説明

複製絵画の塗り絵

【課題】 塗り絵の紙面そのものに複製画を印刷しておき、更に、複製画を構成する各ポイントの色彩の混色比率を混色レシピの形で示すことで、所望の色彩再現を容易に実現していく。
【解決手段】 複製絵画を模して描画する塗り絵において、複製絵画を印刷した複製絵画画面1によって構成した塗り絵キャンパス下絵Aと塗り絵手本Bを設けたうえ、少なくともいずれか一方の複製絵画画面1において、所要の各ポイント個所に色彩指示記号2を記したものと、色彩指示記号2の色彩を表現するための複数の絵の具の混色比率を示した混色レシピ表によって構成し、塗り絵キャンパス下絵の各ポイント個所の色彩を、混色レシピ表によって指示された絵の具の混色比率によって作成して塗り絵を行なう。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複製絵画を模して描画する塗り絵において、複製絵画の画面そのものを塗り絵キャンパスとし、画面各部の色彩を作り出すために必要な絵の具の混色比率を示した混色レシピ表を加えた複製絵画の塗り絵に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明の目指す技術分野に関する特許文献などは見当たらなかった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来、子どもの楽しんでいた塗り絵遊びが、最近では、大人の塗り絵として盛んに利用されるようになってきた。しかし、絵の対象となる題材の違いはあっても、画像を形どる輪郭線の中に色を塗っていくという面では、基本的にまったく同一である。即ち、輪郭線によって描かれ下絵画面に、別に設けた手本となる絵を模して色彩を塗っていく方法によるものである。そして、手本となる絵としては、現在の画家の描いた絵とか、昔から伝わる名画などが用いられている。
【0004】
しかし、これらの「大人の塗り絵」の利用者は、描画が好きであっても、描画の技術的な面ではまったくの素人という人が大半である。従って、塗り絵の手本となっている絵の美しさは感じ取っていても、いざそれを塗り絵の形で表現しようとしても、思い通りにうまく描画できないのが普通である。それは、塗り絵をする人の感性や描画技術が大きく関わっているが、中でも、手本の画面を構成している色彩をうまく作り出すことが出来ないためという技術の稚拙さが大きく関わっている。即ち、手本となっている画面は、市販の絵の具そのままの色彩ではなく、何種類かの絵の具の混色によって作り出したものである。ところが、塗り絵をしていく人には、その画面を構成している色彩を感じ取っていても、それがどの絵の具をどんな比率で混色したものかは分からないから、自分流に試行錯誤の混色を試みて塗り絵の描画しているのが現状である。
【0005】
塗り絵は、適当に色を塗って楽しめばそれで十分という人は、それはそれで一応の満足感を得ているが、繰り返し続けているうちに、もっと手本の絵のように描いてみたいと思うようになるものである。また、更に進んで、名画の素晴らしさ、名画の美しさに、もっと忠実に迫ってみたいとしいう欲求も当然起こってくる。
【0006】
これらの欲求に応えるためには、手本の絵の色彩を感覚的に捉え、適当に絵の具を混色していく従来からの手法では困難である。この点を解決するために、塗り絵の画面における、各ポイントの色彩の混色比率を混色レシピの形によって明示し、塗り絵手本により近い色彩再現を可能にしていくことを本発明の課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
複製絵画を模して描画する塗り絵において、複製絵画を印刷した複製絵画画面によって構成した塗り絵キャンパス下絵と塗り絵手本を設けたうえ、少なくともいずれか一方の複製絵画画面において、所要の各ポイント個所に色彩指示記号を記しておく。そして、別に設けた混色レシピ表によって、色彩指示記号を表示したポイントの色彩を表現するために必要な複数の絵の具の種類とその混色比率を明示して構成する。
【0008】
塗り絵キャンパス下絵に記した所定のポイント個所の色彩を、混色レシピ表によって指示された複数の絵の具を、所定の混色比率によって混色し作成し、塗り絵キャンバス下絵の塗り絵を行なう。
【0009】
色彩指示記号の表示の別な方法としては、色彩の基本色を数百種以上の特定の色彩として予め定めておき、複製絵画画面における所定の各ポイント個所に記す近似の色彩指示記号として利用する。そして、別に設けた混色レシピ表において、各色彩表示記号の示す色彩を作り出すために必要な複数の絵の具の混色比率を明示し、必要に応じて若干の混色指示を加える。
【0010】
また、塗り絵手本の所要の各ポイント個所に色彩指示記号を記すのに代えて、塗り絵手本の一端に設けた接合部によって開閉自在に透明シートを重ね合わせたうえ、透明シート面に、複製絵画画面の所要の各ポイント個所に対応する色彩指示記号を記し、両者を重ね合わせることにより、塗り絵手本の所要の各ポイント個所に色彩指示記号を明示するようにしてもよい。これによれば、必要に応じて、色彩指示記号の有無を選択可能な複製絵画画面の塗り絵手本として利用できる。
【発明の効果】
【0011】
塗り絵キャンパス下絵と塗り絵手本には、全く同じ複製絵画が印刷されており、そして、少なくともいずれか一方の複製絵画には、所要の各ポイント個所に色彩指示記号が記されている。従って、別に設けている混色レシピ表に記している色彩指示記号を参照すると、その色彩指示記号が示す色彩は、何と何の絵の具を、どんな混合比率で混色すれば作り出せるかが分かる。従って、塗り絵を描く人の色彩感覚の違いや描画技術の巧拙に関係なく、描こうとする複製絵画の色彩を、パレット上において、より近い色彩として作り出すことが可能となる。
【0012】
作り出した混色の絵の具は、複製絵画を印刷した塗り絵キャンパス下絵の所要のポイント個所に直接塗るか、あるいは、パレット面の絵の具の色に複製絵画画面の所定のポイントの色彩に直接を近づけることにより、容易に対比した比較が可能となる。そのうえで、色彩の微調整が必要と感じられれば、描画する人の感覚で、若干の混色修正を行ない、自分なりに納得できる色彩に修正していくこともできる。
【0013】
この塗り絵キャンパス下絵は、複製絵画を印刷した複製絵画画面によって構成されているから、一筆一筆の塗り絵描画の範囲や、その周辺の色彩の変化などの様子も感覚的に直接把握が可能である。従って、塗り絵手本を見ながら、輪郭線のみが描かれている塗り絵の紙面に塗っていく従来の方法とは違って、塗り絵手本の微妙な描画の変化を、より忠実に再現することが容易となる。
【0014】
しかも、塗り絵キャンパス下絵は、複製絵画を印刷した画面そのものであるから、塗り絵を行っていく感じは、塗り絵の最初の段階から、完成した描画の作品に修正の手を加えていくような形となる。従って、塗り絵を行っていく一塗り一塗りは、いつでも全体のバランスを意識した塗り方となっていくのは当然である。また、塗り絵の完成を待たなくてもさしたる不自然さは無く、そのまま壁面等に飾って眺めることも出来る。従って、塗り絵を描いたり、飾って眺めたりしながら、ゆっくりと楽しみながらの塗り絵を進められ、より塗り絵手本に近い作品に高めていくことが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明を実施するための最良の形態について述べる。
【実施例1】
【0016】
図1に示すように、複製絵画を印刷した複製絵画画面1によって構成される、塗り絵キャンパス下絵Aと塗り絵手本Bを設ける。次に、塗り絵キャンパス下絵Aに複製絵画画面1の色彩そっくりに混色した絵の具を塗ることを想定した場合に、色彩の混色指示の必要と思われるポイント個所を必要数選定し、その色彩を示す色彩指示記号2を記す。尚、色彩指示記号2は、塗り絵キャンパス下絵Aと塗り絵手本Bの両者に記してもよいし、あるいは、そのいずれか一方のみ、好ましくは、塗り絵キャンパス下絵Aだけに記しておいてもよい。尚、色彩指示記号2の記載は、所要のポイント個所から引出線によって別な個所に記してもよい。
【0017】
色彩指示記号2は、01,02,03・・・とか、A1,D13のような色彩そのものとは無関係な表現で表示し、塗り絵手本Bとは別に設けた混色レシピ表Cの色彩指示記号2と対応させる。あるいは後述のように、標準となる色彩を特定した色彩指示記号2として行ってもよい。
【0018】
混色レシピ表Cは、図2に示すように、色彩指示記号2の色彩を作り出すために必要な複数の絵の具の混色比率3を記載してある。ただ、現状としては、絵の具の種別や絵の具メーカーに関係なく、共通した色彩を表示する絵の具の色彩記号は存在していないことと、12色とか18色の絵の具セットを利用するのか、120色の絵の具セットなのかによって混色比率3が違ってくるという問題もある。従って、厳密には製造メーカーを指定したうえで、アクリル絵の具の18色の絵の具セットを前提とした混色比率とか、油絵の具の120色の絵の具セットを想定した混色比率というような配慮が必要となるであろう。そのうえで、更に必要に応じて、絵の具の濃淡の処理その他についての参考助言を加えれば、複製絵画の塗り絵を行うのに役立つものとなる。
【0019】
所望の色彩を作り出することは、何色の絵の具セットであっても理論的には可能であるが、描画に不慣れな人であっても、簡単に所望の色彩を近似的に作り出していくことを目指すと、8色とか12色の絵の具を混色していくよりは、80色とか100色・120色の絵の具を基本として微調整の混色を行う方が遥かに容易である。従って、本発明の塗り絵としては、たとえばアクリル絵の具の18色セットと100色セットの両者による場合の混色レシピを提供しておいて、塗り絵を楽しむ人の好みや力量によって使い分けを期待していくことが良い。
【0020】
複製絵画の色彩については、絵の具の種類をどれだけ増やしていっても、その絵の具のみで所望の色彩を表現することは不可能である。しかし、色彩的に見ると、数百から一千程度の色彩に分類して設定しておくと、近似的には、ほぼ近い色彩として指示することは可能である。この観点から、標準となる色彩をたとえば500種類とか800種類に分類した色彩記号として選定しておき、その色彩記号を、色彩指示記号2として利用すれば、複製絵画画面1における所定のポイント個所における色彩を、色彩記号を示す色彩指示記号2の形で近似的に示すことが可能となる。しかし、前述のように、絵の具の種類やメーカーによる差異もあるから、実際には、たとえばA社のアクリル絵の具の100色セットというように指定したうえで、絵の具の混色比率を示すことになろう。
【0021】
次に、本発明の実施例の利用法について述べる。まず、塗り絵キャンパス下絵Aにおいて、絵の具を塗っていく複製絵画画面1の各ポイント個所の色彩指示記号2を調べ、混色レシピ表Bによって、所定の絵の具の混色比率3を調べ、次に、パレット面上に、指示された複数の絵の具を、混色レシピ表Bの指示に従って搾り出し混色を行なう。これによる混色は、前述の理由で、近似的な混色となることは避けられない。従って、パレット上において混色したら、改めて、塗り絵キャンパス下絵Aにおける該当のポイント個所の色彩と対比し、若干の修正を行なうのが好ましい。その上で、塗り絵キャンパス下絵Aの該当のポイント個所に少し塗ってみて、更に対比して確かめ、必要なら再び混色を修正していく。これらの繰り返しで、かなり忠実に、複製絵画画面1の各ポイント個所の色彩に近づけることが可能となってくる。
【0022】
これらの手法によれば、素人の人であっても、複製絵画画面1における各主要ポイント個所の色彩混色を、ほぼ正確に再現していくことが可能となってくる。勿論、そのポイント個所を際限なく増やしていくことは無理もあり、実用的でもないから、描画を進めていくのに必要と思われるポイント個所のみに留め、それ以外の個所については、各ポイント個所の混色比率を参考にしながら所望の色彩を作り出していく。
【0023】
尚、塗り絵キャンパス下絵Aに絵の具を塗っていくことは、複製絵画を印刷した画面1の部分的な色重ねの形となり、前述ののように、複製絵画の画面全体とのバランスも配慮しながら進める塗り絵である。やがては、自分の塗っていった画面が大部分ということになってくるが、もともとの複製絵画の美しさや感じは、複製絵画による塗り絵手本Cを見ることによって可能で、更に、塗り絵手本Cの美しさを目指して挑戦を続けることが出来る。
【実施例2】
【0024】
実施例2について、図3によって説明する。まず、塗り絵手本Bのたとえば右端に接合部4を設けた、自由に開閉することの出来る透明シート5を設ける。次に、透明シート5上には色彩指示記号2を記し、塗り絵手本Bに重ね合わせることにより、塗り絵手本Bの所要の各ポイント個所に色彩指示記号2が対応できるようにする。
【0025】
これによって、塗り絵手本Bの上に透明シート5を重ねれば、実施例1と同様な、塗り絵手本Cのポイント個所に色彩指示記号2を記載した形となり、透明シート5をはぐれば、複製絵画の画面1のみとなる。従って、塗り絵キャンパス下絵Aを塗り進んで、塗り絵手本Bと比較する際には、色彩指示記号2の記載されていない複製絵画の印刷された画面1のみの形で利用が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】 本発明の実施例1を示す平面図。
【図2】 本発明の実施例1における混色レシピ表の一例を示す説明図。
【図3】 本発明の実施例2を示す説明図。
【符号の説明】
【0027】
A 塗り絵キャンパス下絵
B 塗り絵手本
C 混色レシピ表
1 画面
2 色彩指示記号
3 混色比率
4 接合部
5 透明シート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複製絵画を模して描画する塗り絵において、
複製絵画を印刷した複製絵画画面によって構成した塗り絵キャンパス下絵と塗り絵手本を設けたうえ、少なくともいずれか一方の複製絵画画面において、所要の各ポイント個所に色彩指示記号を記したものと、色彩指示記号の色彩を表現するために必要な複数の絵の具の混色比率を示した混色レシピ表によって構成し、
塗り絵キャンパス下絵の各ポイント個所の色彩を、混色レシピ表によって指示された絵の具の混色比率によって作成して塗り絵を行なうことを特徴とする複製絵画の塗り絵。
【請求項2】
複製絵画画面における所要の各ポイント個所に、色彩指示記号を記すに代えて、塗り絵手本の一端に設けた接合部によって開閉自在に透明シートを重ね合わせたうえ、透明シート面に、複製絵画画面の所要の各ポイント個所に対応する色彩指示記号を記したことを特徴とする請求項1記載の複製絵画の塗り絵。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2007−199645(P2007−199645A)
【公開日】平成19年8月9日(2007.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−49192(P2006−49192)
【出願日】平成18年1月29日(2006.1.29)
【出願人】(591064896)
【Fターム(参考)】