説明

解体作業機

【課題】高所の構造物から地下の構造物まで、広い範囲の解体作業を1台で容易に行なうことができる解体作業機を提供することである。
【解決手段】解体作業機10が、機体本体1と、機体本体1に俯仰動可能に取付けられたロアーブーム2と、ロアーブーム2の先端に俯仰動可能に取付けられた伸縮動可能なアッパブーム3と、アッパブーム3の先端に俯仰動可能に取付けられたアーム4と、アーム4の先端に取付けられた解体用アタッチメント5を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、解体作業機、さらに詳しくは、鉄骨鉄筋コンクリート、鉄筋コンクリートなどによって作られた高い建物から、地下の構造物まで、解体作業を容易に行うことができる解体作業機に関する。
【背景技術】
【0002】
鉄骨鉄筋コンクリート、鉄筋コンクリートなどによって作られたビルのような構造物を解体する作業機として、周知の長い腕を備えた伸縮ブーム式解体機がある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
この解体機は、機体に取付けた伸縮式ブームと、伸縮式ブームに取付けた伸縮式アームと、伸縮式アームに取付けた解体用アタッチメントである破砕機を備え、ブームの伸縮とアームの伸縮の複合動作によって高所の広い範囲に破砕機を位置づけ解体作業を行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−270565号公報(図1、図2)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述したとおりの形態の解体機には次のとおりの課題がある。
【0006】
すなわち、機体に俯仰動可能に取付けられた伸縮ブームは、伸縮構造のために比較的長尺に形成されている。したがって、高所の構造物に対しては広い作業機範囲で解体することができるが、地下の構造物に対しては伸縮式ブームが機体から長く伸びているために、伸縮ブームを下方にして破砕機を下方に位置づけ解体作業を行うのは難しい。
【0007】
本発明は上記事実に鑑みてなされたもので、その技術的課題は、高所の構造物から地下の構造物まで、広い範囲の解体作業を1台で容易に行なうことができる解体作業機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によれば上記技術的課題を解決する解体作業機として、走行および旋回動可能な機体本体と、機体本体に俯仰動可能に取付けられたロアーブームと、ロアーブームの先端に俯仰動可能に取付けられた伸縮動可能なアッパブームと、アッパブームの先端に俯仰動可能に取付けられたアームと、アームの先端に取付けられた解体用アタッチメントと、を備えていることを特徴とする解体作業機が提供される。
【0009】
好適には、ロアーブームの、機体本体に取付けられる俯仰動中心とアッパブームが取付けられる俯仰動中心との距離が、アッパブームの、ロアーブームに取付けられる俯仰中心とアームが取付けられる俯仰中心との最縮距離よりも小さく形成されている。
【発明の効果】
【0010】
本発明に従って構成された解体作業機は、機体本体に俯仰動可能に取付けられたロアーブームと、ロアーブームの先端に俯仰動可能にかつ伸縮動を可能に取付けられたアッパブームと、アッパブームの先端に俯仰動可能に取付けられたアームを備えている。
【0011】
したがって、後に詳述のように、機体本体に取付けられたロアーブームと伸縮動可能なアッパブームとの複合動作によって、高所の構造物から地下の構造物まで、広い範囲の解体作業を1台で容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明に従って構成された解体作業機の構成を示す側面図で、高所の構造物の解体作業姿勢を示した図。
【図2】図1に示す解体作業機を、地下の構造物の解体作業姿勢で示した図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明に従って構成された解体作業機について、好適実施形態を図示している添付図面を参照して、さらに詳細に説明する。
【0014】
図1を参照して説明する。全体を番号10で示す解体作業機は、走行および旋回動可能な機体本体1と、機体本体1に俯仰動可能に取付けられたロアーブーム2と、ロアーブーム2の先端に俯仰動可能に取付けられた伸縮動可能なアッパブーム3と、アッパブーム3の先端に俯仰動可能に取付けられたアーム4と、アーム4の先端に取付けられた解体用アタッチメントである破砕機5を備えている。
【0015】
機体本体1は、下部走行体1aと、下部走行体1a上に鉛直軸線Xを中心に旋回動を可能に取付けられた上部旋回体1bを備え、上部旋回体1bには、前記のロアーブーム2が取付けられるとともに、運転室1cが備えられている。
【0016】
ロアーブーム2と上部旋回体1bとの間にはロアーブーム俯仰シリンダ2aが取付けられ、ロアーブーム2の機体本体1に取付けられる俯仰動中心Z1とアッパブーム3が取付けられる俯仰動中心Z2との距離は、後に述べるアッパブーム3の大きさと関連させてL1に規定されている。
【0017】
アッパブーム3は、ロアーブーム2に一端が取付けられ他端が開放された筒状の固定ブーム3aと、固定ブーム3aの筒内に開放端側から摺動自在に挿入された摺動ブーム3bを備え、摺動ブーム3bと固定ブーム3aとの間にアッパブーム伸縮シリンダ3cが取付けられ、固定ブーム3aとロアーブーム2との間にはアッパブーム俯仰シリンダ3dが取付けられている。
【0018】
アッパブーム3の、固定ブーム3aがロアーブーム2に取付けられる俯仰中心Z2と摺動ブーム3bにアーム4が取付けられる俯仰中心Z3との距離は、最縮状態でL2に最伸状態でL3に規定され、前記のロアーブーム2の距離L1は、アッパブーム3の最縮距離L2よりも小さく規定されている。
【0019】
アーム4とアッパブーム3の摺動ブーム3bの間にはアーム俯仰シリンダ4aが取付けられている。
【0020】
破砕機5は周知のものであり、一対の爪部材5a、5aと、それぞれを開閉動させる一対のシリンダ5b、5bを備え、アーム4との間に取付けたシリンダ5cによってアーム4に対して俯仰動自在に取付けられている。
【0021】
図1とともに図2を参照して、上述したとおりの解体作業機10の作用効果について説明する。
【0022】
図1に示すように、地上構造物6を解体するときは、ロアーブーム俯仰シリンダ2aを伸張させてロアーブーム2を起こし(矢印Uで示す方向)、作業高さに応じてアッパブーム3を伸縮(矢印EあるいはR方向に)して、アーム4を俯仰し、破砕機5を破砕箇所に移動して解体作業を行う。
【0023】
図2に示すように、地下の構造物8を解体する場合は、ロアーブーム2を前方に倒し(矢印Lで示す方向)、アッパブーム3を下方に向け、作業深さに応じてアッパブーム3を伸縮(矢印EあるいはR方向に)して、アーム4を俯仰し、破砕機5を破砕箇所に移動して解体作業を行う。
【0024】
したがって、解体作業機10は、機体本体1に俯仰動可能に取付けられたロアーブーム2と、ロアーブーム2の先端に俯仰動可能にかつ伸縮動を可能に取付けられたアッパブーム3と、アッパブーム3の先端に俯仰動可能に取付けられたアーム4を備えているので、ロアーブーム2と伸縮動可能なアッパブーム3との複合動作によって、高所の構造物6から地下の構造物8まで、広い範囲の解体作業を1台の解体機で容易に行うことができる。
【0025】
また、ロアーブーム2の、機体本体1に取付けられる俯仰動中心Z1とアッパブーム3が取付けられる俯仰動中心Z2との距離L1が、アッパブーム3の、ロアーブーム2に取付けられる俯仰中心Z2とアーム4が取付けられる俯仰中心Z3との最縮距離L2よりも小さく規定されているので、相対的に短尺のロアーブーム2を前倒しあるいは後ろ倒しすることで、高所の構造物6から地下の足元の構造物8まで破砕機5を容易に位置づけて、作業を容易に行うことができる。
【符号の説明】
【0026】
1:機体本体
2:ロアーブーム
3:アッパブーム
4:アーム
5:破砕機(解体用アタッチメント)
10:解体作業機
L1、L2、L3:俯仰動中心

【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行および旋回動可能な機体本体と、
機体本体に俯仰動可能に取付けられたロアーブームと、
ロアーブームの先端に俯仰動可能に取付けられた伸縮動可能なアッパブームと、
アッパブームの先端に俯仰動可能に取付けられたアームと、
アームの先端に取付けられた解体用アタッチメントと、
を備えていることを特徴とする解体作業機。
【請求項2】
ロアーブームの、機体本体に取付けられる俯仰動中心とアッパブームが取付けられる俯仰動中心との距離が、
アッパブームの、ロアーブームに取付けられる俯仰中心とアームが取付けられる俯仰中心との最縮距離よりも小さく形成されている、
ことを特徴とする請求項1記載の解体作業機。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2010−163763(P2010−163763A)
【公開日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−5319(P2009−5319)
【出願日】平成21年1月14日(2009.1.14)
【出願人】(000190297)キャタピラージャパン株式会社 (1,189)
【Fターム(参考)】