視覚障害者用杖装置
【課題】 視覚障害者が用いる杖であって、歩行する視覚障害者の行く手の障害物の有無を感知する従来の機能に加え、視覚障害者用の黄色の標識の存在を検知して視覚障害者に伝える機能を備え、さらに夜間でも確実に黄色の視覚障害者用標識の存在を検知すると共に、長時間の連続使用にも耐えるものとする。
【構成】 行く手の安全性を視覚障害者の手の触覚に伝える杖1の下端部即ち対物端部1aに、視覚障害者用標識の黄色を検知するカラーセンサ2を取りつけ、このカラーセンサ2で検知したRGB信号を基に標識の色が黄色か否かを判別する黄色判別回路5cと、この黄色判別回路5cの黄色検出信号に基づいて作動して視覚障害者に標識の存在を伝える標識確認装置6を備える。
【構成】 行く手の安全性を視覚障害者の手の触覚に伝える杖1の下端部即ち対物端部1aに、視覚障害者用標識の黄色を検知するカラーセンサ2を取りつけ、このカラーセンサ2で検知したRGB信号を基に標識の色が黄色か否かを判別する黄色判別回路5cと、この黄色判別回路5cの黄色検出信号に基づいて作動して視覚障害者に標識の存在を伝える標識確認装置6を備える。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は視覚障害者が用いる杖の分野に属し、行く手の障害物の有無を感知する従来のこの種の杖の機能に加え、視覚障害者のために市中で多用されている黄色の点字ブロックや黄色の危険表示線の存在を検知してこれを視覚障害者に伝える機能を具備した視覚障害者用杖装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】市中の歩道や駅の構内などで視覚障害者向け標識として黄色の点字ブロック(路上や駅のプラットホーム上に敷かれている図9に示すような警告ブロック91や誘導ブロック92など)が多用されている。このような標識に黄色が用いられる理由は、弱視者にとって黄色が最も認識しやすい色とされていることによる。一方、ある対象物の色をカラーセンサで赤緑青の光の3原色情報信号(RGB信号)として読み取って検知し、これら赤、緑、青の各色の信号(R信号、G信号、B信号)を対数増幅の上、相互に減算してB/Gなる比とR/Gなる比を算出し、これらB/G、R/Gの値がそれぞれ特定の領域にあることを検知することにより対象物の色が黄色であることを判別する技術的手段が知られている。しかし従来の視覚障害者用杖は、視覚障害者の歩行進行方向の障害物を感知する機能のみを有するものであって、上記のようなカラーセンサと黄色判別手段によって視覚障害者のための標識を確認する機能を付加した視覚障害者用杖は実用化されておらず、さらに夜間でも確実に標識確認ができて長時間の連続使用にも耐える視覚障害者用標識確認装置付きの杖は見当たらない。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】この発明は、視覚障害者の歩行進行方向の障害物を感知する従来の機能に加え、市中で多用されている視覚障害者用の黄色の標識の存在を検知しこれを視覚障害者に伝える機能を備えた視覚障害者用杖装置を実用化し、さらに夜間でも確実に黄色の視覚障害者用標識の存在を検知すると共に、長時間の連続使用にも耐える視覚障害者用標識確認装置付きの杖装置を実用化しようとするものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】この発明は、上記の課題を解決するために、行く手の安全性を視覚障害者の手の触覚に伝える杖の棒材の対物端部に、視覚障害者への標識の色を検知するカラーセンサを装着すると共に、このカラーセンサで検知したRGB信号を基に前記標識の色が黄色か否かを判別する黄色判別回路と、この黄色判別回路の黄色検出信号に基づいて作動し視覚障害者に標識の存在を伝える標識確認装置(バイブレータ、ブザーその他の発音器、イヤホーンなど)を用いて視覚障害者用杖装置を構成するものである。そして曇天や夜間でも標識の存在を十分検知できるように、必要に応じて標識を照射する光源(白熱灯、発光ダイオードなど)を付加し、また電力消費を減じて長時間の連続使用に耐えるようにするために、光源として標識を間欠的に照射する白色発光ダイオードを用い、さらにその点灯時間とこれより十分長い消灯時間からなる周期をもって白色発光ダイオードを間欠的に短時間点灯させると共に黄色判別回路から出力される黄色検出信号をこの周期時間を超えて記憶保持する制御回路を設け、さらにまたカラーセンサの感度を補うために、カラーセンサの受光前段部にレンズを配設することを特徴とする。
【0005】
【発明の実施の形態】この発明の視覚障害者用杖装置の主要な実施形態の一つは、行く手の安全性を視覚障害者の手の触覚に伝える棒材の対物端部に、視覚障害者向け標識の色を検知するカラーセンサを装着し、このカラーセンサで検知したRGB信号を基に演算されたlogR/Gの値が1.4〜1.7の範囲でlogB/Gの値が2.1〜2.7の範囲にある場合に前記標識の色を黄色と判別する黄色判別回路と、この黄色判別回路の黄色検出信号に基づいて作動し視覚障害者に標識の存在を伝えるバイブレータ、ブザーその他の発音装置、イヤホーンなどの標識確認装置を備えたものである。
【0006】この発明の視覚障害者用杖装置の他の主要な実施形態は、行く手の安全性を視覚障害者の手の触覚に伝える棒材の対物端部に、視覚障害者向け標識の色を検知するカラーセンサと、必要時にその標識を照射する白熱灯や発光ダイオードなどの光源を装着し、このカラーセンサで検知したRGB信号を基に前記標識の色が黄色か否かを判別する黄色判別回路と、この黄色判別回路の黄色検出信号に基づいて作動し視覚障害者に標識の存在を伝える標識確認装置を備えたものである。
【0007】この発明の視覚障害者用杖装置の他の主要な実施形態は、行く手の安全性を視覚障害者の手の触覚に伝える棒材の対物端部に、視覚障害者向け標識の色を検知するカラーセンサと、必要時にその標識を間欠照射する白色発光ダイオードを装着し、このカラーセンサで検知したRGB信号を基に前記標識の色が黄色か否かを判別する黄色判別回路と、この黄色判別回路の黄色検出信号に基づいて作動し視覚障害者に標識の存在を伝える標識確認装置を備えたものである。
【0008】この発明の視覚障害者用杖装置の他の主要な実施形態は、行く手の安全性を視覚障害者の手の触覚に伝える棒材の対物端部に、視覚障害者向け標識の色を検知するカラーセンサと、必要時にその標識を間欠照射する白色発光ダイオードを装着し、このカラーセンサで検知したRGB信号を基に前記標識の色が黄色か否かを判別する黄色判別回路と、この黄色判別回路の黄色検出信号に基づいて作動し視覚障害者に標識の存在を伝える標識確認装置を備え、さらに点灯時間とこれより十分長い消灯時間からなる周期をもってこの白色発光ダイオードを間欠的に短時間点灯させると共に黄色判別回路から出力される黄色検出信号を前記周期時間を超えて記憶保持する制御回路を設けたものである。
【0009】この発明の視覚障害者用杖装置の他の主要な実施形態は、行く手の安全性を視覚障害者の手の触覚に伝える棒材の対物端部に、視覚障害者向け標識の色を検知するカラーセンサを装着すると共に、このカラーセンサの受光前段部にレンズを配設し、このカラーセンサで検知したRGB信号を基に前記標識の色が黄色か否かを判別する黄色判別回路と、この黄色判別回路の黄色検出信号に基づいて作動し視覚障害者に標識の存在を伝える標識確認装置を備えたものである。
【0010】
【実施例】以下この発明の実施例を図面を参考に説明する。図1において、1は杖となる棒材で、視覚障害者はその上部を握りその下端部すなわち対物端部1aで行く手に障害物がないか安全性を確かめながら歩行する。棒材1の対物端部1aには、カラーセンサ2と光源3が装着され、カラーセンサ2の受光前段部にはレンズ4が配設されている。カラーセンサ2は、視覚障害者の歩行中、その行く手にある視覚障害者のための黄色の標識、例えば路上や駅構内に配置されている前述の黄色の点字ブロックの存在を検知するために、行く手の物体からの反射光を受光してその色に対応する赤緑青の3原色情報信号(RGB信号)を出力するものである。光源3は夕刻や夜間あるいは明るさが不足する曇天時にもカラーセンサ2が行く手の物体の色を十分感知できるように必要に応じて行く手の物体を照射するためのもので、一般に白熱灯や各種の発光ダイオードを用いればよく、赤緑青の光の3原色をそれぞれ発光する3個の発光ダイオードを組み合わせて用いることも考えられるが、特に白色発光ダイオードが優れている。レンズ4は黄色の標識の識別効果を高めるために付加するもので、一般にカラーセンサ2から対象物体までの距離が遠くなるとその物体の色が黄色か否か判別できなくなるが、レンズ4を付加することにより黄色判別可能な対象物体までの距離を延ばすことができる。
【0011】また棒材1には、回路ユニット5と標識確認装置6が設けられている。回路ユニット5は、カラーセンサ2を含む色検出回路や、この色検出回路からの信号に基づいて標識の色が黄色か否かを判別する黄色判別回路や、発光ダイオードの点滅とそれに伴う信号を処理する制御回路などから構成されている。標識確認装置6は、回路ユニット5の黄色判別回路による黄色検出信号に基づいて作動して視覚障害者に標識の存在を伝えるものである。標識確認装置6としてはバイブレータ、ブザーなどの発音装置、イヤホーンなどを任意に選択すればよいが、バイブレータの場合はその振動を手先で感知できるよう、バイブレータを棒材1の手元側に装着される。棒材1の手元側は一般に棒材1の上端部であるが、使用者の使い勝手に応じて棒材1の任意の位置に設定すればよい。またイヤホーン6aは棒材1上の回路に接続すればよいが、別の手段として、黄色検出信号に基づいて微弱電波を発信する発信器を棒材1上に設け、この微弱電波を受信して作動するイヤホーンを棒材1から分離して身体に装備してもよい。なお電子部品の小型化により、棒材1を中空棒材としその中空部に回路ユニット5の一部または全部を納めることも考えられる。
【0012】図2は上記実施例の視覚障害者用杖装置の電気回路図である。回路ユニット5は、色検出回路5a、演算増幅回路5b、黄色判別回路5c、制御回路5dなどからなり、3aは白色発光ダイオード、6はバイブレータ、ブザー、イヤホーンなどの標識確認装置、8は電源電池、8aは電源スイッチである。
【0013】色検出回路5aはカラーセンサ2とカラーセンサ信号処理用IC7を主要部とし、カラーセンサ2は、黄色の点字ブロックなどの標識の色をRGB信号(光の3原色信号)として検知して、R信号、G信号、B信号として出力する。カラーセンサ信号処理用IC7は対数増幅機能を有し、カラーセンサ2から受けたR信号、G信号、B信号を、それぞれlogR、logG、logBなる信号に変換する。演算増幅回路5bは差動増幅機能を有し、前記logR、logG、logBの各信号を基に、logR−logG=logR/G、logB−logG=logB/Gを演算して、logR/Gの値(この明細書および図面では「R/Gの値」と略す)と、logB/Gの値(この明細書および図面では「B/Gの値」と略す)を得るものである。
【0014】この発明において、標識の色が黄色か否かを判別することが基本的に重要であるが、その判別をする上でR/GおよびB/Gの値が必要である。R/GおよびB/Gの値が変わることにより、色の認識が変わることが知られており、この発明においては実験結果から、R/Gの値が1.4〜1.7でB/Gの値が2.1〜2.7の範囲にあるとき黄色の認識がなされるとして回路を構成している。すなわち実験結果に照らして、R/GがおよびB/Gの値が図3の領域Yの中にある場合、その標識の色が黄色であると判定する。
【0015】黄色判別回路5cは、演算増幅回路5bから受けたR/G信号およびB/G信号を所定の基準設定値と比較する比較器9a、9b、9c、9dを含み、これら比較器9a、9b、9c、9dによって、R/G値およびB/G値がそれぞれ上記の範囲内にあるか否かを判別し、上記の範囲内にある場合、杖の棒材1の先端の対物端部のカラーセンサ2でとらえた標識が視覚障害者用の黄色の標識であると判別して、標識確認装置6を作動させる黄色検出信号をA点に出力するものである。また自然光(太陽光)と白色発光ダイオード3aのような人工の光源3ではスペクトル分布が異なるため標識に当てられる光によってカラーセンサ2で得られる検知色相に差が生ずる。したがって人工の光源3で標識を照射する場合には、光源3を用いない場合に比し、比較器9a、9b、9c、9dのスレッショルドを補正する必要が生ずる場合もある。この補正は調整回路10によって行うことができるが、光源3(白色発光ダイオード3a)を照射する際、自動的に調整回路10を切り替えてスレッショルド補正をすることも容易である。
【0016】この種の視覚障害者用杖装置では、電源電池の消耗を抑え長時間の連続使用に耐えることが要求される。この発明の視覚障害者用杖装置では、光源3の照射に要するエネルギーが黄色標識の検知判別に要するエネルギーより遥かに大きいことから、かつまた色検出回路5aの応答速度が極めて速いという特長があることから、上記の要求に応えるために、白色発光ダイオード3aの点灯時間を短くして長い周期で間欠的に点灯し間欠照射するようにすると共に、この短い点灯時間中に色の検出判別を行いその結果から生ずる黄色検出信号を一時記憶させて延長連続化させ、電源電池の消耗を抑えながら標識確認装置を支障なく作動させるものである。
【0017】制御回路5dは上記の目的で白色発光ダイオード3aの間欠点灯制御と黄色検出信号の延長連続化制御を行うものである。図4、図5、図6はそれぞれ制御回路5dのB点、Ci点、Co点の電圧特性を示すもので、これらの図の特性グラフから、白色発光ダイオード3aの間欠点灯制御状態と黄色検出信号の延長連続化制御状態を知ることができる。すなわち図4から分かるように、白色発光ダイオード3aは約0.1秒の周期で約0.01秒だけ間欠点灯制御されている。また白色発光ダイオード3aが黄色の標識を間欠照射しているとき、黄色判別回路5cから出た黄色検出信号はCi点において図5に示す間欠特性となっているが、これが発光制御回路5dによって、Co点においては図6に示すような連続した特性となり、この連続した黄色検出信号によって標識確認装置6を安定に作動させることができる。
【0018】また電源電池の消耗を減ずるために、周囲が暗くなってカラーセンサ2の受光量が不足状態になったときのみこれを感知して光源3(白色発光ダイオード3a)を点灯可能にする光源スイッチ11を設けたり、杖の棒材1が垂直あるいは水平状態におかれて標識検知不要の状態になったとき電源を自動的に遮断する機能を電源スイッチ8aに付加している。
【0019】図7、図8はカラーセンサ2の受光前段部にレンズ4を配設する実験効果を示すものである。図7R>7、図8から明らかなように、黄色の標識であっても、標識とカラーセンサ2の間の距離が長くなるにしたがってカラーセンサ2の黄色検知能力が低下するが、カラーセンサ2の受光前段部にレンズ4を配設することにより、黄色と判別する上で制限される標識・カラーセンサ間の距離を大幅に長ずることができる。
【0020】
【発明の効果】上記実施例から明らかなように、この発明の視覚障害者用杖装置によれば、杖で行く手前方の障害物の有無や安全性を感知すると同時に、直近にある視覚障害者向けの黄色の標識の存在を感知してその標識に従うことができ、夜間や暗い場所においても標識の存在を感知することができ、また電源電池の消耗を抑えて長時間使用にも耐え、さらにカラーセンサの受光部にレンズを付加することにより、黄色の標識として識別できる標識までの制限距離を延ばすことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施例を示す視覚障害者用杖装置の概略構成図。
【図2】同視覚障害者用杖装置の電気回路図。
【図3】同視覚障害者用杖装置の黄色判別信号範囲設定図。
【図4】同視覚障害者用杖装置の光源点灯特性図。
【図5】上記電気回路のCi点における黄色検出信号特性図。
【図6】上記電気回路のCo点における黄色検出信号特性図。
【図7】同視覚障害者用杖装置におけるレンズの使用効果を示すB/G特性図。
【図8】同視覚障害者用杖装置におけるレンズの使用効果を示すR/G特性図。
【図9】視覚障害者向け点字ブロックの平面図。
【符号の説明】
1 :杖の棒材
1a:対物端部
2 :カラーセンサ
3 :光源
3a:白色発光ダイオード
4 :レンズ
5 :回路ユニット
5a:色検出回路
5b:演算増幅回路
5c:黄色判別回路
5d:発光制御回路
6 :標識確認装置
6a:イヤホーン
7 :カラーセンサ信号処理用IC
8 :電源電池
8a:電源スイッチ
9a,9b,9c,9d:比較器
10 :調整回路(スレッショルド補正手段)
11 :光源スイッチ
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は視覚障害者が用いる杖の分野に属し、行く手の障害物の有無を感知する従来のこの種の杖の機能に加え、視覚障害者のために市中で多用されている黄色の点字ブロックや黄色の危険表示線の存在を検知してこれを視覚障害者に伝える機能を具備した視覚障害者用杖装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】市中の歩道や駅の構内などで視覚障害者向け標識として黄色の点字ブロック(路上や駅のプラットホーム上に敷かれている図9に示すような警告ブロック91や誘導ブロック92など)が多用されている。このような標識に黄色が用いられる理由は、弱視者にとって黄色が最も認識しやすい色とされていることによる。一方、ある対象物の色をカラーセンサで赤緑青の光の3原色情報信号(RGB信号)として読み取って検知し、これら赤、緑、青の各色の信号(R信号、G信号、B信号)を対数増幅の上、相互に減算してB/Gなる比とR/Gなる比を算出し、これらB/G、R/Gの値がそれぞれ特定の領域にあることを検知することにより対象物の色が黄色であることを判別する技術的手段が知られている。しかし従来の視覚障害者用杖は、視覚障害者の歩行進行方向の障害物を感知する機能のみを有するものであって、上記のようなカラーセンサと黄色判別手段によって視覚障害者のための標識を確認する機能を付加した視覚障害者用杖は実用化されておらず、さらに夜間でも確実に標識確認ができて長時間の連続使用にも耐える視覚障害者用標識確認装置付きの杖は見当たらない。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】この発明は、視覚障害者の歩行進行方向の障害物を感知する従来の機能に加え、市中で多用されている視覚障害者用の黄色の標識の存在を検知しこれを視覚障害者に伝える機能を備えた視覚障害者用杖装置を実用化し、さらに夜間でも確実に黄色の視覚障害者用標識の存在を検知すると共に、長時間の連続使用にも耐える視覚障害者用標識確認装置付きの杖装置を実用化しようとするものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】この発明は、上記の課題を解決するために、行く手の安全性を視覚障害者の手の触覚に伝える杖の棒材の対物端部に、視覚障害者への標識の色を検知するカラーセンサを装着すると共に、このカラーセンサで検知したRGB信号を基に前記標識の色が黄色か否かを判別する黄色判別回路と、この黄色判別回路の黄色検出信号に基づいて作動し視覚障害者に標識の存在を伝える標識確認装置(バイブレータ、ブザーその他の発音器、イヤホーンなど)を用いて視覚障害者用杖装置を構成するものである。そして曇天や夜間でも標識の存在を十分検知できるように、必要に応じて標識を照射する光源(白熱灯、発光ダイオードなど)を付加し、また電力消費を減じて長時間の連続使用に耐えるようにするために、光源として標識を間欠的に照射する白色発光ダイオードを用い、さらにその点灯時間とこれより十分長い消灯時間からなる周期をもって白色発光ダイオードを間欠的に短時間点灯させると共に黄色判別回路から出力される黄色検出信号をこの周期時間を超えて記憶保持する制御回路を設け、さらにまたカラーセンサの感度を補うために、カラーセンサの受光前段部にレンズを配設することを特徴とする。
【0005】
【発明の実施の形態】この発明の視覚障害者用杖装置の主要な実施形態の一つは、行く手の安全性を視覚障害者の手の触覚に伝える棒材の対物端部に、視覚障害者向け標識の色を検知するカラーセンサを装着し、このカラーセンサで検知したRGB信号を基に演算されたlogR/Gの値が1.4〜1.7の範囲でlogB/Gの値が2.1〜2.7の範囲にある場合に前記標識の色を黄色と判別する黄色判別回路と、この黄色判別回路の黄色検出信号に基づいて作動し視覚障害者に標識の存在を伝えるバイブレータ、ブザーその他の発音装置、イヤホーンなどの標識確認装置を備えたものである。
【0006】この発明の視覚障害者用杖装置の他の主要な実施形態は、行く手の安全性を視覚障害者の手の触覚に伝える棒材の対物端部に、視覚障害者向け標識の色を検知するカラーセンサと、必要時にその標識を照射する白熱灯や発光ダイオードなどの光源を装着し、このカラーセンサで検知したRGB信号を基に前記標識の色が黄色か否かを判別する黄色判別回路と、この黄色判別回路の黄色検出信号に基づいて作動し視覚障害者に標識の存在を伝える標識確認装置を備えたものである。
【0007】この発明の視覚障害者用杖装置の他の主要な実施形態は、行く手の安全性を視覚障害者の手の触覚に伝える棒材の対物端部に、視覚障害者向け標識の色を検知するカラーセンサと、必要時にその標識を間欠照射する白色発光ダイオードを装着し、このカラーセンサで検知したRGB信号を基に前記標識の色が黄色か否かを判別する黄色判別回路と、この黄色判別回路の黄色検出信号に基づいて作動し視覚障害者に標識の存在を伝える標識確認装置を備えたものである。
【0008】この発明の視覚障害者用杖装置の他の主要な実施形態は、行く手の安全性を視覚障害者の手の触覚に伝える棒材の対物端部に、視覚障害者向け標識の色を検知するカラーセンサと、必要時にその標識を間欠照射する白色発光ダイオードを装着し、このカラーセンサで検知したRGB信号を基に前記標識の色が黄色か否かを判別する黄色判別回路と、この黄色判別回路の黄色検出信号に基づいて作動し視覚障害者に標識の存在を伝える標識確認装置を備え、さらに点灯時間とこれより十分長い消灯時間からなる周期をもってこの白色発光ダイオードを間欠的に短時間点灯させると共に黄色判別回路から出力される黄色検出信号を前記周期時間を超えて記憶保持する制御回路を設けたものである。
【0009】この発明の視覚障害者用杖装置の他の主要な実施形態は、行く手の安全性を視覚障害者の手の触覚に伝える棒材の対物端部に、視覚障害者向け標識の色を検知するカラーセンサを装着すると共に、このカラーセンサの受光前段部にレンズを配設し、このカラーセンサで検知したRGB信号を基に前記標識の色が黄色か否かを判別する黄色判別回路と、この黄色判別回路の黄色検出信号に基づいて作動し視覚障害者に標識の存在を伝える標識確認装置を備えたものである。
【0010】
【実施例】以下この発明の実施例を図面を参考に説明する。図1において、1は杖となる棒材で、視覚障害者はその上部を握りその下端部すなわち対物端部1aで行く手に障害物がないか安全性を確かめながら歩行する。棒材1の対物端部1aには、カラーセンサ2と光源3が装着され、カラーセンサ2の受光前段部にはレンズ4が配設されている。カラーセンサ2は、視覚障害者の歩行中、その行く手にある視覚障害者のための黄色の標識、例えば路上や駅構内に配置されている前述の黄色の点字ブロックの存在を検知するために、行く手の物体からの反射光を受光してその色に対応する赤緑青の3原色情報信号(RGB信号)を出力するものである。光源3は夕刻や夜間あるいは明るさが不足する曇天時にもカラーセンサ2が行く手の物体の色を十分感知できるように必要に応じて行く手の物体を照射するためのもので、一般に白熱灯や各種の発光ダイオードを用いればよく、赤緑青の光の3原色をそれぞれ発光する3個の発光ダイオードを組み合わせて用いることも考えられるが、特に白色発光ダイオードが優れている。レンズ4は黄色の標識の識別効果を高めるために付加するもので、一般にカラーセンサ2から対象物体までの距離が遠くなるとその物体の色が黄色か否か判別できなくなるが、レンズ4を付加することにより黄色判別可能な対象物体までの距離を延ばすことができる。
【0011】また棒材1には、回路ユニット5と標識確認装置6が設けられている。回路ユニット5は、カラーセンサ2を含む色検出回路や、この色検出回路からの信号に基づいて標識の色が黄色か否かを判別する黄色判別回路や、発光ダイオードの点滅とそれに伴う信号を処理する制御回路などから構成されている。標識確認装置6は、回路ユニット5の黄色判別回路による黄色検出信号に基づいて作動して視覚障害者に標識の存在を伝えるものである。標識確認装置6としてはバイブレータ、ブザーなどの発音装置、イヤホーンなどを任意に選択すればよいが、バイブレータの場合はその振動を手先で感知できるよう、バイブレータを棒材1の手元側に装着される。棒材1の手元側は一般に棒材1の上端部であるが、使用者の使い勝手に応じて棒材1の任意の位置に設定すればよい。またイヤホーン6aは棒材1上の回路に接続すればよいが、別の手段として、黄色検出信号に基づいて微弱電波を発信する発信器を棒材1上に設け、この微弱電波を受信して作動するイヤホーンを棒材1から分離して身体に装備してもよい。なお電子部品の小型化により、棒材1を中空棒材としその中空部に回路ユニット5の一部または全部を納めることも考えられる。
【0012】図2は上記実施例の視覚障害者用杖装置の電気回路図である。回路ユニット5は、色検出回路5a、演算増幅回路5b、黄色判別回路5c、制御回路5dなどからなり、3aは白色発光ダイオード、6はバイブレータ、ブザー、イヤホーンなどの標識確認装置、8は電源電池、8aは電源スイッチである。
【0013】色検出回路5aはカラーセンサ2とカラーセンサ信号処理用IC7を主要部とし、カラーセンサ2は、黄色の点字ブロックなどの標識の色をRGB信号(光の3原色信号)として検知して、R信号、G信号、B信号として出力する。カラーセンサ信号処理用IC7は対数増幅機能を有し、カラーセンサ2から受けたR信号、G信号、B信号を、それぞれlogR、logG、logBなる信号に変換する。演算増幅回路5bは差動増幅機能を有し、前記logR、logG、logBの各信号を基に、logR−logG=logR/G、logB−logG=logB/Gを演算して、logR/Gの値(この明細書および図面では「R/Gの値」と略す)と、logB/Gの値(この明細書および図面では「B/Gの値」と略す)を得るものである。
【0014】この発明において、標識の色が黄色か否かを判別することが基本的に重要であるが、その判別をする上でR/GおよびB/Gの値が必要である。R/GおよびB/Gの値が変わることにより、色の認識が変わることが知られており、この発明においては実験結果から、R/Gの値が1.4〜1.7でB/Gの値が2.1〜2.7の範囲にあるとき黄色の認識がなされるとして回路を構成している。すなわち実験結果に照らして、R/GがおよびB/Gの値が図3の領域Yの中にある場合、その標識の色が黄色であると判定する。
【0015】黄色判別回路5cは、演算増幅回路5bから受けたR/G信号およびB/G信号を所定の基準設定値と比較する比較器9a、9b、9c、9dを含み、これら比較器9a、9b、9c、9dによって、R/G値およびB/G値がそれぞれ上記の範囲内にあるか否かを判別し、上記の範囲内にある場合、杖の棒材1の先端の対物端部のカラーセンサ2でとらえた標識が視覚障害者用の黄色の標識であると判別して、標識確認装置6を作動させる黄色検出信号をA点に出力するものである。また自然光(太陽光)と白色発光ダイオード3aのような人工の光源3ではスペクトル分布が異なるため標識に当てられる光によってカラーセンサ2で得られる検知色相に差が生ずる。したがって人工の光源3で標識を照射する場合には、光源3を用いない場合に比し、比較器9a、9b、9c、9dのスレッショルドを補正する必要が生ずる場合もある。この補正は調整回路10によって行うことができるが、光源3(白色発光ダイオード3a)を照射する際、自動的に調整回路10を切り替えてスレッショルド補正をすることも容易である。
【0016】この種の視覚障害者用杖装置では、電源電池の消耗を抑え長時間の連続使用に耐えることが要求される。この発明の視覚障害者用杖装置では、光源3の照射に要するエネルギーが黄色標識の検知判別に要するエネルギーより遥かに大きいことから、かつまた色検出回路5aの応答速度が極めて速いという特長があることから、上記の要求に応えるために、白色発光ダイオード3aの点灯時間を短くして長い周期で間欠的に点灯し間欠照射するようにすると共に、この短い点灯時間中に色の検出判別を行いその結果から生ずる黄色検出信号を一時記憶させて延長連続化させ、電源電池の消耗を抑えながら標識確認装置を支障なく作動させるものである。
【0017】制御回路5dは上記の目的で白色発光ダイオード3aの間欠点灯制御と黄色検出信号の延長連続化制御を行うものである。図4、図5、図6はそれぞれ制御回路5dのB点、Ci点、Co点の電圧特性を示すもので、これらの図の特性グラフから、白色発光ダイオード3aの間欠点灯制御状態と黄色検出信号の延長連続化制御状態を知ることができる。すなわち図4から分かるように、白色発光ダイオード3aは約0.1秒の周期で約0.01秒だけ間欠点灯制御されている。また白色発光ダイオード3aが黄色の標識を間欠照射しているとき、黄色判別回路5cから出た黄色検出信号はCi点において図5に示す間欠特性となっているが、これが発光制御回路5dによって、Co点においては図6に示すような連続した特性となり、この連続した黄色検出信号によって標識確認装置6を安定に作動させることができる。
【0018】また電源電池の消耗を減ずるために、周囲が暗くなってカラーセンサ2の受光量が不足状態になったときのみこれを感知して光源3(白色発光ダイオード3a)を点灯可能にする光源スイッチ11を設けたり、杖の棒材1が垂直あるいは水平状態におかれて標識検知不要の状態になったとき電源を自動的に遮断する機能を電源スイッチ8aに付加している。
【0019】図7、図8はカラーセンサ2の受光前段部にレンズ4を配設する実験効果を示すものである。図7R>7、図8から明らかなように、黄色の標識であっても、標識とカラーセンサ2の間の距離が長くなるにしたがってカラーセンサ2の黄色検知能力が低下するが、カラーセンサ2の受光前段部にレンズ4を配設することにより、黄色と判別する上で制限される標識・カラーセンサ間の距離を大幅に長ずることができる。
【0020】
【発明の効果】上記実施例から明らかなように、この発明の視覚障害者用杖装置によれば、杖で行く手前方の障害物の有無や安全性を感知すると同時に、直近にある視覚障害者向けの黄色の標識の存在を感知してその標識に従うことができ、夜間や暗い場所においても標識の存在を感知することができ、また電源電池の消耗を抑えて長時間使用にも耐え、さらにカラーセンサの受光部にレンズを付加することにより、黄色の標識として識別できる標識までの制限距離を延ばすことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施例を示す視覚障害者用杖装置の概略構成図。
【図2】同視覚障害者用杖装置の電気回路図。
【図3】同視覚障害者用杖装置の黄色判別信号範囲設定図。
【図4】同視覚障害者用杖装置の光源点灯特性図。
【図5】上記電気回路のCi点における黄色検出信号特性図。
【図6】上記電気回路のCo点における黄色検出信号特性図。
【図7】同視覚障害者用杖装置におけるレンズの使用効果を示すB/G特性図。
【図8】同視覚障害者用杖装置におけるレンズの使用効果を示すR/G特性図。
【図9】視覚障害者向け点字ブロックの平面図。
【符号の説明】
1 :杖の棒材
1a:対物端部
2 :カラーセンサ
3 :光源
3a:白色発光ダイオード
4 :レンズ
5 :回路ユニット
5a:色検出回路
5b:演算増幅回路
5c:黄色判別回路
5d:発光制御回路
6 :標識確認装置
6a:イヤホーン
7 :カラーセンサ信号処理用IC
8 :電源電池
8a:電源スイッチ
9a,9b,9c,9d:比較器
10 :調整回路(スレッショルド補正手段)
11 :光源スイッチ
【特許請求の範囲】
【請求項1】 行く手の安全性を視覚障害者の手の触覚に伝える棒材の対物端部に、視覚障害者向け標識の色を検知するカラーセンサを装着し、このカラーセンサで検知したRGB信号を基に演算されたlogR/Gの値が1.4〜1.7の範囲でlogB/Gの値が2.1〜2.7の範囲にある場合に前記標識の色を黄色と判別する黄色判別回路と、この黄色判別回路の黄色検出信号に基づいて作動し視覚障害者に標識の存在を伝える標識確認装置を備えたことを特徴とする視覚障害者用杖装置。
【請求項2】 行く手の安全性を視覚障害者の手の触覚に伝える棒材の対物端部に、視覚障害者向け標識の色を検知するカラーセンサを装着し、このカラーセンサで検知したRGB信号を基に演算されたlogR/Gの値が1.4〜1.7の範囲でlogB/Gの値が2.1〜2.7の範囲にある場合に前記標識の色を黄色と判別する黄色判別回路を備え、この黄色判別回路の黄色検出信号に基づいて作動し視覚障害者に標識の存在を伝えるバイブレータを前記棒材に設けたことを特徴とする視覚障害者用杖装置。
【請求項3】 行く手の安全性を視覚障害者の手の触覚に伝える棒材の対物端部に、視覚障害者向け標識の色を検知するカラーセンサを装着し、このカラーセンサで検知したRGB信号を基に演算されたlogR/Gの値が1.4〜1.7の範囲でlogB/Gの値が2.1〜2.7の範囲にある場合に前記標識の色を黄色と判別する黄色判別回路を備え、この黄色判別回路の黄色検出信号に基づいて作動し視覚障害者に標識の存在を伝える発音装置を前記棒材に設けたことを特徴とする視覚障害者用杖装置。
【請求項4】 行く手の安全性を視覚障害者の手の触覚に伝える棒材の対物端部に、視覚障害者向け標識の色を検知するカラーセンサを装着し、このカラーセンサで検知したRGB信号を基に演算されたlogR/Gの値が1.4〜1.7の範囲でlogB/Gの値が2.1〜2.7の範囲にある場合に前記標識の色を黄色と判別する黄色判別回路を備え、この黄色判別回路の黄色検出信号に基づいて作動し視覚障害者に標識の存在を伝えるイヤホーンを前記棒材上の回路に接続したことを特徴とする視覚障害者用杖装置。
【請求項5】 行く手の安全性を視覚障害者の手の触覚に伝える棒材の対物端部に、視覚障害者向け標識の色を検知するカラーセンサを装着し、このカラーセンサで検知したRGB信号を基に演算されたlogR/Gの値が1.4〜1.7の範囲でlogB/Gの値が2.1〜2.7の範囲にある場合に前記標識の色を黄色と判別する黄色判別回路を備え、この黄色判別回路の黄色検出信号に基づいて微弱電波を発信する発信器と、この微弱電波を受信して作動し視覚障害者に標識の存在を伝えるイヤホーンを設けたことを特徴とする視覚障害者用杖装置。
【請求項6】 行く手の安全性を視覚障害者の手の触覚に伝える棒材の対物端部に、視覚障害者向け標識の色を検知するカラーセンサと、必要時にその標識を照射する光源を装着し、このカラーセンサで検知したRGB信号を基に演算されたlogR/Gの値が1.4〜1.7の範囲でlogB/Gの値が2.1〜2.7の範囲にある場合に前記標識の色を黄色と判別する黄色判別回路と、この黄色判別回路の黄色検出信号に基づいて作動し視覚障害者に標識の存在を伝える標識確認装置を備えたことを特徴とする視覚障害者用杖装置。
【請求項7】 行く手の安全性を視覚障害者の手の触覚に伝える棒材の対物端部に、視覚障害者向け標識の色を検知するカラーセンサと、必要時にその標識を照射する光源を装着し、このカラーセンサで検知したRGB信号を基に演算されたlogR/Gの値が1.4〜1.7の範囲でlogB/Gの値が2.1〜2.7の範囲にある場合に前記標識の色を黄色と判別する黄色判別回路を備え、この黄色判別回路の黄色検出信号に基づいて作動し視覚障害者に標識の存在を伝えるバイブレータを前記棒材の手元側に設けたことを特徴とする視覚障害者用杖装置。
【請求項8】 行く手の安全性を視覚障害者の手の触覚に伝える棒材の対物端部に、視覚障害者向け標識の色を検知するカラーセンサと、必要時にその標識を照射する光源を装着し、このカラーセンサで検知したRGB信号を基に演算されたlogR/Gの値が1.4〜1.7の範囲でlogB/Gの値が2.1〜2.7の範囲にある場合に前記標識の色を黄色と判別する黄色判別回路を備え、この黄色判別回路の黄色検出信号に基づいて作動し視覚障害者に標識の存在を伝える発音装置を前記棒材に設けたことを特徴とする視覚障害者用杖装置。
【請求項9】 行く手の安全性を視覚障害者の手の触覚に伝える棒材の対物端部に、視覚障害者向け標識の色を検知するカラーセンサと、必要時にその標識を照射する光源を装着し、このカラーセンサで検知したRGB信号を基に演算されたlogR/Gの値が1.4〜1.7の範囲でlogB/Gの値が2.1〜2.7の範囲にある場合に前記標識の色を黄色と判別する黄色判別回路を備え、この黄色判別回路の黄色検出信号に基づいて作動し視覚障害者に標識の存在を伝えるイヤホーンを前記棒材上の回路に接続したことを特徴とする視覚障害者用杖装置。
【請求項10】 行く手の安全性を視覚障害者の手の触覚に伝える棒材の対物端部に、視覚障害者向け標識の色を検知するカラーセンサと、必要時にその標識を照射する光源を装着し、このカラーセンサで検知したRGB信号を基に演算されたlogR/Gの値が1.4〜1.7の範囲でlogB/Gの値が2.1〜2.7の範囲にある場合に前記標識の色を黄色と判別する黄色判別回路を備え、この黄色判別回路の黄色検出信号に基づいて微弱電波を発信する発信器と、この微弱電波を受信して作動し視覚障害者に標識の存在を伝えるイヤホーンを設けたことを特徴とする視覚障害者用杖装置。
【請求項11】 光源として白熱灯を用いたことを特徴とする、請求項6乃至10のいずれか1項に記載の視覚障害者用杖装置。
【請求項12】 光源として発光ダイオードを用いたことを特徴とする、請求項6乃至10のいずれか1項に記載の視覚障害者用杖装置。
【請求項13】 行く手の安全性を視覚障害者の手の触覚に伝える棒材の対物端部に、視覚障害者向け標識の色を検知するカラーセンサと、必要時にその標識を間欠照射する白色発光ダイオードを装着し、このカラーセンサで検知したRGB信号を基に前記標識の色が黄色か否かを判別する黄色判別回路と、この黄色判別回路の黄色検出信号に基づいて作動し視覚障害者に標識の存在を伝える標識確認装置を備えたことを特徴とする視覚障害者用杖装置。
【請求項14】 行く手の安全性を視覚障害者の手の触覚に伝える棒材の対物端部に、視覚障害者向け標識の色を検知するカラーセンサと、必要時にその標識を間欠照射する白色発光ダイオードを装着し、このカラーセンサで検知したRGB信号を基に前記標識の色が黄色か否かを判別する黄色判別回路を備え、この黄色判別回路の黄色検出信号に基づいて作動し視覚障害者に標識の存在を伝えるバイブレータを前記棒材の手元側に設けたことを特徴とする視覚障害者用杖装置。
【請求項15】 行く手の安全性を視覚障害者の手の触覚に伝える棒材の対物端部に、視覚障害者向け標識の色を検知するカラーセンサと、必要時にその標識を間欠照射する白色発光ダイオードを装着し、このカラーセンサで検知したRGB信号を基に前記標識の色が黄色か否かを判別する黄色判別回路を備え、この黄色判別回路の黄色検出信号に基づいて作動し視覚障害者に標識の存在を伝える発音装置を前記棒材に設けたことを特徴とする視覚障害者用杖装置。
【請求項16】 行く手の安全性を視覚障害者の手の触覚に伝える棒材の対物端部に、視覚障害者向け標識の色を検知するカラーセンサと、必要時にその標識を間欠照射する白色発光ダイオードを装着し、このカラーセンサで検知したRGB信号を基に前記標識の色が黄色か否かを判別する黄色判別回路を備え、この黄色判別回路の黄色検出信号に基づいて作動し視覚障害者に標識の存在を伝えるイヤホーンを前記棒材上の回路に接続したことを特徴とする視覚障害者用杖装置。
【請求項17】 行く手の安全性を視覚障害者の手の触覚に伝える棒材の対物端部に、視覚障害者向け標識の色を検知するカラーセンサと、必要時にその標識を間欠照射する白色発光ダイオードを装着し、このカラーセンサで検知したRGB信号を基に前記標識の色が黄色か否かを判別する黄色判別回路を備え、この黄色判別回路の黄色検出信号に基づいて微弱電波を発信する発信器と、この微弱電波を受信して作動し視覚障害者に標識の存在を伝えるイヤホーンを設けたことを特徴とする視覚障害者用杖装置。
【請求項18】 点灯時間とこれより十分長い消灯時間からなる周期をもって発光ダイオードを間欠的に短時間点灯させると共に黄色判別回路から出力される黄色検出信号を前記周期時間を超えて記憶保持する制御回路を設けたことを特徴とする、請求項12に記載の視覚障害者用杖装置。
【請求項19】 点灯時間とこれより十分長い消灯時間からなる周期をもって白色発光ダイオードを間欠的に短時間点灯させると共に黄色判別回路から出力される黄色検出信号を前記周期時間を超えて記憶保持する制御回路を設けたことを特徴とする、請求項13乃至17のいずれか1項に記載の視覚障害者用杖装置。
【請求項20】 カラーセンサの受光量が不足状態にあることを感知して白熱灯、発光ダイオード、白色発光ダイオードなどの光源を発光させるスイッチ回路を設けたことを特徴とする、請求項6乃至19のいずれか1項に記載の視覚障害者用杖装置。
【請求項21】 黄色判別回路は、カラーセンサで検知したRGB信号を処理したR/G信号、B/G信号を基準設定値と比較する比較器を含み、標識が自然光で照らされる際の前記基準設定値に比して、標識を白熱灯、発光ダイオード、白色発光ダイオードなどの光源で照射する際の前記基準設定値を補正するスレッショルド補正手段を設けたことを特徴とする、請求項6乃至19のいずれか1項に記載の視覚障害者用杖装置。
【請求項22】 棒材が垂直状態あるいは水平状態にあるとき電源を遮断する電源スイッチを設けたことを特徴とする、請求項6乃至19のいずれか1項に記載の視覚障害者用杖装置。
【請求項23】 カラーセンサの受光前段部にレンズを配設したことを特徴とする、請求項1乃至22のいずれか1項に記載の視覚障害者用杖装置。
【請求項1】 行く手の安全性を視覚障害者の手の触覚に伝える棒材の対物端部に、視覚障害者向け標識の色を検知するカラーセンサを装着し、このカラーセンサで検知したRGB信号を基に演算されたlogR/Gの値が1.4〜1.7の範囲でlogB/Gの値が2.1〜2.7の範囲にある場合に前記標識の色を黄色と判別する黄色判別回路と、この黄色判別回路の黄色検出信号に基づいて作動し視覚障害者に標識の存在を伝える標識確認装置を備えたことを特徴とする視覚障害者用杖装置。
【請求項2】 行く手の安全性を視覚障害者の手の触覚に伝える棒材の対物端部に、視覚障害者向け標識の色を検知するカラーセンサを装着し、このカラーセンサで検知したRGB信号を基に演算されたlogR/Gの値が1.4〜1.7の範囲でlogB/Gの値が2.1〜2.7の範囲にある場合に前記標識の色を黄色と判別する黄色判別回路を備え、この黄色判別回路の黄色検出信号に基づいて作動し視覚障害者に標識の存在を伝えるバイブレータを前記棒材に設けたことを特徴とする視覚障害者用杖装置。
【請求項3】 行く手の安全性を視覚障害者の手の触覚に伝える棒材の対物端部に、視覚障害者向け標識の色を検知するカラーセンサを装着し、このカラーセンサで検知したRGB信号を基に演算されたlogR/Gの値が1.4〜1.7の範囲でlogB/Gの値が2.1〜2.7の範囲にある場合に前記標識の色を黄色と判別する黄色判別回路を備え、この黄色判別回路の黄色検出信号に基づいて作動し視覚障害者に標識の存在を伝える発音装置を前記棒材に設けたことを特徴とする視覚障害者用杖装置。
【請求項4】 行く手の安全性を視覚障害者の手の触覚に伝える棒材の対物端部に、視覚障害者向け標識の色を検知するカラーセンサを装着し、このカラーセンサで検知したRGB信号を基に演算されたlogR/Gの値が1.4〜1.7の範囲でlogB/Gの値が2.1〜2.7の範囲にある場合に前記標識の色を黄色と判別する黄色判別回路を備え、この黄色判別回路の黄色検出信号に基づいて作動し視覚障害者に標識の存在を伝えるイヤホーンを前記棒材上の回路に接続したことを特徴とする視覚障害者用杖装置。
【請求項5】 行く手の安全性を視覚障害者の手の触覚に伝える棒材の対物端部に、視覚障害者向け標識の色を検知するカラーセンサを装着し、このカラーセンサで検知したRGB信号を基に演算されたlogR/Gの値が1.4〜1.7の範囲でlogB/Gの値が2.1〜2.7の範囲にある場合に前記標識の色を黄色と判別する黄色判別回路を備え、この黄色判別回路の黄色検出信号に基づいて微弱電波を発信する発信器と、この微弱電波を受信して作動し視覚障害者に標識の存在を伝えるイヤホーンを設けたことを特徴とする視覚障害者用杖装置。
【請求項6】 行く手の安全性を視覚障害者の手の触覚に伝える棒材の対物端部に、視覚障害者向け標識の色を検知するカラーセンサと、必要時にその標識を照射する光源を装着し、このカラーセンサで検知したRGB信号を基に演算されたlogR/Gの値が1.4〜1.7の範囲でlogB/Gの値が2.1〜2.7の範囲にある場合に前記標識の色を黄色と判別する黄色判別回路と、この黄色判別回路の黄色検出信号に基づいて作動し視覚障害者に標識の存在を伝える標識確認装置を備えたことを特徴とする視覚障害者用杖装置。
【請求項7】 行く手の安全性を視覚障害者の手の触覚に伝える棒材の対物端部に、視覚障害者向け標識の色を検知するカラーセンサと、必要時にその標識を照射する光源を装着し、このカラーセンサで検知したRGB信号を基に演算されたlogR/Gの値が1.4〜1.7の範囲でlogB/Gの値が2.1〜2.7の範囲にある場合に前記標識の色を黄色と判別する黄色判別回路を備え、この黄色判別回路の黄色検出信号に基づいて作動し視覚障害者に標識の存在を伝えるバイブレータを前記棒材の手元側に設けたことを特徴とする視覚障害者用杖装置。
【請求項8】 行く手の安全性を視覚障害者の手の触覚に伝える棒材の対物端部に、視覚障害者向け標識の色を検知するカラーセンサと、必要時にその標識を照射する光源を装着し、このカラーセンサで検知したRGB信号を基に演算されたlogR/Gの値が1.4〜1.7の範囲でlogB/Gの値が2.1〜2.7の範囲にある場合に前記標識の色を黄色と判別する黄色判別回路を備え、この黄色判別回路の黄色検出信号に基づいて作動し視覚障害者に標識の存在を伝える発音装置を前記棒材に設けたことを特徴とする視覚障害者用杖装置。
【請求項9】 行く手の安全性を視覚障害者の手の触覚に伝える棒材の対物端部に、視覚障害者向け標識の色を検知するカラーセンサと、必要時にその標識を照射する光源を装着し、このカラーセンサで検知したRGB信号を基に演算されたlogR/Gの値が1.4〜1.7の範囲でlogB/Gの値が2.1〜2.7の範囲にある場合に前記標識の色を黄色と判別する黄色判別回路を備え、この黄色判別回路の黄色検出信号に基づいて作動し視覚障害者に標識の存在を伝えるイヤホーンを前記棒材上の回路に接続したことを特徴とする視覚障害者用杖装置。
【請求項10】 行く手の安全性を視覚障害者の手の触覚に伝える棒材の対物端部に、視覚障害者向け標識の色を検知するカラーセンサと、必要時にその標識を照射する光源を装着し、このカラーセンサで検知したRGB信号を基に演算されたlogR/Gの値が1.4〜1.7の範囲でlogB/Gの値が2.1〜2.7の範囲にある場合に前記標識の色を黄色と判別する黄色判別回路を備え、この黄色判別回路の黄色検出信号に基づいて微弱電波を発信する発信器と、この微弱電波を受信して作動し視覚障害者に標識の存在を伝えるイヤホーンを設けたことを特徴とする視覚障害者用杖装置。
【請求項11】 光源として白熱灯を用いたことを特徴とする、請求項6乃至10のいずれか1項に記載の視覚障害者用杖装置。
【請求項12】 光源として発光ダイオードを用いたことを特徴とする、請求項6乃至10のいずれか1項に記載の視覚障害者用杖装置。
【請求項13】 行く手の安全性を視覚障害者の手の触覚に伝える棒材の対物端部に、視覚障害者向け標識の色を検知するカラーセンサと、必要時にその標識を間欠照射する白色発光ダイオードを装着し、このカラーセンサで検知したRGB信号を基に前記標識の色が黄色か否かを判別する黄色判別回路と、この黄色判別回路の黄色検出信号に基づいて作動し視覚障害者に標識の存在を伝える標識確認装置を備えたことを特徴とする視覚障害者用杖装置。
【請求項14】 行く手の安全性を視覚障害者の手の触覚に伝える棒材の対物端部に、視覚障害者向け標識の色を検知するカラーセンサと、必要時にその標識を間欠照射する白色発光ダイオードを装着し、このカラーセンサで検知したRGB信号を基に前記標識の色が黄色か否かを判別する黄色判別回路を備え、この黄色判別回路の黄色検出信号に基づいて作動し視覚障害者に標識の存在を伝えるバイブレータを前記棒材の手元側に設けたことを特徴とする視覚障害者用杖装置。
【請求項15】 行く手の安全性を視覚障害者の手の触覚に伝える棒材の対物端部に、視覚障害者向け標識の色を検知するカラーセンサと、必要時にその標識を間欠照射する白色発光ダイオードを装着し、このカラーセンサで検知したRGB信号を基に前記標識の色が黄色か否かを判別する黄色判別回路を備え、この黄色判別回路の黄色検出信号に基づいて作動し視覚障害者に標識の存在を伝える発音装置を前記棒材に設けたことを特徴とする視覚障害者用杖装置。
【請求項16】 行く手の安全性を視覚障害者の手の触覚に伝える棒材の対物端部に、視覚障害者向け標識の色を検知するカラーセンサと、必要時にその標識を間欠照射する白色発光ダイオードを装着し、このカラーセンサで検知したRGB信号を基に前記標識の色が黄色か否かを判別する黄色判別回路を備え、この黄色判別回路の黄色検出信号に基づいて作動し視覚障害者に標識の存在を伝えるイヤホーンを前記棒材上の回路に接続したことを特徴とする視覚障害者用杖装置。
【請求項17】 行く手の安全性を視覚障害者の手の触覚に伝える棒材の対物端部に、視覚障害者向け標識の色を検知するカラーセンサと、必要時にその標識を間欠照射する白色発光ダイオードを装着し、このカラーセンサで検知したRGB信号を基に前記標識の色が黄色か否かを判別する黄色判別回路を備え、この黄色判別回路の黄色検出信号に基づいて微弱電波を発信する発信器と、この微弱電波を受信して作動し視覚障害者に標識の存在を伝えるイヤホーンを設けたことを特徴とする視覚障害者用杖装置。
【請求項18】 点灯時間とこれより十分長い消灯時間からなる周期をもって発光ダイオードを間欠的に短時間点灯させると共に黄色判別回路から出力される黄色検出信号を前記周期時間を超えて記憶保持する制御回路を設けたことを特徴とする、請求項12に記載の視覚障害者用杖装置。
【請求項19】 点灯時間とこれより十分長い消灯時間からなる周期をもって白色発光ダイオードを間欠的に短時間点灯させると共に黄色判別回路から出力される黄色検出信号を前記周期時間を超えて記憶保持する制御回路を設けたことを特徴とする、請求項13乃至17のいずれか1項に記載の視覚障害者用杖装置。
【請求項20】 カラーセンサの受光量が不足状態にあることを感知して白熱灯、発光ダイオード、白色発光ダイオードなどの光源を発光させるスイッチ回路を設けたことを特徴とする、請求項6乃至19のいずれか1項に記載の視覚障害者用杖装置。
【請求項21】 黄色判別回路は、カラーセンサで検知したRGB信号を処理したR/G信号、B/G信号を基準設定値と比較する比較器を含み、標識が自然光で照らされる際の前記基準設定値に比して、標識を白熱灯、発光ダイオード、白色発光ダイオードなどの光源で照射する際の前記基準設定値を補正するスレッショルド補正手段を設けたことを特徴とする、請求項6乃至19のいずれか1項に記載の視覚障害者用杖装置。
【請求項22】 棒材が垂直状態あるいは水平状態にあるとき電源を遮断する電源スイッチを設けたことを特徴とする、請求項6乃至19のいずれか1項に記載の視覚障害者用杖装置。
【請求項23】 カラーセンサの受光前段部にレンズを配設したことを特徴とする、請求項1乃至22のいずれか1項に記載の視覚障害者用杖装置。
【図1】
【図3】
【図5】
【図2】
【図4】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図3】
【図5】
【図2】
【図4】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【特許番号】特許第3025960号(P3025960)
【登録日】平成12年1月28日(2000.1.28)
【発行日】平成12年3月27日(2000.3.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願平10−297510
【出願日】平成10年9月11日(1998.9.11)
【審査請求日】平成10年9月11日(1998.9.11)
【出願人】(593165487)学校法人金沢工業大学 (202)
【参考文献】
【文献】特開 平6−343669(JP,A)
【文献】特開 昭54−120065(JP,A)
【文献】特開 昭63−236931(JP,A)
【文献】実開 昭62−97633(JP,U)
【登録日】平成12年1月28日(2000.1.28)
【発行日】平成12年3月27日(2000.3.27)
【国際特許分類】
【出願日】平成10年9月11日(1998.9.11)
【審査請求日】平成10年9月11日(1998.9.11)
【出願人】(593165487)学校法人金沢工業大学 (202)
【参考文献】
【文献】特開 平6−343669(JP,A)
【文献】特開 昭54−120065(JP,A)
【文献】特開 昭63−236931(JP,A)
【文献】実開 昭62−97633(JP,U)
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