説明

複数要素から成る擁壁ブロック

複数要素セグメント擁壁(SRW)ブロックによってモルタル塗りしていない擁壁を形成することができよう。各SRWブロックは、互いに組付けることのできる正面ユニットとアンカーユニットとを含み、該正面ユニットおよびアンカーユニットを組付けると、その内面によって鉛直方向に延びる中空部が画成される。正面ユニットとアンカーユニットの各組は、連結部によって互いに組付けることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、セグメント型擁壁ブロック(以下、単にSRWブロックと記載する)に関し、特に、複数の要素から成るセグメント型擁壁ブロック(以下、単に複数要素SRWブロックと記載する)に関する。
【背景技術】
【0002】
擁壁は、通常、丘を形成する土のような高い所にある土を保持したり、その下に運動場や庭のような有用な平坦な表面を造成したり、或いは、見て美しい地形の輪郭を人工的に作るために用いられる。こうした擁壁は、これまで種々の形態のコンクリートブロックから作られてきており、該ブロックを盛土に対して積上げて擁壁を形成したり、或いは、セットバックを設けるようにしている。セットバックは、壁の中のある段が、同じ壁の下の段の正面よりも遠位に延設されるところの距離であると一般的にみなされている。コンクリートブロックは、モルタルを塗った或いは塗っていない多種多様の壁を作るために用いられてきた。こうしたブロックは、地面その他の支持基礎に載置するため或いは壁を立設するために下段のブロック上に載置するためにの平坦な矩形面を備えるように製造される。こうしたブロックは、また、平坦な或いは装飾性の前面、擁壁を形成するブロックの次の段を支持または死傷する平坦な上面を特徴としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許第5,484,236号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この種の擁壁は、望ましい特徴、特に、擁壁の組立に関連して記述される特徴、つまり、擁壁の安定性(長期間に亘って構造の一体性を維持できる性能)や、雨水を受け入れ排出する性能を備える。擁壁ブロックは、通常、積重ねて鉛直方向に支持されるが、擁壁が支持する土壁から外方に移動しないように拘束することが重要である。
【0005】
近時の製造技術および関連する経済性から、望ましい機能を提供するブロックの製造に用いられる形状、大きさおよび材料が制限される。異なる形状、大きさおよび色のブロックを異なる品質、タイプおよび価格の材料を用いて、ブロックを使用する場所から離れた中央集約的な場所で作ることが望ましい場合もある。これらの問題を解決して、擁壁ブロックの製造を改良することが望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の幾つかの形態は、セグメント型擁壁(SRW)ブロック、特にモルタル塗りしていない擁壁を形成する複数要素SRWブロックに関連する。特定の形態では、複数のセグメント型擁壁(SRW)ブロックを多段に積重ねてモルタル塗りしていない擁壁が形成される。各SRWブロックは正面ユニットとアンカーユニットとを含む。前記正面ユニットは、前記擁壁の露出面の一部を形成する前面と、2つの連結部とを有する。アンカーユニットは、前記正面ユニットの連結部に対して相補形に形成された2つの連結部を有する。該アンカーユニットは、前記擁壁によって保持される盛土に対面する。前記アンカーユニットと正面ユニットの各々が上荷重支持面と下荷重支持面とを有し、前記上荷重支持面は、積重ねられたブロックの下荷重支持面と係合する。前記上下荷重支持面は隣接するSRWブロックの間の剪断力に抵抗するために概ね平坦に形成されている。前記アンカーユニットおよび正面ユニットは、前記連結部を介して互いに組付けられたときに、該アンカーユニットおよび正面ユニットの内面によって中空部が画成される。該中空部は、前記上荷重支持面から前記下荷重支持面まで鉛直方向に延びる。本発明の幾つかの形態では、前記アンカーユニットまたは正面ユニットが、上に積重ねられたSRWブロックを隣接する下側のブロックに対して一直線上に位置決めする位置決め要素を含み、該位置決め要素が、隣接する下側のブロックに対して前記SRWブロックに作用する剪断力に抵抗する。
【0007】
本発明の幾つかの形態では、複数のセグメント型擁壁(SRW)ブロックから成るモルタル塗りしていない擁壁を形成するための予め形成されたブロック要素の供給を用いることができる。ブロック要素の供給は、複数の正面ユニットと複数のアンカーユニットとを含む。各正面ユニットは、前記擁壁の露出面の一部を形成する前面であって異なるパターンが形成されている前面を有している。各正面ユニットは2つの連結部とを有している。アンカーユニットは、前記擁壁によって保持される盛土に対面するようになっており、各アンカーユニットは、ユニバーサルデザインで、かつ、前記正面ユニットの連結部に対して相補形に形成された2つの連結部を有している。前記アンカーユニットおよび正面ユニットの各々は、前記連結部によって互いに組付けてセグメント型擁壁(SRW)ブロックとすることができる。前記アンカーユニットと正面ユニットの各々は、互いに組付けてSRWブロックを形成したときに、該アンカーユニットおよび正面ユニットの内面によって中空部が画成される。複数のSRWブロックを列状に積重ねて擁壁が形成される。
【0008】
幾つかの形態では、複数の要素から成るSRWブロックによってモルタル塗りしていない擁壁を形成することができよう。SRWブロックは正面ユニットとアンカーユニットとを含む。正面ユニットは前面と該前面の反対側の後面とを有している。前記前面は、前記擁壁の露出面の一部を形成する。前記後面は、概ね平坦に形成され2つの連結部を形成する凹所を有している。アンカーユニットは第1と第2の脚部を有して略U字形に形成されており、該第1と第2の脚部の先端に前記正面ユニットの連結部に対して相補形に形成された2つの連結部が設けられている。該アンカーユニットは前記擁壁によって保持される盛土に対面する。前記アンカーユニットと正面ユニットの各々は、上荷重支持面と下荷重支持面とを有し、前記上荷重支持面は、積重ねられたブロックの下荷重支持面と係合する。前記上下荷重支持面は隣接するSRWブロックの間の剪断力に抵抗するために概ね平坦に形成されている。前記アンカーユニットおよび正面ユニットは、前記連結部を介して互いに組付けられる。組付けられると、該アンカーユニットおよび正面ユニットの内面によって前記上荷重支持面から前記下荷重支持面まで鉛直方向に延びる中空部が画成される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の実施形態による複数要素から成るセグメント型擁壁(SRW)ブロックによって造成されたモルタル塗りしていない擁壁の正面図である。
【図2A】本発明の実施形態によるSRWブロックの正面斜視図である。
【図2B】本発明の実施形態による複数要素SRWブロックの底面図である。
【図3A】本発明の実施形態によるSRWブロックの正面ユニットの頂面図である。
【図3B】図3Aの正面ユニットの側面図である。
【図3C】図3Aの正面ユニットの正面図である。
【図4A】本発明の他の実施形態によるSRWブロックの正面ユニットの頂面図である。
【図4B】図4Aの正面ユニットの側面図である。
【図4C】図3Aの正面ユニットの正面図である。
【図5A】本発明の更に他の実施形態によるSRWブロックの正面ユニットの頂面図である。
【図5B】図5Aの正面ユニットの側面図である。
【図5C】図5Aの正面ユニットの正面図である。
【図6A】本発明の更に他の実施形態によるSRWブロックの正面ユニットの頂面図である。
【図6B】図6Aの正面ユニットの側面図である。
【図6C】図6Aの正面ユニットの正面図である。
【図7】本発明の実施形態によるSRWブロックの頂面図である。
【図8A】本発明の実施形態によるSRWブロックのアンカーユニットの頂面図である。
【図8B】図8Aのアンカーユニットの側面図である。
【図8C】図8Aのアンカーユニットの正面図である。
【図8D】図8Aのアンカーユニットの背面図である。
【図9】本発明の他の実施形態によるSRWブロックのアンカーユニットの側面図である。
【図10】本発明の実施形態によるSRWブロックの頂面図である。
【図11】本発明の他の実施形態によるSRWブロックの角部分の頂面図である。
【図12】本発明の実施形態に複数要素SRWブロックを形成するための正面ユニットへのアンカーユニットの組付方法を示す斜視図である。
【図13】積重ねた複数要素SRWブロックの側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照して本発明の複数の特定実施形態を説明するが、以下の実施形態は本発明の範囲を制限する趣旨ではない。また、図面は(その旨特段の記載がない限り)実際の尺度では記載されておらず、単に、説明のための例を示すために用いられている。以下に説明する本発明の実施形態において、同様の構成要素には同じ参照番号が付されている。
【0011】
以下の詳細な説明は本来単なる一例であって、決して本発明の範囲、用途または形態を限定する趣旨ではない。以下の説明は、本発明の一例としての態様を実施するための実際的な例示である。
【0012】
図1は、本発明の実施形態による複数要素SRWブロック12から作られた、モルタルを塗っていない擁壁10の正面斜視図である。図示するように擁壁10は、複数のSRWブロック12から成る第1段14と、該第1段14の上に積重ねられた複数のSRWブロック12から成る第2段16とから成る。本発明の範囲内で段数に制限はない。第2段16は、第1段14に対してセットバック18を以て組立てられている。更に後述するように、セットバックの程度は、本願発明の範囲において、セットバックを設けないことを含めてセットバックの大きさに制限はない。更に、第2段16は、その全体を或いは第2段内において間欠的に、第1段14に対して前方に配置するようにしてもよい。擁壁10においてブロック12の前面20は、通常、図示するように露出している。擁壁10においてブロック12の背面22は、通常、擁壁10によって保持される盛土(図示せず)に対面しており見ることができない。盛土によって擁壁10およびそのSRWブロック12の背面には土圧が作用し、SRWブロック12は前方に押圧されることは言うまでもない。
【0013】
図2Aは、本発明の実施形態による複数要素SRWブロック12の正面斜視図である。図2Bは、本発明の実施形態による複数要素SRWブロック12の底面図である。図示するように、SRWブロック12は、正面ユニット24とアンカーユニット26の2つの要素から成る。正面ユニットとアンカーユニットは、各々の連結部によって互いに組付けられる。正面ユニット24は、擁壁の露出面の一部を形成する前面20を有している。正面ユニット24は、また、後述する2つの連結部を有している。アンカーユニット26は盛土を支承する背面22を有しており、該背面22によって盛土が保持される。アンカーユニット26は、また、正面ユニットの連結部に対して相補的な寸法、形状の2つの連結部を有している。このように、相互に組付可能な2つの要素からSRWブロックを構成することには幾つかの利点がある。例えば、SRWブロックを移動、積重ねる者、或いは、製造から最終的な配置、擁壁造成までSRWブロックを取扱う者にとって、一体型ブロックを持上げ、移動し、そして正確に配置することよりも、SRWブロックは一層容易に持上げ、移動し、そして正確に配置することができる。複数の要素から成る構成の他の利点は後述する。
【0014】
図1のSRWブロック12は、外的支持構造なくして独立して立つことのできる自立構造である。つまり、擁壁を形成するためにモルタルは必要ない。図2A、2Bを参照すると、SRWブロック12は、該ブロックの頂部および底部が平行な荷重支持面となっている。上荷重支持面は、正面ユニットの上面30と、アンカーユニットの上面32によって形成される。下荷重支持面は、正面ユニットの下面34と、アンカーユニットの下面36によって形成される。荷重支持面は、前面20および背面22に対して横断方向に形成される。SRWブロック12は、また、上面30、32および前面20に対して横断方向に形成された側面38を有している。本実施形態では、側面38は、アンカーユニット26によって形成されている。本実施形態では、側面38は、下荷重支持面から上荷重支持面までSRWブロックの全高に亘って延在している。或いは、該側面は、上荷重支持面と下荷重支持面との間の全長に亘って延在させなくともよい。
【0015】
正面ユニット24およびアンカーユニット26が、図2A、2Bに示すように互いに組付けられると、複数要素SRWブロック12には中空部40が形成される。中空部40は、下荷重支持面から上荷重支持面へSRWブロックを鉛直方向に貫通し、アンカーユニット26と正面ユニット24の内面によって画成される。中空部40には幾つかの利点がある。第1に、中空部40によってSRWブロックを製造するために必要な材料の量が低減され、コストが低減される。中空部40は、また、耐荷力を犠牲にすることなく、SRWブロックの1平方フィート当たりの重量を低減する。この特徴によって、個々のSRWブロックを移動、積重ねる者、或いは、製造から最終的な配置、擁壁造成までSRWブロックを取扱う者にとっての負担は勿論、輸送の負担が低減される。擁壁内の各SRWブロック12の中空部40に岩石や土を充填して、土圧に対する擁壁の安定性を高め補強するようにできる。こうした充填材には、砕石やバインダーロック(binder rock)のような清浄な粒状裏込め材料や、例えば通常多量の粘土および塩類を含んだ黒土のような現場の土が含まれよう。後述するように、正面ユニットの連結部とアンカーユニットの連結部の相対的に配置することによって連結され、該連結は、中空部40に充填材を入れることによって安定化する。つまり、上記連結部は、正面ユニット24とアンカーユニット26との間の鉛直方向の相対動作を許容するが、長手方向(前後方向)および横断方向(左右方向)へは正面ユニット24とアンカーユニット26との間の相対動作を概ね防止するようになっている。充填材によってSRWブロック12は、中空部40に内側から圧力が作用し、正面ユニット24とアンカーユニット26との間の全ての相対動作が更に拘束される。
【0016】
更に、図2Bに示すように、前記連結部間の接触面に小さ間隙42が設けられており、正面ユニット24とアンカーユニット26との間が緩く連結されるようになっている。間隙42によってアンカーユニット26と正面ユニット24とを容易に組付け、SRWブロック12を組立てることが可能となり、連結された状態でアンカーユニットと正面ユニットとの間の相対的な動作(遊び)が可能となる。この遊びによって、SRWブロック12は、より良く下段や地形に適合するようにできる。
【0017】
図3〜図7にSRWブロックの正面ユニットの異なる複数の実施形態を示す。図3Aは、複数要素SRWブロックの正面ユニット24の頂面図である。図3Bは、図3Aの正面ユニット24の側面図である。図3Cは図3Aの正面ユニットの正面図である。図3A〜図3Cを参照すると、正面ユニット24は平行に対設された前面20および後面28と、平行に対設された上面30および下面34と、左右の側面46、44とを有している。上面30および下面34は、前面20および後面28に対して概ね横断しており、かつ、実質的に平面である。上面30および下面34は荷重支持面として作用し、上面30は上に積重ねられた下面34に係合し該下面を支持する。上面30および下面34は実質的に平坦であるので、正面ユニット24はセットバックさせて或いはセットバックさせずに積重ねることができよう。前面20は、擁壁の露出面の部分を形成する表面となる。前面20には、図3Cに示すようなパターンを成形または形成することができよう。後面28は概ね平面であり、アンカーユニットの連結部に組付ける2つの連結部48が設けられている。図示する実施形態では、連結部48は、後面28に設けられた凹所またはポケットとして形成されている。該ポケットは、下面34から上面30まで正面ユニットの全高に亘って延設された細長いキー溝として形成されている。該キー溝は、然しながら、正面ユニット24の全高に亘って延設されている必要はない。キー溝は、正面ユニット24とアンカーユニットとの間の鉛直方向の相対動作を許容するが、他の方向の動作は概ね許容しない形状にて形成される。ポケットは、アンカーユニットの連結部に対して相補的な寸法、形状である限り、他の形状であってもよい。ポケットの底面50を略平坦にすることによって、正面ユニット24の無傷の部分を一層大きくすることができ、正面ユニットの強度が高まる。つまり、前記ポケットは、平底面50による正面ユニット24内への進入は、その奥行きの半分よりも少ない。連結部48の間は後面の中央部分52となっている。中央部分52は、中空部40の1つの内壁を形成する(図2B)。正面ユニットは、幅約305mm(1 foot)、奥行き約152mm(6 inch)、高さ約203mm(8 inch)である。後面28の中央部分52は幅約102mm(4 inch)であり、これは中空部の幅に一致する。図3A〜図3Cに図示する実施形態では、正面ユニット24の側面46、44は後方へ内側に傾斜している。このようにテーパー状に形成することによって、前面20を他の前面に対して傾けて複数の正面ユニットを配置することが可能となる。例えば、正面から見て擁壁を凸状に作りたい場合に、テーパー状の側面44、46は、全ての正面ユニットを互いに傾けて配置するための逃げ面となる。他の実施形態では、後述するように、正面ユニットの側面の一方または双方を前面20に対して直角となっている。
【0018】
図4Aは、本発明の代替実施形態による複数要素SRWブロックの正面ユニット124の頂面図である。図4Bは、図4Aの正面ユニット124の側面図である。図4Cは、図4Aの正面ユニット124の正面図である。図4A〜図4Cの正面ユニット124は、後述する点を除いて図3A〜図3Cの正面ユニットと同様である。該正面ユニットは、リップ部、切欠部、ピン穴、スロット等の1または複数の位置決め要素を有している。図4A〜図4Cにおいて、正面ユニット124は、位置決め要素としてのリップ部100を含んでいる。該リップ部は、正面ユニット124の上面30の前縁において該上面30の幅方向全長に亘って延設されている。正面ユニット124の下面34は、リップや切欠を形成することなく平坦となっている。こうして、リップ部100は、正面ユニット124を他の正面ユニットの上に配置させて複数要素SRWブロックから成る段を次に積重ねるときの最小限のセットバックを規定する。セットバックは、一般的に、壁のある段が、同じ壁の下の段の正面よりも遠位に延設されるところの距離であるとみなされている。図4A〜図4Cの正面ユニットには、テクスチャが形成されている前面20まで面取り部102が形成されている。
【0019】
図5Aは、本発明の代替実施形態による複数要素SRWブロックの正面ユニット224の頂面図である。図5Bは、図5Aの正面ユニット224の側面図である。図5Cは、図5Aの正面ユニット224の正面図である。図5A〜図5Cの正面ユニット224は、後述する点を除いて図4A〜図4Cの正面ユニットと同様である。図5A〜図5Cにおいて、正面ユニット244は、図4A〜図4Cのリップ部と同様のリップ部100と、正面ユニット224の下面34の前縁において該下面34の幅方向全長に亘って延設された切欠部104から成る2つの位置決め要素を含んでいる。こうして、複数のブロックから成る各段のセットバックは、正面ユニット244において横断方向に延在するリップ部100の奥行と切欠部104の奥行きとの間の差によって決定される。1つの段の全体または一部を下側の段に対して前方に配置するようにした実施形態もある。また、積重ねたブロックの荷重支持面が適正に着座するように、リップ部100の高さを切欠部104の高さ以下とした実施形態もある。
【0020】
図6Aは、本発明の代替実施形態による複数要素SRWブロックの正面ユニット324の頂面図である。図6Bは、図6Aの正面ユニット324の側面図である。図6Cは、図6Aの正面ユニット324の正面図である。図6A〜図6Cの正面ユニット324は、後述する点を除いて図3A〜図3Cの正面ユニットと同様である。図6A〜図6Cにおいて、正面ユニット324は位置決め要素として複数のピン穴106を含んでいる。ある実施形態では、ピン穴106は、正面ユニット324の全高に亘って鉛直方向に延設されている。正面ユニット324は、該正面ユニット324の1または複数のピン穴106が、隣接する下段または上段の正面ユニットの対応の1または複数のピン穴106と一直線上に並ぶように配置される。このような位置決めによって作られた鉛直方向に延びる長い通路は、土などの材料または鉄筋のような緊結部材によって充填される。こうして、ピン穴は積重ねたブロックを互いに位置決め、緊結するために用いられる。他の実施形態では、ピン穴106は、正面ユニットの全高に亘って形成されていない。ピン穴106は、正面ユニットの上面30および下面34の双方から途中まで延設される。こうした例では、ピン穴は、積重ねたブロックを短いピン(図示せず)によって位置決め、緊結するために用いられる。
【0021】
図7は、本発明の他の実施形態による複数要素SRWブロックの正面ユニットの頂面図である。図7の正面ユニット424は、後述する点を除いて図3A〜図3Cの正面ユニットと同様である。本実施形態では、2つのアンカーユニット26と共に1つの幅広の正面ユニット424を用いてSRWブロックが形成される。幅広の正面ユニット424は、例えば図3、4に示した正面ユニットの2倍の幅を有している。背面22は、概ね平坦で、かつ、2つのアンカーユニット26の連結部と組合う4つの連結部を有している。図示する実施形態では、正面ユニット424の連結部は、背面22の凹所またはポケットとして形成されている。
【0022】
図8Aは、本発明の他の実施形態による複数要素SRWブロックのアンカーユニットの頂面図である。図8Bは、図8Aのアンカーユニットの側面図である。図8Cは、図8Aのアンカーユニット26の正面図である。図8Dは、図8Aのアンカーユニット26の背面図である。図8Aの頂面図を参照すると、アンカーユニット26は、後方部分66に結合された第1と第2の脚部60、62を有して概ねU字形に形成されている。後方部分66は背面22を有している。該背面はSRWブロックの背面を形成すると共に、擁壁によって保持される盛土に対面する。第1と第2の脚部60、62は、後方部分66の側縁68から内側に配置されており、後方部分66の中央部分70によって連結されている。こうして、後方部分66には、中央部分70から外側に延びる外フランジ部72が形成される。後方部分66は、正面ユニットの最も広い部分よりも僅かに狭い幅を有しており、こうしたアンカーユニットおよび正面ユニットによって形成される擁壁が、正面から見て凸の曲面を形成できるようになっている。相対的に狭い後方部分66は、アンカーユニット26に邪魔されずに、正面ユニットを互いに傾けて配置可能とする逃げを提供する。後方部分66は、正面ユニットの後面と概ね同じ幅を有している実施形態もある。或いは、後方部分66が中央部分70のみを有し、外フランジ部72を備えない実施形態もある。図示する実施形態では、第1と第2の脚部60、62の先端には連結部74が設けられている。連結部74は、アンカーユニット26の全高に亘って延設されたハンマー形のキーとして形成されている。然しながら、該キーは、アンカーユニット26の全高に亘って延設される必要はない。該連結部は、正面ユニットの連結部に対して相補形に形成されており、それらと組合うようになっている。該2つの連結部74は、同一の形状および/または寸法にて形成されている。然しながら、正面ユニットの連結部が、該アンカーユニットの連結部に組合う相補的な形状および/または寸法にて形成されている限り、該アンカーユニットの2つの連結部は同一の形状および/または寸法にて形成されていなくともよい。例えば、該アンカーユニットの連結部は、ハンマー形ではなく丸形であってもよい。
【0023】
アンカーユニット26の第1と第2の脚部60、62は、SRWブロックの外側面38を形成する。図示する実施形態では、側面38は、アンカーユニット26の下荷重支持面36から上荷重支持面32までアンカーユニット26の全高に亘って延設されている。荷重支持面32、36は実質的に平坦でかつ互いに平行となっており、後方部分に対して横断方向に形成されている。上荷重支持面32は、隣接させて上側に積重ねられたSRWブロックの下荷重支持面36に係合する。既述したように、図2A、2Bに示すように、正面ユニットとアンカーユニットとを組付けて形成された複数要素SRWブロックは中空部40を有している。該中空部は、部分的に第1と第2の脚部60、62の内面76、78および後方部分66の前面80によって形成される。或いは、アンカーユニット26は、該アンカーユニットを持上げるときに便利な手掛かり部82を第1と第2の脚部60、62に設けてもよい。図示する実施形態では、手掛かり部82は、外側面38の下方部分に設けられた凹所として形成されている。手掛かり部82はによって形成してもよく、該突起部は外側面の下方部分以外の適当な位置(例えば、外側面の中央部分や上方部分)に配置するようにできる。
【0024】
正面ユニットと同様に、アンカーユニットはリップ部、切欠部、ピン穴、スロット等の1または複数の位置決め要素を有している。図8A〜図8Dにおいて、アンカーユニット26は2つの位置決め要素を含んでいる。一方の位置決め要素は、アンカーユニット26の後方部分66において、幅方向全長に亘って延設されたリップ部84として形成されている。第2の位置決め要素は、アンカーユニット26の上面32の後縁部において、幅方向全長に亘って延設された切欠部86である。こうして、アンカーユニット26のリップ部84と切欠部86とによって、SRWブロックから成る各段のセットバックが規定される。
【0025】
図9は、本発明の他の実施形態による複数要素SRWブロックのアンカーユニット126の側面図である。本実施形態に示すように、位置決め要素を設けることなく形成することもできよう。こうした例では、セットバックは、リップ部或いは切欠部または対応の正面ユニットの他の要素に基づいて決定されよう。
【0026】
図10は、本発明の他の実施形態による複数要素SRWブロック200の頂面図である。図10のアンカーユニットは、後述する点を除いて、図8A〜図8Dに示したアンカーユニットと同様である。アンカーユニット226は、図8A〜図8Dのアンカーユニットよりも奥行きがある。より奥行きのあるアンカーユニットは、より重くかつ一層大きな荷重支持面を有しているので、作られる擁壁の安定性が高まる。従って、アンカーユニット226のような一層奥行きのあるアンカーユニットは、一層高く擁壁に適している。すなわち、一層高い擁壁の安定化を補助するために、ジオグリッドのような固着装置の代わりに或いは同固着装置に加えて、一層奥行きのあるアンカーユニットを用いることができよう。より奥行きのあるアンカーユニット226を強化するために、アンカーユニット226には、後方部分266によって形成される横部材に加えて横部材108が設けられている。アンカーユニット226には2つの横部材が設けられているように図示されているが、更なる横部材を用いることもできよう。
【0027】
図10の正面ユニットは、以下の点を除いて、図3A〜図3Cに示した正面ユニットと同様である。正面ユニット524の一方の側面110が、図3A〜図3Cに示した側面と同様に、後方へ内側に傾斜している。然しながら、正面ユニット524の反対側の側面112は、正面ユニット524の前面20に対して概ね直角となっている。更に、反対側の側面112は、前面20に調和するように仕上げられている。こうして、正面ユニット524は、擁壁の複数のブロックから成るある段の端のブロックまたは終端のブロックを形成するSRWブロックの一部として用いることができよう。前記一方の側面110によって、前面20が他の前面に対して傾くように、この同じ正面ユニット524を配置可能とする。正面ユニット524とアンカーユニット226とを各々の連結部によって組付けると中空部40が形成される。アンカーユニット226は、また、横部材間に第2の中空部114が形成されている。中空部114は、既述した中空部40と同様に充填される。
【0028】
図11は、本発明の他の実施形態による複数要素SRWブロックの頂面図である。図11は、1つの擁壁の中の複数のSRWブロックから成る1つの段の角部分を示している。図示するように、この角部分はアンカーユニット326、426、526、626に連結された正面ユニット624、724、824、924によって形成されている。正面ユニットは、図10を参照して説明した正面ユニットである。例えば、正面ユニット724の一方の側面116が、湾曲した擁壁を造成可能とする図3A〜図3Cのテーパー状の側壁と同様に後方へ内側に傾斜している。然しながら、正面ユニット724の反対側の側壁118は、該正面ユニット724の前面20に対して概ね直角となっている。更に、該反対側の側壁118は前面20と調和するように仕上げられている。こうして、正面ユニット724は、図11に示すように、擁壁の1つの段の中のコーナーブロックまたは末端ブロックを形成するSRWブロックの一部として使用される。正面ユニット624、724、824、924の何れもコーナーブロックまたは末端ブロックとして使用することができよう。アンカーユニット326、426、526、626は図8A〜図8Dのアンカーユニットと同様である。然しながら、アンカーユニット326、626は1つのアンカーユニットを2つに分割したものである。更に、アンカーユニット526を角部分に装着するために、該アンカーユニットの一方のフランジ部は除去されている。また、正面ユニットへのアンカーユニット426、526の組付けは方は、アンカーユニット426、526の連結部の中心間距離は、正面ユニット624、724、824の連結部の中心間距離に等しくなっていることを示している。このように正面ユニットおよびアンカーユニットを対称形状に作ることによって、1つのアンカーユニットを図11に示すように隣接する2つの正面ユニットの間に連結することが可能となる。
【0029】
図12にアンカーユニットを正面ユニットに連結して本発明の実施形態による複数要素SRWブロック300を形成する方法を示す。SRWブロック300は、連結部を有した正面ユニット1024と、連結部を有したアンカーユニット826とから成る。図示するように、正面ユニット1024が所望位置に所望の方向に配置される。次いで、アンカーユニット826および正面ユニット1024の上面および下面が面一となるまで、アンカーユニット826の連結部が、矢印120で示すように、正面ユニットの連結部の溝内に滑り下ろされる。他の実施形態では、先ず、アンカーユニット826が配置され、次いで、正面ユニットが配置される。連結部の間には間隙42(図2B)が設けられているので、アンカーユニット826は、比較的容易に正面ユニット1024に対して滑り下ろすことができる。更に、間隙42によって、該ブロックの要素の一方または双方を組立後に少し移動させることが可能となり、アンカーユニット826および正面ユニット1024が配置される複数のSRWブロックから成る隣接する下側の段の上で位相安定的な位置を見つけることが可能となる。アンカーユニットと正面ユニットとの間の緩い嵌合を低減または除去するために、後に前記間隙は石や土などの材料によって埋められるであろう。このような充填作業は、SRWブロックの中空部40の充填と同時に行うことができよう。
【0030】
図13は、擁壁または擁壁の少なくとも一部を形成するために積重ねられた複数要素SRWブロックの側面図である。ブロック400は、複数のブロックから成る第1段に配置され、ブロック500は、複数のブロックから成る第2段に配置されている。本発明の範囲内で段数に制限はないことは言うまでもない。ブロック500は、ブロック400に対してセットバック122を以て配置されている。後述するように、本発明の範囲内でセットバックは、セットバックを設けないことを含めて、どのような大きさであってもよい。ブロック400、500の前面20は通常露出している。然しながら、ブロック400、500の背面22は、通常、擁壁によって保持される盛土(図示せず)に対面しており見ることができない。盛土によってSRWブロック12の背面22には矢印128で示すように土圧が作用し、SRWブロック400、500は前方に押圧されることは言うまでもない。該複数要素SRWブロックの1または複数の特徴によって、擁壁の安定性が高まる。例えば、既述したように、アンカーユニットおよび正面ユニットの各々は上荷重支持面および下荷重支持面を有しており、上荷重支持面は、上側に積重ねられたSRWブロックの下荷重支持面に係合する。上下荷重支持面は概ね平坦とすることができる。ブロック400、500の間の接触面130にて示すように、ブロック400の上荷重支持面およびブロック500の下荷重支持面が略平坦であるので、接触面130の面積が増大して、そうでなければブロック500がブロック400の上荷重支持面沿いに滑ってしまうような盛土による剪断力128に対抗できる静止摩擦係数が提供される。こうした平坦面によって擁壁の安定性が高まる。更に、図13に示すように、ブロック400、500はリップ部84および切欠部86を含んでいる。図8A〜図8Dを参照して既述したように、リップ部84は、アンカーユニットの下方部分後縁で横方向に延設されている。既述したように、ブロック500のリップ部84とブロック400の切欠部86とを合わせることによって、セットバック122が作られる。更に、該リップ部および切欠部は擁壁を更に安定させる。また、ブロック500のリップ部84とブロック400の切欠部86とを合わせることによって、そうでなければブロック500がブロック400の上荷重支持面沿いに滑ってしまうような盛土による剪断力128に抵抗する。
【0031】
正面ユニットおよびアンカーユニットは、湿式成形法(wetcast)、乾式成形法(drycast)或いは押出成形法を含む種々の方法を用いて製造することができよう。例えば、正面ユニットまたはアンカーユニットは、グラヴィエール(Gravier)の米国特許第5,484,236号に示唆されているような方法によって製造可能である。米国特許第5,484,236号は、本願と一体をなすものとして参照する。ブロックの要素の外表面を規定する壁面を有し上方に開口した型箱がコンベアベルトに載置される。着脱自在の上型部分がブロックの要素の他の表面に一致するように形成されている。超硬練りコンクリートスラリーが型内に供給され、スラリーが型内部全体に分配されるように気を付けながら前記上型部分が装着される。次いで、型箱の前後壁および側壁と同様に上型部分が取外され、ブロックの要素は完全に硬化するように置かれる。ブロックが最終的に配置された向きによっては、上記の「上」との語は、実際上、下かもしれないし、或いは、他の表面かもしれない。同様のことは、下や側面といった記載にも言えることである。本発明のある実施形態では、種々のサイズの芯金を用いてアンカーユニットおよび正面ユニットが作られる。例えば、既述したリップ部、切欠部、ピン穴およびスロットなどの位置決め要素を形成するために、芯金を用いることができよう。本願の出願人に譲渡された米国特許第5,484,236号「コンクリート製擁壁ブロックを形成するための方法(METHOD OF FORMING CONCRETE RETAINING WALL BLOCK)」に開示されているような芯金の引込技術を採用して製造することもできよう。
【0032】
ブロックの要素は完成したブロックよりも小さいので、単一の型箱の中で複数の要素を一度に形成することができよう。例えば、ブロックを対にして形成することが知られている。この方法では、複合ブロックが一対の実質的に同一のブロックに分割され、ブロック製造が効率化する。更に、複合ブロックを分割することによって、各ブロックの不規則で審美的に好ましいテクスチャを備えた前面が形成される。従って、成形した複合ブロックの分割には、単一の型から複数のブロックを効率的に製造するということと、そうして製造されたブロックが審美的に好ましい露出する前面を有しているという2つの機能がある。本発明の実施形態では、複合ブロックを分割してテクスチャを備えた前面を有する正面ユニットを形成するようにして、複数要素ブロックを形成することができよう。型箱の表面または型箱に挿入する分割プレートに種々のパターンをエンボス加工し、正面ユニットの前面に前記パターンがエンボス加工されるようにできよう。正面ユニットは、SRWブロック全体よりも小さく、かつ、舗装ブロックに似ているので、正面ユニットは、舗装ブロック製造機および舗装ブロック製造技術を用いて製造することができよう。例えば、表面配合物とベース配合物とを独立に用いて、「表面-ベース」舗装ブロック機で正面ユニットを製造することができよう。ある実施形態では、表面配合物は新しいコンクリートのような相対的に高品質材料で、ベース配合物はリサイクルコンクリートのような相対的に低品質材料とすることができよう。正面ユニットにおいてベース配合物の部分は、擁壁が造成されたときは見えなくなるので、こうした製造技術によってコストが削減されよう。ある実施形態では、正面ユニットの90%を低品質のベース配合物から形成し、10%の部分だけ高品質の表面配合物から形成することができよう。この方法にて正面ユニットを製造することによって、通常の擁壁ブロック製造プロセスに見られる高さ管理の問題が除去される。
【0033】
用いる製造プロセスは別として、正面ユニットは、アンカーユニットを形成する材料とは異なる材料によって形成することができよう。例えば、アンカーユニットは擁壁が造成されたときは見えなくなるので、正面ユニットよりも相対的に低品質な材料から形成することができよう。つまり、正面ユニットとアンカーユニットの双方をコンクリートから形成することができるが、アンカーユニットは、より高い割合でリサイクル材料を使用することができよう。或いは、正面ユニットをコンクリート製とし、アンカーユニットをプラスチック製とすることもできよう。
【0034】
アンカーユニットが、種々の異なるタイプまたはスタイルの正面ユニットと組合せることのできる一般的または汎用的な実施形態もある。従って、保持する正面ユニットの個数と比較して一層少ないアンカーユニットを備品目録中に保持するようにできよう。また、本発明の実施形態は、SRWブロックから成るモルタル塗りをしていない擁壁を造成するための予め形成されたブロック要素の供給を含む。該予め形成されたブロック要素は、異なるスタイルまたはパターンの正面ユニットと、相補的な連結部を介して該正面ユニットに組合せるユニバーサルデザインのアンカーユニットとを含む。
【0035】
特定の実施形態を参照して本発明を説明した。然しながら、特許請求の範囲に記載する本発明の範囲から逸脱することなく、種々の修正と変更が可能であることは理解されよう。
【符号の説明】
【0036】
10 擁壁
12 SRWブロック
14 第1段
16 第2段
18 セットバック
20 前面
22 背面
24 正面ユニット
26 アンカーユニット
28 後面
30 上面
32 上面
34 下面
36 下面
38 側面
38 外側面
40 中空部
42 間隙
44 側面
46 側面
48 連結部
50 底面
52 中央部分
60 脚部
62 脚部
66 後部分
68 側縁
70 中央部分
72 外フランジ部
74 連結部
76 内面
78 内面
80 前面
82 手掛かり部
84 リップ部
86 切欠部
100 リップ部
102 面取り部
104 切欠部
106 ピン穴
108 横部材
110 側面
112 側面
114 中空部
116 側面
118 側壁
120 矢印
122 セットバック
124 正面ユニット
126 アンカーユニット
128 矢印
128 剪断力
130 接触面
200 SRWブロック
224 正面ユニット
226 アンカーユニット
244 正面ユニット
266 後方部分
300 SRWブロック
324 正面ユニット
326 アンカーユニット
400 SRWブロック
500 SRWブロック
424 正面ユニット
426 アンカーユニット
524 正面ユニット
526 アンカーユニット
624 正面ユニット
626 アンカーユニット
724 正面ユニット
824 正面ユニット
826 アンカーユニット
924 正面ユニット
1024 正面ユニット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のセグメント型擁壁(SRW)ブロックを多段に積重ねて形成したモルタル塗りしていない擁壁において、
前記SRWブロックが、前記擁壁の露出面の一部を形成する前面と、2つの連結部とを有した正面ユニットと、
前記正面ユニットの連結部に対して相補形に形成された2つの連結部を有し、前記擁壁によって保持される盛土に対面するアンカーユニットとを具備しており、
前記アンカーユニットと正面ユニットの各々が上荷重支持面と下荷重支持面とを有し、前記上荷重支持面は、積重ねられたブロックの下荷重支持面と係合し、前記上下荷重支持面は隣接するSRWブロックの間の剪断力に抵抗するために概ね平坦に形成されており、前記剪断力は、前記擁壁によって保持される盛土によって前記SRWブロックに作用し、前記アンカーユニットおよび正面ユニットは、前記連結部を介して互いに組付けられたときに、該アンカーユニットおよび正面ユニットの内面によって前記上荷重支持面から前記下荷重支持面まで鉛直方向に延びる中空部が画成されるようになっているモルタル塗りしていない擁壁。
【請求項2】
前記SRWブロックの幾つかの正面ユニットおよびアンカーユニットは異なる材料から形成されており、前記アンカーユニットが前記正面ユニットよりも比較的低い品質の材料から形成されている請求項1に記載のモルタル塗りしていない擁壁。
【請求項3】
前記SRWブロックの幾つかのアンカーユニットがリサイクルされた材料から形成されている請求項2に記載のモルタル塗りしていない擁壁。
【請求項4】
前記SRWブロックの幾つかのアンカーユニットがプラスチック製である請求項2に記載のモルタル塗りしていない擁壁。
【請求項5】
前記SRWブロックの幾つかの正面ユニットが湿式成形法(wetcast)、乾式成形法(drycast)或いは押出成形法で形成されている請求項1に記載のモルタル塗りしていない擁壁。
【請求項6】
前記SRWブロックの幾つかの正面ユニットが表面-ベース舗装機を用いて形成され、前面が比較的高い品質のベニア層から形成され、該正面ユニットの残りの部分が比較的低い品質の材料から形成されている請求項1に記載のモルタル塗りしていない擁壁。
【請求項7】
前記SRWブロックの幾つかの正面ユニットとアンカーユニットの少なくとも一方がコンクリート製である請求項1に記載のモルタル塗りしていない擁壁。
【請求項8】
前記SRWブロックの幾つかのアンカーユニットが、第1と第2の脚部を有して略U字形に形成されており、該第1と第2の脚部の先端に連結部が設けられている請求項1に記載のモルタル塗りしていない擁壁。
【請求項9】
前記SRWブロックの幾つかの前面略U字形のアンカーユニットの第1と第2の脚部が前SRWブロックの側面を形成する請求項8に記載のモルタル塗りしていない擁壁。
【請求項10】
前記SRWブロックの幾つかの前面略U字形のアンカーユニットの第1と第2の脚部が、該アンカーユニットを持上げるときに役立つ手掛かりとなる凹所を含む請求項8に記載のモルタル塗りしていない擁壁。
【請求項11】
前記SRWブロックの幾つかの前面略U字形のアンカーユニットの第1と第2の脚部が、該アンカーユニットを補強するために、2つの横部材によって連結されている請求項8に記載のモルタル塗りしていない擁壁。
【請求項12】
複数のセグメント型擁壁(SRW)ブロックから成るモルタル塗りしていない擁壁を形成するための予め形成されたブロック要素の供給において、
前記擁壁の露出面の一部を形成する前面であって異なるパターンが形成されている前面と、2つの連結部とを有した複数の正面ユニットと、
前記正面ユニットの連結部に対して相補形に形成された2つの連結部を有し、前記擁壁によって保持される盛土に対面するユニバーサルデザインの複数のアンカーユニットとを具備しており、
前記アンカーユニットおよび正面ユニットは、前記連結部によって互いに組付けてセグメント型擁壁(SRW)ブロックとすることができ、前記アンカーユニットと正面ユニットの各々は、互いに組付けてSRWブロックを形成したときに、該アンカーユニットおよび正面ユニットの内面によって中空部が画成されると共に、複数のSRWブロックから成る列状に積重ねて擁壁を形成可能となり、
前記アンカーユニットと正面ユニットの各々が上荷重支持面と下荷重支持面とを有し、前記上荷重支持面は、積重ねられたブロックの下荷重支持面と係合し、前記上下荷重支持面は、前記擁壁によって保持される盛土によって前記SRWブロックに作用する隣接するSRWブロックの間の剪断力に抵抗するために概ね平坦に形成されている予め形成されたブロック要素の供給。
【請求項13】
前記正面ユニットの幾つかは、各々4つの連結部を含む請求項12に記載の予め形成されたブロック要素の供給。
【請求項14】
前記アンカーユニットの2つの連結部は同じサイズである請求項12に記載の予め形成されたブロック要素の供給。
【請求項15】
前記各アンカーユニットと前記各正面ユニットの連結部は緩く連結されており、前記アンカーユニットと正面ユニットとは、連結が外れることなく相対動作可能となっている請求項12に記載の予め形成されたブロック要素の供給。
【請求項16】
モルタル塗りしていない擁壁を形成するための複数の要素から成るセグメント型擁壁ブロックにおいて、
前記擁壁の露出面の一部を形成する前面と、概ね平坦に形成され2つの連結部を形成する凹所を有した後面とを有した正面ユニットと、
第1と第2の脚部を有して略U字形に形成されており、該第1と第2の脚部の先端に前記正面ユニットの連結部に対して相補形に形成された2つの連結部が設けられ、前記擁壁によって保持される盛土に対面するアンカーユニットとを具備しており、
前記アンカーユニットと正面ユニットの各々が上荷重支持面と下荷重支持面とを有し、前記上荷重支持面は、積重ねられたブロックの下荷重支持面と係合し、前記上下荷重支持面は隣接するSRWブロックの間の剪断力に抵抗するために概ね平坦に形成されており、前記剪断力は、前記擁壁によって保持される盛土によって前記SRWブロックに作用し、前記アンカーユニットおよび正面ユニットは、前記連結部を介して互いに組付けられSRWブロックとされたときに、該アンカーユニットおよび正面ユニットの内面によって前記上荷重支持面から前記下荷重支持面まで鉛直方向に延びる中空部が画成されるようになっているモルタル塗りしていないセグメント型擁壁ブロック。
【請求項17】
前記正面ユニットが対設された側面を有しており、該側面の少なくとも一方が、前記前面に対して後方へ内側に傾斜し、前記擁壁の前面を湾曲させるように、隣接するブロックをつなげるようにした請求項16に記載のセグメント型擁壁ブロック。
【請求項18】
前記側面の他方が、前記前面に対して略垂直となっており、前記擁壁の末端ブロックを形成するようになっている請求項17に記載のセグメント型擁壁ブロック。
【請求項19】
前記側面の双方が後方へ内側に傾斜している請求項17に記載のセグメント型擁壁ブロック。
【請求項20】
前記正面ユニットの連結部が細長いキー溝状に形成されており、前記アンカーユニットの連結部が、前記キー溝内で摺動可能な細長いキー状に形成されている請求項16に記載のセグメント型擁壁ブロック。
【請求項21】
前記キー溝とキーが、前記正面ユニットとアンカーユニットの全高に亘って延設されており、前記キー溝が前記正面ユニットに鉛直方向の通路として形成されている請求項20に記載のセグメント型擁壁ブロック。
【請求項22】
1つのアンカーユニットのキーの中心間距離が、2つの正面ユニットの隣接するキー溝の中心間距離と等しくなっており、前記アンカーユニットが、隣合わせに配置された2つの正面ユニットに組付可能となっている請求項16に記載のセグメント型擁壁ブロック。
【請求項23】
複数のセグメント型擁壁(SRW)ブロックを多段に積重ねて形成したモルタル塗りしていない擁壁において、
前記SRWブロックが、前記擁壁の露出面の一部を形成する前面と、2つの連結部とを有した正面ユニットと、
前記正面ユニットの連結部に対して相補形に形成された2つの連結部を有し、前記擁壁によって保持される盛土に対面するアンカーユニットとを具備しており、
前記アンカーユニットと正面ユニットの各々が上荷重支持面と下荷重支持面とを有し、前記上荷重支持面は、積重ねられたブロックの下荷重支持面と係合し、前記上下荷重支持面は隣接するSRWブロックの間の剪断力に抵抗するために概ね平坦に形成されており、前記剪断力は、前記擁壁によって保持される盛土によって前記SRWブロックに作用し、前記アンカーユニットおよび正面ユニットは、前記連結部を介して互いに組付けられたときに、該アンカーユニットおよび正面ユニットの内面によって前記上荷重支持面から前記下荷重支持面まで鉛直方向に延びる中空部が画成されるようになっており、
前記アンカーユニットと正面ユニットの少なくとも一方が、上に積重ねられたSRWブロックを隣接する下側のブロックに対して一直線上に位置決めするための少なくとも1つの位置決め要素を有しているモルタル塗りしていない擁壁。
【請求項24】
前記SRWブロックの幾つかの前記少なくとも1つの位置決め要素が、リップ部、切欠部、ピン穴、スロットのうち1つである請求項23に記載のモルタル塗りしていない擁壁。
【請求項25】
前記SRWブロックの幾つかの前記少なくとも1つの位置決め要素が、前記正面ユニットに設けられたリップ部を含み、該リップ部は、正面ユニットの上方部前縁において横断方向に延設されており、該リップ部が、該擁壁によって保持される盛土によって前記SRWブロックに作用する剪断力に抵抗するようにした請求項23に記載のモルタル塗りしていない擁壁。
【請求項26】
前記SRWブロックの幾つかの前記正面ユニットが、該正面ユニットの下方部前縁において横断方向に延設された切欠部を含み、該切欠部が前記リップ部の高さ以下の高さを有している請求項24に記載のモルタル塗りしていない擁壁。
【請求項27】
該SRWブロックを用いて鉛直方向に延びる擁壁が形成されるように、前記横断方向に延びるリップ部の奥行きが、前記切欠部の奥行きと略等しくなっている請求項25に記載のモルタル塗りしていない擁壁。
【請求項28】
前記横断方向に延びるリップ部は、前記SRWブロックを用いて所定のセットバックを以て擁壁が形成されるように、前記横断方向に延びるリップ部が前記切欠部よりも大きな奥行きを有するように形成されされており、前記横断方向に延びるリップ部と切欠部との間の奥行きの差によって、前記SRWブロックより成る各段のセットバックの奥行きが決定されるようにした請求項25に記載のモルタル塗りしていない擁壁。
【請求項29】
前記SRWブロックの幾つかの前記少なくとも1つの位置決め要素が、前記アンカーユニットに設けられたリップ部を含み、該リップ部は、アンカーユニットの下方部後縁において横断方向に延設されており、該リップ部が、該擁壁によって保持される盛土によって前記SRWブロックに作用する剪断力に抵抗するようにした請求項23に記載のモルタル塗りしていない擁壁。
【請求項30】
前記SRWブロックの幾つかの前記アンカーユニットが、該アンカーユニットの上方部後縁において横断方向に延設された切欠部を含み、前記リップ部が該切欠部の奥行きと略等しい奥行きを有している請求項27に記載のモルタル塗りしていない擁壁。
【請求項31】
延期リップ部の高さが、前記切欠部の高さ以下となっている請求項28に記載のモルタル塗りしていない擁壁。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図5A】
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【図5B】
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【図5C】
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【図6A】
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【図6B】
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【図6C】
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【図7】
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【図8A】
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【図8B】
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【図8C】
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【図8D】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公表番号】特表2012−507649(P2012−507649A)
【公表日】平成24年3月29日(2012.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−534597(P2011−534597)
【出願日】平成21年10月12日(2009.10.12)
【国際出願番号】PCT/US2009/060336
【国際公開番号】WO2010/053660
【国際公開日】平成22年5月14日(2010.5.14)
【出願人】(511110256)アラン ブロック コーポレイション (1)
【Fターム(参考)】