説明

視野角制御用カラーフィルタとこれを用いた液晶ディスプレイおよび視野角制御用カラーフィルタの製造方法

【課題】左右の視認者に対して異なる情報を与えることが可能な液晶ディスプレイと、これに使用する視野角制御用カラーフィルタとその製造方法を提供する。
【解決手段】視野角制御用カラーフィルタを、透明基板2の一方の面に第2ブラックマトリックス6、透明樹脂層3、第1ブラックマトリックス5、複数色の着色パターン7R,7G,7Bからなる着色層7と、を備えたものとし、第1ブラックマトリックス5と第2ブラックマトリックス6を構成する延設方向が同一である遮光パターン5a、6aを、透明樹脂層3を介して対向しない位置に配設し、第1ブラックマトリックス5を透明樹脂層3に埋め込んだ状態とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はカラーフィルタと液晶ディスプレイに係り、特にカーナビゲーション装置等に使用する視野角制御用カラーフィルタとこれを用いた液晶ディスプレイ、および視野角制御用カラーフィルタの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、自動車内のダッシュボードに、運転席と助手席との間に位置するようにカーナビゲーション装置のディスプレイを設置した場合、ディスプレイに求める情報は運転者と助手席の同乗者とでは、必ずしも同じではない。しかし、運転席用と助手席用としてディスプレイを2台設置することは、車載用途ではスペースに制約があり困難である。このため、液晶パネルを2枚重ねてディスプレイを構成することにより、1台のディスプレイで運転者と助手席の同乗者とにそれぞれ異なる情報を提供することができるディスプレイが開発されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−40027号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上述の特許文献1のようなディスプレイでは、液晶パネルを2枚使用するため、重量の増大が避けられず、また、製造コストが高くなるという問題があった。また、バックアップ光源から照射された光が2枚の液晶パネルを透過するため、画像に要求される明度を得るためにはバックアップ光源の光量を大きくする必要があり、この点でも製造コストが高くなり、かつ、電力消費量が増大するという問題があった。さらに、ディスプレイの奥行き方向で2枚の液晶パネルの位置が異なるので、左右(運転席側と助手席側)で画質に差が生じやすいという問題もあった。また、従来のディスプレイでは、構造が多層となって複雑なものとなるため、積層面の平坦性を維持することが難しく、例えば、カラーフィルタの赤色、緑色、青色の各色の着色層の厚みムラが液晶の配向に悪影響を与えたり、最表面に保護フィルムをラミネートする際に、表面の凹凸が原因で気泡が入り込んで視認性が低下するという問題もあった。
本発明は上述のような事情に鑑みてなされたものであり、左右の視認者に対して異なる情報を与えることが可能な液晶ディスプレイと、これに使用する視野角制御用カラーフィルタとその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
このような目的を達成するために、視野角制御用カラーフィルタの第1の発明は、透明基板と、該透明基板の一方の面に配設された第2ブラックマトリックスと、該第2ブラックマトリックスを被覆するように前記透明基板上に配設された透明樹脂層と、該透明樹脂層の前記透明基板と反対側の表面に配設された第1ブラックマトリックスと複数色の着色パターンからなる着色層と、を備え、前記第1ブラックマトリックスおよび前記第2ブラックマトリックスは、延設方向が同一であり、かつ、前記透明樹脂層を介して対向しない位置に配設された遮光パターンを有し、前記第1ブラックマトリックスは前記透明樹脂層に埋め込まれた状態であるような構成とした。
また、第1の本発明の他の態様として、前記透明樹脂層と前記着色層との間に透明酸素遮断層が介在するような構成とした。
【0006】
また、視野角制御用カラーフィルタの第2の発明は、透明基板と、該透明基板の一方の面に配設された透明樹脂層と、該透明樹脂層に配設された第2ブラックマトリックスと、前記透明基板の他方の面に配設された第1ブラックマトリックスと複数色の着色パターンからなる着色層と、を備え、前記第1ブラックマトリックスおよび前記第2ブラックマトリックスは、延設方向が同一であり、かつ、前記透明基板および前記透明樹脂層を介して対向しない位置に配設された遮光パターンを有し、前記第2ブラックマトリックスは前記透明樹脂層に埋め込まれた状態であるような構成とした。
【0007】
また、視野角制御用カラーフィルタの第3の発明は、透明基板と、該透明基板の一方の面に接着剤層を介して配設された透明樹脂層と、該透明樹脂層の前記透明基板側に配設された第2ブラックマトリックスと、前記透明基板の他方の面に配設された第1ブラックマトリックスと複数色の着色パターンからなる着色層と、を備え、前記第1ブラックマトリックスおよび前記第2ブラックマトリックスは、延設方向が同一であり、かつ、前記透明基板を介して対向しない位置に配設された遮光パターンを有し、前記第2ブラックマトリックスは前記透明樹脂層に埋め込まれた状態であるような構成とした。
【0008】
視野角制御用カラーフィルタの製造方法の第1の発明は、上記の第1の発明である視野角制御用カラーフィルタの製造方法であって、透明基板の一方の面に、同一方向に延設された複数のパターンを少なくとも有する遮光パターンを設けて第2ブラックマトリックスを形成する工程と、該第2ブラックマトリックスを被覆するように透明基板上にネガ型の感光性樹脂層を形成し、その後、該感光性樹脂層上に、前記第2ブラックマトリックスの遮光パターンと同一方向に延設された複数のパターンを少なくとも有する遮光パターンを設けて第1ブラックマトリックスを形成する工程と、前記感光性樹脂層のガラス転移温度以上の温度で熱処理を施して、前記第1ブラックマトリックスを前記感光性樹脂層に埋め込むとともに、前記感光性樹脂層を硬化させて透明樹脂層とする工程と、前記透明樹脂層上に複数色の着色パターンを設けて着色層を形成する工程と、を有し、前記第1ブラックマトリックスを形成する工程では、前記第1ブラックマトリックスを構成する同一方向に延設された遮光パターンと前記第2ブラックマトリックスを構成する同一方向に延設された遮光パターンとが、前記感光性樹脂層を介して対向しないように第1ブラックマトリックスを形成するような構成とした。
【0009】
視野角制御用カラーフィルタの製造方法の第1の発明の他の態様として、上記の第1の発明である視野角制御用カラーフィルタが透明酸素遮断層を有する態様の製造方法であって、透明基板の一方の面に、同一方向に延設された複数のパターンを少なくとも有する遮光パターンを設けて第2ブラックマトリックスを形成する工程と、該第2ブラックマトリックスを被覆するように透明基板上にネガ型の感光性樹脂層を形成し、該ネガ型感光性樹脂層に透明酸素遮断層を形成し、その後、該透明酸素遮断層上に、前記第2ブラックマトリックスの遮光パターンと同一方向に延設された複数のパターンを少なくとも有する遮光パターンを設けて第1ブラックマトリックスを形成する工程と、記感光性樹脂層のガラス転移温度以上の温度で熱処理を施して、前記第1ブラックマトリックスを前記感光性樹脂層に埋め込むとともに、前記感光性樹脂層を硬化させて透明樹脂層とする工程と、前記透明樹脂層上に複数色の着色パターンを設けて着色層を形成する工程と、を有し、前記第1ブラックマトリックスを形成する工程では、前記第1ブラックマトリックスを構成する同一方向に延設された遮光パターンと前記第2ブラックマトリックスを構成する同一方向に延設された遮光パターンとが、前記感光性樹脂層を介して対向しないように第1ブラックマトリックスを形成するような構成とした。
【0010】
また、視野角制御用カラーフィルタの製造方法の第1の発明の他の態様として、上記の第1の発明である視野角制御用カラーフィルタが透明酸素遮断層を有する態様の製造方法であって、透明基板の一方の面に、同一方向に延設された複数のパターンを少なくとも有する遮光パターンを設けて第2ブラックマトリックスを形成する工程と、該第2ブラックマトリックスを被覆するように透明基板上にネガ型の感光性樹脂層を形成し、その後、該感光性樹脂層上に、前記第2ブラックマトリックスの遮光パターンと同一方向に延設された複数のパターンを少なくとも有する遮光パターンを設けて第1ブラックマトリックスを形成する工程と、前記感光性樹脂層のガラス転移温度以上の温度で熱処理を施して、前記第1ブラックマトリックスを前記感光性樹脂層に埋め込むとともに、前記感光性樹脂層を硬化させて透明樹脂層とし、該透明樹脂層上に透明酸素遮断層を形成する工程と、前記透明樹脂層上に複数色の着色パターンを設けて着色層を形成する工程と、を有し、前記第1ブラックマトリックスを形成する工程では、前記第1ブラックマトリックスを構成する同一方向に延設された遮光パターンと前記第2ブラックマトリックスを構成する同一方向に延設された遮光パターンとが、前記感光性樹脂層を介して対向しないように第1ブラックマトリックスを形成するような構成とした。
【0011】
視野角制御用カラーフィルタの製造方法の第2の発明は、上記の第2の発明である視野角制御用カラーフィルタの製造方法であって、透明基板の一方の面にネガ型の感光性樹脂層を形成し、その後、該感光性樹脂層上に、同一方向に延設された複数のパターンを少なくとも有する遮光パターンを設けて第2ブラックマトリックスを形成する工程と、記感光性樹脂層のガラス転移温度以上の温度で熱処理を施して、前記第2ブラックマトリックスを前記感光性樹脂層に埋め込むとともに、前記感光性樹脂層を硬化させて透明樹脂層とする工程と、前記透明基板の他方の面に、前記第2ブラックマトリックスの遮光パターンと同一方向に延設された複数のパターンを少なくとも有する遮光パターンを設けて第1ブラックマトリックスを形成する工程と、前記透明基板上に複数色の着色パターンを設けて着色層を形成する工程と、を有し、前記第1ブラックマトリックスを形成する工程では、前記第1ブラックマトリックスを構成する同一方向に延設された遮光パターンと前記第2ブラックマトリックスを構成する同一方向に延設された遮光パターンとが、前記透明基板および前記透明樹脂層を介して対向しないように第1ブラックマトリックスを形成するような構成とした。
【0012】
視野角制御用カラーフィルタの製造方法の第2の発明の他の態様として、上記の第2の発明である視野角制御用カラーフィルタの製造方法であって、前記感光性樹脂層を形成した後、前記感光性樹脂層上に透明酸素遮断層を形成、その後、該透明酸素遮断層上に前記第2ブラックマトリックスを形成するような構成とした。
また、視野角制御用カラーフィルタの製造方法の第2の発明の他の態様として、上記の第2の発明である視野角制御用カラーフィルタの製造方法であって、前記感光性樹脂層を硬化させて透明樹脂層とした後、前記透明樹脂層上に透明酸素遮断層を形成するような構成とした。
【0013】
視野角制御用カラーフィルタの製造方法の第3の発明は、上記の第3の発明である視野角制御用カラーフィルタの製造方法であって、支持体上にネガ型の感光性樹脂層を形成し、その後、該感光性樹脂層上に、同一方向に延設された複数のパターンを少なくとも有する遮光パターンを設けて第2ブラックマトリックスを形成し、その後、前記感光性樹脂層のガラス転移温度以上の温度で熱処理を施して、前記第2ブラックマトリックスを前記感光性樹脂層に埋め込むとともに、前記感光性樹脂層を硬化させて透明樹脂層として、第2ブラックマトリックスを有する透明樹脂層を支持体上に剥離可能に備えた転写シートを作製する工程と、一方の面に、同一方向に延設された複数のパターンを少なくとも有する遮光パターンを設けて第1ブラックマトリックスが形成され、さらに、複数色の着色パターンが設けられて着色層が形成された透明基板の他方の面に、前記転写シートの前記透明樹脂層を接着剤層を介して圧着し、その後、支持体を剥離して前記透明樹脂層を透明基板に転写する工程と、を有し、前記転写の工程では、前記第1ブラックマトリックスを構成する同一方向に延設された遮光パターンと前記第2ブラックマトリックスを構成する同一方向に延設された遮光パターンとが、延設方向を同一とし、かつ、前記透明基板を介して対向しないように位置合わせを行うような構成とした。
【0014】
また、本発明は、カラーフィルタが液晶を介して電極基板と対向して配設され、カラーフィルタを構成する複数色の各着色パターンが1個の絵素をなすような液晶ディスプレイにおいて、カラーフィルタは請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の視野角制御用カラーフィルタであり、各絵素は第2ブラックマトリックスによって左右の部位に2分割され、各絵素の左右の部位毎に液晶の配向制御を行うような構成とした。
本発明の他の態様として、前記カラーフィルタは着色層上に共通透明電極が配設されており、前記電極基板はカラーフィルタの各絵素の2分割された各部位に対応するように複数の透明画素電極を備え、各絵素の左右の部位毎に液晶の配向制御を行うような構成とした。
【発明の効果】
【0015】
本発明の視野角制御用カラーフィルタは、第1ブラックマトリックスと第2ブラックマトリックスにおいて、同一方向に延設されている遮光パターンが、透明樹脂層あるいは透明基板を介して対向しない位置に配設されており、したがって、第1ブラックマトリックスと第2ブラックマトリックスのズレによって視野角が制御される。すなわち、着色層を構成する1個の着色パターンを透過した光に着目すると、左右方向(上記の遮光パターンの延設方向に対し直角の方向)の一方で視認できる光が透過してきた着色パターンの部位と、他方で視認できる光が透過してきた着色パターンの部位とが、1個の着色パターンの中で異なるものとなる。そして、本発明の液晶ディスプレイでは、本発明の視野角制御用カラーフィルタを使用し、各絵素を2つの部位に分割して液晶の配向制御を行うので、左右の視認者に対して異なる情報を与えることができる。
【0016】
さらに、請求項1に係る発明では、第1ブラックマトリックスが透明樹脂層に埋め込まれた状態であるため、透明樹脂層に形成された着色層を構成する着色パターンの厚みが均一であり、液晶の配向精度が高く、高精細な画像表示が可能である。
また、請求項2に係る発明では、透明樹脂層と着色層との間に透明酸素遮断層が介在するので、仮に着色層からガスが発生しても、このガスによる透明樹脂層の変色や劣化が防止される。
また、請求項3に係る発明では、第2ブラックマトリックスが透明樹脂層に埋め込まれた状態であるため、視認側の最表面である透明樹脂層上に他の部材や層をラミネート、積層しても、気泡の混入が抑制され、部材や層の変形が防止される。
また、請求項4に係る発明では、第2ブラックマトリックスが透明樹脂層に埋め込まれた状態であるため、接着剤層を介した透明基板への固着が確実で信頼性が高いとともに、視認側の最表面である透明樹脂層上に他の部材や層をラミネート、積層しても、気泡の混入が抑制され、部材や層の変形が防止される。
【0017】
本発明の視野角制御用カラーフィルタの製造方法は、ガラス転移温度以上の温度で熱処理が施されることにより、感光性樹脂層上に形成した第1ブラックマトリックス、あるいは、第2ブラックマトリックスが感光性樹脂層に埋め込まれると同時に、感光性樹脂層が硬化して透明樹脂層となるので、透明基板上に透明樹脂層を形成するための硬化処理、あるいは、支持体上に透明樹脂層を形成するための硬化処理が、感光性樹脂層へのブラックマトリックスの埋め込みのための熱処理によって同時に行われることとなり、工程が簡便であり、また、ブラックマトリックス形成面が平坦である透明樹脂層の形成が可能である。
【0018】
さらに、請求項5に係る発明では、第1ブラックマトリックスを透明樹脂層に埋め込んだ状態とすることができるので、その後、着色パターンを均一に形成することができ、液晶の配向精度が高く、高精細な画像表示が可能なカラーフィルタを製造することができる。
また、請求項6に係る発明では、ネガ型感光性樹脂層に透明酸素遮断層を形成するので、この感光性樹脂層を硬化させて形成した透明樹脂層は、その後の着色層形成において高温(例えば、200℃以上)に加熱されても透明樹脂層が空気中の酸素により酸化されて変色することが防止される。
また、請求項7に係る発明では、感光性樹脂層を硬化させて形成した透明樹脂層に透明酸素遮断層を形成するので、その後の着色層形成において高温(例えば、200℃以上)に加熱されても透明樹脂層が空気中の酸素により酸化されて変色することが防止される。
また、請求項8に係る発明では、第2ブラックマトリックスを透明樹脂層に埋め込んだ状態とすることができるので、保護あるいは機能付与を目的として、視認側の最表面である透明樹脂層上に他の部材や層を気泡の混入を抑制してラミネートしたり積層できるカラーフィルタの製造が可能である。
また、請求項9に係る発明では、ネガ型感光性樹脂層に透明酸素遮断層を形成するので、この感光性樹脂層を硬化させて形成した透明樹脂層は、その後の着色層形成において高温(例えば、200℃以上)に加熱されても透明樹脂層が空気中の酸素により酸化されて変色することが防止される。
【0019】
また、請求項10に係る発明では、感光性樹脂層を硬化させて形成した透明樹脂層に透明酸素遮断層を形成するので、その後の着色層形成において高温(例えば、200℃以上)に加熱されても透明樹脂層が空気中の酸素により酸化されて変色することが防止される。
また、請求項11に係る発明では、透明基板への第1ブラックマトリックスや着色層の形成工程とは独立して、転写シートを作製することができるため、製造時間の短縮が可能であり、また、転写シートは透明樹脂層に第2ブラックマトリックスが埋め込まれた状態であるため、接着剤層を介した透明樹脂層と透明基板との固着が確実なものとなり、信頼性の高いカラーフィルタを製造できる。さらに、保護あるいは機能付与を目的として、視認側の最表面である透明樹脂層上に他の部材や層を気泡の混入を抑制してラミネートしたり積層できるカラーフィルタの製造が可能である。
また、本発明の液晶ディスプレイは、本発明の視野角制御用カラーフィルタを使用し、各絵素を2つの部位に分割して液晶の配向制御を行うので、左右の視認者に対して異なる情報を与えることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の視野角制御用カラーフィルタの第1の実施形態を示す部分断面図である。
【図2】第1ブラックマトリックスと第2ブラックマトリックスの位置関係を示した図である。
【図3】本発明の視野角制御用カラーフィルタの第1の実施形態の他の例を示す部分断面図である。
【図4】本発明の視野角制御用カラーフィルタの第1の実施形態の他の例を示す部分断面図である。
【図5】本発明の視野角制御用カラーフィルタの第2の実施形態を示す部分断面図である。
【図6】本発明の視野角制御用カラーフィルタの第3の実施形態を示す部分断面図である。
【図7】本発明の視野角制御用カラーフィルタの製造方法の第1の実施形態を示す工程図である。
【図8】本発明の視野角制御用カラーフィルタの製造方法の第1の実施形態を示す工程図である。
【図9】本発明の視野角制御用カラーフィルタの製造方法の第2の実施形態を示す工程図である。
【図10】本発明の視野角制御用カラーフィルタの製造方法の第2の実施形態を示す工程図である。
【図11】本発明の視野角制御用カラーフィルタの製造方法の第3の実施形態を示す工程図である。
【図12】本発明の視野角制御用カラーフィルタの製造方法の第3の実施形態を示す工程図である。
【図13】本発明の液晶ディスプレイの一実施形態を示す部分断面図である。を示す工程図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
[視野角制御用カラーフィルタ]
(第1の実施形態)
図1は、本発明の視野角制御用カラーフィルタの第1の実施形態を示す部分断面図である。図1において、本発明の視野角制御用カラーフィルタ1は、透明基板2と、この透明基板2の一方の面2aに配設された第2ブラックマトリックス6と、この第2ブラックマトリックス6を被覆するように透明基板2上に配設された透明樹脂層3と、透明樹脂層3の透明基板2と反対側の表面3aに配設された第1ブラックマトリックス5と複数色の着色パターン(赤色着色パターン7R、緑色着色パターン7G、青色着色パターン7B)からなる着色層7と、を備えている。尚、本発明において「透明」とは、波長400nmの光を用いた光線透過率が95%以上、好ましくは99%以上であることを意味する。
【0022】
このような本発明の視野角制御用カラーフィルタ1の特徴の一つは、第1ブラックマトリックス5および第2ブラックマトリックス6が、延設方向が同一であり、かつ、透明樹脂層3を介して対向しない位置に配設された遮光パターンを有していることである。これを、透明樹脂層3の層面に垂直な方向から第1ブラックマトリックス5と第2ブラックマトリックス6の位置関係を示した図2を参照して説明する。図2に示されるように、第1ブラックマトリックス5(実線で表示)は矢印a方向が延設方向である遮光パターン5aと、これに直交する矢印b方向が延設方向である遮光パターン5bからなる格子形状をなしている。また、第2ブラックマトリックス6(鎖線で表示)は矢印a方向が延設方向である遮光パターン6aが所定の間隔で複数配設されたものである。したがって、第1ブラックマトリックス5の遮光パターン5aと第2ブラックマトリックス6の遮光パターン6aは、延設方向(矢印a方向)が同一であり、かつ、透明樹脂層3を介して対向しない(重ならない)位置に配設された遮光パターンである。また、第1ブラックマトリックス5と第2ブラックマトリックス6の位置関係を、延設方向(矢印a方向)に対し直角の方向(矢印b方向)でみると、第1ブラックマトリックス5を構成する遮光パターン5aの配置間隔の中央に第2ブラックマトリックスの遮光パターン6aが位置するように配設されており、相互に重ならない位置となっている。
【0023】
図2に示す例では、第2ブラックマトリックス6は矢印a方向に延設された複数の遮光パターン6aで構成されているが、この遮光パターン6aと直交するように、矢印b方向に延設された遮光パターン6b(二点鎖線で表示)を備えた格子形状であってもよい。この場合、遮光パターン6bは第1ブラックマトリックス5を構成する遮光パターン5bと重なる位置に配設することが好ましい。尚、図示例では、遮光パターン5bを示す実線と遮光パターン6bを示す二点鎖線を故意にずらして示している。
また、図2に示す例では、第1ブラックマトリックス5は格子形状であるが、矢印a方向に延設された複数の遮光パターン5aで構成されるものであってもよい。この場合も、上述のように、第2ブラックマトリックス6は、矢印a方向に延設された遮光パターン6aと矢印b方向に延設された遮光パターン6bを備えた格子形状であってもよい。
【0024】
このように、第1ブラックマトリックス5の遮光パターン5aと第2ブラックマトリックス6の遮光パターン6aが、延設方向が同一であり、かつ、透明樹脂層3を介して対向しない位置に配設されていることにより、視野角が制御される。ここで、着色層を構成する1個の着色パターン7Rを透過した光に着目すると、図1に示すように、右方向の視認者Aが視認できる光が透過してきた着色パターン7Rの部位7Raと、左方向の視認者Bが視認できる光が透過してきた着色パターン7Rの部位7Rbとに分割できる。すなわち、着色パターン7Rを1個の絵素としたときに、第2ブラックマトリックス6の遮光パターン6aによって、1絵素である着色パターン7Rが部位7Raと部位7Rbとの分割されている。したがって、着色パターン7Rの部位7Raに対応する液晶と、着色パターン7Rの部位7Rbに対応する液晶とを独立して制御することにより、右方向の視認者Aと左方向の視認者Bとに異なる情報を与えることができる。
【0025】
このような第1ブラックマトリックス5の遮光パターン5aのピッチ、第2ブラックマトリックス6の遮光パターン6aのピッチは、例えば、75〜360μmの範囲で設定することができる。また、第1ブラックマトリックス5の遮光パターン5aの線幅は、例えば、5〜20μmの範囲で設定することができる。また、第2ブラックマトリックス6の遮光パターン6aの線幅は、透明樹脂層3の厚み、右方向の視認者Aと左方向の視認者Bの位置(制御目標の視野角)、遮光パターン5aと遮光パターン6aのピッチ等を考慮して適宜設定することができ、例えば、5〜120μmの範囲で設定することができる。
【0026】
また、本発明の視野角制御用カラーフィルタ1では、第1ブラックマトリックス5は透明樹脂層3に埋め込まれた状態であることが特徴である。したがって、視野角制御用カラーフィルタ1では、透明樹脂層3に形成された着色層7を構成する着色パターン7R,7G,7Bの厚みが均一であり、これにより液晶の配向精度が高く、高精細な画像表示が可能である。ここで、透明樹脂層3に埋め込まれた状態とは、図1に示されるように、第1ブラックマトリックス5が透明樹脂層3に完全に埋め込まれた状態を意味することは勿論であるが、本発明では、透明樹脂層3から第1ブラックマトリックス5の一部が突出し、その突出高さが1μm以下である状態までを含むものである。尚、第1ブラックマトリックス5の突出高さは、接触式膜厚計を用いて測定した値の平均値を意味する。
【0027】
上記のような本発明の視野角制御用カラーフィルタ1は、透明樹脂層3と着色層7との間に透明酸素遮断層が介在するものであってもよい。図3は、このような一例を示す図1相当の断面図である。この図3に示される視野角制御用カラーフィルタ1′は、透明樹脂層3上に透明酸素遮断層8を有し、この透明酸素遮断層8上に第1ブラックマトリックスが存在し、透明樹脂層3と透明酸素遮断層8に埋め込まれた状態である。また、図4は、透明酸素遮断層を有する他の例を示す図1相当の断面図である。この図4に示される視野角制御用カラーフィルタ1″は、透明樹脂層3に埋め込まれた状態の第1ブラックマトリックスを被覆するように透明樹脂層3上に透明酸素遮断層8を有している。このような視野角制御用カラーフィルタ1′、1″では、仮に着色層7からガスが発生しても、このガスによる透明樹脂層3の変色や劣化が透明酸素遮断層8によって防止される。このような透明酸素遮断層8は、例えば、酸化アルミニウム(Al23)、酸化ケイ素(SiOx)、酸窒化ケイ素(SiOxy)、窒化ケイ素(SiNx)等のような無機材料、あるいは、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ノボラック樹脂等のような有機材料からなるものであってよい。また、その厚みは、酸素透過率が0.01cc/m2/day・atm以下となるように、材料、成膜方法を考慮して適宜設定することができる。尚、酸素透過率は、酸素ガス透過率測定装置(MOCON社製 OX−TRAN 2/20)を用いて、温度23℃、湿度90%RHの条件で測定する。
【0028】
(第2の実施形態)
図5は、本発明の視野角制御用カラーフィルタの第2の実施形態を示す部分断面図である。図5において、本発明の視野角制御用カラーフィルタ11は、透明基板12と、この透明基板12の一方の面12bに配設された透明樹脂層13と、この透明樹脂層13に配設された第2ブラックマトリックス16と、透明基板12の他方の面12aに配設された第1ブラックマトリックス15と複数色の着色パターン(赤色着色パターン17R、緑色着色パターン17G、青色着色パターン17B)からなる着色層17と、を備えている。
【0029】
このような本発明の視野角制御用カラーフィルタ11の特徴の一つは、第1ブラックマトリックス15および第2ブラックマトリックス16が、延設方向が同一であり、かつ、透明基板12および透明樹脂層13を介して対向しない(重ならない)位置に配設された遮光パターンを有していることである。このような第1ブラックマトリックス15および第2ブラックマトリックス16の関係は、上述の視野角制御用カラーフィルタ1における第1ブラックマトリックス5と第2ブラックマトリックス6との関係と同様であるので、ここでの説明は省略する。
また、本発明の視野角制御用カラーフィルタ11では、第2ブラックマトリックス16が透明樹脂層13に埋め込まれた状態であることが特徴である。したがって、視認側の最表面である透明樹脂層13上に偏光板や保護フィルム等の他の部材や層をラミネート、積層しても、気泡の混入が抑制され、部材や層の変形が防止される。
【0030】
(第3の実施形態)
図6は、本発明の視野角制御用カラーフィルタの第3の実施形態を示す部分断面図である。図6において、本発明の視野角制御用カラーフィルタ21は、透明基板22と、この透明基板22の一方の面22bに接着剤層28を介して配設された透明樹脂層23と、この透明樹脂層23の透明基板22側に配設された第2ブラックマトリックス26と、透明基板22の他方の面22aに配設された第1ブラックマトリックス25と、複数色の着色パターン(赤色着色パターン27R、緑色着色パターン27G、青色着色パターン27B)からなる着色層27と、を備えている。
このような本発明の視野角制御用カラーフィルタ21の特徴の一つは、第1ブラックマトリックス25および第2ブラックマトリックス26が、延設方向が同一であり、かつ、透明基板22を介して対向しない(重ならない)位置に配設された遮光パターンを有していることである。このような第1ブラックマトリックス25および第2ブラックマトリックス26の関係は、上述の視野角制御用カラーフィルタ1における第1ブラックマトリックス5と第2ブラックマトリックス6との関係と同様であるので、ここでの説明は省略する。
【0031】
また、本発明の視野角制御用カラーフィルタ21では、第2ブラックマトリックス26が透明樹脂層23に埋め込まれた状態であることが特徴である。したがって、接着剤層28を介した透明基板22への固着が確実で信頼性が高いものとなる。また、視認側の最表面である透明樹脂層23の表面は平坦であるため、偏光板や保護フィルム等の他の部材や層をラミネート、積層しても、気泡の混入が抑制され、部材や層の変形が防止される。
ここで、本発明の視野角制御用カラーフィルタを構成する各部材について説明する。
透明基板2,12,22は、石英ガラス、パイレックスガラス、合成石英板等の可撓性のない透明なリジット材、あるいは透明樹脂フィルム、光学用樹脂板等の可撓性を有する透明なフレキシブル材を用いることができる。このような透明基材の厚みは、例えば、200〜1500μmの範囲で適宜設定することができる。
また、透明樹脂層3,13,23は、ネガ型の感光性樹脂材料を硬化したものであり、厚みは、例えば、3〜60μmの範囲で適宜設定することができる。
【0032】
また、透明樹脂層3に埋め込まれた状態である第1ブラックマトリックス5、透明樹脂層13,23に埋め込まれた状態である第2ブラックマトリックス16,26は、カーボン微粒子等の遮光性粒子を含有させたネガ型の感光性樹脂材料を硬化させたものである。一方、第2ブラックマトリックス6、第1ブラックマトリックス15,25は、クロム等の金属材料をスパッタリング法、真空蒸着法等の成膜方法により成膜して、厚み1000〜2000Å程度の薄膜としたものであってよい。また、カーボン微粒子等の遮光性粒子を含有した樹脂製のブラックマトリックスであってもよい。
また、複数色の着色パターンからなる着色層7,17,27は、所望の着色材を含有した感光性樹脂を使用した顔料分散法により形成することができ、さらに、印刷法、電着法、転写法、インクジェット法等の公知の方法により形成することができる。
また、接着剤層28は、従来公知の光透過性を有する接着剤を用いて形成することができる。
上述の実施形態は例示であり、本発明の視野角制御用カラーフィルタは、これらに限定されるものではない。
【0033】
[視野角制御用カラーフィルタの製造方法]
(第1の実施形態)
図7および図8は、本発明の視野角制御用カラーフィルタの製造方法の第1の実施形態を説明するための工程図であり、図1に示される視野角制御用カラーフィルタ1を例としている。
本発明では、透明基板2の一方の面2aに、同一方向に延設された複数の遮光パターンを設けて第2ブラックマトリックス6を形成する(図7(A))。この第2ブラックマトリックス6は、上述の図2に示されるように、矢印a方向が延設方向である遮光パターン6aが所定の間隔で複数配設されたものである。このような第2ブラックマトリックス6の形成は、スパッタリング法、真空蒸着法等により厚み1000〜2000Å程度のクロム等の金属薄膜を形成し、この薄膜をパターニングする方法、また、カーボン微粒子等の遮光性粒子を含有させたポリイミド樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂等の樹脂層を形成し、この樹脂層をパターニングする方法、また、カーボン微粒子等の遮光性粒子を含有させた感光性樹脂層を形成し、この感光性樹脂層をパターニングする方法等、いずれであってもよい。
【0034】
次いで、第2ブラックマトリックス6を被覆するように透明基板2上にネガ型の感光性樹脂層3′を形成する(図7(B))。このような感光性樹脂層3′は、例えば、ネガ型の感光性組成物を透明基板2上に塗布し乾燥することによって形成することができる。また、本発明では、後工程で形成される透明樹脂層3が着色層7の形成時に酸化により変色することを防止する目的で、上記のように形成した感光性樹脂層3′上に透明酸素遮断層8(図7(B)に二点鎖線で示している)を形成してもよい。このような透明酸素遮断層8は、後工程において第1ブラックマトリックス5を感光性樹脂層3′に埋め込むことが可能な柔軟性を具備していることが要求され、例えば、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ノボラック樹脂等のような有機材料を用いて形成することができる。透明酸素遮断層8の形成方法としては、上記の所望の有機材料を含有する塗布液を塗布、乾燥する方法、あるいはCVD法等を挙げることができる。また、その厚みは、酸素透過率が0.01cc/m2/day・atm以下となるように、材料、成膜方法を考慮して適宜設定することができる。尚、このように透明酸素遮断層8を形成した場合、作製される視野角制御用カラーフィルタは、上述の図3に示されるような視野角制御用カラーフィルタ1′となる。
【0035】
その後、この感光性樹脂層3′上にネガ型のブラックマトリックス形成用感光性組成物を塗布し乾燥して感光性塗膜5′を形成し、この感光性塗膜5′を所望のフォトマスクMを介してプロキシミティー露光する(図7(C))。その後、感光性塗膜5′を現像することにより第1ブラックマトリックス5を感光性樹脂層3′上に形成する(図8(A))。ブラックマトリックス形成用感光性組成物は、カーボン微粒子等の遮光性粒子を含有させたネガ型の感光性組成物である。形成された第1ブラックマトリックス5は、図2に示されるように、遮光パターン5aと遮光パターン5bからなる格子形状をなすものであり、遮光パターン5aは、第2ブラックマトリックス6の遮光パターン6aと同一方向(図2に示す矢印a方向)に延設されたものである。さらに、この第1ブラックマトリックス5は、その遮光パターン5aが第2ブラックマトリックス6の遮光パターン6aと、感光性樹脂層3′を介して対向しない(重ならない)ように形成されている。この状態の第1ブラックマトリックス5は、図8(A)に示されるように、感光性樹脂層3′上に凸部として存在する。
【0036】
次いで、感光性樹脂層3′のガラス転移温度以上の温度で熱処理を施して、第1ブラックマトリックス5を感光性樹脂層3′に埋め込むとともに、感光性樹脂層3′を硬化させて透明樹脂層3とする(図8(B))。このように形成された透明樹脂層3は、第1ブラックマトリックス5が埋め込まれており、あるいは、第1ブラックマトリックス5が突出するものであっても、その高さが1μm以下であるため、平坦性が良好である。
熱処理の条件には特に制限はなく、感光性樹脂層3′への第1ブラックマトリックス5の埋め込みがなされ、その後、第1ブラックマトリックス5と感光性樹脂層3′の硬化が進行するような条件とすることができる。例えば、一定の昇温速度で感光性樹脂層3′のガラス転移温度を超える所定温度まで加熱する方法、一定の昇温速度で感光性樹脂層3′のガラス転移温度を超える所定温度まで加熱し、この温度で所定時間加熱した後、更に所定温度まで加熱する方法、一定の昇温速度で感光性樹脂層3′のガラス転移温度を超える所定温度まで加熱し、この温度で所定時間加熱する方法等が挙げられる。また、熱処理における上限温度は、例えば、感光性樹脂層3′のガラス転移温度よりも50〜200℃程度高い温度とすることが好ましい。
【0037】
尚、熱処理により感光性樹脂層3′が硬化して透明樹脂層3となったことの確認は、硬度の変化、表面粗度の変化、透過率(吸光度)の変化、赤外吸収分析、熱重量分析等により行うことができる。
また、本発明では、上記の図7(B)で説明した透明酸素遮断層8を形成していない場合、上記のように形成した透明樹脂層3が着色層7の形成時に酸化により変色することを防止する目的で、透明樹脂層3上に透明酸素遮断層8(図8(B)に二点鎖線で示している)を形成してもよい。このような透明酸素遮断層8は、上記のような有機材料を用いて形成することができるとともに、例えば、酸化アルミニウム(Al23)、酸化ケイ素(SiOx)、酸窒化ケイ素(SiOxy)、窒化ケイ素(SiNx)等のような無機材料を用いて形成することもできる。無機材料を用いた透明酸素遮断層8の形成方法としては、上記の所望の無機材料を含有する塗布液を塗布、乾燥する方法、あるいは、CVD法、スパッタリング法、真空蒸着法等を挙げることができる。また、透明酸素遮断層8の厚みは、酸素透過率が0.01cc/m2/day・atm以下となるように、材料、成膜方法を考慮して適宜設定することができる。尚、このように透明樹脂層3上に透明酸素遮断層8を形成した場合、作製される視野角制御用カラーフィルタは、上述の図4に示されるような視野角制御用カラーフィルタ1″となる。
次に、透明樹脂層3上に複数色の着色パターン(赤色着色パターン7R、緑色着色パターン7G、青色着色パターン7B)を設けて着色層7を形成する(図8(C))。これにより、視野角制御用カラーフィルタ1が得られる。着色層7は、所望の着色材を含有した感光性樹脂を使用した顔料分散法により形成することができ、さらに、印刷法、電着法、転写法等の公知の方法により形成することができる。
【0038】
(第2の実施形態)
図9および図10は、本発明の視野角制御用カラーフィルタの製造方法の第2の実施形態を説明するための工程図であり、図5に示される視野角制御用カラーフィルタ11を例としている。
本発明では、まず、透明基板12の一方の面12bにネガ型の感光性樹脂層13′を形成する(図9(A))。このような感光性樹脂層13′は、上述の感光性樹脂層3′と同様に形成することができ、また、ネガ型の感光性ドライフィルムを透明基板12にラミネートすることによっても形成することができる。本発明では、後工程で形成される透明樹脂層13が着色層17の形成時に酸化により変色することを防止する目的で、上記のように形成した感光性樹脂層13′上に透明酸素遮断層18(図9(A)に二点鎖線で示している)を形成してもよい。このような透明酸素遮断層18は、後工程において第2ブラックマトリックス16を感光性樹脂層13′に埋め込むことが可能な柔軟性を具備していることが要求され、上述の実施形態で説明したような有機材料、形成方法を用いて形成することができる。また、透明酸素遮断層18の厚みは、酸素透過率が0.01cc/m2/day・atm以下となるように、材料、成膜方法を考慮して適宜設定することができる。
【0039】
次に、この感光性樹脂層13′上にネガ型のブラックマトリックス形成用感光性組成物を塗布し乾燥して感光性塗膜16′を形成し、この感光性塗膜16′を所望のフォトマスクMを介してプロキシミティー露光する(図9(B))。その後、感光性塗膜16′を現像することにより第2ブラックマトリックス16を感光性樹脂層13′上に形成する(図9(C))。ブラックマトリックス形成用感光性組成物は、カーボン微粒子等の遮光性粒子を含有させたネガ型の感光性組成物である。形成した第2ブラックマトリックス16は、同一方向に延設された複数のパターンを少なくとも有する遮光パターンからなる。この状態の第2ブラックマトリックス16は、図9(C)に示されるように、感光性樹脂層13′上に凸部として存在する。
次いで、感光性樹脂層13′のガラス転移温度以上の温度で熱処理を施して、第2ブラックマトリックス16を感光性樹脂層13′に埋め込むとともに、感光性樹脂層13′を硬化させて透明樹脂層13とする(図10(A))。このような熱処理の条件は、上述の実施形態での感光性樹脂層3′のガラス転移温度以上の温度での熱処理条件と同様とすることができる。
【0040】
また、本発明では、上記の図9(A)で説明した透明酸素遮断層18を形成していない場合、上記のように形成した透明樹脂層13が着色層17の形成時に酸化により変色することを防止する目的で、透明樹脂層13上に透明酸素遮断層18(図10(A)に二点鎖線で示している)を形成してもよい。このような透明酸素遮断層18は、上述の実施形態で説明したような無機材料あるいは有機材料、形成方法を用いて形成することができる。また、透明酸素遮断層18の厚みは、酸素透過率が0.01cc/m2/day・atm以下となるように、材料、成膜方法を考慮して適宜設定することができる。
【0041】
次に、透明基板12の他方の面12aに、第2ブラックマトリックス16の遮光パターンと同一方向に延設された複数のパターンを少なくとも有する遮光パターンを設けて第1ブラックマトリックス15を形成する(図10(B))。このような第1ブラックマトリックス15の形成は、スパッタリング法、真空蒸着法等により厚み1000〜2000Å程度のクロム等の金属薄膜を形成し、この薄膜をパターニングする方法、また、カーボン微粒子等の遮光性粒子を含有させたポリイミド樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂等の樹脂層を形成し、この樹脂層をパターニングする方法、また、カーボン微粒子、金属酸化物等の遮光性粒子を含有させた感光性樹脂層を形成し、この感光性樹脂層をパターニングする方法等、いずれであってもよい。この第1ブラックマトリックス15は、構成する遮光パターンが、第2ブラックマトリックス16において同一方向に延設された遮光パターンと、透明基板12および透明樹脂層13を介して対向しない(重ならない)ように形成されている。
【0042】
次に、透明基板12の面12a上に複数色の着色パターン(赤色着色パターン17R、緑色着色パターン17G、青色着色パターン17B)を設けて着色層17を形成する(図10(C))。これにより、視野角制御用カラーフィルタ11が得られる。着色層17の形成は、上述の着色層7の形成と同様に行うことができる。
【0043】
(第3の実施形態)
図11および図12は、本発明の視野角制御用カラーフィルタの製造方法の第3の実施形態を説明するための工程図であり、図6に示される視野角制御用カラーフィルタ21を例としている。
本発明では、まず、支持体32上にネガ型の感光性樹脂層23′を形成する(図11(A))。このような感光性樹脂層23′は、上述の感光性樹脂層13′と同様に形成することができる。支持体32は特に制限はなく、例えば、ガラス基板、金属基板、後述する熱処理に対する耐熱性を有する樹脂フィルム等であってよく、また、予め剥離層を形成したものであってもよい。
【0044】
次に、この感光性樹脂層23′上にネガ型のブラックマトリックス形成用感光性組成物を塗布し乾燥して感光性塗膜26′を形成し、この感光性塗膜26′を所望のフォトマスクMを介してプロキシミティー露光する(図11(B))。その後、感光性塗膜26′を現像することにより第2ブラックマトリックス26を感光性樹脂層23′上に形成する(図9(C))。ブラックマトリックス形成用感光性組成物は、カーボン微粒子等の遮光性粒子を含有させたネガ型の感光性組成物である。形成した第2ブラックマトリックス26は、同一方向に延設された複数のパターンを少なくとも有する遮光パターンからなる。この状態の第2ブラックマトリックス26は、図11(C)に示されるように、感光性樹脂層23′上に凸部として存在する。
次いで、感光性樹脂層23′のガラス転移温度以上の温度で熱処理を施して、第2ブラックマトリックス26を感光性樹脂層23′に埋め込むとともに、感光性樹脂層23′を硬化させて透明樹脂層23とする(図11(D))。これにより、第2ブラックマトリックス26を有する透明樹脂層23を支持体32上に剥離可能に備えた転写シート31が得られる。このような熱処理の条件は、上述の実施形態での感光性樹脂層3′のガラス転移温度以上の温度での熱処理条件と同様とすることができる。
【0045】
上記の工程とは別に、透明基板22の一方の面22aに、第2ブラックマトリックス26の遮光パターンと同一方向に延設された複数のパターンを少なくとも有する遮光パターンを設けて第1ブラックマトリックス25を形成する。さらに、複数色の着色パターン(赤色着色パターン27R、緑色着色パターン27G、青色着色パターン27B)を設けて着色層27を形成する(図12(A))。このような第1ブラックマトリックス25の形成は、上述の実施形態の第1ブラックマトリックス15の形成と同様に行うことができる。また、着色層27の形成は、上述の着色層7の形成と同様に行うことができる。このように、本発明では、着色層27の形成が、透明樹脂層23を支持体32上に剥離可能に備えた転写シート31ではなく、透明基板22に対して行われるので、着色層27の形成時に透明樹脂層23が酸化により変色することはない。
【0046】
次に、透明基板22の他方の面22bに、転写シート31の透明樹脂層23を接着剤層28を介して圧着し(図12(B))、その後、支持体32を剥離して透明樹脂層23を透明基板22に転写する(図12(C))。この転写の工程では、第1ブラックマトリックス25を構成する遮光パターンが、第2ブラックマトリックス26を構成する遮光パターンと、延設方向を同一とし、かつ、透明基板22を介して対向しない(重ならない)ように位置合わせを行う。これにより、視野角制御用カラーフィルタ21が得られる。
上述の実施形態は例示であり、本発明の視野角制御用カラーフィルタの製造方法は、これらに限定されるものではない。
【0047】
[液晶ディスプレイ]
次に、本発明の液晶ディスプレイについて説明する。
本発明の液晶ディスプレイは、カラーフィルタが液晶を介して電極基板と対向して配設され、カラーフィルタを構成する複数色の各着色パターンが1個の絵素をなすものであり、カラーフィルタは上述の本発明の視野角制御用カラーフィルタである。そして、各絵素は第2ブラックマトリックスによって左右の部位に2分割され、各絵素の左右の部位毎に液晶の配向制御を行うものである。
図13は本発明の液晶ディスプレイの一実施形態を示す概略断面図である。図13において、液晶ディスプレイ31は、視野角制御用カラーフィルタ1と電極基板41とを所定の間隔で対向させ、周辺部をシール部材(図示せず)により封止し、間隙部分に液晶層50が形成されたものである。尚、図示されていないが、視野角制御用カラーフィルタ1と電極基板41の外側には、それぞれ偏光板が配設されている。
【0048】
本発明の液晶ディスプレイ31を構成する視野角制御用カラーフィルタ1は、上述の本発明の視野角制御用カラーフィルタ1である。そして、上述の視野角制御用カラーフィルタ1の説明で記述したように、1個の着色パターンが1個の絵素とされ、第2ブラックマトリックス6によって1絵素が左右に分割されている。また、視野角制御用カラーフィルタ1の着色層7上には、保護層32、液晶駆動用の共通透明電極33、配向層34が形成されている。
【0049】
一方、本発明の液晶ディスプレイ31を構成する電極基板41は、透明基板42上に液晶駆動用の透明画素電極43および薄膜トランジスタ(TFT)44を備え、透明画素電極43を覆うように配向層45が形成されている。そして、透明画素電極43は、視野角制御用カラーフィルタ1の各絵素の2分割された各部位に対応するように配設されている。この電極基板41には、薄膜トランジスタ(TFT)44を開閉するゲート線群(図示せず)、映像信号を供給する信号線群(図示せず)が、各絵素の左右の部位毎に液晶の配向制御を行うように配設されている。また、視野角制御用カラーフィルタ1側の共通透明電極層33への電圧供給線(図示せず)が配設されている。これらのリード線は、通常、薄膜トランジスタ(TFT)44の製造工程で一括して形成されたアルミニウム等の金属からなるものである。
上記の電極基板41を構成する透明基板42としては、上述の視野角制御用カラーフィルタ用の透明基板2として挙げたものを使用することができる。
【0050】
また、液晶ディスプレイ31を構成する共通透明電極33、透明画素電極43は、酸化インジウムスズ(ITO)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化スズ(SnO)等、および、その合金等を用いて、スパッタリング法、真空蒸着法、CVD法等の一般的な成膜方法により形成されたものである。
さらに、液晶ディスプレイ31を構成する配向層34,45は、ポリイミド系、ポリアミド系、ポリウレタン系およびポリ尿素系等の有機化合物により形成することができ、厚みは0.01〜1μm程度とすることができる。このような配向層34,45は、種々の印刷法、公知の塗布方法により塗布した後、焼成してから配向処理(ラビング)が行なわれる。
【0051】
このような本発明の液晶ディスプレイ31は、本発明の視野角制御用カラーフィルタ1を使用し、各絵素を2つの部位に分割して液晶の配向制御を行うので、左右の視認者に対して異なる情報を与えることができる。
また、本発明の液晶ディスプレイは、視野角制御用カラーフィルタ1に換えて、上述の本発明の視野角制御用カラーフィルタ11,21を使用することもできる。
上述の実施形態は例示であり、本発明の液晶ディスプレイは、これに限定されるものではない。例えば、液晶の駆動方式は限定されず、TN方式、IPS方式、VA方式等いずれであってもよく、したがって、視野角制御用カラーフィルタに共通透明電極を備えない態様、あるいは、視野角制御用カラーフィルタと対向する基板に透明画素電極を備えない態様も含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0052】
視野角を制御することにより異なる情報を与える種々のディスプレイの分野に利用することができる。
【符号の説明】
【0053】
1,1′,1″,11,21…視野角制御用カラーフィルタ
2,12,22…透明基板
3,13,23…透明樹脂層
5,15,25…第1ブラックマトリックス
6,16,26…第2ブラックマトリックス
5a,5b,6a,6b…遮光パターン
7,17,27…着色層
7R,7G,7B,17R,17G,17B,27R,27G,27B…着色パターン
8,18…透明酸素遮断層
3′,13′,23′…感光性樹脂層
5′,16′,26′…感光性塗膜
31…転写シート
32…支持体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
透明基板と、該透明基板の一方の面に配設された第2ブラックマトリックスと、該第2ブラックマトリックスを被覆するように前記透明基板上に配設された透明樹脂層と、該透明樹脂層の前記透明基板と反対側の表面に配設された第1ブラックマトリックスと複数色の着色パターンからなる着色層と、を備え、前記第1ブラックマトリックスおよび前記第2ブラックマトリックスは、延設方向が同一であり、かつ、前記透明樹脂層を介して対向しない位置に配設された遮光パターンを有し、前記第1ブラックマトリックスは前記透明樹脂層に埋め込まれた状態であることを特徴とする視野角制御用カラーフィルタ。
【請求項2】
前記透明樹脂層と前記着色層との間に透明酸素遮断層が介在することを特徴とする請求項1に記載の視野角制御用カラーフィルタ。
【請求項3】
透明基板と、該透明基板の一方の面に配設された透明樹脂層と、該透明樹脂層に配設された第2ブラックマトリックスと、前記透明基板の他方の面に配設された第1ブラックマトリックスと複数色の着色パターンからなる着色層と、を備え、前記第1ブラックマトリックスおよび前記第2ブラックマトリックスは、延設方向が同一であり、かつ、前記透明基板および前記透明樹脂層を介して対向しない位置に配設された遮光パターンを有し、前記第2ブラックマトリックスは前記透明樹脂層に埋め込まれた状態であることを特徴とする視野角制御用カラーフィルタ。
【請求項4】
透明基板と、該透明基板の一方の面に接着剤層を介して配設された透明樹脂層と、該透明樹脂層の前記透明基板側に配設された第2ブラックマトリックスと、前記透明基板の他方の面に配設された第1ブラックマトリックスと複数色の着色パターンからなる着色層と、を備え、前記第1ブラックマトリックスおよび前記第2ブラックマトリックスは、延設方向が同一であり、かつ、前記透明基板を介して対向しない位置に配設された遮光パターンを有し、前記第2ブラックマトリックスは前記透明樹脂層に埋め込まれた状態であることを特徴とする視野角制御用カラーフィルタ。
【請求項5】
請求項1に記載の視野角制御用カラーフィルタの製造方法において、
透明基板の一方の面に、同一方向に延設された複数のパターンを少なくとも有する遮光パターンを設けて第2ブラックマトリックスを形成する工程と、
該第2ブラックマトリックスを被覆するように透明基板上にネガ型の感光性樹脂層を形成し、その後、該感光性樹脂層上に、前記第2ブラックマトリックスの遮光パターンと同一方向に延設された複数のパターンを少なくとも有する遮光パターンを設けて第1ブラックマトリックスを形成する工程と、
前記感光性樹脂層のガラス転移温度以上の温度で熱処理を施して、前記第1ブラックマトリックスを前記感光性樹脂層に埋め込むとともに、前記感光性樹脂層を硬化させて透明樹脂層とする工程と、
前記透明樹脂層上に複数色の着色パターンを設けて着色層を形成する工程と、を有し、
前記第1ブラックマトリックスを形成する工程では、前記第1ブラックマトリックスを構成する同一方向に延設された遮光パターンと前記第2ブラックマトリックスを構成する同一方向に延設された遮光パターンとが、前記感光性樹脂層を介して対向しないように第1ブラックマトリックスを形成することを特徴とする視野角制御用カラーフィルタの製造方法。
【請求項6】
請求項2に記載の視野角制御用カラーフィルタの製造方法において、
透明基板の一方の面に、同一方向に延設された複数のパターンを少なくとも有する遮光パターンを設けて第2ブラックマトリックスを形成する工程と、
該第2ブラックマトリックスを被覆するように透明基板上にネガ型の感光性樹脂層を形成し、該ネガ型感光性樹脂層に透明酸素遮断層を形成し、その後、該透明酸素遮断層上に、前記第2ブラックマトリックスの遮光パターンと同一方向に延設された複数のパターンを少なくとも有する遮光パターンを設けて第1ブラックマトリックスを形成する工程と、
前記感光性樹脂層のガラス転移温度以上の温度で熱処理を施して、前記第1ブラックマトリックスを前記感光性樹脂層に埋め込むとともに、前記感光性樹脂層を硬化させて透明樹脂層とする工程と、
前記透明樹脂層上に複数色の着色パターンを設けて着色層を形成する工程と、を有し、
前記第1ブラックマトリックスを形成する工程では、前記第1ブラックマトリックスを構成する同一方向に延設された遮光パターンと前記第2ブラックマトリックスを構成する同一方向に延設された遮光パターンとが、前記感光性樹脂層を介して対向しないように第1ブラックマトリックスを形成することを特徴とする視野角制御用カラーフィルタの製造方法。
【請求項7】
請求項2に記載の視野角制御用カラーフィルタの製造方法において、
透明基板の一方の面に、同一方向に延設された複数のパターンを少なくとも有する遮光パターンを設けて第2ブラックマトリックスを形成する工程と、
該第2ブラックマトリックスを被覆するように透明基板上にネガ型の感光性樹脂層を形成し、その後、該感光性樹脂層上に、前記第2ブラックマトリックスの遮光パターンと同一方向に延設された複数のパターンを少なくとも有する遮光パターンを設けて第1ブラックマトリックスを形成する工程と、
前記感光性樹脂層のガラス転移温度以上の温度で熱処理を施して、前記第1ブラックマトリックスを前記感光性樹脂層に埋め込むとともに、前記感光性樹脂層を硬化させて透明樹脂層とし、該透明樹脂層上に透明酸素遮断層を形成する工程と、
前記透明樹脂層上に複数色の着色パターンを設けて着色層を形成する工程と、を有し、
前記第1ブラックマトリックスを形成する工程では、前記第1ブラックマトリックスを構成する同一方向に延設された遮光パターンと前記第2ブラックマトリックスを構成する同一方向に延設された遮光パターンとが、前記感光性樹脂層を介して対向しないように第1ブラックマトリックスを形成することを特徴とする視野角制御用カラーフィルタの製造方法。
【請求項8】
請求項3に記載の視野角制御用カラーフィルタの製造方法において、
透明基板の一方の面にネガ型の感光性樹脂層を形成し、その後、該感光性樹脂層上に、同一方向に延設された複数のパターンを少なくとも有する遮光パターンを設けて第2ブラックマトリックスを形成する工程と、
前記感光性樹脂層のガラス転移温度以上の温度で熱処理を施して、前記第2ブラックマトリックスを前記感光性樹脂層に埋め込むとともに、前記感光性樹脂層を硬化させて透明樹脂層とする工程と、
前記透明基板の他方の面に、前記第2ブラックマトリックスの遮光パターンと同一方向に延設された複数のパターンを少なくとも有する遮光パターンを設けて第1ブラックマトリックスを形成する工程と、
前記透明基板上に複数色の着色パターンを設けて着色層を形成する工程と、を有し、
前記第1ブラックマトリックスを形成する工程では、前記第1ブラックマトリックスを構成する同一方向に延設された遮光パターンと前記第2ブラックマトリックスを構成する同一方向に延設された遮光パターンとが、前記透明基板および前記透明樹脂層を介して対向しないように第1ブラックマトリックスを形成することを特徴とする視野角制御用カラーフィルタの製造方法。
【請求項9】
前記感光性樹脂層を形成した後、前記感光性樹脂層上に透明酸素遮断層を形成、その後、該透明酸素遮断層上に前記第2ブラックマトリックスを形成することを特徴とする請求項8に記載の視野角制御用カラーフィルタの製造方法。
【請求項10】
前記感光性樹脂層を硬化させて透明樹脂層とした後、前記透明樹脂層上に透明酸素遮断層を形成することを特徴とする請求項8に記載の視野角制御用カラーフィルタの製造方法。
【請求項11】
請求項4に記載の視野角制御用カラーフィルタの製造方法において、
支持体上にネガ型の感光性樹脂層を形成し、その後、該感光性樹脂層上に、同一方向に延設された複数のパターンを少なくとも有する遮光パターンを設けて第2ブラックマトリックスを形成し、その後、前記感光性樹脂層のガラス転移温度以上の温度で熱処理を施して、前記第2ブラックマトリックスを前記感光性樹脂層に埋め込むとともに、前記感光性樹脂層を硬化させて透明樹脂層として、第2ブラックマトリックスを有する透明樹脂層を支持体上に剥離可能に備えた転写シートを作製する工程と、
一方の面に、同一方向に延設された複数のパターンを少なくとも有する遮光パターンを設けて第1ブラックマトリックスが形成され、さらに、複数色の着色パターンが設けられて着色層が形成された透明基板の他方の面に、前記転写シートの前記透明樹脂層を接着剤層を介して圧着し、その後、支持体を剥離して前記透明樹脂層を透明基板に転写する工程と、を有し、
前記転写の工程では、前記第1ブラックマトリックスを構成する同一方向に延設された遮光パターンと前記第2ブラックマトリックスを構成する同一方向に延設された遮光パターンとが、延設方向を同一とし、かつ、前記透明基板を介して対向しないように位置合わせを行うことを特徴とする視野角制御用カラーフィルタの製造方法。
【請求項12】
カラーフィルタが液晶を介して電極基板と対向して配設され、カラーフィルタを構成する複数色の各着色パターンが1個の絵素をなすような液晶ディスプレイにおいて、
カラーフィルタは請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の視野角制御用カラーフィルタであり、各絵素は第2ブラックマトリックスによって左右の部位に2分割され、各絵素の左右の部位毎に液晶の配向制御を行うようにしたことを特徴とする液晶ディスプレイ。
【請求項13】
前記カラーフィルタは着色層上に共通透明電極が配設されており、前記電極基板はカラーフィルタの各絵素の2分割された各部位に対応するように複数の透明画素電極を備え、各絵素の左右の部位毎に液晶の配向制御を行うことができることを特徴とする請求項12に記載の液晶ディスプレイ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2010−271699(P2010−271699A)
【公開日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−60246(P2010−60246)
【出願日】平成22年3月17日(2010.3.17)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.パイレックス
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】