視野測定システム及び方法
本発明の一例において、実質的に中心に固視グラフィック/ビデオが提供され、中心周りの様々な位置にターゲットグラフィック/ビデオが示される患者ディスプレイが提供される。そこから既知の距離にテスト被験者が配され、視線方向判定のために、カメラがテスト被験者の眼の画像を捉える。制御アプリによって表示された画像に基づいて、臨床医は、ターゲットグラフィック/ビデオの表示時にテスト被験者がそれを見たか判定する。臨床医は、テスト制御アプリへの適切な入力を行う。テスト制御アプリは、ターゲット画像が表示された位置の記録も行う。画面上における複数の場所にターゲットグラフィックを表示し、臨床医入力の記録をとることによって、テスト制御アプリは、テスト被験者の周辺視野のプロットを作成できる。このプロットは、臨床医ユーザに対してグラフ表示することができ、また、将来の臨床的使用のためにテスト結果とともに格納できる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の例は、視野測定システム及び方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
人の周辺視力の正確な測定は、重症に至る恐れのある病状の早期診断につながる。視野障害の原因には、新生児脳内出血又は脳卒中、及び網膜色素変性や緑内障などの眼の状態などがあり、また、小児脳腫瘍の50%以上が視力障害を呈している。
【0003】
人の眼は、眼に入る光を神経信号に変換し、それらの神経信号を視神経に送る。したがって、左視神経は左眼からの全ての視覚情報を伝え、右視神経は右眼からの全ての視覚情報を伝える。視神経は、脳内の視交叉において交わる。視交叉の中では、視野の耳側(側部)から垂直中央線に視覚情報を伝える神経線維が反対側に交差する。したがって、結果的に、右視索は左眼の耳側視野及び右眼の鼻側視野を補助する神経線維からなり、左視索は右眼の耳側視野及び左眼の鼻側視野を補助する神経線維からなる。これらは、同名性半視野と呼ばれる。視索は、左及び右の同名性半視野情報を脳の後頭葉に伝える。左の同名性半視野は、右の後頭葉皮質によって処理され、右の同名半視野は、左の後頭葉皮質によって処理される。
【0004】
したがって、臨床医は視野喪失のパターンから腫瘍すなわち脳損傷の位置を決定することができる。緑内障又は網膜剥離などの眼球異常は、垂直中央線を交差する視野欠損を引き起こす。視神経内の腫瘍や視神経に接触する腫瘍は、中心視力の低下を伴う片眼の中心視野の喪失を生じさせる。視交叉を巻き込む腫瘍は、多くの場合、最初から中心視力に影響を及ぼすのではなく、神経線維が視交叉の中で交差するにつれてそれらによる耳側視野の補助を妨害する。これは、両眼における耳側半視野喪失(両耳側半盲)を引き起こす。両耳側半盲は、通常は視覚障害の徴候を生じるものではないが、早期の段階で視交叉部腫瘍を診断するためには、これを検出することが重要である。視索及び後頭葉皮質を巻き込む腫瘍すなわち脳損傷は、同名性視野欠損を引き起こす。例えば、右後頭葉における腫瘍は、左眼から耳側半視野を喪失させるとともに、右眼における鼻側視野を喪失させる。これは、左同名性半盲と呼ばれる。
【0005】
周辺視力の正確な測定は脳腫瘍の最初の指標となり、上述のように、視野喪失のパターンから腫瘍やその他の病変の場所を突き止めることができる。周辺視野欠損の経時的測定は、腫瘍成長の監視に役立つうえに、更なる治療が必要であるかどうかの示唆を得ることができる。
【0006】
人の患者の周辺視力を測定するための幾つかの技術が知られている。よくある2つの視野測定装置は、「ゴールドマン視野計」と「ハンフリー視野計」である。しかしながら、いずれの装置も、人の患者が自らの頭を仕切られた区画に入れて、その区画の中心にある固視点に視線を維持し、視野の周辺に出現するターゲットに向けて自らの反射性眼球運動を強いる必要がある。したがって、このような技術は、例えば小さな子供に使用するのは難しい。なぜならば、小さな子供は、このようなテストに強い威圧感を覚え、テスト指示に適切にしたがって中心点を固視し続けることができないからである。同様に、脳退行性疾患を患っているかもしれない年配の患者も、やはり、同じ問題を呈する。
【0007】
このような問題を克服するために、小さな子供の周辺視力を測定しようとするその他の技術が開発されてきた。図1は、Suga et alによる「Development of a Quantative Perimeter Screening System for Young Children Based on an Immersive VR Display(没入
型VRディスプレイに基づいた幼い子供のための定量的視野スクリーニングシステム)」, Electronics and Communications in Japan, Part II, Volume 89, No. 11, 2006からの図を示している。ここでは、擬似ビデオ空間を構築するために、ヴァーチャルリアリティ技術が使用されている。没入型ディスプレイデバイスは、大きさ3m×2.25mの3枚の画面を前方及び両側に有し、また、大きさ3m×1mの1枚の垂直画面を底部に有する。システムは、それぞれの画面上にビデオ画像を生成するための4台のプロジェクタと、これらのプロジェクタにビデオ信号を送信するための4台のコンピュータと、これらのコンピュータに同期信号を提供するための1台のコンピュータとを含む。
【0008】
子供被験者のための固視点を提供するために、被験者の注意を惹きつけるビデオ画像が使用される。次いで、そのビデオ画像が固視点に表示されている間に、単純に丸い光である画像ターゲットが周辺の画面上に出現される。被験者の顔に焦点を合わせた1台のカメラが用意され、被験者の視線、すなわち被験者の注視の方向を判定するために、テンプレートマッチングを使用した画像処理が使用される。ターゲットが表示されるときに、もし、画像処理の結果、被験者の視線がターゲットの提示から1秒以内にターゲットの提示の方向と一致する方向に変化したと判定された場合は、そのターゲットを認識したと判定される。
【0009】
Suga et alのシステムは、したがって、被験者の視線の方向及びターゲットが検出されたかどうかを被験者の画像処理を使用して判定しようとする自動視野測定システムを創出する試みを提示している。しかしながら、このシステムは、極めて複雑であり、セットアップのために多くの空間及び器具を必要とする。また、判断は、ターゲットが実際に見られたかどうかではなく、純粋に、被験者がターゲットの方向に目をやったかどうかに基づいて下されるので、ターゲットが実際に見られたかどうかを判定するための実際の基準に誤差が生じやすい。
【0010】
その他の手動の技術も知られている。図2は「白球運動曲線」方法を示している。1つの白いボールを固視点として使用し、1人目の臨床医が別の白いボールを子供の視野の中へ移動させ、二人目の臨床医によって子供の反応が監視される。この方法は、2人の臨床医を必要とし、2人目の臨床医の動きが気を逸らしてテストを不正確にする恐れがある。このように、この方法は、理想から程遠く、良い結果を得られない恐れがあるうえに、管理コストがかさむ。
【発明の概要】
【0011】
したがって、小さな子供に使用することができ、尚且つより信頼性良く、正確で、且つ一貫した結果を提供する視野測定システムが必要とされている。
【0012】
発明の一例において、患者ディスプレイが提供される。該ディスプレイ上においてその実質的に中心に、固視グラフィック又は固視ビデオが提供され、次いで、ディスプレイ上においてその中心周りの様々な位置に、ターゲットグラフィック又はターゲットビデオが示される。患者ディスプレイの前には、そこから既知の距離にテスト被験者が配され、視線方向の判定の実施を可能にするために、カメラがテスト被験者の眼の画像を撮像する。撮像された画像は、コントロールテストアプリケーションによって臨床医ユーザに対して表示され、臨床医は、画像に基づいて、ターゲットグラフィック又はターゲットビデオが表示されたときにテスト被験者がそれを見たかどうかに関する判定を下す。臨床医ユーザは、次いで、コントロールテストアプリケーションへの適切な入力を行う。コントロールテストアプリケーションは、ターゲット画像が表示された位置の記録も行う。画面上における複数の場所にターゲットグラフィックを表示し、臨床医入力の記録をとることによって、コントロールテストアプリケーションは、テスト被験者の周辺視野のプロットを作成することができる。このプロットは、臨床医ユーザに対してグラフ表示することができ、
また、将来の臨床的使用のためにテスト結果とともに格納することができる。
【0013】
発明の一例において、固視グラフィック及びターゲットグラフィックは、ビデオコンテンツであり、固視グラフィックとして表示されるとき、およびその後にターゲットグラフィックとして表示されるときに再生され続ける。このようにすれば、ビデオコンテンツの再生は、固視グラフィックとして示されているのか又はターゲットグラフィックとして示されているのかにかかわらず続けられる。したがって、ビデオコンテンツによって表現されるストーリは中断しないので、子供の注意力を維持することが可能である。個々のビデオコンテンツは、個々の子供テスト被験者の興味を引くことができるように臨床医ユーザによって選択される。
【0014】
発明の別の例において、視野測定テストは、テスト被験者がテスト点を見たかどうかに応じて追加のテスト点を加えることによって、テストの実行中に動的に変更(適応)される。テスト被験者がテスト点を見たかどうかに関する判定は、ユーザによって実施されてよいし、テスト被験者の撮影ビデオに対して動作する画像処理アルゴリズムを使用して自動的に実施されてよい。このような判定がどのようになされるにせよ、この例では、より容易なテスト点をテストに追加し、そこにターゲットグラフィック又はターゲットビデオを示すことによって、テストが動的に変更される。より容易なテスト点は、テスト被験者の視界の中心に向かってより近くに位置付けられるように、すなわちテスト被験者の視域の中心線に対してより小さい角度振幅を有するように追加される。追加されたテスト点は、追加された直後にユーザに対して表示されてよいし、異なる角度位置にあるその他のテスト点が示された後にユーザに対して表示されてよい。後者の場合は、テストの連続性が維持され、テスト被験者は、テスト画像を見るまでの間に長い空白を経験して画面の方々へ眼をきょろつかせることがなくてすむ。
【0015】
以上を考慮すると、1つの態様から見て、発明の一例は、周辺視野測定システムであって、テスト画像をテスト被験者に対して表示するように構成された第1のビデオディスプレイと、テスト被験者の画像を撮像するように構成されたカメラと、撮像されたテスト被験者の画像をユーザに対して表示するように構成された第2のビデオディスプレイと、第1及び第2のビデオディスプレイを制御するように構成され、表示に関連したフィードバックデータをユーザから受信するように構成された少なくとも1つの入力を有する1つ以上のプロセッサと、を含み、フィードバックデータは、第1のビデオディスプレイ上にテスト画像が表示されたときにテスト被験者がそのテスト画像を見たかどうかに関するユーザによる判断に関連しており、上記フィードバックデータは、第1のビデオディスプレイ上に表示されたときのテスト画像の位置と対照させて記録され、それによりテスト被験者の周辺視野を表す測定データを収集する、周辺視野測定システムを提供する。
【0016】
別の態様から見て、発明の一例は、また、周辺視野測定システムであって、テスト画像をテスト被験者に対して表示するように構成された被験者ビデオディスプレイと、テスト被験者の画像を撮像するように構成されたカメラと、撮像されたテスト被験者の画像をユーザに対して表示するように構成されたユーザビデオディスプレイと、被験者ビデオディスプレイ及びユーザビデオディスプレイを制御するように構成された1つ以上のプロセッサであって、被験者ビデオディスプレイ上におけるテスト画像の位置に関連した少なくとも1つのインジケータによって増補(augment)するようにユーザディスプレイを制御する、1つ以上のプロセッサと、を含む周辺視野測定システムも提供する。
【0017】
一例において、少なくとも1つのインジケータは、ユーザビデオディスプレイにおいて、被験者ビデオディスプレイにおけるテスト画像の位置に対応する位置に配置される。該対応位置は、テスト被験者に対するカメラの視野の方向を考慮に入れてよい。具体的には、ユーザビデオディスプレイ上における少なくとも1つのインジケータの対応位置は、被
験者の中心視線方向からのカメラ位置の変位に応じてディスプレイの面内を移動されてよい。
【0018】
更なる態様から、発明の一例は、周辺視野測定システムであって、固視画像をテスト被験者に対して表示し、かつ、複数のテスト画像を断続的に表示するように構成された第1のディスプレイデバイスと、第1のディスプレイデバイス上における特定の位置にあるテスト画像をテスト被験者が見たかどうかに関連したデータを収集し、それによりテスト被験者の周辺視野を測定するように構成されたプロセッサとを含み、固視画像及びテスト画像は、ビデオ画像であり、該ビデオ画像のコンテンツの少なくとも一部の再生は、固視画像とテスト画像との間で実質的に連続している、周辺視野測定システムを提供する。
【0019】
尚も更なる態様から、発明の別の例は、周辺視野測定システムであって、複数のテスト画像をディスプレイ上における様々な位置でテスト被験者に対して表示するように構成された第1のディスプレイデバイスと、複数のテスト画像を様々な位置で表示するために第1のディスプレイデバイスを制御し、かつ、特定の位置にある特定のテスト画像をテスト被験者が見たかどうかに関する判定を使用するように構成されたプロセッサと、を含み、プロセッサは、更に、判定に応じ、特定のテスト画像の特定の位置に関連し該特定の位置よりもテスト被験者の視線に近い関連の位置でユーザに対して示される追加のテスト画像の位置を計算し、該追加のテスト画像を上記関連の位置で表示するために第1のディスプレイデバイスを制御するように構成される、周辺視野測定システムを提供する。
【0020】
上記の一実施形態において、追加のテスト画像が表示される関連の位置は、第1のテスト画像と実質的に同じ又は類似の回転角度位置と、より小さい角度振幅とを有する。また、一実施形態では、追加のテスト画像よりも前に、第1のテスト画像と異なる回転角度位置で少なくとも1つの第2のテスト画像がユーザに対して表示される。このような構成を使用すれば、テスト被験者がテスト画像を認識するまでの間に異常に長い空白がないので、テスト被験者がテストにテスト点が追加されていることに気付くことはない。
【0021】
発明の別の態様は、周辺視野測定方法であって、テスト画像をテスト被験者に対して表示するステップと、テスト被験者の画像を撮像するステップと、撮像されたテスト被験者の画像をユーザに対して表示するステップと、表示に関連したユーザからのフィードバックデータを受信するステップと、を含み、フィードバックデータは、第1のビデオディスプレイ上にテスト画像が表示されたときにテスト被験者がそのテスト画像を見たかどうかに関するユーザによる判断に関連しており、上記フィードバックデータは、第1のビデオディスプレイ上に表示されたときのテスト画像の位置と対照させて記録され、それによりテスト被験者の周辺視野を表す測定データを収集する、周辺視野測定方法を提供する。
【0022】
添付の特許請求の範囲から、発明の更なる特徴、態様、及び例が明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】先行技術の視野測定システムの図である。
【図2】先行技術の視野測定技術を示した図である。
【図3】本発明の第1の実施形態の構成要素を示した図である。
【図4】本発明の第1の実施形態における患者画面を示した図である。
【図5】本発明の第1の実施形態における臨床医ビューを示した図である。
【図6】本発明の第1の実施形態の動作を示した一連の図である。
【図7】本発明の第2の実施形態の構成要素を示した図である。
【図8】本発明の第2の実施形態におけるカメラ及び患者画面の配置を示した図である。
【図9】本発明の第2の実施形態のシステムのセットアップを示した写真である。
【図10】本発明の第2の実施形態における使用時の患者画面を示した写真である。
【図11】本発明の第2の実施形態における臨床医画面を示した写真である。
【図12】本発明の第2の実施形態の動作の一部を示した流れ図である。
【図13】本発明の第2の実施形態における臨床医画面の画面ショットである。
【図14】第2の実施形態における臨床医画面の更なる画面ショットである。
【図15】第2の実施形態における患者画面の第1の画面ショットである。
【図16】第2の実施形態における患者画面の第2の画面ショットである。
【図17】第2の実施形態における臨床医画面の更なる画面ショットである。
【図18】第2の実施形態における臨床医画面の更なる画面ショットである。
【図19】第2の実施形態の測定システムによって得られた視野測定プロットである。
【図20】第2の実施形態の動作の一部を示した流れ図である。
【図21】第2の実施形態の動作の別の一部を示した流れ図である。
【図22】第2の実施形態における臨床医画面の更なる画面ショットである。
【図23】第2の実施形態における臨床医画面の更なる画面ショットである。
【図24】第2の実施形態における臨床医画面の更なる画面ショットである。
【図25】第2の実施形態における臨床医画面の更なる画面ショットであり、使用されるテストテンプレート作成ツールを示している。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明の更なる特徴及び利点は、添付の図面を参照にして、ほんの一例として提示された本発明の実施形態に関する以下の説明から明らかになる。ここで、類似の参照符号は、類似の構成要素を指すものとする。
【0025】
次に、添付の図面に関連して、発明の様々な実施例が説明される。
【0026】
図3に、本発明の第1の実施形態例が示されている。ここで、視野測定システム10は、患者ディスプレイ画面3を含み、該画面の前にテスト被験者(この場合は小さな子供6)が配置される。臨床医ディスプレイ画面5も提供される。患者ディスプレイ3上及び臨床医ディスプレイ画面5上の両方に表示される画像を、制御コンピュータ4が制御する。制御コンピュータ4は、患者ディスプレイ画面3上及び臨床医ディスプレイ5上に表示を生じさせるために、適切なソフトウェアプログラム及び対応するハードウェアを備えている。また、制御コンピュータ4は、後述されるように、臨床医ディスプレイ上に表示されたボタンを臨床医が選択することを可能にするためのマウス又はキーボードなどのインターフェースを通じて、臨床医ディスプレイ画面5からフィードバックを受信する。また、図3には示されていないが、システムの一部として、カメラなどの撮像装置も提供され、これは、被験者6が患者ディスプレイ画面3を見ている間に正面から被験者6の顔の像を捉えられるように配置される。
【0027】
図4は、患者ディスプレイを更に詳細に示している。幼い子供に対する視野測定テストの実施に伴う主要な問題の1つは、幼い子供が多くの場合、長時間にわたって固視点に集中することができないことである。この問題を克服するために、本実施形態例では、患者ディスプレイ画面3の中心に、中心固視グラフィック32が表示される。このグラフィックは、幼い子供被験者を楽しませることができるように選ばれる。例えば、グラフィックは、静止グラフィック若しくは動画グラフィックであってよい、又は代替例では、例えば、人気の子供向けテレビ番組のコンテンツを有するビデオのビデオ出力であってよく、テスト被験者が既に知っているものであることが好ましい。
【0028】
子供が中心固視点32に見入っている間に子供の周辺視野のテストを可能にするために、ターゲットグラフィック又はターゲット動画34も提供され、制御コンピュータ4によ
る判定にしたがって画面上における様々なテスト点に断続的に示される。テストグラフィックは、動画グラフィックであってもよいし、代替として、固視点について上述されたようなビデオグラフィックであってもよい。
【0029】
固視グラフィック32は、画面の中央にずっと表示されていてもよいし、代替例では、例えばターゲットグラフィックが表示されているときは表示されないなどのように、断続的にのみ表示されてもよい。同様に、ターゲットグラフィック34は、様々な場所に断続的に表示される。カメラ(不図示)は、被験者の顔の像を真正面からの視点で捉え、これらの画像から臨床医が子供被験者6の視線の方向を判定できるように、制御コンピュータ4を通じて臨床医ディスプレイ5に提供される。
【0030】
図5は、臨床医ディスプレイ5の一例を示している。具体的には、臨床医ディスプレイ5は、患者画面3を見ているときにカメラ(不図示)によって撮像された子供被験者6の顔のビデオ画像から形成された、ビデオディスプレイ50を呈している。ビデオ画像には、測定グラティキュール(測定用計数目盛り)51が重ねられ、その上には、テスト点がマークされ、患者ディスプレイ3上においてテストグラフィック34が出現するテスト点の場所を示す。例えば、テスト点52は、ターゲットグラフィックが出現する場所や過去に出現した場所を示す。テスト点52の色(又はその他の例では、形状などの、その他の何らかの特性)は、後で説明されるように、ターゲットグラフィックがこれらの点に示されたかどうかや、子供被験者がこの点にあるターゲットグラフィックに気付いたかどうかに応じて変更することができる。
【0031】
臨床医ディスプレイ50は、また、いくつかの臨床医フィードバックと、制御ボタンとを含む。具体的には、「一時停止」及び「終了」の制御ボタンが提供され、これらは、例えばキーボード又はマウスを用いて臨床医によって選択されたときに、テストを一時停止させたり終了させたりする。テスト中、臨床医が使用する主要なボタンは、「いいえ」ボタン54、「不明」ボタン56、及び「はい」ボタン58である。これらのボタンを使用するために、臨床医は、臨床医ビデオディスプレイ50における子供のビデオ画像を監視し、ターゲットグラフィックが現在表示されているテスト点の場所に向かって子供の視線の方向が移動するかどうかを検出する。説明されるように、テスト点52の場所は、臨床医ディスプレイ上に示されており、色分けシステムによって、どのテスト点が示されているか、どのテスト点が間もなく示されるか、あるいは、どのテスト点が現在示されているかが臨床医に示される。この情報に基づいて、臨床医は、「いいえ」ボタン54、「不明」ボタン56、及び「はい」ボタン58を使用して、子供被験者がターゲットグラフィックに気付いたかどうかに関する評価を行う。
【0032】
より具体的には、もし、表示されている現テスト点にあるターゲットグラフィックに子供被験者が気付かなかったことが明白であるならば、臨床医は、「いいえ」ボタン54を選択する。もし、子供がターゲットグラフィックに気付いた可能性はあるが、臨床医が確証を持てないならば、臨床医は、「不明」ボタン56を選択する。この場合は、テスト点はテストリストの中に留めおかれ、ターゲットグラフィックはテストの中で後ほど再び同じテスト点に示される。他方、もし、子供がターゲットグラフィックに注目し、子供の視線がグラフィックへ移動したと臨床医が判断するならば、臨床医は「はい」ボタン58を選択する。「いいえ」、「不明」、及び「はい」のボタンを使用した臨床医による応答に応じ、それらのターゲット点に関して臨床医のフィードバックの記録がとられ、制御コンピュータ4は、子供がどのターゲットを見付け、どのターゲットを見付けられなかったかの図式マップを作成することができる。このようにして、子供の周辺視野の視野測定マップを得ることができる。
【0033】
更に、時間の経過に伴って統計データを構築するために、臨床医によって下された「は
い」、「いいえ」、又は「不明」のそれぞれの判断の数の記録がとられてもよく、このような統計データをもとにして、検出確率及び信頼基準を見出すことができる。具体的には、検出の確率は、ターゲットごとの、全ての応答に対する「はい」応答の数の比率に基づくことができる。これらの確率は、例えば特定のターゲットの検出可能性を詳述するために、将来、テストを精緻化するために使用することができる。
【0034】
図6は、臨床医のビデオディスプレイ50の動作をより詳細に示している。具体的には、図6(a)を、進行中のテストの開始を示しているものと想定する。臨床医ディスプレイ上の丸は、子供に対して表示されるターゲットグラフィックの場所を示している。これらの丸は、これらの場所の1つにターゲットグラフィックが目下示されているのかどうか、その場所に示されていたのかどうか、及びその場所に間もなく示されるのかどうかを臨床医に示唆するために、色分けすることができる。また、色分けは、ターゲットグラフィックがその場所に示された場合に、子供がその場所にあるターゲットを見たかどうかを更に示唆するために用いられてもよい。図6(a)から開始して、ターゲット点62は、ターゲットグラフィックが目下その場所に示されていることを臨床医に示唆するように、色分けされている。ターゲット点64を除くその他のターゲット点は、全て、まだテスト待ち状態であることを示すように、色分けされている。ターゲット点64は、これがターゲット点62の後に示される次のターゲット点であることを示唆するために、異なる色で色分けされている。したがって、図6(a)に描かれているようなテストの現時点では、子供患者画面にはターゲット点62にターゲットグラフィックが表示されており、このターゲットグラフィックは次にターゲット点64の位置に表示される。また、その他のターゲット点の全ての位置にも、テストの中で後ほどターゲットグラフィックが表示される。
【0035】
次に、臨床医は、ターゲット点62に位置するターゲットグラフィックへ子供の視線が移動したと判断したとする。この場合は、臨床医は、「はい」ボタンを選択することができ、該ボタンは、すると、図6(b)における強調表示された「はい」ボタン66によって示されるように、強調表示された状態になる。制御コンピュータ4は、ターゲット点62の場所にあるターゲットグラフィックに子供が気付いたという臨床医入力を記録する。臨床医ディスプレイは、また、ターゲットグラフィックを表示する次のターゲット点がターゲット点64の場所であることも示す。
【0036】
肯定的な「はい」応答が記録されたら、臨床医ディスプレイは、次いで、図6(c)に示された状態に進む。ここでは、ターゲット点62の色が、このターゲット点が既に表示されたことを示唆する色に変化している。例えば、ターゲット点の色は、青に変化してよい。ターゲット点は、それが表示されているときは緑で示されてよい。次に表示される予定のターゲット点は、赤で示されてよく、間もなく表示されるときは、黄で示されてよい。この場合は、次に表示されるターゲット点であるターゲット点64は、ターゲットグラフィックが間もなくその点に示されることを臨床医に知らせるために、黄に変化する。臨床医は、すると、その点にターゲットグラフィックが示されたときに子供被験者の視線がその点に移動するかどうかをチェックするための心の準備をすることができる。
【0037】
図6(d)では、ターゲット点64の色が緑に変化しており、その瞬間に患者ディスプレイ3上におけるターゲット点64の位置で子供被験者6に対してターゲットグラフィックが目下示されていることを示している。ターゲット点62は、それが既に示されたことを示唆するために、青色のままである。表示は、次いで、一巡して図6(a)に戻り、ここでは、別のターゲット点が、それが次に表示されるターゲット点であることを示唆するために赤に変化している。この期間に、臨床医は、ターゲット点64に表示されたときのターゲットグラフィックに子供が気付いたかどうかに関する判断を下し、適切な入力ボタンを選択する。臨床医ディスプレイは、その後、全ての点がテストされるまで、各テスト点について「はい」、「いいえ」、又は「不明」を臨床医によって入力されてこれらの幾
つかの状態を循環して繰り返す。
【0038】
視野測定テスト中は、中心にある固視グラフィックに子供の注意が戻されることが重要である。したがって、ひとたび特定のターゲット点にターゲットグラフィックが示され、そのターゲットグラフィックに子供が気付いたかどうかに関する医師による入力が受信されたら、子供の注意を中央に引き戻すために、画面からターゲットグラフィックが除去され、画面の中央に固視グラフィックが再び配される。したがって、ターゲットグラフィックが間もなくターゲット点64に表示されることを医師に予告するためにターゲット点64が黄色に表示されている図6(c)に示された状態では、患者画面3は、子供被験者6の注意を患者ディスプレイ画面3の中心点に持ってくるために、画面の中心に固視グラフィック32を表示する。このようにすれば、ターゲットグラフィックが画面上において新しい位置に配されたときに、その特定のターゲットグラフィック位置について子供の周辺視野の適切なテストを実施することができるように、子供の視線が画面の中心に戻される。
【0039】
上記のように、テストの進行に伴って、制御コンピュータ4は、どのターゲット点が子供によって注目され、どのターゲット点が注目されないかの記録をとる。これは、その後、コンピュータが、テストによる判定にしたがって、子供の周辺視野の範囲を示す視野測定プロットを構築することを可能にする。次に説明される第2の実施形態によって作成されたプロットである視野測定プロットの一例が、図19に示されるが、今説明された本発明の第1の実施形態でも同様な形式の視野測定プロットが作成されるだろうことが、理解されるべきである。
【0040】
したがって、第1の実施形態例を使用すれば、小さな子供の視野測定テストを信頼性良くかつ制御可能な方式で行うことができる。固視点とターゲット点のいずれか又は両方として、動画グラフィックやビデオを使用することによって、子供の注意力をテストに留めることができる。更に、先行技術のゴールドマン又はハンフリーのテスト装置のように、仕切られた空間に頭を入れる必要がないので、テスト環境は子供に優しいものである。同様に、子供の固視点は、子供がその固視点を自然に固視するように、子供にとって面白いものが選択される。ターゲットグラフィックもやはり、示されたときに子供がそのグラフィックを見る気になるように、子供にとって面白いものが選ばれるという点で、同じことが、ターゲットグラフィックにも当てはまる。
【0041】
臨床医の観点からすると、本発明の第1の実施例は、視野測定テストが行われるための、繰り返しに適した且つ制御可能なテスト環境を提供する。臨床医入力に基づいて、制御コンピュータ4によって、情報の取得及び記録が容易に実施される。増補臨床医ビデオディスプレイには、ターゲットグラフィックが次に患者画面上のどこに示されるのかを表すインジケータが、子供の顔のビューに増補(augment)され、これにより子供の視線がターゲットグラフィックに移動したかどうかを臨床医が判断しやすくなる。また、ターゲットグラフィックの精密な配置が可能であり、ゆえに、子供の視野に関する情報を可能な限り正確に得ることが可能である。
【0042】
次に、図7〜25に関連して、本発明の第2の実施形態例が説明される。
【0043】
図7は、本発明の第2の実施形態例のブロック図である。第2の実施形態例は、第1の実施形態例に関連して前述された着想の上に構築されるが、説明されるように、幾つかの追加の特徴を加えている。
【0044】
本発明の第2の実施形態例は、前述された第1の実施形態例と同じシステム構成要素を有する。すなわち、臨床医ディスプレイ画像を表示される臨床医モニタ74を制御する制
御コンピュータ72が提供され、固視グラフィック762及びターゲットグラフィックの両方を表示される患者モニタ76もまた、提供される。子供被験者が患者ディスプレイの前に位置するときに真正面からその子供被験者の像を捉えるために、患者ディスプレイ画面76の実質的に中心に、ビデオカメラ78の形をとった撮像装置が配置される。臨床医ディスプレイ74及び患者ディスプレイ76は、ともに、コンピュータ72の中のデュアルモニタコントローラ728によって制御され、該デュアルモニタコントローラ728は、例えば、2つのモニタを同時に制御することができるグラフィクスカードである。このタスクに適したグラフィックスカードの一例は、2つのアナログ出力を提供するnVidia GE Force FX5200 Graphics Chipである。
【0045】
カメラ78は、コンピュータ72の中のカメラコントローラ726に画像を提供する。カメラコントローラ726は、ユニバーサルシリアルバス(USB)ホストであってよく、この場合は、カメラ78は、USBウェブカメラなどであってよい。コンピュータ72は、更に、コンピュータがシステムコントロールソフトウェアを実行すること、モニタ上における表示を制御すること、及び臨床医ユーザから入力を受信することを可能にするために、中央演算処理装置724及び関連の構成要素を含む。この後者の関係において、マウス及びキーボードコントローラ730は、例えば臨床医ディスプレイ724によって提供されるグラフィカルユーザインターフェース上のボタンを選択するために臨床医ユーザによって操作されるマウス及び/又はキーボードからの制御入力を受信する。
【0046】
理解されるように、コンピュータ72、患者ディスプレイ726、及び臨床医ディスプレイ724のハードウェア構成要素は、次に説明されるような幾つかの追加の要求を満たす限り、既成のものであってよい。
【0047】
具体的には、患者ディスプレイ726に関しては、これは、子供被験者が近くから眺めるのに快適であるように、十分に高い解像度を備えていると同時に、子供被験者が画面から一定の距離の位置に配されたときに、テストを必要とされる視角の範囲全体にわたって画面にターゲットグラフィックを表示することができるように、十分に大きいことが望ましい。通常、周辺視野の範囲は、水平面及び垂直面の両側に30°である。快適な視距離は、通常は60cm前後であるが、子供被験者の場合は、より近い視距離にも耐えられる。必要とされる画面サイズは、画面からの視距離の関数であり、視距離がおおよそ48cmである場合は、おおよそ98cm(42インチ)の画面サイズを使用することができる。したがって、適切な画面は、例えば、例えば「Panasonic TH-42 PHD 8」などの42インチのハイデフィニションプラズマ画面である。その他の様々なハイデフィニションプラズマ画面、LCD画面、又はLED画面も、必要なサイズのものを容易に入手可能であり、置き換えも可能である。
【0048】
臨床医画面に関しては、要求はそれほど高くない。臨床医画面は、19インチモニタなどの標準的なコンピュータモニタ上に表示されてよい。
【0049】
上述のように、カメラ762は、図8(a)及び図(b)に示されるように、患者ディスプレイ76の前に配置されて、画面に固定される。本実施例では、カメラは、固視ターゲットを表示される場所である画面の厳密な中心に配置されるのではなく、固視点のすぐ下で画面に固定される。したがって、これは、子供被験者が固視点を見ているときに、その被験者は完全にカメラレンズを凝視しているのではないが、画面の中心を見ている子供被験者と、カメラなどによって捉えられる画像との間における子供被験者の視線の方向の相違は、ごく僅かであることを意味する。図8(c)は、カメラによって捉えられた、固視点を見ている被験者の像であり、あたかもユーザが実際にカメラを直接見ているように見えることがわかる。このようにして、視線の方向の変化は、臨床医によって容易に検出することができる。
【0050】
上記の実施例では、カメラは、患者ディスプレイの、厳密に中心ではないが可能な限り中心の近くに配される。なぜならば、中心には固視画像が表示されるからである。しかしながら、得られた患者画像では、患者は、あたかもカメラを凝視しているかのように見えるほど十分に、一見してカメラを見ているように見える。
【0051】
別の実施例では、しかしながら、テスト被験者に対するカメラの位置を補償するように増補ビューを更に調整し、そのようにして被験者の臨床医ビューが得られる。具体的には、最適な中心位置からのカメラの実際の変位と反対の方向にターゲットインジケータを増補ビュー上で移動するようにターゲットインジケータの位置を増補ビュー上で変更することによって臨床医ビューを得る。
【0052】
例えば、カメラが、患者ディスプレイの実質的に中心ではなくその底部に設置されていると想定する。この場合は、テスト被験者がディスプレイの中心にある固視画像を見ているときに、カメラの視点からは、被験者の視線が臨床医ディスプレイの上半分へと上方に持ち上げられているように見える。もし、被験者の視線が患者ディスプレイの底部に向かって下方へ移動した場合は、カメラの視点からは、最善の状況下では、テスト被験者がカメラを直接見ているように、すなわち視線が増補ビューの中心にあるように見えるであろう。実際は、しかしながら、被験者の視線は、患者ディスプレイに対して下方を向いている。他方、もし、被験者が固視画像から患者ディスプレイの上方部分に向かって上方を見る場合は、カメラ及び臨床医ディスプレイの視点からは、被験者の視線が臨床医ディスプレイの頂部に向かって更に高くに移動するように見える。
【0053】
もし、カメラが患者ディスプレイの頂部に設置された場合は、もちろん、反対の効果が得られる、すなわち、被験者は、下方を視線しているように見える。もし、カメラが患者ディスプレイの左または右に配された場合は、水平面内において同じ効果が得られる。この効果は、互いに組み合わさる。すなわち、右下隅に配されたカメラは、テスト被験者が中心の固視画像を見ているときに、その被験者があたかも臨床医ディスプレイの左上部分を視線しているかのように見せる。
【0054】
したがって、カメラの配置を補償するために、増補臨床医ディスプレイ上におけるターゲットインジケータの配置は、それらが臨床医ビュー上において、テスト被験者を見ているカメラの視点からはあたかも被験者が患者ディスプレイにおけるターゲット場所にあるテスト画像を見ているかのように見える位置に出現するように変更することができる。一般に、これは、言及されたように、増補ビューにおけるターゲットインジケータの位置を、理想的な中心位置(又は、より一般的には固視画像位置)からのカメラの変位と反対の方向に移動させることを伴う。
【0055】
例えば、もし、上で言及されたように、カメラが患者ディスプレイの底部の中央に位置する場合は、被験者の中心視線(すなわち、患者ディスプレイの中心を見ているときの視線)は、臨床医ビューでは、臨床医ビューの上半分へと持ち上げられているように見える。したがって、患者ディスプレイにおける該ディスプレイの中央水平面内に位置するテストターゲットに対応する増補ディスプレイにおけるターゲットインジケータは、増補臨床医ディスプレイでは、臨床医ディスプレイの上半分へと上方へ持ち上げられることが望ましい。同様に、患者ディスプレイにおける該ディスプレイの底部に位置するテストターゲットに対応する増補ディスプレイにおけるターゲットインジケータは、増補臨床医ディスプレイでは、臨床医ディスプレイの中央に向かって上方へ変位されることが望ましい。同様に、患者ディスプレイにおける該ディスプレイの頂部に位置するテストターゲットに対応する増補ディスプレイにおけるターゲットインジケータは、臨床医ディスプレイでは、増補ビューのまさに頂部へ変位されることが望ましい。
【0056】
増補ビューにおける、カメラの変位から反対の方向へのターゲットインジケータの同様の変位は、カメラが患者ディスプレイの頂部、又はディスプレイの左又は右に位置する場合にも生じるだろう。更に、該変位は、組み合わさることもできる、すなわち、もし、カメラがディスプレイの右下隅に位置する場合は、ターゲットインジケータは、増補ディスプレイにおいて上方へ且つ左方へ変位される。
【0057】
ターゲットインジケータの変位の必要量は、最適な中心位置からのカメラの変位に依存する。変位の計算には、様々な線形又は非線形の倍率を適用することもできる。
【0058】
今述べられたようにハードウェア構成要素を制御するために、コンピュータ72は、ソフトウェアを格納されたハードディスクドライブ732などのコンピュータ可読ストレージ媒体を備えており、該ソフトウェアは、より詳しく説明されるように、CPU724によって実行されたときに、コンピュータに、臨床医ビデオディスプレイを臨床医ディスプレイ74上に且つ固視画像及びターゲット画像を患者ディスプレイ76上に表示させる。また、ソフトウェアは、臨床医ユーザが臨床医ビデオディスプレイによって提供されたグラフィカルユーザインターフェースとやり取りすることを可能にするために、コンピュータ72がマウス及びキーボードを通じて臨床医からフィードバックを受信することを可能にする。ソフトウェアは、幾つかのモジュールを有し、次に説明されるように、異なる格納データ集合を利用する。
【0059】
ハードディスク732に格納される第1のソフトウェアモジュールは、臨床医ビューモジュール7326である。臨床医ビューモジュールは、アプリケーション全体を実行させる役割を担っており、臨床医グラフィカルユーザインターフェースを含む臨床医ビデオディスプレイを臨床医ディスプレイ74上に表示させる。臨床医ビデオディスプレイ及び臨床医GUIの更なる詳細は、後述される。しかしながら、臨床医ビューモジュール7326は、GUIの主な構成要素を提供する役割を担っており、具体的には、臨床医による患者の詳細の入力を可能にし、以前のテストの記録を含む患者記録にアクセスしてそれらの記録を臨床医に対して表示可能にし、GUI制御ボタンを提供してテスト中における臨床医フィードバックを可能にし捕捉する役割を担っている。臨床医ビューモジュール7326は、また、テスト中にカメラ78によって捕捉されたビデオディスプレイの出力も制御し、また、患者ディスプレイ上においてターゲットグラフィックが次にどこに表示されるかを臨床医に示唆するために、テストモジュール7340と連携してテストの実行を制御する。
【0060】
第2のソフトウェアモジュールは、子供ビューモジュール7330である。子供ビューモジュール7330は、臨床医ビューモジュール7326とやり取りし、臨床医ビューモジュール7326の制御下で機能する。子供ビューモジュール7330の主なタスクは、患者ディスプレイ76上に表示される画像を制御することである。子供ビューモジュール7330は、テーマ7322として格納された、固視グラフィック及びターゲットグラフィックについてのコンテンツである格納コンテンツにアクセスする。上述されたように、固視グラフィック及びターゲットグラフィックは、動画グラフィックであってよい、又は好ましくは、子供向けテレビ番組などのビデオコンテンツであってよい。このコンテンツは、「テーマ」によって分類されて、テーマ記録7322としてハードディスク732上に格納される。「テーマ」の一例は、例えば、「In The Night Garden」などの人気の子供向けテレビ番組であってよい。テーマ記録7322としては、例えば、男の子用及び女の子用、又は異なる年齢の子供用の様々なコンテンツ集合などの、様々に異なる「テーマ」を格納することができる。いずれのコンテンツが使用されるにせよ、子供ビューモジュール7330は、コンテンツにアクセスし、臨床医ビューモジュール7326による指示にしたがって患者ディスプレイ76を制御して、コンテンツを固視点に及びターゲット点
に表示させる。この点について、臨床医ビューモジュール7326は、ターゲットグラフィックが表示されるべき位置及び例えば固視グラフィックがターゲットグラフィックと同時に表示されているべきであるかどうかなどのその他のディスプレイ関連設定を指定するテストプランデータを、子供ビューモジュールに引き渡してよい。
【0061】
更に提供されるのは、全ての患者詳細をそれらの以前のテストのリストとともに格納する方法を提供する患者クラスモジュール7332である。これは、該データへのアクセスを提供するとともに、年齢計算などの、そのデータに作用する機能も提供する。具体的には、患者クラスモジュール7332は、テストされる各患者についての個々の患者記録を患者IDによって索引を付けて格納された患者記録データ7324にアクセスする。臨床医ビューモジュール7326は、したがって、患者記録を管理するタスクを患者クラスモジュール7332に委託する。要するに、患者の詳細を取り込むために患者ビューモジュールが臨床医によって制御されるときに、臨床医ビューモジュールは、臨床医から受信された患者IDを患者クラスモジュール7332に引き渡し、患者クラスモジュール7332は、適切な患者記録にアクセスし、その記録を処理し、臨床医ディスプレイ74上に表示するための表示データを臨床医ビューモジュール7326に返す。
【0062】
点クラスモジュール7334は、テストにおける各テスト点に関する情報を制御する方法を含む更なるソフトウェアモジュールである。テスト点に関する情報は、水平線及び垂直線からの角度と角度の振幅とで表されたテスト点の位置を含む。各テスト点は、テスト点オブジェクトとして格納され、点クラスモジュール7334によって制御される。臨床医ビューモジュール7326は、したがって、ターゲットグラフィックが次にどの点に表示されるべきかを判定するために、及び臨床医ビューを制御して点がどこかに表示されるかを臨床医に示唆するために、点クラスモジュール7334と連携する。同様に、臨床医ビューモジュールは、点がユーザによって認識されたかどうかに関して臨床医から受信されたデータ(すなわち、はい、いいえ、又は不明)を返し、該データは、点クラスモジュールによって点と対照させて格納される。
【0063】
更なるモジュールには、設定モジュール7336及びセッション設定モジュール7338がある。セッション設定モジュール7338は、臨床医ユーザによってアプリケーションの様々な設定が設定されることを可能にするGUIを提供し、これらの設定は、設定モジュール7336によって格納される。セッション設定モジュール7338は、また、臨床医ビューモジュール7326の制御下のアプリケーションが最初に取り込まれたときに該アプリケーションによって使用されるデフォルト設定も含む。特定のセッション中、これらの設定は、例えばテストにおけるアプリケーション設定をテストごとに変更するために、変更されてよく、設定モジュール7336に格納されてよい。例えば、固視グラフィックのサイズ、ターゲットグラフィックのサイズ、「自動点追加」機能が有効であるかどうか(自動点追加については後述する)、自動追加機能によって点が追加されるべき間隔、固視グラフィックがターゲットグラフィックと同時に示されるべきかどうか、ビデオターゲットの場合にそのビデオがループされるかどうか、ランダムなビデオコンテンツが使用されるべきかどうか、事前に設定された表示時間の経過後にターゲットグラフィックが自動的に隠されるべきかどうかなどの、様々な設定が、臨床医ユーザによって設定されてよい。
【0064】
また、患者ディスプレイ及び臨床医ディスプレイの両方のディスプレイ解像度設定はもちろん、患者ディスプレイの画面サイズ、及び子供被験者を配される画面からの距離などの設定を含む、様々なハードウェア設定も設定されてよい。設定モジュール7336及びセッション設定モジュール7338は、これらの全ての設定が臨床医によって変更されることを可能にする。
【0065】
更なるモジュールは、テストモジュール7340である。テストモジュールは、周辺視野テストに必要とされる全ての情報を含む。これは、テストされる点のリストと、結果を計算するために必要とされるその他の情報とを含む。このモジュールは、テストをその実行中に管理する役割を担っており、例えば、まだテストを必要とするテスト点をメインインターフェースに提供する。自動追加機能も、テストモジュール7340の一部である。テストモジュール7340は、点クラスモジュール7334によって複数の点を制御される周辺視野テストを実際に実行するために、点クラスモジュール7334と密に連携する。テストモジュール7340は、したがって、テストが実行されるときに、臨床医ビューモジュール7326によって呼び出され、臨床医ビューモジュール7326は、テストの管理をテストモジュール7340に委託する。そして、モジュール7340は、指定のテスト点に関連した様々なデータ及び情報を点クラスモジュール7334から呼び出し、テスト中にそれらのデータを点クラスモジュール7334に返す。したがって、臨床医ビューモジュール、点クラスモジュール、及びテストモジュールは、まとめて全体で、テストを実行するために必要な全てのデータ及び方法を含んでいる。
【0066】
最後に、「テンプレートメーカ」モジュール7328が提供される。これは、新しいテストプロファイルを作成するために臨床医ユーザがテスト点の場所を指定することを可能にする。要するに、テンプレートメーカモジュール7328は、臨床医ディスプレイ74上にターゲットグラティキュールを表示させ、ターゲットグラフィックを表示されるテスト点を形成する点を臨床医がグラティキュール上において選択することを可能にする。点の集合又はそれらの点に関連したメタデータは、次いで、テストモジュール7340による使用のために、新しいテストテンプレートとして格納することができる。テストを構成する特定の点に関する同様な情報が、点クラスモジュール7334によって使用される点オブジェクトとして格納される。
【0067】
図9、図10、及び図11は、セットアップされ使用の用意ができている第2の実施例の周辺視野テストシステムを示している。具体的には、図9は、テストルームの写真であり、患者ディスプレイが右に、そして対応する臨床医ディスプレイ74が左に示されている。図10は、患者ディスプレイの前に配されたテスト被験者を示しており、図11は、図10の写真が撮影されたのと同じときに撮影された臨床医ディスプレイの写真である。
【0068】
第2の実施例の視野測定システムのハードウェア及びソフトウェアを説明したので、図12〜19に関連して、テストを実施する際のシステムの動作を説明する。
【0069】
システムを動作させるためには、先ずコンピュータ72が起動され、測定アプリケーションが開始される。アプリケーションは、開始されるときに、テストされる現患者の患者IDの入力を求めるために、臨床医ユーザに対して入力ボックスを表示する。臨床医は、すると、この情報を入力し、臨床医ビューモジュール7326は、適切な患者記録にアクセスするように(又はもし利用できるものがないならば、患者記録を作成するように)患者クラスモジュール7332に求める。臨床医ビューモジュール7326は、次いで、図13に示されるような、取り出された患者詳細132を左手側のボックスに含む臨床医グラフィカルユーザインターフェース130を表示する。図12との関連では、これらのステップは、ステップ12.2及び12.4において実施される。したがって、ステップ12.4の後、臨床医ディスプレイ74は、図13に示されるような形で臨床医グラフィカルユーザインターフェース130を表示する。
【0070】
次に、臨床医は、ステップ12.6において、新しいテストが実施されることを決定し、したがって、画面上のGUI130によって提供された「テスト実施」ボタンをクリックする。これは、すると、図14のテンプレート134によって示されるような、テストテンプレートのリストを提示する。これは、ステップ12.8において実施される。テス
トテンプレートは、アプリケーションによって提供される既定のテストテンプレートでもよいし、後ほど更に詳しく説明されるように、テンプレートメーカモジュールを使用して臨床医が事前に作成したテンプレートでもよい。臨床医ユーザは、次いで、ステップ12.10において、使用されるテンプレートを選択し、それと同時に、どちらの眼がテストされるかを指定する。テストを開始する前に、臨床医ユーザは、子供被験者が、テストされる眼と反対側の眼である正しい方の眼を覆われた状態で画面の前に配されていることの確認も行うことが望ましい。
【0071】
テストテンプレートを選択した後、臨床医ユーザは、子供被験者に適したテーマの選択も行う。上述されたように、異なる性別及び異なる年齢の子供に適した様々に異なるコンテンツテーマが格納されている。臨床医ユーザは、子供被験者の年齢及び性別に適したテーマを選択することが望ましい。これがなされたら、テストを開始させることができる。
【0072】
上述された第1の実施例のように、第2の実施例において、テストは、固視ターゲットグラフィック又は固視ビデオを画面の中心において子供被験者に示し、次いで、ターゲットグラフィック又はターゲットビデオを画面上における異なる位置に断続的に示して、子供被験者がそのターゲットグラフィックを見るかどうかを判定する。図15は、画面の中心に固視グラフィック又は固視ビデオ150を示された患者ディスプレイを示している。これは、子供被験者の注意をディスプレイの中心に戻す「デフォルト」表示である。ターゲットグラフィック又はターゲットビデオが示されているときに、ディスプレイは、例えば図16に示されるような、この場合はターゲットグラフィック160を固視点の上方に示された状態に変化する。ターゲットグラフィック160は、テストテンプレート中のテスト点定義にしたがって、画面上における任意の位置に示せることが理解だろう。
【0073】
図17及び図18は、テスト中における臨床医ビューを示している。図17は、カメラ78によって捉えられた子供被験者のビデオ画像をメインウィンドウに有する臨床医GUI130を示している。図17における状況は、固視ビデオ又はグラフィックが画面の中心に示されている状況であり、したがって、子供は、カメラを直視しているように見える。ただし、臨床医ディスプレイは、ターゲットグラフィック又はターゲットビデオが間もなく子供に対して表示されるだろう位置を臨床医に示唆するインジケータ172によって増補されてもいる。インジケータ172の色は、ターゲットグラフィック又はターゲットビデオがその位置で表示されたかどうかを示唆する。例えば、赤いインジケータ172は、ターゲットグラフィック又はターゲットビデオがその位置ではまだ子供に対して示されていないが間もなくその位置で子供に対して示されることを臨床医に示唆する。その後、示唆された位置でターゲットグラフィック又はターゲットビデオが子供に示されたら、インジケータ172の色は例えば緑に変化する。この状況は、図18に示されている。ここで、図17と比較すると、インジケータ172の色が僅かに変化したこと、また、子供被験者の視線の方向がターゲットグラフィック又はターゲットビデオの位置の方向にシフトしたことがわかる。このような場合は、臨床医は、子供がターゲットグラフィック又はターゲットビデオを見たことを比較的確信することができ、したがって、臨床医は、GUI130によって提供された「はい」ボタン174を選択することができる。GUIにおける「はい」、「不明」、及び「いいえ」のボタンは、ターゲットグラフィック又はターゲットビデオが子供に対して表示される前ではなく表示されている期間中にのみ選択のために利用可能であることを留意されるべきである。したがって、ボタンは、例えば、図17では「色抜き」されているのに対し、図18では選択のために利用可能である。
【0074】
図12に戻り、上述された動作は、テストにおける点ごとに繰り返される。要するに、テストを実施するためには、先ず、テストテンプレートの中の各点が表示されることを確実にするために、ステップ12.14において処理ループが開始される。テストテンプレートの中の各点について、ステップ12.16において、臨床医モニタは、患者ディスプ
レイ上のどこにターゲットグラフィック又はターゲットビデオが表示されるかを示唆するインジケータ172が更新される。したがって、ステップ12.16は、上述された、図17に示された状態に対応する。次にステップ12.18では、子供モニタ上の現ターゲット点位置に、選択されたテーマの動画にしたがったターゲットグラフィック又はターゲットビデオが表示される。これは、したがって、患者ディスプレイについては図16に示された状態に、臨床医ディスプレイについては図18に示された状態に対応する。ターゲットグラフィック又はターゲットビデオが表示されている間に、臨床医はボタン174を使用して、子供がその点を見たかどうかに関するフィードバックすることができる。システムが次にどのように動作するかは、臨床医フィードバックに依存する。
【0075】
より具体的には、もし、ステップ12.22に示されるように、臨床医が「はい」ボタン174を選択する場合は、テストモジュール7340によって、特定のテスト点と対照させて肯定的な結果が記録される。次いで、次の点を処理することができ、処理ループは、次の点のためにステップ12.16に戻る。或いは、もし、フィードバックが臨床医による「不明」ボタンの選択によって得られる「不明」である場合は、その点は、テストリストの中に留めおかれ、例えば、テストの終了前に再びテストされるように、最後の点としてリストに入れられる。或いは、点は、必ずしも最後に出現しなくてもよいが後で出現するように、残りのテスト点リストの中のランダムな位置に配されてよい。点は、その後、臨床医からの明確な答えが得られるまでテスト中に後でテストし直すことができる。更なる実施例では、或る点に対して「不明」が記録された回数を追跡し、例えば最大で1回、2回、又は3回などのように、或る特定の回数だけテストリストの中に戻されるようにすることも可能だろう。
【0076】
テストにおけるテスト点の順序に関しては、次のようにすることが好ましい。すなわち、テスト点の表示順序は、テスト被験者がテスト点の特定のパターン又は順序に気付かず、これまでに示されたテスト点に基づいて次のテスト点がどこに表示されるかが予想できないような順序であることが好ましい。あるいは、ランダムな又は一見ランダムなテスト点順序が使用されてよい。
【0077】
もし、臨床医フィードバックが、テスト点位置にあるターゲットグラフィック又はターゲットビデオが見られなかったというものである場合は、この結果は、ステップ12.28において、やはり記録される。テストの設定にしたがって、テストは、次いで、後述される「自動追加特徴」を使用してテストに自動的に点を追加してよい。もし、「自動追加特徴」を使用してテスト点が追加された場合は、その新しいテスト点は、リストに追加され、次にテストされる点ではないかもしれないが、テストの完了前にはテストされる。点がテストに自動追加されたら、処理はステップ12.32に戻り、そこで、テストされるべき次の点があるかどうかが判定される。ステップ12.30においてテストに点が自動追加された場合は、テストされるべき次の点が常にある。同じく、ステップ12.38においてリストの中に点が留めおかれた場合も、やはり同様にテストは継続する。
【0078】
最終的に、全てのテスト点がテストされ、各点と対照させて「はい」又は「いいえ」の結果が格納される。その後、ステップ12.34において、患者テスト結果を患者記録に格納することができ、後述のように、後から臨床医が閲覧可能になる。
【0079】
しかしながら、先ずは図19を参照し、ステップ12.30の「自動追加」特徴の動作が説明される。
【0080】
図19は、この場合は被験者の右眼についての周辺視野プロットを得るためにテストされた点の結果プロットの一例を示している。結果プロット190は、グラティキュール196の上に、テストされた点の位置194を重ねられている。各テスト点194は、1つ
はプロットの垂直線又は水平線のいずれかからの角度の値、もう1つは中心点からその点への視線の角度を示すやはり角度で表された振幅の値である、2つの値によって特性化される。したがって、例えば、或るテスト点は、中心に位置する被験者から、水平線又は垂直線から回転角度45°の位置であり、中心点から振幅50°の視角を有するだろう。
【0081】
自動追加機能は、テストに点を追加するために、このテスト点の定義を活用する。テスト点が被験者によって見付けられなかったときは、追加される点は、振幅を減少させた点である。したがって、例えば、図19に示されるように、当初のテスト点は、おおよそ150°の角度回転位置(正のx軸を0°とする)と、50°の角度振幅(50°のグラティキュール線上に位置する)とを有するテスト点1982であった。このテスト点をテスト被験者が注目せず、かつ自動追加特徴が有効にされている場合は、同一の回転角度位置を有するが異なる角度振幅を有する追加のテスト点1984がテストテンプレートに追加される。例えば、この場合は、角度振幅は、5°減らされており、したがって、点1984の振幅は、45°である。これは、次いで、テストテンプレートに含められ、やがて、この位置でテストグラフィックがテスト被験者に対して提示される。
【0082】
この場合は、しかしながら、テスト被験者は、この位置にあるテストグラフィックを依然として見付けられず、ゆえに、自動追加機能は、角度振幅はいっそう小さいが同じ回転角度値を有する第3のテスト点1986を追加した。ゆえに、テスト点1986は、角度振幅が40°である。この点について、自動追加特徴は、各点の角度振幅を毎回5°ずつ減らしていることがわかる。しかしながら、この段階サイズは臨床医ユーザが設定できる。図19の場合、第2の追加テスト点1986は、そこにテストグラフィックが表示されたときも依然としてユーザによって見付けられず、ゆえに、テスト点1990である第3のテスト点が追加された。これは、よりいっそう小さい角度振幅35°を有する。この場合は、しかしながら、この位置でテストグラフィックがユーザに対して提示されたときに、ユーザは、テストグラフィックを見たので、更なるテスト点の追加は不要である。しかしながら、この例では、自動追加機能は、テスト被験者がその右眼の左下四分円において著しい視野喪失を有することを明らかにしており、更なる調査が望まれる。
【0083】
テストに追加された点の表示順序に関しては、前述のように、追加点は、必ずしも次に表示されるテスト点でなくてよい。一実施形態において、見逃されたテスト点と同じ回転角度位置にあるが角度振幅はより小さい追加テスト点は、見逃された点の直後の順番で表示されてよい、すなわち、見逃された点の後に次に表示される点であってよい。他方、その他の実施形態では、追加点は、一続きのテストの中で、異なる回転角度位置にある他の点が表示された後に、後ほど表示されてよい。このようにすれば、テスト被験者の注意は、見逃されたテスト点及びその結果として追加されたテスト点が位置する特定の回転角度領域から逸らされ、テスト被験者は、表示されているテスト画像間に異常に長い空白があることに対して関心又は疑問を抱いて固視画像から眼をさまよわせることがなくなる。
【0084】
より具体的には、テスト被験者が、画面の中心などの固視画像位置にある固視画像を見ていると想定する。もし、次いで表示される点がテスト被験者に見えない場合は、同じ回転角度位置にあるが角度振幅はより小さい点が追加される。しかしながら、かかる時間によっては、テスト被験者は、そろそろテスト画像を見ることを予期してテストエリアを見渡しはじめる可能性があり、これは、テストを台無しにするだろう。したがって、これを阻止するために、例えば、テスト被験者が既に肯定的なテスト結果を出したテスト位置、すなわちテスト被験者がテスト画像を見た場所などに、異なる回転角度位置のテスト画像を表示することができる。或いは、まだユーザに示されていないテスト予定のテスト点集合のなかから、別のテスト点を被験者に対して表示することができる。このようにすれば、テスト被験者は、テスト点が追加されたことに気づくことなく、テスト被験者の観点から見てテストの連続性が維持される。
【0085】
このような場合、追加された点は、一続きのテストにおいて、異なる回転角度にある1つ以上のその他のテスト画像がテスト被験者に対して表示された後に、後ほど表示される。もし、(図19のように、そして上述されたように)テスト被験者が画像を見逃し続けているという理由ゆえに、複数の点が同じ回転角度に追加された場合は、上記と同じ手順がとられてよい。すなわち、ユーザがテスト画像を見なかった問題の角度位置に追加テスト点が表示される前に、異なる回転角度位置に別のテスト画像が表示される。
【0086】
次に、テスト結果がどのように観察されえるかについて述べる。臨床医ビューモジュールは、実施されたばかりのテストを以前のテストとあわせて観察する機能を提供する。また、テストは、印刷されてよい。図20は、テスト結果の表示に関わるステップを示している。先ず、ステップ20.2において、患者IDが入力され、ステップ20.4において、患者記録が取り出され、表示される。この場合は、図22に示されるように、もし、患者がテストを実施されたことがある場合は、そのテストの結果が患者記録とともに格納され、臨床医に対して表示するために患者記録とともに取り出される。図22は、テストの結果222が、テストプロット224として、メインの臨床医ビューにおいてどのように臨床医に対して表示されるかを示している。テストプロット224は、図に示されるように一度に全部を表示することができるし、チェックボックス226の適切な選択によって、それぞれの眼ごとや両眼視について個別に表示されてよい。また、プロットは、図に示されるようにベジエ曲線を使用して点をつないでもよい。或いはあまり役に立たないかもしれないが、臨床医がGUIにおける「直線」チェックボックス228にチェックを入れることによって、直線によってテスト点をつなげてよい。結果を印刷するために、ステップ20.10において、臨床医は、GUIの左上にある印刷アイコンを選択してよく、すると、選択されたグラフィック記録は、印刷される。
【0087】
複数のテスト結果を利用可能である場合は、複数の結果を示すことも可能である。複数の結果は、図23に示されるように、比較のために互いに重ね合わせることができる。図23では、欄222の中の2つのテスト結果集合が利用可能であることがわかり、これらは、重ね合わされたテスト結果230として示される。このビューは、周辺視野の変化を示すために有用である。例えば、図23では、被験者の左眼の周辺視野が右上象限において顕著に退化していることがわかる。複数のテストは、互いに重ね合わせることができ、どのテストがどれであるかを識別するために、通常は、異なる色のプロットが使用される。
【0088】
図24は、複数のテストの部分集合のみがどのように表示されえるかを示している。具体的には、図24は、複数の左眼プロットを示しており、臨床医が被験者の左眼の右上象限における周辺視野の変化をより詳細に見ることを可能にしている。また、ここでは、結果上に示された一連の点242によって示されるように、第2のテストにおいて点を追加するために自動追加特徴が使用されたことがわかる。
【0089】
上述された特徴に加えて、ビュー特徴は、臨床医がプロットの一部を拡大表示したり、図式表示された結果をスキャンしたりパンしたりすることも可能にするのが好ましい。
【0090】
前述されたように、測定システムは、テスト点の集合である新しいテストテンプレートを臨床医が作成することを可能にするためのテンプレートメーカモジュールも含む。これは、被験者の周辺視野の特定のエリアを集中的に検査するためのテストを臨床医が設計することを可能にする。新しいテストテンプレートを作成するために、図21に示されるように、ステップ21.2において、臨床医は、GUI130における「テンプレート作成」ボタンを使用して、新しいテンプレートの作成を選択する。これにより、図25に示されるように、ステップ21.4において、新しいテンプレートメーカグラティキュールが
表示される。テンプレートメーカグラティキュールは、新しいウィンドウ250に表示される。次いで、臨床医は、マウスポインタを使用して、テストされるテスト点の位置をテンプレートメーカグラティキュール上にマークする。図25に示されるように、臨床医によって既に2つの点252がマークされており、マウスカーソルは、点254として示されている。テンプレートメーカグラティキュールは、カーソルを点の回転角度及び振幅の両方において1°、5°、10°、15°、20°などの倍数にちょうど嵌らせるための「スナップ」特徴を有することができる。或いは、臨床医は、テンプレートメーカグラティキュールの中でどこでも自分が望むところに点を配してよい。点を設定するために、臨床医は、単純にカーソル254を所望の位置へ移動させて、マウスをクリックする。その位置は、すると、新しいテスト点として格納される。臨床医が操作を終え、十分なテスト点が設定されたら、これらの点の集合は、ステップ21.8において、新しいテストテンプレートとして格納されてよい。そのテストテンプレートは、先述のように、例えば図12のプロセスのステップ12.10において、使用のために選択することができる。
【0091】
テンプレートメーカの提供は、したがって、特定の診断を行ったり被験者の周辺視野の特定のエリアをテストしたりするためのテストを臨床医が簡単で且つユーザに優しいやり方で定めることを可能にする。
【0092】
全体として、したがって、第2の実施例の周辺視野測定システムは、周辺視野テストを実施するための、信頼性で且つ使用が容易なインターフェースを提供し、テスト結果の容易な管理及び表示を可能にする。生きている被験者に対するシステムのテストは、システムの信頼性及び実現可能性を示した。
【0093】
更なる実施例を提供するために、上述された実施例に対して様々な変更が加えられてよい。例えば、上述された2つの実施例では、患者ディスプレイとして、プラズマディスプレイ、LCD、又はLEDディスプレイなどのテレビタイプのディスプレイ画面が使用されている。或いは、その他の実施形態では、投写型ディスプレイが使用されてよい。この場合は、画面上に固視画像及びターゲット画像を表示するために、ビデオプロジェクタが使用される。画面の中心に小さな穴をくり抜いて、画面の後ろにカメラを取り付け可能にしてよい。これは、こうするとカメラが被験者に対してそれほど目立たないうえに、患者ディスプレイ画面のどこも塞がないという利点を有する。また、投写型システムの使用は、プラズマ画面、LCD画面、LED画面などの固定サイズのディスプレイの場合よりも、大きい画像を得ることを可能にする。しかしながら、もちろん、投写特性ゆえにディスプレイのサイズが変わったときは、被験者がディスプレイからどれだけ離れたところに着席しているかで表される被験者の配置を注意深く行わなければならない。画面からの被験者の距離は、ターゲットグラフィック及びビデオの位置の自動調整を可能にするためにアプリケーションの設定モジュールに入力することができるパラメータである。
【0094】
上記の例では、ターゲットグラフィックは、子供被験者にとって魅力的であるように臨床医によって選択されたテーマのビデオであると好ましいということを説明されている。ビデオの使用による特に好ましい特徴は、固視グラフィック及びターゲットグラフィックの両方に、同じビデオを途切れることなく使用できることにある。要するに、子供被験者は、固視点に表示されるビデオコンテンツの一環として、或るテレビ番組を見はじめ、そのビデオコンテンツは、次いで、ターゲット点位置にあるターゲットビデオへと継ぎ目なく引き継がれる。その後、ビデオは、次に表示されたときの固視ターゲットに引き継がれ、続いて、次のターゲット点に表示され、以下同様である。したがって、子供被験者に関する限り、テストの間に生じているのは、画面上におけるビデオの位置が変化するということだけであり、そのコンテンツに含まれるストーリは引き継がれる。
【0095】
固視ターゲットがターゲットグラフィック又はターゲットビデオと同時に表示されるか
どうかに関しても、幾つかのヴァリエーションがある。例えば、固視ターゲットがビデオであって、絶え間なく表示される一方で、ターゲットグラフィックは、子供の注意を固視ビデオから引き離そうとするための別のビデオ又はその他の何らかの動画グラフィックであるかもしれない。しかしながら、ターゲットグラフィックが示されているときにディスプレイ画面から固視ビデオを除去する方が、より良い結果を得られると考えられる。しかしながら、特に、以前テストを実施したことがあるような一部の被験者の場合は、固視ビデオが消えたことが、残りの画面を見渡してターゲットビデオを見付けようとしなければならないというサインになる可能性がある。したがって、これを克服するために、一部のテストでは、ターゲットグラフィック又はターゲットビデオが示されている間も画面上に固視ターゲットを維持して被験者の注意を固視ターゲット上に留めることによって、より良い結果を達成することが好ましいだろう。
【0096】
一例では、固視画像は、ターゲット画像が表示される前に表示された最後のビデオフレームで停止させてもよく、該停止フレームは、ターゲット画像が表示されている間も表示され続ける。このような例におけるターゲット画像は、(後で続きを再生される)ビデオ画像、又は別の画像であってよい。別の画像が使用される場合は、たとえ音声に合うビデオ画像が固視画像としてもターゲット画像としても示されていなくても、ビデオ音声が再生され続けるだろう。
【0097】
したがって、固視画像及びターゲット画像の形式としては、幾つかの選択肢の組み合わせがあることがわかる。設定モジュールは、被験者に応じて臨床医が上記の選択肢のうちの任意を選ぶことを可能にするための設定を提供する。
【0098】
上記の第1及び第2の実施例では、臨床医ディスプレイは、ターゲットグラフィックが患者ディスプレイ上のどこに目下示されているかに関するインジケータによって、そしてまた、ターゲットグラフィックが次にどこに示されるだろうかに関するインジケータによって、増補されている。上記の例では、インジケータが示しているのが、ターゲットグラフィックがそのインジケータの場所に現在表示されていることなのか、間もなく表示されることなのかを区別するために、色分けシステムが使用されている。その他の例では、インジケータの色を変化させたりすることで区別を示す代わりに、例えばインジケータの形状などのその他の何らかの特性が変更される。例えば、ターゲットグラフィックが間もなく表示される位置を示すために、四角形のインジケータが使用されてよく、該インジケータの形状は、次いで、グラフィックが表示されるときに円形に変化する。更なる例では、より多くの情報を伝えるために、インジケータの2つ又は3つ以上の特性が変更されてよい。例えば、形状及び色の両方が使用されてよく、第1の形状のインジケータは、被験者に対して既に示されたテスト点を示し、第2の形状のインジケータは、間もなく示される又は将来示されるのを待っているテスト点を示す。第1の形状のインジケータの色は、その点がユーザに見られたかどうかを示唆してよい。例えば、第1の色は、その点が見られたことを示唆してよく、第2の色は、そのインジケータが見られなかったことを示唆してよい。第3の色は、その点が「不明」であったことを示唆するために使用されてよい。
【0099】
上記の例では、テスト被験者の画像は、テスト中ずっと臨床医ユーザに対して表示されており、臨床医ユーザは、特定のターゲット点が表示されたときに被験者がそれを見たかどうかに関して判断を下してフィードバックを提供する。別の例では、しかしながら、臨床医がテスト中に被験者のビデオ画像を観察する代わりに(又はそれに加えて)、臨床医が後で観察するために被験者のビデオ画像が記録されてよい。要するに、テストを実施しているテスト被験者のビデオ画像は、リアルタイムで臨床医に対して表示されようとされまいと、臨床医が後で観察することができるように格納されてよい。この点について、ビデオデータは、通常は、患者記録とともに格納される。
【0100】
テスト被験者のビデオ画像がリアルタイムで臨床医に示されない別の例では、テスト画像を被験者に対して表示するために使用されたのと同じディスプレイデバイス(HDTVやコンピュータモニタなど)を、ビデオ画像を臨床医に対して表示するために使用してよい。したがって、一部の機器の再利用が可能になる。
【0101】
テストのビデオ画像が記録される別の例では、臨床医は、後でテストビデオを観察することができ、そのときに、子供がターゲットグラフィックを見たかどうかに関して判断を下すことができる。この場合は、テストのビデオが臨床医ユーザに対して再生されるのに伴って、臨床医ビデオディスプレイは、患者ディスプレイ上においてテストグラフィックがどこに間もなく表示され、またその次に表示されるかを示すためのインジケータによって増補され、あたかも生でテストを行っているのと同じ体験を臨床医にさせることが好ましい。したがって、ビデオ画像データを格納するとともに、ビデオデータと同期化されたテストメタデータも格納され、該テストメタデータは、たとえ示されているビデオが記録されたビデオであってもターゲット点位置のインジケータによって臨床医ビデオディスプレイを増補するように、臨床医ビューモジュールに指示する。
【0102】
上記の例は、臨床医がテストを後で観察することを可能にし、ゆえに、たとえテストの実施時間に臨床医の手が空いていなくてもテストが実施されることを可能にする。しかしながら、ターゲット点が見られたかどうかに関して臨床医がテスト中に判断を下すことができないゆえに、上述された「自動追加」特徴は、あまり有用でなくなる。その代わり、テストは、テスト点を視野の縁に限定して適応的にテスト点を追加するのではなく、テスト被験者の視野全体にわたってターゲットグラフィック又はターゲットビデオを表示するテスト点を伴うように設計することができる。
【0103】
その他の例では、記録されたテスト映像に基づくのであれ生のテスト映像に基づくのであれ、臨床医は、テスト被験者と同じ場所にいる必要はなく、別の部屋、別の建物、別の市、別の国、又はひいては別の大陸に位置する離れたディスプレイに位置していて、テスト被験者の撮影ビデオをネットワークを通じて臨床医のコンピュータに提供されてよいことも理解される。この場合は、1台は患者ディスプレイを動作させるための、もう1台は臨床医ディスプレイを動作させるための、2台の制御コンピュータが必要とされるのが通常である。コンピュータのうちの1台は、サーバモードで動作してよく、処理の大半を実施し、適切な表示を行うようにクライアント端末を制御してよい。例えば、臨床医側にあるコンピュータは、ソフトウェアの大半を含んでいてよく、テスト結果や患者記録などを格納し、患者ディスプレイと同じ場所にあるコンピュータにインストールされた比較的低機能なクライアントを通じて患者ディスプレイを遠隔制御してよい。
【0104】
別の例では、アプリケーションは、完全にネットワークベースであってよく、患者ディスプレイ又は臨床医ディスプレイのいずれにも位置していないネットワークサーバ上で実行されてよい。この場合は、患者ディスプレイ及び臨床医ディスプレイは、比較的軽量な低機能型クライアントを実行することができ、処理の大半を、ネットワークを通じてネットワークサーバによって実施される。患者記録、テスト結果、テストビデオなどは、ネットワークサーバに格納することができる、或いはテストシステムを実行しているネットワークサーバがアクセスを有する別のストレージサーバ上のどこかに格納することができる。
【0105】
上記の第1及び第2の実施例では、テスト被験者の撮影ビデオを観察し、ターゲットグラフィック又はターゲットビデオが患者画面上における或るテスト点の場所に表示されたときに被験者の視線の方向がそのテスト点へ移動するかどうかの判断は、臨床医に頼っている。しかしながら、更なる実施例では、臨床医によるこの判断のプロセスは、例えば、上記のSuga et alによって説明されたテンプレートマッチング技術などの画像処理機能に
置き換えられてよい。このような例では、テスト被験者のビデオ画像をテンプレートマッチング画像処理アルゴリズムによって処理して、ターゲットグラフィック又はターゲットビデオが表示されたときに被験者の視線の方向がそれに向かって移動するかどうかを判定し、その結果を自動的に記録する。この例では、臨床医ディスプレイを用意する必要はないが、このようなディスプレイは、モニタリング目的で用意されてもよい。また、もし、ターゲットが見られなかったと画像処理アルゴリズムが判定した場合は、上述された自動追加機能を使用して、より易しいテスト点であって後でテスト被験者に提示することができるテスト点を追加することができる。これに関して、画像処理アルゴリズムは、図12のステップ12.20の臨床医フィードバックの受信に取って代わるが、その他の全ての点において、処理及び動作は、同一のままであってよい。例えば、ターゲット点及び固視点のために、連続するビデオが使用されてよい。
【0106】
自動追加機能は、特に有利な機能であり、テスト点においてターゲットが被験者に見られたかどうかに関する判断が臨床医ユーザによって又は画像処理技術を使用してなされた場合のいずれでも、使用することができる。具体的には、自動追加機能によれば、テスト中にテスト点の場所を動的に変更することが可能となり、可能な限り最も正確な被験者視野プロットを得ることができる。具体的には、テスト点の角度振幅を徐々に調整して角度振幅を減少させることによって、テスト中に被験者の視野の範囲を適応的に調査して視野範囲を決定することができる。
【0107】
Suga et alのように自動視線追跡技術が使用される別の例では、眼の位置を追跡するために使用される画像処理アルゴリズムを補うために、頭部の位置を求めるに顔の自然な特徴や顔に取り付けられた特徴を用いて、頭部の位置を独立に追跡することもできる。例えば、アイパッチ(一度に片目ずつテストされる場合に被験者が着用する)上に、基準となる校正ステッカが配されてよい。自動眼追跡技術における問題は、1つには、先ずは被験者の頭部の位置を求め、そこから眼の位置及び視線の方向を判定可能であることである。換言すると、<空間内における眼の位置>=<頭部における眼の位置>+<空間内における頭部の位置>である。アイパッチの外表面上に、カメラに対して表示される十字記号又はその他の何らかの認識容易な記号などの既知の校正記号を使用すれば、既知の記号形状を探すことによって、或る画像の中での頭部の位置を容易に求めることが可能である。画像の中で頭部の位置が確立されたら、その画像の中の眼の位置の識別が、より単刀直入になる。要するに、校正記号の位置と、頭部の向きと、テスト被験者の位置との間には、経験的な関係が一般的に知られているので、処理されるべき画像の空間分割が、より容易になる。
【0108】
自動視線追跡を提供するために画像処理が使用される更なる例では、上述のように既知の校正記号を使用して画像を空間的に分割したり、それに加えて又はその代わりに、ビデオストリームを時間的に分割したりして、処理する必要があるビデオ画像の数を減らすことも可能である。より具体的には、システムは、テスト被験者に対していつターゲット画像が表示されるかを正確に知っているので(なぜならば、ターゲット画像の表示を生成及び制御しているはシステムであるので)、被験者の眼の視線方向を判定するためには、ターゲット画像が表示される前後に数ビデオフレームずつ(恐らくは、最大1.0秒間=各側に0.5秒間+0.5秒間の映像)を画像処理するだけでよくなる。その以外のときは、被験者の視線の方向は、一般的に重要でない。
【0109】
上記で注意すべきは、1つには、ターゲット画像が表示されるときに被験者が固視画像を見ていることが好ましいという点にある。正確な周辺視野テストが実施されるのは、このような場合のみであり、もし、ターゲット画像が示されるときに被験者が画面上のどこかほかを見ている場合は、被験者の視野内におけるターゲット画像の相対位置は、被験者が固視画像を見ている場合とは異なるだろう。したがって、別の例では、ターゲット画像
が示される前に視線判定を実施して、被験者が固視画像を見ているのか又は画面の別の部分を見ているのかを判定する。したがって、ターゲット画像の表示は、被験者が固視画像を見ているかどうかに関する判定に応じて変更され、被験者の視線が固視画像に戻るまで表示を遅らされる。このようにすれば、ターゲット画像は、被験者が固視画像を見ているときに示され、ゆえに、テスト精度を向上させることができる。
【0110】
上記の例では、テスト被験者が固視画像を見ているかどうかに関する判定は、例えばSuga et alのような画像処理アルゴリズムによって自動的に実施されてもよいし、臨床医によって実施されてよい。後者の場合は、ターゲット画像が表示される前にテスト被験者が固視画像を見ていることをシステムに示唆するためにテスト中に臨床医によって作動されるボタンを臨床医GUIは更に含むだろう。該ボタンを臨床医が作動させると、システムは、指示されたターゲット場所にターゲット画像を表示させる。
【0111】
本発明の別の例では、Suga el alのような自動眼追跡アルゴリズムは、増補臨床医ビューと組み合わさって半自動方式で混合使用することが可能である。例えば、上述された、ターゲットごとに1秒間の眼の動きをカットして自動解析することで誤検出や検出漏れを捉えて精度を上げることができる。その方法として、(a)臨床医による手動の増補ビューテストの実行中に、各ターゲットに対して該ターゲットの出現後に自動的に行う方法(例えば信頼率を与える)、(b)臨床医による手動の増補ビューテストの実行の終わりに、テスト全体に対してまとめて行う方法、(c)臨床医による増補ビューテストの代わりに(Sugaのように)自動的に行うが、臨床医による人ベースの完全又は部分手動の増補ビューテストを後から行う方法がある。後者における人による確認は、1秒間(又はそれ未満)のカット中にのみ実行されるので非常に迅速であり、さらにはこれらのカットを、正確性を最も確認したいターゲットを指し示す複合フル画面ビュー内に組織化する。人によるこのような観察は、システムがプロセス中に時折自動的に機能することを可能にされている場合は、テストの途中でなされることも可能である。
【0112】
したがって、たとえ、周辺視野テストを実施するためにSuga et alのような自動視線追跡システムが使用される場合でも、このような自動システムを上述された先の実施例の増補臨床医ビューによって補完して、自動システムの結果を臨床医がチェックできるようにしたり、各結果における信頼レベルを高めたりすることができる。或いは、上述された第1及び第2の主要実施例におけるように、ターゲット画像が見られたかどうかの主な判定者が臨床医である場合には、自動画像処理システムをバックアップとして使用して、臨床医が判定した結果をチェックしたり、各テスト結果における信頼度を高めたりすることができる。上記のように、この画像処理は、テストの進行中に実施されても、テストの終わりにまとめて実施されてよく、好ましくは、ターゲット画像が表示された時間付近のビデオフレームのみを処理するように、時間分割されたビデオストリームを処理することによって実施される。
【0113】
意図された読者、すなわち当業者には、いずれも添付の特許請求の範囲に入ることを意図される更なる実施形態を提供するために、追加、削除、又は置換による様々な更なる変更形態が明らかである。
【技術分野】
【0001】
本発明の例は、視野測定システム及び方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
人の周辺視力の正確な測定は、重症に至る恐れのある病状の早期診断につながる。視野障害の原因には、新生児脳内出血又は脳卒中、及び網膜色素変性や緑内障などの眼の状態などがあり、また、小児脳腫瘍の50%以上が視力障害を呈している。
【0003】
人の眼は、眼に入る光を神経信号に変換し、それらの神経信号を視神経に送る。したがって、左視神経は左眼からの全ての視覚情報を伝え、右視神経は右眼からの全ての視覚情報を伝える。視神経は、脳内の視交叉において交わる。視交叉の中では、視野の耳側(側部)から垂直中央線に視覚情報を伝える神経線維が反対側に交差する。したがって、結果的に、右視索は左眼の耳側視野及び右眼の鼻側視野を補助する神経線維からなり、左視索は右眼の耳側視野及び左眼の鼻側視野を補助する神経線維からなる。これらは、同名性半視野と呼ばれる。視索は、左及び右の同名性半視野情報を脳の後頭葉に伝える。左の同名性半視野は、右の後頭葉皮質によって処理され、右の同名半視野は、左の後頭葉皮質によって処理される。
【0004】
したがって、臨床医は視野喪失のパターンから腫瘍すなわち脳損傷の位置を決定することができる。緑内障又は網膜剥離などの眼球異常は、垂直中央線を交差する視野欠損を引き起こす。視神経内の腫瘍や視神経に接触する腫瘍は、中心視力の低下を伴う片眼の中心視野の喪失を生じさせる。視交叉を巻き込む腫瘍は、多くの場合、最初から中心視力に影響を及ぼすのではなく、神経線維が視交叉の中で交差するにつれてそれらによる耳側視野の補助を妨害する。これは、両眼における耳側半視野喪失(両耳側半盲)を引き起こす。両耳側半盲は、通常は視覚障害の徴候を生じるものではないが、早期の段階で視交叉部腫瘍を診断するためには、これを検出することが重要である。視索及び後頭葉皮質を巻き込む腫瘍すなわち脳損傷は、同名性視野欠損を引き起こす。例えば、右後頭葉における腫瘍は、左眼から耳側半視野を喪失させるとともに、右眼における鼻側視野を喪失させる。これは、左同名性半盲と呼ばれる。
【0005】
周辺視力の正確な測定は脳腫瘍の最初の指標となり、上述のように、視野喪失のパターンから腫瘍やその他の病変の場所を突き止めることができる。周辺視野欠損の経時的測定は、腫瘍成長の監視に役立つうえに、更なる治療が必要であるかどうかの示唆を得ることができる。
【0006】
人の患者の周辺視力を測定するための幾つかの技術が知られている。よくある2つの視野測定装置は、「ゴールドマン視野計」と「ハンフリー視野計」である。しかしながら、いずれの装置も、人の患者が自らの頭を仕切られた区画に入れて、その区画の中心にある固視点に視線を維持し、視野の周辺に出現するターゲットに向けて自らの反射性眼球運動を強いる必要がある。したがって、このような技術は、例えば小さな子供に使用するのは難しい。なぜならば、小さな子供は、このようなテストに強い威圧感を覚え、テスト指示に適切にしたがって中心点を固視し続けることができないからである。同様に、脳退行性疾患を患っているかもしれない年配の患者も、やはり、同じ問題を呈する。
【0007】
このような問題を克服するために、小さな子供の周辺視力を測定しようとするその他の技術が開発されてきた。図1は、Suga et alによる「Development of a Quantative Perimeter Screening System for Young Children Based on an Immersive VR Display(没入
型VRディスプレイに基づいた幼い子供のための定量的視野スクリーニングシステム)」, Electronics and Communications in Japan, Part II, Volume 89, No. 11, 2006からの図を示している。ここでは、擬似ビデオ空間を構築するために、ヴァーチャルリアリティ技術が使用されている。没入型ディスプレイデバイスは、大きさ3m×2.25mの3枚の画面を前方及び両側に有し、また、大きさ3m×1mの1枚の垂直画面を底部に有する。システムは、それぞれの画面上にビデオ画像を生成するための4台のプロジェクタと、これらのプロジェクタにビデオ信号を送信するための4台のコンピュータと、これらのコンピュータに同期信号を提供するための1台のコンピュータとを含む。
【0008】
子供被験者のための固視点を提供するために、被験者の注意を惹きつけるビデオ画像が使用される。次いで、そのビデオ画像が固視点に表示されている間に、単純に丸い光である画像ターゲットが周辺の画面上に出現される。被験者の顔に焦点を合わせた1台のカメラが用意され、被験者の視線、すなわち被験者の注視の方向を判定するために、テンプレートマッチングを使用した画像処理が使用される。ターゲットが表示されるときに、もし、画像処理の結果、被験者の視線がターゲットの提示から1秒以内にターゲットの提示の方向と一致する方向に変化したと判定された場合は、そのターゲットを認識したと判定される。
【0009】
Suga et alのシステムは、したがって、被験者の視線の方向及びターゲットが検出されたかどうかを被験者の画像処理を使用して判定しようとする自動視野測定システムを創出する試みを提示している。しかしながら、このシステムは、極めて複雑であり、セットアップのために多くの空間及び器具を必要とする。また、判断は、ターゲットが実際に見られたかどうかではなく、純粋に、被験者がターゲットの方向に目をやったかどうかに基づいて下されるので、ターゲットが実際に見られたかどうかを判定するための実際の基準に誤差が生じやすい。
【0010】
その他の手動の技術も知られている。図2は「白球運動曲線」方法を示している。1つの白いボールを固視点として使用し、1人目の臨床医が別の白いボールを子供の視野の中へ移動させ、二人目の臨床医によって子供の反応が監視される。この方法は、2人の臨床医を必要とし、2人目の臨床医の動きが気を逸らしてテストを不正確にする恐れがある。このように、この方法は、理想から程遠く、良い結果を得られない恐れがあるうえに、管理コストがかさむ。
【発明の概要】
【0011】
したがって、小さな子供に使用することができ、尚且つより信頼性良く、正確で、且つ一貫した結果を提供する視野測定システムが必要とされている。
【0012】
発明の一例において、患者ディスプレイが提供される。該ディスプレイ上においてその実質的に中心に、固視グラフィック又は固視ビデオが提供され、次いで、ディスプレイ上においてその中心周りの様々な位置に、ターゲットグラフィック又はターゲットビデオが示される。患者ディスプレイの前には、そこから既知の距離にテスト被験者が配され、視線方向の判定の実施を可能にするために、カメラがテスト被験者の眼の画像を撮像する。撮像された画像は、コントロールテストアプリケーションによって臨床医ユーザに対して表示され、臨床医は、画像に基づいて、ターゲットグラフィック又はターゲットビデオが表示されたときにテスト被験者がそれを見たかどうかに関する判定を下す。臨床医ユーザは、次いで、コントロールテストアプリケーションへの適切な入力を行う。コントロールテストアプリケーションは、ターゲット画像が表示された位置の記録も行う。画面上における複数の場所にターゲットグラフィックを表示し、臨床医入力の記録をとることによって、コントロールテストアプリケーションは、テスト被験者の周辺視野のプロットを作成することができる。このプロットは、臨床医ユーザに対してグラフ表示することができ、
また、将来の臨床的使用のためにテスト結果とともに格納することができる。
【0013】
発明の一例において、固視グラフィック及びターゲットグラフィックは、ビデオコンテンツであり、固視グラフィックとして表示されるとき、およびその後にターゲットグラフィックとして表示されるときに再生され続ける。このようにすれば、ビデオコンテンツの再生は、固視グラフィックとして示されているのか又はターゲットグラフィックとして示されているのかにかかわらず続けられる。したがって、ビデオコンテンツによって表現されるストーリは中断しないので、子供の注意力を維持することが可能である。個々のビデオコンテンツは、個々の子供テスト被験者の興味を引くことができるように臨床医ユーザによって選択される。
【0014】
発明の別の例において、視野測定テストは、テスト被験者がテスト点を見たかどうかに応じて追加のテスト点を加えることによって、テストの実行中に動的に変更(適応)される。テスト被験者がテスト点を見たかどうかに関する判定は、ユーザによって実施されてよいし、テスト被験者の撮影ビデオに対して動作する画像処理アルゴリズムを使用して自動的に実施されてよい。このような判定がどのようになされるにせよ、この例では、より容易なテスト点をテストに追加し、そこにターゲットグラフィック又はターゲットビデオを示すことによって、テストが動的に変更される。より容易なテスト点は、テスト被験者の視界の中心に向かってより近くに位置付けられるように、すなわちテスト被験者の視域の中心線に対してより小さい角度振幅を有するように追加される。追加されたテスト点は、追加された直後にユーザに対して表示されてよいし、異なる角度位置にあるその他のテスト点が示された後にユーザに対して表示されてよい。後者の場合は、テストの連続性が維持され、テスト被験者は、テスト画像を見るまでの間に長い空白を経験して画面の方々へ眼をきょろつかせることがなくてすむ。
【0015】
以上を考慮すると、1つの態様から見て、発明の一例は、周辺視野測定システムであって、テスト画像をテスト被験者に対して表示するように構成された第1のビデオディスプレイと、テスト被験者の画像を撮像するように構成されたカメラと、撮像されたテスト被験者の画像をユーザに対して表示するように構成された第2のビデオディスプレイと、第1及び第2のビデオディスプレイを制御するように構成され、表示に関連したフィードバックデータをユーザから受信するように構成された少なくとも1つの入力を有する1つ以上のプロセッサと、を含み、フィードバックデータは、第1のビデオディスプレイ上にテスト画像が表示されたときにテスト被験者がそのテスト画像を見たかどうかに関するユーザによる判断に関連しており、上記フィードバックデータは、第1のビデオディスプレイ上に表示されたときのテスト画像の位置と対照させて記録され、それによりテスト被験者の周辺視野を表す測定データを収集する、周辺視野測定システムを提供する。
【0016】
別の態様から見て、発明の一例は、また、周辺視野測定システムであって、テスト画像をテスト被験者に対して表示するように構成された被験者ビデオディスプレイと、テスト被験者の画像を撮像するように構成されたカメラと、撮像されたテスト被験者の画像をユーザに対して表示するように構成されたユーザビデオディスプレイと、被験者ビデオディスプレイ及びユーザビデオディスプレイを制御するように構成された1つ以上のプロセッサであって、被験者ビデオディスプレイ上におけるテスト画像の位置に関連した少なくとも1つのインジケータによって増補(augment)するようにユーザディスプレイを制御する、1つ以上のプロセッサと、を含む周辺視野測定システムも提供する。
【0017】
一例において、少なくとも1つのインジケータは、ユーザビデオディスプレイにおいて、被験者ビデオディスプレイにおけるテスト画像の位置に対応する位置に配置される。該対応位置は、テスト被験者に対するカメラの視野の方向を考慮に入れてよい。具体的には、ユーザビデオディスプレイ上における少なくとも1つのインジケータの対応位置は、被
験者の中心視線方向からのカメラ位置の変位に応じてディスプレイの面内を移動されてよい。
【0018】
更なる態様から、発明の一例は、周辺視野測定システムであって、固視画像をテスト被験者に対して表示し、かつ、複数のテスト画像を断続的に表示するように構成された第1のディスプレイデバイスと、第1のディスプレイデバイス上における特定の位置にあるテスト画像をテスト被験者が見たかどうかに関連したデータを収集し、それによりテスト被験者の周辺視野を測定するように構成されたプロセッサとを含み、固視画像及びテスト画像は、ビデオ画像であり、該ビデオ画像のコンテンツの少なくとも一部の再生は、固視画像とテスト画像との間で実質的に連続している、周辺視野測定システムを提供する。
【0019】
尚も更なる態様から、発明の別の例は、周辺視野測定システムであって、複数のテスト画像をディスプレイ上における様々な位置でテスト被験者に対して表示するように構成された第1のディスプレイデバイスと、複数のテスト画像を様々な位置で表示するために第1のディスプレイデバイスを制御し、かつ、特定の位置にある特定のテスト画像をテスト被験者が見たかどうかに関する判定を使用するように構成されたプロセッサと、を含み、プロセッサは、更に、判定に応じ、特定のテスト画像の特定の位置に関連し該特定の位置よりもテスト被験者の視線に近い関連の位置でユーザに対して示される追加のテスト画像の位置を計算し、該追加のテスト画像を上記関連の位置で表示するために第1のディスプレイデバイスを制御するように構成される、周辺視野測定システムを提供する。
【0020】
上記の一実施形態において、追加のテスト画像が表示される関連の位置は、第1のテスト画像と実質的に同じ又は類似の回転角度位置と、より小さい角度振幅とを有する。また、一実施形態では、追加のテスト画像よりも前に、第1のテスト画像と異なる回転角度位置で少なくとも1つの第2のテスト画像がユーザに対して表示される。このような構成を使用すれば、テスト被験者がテスト画像を認識するまでの間に異常に長い空白がないので、テスト被験者がテストにテスト点が追加されていることに気付くことはない。
【0021】
発明の別の態様は、周辺視野測定方法であって、テスト画像をテスト被験者に対して表示するステップと、テスト被験者の画像を撮像するステップと、撮像されたテスト被験者の画像をユーザに対して表示するステップと、表示に関連したユーザからのフィードバックデータを受信するステップと、を含み、フィードバックデータは、第1のビデオディスプレイ上にテスト画像が表示されたときにテスト被験者がそのテスト画像を見たかどうかに関するユーザによる判断に関連しており、上記フィードバックデータは、第1のビデオディスプレイ上に表示されたときのテスト画像の位置と対照させて記録され、それによりテスト被験者の周辺視野を表す測定データを収集する、周辺視野測定方法を提供する。
【0022】
添付の特許請求の範囲から、発明の更なる特徴、態様、及び例が明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】先行技術の視野測定システムの図である。
【図2】先行技術の視野測定技術を示した図である。
【図3】本発明の第1の実施形態の構成要素を示した図である。
【図4】本発明の第1の実施形態における患者画面を示した図である。
【図5】本発明の第1の実施形態における臨床医ビューを示した図である。
【図6】本発明の第1の実施形態の動作を示した一連の図である。
【図7】本発明の第2の実施形態の構成要素を示した図である。
【図8】本発明の第2の実施形態におけるカメラ及び患者画面の配置を示した図である。
【図9】本発明の第2の実施形態のシステムのセットアップを示した写真である。
【図10】本発明の第2の実施形態における使用時の患者画面を示した写真である。
【図11】本発明の第2の実施形態における臨床医画面を示した写真である。
【図12】本発明の第2の実施形態の動作の一部を示した流れ図である。
【図13】本発明の第2の実施形態における臨床医画面の画面ショットである。
【図14】第2の実施形態における臨床医画面の更なる画面ショットである。
【図15】第2の実施形態における患者画面の第1の画面ショットである。
【図16】第2の実施形態における患者画面の第2の画面ショットである。
【図17】第2の実施形態における臨床医画面の更なる画面ショットである。
【図18】第2の実施形態における臨床医画面の更なる画面ショットである。
【図19】第2の実施形態の測定システムによって得られた視野測定プロットである。
【図20】第2の実施形態の動作の一部を示した流れ図である。
【図21】第2の実施形態の動作の別の一部を示した流れ図である。
【図22】第2の実施形態における臨床医画面の更なる画面ショットである。
【図23】第2の実施形態における臨床医画面の更なる画面ショットである。
【図24】第2の実施形態における臨床医画面の更なる画面ショットである。
【図25】第2の実施形態における臨床医画面の更なる画面ショットであり、使用されるテストテンプレート作成ツールを示している。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明の更なる特徴及び利点は、添付の図面を参照にして、ほんの一例として提示された本発明の実施形態に関する以下の説明から明らかになる。ここで、類似の参照符号は、類似の構成要素を指すものとする。
【0025】
次に、添付の図面に関連して、発明の様々な実施例が説明される。
【0026】
図3に、本発明の第1の実施形態例が示されている。ここで、視野測定システム10は、患者ディスプレイ画面3を含み、該画面の前にテスト被験者(この場合は小さな子供6)が配置される。臨床医ディスプレイ画面5も提供される。患者ディスプレイ3上及び臨床医ディスプレイ画面5上の両方に表示される画像を、制御コンピュータ4が制御する。制御コンピュータ4は、患者ディスプレイ画面3上及び臨床医ディスプレイ5上に表示を生じさせるために、適切なソフトウェアプログラム及び対応するハードウェアを備えている。また、制御コンピュータ4は、後述されるように、臨床医ディスプレイ上に表示されたボタンを臨床医が選択することを可能にするためのマウス又はキーボードなどのインターフェースを通じて、臨床医ディスプレイ画面5からフィードバックを受信する。また、図3には示されていないが、システムの一部として、カメラなどの撮像装置も提供され、これは、被験者6が患者ディスプレイ画面3を見ている間に正面から被験者6の顔の像を捉えられるように配置される。
【0027】
図4は、患者ディスプレイを更に詳細に示している。幼い子供に対する視野測定テストの実施に伴う主要な問題の1つは、幼い子供が多くの場合、長時間にわたって固視点に集中することができないことである。この問題を克服するために、本実施形態例では、患者ディスプレイ画面3の中心に、中心固視グラフィック32が表示される。このグラフィックは、幼い子供被験者を楽しませることができるように選ばれる。例えば、グラフィックは、静止グラフィック若しくは動画グラフィックであってよい、又は代替例では、例えば、人気の子供向けテレビ番組のコンテンツを有するビデオのビデオ出力であってよく、テスト被験者が既に知っているものであることが好ましい。
【0028】
子供が中心固視点32に見入っている間に子供の周辺視野のテストを可能にするために、ターゲットグラフィック又はターゲット動画34も提供され、制御コンピュータ4によ
る判定にしたがって画面上における様々なテスト点に断続的に示される。テストグラフィックは、動画グラフィックであってもよいし、代替として、固視点について上述されたようなビデオグラフィックであってもよい。
【0029】
固視グラフィック32は、画面の中央にずっと表示されていてもよいし、代替例では、例えばターゲットグラフィックが表示されているときは表示されないなどのように、断続的にのみ表示されてもよい。同様に、ターゲットグラフィック34は、様々な場所に断続的に表示される。カメラ(不図示)は、被験者の顔の像を真正面からの視点で捉え、これらの画像から臨床医が子供被験者6の視線の方向を判定できるように、制御コンピュータ4を通じて臨床医ディスプレイ5に提供される。
【0030】
図5は、臨床医ディスプレイ5の一例を示している。具体的には、臨床医ディスプレイ5は、患者画面3を見ているときにカメラ(不図示)によって撮像された子供被験者6の顔のビデオ画像から形成された、ビデオディスプレイ50を呈している。ビデオ画像には、測定グラティキュール(測定用計数目盛り)51が重ねられ、その上には、テスト点がマークされ、患者ディスプレイ3上においてテストグラフィック34が出現するテスト点の場所を示す。例えば、テスト点52は、ターゲットグラフィックが出現する場所や過去に出現した場所を示す。テスト点52の色(又はその他の例では、形状などの、その他の何らかの特性)は、後で説明されるように、ターゲットグラフィックがこれらの点に示されたかどうかや、子供被験者がこの点にあるターゲットグラフィックに気付いたかどうかに応じて変更することができる。
【0031】
臨床医ディスプレイ50は、また、いくつかの臨床医フィードバックと、制御ボタンとを含む。具体的には、「一時停止」及び「終了」の制御ボタンが提供され、これらは、例えばキーボード又はマウスを用いて臨床医によって選択されたときに、テストを一時停止させたり終了させたりする。テスト中、臨床医が使用する主要なボタンは、「いいえ」ボタン54、「不明」ボタン56、及び「はい」ボタン58である。これらのボタンを使用するために、臨床医は、臨床医ビデオディスプレイ50における子供のビデオ画像を監視し、ターゲットグラフィックが現在表示されているテスト点の場所に向かって子供の視線の方向が移動するかどうかを検出する。説明されるように、テスト点52の場所は、臨床医ディスプレイ上に示されており、色分けシステムによって、どのテスト点が示されているか、どのテスト点が間もなく示されるか、あるいは、どのテスト点が現在示されているかが臨床医に示される。この情報に基づいて、臨床医は、「いいえ」ボタン54、「不明」ボタン56、及び「はい」ボタン58を使用して、子供被験者がターゲットグラフィックに気付いたかどうかに関する評価を行う。
【0032】
より具体的には、もし、表示されている現テスト点にあるターゲットグラフィックに子供被験者が気付かなかったことが明白であるならば、臨床医は、「いいえ」ボタン54を選択する。もし、子供がターゲットグラフィックに気付いた可能性はあるが、臨床医が確証を持てないならば、臨床医は、「不明」ボタン56を選択する。この場合は、テスト点はテストリストの中に留めおかれ、ターゲットグラフィックはテストの中で後ほど再び同じテスト点に示される。他方、もし、子供がターゲットグラフィックに注目し、子供の視線がグラフィックへ移動したと臨床医が判断するならば、臨床医は「はい」ボタン58を選択する。「いいえ」、「不明」、及び「はい」のボタンを使用した臨床医による応答に応じ、それらのターゲット点に関して臨床医のフィードバックの記録がとられ、制御コンピュータ4は、子供がどのターゲットを見付け、どのターゲットを見付けられなかったかの図式マップを作成することができる。このようにして、子供の周辺視野の視野測定マップを得ることができる。
【0033】
更に、時間の経過に伴って統計データを構築するために、臨床医によって下された「は
い」、「いいえ」、又は「不明」のそれぞれの判断の数の記録がとられてもよく、このような統計データをもとにして、検出確率及び信頼基準を見出すことができる。具体的には、検出の確率は、ターゲットごとの、全ての応答に対する「はい」応答の数の比率に基づくことができる。これらの確率は、例えば特定のターゲットの検出可能性を詳述するために、将来、テストを精緻化するために使用することができる。
【0034】
図6は、臨床医のビデオディスプレイ50の動作をより詳細に示している。具体的には、図6(a)を、進行中のテストの開始を示しているものと想定する。臨床医ディスプレイ上の丸は、子供に対して表示されるターゲットグラフィックの場所を示している。これらの丸は、これらの場所の1つにターゲットグラフィックが目下示されているのかどうか、その場所に示されていたのかどうか、及びその場所に間もなく示されるのかどうかを臨床医に示唆するために、色分けすることができる。また、色分けは、ターゲットグラフィックがその場所に示された場合に、子供がその場所にあるターゲットを見たかどうかを更に示唆するために用いられてもよい。図6(a)から開始して、ターゲット点62は、ターゲットグラフィックが目下その場所に示されていることを臨床医に示唆するように、色分けされている。ターゲット点64を除くその他のターゲット点は、全て、まだテスト待ち状態であることを示すように、色分けされている。ターゲット点64は、これがターゲット点62の後に示される次のターゲット点であることを示唆するために、異なる色で色分けされている。したがって、図6(a)に描かれているようなテストの現時点では、子供患者画面にはターゲット点62にターゲットグラフィックが表示されており、このターゲットグラフィックは次にターゲット点64の位置に表示される。また、その他のターゲット点の全ての位置にも、テストの中で後ほどターゲットグラフィックが表示される。
【0035】
次に、臨床医は、ターゲット点62に位置するターゲットグラフィックへ子供の視線が移動したと判断したとする。この場合は、臨床医は、「はい」ボタンを選択することができ、該ボタンは、すると、図6(b)における強調表示された「はい」ボタン66によって示されるように、強調表示された状態になる。制御コンピュータ4は、ターゲット点62の場所にあるターゲットグラフィックに子供が気付いたという臨床医入力を記録する。臨床医ディスプレイは、また、ターゲットグラフィックを表示する次のターゲット点がターゲット点64の場所であることも示す。
【0036】
肯定的な「はい」応答が記録されたら、臨床医ディスプレイは、次いで、図6(c)に示された状態に進む。ここでは、ターゲット点62の色が、このターゲット点が既に表示されたことを示唆する色に変化している。例えば、ターゲット点の色は、青に変化してよい。ターゲット点は、それが表示されているときは緑で示されてよい。次に表示される予定のターゲット点は、赤で示されてよく、間もなく表示されるときは、黄で示されてよい。この場合は、次に表示されるターゲット点であるターゲット点64は、ターゲットグラフィックが間もなくその点に示されることを臨床医に知らせるために、黄に変化する。臨床医は、すると、その点にターゲットグラフィックが示されたときに子供被験者の視線がその点に移動するかどうかをチェックするための心の準備をすることができる。
【0037】
図6(d)では、ターゲット点64の色が緑に変化しており、その瞬間に患者ディスプレイ3上におけるターゲット点64の位置で子供被験者6に対してターゲットグラフィックが目下示されていることを示している。ターゲット点62は、それが既に示されたことを示唆するために、青色のままである。表示は、次いで、一巡して図6(a)に戻り、ここでは、別のターゲット点が、それが次に表示されるターゲット点であることを示唆するために赤に変化している。この期間に、臨床医は、ターゲット点64に表示されたときのターゲットグラフィックに子供が気付いたかどうかに関する判断を下し、適切な入力ボタンを選択する。臨床医ディスプレイは、その後、全ての点がテストされるまで、各テスト点について「はい」、「いいえ」、又は「不明」を臨床医によって入力されてこれらの幾
つかの状態を循環して繰り返す。
【0038】
視野測定テスト中は、中心にある固視グラフィックに子供の注意が戻されることが重要である。したがって、ひとたび特定のターゲット点にターゲットグラフィックが示され、そのターゲットグラフィックに子供が気付いたかどうかに関する医師による入力が受信されたら、子供の注意を中央に引き戻すために、画面からターゲットグラフィックが除去され、画面の中央に固視グラフィックが再び配される。したがって、ターゲットグラフィックが間もなくターゲット点64に表示されることを医師に予告するためにターゲット点64が黄色に表示されている図6(c)に示された状態では、患者画面3は、子供被験者6の注意を患者ディスプレイ画面3の中心点に持ってくるために、画面の中心に固視グラフィック32を表示する。このようにすれば、ターゲットグラフィックが画面上において新しい位置に配されたときに、その特定のターゲットグラフィック位置について子供の周辺視野の適切なテストを実施することができるように、子供の視線が画面の中心に戻される。
【0039】
上記のように、テストの進行に伴って、制御コンピュータ4は、どのターゲット点が子供によって注目され、どのターゲット点が注目されないかの記録をとる。これは、その後、コンピュータが、テストによる判定にしたがって、子供の周辺視野の範囲を示す視野測定プロットを構築することを可能にする。次に説明される第2の実施形態によって作成されたプロットである視野測定プロットの一例が、図19に示されるが、今説明された本発明の第1の実施形態でも同様な形式の視野測定プロットが作成されるだろうことが、理解されるべきである。
【0040】
したがって、第1の実施形態例を使用すれば、小さな子供の視野測定テストを信頼性良くかつ制御可能な方式で行うことができる。固視点とターゲット点のいずれか又は両方として、動画グラフィックやビデオを使用することによって、子供の注意力をテストに留めることができる。更に、先行技術のゴールドマン又はハンフリーのテスト装置のように、仕切られた空間に頭を入れる必要がないので、テスト環境は子供に優しいものである。同様に、子供の固視点は、子供がその固視点を自然に固視するように、子供にとって面白いものが選択される。ターゲットグラフィックもやはり、示されたときに子供がそのグラフィックを見る気になるように、子供にとって面白いものが選ばれるという点で、同じことが、ターゲットグラフィックにも当てはまる。
【0041】
臨床医の観点からすると、本発明の第1の実施例は、視野測定テストが行われるための、繰り返しに適した且つ制御可能なテスト環境を提供する。臨床医入力に基づいて、制御コンピュータ4によって、情報の取得及び記録が容易に実施される。増補臨床医ビデオディスプレイには、ターゲットグラフィックが次に患者画面上のどこに示されるのかを表すインジケータが、子供の顔のビューに増補(augment)され、これにより子供の視線がターゲットグラフィックに移動したかどうかを臨床医が判断しやすくなる。また、ターゲットグラフィックの精密な配置が可能であり、ゆえに、子供の視野に関する情報を可能な限り正確に得ることが可能である。
【0042】
次に、図7〜25に関連して、本発明の第2の実施形態例が説明される。
【0043】
図7は、本発明の第2の実施形態例のブロック図である。第2の実施形態例は、第1の実施形態例に関連して前述された着想の上に構築されるが、説明されるように、幾つかの追加の特徴を加えている。
【0044】
本発明の第2の実施形態例は、前述された第1の実施形態例と同じシステム構成要素を有する。すなわち、臨床医ディスプレイ画像を表示される臨床医モニタ74を制御する制
御コンピュータ72が提供され、固視グラフィック762及びターゲットグラフィックの両方を表示される患者モニタ76もまた、提供される。子供被験者が患者ディスプレイの前に位置するときに真正面からその子供被験者の像を捉えるために、患者ディスプレイ画面76の実質的に中心に、ビデオカメラ78の形をとった撮像装置が配置される。臨床医ディスプレイ74及び患者ディスプレイ76は、ともに、コンピュータ72の中のデュアルモニタコントローラ728によって制御され、該デュアルモニタコントローラ728は、例えば、2つのモニタを同時に制御することができるグラフィクスカードである。このタスクに適したグラフィックスカードの一例は、2つのアナログ出力を提供するnVidia GE Force FX5200 Graphics Chipである。
【0045】
カメラ78は、コンピュータ72の中のカメラコントローラ726に画像を提供する。カメラコントローラ726は、ユニバーサルシリアルバス(USB)ホストであってよく、この場合は、カメラ78は、USBウェブカメラなどであってよい。コンピュータ72は、更に、コンピュータがシステムコントロールソフトウェアを実行すること、モニタ上における表示を制御すること、及び臨床医ユーザから入力を受信することを可能にするために、中央演算処理装置724及び関連の構成要素を含む。この後者の関係において、マウス及びキーボードコントローラ730は、例えば臨床医ディスプレイ724によって提供されるグラフィカルユーザインターフェース上のボタンを選択するために臨床医ユーザによって操作されるマウス及び/又はキーボードからの制御入力を受信する。
【0046】
理解されるように、コンピュータ72、患者ディスプレイ726、及び臨床医ディスプレイ724のハードウェア構成要素は、次に説明されるような幾つかの追加の要求を満たす限り、既成のものであってよい。
【0047】
具体的には、患者ディスプレイ726に関しては、これは、子供被験者が近くから眺めるのに快適であるように、十分に高い解像度を備えていると同時に、子供被験者が画面から一定の距離の位置に配されたときに、テストを必要とされる視角の範囲全体にわたって画面にターゲットグラフィックを表示することができるように、十分に大きいことが望ましい。通常、周辺視野の範囲は、水平面及び垂直面の両側に30°である。快適な視距離は、通常は60cm前後であるが、子供被験者の場合は、より近い視距離にも耐えられる。必要とされる画面サイズは、画面からの視距離の関数であり、視距離がおおよそ48cmである場合は、おおよそ98cm(42インチ)の画面サイズを使用することができる。したがって、適切な画面は、例えば、例えば「Panasonic TH-42 PHD 8」などの42インチのハイデフィニションプラズマ画面である。その他の様々なハイデフィニションプラズマ画面、LCD画面、又はLED画面も、必要なサイズのものを容易に入手可能であり、置き換えも可能である。
【0048】
臨床医画面に関しては、要求はそれほど高くない。臨床医画面は、19インチモニタなどの標準的なコンピュータモニタ上に表示されてよい。
【0049】
上述のように、カメラ762は、図8(a)及び図(b)に示されるように、患者ディスプレイ76の前に配置されて、画面に固定される。本実施例では、カメラは、固視ターゲットを表示される場所である画面の厳密な中心に配置されるのではなく、固視点のすぐ下で画面に固定される。したがって、これは、子供被験者が固視点を見ているときに、その被験者は完全にカメラレンズを凝視しているのではないが、画面の中心を見ている子供被験者と、カメラなどによって捉えられる画像との間における子供被験者の視線の方向の相違は、ごく僅かであることを意味する。図8(c)は、カメラによって捉えられた、固視点を見ている被験者の像であり、あたかもユーザが実際にカメラを直接見ているように見えることがわかる。このようにして、視線の方向の変化は、臨床医によって容易に検出することができる。
【0050】
上記の実施例では、カメラは、患者ディスプレイの、厳密に中心ではないが可能な限り中心の近くに配される。なぜならば、中心には固視画像が表示されるからである。しかしながら、得られた患者画像では、患者は、あたかもカメラを凝視しているかのように見えるほど十分に、一見してカメラを見ているように見える。
【0051】
別の実施例では、しかしながら、テスト被験者に対するカメラの位置を補償するように増補ビューを更に調整し、そのようにして被験者の臨床医ビューが得られる。具体的には、最適な中心位置からのカメラの実際の変位と反対の方向にターゲットインジケータを増補ビュー上で移動するようにターゲットインジケータの位置を増補ビュー上で変更することによって臨床医ビューを得る。
【0052】
例えば、カメラが、患者ディスプレイの実質的に中心ではなくその底部に設置されていると想定する。この場合は、テスト被験者がディスプレイの中心にある固視画像を見ているときに、カメラの視点からは、被験者の視線が臨床医ディスプレイの上半分へと上方に持ち上げられているように見える。もし、被験者の視線が患者ディスプレイの底部に向かって下方へ移動した場合は、カメラの視点からは、最善の状況下では、テスト被験者がカメラを直接見ているように、すなわち視線が増補ビューの中心にあるように見えるであろう。実際は、しかしながら、被験者の視線は、患者ディスプレイに対して下方を向いている。他方、もし、被験者が固視画像から患者ディスプレイの上方部分に向かって上方を見る場合は、カメラ及び臨床医ディスプレイの視点からは、被験者の視線が臨床医ディスプレイの頂部に向かって更に高くに移動するように見える。
【0053】
もし、カメラが患者ディスプレイの頂部に設置された場合は、もちろん、反対の効果が得られる、すなわち、被験者は、下方を視線しているように見える。もし、カメラが患者ディスプレイの左または右に配された場合は、水平面内において同じ効果が得られる。この効果は、互いに組み合わさる。すなわち、右下隅に配されたカメラは、テスト被験者が中心の固視画像を見ているときに、その被験者があたかも臨床医ディスプレイの左上部分を視線しているかのように見せる。
【0054】
したがって、カメラの配置を補償するために、増補臨床医ディスプレイ上におけるターゲットインジケータの配置は、それらが臨床医ビュー上において、テスト被験者を見ているカメラの視点からはあたかも被験者が患者ディスプレイにおけるターゲット場所にあるテスト画像を見ているかのように見える位置に出現するように変更することができる。一般に、これは、言及されたように、増補ビューにおけるターゲットインジケータの位置を、理想的な中心位置(又は、より一般的には固視画像位置)からのカメラの変位と反対の方向に移動させることを伴う。
【0055】
例えば、もし、上で言及されたように、カメラが患者ディスプレイの底部の中央に位置する場合は、被験者の中心視線(すなわち、患者ディスプレイの中心を見ているときの視線)は、臨床医ビューでは、臨床医ビューの上半分へと持ち上げられているように見える。したがって、患者ディスプレイにおける該ディスプレイの中央水平面内に位置するテストターゲットに対応する増補ディスプレイにおけるターゲットインジケータは、増補臨床医ディスプレイでは、臨床医ディスプレイの上半分へと上方へ持ち上げられることが望ましい。同様に、患者ディスプレイにおける該ディスプレイの底部に位置するテストターゲットに対応する増補ディスプレイにおけるターゲットインジケータは、増補臨床医ディスプレイでは、臨床医ディスプレイの中央に向かって上方へ変位されることが望ましい。同様に、患者ディスプレイにおける該ディスプレイの頂部に位置するテストターゲットに対応する増補ディスプレイにおけるターゲットインジケータは、臨床医ディスプレイでは、増補ビューのまさに頂部へ変位されることが望ましい。
【0056】
増補ビューにおける、カメラの変位から反対の方向へのターゲットインジケータの同様の変位は、カメラが患者ディスプレイの頂部、又はディスプレイの左又は右に位置する場合にも生じるだろう。更に、該変位は、組み合わさることもできる、すなわち、もし、カメラがディスプレイの右下隅に位置する場合は、ターゲットインジケータは、増補ディスプレイにおいて上方へ且つ左方へ変位される。
【0057】
ターゲットインジケータの変位の必要量は、最適な中心位置からのカメラの変位に依存する。変位の計算には、様々な線形又は非線形の倍率を適用することもできる。
【0058】
今述べられたようにハードウェア構成要素を制御するために、コンピュータ72は、ソフトウェアを格納されたハードディスクドライブ732などのコンピュータ可読ストレージ媒体を備えており、該ソフトウェアは、より詳しく説明されるように、CPU724によって実行されたときに、コンピュータに、臨床医ビデオディスプレイを臨床医ディスプレイ74上に且つ固視画像及びターゲット画像を患者ディスプレイ76上に表示させる。また、ソフトウェアは、臨床医ユーザが臨床医ビデオディスプレイによって提供されたグラフィカルユーザインターフェースとやり取りすることを可能にするために、コンピュータ72がマウス及びキーボードを通じて臨床医からフィードバックを受信することを可能にする。ソフトウェアは、幾つかのモジュールを有し、次に説明されるように、異なる格納データ集合を利用する。
【0059】
ハードディスク732に格納される第1のソフトウェアモジュールは、臨床医ビューモジュール7326である。臨床医ビューモジュールは、アプリケーション全体を実行させる役割を担っており、臨床医グラフィカルユーザインターフェースを含む臨床医ビデオディスプレイを臨床医ディスプレイ74上に表示させる。臨床医ビデオディスプレイ及び臨床医GUIの更なる詳細は、後述される。しかしながら、臨床医ビューモジュール7326は、GUIの主な構成要素を提供する役割を担っており、具体的には、臨床医による患者の詳細の入力を可能にし、以前のテストの記録を含む患者記録にアクセスしてそれらの記録を臨床医に対して表示可能にし、GUI制御ボタンを提供してテスト中における臨床医フィードバックを可能にし捕捉する役割を担っている。臨床医ビューモジュール7326は、また、テスト中にカメラ78によって捕捉されたビデオディスプレイの出力も制御し、また、患者ディスプレイ上においてターゲットグラフィックが次にどこに表示されるかを臨床医に示唆するために、テストモジュール7340と連携してテストの実行を制御する。
【0060】
第2のソフトウェアモジュールは、子供ビューモジュール7330である。子供ビューモジュール7330は、臨床医ビューモジュール7326とやり取りし、臨床医ビューモジュール7326の制御下で機能する。子供ビューモジュール7330の主なタスクは、患者ディスプレイ76上に表示される画像を制御することである。子供ビューモジュール7330は、テーマ7322として格納された、固視グラフィック及びターゲットグラフィックについてのコンテンツである格納コンテンツにアクセスする。上述されたように、固視グラフィック及びターゲットグラフィックは、動画グラフィックであってよい、又は好ましくは、子供向けテレビ番組などのビデオコンテンツであってよい。このコンテンツは、「テーマ」によって分類されて、テーマ記録7322としてハードディスク732上に格納される。「テーマ」の一例は、例えば、「In The Night Garden」などの人気の子供向けテレビ番組であってよい。テーマ記録7322としては、例えば、男の子用及び女の子用、又は異なる年齢の子供用の様々なコンテンツ集合などの、様々に異なる「テーマ」を格納することができる。いずれのコンテンツが使用されるにせよ、子供ビューモジュール7330は、コンテンツにアクセスし、臨床医ビューモジュール7326による指示にしたがって患者ディスプレイ76を制御して、コンテンツを固視点に及びターゲット点
に表示させる。この点について、臨床医ビューモジュール7326は、ターゲットグラフィックが表示されるべき位置及び例えば固視グラフィックがターゲットグラフィックと同時に表示されているべきであるかどうかなどのその他のディスプレイ関連設定を指定するテストプランデータを、子供ビューモジュールに引き渡してよい。
【0061】
更に提供されるのは、全ての患者詳細をそれらの以前のテストのリストとともに格納する方法を提供する患者クラスモジュール7332である。これは、該データへのアクセスを提供するとともに、年齢計算などの、そのデータに作用する機能も提供する。具体的には、患者クラスモジュール7332は、テストされる各患者についての個々の患者記録を患者IDによって索引を付けて格納された患者記録データ7324にアクセスする。臨床医ビューモジュール7326は、したがって、患者記録を管理するタスクを患者クラスモジュール7332に委託する。要するに、患者の詳細を取り込むために患者ビューモジュールが臨床医によって制御されるときに、臨床医ビューモジュールは、臨床医から受信された患者IDを患者クラスモジュール7332に引き渡し、患者クラスモジュール7332は、適切な患者記録にアクセスし、その記録を処理し、臨床医ディスプレイ74上に表示するための表示データを臨床医ビューモジュール7326に返す。
【0062】
点クラスモジュール7334は、テストにおける各テスト点に関する情報を制御する方法を含む更なるソフトウェアモジュールである。テスト点に関する情報は、水平線及び垂直線からの角度と角度の振幅とで表されたテスト点の位置を含む。各テスト点は、テスト点オブジェクトとして格納され、点クラスモジュール7334によって制御される。臨床医ビューモジュール7326は、したがって、ターゲットグラフィックが次にどの点に表示されるべきかを判定するために、及び臨床医ビューを制御して点がどこかに表示されるかを臨床医に示唆するために、点クラスモジュール7334と連携する。同様に、臨床医ビューモジュールは、点がユーザによって認識されたかどうかに関して臨床医から受信されたデータ(すなわち、はい、いいえ、又は不明)を返し、該データは、点クラスモジュールによって点と対照させて格納される。
【0063】
更なるモジュールには、設定モジュール7336及びセッション設定モジュール7338がある。セッション設定モジュール7338は、臨床医ユーザによってアプリケーションの様々な設定が設定されることを可能にするGUIを提供し、これらの設定は、設定モジュール7336によって格納される。セッション設定モジュール7338は、また、臨床医ビューモジュール7326の制御下のアプリケーションが最初に取り込まれたときに該アプリケーションによって使用されるデフォルト設定も含む。特定のセッション中、これらの設定は、例えばテストにおけるアプリケーション設定をテストごとに変更するために、変更されてよく、設定モジュール7336に格納されてよい。例えば、固視グラフィックのサイズ、ターゲットグラフィックのサイズ、「自動点追加」機能が有効であるかどうか(自動点追加については後述する)、自動追加機能によって点が追加されるべき間隔、固視グラフィックがターゲットグラフィックと同時に示されるべきかどうか、ビデオターゲットの場合にそのビデオがループされるかどうか、ランダムなビデオコンテンツが使用されるべきかどうか、事前に設定された表示時間の経過後にターゲットグラフィックが自動的に隠されるべきかどうかなどの、様々な設定が、臨床医ユーザによって設定されてよい。
【0064】
また、患者ディスプレイ及び臨床医ディスプレイの両方のディスプレイ解像度設定はもちろん、患者ディスプレイの画面サイズ、及び子供被験者を配される画面からの距離などの設定を含む、様々なハードウェア設定も設定されてよい。設定モジュール7336及びセッション設定モジュール7338は、これらの全ての設定が臨床医によって変更されることを可能にする。
【0065】
更なるモジュールは、テストモジュール7340である。テストモジュールは、周辺視野テストに必要とされる全ての情報を含む。これは、テストされる点のリストと、結果を計算するために必要とされるその他の情報とを含む。このモジュールは、テストをその実行中に管理する役割を担っており、例えば、まだテストを必要とするテスト点をメインインターフェースに提供する。自動追加機能も、テストモジュール7340の一部である。テストモジュール7340は、点クラスモジュール7334によって複数の点を制御される周辺視野テストを実際に実行するために、点クラスモジュール7334と密に連携する。テストモジュール7340は、したがって、テストが実行されるときに、臨床医ビューモジュール7326によって呼び出され、臨床医ビューモジュール7326は、テストの管理をテストモジュール7340に委託する。そして、モジュール7340は、指定のテスト点に関連した様々なデータ及び情報を点クラスモジュール7334から呼び出し、テスト中にそれらのデータを点クラスモジュール7334に返す。したがって、臨床医ビューモジュール、点クラスモジュール、及びテストモジュールは、まとめて全体で、テストを実行するために必要な全てのデータ及び方法を含んでいる。
【0066】
最後に、「テンプレートメーカ」モジュール7328が提供される。これは、新しいテストプロファイルを作成するために臨床医ユーザがテスト点の場所を指定することを可能にする。要するに、テンプレートメーカモジュール7328は、臨床医ディスプレイ74上にターゲットグラティキュールを表示させ、ターゲットグラフィックを表示されるテスト点を形成する点を臨床医がグラティキュール上において選択することを可能にする。点の集合又はそれらの点に関連したメタデータは、次いで、テストモジュール7340による使用のために、新しいテストテンプレートとして格納することができる。テストを構成する特定の点に関する同様な情報が、点クラスモジュール7334によって使用される点オブジェクトとして格納される。
【0067】
図9、図10、及び図11は、セットアップされ使用の用意ができている第2の実施例の周辺視野テストシステムを示している。具体的には、図9は、テストルームの写真であり、患者ディスプレイが右に、そして対応する臨床医ディスプレイ74が左に示されている。図10は、患者ディスプレイの前に配されたテスト被験者を示しており、図11は、図10の写真が撮影されたのと同じときに撮影された臨床医ディスプレイの写真である。
【0068】
第2の実施例の視野測定システムのハードウェア及びソフトウェアを説明したので、図12〜19に関連して、テストを実施する際のシステムの動作を説明する。
【0069】
システムを動作させるためには、先ずコンピュータ72が起動され、測定アプリケーションが開始される。アプリケーションは、開始されるときに、テストされる現患者の患者IDの入力を求めるために、臨床医ユーザに対して入力ボックスを表示する。臨床医は、すると、この情報を入力し、臨床医ビューモジュール7326は、適切な患者記録にアクセスするように(又はもし利用できるものがないならば、患者記録を作成するように)患者クラスモジュール7332に求める。臨床医ビューモジュール7326は、次いで、図13に示されるような、取り出された患者詳細132を左手側のボックスに含む臨床医グラフィカルユーザインターフェース130を表示する。図12との関連では、これらのステップは、ステップ12.2及び12.4において実施される。したがって、ステップ12.4の後、臨床医ディスプレイ74は、図13に示されるような形で臨床医グラフィカルユーザインターフェース130を表示する。
【0070】
次に、臨床医は、ステップ12.6において、新しいテストが実施されることを決定し、したがって、画面上のGUI130によって提供された「テスト実施」ボタンをクリックする。これは、すると、図14のテンプレート134によって示されるような、テストテンプレートのリストを提示する。これは、ステップ12.8において実施される。テス
トテンプレートは、アプリケーションによって提供される既定のテストテンプレートでもよいし、後ほど更に詳しく説明されるように、テンプレートメーカモジュールを使用して臨床医が事前に作成したテンプレートでもよい。臨床医ユーザは、次いで、ステップ12.10において、使用されるテンプレートを選択し、それと同時に、どちらの眼がテストされるかを指定する。テストを開始する前に、臨床医ユーザは、子供被験者が、テストされる眼と反対側の眼である正しい方の眼を覆われた状態で画面の前に配されていることの確認も行うことが望ましい。
【0071】
テストテンプレートを選択した後、臨床医ユーザは、子供被験者に適したテーマの選択も行う。上述されたように、異なる性別及び異なる年齢の子供に適した様々に異なるコンテンツテーマが格納されている。臨床医ユーザは、子供被験者の年齢及び性別に適したテーマを選択することが望ましい。これがなされたら、テストを開始させることができる。
【0072】
上述された第1の実施例のように、第2の実施例において、テストは、固視ターゲットグラフィック又は固視ビデオを画面の中心において子供被験者に示し、次いで、ターゲットグラフィック又はターゲットビデオを画面上における異なる位置に断続的に示して、子供被験者がそのターゲットグラフィックを見るかどうかを判定する。図15は、画面の中心に固視グラフィック又は固視ビデオ150を示された患者ディスプレイを示している。これは、子供被験者の注意をディスプレイの中心に戻す「デフォルト」表示である。ターゲットグラフィック又はターゲットビデオが示されているときに、ディスプレイは、例えば図16に示されるような、この場合はターゲットグラフィック160を固視点の上方に示された状態に変化する。ターゲットグラフィック160は、テストテンプレート中のテスト点定義にしたがって、画面上における任意の位置に示せることが理解だろう。
【0073】
図17及び図18は、テスト中における臨床医ビューを示している。図17は、カメラ78によって捉えられた子供被験者のビデオ画像をメインウィンドウに有する臨床医GUI130を示している。図17における状況は、固視ビデオ又はグラフィックが画面の中心に示されている状況であり、したがって、子供は、カメラを直視しているように見える。ただし、臨床医ディスプレイは、ターゲットグラフィック又はターゲットビデオが間もなく子供に対して表示されるだろう位置を臨床医に示唆するインジケータ172によって増補されてもいる。インジケータ172の色は、ターゲットグラフィック又はターゲットビデオがその位置で表示されたかどうかを示唆する。例えば、赤いインジケータ172は、ターゲットグラフィック又はターゲットビデオがその位置ではまだ子供に対して示されていないが間もなくその位置で子供に対して示されることを臨床医に示唆する。その後、示唆された位置でターゲットグラフィック又はターゲットビデオが子供に示されたら、インジケータ172の色は例えば緑に変化する。この状況は、図18に示されている。ここで、図17と比較すると、インジケータ172の色が僅かに変化したこと、また、子供被験者の視線の方向がターゲットグラフィック又はターゲットビデオの位置の方向にシフトしたことがわかる。このような場合は、臨床医は、子供がターゲットグラフィック又はターゲットビデオを見たことを比較的確信することができ、したがって、臨床医は、GUI130によって提供された「はい」ボタン174を選択することができる。GUIにおける「はい」、「不明」、及び「いいえ」のボタンは、ターゲットグラフィック又はターゲットビデオが子供に対して表示される前ではなく表示されている期間中にのみ選択のために利用可能であることを留意されるべきである。したがって、ボタンは、例えば、図17では「色抜き」されているのに対し、図18では選択のために利用可能である。
【0074】
図12に戻り、上述された動作は、テストにおける点ごとに繰り返される。要するに、テストを実施するためには、先ず、テストテンプレートの中の各点が表示されることを確実にするために、ステップ12.14において処理ループが開始される。テストテンプレートの中の各点について、ステップ12.16において、臨床医モニタは、患者ディスプ
レイ上のどこにターゲットグラフィック又はターゲットビデオが表示されるかを示唆するインジケータ172が更新される。したがって、ステップ12.16は、上述された、図17に示された状態に対応する。次にステップ12.18では、子供モニタ上の現ターゲット点位置に、選択されたテーマの動画にしたがったターゲットグラフィック又はターゲットビデオが表示される。これは、したがって、患者ディスプレイについては図16に示された状態に、臨床医ディスプレイについては図18に示された状態に対応する。ターゲットグラフィック又はターゲットビデオが表示されている間に、臨床医はボタン174を使用して、子供がその点を見たかどうかに関するフィードバックすることができる。システムが次にどのように動作するかは、臨床医フィードバックに依存する。
【0075】
より具体的には、もし、ステップ12.22に示されるように、臨床医が「はい」ボタン174を選択する場合は、テストモジュール7340によって、特定のテスト点と対照させて肯定的な結果が記録される。次いで、次の点を処理することができ、処理ループは、次の点のためにステップ12.16に戻る。或いは、もし、フィードバックが臨床医による「不明」ボタンの選択によって得られる「不明」である場合は、その点は、テストリストの中に留めおかれ、例えば、テストの終了前に再びテストされるように、最後の点としてリストに入れられる。或いは、点は、必ずしも最後に出現しなくてもよいが後で出現するように、残りのテスト点リストの中のランダムな位置に配されてよい。点は、その後、臨床医からの明確な答えが得られるまでテスト中に後でテストし直すことができる。更なる実施例では、或る点に対して「不明」が記録された回数を追跡し、例えば最大で1回、2回、又は3回などのように、或る特定の回数だけテストリストの中に戻されるようにすることも可能だろう。
【0076】
テストにおけるテスト点の順序に関しては、次のようにすることが好ましい。すなわち、テスト点の表示順序は、テスト被験者がテスト点の特定のパターン又は順序に気付かず、これまでに示されたテスト点に基づいて次のテスト点がどこに表示されるかが予想できないような順序であることが好ましい。あるいは、ランダムな又は一見ランダムなテスト点順序が使用されてよい。
【0077】
もし、臨床医フィードバックが、テスト点位置にあるターゲットグラフィック又はターゲットビデオが見られなかったというものである場合は、この結果は、ステップ12.28において、やはり記録される。テストの設定にしたがって、テストは、次いで、後述される「自動追加特徴」を使用してテストに自動的に点を追加してよい。もし、「自動追加特徴」を使用してテスト点が追加された場合は、その新しいテスト点は、リストに追加され、次にテストされる点ではないかもしれないが、テストの完了前にはテストされる。点がテストに自動追加されたら、処理はステップ12.32に戻り、そこで、テストされるべき次の点があるかどうかが判定される。ステップ12.30においてテストに点が自動追加された場合は、テストされるべき次の点が常にある。同じく、ステップ12.38においてリストの中に点が留めおかれた場合も、やはり同様にテストは継続する。
【0078】
最終的に、全てのテスト点がテストされ、各点と対照させて「はい」又は「いいえ」の結果が格納される。その後、ステップ12.34において、患者テスト結果を患者記録に格納することができ、後述のように、後から臨床医が閲覧可能になる。
【0079】
しかしながら、先ずは図19を参照し、ステップ12.30の「自動追加」特徴の動作が説明される。
【0080】
図19は、この場合は被験者の右眼についての周辺視野プロットを得るためにテストされた点の結果プロットの一例を示している。結果プロット190は、グラティキュール196の上に、テストされた点の位置194を重ねられている。各テスト点194は、1つ
はプロットの垂直線又は水平線のいずれかからの角度の値、もう1つは中心点からその点への視線の角度を示すやはり角度で表された振幅の値である、2つの値によって特性化される。したがって、例えば、或るテスト点は、中心に位置する被験者から、水平線又は垂直線から回転角度45°の位置であり、中心点から振幅50°の視角を有するだろう。
【0081】
自動追加機能は、テストに点を追加するために、このテスト点の定義を活用する。テスト点が被験者によって見付けられなかったときは、追加される点は、振幅を減少させた点である。したがって、例えば、図19に示されるように、当初のテスト点は、おおよそ150°の角度回転位置(正のx軸を0°とする)と、50°の角度振幅(50°のグラティキュール線上に位置する)とを有するテスト点1982であった。このテスト点をテスト被験者が注目せず、かつ自動追加特徴が有効にされている場合は、同一の回転角度位置を有するが異なる角度振幅を有する追加のテスト点1984がテストテンプレートに追加される。例えば、この場合は、角度振幅は、5°減らされており、したがって、点1984の振幅は、45°である。これは、次いで、テストテンプレートに含められ、やがて、この位置でテストグラフィックがテスト被験者に対して提示される。
【0082】
この場合は、しかしながら、テスト被験者は、この位置にあるテストグラフィックを依然として見付けられず、ゆえに、自動追加機能は、角度振幅はいっそう小さいが同じ回転角度値を有する第3のテスト点1986を追加した。ゆえに、テスト点1986は、角度振幅が40°である。この点について、自動追加特徴は、各点の角度振幅を毎回5°ずつ減らしていることがわかる。しかしながら、この段階サイズは臨床医ユーザが設定できる。図19の場合、第2の追加テスト点1986は、そこにテストグラフィックが表示されたときも依然としてユーザによって見付けられず、ゆえに、テスト点1990である第3のテスト点が追加された。これは、よりいっそう小さい角度振幅35°を有する。この場合は、しかしながら、この位置でテストグラフィックがユーザに対して提示されたときに、ユーザは、テストグラフィックを見たので、更なるテスト点の追加は不要である。しかしながら、この例では、自動追加機能は、テスト被験者がその右眼の左下四分円において著しい視野喪失を有することを明らかにしており、更なる調査が望まれる。
【0083】
テストに追加された点の表示順序に関しては、前述のように、追加点は、必ずしも次に表示されるテスト点でなくてよい。一実施形態において、見逃されたテスト点と同じ回転角度位置にあるが角度振幅はより小さい追加テスト点は、見逃された点の直後の順番で表示されてよい、すなわち、見逃された点の後に次に表示される点であってよい。他方、その他の実施形態では、追加点は、一続きのテストの中で、異なる回転角度位置にある他の点が表示された後に、後ほど表示されてよい。このようにすれば、テスト被験者の注意は、見逃されたテスト点及びその結果として追加されたテスト点が位置する特定の回転角度領域から逸らされ、テスト被験者は、表示されているテスト画像間に異常に長い空白があることに対して関心又は疑問を抱いて固視画像から眼をさまよわせることがなくなる。
【0084】
より具体的には、テスト被験者が、画面の中心などの固視画像位置にある固視画像を見ていると想定する。もし、次いで表示される点がテスト被験者に見えない場合は、同じ回転角度位置にあるが角度振幅はより小さい点が追加される。しかしながら、かかる時間によっては、テスト被験者は、そろそろテスト画像を見ることを予期してテストエリアを見渡しはじめる可能性があり、これは、テストを台無しにするだろう。したがって、これを阻止するために、例えば、テスト被験者が既に肯定的なテスト結果を出したテスト位置、すなわちテスト被験者がテスト画像を見た場所などに、異なる回転角度位置のテスト画像を表示することができる。或いは、まだユーザに示されていないテスト予定のテスト点集合のなかから、別のテスト点を被験者に対して表示することができる。このようにすれば、テスト被験者は、テスト点が追加されたことに気づくことなく、テスト被験者の観点から見てテストの連続性が維持される。
【0085】
このような場合、追加された点は、一続きのテストにおいて、異なる回転角度にある1つ以上のその他のテスト画像がテスト被験者に対して表示された後に、後ほど表示される。もし、(図19のように、そして上述されたように)テスト被験者が画像を見逃し続けているという理由ゆえに、複数の点が同じ回転角度に追加された場合は、上記と同じ手順がとられてよい。すなわち、ユーザがテスト画像を見なかった問題の角度位置に追加テスト点が表示される前に、異なる回転角度位置に別のテスト画像が表示される。
【0086】
次に、テスト結果がどのように観察されえるかについて述べる。臨床医ビューモジュールは、実施されたばかりのテストを以前のテストとあわせて観察する機能を提供する。また、テストは、印刷されてよい。図20は、テスト結果の表示に関わるステップを示している。先ず、ステップ20.2において、患者IDが入力され、ステップ20.4において、患者記録が取り出され、表示される。この場合は、図22に示されるように、もし、患者がテストを実施されたことがある場合は、そのテストの結果が患者記録とともに格納され、臨床医に対して表示するために患者記録とともに取り出される。図22は、テストの結果222が、テストプロット224として、メインの臨床医ビューにおいてどのように臨床医に対して表示されるかを示している。テストプロット224は、図に示されるように一度に全部を表示することができるし、チェックボックス226の適切な選択によって、それぞれの眼ごとや両眼視について個別に表示されてよい。また、プロットは、図に示されるようにベジエ曲線を使用して点をつないでもよい。或いはあまり役に立たないかもしれないが、臨床医がGUIにおける「直線」チェックボックス228にチェックを入れることによって、直線によってテスト点をつなげてよい。結果を印刷するために、ステップ20.10において、臨床医は、GUIの左上にある印刷アイコンを選択してよく、すると、選択されたグラフィック記録は、印刷される。
【0087】
複数のテスト結果を利用可能である場合は、複数の結果を示すことも可能である。複数の結果は、図23に示されるように、比較のために互いに重ね合わせることができる。図23では、欄222の中の2つのテスト結果集合が利用可能であることがわかり、これらは、重ね合わされたテスト結果230として示される。このビューは、周辺視野の変化を示すために有用である。例えば、図23では、被験者の左眼の周辺視野が右上象限において顕著に退化していることがわかる。複数のテストは、互いに重ね合わせることができ、どのテストがどれであるかを識別するために、通常は、異なる色のプロットが使用される。
【0088】
図24は、複数のテストの部分集合のみがどのように表示されえるかを示している。具体的には、図24は、複数の左眼プロットを示しており、臨床医が被験者の左眼の右上象限における周辺視野の変化をより詳細に見ることを可能にしている。また、ここでは、結果上に示された一連の点242によって示されるように、第2のテストにおいて点を追加するために自動追加特徴が使用されたことがわかる。
【0089】
上述された特徴に加えて、ビュー特徴は、臨床医がプロットの一部を拡大表示したり、図式表示された結果をスキャンしたりパンしたりすることも可能にするのが好ましい。
【0090】
前述されたように、測定システムは、テスト点の集合である新しいテストテンプレートを臨床医が作成することを可能にするためのテンプレートメーカモジュールも含む。これは、被験者の周辺視野の特定のエリアを集中的に検査するためのテストを臨床医が設計することを可能にする。新しいテストテンプレートを作成するために、図21に示されるように、ステップ21.2において、臨床医は、GUI130における「テンプレート作成」ボタンを使用して、新しいテンプレートの作成を選択する。これにより、図25に示されるように、ステップ21.4において、新しいテンプレートメーカグラティキュールが
表示される。テンプレートメーカグラティキュールは、新しいウィンドウ250に表示される。次いで、臨床医は、マウスポインタを使用して、テストされるテスト点の位置をテンプレートメーカグラティキュール上にマークする。図25に示されるように、臨床医によって既に2つの点252がマークされており、マウスカーソルは、点254として示されている。テンプレートメーカグラティキュールは、カーソルを点の回転角度及び振幅の両方において1°、5°、10°、15°、20°などの倍数にちょうど嵌らせるための「スナップ」特徴を有することができる。或いは、臨床医は、テンプレートメーカグラティキュールの中でどこでも自分が望むところに点を配してよい。点を設定するために、臨床医は、単純にカーソル254を所望の位置へ移動させて、マウスをクリックする。その位置は、すると、新しいテスト点として格納される。臨床医が操作を終え、十分なテスト点が設定されたら、これらの点の集合は、ステップ21.8において、新しいテストテンプレートとして格納されてよい。そのテストテンプレートは、先述のように、例えば図12のプロセスのステップ12.10において、使用のために選択することができる。
【0091】
テンプレートメーカの提供は、したがって、特定の診断を行ったり被験者の周辺視野の特定のエリアをテストしたりするためのテストを臨床医が簡単で且つユーザに優しいやり方で定めることを可能にする。
【0092】
全体として、したがって、第2の実施例の周辺視野測定システムは、周辺視野テストを実施するための、信頼性で且つ使用が容易なインターフェースを提供し、テスト結果の容易な管理及び表示を可能にする。生きている被験者に対するシステムのテストは、システムの信頼性及び実現可能性を示した。
【0093】
更なる実施例を提供するために、上述された実施例に対して様々な変更が加えられてよい。例えば、上述された2つの実施例では、患者ディスプレイとして、プラズマディスプレイ、LCD、又はLEDディスプレイなどのテレビタイプのディスプレイ画面が使用されている。或いは、その他の実施形態では、投写型ディスプレイが使用されてよい。この場合は、画面上に固視画像及びターゲット画像を表示するために、ビデオプロジェクタが使用される。画面の中心に小さな穴をくり抜いて、画面の後ろにカメラを取り付け可能にしてよい。これは、こうするとカメラが被験者に対してそれほど目立たないうえに、患者ディスプレイ画面のどこも塞がないという利点を有する。また、投写型システムの使用は、プラズマ画面、LCD画面、LED画面などの固定サイズのディスプレイの場合よりも、大きい画像を得ることを可能にする。しかしながら、もちろん、投写特性ゆえにディスプレイのサイズが変わったときは、被験者がディスプレイからどれだけ離れたところに着席しているかで表される被験者の配置を注意深く行わなければならない。画面からの被験者の距離は、ターゲットグラフィック及びビデオの位置の自動調整を可能にするためにアプリケーションの設定モジュールに入力することができるパラメータである。
【0094】
上記の例では、ターゲットグラフィックは、子供被験者にとって魅力的であるように臨床医によって選択されたテーマのビデオであると好ましいということを説明されている。ビデオの使用による特に好ましい特徴は、固視グラフィック及びターゲットグラフィックの両方に、同じビデオを途切れることなく使用できることにある。要するに、子供被験者は、固視点に表示されるビデオコンテンツの一環として、或るテレビ番組を見はじめ、そのビデオコンテンツは、次いで、ターゲット点位置にあるターゲットビデオへと継ぎ目なく引き継がれる。その後、ビデオは、次に表示されたときの固視ターゲットに引き継がれ、続いて、次のターゲット点に表示され、以下同様である。したがって、子供被験者に関する限り、テストの間に生じているのは、画面上におけるビデオの位置が変化するということだけであり、そのコンテンツに含まれるストーリは引き継がれる。
【0095】
固視ターゲットがターゲットグラフィック又はターゲットビデオと同時に表示されるか
どうかに関しても、幾つかのヴァリエーションがある。例えば、固視ターゲットがビデオであって、絶え間なく表示される一方で、ターゲットグラフィックは、子供の注意を固視ビデオから引き離そうとするための別のビデオ又はその他の何らかの動画グラフィックであるかもしれない。しかしながら、ターゲットグラフィックが示されているときにディスプレイ画面から固視ビデオを除去する方が、より良い結果を得られると考えられる。しかしながら、特に、以前テストを実施したことがあるような一部の被験者の場合は、固視ビデオが消えたことが、残りの画面を見渡してターゲットビデオを見付けようとしなければならないというサインになる可能性がある。したがって、これを克服するために、一部のテストでは、ターゲットグラフィック又はターゲットビデオが示されている間も画面上に固視ターゲットを維持して被験者の注意を固視ターゲット上に留めることによって、より良い結果を達成することが好ましいだろう。
【0096】
一例では、固視画像は、ターゲット画像が表示される前に表示された最後のビデオフレームで停止させてもよく、該停止フレームは、ターゲット画像が表示されている間も表示され続ける。このような例におけるターゲット画像は、(後で続きを再生される)ビデオ画像、又は別の画像であってよい。別の画像が使用される場合は、たとえ音声に合うビデオ画像が固視画像としてもターゲット画像としても示されていなくても、ビデオ音声が再生され続けるだろう。
【0097】
したがって、固視画像及びターゲット画像の形式としては、幾つかの選択肢の組み合わせがあることがわかる。設定モジュールは、被験者に応じて臨床医が上記の選択肢のうちの任意を選ぶことを可能にするための設定を提供する。
【0098】
上記の第1及び第2の実施例では、臨床医ディスプレイは、ターゲットグラフィックが患者ディスプレイ上のどこに目下示されているかに関するインジケータによって、そしてまた、ターゲットグラフィックが次にどこに示されるだろうかに関するインジケータによって、増補されている。上記の例では、インジケータが示しているのが、ターゲットグラフィックがそのインジケータの場所に現在表示されていることなのか、間もなく表示されることなのかを区別するために、色分けシステムが使用されている。その他の例では、インジケータの色を変化させたりすることで区別を示す代わりに、例えばインジケータの形状などのその他の何らかの特性が変更される。例えば、ターゲットグラフィックが間もなく表示される位置を示すために、四角形のインジケータが使用されてよく、該インジケータの形状は、次いで、グラフィックが表示されるときに円形に変化する。更なる例では、より多くの情報を伝えるために、インジケータの2つ又は3つ以上の特性が変更されてよい。例えば、形状及び色の両方が使用されてよく、第1の形状のインジケータは、被験者に対して既に示されたテスト点を示し、第2の形状のインジケータは、間もなく示される又は将来示されるのを待っているテスト点を示す。第1の形状のインジケータの色は、その点がユーザに見られたかどうかを示唆してよい。例えば、第1の色は、その点が見られたことを示唆してよく、第2の色は、そのインジケータが見られなかったことを示唆してよい。第3の色は、その点が「不明」であったことを示唆するために使用されてよい。
【0099】
上記の例では、テスト被験者の画像は、テスト中ずっと臨床医ユーザに対して表示されており、臨床医ユーザは、特定のターゲット点が表示されたときに被験者がそれを見たかどうかに関して判断を下してフィードバックを提供する。別の例では、しかしながら、臨床医がテスト中に被験者のビデオ画像を観察する代わりに(又はそれに加えて)、臨床医が後で観察するために被験者のビデオ画像が記録されてよい。要するに、テストを実施しているテスト被験者のビデオ画像は、リアルタイムで臨床医に対して表示されようとされまいと、臨床医が後で観察することができるように格納されてよい。この点について、ビデオデータは、通常は、患者記録とともに格納される。
【0100】
テスト被験者のビデオ画像がリアルタイムで臨床医に示されない別の例では、テスト画像を被験者に対して表示するために使用されたのと同じディスプレイデバイス(HDTVやコンピュータモニタなど)を、ビデオ画像を臨床医に対して表示するために使用してよい。したがって、一部の機器の再利用が可能になる。
【0101】
テストのビデオ画像が記録される別の例では、臨床医は、後でテストビデオを観察することができ、そのときに、子供がターゲットグラフィックを見たかどうかに関して判断を下すことができる。この場合は、テストのビデオが臨床医ユーザに対して再生されるのに伴って、臨床医ビデオディスプレイは、患者ディスプレイ上においてテストグラフィックがどこに間もなく表示され、またその次に表示されるかを示すためのインジケータによって増補され、あたかも生でテストを行っているのと同じ体験を臨床医にさせることが好ましい。したがって、ビデオ画像データを格納するとともに、ビデオデータと同期化されたテストメタデータも格納され、該テストメタデータは、たとえ示されているビデオが記録されたビデオであってもターゲット点位置のインジケータによって臨床医ビデオディスプレイを増補するように、臨床医ビューモジュールに指示する。
【0102】
上記の例は、臨床医がテストを後で観察することを可能にし、ゆえに、たとえテストの実施時間に臨床医の手が空いていなくてもテストが実施されることを可能にする。しかしながら、ターゲット点が見られたかどうかに関して臨床医がテスト中に判断を下すことができないゆえに、上述された「自動追加」特徴は、あまり有用でなくなる。その代わり、テストは、テスト点を視野の縁に限定して適応的にテスト点を追加するのではなく、テスト被験者の視野全体にわたってターゲットグラフィック又はターゲットビデオを表示するテスト点を伴うように設計することができる。
【0103】
その他の例では、記録されたテスト映像に基づくのであれ生のテスト映像に基づくのであれ、臨床医は、テスト被験者と同じ場所にいる必要はなく、別の部屋、別の建物、別の市、別の国、又はひいては別の大陸に位置する離れたディスプレイに位置していて、テスト被験者の撮影ビデオをネットワークを通じて臨床医のコンピュータに提供されてよいことも理解される。この場合は、1台は患者ディスプレイを動作させるための、もう1台は臨床医ディスプレイを動作させるための、2台の制御コンピュータが必要とされるのが通常である。コンピュータのうちの1台は、サーバモードで動作してよく、処理の大半を実施し、適切な表示を行うようにクライアント端末を制御してよい。例えば、臨床医側にあるコンピュータは、ソフトウェアの大半を含んでいてよく、テスト結果や患者記録などを格納し、患者ディスプレイと同じ場所にあるコンピュータにインストールされた比較的低機能なクライアントを通じて患者ディスプレイを遠隔制御してよい。
【0104】
別の例では、アプリケーションは、完全にネットワークベースであってよく、患者ディスプレイ又は臨床医ディスプレイのいずれにも位置していないネットワークサーバ上で実行されてよい。この場合は、患者ディスプレイ及び臨床医ディスプレイは、比較的軽量な低機能型クライアントを実行することができ、処理の大半を、ネットワークを通じてネットワークサーバによって実施される。患者記録、テスト結果、テストビデオなどは、ネットワークサーバに格納することができる、或いはテストシステムを実行しているネットワークサーバがアクセスを有する別のストレージサーバ上のどこかに格納することができる。
【0105】
上記の第1及び第2の実施例では、テスト被験者の撮影ビデオを観察し、ターゲットグラフィック又はターゲットビデオが患者画面上における或るテスト点の場所に表示されたときに被験者の視線の方向がそのテスト点へ移動するかどうかの判断は、臨床医に頼っている。しかしながら、更なる実施例では、臨床医によるこの判断のプロセスは、例えば、上記のSuga et alによって説明されたテンプレートマッチング技術などの画像処理機能に
置き換えられてよい。このような例では、テスト被験者のビデオ画像をテンプレートマッチング画像処理アルゴリズムによって処理して、ターゲットグラフィック又はターゲットビデオが表示されたときに被験者の視線の方向がそれに向かって移動するかどうかを判定し、その結果を自動的に記録する。この例では、臨床医ディスプレイを用意する必要はないが、このようなディスプレイは、モニタリング目的で用意されてもよい。また、もし、ターゲットが見られなかったと画像処理アルゴリズムが判定した場合は、上述された自動追加機能を使用して、より易しいテスト点であって後でテスト被験者に提示することができるテスト点を追加することができる。これに関して、画像処理アルゴリズムは、図12のステップ12.20の臨床医フィードバックの受信に取って代わるが、その他の全ての点において、処理及び動作は、同一のままであってよい。例えば、ターゲット点及び固視点のために、連続するビデオが使用されてよい。
【0106】
自動追加機能は、特に有利な機能であり、テスト点においてターゲットが被験者に見られたかどうかに関する判断が臨床医ユーザによって又は画像処理技術を使用してなされた場合のいずれでも、使用することができる。具体的には、自動追加機能によれば、テスト中にテスト点の場所を動的に変更することが可能となり、可能な限り最も正確な被験者視野プロットを得ることができる。具体的には、テスト点の角度振幅を徐々に調整して角度振幅を減少させることによって、テスト中に被験者の視野の範囲を適応的に調査して視野範囲を決定することができる。
【0107】
Suga et alのように自動視線追跡技術が使用される別の例では、眼の位置を追跡するために使用される画像処理アルゴリズムを補うために、頭部の位置を求めるに顔の自然な特徴や顔に取り付けられた特徴を用いて、頭部の位置を独立に追跡することもできる。例えば、アイパッチ(一度に片目ずつテストされる場合に被験者が着用する)上に、基準となる校正ステッカが配されてよい。自動眼追跡技術における問題は、1つには、先ずは被験者の頭部の位置を求め、そこから眼の位置及び視線の方向を判定可能であることである。換言すると、<空間内における眼の位置>=<頭部における眼の位置>+<空間内における頭部の位置>である。アイパッチの外表面上に、カメラに対して表示される十字記号又はその他の何らかの認識容易な記号などの既知の校正記号を使用すれば、既知の記号形状を探すことによって、或る画像の中での頭部の位置を容易に求めることが可能である。画像の中で頭部の位置が確立されたら、その画像の中の眼の位置の識別が、より単刀直入になる。要するに、校正記号の位置と、頭部の向きと、テスト被験者の位置との間には、経験的な関係が一般的に知られているので、処理されるべき画像の空間分割が、より容易になる。
【0108】
自動視線追跡を提供するために画像処理が使用される更なる例では、上述のように既知の校正記号を使用して画像を空間的に分割したり、それに加えて又はその代わりに、ビデオストリームを時間的に分割したりして、処理する必要があるビデオ画像の数を減らすことも可能である。より具体的には、システムは、テスト被験者に対していつターゲット画像が表示されるかを正確に知っているので(なぜならば、ターゲット画像の表示を生成及び制御しているはシステムであるので)、被験者の眼の視線方向を判定するためには、ターゲット画像が表示される前後に数ビデオフレームずつ(恐らくは、最大1.0秒間=各側に0.5秒間+0.5秒間の映像)を画像処理するだけでよくなる。その以外のときは、被験者の視線の方向は、一般的に重要でない。
【0109】
上記で注意すべきは、1つには、ターゲット画像が表示されるときに被験者が固視画像を見ていることが好ましいという点にある。正確な周辺視野テストが実施されるのは、このような場合のみであり、もし、ターゲット画像が示されるときに被験者が画面上のどこかほかを見ている場合は、被験者の視野内におけるターゲット画像の相対位置は、被験者が固視画像を見ている場合とは異なるだろう。したがって、別の例では、ターゲット画像
が示される前に視線判定を実施して、被験者が固視画像を見ているのか又は画面の別の部分を見ているのかを判定する。したがって、ターゲット画像の表示は、被験者が固視画像を見ているかどうかに関する判定に応じて変更され、被験者の視線が固視画像に戻るまで表示を遅らされる。このようにすれば、ターゲット画像は、被験者が固視画像を見ているときに示され、ゆえに、テスト精度を向上させることができる。
【0110】
上記の例では、テスト被験者が固視画像を見ているかどうかに関する判定は、例えばSuga et alのような画像処理アルゴリズムによって自動的に実施されてもよいし、臨床医によって実施されてよい。後者の場合は、ターゲット画像が表示される前にテスト被験者が固視画像を見ていることをシステムに示唆するためにテスト中に臨床医によって作動されるボタンを臨床医GUIは更に含むだろう。該ボタンを臨床医が作動させると、システムは、指示されたターゲット場所にターゲット画像を表示させる。
【0111】
本発明の別の例では、Suga el alのような自動眼追跡アルゴリズムは、増補臨床医ビューと組み合わさって半自動方式で混合使用することが可能である。例えば、上述された、ターゲットごとに1秒間の眼の動きをカットして自動解析することで誤検出や検出漏れを捉えて精度を上げることができる。その方法として、(a)臨床医による手動の増補ビューテストの実行中に、各ターゲットに対して該ターゲットの出現後に自動的に行う方法(例えば信頼率を与える)、(b)臨床医による手動の増補ビューテストの実行の終わりに、テスト全体に対してまとめて行う方法、(c)臨床医による増補ビューテストの代わりに(Sugaのように)自動的に行うが、臨床医による人ベースの完全又は部分手動の増補ビューテストを後から行う方法がある。後者における人による確認は、1秒間(又はそれ未満)のカット中にのみ実行されるので非常に迅速であり、さらにはこれらのカットを、正確性を最も確認したいターゲットを指し示す複合フル画面ビュー内に組織化する。人によるこのような観察は、システムがプロセス中に時折自動的に機能することを可能にされている場合は、テストの途中でなされることも可能である。
【0112】
したがって、たとえ、周辺視野テストを実施するためにSuga et alのような自動視線追跡システムが使用される場合でも、このような自動システムを上述された先の実施例の増補臨床医ビューによって補完して、自動システムの結果を臨床医がチェックできるようにしたり、各結果における信頼レベルを高めたりすることができる。或いは、上述された第1及び第2の主要実施例におけるように、ターゲット画像が見られたかどうかの主な判定者が臨床医である場合には、自動画像処理システムをバックアップとして使用して、臨床医が判定した結果をチェックしたり、各テスト結果における信頼度を高めたりすることができる。上記のように、この画像処理は、テストの進行中に実施されても、テストの終わりにまとめて実施されてよく、好ましくは、ターゲット画像が表示された時間付近のビデオフレームのみを処理するように、時間分割されたビデオストリームを処理することによって実施される。
【0113】
意図された読者、すなわち当業者には、いずれも添付の特許請求の範囲に入ることを意図される更なる実施形態を提供するために、追加、削除、又は置換による様々な更なる変更形態が明らかである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
テスト画像をテスト被験者に対して表示するように構成された被験者ビデオディスプレイと、
前記テスト被験者の画像を撮像するように構成されたカメラと、
前記撮像された前記テスト被験者の画像をユーザに対して表示するように構成されたユーザビデオディスプレイと、
前記被験者ビデオディスプレイ及び前記ユーザビデオディスプレイを制御し、前記被験者ビデオディスプレイ上におけるテスト画像の位置に関連した少なくとも1つのインジケータによって前記ユーザビデオディスプレイを増補する制御を行う、1つ以上のプロセッサと、
を備える、周辺視野測定システム。
【請求項2】
前記少なくとも1つのインジケータは、前記ユーザビデオディスプレイにおいて、前記被験者ビデオディスプレイにおけるテスト画像の位置に対応する位置に配置される、
請求項1に記載の周辺視野測定システム。
【請求項3】
前記インジケータの1つ以上の特性は、前記被験者ビデオディスプレイにおけるテスト画像の現在の状態を前記ユーザに示唆するために変更可能である、
請求項1又は2に記載の周辺視野測定システム。
【請求項4】
前記1つ以上の特性は、前記インジケータの形状及び前記インジケータの色からなる群より選択される1つ以上を含む、
請求項3に記載の周辺視野測定システム。
【請求項5】
前記インジケータの第1の特性は、示唆された位置でテスト画像が前記テスト被験者に対して間もなく表示されるときに第1の値又は状態を有し、前記テスト画像が前記示唆された位置で表示されたときに第2の値又は状態に変化する、
請求項3又は4に記載の周辺視野測定システム。
【請求項6】
前記1つ以上のプロセッサは、更に、前記被験者ビデオディスプレイ上にテスト画像が表示されたときに前記テスト被験者がそのテスト画像を見たかどうかに関する判定データを使用するように構成され、前記判定データは、前記被験者ビデオディスプレイ上に表示されたときの前記テスト画像の位置と対照させて記録され、それにより前記テスト被験者の周辺視野を表す測定データを収集する、
請求項1から5のいずれかに記載の周辺視野測定システム。
【請求項7】
前記1つ以上のプロセッサは、前記表示に関連した前記ユーザからのフィードバックデータを受信するように構成された少なくとも1つの入力を有し、前記フィードバックデータは、前記被験者ビデオディスプレイ上にテスト画像が表示されたときに前記テスト被験者がそのテスト画像を見たかどうかに関する前記ユーザによる判断に関連し、前記フィードバックデータは、前記判定データとして使用される、
請求項6に記載の周辺視野測定システム。
【請求項8】
前記被験者ビデオディスプレイは、前記テスト画像に加えて、固視画像を前記テスト被験者に対して表示するように構成される、
請求項1から7のいずれかに記載の周辺視野測定システム。
【請求項9】
前記固視画像及び/又は前記テスト画像のうちの1つ以上は、ビデオ画像である、
請求項8に記載の周辺視野測定システム。
【請求項10】
前記固視画像及び前記テスト画像はともにビデオ画像であり、前記ビデオのコンテンツの少なくとも一部の再生は、前記固視画像から前記テスト画像へと実質的に連続している、
請求項9に記載の周辺視野測定システム。
【請求項11】
前記判定データが、前記テスト被験者が第1のテスト画像を見なかったことを示唆する場合は、その後、前記被験者ビデオディスプレイ上で前記テスト被験者の視線により近い関連の位置で追加のテスト画像が前記テスト被験者に対して示される、
請求項6から10のいずれかに記載の周辺視野測定システム。
【請求項12】
前記追加のテスト画像が表示される前記関連の位置は、前記第1のテスト画像と実質的に同じ又は類似の回転角度位置と、より小さい角度振幅とを有する、
請求項11に記載の周辺視野測定システム。
【請求項13】
前記追加のテスト画像よりも前に、前記第1のテスト画像と異なる回転角度位置で少なくとも1つの第2のテスト画像が前記ユーザに対して表示される、
請求項11又は12に記載の周辺視野測定システム。
【請求項14】
周辺視野テスト結果集合が作成されるように、前記被験者ビデオディスプレイ上における様々な位置で複数のテスト画像が前記テスト被験者に対して示され、前記複数の位置に関連して受信された複数の判定データが格納され、
前記システムは、更に、
前記テスト結果集合を格納するように構成され、後で見るために前記テスト結果集合をそこから取り出すことができる、1つ以上のストレージ媒体を備える、
請求項6から13のいずれかに記載の周辺視野測定システム。
【請求項15】
複数のテスト結果集合が、同じテスト被験者について格納され、後で同時に見ることができる、
請求項14に記載の周辺視野測定システム。
【請求項16】
前記ユーザがグラフとして見ることを可能にするために、テスト結果集合がグラフとしてプロットされ、複数のテスト結果集合は、前記同じグラフプロット上に重ね合わされる、
請求項14又は15に記載の周辺視野測定システム。
【請求項17】
前記テスト被験者に対してテスト画像が表示される前記被験者ディスプレイデバイス上におけるテスト場所の集合を前記ユーザが定めることを可能にするためのグラフィカルユーザインターフェースを更に備える、
請求項1から16のいずれかに記載の周辺視野測定システム。
【請求項18】
固視画像をテスト被験者に対して表示し、かつ、複数のテスト画像を断続的に表示するように構成された第1のディスプレイデバイスと、
前記第1のディスプレイデバイス上における特定の位置にあるテスト画像を前記テスト被験者が見たかどうかに関連したデータを収集し、それにより前記テスト被験者の周辺視野を測定するように構成されたプロセッサと、
を備え、
前記固視画像及び前記テスト画像は、ビデオ画像であり、前記ビデオ画像のコンテンツの少なくとも一部の再生は、前記固視画像と前記テスト画像との間で実質的に連続している、
周辺視野測定システム。
【請求項19】
複数のテスト画像をディスプレイ上における様々な位置でテスト被験者に対して表示するように構成された第1のディスプレイデバイスと、
前記複数のテスト画像を前記様々な位置で表示するために前記第1のディスプレイデバイスを制御し、かつ、特定の位置にある特定のテスト画像を前記テスト被験者が見たかどうかに関する判定を使用するように構成されたプロセッサと、
を備え、
前記プロセッサは、更に、前記判定に応じ、前記特定のテスト画像の前記特定の位置に関連し前記特定の位置よりも前記テスト被験者の視線に近い関連の位置で前記ユーザに対して示される追加のテスト画像の位置を計算し、かつ、前記追加のテスト画像を前記関連の位置で表示するために前記第1のディスプレイデバイスを制御するように構成される、
周辺視野測定システム。
【請求項20】
前記追加のテスト画像が表示される前記関連の位置は、前記第1のテスト画像と実質的に同じ又は類似の回転角度位置と、より小さい角度振幅とを有する、
請求項19に記載の周辺視野測定システム。
【請求項21】
前記追加のテスト画像よりも前に、前記第1のテスト画像と異なる回転角度位置で少なくとも1つの第2のテスト画像が前記ユーザに対して表示される
請求項19又は20に記載の周辺視野測定システム。
【請求項22】
テスト画像をテスト被験者に対して表示するステップと、
前記テスト被験者の画像を撮像するステップと、
前記撮像された前記テスト被験者の画像を前記ユーザに対して表示するステップと、
を含み、
前記撮像された前記テスト被験者の画像は、前記テスト被験者に対して表示された又は表示されるテスト画像の位置に関連した少なくとも1つのインジケータによって増補される、
周辺視野測定方法。
【請求項23】
ディスプレイデバイス上において固視画像をテスト被験者に対して表示するステップと、
複数のテスト画像を前記テスト被験者に対して断続的に表示するステップと、
前記ディスプレイデバイス上における特定の位置にあるテスト画像を前記テスト被験者が見たかどうかに関連したデータを収集し、そうして前記テスト被験者の周辺視野を測定するステップと、
を含み、
前記固視画像及び前記テスト画像はビデオ画像であり、前記ビデオ画像のコンテンツの少なくとも一部の再生は、前記固視画像と前記テスト画像との間で実質的に連続している、
周辺視野測定方法。
【請求項24】
複数のテスト画像をディスプレイ上における様々な位置でテスト被験者に対して表示するステップと、
特定の位置にある特定のテスト画像を前記テスト被験者が見たかどうかに関する判定に応じ、前記特定のテスト画像の前記特定の位置に関連し前記特定の位置よりも前記テスト被験者の視線に近い関連の位置で前記ユーザに対して示される追加のテスト画像の位置を計算するステップと、
前記追加のテスト画像を前記関連の位置で表示するステップと、
を含む、周辺視野測定方法。
【請求項25】
前記追加のテスト画像が表示される前記関連の位置は、前記第1のテスト画像と実質的に同じ又は類似の回転角度位置と、より小さい角度振幅とを有する、
請求項24に記載の周辺視野測定方法。
【請求項26】
前記追加のテスト画像よりも前に、前記第1のテスト画像と異なる回転角度位置で少なくとも1つの第2のテスト画像が前記ユーザに対して表示される、
請求項24又は25に記載の周辺視野測定方法。
【請求項1】
テスト画像をテスト被験者に対して表示するように構成された被験者ビデオディスプレイと、
前記テスト被験者の画像を撮像するように構成されたカメラと、
前記撮像された前記テスト被験者の画像をユーザに対して表示するように構成されたユーザビデオディスプレイと、
前記被験者ビデオディスプレイ及び前記ユーザビデオディスプレイを制御し、前記被験者ビデオディスプレイ上におけるテスト画像の位置に関連した少なくとも1つのインジケータによって前記ユーザビデオディスプレイを増補する制御を行う、1つ以上のプロセッサと、
を備える、周辺視野測定システム。
【請求項2】
前記少なくとも1つのインジケータは、前記ユーザビデオディスプレイにおいて、前記被験者ビデオディスプレイにおけるテスト画像の位置に対応する位置に配置される、
請求項1に記載の周辺視野測定システム。
【請求項3】
前記インジケータの1つ以上の特性は、前記被験者ビデオディスプレイにおけるテスト画像の現在の状態を前記ユーザに示唆するために変更可能である、
請求項1又は2に記載の周辺視野測定システム。
【請求項4】
前記1つ以上の特性は、前記インジケータの形状及び前記インジケータの色からなる群より選択される1つ以上を含む、
請求項3に記載の周辺視野測定システム。
【請求項5】
前記インジケータの第1の特性は、示唆された位置でテスト画像が前記テスト被験者に対して間もなく表示されるときに第1の値又は状態を有し、前記テスト画像が前記示唆された位置で表示されたときに第2の値又は状態に変化する、
請求項3又は4に記載の周辺視野測定システム。
【請求項6】
前記1つ以上のプロセッサは、更に、前記被験者ビデオディスプレイ上にテスト画像が表示されたときに前記テスト被験者がそのテスト画像を見たかどうかに関する判定データを使用するように構成され、前記判定データは、前記被験者ビデオディスプレイ上に表示されたときの前記テスト画像の位置と対照させて記録され、それにより前記テスト被験者の周辺視野を表す測定データを収集する、
請求項1から5のいずれかに記載の周辺視野測定システム。
【請求項7】
前記1つ以上のプロセッサは、前記表示に関連した前記ユーザからのフィードバックデータを受信するように構成された少なくとも1つの入力を有し、前記フィードバックデータは、前記被験者ビデオディスプレイ上にテスト画像が表示されたときに前記テスト被験者がそのテスト画像を見たかどうかに関する前記ユーザによる判断に関連し、前記フィードバックデータは、前記判定データとして使用される、
請求項6に記載の周辺視野測定システム。
【請求項8】
前記被験者ビデオディスプレイは、前記テスト画像に加えて、固視画像を前記テスト被験者に対して表示するように構成される、
請求項1から7のいずれかに記載の周辺視野測定システム。
【請求項9】
前記固視画像及び/又は前記テスト画像のうちの1つ以上は、ビデオ画像である、
請求項8に記載の周辺視野測定システム。
【請求項10】
前記固視画像及び前記テスト画像はともにビデオ画像であり、前記ビデオのコンテンツの少なくとも一部の再生は、前記固視画像から前記テスト画像へと実質的に連続している、
請求項9に記載の周辺視野測定システム。
【請求項11】
前記判定データが、前記テスト被験者が第1のテスト画像を見なかったことを示唆する場合は、その後、前記被験者ビデオディスプレイ上で前記テスト被験者の視線により近い関連の位置で追加のテスト画像が前記テスト被験者に対して示される、
請求項6から10のいずれかに記載の周辺視野測定システム。
【請求項12】
前記追加のテスト画像が表示される前記関連の位置は、前記第1のテスト画像と実質的に同じ又は類似の回転角度位置と、より小さい角度振幅とを有する、
請求項11に記載の周辺視野測定システム。
【請求項13】
前記追加のテスト画像よりも前に、前記第1のテスト画像と異なる回転角度位置で少なくとも1つの第2のテスト画像が前記ユーザに対して表示される、
請求項11又は12に記載の周辺視野測定システム。
【請求項14】
周辺視野テスト結果集合が作成されるように、前記被験者ビデオディスプレイ上における様々な位置で複数のテスト画像が前記テスト被験者に対して示され、前記複数の位置に関連して受信された複数の判定データが格納され、
前記システムは、更に、
前記テスト結果集合を格納するように構成され、後で見るために前記テスト結果集合をそこから取り出すことができる、1つ以上のストレージ媒体を備える、
請求項6から13のいずれかに記載の周辺視野測定システム。
【請求項15】
複数のテスト結果集合が、同じテスト被験者について格納され、後で同時に見ることができる、
請求項14に記載の周辺視野測定システム。
【請求項16】
前記ユーザがグラフとして見ることを可能にするために、テスト結果集合がグラフとしてプロットされ、複数のテスト結果集合は、前記同じグラフプロット上に重ね合わされる、
請求項14又は15に記載の周辺視野測定システム。
【請求項17】
前記テスト被験者に対してテスト画像が表示される前記被験者ディスプレイデバイス上におけるテスト場所の集合を前記ユーザが定めることを可能にするためのグラフィカルユーザインターフェースを更に備える、
請求項1から16のいずれかに記載の周辺視野測定システム。
【請求項18】
固視画像をテスト被験者に対して表示し、かつ、複数のテスト画像を断続的に表示するように構成された第1のディスプレイデバイスと、
前記第1のディスプレイデバイス上における特定の位置にあるテスト画像を前記テスト被験者が見たかどうかに関連したデータを収集し、それにより前記テスト被験者の周辺視野を測定するように構成されたプロセッサと、
を備え、
前記固視画像及び前記テスト画像は、ビデオ画像であり、前記ビデオ画像のコンテンツの少なくとも一部の再生は、前記固視画像と前記テスト画像との間で実質的に連続している、
周辺視野測定システム。
【請求項19】
複数のテスト画像をディスプレイ上における様々な位置でテスト被験者に対して表示するように構成された第1のディスプレイデバイスと、
前記複数のテスト画像を前記様々な位置で表示するために前記第1のディスプレイデバイスを制御し、かつ、特定の位置にある特定のテスト画像を前記テスト被験者が見たかどうかに関する判定を使用するように構成されたプロセッサと、
を備え、
前記プロセッサは、更に、前記判定に応じ、前記特定のテスト画像の前記特定の位置に関連し前記特定の位置よりも前記テスト被験者の視線に近い関連の位置で前記ユーザに対して示される追加のテスト画像の位置を計算し、かつ、前記追加のテスト画像を前記関連の位置で表示するために前記第1のディスプレイデバイスを制御するように構成される、
周辺視野測定システム。
【請求項20】
前記追加のテスト画像が表示される前記関連の位置は、前記第1のテスト画像と実質的に同じ又は類似の回転角度位置と、より小さい角度振幅とを有する、
請求項19に記載の周辺視野測定システム。
【請求項21】
前記追加のテスト画像よりも前に、前記第1のテスト画像と異なる回転角度位置で少なくとも1つの第2のテスト画像が前記ユーザに対して表示される
請求項19又は20に記載の周辺視野測定システム。
【請求項22】
テスト画像をテスト被験者に対して表示するステップと、
前記テスト被験者の画像を撮像するステップと、
前記撮像された前記テスト被験者の画像を前記ユーザに対して表示するステップと、
を含み、
前記撮像された前記テスト被験者の画像は、前記テスト被験者に対して表示された又は表示されるテスト画像の位置に関連した少なくとも1つのインジケータによって増補される、
周辺視野測定方法。
【請求項23】
ディスプレイデバイス上において固視画像をテスト被験者に対して表示するステップと、
複数のテスト画像を前記テスト被験者に対して断続的に表示するステップと、
前記ディスプレイデバイス上における特定の位置にあるテスト画像を前記テスト被験者が見たかどうかに関連したデータを収集し、そうして前記テスト被験者の周辺視野を測定するステップと、
を含み、
前記固視画像及び前記テスト画像はビデオ画像であり、前記ビデオ画像のコンテンツの少なくとも一部の再生は、前記固視画像と前記テスト画像との間で実質的に連続している、
周辺視野測定方法。
【請求項24】
複数のテスト画像をディスプレイ上における様々な位置でテスト被験者に対して表示するステップと、
特定の位置にある特定のテスト画像を前記テスト被験者が見たかどうかに関する判定に応じ、前記特定のテスト画像の前記特定の位置に関連し前記特定の位置よりも前記テスト被験者の視線に近い関連の位置で前記ユーザに対して示される追加のテスト画像の位置を計算するステップと、
前記追加のテスト画像を前記関連の位置で表示するステップと、
を含む、周辺視野測定方法。
【請求項25】
前記追加のテスト画像が表示される前記関連の位置は、前記第1のテスト画像と実質的に同じ又は類似の回転角度位置と、より小さい角度振幅とを有する、
請求項24に記載の周辺視野測定方法。
【請求項26】
前記追加のテスト画像よりも前に、前記第1のテスト画像と異なる回転角度位置で少なくとも1つの第2のテスト画像が前記ユーザに対して表示される、
請求項24又は25に記載の周辺視野測定方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【公表番号】特表2013−502962(P2013−502962A)
【公表日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−526113(P2012−526113)
【出願日】平成22年8月24日(2010.8.24)
【国際出願番号】PCT/GB2010/001599
【国際公開番号】WO2011/023948
【国際公開日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【出願人】(501308812)ケンブリッジ エンタープライズ リミテッド (10)
【出願人】(512049937)ユニバーシティ オブ ヨーク (1)
【公表日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年8月24日(2010.8.24)
【国際出願番号】PCT/GB2010/001599
【国際公開番号】WO2011/023948
【国際公開日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【出願人】(501308812)ケンブリッジ エンタープライズ リミテッド (10)
【出願人】(512049937)ユニバーシティ オブ ヨーク (1)
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