説明

角質剥離用粘着体

【課題】皮膚(特に肘、膝、踵の皮膚)表面の凹凸への追従性に優れ、均一かつ効率よく角質を剥離することができる角質剥離用粘着体を提供すること。
【解決手段】角質剥離用粘着体10は、支持体1と、支持体1上に設けられた柔軟層2と、当該柔軟層2上に設けられた粘着剤層(角質剥離用粘着剤層)3とを備えている。柔軟層の32℃における貯蔵弾性率は、5.0×10〜1.6×10Paである。また、粘着剤層の32℃における貯蔵弾性率をX[Pa]、前記柔軟層の32℃における貯蔵弾性率をY[Pa]としたとき、0.003≦Y/X≦0.8の関係を満足するのが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、角質剥離用粘着体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
皮膚の最外層にある角質は、生体内と外界を分ける界面であり、生体成分が外界に漏出するのを防いだり、有害成分が生体内に進入するのを防ぐバリアー機能を有する。
【0003】
このように、角質は生体にとって重要な機能を有するものであるが、例えば、薬物やワクチン等の有効成分を表皮から生体内に投与(経皮吸収)したり、臨床検査等を目的として吸引浸出液を皮膚から減圧吸引する際などにおいて、角質を除去することが必要な場合がある。
【0004】
従来、角質を除去する方法としては、例えば、皮膚表面に、粘着テープ(角質剥離用粘着シート)を粘着し、一定時間後に剥離することによって角質を除去する方法が知られている。(例えば、特許文献1参照。)。
【0005】
しかしながら、従来の粘着テープでは、皮膚(特に、肘、膝、踵等の皮膚)表面に適用した場合には、皮膚の凹凸に対する追従性に劣るため、角質を均一に剥離することができないという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−289672号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、皮膚(特に肘、膝、踵の皮膚)表面の皮溝、皺などの凹凸への追従性に優れ、均一かつ効率よく角質を剥離することができる角質剥離用粘着体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
このような目的は、下記(1)〜(6)の本発明により達成される。
(1) 支持体と、
前記支持体の一方の面側に設けられた柔軟層と、
前記柔軟層の前記支持体とは反対の面側に設けられた粘着剤層と、を有し、
前記柔軟層の32℃における貯蔵弾性率が、5.0×10〜1.6×10Paであることを特徴とする角質剥離用粘着体。
【0009】
(2) 前記粘着剤層の32℃における貯蔵弾性率をX[Pa]、前記柔軟層の32℃における貯蔵弾性率をY[Pa]としたとき、0.003≦Y/X≦0.8の関係を満足する上記(1)に記載の角質剥離用粘着体。
【0010】
(3) 前記粘着剤層の32℃における貯蔵弾性率が、1.0×10Pa〜2.0×10Paである上記(1)または(2)に記載の角質剥離用粘着体。
【0011】
(4) 前記支持体の平均厚さは、5〜250μmである上記(1)ないし(3)のいずれかに記載の角質剥離用粘着体。
【0012】
(5) 前記柔軟層の平均厚さは、20〜200μmである上記(1)ないし(4)のいずれかに記載の角質剥離用粘着体。
【0013】
(6) 前記粘着剤層の平均厚さが、5〜200μmである上記(1)ないし(5)のいずれかに記載の角質剥離用粘着体。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、皮膚(特に肘、膝、踵の皮膚)表面の凹凸への追従性に優れ、均一かつ効率よく角質層を剥離することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の角質剥離用粘着体の好適な実施形態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。
図1は、本発明の角質剥離用粘着体の好適な実施形態を示した断面図である。
【0017】
図1に示すように、角質剥離用粘着体10は、支持体1と、支持体1上に設けられた柔軟層2と、当該柔軟層2上に設けられた粘着剤層(角質剥離用粘着剤層)3とを備えている。また、本実施形態では、角質剥離用粘着体10は、粘着剤層3の支持体1とは反対側の面に設置された離型シート4を備えている。
【0018】
支持体1は、柔軟層2および粘着剤層3を支持する機能を備えている。
支持体1の平均厚さは、5〜250μmであるのが好ましく、10〜100μmであるのがより好ましい。これにより、皮膚(特に肘、膝、踵の皮膚)表面の凹凸への追従性をより効果的に向上させることができる。
【0019】
支持体1の材料としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル、ポリスルホン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルイミド、ポリイミド、ポリアミド、アクリル樹脂等が挙げられる。
【0020】
なお、支持体1の柔軟層2が形成される側の面に、柔軟層2との密着性を高めるために、プライマー処理、コロナ処理、プラズマ処理等の表面処理を施してもよい。
柔軟層2は、図1に示すように、支持体1と粘着剤層3との間に設けられている。
【0021】
ところで、従来の角質剥離用粘着体では、皮膚(特に、肘、膝、踵等の皮膚)表面の凹凸に十分に追従性にすることができず、角質を均一に剥離することができないという問題があった。
【0022】
これに対して、本発明の角質剥離用粘着体では、支持体と粘着剤層との間に所定範囲の貯蔵弾性率を有する柔軟層を設けることにより、上記問題を解決することができる。すなわち、本発明は、支持体と粘着剤層との間に32℃における貯蔵弾性率が5.0×10〜5.0×10Paである柔軟層を設けた点に特徴を有し、これにより、皮膚表面の凹凸(特に肘、膝、踵の皮膚表面の凹凸)に対して良好に追従することができ、角質を均一にかつ効率よく除去することができる。なお、貯蔵弾性率の測定温度を32℃とした理由は、平均的な皮膚表面温度が32℃であるためである。
【0023】
上述したように柔軟層の32℃における貯蔵弾性率は、5.0×10〜1.6×10Paであるが、5.0×10〜8.0×10Paであるのがより好ましい。これにより、本発明の効果をより顕著なものとすることができる。一方、柔軟層の32℃における貯蔵弾性率が前記下限値未満であると、角質剥離用粘着体を皮膚から剥がす際に柔軟層が凝集破壊を起こしてしまう場合がある。これに対して、柔軟層の32℃における貯蔵弾性率が前記上限値を超えると、皮膚表面の凹凸に十分追従することができない。
【0024】
柔軟層2を構成する材料としては、例えば、ゴム、シリコーン樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂等が挙げられる。
【0025】
柔軟層2の平均厚さは、20〜200μmであるのが好ましく、25〜120μmであるのがより好ましい。これにより、皮膚(特に肘、膝、踵の皮膚)表面の凹凸への追従性をより効果的に向上させることができる。
【0026】
なお、支持体1と柔軟層2とは、接着剤を介して接合するか、加熱接着により接合することができる。
【0027】
粘着剤層3は、粘着剤で構成され、図1に示すように、支持体1上に柔軟層2を介して設けられている。
【0028】
粘着剤層3を構成する粘着剤としては、その粘着力により古い角質層を除去することが可能なものであれば、いずれのものを用いてもよく、例えば、アクリル系粘着剤、ゴム系粘着剤、シリコーン系粘着剤、ウレタン系粘着剤等を用いることができる。中でも、粘着力の制御が容易である観点から、アクリル系粘着剤を用いるのが好ましい。さらに、粘着剤の設計、塗工等の製造時に複雑な混合が不要であり、ポットライフを考慮する必要が無い等の観点から、一液タイプの内部架橋型アクリル系粘着剤を用いるのがより好ましい。
【0029】
内部架橋型アクリル系粘着剤は、アクリル系モノマー(ml)および内部架橋剤(m2、重合性不飽和基を複数有するモノマー)由来の繰り返し単位を含むアクリル系共重合体(p)からなり、外部架橋剤の配合が不要な粘着剤である。
【0030】
ここで内部架橋剤とは、重合時に、ポリマー分子内に架橋構造を導入し得る架橋型反応性単量体であり、外部架橋剤とは、重合体粒子間に架橋構造を導入し得る化合物である。
【0031】
アクリル系モノマー(ml)としては、(メタ)アクリル酸アルキルエステルを含むことが好ましい。
【0032】
(メタ)アクリル酸アルキルエステルのアルキルエステルを構成するアルキル基の炭素数は、3〜12であるのが好ましく、4〜8であるのが特により好ましい。これにより、粘着剤層3の粘着力を適度なものとすることができ、より効率よく角質を剥離することができる。
【0033】
上述したアクリル系共重合体(p)に用いられるアクリル系モノマ−(ml)としては、具体的には、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸へキシル、(メタ)アクリル酸シクロへキシル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸ミリスチル、(メタ)アクリル酸パルミチル、(メタ)アクリル酸ステアリル等の(メタ)アクリル酸アルキルエステル;(メタ)アクリル酸ベンジル等の(メタ)アクリル酸アラルキルエステル;(メタ)アクリル酸フェニル等の(メタ)アクリル酸アリールエステル;等が挙げられ、これらのうち1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。なお、(メタ)アクリル酸エステルとは、アクリル酸エステルまたはメタクリル酸エステルのいずれかを意味し、以下、(メタ)は同じ意味を有するものとする。
【0034】
また、アクリル系共重合体(p)中におけるアクリル系モノマー(ml)由来の繰り返し単位の全繰り返し単位に対する割合(モル%)は特に限定されないが、50〜99モル%であるのが好ましく、60〜95モル%であるのがより好ましい。
【0035】
アクリル系共重合体(p)の製造に用いられる内部架橋剤(m2)は、アクリル系共重合体(p)の凝集力を向上させる機能を有している。すなわち、重合性不飽和基を複数有するモノマー(m2)の重合性不飽和基がアクリル系共重合体(p)の重合に関与することによって、アクリル系共重合体(p)を架橋した高分子とすることができる。
【0036】
内部架橋剤(m2)は、ポリマー分子内に架橋構造を導入し得る架橋型反応性単量体であり、具体例としては、分子内に重合性不飽和基を複数有するモノマーが挙げられる。かかる重合性不飽和基としては、例えば、ビニル基、アクリロイル基、メタクリロイル基等が挙げられ、これらのうち、1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの中でも、重合性不飽和基としてアクリロイル基を用いた場合、アクリル系共重合体(p)の凝集力を十分に高いものとすることができる。
【0037】
また、内部架橋剤(m2)中の重合性不飽和基は、複数あるものであればよいが、2〜5個であるのが好ましく、2〜3個であるのがより好ましく、2個であるのがさらに好ましい。これにより、アクリル系共重合体(p)を含む溶液の粘度を低いものとしつつ、アクリル系共重合体(p)の凝集力を十分に高いものとすることができる。
【0038】
内部架橋剤(m2)である架橋型反応性単量体としては、多官能性エチレン性不飽和単量体を用いるのが好ましい。
【0039】
多官能性エチレン性不飽和単量体としては、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレ−ト、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレ−ト、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレ−卜、トリメチロ−ルプロパントリ(メタ)アクリレート.テトラメチロールメタントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート、グリセリンメタクリレートアクリレート等のポリオール類のジまたはトリ(メタ)アルキル酸エステル類:トリス(メタ)アクリロイルオキシフォスフェート;ジアリルフタレート;ジアリルテレフタレート;テトラアリルオキシエタン;ジビニルベンゼン;トリ(メタ)アリルイソシアヌレート;等が挙げられる。
【0040】
また、アクリル系共重合体(p)における重合性不飽和基を複数有するモノマー(m2)由来の繰り返し単位の全繰り返し単位に対する割合(モル%)は、特に限定されないが、0.00005〜0.10モル%であるのが好ましく、0.0001〜0.05モル%であるのがより好ましい。
【0041】
また、アクリル系共重合体(p)は、上述したアクリル系モノマー(ml)と内部架橋剤(m2)以外のモノマー(m3)由来の繰り返し単位を含んでいてもよい。このようなモノマー(m3)としては、ビニルピロリドン等のラクタム環を有するビニルモノマー、酢酸ビニル、スチレン、アクリロニトリル等が挙げられる。これらの中でも、ラクタム環を有するビニルモノマーが特に好ましい。
【0042】
これらのモノマー(m3)由来の繰り返し単位の、全繰り返し単位に対する割合(モル%)は、特に限定されないが、0〜50モル%であるのが好ましく、1〜35モル%であるのがより好ましい。
【0043】
アクリル系共重合体(p)の質量平均分子量(Mw)は、通常100,000〜1,500,000であるのが好ましく、300,000〜1,200,000であるのがより好ましく、400,000−1,000,000であるのがさらに好ましい。なお、本発明において,質量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC分析)によって測定し、標準ポリスチレンで換算した値である。
【0044】
粘着剤層3の32℃における貯蔵弾性率をX[Pa]、柔軟層2の32℃における貯蔵弾性率をY[Pa]としたとき、0.003≦Y/X≦0.8の関係を満足するのが好ましく、0.004≦Y/X≦0.5の関係を満足するのがより好ましい。このような関係を満足することにより、角質剥離用粘着体10を皮膚から剥がした際に糊残りを抑制するとともに、皮膚(特に肘、膝、踵の皮膚)表面の凹凸への追従性を特に優れたものとすることができる。
【0045】
粘着剤層3の32℃における貯蔵弾性率は、1.0×10Pa〜2.0×10Paであるのが好ましく、5.0×10Pa〜2.0×10Paであるのがより好ましい。これにより、角質をより効果的に剥離することができる。これに対して、粘着剤層3の32℃における貯蔵弾性率が前記下限値未満であると、粘着剤層3を構成する材料の種類によっては、角質剥離用粘着体10を皮膚から剥がした際に糊残りが生じてしまう場合がある。一方、粘着剤層3の32℃における貯蔵弾性率が前記上限値を超えると、角質剥離を効率的に行えない場合がある。
【0046】
粘着剤層3の平均厚さは、5〜200μmであるのが好ましく、10〜100μmであるのがより好ましい。これにより、皮膚(特に肘、膝、踵の皮膚)表面の凹凸への追従性をより効果的に向上させることができる。
【0047】
離型シート4は、角質剥離用粘着体10の保管時(未使用時)において、粘着剤層3の貼着面を保護する機能を有している。
【0048】
このような離型シート4としては、例えば、上質紙、グラシン紙、コート紙、ポリエチレンラミネート紙、ポリプロピレンラミネート紙等の紙類;ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル系フィルム、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系フィルム等の合成樹脂フィルム等が使用できる。また、離型シートは、必要に応じてこれらの材料の片面または両面にシリコーン樹脂等により剥離処理が施されたものを使用してもよい。
【0049】
また、離型シート4の平均厚さは、10〜200μmであることが好ましく、15〜100μmであることがより好ましい。
なお、このような離型シート4は無くてもよい。
【0050】
以上、本発明について、好適な実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【実施例】
【0051】
次に、本発明の角質剥離用粘着体の具体的実施例について説明する。
[1]角質剥離用粘着体の作製
(実施例1)
支持体としての平均厚さ25μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムを用意し、当該PETフィルムの一方の面に、ポリウレタンのモノマーを塗工し、硬化させた。これにより、平均厚さが100μmのポリウレタン樹脂で構成された柔軟層と支持体との積層体1を得た。柔軟層の32℃における貯蔵弾性率は5.0×10Paであった。
【0052】
次に、アクリル系ポリマー(アクリル酸−2−エチルヘキシル(2EHA)/N−ビニルピロリドン(VP)/ヘキサンジオールジメタクリレート(HDDM共重合体)=79.98/19.99/0.03[モル%]、Mw=約85万、固形分35%)を、離型シート(SP−PET381031、リンテック社製)上に、乾燥(100℃3分間)後の平均厚さが20μmになるように塗布して粘着剤層を形成し、離型シートと粘着剤層との積層体2を得た。
【0053】
次に、積層体1と積層体2とを、柔軟層と粘着剤層とが接するようにラミネートし、角質剥離用粘着体を得た。
【0054】
(実施例2)
ポリウレタン樹脂で構成され、平均厚さが50μmで、柔軟層の32℃における貯蔵弾性率が3.0×10Paの柔軟層を形成した以外は、前記実施例1と同様にして角質剥離用粘着体を作製した。
【0055】
(実施例3)
ポリウレタン樹脂で構成され、平均厚さが30μmで、柔軟層の32℃における貯蔵弾性率が8.0×10Paの柔軟層を形成した以外は、前記実施例1と同様にして角質剥離用粘着体を作製した。
【0056】
(比較例)
柔軟層を設けなかった以外は、前記実施例1と同様にして角質剥離用粘着体を作製した。
【0057】
各実施例および比較例の角質剥離用粘着体の支持体の平均厚さ、柔軟層の平均厚さおよび32℃における貯蔵弾性率、粘着剤層の平均厚さおよび32℃における貯蔵弾性率を表1に示した。
【0058】
なお、角質剥離用粘着体の柔軟層および粘着剤層の貯蔵弾性率は、粘弾性測定装置(Reometrics社製、装置名:DYNAMIC ANALYZER RDAII)を用いて、1Hz、−80℃〜120℃の範囲で測定した。
【0059】
[2]凹凸追従性の評価
各実施例および比較例の角質剥離用粘着体を準備し、離型シートを除去して露出した粘着剤層を被験者の肘の部位にそれぞれ貼付し、下記の評価基準にて凹凸追従性を評価した。
【0060】
○ :粘着剤層面の殆どが肘の皮膚の凹凸に密着している。
△ :粘着剤層面に肘の皮膚の凹凸に密着していない部分が若干認められる。
× :粘着剤層面に肘の皮膚の凹凸に密着していない部分がかなり認められる。
【0061】
[3]角質剥離効果
上記凹凸追従性を評価した後、角質剥離用粘着体を引き剥がしたときの角質剥離面積から、下記の評価基準にて角質剥離効果を評価した。
【0062】
○ :ほぼ全面でムラなく角質が剥離できている。
△ :角質が剥離できていない部分が若干認められる。
× :角質が剥離できていない部分がかなり認められる。
これらの結果を表1に示す。
【0063】
【表1】

【0064】
表1からわかるように、本発明の角質剥離用粘着体は、凹凸追従性に優れ、角質剥離能力にも優れていた。これに対して、比較例では、満足行く結果が得られなかった。
【符号の説明】
【0065】
10 角質剥離用粘着体
1 支持体
2 柔軟層
3 粘着剤層(角質剥離用粘着層)
4 離型シート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持体と、
前記支持体の一方の面側に設けられた柔軟層と、
前記柔軟層の前記支持体とは反対の面側に設けられた粘着剤層と、を有し、
前記柔軟層の32℃における貯蔵弾性率が、5.0×10〜1.6×10Paであることを特徴とする角質剥離用粘着体。
【請求項2】
前記粘着剤層の32℃における貯蔵弾性率をX[Pa]、前記柔軟層の32℃における貯蔵弾性率をY[Pa]としたとき、0.003≦Y/X≦0.8の関係を満足する請求項1に記載の角質剥離用粘着体。
【請求項3】
前記粘着剤層の32℃における貯蔵弾性率が、1.0×10Pa〜2.0×10Paである請求項1または2に記載の角質剥離用粘着体。
【請求項4】
前記支持体の平均厚さは、5〜250μmである請求項1ないし3のいずれかに記載の角質剥離用粘着体。
【請求項5】
前記柔軟層の平均厚さは、20〜200μmである請求項1ないし4のいずれかに記載の角質剥離用粘着体。
【請求項6】
前記粘着剤層の平均厚さが、5〜200μmである請求項1ないし5のいずれかに記載の角質剥離用粘着体。

【図1】
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【公開番号】特開2012−200348(P2012−200348A)
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−66235(P2011−66235)
【出願日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【出願人】(000102980)リンテック株式会社 (1,750)
【Fターム(参考)】