説明

視聴データ取得システムおよび視聴データ取得方法

【課題】 手間を掛けることなく視聴データを取得することができ、しかも広告スポンサーが望む精度の高い視聴データ取得の技術を提供する。
【解決手段】 地上放送波等の映像データを受信するケーブルテレビセンターと、そのケーブルテレビセンターとは伝送路にて接続された無線LAN基地局からは物理的に離れた位置にある加入者宅のユーザ端末から無線接続されることで映像データを配信するシステムである。映像データをデジタル信号へとエンコードするリアルタイムエンコーダと、そのリアルタイムエンコーダに接続され、ユーザ端末からのチャンネル接続要求に応じて、ユーザの所望するチャンネルへと接続してユーザ端末の視聴データを取得可能なコントロールサーバと、前記チャンネル接続要求を視聴データログとして記憶する視聴データログ記憶手段とを備え、視聴データは、チャンネルデータ、視聴開始時間データおよび視聴終了時間データ含んで構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、視聴データ取得技術に関し、特にケーブルテレビを使用した視聴データ取得技術に関する。
【背景技術】
【0002】
地上放送波などに代表されるテレビ番組は、NHKを除いて宣伝広告(以下、CMと表記する)を目的とする企業が広告スポンサーとなって番組制作費用やテレビ局の運営費用を拠出することで運営されている。この広告スポンサーは、多数の視聴者に見られている(もしくは見られると予想される)人気テレビ番組のスポンサーになることを望んでいる。いわゆる視聴率が高いテレビ番組であれば視聴者数が多く、テレビ番組の合間に放送されるCMが多数の視聴者の記憶に残り、自社のCM効果が向上するからである。
このような視聴率の調査を目的とした技術として、例えば、以下のような視聴率調査システムがある。
【0003】
【特許文献1】特開2001−298433号公報
【0004】
上記特許文献1に開示されている技術は、調査対象家庭へ設置するハードウェアの負担を軽減し、調査対象家庭へ送信するデータ作成の負担も軽減することが可能とすることができる技術である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1にも記載されているように、現在の視聴率の調査は、調査対象家庭に視聴率調査用のハードウェアを設置している。そして、ハードウェアは、視聴者がどのチャンネルを何時から何時までついていたのかということを記録し、その記録したデータ(以下、視聴データと表記する)、をセンターに送信する。センターでは、送られてきた視聴データを集計することによって視聴率を算出している。
【0006】
しかしながら、上記のような視聴率の算出方法は、視聴率調査用のハードウェアの設置を含めて非常に手間が掛かる。
また、調査対象地域も関東エリアの数百世帯などと、非常に限定的な方法がとられていたため、広告スポンサーが欲する情報としては十分とは言えなかった。例えば、広告スポンサーに係る広告対象商品が若年女性向けの商品であるとしても、若年女性の視聴率が高いかどうか、というデータは視聴率からは取得できないのである。
したがって、手間を掛けることなく視聴データを取得することができ、しかも広告スポンサーが望む精度の高い視聴データの取得が望まれていた。
【0007】
本発明は、手間を掛けることなく視聴データを取得することができ、しかも広告スポンサーが望む精度の高い視聴データ取得の技術を提供することにある。
請求項1から請求項5に記載の発明は、手間を掛けることなく視聴データを取得することができ、しかも広告スポンサーが望む精度の高い視聴データの取得が可能な視聴データ取得システムを提供することを目的とする。
請求項6に記載の発明は、手間を掛けることなく視聴データを取得することができ、しかも広告スポンサーが望む精度の高い視聴データの取得が可能なプロセス発明を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(請求項1)
請求項1記載の本発明では、地上放送波および衛星放送波の映像データを受信するケーブルテレビセンターと、そのケーブルテレビセンターとは伝送路にて接続された無線LAN基地局からは物理的に離れた位置にある加入者宅のユーザ端末から無線接続されることで映像データを配信する視聴データ取得システムを提供する。
すなわち、前記映像データをリアルタイムにデジタル信号へとエンコードするリアルタイムエンコーダと、そのリアルタイムエンコーダに接続され、前記ユーザ端末からのチャンネル接続要求に応じて、ユーザの所望するチャンネルへと接続してユーザ端末の視聴データを取得可能なコントロールサーバと、前記ユーザ端末からのチャンネル接続要求を視聴データログとして記憶する視聴データログ記憶手段とを備え、前記視聴データは、チャンネルデータ、視聴開始時間データおよび視聴終了時間データ含んで構成される視聴データ取得システムに係る。
【0009】
(用語説明)
「ユーザ端末」とは、テレビジョンに接続され、無線接続機能を備えた機器(以下、セットトップボックス)やテレビチューナ付きのパソコンのことである。また、セットトップボックスには、複数のテレビチューナ、ハードディスクドライブ、デジタルカメラおよび家電製品の各種制御を行う制御装置が内蔵されている場合もある。なお、ユーザ端末が複数ある場合はハブも含まれることになる。
「チャンネル接続要求」とは、例えば、「地上放送波VHFの8チャンネル」などのユーザが所望するチャンネルデータである。
「リアルタイムエンコーダ」とは、放送用アンテナから受信したアナログ信号の映像データをリアルタイムにデジタル信号の映像データへとエンコードする機器である。このリアルタイムエンコーダには、地上放送波VHF、地上放送波UHF、衛星放送波BSおよび衛星放送波CSの各種放送波に対応している。
「コントロールサーバ」とは、ユーザ端末から送信されたチャンネル接続要求に応じて、地上放送波や衛星放送波などに分別された所定のリアルタイムエンコーダに振り分ける機能を有している。また、どのリアルタイムエンコーダのどのチャンネルに何時から何時まで視聴されたかの視聴データを取得する視聴データログ取得機能と、その視聴データログを記憶する記憶手段とを備えている。この記憶手段としては、ハードディスクなどのことである。
「無線LAN基地局」とは、無線LANのアクセスポイントのことである。この無線LAN基地局に対して、ユーザ端末の無線接続機能がアクセスして通信リンクを確立する。
【0010】
(作用)
ユーザ端末が無線LAN基地局に無線接続し、通信リンクを確立する。無線LAN基地局から伝送路を介してケーブルテレビセンター内のコントロールサーバに接続する。コントロールサーバがユーザ端末から送信されるチャンネル接続要求を受信する。コントロールサーバは、そのチャンネル接続要求に応じた適切なリアルタイムエンコーダへと振り分ける。リアルタイムエンコーダは、コントロールサーバからのチャンネル接続要求を受信すると、地上放送波または衛星放送波のアナログ信号の映像データをリアルタイムにデジタル信号の映像データへとエンコードする。コントロールサーバに備えられた視聴データログ記憶手段が、チャンネルデータ、視聴開始時間データおよび視聴終了時間データが含まれた視聴データを視聴データログとして記憶する。
すなわち、ケーブルテレビセンターが提供するテレビ映像を視聴するユーザは、コントロールサーバにアクセスする必要がある。コントロールサーバでは、ユーザがアクセスした時点で視聴データログが取得可能となる。したがって、容易に視聴データログを取得することができる。また、ケーブルテレビセンターを利用しているユーザの全ての視聴データログを取得することができるため、視聴データの精度が非常に高くなっている。これにより、広告スポンサーにとって効果的な視聴データを提供することができる。
【0011】
(請求項2)
請求項2の発明は、請求項1に記載の視聴データ取得システムを限定したものであり、
前記ユーザ端末に対し、前記コントロールサーバが取得した視聴データ以外の属性データの取得の是非を確認する属性データ取得確認手段と、その属性データ取得確認手段が容認され、前記属性データを取得できた場合には、所定の特典を与えるためのデータを保存する特典付与データ記憶手段とを備えたことを特徴とする。
【0012】
(用語説明)
「視聴データ以外の属性データ」とは、ユーザの居住地域、年齢、性別などのデータのことである。また、これらにアンケートなどを含めても良い。
「所定の特典」とは、システム利用料の割引サービスや映画を視聴した場合には、その映画のプレミアム映像などを与えることなどである。また、他の請求項で特定するが、プレゼントなどを提示してユーザが任意に選択できるようにしても良い。
(作用)
請求項2に記載の発明によれば、ユーザデータ取得確認手段がユーザ端末に対し、コントロールサーバが取得した視聴データ以外の属性データの取得の是非を確認する。ユーザ端末からの容認データを受信し、属性データの受信が確認できると、特典付与データ記憶手段が所定の特典を与えるためのデータを保存する。すなわち、ユーザは、属性データを提供することで、各種の特典が得られる。また、システム側は、視聴データのほか、地域、年代別および性別などのユーザの詳細データの取得が可能となる。このため、広告スポンサーにとって付加価値の高いデータを提供することができる。
【0013】
(請求項3)
請求項3記載の発明は、請求項1に記載の視聴データ取得システムを限定したものであり、
前記所定の特典は、複数種類を用意するとともに、前記ユーザ端末に対して当該複数の所定の特典を選択させることを要求する選択要求データ送信手段と、その選択要求データ送信が送信した選択データを受信する選択データ受信手段とを備え、前記選択データは、特典付与データ記憶手段に記憶させることとした。
【0014】
(作用)
選択要求データ送信手段がユーザ端末に対して複数種類の所定の特典を選択させる。選択データ受信手段がユーザによって選択された選択データを受信する。ここで受信した選択データは、特典付与データ記憶手段に記憶される。
【0015】
(請求項4)
請求項4に記載の発明は、請求項1に記載の視聴データ取得システムを限定したものであり、
前記ハブと無線LAN基地局とを敷設する伝送路が光ファイバ網で形成され、前記伝送路の両端に異なる伝送媒体を接続し、アナログ信号およびデジタル信号を相互に変換するメディアコンバータが設置されていることを特徴とする。
【0016】
(用語説明)
「メディアコンバータ」とは、異なる伝送媒体(例えば光ファイバと銅線ケーブル)を接続し、アナログ信号からデジタル信号へ、デジタル信号からアナログ信号へと信号を相互に変換する装置のことである。また、銅線を流れてきた信号を光ファイバに変換して、イーサネット(登録商標、以下同じ)を数十キロにわたって長距離伝送する製品などもある。
(作用)
請求項4に記載の発明によれば、伝送路が光ファイバ網で形成され、ハブと無線LAN基地局との間にメディアコンバータが設置されている。すなわち、メディアコンバータが設置されていることで、すでに普及が進み安価に導入可能なイーサネット製品を利用して光ファイバによるインターネットアクセスが可能となる。
【0017】
(請求項5)
請求項5に記載の発明は、請求項1から請求項4に記載の視聴データ取得システムを限定したものであり、
前記リアルタイムエンコーダでエンコーディングされた映像データを一時的に保存する送出用サーバを備えたことを特徴とする。
【0018】
(作用)
請求項5に記載の発明によれば、送出用サーバがリアルタイムエンコーダでエンコーディングされた映像データを一時的に保存する機能を有する。また、送出用サーバは、ビデオ・オン・デマンドなどの映像データの蓄積機能を有するサーバに接続される場合もある。また、送出用サーバの保存機能は、コントロールサーバに備えることも可能となっている。
【0019】
(請求項6)
請求項6に記載の発明は、地上放送波および衛星放送波の映像データを受信するケーブルテレビセンターと、そのケーブルテレビセンターとは伝送路にて接続された無線LAN基地局からは物理的に離れた位置にある加入者宅のユーザ端末から無線接続されることで映像データを配信する視聴データ取得方法を提供する。
すなわち、リアルタイムエンコーダが前記映像データをリアルタイムにデジタル信号へとエンコードする手順と、前記リアルタイムエンコーダに接続されたコントロールサーバが、前記ユーザ端末からのチャンネル接続要求に応じて、ユーザの所望するチャンネルへと接続してユーザ端末の視聴データを取得可能な手順と、視聴データログ記憶手段が前記ユーザ端末からのチャンネル接続要求を視聴データログとして記憶する手順とを備え、前記視聴データは、チャンネルデータ、視聴開始時間データおよび視聴終了時間データ含んで構成される視聴データ取得方法に係る。
【発明の効果】
【0020】
請求項1から請求項5に記載の発明によれば、手間を掛けることなく視聴データを取得することができ、しかも広告スポンサーが望む精度の高い視聴データの取得が可能なシステムを提供することができた。
請求項6に記載の発明によれば、手間を掛けることなく視聴データを取得することができ、しかも広告スポンサーが望む精度の高い視聴データの取得が可能なプロセスを提供することができた。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、図面に示した本発明の実施形態に基づき、本発明をさらに詳細に説明する。ここで使用する図面は、図1から図3である。図1は、実施形態の全体構成を示す概略図であり、図2は、実施形態の全体構成を示すブロック図であり、図3は、属性データの取得手順を示したフローチャートである。
【0022】
(図1および図2)
図1および図2に示すように、視聴データ取得システムは、地上放送波および衛星放送波の映像データを受信するケーブルテレビセンターと、そのケーブルテレビセンターと伝送路にて接続され、無線LAN基地局から物理的に離れた位置にある加入者宅のユーザ端末から無線接続されることで映像データを配信するシステムである。
【0023】
ここで、ユーザ端末とは、TVに接続され、無線接続機能を備えた機器(以下、セットトップボックスと表記する)やテレビチューナ付きのパソコンのことである。無線接続機能とは、無線LAN基地局と接続可能な無線LANカードや内臓型の無線LANアダプタなどのことである。なお、本実施形態のセットトップボックスには、ダブルチューナ、ハードディスクドライブ、デジタルカメラおよび家電製品の各種制御を行う制御装置が内蔵されている。また、図1にも示すように、ユーザ端末としてセットトップボックスおよびパソコンと複数存在している場合は、これらを集約するハブを介して接続されることになる。
【0024】
ケーブルテレビセンターは、TVの映像データを受信するための地上放送波用アンテナ、衛星放送波用アンテナであるBS用アンテナおよびCS用アンテナと、映像データの送出装置であるヘッドエンドと、映像データをリアルタイムにデジタル信号へとエンコードするリアルタイムエンコーダと、そのリアルタイムエンコーダと接続され、ユーザ端末からのチャンネル接続要求に応じて、ユーザの所望するチャンネルへと接続してユーザ端末の視聴データを取得可能なコントロールサーバと、ユーザ端末からのチャンネル接続要求を視聴データログとして記憶する視聴データログ記憶手段と、コントロールサーバと接続されたイーサネットハブおよびメディアコンバータとを備えている。
【0025】
ヘッドエンドは、地上放送波および衛星放送波の各アンテナからのチャンネル信号(映像データ)を選択および受信し、番組配列情報などに書き換えて再送信することを原則としている。一般的な有線ケーブルを用いている場合には、受信した映像データは、伝送路を介してテレビなどのユーザ端末が設置された加入者宅に配信される。
リアルタイムエンコーダは、各放送波の分配器(図2参照)を介して複数設置されている。地上放送波の分配器であれば、VHF用およびUHF用が使用され、衛星放送波の分配器であれば、BS用およびCS用が使用されることになる。リアルタイムエンコーダは、各アンテナから送信されるアナログ信号をデジタル信号へとリアルタイムに変換するための機能を有している。なお、本実施形態におけるリアルタイムエンコーダのエンコーディングには、主にMPEG2を採用している。
【0026】
コントロールサーバは、本体内にCPU(Central Processing Unit:中央処理装置)やメインメモリ等により構成された演算処理部、演算処理の為のソフトウェアを記憶したハードディスク、およびこれらのデータの入出力部である入出力ポート、入力部であるキーボードやマウス、CRTや液晶モニタなどの表示部、インターネットなどのネットワークに接続可能な通信部、プリンタなどの出力部が入出力ポートを介して接続されている(図示は省略する)。
また、コントロールサーバは、複数のリアルタイムエンコーダに接続されており、ユーザ端末からのチャンネル接続要求を受け、地上放送波や衛星放送波などに分別された所定のリアルタイムエンコーダに振り分ける機能を有する。つまり、経路の振り分けを行うルーティング機能を備えていることになる。ここで、チャンネル接続要求とは、例えば、「地上放送波VHFの8チャンネル」などのユーザが所望するチャンネルデータのことである。
【0027】
なお、本実施形態におけるCS放送については、図2に示すように、リアルタイムエンコーダとコントロールサーバとの間にビデオ・オン・デマンド(以下、VODと表記する)用サーバと、そのVODサーバと接続された送出用サーバがそれぞれ設置されている。VOD用サーバは、CS放送の映像データをハードディスクなどの記憶装置に蓄積する機能を有している。送出用サーバは、リアルタイムエンコーダでエンコーディングされた映像データを一時的に保存(キャッシュ)するサーバである。
すなわち、CS放送においては、ユーザ端末からのチャンネル接続要求を受信すると、コントロールサーバからVOD用サーバに接続し、映像データを送出用サーバが送出することになる。これは例えば、生放送の番組を見逃してしまった場合にも再放送を待たずに見ることができ、また、都合の良い好きな時間に見ることができる。なお、VOD用サーバおよび送出用サーバの各機能をコントロールサーバに備えることもできる。現在、地上放送波およびBS放送は、放送法および著作権法で映像データの保存が制限されているが、地上放送波およびBS放送においても、CS放送と同様の機能を付与することが技術的には可能となっている。
【0028】
視聴データログ記憶手段は、ユーザ端末からのチャンネル接続要求を視聴データログとして記憶する機能を有する。この視聴データとは、チャンネルデータ、視聴開始時間データおよび視聴終了時間データを含んで構成されている。チャンネルデータとは、地上放送波または衛星放送波に係る各放送局の種別である。視聴開始時間データとは、ユーザからのチャンネル接続要求を受信した時間データである。視聴終了時間データとは、ユーザからのチャンネル切断要求を受信した時間データである。この視聴データを受信することで、ユーザが視聴していたチャンネルおよび開始時間から終了時間のデータを取得することができる。
また、視聴データログは、通常、コントロールサーバ内に設けられたハードディスクなどの記憶装置に記憶されるが、他の記憶媒体や物理的に離れた外部サーバに記憶することもできる。外部サーバなどに記憶すれば、安全性の確保が向上し、また、視聴データログの管理にも適している。
【0029】
イーサネットハブは、ケーブルテレビセンター側のコントロールサーバと無線LAN基地局側の複数のメディアコンバータとの間に設置されており、これらを相互接続するための装置である。なお、イーサネットハブのほか、ブロードバンドルータなどのルータを用いることもできる。
メディアコンバータは、伝送路の両端に設置されており、光ファイバと銅線ケーブルなどの異なる伝送媒体を接続し、アナログ信号からデジタル信号へ、デジタル信号からアナログ信号へと信号を相互に変換する装置である。本実施形態の伝送路は、同軸ケーブルおよび光ファイバケーブル(光ファイバ網)で形成されており、光ファイバケーブルに対しては、ケーブルテレビセンターから無線LAN基地局までをテラビットまたはギガビットの通信速度で送出される。また、同軸ケーブルにおいては、メディアコンバータが設置されていることで、すでに普及が進み安価に導入可能なイーサネット製品(イーサネットハブなど)を利用して信号の相互変換が行われるため、光ファイバのデジタル信号によるデータの送受信が可能となる。
【0030】
無線LAN基地局は、コントロールサーバに接続されたイーサネットハブおよびメディアコンバータから伝送路が敷設されており、その伝送路の終端に設置されたメディアコンバータを介して接続されている。ここで、無線LAN基地局とは、無線LANのアクセスポイント(いわゆる親機)のことである。なお、本システムは双方向接続が可能であるため、無線LAN基地局またはユーザ端末の無線接続機能のどちらかがアクセスすることで通信リンクが確立されることになる。無線LAN基地局およびユーザ端末における通信方式としては、高速無線LAN(例えば最大伝送速度54Mbpsの、IEEE802.11aまたは IEEE802.11g)が使用される。
【0031】
(図3)
図3は、属性データの取得および特典付与に関する手順を示したフローチャートである。視聴データ取得システムは、ユーザ端末に対し、コントロールサーバが取得した視聴データ以外の属性データの取得の是非を確認する属性データ取得確認手段と、その属性データ取得確認手段が容認され、属性データを取得できた場合には、所定の特典を与えるためのデータを保存する特典付与データ記憶手段とを備えている。また、所定の特典は、複数種類を用意するとともに、ユーザ端末に対して当該複数の所定の特典を選択させることを要求する選択要求データ送信手段と、その選択要求データ送信が送信した選択データを受信する選択データ受信手段とを備え、選択データは、特典付与データ記憶手段に記憶させることとしている。
ここで、属性データとは、ユーザの居住地域、年齢、性別などのデータのことである。また、これらにアンケートなどを含めても良い。また、所定の特典とは、システム利用料(ケーブルテレビ使用料)の割引サービスや例えば、映画を視聴した場合には、その映画のプレミアム映像などを与えることなどである。また、プレゼントなどを提示してユーザが任意に選択できるようにしても良い。
【0032】
上記手順をより具体的に説明すると、ユーザデータ取得確認手段がユーザ端末に対し、コントロールサーバが取得した視聴データ以外の属性データの取得の是非を確認する(S001)。属性データ取得確認受信手段がそれを受信する(S002)。ユーザに属性データの入力を行うか否かの選択を行ってもらい(S003)、容認してくれた場合には、属性データ受信手段が属性データを受信するとともに(S004)、それを所定の記憶装置に格納する(S005)。また、選択要求データ送信手段がユーザ端末に対して複数種類の所定の特典を選択させる(S006)。選択要求データ受信手段が選択要求データを受信し(S007)、選択データ受信手段がユーザによって選択された選択データを受信する(S008)。ここで受信した選択データは、特典付与データ記憶手段に記憶される(S009)。
【0033】
すなわち、ユーザは、属性データを提供することで各種の特典が得られる。また、システム側は、視聴データのほか、地域、年代別および性別などのユーザの詳細データの取得が可能となる。このため、広告スポンサーにとって付加価値の高いデータを提供することができる。例えば、広告スポンサーに係る広告対象商品が若年女性向けの商品であるとしても、若年女性の視聴率が高いかどうか、というデータを視聴率から取得できるようになる。
【0034】
次に、本実施形態の全体の作用を説明する。まず、ユーザ端末が無線LAN基地局に無線接続し、通信リンクを確立する。無線LAN基地局から伝送路を介してケーブルテレビセンター内のコントロールサーバに接続する。コントロールサーバがユーザ端末から送信されるチャンネル接続要求を受信する。コントロールサーバは、そのチャンネル接続要求に応じた適切なリアルタイムエンコーダへと振り分ける。リアルタイムエンコーダは、コントロールサーバからのチャンネル接続要求を受信すると、地上放送波または衛星放送波のアナログ信号の映像データをリアルタイムにデジタル信号の映像データへとエンコードする。コントロールサーバに備えられた視聴データログ記憶手段が、チャンネルデータ、視聴開始時間データおよび視聴終了時間データが含まれた視聴データを視聴データログとして記憶する。また、ユーザが応じてくれた場合には、ユーザの属性データを取得する。
ケーブルテレビセンターが提供するTV映像を視聴するユーザは、コントロールサーバにアクセスする必要がある。コントロールサーバでは、ユーザがアクセスした時点で視聴データログが取得可能となる。したがって、容易に視聴データログを取得することができる。また、ケーブルテレビセンターを利用しているユーザの全ての視聴データログを取得することができるため、視聴データの精度が非常に高くなっている。これにより、広告スポンサーにとって効果的な視聴データを提供することができる。
【0035】
上述したように、本実施形態では、無線接続を用いてケーブルテレビの映像配信を行っている。これは、既存の有線接続のケーブルテレビ放送では敷設が不可能な地域(電柱申請や特殊横断が不可)である場合や、ケーブルの敷設が可能である場合でも各種工事に大幅な費用が必要となっていた問題を解決することができる。
また、既設集合住宅では、ケーブルテレビの引き込みを行うに当たり、オーナーとの交渉が必要であることや、ケーブルテレビの視聴に必要な増幅器および分配器などの機器類を全て交換する必要があったが、このような問題も無線接続にすることで解決することができる。
【0036】
なお、本実施形態の通信インフラを用いれば、この通信インフラを導入した住宅とセキュリティ会社とを通信接続して当該セキュリティ会社が提供するセキュリティサービスを受けることが可能となる。
同様に、電気、ガス、水道について通信機能を備えた検針メータを採用するとともに、この通信インフラにて電気会社、ガス会社、水道局などと通信接続をすれば、電気、ガス、水道についての自動検針が可能となる。
【0037】
(バリエーション)
図示は省略するが、リアルタイムエンコーダおよびコントロールサーバを一元制御可能なメインコンピュータを備えた場合には、地上放送波および衛星放送波の映像データを受信するケーブルテレビセンターと、そのケーブルテレビセンターとは伝送路にて接続された無線LAN基地局からは物理的に離れた位置にある加入者宅のユーザ端末から無線接続されることで映像データを配信する視聴データ取得方法を実現させるコンピュータプログラムを提供することも可能である。
すなわち、そのコンピュータプログラムは、リアルタイムエンコーダが前記映像データをリアルタイムにデジタル信号へとエンコードする手順と、 前記リアルタイムエンコーダに接続されたコントロールサーバが、前記ユーザ端末からのチャンネル接続要求に応じて、ユーザの所望するチャンネルへと接続してユーザ端末の視聴データを取得可能な手順と、 視聴データログ記憶手段が前記ユーザ端末からのチャンネル接続要求を視聴データログとして記憶する手順とを実現させるプログラムである。
前記のようなメインコンピュータ、そのメインコンピュータに一元制御されるリアルタイムエンコーダおよびコントロールサーバ、および前記コンピュータプログラムであれば、ソフトウェア的なバージョンアップ、機能追加などが一括で行えるというメリットがある。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明に係る実施形態の全体構成を示す概略図である。
【図2】本発明に係る実施形態の全体構成を示すブロック図である。
【図3】属性データの取得および特典付与に関する手順を示したフローチャートである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
地上放送波および衛星放送波の映像データを受信するケーブルテレビセンターと、そのケーブルテレビセンターとは伝送路にて接続された無線LAN基地局からは物理的に離れた位置にある加入者宅のユーザ端末から無線接続されることで映像データを配信する視聴データ取得システムであって、
前記映像データをリアルタイムにデジタル信号へとエンコードするリアルタイムエンコーダと、
そのリアルタイムエンコーダに接続され、前記ユーザ端末からのチャンネル接続要求に応じて、ユーザの所望するチャンネルへと接続してユーザ端末の視聴データを取得可能なコントロールサーバと、
前記ユーザ端末からのチャンネル接続要求を視聴データログとして記憶する視聴データログ記憶手段とを備え、
前記視聴データは、チャンネルデータ、視聴開始時間データおよび視聴終了時間データ含んで構成されることを特徴とする視聴データ取得システム。
【請求項2】
前記ユーザ端末に対し、前記コントロールサーバが取得した視聴データ以外の属性データの取得の是非を確認する属性データ取得確認手段と、
その属性データ取得確認手段が容認され、前記属性データを取得できた場合には、所定の特典を与えるためのデータを保存する特典付与データ記憶手段とを備えたことを特徴とする請求項1に記載の視聴データ取得システム。
【請求項3】
前記所定の特典は、複数種類を用意するとともに、前記ユーザ端末に対して当該複数の所定の特典を選択させることを要求する選択要求データ送信手段と、
その選択要求データ送信が送信した選択データを受信する選択データ受信手段とを備え、
前記選択データは、特典付与データ記憶手段に記憶させることとした請求項2に記載の視聴データ取得システム。
【請求項4】
前記ハブと無線LAN基地局とを敷設する伝送路が光ファイバ網で形成され、前記伝送路の両端に異なる伝送媒体を接続し、アナログ信号およびデジタル信号を相互に変換するメディアコンバータが設置されていることを特徴とする請求項1に記載の視聴データ取得システム。
【請求項5】
前記リアルタイムエンコーダでエンコーディングされた映像データを一時的に保存する送出用サーバを備えたことを特徴とする請求項1から請求項4に記載の視聴データ取得システム。
【請求項6】
地上放送波および衛星放送波の映像データを受信するケーブルテレビセンターと、そのケーブルテレビセンターとは伝送路にて接続された無線LAN基地局からは物理的に離れた位置にある加入者宅のユーザ端末から無線接続されることで映像データを配信する視聴データ取得方法であって、
リアルタイムエンコーダが前記映像データをリアルタイムにデジタル信号へとエンコードする手順と、
前記リアルタイムエンコーダに接続されたコントロールサーバが、前記ユーザ端末からのチャンネル接続要求に応じて、ユーザの所望するチャンネルへと接続してユーザ端末の視聴データを取得可能な手順と、
視聴データログ記憶手段が前記ユーザ端末からのチャンネル接続要求を視聴データログとして記憶する手順とを備え、
前記視聴データは、チャンネルデータ、視聴開始時間データおよび視聴終了時間データ含んで構成されることを特徴とする視聴データ取得方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−13595(P2006−13595A)
【公開日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−183635(P2004−183635)
【出願日】平成16年6月22日(2004.6.22)
【出願人】(504240603)株式会社ティー・シー・エス (1)
【出願人】(504240566)
【出願人】(504240898)
【出願人】(504240692)
【出願人】(504240658)
【出願人】(504240669)
【Fターム(参考)】