説明

複素環式縮合セレノフェンモノマー

【課題】広範囲の電子用途向けの導電性ポリマーを形成することができるモノマーの製造方法を提供すること。
【解決手段】式(1)の化合物の調製方法であって、式(2)を有する第1の反応物質を準備するステップ;金属還元剤の存在下で第1の反応物質を還元して、式(3)を有する第2の反応物質を生成させるステップ;遷移金属触媒の存在下で、第2の反応物質を、置換された1−アルキンと反応させるステップ;式(4)を有する第3の反応物質を、Xを含む化合物の存在下で、アルキルリチウムと反応させ、式(5)を有する第4の反応物質を生成するステップ;そして第4の反応物質を水と反応させ、式(1)を有する化合物を生成させるステップを含む方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願のクロスリファレンス]
本出願は、2007年7月13日に出願された、米国特許出願第11/777,362号の一部継続出願である(参照により、当該公表を本明細書に援用する)。
本出願の主題は、2007年7月13日に出願された、米国特許出願第11/777,386号、及び本出願と同日付で出願され、そして「セレン含有導電性ポリマー及び導電性ポリマーの製造方法」と題する米国特許出願第12/353,461号明細書に関する(参照により、当該公表を本明細書に援用する)。
【0002】
本発明の開示は、導電性ポリマーを生成させるためのモノマー、及び当該モノマーの製造方法に向けられている。
【背景技術】
【0003】
導電性ポリマーは、種々のオプトエレクトロニクス用途が見出されている。上記オプトエレクトロニクス用途には、ポリマー発光ダイオード(薄膜ディスプレイ)、固体照明、有機光電池、アドバンスドメモリー素子、有機電界効果トランジスタ、ウルトラコンデンサ、エレクトロルミネセンス素子、プリンテッドエレクトロニクス、導体、レーザー、及びセンサが含まれる。
【0004】
最初の導電性ポリマーの一つはポリアセチレンであり、そして当該ポリマーの導電性を見出したことにより、他の種類の導電性ポリマーに多くの関心が寄せられた。近年、共役されたポリ(チオフェン)及び置換されたチオフェン誘導体が、導電特性を有することが見出された。これらのポリマーの特徴は、それらをフィルムにキャストすることができ、さらに一般的なp−型及びn−型ドーパントでドープ化することができることである。さらに、ドープ化ポリマーを、フィルムにキャストし、そしてそれらの電気特性を改良し、それにより、それら自体を、種々のオプトエレクトロニクスで用いるために好適にすることができる。
【0005】
公知のチオフェンモノマー及びチオフェンを含む導電性ポリマー、並びにそれらの誘導体には、下記が含まれる。
【0006】
米国特許出願公開第2004/00010115号明細書(Sotzing)は、電気活性用途において用いるための、チエノ[3,4−b]チオフェンの繰返し単位を含んでなるホモポリマー及びコポリマーを開示する。米国特許出願公開第2004/00010115号明細書に開示されるチエノ[3,4−b]チオフェン化合物は、次の構造:
【化1】

を有する。
【0007】
米国特許出願公開第2004/00010115号明細書は、コポリマーを、3,4−エチレンジオキシチオフェン、ジチオフェン、ピロール、及びベンゾチオフェンを含む化合物を用いて生成することができることをさらに開示する。
米国特許第6,645,401号明細書(Gilesら)は、電界効果トランジスタ(FET)、光電池、及びセンサ素子を含む電気光学素子及び電子素子に有用な、半導体又は電荷輸送材料を生成するために好適な、ジチエノチオフェン(DTT)と、ビニレン又はアセチレン連結基との共役されたポリマーを開示する。
【0008】
米国特許第6,585,914号明細書(Marks)は、n−型半導体として挙動するフィルムを形成するために用いるためのフルオロカーボン官能化及び/又は複素環式の変性されたポリ(チオフェン)、例えば、α、ω−ジパーフルオロヘキシルセキシチオフェンを開示する。これらのポリ(チオフェン)はまた、FETモビリティを有する薄膜トランジスタを形成するために用いることができる。
米国特許第6,676,857号明細書(Heeneyら)は、半導体、電荷輸送材料、電気光学系電界効果トランジスタ、光電池及びセンサ素子内で用いるための液晶材料としての、3−置換化−4−フルオロチオフェンの重合化単位を有するポリマーを開示する。
【0009】
米国特許第6,695,978号明細書(Worrallら)は、電気化学系素子における電荷輸送材料及び半導体としての、ベンゾ[b]チオフェン及びビスベンゾ[b]−チオフェンのポリマー、並びにそれらの使用を開示する。
米国特許第6,709,808号明細書(Lelentalら)は、ピロール含有チオフェンポリマー及びアニリン含有ポリマーに基づく導電性ポリマーを組み込む、イメージ形成材料を開示する。
【0010】
Gronowitzによる、Tetrahedron 1940,36,3317−3324は、セレノ(3,4−b)セレノフェンの調製を開示する。当該合成は、商業規模において利用すると問題があることが一般的に知られている脱カルボキシル化手順を利用する。
Heterocycles 1997,45,1891−1894は、複数ステップの経路によるセレノロ(2,3−c)チオフェンの調製を開示する。複数ステップの経路により、小さな規模において材料を合成するために有用であるが、大規模の工業装置向けに有利ではないことが示されている。
【0011】
上記参考文献は、公知のモノマー化合物及びこれらの公知のモノマー化合物を製造するための方法の公表を含むが、上記参考文献は、置換されたセレノ(3,4−b)セレノフェン、セレノ(2,3−c)チオフェン、又はチオフェン(3,4−b)セレノフェンモノマー、あるいは本開示の縮合セレノフェンモノマーの製造方法を開示していない。
上述の特許、特許出願及び出版物の公表の全体を参照し、本明細書に援用する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
広範囲の電子用途向けの導電性ポリマーを形成することができるモノマーが必要である。簡易に利用可能で、簡易に取り扱われる試薬を用いて生成することができ、且つ重合することができるモノマーに関する必要性が、当技術分野においてある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本開示の態様の1つは、式(1)の化合物の製造方法を含む:
【化2】

(式中、XはS又はSeであり、YはS又はSeであり、X及びYの一方又は両方はSeであり、Rは置換基である)。
Rは、環構造に結合することができる任意の置換基であることができる。Rは、水素又はその同位体、ヒドロキシル、アルキル、例えば、C1〜C20の第1級、第2級又は第3級アルキル基、アリールアルキル、アルケニル、パーフルオロアルキル、パーフルオロアリール、アリール、アルコキシ、シクロアルキル、シクロアルケニル、アルカノイル、アルキルチオ、アリールオキシ、アルキルチオアルキル、アルキニル、アルキルアリール、アリールアルキル、アミド、アルキルスルフィニル、アルコキシアルキル、アルキルスルホニル、アリール、アリールアミノ、ジアリールアミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アリールアリールアミノ、アリールチオ、ヘテロアリール、アリールスルフィニル、アルコキシカルボニル、アリールスルホニル、カルボキシル、ハロゲン、ニトロ、シアノ、スルホン酸、あるいは1又は2以上のスルホン酸(又はその誘導体)、リン酸(又はその誘導体)、カルボン酸(又はその誘導体)、ハロ、アミノ、ニトロ、ヒドロキシル、シアノ又はエポキシ部分で置換されたアルキル又はフェニルを含むことができる。
【0014】
ある実施形態では、Rは、環構造を含むセレンの、分岐したオリゴマー、ポリマー又はコポリマー構造を形成することができるα反応点を含むことができる。ある実施形態では、Rは、水素、アルキルアリール、アリールアルキル、アリール、ヘテロアリール、C1〜C12の第1級、第2級又は第3級アルキル基(F、Cl、Br、I又はCNにより単置換又は複数置換されていてもよく、そして1又は2以上の隣接しないCH2基が、O及び/又はS原子がお互いに直接結合しないような様式において、独立して、−O−、−S−、−NH−、−NR’−、−SiR’R’’−、−CO−、−COO−、−OCO−、−OCO−O−、−S−CO−、−CO−S−、−CH=CH−又は−C≡C−で置換されていてもよい)、フェニル及び置換されたフェニル基、シクロヘキシル、ナフタレン、ヒドロキシル、アルキルエーテル、パーフルオロアルキル、パーフルオロアリール、カルボン酸、エステル及びスルホン酸基、パーフルオロ、SF5、あるいはFを含むことができる。R’及びR’’は、お互いに独立して、H、アリール又は1〜12個のC原子を有するアルキルである。
【0015】
上記方法は、次の式(2):
【化3】

(式中、Yは、上記規定の通りであり、そしてHaは、ハロゲン含有基である)
を有する第1の反応物質を供給することを含む。
【0016】
第1の反応物質は、金属還元剤の存在下で還元されて、次の式(3)を有する第2の反応物質を生成する:
【化4】

(式中、Y及びHaは、上記規定の通りである)。
【0017】
次いで、第2の反応物質は、第3の反応物質を生成するために、遷移金属触媒の存在下で、置換された1−アルキンと反応し、第3の反応物質は、次の式(4)を有する:
【化5】

(式中、R、Y及びHaは、上記規定の通りである)。
【0018】
次いで、第3の反応物質は、Xを含む化合物(Xは、上記規定の通りである)の存在下で、アルキルリチウムと反応して、次の式(5)を有する第4の反応物質を生成する:
【化6】

(式中、R、X、及びYは、上記規定の通りである)。
次いで、第4の反応物質を、水と反応させて、式(1)を有する化合物を生成する。
【0019】
本発明の開示の別の態様は、次の式(4)に従う複素環式縮合セレノフェンを製造するための方法を含む:
【化7】

(式中、XはS又はSeであり、YはS又はSeであり、X及びYの一方又は両方はSeであり、Rは、置換基であり且つ式(1)に関して論じた部分を含むことができる)。
【0020】
上記方法は、次の式(2)を有する第1の反応物質を提供することをさらに含む:
【化8】

(式中、Xは上記規定の通りであり、そしてHaはハロゲン含有基である)。
【0021】
第1の反応物質を、金属還元剤の存在下で還元して、次の式(3)を有する第2の反応物質を生成する:
【化9】

(式中、Y及びHaは、上記規定の通りである)。
【0022】
次いで、第2の反応物質を、次の式(4)に従う化合物を生成するために、遷移金属触媒の存在下で、置換された1−アルキンと反応させる:
【化10】

(式中、Y、Ha及びRは、上記規定の通りである)。
【0023】
本発明の開示の別の態様は、次の式(1)の化合物を製造する方法を含む:
【化11】

(式中、XはS又はSeであり、YはS又はSeであり、X及びYの一方又は両方はSeであり、Rは、置換基であり且つ式(1)に関して論じた部分を含むことができる)。
【0024】
本発明の方法は、次の式(4)を有する化合物を提供することをさらに含む:
【化12】

(式中、R及びYは、上記規定の通りであり、そしてHaは、ハロゲン含有基である)。
【0025】
次いで、当該反応物質を、Xを含む化合物(Xは、上記規定の通りである)の存在下で、アルキルリチウムと反応させ、次の式(5)を有する反応物質を生成させる:
【化13】

(式中、R、X、及びYは、上記規定の通りである)。
次いで、第4の反応物質を水と反応させて、式(1)を有する化合物を生成させる。
【0026】
本発明の開示の別の態様は、次の式(6)の化合物を製造する方法を含む:
【化14】

(式中、XはS又はSeであり、YはS又はSeであり、X及びYの一方又は両方は、Seである)。
【0027】
本発明の方法は、次の式(7)に従う反応物質を提供することをさらに含む:
【化15】

(式中、Yは、上記規定の通りであり、そしてHaは、ハロゲン含有基であり、Pgは加水分解性保護基である)。
【0028】
次いで、上記反応物質を、Xを含む化合物(Xは、上記規定の通りである)の存在下でアルキルリチウムと反応させ、次の式(8)に従う反応物質を生成させる:
【化16】

(式中、Pg、X及びYは、上記規定の通りである)。
次いで、上記反応物質を水と反応させ、式(6)を有する化合物を生成させる。
【0029】
本発明の開示の別の実施形態は、次の式に従う複素環式モノマー化合物を含む:
【化17】

(式中、XはS又はSeであり、YはS又はSeであり、X及びYの一方又は両方はSeであり、Rは置換基である)。
Rは、ヒドロキシル、アルキル、例えば、C1〜C20の第1級、第2級又は第3級アルキル基、アリールアルキル、アルケニル、パーフルオロアルキル、パーフルオロアリール(perfluororaryl)、アリール、アルコキシ、シクロアルキル、シクロアルケニル、アルカノイル、アルキルチオ、アリールオキシ、アルキルチオアルキル、アルキニル、アルキルアリール、アリールアルキル、アミド、アルキルスルフィニル、アルコキシアルキル、アルキルスルホニル、アリール、アリールアミノ、ジアリールアミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アリールアリールアミノ、アリールチオ、ヘテロアリール、アリールスルフィニル、アルコキシカルボニル、アリールスルホニル、カルボキシル、ハロゲン、ニトロ、シアノ、スルホン酸、あるいは1又は2以上のスルホン酸(又はその誘導体)、リン酸(又はその誘導体)、カルボン酸(又はその誘導体)、ハロ、アミノ、ニトロ、ヒドロキシル、シアノ又はエポキシ部分で置換されたアルキル又はフェニルを含むことができる。
【0030】
ある実施形態では、Rは、アルキルアリール、アリールアルキル、アリール、ヘテロアリール、C1〜C12の第1級、第2級又は第3級アルキル基(F、Cl、Br、I又はCNにより単置換又は複数置換されていてもよく、そして1又は2以上の隣接しないCH2基が、O及び/又はS原子がお互いに直接結合しないような様式において、独立して、−O−、−S−、−NH−、−NR’−、−SiR’R’’−、−CO−、−COO−、−OCO−、−OCO−O−、−S−CO−、−CO−S−、−CH=CH−又は−C≡C−で置換されていてもよい)、フェニル及び置換されたフェニル基、シクロヘキシル、ナフタレン、ヒドロキシル、アルキルエーテル、パーフルオロアルキル、パーフルオロアリール、カルボン酸、エステル及びスルホン酸基、パーフルオロ、SF5、又はFを含むことができる。R’及びR’’は、お互いに独立して、H、アリール又は1〜12個のC原子を有するアルキルである。
【0031】
本発明の開示の別の実施形態は、複素環式縮合化合物、イミダゾロン、ジオキソロン、イミダゾールチオン又はジオキソールチオン、例えば、2−フェニル−セレノロ[2,3−c]チオフェン(1a)、2−フェニル−セレノロ[3,4−b]チオフェン(1b)及び2−フェニル−セレノロ[3,4−b]セレノフェン(1c)、並びにチオカルボニル化合物、2−ヘキシル−セレノロ[2,3−c]チオフェン(1d)、2−ヘキシル−セレノロ[3,4−b]チオフェン(1e)及び2−ヘキシル−セレノロ[3,4−b]セレノフェン(1f)を含み、全ては、次の構造式:
【化18】

により示される。
【0032】
本発明の開示の別の実施形態は、次の式に従う複素環式モノマー化合物を含む:
【化19】

(式中、XはS又はSeであり、YはS又はSeであり、X及びYの一方又は両方はSeであり、Rは、置換基であり且つ式(1)に関して論じた部分を含むことができる)。
【0033】
本発明の開示の別の実施形態は、次の式を有する化合物を含む:
【化20】

(式中、Yは、S又はSeであり、Rは、置換基であり且つ式(1)に関して論じた部分を含むことができ、そしてHaはハロゲン含有基である)。
【0034】
本発明の開示の別の実施形態は、次の式を有する化合物を含む:
【化21】

(式中、YはSeであり、Haはハロゲン含有基である)。
【0035】
本発明の開示は、複素環式縮合セレノフェン系モノマーを含む。上記モノマー及びそれに由来するポリマーは、光学素子、電気光学素子又は電子素子、ポリマー発光ダイオード(すなわち、PLED)、エレクトロルミネセンス素子、有機電界効果トランジスタ(すなわち、FET又はOFET)、フラットパネルディスプレイ用途(例えば、LCD)、ICタグ(radio frequency identification tag,すなわち、RFID)、プリンテッドエレクトロニクス、ウルトラコンデンサ、有機光電池(すなわち、OPV)、センサ、レーザー、小分子又はポリマー系記憶装置、電解コンデンサ、腐食防止コーティングにおける、正孔注入材料、電荷輸送材料、半導体、及び/又は導体を含む用途(これらに限定されるものではない)における使用、又は水素貯蔵材料としての使用が見出される。
【0036】
本発明の開示の実施形態に従う方法の優位性の1つは、多くの電子出願における広範囲の実施を有する、非公知の置換されたセレノフェンモノマーの調製を含む。
本発明の開示の実施形態に従う方法の別の優位性は、複素環式縮合セレノフェンモノマーを含む。態様の1つでは、本発明の方法は、脱カルボキシル化化学反応を用いる必要なく実施されうる。
【0037】
本発明の開示の実施形態に従う方法の別の優位性は、効率的な、費用対効果が高い工程を提供する、高収率における複素環式セレノフェンモノマーの調製を含む。例えば、本発明の方法は、少なくとも約65モル%のモノマーを有する低分子量生成物を生成することができる。
本発明の開示の実施形態の優位性は、複素環式縮合セレノフェンモノマー及びその誘導体を用いて、低い仕事関数(例えば、少なくとも約10-5S/cmのポリマーの導電率)を有する導電性ポリマーを製造することができることである。例えば、本発明の開示は、正孔注入材料として好適なポリマーを製造するためのモノマーを含む。
【0038】
本発明の開示の実施形態の別の優位性は、複素環式縮合セレノフェンモノマー及びその誘導体を用いて、低いバンドギャップ(例えば、約<2.5eVのバンドギャップ)を有する導電性ポリマーを製造することができることである。例えば、本発明の開示は、透明な導体として好適なポリマーを製造するためのモノマーを含む。
本発明の開示の実施形態の別の優位性は、複素環式縮合セレノフェンモノマー及びその誘導体を用いて、広範囲の電子用途を有する導電性ポリマーを製造することができることである。
【0039】
本発明の開示の実施形態の別の優位性は、複素環式縮合セレノフェンモノマー及びその誘導体を用いて、エレクトロルミネセンス素子内の正孔注入層(HIL)材料と、発光層との間の実質的に同一の仕事関数水準を含む望ましい特性を有する正孔注入材料を製造することができることである。
本発明の開示の実施形態の別の優位性は、複素環式縮合セレノフェンモノマー及びその誘導体を用いて、酸化された形態のポリマーを製造することができることである。得られたポリマーは、高い導電率を有する高度に非局在化したイオン性ポリマーの形成を含む望ましい特性を有することができることである。
【0040】
本発明の開示の実施形態の別の優位性は、複素環式縮合セレノフェンモノマー及びその誘導体を用いて、溶剤処理可能な材料を製造することができることである。
本発明の開示の実施形態の別の優位性は、複素環式縮合セレノフェン及びその誘導体に基づくモノマーを用いて、環境に安定な半導体ポリマーを製造することができることである。
【0041】
本発明の開示の他の特徴及び優位性は、例として、本発明の開示の原理を具体的に説明する添付の図面に関連して選択される、一定の実施形態の、続くさらに詳細な説明から明白であろう。
【発明を実施するための形態】
【0042】
「縮合(された)」は、チオフェン及びセレノフェンか、又はセレノフェン及びセレノフェンの間の環内で共通の結合を共有し、共に環構造を連結するものとして規定される。
【0043】
本発明の開示は、次の式(1)に従う複素環式縮合セレノフェンを製造するための方法を含む:
【化22】

(式中、XはS又はSeであり、YはS又はSeであり、X及びYの一方又は両方はSeであり、Rは置換基である)。
Rは、環構造に結合することができる任意の置換基であることができる。
【0044】
Rは、水素又はその同位体、ヒドロキシル、アルキル、例えば、C1〜C20の第1級、第2級又は第3級アルキル基、アリールアルキル、アルケニル、パーフルオロアルキル、パーフルオロアリール、アリール、アルコキシ、シクロアルキル、シクロアルケニル、アルカノイル、アルキルチオ、アリールオキシ、アルキルチオアルキル、アルキニル、アルキルアリール、アリールアルキル、アミド、アルキルスルフィニル、アルコキシアルキル、アルキルスルホニル、アリール、アリールアミノ、ジアリールアミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アリールアリールアミノ、アリールチオ、ヘテロアリール、アリールスルフィニル、アルコキシカルボニル、アリールスルホニル、カルボキシル、ハロゲン、ニトロ、シアノ、スルホン酸、あるいは1又は2以上のスルホン酸(又はその誘導体)、リン酸(又はその誘導体)、カルボン酸(又はその誘導体)、ハロ、アミノ、ニトロ、ヒドロキシル、シアノ又はエポキシ部分で置換されたアルキル又はフェニルを含むことができる。ある実施形態では、Rは、環構造を含むセレンの、分岐したオリゴマー、ポリマー又はコポリマー構造を形成することができるα反応点を含むことができる。ある実施形態では、Rは、水素、アルキルアリール、アリールアルキル、アリール、ヘテロアリール、C1〜C12の第1級、第2級又は第3級アルキル基(F、Cl、Br、I又はCNにより単置換又は複数置換されていてもよく、そして1又は2以上の隣接しないCH2基が、O及び/又はS原子がお互いに直接結合しないような様式において、独立して、−O−、−S−、−NH−、−NR’−、−SiR’R’’−、−CO−、−COO−、−OCO−、−OCO−O−、−S−CO−、−CO−S−、−CH=CH−又は−C≡C−で置換されていてもよい)、フェニル及び置換されたフェニル基、シクロヘキシル、ナフタレン、ヒドロキシル、アルキルエーテル、パーフルオロアルキル、パーフルオロアリール、カルボン酸、エステル及びスルホン酸基、パーフルオロ、SF5、又はFを含むことができる。R’及びR’’は、お互いに独立して、H、アリール又は1〜12個のC原子を有するアルキルである。
【0045】
本発明の方法は、次の式(2)を有する第1の反応物質を提供することをさらに含む:
【化23】

(式中、Yは上記規定の通りであり、そしてHaはハロゲン含有基である)。上記ハロゲン含有基は、Cl、Br又はIを含むことができるが、これらに限定されるものではない。
【0046】
第1の反応物質は、金属還元剤の存在下で還元され、次の式(3)を有する第2の反応物質を生成する:
【化24】

(式中、Y及びHaは、上記規定の通りである)。
上記金属還元剤は、第1の反応物質を還元するために好適な任意の金属還元剤であり、そして亜鉛又はマグネシウムを含むことができるがこれらに限定されるものではない。
【0047】
次いで、第2の反応物質を、第3の反応物質を生成するために、遷移金属触媒の存在下で、置換された1−アルキンと反応させ、第3の反応物質は、次の式(4)を有する:
【化25】

(式中、R、Y及びHaは、上記規定の通りである)。
上記遷移金属触媒は、白金族含有触媒、例えば、パラジウムジクロリド−ビス−トリフェニルホスフィン、又はソノガシラカップリング化学反応内で用いられうる他の系を含むことができるが、これらに限定されるものではない。
【0048】
置換された1−アルキンは、次の式を有する官能基を含む:
【化26】

【0049】
Rは、三重結合された炭素に結合することができる任意の置換基であることができる。Rは、アルキル、例えば、C1〜C20の第1級、第2級又は第3級アルキル基、アリールアルキル、アルケニル、パーフルオロアルキル、パーフルオロアリール、アリール、アルコキシ、シクロアルキル、シクロアルケニル、アルカノイル、アルキルチオ、アリールオキシ、アルキルチオアルキル、アルキニル、アルキルアリール、アリールアルキル、アミド、アルキルスルフィニル、アルコキシアルキル、アルキルスルホニル、アリール、アリールアミノ、ジアリールアミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アリールアリールアミノ、アリールチオ、ヘテロアリール、アリールスルフィニル、アルコキシカルボニル、アリールスルホニル、カルボキシル、ハロゲン、ニトロ、シアノ、スルホン酸、あるいは1又は2以上のスルホン酸(又はその誘導体)、リン酸(又はその誘導体)、カルボン酸(又はその誘導体)、ハロ、アミノ、ニトロ、ヒドロキシル、シアノ又はエポキシ部分で置換されたアルキル又はフェニルを含むことができる。ある実施形態では、Rは、水素、アルキルアリール、アリールアルキル、アリール、ヘテロアリール、C1〜C12の第1級、第2級又は第3級アルキル基(F、Cl、Br、I又はCNにより単置換又は複数置換されていてもよく、そして1又は2以上の隣接しないCH2基が、O及び/又はS原子がお互いに直接結合しないような様式において、独立して、−O−、−S−、−NH−、−NR’−、−SiR’R’’−、−CO−、−COO−、−OCO−、−OCO−O−、−S−CO−、−CO−S−、−CH=CH−又は−C≡C−で置換されていてもよい)、フェニル及び置換されたフェニル基、シクロヘキシル、ナフタレン、ヒドロキシル、アルキルエーテル、パーフルオロアルキル、パーフルオロアリール、カルボン酸、エステル及びスルホン酸基、パーフルオロ、SF5、又はFを含むことができる。R’及びR’’は、お互いに独立して、H、アリール又は1〜12個のC原子を有するアルキルである。
【0050】
次いで、第3の反応物質を、Xを含む化合物(Xは、上記規定の通りである)の存在下で、アルキルリチウムと反応させ、次の式(5)を有する第4の反応物質を生成させる:
【化27】

(式中、R、X、及びYは、上記規定の通りである)。
上記アルキルリチウムは、アルキル含有リチウム化合物、例えば、n−ブチル、第2級及び第3級−ブチルリチウム又は他のアルキルリチウム薬剤(それらに限定されるものではない)を含むことができる。上記Xを含む化合物は、硫黄、セレン又はその組み合わせを含む化合物を含むことができる。好適な化合物には、セレン粉末及び硫黄(S8)が含まれるが、これらに限定されるものではない。次いで、第4の反応物質を水と反応させ、式(1)を有する化合物を生成させる。
【0051】
本開示は、次の式(4)に従う複素環式縮合セレノフェンを製造する方法を提供する:
【化28】

(式中、XはS又はSeであり、YはS又はSeであり、X及びYの一方又は両方はSeであり、Rは、置換基であり且つ式(1)に関して論じた部分を含むことができる)。
【0052】
次いで、第3の反応物質を、Xを含む化合物(Xは、上記規定の通りである)の存在下で、アルキルリチウムと反応させ、次の式(5)を有する第4の反応物質を生成させる:
【化29】

(式中、R、X、及びYは、上記規定の通りである)。
次いで、第4の反応物質を水と反応させ、式(1)を有する化合物を生成させる。
【0053】
本発明の開示は、次の式(1)の化合物を製造する方法をさらに含む:
【化30】

(式中、XはS又はSeであり、YはS又はSeであり、X及びYの一方又は両方はSeであり、Rは、置換基であり且つ式(1)に関して論じた部分を含むことができる)。
【0054】
本発明の方法は、次の式(4)を有する化合物を提供することをさらに含む:
【化31】

(式中、R、Y及びHaは、上記規定の通りである)。
【0055】
次いで、上記反応物質を、Xを含む化合物(Xは、上記規定の通りである)の存在下で反応させ、次の式(5)を有する反応物質を製造する:
【化32】

(式中、R、X、及びYは、上記規定の通りである)。
次いで、第4の反応物質を水と反応させ、式(1)を有する化合物を生成させる。
【0056】
本発明の開示は、次の式(1)の化合物を製造する方法をさらに含む:
【化33】

(式中、XはS又はSeであり、YはS又はSeであり、X及びYの一方又は両方は、Seである)。
【0057】
本発明の方法は、次の式(7)を有する化合物を提供することをさらに含む:
【化34】

(式中、Y及びHaは、上記規定の通りであり、Pgは加水分解性保護基である)。
上記加水分解性保護基は、加水分解な、任意の好適な保護基であることができ、そしてトリメチルシリル又はtert−ブチルジメチルシリルを含むことができるが、これらに限定されるものではない。
【0058】
次いで、上記反応物質を、Xを含む化合物(Xは、上記規定の通りである)の存在下で反応させ、次の式(8)を有する反応物質を生成させる:
【化35】

(式中、Pg、X、Y及びHaは、上記規定の通りである)。
次いで、上記反応物質を水と反応させ、式(6)を有する化合物を生成させる。
【0059】
本開示は、次の式(1)に従う複素環式縮合セレノフェンモノマー化合物をさらに含む:
【化36】

(式中、XはS又はSeであり、YはS又はSeであり、X及びYの一方又は両方はSeであり、Rは置換基である)。
【0060】
Rは、環構造に結合することができる任意の置換基であることができる。Rは、ヒドロキシル、アルキル、例えば、C1〜C20の第1級、第2級又は第3級アルキル基、アリールアルキル、アルケニル、パーフルオロアルキル、パーフルオロアリール、アリール、アルコキシ、シクロアルキル、シクロアルケニル、アルカノイル、アルキルチオ、アリールオキシ、アルキルチオアルキル、アルキニル、アルキルアリール、アリールアルキル、アミド、アルキルスルフィニル、アルコキシアルキル、アルキルスルホニル、アリール、アリールアミノ、ジアリールアミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アリールアリールアミノ、アリールチオ、ヘテロアリール、アリールスルフィニル、アルコキシカルボニル、アリールスルホニル、カルボキシル、ハロゲン、ニトロ、シアノ、スルホン酸、あるいは1又は2以上のスルホン酸(又はその誘導体)、リン酸(又はその誘導体)、カルボン酸(又はその誘導体)、ハロ、アミノ、ニトロ、ヒドロキシル、シアノ又はエポキシ部分で置換されたアルキル又はフェニルを含むことができる。ある実施形態では、Rは、環構造を含むセレンの、分岐したオリゴマー、ポリマー又はコポリマー構造を形成することができるα反応点を含むことができる。ある実施形態では、Rは、アルキルアリール、アリールアルキル、アリール、ヘテロアリール、C1〜C12の第1級、第2級又は第3級アルキル基(F、Cl、Br、I又はCNにより単置換又は複数置換されていてもよく、そして1又は2以上の隣接しないCH2基が、O及び/又はS原子がお互いに直接結合しないような様式において、独立して、−O−、−S−、−NH−、−NR’−、−SiR’R’’−、−CO−、−COO−、−OCO−、−OCO−O−、−S−CO−、−CO−S−、−CH=CH−又は−C≡C−で置換されていてもよい)、フェニル及び置換されたフェニル基、シクロヘキシル、ナフタレン、ヒドロキシル、アルキルエーテル、パーフルオロアルキル、パーフルオロアリール、カルボン酸、エステル及びスルホン酸基、パーフルオロ、SF5、又はFを含むことができる。R’及びR’’は、お互いに独立して、H、アリール又は1〜12個のC原子を有するアルキルである。
【0061】
本発明の開示の別の実施形態は、複素環式縮合セレノフェン化合物、例えば、2−フェニル−セレノロ[2,3−c]チオフェン(1a)、2−フェニル−セレノロ[3,4−b]チオフェン(1b)及び2−フェニル−セレノロ[3,4−b]セレノフェン(1c)、並びにチオカルボニル化合物、2−ヘキシル−セレノロ[2,3−c]チオフェン(1d)、2−ヘキシル−セレノロ[3,4−b]チオフェン(1e)及び2−ヘキシル−セレノロ[3,4−b]セレノフェン(1f)を含み、全ては、次の構造:
【化37】

により示される。
【0062】
本発明の開示の別の実施形態では、上記複素環式縮合セレノフェンの誘導体が、完全に芳香族の縮合複素環式モノマーの形成前又は形成後に形成される。
【0063】
本発明の開示の別の実施形態は、次の式を有する化合物を含む:
【化38】

(式中、YはS又はSeであり、Rは、置換基であり且つ式(1)に関して論じた部分を含むことができ、そしてHaはハロゲン含有基である)。
【0064】
本発明の開示の別の実施形態は、次の式を有する化合物を含む:
【化39】

(式中、YはSeであり、Haはハロゲン含有基である)。
ある実施形態では、Haは、独立して、Br又はI、並びに同一分子上のBr及びIの組み合わせである。
【0065】
本発明の開示に従うモノマー誘導体は、次の式の化合物を含むことができる:
【化40】

(式中、XはS又はSeであり、YはS又はSeであり、X及びYの一方又は両方はSeであり、Rは置換基である)。
Rは、P1の環構造に結合することができる任意の置換基であることができる。
【0066】
Rは、水素又はその同位体、ヒドロキシル、アルキル、例えば、C1〜C20の第1級、第2級又は第3級アルキル基、アリールアルキル、アルケニル、パーフルオロアルキル、パーフルオロアリール、アリール、アルコキシ、シクロアルキル、シクロアルケニル、アルカノイル、アルキルチオ、アリールオキシ、アルキルチオアルキル、アルキニル、アルキルアリール、アリールアルキル、アミド、アルキルスルフィニル、アルコキシアルキル、アルキルスルホニル、アリール、アリールアミノ、ジアリールアミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アリールアリールアミノ、アリールチオ、ヘテロアリール、アリールスルフィニル、アルコキシカルボニル、アリールスルホニル、カルボキシル、ハロゲン、ニトロ、シアノ、スルホン酸、あるいは1又は2以上のスルホン酸(又はその誘導体)、リン酸(又はその誘導体)、カルボン酸(又はその誘導体)、ハロ、アミノ、ニトロ、ヒドロキシル、シアノ又はエポキシ部分で置換されたアルキル又はフェニルを含むことができる。ある実施形態では、Rは、環構造を含むセレンの、分岐したオリゴマー、ポリマー又はコポリマー構造を形成することができるα反応点を含むことができる。
【0067】
ある実施形態では、Rは、水素、アルキルアリール、アリールアルキル、アリール、ヘテロアリール、C1〜C12の第1級、第2級又は第3級アルキル基(F、Cl、Br、I又はCNにより単置換又は複数置換されていてもよく、そして1又は2以上の隣接しないCH2基が、O及び/又はS原子がお互いに直接結合しないような様式において、独立して、−O−、−S−、−NH−、−NR’−、−SiR’R’’−、−CO−、−COO−、−OCO−、−OCO−O−、−S−CO−、−CO−S−、−CH=CH−又は−C≡C−で置換されていてもよい)、フェニル及び置換されたフェニル基、シクロヘキシル、ナフタレン、ヒドロキシル、アルキルエーテル、パーフルオロアルキル、パーフルオロアリール、カルボン酸、エステル及びスルホン酸基、パーフルオロ、SF5、又はFを含むことができる。R’及びR’’は、お互いに独立して、H、アリール又は1〜12個のC原子を有するアルキルである。W及びW’は、H、ハロゲン原子、例えば、F、Cl、Br、及びI、有機金属、例えば、MgCl、MgBr、MgI、Sn(R23(式中、R2は、C1~6アルキル又はC1~6アルキルエーテルである)、ボロン酸、ボロン酸エステル、ビニル単位、例えば、−CH=CHR3(式中、R3はH又はC1~6アルキルである)、エーテル、すなわち、−OC1~6アルキル、エステル、すなわち、−COOC1~6アルキル、−S−COR4及び−COR4(式中、R4は、H又はC1~6アルキルである)、−C≡CH、並びに重合性芳香環、例えば、フェニル、ナフタレン、ピロール、及びチオフェンである。置換された特許請求の範囲の組成物の誘導体を、第2級又は第3級官能基を付加する前、又は付加後に生成させることができる。
【0068】
所望の重合反応及び所望の得られたポリマーを有する、重合及び得られたポリマーを、W及びW’部分を選択することにより制御することができる。炭素−炭素結合形成反応を、好適な方法に従って完了することができる。本発明の開示のモノマーと共に用いるために好適な方法には、Suzuki反応、Yamamoto反応、Heck反応、Stille反応、Sonogashira−Hagihara反応、Kumada−Corriu反応、Riecke反応、及びMcCullogh反応が含まれるが、これらに限定されるものではない。
【0069】
本発明の開示に従う誘導体は、W及びW’がHであるホモポリマー及びコポリマーを含むことができる。別の実施形態では、本発明の開示の化合物は、W、及びW’がBrであるホモポリマー及びコポリマーを含むことができる。別の実施形態では、本発明の開示の化合物は、W及びW’がトリアルキルスタンニルであるホモポリマー及びコポリマーを含むことができる。
【0070】
W及びW’がH以外であるそれぞれのモノマーの複数の誘導体が、上記モノマーの形成後に形成される。そのような後反応の1つにおいて、一方又は両方の水素原子を、他の官能基、例えば、ブロミド又はトリアルキルスタンニル基により置換することができる。水素原子の置換は、複素環構造体と用いるために好適な、任意の反応機構を用いて行われうる。別の実施形態では、W及び/又はW’含有誘導体が、チオフェンを第1の反応生成物(例えば、3,4−ジヒドロキシチオフェン)に添加させ、次いで、3,4−ジヒドロキシチオフェン又は3,4−ジヒドロキシセレノフェン誘導体を、イミダゾロン、ジオキソロン、イミダゾールチオン又はジオキソールチオン系モノマーに転換させるための、上述の反応手順を受ける前に形成されることができ、そこでは、W及びW’は、上述の化学反応に適合する。
【実施例】
【0071】
次の例は、種々の実施形態及び比較対照を具体的に説明するために提供され、本発明の開示の範囲を制限することを意図しない。次の例により生成した化合物の構造を、従来法に従って、NMRを用いて確認した。
【0072】
[例1]
セレノロ[2,3−c]チオフェン化合物を、本発明の開示の方法に従って、単一の反応混合物内で調製した。
【化41】

【0073】
エーテル(19.3mL)内の2−ブロモメチル−4−トリメチルシラニル−ブタ−1−エン−3−イン−1−チオール(2−bromomethyl−4−trimethylsilanyl−but−1−en−3−yne−1−thiol)(5.00g,19.3ミリモル)を、N2下で−80℃に冷却した。−50℃未満の温度を保持して、n−ブチルリチウム(2.5M,ヘキサン中,7.60mL,19.3ミリモル)を添加した。反応物を−20℃に温め、次いで−30℃に冷却した。セレン粉末(1.60g,20.3ミリモル)を、一つの部分で添加し、そして−5℃で1時間撹拌した。反応物を−30℃まで冷却し、水(19.3mL)を添加し、そして当該混合物を、20秒間力強く撹拌した。相を早急に分離した。エーテル層を、冷水(5.00mL)で抽出した。複数の水性層を混合し、そして70℃で1.5時間加熱した。室温まで冷却して、反応混合物をMTBE(3×20.0mL)で抽出した。
【0074】
混合されたMTBE抽出物を、硫酸マグネシウム上で乾燥し、そしてオイルに濃縮した。未精製のオイルを、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、シクロヘキサン)により精製し、オイルとしてセレノロ[2,3−c]チオフェンを得た(2.30g,12.3ミリモル,63.7モル%):500MHz 1H NMR(DMSO−d6)δ7.96(d,J=6.0Hz,1H),7.69(d,J=2.6Hz,1H),7.61(dd,J=2.7,0.6Hz,1H),7.25(d,J=6.0Hz,1H);125MHz 13C NMR(DMSO−d6)δ149.6,135.4,133.5,120.2,115.1,114.8;76MHz 77Se NMR(DMSO−d6)δ429.3(dd,J{77Se−1H}=47.0,7.6Hz);UV−Vis λmax=243.9nm(CH2Cl2);IR(ATR)v3096,1548,1483,1422,1340,1278,1169,1070,982,834,758,726cm-1;MS(+APCI) m/z(M+1)=189。
【0075】
[例2]
セレノロ[3,4−b]セレノフェン化合物を、本発明の開示の方法に従って、一連の反応において調製した。
【0076】
【化42】

【0077】
亜鉛(2.90g,45.1ミリモル)を、N2下で、酢酸(10.0mL)及び水(20.0mL)内の2,3,4,5−テトラブロモ−セレノフェン(6.20g,13.9ミリモル)の撹拌されたスラリーに添加した。混合物を、100℃まで、3時間加熱した。反応混合物を、MTBEで抽出した。MTBE抽出物を、pHが7〜8になるまで、飽和の重炭酸ナトリウムでクエンチした。有機物を硫酸ナトリウム上で乾燥し、ろ過し、そしてオイルに濃縮した。未精製のオイルを、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル,ヘプタン)により精製して、3,4−ジブロモ−セレノフェン(1.95g,6.75ミリモル,48.6モル%)を得た:500MHz 1H NMR(CDCl3)δ7.93(s,2H);125MHz 13C NMR(CDCl3)δ127,114。
【0078】
【化43】

【0079】
3,4−ジブロモ−セレノフェン(3.69g,12.77ミリモル)、DMF(10.0mL),トリフェニルホスフィン(0.669g,2.55ミリモル)、ヨウ化銅(I)(0.161g,0.843ミリモル)、ジエチルアミン(KOH上で乾燥,20.0mL,191.55ミリモル)、(トリメチルシリル)アセチレン(0.910mL,6.39ミリモル)、及びパラジウムジクロリド−ビス−トリフェニルホスフィン(0.592g,0.843ミリモル)を、N2でパージされた圧力容器に添加した。反応容器を密封し、そして混合物を、90℃で1時間加熱した。室温まで冷却し、反応混合物を、MTBE(100.0mL)で希釈し、そして0.1M HCl(3×50.0mL)で洗浄した。混合された水性層を、MTBE(50.0mL)を用いて抽出した。混合されたMTBE抽出物を、飽和の重炭酸ナトリウム(50.0mL)を用いてクエンチし、硫酸マグネシウム上で乾燥し、そしてオイルに濃縮した。未精製のオイルを、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル,シクロヘキサン)により精製して、(4−ブロモ−セレノフェン−3−イルエチニル)−トリメチル−シラン(1.55g,5.08ミリモル,79.5モル%)を得た:500MHz 1H NMR(CDCl3)δ8.15(d,J=2.9Hz,1H),7.58(d,J=2.9Hz,1H),0.26(S,9h);125MHz 13C NMR(CDCl3)δ135.4,127.0,126.4,114.1,99.8,96.8,0.2。
【0080】
【化44】

【0081】
エーテル(6.00mL)内の(4−ブロモ−セレノフェン−3−イルエチニル)−トリメチル−シラン(1.51g,4.95ミリモル)の溶液を、N2下で、−65℃に冷却した。温度を−50℃超に保持して、n−ブチルリチウム(2.5M,ヘキサン中,1.98mL,4.99ミリモル)を添加した。反応物を−20℃に温め、次いで−30℃に冷却した。セレン粉末(0.410g,5.20ミリモル)を、一つの部分で添加し、そして−5℃で1時間撹拌した。反応物を−30℃まで冷却し、水(6.00mL)を添加し、そして当該混合物を、20秒間力強く撹拌した。相を早急に分離した。エーテル層を、冷水(6.00mL)で抽出した。複数の水性層を混合し、そして70℃で1時間加熱した。室温まで冷却して、反応混合物を、MTBE(2×20.0mL)で抽出した。混合されたMTBE抽出物を、硫酸マグネシウム上で乾燥しそしてオイルに濃縮した。未精製のオイルを、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル,シクロヘキサン;及び4:1シクロヘキサン/ペンタン)により精製した。
【0082】
未精製の材料を、ペンタンから再結晶化させ、セレノロ[3,4−b]セレノフェンを、オフホワイトの固体として得た(0.127g,0.543ミリモル,11.0モル%):500MHz 1H NMR(DMSO−d6)δ8.29(d,J=2.3Hz,1H),8.17(dd,J=2.2,0.6Hz,1H),8.02(d,J=6.0Hz,1H),7.11(d,J=6.0Hz,1H);125MHz 13C NMR(DMSO−d6)δ152.0,136.4,132.7,121.3,120.8,119.5;76MHz 77Se NMR(DMSO−d6)δ734.5(t,J{77Se−1H}=46.5Hz),429.3(dd,J{77Se−1H}=46.4,7.1Hz);UV−Vis λmax=249.5nm(MeOH);IR(ATR)v3100,1548,1493,1437,1318,1272,1152,1108,1067,967,895,756,730cm-1;MS(+APCI)m/z(M+1)=237。
【0083】
[例3]
セレノロ[3,4−b]チオフェン化合物を、本発明の開示の方法に従って、一連の反応において調製した。
【0084】
【化45】

【0085】
亜鉛(2.90g,45.1ミリモル)を、N2下で、酢酸(10.0mL)及び水(20.0mL)内の2,3,4,5−テトラブロモ−セレノフェン(6.20g,13.9ミリモル)の撹拌されたスラリーに添加した。混合物を、100℃まで、3時間加熱した。反応混合物を、MTBEで抽出した。MTBE抽出物を、pHが7〜8になるまで、飽和の重炭酸ナトリウムでクエンチした。有機物を硫酸ナトリウム上で乾燥し、ろ過し、そしてオイルに濃縮した。未精製のオイルを、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル,ヘプタン)により精製して、3,4−ジブロモ−セレノフェン(1.95g,6.75ミリモル,48.6モル%)を得た:500MHz 1H NMR(CDCl3)δ7.93(s,2H);125MHz 13C NMR(CDCl3)δ127,114。
【0086】
【化46】

【0087】
3,4−ジブロモ−セレノフェン(3.69g,12.77ミリモル)、DMF(10.0mL)、トリフェニルホスフィン(0.669g,2.55ミリモル)、ヨウ化銅(I)(0.161g,0.843ミリモル)、ジエチルアミン(KOH上で乾燥,20.0mL,191.55ミリモル)、(トリメチルシリル)アセチレン(0.910mL,6.39ミリモル)、及びパラジウムジクロリド−ビス−トリフェニルホスフィン(0.592g,0.843ミリモル)を、N2でパージされた圧力容器に添加した。反応容器を密封し、そして混合物を、1時間90℃に加熱した。室温まで冷却して、反応混合物を、MTBE(100.0mL)で希釈し、そして0.1M HCl(3×50.0mL)で洗浄した。混合された水性層を、MTBE(50.0mL)を用いて抽出した。混合されたMTBE抽出物を、飽和の重炭酸ナトリウム(50.0mL)を用いてクエンチし、硫酸マグネシウム上で乾燥し、そしてオイルに濃縮した。未精製のオイルを、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル,シクロヘキサン)により精製して、(4−ブロモ−セレノフェン−3−イルエチニル)−トリメチル−シラン(1.55g,5.08ミリモル,79.5モル%)を得た:500MHz 1H NMR(CDCl3)δ8.15(d,J=2.9Hz,1H),7.58(d,J=2.9 Hz,1H),0.26(S,9h);125MHz 13C NMR(CDCl3)δ135.4,127.0,126.4,114.1,99.8,96.8,0.2.
【0088】
【化47】

【0089】
エーテル(7.40mL)内の(4−ブロモ−セレノフェン−3−イルエチニル)−トリメチル−シラン(R=TMS,1.90g,6.23ミリモル)の溶液を、N2下で、−70℃まで冷却した。温度を−50℃未満に保持して、n−ブチルリチウム(2.5M,ヘキサン中,2.50mL,6.23ミリモル)を添加した。反応物を−20℃に温め、次いで−30℃に冷却した。硫黄(0.210g,6.54ミリモル)を、一つの部分で添加し、そして0℃で1時間撹拌した。反応物を−30℃まで冷却し;水(7.40mL)を添加し、そして20秒間力強く撹拌した。相を早急に分離した。エーテル層を、冷水(4.00mL)で抽出した。複数の水性層を混合し、そして70℃で、1.5時間加熱した。室温まで冷却して、反応混合物を、MTBE(3×20.0mL)で抽出した。混合されたMTBE抽出物を硫酸マグネシウム上で乾燥し、そしてオイルに濃縮した。
【0090】
未精製のオイルを、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル,シクロヘキサン)により精製して、セレノロ[3,4−b]チオフェンを、オイルとして得た(0.344g,1.84ミリモル,29.5モル%):500MHz 1H NMR(DMSO−d6)δ8.24(d,J=2.3Hz,1H),8.18(dd,J=2.3,0.8Hz,1H),7.68(d,J=5.7Hz,1H),6.88(d,J=5.7Hz,1H);125MHz 13C NMR(DMSO−d6)δ149.7,140.0,133.0,119.0,117.4,116.4;76 MHz 77Se NMR(DMSO−d6)δ739.7(t,J{77Se−1H}=46.6Hz);UV−Vis λmax=248.3nm(CH2Cl2);IR(ATR)v3095,1549,1488,1319,1289,1152,1077,989,804,748cm-1;MS(+APCI)m/z (M+1)=189。
【0091】
[例4]
新規な合成物を提供する本発明の開示に従って、モノマーを、2位において容易に誘導することができる。この例は、本発明の開示の方法に従って、一連の反応において調製される、2−フェニル−セレノロ[3,4−b]セレノフェンの調製を具体的に説明する。
【0092】
【化48】

【0093】
エーテル(24.0mL)内の3,4−ジブロモ−セレノフェン(2.36g,8.17ミリモル)の溶液を、N2下で−70℃に冷却した。−50℃未満の温度を保持して、n−ブチルリチウム(2.5M,ヘキサン中,3.43mL,8.58ミリモル)を添加した。ヨウ素チップ(2.28g,8.99ミリモル)を添加し、そして反応混合物を、少なくとも1時間にわたり、0℃に温めた。MTBE(50.0mL)の添加後、反応物を、飽和の重炭酸ナトリウム(20.0mL)でクエンチした。相を分離し、そしてMTBE/エーテル抽出物を、追加の飽和の重炭酸ナトリウム(20.0mL)でクエンチした。混合されたMTBE/エーテル抽出物を、硫酸マグネシウム上で乾燥し、そしてオイルに濃縮した。オイルを、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル,シクロヘキサン)で精製した。混合されたシクロヘキサン内の分画を、メタ重亜硫酸ナトリウムで処理し、ろ過し、そして濃縮して、3−ブロモ−4−ヨード−セレノフェンを、オイルとして得た(1.97g,5.87ミリモル,71.8モル%):300MHz 1H NMR(CDCl3)δ8.1(d,J=3.0Hz,1H),7.89(d,J=3.0Hz,1H)。
【0094】
【化49】

【0095】
3−ブロモ−4−ヨード−セレノフェン(1.97g,5.87ミリモル)、DMF(5.20mL)、トリフェニルホスフィン(0.307g,1.17ミリモル)、ヨウ化銅(I)(0.0740g,0.387ミリモル)、ジエチルアミン(KOH上で乾燥,9.20mL,88.0ミリモル)、フェニルアセチレン(0.645mL,5.87ミリモル)、及びパラジウムジクロリド−ビス−トリフェニルホスフィン(0.272g,0.387ミリモル)を、N2でパージされた圧力容器に添加した。反応容器を密封して、そして混合物を、70℃で1時間加熱した。室温まで冷却して、反応混合物を、MTBE(50.0mL)で希釈し、そして0.1M HCl(3×30.0mL)で洗浄した。混合された水性層を、MTBE(30.0mL)で抽出した。MTBEに富む層を、硫酸マグネシウム上で乾燥し、そしてオイルに濃縮した。未精製のオイルを、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル,シクロヘキサン)により精製して、3−ブロモ−4−フェニルエチニル−セレノフェン(1.07g,3.19ミリモル,54.3モル%)を得た:500MHz 1H NMR(CDCl3)δ8.18(d,J=2.9Hz,1H),7.90(d,J=2.9Hz,1H),7.58−7.54(m,2H),7.36−7.32(m,3H);125MHz 13C NMR(CDCl3)δ134.2,131.7,128.5,128.4,126.8,126.3,122.9,114.1,91.0,84.7。
【0096】
【化50】

【0097】
エーテル(26.0mL)内の3−ブロモ−4−フェニルエチニル−セレノフェン(2.00g,6.45ミリモル)の溶液を、N2下で、−65℃に冷却した。−50℃未満の温度を保持して、tert−ブチルリチウム(1.7M,ペンタン中,7.59mL,12.9ミリモル)を添加した。反応物を、−60〜−50℃で、0.5時間撹拌した。セレン粉末(0.530g,6.71ミリモル)を、一つの部分で添加し;混合物を2時間にわたり室温まで温め、そして1時間保持した。溶媒を蒸発させ、そしてメタノール(25.0mL)内の水酸化カリウム(0.434g,7.74ミリモル)の溶液を添加し、そして加熱して、15時間環流させた。室温まで冷却し、反応物をオイルに濃縮し、CH2Cl2内に溶解し、そして水で抽出した。水性層を、CH2Cl2で抽出した。
【0098】
混合された有機層を、硫酸マグネシウム上で乾燥し、そして粗残差に濃縮した。粗材料を、CH2Cl2及びメタノールから再結晶化させ、2−フェニル−セレノロ[3,4−b]セレノフェンを、ライトオレンジの粉末として得た(0.571g,1.84ミリモル,40.8モル%):500MHz 1H NMR(DMSO−d6)δ8.34(d,J=2.3Hz,1H),8.22(dd,J=2.2,0.6Hz,1H),7.62−7.59(m,2H),7.57(s,1H),7.45−7.42(m,2H),7.39−7.35(m,1H);125MHz 13C NMR(DMSO−d6)δ151.9,148.3,136.0,134.6,129.1,128.5,125.9,122.6,119.9,116.9;95MHz 77Se NMR(DMSO−d6)δ731.2(t,J{77Se−1H}=45.8Hz),427.7(d,J{77Se−1H}=3.8Hz);UV−Vis λmax=309.3nm(CH2Cl2);IR(ATR)v3088,1553,1482,1438,1327,1303,1221,1152,1074,1028,901,843,827,750,683cm-1;MS(+APCI)m/z(M+1)=313。
【0099】
[例5]
新規な合成物を提供する本発明の開示に従って、モノマーを、2位において容易に誘導することができる。この例は、本発明の開示の方法に従って、一連の反応において調製される、2−フェニル−セレノロ[3,4−b]チオフェンの調製を具体的に説明する。
【0100】
【化51】

【0101】
エーテル(24.0mL)内の3,4−ジブロモ−セレノフェン(2.36g,8.17ミリモル)の溶液を、N2下で−70℃に冷却した。−50℃未満の温度を保持して、n−ブチルリチウム(2.5M,ヘキサン中,3.43mL,8.58ミリモル)を添加した。ヨウ素チップ(2.28g,8.99ミリモル)を添加し、そして反応混合物を、少なくとも1時間にわたり、0℃超に温めた。MTBE(50.0mL)の添加後、反応物を、飽和の重炭酸ナトリウム(20.0mL)でクエンチした。相を分離し、そしてMTBE/エーテル抽出物を、追加の飽和の重炭酸ナトリウム(20.0mL)でクエンチした。混合されたMTBE/エーテル抽出物を、硫酸マグネシウム上で乾燥し、そしてオイルに濃縮した。オイルを、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル,シクロヘキサン)で精製した。混合されたシクロヘキサン内の分画を、メタ重亜硫酸ナトリウムで処理し、ろ過し、そして濃縮して、3−ブロモ−4−ヨード−セレノフェンを、オイルとして得た(1.97g,5.87ミリモル,71.8モル%):300MHz 1H NMR(CDCl3)δ8.1(d,J=3.0Hz,1H),7.89(d,J=3.0Hz,1H)。
【0102】
【化52】

【0103】
3−ブロモ−4−ヨード−セレノフェン(1.97g,5.87ミリモル)、DMF(5.20mL)、トリフェニルホスフィン(0.307g,1.17ミリモル)、ヨウ化銅(I)(0.0740g,0.387ミリモル)、ジエチルアミン(KOH上で乾燥,9.20mL,88.0ミリモル)、フェニルアセチレン(0.645mL,5.87ミリモル)、及びパラジウムジクロリド−ビス−トリフェニルホスフィン(0.272g,0.387ミリモル)を、N2でパージされた圧力容器に添加した。上記反応容器を密封し、そして混合物を、70℃で1時間加熱した。室温まで冷却して、反応混合物を、MTBE(50.0mL)で希釈し、そして0.1M HCl(3×30.0mL)で洗浄した。混合された水性層を、MTBE(30.0mL)で抽出した。MTBEに富む層を、硫酸マグネシウム上で乾燥し、そしてオイルに濃縮した。未精製のオイルを、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル,シクロヘキサン)により精製して、3−ブロモ−4−フェニルエチニル−セレノフェン(1.07g,3.19ミリモル,54.3モル%)を得た:500MHz 1H NMR(CDCl3)δ8.18(d,J=2.9Hz,1H),7.90(d,J=2.9Hz,1H),7.58−7.54(m,2H),7.36−7.32(m,3H);125MHz 13C NMR(CDCl3)δ134.2,131.7,128.5,128.4,126.8,126.3,122.9,114.1,91.0,84.7。
【0104】
【化53】

【0105】
エーテル(6.00mL)内の3−ブロモ−4−フェニルエチニル−セレノフェン(1.65g,5.32ミリモル)の溶液を、N2下で−70℃に冷却した。−50℃未満の温度を保持して、n−ブチルリチウム(2.5M,ヘキサン中,2.13mL,5.32ミリモル)を添加した。反応物を−30℃まで温め、次いで、−50℃まで冷却した。硫黄(0.179g,5.59ミリモル)を、一つの部分で添加し、そして0℃で2時間撹拌した。溶媒を蒸発させ、そしてメタノール(6mL)内のKOH(0.373g,6.65ミリモル)の溶液を添加し、そして加熱して、19時間環流した。室温まで冷却し、反応物を濃縮し、CH2Cl2内で再構成し、そして水で洗浄した。CH2Cl2層を、硫酸マグネシウム及びDarco G60で処理した。ろ過及びメタノールの添加の後、CH2Cl2を材料が溶液から結晶化するまで蒸発させた。
【0106】
未精製の材料を、CH2Cl2/メタノールから再結晶化させ、2−フェニル−セレノロ[3,4−b]チオフェンを、ライトブラウンの固体として得た(0.355g,1.35ミリモル,25.4モル%):500MHz 1H NMR(DMSO−d6)δ8.29(d,J=2.1Hz,1H),8.22(d,J=1.8Hz,1H),7.68(d,J=7.3Hz,2H),7.46(t,J=7.3Hz,2H),7.40−7.37(m,2H);125 MHz 13C NMR(DMSO−d6)δ149.8,148.0,138.4,134.3,129.1,128.7,125.5,120.1,116.8,113.7;95MHz 77Se NMR(DMSO−d6)δ737.2(t,J{77Se−1H}=45.8Hz);UV−Vis λmax=308.2nm(CH2Cl2);IR(ATR)v3092,1552,1484,1440,1329,1224,1152,1069,1027,924,903,819,752,735,685cm-1;MS(+APCI) m/z(M+1)=265。
【0107】
[例6]
【化54】

【0108】
59.4g(246ミリモル)の3,4−ジブロモチオフェン、44.0gのジエチルアミン、27.0g(245ミリモル)の1−オクチン、148mgのトリフェニルホスフィン、106mgのヨウ化銅及び295mgのジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)を、磁気攪拌棒、温度計、ゴム隔壁、アルゴンインレット、及びアルゴンアウトレットを有する還流冷却器(シリコンオイルバブラーに管付けされている)を備えている250mLの4首RBフラスコ内に添加した。混合物を、40時間、攪拌しながら、アルゴン下で、シリコンオイルバスを用いて60℃に加熱した。次いで、冷却された混合物を、減圧において、ロータリーエバポレータ上で濃縮し、そして残差を、200mLのペンタン内に取り、そして2×25mLの水で洗浄し、そしてペンタン相を硫酸ナトリウム上で乾燥し、次いで、ロータリーエバポレータ上で濃縮した。次いで、残差を、55〜60℃及び0.40トルで蒸留し、そして2.3gの未反応の3,4−ジブロモチオフェンを取り出した。残差を、ヘキサンで溶出するシリカゲルによりクロマトグラフをかけ、17.1gの3−ブロモ−4(オクタ−1−イニル)チオフェンを、ライトイエローのオイルとして得て、2−ヘキシルセレノロ[2,3−c]チオフェンを調製するために直接用いた。
【0109】
[例7]
【化55】

【0110】
59.88g(247ミリモル)の3,4−ジブロモチオフェン、44.0gのジエチルアミン、34.2g(247ミリモル)の1−デシン、149mgのトリフェニルホスフィン、107mgのヨウ化銅、及び204mgのジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)を、磁気攪拌棒、温度計、ゴム隔壁、アルゴンインレット、及びアルゴンアウトレットを有する還流冷却器(シリコンオイルバブラーに管付けされている)を備えている250mLの4首RBフラスコ内に添加した。混合物を、40時間、攪拌しながら、アルゴン下で、シリコンオイルバスを用いて60℃に加熱した。次いで、冷却された混合物を、減圧において、ロータリーエバポレータ上で濃縮し、そして残差を、200mLのペンタン内に取り、そして2×25mLの水で洗浄し、そしてペンタン相を硫酸ナトリウム上で乾燥し、次いで、ロータリーエバポレータ上で濃縮した。次いで、残差を、60〜65℃及び0.35トルで蒸留し、そして18gの未反応の3,4−ジブロモチオフェンを取り出した。残差を、ヘキサンで溶出するシリカゲルによりクロマトグラフをかけ、37.7gの3−ブロモ−4(デカ−1−イニル)チオフェン化合物を、ライトイエローオレンジのオイルとして得て、2−オクチルセレノロ[2,3−c]チオフェン化合物を調製するために直接用いた。
【0111】
[例8]
【化56】

【0112】
シリンジを経由した17.1g(0.063モル)の3−ブロモ−4−(オクタ−1−イニル)チオフェンと、カニューレを経由した100mLの無水エーテルとを、磁気攪拌棒、温度計、ゴム隔壁、アルゴンインレット及びアルゴンアウトレット(シリコンオイルバブラーに管付けされている)を備えている250mLの4首RBフラスコ内に添加した。アルゴン下且つ攪拌しながら、混合物を−70℃に冷却し、そしてヘキサン内の24mLの2.5M n−ブチルリチウムを、シリンジを経由して添加した。30分後、6.0g(0.076モル)のセレンを、全て一度に添加し、そして反応物を−30℃に温めた。混合物を、30分間、−5℃で保持し、次いで、100mLの飽和塩化ナトリウム水溶液を、−5℃未満を保持しながら添加した。次いで、混合物を、分液漏斗内で相分離させ、そして追加の30mLの飽和水性塩溶液を有機相に添加した。
【0113】
次いで、2つの塩溶液を、磁気攪拌棒、温度計、ゴム隔壁、アルゴンインレット及びアルゴンアウトレット(シリコンオイルバブラーに管付けされている)を備えている250mLの4首RBフラスコに添加し、そして1時間、プレヒートされたシリコンオイルバス内で、攪拌しながら且つアルゴン下で60℃に加熱した。次いで、冷却された混合物を、2×200mLのペンタンを用いて抽出した。次いで、有機相を、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、そして溶媒をロータリーエバポレータで除去した。残差を、ヘキサンで溶出するシリカゲルによりクロマトグラフをかけ、7.49gの2−ヘキシルセレノロ[2,3−c]チオフェンを、gc−fid面積により、96%純度のライトイエロー−オレンジのオイルとして得た。この材料を直接用いて、ジブロモ−2−ヘキシルセレノロ[2,3−c]チオフェン化合物を調製した。
【0114】
[例9]
【化57】

【0115】
シリンジを経由した17.1g(0.574モル)の3−ブロモ−4(デカ−1−イニル)チオフェンと、カニューレを経由した100mLの無水エーテルを、磁気攪拌棒、温度計、ゴム隔壁、アルゴンインレット及びアルゴンアウトレット(シリコンオイルバブラーに管付けされている)を備えている250mLの4首RBフラスコに添加した。アルゴン下且つ攪拌しながら、混合物を−70℃に冷却しそしてヘキサン内の24mLの2.5M n−ブチルリチウムを、シリンジを経由して添加した。30分後、5.81g(0.735モル)のセレンを、全て一度に添加し、そして反応物を−30℃に温めた。混合物を、30分間、−5℃に保持し、次いで、100mLの飽和塩化ナトリウム水溶液を、−5℃未満を保持しながら添加した。次いで、混合物を、分液漏斗内で相分離させ、そして追加の30mLの飽和水性塩溶液を有機相に添加した。次いで、混合された塩溶液を、磁気攪拌棒、温度計、ゴム隔壁、アルゴンインレット及びアルゴンアウトレット(シリコンオイルバブラーに管付けされている)を備えている250mLの4首RBフラスコに添加し、そして1時間、プレヒートされたシリコンオイルバス内で、攪拌しながら且つアルゴン下で70℃に加熱した。次いで、冷却された混合物を、3×300mLのペンタンで抽出した。次いで、混合物を硫酸ナトリウム上で乾燥させ、そして溶媒をロータリーエバポレータ上で除去した。残差を、ヘキサンで溶出するシリカゲル上でクロマトグラフをかけた。ヘキサンを、減圧において、ロータリーエバポレータ上で除去し、11.6gの2−オクチルセレノロ[2,3−c]チオフェンを、gc−fid面積により98.1%の純度を有するライトイエローオイルとして得た。
【0116】
[例10]
【化58】

【0117】
0.90g(3.3ミリモル)の2−ヘキシルセレノロ[2,3−c]チオフェン化合物を、磁気攪拌棒、ゴム隔壁、温度計、アルゴンインレット及びアウトレット(Tygonを用いてシリコーンオイルバブラーに配管されている)、並びに圧力均等化滴下漏斗を備えている100mLの4首RBフラスコ内の15mLのジクロロメタンに添加した。撹拌しながら且つアルゴン下で、40mLの1.18g(6.6ミリモル)のジクロロメタン内のN−ブロモスクシンイミドの溶液を、30分の一定時間にわたり、添加漏斗から、反応を10℃未満に保持するための氷/水浴内で冷却されている溶液に、液滴として添加した。室温で2時間撹拌した後、溶媒を、減圧において、ロータリーエバポレータ上で除去し、そして残差を、ヘキサンを用いて溶出するシリカゲル上でクロマトグラフをかけ、gc−fid面積により98.5%の純度を有するイエロー−オレンジの固体として1.5gのジブロモ−2−ヘキシルセレノロ[2,3−c]チオフェンを得た。
【0118】
[例11]
【化59】

【0119】
0.8g(2.7ミリモル)の2−オクチルセレノロ[2,3−c]チオフェンを、磁気攪拌棒、ゴム隔壁、温度計、アルゴンインレット及びアウトレット(Tygonを用いてシリコーンオイルバブラーに配管されている)、並びに圧力均等化滴下漏斗を備えている50mLの4首RBフラスコ内の25mLのジクロロメタンに添加した。撹拌しながら且つアルゴン下で、10mLのジクロロメタン内の0.91g(5.1ミリモル)のN−ブロモスクシンイミドの溶液を、10℃未満において反応を保持するための氷/水浴内で冷却されている溶液に、30分の一定時間にわたり、液滴として添加した。室温で5時間撹拌した後、最終反応塊を、ロータリーエバポレータ上で濃縮し、そして残差を、ヘキサンを用いて、シリカゲルのショートパッドを通過させた。溶離液を、ロータリーエバポレータ上で乾燥状態まで蒸発させ、0.94gのジブロモ−2−オクチルセレノロ[2,3−c]チオフェンを、gc−fid面積により99.6%純度であることが測定されたイエローの固体として得た。
【0120】
[例12]
【化60】

【0121】
48.3g(229ミリモル)の3,4−ジブロモチオフェン、13.0gのトリエチルアミン、20.1g(157ミリモル)の3−トリメチルシロキシプロピン、130mgのトリフェニルホスフィン、147mgのヨウ化銅及び470mgのジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)を、磁気攪拌棒、温度計、ゴム隔壁、アルゴンインレット、及びアルゴンアウトレットを有する還流冷却器(シリコンオイルバブラーに管付けされている)を備えている250mLの4首RBフラスコに添加した。混合物を、5.5時間、撹拌しながら、アルゴン下で、シリコンオイルバスを用いて70℃まで加熱した。次いで、冷却された混合物を、減圧において、ロータリーエバポレータ上で濃縮し、そして残差を、200mLのヘキサン内に取り、そして2×25mLの水で洗浄し、そしてペンタン相を、硫酸ナトリウム上で乾燥し、次いでロータリーエバポレータ上で濃縮した。残差を、2/1 塩化メチレン/エチルアセテートを用いて溶出する中性シリカゲルによりクロマトグラフをかけ、8.9gの3−ブロモ−4−(トリメチルシロキシプロピニル)チオフェンを、ライトイエローのオイルとして得て、2−ヒドロキシメチルセレノロ[2,3−c]チオフェンを調製するために直接用いた。
【0122】
[例13]
【化61】

【0123】
シリンジを経由した8.9g(0.031モル)の3−ブロモ−4−(トリメチルシロキシプロピニル)チオフェンと、カニューレを経由した100mLの無水エーテルとを、磁気攪拌棒、温度計、ゴム隔壁、アルゴンインレット及びアルゴンアウトレット(シリコンオイルバブラーに管付けされている)を備えている250mLの4首RBフラスコ内に添加した。アルゴン下且つ攪拌しながら、混合物を−70℃に冷却し、そしてヘキサン内の2.5M n−ブチルリチウム13mLを、シリンジを経由して添加した。30分後、3.9g(0.035モル)のセレンを、全て一度に添加し、そして反応物を−30℃に温めた。混合物を、30分間、10℃未満で保持し、次いで100mLの飽和塩化ナトリウム水溶液を添加した。次いで、混合物を、分液漏斗内で相分離させ、そして追加の30mLの飽和水性塩溶液を有機相に添加した。次いで、2つの塩溶液を、磁気攪拌棒、温度計、ゴム隔壁、アルゴンインレット及びアルゴンアウトレット(シリコンオイルバブラーに管付けされている)を備えている250mLの4首RBフラスコに添加し、そして35分間、プレヒートされたシリコンオイルバス内で、撹拌しながら且つアルゴン下で、60℃に加熱した。次いで、冷却された混合物を、2×100mLの塩化メチレンで抽出した。次いで、有機相を、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、そして溶媒を、ロータリーエバポレータ上で除去した。残差を、9/1 塩化メチレン/エチルアセテートで溶出するシリカゲル上でクロマトグラフをかけ、ライトイエローの固体として、gc−fid面積により99.1%の純度の2−ヒドロキシメチルセレノロ[2,3−c]チオフェン2.5gを得た。
【0124】
[例14]
【化62】

【0125】
55.0g(229ミリモル)の3,4−ジブロモチオフェン、15.6gのトリエチルアミン、9.75g(68.5ミリモル)のトリメチルシロキシ−1−ブチン、170mgのトリフェニルホスフィン、140mgのヨウ化銅及び490mgのジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)を、磁気攪拌棒、温度計、ゴム隔壁、アルゴンインレット及びアルゴンアウトレットを有する還流冷却器(シリコンオイルバブラーに管付けされている)を備えている250mLの4首RBフラスコに添加した。混合物を、2時間、撹拌しながら、アルゴン下で、シリコンオイルバスを用いて60℃に加熱した。次いで、冷却された混合物を、減圧において、ロータリーエバポレータ上で濃縮し、そして残差を、200mLのヘキサン内に取り、そして2×25mLの水で洗浄し、そしてペンタン相を、硫酸ナトリウム上で乾燥し、次いでロータリーエバポレータ上で濃縮した。残差を、2/1 塩化メチレン/ヘキサンを用いて溶出する中性シリカゲルによりクロマトグラフをかけ、4.8gの3−ブロモ−4(トリメチルシロキシブチニル)チオフェンを、ライトイエローのオイルとして得て、2−ヒドロキシエチルセレノロ[2,3−c]チオフェンを調製するために直接用いた。
【0126】
[例15]
【化63】

【0127】
シリンジを経由した11.6g(0.040モル)の3−ブロモ−4−(トリメチルシロキシブチニル)チオフェンと、カニューレを経由した120mLの無水エーテルとを、磁気攪拌棒、温度計、ゴム隔壁、アルゴンインレット及びアルゴンアウトレット(シリコンオイルバブラーに管付けされている)を備えている250mLの4首RBフラスコ内に添加した。アルゴン下且つ攪拌しながら、混合物を−70℃に冷却し、そしてヘキサン内の2.5M n−ブチルリチウム16mLを、シリンジを経由して添加した。30分後、3.9g(0.049モル)のセレンを、全て一度に添加し、そして反応物を−30℃に温めた。混合物を、30分間、−5℃に保持し、次いで100mLの飽和塩化ナトリウム水溶液を、−5℃未満を保持しながら添加した。次いで、混合物を、分液漏斗内で相分離させ、そして追加の30mLの飽和の水性塩溶液を有機相に添加した。次いで、2つの塩溶液を、磁気攪拌棒、温度計、ゴム隔壁、アルゴンインレット及びアルゴンアウトレット(シリコンオイルバブラーに管付けされている)を備えている250mLの4首RBフラスコに添加し、そして35分間、プレヒートされたシリコンオイルバス内で、撹拌しながら且つアルゴン下で、60℃に加熱した。次いで、冷却された混合物を、2×100mLの塩化メチレンで抽出した。次いで、有機相を、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、そして溶媒を、ロータリーエバポレータ上で除去した。残差を、9/1 塩化メチレン/エチルアセテートで溶出し、シリカゲル上でクロマトグラフをかけ、ライトイエローの固体として、gc−fid面積により98.1%の純度の2−ヒドロキシエチルセレノロ[2,3−c]チオフェン3.72gを得た。
【0128】
本発明の開示を、一定の実施形態に関連して記載してきたが、本発明の範囲から外れることなく、種々の変更を行うことができ、均等物がそれらの要素を置換することができることが当業者に理解されるであろう。さらに、本発明の範囲から外れることなく、本発明の教示に特定の状況又は材料を適合させるために、多くの改良を行うことができる。従って、本発明が、本発明を実施するために企図されるベストモードとして開示される特定の実施形態に制限されず、本発明が、添付の特許請求の範囲内に含まれる全ての実施形態を含むことを意図する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の式(1):
【化1】

(式中、XはSeであり、YはSであり、Rは置換基である)
の化合物の調製方法であって、
次の各ステップ:
次の式(2):
【化2】

(式中、Yは上述の通りであり、そしてHaは臭素である)
を有する第1の反応物質を準備するステップ;
金属還元剤の存在下で第1の反応物質を還元して、次の式(3):
【化3】

(式中、Y及びHaは、上述の通りである)
を有する第2の反応物質を生成させるステップ;
遷移金属触媒の存在下で、第2の反応物質を、置換された1−アルキンと反応させるステップ;
次の式(4):
【化4】

(式中、R、Y及びHaは、上述の通りである)
を有する第3の反応物質を、Xを含む化合物(Xは、上述の通りである)の存在下で、アルキルリチウムと反応させ、次の式(5):
【化5】

(式中、R、X及びYは、上述の通りである)
を有する第4の反応物質を生成するステップ;そして
第4の反応物質を水と反応させ、式(1)を有する化合物を生成させるステップ:
を含む方法。
【請求項2】
Rが、水素、水素の同位体、ヒドロキシル、アルキル、アリールアルキル、アルケニル、パーフルオロアルキル、パーフルオロアリール、アリール、アルコキシ、シクロアルキル、シクロアルケニル、アルカノイル、アルキルチオ、アリールオキシ、アルキルチオアルキル、アルキニル、アルキルアリール、アリールアルキル、アミド、アルキルスルフィニル、アルコキシアルキル、アルキルスルホニル、アリール、アリールアミノ、ジアリールアミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アリールアリールアミノ、アリールチオ、ヘテロアリール、アリールスルフィニル、アルコキシカルボニル、アリールスルホニル、カルボキシル、ハロゲン、ニトロ、シアノ、スルホン酸、並びに1又は2以上のスルホン酸、スルホン酸誘導体、リン酸、リン酸誘導体、カルボン酸、カルボン酸誘導体、ハロ、アミノ、ニトロ、ヒドロキシル、シアノ、エポキシ部分及びそれらの組み合わせで置換されたアルキル及びフェニルから成る群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
Rが、水素、アルキルアリール、アリールアルキル、アリール、ヘテロアリール、C1〜C12の第1級、第2級又は第3級アルキル基(F、Cl、Br、I又はCNにより単置換又は複数置換されていてもよく、そして1又は2以上の隣接しないCH2基が、O及び/又はS原子がお互いに直接結合しないような様式において、独立して、−O−、−S−、−NH−、−NR’−、−SiR’R’’−、−CO−、−COO−、−OCO−、−OCO−O−、−S−CO−、−CO−S−、−CH=CH−又は−C≡C−で置換されていてもよい)、フェニル及び置換されたフェニル基、シクロヘキシル、ナフタレン、ヒドロキシル、アルキルエーテル、パーフルオロアルキル、パーフルオロアリール、カルボン酸、エステル及びスルホン酸基、パーフルオロ、SF5、F及びそれらの組み合わせ(ここでR’及びR’’は、お互いに独立して、H、アリール又は1〜12個のC原子を有するアルキルである)から成る群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
Rが、C1〜C12の第1級、第2級又は第3級アルキル基、及びパーフルオロアルキル基から成る群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記遷移金属触媒が、パラジウムを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記遷移金属触媒が、パラジウムジクロリド−ビス−トリフェニルホスフィンである、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
次の式(4):
【化6】

(式中、YはSであり、Rは置換基であり、そしてHaは臭素である)
の化合物の調製方法であって、
次の各ステップ;
次の式(2):
【化7】

(式中、Yは上述の通りであり、そしてHaはハロゲン含有基である)
を有する第1の反応物質を準備するステップ;
金属還元剤の存在下で、第1の反応物質を還元し、次の式(3):
【化8】

(式中、Y及びHaは、上述の通りである)
を有する第2の反応物質を生成させるステップ;そして
遷移金属触媒の存在下で、第2の反応物質を、置換された1−アルキンと反応させ、式(4)に従う構造を有する化合物を生成させるステップ:
を含む方法。
【請求項8】
Rが、水素、水素の同位体、ヒドロキシル、アルキル、アリールアルキル、アルケニル、パーフルオロアルキル、パーフルオロアリール、アリール、アルコキシ、シクロアルキル、シクロアルケニル、アルカノイル、アルキルチオ、アリールオキシ、アルキルチオアルキル、アルキニル、アルキルアリール、アリールアルキル、アミド、アルキルスルフィニル、アルコキシアルキル、アルキルスルホニル、アリール、アリールアミノ、ジアリールアミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アリールアリールアミノ、アリールチオ、ヘテロアリール、アリールスルフィニル、アルコキシカルボニル、アリールスルホニル、カルボキシル、ハロゲン、ニトロ、シアノ、スルホン酸、並びに1又は2以上のスルホン酸、スルホン酸誘導体、リン酸、リン酸誘導体、カルボン酸、カルボン酸誘導体、ハロ、アミノ、ニトロ、ヒドロキシル、シアノ、エポキシ部分、及びそれらの組み合わせで置換されたアルキル及びフェニルから成る群から選択される、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
Rが、水素、アルキルアリール、アリールアルキル、アリール、ヘテロアリール、C1〜C12の第1級、第2級又は第3級アルキル基(F、Cl、Br、I又はCNにより単置換又は複数置換されていてもよく、そして1又は2以上の隣接しないCH2基が、O及び/又はS原子がお互いに直接結合しないような様式において、独立して、−O−、−S−、−NH−、−NR’−、−SiR’R’’−、−CO−、−COO−、−OCO−、−OCO−O−、−S−CO−、−CO−S−、−CH=CH−又は−C≡C−で置換されていてもよい)、フェニル及び置換されたフェニル基、シクロヘキシル、ナフタレン、ヒドロキシル、アルキルエーテル、パーフルオロアルキル、パーフルオロアリール、カルボン酸、エステル及びスルホン酸基、パーフルオロ、SF5、F及びそれらの組み合わせ(ここでR’及びR’’は、お互いに独立して、H、アリール又は1〜12個のC原子を有するアルキルである)から成る群から選択される、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
Rが、C1〜C12の第1級、第2級又は第3級アルキル基、及びパーフルオロアルキル基から成る群から選択される、請求項7に記載の方法。
【請求項11】
前記遷移金属触媒がパラジウムを含む、請求項7に記載の方法。
【請求項12】
前記遷移金属触媒が、パラジウムジクロリド−ビス−トリフェニルホスフィンである、請求項12に記載の方法。
【請求項13】
次の式に従う複素環式モノマー化合物:
【化9】

(式中、XはSeであり、YはSであり、Rは、ヒドロキシル、C1〜C20の第1級、第2級及び第3級アルキル基を含むアルキル、アリールアルキル、アルケニル、パーフルオロアルキル、パーフルオロアリール、アリール、アルコキシ、シクロアルキル、シクロアルケニル、アルカノイル、アルキルチオ、アリールオキシ、アルキルチオアルキル、アルキニル、アルキルアリール、アリールアルキル、アミド、アルキルスルフィニル、アルコキシアルキル、アルキルスルホニル、アリール、アリールアミノ、ジアリールアミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アリールアリールアミノ、アリールチオ、ヘテロアリール、アリールスルフィニル、アルコキシカルボニル、アリールスルホニル、カルボキシル、ハロゲン、ニトロ、シアノ、スルホン酸、並びに1又は2以上のスルホン酸及びスルホン酸の誘導体、リン酸及びリン酸の誘導体、カルボン酸及びカルボン酸の誘導体、ハロ、アミノ、ニトロ、ヒドロキシル、シアノ及びエポキシ部分で置換されたアルキル及びフェニルから成る群から選択される置換基である)。
【請求項14】
Rが、アルキルアリール、アリールアルキル、アリール、ヘテロアリール、C1〜C12の第1級、第2級又は第3級アルキル基(F、Cl、Br、I又はCNにより単置換又は複数置換されていてもよく、そして1又は2以上の隣接しないCH2基が、O及び/又はS原子がお互いに直接結合しないような様式において、独立して、−O−、−S−、−NH−、−NR’−、−SiR’R’’−、−CO−、−COO−、−OCO−、−OCO−O−、−S−CO−、−CO−S−、−CH=CH−又は−C≡C−で置換されていてもよい)、フェニル及び置換されたフェニル基、シクロヘキシル、ナフタレン、ヒドロキシル、アルキルエーテル、パーフルオロアルキル、パーフルオロアリール、カルボン酸、エステル及びスルホン酸基、パーフルオロ、SF5、F及びそれらの組み合わせ(ここでR’及びR’’は、お互いに独立して、H、アリール又は1〜12個のC原子を有するアルキルである)から成る群から選択される、請求項13に記載の化合物。
【請求項15】
Rが、C1〜C12の第1級、第2級又は第3級アルキル基、及びパーフルオロアルキル基から成る群から選択される、請求項13に記載の化合物。
【請求項16】
2−フェニル−セレノロ[2,3−c]チオフェン、2−フェニル−セレノロ[3,4−b]チオフェン及び2−フェニル−セレノロ[3,4−b]セレノフェン、2−ヘキシル−セレノロ[2,3−c]チオフェン、2−ヘキシル−セレノロ[3,4−b]チオフェン及び2−ヘキシル−セレノロ[3,4−b]セレノフェンから成る群から選択される、請求項13に記載の化合物。
【請求項17】
次の式に従う複素環式モノマー化合物:
【化10】

(式中、XはSeであり、YはSであり、そしてWは臭素である)。
【請求項18】
Rが、水素、アルキルアリール、アリールアルキル、アリール、ヘテロアリール、C1〜C12の第1級、第2級又は第3級アルキル基(F、Cl、Br、I又はCNにより単置換又は複数置換されていてもよく、そして1又は2以上の隣接しないCH2基が、O及び/又はS原子がお互いに直接結合しないような様式において、独立して、−O−、−S−、−NH−、−NR’−、−SiR’R’’−、−CO−、−COO−、−OCO−、−OCO−O−、−S−CO−、−CO−S−、−CH=CH−又は−C≡C−で置換されていてもよい)、フェニル及び置換されたフェニル基、シクロヘキシル、ナフタレン、ヒドロキシル、アルキルエーテル、パーフルオロアルキル、パーフルオロアリール、カルボン酸、エステル及びスルホン酸基、パーフルオロ、SF5、F及びそれらの組み合わせ(ここでR’及びR’’は、お互いに独立して、H、アリール又は1〜12個のC原子を有するアルキルである)から成る群から選択される、請求項17に記載の化合物。
【請求項19】
Rが、C1〜C12の第1級、第2級又は第3級アルキル基、及びパーフルオロアルキル基から成る群から選択される、請求項18に記載の化合物。
【請求項20】
次の式を有する化合物:
【化11】

(式中、YはSであり、Rは置換基であり、そしてHaは臭素である)。
【請求項21】
Rが、水素、水素の同位体、ヒドロキシル、アルキル、アリールアルキル、アルケニル、パーフルオロアルキル、パーフルオロアリール、アリール、アルコキシ、シクロアルキル、シクロアルケニル、アルカノイル、アルキルチオ、アリールオキシ、アルキルチオアルキル、アルキニル、アルキルアリール、アリールアルキル、アミド、アルキルスルフィニル、アルコキシアルキル、アルキルスルホニル、アリール、アリールアミノ、ジアリールアミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アリールアリールアミノ、アリールチオ、ヘテロアリール、アリールスルフィニル、アルコキシカルボニル、アリールスルホニル、カルボキシル、ハロゲン、ニトロ、シアノ、スルホン酸、並びに1又は2以上のスルホン酸、スルホン酸誘導体、リン酸、リン酸誘導体、カルボン酸、カルボン酸誘導体、ハロ、アミノ、ニトロ、ヒドロキシル、シアノ、エポキシ部分、及びそれらの組み合わせで置換されたアルキル及びフェニルから成る群から選択される、請求項20に記載の化合物。
【請求項22】
Rが、水素、アルキルアリール、アリールアルキル、アリール、ヘテロアリール、C1〜C12の第1級、第2級又は第3級アルキル基(F、Cl、Br、I又はCNにより単置換又は複数置換されていてもよく、そして1又は2以上の隣接しないCH2基が、O及び/又はS原子がお互いに直接結合しないような様式において、独立して、−O−、−S−、−NH−、−NR’−、−SiR’R’’−、−CO−、−COO−、−OCO−、−OCO−O−、−S−CO−、−CO−S−、−CH=CH−又は−C≡C−で置換されていてもよい)、フェニル及び置換されたフェニル基、シクロヘキシル、ナフタレン、ヒドロキシル、アルキルエーテル、パーフルオロアルキル、パーフルオロアリール、カルボン酸、エステル及びスルホン酸基、パーフルオロ、SF5、F及びそれらの組み合わせ(ここでR’及びR’’は、お互いに独立して、H、アリール又は1〜12個のC原子を有するアルキルである)から成る群から選択される、請求項21に記載の化合物。
【請求項23】
Rが、C1〜C12の第1級、第2級又は第3級アルキル基、及びパーフルオロアルキル基から成る群から選択される、請求項21に記載の化合物。

【公開番号】特開2010−163433(P2010−163433A)
【公開日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2010−4994(P2010−4994)
【出願日】平成22年1月13日(2010.1.13)
【出願人】(591035368)エア プロダクツ アンド ケミカルズ インコーポレイテッド (452)
【氏名又は名称原語表記】AIR PRODUCTS AND CHEMICALS INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】7201 Hamilton Boulevard, Allentown, Pennsylvania 18195−1501, USA
【Fターム(参考)】