説明

観察画像形成装置

【課題】キャップの着け忘れや取付けの不完全がある場合でも、内部回路の電気的な安全性が確保され、使用者等がコネクタ受け内の電極に触れる可能性もなくす。
【解決手段】プロセッサ装置に設けられた一方のコネクタ受けに、スコープのコネクタを接続し、他方のコネクタ受け15bには、キャップ15cを取り付けるように構成された電子内視鏡装置において、上記キャップ15cが取り付けられているか否かを検出するキャップ挿抜検出回路26として、キャップ15c自体の挿入を検出するフォトインタラプタ28と、キャップ15cとコネクタ受け15bのピン接続を検出するピン接続検出回路33とを設け、上記キャップ15c自体の挿入とピン接続の両方が検出されたとき、キャップ15cの取付けを判定し、上記スコープを作動させるように制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は観察画像形成装置、特に複数の観察器具をコネクタ接続するために複数のコネクタ受けが備えられ、観察器具がコネクタ接続されないコネクタ受けには、キャップが取り付けられる電子内視鏡装置或いは複合観察装置の構成に関する。
【背景技術】
【0002】
電子内視鏡装置は、例えばスコープ(電子内視鏡)に搭載された固体撮像素子であるCCD(Charge Coupled Device)により被観察体が撮像され、このCCDからの撮像信号をプロセッサ装置に供給し、このプロセッサ装置内の画像処理回路にて所定の信号処理を施すことにより、被観察体画像をモニタに表示することができる。そして、この種の電子内視鏡装置では、上記CCDの種類や撮像方式の異なる複数のスコープがプロセッサ装置に接続できるように構成される。また、上記スコープと共に、超音波画像を取得するための超音波プローブを接続可能に構成された複合観察装置も存在し、この複合観察装置では、内視鏡画像と超音波画像の両方を表示して観察することができる。
【0003】
図5には、従来の電子内視鏡装置の構成が示されており、図5(A)に示されるように、例えばAタイプの電子内視鏡1Aは、プロセッサ装置2に対し、光学コネクタ3と角形の電気コネクタ4aが接続される。この光学コネクタ3は、光源光を照明光として電子内視鏡1A内へ供給するためのライトガイドをプロセッサ装置2へ接続し、上記電気コネクタ4aは、電子内視鏡1Aに搭載されたCCD等で得られた映像信号等を主に伝送する信号線をプロセッサ装置2へ接続するために設けられる。
【0004】
また、図5(B)に示されるように、例えばBタイプの電子内視鏡1Bは、プロセッサ装置2に対し、光学コネクタ3と丸形の電気コネクタ5aが接続される。一方、プロセッサ装置2では、Aタイプ電子内視鏡1Aの角形の電気コネクタ4aに適合する角形のコネクタ受け4bと、Bタイプ電子内視鏡1Bの丸形の電気コネクタ5aに適合する丸形のコネクタ受け5bが設けられる。即ち、従来例では、電子内視鏡1A,1Bの2種類に対応して2つのコネクタ受け4b,5bが設けられており、AタイプとBタイプとで電気コネクタ4a,5aの形状を変えることより、間違ったコネクタ接続をなくしながら、各タイプの電子内視鏡1A,1Bに適合した映像処理等が実行できるようになっている。
【特許文献1】特開平9−308606号公報
【特許文献2】特開2004−236738号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、従来の電子内視鏡装置では、図5(A),(B)のように、コネクタ受け4b,5bの一方にコネクタ接続され、他方が露出状態となっていると、装置使用時に水分等がコネクタ受け4b,5bの内部へ浸入し、電気的な安全性が低下すると共に、プロセッサ装置2内の回路動作にも不具合が生じる場合がある。また、コネクタ受け4b,5b内のピン等の電極に、使用者等が触れる可能性も否定できない。
【0006】
そこで、従来では、図5に示されるように、上記コネクタ受け4b,5bに着脱自在となるキャップ4c,5cを設けることが行われている。即ち、キャップ4c,5cは、プロセッサ装置2の側面等に、連結コード6で取付け配置されており、このキャップ4c,5cを、コネクタ接続していないコネクタ受け4b,5bに装着するようになっている。
【0007】
しかしながら、このキャップ4c,5cをコネクタ受け4b,5bへ単に取り付ける方法では、その取付けを忘れたり、取付けが不完全で使用中にキャップ4c,5cが外れたりするという問題があり、このような場合には、内部回路に対する電気的な安全性が確保できず、使用者等がコネクタ受け4b,5b内のピン等の電極に触れることも排除できないことになる。
【0008】
本発明は上記問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、コネクタ受けにキャップを着け忘れたり、その取付けが不完全であったりする場合でも、内部回路の電気的な安全性が確保されると共に、使用者等がコネクタ受け内の電極に触れる可能性もなくすことができる電子内視鏡装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、被観察体画像を得るための複数の観察器具の電気コネクタが接続可能となるように複数のコネクタ受けを本体装置に配置し、上記電気コネクタが接続されない上記コネクタ受けには、キャップを取り付けるように構成された観察画像形成装置において、上記本体装置のコネクタ受けに対し上記キャップが取り付けられているか否かを検出するキャップ挿抜検出回路を設け、このキャップ挿抜検出回路により上記キャップの取付けが検出されたとき、上記観察装置を作動させるように制御することを特徴とする。
請求項2の発明は、上記キャップ挿抜検出回路として、上記キャップの挿入状態を検出する挿入検出回路と、上記キャップとコネクタ受けのピン接続を検出するピン接続検出回路とを設け、上記挿入検出回路にてキャップ挿入が検出され、かつ上記ピン接続検出回路にてピン接続が検出されたとき、上記キャップの取付けを判定することを特徴とする。
【0010】
上記請求項1の構成によれば、キャップ挿抜検出回路により、キャップの取付けが検出されたときのみ、観察装置、例えばスコープ(電子内視鏡)や超音波プローブに対し電源が供給され、取得された画像がモニタ等に表示される。即ち、キャップが取り付けられない限り、画像が表示されないことになる。
【0011】
上記請求項2の構成によれば、フォトインタラプタ等の挿入検出回路でキャップの挿入が検出され、かつピン接続検出回路でキャップ(短絡させた電極を設けたキャップ)とコネクタ受けのピン接続が検出されたときにのみ、観察装置が作動されることになる。即ち、キャップの取付けが二重の検出によって確認される。
【発明の効果】
【0012】
本発明の観察画像形成装置によれば、コネクタ受けにキャップを着け忘れたり、その取付けが不完全であったりする場合でも、内部回路の電気的な安全性が確保され、また使用者等がコネクタ受け内のピン等の電極に触れる可能性もなくすことができるという効果がある。
また、請求項2の発明によれば、二重の検出によって、キャップの着け忘れ及び不完全な取付けが確実に防止される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
図1及び図2には、実施例に係る観察画像形成装置である電子内視鏡装置の構成が示されており、図1はプロセッサ装置のコネクタ受けへのキャップの挿抜に関する構成、図2は電子内視鏡装置の全体の構成である。まず、図2に示されるように、電子内視鏡装置は、Aタイプのスコープ(観察装置−電子内視鏡)10Aのコネクタ14aがプロセッサ装置(本体装置)12のコネクタ受け14bに接続され、またこのプロセッサ装置12には、他のBタイプのスコープを接続するためのコネクタ受け15bが設けられる。上記スコープ10A内には、固体撮像素子であるCCD17、このCCD17で得られた撮像信号を入力するCDS(相関二重サンプリング)/AGC(オートゲイン制御)回路18等が設けられる。
【0014】
一方、プロセッサ装置12内に、上記CCD17を駆動するためのCCD駆動回路20、スコープ10Aへ必要な電源を与えるためのスコープ電源供給回路21、上記CDS/AGC回路18の出力を入力するA/D変換器22、このA/D変換器22の出力信号に対し所定の画像処理を施す画像処理回路23、これらの回路を統括制御すると共に、キャップ挿抜に関する制御をするCPU(又はマイコン)24が設けられる。
【0015】
そして、実施例では、上記コネクタ受け15bに取付け接続するキャップ(例えば丸形)15cが設けられる(もう一方のコネクタ受け14bには例えば角形のキャップが設けられる)と共に、コネクタ受け14b,15bには、キャップ挿抜検出回路26が接続される。
【0016】
図1には、キャップ15c、コネクタ受け15b及びキャップ挿抜検出回路26に関する構成が示されており、コネクタ受け15bの側面には、キャップ15cの挿入状態を検出するフォトインタラプタ(挿入検出回路)28が設けられる。このフォトインタラプタ28は、発光部(発光ダイオード等)と受光部(フォトトランジスタ)を有し、発光部から出力した光をキャップ15cの側面から反射させ、この反射光を受光部で検出することによって、キャップ15cのコネクタ受け15bに対する挿入状態を検出することができるものである。
【0017】
また、このコネクタ受け15bには、複数のピン(電極)30が配置され、一方のキャップ15cには2本のピン受け(電極)31が設けられており(これらピンとピン受けの配置は逆であってもよいし、他の構造でもよい)、このピン受け31は、内部で短絡される。そして、このコネクタ受け15bには、上記ピン30とピン受け31の接続を検出するピン接続検出回路33が設けられ、このピン接続検出回路33と上記フォトインタラプタ28の後段には、アンド(論理積回路)回路34が設けられる。
【0018】
即ち、実施例のキャップ挿抜検出回路26では、図1(A)の状態から、図1(B)のように、キャップ15cがコネクタ受け15bに装着されたとき、フォトインタラプタ28でキャップ15c自体の挿入が検出され、かつピン接続検出回路33でピン30とピン受け31の接続が検出されることになり、このときのみ、キャップ15cの取付け(装着)を判定する信号(High信号)が出力される。
【0019】
実施例は以上の構成からなり、実施例の電子内視鏡装置は、図5で説明したように、複数のスコープ10A等をプロセッサ装置12に接続できるように構成されており、例えば図2のように、スコープ10Aのコネクタ14aをプロセッサ装置12のコネクタ受け14bに接続した場合は、他方のコネクタ受け15bには、キャップ15cを取り付けることになる。このとき、実施例では、図4に示される動作が行われる。
【0020】
図4において、上述のように、キャップ15cの取付けが行われると、ステップ101では、キャップ挿抜検出回路26がキャップ15cの取付けを検出したか否かの判定が行われる。そして、図1(B)で説明したように、上記フォトインタラプタ28によりキャップ15cの挿入が検出され、かつ上記ピン接続検出回路33によりピン(30,31)の接続が検出されたとき、キャップ15cが取り付けられたことが判定される(YES)。そうすると、ステップ102にて、CPU24はCCD駆動パルス回路20とスコープ電源供給回路21を起動させるので、これにより、スコープ10AのCCD17に対するCCD駆動パルスの供給とスコープ電源の供給が開始される(ステップ103)。次に、ステップ104にて、CPU24がスコープ観察画像の表示を要求することになり、スコープ10Aから入力された画像信号に対し画像処理回路23で所定の信号処理が施され、モニタに観察画像が表示される(ステップ105)。
【0021】
一方、図1(A)のようにキャップ15cが未装着の場合、外れてしまった場合又は抜去した場合は、上記ステップ101では、上記フォトインタラプタ28によりキャップ15cの挿入が検出されないか(未挿入の検出)、上記ピン接続検出回路33によりピンの接続が検出されないか(未接続の検出)、或いは両方が検出されない状態となり、キャップ15cが取り付けられていないことが判定される(NO)。このときは、ステップ106にて、CPU24はCCD駆動パルス回路20とスコープ電源供給回路21を停止するので、これにより、CCD駆動パルスのCCD17への供給とスコープ電源の供給が停止される(ステップ107)。次に、ステップ108では、CPU24がキャップ15cを抜いてはいけない旨のメッセージの要求をすることになり、キャップ15cを抜いてはいけない旨のメッセージがモニタ等に表示される(ステップ109)。
【0022】
上記キャップ挿抜検出回路26では、フォトインタラプタ28でキャップ15c自体の挿入が検出され、かつピン接続検出回路33でキャップ15cのピン受け31とコネクタ受け15bのピン30の接続が検出されたときにのみ、スコープ10Aが作動されることになり、二重の検出によって、キャップ15cの着け忘れ及び不完全な取付けが確実に防止される。
【0023】
図3には、上記キャップ挿抜検出回路26内の挿入検出回路の他の構成例が示されており、この例の挿入検出回路では、図の左右に往復動するように支持された作動棒36、この作動棒36の後端側に配置されるマイクロスイッチ37、このマイクロスイッチ37のオンオフを検出するスイッチオン/オフ検出回路38が設けられる。
【0024】
このような挿入検出回路によれば、キャップ15cの挿入によって作動棒36が押されると、マイクロスイッチ37がオンされることになり、これによってキャップ15cの挿入が検出される。従って、キャップ挿抜検出回路26では、このスイッチオン/オフ検出回路38でマイクロスイッチ37のオンが検出され、かつピン接続検出回路33にてピン接続が検出されたときのみ、アンド回路34の出力がHighとなり、この結果、キャップ15cの取付けが判定される。
【0025】
上記実施例では、挿抜検出回路26でキャップ15cの取付けが検出されたとき、スコープ10Aの作動を開始するようにしたが、スコープ10Aを含めたプロセッサ装置12、即ち電子内視鏡装置の作動を開始するようにしてもよい。
また、実施例では、電子内視鏡装置に適用したが、例えばスコープと超音波プローブを接続する複合観察装置等に本発明を適用してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の実施例に係る観察画像形成装置である電子内視鏡装置のコネクタ受けへのキャップ挿抜に関する構成を示し、図(A)はキャップ取付け前の図、図(B)はキャップ取付け後の図である。
【図2】実施例の電子内視鏡装置の全体の構成を示すブロック図である。
【図3】実施例における挿入検出回路の他の構成例を示す図である。
【図4】実施例の電子内視鏡装置におけるキャップの取付け/未装着に関する動作を示すフローチャートである。
【図5】従来の電子内視鏡装置の構成を示す斜視図で、図(A)はAタイプのスコープを使用したとき図、図(B)はBタイプのスコープを使用したとき図である。
【符号の説明】
【0027】
1A,1B,10A…スコープ、 2,12…プロセッサ装置、
4a,5a,14a…コネクタ、 4c,5c,15c…キャップ、
4b,5b,14b,15b…コネクタ受け、
20…CCD駆動回路、 21…スコープ電源供給回路、
24…CPU、 26…キャップ挿抜検出回路、
28…フォトインタラプタ(挿入検出回路)、
30…ピン(電極)、 31…ピン受け(電極)、
33…ピン接続検出回路、 34…アンド回路、
36…作動棒、 37…マイクロスイッチ、
38…スイッチオン/オフ検出回路。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被観察体画像を得るための複数の観察器具の電気コネクタが接続可能となるように複数のコネクタ受けを本体装置に配置し、上記電気コネクタが接続されない上記コネクタ受けには、キャップを取り付けるように構成された観察画像形成装置において、
上記本体装置のコネクタ受けに対し上記キャップが取り付けられているか否かを検出するキャップ挿抜検出回路を設け、
このキャップ挿抜検出回路により上記キャップの取付けが検出されたとき、上記観察装置を作動させるように制御することを特徴とする観察画像形成装置。
【請求項2】
上記キャップ挿抜検出回路として、上記キャップの挿入状態を検出する挿入検出回路と、上記キャップとコネクタ受けのピン接続を検出するピン接続検出回路とを設け、上記挿入検出回路にてキャップ挿入が検出され、かつ上記ピン接続検出回路にてピン接続が検出されたとき、上記キャップの取付けを判定することを特徴とする請求項1記載の観察画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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