説明

視覚対象物保持装置

【課題】横臥する視覚者の身体の向きに関わらず視覚対象物を常に適視位置に配置し、且つ、視覚者の顔の向きに対応するように視覚対象物の角度を調整可能な視覚対象物保持装置を提供する。
【解決手段】視覚対象物保持装置141は、固定されるベース部142と、一方端部がベース部142に回動可能に連結され、他方端部がこの連結点から視覚者Aの上方空間に向かう軸線に沿って延在するアーム部13と、アーム部13の他方端部に位置し、視覚対象物14を保持する視覚対象物保持部156と、連結点を支点とするアーム部13の回動に伴って、視覚対象物保持部156を軸線に対して角度的に変位させる回転機構145とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像表示装置や読み物等の視覚対象物を保持するための保持装置に関するものであって、特に、視覚者が寝た状態のまま快適に視覚対象物を視覚可能とする保持装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ベッドや布団の上に横臥した姿勢、または車いす等に着座した姿勢のまま、液晶ディスプレイ等の画像表示装置を快適に視覚したいといった要望が、近年、特に病院や介護等の現場において、高まってきている。このような要望に応える装置として、例えば特開2005−84671号公報(特許文献1)に開示されているように、横臥する視覚者の鉛直上方側において、視覚対象となる画像表示装置を保持するための保持装置が、従来から開発されてきた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−84671号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記に例示した特許文献1に記載の保持装置は、視覚者が仰臥した状態から横向きに横臥した状態へと寝る姿勢を変えたとしても、視覚対象となる画像表示装置を快適に視覚可能とするように画像表示装置を保持する装置である。しかしながら、特許文献1に記載の保持装置においては、視覚者が横向き姿勢で画像表示装置を見る場合に、視覚者に負担が掛かるという課題がある。これについて、図39〜図41を用いて説明する。
【0005】
図39は、特許文献1に記載の保持装置101を用いて、視覚者Aが仰臥した姿勢で画像表示装置103を視覚している状態を、視覚者Aの頭頂部側および右側から見た外観図である。図40は、図39に示す保持装置101を、回動軸104を介して視覚者Aの左側に向けて略90°回動させ、視覚者Aが左向きに横臥した姿勢で画像表示装置103を視覚している状態を示す外観図である。図41は、図40に示す状態を、視覚者Aの鉛直上方側、すなわち図40中の矢印XLIから見た外観図である。
【0006】
図39〜図41を参照して、特許文献1に記載の保持装置101は、一端に画像表示装置103が取り付けられ、他端側において回動軸104を介してベース部105に回動可能に連結されたL字状のアーム部102を備えている。回動軸104は、視覚者Aの身体が横たわる方向に沿うように土台105に設けられており、アーム部102は、回動軸104を中心にして、視覚者Aの左右方向に向けて回動可能となっている。したがって、図39に示す仰臥した姿勢での使用状態から、図40および図41に示すように視覚者Aが左向きに横臥した姿勢での使用状態とした場合、ほぼ水平に傾いている視覚者Aの顔の向きに対応するように、画像表示装置103も横倒しの状態となって保持機構102に保持されることとなる。これにより、比較的に快適に画像表示装置103を視覚可能とするものである。
【0007】
しかしながら、この場合においては、図40および図41に示すように、画像表示装置103が、視覚者Aの頭部から距離dだけ視覚者の前方方向に離隔することとなる。すなわち、特許文献1に記載の保持装置101によれば、視覚者Aは、仰臥した姿勢での使用状態から横向きに横臥した姿勢での使用状態とする場合に、画像表示装置103を見るために、頭部を画像表示装置103の方へ向けるように横臥する姿勢を修正する必要が生じる。このように姿勢を変えることは、身体が不自由な人や、お年寄りにとっては、非常に大きな負担となる。
【0008】
上記のような従来技術の課題に鑑みて、本願発明者は、これまでに、横臥する視覚者の身体の向きに関わらず、画像表示装置を常に適視位置に保持可能な保持装置の開発に取り組んできた。その結果、図42および図43に示すような保持装置の試作品の開発を行った。これについて以下に簡単に説明する。図42は、この保持装置111を用いて、視覚者Aが仰臥した姿勢で画像表示装置113を視覚している状態を、視覚者Aの右側から見た外観図である。図43は、図42に示す保持装置111を、回動軸114を介して視覚者Aの左側に向けて略90°回動させ、視覚者Aが左向きに横臥した姿勢で画像表示装置113を視覚している状態を示す外観図であり、図42に対応する図である。
【0009】
図42および図43を参照して、保持装置111は、上端部に水平方向に対して角度θだけ傾斜するように一体的に設けられた回動軸114を含み、視覚者Aの頭頂部側に固定されるベース部115と、一端がベース部115に回動軸114を介して回動可能に連結され、他端において画像表示装置113を保持するアーム部112とを備える。この保持装置111においては、水平方向に対して角度(90−θ)°だけ傾斜して延在するアーム部112が、回動軸114の軸線116を中心に、視覚者Aの左右方向に向けて回動可能となっている。この構成により、図42に示す仰臥した姿勢での使用状態から、図43に示す横向きに横臥した姿勢での使用状態とした場合、画像表示装置113を横向きに横臥する視覚者の顔の正面に配置させることが可能となる。すなわち、この保持装置111は、上記特許文献1に記載の保持装置とは異なり、横向きに寝た姿勢で使用する場合に、視覚者に姿勢の修正を強いることがないというものである。ここで、本願発明者は、上記保持装置111の開発過程において、このような構成の保持装置111に生じる以下の課題に着目した。
【0010】
上記保持装置111を横向きに横臥した姿勢で使用すると、図43に示すように、画像表示装置113が、水平方向から角度(90−θ)°だけ傾いた状態で保持されることとなる。しかしながら、横向きに横臥した姿勢で視覚者Aの視線の正面にある画像表示装置113を見る場合、視覚者Aから見た見易さの観点からは、画像表示装置113が、ほぼ横倒しの状態となるように保持されることが望ましい。すなわち、図43中の角度(90−θ)°は、略90°となることが望ましい。したがって、視覚者Aがより快適に画像表示装置113を見ようとするならば、図43に示す画像表示装置113を、視覚者から見て反時計回りに、角度θだけ手動で回動させる作業が必要となる。このような作業を必要とする構成は、身体が不自由な人や、お年寄りに適用する場合を考えると、視覚者に掛かる負担が大きくなってしまうため、好ましくないものである。
【0011】
また、上記したような画像表示装置のみならず、本や雑誌等の読み物を寝た姿勢のまま快適に読みたいといった要望も、近年高まってきている。
【0012】
そこで、本発明の目的は、上記課題に鑑み、横臥したまま視覚対象物を視覚可能とするために視覚対象物を保持する保持装置であって、横臥する視覚者の身体の向きに関わらず視覚対象物を常に適視位置に配置し、且つ、視覚者の顔の向きに対応するように視覚対象物の角度を調整可能な視覚対象物保持装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明に係る視覚対象物保持装置は、視覚者が寝た姿勢または座った姿勢のまま画像表示装置または読物等の視覚対象物を視覚可能とするために、視覚対象物を保持するための保持装置である。視覚対象物保持装置は、固定されるベース部と、一方端部がベース部に回動可能に連結され、他方端部に向けてこの連結点から視覚者の上方空間に向かう軸線に沿って延在するアーム部と、アーム部の他方端部に位置し、視覚対象物を保持する視覚対象物保持部と、連結点を支点とするアーム部の回動に伴って、視覚対象物保持部を軸線に対して角度的に変位させる回転機構とを備える。
【0014】
第一の実施形態として、この回転機構は、アーム部が視覚者の左方向に向けて回動した場合には、視覚者から見て反時計回りに視覚対象物保持部を回動させ、且つ、アーム部が視覚者の右方向に向けて回動した場合には、視覚者から見て時計回りに視覚対象物保持部を回動させる。
【0015】
この構成によれば、視覚対象物保持装置によって視覚対象物を視覚者の鉛直方向直上に保持し、視覚者が仰臥した姿勢で視覚対象物を視覚している状態から、アーム部を視覚者の左方向に向けて回動させていくと、視覚対象物保持部すなわち視覚対象物が、アーム部の回動と連動して、視覚者から見て反時計回りに回動していくこととなる。また、アーム部を視覚者の右方向に向けて回動させていくと、視覚対象物が、アーム部の回動と連動して、視覚者から見て時計回りに回動していくこととなる。これにより、視覚者が左右いずれの方向を向いて横臥した場合においても、アーム部を回動することによって視覚対象物を適視位置に配置させることができるとともに、上記回転機構が、アーム部の回動と連動して視覚対象物を回転させ、視覚者から見た視覚対象物の角度を、視覚者の顔の向きに対応するように自動的に調整することが可能となる。したがって、視覚者は、横臥する身体の向きに関わらず、極めて容易な操作によって快適に視覚対象物を見ることができる。
【0016】
なお、回転機構は、アーム部の回動に伴って、視覚対象物保持部を軸線の周りに回転させてもよい。
【0017】
好ましくは、回転機構は、ベース部に設けられた第一当接部材と、アーム部に設けられ、第一当接部材に相対回転可能に当接する第二当接部材とを有し、アーム部の回動に伴って、第一当接部材および第二当接部材を介して、視覚対象物保持部を上記軸線の周りに回転させる。
【0018】
さらに好ましくは、上記第一当接部材は、ベース部に固設された第一傘歯車から構成され、上記第二当接部材は、第一傘歯車と噛合するようにアーム部に固設された第二傘歯車から構成される。この構成によれば、アーム部の回動に伴って、第一傘歯車上を噛合しながら移動する第二傘歯車により、アーム部自体が、アーム部の軸線を基準に自転することとなる。これにより、アーム部の回動と連動して、視覚者から見た視覚対象物の角度を、視覚者の顔の向きに対応するように自動的に調整することができる。また、回転機構を二つの傘歯車を用いた簡単な構成によって実現できることから、製造コストを低減することができる。
【0019】
さらに好ましくは、アーム部の水平方向に対する角度をθ、第一歯車の歯数をG、第二傘歯車の歯数をGとすると、
(90°−θ)/90°≒G/G
を満たす。この構成によれば、アーム部を左右いずれかの方向に90°回動させ、視覚者が横向きに横臥して視覚対象物を見る場合において、ほぼ水平に横倒しとなっている視覚者の顔の向きに対応するように、視覚対象物がほぼ横倒しの状態となって視覚者の略正面に配置されることとなる。これにより、視覚者が横向きに横臥した姿勢で視覚対象物を見る場合において、視覚対象物を快適に視覚することが可能となる。
【0020】
好ましくは、視覚対象物保持部は、アーム部に回転可能に支持されており、回転機構は、ベース部上の固定点と、視覚対象物保持部上の所定の位置にある可動点とを連結する連結部材を有し、アーム部の回動に伴って、連結部材を介して視覚対象物保持部を回動させる。この構成によれば、アーム部の回動とともに生じるベース部上の固定点と、視覚対象物保持部上の可動点との間の相対的な距離の差に応じて、これらの点同士を連結する一定の長さの連結部材により、視覚対象物保持部を回動させることができる。これにより、アーム部の回動と連動して、視覚者から見た視覚対象物の角度を、視覚者の顔の向きに対応するように自動的に調整することができる。また、回転機構を、固定点およびこれらを連結する連結部材からなる簡単な構成によって実現できることから、製造コストを低減することができる。
【0021】
好ましくは、回転機構は、ベース部に固定された固定部材と、視覚対象物保持部に設けられた回転部材と、固定部材および回転部材に相対移動不可能に張り渡される連結部材とを有する。
【0022】
さらに好ましくは、固定部材および回転部材は、円形状であって、連結部材は、固定部材および回転部材の外周面に張り渡される。この構成によれば、回転機構を、固定部材および回転部材と、これらに張り渡される連結部材とによって実現できるため、回転機構の構造を単純とすることができる。したがって、より容易に視覚対象物保持装置を製造することができる。また、アーム部の回動と連動して生じる回転部材の回転角度を、固定部材および回転部材の直径比によって容易に調整することができる。さらに、アーム部および視覚対象物保持部の長さや、固定部材および回転部材の直径比、および各構成部材の重量等のバランスを適宜設計することによって、支持する視覚対象物の重量に関わらず、アーム部に作用するモーメントを、固定部材および回転部材に張り渡された連結部材の引き合いを利用することによって、釣り合わせることが可能となる。これにより、使用者は、アーム部を比較的に小さな力で回動させることができるとともに、アーム部を任意の位置にて静止させることが可能となる。
【0023】
さらに好ましくは、アーム部の水平方向に対する角度をθ、固定部材の直径をR、回転部材の直径をRとすると、
(90°−θ)/90°≒R/R
を満たす。この構成によれば、アーム部を左右いずれかの方向に90°回動させ、視覚者が横向きに横臥して視覚対象物を見る場合において、ほぼ水平に横倒しとなっている視覚者の顔の向きに対応するように、視覚対象物がほぼ横倒しの状態となって視覚者の略正面に配置されることとなる。これにより、視覚者が横向きに横臥した姿勢で視覚対象物を見る場合において、視覚対象物を快適に視覚することが可能となる。
【0024】
好ましくは、視覚対象物保持部は、アーム部に回動可能に支持されており、回転機構は、アーム部を電気的に回動させるアーム部回動手段と、視覚対象物保持部を電気的に回動させる視覚対象物保持部回動手段と、アーム部の回動に伴って視覚対象物保持部が回動するように、アーム部回動手段および視覚対象物保持部回動手段を制御する制御手段とをさらに有する。この構成によれば、アーム部の回動、および、アーム部の回動に連動した視覚対象物の回動を、全て電気的に制御することが可能となる。これにより、例えばアーム部の操作を、全て遠隔操作によって制御することも可能となる。したがって、視覚対象物保持装置の操作をさらに容易とすることができる。
【0025】
好ましくは、視覚対象物保持部とアーム部の軸線との間の角度は、80°〜100°の範囲に設定される。また、好ましくは、アーム部は、連結点から水平方向に対して40°〜70°の範囲の角度で視覚者の上方空間に向かって延在する。この構成によれば、視覚対象物を、視覚者から見てより見易い位置に配置させることが可能となる。
【0026】
第二の実施形態として、回転機構は、アーム部の回動に伴って、上記軸線と視覚対象物保持部との間の挟角を変化させる。例えば、この回転機構は、アーム部を視覚者の鉛直方向直上の位置から視覚者の左右いずれかの方向に向けて回動させるにつれて、上記挟角を大きくさせるように構成される。この構成によれば、視覚者が仰臥した姿勢で、視覚者から見て上方前方側に保持された視覚対象物を視覚している状態から、アーム部を視覚者の左右いずれかの方向に向けて回動させていくにつれて、視覚対象物の前後方向の位置が、視覚者の頭部の前後方向の位置に徐々に近づくこととなる。すなわち、アーム部を鉛直方向から略90°回動させた状態において、視覚対象物と視覚者の頭部の前後方向の位置を略一致させ、視覚対象物の方を向いて横臥する視覚者の視線の略正面に視覚対象物を配置させることが可能である。したがって、視覚者は、横臥する身体の向きに関わらず、極めて容易な操作によって快適に視覚対象物を見ることができる。
【0027】
好ましくは、回転機構は、視覚対象物保持部の一部を受け入れて、アーム部の回動に伴って上記挟角を制御するガイド溝を含むガイド部材をさらに有する。この構成によれば、視覚対象物保持部がガイド溝内を相対摺動するとともに上記挟角が適宜制御され、視覚対象物が、横臥する視覚者の視線の略正面に配置されることとなる。したがって、視覚者は、横臥する身体の向きに関わらず、容易な操作によって快適に視覚対象物を見ることができる。また、このような作用をもたらす回転機構を、上記のような簡易な構成によって実現できることから、製造コストを低減することができる。
【0028】
好ましくは、アーム部の回動変位に応じた弾性力を、アーム部または視覚対象物保持部に対して発揮する弾性部材をさらに備える。この構成によれば、アーム部を任意の回動角度に静止させることを効果的に補助することができる。
【0029】
さらに好ましくは、弾性部材は、視覚対象物保持部側に設けられ、アーム部の回動に伴って生じる視覚対象物保持部の軸線に対する角度変位に応じて、視覚対象物保持部に対して弾性力を発揮する。
【発明の効果】
【0030】
本発明によれば、視覚者が左右いずれの方向を向いて横臥した場合においても、アーム部を回動することによって視覚対象物を適視位置に配置させることができるとともに、上記回転機構が、アーム部の回動と連動して視覚対象物を回転させ、視覚者から見た視覚対象物の角度を、視覚者の顔の向きに対応するように自動的に調整することが可能となる。したがって、視覚者は、横臥する身体の向きに関わらず、極めて容易な操作によって快適に視覚対象物を見ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の一実施形態に係る視覚対象物保持装置を用いて、視覚者が仰臥した姿勢で視覚対象物を視覚している状態を、視覚者の右側から見た外観図である。
【図2】図1に示す状態を、図1中の矢印IIから見た外観図である。
【図3】図1中の領域IIIを拡大し、一部を断面として示した断面拡大図である。
【図4】図1に示す回転機構を後方側から見た外観図である。
【図5】図4に示す状態から、アーム部を視覚者の左側に向けて回動させた状態を示す外観図である。
【図6】アーム部を図1に示す位置から視覚者の左側に90°回動させた状態を視覚者の右側から見た外観図である。
【図7】図6に示す状態を図6中の矢印VIIから見た外観図である。
【図8】本発明の他の実施形態に係る視覚対象物保持装置を用いて、視覚者が仰臥した姿勢で視覚対象物を視覚している状態を、視覚者の右側から見た外観図である。
【図9】図8中の領域IXを拡大し、一部を断面として示した断面拡大図である。
【図10】図8に示す視覚対象物保持装置を、図8中の矢印Xから見た拡大図である。
【図11】図8中の領域XIを拡大し、一部を断面として示した断面拡大図である。
【図12】図8に示す視覚対象物保持装置を、図8中の矢印XIIから見た拡大図である。
【図13】本発明の他の実施形態に係る回転機構の簡易モデルを示す模式図であって、アーム部の回動角度が0°の状態を示している。
【図14】図13に示す回転機構の簡易モデルにおいて、アーム部の回動角度が45°の状態を示している。
【図15】図13に示す回転機構の簡易モデルにおいて、アーム部の回動角度が略90°の状態を示している。
【図16】図8に示す視覚対象物保持装置において、アーム部を視覚者の左側に90°回動させた状態を視覚者の右側から見た外観図である。
【図17】本発明のさらに他の実施形態に係る視覚対象物保持装置を用いて、視覚者が仰臥した姿勢で視覚対象物を視覚している状態を示す外観図であって、図1に対応する図である。
【図18】図17中の領域XVIIIを拡大した拡大図である。
【図19】図18の一部を断面にて示した断面拡大図である。
【図20】図17に示す視覚対象物保持装置を、図17中の矢印XXから見た外観図である。
【図21】図17中の領域XXIを拡大した拡大図である。
【図22】図21の一部を断面にて示した断面拡大図である。
【図23】図17に示す視覚対象物保持装置を、図17中の矢印XXIIIから見た外観図である。
【図24】図17に示す実施形態に係る回転機構の簡易モデルにおいて、アーム部の回動角度が0°の状態を示す模式図であって、(a)は、簡易モデルの平面図を示し、(b)はその側面図を示す。
【図25】図24に示す回転機構の簡易モデルにおいて、アーム部の回動角度が45°の状態を示している。
【図26】図24に示す回転機構の簡易モデルにおいて、アーム部の回動角度が90°の状態を示している。
【図27】図17に示す視覚対象物保持装置において、アーム部を視覚者の左側に90°回動させた状態を視覚者の右側から見た外観図である。
【図28】図27に示す状態の視覚対象物保持装置の一部部材のみを示す図であって、(a)は図27と同じ方向から見た図であり、(b)は(a)中の矢印bから見た図を示す。
【図29】本発明のさらに他の実施形態に係る視覚対象物保持装置を用いて、視覚者が仰臥した姿勢で視覚対象物を視覚している状態を示す外観図であって、図1に対応する図である。
【図30】本発明のさらに他の実施形態に係る視覚対象物保持装置を用いて、視覚者が仰臥した姿勢で視覚対象物を視覚している状態を示す外観図であって、図1に対応する図である。
【図31】図30中の領域XXXIを拡大した拡大図である。
【図32】本発明のさらに他の実施形態に係る視覚対象物保持装置を示す断面拡大図であって、図3に対応する図である。
【図33】本発明のさらに他の実施形態に係る視覚対象物保持装置を示す外観図であって、図1に対応する図である。
【図34】本発明のさらに他の実施形態に係る視覚対象物保持装置を用いて、視覚者が仰臥した姿勢で視覚対象物を視覚している状態を示す外観図であり、(a)は視覚者の頭頂部側から見た図を示し、(b)は視覚者の右側から見た図を示す。
【図35】図34(a)における保持部シャフト、ガイド溝、および回動軸棒の位置関係を拡大して示す拡大図である。
【図36】図34に示す視覚対象物保持装置の一部部材のみを示した外観図である。
【図37】図36に示す状態から、アーム部を視覚者の左方向に向けて略45°回動させた状態を示す外観図であり、(a)は図35(a)に対応し、(c)はアーム部および保持部シャフトのみを図36(a)中の矢印Cの方向から見た図である。
【図38】図36に示す状態から、アーム部を視覚者の左方向に略90°回動させた状態を示す外観図であり、(a)は図36(a)に対応し、(b)は図36(b)に対応し、(c)はアーム部および保持部シャフトのみを図38(a)中の矢印Cの方向から見た図である。
【図39】図38に示す状態の視覚対象物保持装置全体を示す外観図であって、図34に対応する図である。
【図40】従来の保持装置を用いて、視覚者が仰臥した姿勢で画像表示装置を視覚している状態を、視覚者の頭頂部側および右側から見た外観図である。
【図41】図40に示す保持装置を視覚者の左側に向けて略90°回動させ、視覚者が左向きに横臥した姿勢で画像表示装置を視覚している状態を示す外観図である。
【図42】図41に示す状態を、図41中の矢印XLIIから見た外観図である。
【図43】従来の保持装置を用いて、視覚者が仰臥した姿勢で画像表示装置を視覚している状態を、視覚者の右側から見た外観図である。
【図44】図43に示す保持装置を、視覚者の左側に向けて略90°回動させ、視覚者が左向きに横臥した姿勢で画像表示装置を視覚している状態を示す外観図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき詳細に説明する。まず、図1〜図3を用いて、本発明の一実施形態に係る視覚対象物保持装置11の構成について説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る視覚対象物保持装置11を用いて、視覚者Aが仰臥した姿勢で視覚対象物14を視覚している状態を、視覚者Aの右側から見た外観図である。図2は、図1に示す状態を、視覚者Aの頭頂部側、すなわち図1中の矢印IIから見た外観図である。図3は、図1中の領域IIIを拡大し、一部を断面として示した断面拡大図である。なお、以下の説明において、上方向とは鉛直上方向、すなわち図1の紙面上方向を示し、左方向とは、視覚者Aから見た場合の左方向、すなわち図1の紙面裏方向を示し、前方向とは、図1の紙面右方向を示すものとする。
【0033】
図1〜図3を参照して、本発明の一実施形態に係る視覚対象物保持装置11は、視覚者Aがベッド18上に横臥したまま視覚対象物14を快適に視覚可能とするために、視覚対象物14を保持する保持装置である。視覚対象物保持装置11は、横臥する視覚者Aの頭頂部側に固定されるベース部12と、後端がベース部12に回動可能に連結され、前端において視覚対象物14を保持するアーム部13と、アーム部13の回動に伴って、視覚対象物14の角度を変位させるための回転機構15とを備える。
【0034】
ベース部12は、視覚者Aの頭頂部側においてベッド18の上面に固定される台座部19と、台座部19の上面から鉛直上方に向けて延びるベース棒20と、ベース棒20の上端から後方上方側に傾斜して延びる円形の回動軸棒21とを有する。回動軸棒21は、水平方向に対して角度θ傾斜するように、ベース棒20の上端から後方上方へ向けて延在している。また、回動軸棒21の中央部には、後述するベース側傘歯車22が、歯部が上方側に配されるように一体的に固設されている。
【0035】
アーム部13は、回動軸棒21の上端部に回動可能に連結され、ベース部12との連結点から前方上方へ向けて真直ぐに延びている。なお、本実施形態においては、アーム部13は、真直ぐに延びる棒状部材によって構成されている。したがって、アーム部13の軸線17も同様に、ベース部12との連結点から前方上方へ向けて延び、視覚者Aの鉛直上方空間に至る直線となる。好ましくは、アーム部13は、金属、ガラス繊維強化樹脂、またはカーボン繊維強化樹脂等のような、高剛性を有する材料から構成される。また、アーム部13の後端部には、後述するアーム側傘歯車29が、ベース側傘歯車22と噛合するように固設されている。
【0036】
本実施形態においては、回転機構15は、アーム部13に固設されたアーム側傘歯車29と、回動軸棒21に固設されたベース側傘歯車22とによって構成されている。この回転機構15によって、アーム部13の回動と連動するように視覚対象物14を回転させることが可能な構成となっている。この動作については、後述する。
【0037】
アーム部13の前端には、視覚対象物14を着脱可能に保持するための視覚対象物保持部16が、固定されている。視覚対象物保持部16は、アーム部13の延在方向、すなわち軸線17に対して略90°となるようにアーム部13に固定されており、下端部において視覚対象物14を着脱可能に保持する構成となっている。なお、視覚対象物保持部16は、アーム部13との連結部を支点とし、軸線17に沿って前後方向に回動可能となるようにアーム部13に連結されていてもよい。このような構成とすれば、視覚者Aから見た視覚対象物14の傾斜角度を調整可能とすることができる。また、視覚対象物保持部16は、アーム部13の軸線17に対して略90°となるようにアーム部13に固定されることが望ましいが、アーム部13の軸線17に対して80°〜100°の範囲の角度にて固定されてもよい。この角度の範囲であれば、視覚者が、視覚対象物を快適に視覚することができるからである。これについては、後に詳述する。
【0038】
本実施形態に係る視覚対象物保持装置11は、ベース部12の上端部に取り付けられたバランサー支持部23と、バランサー支持部23の後端に取り付けられたバランサー24とをさらに備える。バランサー支持部23は、回動軸棒21の上端部に挿通される円環状のリング部25と、リング部25に一体的に設けられ、リング部25から後方に延在する棒状部材26とを含む。リング部25の中心には、円形の貫通孔27が設けられており、この貫通孔27に回動軸棒21が挿通されている。また、リング部25の前部には、前後方向に貫通するように設けられたアーム部受け入れ用の貫通孔28が、さらに設けられている。この貫通孔28に、アーム部13の後端部が挿通されている。棒状部材26は、前端がリング部25に一体的に連結し、後端においてバランサー24を支持している。バランサー24は、視覚対象物保持装置11に、重力モーメントの平衡をもたらすために取り付けられた、所定の重量を有する金属製の錘である。これについては、後述する。
【0039】
上記バランサー支持部23によって、アーム部13が回動軸棒21を支点に回動可能となるように支持され、且つ、アーム部13および視覚対象物14と、バランサー24とが機械的に接続される。なお、アーム部13は、バランサー支持部23により、回動軸棒21の軸線33に対して略90°となるようにベース部12に連結されている。すなわち、アーム部13は、水平方向に対して略(90−θ)°だけ傾斜して支持されることとなる。
【0040】
ここで、一般的に、ベッドや布団上に横臥する場合、図1に示すように枕を使用することが多い。本願発明者は、鋭意検討の結果、このように枕を使用した状態において、視覚者Aの前方上方側に保持された視覚対象物14を視覚する場合に最も見易くなる角度が、水平から略30°〜55°程度の角度となることを突き止めた。したがって、アーム部13の水平方向に対する傾斜角度は、略40°〜70°程度とすることが望ましい。なお、これについては、後述する。
【0041】
視覚対象物保持装置11は、ベース部12とアーム部13との連結をサポートするためのサポート部材30をさらに備える。サポート部材30は、回動軸棒21に挿通される環状部31と、アーム部13に挿通される環状部32と、環状部31,32を連結する連結部34とを含む。このサポート部材30によって、アーム部13がベース部12により安定して回動可能に支持されることとなるため、アーム部13を、回動軸棒21を支点としてより安定して回動させることが可能となる。
【0042】
視覚対象物保持装置11の上記構成により、視覚者Aは、視覚対象物14を、回動軸棒21を中心に回動させることによって、視覚者Aの左右方向に移動させることが可能である。また、視覚対象物保持装置11に備えられた回転機構15によって、アーム部13の回動と連動するように視覚対象物14を回転させることが可能である。このメカニズムについて、図4および図5を用いて説明する。図4は、図1に示す回転機構15を後方側から見た外観図である。図5は、図4に示す状態から、アーム部13を視覚者Aの左側に向けて回動させた状態を示す外観図である。なお、図4および図5においては、理解の容易の観点から、回転機構15、アーム部13、および回動軸棒21のみを図示し、且つ、アーム部13および回動軸棒21を点線にて示している。
【0043】
図4および図5を参照して、本実施形態に係る回転機構15は、上記のように、アーム部13に固設されたアーム側傘歯車29と、アーム側傘歯車29と噛合するように回動軸棒21に固設されたベース側傘歯車22とによって構成されている。図4に示す状態から、図5に示す状態へとアーム部13を視覚者Aの左側に回動させると、アーム側傘歯車29が、ベース側傘歯車22と噛合しつつベース側傘歯車22上を移動する。すなわち、アーム側傘歯車29は、ベース側傘歯車22上を回転しながら移動する。ここで、上記したように、アーム側傘歯車29は、アーム部13に一体的に固設されている。したがって、アーム部13は、図5の矢印Bに示す方向、すなわちベース部12から見て反時計回りに回転することとなる。つまり、アーム部13を視覚者Aの左側に回動させると、アーム部13の先端に視覚対象物保持部16を介して取り付けられている視覚対象物14が、視覚者Aから見て反時計回りに回転することとなる。これとは逆に、アーム部13を視覚者Aの右側に回動させると、視覚対象物14が、視覚者Aから見て時計回りに回転することとなる。このように、本実施形態に係る視覚対象物保持装置11においては、ベース側傘歯車22およびアーム側傘歯車29から構成された回転機構15によって、アーム部13の回動と連動するように視覚対象物14を回転させることが可能な構成となっている。
【0044】
次に、視覚者Aが、本実施形態に係る視覚対象物保持装置11を用いて真横向きに横臥した姿勢で視覚対象物14を見る場合について、図6および図7を用いて説明する。図6は、アーム部13を図1に示す位置から視覚者Aの左側に略90°回動させた状態を視覚者Aの右側から見た外観図であり、図1に対応する図である。図7は、図6に示す状態を図6中の矢印VIIから見た外観図であり、図2に対応する図である。
【0045】
図6および図7を参照して、視覚者Aが、左向きに横臥した姿勢で視覚対象物14を見ようとする場合は、図1に示す状態の視覚対象物保持装置11のアーム部13を、視覚者Aの左側に向けて略90°回動させる。そうすると、視覚対象物保持装置11は、図6および図7に示す状態となり、視覚対象物14が、左向きに横臥する視覚者Aの略正面に配置される。また、アーム部13の回転とともに、上記した回転機構15によって、アーム部13が、視覚者Aから見て反時計回りに回転する。
【0046】
ここで、回転機構15を構成するベース側傘歯車22およびアーム側傘歯車29の歯数比は、アーム部13が図1に示す位置から図6に示す位置まで回動されたときに、視覚対象物14がほぼ横倒しの状態となるまでアーム部13を回転させるように設定される。すなわち、視覚者Aがアーム部13を図1に示す位置から左方向に略90°回動させたときに、それと連動して、アーム部13を角度θだけ視覚者から見て反時計回りに回転させるように、ベース側傘歯車22およびアーム側傘歯車29の歯数比が設定される。
【0047】
以下の表1に、アーム部13の水平方向に対する角度θ(=90°−θ)と、ベース側傘歯車22およびアーム側傘歯車29の歯数、ならびに、その歯数比の一例を示す。
【0048】
【表1】

【0049】
より具体的には、ベース側傘歯車22の歯数をG、アーム側傘歯車29の歯数をGとすると、ベース側傘歯車22とアーム側傘歯車29との歯数比G/Gは、
(90°−θ)/90°≒G/G ・・・・・(式1)
を満たすように、設定される。
【0050】
表1および式1に示すように、アーム部13の角度θに対する歯数比を適宜設定することによって、視覚対象物保持装置11を図6に示す状態とした場合に、ほぼ水平となっている視覚者Aの顔の向きに対応するように、視覚対象物14がほぼ横倒しの状態となって視覚者Aの略正面に配置されることとなる。これにより、視覚者Aが左向きに横臥した姿勢で視覚対象物14を見る場合においても、視覚対象物14を快適に視覚することが可能となる。
【0051】
また、図6に示した左向きに横臥して視覚する場合と同様に、右向きに横臥して視覚する場合においても同様の作用となる。すなわち、視覚者Aがアーム部13を図1に示す位置から右方向に90°回動したときに、それと連動してアーム部13を角度θだけ視覚者から見て時計回りに回転させるため、視覚対象物14が、ほぼ横倒しの状態となって視覚者Aの略正面に配置される。したがって、視覚者Aが右向きに横臥した姿勢で視覚対象物14を見る場合においても、視覚対象物14を快適に見ることができる。
【0052】
なお、本実施形態に係る視覚対象物保持装置11においては、回転機構15が、図1に示すアーム部13の位置からの回動角度に比例するようにアーム部13を徐々に回転させる構成となっている。したがって、図1に示す位置から左右いずれかの方向に任意の角度だけアーム部13を回動させた場合においても、視覚対象物保持装置11を見る視覚者Aの顔の向きに対応するように、視覚対象物14が配置されることとなる。
【0053】
このように、本実施形態に係る視覚対象物保持装置11を用いれば、視覚者Aが左右いずれの方向を向いて横臥した場合においても、アーム部13を回動することによって視覚対象物14を適視位置に配置させることができるとともに、視覚者Aから見た視覚対象物14の角度を、視覚者の顔の向きに対応するように自動的に調整することが可能となる。したがって、視覚者Aは、横臥する身体の向きに関わらず、極めて容易な操作によって快適に視覚対象物14を見ることができる。
【0054】
なお、上記したように、視覚対象物保持部16は、アーム部13の軸線17に対して略90°となるようにアーム部13に固定されることが望ましい。視覚対象物保持部16をこのようにアーム部13に取り付けることによって、アーム部13を図6および図7に示す状態へと回動させた場合に、視覚対象物14を見る視覚者Aの視線方向と、視覚対象物14の表面とが、略直交することとなる。このように視覚対象物14が保持された状態が、横臥する視覚者Aからは、最も見易い配置となる。
【0055】
その一方で、アーム部13が視覚者Aの直上に配置された状態において、視覚者Aが枕を使用した状態で視覚者Aの前方上方に保持された視覚対象物14を見上げた場合、視覚者Aから見て、水平から略30°〜55°程度の角度の位置に視覚対象物14が保持されると、視覚対象物14を最も見易くなる。
【0056】
したがって、上記した二つの好ましい角度と、視覚対象物保持部16自体の長さとを総合的に勘案すると、アーム部13の水平方向に対する傾斜角度は、40°〜70°程度の範囲に設定されることが望ましい。
【0057】
また、本実施形態においては、アーム部13の回動と連動して視覚対象物14を回転させるための回転機構15を、汎用部材である二つの傘歯車を用いた簡単な構成によって実現している。したがって、視覚対象物保持装置11の製造コストを低減することができる。
【0058】
なお、本実施形態においては、第一傘歯車と、第一傘歯車と噛合する第二傘歯車とによって、アーム部の回動と連動して視覚対象物保持部をアーム部軸線の周りに回転させる構成について述べたが、これに限らず、上記のように視覚対象物保持部を回転させる機能を備えるものであれば、如何なる部材によって回転機構を構成してもよい。すなわち、回転機構は、ベース部に設けられた任意の形態の第一当接部材と、アーム部に設けられ、第一当接部材に相対回転可能に当接する任意の形態の第二当接部材とを有し、アーム部の回動に伴って、第一当接部材および第二当接部材を介して、視覚対象物保持部をアーム部軸線の周りに回転させるものであればよい。例えば、第一および第二当接部材をゴム系部材によって構成し、互いを圧接するように配置させた回転機構であってもよい。この場合、ゴム系部材同士の圧接によって第一および第二当接部材の間に生じる摩擦力を利用して、視覚対象物保持部をアーム部軸線の周りに回転させるものである。また、その他に、回転機構をカム構造により構成してもよいし、通常の歯車を用いる構成としてもよい。
【0059】
また、本実施形態においては、バランサー支持部23の後端において、視覚対象物保持装置11の重力モーメントの平衡をもたらすたに、バランサー24が取り付けられている。このバランサー24の重量は、アーム部13および視覚対象物14の合成重力モーメントや、アーム部13の回動に伴う摩擦を考慮し、アーム部13が任意の回動角度において静止可能となるように適宜決定される。なお、バランサー24の代わりにスプリング部材を用い、スプリングの弾性力によってアーム部13を任意の回動角度に静止可能とする構成であってもよい。
【0060】
次に、図8〜図12を用いて、本発明の他の実施形態に係る視覚対象物保持装置41の構成について説明する。図8は、本発明の他の実施形態に係る視覚対象物保持装置41を用いて、視覚者Aが仰臥した姿勢で視覚対象物14を視覚している状態を、視覚者Aの右側から見た外観図である。図9は、図8中の領域IXを拡大し、一部を断面として示した断面拡大図である。図10は、図8に示す視覚対象物保持装置41を、図8中の矢印Xから見た拡大図である。図11は、図8中の領域XIを拡大し、一部を断面として示した断面拡大図である。図12は、図8に示す視覚対象物保持装置41を、図8中の矢印XIIから見た拡大図である。なお、図1〜図7に示した実施形態と同様の部材に関しては、同じ符号を付し、詳しい説明を省略する。
【0061】
図8〜図12を参照して、本発明の他の実施形態に係る視覚対象物保持装置41は、横臥する視覚者Aの頭頂部側に固定されるベース部42と、後端がベース部42に回動可能に連結され、前端において視覚対象物14を保持するアーム部13と、アーム部13の回動に伴って、視覚対象物14の角度を変位させるための回転機構45とを備える。
【0062】
ベース部42は、上記実施形態と同様に、台座部19と、台座部19から鉛直上方に向けて延びるベース棒20と、ベース棒20の上端から後方上方側に角度θだけ傾斜して延びる回動軸棒21とを有する。本実施形態においては、回動軸棒21の中央部やや下方において、環状部43が、回動軸棒21の外径方向に向けて延出するように固設されている。また、回動軸棒21の上端には、円形の円板部44が、回動軸棒21の軸線33を中心とし、回動軸棒21から外径方向に延出するように固設されている。そして、円板部44の上面44sには、上方側へ突出するように、凸部46,47が、互いに軸線33を基準として回転対称となるように二箇所に設けられている。
【0063】
視覚対象物保持装置41は、回動軸棒21の環状部43上に取り付けられたバランサー支持部23と、バランサー支持部23の後端に取り付けられたバランサー24とをさらに備える。バランサー支持部23は、回動軸棒21に挿通され、環状部43の上面と当接するリング部25と、リング部25から後方に延在する棒状部材26とを含む。本実施形態においては、アーム部13は、リング部25の前端部に固定されており、リング部25を介して回動軸棒21を支点に回動可能にベース部42に連結されている。
【0064】
アーム部13の前端には、視覚対象物14を着脱可能に保持するための視覚対象物保持部56が、アーム部13の軸線17を中心として回動可能となるように取り付けられている。より具体的には、視覚対象物保持部56は、中心に貫通孔50を有する円環状のリング部48と、リング部48から下方へと延びる保持部材49とを含む。保持部材49の下端部には、視覚対象物14が、着脱可能に取り付けられる。アーム部13は、リング部48の貫通孔50に挿通されており、保持部材49に取り付けられた視覚対象物14は、リング部48を介して軸線17を中心に回動可能となっている。また、リング部48の前面58上には、前方側へ突出するように、凸部66,67が、互いに軸線17を基準として回転対称となるように二箇所に設けられている。また、アーム部13の前端部には、アーム部13から外径方向に突出するように、環状部57が、一体的に設けられている。この環状部57によって、視覚対象物保持部56の後方への移動が規制されている。
【0065】
本実施形態に係る視覚対象物保持装置41は、一端がベース部42の円板部44に設けられた凸部46に連結され、他端が視覚対象物保持部56のリング部48に設けられた凸部66に連結される第一連結部材54と、一端が円板部44に設けられた凸部47に連結され、他端がリング部48に設けられた凸部67に連結される第二連結部材55とをさらに備える。さらに、アーム部13の前端部には、第一連結部材54および第二連結部材55を中継するための中継部材51が、設けられている。中継部材51は、アーム部13から上方に向けて幅広となるように延在し、且つ、上部に第一連結部材54および第二連結部材55を挿通させるための貫通孔52および貫通孔53を有している。
【0066】
すなわち、第一連結部材54は、ベース部42に固設された固定点としての凸部46から前方上方へ向けて真直ぐに延び、中継部材51の貫通孔52を通過する。そして、ここで略直角に下方側に屈曲され、視覚対象物保持部56とともに軸線17の周りを回動可能な可動点としての凸部66に連結している。同様に、第二連結部材55は、ベース部42に固設された固定点としての凸部47から前方上方へ向けて真直ぐに延び、中継部材51の貫通孔53を通過する。そして、ここで略直角に下方側に屈曲され、視覚対象物保持部56とともに軸線17の周りを回動可能な可動点としての凸部67に連結している。また、第一および第二連結部材54,55は、凸部46,47から、中継部材51の貫通孔52,53を経て、凸部66,67に至るまで、一定の張力を内部に維持するように弛みなく張り渡されている。
【0067】
ここで、本実施形態に係る視覚対象物保持装置41においては、アーム部13の回動と連動して視覚対象物14を回転させるための回転機構45が、ベース部42に固設された凸部46,47と、視覚対象物保持部56に固設された凸部66,67と、これらを連結する第一および第二連結部材54,55とから構成されている。
【0068】
この回転機構45のメカニズムについて、図13〜図15を用いて説明する。なお、図13〜図15においては、理解の容易のために、ベース部42の円板部44と、視覚対象物保持部56のリング部48とを同一平面上に配置させた回転機構45の簡易モデルを示しているものであり、図13〜図15中の各符号は、図8〜図12に示した実施形態における対応する部材の符号を参考として表示している点に留意されたい。図13は、アーム部13の回動角度が0°の状態を示しており、図14は、アーム部13を左側に45°回動させた状態、図15は、アーム部13を左側に90°回動させた状態をそれぞれ示している。
【0069】
図13〜図14を参照して、図13に示す状態から、アーム部13をベース部42の回動軸棒21を支点に左側へ回動させていくと、円板部44の凸部47と、リング部48の凸部67との間の相対的な距離が広がっていくこととなる。ここで、凸部47はベース部42に設けられた不動点であり、且つ、凸部67は、リング部48とともにアーム部13を中心に回動可能な可動点である。そして、凸部47と凸部67とが、所定の長さを有する第二連結部材55によって連結されている。したがって、図13に示す状態からアーム部13を左側へ回動させていくと、リング部48は、図14に示すように、アーム部13から見て図14中の矢印Cの方向に相対的に回転していくこととなる。ここで、図14中に示すリング部48の回転方向Cを、図8〜12に示す実施形態に対応させると、視覚者Aから見て反時計回りの回転方向となる。そして、図15に示すように、アーム部13を略90°回動させた状態において、アーム部13から見たリング部48の相対的な回転角度が最大となる。
【0070】
これとは逆に、図13に示す状態からアーム部13を右側へ回動させていくと、凸部46と凸部66との間の相対的な距離の差が大きくなるため、凸部46と凸部66とを連結する第一連結部材54によって、リング部48が、上記とは逆の方向に回転することとなる。すなわち、図8〜12に示す実施形態に対応させた場合、視覚者Aから見て時計回りの回転方向となる。
【0071】
さらに、アーム部13の回動と連動するリング部48のアーム部13に対する相対的な回転角度は、凸部46,47,66,67の配置を適宜設定することによって、調整することができる。例えば、凸部46,47と回動軸棒21との間の距離、または、凸部66,67とアーム部13との間の距離を適宜調整することによって、リング部48の相対的な回転角度を調整することができる。
【0072】
このようなメカニズムを利用することによって、本実施形態に係る視覚対象物保持装置41は、アーム部13の回動と連動するように視覚対象物14を回転させることが可能である。そして、アーム部13を図8に示す位置から左右いずれかの方向に向けて略90°回動させたときに、図6に示した実施形態と同様に、視覚対象物14をほぼ横倒しの状態となるまで回転させるように回転機構45を構成することも可能である。すなわち、視覚者Aがアーム部13を図8に示す位置から左方向に略90°回動させた場合に、それと連動して、視覚対象物14を角度θだけ視覚者から見て反時計回りに回転させることが可能である。
【0073】
図16にその状態を示す。図16は、アーム部13を視覚者Aの左側に90°回動させた状態を視覚者Aの右側から見た外観図であり、図8に対応する図である。図16に示すように、本実施形態に係る視覚対象物保持装置41を用いれば、視覚者Aが左右いずれの方向を向いて横臥した場合においても、アーム部13を回動することによって視覚対象物14を適視位置に配置させることができるとともに、視覚者Aから見た視覚対象物14の角度を、視覚者の顔の向きに対応するように自動的に調整することが可能となる。したがって、視覚者Aは、横臥する身体の向きに関わらず、極めて容易な操作によって快適に視覚対象物14を視覚することができる。
【0074】
また、本実施形態においては、アーム部13の回動と連動して視覚対象物14を回転させるための回転機構45を、ベース部42および視覚対象物保持部56に設けた凸部と、これらを連結する連結部材とによって実現している。したがって、構造が単純であり、且つ、必要となる部材の数も少量に抑えることができるため、視覚対象物保持装置41の製造コストを低減することができる。
【0075】
なお、本実施形態に用いられた第一および第二連結部材54,55は、ケーブル、ワイヤー、ロープ、ベルト、鎖状部材、または針金等のような、延在方向に伸縮不可能且つ可撓性である線状部材や、剛性を有する棒状部材等によって構成してもよい。剛性を有する棒状部材によって連結部材を構成した場合は、一本の連結部材によって上記機能を実現することが可能である。
【0076】
次に、図17〜図28を用いて、本発明のさらに他の実施形態に係る視覚対象物保持装置141について説明する。まず、図17〜図23を参照して、本発明のさらに他の実施形態に係る視覚対象物保持装置141の構成について説明する。なお、上記した実施形態と同様の部材に関しては、同じ符号を付し、詳しい説明を省略する。
【0077】
本発明のさらに他の実施形態に係る視覚対象物保持装置141は、横臥する視覚者Aの頭頂部側に固定されるベース部142と、後端がベース部142に回動可能に連結され、前端において視覚対象物14を保持するアーム部13と、アーム部13の回動に伴って、視覚対象物14の角度を変位させるための回転機構145とを備える。
【0078】
ベース部142は、台座部19と、台座部19から鉛直上方に向けて延び、所定の高さにて前方上方へ湾曲するベース棒20と、ベース棒20の上端部から後方上方側に傾斜して延びる円形の回動軸棒21とを有する。
【0079】
回動軸棒21は、上記実施形態と同様に、水平方向に対して角度θだけ傾斜するように設けられている。回動軸棒21の下端部、中央部、および上端部には、当該回動軸棒21から外径方向に向けて拡径する環状部146,147,148が、それぞれ固設されている。
【0080】
下端環状部146と中央環状部147との間には、円環状のリング部25が、回動軸棒21に挿通されて回動可能に配置されている。アーム部13は、リング部25に固定されており、リング部25を介して回動軸棒21を支点に回動可能にベース部142に連結されている。なお、上記実施形態と同様に、アーム部13の軸線17は、回動軸棒21の軸線33と直交している。すなわち、アーム部13は、水平方向に対して(90−θ)°だけ傾斜して、ベース部142との連結点から視覚者Aの上方空間に向かって延びている。
【0081】
中央環状部147と上端環状部148との間には、円環状の固定プーリー143が、回動軸棒21に対して相対回転不可能に固定されている。固定プーリー143の外周面144には、当該外周面144から内方へ凹むガイド溝149が、形成されている。このガイド溝149は、固定プーリー143の外周面144の全周に亘って連なるように設けられている。このガイド溝149内に、後述する連結ベルト150が、固定プーリー143に対して相対移動不可能となるように張り渡されている。なお、連結ベルト150を、固定プーリー143に相対移動不可能に張り渡す手法としては、如何なる方法を適用してもよい。例えば、固定プーリー143の外周面と連結ベルト150とに、互いに噛合する歯部を設け、これら歯部同士が係合することによって相対移動不可能となるように構成してもよい。すなわち、連結ベルト150として、いわゆるタイミングベルトを適用し、固定プーリー143の外周面にこのタイミングベルトと係合する凹凸形状を設ける構成であってもよい。また、連結ベルト150を固定プーリー143に結び付ける構成であってもよいし、留め具によって連結ベルト150を固定する構成であってもよい。また、連結ベルト150としては、ケーブル、ワイヤー、ロープ、ベルト(上記タイミングベルトを含む)、鎖状部材、または針金等のような、延在方向に伸縮不可能且つ可撓性である線状部材の他に、カメラのレリーフに用いられるような、アウターチューブと、アウターチューブ内に相対移動可能に挿入されるインナーケーブルとからなるアセンブリ部材を適用してもよい。
【0082】
アーム部13の前端には、視覚対象物14を着脱可能に保持するための視覚対象物保持部156が、アーム部13の軸線17を中心として回転可能に取り付けられている。具体的には、視覚対象物保持部156は、アーム部13に回転可能に挿通された円環状の回転プーリー153を介して、アーム部13に取り付けられている。
【0083】
回転プーリー153は、アーム部13の前端部二箇所に互いに離隔して設けられた環状部151,152の間において、アーム部13に回転可能に挿通されている。上記固定プーリー143と同様に、回転プーリー153の外周面154には、当該外周面154から内方へ凹むガイド溝159が、外周面154の全周に亘って連なるように形成されている。このガイド溝159内に、上記連結ベルト150の他方側が、回転プーリー153に対して相対移動不可能となるように張り渡されている。
【0084】
なお、本実施形態においては、アーム部13の先端に環状部164が設けられており、当該環状部164と回転プーリー153との間には、アーム部13の回動変位に応じた弾性力を回転プーリー153に対して発揮するトーションバネ165が取り付けられている。この構成については、後に詳述する。
【0085】
視覚対象物保持部156は、その上端が回転プーリー153に連結されており、その下端にて視覚対象物14を着脱可能に保持する。本実施形態に係る視覚対象物保持部156は、所定の長さを有する棒状部材によって構成されており、アーム部13と略直交するように回転プーリー153に連結されている。なお、上記実施形態と同様に、視覚対象物保持部156は、アーム部13の軸線17に対して略90°となるようにアーム部13に固定されることが好ましい。しかしながら、これに限らず、アーム部13が、軸線17に対して80°〜100°の範囲の角度にて固定されてもよい。また、アーム部13の水平方向に対する傾斜角度(90°−θ)は、40°〜70°程度の範囲に設定されることが望ましい。
【0086】
アーム部13の前端部には、上記固定プーリー143および回転プーリー153に張架された連結ベルト150をガイドするためのベルトガイド155が、設けられている。ベルトガイド155は、アーム部13から上方に延出するT字状のベルトガイド部材157と、ベルトガイド部材157の左右両端に設けられた円形状の左右ガイドプーリー160,161とを含む。左右ガイドプーリー160,161には、それぞれ、外周面から内方へ凹むガイド溝が形成されており、上記連結ベルト150が、このガイド溝に張り渡されている。
【0087】
このように、本実施形態に係る連結ベルト150は、環状に連なるベルトであって、ベルトガイド155を介して、固定プーリー143および回転プーリー153の外周に、緩みなく張り渡されている。
【0088】
なお、連結ベルト150は、ベルトガイド155に対して相対移動可能となるように、ベルトガイド155によってガイドされる。したがって、これを実現する構成としては、連結ベルト150が、左右のガイドプーリー160,161のガイド溝内に相対摺動可能に保持される構成であってもよいし、左右のガイドプーリー160,161が、ベルトガイド部材157に回転可能に取り付けられる構成であってもよい。また、このようなプーリーに限らず、連結ベルト150を相対移動可能にガイドするものであれば、如何なる形状の部材を適用してもよい。
【0089】
本実施形態に係る視覚対象物保持装置141は、アーム部13をベース部142側に引っ張るためのアーム保持バネ158をさらに備える。このアーム保持バネ158は、延在方向に伸縮可能な引張りコイルバネであって、一端がベース部142の上端環状部148に設けられたバネ取り付け部162に取り付けられ、他端がアーム部13の前方に設けられたバネ取り付け部163に取り付けられている。このアーム保持バネ158は、アーム部13を左右方向へ回動させて任意の位置に配置させた場合に、アーム部13をその位置に静止させることを補助するための部材である。
【0090】
本実施形態に係る視覚対象物保持装置141は、上記実施形態と同様に、アーム部13の回動に伴って、視覚対象物14を回転させるための回転機構145を備えている。より具体的には、回転機構145は、アーム部13を視覚者Aの左方向に向けて回動させた場合は、視覚者Aから見て反時計回りに視覚対象物保持部156を回転させ、且つ、アーム部13を視覚者Aの右方向に向けて回動させた場合は、視覚者Aから見て時計回りに視覚対象物保持部156を回転させる。そして、本実施形態においては、この回転機構145が、ベース部142に固定された固定プーリー143と、アーム部13の前端部に回転可能に挿通された回転プーリー153と、固定プーリー143および回転プーリー153に張り渡された連結ベルト150とから構成されている。
【0091】
以下、図24〜図26を参照して、本実施形態に係る回転機構145のメカニズムについて説明する。なお、図24〜図26は、理解の容易の観点から、固定プーリー143と回転プーリー153とを同一平面上に配置させた、回転機構145の簡易モデルを示すものであって、図24〜図26中の各符号は、図17〜図23に示した実施形態における対応する部材の符号を参考として表示している点に留意されたい。
【0092】
図24に示すように、アーム部13の回動角度が0°の状態、すなわちアーム部13が視覚者の鉛直直上に配置されている状態から、アーム部13を、回動軸棒21を支点に左側へ回動させていくと、固定プーリー143および回転プーリー153に相対移動不可能に張り渡されている連結ベルト150によって、回転プーリー153が、アーム部13に対して相対回転することとなる。そして、図25に示すように、アーム部13が左方向に45°回動した状態においては、回転プーリー153上の可動点(図中の黒三角)が、矢印C1だけ相対的に回転する。すなわち、本実施形態に係る回転機構145によれば、アーム部13を左方向に回動させると、それに連動して、回転プーリー153を矢印Cの方向に相対回動させることができる。ここで、図25中に示す回転プーリー153の回転方向Cを、図17に示す実施形態に対応させると、視覚者Aから見て反時計回りの回転方向となる。図25に示す状態からアーム部13をさらに左方向に回動させ、図26に示すようにアーム部13を略90°回動させると、アーム部13から見た回転プーリー153の相対的な回転角度が最大となる。すなわち、回転プーリー153が、図26中の矢印Cに示す角度だけ相対回転することとなる。
【0093】
これとは逆に、図24に示す状態からアーム部13を右側へ回動させていくと、回転プーリー153が、上記とは逆の方向に相対回転することとなる。すなわち、図17に示す実施形態に対応させると、アーム部13を右側へ回動させた場合には、回転プーリー153が、視覚者Aから見て時計回りの方向に回転することとなる。
【0094】
このようなメカニズムを利用することによって、本実施形態に係る視覚対象物保持装置141は、アーム部13の回動と連動するように視覚対象物14を回転させることができる。そして、この回転機構145は、上記実施形態と同様に、アーム部13を図17に示す位置から左右いずれかの方向に向けて略90°回動させた場合に、図6および図16に示したように、視覚対象物14をほぼ横倒しの状態となるまで回転させるように構成される。
【0095】
ここで、本実施形態によれば、固定プーリー143の直径と、回転プーリー153の直径との比率を適宜設定することによって、図26中の矢印Cに示す回転角度を調整することができる。したがって、視覚者Aがアーム部13を図17に示す位置から左方向に略90°回動させたときに、それと連動して、アーム部13を角度θだけ視覚者から見て反時計回りに回転させるように、固定プーリー143の直径と、回転プーリー153の直径との比率が設定される。
【0096】
以下の表2に、アーム部13の水平方向に対する角度θ(=90°−θ)と、固定プーリー143および回転プーリー153の直径比を示す。
【0097】
【表2】

【0098】
より具体的には、固定プーリー143の直径Rと、回転プーリー153の直径Rとの直径比R/Rは、アーム部13の水平からの角度θに対して、
(90°−θ)/90°≒R/R ・・・・・(式2)
を満たすように、設定される。
【0099】
表2および式2に示すように、アーム部13の角度θに対応してプーリーの直径比を適宜設定することによって、アーム部13を略90°回動させた場合に、視覚対象物14をほぼ横倒しの状態となるまで回転させるように回転機構145を構成することができる。具体的には、例えばアーム部13を水平方向に対してθ=45°傾斜させて設置した場合は、固定プーリー143および回転プーリー153の直径比を、
固定プーリー/回転プーリー = 1/2
に設定する。この場合、アーム部13を左方向へ略90°回動させると、それと連動して、視覚対象物14が角度θ=45°だけ視覚者から見て反時計回りに回転する。その結果、視覚対象物14がほぼ横倒しの状態となって視覚者Aの略正面に配置されることとなる。この状態を、図27に示す。なお、図27に示した左向きに横臥して視覚する場合と同様に、右向きに横臥して視覚する場合においても同様の作用となる。
【0100】
このように、本実施形態に係る視覚対象物保持装置141によれば、視覚者Aが左右いずれの方向を向いて横臥した場合においても、アーム部13を回動することによって視覚対象物14を適視位置に配置させることができるとともに、視覚者Aから見た視覚対象物14の角度を、視覚者の顔の向きに対応するように自動的に調整することが可能となる。これにより、視覚者Aは、横臥する身体の向きに関わらず、極めて容易な操作によって快適に視覚対象物14を視覚することができる。
【0101】
また、本実施形態によれば、回転機構145を、固定プーリー143および回転プーリー153と、これらに張り渡される連結ベルトとによって構成している。したがって、構造が単純であり、且つ、必要となる部材の数も少量に抑えることができるため、視覚対象物保持装置141の製造コストを低減することができる。
【0102】
また、本実施形態によれば、アーム部13の回動と連動して生じる回転プーリー153の回転角度を、固定プーリー143および回転プーリー153の直径比を適宜設定することによって、容易に調整することができる。これにより、アーム部13の傾斜角度を任意に設定した場合においても、上記効果を奏する回転機構145を容易に構成することができる。さらに、この概念を応用して、アーム部13の傾斜角度を可変とし、アーム部13の傾斜角度に応じて、プーリーの直径比に相当するパラメータを適宜調整する構成を適用すれば、さらに利便性に優れた視覚対象物保持装置141を実現することもできる。
【0103】
また、本実施形態に係る視覚対象物保持装置141によれば、比較的に簡単な構成によって、アーム部13を任意の回動角度に静止させることが可能となる。これについて、図28を参照して、以下に簡単に説明する。図28は、図27に示す状態の視覚対象物保持装置141の一部部材のみを示す図であって、(a)は図27と同じ方向から見た図であり、(b)は(a)中の矢印bから見た図を示す。
【0104】
図28に示す状態においては、視覚対象物14や視覚対象物保持部156、回転プーリー153、およびアーム部13等の部材の重量によって、これら重量と距離Lとに依存するモーメントτが発生する。したがって、アーム部13を回動自在の状態とした場合は、このモーメントτによって、アーム部13は、回動軸棒21を支点にさらに下方側へ回動しようとする。
【0105】
ここで、本実施形態においては、アーム部13の回動に伴って、上記回転機構145が、視覚対象物保持部156および視覚対象物14を回転させる。すなわち、図28に示す状態からアーム部13がさらに下方側へ回動しようとすると、回転機構145によって、図28(a)中の矢印τに示すように、アーム部13を中心としたモーメントτが、視覚対象物14を持ち上げる方向に発生することとなる。このように、モーメントτによるアーム部13の下方側への回動と、これに起因して生じるモーメントτとは、回転機構145を介して、互いに対となって連関している。換言すれば、モーメントτを抑えることができれば、アーム部13の下方への回動を規制することができることを意味する。
【0106】
一方、図28に示す状態においては、視覚対象物保持部156および視覚対象物14の重量によって、これら重量と距離Lとに依存するモーメントτが、図28(a)の矢印τに示すように、モーメントτと相反して発生する。このモーメントτによって、視覚対象物14、視覚対象物保持部156、および回転プーリー153は、アーム部13を中心として、図28(a)中の矢印τの方向に回転しようとする。そうすると、回転プーリー153に張り渡されている連結ベルト150が引っ張られ、アーム部13を反対に上方に引き上げるように回動させる力に変換される。すなわち、図26を用いて説明すると、図26に示す状態から、回転プーリー153を矢印Cの逆方向に強制的に回転させると、回転プーリー153に張り渡されている連結ベルト150が引っ張られ、その結果、連結ベルト150を介して、アーム部13が、図25の状態へ向けて押し戻されることとなる。
【0107】
このように、本実施形態においては、アーム部13を下方側へ回動させようとするモーメントτと、視覚対象物14の重量に起因して生じるモーメントτとが、連結ベルト150の引き合いを介して、互いに打ち消し合うように作用する。そして、これらモーメントτ、τ、およびτは、いずれも、視覚対象物14の重量を一つの依存パラメータとしている。したがって、視覚対象物14の重量以外のパラメータである上記距離L、L、すなわちアーム部13および視覚対象物保持部156の長さや、回転プーリー153と固定プーリー143との直径比、または、各構成部材の重量バランス等を適宜設計することによって、支持する視覚対象物14の重量に関わらず、アーム部13に作用するモーメントを釣り合わせることが可能である。すなわち、本実施形態によれば、比較的に重量が軽量な携帯電話等の端末装置から、中程度の重量のタブレット型端末装置、さらには比較的に重量のあるLCDや厚めの本に至るまで、支持する視覚対象物の重量に関わらず、使用者は、アーム部13を比較的に小さな力で回動させることができるとともに、アーム部13を任意の位置にて静止させることが可能となる。
【0108】
なお、本実施形態においては、上記したモーメントの釣り合いをとることを補助するために、アーム部13の回動変位に応じた弾性力をアーム部13に対して発揮する弾性部材として、アーム保持バネ158が、アーム部13とベース部142との間に張架されている。より具体的に説明すると、視覚対象物保持部156に視覚対象物14が保持されていない場合や、視覚対象物14が非常に軽量である場合、上記したモーメントτが、非常に小さくなってしまう。このため、アーム部13に作用するモーメントを釣り合わせることが、事実上、不可能となってしまう。これを補償するために、図17に示すように、アーム保持バネ158が、アーム部13を吊り上げるように設けられる。この場合、アーム保持バネの弾性力は、上記のようなモーメントの釣り合いをとることを補助する観点から、適宜選択される。すなわち、アーム保持バネ158を補助的に用いることによって、視覚対象物14が非常に軽量である場合等においても、アーム部13に作用するモーメントの釣り合いをとることが可能となる。
【0109】
なお、アーム部13の回動変位に応じた弾性力をアーム部13に対して発揮する弾性部材としては、上記アーム保持バネ158に限らず、トーションバネや捩りコイルバネ等といった、回転変位に応じた反発弾性力を生じさせるバネを適用することも可能である。例えば、このようなバネを固定プーリー143側にてアーム部13に取り付け、アーム部13の回動変位に比例した弾性反発力をアーム部13に対して発揮するように構成してもよい。
【0110】
また、アーム部13の回動変位に応じた弾性力を視覚対象物保持部156に対して発揮する弾性部材を、視覚対象物保持部156側にさらに設けてもよい。例えば、このような弾性部材として、上記トーションバネや捩りコイルバネ等のような回転変位に応じた弾性力を生じさせるバネを適用し、このようなバネを視覚対象物保持部156に取り付けて、アーム部13の回動に伴って生じる視覚対象物保持部156のアーム部軸線17に対する回転角度変位に応じて、視覚対象物保持部156に対して弾性反発力を発揮するように構成してもよい。
【0111】
このような弾性部材の一実施形態として、図21および図22を参照して、上記トーションバネ165について説明する。本実施形態に係るトーションバネ165は、一端がアーム部13の先端に固設された環状部164に連結され、他端が回転プーリー153に連結されている。ここで、アーム部13を左右いずれかの方向に回動させると、上記したメカニズムにより、回転プーリー153が、アーム部13の回動と連動するようにアーム部13の回りを相対回転する。そうすると、環状部164と、回転プーリー153との間に相対的な角度偏差が生じ、トーションバネ165が捩られることとなる。その結果、その回転を引き戻す方向への力が、トーションバネ165の弾性反発力として回転プーリー153に対して負荷されることとなる。すなわち、このトーションバネ165は、アーム部13の回動に伴って生じる視覚対象物保持部156(回転プーリー153)のアーム部軸線17に対する回転角度変位に応じて、視覚対象物保持部156に対して弾性反発力を発揮する。
【0112】
この構成によれば、視覚対象物保持部156の回転に対して抵抗を持たせることによって、アーム部13に作用する上記モーメントの釣り合いをとることを効果的に補助することができる。すなわち、アーム部13を任意の回動角度に、より効果的に静止させることが可能となる。
【0113】
また、本実施形態によれば、上記バランサー24等のように、モーメントの釣り合いをとるための「錘」を別途設けることなく、より簡単且つ軽量な構成によって、アーム部13を任意の位置に効果的に静止させることができる。
【0114】
なお、本実施形態においては、図17に示すように、視覚対象物保持部156が、回転プーリー153から下方に向けて延びるように設けられている場合について述べたが、これに限らず、視覚対象物保持部156が回転プーリー153から上方に向けて延びるように設けられてもよい。この場合、視覚対象物14は、アーム部13の上方側において、視覚対象物保持部156の先端に保持されることとなる。このような配置とした場合においても、上記回転機構145を用いれば、視覚者Aから見た視覚対象物14の角度を、アーム部13と連動して、視覚者Aの顔の向きに対応して調整することが可能である。
【0115】
次に、図29を参照して、本発明のさらに他の実施形態に係る視覚対象物保持装置201について説明する。上記した実施形態と同様の部材に関しては、同じ符号を付し、詳しい説明を省略する。
【0116】
本発明のさらに他の実施形態に係る視覚対象物保持装置201は、上記実施形態に係るベース部142と、後端がベース部142に回動可能に連結され、前端に向けて軸線17に沿って所定の位置まで延びるアーム部203と、アーム部13の回動に伴って、視覚対象物14の角度を変位させるための回転機構145とを備える。
【0117】
ここで、本実施形態においては、アーム部203が、上記実施形態に係るアーム部13と比して比較的に短く設定されており、アーム部203の前端に回転可能に挿通された回転プーリー153に、視覚者Aの上方空間に向けて湾曲状に延びる視覚対象物保持部206が、固設されている。
【0118】
具体的には、本実施形態に係る視覚対象物保持部206は、後端が上記回転プーリー153に固設され、前端側に向けて上方前方に延び、所定の位置にて下方前方に湾曲して延びている。なお、視覚対象物保持部206の挟角は、略90°に設定されている。そして、視覚対象物保持部206の前端において、視覚対象物14が、留め具206hを介して固定されている。
【0119】
回転機構145は、図17に示す実施形態と同様の構成であって、ベース部142に固定された固定プーリー143と、アーム部203の前端に回転可能に挿通された回転プーリー153と、固定プーリー143および回転プーリー153に張り渡された連結ベルト150とから構成されている。
【0120】
本実施形態に係る視覚対象物保持装置201においては、回転機構145が、アーム部203の回動に伴って、視覚対象物保持部206を軸線17の周りに回転させる構成となっている。具体的には、回転機構145は、アーム部203を視覚者Aの左方向に向けて回動させた場合は、視覚者Aから見て反時計回りに視覚対象物保持部206を回転させ、且つ、アーム部203を視覚者Aの右方向に向けて回動させた場合は、視覚者Aから見て時計回りに視覚対象物保持部206を回転させる。なお、回転機構145の回転メカニズムは、上記実施形態と同様であるため、詳細な説明を省略する。
【0121】
このように、本実施形態によれば、視覚者Aが左右いずれの方向を向いて横臥した場合においても、アーム部203を回動することによって視覚対象物14を適視位置に配置させることができるとともに、視覚者Aから見た視覚対象物14の角度を、視覚者の顔の向きに対応するように自動的に調整することが可能となる。これにより、視覚者Aは、横臥する身体の向きに関わらず、極めて容易な操作によって快適に視覚対象物14を視覚することができる。
【0122】
ここで、図29に示すように、軸線33と平行であって、且つ視覚対象物14と視覚対象物保持部206との取り付け部を通過する軸線を軸線33aとし、軸線17と平行であって、且つ視覚対象物14と視覚対象物保持部206との取り付け部を通過する軸線を軸線17aとする。この場合、軸線33と軸線33aとの間の距離Lと、軸線17と軸線17aとの間の距離Lとの比が、L:L≒2:1となるように設定されることが望ましい。これにより、視覚対象物14を横臥する視覚者から見て見易い位置に配置させることと、上記モーメントの釣り合いをとることとを、より有利に両立させることが可能となる。
【0123】
なお、本実施形態においては、図29に示すように、視覚対象物14を照らすための照明装置166が、視覚対象物保持部206に取り付けられている。この構成によれば、アーム部13の回動と連動して、照明装置166も視覚対象物14とともに回転するため、アーム部13の回動位置に関わらず、常に視覚対象物14を一定に照らし続けることができる。これにより、夜間等の暗い環境における使用に対して、より利便性を向上させることができる。なお、照明装置166を、アーム部13やベース部142に取り付ける構成であってもよい。
【0124】
また、上記実施形態と同様に、トーションバネ165が回転プーリー153に取り付けられており、アーム部13の回動に伴って生じる視覚対象物保持部156(回転プーリー153)のアーム部軸線17に対する回転角度変位に応じて、視覚対象物保持部156に対して弾性反発力を発揮する。
【0125】
次に、図30および図31を参照して、本発明のさらに他の実施形態に係る視覚対象物保持装置171について説明する。なお、上記した実施形態と同様の部材に関しては、同じ符号を付し、詳しい説明を省略する。
【0126】
本発明のさらに他の実施形態に係る視覚対象物保持装置171は、図17に示すベース部142と、後端がベース部142に回動可能に連結され、前端において視覚対象物14を保持するアーム部173と、アーム部173の回動に伴って、視覚対象物14の角度を変位させるための回転機構145とを備える。
【0127】
本実施形態においては、アーム部173は、一方端部がベース部142の回動軸棒21にリング部25を介して回動可能に連結されている。そして、他方端部に向けて、この連結点から視覚者Aの上方空間に向かって前方上方に延び、所定の位置にて前方下方へと屈曲して延びる軸線172に沿って延在している。アーム部173の先端には、中心に貫通孔174が設けられた円環状のリング部175が固設されている。
【0128】
本実施形態に係る視覚対象物保持部176は、棒状部材であって、リング部175の貫通孔174に回転可能に挿通されている。そして、視覚対象物保持部176の一端には、回転機構145を構成する回転プーリー153が、視覚対象物保持部176と同心に固設されており、他端にて視覚対象物14を着脱可能に保持している。また、視覚対象物保持部176から外径方向に向けて拡径する環状部177,178が、所定の間隔で設けられており、これら環状部177,178によって、視覚対象物保持部176がリング部175に係止されている。
【0129】
回転機構145は、図17に示す実施形態と同様の構成であって、ベース部142に固定された固定プーリー143と、視覚対象物保持部176の端部に固設された回転プーリー153と、固定プーリー143および回転プーリー153に張り渡された連結ベルト150とから構成されている。
【0130】
このように、本実施形態に係る視覚対象物保持装置171においては、回転機構145が、アーム部173の回動に伴って、視覚対象物保持部176を自己の中心軸の周りに自転させる構成となっている。具体的には、回転機構145は、アーム部173を視覚者Aの左方向に向けて回動させた場合は、視覚者Aから見て反時計回りに視覚対象物保持部176を自転させ、且つ、アーム部173を視覚者Aの右方向に向けて回動させた場合は、視覚者Aから見て時計回りに視覚対象物保持部176を自転させる。なお、回転機構145の回転メカニズムは、上記実施形態と同様であるため、説明を省略する。
【0131】
このように、本実施形態に係る視覚対象物保持装置171によれば、視覚者Aが左右いずれの方向を向いて横臥した場合においても、アーム部173を回動することによって視覚対象物14を適視位置に配置させることができるとともに、視覚者Aから見た視覚対象物14の角度を、視覚者の顔の向きに対応するように自動的に調整することが可能となる。これにより、視覚者Aは、横臥する身体の向きに関わらず、極めて容易な操作によって快適に視覚対象物14を視覚することができる。
【0132】
なお、図29および図30を用いて説明したように、本発明においては、アーム部または視覚対象物保持部は、直線状に延在する形態に限らず、湾曲状に延在する形態であってもよい。すなわち、本発明は、アーム部または視覚対象物保持部の形状に限定されるものではない。したがって、図29および図30に示す実施形態のみならず、視覚対象物14の見易さ等の観点から、アーム部または視覚対象物保持部が如何に延在していてもよいし、それに伴って、回転プーリー153が如何なる位置に配置されていてもよい。
【0133】
次に、図32を用いて、本発明のさらに他の実施形態に係る視覚対象物保持装置71について説明する。なお、視覚対象物保持装置71は、図1〜図7に示した実施形態の変形例であり、図32は、図3に対応する図である。したがって、図1〜図7に示した実施形態と同様の部材に関しては、同じ符号を付し、詳しい説明を省略する。
【0134】
図32を参照して、本発明のさらに他の実施形態に係る視覚対象物保持装置71は、アーム部13を回動させるための電動モーター73をさらに備えている。そして、電動モーター73の回転軸74の先端には、歯車75が固設されている。また、前述の実施形態におけるサポート部材30を構成する環状部31の外周面下部には、上記歯車75と噛合する歯車部72が、形成されている。この構成により、電動モーター73による回転力が、歯車75およびサポート部材30を介してアーム部13に伝達されるため、電動モーター73によってアーム部13を回動させることができる。
【0135】
このような構成とすることによって、アーム部13の回動を、電気的に制御することが可能となる。すなわち、例えば上記電動モーター73を遠隔操作によって制御可能とすれば、視覚者Aは、極めて容易な操作によってアーム部13を任意の適視位置に回動させることができる。また、視覚対象物保持装置71は、前述の実施形態と同様に回転機構15を備えていることから、アーム部13の回動とともに、視覚者Aから見た視覚対象物14の角度を、視覚者の顔の向きに対応するように自動的に調整することも可能である。
【0136】
次に、図33を用いて、本発明のさらに他の実施形態に係る視覚対象物保持装置81について説明する。なお、視覚対象物保持装置81は、図8〜図12に示した実施形態の変形例であり、図33は、図8に対応する図である。したがって、図8〜図12に示した実施形態と同様の部材に関しては、同じ符号を付し、詳しい説明を省略する。
【0137】
本発明のさらに他の実施形態に係る視覚対象物保持装置81は、アーム部13を回動させるための電動モーター82、および、視覚対象物保持部56を回転させるための電動モーター83の二つのモーターをさらに備えている。電動モーター82は、ベース部42を構成する回転軸棒21の上端に設けられたモーター取り付け部84に固定されている。また、上記実施形態におけるバランサー支持部23を構成するリング部25の外周面上部には、歯車部85が、形成されている。電動モーター82の回転軸の先端には、歯車86が取り付けられており、この歯車86と上記歯車部85とが、互いに噛合するように配置されている。この構成により、電動モーター82によって、アーム部13を回動軸棒21を支点として回動させることが可能となっている。
【0138】
一方、電動モーター83は、アーム部13の先端部に設けられたモーター取り付け部87に固定されている。そして、上記実施形態における視覚対象物保持部56を構成するリング部48の外周面に歯車部89が、形成されている。電動モーター83の回転軸の先端には、歯車88が取り付けられており、この歯車88と上記歯車部89とが、互いに噛合するように配置されている。この構成により、電動モーター83によって、視覚対象物保持部56を回動させることが可能となっている。
【0139】
このような構成とすることによって、アーム部13の回動および視覚対象物14の回転を、電気的に制御することが可能となる。すなわち、電動モーター82、83の回転数比を電気的に制御することによって、アーム部13の回動とともに、視覚者Aから見た視覚対象物14の角度を、視覚者の顔の向きに対応するように自動的に調整することも可能となる。
【0140】
なお、本実施形態において、電動モーター82の代わりに、例えばジャイロ等の角度検出装置を取り付け、視覚者Aによるアーム部13の回動の角度を検出し、その検出信号によって電動モーター83の回転数を制御する構成であってもよい。
【0141】
また、図1〜図33を用いて説明した上記実施形態においては、アーム部の回動と連動するように視覚対象物を回転させるための回転機構として、傘歯車を用いた形態や、固定点と可動点とを連結する連結部材を用いた形態、固定プーリーと回転プーリーとに張り渡される連結ベルトを用いた形態、および電動モーターを用いた形態について説明した。しかしながら、本発明の概念は、視覚者がいずれの方向を向いて横臥した場合においても快適に視覚対象物を視覚可能とするために、アーム部の回動と連動するように視覚対象物を回転させることによって、視覚者から見た視覚対象物の角度を、視覚者の顔の向きに対応するように自動的に調整することを可能とするものである。したがって、上記の実施形態に限らず、アーム部の回動と連動して視覚対象物の角度を自動調整するものであれば、如何なる形態であっても本発明の範囲に含まれるものである。
【0142】
また、上記の実施形態においては、ベッドに横臥する視覚者が、視覚対象物を快適に視覚することを可能とする視覚対象物保持装置について説明したが、これに限らず、本発明は、例えば視覚者が車いすや座席に着座した姿勢のまま視覚対象物を快適に視覚したいといった用途に対しても有利に適用することが可能である。
【0143】
また、上記の実施形態においては、アーム部が水平方向に対して(90−θ)°の傾斜角度で固定されている場合について述べたが、これに限らず、アーム部の傾斜角度を任意に調整可能とする構成であってもよい。例えば、上記実施形態におけるベース部において、ベース棒と回動軸棒とを、これら部材の間の角度を調整可能とする連結部材によって連結する構成であってもよい。さらに、この場合において、任意に調整されたアーム部の傾斜角度(90−θ)°に対応するように、回転機構が視覚対象物を回転させる最大の角度を、θ°とするように補正する回転角度補正機構をさらに備えていてもよい。
【0144】
次に、本発明のさらに他の実施形態に係る視覚対象物保持装置121について説明する。まず、図34を用いて、本発明のさらに他の実施形態に係る視覚対象物保持装置121の構成について説明する。図34は、視覚対象物保持装置121を用いて、視覚者Aが仰臥した姿勢で視覚対象物14を視覚している状態を示す外観図であり、(a)は、視覚者Aの頭頂部側から見た図を示し、(b)は、視覚者Aの右側から見た図を示す。なお、上記した実施形態と同様の部材に関しては、同じ符号を付し、詳しい説明を省略する。
【0145】
図34を参照して、本発明のさらに他の実施形態に係る視覚対象物保持装置121は、横臥する視覚者Aの頭頂部側に固定されるベース部122と、ベース部122に回動軸棒131を介して回動可能に連結され、当該連結点から視覚者Aの上方空間に向かう軸線127に沿って鉛直上方に向かって延在するアーム部123と、アーム部123の上端部に回転軸125を中心として回転可能に取り付けられ、前端部において視覚対象物14を保持する視覚対象物保持部126と、アーム部123の回動に伴って、軸線127と視覚対象物保持部126との間の挟角θを変化させる回転機構としてのガイド部材124とを備える。
【0146】
ベース部122は、視覚者Aの頭頂部側に固定される台座部19と、台座部19の上面から鉛直上方に向けて延びる鉛直柱部128とを有する。鉛直柱部128の上方部には、回動軸棒131が、前後方向に略水平に延在するように設けられている。この回動軸棒131を介して、アーム部123が、鉛直柱部128に回動可能に連結されている。すなわち、本実施形態においては、アーム部123は、回動軸棒131を中心として、同一鉛直面内を視覚者Aの左右方向に向けて回動する。
【0147】
本実施形態に係る視覚対象物保持部126は、アーム部123の上端部に回転軸125を介して回転可能に連結された前後方向に延びる保持部シャフト126sと、保持部シャフト126sの前端に前後方向に回転可能となるように連結された視覚対象物取り付け部126aとから構成されている。保持部シャフト126sは、回転軸125の後方側および前方側に向けて延在する高剛性の円形状棒部材である。保持部シャフト126sの後端部126bは、後述するガイド部材124に挿通されている。視覚対象物取り付け部126aの下端部には、視覚対象物14が着脱可能に取り付けられている。
【0148】
本実施形態に係る視覚対象物保持装置121は、アーム部123の回動に伴って視覚対象物14を適宜回転させるための回転機構として、ガイド部材124を備えている。ガイド部材124は、下端が台座部19の後端部に固定され、下端から鉛直上方に向けて延在する板状部材である。ガイド部材124の上方領域には、回動軸棒131を基準として左右対称となるように湾曲状に延在するガイド溝124gが、設けられている。このガイド溝124gの内部に、保持部シャフト126sの後端部126bが挿通されている。アーム部123を回動させると、保持部シャフト126sが、ガイド溝124g内を相対摺動する。そして、アーム部123が回動するにつれて、保持部シャフト126sの後端部126bがガイド溝124gによって案内され、保持部シャフト126sが、アーム部123に対して、回転軸125を中心として相対回転する構成となっている。これについて、図34〜図38を用いて、以下に詳細に説明する。
【0149】
図35は、図34(a)における保持部シャフト126s、ガイド溝124g、および回動軸棒131の位置関係を拡大して示す拡大図である。図36は、図34に示す視覚対象物保持装置121の一部部材のみを示した外観図である。図37は、図36に示す状態から、アーム部123を視覚者Aの左方向に向けて略45°回動させた状態を示す外観図であり、(a)は、図36(a)に対応し、(c)は、アーム部123および保持部シャフト126sのみを図37(a)中の矢印Cの方向から見た図である。図38は、図36に示す状態から、アーム部123を視覚者Aの左方向に略90°回動させた状態を示す外観図であり、(a)は、図36(a)に対応し、(b)は、図36(b)に対応し、(c)は、アーム部123および保持部シャフト126sのみを図38(a)中の矢印Cの方向から見た図である。なお、図36〜図38においては、理解の容易の観点から、ベース部122、アーム部123、および保持部シャフト126sのみを示している。図39は、図38に示す状態の視覚対象物保持装置121の全体を示す外観図であり、図34に対応する図である。
【0150】
図34〜図39を参照して、本実施形態に係る回転機構は、前述の実施形態とは異なって、アーム部123の回動と連動して保持部シャフト126sとアーム部123との間の挟角θを制御する機能を有するものである。図34に示すように、アーム部123の回動角度が0°の状態においては、保持部シャフト126sは、アーム部123に対して直交するように、上記ガイド溝124gに係止されている。すなわち、図34(b)中のθは、略90°となっている。
【0151】
ここで、図35に示すように、ガイド部材124に設けられたガイド溝124gは、回動軸棒131を中心とした保持部シャフト126sの回転軌道よりも小さい曲率半径を有する壁面124sによって画定されている。より具体的に説明すると、図35において、保持部シャフト126sがアーム部123と直交した状態、すなわち、挟角θ=90°を維持した状態のまま回動軸棒131を中心として回転した場合、保持部シャフト126sは、点線132に示す軌道を辿ることとなる。これに対し、ガイド溝124gを画定する壁面であって、アーム部123の回動時に保持部シャフト126sの後端部126bと当接する壁面124sは、回動軸棒131を基準として、点線132に示す軌道よりも小さい曲率半径を有している。このため、図36に示す状態から、アーム部123を左方向に回動させていくと、ガイド溝124gに挿通されている保持部シャフト126sの後端部126bが、回動軸棒131側に向けて相対的に押し下げられることとなる。この結果、保持部シャフト126sが、アーム部123に対して回転軸125を中心として相対回転することとなる。これにより、図37に示すように、保持部シャフト126sとアーム部123との間の挟角θが、大きくなる(θ>θ=90°)。
【0152】
このように、本実施形態においては、アーム部123を回動させるにつれて保持部シャフト126sとアーム部123との間の挟角が大きくなるように、上記のように形成されたガイド溝124gによって、保持部シャフト126sが案内される構成となっている。
【0153】
図36に示す状態から図38に示す状態となるまで、アーム部123を左方向に90°回動させると、これに伴って保持部シャフト126sが回転軸125を中心として相対回転し、保持部シャフト126sとアーム部123との間の挟角はθとなる(θ>θ>θ=90°)。ここで、この挟角θは、図39(b)に示すように、視覚者Aの頭部の前後方向の位置と、視覚対象物14の前後方向の位置とが略一致するように、適宜設定される。すなわち、左向きに横臥する視覚者の視線の略正面に視覚対象物14が配置される挟角θとなるまで、保持部シャフト126sを相対回転させるように、上記ガイド部材124が構成されている。また、この場合においては、図39(b)に示すように、ほぼ水平に傾いている視覚者Aの顔の向きに対応するように、視覚対象物14がほぼ横倒しの状態となって視覚者Aの略正面に保持される。これにより、視覚者Aは、左向きに横臥した姿勢のまま、視覚対象物14を快適に視覚することが可能である。
【0154】
すなわち、本実施形態に係る視覚対象物保持装置121においては、図34に示すように、視覚者Aの頭部から前方側にdだけ離隔して保持されていた視覚対象物14が、アーム部123の回動とともに、視覚者Aの頭部の前後方向の位置に徐々に近づいていき、アーム部123を鉛直方向から略90°回動させた状態において、横向きに横臥する視覚者の視線の略正面に視覚対象物14を配置することが可能となっている。すなわち、視覚者Aが左右いずれの方向を向いて横臥した場合においても、アーム部123を回動することによって視覚対象物14を常に適視位置に配置させることが可能である。したがって、視覚者Aは、横臥する身体の向きに関わらず、極めて容易な操作によって快適に視覚対象物14を視覚することができる。
【0155】
また、本実施形態においては、上記のような作用をもたらす回転機構を、ガイド部材124のような簡易な構成を備える部材によって実現できることから、視覚対象物保持装置121の製造コストを低減することもできる。
【0156】
なお、視覚対象物保持装置121は、保持部シャフト126sに対する視覚対象物取り付け部126aの傾斜角度を、アーム部123の回動とともに、視覚者Aの視線に対応するように適宜制御する機構をさらに備えていてもよい。このような制御をおこなう機構としては、例えば前述の図13〜図15や図24〜図26に示すメカニズムを適用してもよいし、図33に示すように電動モーターを用いてもよい。
【0157】
また、上記の実施形態においては、回転機構が、アーム部を回動させるにつれて保持部シャフトとアーム部との間の挟角を大きくするように構成された場合について述べたが、これに限らず、例えばアーム部を回動させるにつれて、保持部シャフトとアーム部との間の挟角を小さくするように構成されていてもよい。このためには、例えば図34に示すガイド溝の形状を、上下反転させた形状とすることによって実現可能である。
【0158】
また、上記の実施形態においては、アーム部の回動角度が0°の状態において、保持部シャフトとアーム部とが直交するように構成された場合、すなわち、上記の挟角θが略90°となるように構成された場合について述べたが、これに限らず、保持部シャフトとアーム部とが、任意の挟角を形成するように連結されていてもよい。また、アーム部が鉛直方向に延在する場合について述べたが、これに限らず、水平方向に対して任意の角度で傾斜するように設けられていてもよい。
【0159】
また、上記の実施形態においては、アーム部の回動と連動して保持部シャフトをアーム部の軸線に対して相対回転させ、保持部シャフトとアーム部との間の挟角を適宜制御する回転機構を、ガイド溝が設けられたガイド部材によって構成した場合について説明した。しかしながら、本発明の概念は、視覚者がいずれの方向を向いて横臥した場合においても、視覚対象物を見る視覚者の視線の略正面に視覚対象物を配置可能とするために、アーム部を回動させるにつれて、視覚対象物の前後方向の位置が、視覚者頭部の前後方向の位置に近づいていくように、視覚対象物保持部をアーム部軸線に対して相対回転させることにある。したがって、上記の実施形態に限らず、アーム部の回動と連動して、アーム部に対する視覚対象物保持部の角度を自動調整するものであれば、如何なる形態であっても本発明の範囲に含まれるものである。また、例えばアーム部を回動させるにつれて、保持部シャフトをアーム部に対して摺動させることによって、視覚対象物の前後方向の位置を、視覚者頭部の前後方向の位置に近づいていく構成であってもよい。
【0160】
なお、図1〜図39に示す実施形態においては、いずれもベース部を使用者の頭頂部側に固定した場合について述べが、本発明はこれに限定されるものではない。すなわち、ベース部を使用者の周囲のいずれの場所に設置してもよい。例えば、ベース部を視聴者の側方に設置して、複数の節を持つアーム部と、回転機構とを組み合わせることによって、上記機能を備える視覚対象物保持装置を構成することも可能である。
【0161】
また、本発明に係る視覚対象物保持装置に適用可能な視覚対象物としては、LCD等の画像装置を始め、携帯電話や、ノート型PC、または近年普及し始めているタブレット型端末装置といった各種モバイル端末装置、本や雑誌等の読み物、もしくは、プロジェクター等の映写型画像装置等、視覚者が視覚して楽しむ様々のものが含まれる。
【0162】
また、視覚対象物保持装置は、横臥する視覚者がより容易に視覚対象物を操作可能とするために、視覚者の近傍に視覚対象物の操作装置を保持する操作装置保持部材をさらに備える構成であってもよい。視覚対象物の操作装置としては、例えばPC用キーボードや、テレビ用リモートコントローラ、音声入力用マイク、または操作機能を有する携帯電話、多機能スマートフォン等が考えられる。このような操作装置を、操作装置保持部材によって横臥する視覚者の近傍に配置可能とすることによって、視覚者は、横臥しつつ快適に視覚対象物を操作することが可能となる。
【0163】
以上、図面を参照して本発明の実施の形態を説明したが、本発明は、図示した実施の形態のものに限定されない。図示した実施の形態に対して、本発明と同一の範囲内において、あるいは均等の範囲内において、種々の修正や変形を加えることが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0164】
本発明は、視覚者が横臥または着座しながら快適に視覚対象物を視覚可能とするために視覚対象物を保持する保持装置を提供するものであるため、例えば医療や介護の分野において有利に利用される。
【符号の説明】
【0165】
11,41,71,81,121,141,171,201 視覚対象物保持装置、12,42,105,115,122,142 ベース部、13,102,112,123,173,203 アーム部、14 視覚対象物、15,45,145 回転機構、16,56,126,156,176,206 視覚対象物保持部、17,17a,33,33a,116,127,132,172 線、18 ベッド、19 台座部、20 ベース棒、21,131 回動軸棒、22 ベース側傘歯車、23 バランサー支持部、24 バランサー、25,48,175 リング部、26 棒状部材、27,28,50,52,53,174 貫通孔、29 アーム側傘歯車、30 サポート部材、31,32,43,57,146,147,148,151,152,164,177,178 環状部、44 円板部、44s 上面、46,47,66,67 凸部、49 保持部材、51 中継部材、54 第一連結部材、55 第二連結部材、58 前面、72,85,89 歯車部、73,82,83 電動モーター、74,125 回転軸、75,86,88 歯車、84,87 モーター取り付け部、101,111 保持装置、103,113 画像表示装置、104,114 回動軸、124 ガイド部材、124g,149,159 ガイド溝、126s 保持部シャフト、126a 視覚対象物取り付け部、126b 後端部、128 鉛直柱部、143 固定プーリー、144,154 外周面、150 連結ベルト、153 回転プーリー、155 ベルトガイド、157 ベルトガイド部材、158 アーム保持バネ、160,161 ガイドプーリー、162,163 バネ取り付け部、165 トーションバネ、166 照明装置、206h 留め具。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
視覚者が、寝た姿勢または座った姿勢のまま画像表示装置または読物等の視覚対象物を視覚可能とするために、前記視覚対象物を保持するための保持装置であって、
ベース部と、
一方端部が前記ベース部に回動可能に連結され、他方端部に向けてこの連結点から視覚者の上方空間に向かう軸線に沿って延在するアーム部と、
前記アーム部の他方端部に位置し、前記視覚対象物を保持する視覚対象物保持部と、
前記連結点を支点とする前記アーム部の回動に伴って、前記視覚対象物保持部を前記軸線に対して角度的に変位させる回転機構と、を備える、視覚対象物保持装置。
【請求項2】
前記回転機構は、前記アーム部が視覚者の左方向に向けて回動した場合には、視覚者から見て反時計回りに前記視覚対象物保持部を回転させ、且つ、前記アーム部が視覚者の右方向に向けて回動した場合には、視覚者から見て時計回りに前記視覚対象物保持部を回転させる、請求項1に記載の視覚対象物保持装置。
【請求項3】
前記回転機構は、前記アーム部の回動に伴って、前記視覚対象物保持部を前記軸線の周りに回転させる、請求項1または2に記載の視覚対象物保持装置。
【請求項4】
前記回転機構は、前記ベース部に設けられた第一当接部材と、
前記アーム部に設けられ、前記第一当接部材に相対回転可能に当接する第二当接部材と、を有し、
前記アーム部の回動に伴って、前記第一当接部材および前記第二当接部材を介して、前記視覚対象物保持部を前記軸線の周りに回転させる、請求項1〜3のいずれかに記載の視覚対象物保持装置。
【請求項5】
前記第一当接部材は、前記ベース部に固設された第一傘歯車から構成され、
前記第二当接部材は、前記第一傘歯車と噛合するように前記アーム部に固設された第二傘歯車から構成される、請求項4に記載の視覚対象物保持装置。
【請求項6】
前記アーム部の水平方向に対する角度をθ、前記第一歯車の歯数をG、前記第二傘歯車の歯数をGとすると、
(90°−θ)/90°≒G/G
を満たす、請求項5に記載の視覚対象物保持装置。
【請求項7】
前記視覚対象物保持部は、前記アーム部の他方端部に回転可能に支持されており、
前記回転機構は、前記ベース部上の固定点と、前記視覚対象物保持部上の所定の位置にある可動点とを連結する連結部材を有し、
前記アーム部の回動に伴って、前記連結部材を介して前記視覚対象物保持部を回転させる、請求項1〜3のいずれかに記載の視覚対象物保持装置。
【請求項8】
前記回転機構は、前記ベース部に固定された固定部材と、
前記視覚対象物保持部に設けられた回転部材と、
前記固定部材および前記回転部材に相対移動不可能に張り渡される前記連結部材と、を有する、請求項7に記載の視覚対象物保持装置。
【請求項9】
前記固定部材および前記回転部材は、円形状であって、
前記連結部材は、前記固定部材および前記回転部材の外周面に張り渡される、請求項8に記載の視覚対象物保持装置。
【請求項10】
前記アーム部の水平方向に対する角度をθ、前記固定部材の直径をR、前記回転部材の直径をRとすると、
(90°−θ)/90°≒R/R
を満たす、請求項9に記載の視覚対象物保持装置。
【請求項11】
前記視覚対象物保持部は、前記アーム部の他方端部に回転可能に支持されており、
前記回転機構は、前記アーム部を電気的に回動させるアーム部回動手段と、
前記視覚対象物保持部を電気的に回転させる視覚対象物保持部回動手段と、
前記アーム部の回動に伴って前記視覚対象物保持部が回転するように、前記アーム部回動手段および前記視覚対象物保持部回転手段を制御する制御手段と、をさらに有する、請求項1〜3のいずれかに記載の視覚対象物保持装置。
【請求項12】
前記視覚対象物保持部と前記アーム部の軸線との間の角度は、80°〜100°の範囲に設定される、請求項1〜11のいずれかに記載の視覚対象物保持装置。
【請求項13】
前記アーム部は、前記連結点から、水平方向に対して40°〜70°の範囲の角度で視覚者の上方空間に向かって延在する、請求項1〜12のいずれかに記載の視覚対象物保持装置。
【請求項14】
前記回転機構は、前記アーム部の回動に伴って、前記軸線と前記視覚対象物保持部との間の挟角を変化させる、請求項1に記載の視覚対象物保持装置。
【請求項15】
前記回転機構は、前記視覚対象物保持部の一部を受け入れて、前記アーム部の回動に伴って前記挟角を制御するガイド溝を含むガイド部材をさらに有する、請求項14に記載の視覚対象物保持装置。
【請求項16】
前記アーム部の回動変位に応じた弾性力を、前記アーム部または前記視覚対象物保持部に対して発揮する弾性部材をさらに備える、請求項1〜15のいずれかに記載の視覚対象物保持装置。
【請求項17】
前記弾性部材は、前記視覚対象物保持部側に設けられ、
前記アーム部の回動に伴って生じる前記視覚対象物保持部の前記軸線に対する角度変位に応じて、前記視覚対象物保持部に対して弾性力を発揮する、請求項16に記載の視覚対象物保持装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【図42】
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【図43】
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【図44】
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【公開番号】特開2012−256010(P2012−256010A)
【公開日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−184505(P2011−184505)
【出願日】平成23年8月26日(2011.8.26)
【特許番号】特許第5002720号(P5002720)
【特許公報発行日】平成24年8月15日(2012.8.15)
【出願人】(596100498)株式会社不二宮製作所 (2)
【Fターム(参考)】