解析モデル生成装置
【課題】溶接ビードを作成する作業時間を短縮することが可能な解析モデル生成装置を提供することを目的とする。
【解決手段】少なくとも第1の部品と第2の部品とが記載されたCADデータ、面間角度閾値データ、面間距離閾値データ及び溶接ビートの脚長データを入力する入力部と、CADデータを読み込むCADデータ読込部と、第1の部品と第2の部品とが成す角度と、面間角度閾値データとを比較して、溶接ビートを作成する箇所を検索する溶接ビード検索部と、第1の部品と第2の部品との間の距離と面間距離閾値データとを比較する隙間チェック部と、隙間チェック部で比較した結果に基づいて、隙間に仮想形状を作成する仮想形状作成部と、溶接ビードの脚長データに基づいて、仮想形状に溶接ビードを作成する溶接ビード作成部と、作成された溶接ビードを含むCADデータを保存するCADデータ保存部とを備える。
【解決手段】少なくとも第1の部品と第2の部品とが記載されたCADデータ、面間角度閾値データ、面間距離閾値データ及び溶接ビートの脚長データを入力する入力部と、CADデータを読み込むCADデータ読込部と、第1の部品と第2の部品とが成す角度と、面間角度閾値データとを比較して、溶接ビートを作成する箇所を検索する溶接ビード検索部と、第1の部品と第2の部品との間の距離と面間距離閾値データとを比較する隙間チェック部と、隙間チェック部で比較した結果に基づいて、隙間に仮想形状を作成する仮想形状作成部と、溶接ビードの脚長データに基づいて、仮想形状に溶接ビードを作成する溶接ビード作成部と、作成された溶接ビードを含むCADデータを保存するCADデータ保存部とを備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、設計用のCADデータに加工情報を追加し、解析用のCADデータを作成する解析モデル生成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、メッシュデータを含めた解析用データの自動生成技術が進んでいる。設計データから、CAEで解析するためのメッシュデータを自動的に作成する技術は、モデルの作成時間及び解析時間の短縮に繋がり、解析を実施しながら設計を行っていく解析主導型設計において、キーとなる技術である。
【0003】
一方設計の現場では、設計用データ,解析用データ,製造用データをそれぞれ独自に作成したり、あるいは設計用データが部署によって3次元CADデータ又は図面で管理されている。また、3次元CADデータには、図面に記された溶接の指示などの情報が与えられていない。このため、使用者が解析する際には、溶接する箇所を目視で探して、溶接する箇所に溶接ビードなどの形状を手作業で作成している。
【0004】
そのため、溶接する箇所の検索及び溶接形状を作成する作業に工数がかかる。また、解析作業にも時間がかかる。したがって、設計から解析,解析した結果から設計変更までの一連のサイクルに時間がかかることになる。特に、大規模なモデルにおいては、溶接する箇所が多いと溶接する箇所の検索及び溶接形状を作成する工数が増加してしまう。
【0005】
特開平11−291039号公報には、CADデータに対して、部品の面と面とが接している箇所を溶接する箇所として、部品の接合部を自動で検索し、共有面を構成する線を使用者へ提示して、溶接情報を作成する方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平11−291039号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特開平11−291039号公報に開示された方法では、部品と部品とが面で接している場合においてのみ、溶接する箇所と判定することが可能である。例えば、部品と部品とが面と線で接している場合、又は、部品と部品との間に隙間を設けて設計した場合において、溶接する箇所と認識する点については何ら記載されていない。
【0008】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、溶接ビードを作成する作業時間を短縮することが可能な解析モデル生成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、上記目的を達成するために、少なくとも第1の部品と第2の部品とが記載されたCADデータ,面間角度閾値データ,面間距離閾値データ及び溶接ビートの脚長データを入力する入力部と、前記CADデータを読み込むCADデータ読込部と、前記第1の部品と前記第2の部品とが成す角度と、前記面間角度閾値データとを比較して、前記溶接ビートを作成する箇所を検索する溶接ビード検索部と、前記第1の部品と前記第2の部品との間の距離と、前記面間距離閾値データとを比較する隙間チェック部と、前記溶接ビード検索部と前記隙間チェック部とで比較した結果に基づいて、前記隙間に仮想形状を作成する仮想形状作成部と、前記溶接ビードの脚長データに基づいて、前記仮想形状に前記溶接ビードを作成する溶接ビード作成部と、前記作成された溶接ビードを含むCADデータを保存するCADデータ保存部とを備える。
【0010】
また、前記仮想形状作成部は、前記仮想形状を、前記第1の部品の第1の面と前記第2の部品の第2の面の何れかの面を他方の面まで延ばして作成する。
【0011】
また、前記仮想形状の少なくとも一部が、前記作成された溶接ビードの外部にある場合に、前記溶接ビードの外部にある前記仮想形状の少なくとも一部を削除する仮想形状削除部とを備える。
【0012】
また、前記溶接ビード検索部は、前記第1の部品と前記第2の部品とが成す角度を、前記第1の部品の第1の面と前記第2の部品の第2の面とが成す角度から検索する。
【0013】
また、CADデータを読み込むCADデータ読込部と、前記CADデータに対して、溶接ビードを作成する箇所を検索する溶接ビード検索部と、前記検索された溶接ビードを作成する箇所に隙間があるか否かをチェックする隙間チェック部と、前記隙間に仮想形状を作成する仮想形状作成部と、前記仮想形状に前記溶接ビードを作成する溶接ビード作成部と、前記作成された溶接ビードを含むCADデータを保存するCADデータ保存部とを備える。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、溶接ビードを作成する作業時間を短縮することが可能な解析モデル生成装置を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】実施例1のシステムを示す図である。
【図2】データフローの一例を示す図である。
【図3】フローチャートの一例を示す図である。
【図4】溶接部分を検索するプロセスに関する一例を示す図である。
【図5】部品間の隙間を検索するプロセスに関する一例を示す図である。
【図6】隙間種類に応じた仮想形状を作成する一例を示す図である。
【図7】仮想形状を作成するプロセスに関する一例を示す図である。
【図8】溶接ビードを作成するプロセスに関する一例を示す図である。
【図9】溶接ビード作成後に仮想形状を削除するプロセスに関する一例を示す図である。
【図10】操作画面の一例を示す図である。
【図11】操作画面の一例を示す図である。
【図12】操作画面の一例を示す図である。
【図13】操作画面の一例を示す図である。
【図14】操作画面の一例を示す図である。
【図15】操作画面の一例を示す図である。
【図16】操作画面の一例を示す図である。
【図17】操作画面の一例を示す図である。
【図18】操作画面の一例を示す図である。
【図19】操作画面の一例を示す図である。
【図20】操作画面の一例を示す図である。
【図21】操作画面の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、実施例1について説明する。
【0017】
図1は、実施例1のシステムを示す図である。このシステムは、CADデータ101,第1の部品の第1の面と第2の部品の第2の面とが成す角度である面間角度閾値データ102,第1の面と第2の面との距離である面間距離閾値データ113,溶接ビードの脚長データ103を入力データとする。少なくとも、CADデータ読込部104で、第1の部品と第2の部品が記載されたCADデータを読み込む。読み込んだCADデータに対して、溶接ビード検索部105で、部品と部品とが成す角度と、面間角度閾値データ102とを用いて溶接ビードを作成する箇所を検索し、検索した結果をハイライト表示する。ここで、ハイライト表示とは、他の線と色又は太さ等を変えて表示したり、部品に斜線を入れて表示したりすることをいう。以下、同様である。溶接ビードを検索する時に溶接ビードを作成する箇所において隙間が存在する場合は、隙間チェック部106で、溶接ビードを作成する箇所を検索するための面間距離閾値データ113を用いて、第1の部品と第2の部品との面間距離を計算することにより隙間があるか否かをチェックする。第1の部品と第2の部品との間に面間距離閾値以下となる隙間が存在する場合は、第1の部品と第2の部品との境界面及び境界線をハイライト表示する。隙間については、仮想形状作成部107で、隙間を埋めるための仮想形状を作成し、溶接ビードを作成するために、第1の部品の第1の面と第2の部品の第2の面との共有線を検索する。溶接ビード作成部108で、溶接ビードを作成する箇所、つまり第1の面と第2の面の共有線に対して、溶接ビードの脚長を入力すると、第1の面と第2の面の共有線上に溶接ビードを作成し、溶接ビードを表示する。作成した溶接ビードについては、名前に応じて作成だけでなく、削除を行うことも可能である。また、隙間を埋めるために作成した仮想形状が作成した溶接ビードの内部でなく、形状の外側まで突き抜けている場合、仮想形状削除部109で、突き抜けている部分を削除する。溶接ビードを作成し、余分な仮想形状を削除した結果をデータ表示部110で表示し、CADデータ保存部111で溶接ビードを作成したCADデータ112を保存する。
【0018】
図2は、溶接ビードを作成する箇所を検索し、溶接ビードを作成する処理プロセスとデータの流れを示す図である。CADデータ読込部104で、CADデータ201を読み込む。溶接ビード検索部105で、読み込んだCADデータ205から、使用者が設定した面間角度閾値データ202を用いて、溶接ビードなどの加工情報を追加する箇所を検索する。続いて、溶接ビード検索部105で、使用者が設定した面間角度閾値データ202と、第1の部品と第2の部品とが成す角度とを比較する。隙間チェック部106で、面間距離閾値データ218と、第1の面と第2の面との間の距離とを比較する。溶接ビード検索部105及び隙間チェック部106で比較した結果に基づいて、溶接ビードを作成する箇所を求める。この時、第1の部品と第2の部品との間に隙間が存在するか否かを、第1の部品と第2の部品とが成す角度(面間角度)及び第1の面と第2の面との間の距離(面間距離)216から判定する。仮に、第1の部品と第2の部品との間に隙間が存在する場合には、仮想形状作成部107で、この隙間に溶接ビードを作成するため、CADデータに仮想形状を作成して隙間を埋める。この後、溶接ビード作成部108で、溶接ビードを作成する箇所を検索した結果及び溶接ビードの脚長データ203に基づいて、溶接ビード等の加工情報を追加して、溶接ビードを作成する。溶接ビードを作成する場合には、溶接ビードの形状及び脚長209の情報を追加する。この他にも、例えば、溶接ビードを開始する位置、溶接ピッチ、溶接電流、溶接速度といった情報を追加することも可能である。溶接ビードを作成した後に、仮想形状削除部109で、隙間を埋めるために作成した仮想形状が溶接ビードの外側又は形状外部に残っているか否かを判定する。仮想形状が溶接ビード、第1の部品及び第2の部品の外側にある場合には、仮想形状と溶接ビードとの境界面、仮想形状と第1の部品との境界面、仮想形状と第2の部品との境界面で仮想形状を削除する。仮想形状を削除した後に、データ表示部110で、溶接ビードが与えられたCADデータ213を表示する。CADデータ保存部111で、仮想形状を加えたCADデータ217を保存する。
【0019】
図3は、CADデータに溶接ビードを作成する処理を示す図である。CADデータを最初に読み込み(S301)、溶接ビードを作成する箇所を検索する(S302)。溶接ビードを作成する箇所を検索する(S303)場合においては、第1の部品の第1の面の情報及び第2の部品の第2の面の情報より、第1の面と第2の面がなす角度から使用者が設定した閾値以内にあるか否かを判定する(S304,S305)。第1の面と第2の面とのなす角度が、設定した角度閾値以内にある場合には、第1の面と第2の面の成す角度を検索し、第1の面と第2の面の共有線に溶接ビードを作成して、共有線をハイライト表示する(S306,S307)。ハイライト表示した共有線を追加するか否かは、使用者が画面を見て、手動で設定してもよい。具体的には、ハイライト表示された第1の面と第2の面の共有線を画面上から選択して(S310)、溶接ビードを作成する対象外に設定する等である。対象外に設定された場合には、溶接ビードの対象外となる共有線はハイライト表示されない(S311)。
【0020】
一方、第1の部品と第2の部品との隙間に溶接ビードを作成する場合には、第1の部品の第1の面と第2の部品の第2の面とが成す角度から溶接ビードを作成する箇所を検索することは可能であるが、隙間の部分に直接溶接ビードを与えることができない。これは、CADデータでは、部品同士の公差を考慮して、溶接する箇所には隙間を空けていることが多く、この隙間の部分に溶接ビードを直接与えることができないためである。このため、使用者は、元々CADデータにはない形状を仮想形状として作成し、第1の部品と第2の部品との間の隙間を埋める。その後、この仮想形状に溶接ビードを作成する。第1の部品と第2の部品との間を検索する(S312)場合においては、第1の部品と第2の部品との間の隙間を、第1の部品の第1の面と第2の部品の第2の面との距離から求めて、使用者が設定した面間距離閾値以下であれば、隙間を埋めるように仮想形状を作成する。第1の部品と第2の部品との隙間検索は、第1の面と第2の面との最も近接した距離から計算する(S313)。面間距離が閾値以下(S314)又は閾値以上(S315)かによって、溶接ビードを作成するか否かを判定する。溶接ビードを作成する隙間と判定した場合には、隙間を埋めるように仮想形状を追加する(S316)。仮想形状は、最も近接した距離を求めた第1の面と第2の面の内の何れか一方の面を引き伸ばして作成する(S317)。隙間を仮想形状で埋めた後、溶接ビードを作成する(S318)。溶接ビードの作成においては、溶接ビードを作成する第1の面と第2の面の共有線上に、溶接ビード形状を作成する(S320)。溶接ビード形状には、ビード脚長データといった溶接情報を設定する(S319)。溶接ビードを作成した後、隙間形状を埋めるために作成した仮想形状が、溶接ビードの外側に残っているか否か、又は第1の部品と第2の部品の外側にあるか否かをチェックして、外側にある場合は仮想形状を削除する。仮想形状が溶接ビードの外側にあるか否か、又は第1の部品と第2の部品の外側にあるか否かは、仮想形状が溶接ビードと第1の部品とに共有面、溶接ビートと第2の部品とに共有面があるか否かで判定する(S321)。共有面がない場合は、仮想形状が、少なくとも、第1の部品又は第2の部品の外側にあることを意味し、仮想形状を形成する面のうち、共有面がない(溶接ビード形状,第1の部品及び第2の部品の外側)部分を削除する(S324)。
【0021】
仮想形状を削除する方法としては、仮想形状が溶接ビードと第1の部品とに共有面、溶接ビートと第2の部品とに共有面があるか否かを検索して、共有面で形状を分割する。分割した仮想形状について、仮想形状を形成する全ての面のうち、一面でも共有面がない場合は、仮想形状を削除する(S325)。最後に、溶接ビードを作成したCADデータを表示する(S326)。
【0022】
図4は、溶接ビードを作成する箇所を検索する方法の一例を示す図である。第1の部品の第1の面404と第2の部品の第2の面405との成す角度θbeadを検索する。第1の面404と第2の面405の成す角度は、第1の面404と第2の面405との共有線409上の中間点410において、第1の面404の法線ベクトルNface1(401)と第2の面405の法線ベクトルNface2(402)から求める。第1の面404の法線ベクトルと第2の面405の法線ベクトルとが成す角度θbead408を計算すると、凹凸に関係なく角度が求まる。そして、凹凸を認識するために、第1の面404の法線ベクトルと第2の面405の法線ベクトルとの外積407と、共有線での接ベクトルTface1(第1の面404側での接ベクトル(403))とを求めて、それぞれのベクトルの方向をチェックする。外積ベクトルと接ベクトルの方向が一致する場合は凸形状となるため、外積と接ベクトルの方向が一致しない場合(凹形状)を検索する対象とする。外積ベクトルと接ベクトルの内積から、外積ベクトルと接ベクトルとの成す角度θconcaveを求める。CADデータにおいて、面の法線ベクトルが上を向いている場合、面を形成する線の接ベクトル方向は、左周り406で決まっていることが多い。第1の面404、第2の面405を共有する線においては、第1の面404の接ベクトルと第2の面405の接ベクトルを持つため、第1の面404における接ベクトルを用いる場合は、下記(数1),(数2)で、第1の面404から見た外積の計算を行う。
【0023】
【数1】
【0024】
【数2】
【0025】
図5は、部品間の隙間を検索するプロセスの一例を示す図である。溶接ビードを作成する箇所を面と面の成す角度から検索し、面と面との共有線上に溶接ビードを作成する。しかし、CADデータでは、溶接する箇所に溶接ビードの形状が入っておらず、公差を検討して、部品と部品との間に隙間が存在していることが多い。溶接ビードを作成するためには、複数の部品から成るモデルを1個の部品にモデル化(1ボディ化)し、この状態で溶接ビードを作成する必要がある。しかし、1個の部品にするためには部品と部品を組合せる(接合)必要があり、部品と部品との間に少しでも隙間があると、組合せることができず、隙間を埋めるような仮想形状を追加する必要がある。現状では、部品と部品との隙間を目視で探しており、この隙間を見つけるのに時間がかかっている。
【0026】
このため、第1の部品506と第2の部品507との隙間を検索する。検索する箇所は、第1の部品506と第2の部品507とが繋がっておらず、一定の距離(閾値)以内で離れた(隙間が存在する)箇所とする。使用者が、第1の部品506と第2の部品507とが離れている距離、例えば、使用者が面間距離閾値を設定して、入力する。この面間距離閾値以内で第1の部品506と第2の部品507が離れている場合は、該当する箇所(例えば、部品の面,線、もしくは点)をハイライト表示する。第1の部品506と第2の部品507との隙間を検索する方法としては、第1の部品506の第1の面と第2の部品507の第2の面との最短距離を求めて、入力した面間距離閾値以内か否かを判定する方法がある。また、複数の部品における面と面とのペアを探す場合に、全ての面のペアの各々に対して上記判定を行うと、処理時間が長くなる。
【0027】
このため、面の形状501から一定距離L504離れたバウンディングボックス502を求め、このバウンディングボックス502を含む球体503(半径はRとする)の中に異なる形状のバウンディングボックス502が含まれている場合に面間距離を計算する。第1の部品506のバウンディングボックスにおける第1の球体508(半径はR1)と、第2の部品507のバウンディングボックスにおける第2の球体509(半径はR2)とが含まれている場合、面間距離を計算する対象とし、距離D505を求める。隙間については、第1の部品506と第2の部品507との間の距離513による検索と、第1の部品506の第1の面と第2の部品507の第2の面とが成す角度510による検索を組合せることで、例えば、第1の部品506と第2の部品507とが隙間を空けて近接している場合に限定して、隙間を見つけることが可能となる。
【0028】
隙間を検索した後、隙間を埋めるように仮想形状を追加する。仮想形状の作成では、隙間を検索することにより、隙間の境界となる面と面のペアが求まっている。このため、例えば、面と面のペアのうち、面積の小さい面のある1点からこの面の法線ベクトル方向に線を延ばし、もう一方の面と繋げることにより、仮想形状を作成する方法が考えられる。隙間の形状の種類としては、溶接を行う部品間の隙間、開先が存在する。
【0029】
図6は、仮想形状を追加する処理の一例を示す図である。例えば、第1の部品601と第2の部品602のような開先形状については、第1の部品601の第1の面と第2の部品602の第2の面との間に、元々の設計データにはない仮想形状603を追加する。また、第3の部品604と第4の部品605のように隅肉溶接を設定する形状においても、第3の部品604と第4の部品605に隙間がある場合、この隙間を埋めるように仮想形状606を追加する。さらに、第5の部品607と第6の部品608のように、第5の部品607と第6の部品608が斜めに接している場合、又は少し空けて配置された形状に溶接ビードを作成する場合においても、第5の部品607と第6の部品608との間に隙間を埋める仮想形状609を追加する。
【0030】
図7は、隙間を埋めるための仮想形状を作成するプロセスの一例を示す図である。第1の部品701と第2の部品702との間に存在する隙間に対して、第1の部品701の第1の面と第2の部品702の第2の面との距離を求めて、最も近接した距離703を算出する。最も近接した距離を求めた時の第1の面708と第2の面709について、どちらかの面を他方の面まで延ばして形状を作成する。面を延ばす方向は、例えば、面の法線ベクトル方向とする方法がある。また、第1の面708,第2の面709の何れの面を延ばすかについては、面積の小さい面とする方法がある。また、第1の面708を延長させて第2の面709と繋がった時に、延長した第1の面708が第2の面709を含む第2の部品702の面のどの面に含まれているかを判定して、設定する方法がある。図7の場合、第1の面708を第1の面708の法線ベクトル方向706に延ばすことにより、仮想形状707を作成した例である。
【0031】
図8は、第1の部品801と第2の部品803について、第1の部品801と第2の部品803との間に存在していた隙間を仮想形状802で埋めた後、溶接ビードを作成するプロセスの一例を示す図である。仮想形状802を追加した後、第1の部品801と第2の部品803の接合を行い、1つの部品とする。その後、第1の部品801の第1の面と第2の部品803の第2の面とが成す角度から、溶接ビードを作成する第1の面と第2の面の共有線を検索する。ハイライト表示された検索結果804,807を基に、共有線上に溶接ビード形状805,806を作成する。溶接ビードの脚長については、溶接ビードの作成時に設定する。また、材質,開始位置,ピッチなどの溶接属性情報については、溶接ビードの形状を作成する時、又は溶接ビードを作成した後に設定することが可能である。溶接ビードの形状をつけることにより、CADデータができるため、この後メッシュ分割、境界条件を追加して解析モデルを作成する。
【0032】
図9は、隙間を仮想形状で埋めて、溶接ビードを作成した後、仮想形状901,第1の部品909又は第2の部品910の外側に仮想形状がある場合の仮想形状を削除する方法を示す図である。仮想形状901は、第1の部品909と第2の部品910との間に作成される。仮想形状901を追加する場合において、第1の部品909の何れかの面を延ばして、第2の部品910側の面まで延長させる。このように仮想形状901を作成すると、例えば、第2の部品910の板厚が薄い場合に、仮想形状901が第2の部品910からはみ出て作成される場合がある。この状態で溶接ビードを作成する箇所に、溶接ビード902,903を作成する。溶接ビード902,903を作成した後、第2の部品910からはみ出た仮想形状904が、溶接ビード902,903の外にあるか否かを、仮想形状901と溶接ビード902,903、または、仮想形状901と第2の部品910との間に共有面を持つ面があるか否かを検索する。一つでも共有面を持たない面を有する場合は、第1の部品909又は第2の部品910の外側に仮想形状が出ていると判定し、溶接ビード、又は第1の部品909,第2の部品910と仮想形状901との共有面で形状を分割する。分割した仮想形状907を構成する面について、一つでも、溶接ビード902,903,第1の部品909及び第2の部品910と共有面を持たない面を有する場合は、仮想形状データを削除する。
【0033】
図10は、CADデータに、溶接ビードを作成する箇所を検索し、溶接ビードを作成する操作画面1001の一例を示す図である。操作画面1001は、読込ボタン1002,溶接ビード検索ボタン1003,仮想形状追加ボタン1004,溶接ビード作成ボタン1005,仮想形状削除ボタン1008,保存ボタン1006から成る。読込ボタン1002を押すと、CADデータ1007が表示される。
【0034】
図11は、溶接ビード検索処理時の操作画面の一例を示す図である。読み込んだCADデータに対して、溶接ビード検索ボタン1102を押すと、溶接ビードを作成する箇所を検索するための画面1101が表示される。この画面1101では、部品と部品の面のなす角度から溶接ビードを作成する箇所を検索する時の面間角度閾値1103,部品と部品との面間距離を計算して隙間を検索する時の面間距離閾値1104を使用者が設定することができる。使用者が実行ボタン1105を押すと、面間角度閾値1103,面間距離閾値1104以下となる面と面のなす角度、又は面間距離と合致した溶接ビードを作成する箇所(面,線)をハイライト表示する。キャンセルボタン1106を押すと、検索がキャンセルされる。
【0035】
図12は、溶接ビード検索を実行した結果の一例を示す図である。部品と部品とが直角ではなく、斜めに部品の面と線で接している箇所1201についても、部品の面と面の成す角度から溶接ビードを作成する箇所を求めて、ハイライト表示する。
【0036】
図13は、検索した結果に対して、部品と部品とが面と線で接しており、部品と部品とが繋がっておらず、隙間に仮想形状を追加する場合の操作画面の一例を示す図である。仮想形状追加ボタン1302を押すと、仮想形状追加画面1301が表示される。仮想形状追加画面1301では、隙間を検索した結果、ハイライト表示された面の面番号を対象面欄1303に表示し、面を延ばして仮想形状を作成する。移動量1304の設定については、使用者が移動量1304を設定する方法1305、又は面をもう一方の部品の面(端面)まで延ばす方法1306を選択できるものとする。面を延ばす方向は、選択された面の法線ベクトル方向とする。仮想形状追加画面1301を起動した時点で、溶接ビード・隙間を検索した結果、見つかった面の面番号を求めて、画面に表示し、実行ボタン1307を押すと、仮想形状を追加することが可能である。また、例えば、使用者がカーソル1309等を用いて、手動で仮想形状を追加する面を選択することも可能である。キャンセルボタン1308を押すと、形状の追加がキャンセルされる。
【0037】
図14は、仮想形状を追加した結果を表示した画面の一例を示す図である。図13の仮想形状追加画面1301で、実行ボタン1307を押すと、仮想形状1401が追加される。
【0038】
図15は、仮想形状を追加した後、再度、溶接ビード検索1502を実行したときの検索結果を表示した画面の一例を示す図である。CADデータ1501において、溶接ビードを作成する箇所1503をハイライト表示する。
【0039】
図16は、溶接ビードを作成する箇所を検索した結果から、溶接ビードを作成する操作画面の一例を示す図である。溶接ビード作成ボタン1610を押すと、溶接ビード作成画面1601が立ち上がる。溶接ビードを作成する場合には、追加ボタン1602を押すと、溶接ビードを作成した状態になり、ビード脚長1603を入力して、実行ボタン1608を押すと、溶接ビードが作成される。また、溶接ビード作成画面1601には、作成した溶接ビードを削除するボタン1604を押すことにより、溶接ビードを削除される。また、作成した溶接ビードを全削除するボタン1605を押し、実行ボタン1608を押すと、溶接ビードが削除される。また、溶接ビードの名前から削除したい溶接ビードの名前を検索文字列1607に入力して、ビード削除ボタン1606を選択して、実行ボタン1608を押すと、溶接ビードが削除される。キャンセルボタン1609を押すと、溶接ビードの作成がキャンセルされる。
【0040】
図17は、溶接ビードを作成した結果を表示した画面の一例を示す図である。図16の溶接ビード作成画面1601で実行すると、指定したビード脚長の溶接ビード形状1701が溶接する線上に作成される。
【0041】
図18は、溶接ビードを全て削除した結果を表示した画面の一例を示す図である。溶接ビードが作成された箇所1801について、全ての溶接ビードを削除した例を示す。
【0042】
図19は、溶接ビードの削除で、削除したい溶接ビードを溶接ビードの名前を検索文字列1903に入力した後、溶接ビードを削除する画面の一例を示す図である。ビード削除ボタン1902を選択して、溶接ビード名の検索文字列に「ビード1」を入力し、実行ボタン1904を押すと名前がビード1に対応する溶接ビードを削除する。
【0043】
図20は、溶接ビード名に対応した溶接ビードを削除した結果を示す画面の一例を示す図である。溶接ビード名が「ビード1」となる溶接ビード2001を削除する。
【0044】
図21は、仮想形状を削除する操作画面を示す図である。溶接ビードを作成した後、仮想形状削除ボタン2101を押すと、仮想形状を構成する面が、溶接ビード及びCADデータと共有面を持っているかどうかを検索する。仮想形状削除画面2110を構成する仮想形状検索ボタン2102を選択し、実行ボタン2105を押すと、仮想形状のうち、仮想形状の外側に出ている部分2109をハイライト表示する。ハイライト表示された状態で、仮想形状削除ボタン2104を選択し、実行ボタン2105を押すと、ハイライト表示された外側に出ている部分2109を溶接ビード、CADデータとの共有面で分割して仮想形状を削除する。キャンセルボタン2106を押すと、仮想形状削除処理をキャンセルする。結果について、保存ボタン2103を押すと、データが保存される。
【0045】
以上、実施例1によれば、溶接ビードを作成する作業時間を短縮することが可能な解析モデル生成装置を提供することが可能となる。また、CADデータに設計情報だけでなく、加工情報も含めた解析用のCADデータを作成することで、データを一元管理することが可能となる。これにより、溶接情報を図面で指示している場合と比べて、管理が容易であり、図面枚数削減、製作指示の間違い防止に繋がる。
【0046】
また、実施例1によれば、部品と部品が面と線で接している、あるいは部品と部品に隙間がある設計用3DCADデータの場合、部品と部品とが面と線で接している箇所、また部品と部品との隙間の有無を検索し、隙間を仮想形状により埋める。最初に設計用のCADデータを読み込み、溶接情報を作成する箇所を形状の構成面同士の成す角度から検索する。角度は、使用者が指定した閾値より低い面のペアを対象として検索する。
【0047】
溶接対象箇所を検索する際に、角度だけでなく、形状と形状の面間距離を求めて、距離が閾値の中にあれば溶接を作成する隙間と判定する。隙間に対して、仮想的に形状を追加して隙間を埋めた後、溶接ビードを作成する。溶接ビードを作成した後、必要のない仮想形状を削除する。もしくは、仮想形状が実形状の外にはみ出ている場合、はみ出ている仮想形状を削除して、溶接ビード作成結果を表示する。
【符号の説明】
【0048】
101 CADデータ
102 面間角度閾値データ
103 溶接ビートの脚長データ
104 CADデータ読込部
105 溶接ビート検索部
106 隙間チェック部
107 仮想形状作成部
108 溶接ビート作成部
109 仮想形状削除部
110 データ表示部
111 CADデータ保存部
112 CADデータ(溶接ビート有)
113 面間距離閾値データ
【技術分野】
【0001】
本発明は、設計用のCADデータに加工情報を追加し、解析用のCADデータを作成する解析モデル生成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、メッシュデータを含めた解析用データの自動生成技術が進んでいる。設計データから、CAEで解析するためのメッシュデータを自動的に作成する技術は、モデルの作成時間及び解析時間の短縮に繋がり、解析を実施しながら設計を行っていく解析主導型設計において、キーとなる技術である。
【0003】
一方設計の現場では、設計用データ,解析用データ,製造用データをそれぞれ独自に作成したり、あるいは設計用データが部署によって3次元CADデータ又は図面で管理されている。また、3次元CADデータには、図面に記された溶接の指示などの情報が与えられていない。このため、使用者が解析する際には、溶接する箇所を目視で探して、溶接する箇所に溶接ビードなどの形状を手作業で作成している。
【0004】
そのため、溶接する箇所の検索及び溶接形状を作成する作業に工数がかかる。また、解析作業にも時間がかかる。したがって、設計から解析,解析した結果から設計変更までの一連のサイクルに時間がかかることになる。特に、大規模なモデルにおいては、溶接する箇所が多いと溶接する箇所の検索及び溶接形状を作成する工数が増加してしまう。
【0005】
特開平11−291039号公報には、CADデータに対して、部品の面と面とが接している箇所を溶接する箇所として、部品の接合部を自動で検索し、共有面を構成する線を使用者へ提示して、溶接情報を作成する方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平11−291039号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特開平11−291039号公報に開示された方法では、部品と部品とが面で接している場合においてのみ、溶接する箇所と判定することが可能である。例えば、部品と部品とが面と線で接している場合、又は、部品と部品との間に隙間を設けて設計した場合において、溶接する箇所と認識する点については何ら記載されていない。
【0008】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、溶接ビードを作成する作業時間を短縮することが可能な解析モデル生成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、上記目的を達成するために、少なくとも第1の部品と第2の部品とが記載されたCADデータ,面間角度閾値データ,面間距離閾値データ及び溶接ビートの脚長データを入力する入力部と、前記CADデータを読み込むCADデータ読込部と、前記第1の部品と前記第2の部品とが成す角度と、前記面間角度閾値データとを比較して、前記溶接ビートを作成する箇所を検索する溶接ビード検索部と、前記第1の部品と前記第2の部品との間の距離と、前記面間距離閾値データとを比較する隙間チェック部と、前記溶接ビード検索部と前記隙間チェック部とで比較した結果に基づいて、前記隙間に仮想形状を作成する仮想形状作成部と、前記溶接ビードの脚長データに基づいて、前記仮想形状に前記溶接ビードを作成する溶接ビード作成部と、前記作成された溶接ビードを含むCADデータを保存するCADデータ保存部とを備える。
【0010】
また、前記仮想形状作成部は、前記仮想形状を、前記第1の部品の第1の面と前記第2の部品の第2の面の何れかの面を他方の面まで延ばして作成する。
【0011】
また、前記仮想形状の少なくとも一部が、前記作成された溶接ビードの外部にある場合に、前記溶接ビードの外部にある前記仮想形状の少なくとも一部を削除する仮想形状削除部とを備える。
【0012】
また、前記溶接ビード検索部は、前記第1の部品と前記第2の部品とが成す角度を、前記第1の部品の第1の面と前記第2の部品の第2の面とが成す角度から検索する。
【0013】
また、CADデータを読み込むCADデータ読込部と、前記CADデータに対して、溶接ビードを作成する箇所を検索する溶接ビード検索部と、前記検索された溶接ビードを作成する箇所に隙間があるか否かをチェックする隙間チェック部と、前記隙間に仮想形状を作成する仮想形状作成部と、前記仮想形状に前記溶接ビードを作成する溶接ビード作成部と、前記作成された溶接ビードを含むCADデータを保存するCADデータ保存部とを備える。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、溶接ビードを作成する作業時間を短縮することが可能な解析モデル生成装置を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】実施例1のシステムを示す図である。
【図2】データフローの一例を示す図である。
【図3】フローチャートの一例を示す図である。
【図4】溶接部分を検索するプロセスに関する一例を示す図である。
【図5】部品間の隙間を検索するプロセスに関する一例を示す図である。
【図6】隙間種類に応じた仮想形状を作成する一例を示す図である。
【図7】仮想形状を作成するプロセスに関する一例を示す図である。
【図8】溶接ビードを作成するプロセスに関する一例を示す図である。
【図9】溶接ビード作成後に仮想形状を削除するプロセスに関する一例を示す図である。
【図10】操作画面の一例を示す図である。
【図11】操作画面の一例を示す図である。
【図12】操作画面の一例を示す図である。
【図13】操作画面の一例を示す図である。
【図14】操作画面の一例を示す図である。
【図15】操作画面の一例を示す図である。
【図16】操作画面の一例を示す図である。
【図17】操作画面の一例を示す図である。
【図18】操作画面の一例を示す図である。
【図19】操作画面の一例を示す図である。
【図20】操作画面の一例を示す図である。
【図21】操作画面の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、実施例1について説明する。
【0017】
図1は、実施例1のシステムを示す図である。このシステムは、CADデータ101,第1の部品の第1の面と第2の部品の第2の面とが成す角度である面間角度閾値データ102,第1の面と第2の面との距離である面間距離閾値データ113,溶接ビードの脚長データ103を入力データとする。少なくとも、CADデータ読込部104で、第1の部品と第2の部品が記載されたCADデータを読み込む。読み込んだCADデータに対して、溶接ビード検索部105で、部品と部品とが成す角度と、面間角度閾値データ102とを用いて溶接ビードを作成する箇所を検索し、検索した結果をハイライト表示する。ここで、ハイライト表示とは、他の線と色又は太さ等を変えて表示したり、部品に斜線を入れて表示したりすることをいう。以下、同様である。溶接ビードを検索する時に溶接ビードを作成する箇所において隙間が存在する場合は、隙間チェック部106で、溶接ビードを作成する箇所を検索するための面間距離閾値データ113を用いて、第1の部品と第2の部品との面間距離を計算することにより隙間があるか否かをチェックする。第1の部品と第2の部品との間に面間距離閾値以下となる隙間が存在する場合は、第1の部品と第2の部品との境界面及び境界線をハイライト表示する。隙間については、仮想形状作成部107で、隙間を埋めるための仮想形状を作成し、溶接ビードを作成するために、第1の部品の第1の面と第2の部品の第2の面との共有線を検索する。溶接ビード作成部108で、溶接ビードを作成する箇所、つまり第1の面と第2の面の共有線に対して、溶接ビードの脚長を入力すると、第1の面と第2の面の共有線上に溶接ビードを作成し、溶接ビードを表示する。作成した溶接ビードについては、名前に応じて作成だけでなく、削除を行うことも可能である。また、隙間を埋めるために作成した仮想形状が作成した溶接ビードの内部でなく、形状の外側まで突き抜けている場合、仮想形状削除部109で、突き抜けている部分を削除する。溶接ビードを作成し、余分な仮想形状を削除した結果をデータ表示部110で表示し、CADデータ保存部111で溶接ビードを作成したCADデータ112を保存する。
【0018】
図2は、溶接ビードを作成する箇所を検索し、溶接ビードを作成する処理プロセスとデータの流れを示す図である。CADデータ読込部104で、CADデータ201を読み込む。溶接ビード検索部105で、読み込んだCADデータ205から、使用者が設定した面間角度閾値データ202を用いて、溶接ビードなどの加工情報を追加する箇所を検索する。続いて、溶接ビード検索部105で、使用者が設定した面間角度閾値データ202と、第1の部品と第2の部品とが成す角度とを比較する。隙間チェック部106で、面間距離閾値データ218と、第1の面と第2の面との間の距離とを比較する。溶接ビード検索部105及び隙間チェック部106で比較した結果に基づいて、溶接ビードを作成する箇所を求める。この時、第1の部品と第2の部品との間に隙間が存在するか否かを、第1の部品と第2の部品とが成す角度(面間角度)及び第1の面と第2の面との間の距離(面間距離)216から判定する。仮に、第1の部品と第2の部品との間に隙間が存在する場合には、仮想形状作成部107で、この隙間に溶接ビードを作成するため、CADデータに仮想形状を作成して隙間を埋める。この後、溶接ビード作成部108で、溶接ビードを作成する箇所を検索した結果及び溶接ビードの脚長データ203に基づいて、溶接ビード等の加工情報を追加して、溶接ビードを作成する。溶接ビードを作成する場合には、溶接ビードの形状及び脚長209の情報を追加する。この他にも、例えば、溶接ビードを開始する位置、溶接ピッチ、溶接電流、溶接速度といった情報を追加することも可能である。溶接ビードを作成した後に、仮想形状削除部109で、隙間を埋めるために作成した仮想形状が溶接ビードの外側又は形状外部に残っているか否かを判定する。仮想形状が溶接ビード、第1の部品及び第2の部品の外側にある場合には、仮想形状と溶接ビードとの境界面、仮想形状と第1の部品との境界面、仮想形状と第2の部品との境界面で仮想形状を削除する。仮想形状を削除した後に、データ表示部110で、溶接ビードが与えられたCADデータ213を表示する。CADデータ保存部111で、仮想形状を加えたCADデータ217を保存する。
【0019】
図3は、CADデータに溶接ビードを作成する処理を示す図である。CADデータを最初に読み込み(S301)、溶接ビードを作成する箇所を検索する(S302)。溶接ビードを作成する箇所を検索する(S303)場合においては、第1の部品の第1の面の情報及び第2の部品の第2の面の情報より、第1の面と第2の面がなす角度から使用者が設定した閾値以内にあるか否かを判定する(S304,S305)。第1の面と第2の面とのなす角度が、設定した角度閾値以内にある場合には、第1の面と第2の面の成す角度を検索し、第1の面と第2の面の共有線に溶接ビードを作成して、共有線をハイライト表示する(S306,S307)。ハイライト表示した共有線を追加するか否かは、使用者が画面を見て、手動で設定してもよい。具体的には、ハイライト表示された第1の面と第2の面の共有線を画面上から選択して(S310)、溶接ビードを作成する対象外に設定する等である。対象外に設定された場合には、溶接ビードの対象外となる共有線はハイライト表示されない(S311)。
【0020】
一方、第1の部品と第2の部品との隙間に溶接ビードを作成する場合には、第1の部品の第1の面と第2の部品の第2の面とが成す角度から溶接ビードを作成する箇所を検索することは可能であるが、隙間の部分に直接溶接ビードを与えることができない。これは、CADデータでは、部品同士の公差を考慮して、溶接する箇所には隙間を空けていることが多く、この隙間の部分に溶接ビードを直接与えることができないためである。このため、使用者は、元々CADデータにはない形状を仮想形状として作成し、第1の部品と第2の部品との間の隙間を埋める。その後、この仮想形状に溶接ビードを作成する。第1の部品と第2の部品との間を検索する(S312)場合においては、第1の部品と第2の部品との間の隙間を、第1の部品の第1の面と第2の部品の第2の面との距離から求めて、使用者が設定した面間距離閾値以下であれば、隙間を埋めるように仮想形状を作成する。第1の部品と第2の部品との隙間検索は、第1の面と第2の面との最も近接した距離から計算する(S313)。面間距離が閾値以下(S314)又は閾値以上(S315)かによって、溶接ビードを作成するか否かを判定する。溶接ビードを作成する隙間と判定した場合には、隙間を埋めるように仮想形状を追加する(S316)。仮想形状は、最も近接した距離を求めた第1の面と第2の面の内の何れか一方の面を引き伸ばして作成する(S317)。隙間を仮想形状で埋めた後、溶接ビードを作成する(S318)。溶接ビードの作成においては、溶接ビードを作成する第1の面と第2の面の共有線上に、溶接ビード形状を作成する(S320)。溶接ビード形状には、ビード脚長データといった溶接情報を設定する(S319)。溶接ビードを作成した後、隙間形状を埋めるために作成した仮想形状が、溶接ビードの外側に残っているか否か、又は第1の部品と第2の部品の外側にあるか否かをチェックして、外側にある場合は仮想形状を削除する。仮想形状が溶接ビードの外側にあるか否か、又は第1の部品と第2の部品の外側にあるか否かは、仮想形状が溶接ビードと第1の部品とに共有面、溶接ビートと第2の部品とに共有面があるか否かで判定する(S321)。共有面がない場合は、仮想形状が、少なくとも、第1の部品又は第2の部品の外側にあることを意味し、仮想形状を形成する面のうち、共有面がない(溶接ビード形状,第1の部品及び第2の部品の外側)部分を削除する(S324)。
【0021】
仮想形状を削除する方法としては、仮想形状が溶接ビードと第1の部品とに共有面、溶接ビートと第2の部品とに共有面があるか否かを検索して、共有面で形状を分割する。分割した仮想形状について、仮想形状を形成する全ての面のうち、一面でも共有面がない場合は、仮想形状を削除する(S325)。最後に、溶接ビードを作成したCADデータを表示する(S326)。
【0022】
図4は、溶接ビードを作成する箇所を検索する方法の一例を示す図である。第1の部品の第1の面404と第2の部品の第2の面405との成す角度θbeadを検索する。第1の面404と第2の面405の成す角度は、第1の面404と第2の面405との共有線409上の中間点410において、第1の面404の法線ベクトルNface1(401)と第2の面405の法線ベクトルNface2(402)から求める。第1の面404の法線ベクトルと第2の面405の法線ベクトルとが成す角度θbead408を計算すると、凹凸に関係なく角度が求まる。そして、凹凸を認識するために、第1の面404の法線ベクトルと第2の面405の法線ベクトルとの外積407と、共有線での接ベクトルTface1(第1の面404側での接ベクトル(403))とを求めて、それぞれのベクトルの方向をチェックする。外積ベクトルと接ベクトルの方向が一致する場合は凸形状となるため、外積と接ベクトルの方向が一致しない場合(凹形状)を検索する対象とする。外積ベクトルと接ベクトルの内積から、外積ベクトルと接ベクトルとの成す角度θconcaveを求める。CADデータにおいて、面の法線ベクトルが上を向いている場合、面を形成する線の接ベクトル方向は、左周り406で決まっていることが多い。第1の面404、第2の面405を共有する線においては、第1の面404の接ベクトルと第2の面405の接ベクトルを持つため、第1の面404における接ベクトルを用いる場合は、下記(数1),(数2)で、第1の面404から見た外積の計算を行う。
【0023】
【数1】
【0024】
【数2】
【0025】
図5は、部品間の隙間を検索するプロセスの一例を示す図である。溶接ビードを作成する箇所を面と面の成す角度から検索し、面と面との共有線上に溶接ビードを作成する。しかし、CADデータでは、溶接する箇所に溶接ビードの形状が入っておらず、公差を検討して、部品と部品との間に隙間が存在していることが多い。溶接ビードを作成するためには、複数の部品から成るモデルを1個の部品にモデル化(1ボディ化)し、この状態で溶接ビードを作成する必要がある。しかし、1個の部品にするためには部品と部品を組合せる(接合)必要があり、部品と部品との間に少しでも隙間があると、組合せることができず、隙間を埋めるような仮想形状を追加する必要がある。現状では、部品と部品との隙間を目視で探しており、この隙間を見つけるのに時間がかかっている。
【0026】
このため、第1の部品506と第2の部品507との隙間を検索する。検索する箇所は、第1の部品506と第2の部品507とが繋がっておらず、一定の距離(閾値)以内で離れた(隙間が存在する)箇所とする。使用者が、第1の部品506と第2の部品507とが離れている距離、例えば、使用者が面間距離閾値を設定して、入力する。この面間距離閾値以内で第1の部品506と第2の部品507が離れている場合は、該当する箇所(例えば、部品の面,線、もしくは点)をハイライト表示する。第1の部品506と第2の部品507との隙間を検索する方法としては、第1の部品506の第1の面と第2の部品507の第2の面との最短距離を求めて、入力した面間距離閾値以内か否かを判定する方法がある。また、複数の部品における面と面とのペアを探す場合に、全ての面のペアの各々に対して上記判定を行うと、処理時間が長くなる。
【0027】
このため、面の形状501から一定距離L504離れたバウンディングボックス502を求め、このバウンディングボックス502を含む球体503(半径はRとする)の中に異なる形状のバウンディングボックス502が含まれている場合に面間距離を計算する。第1の部品506のバウンディングボックスにおける第1の球体508(半径はR1)と、第2の部品507のバウンディングボックスにおける第2の球体509(半径はR2)とが含まれている場合、面間距離を計算する対象とし、距離D505を求める。隙間については、第1の部品506と第2の部品507との間の距離513による検索と、第1の部品506の第1の面と第2の部品507の第2の面とが成す角度510による検索を組合せることで、例えば、第1の部品506と第2の部品507とが隙間を空けて近接している場合に限定して、隙間を見つけることが可能となる。
【0028】
隙間を検索した後、隙間を埋めるように仮想形状を追加する。仮想形状の作成では、隙間を検索することにより、隙間の境界となる面と面のペアが求まっている。このため、例えば、面と面のペアのうち、面積の小さい面のある1点からこの面の法線ベクトル方向に線を延ばし、もう一方の面と繋げることにより、仮想形状を作成する方法が考えられる。隙間の形状の種類としては、溶接を行う部品間の隙間、開先が存在する。
【0029】
図6は、仮想形状を追加する処理の一例を示す図である。例えば、第1の部品601と第2の部品602のような開先形状については、第1の部品601の第1の面と第2の部品602の第2の面との間に、元々の設計データにはない仮想形状603を追加する。また、第3の部品604と第4の部品605のように隅肉溶接を設定する形状においても、第3の部品604と第4の部品605に隙間がある場合、この隙間を埋めるように仮想形状606を追加する。さらに、第5の部品607と第6の部品608のように、第5の部品607と第6の部品608が斜めに接している場合、又は少し空けて配置された形状に溶接ビードを作成する場合においても、第5の部品607と第6の部品608との間に隙間を埋める仮想形状609を追加する。
【0030】
図7は、隙間を埋めるための仮想形状を作成するプロセスの一例を示す図である。第1の部品701と第2の部品702との間に存在する隙間に対して、第1の部品701の第1の面と第2の部品702の第2の面との距離を求めて、最も近接した距離703を算出する。最も近接した距離を求めた時の第1の面708と第2の面709について、どちらかの面を他方の面まで延ばして形状を作成する。面を延ばす方向は、例えば、面の法線ベクトル方向とする方法がある。また、第1の面708,第2の面709の何れの面を延ばすかについては、面積の小さい面とする方法がある。また、第1の面708を延長させて第2の面709と繋がった時に、延長した第1の面708が第2の面709を含む第2の部品702の面のどの面に含まれているかを判定して、設定する方法がある。図7の場合、第1の面708を第1の面708の法線ベクトル方向706に延ばすことにより、仮想形状707を作成した例である。
【0031】
図8は、第1の部品801と第2の部品803について、第1の部品801と第2の部品803との間に存在していた隙間を仮想形状802で埋めた後、溶接ビードを作成するプロセスの一例を示す図である。仮想形状802を追加した後、第1の部品801と第2の部品803の接合を行い、1つの部品とする。その後、第1の部品801の第1の面と第2の部品803の第2の面とが成す角度から、溶接ビードを作成する第1の面と第2の面の共有線を検索する。ハイライト表示された検索結果804,807を基に、共有線上に溶接ビード形状805,806を作成する。溶接ビードの脚長については、溶接ビードの作成時に設定する。また、材質,開始位置,ピッチなどの溶接属性情報については、溶接ビードの形状を作成する時、又は溶接ビードを作成した後に設定することが可能である。溶接ビードの形状をつけることにより、CADデータができるため、この後メッシュ分割、境界条件を追加して解析モデルを作成する。
【0032】
図9は、隙間を仮想形状で埋めて、溶接ビードを作成した後、仮想形状901,第1の部品909又は第2の部品910の外側に仮想形状がある場合の仮想形状を削除する方法を示す図である。仮想形状901は、第1の部品909と第2の部品910との間に作成される。仮想形状901を追加する場合において、第1の部品909の何れかの面を延ばして、第2の部品910側の面まで延長させる。このように仮想形状901を作成すると、例えば、第2の部品910の板厚が薄い場合に、仮想形状901が第2の部品910からはみ出て作成される場合がある。この状態で溶接ビードを作成する箇所に、溶接ビード902,903を作成する。溶接ビード902,903を作成した後、第2の部品910からはみ出た仮想形状904が、溶接ビード902,903の外にあるか否かを、仮想形状901と溶接ビード902,903、または、仮想形状901と第2の部品910との間に共有面を持つ面があるか否かを検索する。一つでも共有面を持たない面を有する場合は、第1の部品909又は第2の部品910の外側に仮想形状が出ていると判定し、溶接ビード、又は第1の部品909,第2の部品910と仮想形状901との共有面で形状を分割する。分割した仮想形状907を構成する面について、一つでも、溶接ビード902,903,第1の部品909及び第2の部品910と共有面を持たない面を有する場合は、仮想形状データを削除する。
【0033】
図10は、CADデータに、溶接ビードを作成する箇所を検索し、溶接ビードを作成する操作画面1001の一例を示す図である。操作画面1001は、読込ボタン1002,溶接ビード検索ボタン1003,仮想形状追加ボタン1004,溶接ビード作成ボタン1005,仮想形状削除ボタン1008,保存ボタン1006から成る。読込ボタン1002を押すと、CADデータ1007が表示される。
【0034】
図11は、溶接ビード検索処理時の操作画面の一例を示す図である。読み込んだCADデータに対して、溶接ビード検索ボタン1102を押すと、溶接ビードを作成する箇所を検索するための画面1101が表示される。この画面1101では、部品と部品の面のなす角度から溶接ビードを作成する箇所を検索する時の面間角度閾値1103,部品と部品との面間距離を計算して隙間を検索する時の面間距離閾値1104を使用者が設定することができる。使用者が実行ボタン1105を押すと、面間角度閾値1103,面間距離閾値1104以下となる面と面のなす角度、又は面間距離と合致した溶接ビードを作成する箇所(面,線)をハイライト表示する。キャンセルボタン1106を押すと、検索がキャンセルされる。
【0035】
図12は、溶接ビード検索を実行した結果の一例を示す図である。部品と部品とが直角ではなく、斜めに部品の面と線で接している箇所1201についても、部品の面と面の成す角度から溶接ビードを作成する箇所を求めて、ハイライト表示する。
【0036】
図13は、検索した結果に対して、部品と部品とが面と線で接しており、部品と部品とが繋がっておらず、隙間に仮想形状を追加する場合の操作画面の一例を示す図である。仮想形状追加ボタン1302を押すと、仮想形状追加画面1301が表示される。仮想形状追加画面1301では、隙間を検索した結果、ハイライト表示された面の面番号を対象面欄1303に表示し、面を延ばして仮想形状を作成する。移動量1304の設定については、使用者が移動量1304を設定する方法1305、又は面をもう一方の部品の面(端面)まで延ばす方法1306を選択できるものとする。面を延ばす方向は、選択された面の法線ベクトル方向とする。仮想形状追加画面1301を起動した時点で、溶接ビード・隙間を検索した結果、見つかった面の面番号を求めて、画面に表示し、実行ボタン1307を押すと、仮想形状を追加することが可能である。また、例えば、使用者がカーソル1309等を用いて、手動で仮想形状を追加する面を選択することも可能である。キャンセルボタン1308を押すと、形状の追加がキャンセルされる。
【0037】
図14は、仮想形状を追加した結果を表示した画面の一例を示す図である。図13の仮想形状追加画面1301で、実行ボタン1307を押すと、仮想形状1401が追加される。
【0038】
図15は、仮想形状を追加した後、再度、溶接ビード検索1502を実行したときの検索結果を表示した画面の一例を示す図である。CADデータ1501において、溶接ビードを作成する箇所1503をハイライト表示する。
【0039】
図16は、溶接ビードを作成する箇所を検索した結果から、溶接ビードを作成する操作画面の一例を示す図である。溶接ビード作成ボタン1610を押すと、溶接ビード作成画面1601が立ち上がる。溶接ビードを作成する場合には、追加ボタン1602を押すと、溶接ビードを作成した状態になり、ビード脚長1603を入力して、実行ボタン1608を押すと、溶接ビードが作成される。また、溶接ビード作成画面1601には、作成した溶接ビードを削除するボタン1604を押すことにより、溶接ビードを削除される。また、作成した溶接ビードを全削除するボタン1605を押し、実行ボタン1608を押すと、溶接ビードが削除される。また、溶接ビードの名前から削除したい溶接ビードの名前を検索文字列1607に入力して、ビード削除ボタン1606を選択して、実行ボタン1608を押すと、溶接ビードが削除される。キャンセルボタン1609を押すと、溶接ビードの作成がキャンセルされる。
【0040】
図17は、溶接ビードを作成した結果を表示した画面の一例を示す図である。図16の溶接ビード作成画面1601で実行すると、指定したビード脚長の溶接ビード形状1701が溶接する線上に作成される。
【0041】
図18は、溶接ビードを全て削除した結果を表示した画面の一例を示す図である。溶接ビードが作成された箇所1801について、全ての溶接ビードを削除した例を示す。
【0042】
図19は、溶接ビードの削除で、削除したい溶接ビードを溶接ビードの名前を検索文字列1903に入力した後、溶接ビードを削除する画面の一例を示す図である。ビード削除ボタン1902を選択して、溶接ビード名の検索文字列に「ビード1」を入力し、実行ボタン1904を押すと名前がビード1に対応する溶接ビードを削除する。
【0043】
図20は、溶接ビード名に対応した溶接ビードを削除した結果を示す画面の一例を示す図である。溶接ビード名が「ビード1」となる溶接ビード2001を削除する。
【0044】
図21は、仮想形状を削除する操作画面を示す図である。溶接ビードを作成した後、仮想形状削除ボタン2101を押すと、仮想形状を構成する面が、溶接ビード及びCADデータと共有面を持っているかどうかを検索する。仮想形状削除画面2110を構成する仮想形状検索ボタン2102を選択し、実行ボタン2105を押すと、仮想形状のうち、仮想形状の外側に出ている部分2109をハイライト表示する。ハイライト表示された状態で、仮想形状削除ボタン2104を選択し、実行ボタン2105を押すと、ハイライト表示された外側に出ている部分2109を溶接ビード、CADデータとの共有面で分割して仮想形状を削除する。キャンセルボタン2106を押すと、仮想形状削除処理をキャンセルする。結果について、保存ボタン2103を押すと、データが保存される。
【0045】
以上、実施例1によれば、溶接ビードを作成する作業時間を短縮することが可能な解析モデル生成装置を提供することが可能となる。また、CADデータに設計情報だけでなく、加工情報も含めた解析用のCADデータを作成することで、データを一元管理することが可能となる。これにより、溶接情報を図面で指示している場合と比べて、管理が容易であり、図面枚数削減、製作指示の間違い防止に繋がる。
【0046】
また、実施例1によれば、部品と部品が面と線で接している、あるいは部品と部品に隙間がある設計用3DCADデータの場合、部品と部品とが面と線で接している箇所、また部品と部品との隙間の有無を検索し、隙間を仮想形状により埋める。最初に設計用のCADデータを読み込み、溶接情報を作成する箇所を形状の構成面同士の成す角度から検索する。角度は、使用者が指定した閾値より低い面のペアを対象として検索する。
【0047】
溶接対象箇所を検索する際に、角度だけでなく、形状と形状の面間距離を求めて、距離が閾値の中にあれば溶接を作成する隙間と判定する。隙間に対して、仮想的に形状を追加して隙間を埋めた後、溶接ビードを作成する。溶接ビードを作成した後、必要のない仮想形状を削除する。もしくは、仮想形状が実形状の外にはみ出ている場合、はみ出ている仮想形状を削除して、溶接ビード作成結果を表示する。
【符号の説明】
【0048】
101 CADデータ
102 面間角度閾値データ
103 溶接ビートの脚長データ
104 CADデータ読込部
105 溶接ビート検索部
106 隙間チェック部
107 仮想形状作成部
108 溶接ビート作成部
109 仮想形状削除部
110 データ表示部
111 CADデータ保存部
112 CADデータ(溶接ビート有)
113 面間距離閾値データ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも第1の部品と第2の部品とが記載されたCADデータ、面間角度閾値データ、面間距離閾値データ及び溶接ビートの脚長データを入力する入力部と、
前記CADデータを読み込むCADデータ読込部と、
前記第1の部品と前記第2の部品とが成す角度と、前記面間角度閾値データとを比較して、前記溶接ビートを作成する箇所を検索する溶接ビード検索部と、
前記第1の部品と前記第2の部品との間の距離と、前記面間距離閾値データとを比較する隙間チェック部と、
前記溶接ビード検索部と前記隙間チェック部とで比較した結果に基づいて、前記隙間に仮想形状を作成する仮想形状作成部と、
前記溶接ビードの脚長データに基づいて、前記仮想形状に前記溶接ビードを作成する溶接ビード作成部と、
前記作成された溶接ビードを含むCADデータを保存するCADデータ保存部とを備えたことを特徴とする解析モデル生成装置。
【請求項2】
請求項1に記載の解析モデル生成装置であって、
前記仮想形状作成部は、前記仮想形状を、前記第1の部品の第1の面と前記第2の部品の第2の面の何れかの面を他方の面まで延ばして作成することを特徴とする解析モデル生成装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の解析モデル生成装置であって、
前記仮想形状の少なくとも一部が、前記作成された溶接ビードの外部にある場合に、前記溶接ビードの外部にある前記仮想形状の少なくとも一部を削除する仮想形状削除部とを備えたことを特徴とする解析モデル生成装置。
【請求項4】
請求項1に記載の解析モデル生成装置であって、
前記溶接ビード検索部は、前記第1の部品と前記第2の部品とが成す角度を、前記第1の部品の第1の面と前記第2の部品の第2の面とが成す角度から検索することを特徴とする解析モデル生成装置。
【請求項5】
CADデータを読み込むCADデータ読込部と、
前記CADデータに対して、溶接ビードを作成する箇所を検索する溶接ビード検索部と、
前記検索された溶接ビードを作成する箇所に隙間があるか否かをチェックする隙間チェック部と、
前記隙間に仮想形状を作成する仮想形状作成部と、
前記仮想形状に前記溶接ビードを作成する溶接ビード作成部と、
前記作成された溶接ビードを含むCADデータを保存するCADデータ保存部とを備えたことを特徴とする解析モデル生成装置。
【請求項1】
少なくとも第1の部品と第2の部品とが記載されたCADデータ、面間角度閾値データ、面間距離閾値データ及び溶接ビートの脚長データを入力する入力部と、
前記CADデータを読み込むCADデータ読込部と、
前記第1の部品と前記第2の部品とが成す角度と、前記面間角度閾値データとを比較して、前記溶接ビートを作成する箇所を検索する溶接ビード検索部と、
前記第1の部品と前記第2の部品との間の距離と、前記面間距離閾値データとを比較する隙間チェック部と、
前記溶接ビード検索部と前記隙間チェック部とで比較した結果に基づいて、前記隙間に仮想形状を作成する仮想形状作成部と、
前記溶接ビードの脚長データに基づいて、前記仮想形状に前記溶接ビードを作成する溶接ビード作成部と、
前記作成された溶接ビードを含むCADデータを保存するCADデータ保存部とを備えたことを特徴とする解析モデル生成装置。
【請求項2】
請求項1に記載の解析モデル生成装置であって、
前記仮想形状作成部は、前記仮想形状を、前記第1の部品の第1の面と前記第2の部品の第2の面の何れかの面を他方の面まで延ばして作成することを特徴とする解析モデル生成装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の解析モデル生成装置であって、
前記仮想形状の少なくとも一部が、前記作成された溶接ビードの外部にある場合に、前記溶接ビードの外部にある前記仮想形状の少なくとも一部を削除する仮想形状削除部とを備えたことを特徴とする解析モデル生成装置。
【請求項4】
請求項1に記載の解析モデル生成装置であって、
前記溶接ビード検索部は、前記第1の部品と前記第2の部品とが成す角度を、前記第1の部品の第1の面と前記第2の部品の第2の面とが成す角度から検索することを特徴とする解析モデル生成装置。
【請求項5】
CADデータを読み込むCADデータ読込部と、
前記CADデータに対して、溶接ビードを作成する箇所を検索する溶接ビード検索部と、
前記検索された溶接ビードを作成する箇所に隙間があるか否かをチェックする隙間チェック部と、
前記隙間に仮想形状を作成する仮想形状作成部と、
前記仮想形状に前記溶接ビードを作成する溶接ビード作成部と、
前記作成された溶接ビードを含むCADデータを保存するCADデータ保存部とを備えたことを特徴とする解析モデル生成装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【公開番号】特開2010−262549(P2010−262549A)
【公開日】平成22年11月18日(2010.11.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−114111(P2009−114111)
【出願日】平成21年5月11日(2009.5.11)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年11月18日(2010.11.18)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年5月11日(2009.5.11)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】
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