、下記に独立請求項の技術思想によって解決される。
【0009】
本発明によれば、フィルタエレメントが、実質的にフィルタエレメントの軸方向の伸張方向に延在するフィルタ折り畳み部と実質的に半径方向の伸張方向にそれに直交して延在する平面内に延在する第1の折り畳み部の奥行きとを有する第1のフィルタ蛇腹部と、実質的にフィルタエレメントの軸方向の伸張方向に延在するフィルタ折り畳み部と実質的に半径方向の伸張方向にそれに直交して延在する平面内に延在する第2の折り畳み部の奥行きとを有する第2のフィルタ蛇腹部とを備える内燃機関のエアフィルタのフィルタエレメントであって、第2のフィルタ蛇腹部が第1のフィルタ蛇腹部に対して半径方向内側に配置され、第2のフィルタ折り畳み部の奥行きが対応する第1のフィルタ折り畳み部の奥行きよりも深い内燃機関のエアフィルタのフィルタエレメントが提供される。
【発明の効果】
【0010】
かかる発明によれば、フィルタを通過する濾過効率が向上し、同時に濾過する燃焼空気の最適なフローを可能にする複数蛇腹フィルタの形態のフィルタエレメントを提供することができる。第2のフィルタ蛇腹部が第1のフィルタ蛇腹部に対して半径方向内側に配置されているという事実によって、断面形状の包絡線が円形又は楕円構成のフィルタが蛇腹状のフィルタエレメント、例えば、フィルタ蛇腹部が星形の場合、第1の外側に位置するフィルタ蛇腹部の周縁部は、一般に第2の内側に位置するフィルタ蛇腹部の周縁部よりも大きい。したがって、これは、互いに対応する第1及び第2のフィルタ蛇腹部のフィルタ折り畳み部が実質的に向き合って配置されるということを意味する。フィルタ蛇腹部の周縁部が異なる結果、周縁部に沿って第2のフィルタ蛇腹部と比べて第1のフィルタ蛇腹部上により多くのフィルタ折り畳み部を提供することが可能である。したがって、一般に第1のフィルタ蛇腹部は、第2のフィルタ蛇腹部よりも多くのフィルタ折り畳み部を有する。2つのフィルタ蛇腹部のフィルタ表面積の負荷を互いに近似するために、第2の内側のフィルタ蛇腹部のフィルタ折り畳み部の奥行きは、第1のフィルタ蛇腹部の対応するフィルタ折り畳み部の奥行きより深いように設計されている。この異なる構成によって、内側の第2のフィルタ蛇腹部のフィルタ表面積を拡張して第1のフィルタ蛇腹部のより大きい周縁部を補償することができる。こうして、第1のフィルタ蛇腹部と第2のフィルタ蛇腹部をより均一に流れてフィルタエレメントの濾過効率を高めることができる。
【0011】
この場合、複数蛇腹フィルタの形態のフィルタエレメントは、当然ながら、3つ以上の半径方向に入れ子構造になったフィルタ蛇腹部を備えていてもよく、特に多数の半径方向に入れ子構造になったフィルタ蛇腹部の場合に、さらに内側に位置するフィルタ蛇腹部で折り畳み部の奥行きを増大させることでフィルタエレメントを流れる均一のフローが達成されることに留意されたい。さらに、この場合、フィルタエレメントの周縁部に沿った折り畳み部の奥行きは、例えば、外部の幾何学的仕様を収容するために変更可能であり、したがって、同じ周縁部に沿った他の領域よりも折り畳み部の奥行きが大きい周縁部に沿った領域があってもよいことに留意されたい。その場合、両者が対向して配置されておらず互いに対応していない時に、第2の内側の折り畳んだ蛇腹が第1のフィルタ蛇腹部のフィルタ折り畳み部よりも奥行きが小さいことがあってもよい。
【0012】
本発明の別の例示的な実施形態によれば、第2のフィルタ折り畳み部の奥行きは、対応する第1のフィルタ折り畳み部の奥行きの1.1〜2.5倍、特にほぼ1.2〜1.9倍の深さである。
【0013】
特に1.1〜2.5倍、特にほぼ1.2〜1.9倍のフィルタ折り畳み部の奥行きの差がある場合、第1のフィルタ蛇腹部と第2のフィルタ蛇腹部の均一なフローと利用可能な空間とに関して、第1のフィルタ蛇腹部と第2のフィルタ蛇腹部の濾過効率の優れた近似が可能であることが分かっている。
【0014】
本発明の例示的な実施形態によれば、第1のフィルタ蛇腹部のフィルタ折り畳み部に対する第2のフィルタ蛇腹部のフィルタ折り畳み部は、軸方向の伸張方向に関して少なくとも断面が傾いている。
【0015】
フィルタ折り畳み部を傾斜させることで、フィルタ折り畳み部はある種の斜め構成要素の結果として伸張することができ、第1のフィルタ蛇腹部に対する第2のフィルタ蛇腹部の有効濾過表面積は増大した折り畳み部の奥行きだけによって相対的に増大するのではなく、傾斜の結果として増大した折り畳み部の長さが提供される。こうして、第1のフィルタ蛇腹部に対する第2のフィルタ蛇腹部の有効濾過表面積を増大させることができる。さらに、内側に位置するフィルタ蛇腹部の折り畳み部が斜めに配置された結果、吸気通路の吸気領域内に吸気通路のより奥の領域よりも断面積が大きい円錐形の吸気又は円錐形の流出通路を提供することができる。同様に、流出通路の断面積を出口開口の領域内で大きくし、一方で流出通路の断面積を奥の領域で小さくしてもよい。言い換えれば、吸気通路が広い内側フィルタ蛇腹部の傾斜構成によって、対応するフィルタ蛇腹部の反対側に位置する流出通路を狭くし、吸気通路が狭い領域では流出通路を広く構成してもよい。こうして、折り畳んだ蛇腹のフィルタ装置の半径方向の伸張をより小型化する設計が可能である。
【0016】
本発明の例示的な実施形態によれば、軸方向の伸張方向に対する第2のフィルタ蛇腹部のフィルタ折り畳み部の傾斜は、軸方向の伸張方向に対する第1のフィルタ蛇腹部のフィルタ折り畳み部の傾斜よりも大きい。
【0017】
この場合に、外側の第1のフィルタ蛇腹部も軸方向の伸張方向に実質的に平行に延在することができる、すなわち、ほぼ0度の傾斜を有することができることが理解される。しかし、第1のフィルタ蛇腹部と第2のフィルタ蛇腹部は傾斜を有することができ、第2のフィルタ蛇腹部の傾斜を第1のフィルタ蛇腹部の傾斜よりも大きくして、傾斜した配置によって第2のフィルタ蛇腹部の増大した表面積と吸気及び流出通路の円錐形の構成とを可能にすることができる。
【0018】
本発明の例示的な実施形態によれば、第1のフィルタ蛇腹部は、第1の軸方向端部に第1のフィルタ蛇腹部の外縁部に対して形状を保持するシェルを備える。
【0019】
こうして、フィルタエレメントの形状安定性が確保され、外縁部に偶然に力が加わるか又は衝撃が与えられても、外縁部はその形状を実質的に維持し、折り畳んだ蛇腹のフィルタ折り畳み部は変形したり、撓んだり、又は裂けたりすることがない。形状を保持するシェルは、エアフィルタハウジング内にフィルタエレメントの密封式を導入する役に立つ封止構成をさらに備えていてもよい。さらに、形状を保持するシェルは、取り扱いに関してフィルタエレメントを安全にエアフィルタハウジング内に挿入するか、又はそこから取り出すための把持要素を有していてもよい。これは、多くの場合フィルタエレメントの挿抜がフィルタエレメントの脆弱性及び機能に意識が薄い未熟な要員によって行われる時に特に重要である。さらに、形状を保持するシェルは、例えば、エアバッフル又は別のフローの最適化された幾何学構造の形態の吸気通路への改良された濾過すべき空気のフローを可能にする構成を有していてもよい。
【0020】
本発明の例示的な実施形態によれば、第1のフィルタ蛇腹部は、半径方向の伸張方向平面内に第1の湾曲した断面及び第2の湾曲した断面と、その中間に位置する第1のほぼ直線状の断面及び第2のほぼ直線状の断面をそれぞれ有し、第1及び第2の湾曲した断面と第1及び第2のほぼ直線状の断面は、閉じた楕円形の周縁部の輪郭を形成する。こうして、フィルタエレメントを狭く設計して長軸と短軸とを有するようにし、例えば、フィルタエレメントを長軸方向にエアフィルタハウジング内に挿入することができる。こうして、エアフィルタの交換後のエアフィルタハウジングの閉鎖のための実際の蓋の開度を比較的小さくするように設計することができる。これは、封止幾何学構造に関して特に重要である。ほぼ直線状の断面は一定の湾曲を有していてもよく、この実施形態は、ほぼ直線状の断面が実際に直線状であるか一定の湾曲を有しているかにかかわらず、湾曲した断面がほぼ直線状の断面よりも実質的に大きい湾曲を有する実施形態を含むと解釈すべきであることを理解されたい。
【0021】
本発明の例示的な実施形態によれば、第1及び第2のほぼ直線状の断面は、半径方向の伸張方向平面内で互いに延在する。
【0022】
こうして、フィルタエレメントの半径方向の断面は西洋ナシの形に似た形状になり、エアフィルタエレメントが狭い端部側からエアフィルタハウジング内に挿入されると、傾斜して延在するほぼ直線状の断面が端部位置に達する前にわずかな間だけ力の負荷の下で封止接続するため改良された封止作用が達成され、特にエアフィルタエレメントの挿入中の2つの封止表面の相互引きずり運動が実質的に回避される。このことは、塵埃が堆積した環境で特に重要であり、封止表面は実質的に負荷が減り、特に設計された封止方向に実質的に力の負荷が大きくかかる。
【0023】
本発明の例示的な実施形態によれば、第2のフィルタ蛇腹部は、半径方向の伸張方向平面内に第1の湾曲した断面と第2の湾曲した断面と、その中間に位置する第1のほぼ直線状の断面と第2のほぼ直線状の断面とをそれぞれ有し、第1及び第2の湾曲した断面と第1及び第2のほぼ直線状の断面は、閉じた楕円形の周縁部の輪郭を形成する。
【0024】
こうして、内側の折り畳んだ蛇腹は、その形状が外側の折り畳んだ蛇腹の形状に一致する。こうして、第1のフィルタ蛇腹部と第2のフィルタ蛇腹部との間の中間の空間から得られ、また閉じた楕円形の周縁部の輪郭を形成するフローが最適化された幾何学構造とフローが最適化された吸気通路を提供することができる。
【0025】
本発明の例示的な実施形態によれば、第2のフィルタ蛇腹部の第1の軸方向端部で、第1の直線状の断面と第2の直線状の断面は、第2のフィルタ蛇腹部の濾過されたガスの側と濾過されていないガスの側が漏れ防止の形で互いに離間するように第1の封止要素によって互いに接続する。
【0026】
楕円形の周縁部の輪郭の形態の第2のフィルタ蛇腹部の構成では特に、対向して配置されたほぼ直線状の断面は封止ビードによって互いに接続することができ、第1の軸方向端部の反対側の第2の軸方向端部に、第1の軸方向端部の方向に円錐状に延在する吸気通路又は流出通路が形成される。特に第2のフィルタ蛇腹部が楕円形の周縁部の輪郭を有する場合、大きい変形、したがって、フィルタ折り畳み部上の剪断ひずみが実質的に防止され、特に製造中のフィルタ折り畳み部の損傷のリスクを低減することができる。
【0027】
本発明の例示的な実施形態によれば、第1の封止要素は、第2のフィルタ蛇腹部の第2のフィルタ折り畳み部の奥行きの一部のみにわたって半径方向の伸張方向平面内で延在する。
【0028】
特に第2のフィルタ蛇腹部の第2のフィルタ折り畳み部が交互に接着接続を備えて濾過されたガスの側を濾過されていないガスの側から離間させ、第1の封止要素によるフィルタ折り畳み部の部分的な覆いによってフィルタ折り畳み部間の領域は空いた状態を保ち、吸気通路又は流出通路の有効吸気通路領域又は流出通路領域を増大させることができる。これに関連して、封止要素は、実質的に楕円形の形状内で対向して配置された2つのほぼ直線状の断面の封止作用だけを引き受け、一方、フィルタ折り畳み部では、濾過されていないガスの側の濾過されたガスの側からの離間のために、例えば、第1の封止要素に隣接するビード状の接着接続が提供される。
【0029】
本発明の例示的な実施形態によれば、第1のフィルタ蛇腹部と第2のフィルタ蛇腹部は、第1のフィルタ蛇腹部と第2のフィルタ蛇腹部のそれぞれ濾過されたガスの側と濾過されていないガスの側が漏れ防止の形で互いに離間するように、第2の封止要素によってそれぞれ第2の軸方向端部で互いに接続する。
【0030】
したがって、第1のフィルタ蛇腹部と第2のフィルタ蛇腹部は、互いに密封した形で接続する。これに関連して、第2の封止要素は、第2の封止要素が第1のフィルタ蛇腹部の第2の軸方向端部の外側輪郭へ延在する時の縁部保護デバイスとしても設計することができる。
【0031】
本発明の例示的な実施形態によれば、第2の封止要素は、第1のフィルタ折り畳み部と第2のフィルタ折り畳み部の奥行きの一部のみにわたって半径方向の伸張方向平面内で延在する。
【0032】
こうして、第2の封止要素は比較的狭く設計することができ、ビード状の接着接続による第1のフィルタ折り畳み部と第2のフィルタ折り畳み部との接着接続の場合、フィルタ折り畳み部の対応する対向して配置された各々の側は空いた状態のままで、その結果、吸気又は流出通路の有効吸気又は流出表面積が増大する。これに関連して、第1のフィルタ蛇腹部の第2の軸方向端部の外部輪郭で、例えば、形状保持シェルとして設計可能であるが、第2の封止要素と同じ材料で製造することができる縁部又は衝撃保護が提供される。これは、生産工程の最適化の面に関して特に重要である。
【0033】
本発明の例示的な実施形態によれば、封止要素は、ポリウレタン発泡体又はその他の好適な封止材料(例えば、シリコーン又はポッティング剤の発泡体、例えば、ポリアミド又はポリウレタン)を含む。
【0034】
ポリウレタン発泡体は、比較的容易に扱え迅速に硬化する。それでもポリウレタン発泡体は、封止機能だけでなく縁部保護機能に好適な所望の特性を有する。ポリウレタン(PUR)発泡体を含む封止要素は第1の封止要素であると同時に第2の封止要素であるだけでなくその他の封止要素であってもよい。さらに、ビード状の接着接続がポリウレタン発泡体を含む封止材料で実現することができる。
【0035】
本発明の例示的な実施形態によれば、第1のフィルタ蛇腹部の濾過されたガスの側は、第2のフィルタ蛇腹部の濾過されたガスの側に対向する。
【0036】
したがって、吸気側、すなわち、濾過されていないガスの側は、2つの吸気通路、すなわち、フィルタエレメントの外壁面によって画定された外側の吸気通路とそれと同軸に延在し、第2のフィルタエレメントの濾過されていないガスの側によって画定された第2の内側の吸気通路とを有する。3つ以上の半径方向に入れ子構造になったフィルタエレメントを備える構成では、それに応じてこうしてより多くの吸気又は流出通路が形成される。濾過されていないガスの側の2つの吸気通路と濾過されたガスの側の流出通路を備え、1つのフィルタエレメント、ある実施形態では2つのフィルタ蛇腹部を備えるそのような構成は、こうして、例えば、対応する吸気通路の方向を向いたサイクロン構成によって吸気側に最適な吸気フローを提供することができる。同様に、流出通路側に対応する安全要素の構成を提供することができる。第1のフィルタ蛇腹部の濾過されたガスの側が第2のフィルタ蛇腹部の濾過されたガスの側に対向する構成では、エアフィルタハウジングに対するフィルタエレメントの封止作用がプリセパレータからより離れた地点で提供することができ、したがって、プリセパレータの吸入フローによる封止構成の負荷を低減することができる。特に、そのような構成では、エアフィルタハウジングの流出通路は、エアフィルタハウジングの吸気通路よりも小さい断面積を備えていてもよい。これは、吸気通路とは対照的に、流出通路は、その寿命が終わるまで濾過液によって幾何学的に制限されないからである。
【0037】
本発明の例示的な実施形態によれば、フィルタエレメントは第3のフィルタ蛇腹部を有し、第2のフィルタ蛇腹部と第3のフィルタ蛇腹部は、半径方向の伸張方向に実質的に円形に設計され、第2のフィルタ蛇腹部と第3のフィルタ蛇腹部は、互いに隣接し、第1のフィルタ蛇腹部内で半径方向内側に配置されている。
【0038】
そのような構成では、それぞれ第2及び第3のフィルタ蛇腹部の対応する濾過されたガスの側と濾過されていないガスの側は、第1のフィルタ蛇腹部の側に対向して配置されている。第2のフィルタ蛇腹部と第3のフィルタ蛇腹部は、この関係で同じ機能を引き継ぐ。そのような構成では、第3のフィルタ蛇腹部内の第2のフィルタ蛇腹部は共に第1のフィルタ蛇腹部のフィルタ表面積とほとんど同じフィルタ表面積を有することができ、したがって、フィルタ蛇腹部内の均質のフローを達成することができる。当然ながら、第2及び第3のフィルタ蛇腹部も円形から逸脱した形状、例えば、楕円形を有していてもよい。
【0039】
本発明の例示的な実施形態によれば、一方で第1のフィルタ蛇腹部と、他方で第2のフィルタ蛇腹部及び第3のフィルタ蛇腹部は、それぞれ第2の軸方向端部で第3の封止要素によって接続し、第1のフィルタ蛇腹部と第2のフィルタ蛇腹部と第3のフィルタ蛇腹部の濾過されたガスの側と濾過されていないガスの側とは、漏れ防止の形で互いに離間している。
【0040】
第3の封止要素は、実際の封止機能に加えて、特に外側の第1のフィルタエレメントの全フィルタ折り畳み部の奥行きにわたって延在する時に縁部保護機能も有する。しかし、第3の封止要素は、第1の封止要素と第2及び第3の封止要素のフィルタ折り畳み部の奥行きの一部のみにわたって延在してもよく、折り畳み部の間の対応する中間の空間は吸気表面領域として利用可能である。
【0041】
本発明の例示的な実施形態によれば、第1のフィルタ蛇腹部は、第1の濾過されていないガスの側と第1の濾過されたガスの側とを有し、第2のフィルタ蛇腹部は、第2の濾過されていないガスの側と第2の濾過されたガスの側とを有し、第1のフィルタ蛇腹部と第2のフィルタ蛇腹部は、第1のフィルタ蛇腹部の端面と第2のフィルタ蛇腹部の端面とで互いに接続し、漏れ防止を提供し、第1の濾過されていないガスの側の空間が第2の濾過されていないガスの側の空間に対応するか、又は第1の濾過されたガスの側の空間が第2の濾過されたガスの側の空間に対応する。
【0042】
上記の特徴の個別の効果の総計を超える部分的に相乗効果的な相互作用を生成することができる上記の特徴の組合せも可能であることが理解される。
【0043】
以下、添付の図面の助けを借りて本発明の例示的な実施形態について説明する。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】挿入するフィルタエレメント及び蓋要素を備えたエアフィルタハウジングの構成の概略図である。
【図2】本発明の例示的な実施形態によるフィルタエレメントの断面図である。
【図3】本発明の例示的な実施形態によるフィルタエレメントの軸方向の伸張方向に直交する断面図である。
【図4】図2に示す断面の軸方向の伸張方向に直交する断面図である。
【図5】本発明の例示的な実施形態によるフィルタエレメントの周縁部の幾何学構造の半径方向の断面図である。
【図6】本発明の例示的な実施形態によるフィルタエレメントの封止及び縁部保護構成を示す図である。
【図7】本発明の別の例示的な実施形態によるフィルタエレメントを示す図である。
【図8】本発明の例示的な実施形態によるフィルタエレメントの底面図と部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0045】
以下に開示する実施形態は決して限定的なものと解釈してはならず、本発明の便宜的ではあるが限定的ではない実施形態を示す。
【0046】
本発明の例示的な実施形態の説明
図1は、フィルタエレメント1と閉止及び固定蓋199とが挿入されたエアフィルタハウジング100の概略図を示す。エアフィルタハウジング100は、ここでメインフィルタエレメントとして設計されたフィルタエレメント1だけでなく、前置濾過要素と安全濾過要素とを備えていてもよい。図示の実施形態では、フィルタエレメント1は、フロー方向に直交する方向にフィルタハウジング内に挿入される。閉鎖要素199上の好適な幾何学構造によって、フィルタハウジング100内に挿入されたフィルタエレメント1を例えば密封した形でフィルタハウジング100内の対応する封止面に押し付けることができる。力の負荷がフロー方向に対応する軸方向に実質的に実現することができる。さらに、フィルタエレメント1が実質的に半径方向の力の負荷を必要とし、閉鎖要素199によって押圧力を軸方向に必ずしも実行する必要がない封止構成を有する実施形態も考えられる。しかし、閉鎖要素199は、フィルタエレメント1のための対応する封止接触面を備えていてもよい。さらに、便宜的に、閉鎖要素199は、フィルタエレメント1が挿入される時にエアフィルタハウジング100が密封した形で閉鎖することができる封止構成を有することができる。これに関連して、図1に示すフィルタエレメント1は、フィルタエレメントをエアフィルタハウジング100内に挿入し、またそこから取り出すためのグリップ94を有していてもよい。そのようなグリップ94は、便宜的に、操作者とフィルタエレメントの出口との間にアイコンタクトがないか又は操作者がおそらくは保護手袋を着用している時に容易に発見できるように設計されている。
【0047】
図2は、本発明の例示的な実施形態によるフィルタエレメントの概略断面図を示す。フィルタエレメントの断面は、軸方向の伸張方向A、特に半径方向の伸張平面内の最長の伸張に沿っている。これに関連して、フィルタエレメント1は、第1のフィルタ蛇腹部10と、第2のフィルタ蛇腹部20とを備える。第2のフィルタ蛇腹部20は、第1のフィルタ蛇腹部10の半径方向内側に位置する。第1のフィルタ蛇腹部10は、実質的に半径方向の伸張方向に軸方向に直交する平面内に延在する第1の折り畳み部の奥行きを有するフィルタ折り畳み部15を有する。同様に、第2のフィルタ蛇腹部20は、実質的に半径方向の伸張方向に軸方向の伸張方向に直交する平面内に延在するフィルタ折り畳み部25を有する。これに関連して、第1のフィルタ蛇腹部10及び第2のフィルタ蛇腹部20は、星形のフィルタのように折り畳まれる。第2のフィルタ蛇腹部20は、第1のフィルタ蛇腹部10よりも大きい折り畳み部の奥行きを有する。こうして、内側に位置する第2のフィルタ蛇腹部20の有効フィルタ表面積を増大させることができる。以下の表に本発明によるフィルタリングデバイスが備えることができる可能な構成のリストを示す。
【表1】

【0048】
ここに示す実施形態では、第1の折り畳んだ蛇腹10は、第1の軸方向端部11に形状安定カバー60を備える。図2に示すこの形状安定カバーは、第1の折り畳んだ蛇腹10の折り畳み部の奥行き全体にわたって延在することができる。しかし、この形状を保持するシェルは、折り畳んだ蛇腹10の第1の折り畳み部の奥行きの一部のみにわたって延在し、例えば、第2の折り畳んだ蛇腹20の折り畳み部の反対側の半径方向内側に位置する領域でフローの方向に折り畳み部を覆わない状態に保つことができる。後者の場合、第1の折り畳んだ蛇腹10と第2の折り畳んだ蛇腹20とによって形成された通路内の有効フロー表面積が増大する。形状を保持するシェル60は、例えば、比較的硬質のプラスチック材料から構成されていてもよいが、金属又は別の形状安定材料から構成されていてもよい。形状安定シェル60は、例えば、ポリウレタン(PUR)発泡体によって接着で密封した形で取り付けることができる。さらに、形状を保持するシェル60上に封止構成を配置することもでき、この構成によって、エアフィルタハウジングに対してフィルタエレメントを封止することができ、フィルタエレメントの濾過されていないガスの側と濾過されたガスの側が漏れ防止の形で互いに離間する。これに関連して提供された封止構成は、軸方向の封止シールでも半径方向の封止シールでもよい。図2に示す実施形態は、エアフィルタハウジング又はエアフィルタハウジングの蓋の対応する封止幾何学構造を挿入することができる周方向に延在する封止溝を示す。
【0049】
図3に関連して以下に説明するように、第1のフィルタ蛇腹部と第2のフィルタ蛇腹部は、湾曲した第1の断面16、26と湾曲した第2の断面17、27と中間に位置する第1のほぼ直線状の断面18、28と第2のほぼ直線状の断面19、29とを有していてもよい。
【0050】
第2の折り畳んだ蛇腹のほぼ直線状の断面28、29は、濾過されたガスの側と濾過されていないガスの側とが漏れ防止の形で互いに離間するように封止要素51によって互いに密封した形で接続することができる。例えば、封止要素51は、第2のフィルタ蛇腹部のフィルタ折り畳み部25の一部のみにわたって延在していてもよい。次に、各折り畳み部は、一方の側で接着するか又は閉鎖することができ、封止要素が折り畳み部の奥行きの一部にしか達しない場合でも、濾過されていないガスの側と濾過されたガスの側との離間が達成される。次に、封止要素に対向する側に接着接続が配置される。この工程は、一方の軸端面でのみフィルタ折り畳み部の前縁部が鋲留めされるのに対し、反対側の端面でフィルタ折り畳み部の前縁部が例えば形状安定シェルの形態のカバー要素によって覆われるように各フィルタ蛇腹部について実行される。2つのフィルタ蛇腹部に関してフィルタ折り畳み部とカバーの鋲留めが交互に実行され、したがって、例えば、半径方向外側に位置するフィルタ蛇腹部上に前縁部が接着され、反対側に位置する軸方向の端面上では、カバーリングによって覆われ、半径方向内側に位置するフィルタ蛇腹部では、軸方向の吸気側がカバーディスクによって覆われる。反対側に位置する軸方向の流出側の前縁部は、鋲留めしても又は接着してもよい。前縁部を鋲留め又は接着することで、軸方向に延在し、カバー要素に関連して供給される空気が確実にフィルタの壁を半径方向に流れるように行われるフロー空間又は通路が軸方向に形成される。
【0051】
しかし、封止要素51がフィルタ折り畳み部25の折り畳み部の奥行き全体にわたって延在することが考えられる。こうして、特にフィルタ折り畳み部25の露出した角について衝撃保護の増大が可能になるが、第1のフィルタ蛇腹部10と第2のフィルタ蛇腹部20との間に形成された吸気又は流出通路の有効吸気又は流出表面積は低減する。
【0052】
さらに、濾過されたガスの側と濾過されていないガスの側が互いに離間するように、第1のフィルタ蛇腹部10の第2の軸方向端部12と第2のフィルタ蛇腹部20の第2の軸方向端部22とを密封した形で接続する第2の封止要素52を提供してもよい。
【0053】
フローは、図2に示すフィルタエレメントを第1の軸方向端部11、21と第2の軸方向端部12、22とから通過できることに留意されたい。エアフィルタ内の適当な装着方向は、対応する要件と外部状況とから導出される。
【0054】
第2のフィルタ蛇腹部20は、第1のフィルタ蛇腹部10に対して傾けることができる。これに関連して、図2に示すように、第1のフィルタ蛇腹部10は、軸方向の伸張方向Aに実質的に平行に延在することができるが、第2のフィルタ蛇腹部20は、軸方向の伸張方向Aに対して傾斜している。この傾斜の結果、一方で、対角面であることで第2のフィルタ蛇腹部20の有効フィルタ表面積を増大させることができ、他方、第2のフィルタ蛇腹部20の間と内側フィルタ蛇腹部20の内面の間に形成される円錐状に延在する吸気又は流出通路を提供することができる。一実施形態では、半径方向外側に位置するフィルタ蛇腹部は円筒形で、その外径とその内径は、軸方向の長さにわたって変化しない。この円筒形の実施形態の代わりに、フィルタハウジング100の製造要件に関する代替実施形態では、外径に円錐形設計を提供することができ、フィルタエレメント1をフィルタハウジング100内に装着する時にフィルタハウジングの内部に追加の空間が形成される。これは、有利には、清浄化された空気の流出に影響し、フロー速度とそれによって引き起こされる雑音とを最小限にする連続的に減少する外径が原因である。半径方向内側に配置されたフィルタ蛇腹部20の1つは、これに関連して円錐形を有していてもよく、円錐形は、吸気側から流出側へテーパする。こうして、フィルタ蛇腹部10、20の間の流出側へ向かって広がり流出開口に通じる環状の円錐形のフロー空間が形成される。これは、濾過された空気又は濾過された空気の除去に関する空気の側面において重要である。軸方向の長さにわたってフロー空間はその断面が変化し、軸方向の変化率は実質的に一定である。基本的に、軸方向の長さにわたる変化率が変動してもよい。さらに、フロー空間は均一の断面を有していてもよく、外側のフィルタ蛇腹部の内側と内側のフィルタ蛇腹部の外側とが互いに同心円状に延在する、すなわち、それらに円錐形状又は交わる傾斜は提供されない。例えば、外側に位置する2つのフィルタ蛇腹部の1つが一定の内径を有し、一方、半径方向内側に位置するフィルタ蛇腹部20の外壁面が円錐形の時には、円錐状に延在する環状の空間が形成される。この環状の空間は、流出側で出口開口に通じる。この環状空間内にフィルタ蛇腹部間のフロー空間を取り囲む支持フレーム85を挿入することができる。特にフィルタエレメントの対応する重量が増す大容量フィルタデバイスの場合、例えば射出成形部品として製造されるか又は金属製のこの支持フレームは安定性を増す。この支持フレーム85は、軸方向と半径方向に延在し、それによって特に大容量のフィルタ蛇腹部を互いに離間させてそれらの間の円錐状に延在するフロー空間が幾何学的に一定の外観を維持するリブを備えることができる。支持フレームは、支持作用によって必要な機械的安定性を提供する。支持フレームは、例えば、モノリシック構成であってもよい。第1の半径方向外側に位置するフィルタ蛇腹部10と第2の半径方向内側に位置するフィルタ蛇腹部20は、実質的に半径方向に貫通する。
【0055】
他方、そのような円錐形状は、第1のフィルタ蛇腹部に対する第2のフィルタ蛇腹部の傾斜と位置が封止要素52及び51又は形状保持シェル60によって固定されることで安定化される。代替的に又は追加的に、安定性は、2つのフィルタ蛇腹部の形状安定性を互いに保持するケージ又はフレーム85によって提供される。特にフィルタエレメントの製造工程では、封止要素51及び52が施されると、形状保持フレーム85は、封止要素51及び52の失敗がない適用が可能になるようにフィルタ蛇腹部を所定位置に維持することができる。
【0056】
図3は、図2に示す軸方向の伸張方向Aに直交して延在する断面図を示す。図3に示す断面図は、湾曲した断面とほぼ直線状の断面を備えた実質的に楕円の形状を有するフィルタエレメントを示す。これに関連して、フィルタ蛇腹部10とフィルタ蛇腹部20は、第1の実質的に湾曲した断面16、26と第2の実質的に湾曲した断面17、27と第1のほぼ直線状の断面18、28と第2のほぼ直線状の断面19、29とを有する。またこの場合、ほぼ直線状の断面18、28、19、29は、湾曲した断面16、26、17、27の湾曲よりも実質的に小さい湾曲を有していてもよいことに留意されたい。これに関連して、湾曲した断面は、鋭角の湾曲がほぼない状態でほぼ直線状の断面に連なり、フィルタエレメントの実質的に楕円形又は長円の断面形状が提供される。こうして、フィルタエレメントは狭い構成であってもよく、エアフィルタハウジングに通じる対応する開口は、これに匹敵する濾過効率を備えた、例えば、円形の断面を有するフィルタエレメントの場合よりも狭い設計が可能である。
【0057】
図4は、本発明の例示的な実施形態によるフィルタエレメントの構造の構成を示す。これに関連して、外側の第1のフィルタ蛇腹部10は、第1の湾曲した断面16と断面図の結果として図示されていない第2の湾曲した断面17とを有する。さらに、図示の実施形態では、湾曲がないほぼ直線状の断面18及び19が示されている。同様に、傾斜して実施された第2の内側の折り畳んだ蛇腹も湾曲した断面26とここでは図示していない湾曲した断面27と、第1のほぼ直線状の断面28と第2のほぼ直線状の断面29とを有する。ここに示す軸方向に傾斜した第2のフィルタ蛇腹部20の場合、2つのほぼ直線状の断面28、29も湾曲なしに実施されている。第2のフィルタ蛇腹部20の2つのほぼ直線状の断面28、29は、精製ガスの側と濾過されていないガスの側とが漏れ防止の形で互いに離間するように、第1の軸方向端部21の封止要素51によって両者が互いに封止されるように配置されている。さらに、形状保持シェル60は、外側の第1の折り畳んだ蛇腹10の折り畳み部の奥行き全体にわたって延在するように設計されている。しかし、また封止要素51が第2の折り畳んだ蛇腹の折り畳み部の奥行き全体にわたって延在し、形状保持シェル60が第1の折り畳んだ蛇腹10の折り畳み部の奥行きの一部のみにわたって延在することも可能であることに留意されたい。図示の実施形態の第1のフィルタ蛇腹部10の第2の軸方向端部12と第2の内側に位置するフィルタ蛇腹部20の第2の軸方向端部22に、適切な濾過作用が確実に行われるように、第2のフィルタ蛇腹部20に対してフィルタ蛇腹部10を漏れ防止の形で封止する別の封止要素52が提供される。図4に示す実施形態では、封止要素52が外側のフィルタ蛇腹部10と内側のフィルタ蛇腹部20の折り畳み部の奥行き全体にわたって延在する。しかし、封止要素51は、第1のフィルタ蛇腹部10の折り畳み部の一部のみにわたって、また第2のフィルタ蛇腹部20の折り畳み部の一部のみにわたって延在してもよいことを理解されたい。封止要素51と封止要素52は、例えば、ポリウレタン発泡体で製造可能であるが封止に適した任意の他の材料から製造することもできる。吸気又は流出通路をより強力な空気流に対しても開いた状態に保つために折り畳んだ蛇腹10を折り畳んだ蛇腹20に対して支持ケージ又は支持バスケット85によって支持することができる。例えば、形状保持シェルと共に互いに傾斜したフィルタ蛇腹部10及び20の支持フレームが提供されるようにこのバスケット85を形状保持シェル60に取り付けてもよい。
【0058】
図5は、本発明の例示的な実施形態によるフィルタエレメントの半径方向の平面内の断面図を示す。ここに示すフィルタエレメント1の図示の輪郭に関して、第1のフィルタ蛇腹部10に対する湾曲した断面とほぼ直線状の断面についてだけ説明するが、この開示は、同様に内側の折り畳んだ蛇腹20にも適用される。図5は、ほぼ直線状の断面18、19が半径方向の断面平面内で互いに傾斜する実施形態を示す。これらの断面は、例えば、西洋ナシ又は水滴の形態の閉じた輪郭が得られるように湾曲した断面16及び17を互いに接続する。ほぼ直線状の領域18、19のそのような傾斜によって、例えば、エアフィルタハウジング内へのより容易で簡単化された挿入を達成することができる。これに関連して、半径方向の平面内で延在する図5に示す傾斜又は傾斜した位置が比較的顕著であることが理解される。実際の実施形態におけるこの傾斜又は傾斜した位置は、特に、残りのフィルタパラメータに関して傾斜が最適化されたフィルタエレメントの最適化構成が問題になる時に実質的に小さくてもよい。これに関連して、湾曲した断面は、鋭角の湾曲がほぼない状態で直線状の断面18、19に連なる。互いに傾斜したほぼ直線状の断面のそのような構成は、特に半径方向の力の負荷に関連する。そのような傾斜構成によって、同様に傾斜して配置された封止される表面が端部位置に達する前にほんの短い時間だけ力の負荷に接触するか又はそれを受け、広い領域にわたって2つの摺動面の相互の実質的に横断的に延在するひきずり運動を防止することができる。こうして、特に一般に定期的に交換されるフィルタエレメント1よりも実質的に寿命が長いフィルタハウジングの場合に封止表面の寿命を延ばすことができる。
【0059】
図6は、第2の内側のフィルタ蛇腹部の例示的な実施形態を示す。これに関連して、ほぼ直線状の断面28、29を互いに密封した形で接続する封止要素51に隣接して、より強力な空気流を受けてフィルタ折り畳み部が互いに押し込まれて崩壊しないように、特に第2の折り畳んだ蛇腹20の湾曲した断面26でこの領域で一定の間隔を空けてフィルタ折り畳み部21を配置するスペーサ又は縁部保護要素86が存在する。縁部保護要素又はスペーサ要素86は、封止要素51と同じ材料であってもよく、同じ製造工程で生産することができる。しかし、特に、スペーサと縁部保護要素86がさらに衝撃又は変形保護デバイスの機能を果たさなくてはならないが、封止要素51として空間伸張機能を有するべきでない時に、要素86は別の材料で構成されていてもよいことを理解されたい。特に、この例では、例えば、封止要素51の材料よりも大きい硬度を有することができるグルービードの形態の硬質接着剤を塗布することができる。
【0060】
図7は、外側の第1の折り畳んだ蛇腹10内に第2の折り畳んだ蛇腹20と第3の折り畳んだ蛇腹30が提供されるフィルタエレメントの別の例示的な実施形態を示す。第2の折り畳んだ蛇腹20と第3の折り畳んだ蛇腹30は、互いに隣接して位置し、共に折り畳んだ蛇腹10内にある。また、折り畳んだ蛇腹10は、その第1の軸方向端部で形状保持シェル60によって覆われ、したがって、封止構成と、例えば、グリップ84などが利用可能になる。これに関連して、第1の封止要素51は、第2の折り畳んだ蛇腹20の折り畳み部と第3の折り畳んだ蛇腹30の折り畳み部とを接続し、折り畳んだ蛇腹20、30の円形の形状のために、この実施形態では、直線状の断面の両側はもはや直線状ではなく、封止要素51は、第2の折り畳んだ蛇腹20と第3の折り畳んだ蛇腹30の第1の軸方向端部上に載った封止ディスクとして実施される。さらに、図8に関連して以下に説明するように、一方で第1の折り畳んだ蛇腹10と他方で第2の折り畳んだ蛇腹20と第3の折り畳んだ蛇腹30とを互いに対して封止する第3の封止要素53を提供することができる。
【0061】
図8は、第1の折り畳んだ蛇腹10内に第2の折り畳んだ蛇腹20とそれに平行に延在する第3の折り畳んだ蛇腹30が提供される図7に示すフィルタエレメントの別の図を示す。第2の軸方向端部の反対側には、第1の折り畳んだ蛇腹10、第2の折り畳んだ蛇腹20及び第3の折り畳んだ蛇腹30を互いに漏れ防止の形で接続する封止要素53が提供される。図8に示す実施形態は、第1の折り畳んだ蛇腹と第2及び第3の折り畳んだ蛇腹の折り畳み部の奥行き全体にわたる延在部を有する封止要素53を示す。しかし、封止要素53は、第1の折り畳んだ蛇腹の一部のみにわたって、また第2及び第3の折り畳んだ蛇腹の一部のみにわたって延在してもよいことを理解されたい。図8に示す実施形態では、封止要素53は、外壁面へ延在した結果として衝撃防止デバイスの機能も果たすことができる。さらに、エアフィルタハウジング内でのフィルタエレメント1のセンタリングを確実に行うため、この封止要素53上にスペーサ54を提供してもよい。他の封止要素、特に封止要素52は、エアフィルタハウジング100内のフィルタエレメントのセンタリングを確実に行うためにそのようなスペーサ54を有していてもよい。
【0062】
「備える」という用語は追加の要素を除外しないことに留意されたい。同様に、「ある」及び「1つの」という用語は、いくつかの要素及びステップを除外しない。採用された参照番号はもっぱら本開示の理解を助けるためのものであって、限定的と解釈してはならない。本発明で追求する保護は請求の範囲に記載する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関のエアフィルタ用のフィルタエレメントであって、前記フィルタエレメント(1)が、
実質的に前記フィルタエレメントの軸方向の伸張方向(A)に延在するフィルタ折り畳み部(15)と、実質的にそれに直交する平面内で半径方向の伸張方向に延在する第1の折り畳み部の奥行きとを有する第1のフィルタ蛇腹部(10)と、
実質的に前記フィルタエレメントの軸方向の伸張方向(A)に延在するフィルタ折り畳み部(25)と、実質的にそれに直交する平面内で半径方向の伸張方向に延在する第2の折り畳み部の奥行きとを有する第2のフィルタ蛇腹部(20)とを備え、
前記第2のフィルタ蛇腹部(20)が、前記第1のフィルタ蛇腹部(10)に対して半径方向内側に配置され、
前記第2のフィルタ折り畳み部(25)の奥行きが、対応する第1のフィルタ折り畳み部(15)の奥行きよりも深いフィルタエレメント。
【請求項2】
前記第2のフィルタ折り畳み部(25)の奥行きが、前記対応する第1のフィルタ折り畳み部(15)の奥行きの1.1〜2.5倍、特に1.2〜1.9倍の深さである、請求項1に記載のフィルタエレメント。
【請求項3】
前記第1のフィルタ蛇腹部(10)の前記フィルタ折り畳み部(15)に対する前記第2のフィルタ蛇腹部(20)の前記フィルタ折り畳み部(25)が、前記軸方向の伸張方向(A)に関して少なくとも断面が傾いている、請求項1及び2に記載のフィルタエレメント。
【請求項4】
前記軸方向の伸張方向(A)に対する前記第2のフィルタ蛇腹部(20)の前記フィルタ折り畳み部(25)の傾斜が、前記軸方向の伸張方向(A)に対する前記第1のフィルタ蛇腹部(10)の前記フィルタ折り畳み部(15)の傾斜よりも大きい、請求項1から3のいずれか1項に記載のフィルタエレメント。
【請求項5】
前記第1のフィルタ蛇腹部(10)が、前記第1のフィルタ蛇腹部(10)の外縁部(13)に対して形状を保持するシェル(60)を第1の軸方向端部(11)に備える、請求項1から4のいずれか1項に記載のフィルタエレメント。
【請求項6】
前記第1のフィルタ蛇腹部(10)が、半径方向の伸張方向平面内に第1の湾曲した断面(16)及び第2の湾曲した断面(17)と、その中間に位置する第1のほぼ直線状の断面(18)及び第2のほぼ直線状の断面(19)をそれぞれ有し、前記第1及び第2の湾曲した断面(16,17)と前記第1及び第2のほぼ直線状の断面が、閉じた楕円形の周縁部の輪郭を形成する、請求項1から5のいずれか1項に記載のフィルタエレメント。
【請求項7】
前記第1のほぼ直線状の断面(18)及び前記第2のほぼ直線状の断面(19)が、前記半径方向の伸張方向平面内で互いに延在する、請求項6記載のフィルタエレメント。
【請求項8】
前記第2のフィルタ蛇腹部(20)が、前記半径方向の伸張方向平面内に第1の湾曲した断面(26)及び第2の湾曲した断面(27)と、その中間に位置する第1のほぼ直線状の断面(28)及び第2のほぼ直線状の断面(29)をそれぞれ備える、請求項1から7のいずれか1項に記載のフィルタエレメント。
【請求項9】
前記第2のフィルタ蛇腹部(20)の前記第1の軸方向端部(21)で、前記第1の直線状の断面(28)と前記第2の直線状の断面(29)が、前記第2のフィルタ蛇腹部(20)の濾過されたガスの側と濾過されていないガスの側が漏れ防止の形で互いに離間するように、第1の封止要素(51)によって互いに接続する、請求項8に記載のフィルタエレメント。
【請求項10】
前記半径方向の伸張方向平面内の前記第1の封止要素(51)が、前記第2のフィルタ蛇腹部(20)の前記第2のフィルタ折り畳み部(25)の奥行きの一部のみにわたって延在する、請求項9に記載のフィルタエレメント。
【請求項11】
前記第1のフィルタ蛇腹部(10)及び前記第2のフィルタ蛇腹部(20)が、前記第1のフィルタ蛇腹部(10)と前記第2のフィルタ蛇腹部(20)のそれぞれ前記濾過されたガスの側と前記濾過されていないガスの側が漏れ防止の形で互いに離間するように、第2の封止要素(52)によってそれぞれ前記第2の軸方向端部(12,22)で接続する、請求項1から10のいずれか1項に記載のフィルタエレメント。
【請求項12】
前記第2の封止要素(52)が、前記第1のフィルタ折り畳み部(15)と前記第2のフィルタ折り畳み部(25)の奥行きの一部のみにわたって前記半径方向の伸張方向平面内で延在する、請求項11に記載のフィルタエレメント。
【請求項13】
前記封止要素(51,52,53)が、PUR発泡体を含む、請求項9から12のいずれか1項に記載のフィルタエレメント。
【請求項14】
前記第1の折り畳んだ蛇腹(10)の濾過されたガスの側が、前記第2の折り畳んだ蛇腹(20)の濾過されたガスの側に対向する、請求項1から13のいずれか1項に記載のフィルタエレメント。
【請求項15】
前記フィルタエレメント(1)が、第3のフィルタ蛇腹部(30)を有し、前記第2のフィルタ蛇腹部(20)及び前記第3のフィルタ蛇腹部(30)が、前記半径方向の伸張方向平面内に実質的に円形に設計され、前記第2のフィルタ蛇腹部(20)及び前記第3のフィルタ蛇腹部(30)が互いに隣接し、前記第1のフィルタ蛇腹部(10)内で半径方向に配置される、請求項1から14のいずれか1項に記載のフィルタエレメント。
【請求項16】
一方で前記第1のフィルタ蛇腹部(10)と、他方で前記第2のフィルタ蛇腹部(20)及び前記第3のフィルタ蛇腹部(30)が、それぞれ第2の軸方向端部(12,22,32)で第3の封止要素(53)によって互いに接続し、前記第1のフィルタ蛇腹部(10)と前記第2のフィルタ蛇腹部(20)と前記第3のフィルタ蛇腹部(30)のそれぞれ前記濾過されたガスの側と前記濾過されていないガスの側とが漏れ防止の形で互いに離間している、請求項15に記載のフィルタエレメント。
【請求項17】
前記第1のフィルタ蛇腹部(10)が、第1の濾過されていないガスの側と第1の濾過されたガスの側とを有し、前記第2のフィルタ蛇腹部(20)が、第2の濾過されていないガスの側と第2の濾過されたガスの側とを有し、第1の濾過されていないガスの側の空間が第2の濾過されていないガスの側の空間に対応するか、又は第1の濾過されたガスの側の空間が第2の濾過されたガスの側の空間に対応するように、前記第1のフィルタ蛇腹部(10)と前記第2のフィルタ蛇腹部(20)が、前記第1のフィルタ蛇腹部の端面と前記第2のフィルタ蛇腹部の端面とで漏れ防止の形で互いに接続する、請求項1から16のいずれか1項に記載のフィルタエレメント。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2011−514949(P2011−514949A)
【公表日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−548113(P2010−548113)
【出願日】平成21年2月26日(2009.2.26)
【国際出願番号】PCT/EP2009/052317
【国際公開番号】WO2009/106589
【国際公開日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【出願人】(505229863)マン ウント フンメル ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (86)
【Fターム(参考)】