説明

観察システム

【課題】被検体内に導入された観察装置が撮像する体内画像に対し、画像表示装置における内部処理が可能な特徴を付与することができる観察システムを提供する。
【解決手段】被検体内に導入されて撮像を行って画像情報を取得し、該画像情報を無線送信するカプセル型内視鏡2と、無線送信された画像情報を受信する受信装置3と、受信装置が受信した画像情報を入力し、画像情報に対応する画像を表示する画像表示装置5とを備え、カプセル型内視鏡2は、被検体内を照明する複数の光源22a〜22dを有する照明部22と、光源を全て点灯した状態で撮像を行う第1のモードと、光源の一部を消灯した状態で撮像を行う第2のモードとを切り替える制御部23と、画像情報が取得された際のモードを該画像情報と関連付けるモード情報付加部25を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被検体内に導入されて撮像を行う観察装置が取得した画像を表示する観察システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、内視鏡の分野においては、飲み込み型の観察装置(カプセル型内視鏡)が開発されている。カプセル型内視鏡は、被検体(患者)の口から被検体内に導入され、被検体から自然排出されるまでの間、管腔(消化管)内を蠕動運動により移動しながら、自身に備えられた照明手段により被検体内を照明しつつ順次撮像を行う。この間、カプセル型内視鏡が撮像を行うことにより生成された画像データは無線通信により順次送信され、被検体外に設けられた受信装置によって受信されて受信装置内に設けられたメモリに蓄積される。この画像データは、検査終了後、ワークステーション等の画像表示装置に転送され、所定の画像処理が施されて体内画像としてディスプレイに表示される。ユーザ(医師等)は、ディスプレイに表示された画像を観察して異常所見のあるものを選び出す。このような作業は、読影と呼ばれる。
【0003】
通常、このような観察装置によって撮像される画像群は、約6万枚(およそ8時間分)にも上るため、これらをすべて読影するのは大変な時間がかかり、ユーザの負担も大きい。そのため、ユーザによる読影作業を支援するための種々の機能の開発も行われている(例えば、特許文献1〜3を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−178180号公報
【特許文献2】特開2004−321605号公報
【特許文献3】特開2006−68488号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、観察装置によって撮像された体内画像は、臓器(食道、胃、小腸、大腸等)や病変の種類(出血、潰瘍等)に応じた色の変化はあるものの、それ以外の特徴に乏しい。このため、画像データを取り込んだ画像表示装置において、体内画像の色以外の特徴に基づいて、読影作業支援のための内部処理を実行することが困難であった。
【0006】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、被検体内に導入された観察装置が撮像する体内画像に対し、画像表示装置における内部処理が可能な特徴を付与することができる観察システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る観察システムは、被検体内に導入されて該被検体内を撮像することにより画像情報を取得し、該画像情報を無線送信する観察装置と、該観察装置から無線送信された前記画像情報を受信する受信装置と、該受信装置が受信した前記画像情報を入力し、該画像情報に対応する画像を表示する画像表示装置とを備える観察システムにおいて、前記観察装置は、前記被検体内を照明する複数の光源を有する照明部と、前記複数の光源の全てを点灯した状態で撮像を行う第1のモードと、前記複数の光源の一部を消灯した状態で撮像を行う第2のモードとを切り替える制御を行う制御部と、前記第1のモード又は前記第2のモードで撮像を行うことにより、前記被検体内の画像情報を取得する画像情報取得部とを有し、前記第1のモードと前記第2のモードとの内、前記画像情報が取得された際のモードを該画像情報と関連付けるモード関連付け部をさらに備えることを特徴とする。
【0008】
上記観察システムにおいて、前記画像表示装置は、前記第2のモードと関連付けられた画像情報に対応する複数の画像を用いて、照度差ステレオ法により前記画像内の距離情報を取得することを特徴とする。
【0009】
上記観察システムにおいて、前記画像表示装置は、前記第2のモードと関連付けられた画像情報に対応する複数の画像に基づいて、前記複数の画像間における類似度判定を行う類似度判定部を有することを特徴とする。
【0010】
上記観察システムにおいて、前記画像表示装置は、前記画像情報を記憶する記憶部と、前記記憶部に記憶された前記画像情報の内、前記第1のモードと関連付けられた画像情報に対応する画像を抽出して画面に表示させる表示制御部とを有することを特徴とする。
【0011】
上記観察システムにおいて、前記画像表示装置は、前記画像情報を記憶する記憶部と、前記記憶部に記憶された前記画像情報の内、前記第2のモードと関連付けられた画像情報に対応する画像を抽出して画面に表示させる表示制御部とを有することを特徴とする。
【0012】
上記観察システムにおいて、前記画像表示装置は、前記画像情報を記憶する記憶部と、当該画像表示装置に対する情報の入力を受け付ける操作入力部と、前記操作入力部によって受け付けられた情報に従って、前記記憶部に記憶された前記画像情報の内、前記第1のモードと関連付けられた画像情報に対応する画像を抽出して表示する第1の表示モードと、前記第2のモードと関連付けられた画像情報に対応する画像を抽出して表示する第2の表示モードとの内のいずれかで、抽出した前記画像を画面に表示させる表示制御部とを有することを特徴とする。
【0013】
上記観察システムにおいて、前記表示制御部は、前記第2のモードと関連付けられた画像情報に対応する画像を画面に表示する場合、前記観察装置が撮像を行った際に消灯していた光源に対応する側が画面の下側となるように制御を行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、複数の光源の全てを点灯した状態で撮像を行う第1のモードと、複数の光源の一部を消灯した状態で撮像を行う第2のモードとによって撮像を行うことにより画像情報を取得し、該画像情報に対して、第1のモードと第2のモードとの内、該画像情報が取得された際のモードを関連付けるので、各体内画像に対して画像表示装置において内部処理を実行可能な特徴を付与することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】図1は、本発明の実施の形態1に係る観察システムの概略構成例を示す模式図である。
【図2】図2は、図1に示すカプセル型内視鏡を示す斜視図である。
【図3】図3は、図1に示すカプセル型内視鏡を撮像方向から見た上面図である。
【図4】図4は、図1に示すカプセル型内視鏡の概略構成を示すブロック図である。
【図5】図5は、図1に示す受信装置の概略構成を示すブロック図である。
【図6】図6は、図1に示す画像表示装置の概略構成を示すブロック図である。
【図7】図7は、図1に示す画像表示装置の動作を示すフローチャートである。
【図8A】図8Aは、通常撮像モードにより撮像された体内画像の一例を示す模式図である。
【図8B】図8Bは、照度差撮像モードにより撮像された体内画像の一例を示す模式図である。
【図8C】図8Cは、照度差撮像モードにより撮像された体内画像の一例を示す模式図である。
【図9】図9は、照度差ステレオ法の原理を説明する図である。
【図10】図10は、実施の形態1における読影画面の表示例を示す模式図である。
【図11】図11は、実施の形態2に係る観察システムが備えるカプセル型内視鏡及び受信装置の概略構成を示すブロック図である。
【図12】図12は、実施の形態3に係る観察システムが備える画像表示装置の概略構成を示すブロック図である。
【図13】図13は、実施の形態3に係る観察システムの動作を示すフローチャートである。
【図14】図14は、実施の形態3において取得される体内画像の例を示す模式図である。
【図15】図15は、実施の形態4に係る観察システムが備える画像表示装置の概略構成を示すブロック図である。
【図16】図16は、実施の形態4において取得される体内画像の例を示す模式図である。
【図17】図17は、実施の形態5における読影画面の表示例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に、本発明の実施の形態に係る観察システムについて、図面を参照しながら説明する。なお、以下の説明においては、一例として、被検体の体内に導入されて管腔(消化管)内を撮像する観察装置によって取得された画像(以下、体内画像という)を表示する画像表示装置を例示するが、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。また、以下の説明において、各図は本発明の内容を理解でき得る程度に形状、大きさ、及び位置関係を概略的に示してあるに過ぎない。従って、本発明は各図で例示された形状、大きさ、及び位置関係のみに限定されるものではない。
【0017】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1に係る観察システムの概略構成例を示す模式図である。図1に示す観察システム1は、被検体10内に導入されて撮像を行うことにより被検体10内に関する画像情報である画像データを取得し、該画像データを無線送信する観察装置としてのカプセル型内視鏡2と、カプセル型内視鏡2から無線送信された画像データを、アンテナユニット30を介して受信する受信装置3と、クレードル4を介して受信装置3から転送された画像データを入力し、該画像データに対応する画像を表示する画像表示装置5とを備える。アンテナユニット30は、被検体10の体外表面上の所定位置(例えば、カプセル型内視鏡2が通過する被検体10内の各臓器に対応した位置)に配置された複数の各受信アンテナ30a〜30hを含む。これらの受信アンテナ30a〜30hは、例えばループアンテナを用いて実現される。
【0018】
図2は、カプセル型内視鏡2を示す斜視図である。図3は、カプセル型内視鏡2を撮像方向から見た上面図である。図4は、カプセル型内視鏡2の概略構成を示すブロック図である。
【0019】
図2〜図4に示すように、カプセル型内視鏡2は、被検体10の管腔内に導入可能なカプセル型筐体20と、カプセル型筐体20の一方の端部方向(図2においては左側)を撮像して撮像信号を出力する撮像部21と、被検体10内を照明する照明部22と、カプセル型内視鏡2の各部を制御すると共に、撮像時の撮像モードを制御する制御部23と、撮像部21から出力された撮像信号に対して所定の信号処理を施すことにより画像情報を生成する信号処理部24と、信号処理部24によって生成された画像情報と撮像時における撮像モードとを関連付けるモード関連付け部としてのモード情報付加部25と、メモリ26と、信号処理部24が生成した画像情報を無線送信する送信部27及び送信アンテナ28と、これらの各部に電源を供給するバッテリ29とを有する。上記撮像部21〜送信アンテナ28は、図示しない回路基板に搭載されてカプセル型内視鏡2に内蔵される。
【0020】
カプセル型筐体20は、一方の端が半球状のドーム形状を有し、他方の端が開口した略円筒形状又は半楕円球状を有する容器20aと、容器20aの開口に嵌められることで容器20a内を液密に封止する半球形状の光学ドーム20bとからなり、全体として被検体10が飲み込める程度の大きさを有する。この内、少なくとも光学ドーム20bは、透明な材料により形成される。
【0021】
撮像部21は、例えば、受光面に結像された光学像から被検体内画像の画像データを生成するCCDやCMOS等の撮像素子21aと、撮像素子21aを駆動する撮像駆動回路21bと、撮像素子21aの受光面側に配設された対物レンズ等の光学系21cとを含む。撮像駆動回路21bは、制御部23の制御の下で動作し、定期的(例えば、1秒間に2コマ)に被検体10内の画像を表す撮像信号を生成して信号処理部24に入力する。
【0022】
照明部22は、撮像部21の周囲に設けられた複数(実施の形態1においては4つ)の光源22a〜22dと、これらの光源22a〜22dを駆動する照明駆動回路22eとを含む。各光源22a〜22dは、例えばLED(Light Emitting Diode)等の照明素子により実現される。照明駆動回路22eは、制御部23の制御の下で動作し、撮像部21における撮像タイミングと同期して、所定の点灯パターンで各光源22a〜22dを点灯させる。
【0023】
これらの撮像部21及び照明部22は、図2に示すように、撮像方向及び照明方向が光学ドーム20bを介してカプセル型内視鏡2の外側を向くように配置されている。これにより、被検体10内部を照明部22によって照明しつつ、撮像部21によって撮像することが可能となる。
【0024】
制御部23は、カプセル型内視鏡2の各部の動作を制御する。
また、制御部23は、全ての光源22a〜22dを点灯させ、被検体10内を満遍なく照明した状態で撮像を行う通常撮像モードと、光源22a〜22dの一部を消灯させ、被検体10内の一部に陰影を付加した状態で撮像を行う照度差撮像モードとを所定のサイクルで実行するよう、撮像部21及び照明部22を制御する。なお、通常撮像モードは、画像表示装置5における画面表示に供する画像を撮像するための撮像モードである。一方、照度差撮像モードは、画像表示装置5における内部処理に供する画像を撮像するための撮像モードである。
【0025】
信号処理部24は、撮像部21から出力された撮像信号をA/D変換することによりデジタルの画像情報(画像データ)を生成し、該画像データに対してさらに所定の信号処理を施す。
【0026】
モード情報付加部25は、信号処理部24において生成された画像データに対し、当該画像データの撮像時における撮像モードを表す撮像モード情報を付加する。これにより、撮像時の撮像モードと画像データとが関連付けられる。
【0027】
メモリ26は、制御部23及び信号処理部24が実行する各種プログラムを記憶する。また、メモリ26は、信号処理部24において信号処理を施された画像データ等を一時的に記憶する。
【0028】
送信部27及び送信アンテナ28は、メモリ26に記憶された画像データを、撮像モード情報や当該カプセル型内視鏡2の識別情報等を含む関連情報と共に無線信号に重畳して外部に送信する。
バッテリ29は、カプセル型内視鏡2内の各部に電力を供給する。なお、バッテリ29には、ボタン電池等の一次電池又は二次電池から供給された電力を昇圧等する電源回路が含まれているものとする。
【0029】
図5は、受信装置3の概略構成を示すブロック図である。
図5に示すように、受信装置3は、カプセル型内視鏡2から無線送信された画像データ及び関連情報を、アンテナユニット30を介して受信する受信部31と、受信部31が受信した画像データに所定の信号処理を施す信号処理部32と、信号処理を施された画像データ及びその関連情報や、信号処理部32や制御部37が実行する各種プログラム等を記憶するメモリ33と、インタフェース(I/F)部34と、受信装置3に対する各種操作指示等の情報の入力を受け付ける操作入力部35と、各種情報を報知又は表示する表示部36と、これらの各部の動作を制御する制御部37と、受信装置3内の各部に電力を供給するバッテリ38とを備える。上記インタフェース部34は、メモリ33に記憶された画像データを、クレードル4を介して画像表示装置5に送信する。
【0030】
図6は、画像表示装置5の概略構成を示すブロック図である。
図6に示すように、画像表示装置5は、画像表示装置5は、クレードル4を介して転送される画像データの入力を受け付けるインタフェース(I/F)部51と、画像表示装置5に対する各種情報の入力を受け付ける操作入力部52と、一時記憶部53と、画像処理部54と、記憶部55と、算出部56と、表示制御部57と、表示部58と、これらの各部を制御する制御部59とを備える。
【0031】
操作入力部52は、例えばキーボードやマウス、タッチパネル、各種スイッチ等の入力デバイスによって実現される。操作入力部52は、これらの入力デバイスに対する操作に応じた信号の入力を受け付けて制御部59に入力する。
【0032】
一時記憶部53は、DRAMやSRAM等の揮発性メモリによって実現され、受信装置3からインタフェース部51を介して入力された画像データやその関連情報を一時的に記憶する。或いは、一時記憶部53の代わりに、HDD(ハードディスクドライブ)、MO(光磁気ディスク)、CD−R、DVD−R等の記録媒体及び該記録媒体を駆動する駆動装置を設け、インタフェース部51から入力された画像データを上記記録媒体に一旦記憶させても良い。
【0033】
画像処理部54は、一時記憶部53に記憶された画像データに対して、ホワイトバランス処理、デモザイキング、色変換、濃度変換(ガンマ変換等)、平滑化(ノイズ除去等)、鮮鋭化(エッジ強調等)等の各種画像処理を施すことにより、表示用の画像データを生成する。
【0034】
記憶部55は、画像表示装置5において実行される種々の処理プログラムの他、画像処理部54によって画像処理を施された画像データ及びその関連情報や、後述する算出部56によって算出された種々のデータ等を記憶する。記憶部55は、例えば、フラッシュメモリ、RAM、ROM等の半導体メモリや、HDD(ハードディスクドライブ)、MO(光磁気ディスク)、CD−R、DVD−R等の記録媒体及び該記録媒体を駆動する駆動装置等によって実現される。
【0035】
算出部56は、記憶部55に記憶された画像データの内、照度差撮像モードと関連付けられた画像データに対応する体内画像を用いて、体内画像内の距離情報を算出する。ここで、距離情報には、体内画像内における画面と撮像対象との距離(奥行き)や、奥行きに応じた画面と平行な面内における座標値や、この座標値及び奥行きに基づいて算出される撮像対象上の2点間の距離(撮像対象のサイズ)といった情報が含まれる。
【0036】
表示制御部57は、画像処理部54において画像処理を施された体内画像を含む読影画面や、その他種々の情報を所定の形式で表示するよう表示部58を制御する。
表示部58は、CRTディスプレイや液晶ディスプレイ等によって実現され、表示制御部57の制御の下で、読影画面や種々の情報を表示する。
【0037】
次に、図7を参照しながら、観察システム1の動作について説明する。図7は、観察システム1の動作を示すフローチャートである。
まず、ステップS100において、カプセル型内視鏡2が被検体10内に導入されると、カプセル型内視鏡2は被検体10内の撮像を行う。この際、制御部23は、撮像部21及び照明部22に対し、通常撮像モードと照度差撮像モードとを組み合わせた1つの撮像サイクルを繰り返し実行させる。実施の形態1においては、一例として、通常撮像モード(全点灯)→照度差撮像モード1(光源22aを消灯し、光源22b〜22dを点灯)→照度差撮像モード2(光源22dを消灯し、光源22a、22b、22cを点灯)という撮像サイクルを実行する。撮像によって得られた画像データは、モード情報付加部25によって付加された撮像モード情報を含む関連情報と共に受信装置3に送信され、所定の信号処理を施されてメモリ33に記憶される。なお、撮像モード情報としては、通常撮像モード及び各種照度差撮像モードに対応するフラグであっても良い。
【0038】
ステップS101において、受信装置3がクレードル4に装着されると、メモリ33に記憶された画像データ及び関連情報が画像表示装置5に転送される。画像表示装置5は、これらの画像データ及び関連情報を一時記憶部53に記憶させる。
【0039】
ステップS102において、画像処理部54は、一時記憶部53に記憶された画像データに対して所定の画像処理を施す。図8A〜図8Cは、この画像処理後の画像データに対応する体内画像の一例を示す模式図である。図8Aに示す体内画像A1は、通常撮像モードで撮像されたものであり、構造物11a、12aが写されている。図8Bに示す体内画像B1は、照度差撮像モード1で撮像されたものであり、光源22aを消灯して撮像したために、画面に向かって構造物11a、12aの左側に陰影11b、12bが現れている。図8Cに示す体内画像C1は、照度差撮像モード2で撮像されたものであり、光源22dを消灯して撮像したために、画面に向かって構造物11a、12aの上側に陰影11c、12cが現れている。
【0040】
ステップS103において、記憶部55は、上記画像処理を施された画像データを記憶する。
ステップS104において、算出部56は、記憶部55に記憶された画像データの内から、1つの撮像サイクルごとに画像データを抽出し、抽出した画像データに対応する体内画像を用いて、照度差ステレオ法により体内画像内の3次元的な形状を算出し、さらに、この形状に基づいて体内画像の距離情報を算出する。
【0041】
ここで、通常撮像モードにおいては、カプセル型内視鏡2の視界全域を満遍なく照明するため、体内画像内には陰影がほとんど現れない。それに対して、照度差撮像モードにおいては、一部の光源を消灯して撮像するため、消灯した光源の位置に応じた陰影が体内画像に付加される。そこで、ステップS104においては、1つの撮像サイクルに対応する体内画像群、即ち、カプセル型内視鏡2の位置変化が少なく、視野がほぼ等しい対象に対して互いに異なる陰影が付加された体内画像群に対し、照度差ステレオ法を適用することにより、体内画像内の距離情報を求める。
【0042】
ここで、照度差ステレオ法の原理を簡単に説明する。図9に示すように、撮像対象13の表面の画素Pにおける法線ベクトルをnとし、互い異なる方向から撮像対象13を照明する照明光L1、L2、L3に対応するベクトルを光源ベクトルs1、s2、s3とする。また、撮像対象13に対し、照明光L1、L2、L3をそれぞれ照射したときの画素Pの輝度値をx1、x2、x3とすると、輝度値x1、x2、x3を要素とするベクトルXは、次式(1)によって表される。
X=nS …(1)
式(1)において、行列Sは、光源ベクトルs1、s2、s3を列ベクトルとする行列である。また、各光源ベクトルs1、s2、s3の方向及び強度は、各体内画像と関連情報(撮像モード情報)から取得される。
【0043】
そこで、行列Sの逆行列S-1が既知であれば、法線ベクトルnは、次式(2)により求めることができる。
n=XS-1 …(2)
このような法線ベクトルnの算出を、体内画像内の全画素に関して行い、さらに、得られた法線ベクトルnを空間方向に積分することにより、体内画像内の撮像対象の形状情報を取得することができる。
【0044】
算出部56は、通常撮像モード、照度差撮像モード1、及び照度差撮像モード2でそれぞれ撮像された体内画像から、これらの体内画像間で対応する画素における画素値(輝度値)を抽出し、各撮像モードにおける照明方向及び照明強度から上記行列S及びその逆行列S-1を取得し、式(2)に基づいて画像内の3次元的な形状を推定する演算を行う。
【0045】
算出部56は、さらに、この3次元的な形状から、体内画像内の撮像対象上の各点における奥行きや、奥行きに応じた画面と平行な各面内における座標値を算出する。
【0046】
ステップS105において、記憶部55は、ステップS104において算出された距離情報を、演算対象である撮像サイクルに含まれる各体内画像の画像データと関連付けて記憶する。
【0047】
さらに、ステップS106において、表示制御部57は、記憶部55に記憶された画像データの内、通常撮像モードと関連付けられた画像データを順次抽出して読影画面を生成し、表示部58に表示させる。
【0048】
図10は、ステップS106において表示される読影画面の表示例を示す模式図である。図10に示す読影画面D1は、検査日時、患者ID、患者氏名等を含む検査情報を表示する検査情報表示欄D11と、通常撮像モードで撮像された一連の画像が表示される主表示領域D12と、主表示領域D12における画像の再生をユーザが制御するための再生操作ボタン群D13とを含む。
【0049】
表示制御部57は、このような読影画面D1上において、マウス等を用いたポインタ操作がなされた場合に、ポインタ操作に応じて操作入力部52が受け付けた入力信号に従って、表示制御を行う。例えば、再生操作ボタン群D13内のいずれかのボタンを選択する操作(例えば、いずれかのボタンにカーソルを合わせてクリックする操作)がなされると、主表示領域D12において、選択されたボタンに応じた再生動作(再生、逆再生、停止、早送り等)が実行される。
【0050】
また、主表示領域D12内の体内画像上で、位置を選択する操作(例えば、カーソルD14を合わせてクリックする操作)がなされると、表示制御部57は、当該体内画像と関連付けられた距離情報を記憶部55から取得し、この距離情報から、選択された位置における奥行きを抽出する。そして、表示制御部57は、抽出した奥行きの値が表示された奥行き表示欄D15を主表示領域D12上に表示するよう表示部58を制御する。なお、一旦表示された奥行き表示欄D15は、主表示領域D12に表示中の体内画像が切り換えられるまで表示し続けていても良い(例えば、奥行き表示欄D16参照)。ユーザは、このようにして複数箇所における奥行きを表示させることにより、体内画像内における奥行き方向の距離(例えば、ポリープの高さ等)を把握することが可能となる。
【0051】
また、主表示領域D12内の体内画像上で、互いに異なる2点を選択する操作(例えば、カーソルD14で第1の点から第2の点までドラッグする操作)がなされると、表示制御部57は、当該体内画像と関連付けられた距離情報を記憶部55から取得し、この距離情報から、選択された2点間の距離を抽出する。そして、当該距離が表示されたサイズ表示欄D17を主表示領域D12上に表示するよう表示部58を制御する。これにより、ユーザは、体内画像内の所望の撮像対象のサイズ(例えば、管腔の径やポリープの大きさ)を把握することが可能となる。
【0052】
以上説明したように、実施の形態1においては、通常撮像モード及び照度差撮像モードで被検体10内を撮像すると共に、撮像により得られた画像データを対応する撮像モードと関連付ける。このため、通常の体内画像に加えて、陰影が付加された体内画像を取得することができる。従って、陰影が付加された体内画像を用いた演算処理により、撮像対象との距離(奥行き)や撮像対象のサイズといった種々の距離情報を取得することが可能となる。
【0053】
また、実施の形態1によれば、通常撮像モードで撮像された体内画像のみを読影画面に表示するので、ユーザにとっては、一般的な観察システムと同様に、自然な感覚で体内画像を観察することが可能となる。
【0054】
(変形例1−1)
通常撮像モードと照度差撮像モードとを組み合わせた撮像サイクルとしては、1つの撮像サイクルで、互いに異なる陰影が付加された複数の体内画像を取得することができれば、実施の形態1において説明したものに限定されない。以下、撮像サイクルを例示する。
【0055】
撮像サイクル1:通常撮像モード(全点灯)→照度差撮像モード3(光源22bを消灯)→照度差撮像モード4(光源22cを消灯)
撮像サイクル2:通常撮像モード(全点灯)→照度差撮像モード1(光源22aを消灯)→通常撮像モード(全点灯)→照度差撮像モード2(光源22dを消灯)
撮像サイクル3:通常撮像モード(全点灯)→通常撮像モード(全点灯)→照度差撮像モード1(光源22aを消灯)→照度差撮像モード2(光源22dを消灯)
撮像サイクル4:通常撮像モード(全点灯)→照度差撮像モード1(光源22aを消灯)→照度差撮像モード3(光源22bを消灯)→照度差撮像モード4(光源22cを消灯)
撮像サイクル5:通常撮像モード(全点灯)→照度差撮像モード1(光源22aを消灯)→照度差撮像モード3(光源22bを消灯)→照度差撮像モード4(光源22cを消灯)→照度差撮像モード2(光源22dを消灯)
【0056】
なお、撮像サイクル4、5の場合、通常撮像モードで取得された体内画像は画面表示のためにのみ使用し、照度差撮像モードで取得された体内画像のみを用いて照度差ステレオ法の演算を行うこととしても良い。
【0057】
(変形例1−2)
照明部22における複数の光源の数及び配置は、通常撮像モードにおいて被検体10内を満遍なく照明することができ、且つ、照度差撮像モードにおいて複数のパターンの陰影を体内画像に付加することができれば、図3に示す例に限定されない。
【0058】
(変形例1−3)
実施の形態1においては、照度差撮像モードではいずれかの光源を完全に消灯することにより体内画像に陰影を付加することとしたが、いずれかの光源の照度を減じることとしても良い。この場合も、照度を減じた光源の位置に応じた照明分布を形成することができるので、照度差ステレオ法による距離情報の取得が可能となる。
【0059】
(変形例1−4)
実施の形態1においては、1つの撮像サイクルの内、通常撮像モードで撮像した体内画像のみを読影画面に表示する。そのため、1つの撮像サイクルにおける照度差撮像モードの回数に応じて、ユーザが閲覧可能な体内画像の撮像フレームレート(見かけ上の撮像フレームレート)が低減してしまう。例えば、実施の形態1の場合、見かけ上の撮像フレームレートは、実際の撮像フレームレートの1/3となる。このような撮像フレームレートの低減の避けるために、カプセル型内視鏡2における実際の撮像フレームレートを、一般的な観察装置における撮像フレームレートよりも高く設定しても良い。例えば、一般的な観察装置の撮像フレームレートが2フレーム/秒である場合、カプセル型内視鏡2における実際の撮像フレームレートを6フレーム/秒に設定すれば、一般的な観察装置と遜色ない撮像フレームレートを実現することができる。
【0060】
(実施の形態2)
次に、本発明の実施の形態2について説明する。
実施の形態2に係る観察システムの全体構成は図1に示すものと同様であり、カプセル型内視鏡2及び受信装置3の一部の構成が実施の形態1と異なる。具体的には、実施の形態2においては、カプセル型内視鏡において生成された画像データに対し、受信装置側においてモード情報を付加する。
【0061】
図11は、実施の形態2におけるカプセル型内視鏡及び受信装置の概略構成を示すブロック図である。図11に示すように、カプセル型内視鏡2’は、図4に示すカプセル型内視鏡2からモード情報付加部25が削除された構成を有する。一方、受信装置3’は、図5に示す受信装置3に対し、制御部37の下で動作するモード関連付け部としてのモード情報付加部39をさらに有する。
【0062】
実施の形態2において、受信装置3’のメモリ33は、カプセル型内視鏡2が実行可能な複数種類の撮像サイクルに関する情報(1つの撮像サイクルにおける通常撮像モード及び照度差撮像モードの順序、照度差撮像モードの種類等の情報)を記憶している。受信装置3’がカプセル型内視鏡2からの無線信号の受信を開始すると、制御部37は、無線信号に含まれるカプセル型内視鏡2の識別情報を抽出し、モード情報付加部39に入力する。モード情報付加部39は、カプセル型内視鏡2の識別情報に基づいて、メモリ33から、当該カプセル型内視鏡2に対応する撮像サイクルに関する情報を取得する。
【0063】
さらに、モード情報付加部39は、カプセル型内視鏡2における撮像タイミングと同期した間隔で、取得した撮像サイクルに従って撮像モード情報を順次生成し、受信部31がカプセル型内視鏡2から受信した画像データに付加する。なお、この撮像モード情報は、通常撮像モード及び各種照度差撮像モードに対応するフラグであっても良い。
【0064】
ここで、モード情報付加部39は、カプセル型内視鏡2における撮像タイミングと同期した間隔で撮像モード情報を生成するため、受信部31が所定の時間内に新たな画像データを受信しない場合には、その間に撮像モード情報を更新してしまう。これにより、仮にカプセル型内視鏡2からの無線信号に対する受信感度が低下し、受信部31が画像データの受信に失敗した場合であっても、撮像モードのずれを生じさせることなく、画像データと撮像モードとを正確に関連づけることができる。
【0065】
(変形例2−1)
次に、実施の形態2の変形例2−1について説明する。
実施の形態2においては、受信装置において撮像モード情報を画像データに付加したが、この動作を画像表示装置側で行っても良い。この場合、画像表示装置側にカプセル型内視鏡2が実行可能な撮像サイクルに関する情報を記憶させ、受信装置から画像表示装置への画像データの転送が開始された後、画像データが入力される毎に、撮像サイクルに従って撮像モード情報を順次画像データに付加すれば良い。
【0066】
(実施の形態3)
次に、本発明の実施の形態3について説明する。
図12は、実施の形態3に係る観察システムが備える画像表示装置の概略構成を示すブロック図である。図12に示すように、画像表示装置6は、図1に示す算出部56の代わりに、類似度判定部60を有する。類似度判定部60は、記憶部55に記憶された画像データの内、照度差撮像モードと関連付けられた画像データに対応する画像に基づいて、類似度判定を行う。
なお、画像表示装置6以外の観察システム全体の構成、並びにカプセル型内視鏡2及び受信装置3の構成については、実施の形態1において説明したものと同様である。
【0067】
図13は、実施の形態3に係る観察システムの動作を示すフローチャートである。
まず、ステップS200において、カプセル型内視鏡2が被検体10内に導入されると、カプセル型内視鏡2は被検体10内の撮像を行う。この際、制御部23は、撮像部21及び照明部22に対し、1回の通常撮像モードと1回の照度差撮像モードとを少なくとも含む撮像サイクルを繰り返し実行させる。実施の形態3においては、一例として、通常撮像モード(全点灯)→照度差撮像モード1(光源22aを消灯)という撮像サイクルを実行する。
【0068】
続くステップS201〜S203は、図7に示すステップS101〜S103に対応している。
図14は、記憶部55に順次記憶された画像データに対応する体内画像の例を示す模式図である。記憶部55には、通常撮像モードで撮像された画像データ(体内画像A1、A2、…に対応)と、照度差撮像モード1で撮像された画像データ(体内画像B1、B2、…に対応)とが交互に入力され、所定の記憶領域に記憶される。
【0069】
ステップS204において、類似度判定部60は、記憶部55に記憶された画像データの内から、照度差撮像モード1で撮像された画像データを時系列に抽出し、抽出した画像データに対応する体内画像に対し、隣接する体内画像間における類似度を判定する処理を実行する。例えば、図14の場合、体内画像B1とB2、体内画像B2とB3、…における類似度判定処理が順次実行される。具体的な処理としては、類似度判定部60は、パターンマッチング処理等の公知技術によって取得される相互相関係数や差分値等を算出し、これらの値が所定の閾値よりも高い画像同士を類似画像として判定する。
【0070】
ステップS205において、記憶部55は、ステップS204における類似度判定結果を類似度情報として、対応する体内画像の画像データと関連付けて記憶する。この際、通常撮像モードで撮像された体内画像A1、A2、…の画像データに対しても、同じ撮像サイクルに含まれる照度差撮像モードの体内画像B1、B2、…の類似度情報が関連付けられる。
なお、記憶部55は、ステップS204において算出した相互相関係数や差分値といった値自体を類似度情報として記憶しても良い。
【0071】
ステップS206において、表示制御部57は、記憶部55に記憶された画像データの内、通常撮像モードと関連付けられた画像データを、類似度情報に基づいて抽出し、読影画面を生成して表示部58に表示させる。この際、表示制御部57は、類似度が所定の閾値よりも小さい画像データのみを抽出する。それにより、隣接する体内画像と類似する体内画像を間引いて画面表示することができる。
【0072】
以上説明したように、実施の形態3によれば、陰影という特徴が付加された体内画像を用いて類似度判定を行うので、類似度判定の精度を向上させることができる。従って、このような類似度判定の結果に基づいて、通常撮像モードで撮像された体内画像を間引き表示することにより、ユーザの読影効率を向上させることが可能となる。
【0073】
(変形例3−1)
1回の通常撮像モードと1回の照度差撮像モードとを少なくとも含む撮像サイクルとしては、実施の形態3において説明したものに限定されない。例えば、実施の形態1で例示した撮像サイクルと同様に、1つの撮像サイクルに2種類の照度差撮像モードを含んでも良い。この場合、照度差撮像モードの種類ごとに類似度判定を行っても良い。それにより、互いに異なる種類の陰影がそれぞれ付加された体内画像群を用いて類似度判定を行うことになるので、類似度判定の精度をさらに向上させることができる。また、通常撮像モード→通常撮像モード→照度差撮像モードというように、1つの撮像サイクルに2回の通常撮像モードを含んでも良い。この場合、ユーザが閲覧可能な体内画像の見かけ上の撮像フレームレートを高くすることができる。
【0074】
(変形例3−2)
類似度判定処理により算出された相互相関係数や差分値といった値自体を類似度情報として記憶する場合、読影画面に表示される体内画像の間引きレートを変更可能な構成とすることもできる。例えば、制御部59が、操作入力部52から入力された信号に従って類似度の閾値を設定し、表示制御部57が、設定された閾値よりも類似度の値が低い画像データのみを抽出して表示部58に表示させる構成とする。この場合、ユーザは、操作入力部52に対する入力操作により、所望の間引きレートで体内画像を表示させることができる。
【0075】
(実施の形態4)
次に、本発明の実施の形態4について説明する。
図15は、実施の形態4に係る観察システムが備える画像表示装置の概略構成を示すブロック図である。図15に示すように、画像表示装置7は、図1に示す画像表示装置5に対して、図12に示す類似度判定部60を付加した構成を有する。なお、図15に示す算出部56及び類似度判定部60の動作は、実施の形態1及び3においてそれぞれ説明したものと同様である。また、画像表示装置7以外の観察システム全体の構成、並びにカプセル型内視鏡2及び受信装置3の構成については、実施の形態1において説明したものと同様である。
【0076】
実施の形態4において、カプセル型内視鏡2は、実施の形態1で例示したものと同様に、通常撮像モードと2種類の照度差撮像モードとを少なくとも1回ずつ含む撮像サイクルで被検体10内を撮像する。それにより、例えば、通常撮像モード→照度差撮像モード1→照度差撮像モード2という撮像サイクルの場合、図16に示すように、通常撮像モードの体内画像A1、A2、…、照度差撮像モード1の体内画像B1、B2、…、及び照度差撮像モード2の体内画像C1、C2、…が生成される。
【0077】
これらの一例の体内画像群に対し、算出部56は、1つの撮像サイクルごとに体内画像(A1、B1、C1)、(A2、B2、C2)、…を抽出し、照度差ステレオ法によって体内画像の距離情報を算出する。
【0078】
一方、類似度判定部60は、同じ種類の照度差撮像モードの画像同士を抽出して類似度判定を行う。この際、類似度判定部60は、1種類の照度差撮像モードの体内画像群(例えば、体内画像B1、B2、…)のみを用いて類似判定を行っても良いし、2種類の照度差撮像モードの体内画像群(体内画像B1、B2、…、及び体内画像C1、C2、…)をそれぞれ用いて類似度判定を行っても良い。後者の場合、互いに異なる種類の陰影がそれぞれ付加された体内画像を用いて類似度判定を行うことになるので、判定精度を向上させることができる。なお、対応する体内画像間(例えば、体内画像B1とB2、及び体内画像C1とC2)で異なる判定結果が取得された場合には、類似度の値が低い方(判定が厳しい方)の結果を採用すると良い。
【0079】
以上説明した実施の形態4によれば、一連の体内画像群を用いて、照度差ステレオ法による距離情報の取得と、類似度判定との両方を同時に実行することが可能となる。
【0080】
(実施の形態5)
次に、本発明の実施の形態5について説明する。
上記実施の形態1〜4においては、通常撮像モードで撮像された体内画像のみを読影画面に表示することとした。しかしながら、照度差撮像モードで撮像された体内画像を読影画面に表示しても良い。この場合、照度差撮像モードが同種の一連の体内画像を抽出して表示すると良い。これらの体内画像には同じ向きの陰影が付加されているため、体内画像を連続的に表示(動画表示)した際の画面のチラツキが少なくすることができるからである。
【0081】
図17は、照度差撮像モードの体内画像が表示された読影画面の例を示す模式図である。図17に示すように、読影画面D2の主表示領域D12に、照度差撮像モードで撮像された体内画像D21を配置する場合、照明部22(図3参照)の複数の光源22a〜22dの内、消灯している光源に対応する体内画像の辺が読影画面D2の下側となるように体内画像D21の向きを決定すると良い。ここで、一般的に、ユーザは撮像対象に対して上方向から光を照射した画像(即ち、下側に陰影が写る画像)を見慣れているため、上述したように体内画像D21を配置すると、画像D21内の構造物11a、12aの下側に陰影11d、12dが写るようになり、ユーザにとっての違和感が少なくなって好ましい。
【0082】
この場合、カプセル型内視鏡2に設けられた撮像素子21aの向きと、読影画面D2に表示する体内画像D21の向きとの関係を予め固定し、照度差撮像モードにおいては、体内画像D21の下辺に対応する撮像素子21aの辺に近接する光源を消灯するようにしても良い。或いは、画像表示装置5〜7側において、各体内画像と関連付けられた撮像モードに基づいて、撮像時に消灯していた光源に対応する辺が下辺となるように、体内画像D21を回転して表示するようにしても良い。
【0083】
(変形例5−1)
実施の形態5の変形例として、通常撮像モードで撮像された体内画像のみを表示する表示モードと、照度差撮像モードで撮像された体内画像のみを表示する表示モードとを切り換えられるようにしても良い。例えば図17に示すように、読影画面D2に表示モード切替ボタンD22を設け、表示モード切替ボタンD22がクリックされる毎に、主表示領域D12内の画像が、通常撮像モードで撮像された体内画像と照度差撮像モードで撮像された画像とで交互に切り換えられるようにする。
この場合、ユーザは、通常の体内画像の表示中に、随時、陰影が付加された体内画像を表示させることができるので、注目した体内画像をさらに詳しく観察することが可能となる。
【0084】
以上説明した実施の形態は、本発明を実施するための例にすぎず、本発明はこれらに限定されるものではない。また、本発明は、各実施の形態や変形例に開示されている複数の構成要素を適宜組み合わせることによって、種々の発明を形成できる。本発明は、仕様等に応じて種々変形することが可能であり、更に本発明の範囲内において、他の様々な実施の形態が可能であることは、上記記載から自明である。
【符号の説明】
【0085】
1 観察システム
2 カプセル型内視鏡
3 受信装置
4 クレードル
5〜7 画像表示装置
10 被検体
20 カプセル型筐体
20a 容器
20b 光学ドーム
21c 光学系
21 撮像部
21a 撮像素子
21b 撮像駆動回路
22 照明部
22a〜22d 光源
22e 照明駆動回路
23 制御部
24 信号処理部
25 モード情報付加部
26 メモリ
27 送信部
28 送信アンテナ
29 バッテリ
30 アンテナユニット
30a〜30h 受信アンテナ
31 受信部
32 信号処理部
33 メモリ
34 インタフェース(I/F)部
35 操作入力部
36 表示部
37 制御部
38 バッテリ
39 モード情報付加部
51 インタフェース(I/F)部
52 操作入力部
53 一時記憶部
54 画像処理部
55 記憶部
56 算出部
57 表示制御部
58 表示部
59 制御部
60 類似度判定部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検体内に導入されて該被検体内を撮像することにより画像情報を取得し、該画像情報を無線送信する観察装置と、
該観察装置から無線送信された前記画像情報を受信する受信装置と、
該受信装置が受信した前記画像情報を入力し、該画像情報に対応する画像を表示する画像表示装置と、
を備える観察システムにおいて、
前記観察装置は、
前記被検体内を照明する複数の光源を有する照明部と、
前記複数の光源の全てを点灯した状態で撮像を行う第1のモードと、前記複数の光源の一部を消灯した状態で撮像を行う第2のモードとを切り替える制御を行う制御部と、
前記第1のモード又は前記第2のモードで撮像を行うことにより、前記被検体内の画像情報を取得する画像情報取得部と、
を有し、
前記第1のモードと前記第2のモードとの内、前記画像情報が取得された際のモードを該画像情報と関連付けるモード関連付け部をさらに備えることを特徴とする観察システム。
【請求項2】
前記画像表示装置は、前記第2のモードと関連付けられた画像情報に対応する複数の画像を用いて、照度差ステレオ法により前記画像内の距離情報を取得することを特徴とする請求項1に記載の観察システム。
【請求項3】
前記画像表示装置は、前記第2のモードと関連付けられた画像情報に対応する複数の画像に基づいて、前記複数の画像間における類似度判定を行う類似度判定部を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の観察システム。
【請求項4】
前記画像表示装置は、
前記画像情報を記憶する記憶部と、
前記記憶部に記憶された前記画像情報の内、前記第1のモードと関連付けられた画像情報に対応する画像を抽出して画面に表示させる表示制御部と、
を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の観察システム。
【請求項5】
前記画像表示装置は、
前記画像情報を記憶する記憶部と、
前記記憶部に記憶された前記画像情報の内、前記第2のモードと関連付けられた画像情報に対応する画像を抽出して画面に表示させる表示制御部と、
を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の観察システム。
【請求項6】
前記画像表示装置は、
前記画像情報を記憶する記憶部と、
当該画像表示装置に対する情報の入力を受け付ける操作入力部と、
前記操作入力部によって受け付けられた情報に従って、前記記憶部に記憶された前記画像情報の内、前記第1のモードと関連付けられた画像情報に対応する画像を抽出して表示する第1の表示モードと、前記第2のモードと関連付けられた画像情報に対応する画像を抽出して表示する第2の表示モードとの内のいずれかで、抽出した前記画像を画面に表示させる表示制御部と、
を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の観察システム。
【請求項7】
前記表示制御部は、前記第2のモードと関連付けられた画像情報に対応する画像を画面に表示する場合、前記観察装置が撮像を行った際に消灯していた光源に対応する側が画面の下側となるように制御を行うことを特徴とする請求項5又は6に記載の観察システム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8A】
image rotate

【図8B】
image rotate

【図8C】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate


【公開番号】特開2013−63179(P2013−63179A)
【公開日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−203615(P2011−203615)
【出願日】平成23年9月16日(2011.9.16)
【出願人】(304050923)オリンパスメディカルシステムズ株式会社 (1,905)
【Fターム(参考)】