説明

複連アンプル払出装置

【課題】複連アンプル払出装置において、アンプルの切り離し動作を実行中に同一の複連アンプルを構成する残りのアンプルに跳ねを、簡易な機構で確実に防止する。
【解決手段】複連アンプル払出装置は、複連アンプル3を滑落させて搬送する搬送傾斜路13と、搬送傾斜路13の下端側に配置されて複連アンプル3の連結部2を切り離して1個ずつアンプル1を払い出す払出機構13を備える。払出機構13が連結部2を切り離す際にアンプル1の跳ねを防止するための主ストッパ41が設けられている。主ストッパ41は連結部2を切り離す際に残りのアンプル1に作用する反作用力に対して交差する方向に拡がる当たり面47を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複連アンプルからアンプルを1つずつ切り離して払い出すための複連アンプル払出装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、図13に示すように、合成樹脂製のアンプル1を、切り離し容易な切れ目(切り離し線2a)を有する薄板状の連結部2を介して複数連接してなる複連アンプル3が知られている。複連アンプル3を構成する個々のアンプル1は、外形が円柱状のアンプル本体101と、このアンプル本体101の先端側にテーパ部102を介して連結され、かつアンプル本体101よりも小径である外形が円柱状の首部103とを備えている。アンプル本体101、テーパ部102、及び首部103に薬液が封入されている。首部103の先端には栓104が設けられている。連結部2はアンプル1の先端側へ栓104を越えて延びており、栓104と首部103の連結部分の連接部2にはスリット2bが形成されている。切り離し線2aで一つのアンプル1を隣接するアンプル1から分離した後は、首部103と対応する部分の連接部2が開封操作用のつまみ105として機能する。
【0003】
この複連アンプル3からアンプル1を1つずつ切り離して払い出すための複連アンプル払出装置が、種々提案されている。この種の複連アンプル払出装置では、アンプルの切り離し動作を実行中に同一の複連アンプルを構成している残りのアンプルに変位ないし跳ねが生じるのを確実に防止することが必要である。アンプルの跳ねは、複連アンプル払出装置内での複連アンプルの詰まりや停滞の原因となり信頼性を低下させる。
【0004】
特許文献1に開示された複連アンプル払出装置は、複連アンプルを一方向に搬送するコンベアと、コンベアによる搬送方向下流側に配置されて複連アンプルから先頭のアンプルを切り離す一対のカッターロータと、先頭のアンプルが切り離される際に2番目のアンプルを位置決めすることで跳ねを防止する可動の位置決め機構とを備える。位置決め機構は、複連アンプルに対して離隔した位置と複連アンプルに接触する位置との間での移動を、カッターロータの回転と同期して繰り返す。この位置決め機構の繰り返し移動を実現するためには、カム機構のような比較的複雑な機構を採用する必要がある。
【0005】
特許文献2に開示された複連アンプル払出装置は、複連アンプルを自重によって滑落させて搬送する搬送傾斜路と、搬送傾斜路による搬送方向下流側に配置されて搬送傾斜路上で複連アンプルから先頭のアンプルを切り離す単一のカッターロータと、カッターロータが先頭のアンプルを切り離す際に残りのアンプルが搬送経路上で跳ねて上方に変化するのを規制する固定の規制部材とを備える。規制部材は固定であるので、特許文献2の複連アンプル払出装置が備える位置決め機構のような複雑な機構を採用する必要はない。しかし、この規制部材は、複連アンプルの通過を許容する間隔を隔てて搬送傾斜路の上方に配置され搬送傾斜路に対して平行に広がる面によってアンプルの跳ねを規制するので、搬送経路上でのあらゆる態様のアンプルの跳ねを確実に防止できない。具体的には、この規制部材は、搬送経路に対して垂直方向のアンプルの跳ねは規制できるが、搬送方向に対して直交する方向と搬送方向とは逆の方向との間の方向(斜め後方)へのアンプルの跳ねは効果的に規制できない。
【0006】
【特許文献1】特開2003−190256号公報
【特許文献2】国際公開第WO2004/034954号パンフレット(図8,図9,図10A)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、アンプルの切り離し動作を実行中に同一の複連アンプルを構成する残りのアンプルの跳ねを、簡易な機構で、かつ確実に防止することができる複連アンプル払出装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、連結部を介して複数のアンプルを連接してなる複数の複連アンプルが積層状態で収容されたストッカと、前記ストッカに収容された前記複連アンプルを、前記ストッカの下部から1個ずつ排出する排出機構と、前記排出機構により前記ストッカから排出されて上端側に載置された前記複連アンプルを自重によって前記上端側から下端側へ滑落させて搬送する搬送路と、前記搬送路の前記下端側に配置され、前記複連アンプルの前記連結部を切断して前記アンプルを1個ずつ順に払い出す払出機構と、前記払出機構による前記連結部の切断時に払い出される前記アンプル以外の残りの前記アンプルに作用する反作用力に対して交差する方向に拡がる当たり面を有する第1のストッパを有する跳ね防止機構とを備えることを特徴とする、複連アンプル払出装置を提供する。
【0009】
跳ね防止機構が有する第1のストッパの当たり面は、払出機構による連結部の切断時に払い出されるアンプル以外の残りのアンプルに作用する反作用力に対して交差する方向に拡がっているので、反作用力によって搬送傾斜路から浮き上がったアンプルは当たり面に確実に当たって搬送傾斜路上に戻される。よって、反作用力によるアンプルの跳ねを確実に防止できる。
【0010】
好ましくは、前記第1のストッパは少なくとも前記反作用力の方向の外力に対して変形可能であり、かつ前記外力がなくなると変形前のもとの形状に戻る。すなわち、第1のストッパは復元可能に変形するものであることが好ましい。
【0011】
払出機構による複連アンプルの連結部の切断時に払い出されるアンプル以外の残りのアンプルに作用する反作用力の向きは、個々の複連アンプル間の個体差等の条件によって微妙に変化する。第1ストッパが復元可能に変形することで、反作用力の微妙な変化があっても当たり面に確実にアンプルが当たって跳ねを防止できる。
【0012】
具体的には、前記第1のストッパは、少なくとも1個の回転関節と、この回転関節に連結された少なくとも1個の剛体部材とを備える。
【0013】
代案としては、前記第1のストッパは板ばねからなる。
【0014】
前記跳ね防止機構は、最後尾から2番目の前記アンプルを前記払出機構が切り離す際に、最後尾の前記アンプルよりも搬送方向下流側に位置する突出位置となる第2のストッパをさらに備えてもよい。
【0015】
この構成によれば、第1のストッパと第2のストッパが協働することにより、最後尾から2番目の前記アンプルを払出機構が切り離す際のアンプルの跳ねをより確実に防止できる。
【発明の効果】
【0016】
本発明の複連アンプル払出装置は、払出機構による複連アンプルの連結部の切断時に払い出されるアンプル以外の残りのアンプルに作用する反作用力に対して交差する方向に拡がる当たり面を有する第1のストッパを備える。そのため、アンプルの切り離し動作を実行中に同一の複連アンプルを構成する残りのアンプルの跳ねを、簡易な機構で、かつ確実に防止することができる。また、アンプルの跳ねに起因する複連アンプル払出装置内での複連アンプルの詰まりや停滞を防止でき、高い信頼性を実現できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
次に、添付図面を参照して本発明に実施形態を詳細に説明する。以下の説明において、複連アンプル払出装置に収容される複連アンプル3は、図13で示す5個のアンプル1から構成されたものとする。説明上必要がある場合、1個の複連アンプル3に含まれる5個のアンプル1を、後述する搬送方向Aの上流(先頭側)から順にアンプル1a,1b,1c,1dと呼ぶ。ただし、本発明は、図13に示す複連アンプル3に限定されず、4個以下又は6個以上のアンプルから構成される複連アンプルにも適用できる。
【0018】
(第1実施形態)
図1から図5に示す本発明の第1実施形態の複連アンプル払出装置は、複数の複連アンプル3が積層状態で収納されるストッカ11、ストッカ11の下部開口11aから複連アンプル3を順次1個ずつ排出する排出機構12、排出機構12によりストッカ11から排出された上端側に配置された複連アンプル3を下端側に向けて滑落させて搬送する搬送傾斜路13、搬送傾斜路13の下端側の上方に配置されて搬送傾斜路の上端側から下端側に搬送された複連アンプル3の連結部を切断して先頭のアンプルから順に払い出す払出機構14、及び払出機構14によりアンプル1を複連アンプル3から切り離す際にその複連アンプル3を構成する残りのアンプル1に変位ないし跳ねが生じるのを防止する跳ね防止機構15を備える。また、複連アンプル払出装置は、図4及び図5にのみ図示するコントローラ16を備え、このコントローラ16は、後述するセンサ36A,36Bの検出出力等に基づいて、後述する駆動モータ27,34を含む装置全体の動作を制御する。
【0019】
ストッカ11について説明する。ストッカ11は、全体として長尺な矩形筒状であり、下端側には複連アンプル1を取出可能な下端開口11aを備えるが上端側は閉鎖されている。図1に最も明瞭に表れているように、ストッカ11内には複数の複連アンプル3が鉛直方向ないしは上下方向(図においてZ方向)に積層状態で収納される。一つの複連アンプル3とその上下に位置する複連アンプル3とは個々のアンプル1の最上端と最下端どうしが互いに当接するように積層されている。このような積層状態で複連アンプル3を収納しているので、大型化することなくストッカ11内に多数の複連アンプル3を収納できる。
【0020】
図3に最も明瞭に表されているように、ストッカ11の内部には角筒状の3個の筒体17A,17B,17Cと1個の位置規制部材18によって、複連アンプル3の平面視での外形輪郭に沿う内壁が形成されている。複連アンプル3はストッカ11の前面には手動の扉19が設けられており、この扉19を開放してストッカ11の内部に複連アンプル3を格納できる。
【0021】
排出機構12について説明する。ストッカ11の下端開口11aの下側に排出機構12が設けられている。図4を参照すると、排出機構12はストッカ11の下端開口11aに対向して配設されたケース21を備え、このケース21の上面にストッカ11内の最下層の複連アンプル3が支持される。ケース21の内部空間には、ストッカ11内に収納された複連アンプル3のアンプル1の並列方向と直交する方向(図においてY軸方向)に延びる平行な一対のガイドレール22A,22Bが設けられている。これらのガイドレール22A,22Bによって、スライダ23がY軸方向に移動可能に支持されている。このスライダ23には押出し部材24が固定されている。押出し部材24はその上部に1個の複連アンプル3が備えるアンプル1に対応して、複数個(本実施形態では5個)の押出し片24aを備えている。各押出し片24aは溝孔21aからケース21の外部に突出している。スライダ23の下面にはストッカ11に収容された複連アンプル3のアンプル1の並列方向(図においてX軸方向)に延びる直線状の溝23aが形成されている。この溝23a内にはカムローラ25が収容されている。カムローラ25を支持するプレート26は駆動モータ27の出力軸27aに固定されている。駆動モータ27はケース21の下面に固定されており、出力軸27aは鉛直方向に延びてケース21の内部空間に突出している。
【0022】
駆動モータ27が作動して出力軸27aが回転するとカムローラ25と溝23aの係合によりスライダ23がガイドレール22A,22B上を往復移し、それによって押出し部材24がY軸方向に往復移動する。図2を参照すると、押出し部材28が初期位置にあるときには、実線で示すように押出し片24aは最も下層側の複連アンプル3を構成する5個のアンプル1の基端側に位置している。一方、押出し部材24が初期位置から最も離れた位置にあるときには、二点鎖線で示すように押出し片方24aはケース21のY軸方向の縁部付近まで移動する。押出し部材24がこの位置まで移動すると、押出し片24aによりY軸方向に押された複連アンプル3がケース21の上面から搬送傾斜路13の上端側へ落下する。
【0023】
ストッカ11の下部から複連アンプル3を順次1個ずつ排出する機能を果たす限り、排出機構12の具体的な構造は特に限定されない。
【0024】
搬送傾斜路13について説明する。搬送傾斜路13はストッカ11の下部開口11aの下方に配設されており、図1に最も明瞭に示されているように、ストッカ11に収納された複連アンプル3のアンプル1の並設方向(図においてX軸方向)に延びている。搬送傾斜路13はストッカ11の背面側(扉19とは反対側)の出口28を通って外部まで延びている。出口28を搬送傾斜路13上で搬送される複連アンプル3の通過を許容するために必要最小限の寸法に制限するために、ストッカ11の下端部の内壁に出口プレート29が取り付けられている。本実施形態では、搬送傾斜路13は、水平方向に延びる水平部13aと、この水平部13aと連続して設けられた傾斜部13bとを備えている。傾斜部13bの上面は下向きに傾斜した平坦面である。排出機構12によってストッカ11から搬送傾斜路13上に落下した複連アンプル3は、傾斜部13bの上面を払出機構14が配設されている下端側に向けて滑落し、矢印Aで示すように図においてX軸方向に搬送される。搬送傾斜路13の両側には、複連アンプル3の脱落を防止するためのガイドプレート31が設けられている。
【0025】
傾斜部13bの傾斜角度は、複連アンプル3が自重によって上端側から下端側に向けて確実に滑落するように設定されている。傾斜部13bの最上端位置(水平部13aと傾斜部13bの接続位置)は、ストッカ11から落下した複連アンプル3が搬送傾斜路13上に載置されたときの複連アンプル3の重心に対して、複連アンプル3の搬送方向Aの上流側に位置している。そのため、ストッカ11から落下した複連アンプル3は、確実に搬送傾斜路13上を滑落して搬送される。
【0026】
搬送傾斜路14を滑落することにより複連アンプル3が払出機構14に向けて搬送されるので、ストッカ11から払出機構14へ複連アンプル3を搬送するためのコンベア等の複雑な機構を設ける必要がない。つまり、簡易な構成で複連アンプル3を搬送できる。
【0027】
払出機構14について説明する。図1、図2、図4、及び図5を参照すると、払出機構14は複連アンプル3の搬送方向Aと直交する方向(図においてY軸方向)に延びるロータ32を備えている。ロータ32は断面略C字形で、一方の側縁部に切刃32aが形成され、この切刃32aから他方の側縁部に向かって内面及び外面が円弧状に湾曲して延びている。また、ロータ32は回転軸32bを有し、この回転軸32bに固定されたギア33Aは、駆動モータ34の出力軸34aに固定されたギア33Bと噛み合っている。よって、駆動モータ34が作動すると、ロータ32が回転軸32b回りに矢印B方向に回転する。
【0028】
払出機構14は、搬送傾斜路13の傾斜部13bに設けられた溝孔13c,13dから突出する突出位置と、搬送傾斜路13の下方に格納される格納位置とに回動変位可能な検出片35A,35Bを備えている。検出片35A,35Bは図示しないばねにより図4及び図5において反時計方向に付勢されることにより通常時は突出位置にあり、アンプル1が通過する時のみ格納位置となる。検出片35A,35Bが格納位置となったことを検出するセンサ36A,36Bが設けられ、これらのセンサ36A,36Bの検出出力はコントローラ16に入力される。一方の検出片35A及びセンサ36Aはロータ32よりも複連アンプル3の搬送方向Aの上流側(ストッカ11側)に配設され、払出機構14に複連アンプル3が供給されたことを検出する機能を有する。他方の検出片35B及びセンサ36Bはロータ32よりも複連アンプル3の搬送方向Aの下流側に配設され、後述するようにエラー検出機能を有する。
【0029】
跳ね防止機構15を除く複連アンプル払出装置の全体的な動作を説明する。排出機構12の駆動モータ27が作動するとスライダ23と連動して押出し部材24が図においてX軸方向に往復移動する。この往復移動により、ストッカ11中の最下層の複連アンプル3が押出し部材24に押され、ストッカ11の下端開口11aから搬送傾斜路13の上端側に落下する。ストッカ11から落下して搬送傾斜路13上に載置された複連アンプル3は、自重によって傾斜部13b上を下端側に向けて滑落し、払出機構14に向けて搬送される。
【0030】
傾斜部13b上を搬送される複連アンプル3の先端が検査片35Aを通過したことをセンサ36Aが検出すると、所要のタイミングで駆動モータ34が作動しロータ32が回転を開始する。その結果、図4に示すように、ロータ31の内部に複連アンプル3の先頭のアンプル1aが配置され、ロータ31がさらに回転すると切刃31aによって切り離し線2aが切断される。切り離された先頭のアンプル1aは傾斜部13b上をさらに滑落し、装置外に払い出される。
【0031】
先頭から2番目から4番目までのアンプル1b〜1dも同様にしてロータ31によって切り離される。ロータ31によって正常にアンプル1が切り離されていれば、検出片35Bが格納位置となるので、センサ36Bによってアンプル1の通過が検出される。コントローラ16はセンサ36Bがアンプル1の通過を検出しない場合には、エラー発生であると判断して装置の動作を停止する。
【0032】
跳ね防止機構15について説明する。図5を参照すると、跳ね防止機構15は、ストッパ(第1のストッパ)41とレバー(第2のストッパ)42とを備える。主ストッパ41は払出機構14のロータ32よりも複連アンプル3の搬送方向Aの上流側に配置され、レバー42は主ストッパ41よりもさらに複連アンプル3の搬送方向Aの上流側に配置されている。
【0033】
図7を併せて参照すると、本実施形態は共に剛体である2つのプレート43,44と2つのヒンジ45,46を備える。ヒンジ45,46は搬送傾斜路13上での複連アンプル3の搬送方向Aに対して直交する方向(図においてY方向)に延びる軸線を有する。面部材43は鈍角の折れ曲がり部を有し、この折れ曲がり部がヒンジ45を介して出口28の上方で固定されている。プレート43はヒンジ45を支点してある程度の角度範囲で回動自在である。プレート43の下端側にはヒンジ46を介してプレート44の上端が連結されている。プレート44もヒンジ46を支点としてある程度の角度範囲で回動自在である。面部材44の図において右側の面は当たり面47として機能する。後に詳述するように、この当たり面47にアンプル1が当たることでアンプル1の跳ねが防止される。
【0034】
プレート43,44の形状、寸法、及び位置は、外力が作用しないときにプレート43,44が図5及び図7の実線で示す姿勢となるように設定されている。このときの当たり面47は排出機構12のロータ32が複連アンプル3の連結部3を切断する際に払い出されるアンプル1以外の残りのアンプル1に作用する反作用力F(図8B及び9E参照)に対して交差する方向に拡がっている。また、このときの当たり面47の下端はロータ32による切り離し動作を実行中の先頭のアンプル1から数えて2番目のアンプル1と3番目のアンプル1との間の連結部2の上方に位置している。
【0035】
図7において、一点鎖線及び二点鎖線で図示しているように、ヒンジ45,46回りにプレート43,44が回動することで、主ストッパ41の形状は少なくとも後述する反作用力Fの方向の外力に対して柔軟に変化する。また、この外力が作用しなくなるとヒンジ45,46回りの回動によってプレート43,44の姿勢が外力作用前の状態に戻るように、プレート43,44の寸法及び形状や、ヒンジ45,46の位置を設定している。つまり、主ストッパ41は少なくとも後述する反作用力Fの方向の外力に対して復元可能に変形する。特に、この主ストッパ41の形状変化により当たり面47の姿勢が柔軟に変化する。
【0036】
レバー42は湾曲ないし屈曲した形状を有している。レバー42の基端側は搬送傾斜路13の下側に配置されて複連アンプル3の搬送方向Aに対して直交する方向(図においてY軸方向)に延びる支軸51に支持されており、先端側が搬送傾斜路13の傾斜部13bに設けられた図示しない溝孔から傾斜部13b上に突出する傾斜部突出位置と、先端側が搬送傾斜路13の下方に格納される格納位置とに回動変位可能である。また、レバー42はばね52によって図5において反時計方向に付勢されているので、外力が作用していない時には先端側が突出位置にあり、アンプル1が通過する時のみアンプル1の自重に押されて先端側が格納位置となる。レバー42の形状、寸法、及び位置は、図9Aから図9Gに示すように、最後尾から2番目(先頭から4番目)のアンプル1dを払出機構13で切り離す際(1つの複連アンプル1のうち払い出されていない残りのアンプル1が2個の際)に、最後尾(先頭から5番目)のアンプル1eよりも、突出位置にある先端側が複連アンプル3の搬送方向上流側に位置するように設定している。
【0037】
図8Aから図8Dを参照して、1つの複連アンプル1の最後尾から3番目(先頭から3番目)のアンプル1cを払出機構13で切り離す際(1つの複連アンプル1のうち払い出されていない残りのアンプル1が3個の際)の、跳ね防止機構15の動作を説明する。搬送傾斜路13上を搬送されてきた複連アンプル3の先頭のアンプル1cが回転するロータ32内に入り(図8A)、ロータ32の切刃32aは先頭のアンプル1cと2番目のアンプル1cと3番目のアンプル1dの間の連結部2を搬送傾斜路13の上面に対して直交する向きの剪断力を加える。この剪断力によりアンプル1c,1d間の連結部2が切り離される(図8B)。このとき切り離された先頭のアンプル1c以外の残りの2つのアンプル1d,1eには剪断力に対する反作用力Fが作用する。この反作用力Fの向きは、搬送方向Aと逆の方向と鉛直方向上向きの間にある。また、アンプル1c,1dの下側に当接しているレバー42にはばね52により図において反時計方向の付勢力が作用しており、レバー42がアンプル1c,1dを上向きに押している。そのため、反作用力Fによってアンプル1d,1eは搬送傾斜路13上から浮き上がろうとする(図8C)。しかし、アンプル1d,1eは反作用力Fに対して交差する方向に拡がっている主ストッパ41の当たり面47に当たり確実に搬送傾斜路13上に戻される(図8D)。
【0038】
反作用力Fの向きは、個々の複連アンプル3の個体差等の条件によって微妙に変化する。しかし、主ストッパ41は前述のように柔軟に変形可能であるので、反作用力Fに微妙な変化があっても当たり面47に確実にアンプル1d,1eが当たり搬送傾斜路13上に戻す。
【0039】
このように跳ね防止機構15が備える主ストッパ41によって、1つの複連アンプル1のうち払い出されていない残りのアンプル1が3個の際のアンプル1の跳ねが確実に防止される。
【0040】
図9Aから図9Gを参照して、1つの複連アンプル1の最後尾から2番目(先頭から4番目)のアンプル1dを払出機構13で切り離す際(1つの複連アンプル1のうち払い出されていない残りのアンプル1が2個の際)の、跳ね防止機構15の動作を説明する。搬送経路13上を搬送されてきた複連アンプル3の先頭のアンプル1dが回転するロータ32内に入り(図9Aから図9C)、ロータ32の切刃32aは先頭のアンプル1dと2番目のアンプル1eの間の連結部2に剪断力を加える(図9D)。この剪断力によりアンプル1d,1e間の連結部2が切り離される(図9E)。反作用力Fによってアンプル1eは搬送傾斜路13上から浮き上がろうとするが、突出位置にあるレバー42の先端と主ストッパ41の当たり面47との当たった搬送傾斜路13上に戻される(図9F〜図9G)。
【0041】
このように跳ね防止機構15が備えるレバー42と主ストッパ41が協働することにより、1つの複連アンプル1のうち払い出されていない残りのアンプル1が4個の際のアンプル1の跳ねが確実に防止される。
【0042】
1つの複連アンプル1の最後尾から3番目及び4番目(先頭及び先頭から2番目)のアンプル1a,1bを払出機構13で切り離す際(1つの複連アンプル1のうち払い出されていない残りのアンプル1が5個及び4個の際)には、払出機構13で切断されるアンプル1a,1bよりも搬送方向Aの下流側に4個又は5個のアンプル1c〜1eが残っている。つまり、残りのアンプル1c〜1eの個数が多く重い。そのため、これらのアンプル1c〜1eは自重により搬送傾斜路13上に載った状態を維持し、跳ねは生じにくい。また、これらのアンプル1c〜1eに跳ねが生じた場合にも、前述の残りのアンプル1が3個の場合と同様に、主ストッパ41の当たり面47に当たって搬送傾斜路13上に落下する。
【0043】
以上ように、本実施形態の複連アンプル払出装置が備える跳ね防止機構15は、残りのアンプル1の個数にかかわらず、アンプル1の切り離し動作を払出機構13が実行中に同一の複連アンプル3を構成する残りのアンプル1の跳ねを、確実に防止できる。また、アンプル1の跳ねに起因する複連アンプル払出装置内での複連アンプル3の詰まりや停滞を防止でき、高い信頼性を実現できる。しかも、主ストッパ41とレバー42はいずれもモータ等を含む駆動機構により駆動する必要のない簡易な構成である。つまり、本実施形態の複連アンプル払出装置が備える跳ね防止機構15は、払出機構12によるアンプル1の切り離し動作中のアンプル1の跳ねを、簡易な機構で、かつ確実に防止できる。
【0044】
切り離し時の作用・反作用によってアンプル1が跳ね返ってストッカ11側に戻される場合があるが、払出機構13のロータ41は搬送傾斜路14の上方に設けられているので、跳ね返ったアンプル1は自重によって搬送傾斜路14上を滑落してロータ41に戻る。従って、アンプル1の跳ね返りに起因する故障等を防止することができる。
【0045】
図10は第1実施形態の複連アンプル払出装置の変形例を示す。この変形例では、搬送傾斜路13が円弧状の曲面である。複連アンプル3を滑落させて搬送できる限り搬送傾斜路13の構造は特に限定されない。具体的には、搬送傾斜路は、水平な平坦面、傾斜した平坦面、曲面等として構成できる。
【0046】
(第2実施形態)
図11及び図12を参照すると、本発明の第2実施形態の複合アンプル払出装置は、跳ね防止機構15の主ストッパ61は弾性的に変形可能で可撓性を有する板ばねである。この板ばねからなる主ストッパ61は出口28の上方に固定された鉛直方向に延びる固定部61aと、この固定部61の下端から図において左斜め下向きに延びる可撓部61bを備える。可撓部61bの図において左側の面が当たり面62を構成している。この当たり面62は反作用力Fに対して交差する方向に拡がっている。本実施形態のように板ばねによって構成した主ストッパ61は、少なくとも反作用方向Fの方向の外力に対して弾性的に変形し、かつ外力がなくなると外力作用前の形状に復帰する。
【0047】
第2実施形態のその他の構成及び作用は第1実施形態と同様である。本実施形態の場合も、搬送傾斜路13は円弧状の曲面(図10参照)を含む他の形態であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明の第1実施形態の複連アンプル払出装置を示す縦断面図。
【図2】図2は本発明の第1実施形態の複連アンプル払出装置を示す図1のII−II線での断面図。
【図3】図3は本発明の第1実施形態の複連アンプル払出装置を示す図1のIII−III線での断面図
【図4】払出機構を示す部分拡大断面図。
【図5】跳ね防止機構を示す部分拡大断面図。
【図6】図5の矢印VIでの矢視図。
【図7】第1実施形態における主ストッパの拡大図。
【図8A】残りのアンプルが3個の場合の払出機構の動作を示す部分拡大断面図。
【図8B】残りのアンプルが3個の場合の払出機構の動作を示す部分拡大断面図。
【図8C】残りのアンプルが3個の場合の払出機構の動作を示す部分拡大断面図。
【図8D】残りのアンプルが3個の場合の払出機構の動作を示す部分拡大断面図。
【図9A】残りのアンプルが2個の場合の払出機構の動作を示す部分拡大断面図。
【図9B】残りのアンプルが2個の場合の払出機構の動作を示す部分拡大断面図。
【図9C】残りのアンプルが2個の場合の払出機構の動作を示す部分拡大断面図。
【図9D】残りのアンプルが2個の場合の払出機構の動作を示す部分拡大断面図。
【図9E】残りのアンプルが2個の場合の払出機構の動作を示す部分拡大断面図。
【図9F】残りのアンプルが2個の場合の払出機構の動作を示す部分拡大断面図。
【図9G】残りのアンプルが2個の場合の払出機構の動作を示す部分拡大断面図。
【図10】第1実施形態の変形例を示す部分拡大断面図。
【図11】本発明の第2実施形態の複連アンプル払出装置の払出機構を示す部分拡大断面図。
【図12】第2実施形態における主ストッパの拡大図。
【図13】複連アンプルの一例を示す斜視図。
【符号の説明】
【0049】
1 アンプル
101 アンプル本体
102 テーパ部
103 首部
104 栓
105 つまみ
2 連結部
2a 切り離し線
2b スリット
3 複連アンプル
11 ストッカ
11a 下端開口
12 排出機構
13搬送傾斜路
13a 水平部
13b 傾斜部
13c,13d 溝孔
14 払出機構
15 跳ね防止機構
16 コントローラ
17A,17B,17C 筒体
18 位置規制部材
19 扉
20 出口
21 ケース
21a 溝孔
22A,22B ガイドレール
23 スライダ
23a 溝
24 押出し部材
24a 押出し片
25 カムローラ
26 プレート
27 駆動モータ
27a 出力軸
28 出口
29 出口プレート
31 ガイドプレート
32 ロータ
32a 切刃
32b 回転軸
33A,33B ギア
34 駆動モータ
34a 出力軸
35A,35B 検出片
36A,36B センサ
41 主ストッパ
42 レバー
43,44 プレート
45,46 ヒンジ
47 当たり面
51 支軸
52 ばね
61 主ストッパ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
連結部を介して複数のアンプルを連接してなる複数の複連アンプルが積層状態で収容されたストッカと、
前記ストッカに収容された前記複連アンプルを、前記ストッカの下部から1個ずつ排出する排出機構と、
前記排出機構により前記ストッカから排出されて上端側に載置された前記複連アンプルを自重によって前記上端側から下端側へ滑落させて搬送する搬送路と、
前記搬送路の前記下端側に配置され、前記複連アンプルの前記連結部を切断して前記アンプルを1個ずつ順に払い出す払出機構と、
前記払出機構による前記連結部の切断時に払い出される前記アンプル以外の残りの前記アンプルに作用する反作用力に対して交差する方向に拡がる当たり面を有する第1のストッパを有する跳ね防止機構と
を備えることを特徴とする、複連アンプル払出装置。
【請求項2】
前記第1のストッパは、少なくとも前記反作用力の方向の外力に対して変形可能であり、かつ前記外力がなくなると変形前のもとの形状に戻るものであることを特徴する、請求項1に記載の複連アンプル払出装置。
【請求項3】
前記第1のストッパは、少なくとも1個の回転関節と、この回転関節に連結された少なくとも1個の剛体部材とを備えることを特徴とする、請求項2に記載の複連アンプル払出装置。
【請求項4】
前記第1のストッパは板ばねからなることを特徴とする、請求項2に記載の複連アンプル払出装置。
【請求項5】
前記跳ね防止機構は、最後尾から2番目の前記アンプルを前記払出機構が切り離す際に、最後尾の前記アンプルよりも搬送方向下流側に位置する突出位置となる第2のストッパをさらに備えることを特徴とする、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の複連アンプル払出装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8A】
image rotate

【図8B】
image rotate

【図8C】
image rotate

【図8D】
image rotate

【図9A】
image rotate

【図9B】
image rotate

【図9C】
image rotate

【図9D】
image rotate

【図9E】
image rotate

【図9F】
image rotate

【図9G】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate


【公開番号】特開2010−5028(P2010−5028A)
【公開日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−165972(P2008−165972)
【出願日】平成20年6月25日(2008.6.25)
【出願人】(592246705)株式会社湯山製作所 (202)
【Fターム(参考)】