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触媒の吸着処理方法および吸着処理装置
説明

触媒の吸着処理方法および吸着処理装置

【課題】基板に形成された凹部の下部にまで十分に触媒を吸着させることができる吸着処理方法を提供する。
【解決手段】はじめに、凹部22が形成された基板20を準備する。次に、触媒吸着装置10によって、基板20と、分散剤で被覆されたナノ粒子からなる触媒を含む触媒溶液12とを接触させ、これによって、基板20の表面に触媒23を吸着させる。この際、触媒溶液12に高周波振動が付与される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
基板の凹部に触媒を吸着させる吸着処理方法および吸着処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、LSIなどの半導体装置は、実装面積の省スペース化や処理速度の改善といった課題に対応するべく、より一層高密度化することが求められている。高密度化を実現する技術の一例として、複数の配線基板を積層することにより三次元LSIなどの多層基板を作製する多層配線技術が知られている。
【0003】
多層配線技術においては一般に、配線基板間の導通を確保するため、配線基板を貫通するとともに銅などの導電性材料が埋め込まれた貫通ビアホールが配線基板に設けられている。導電性材料が埋め込まれた貫通ビアホールを作製するための技術の一例として、無電解めっき法が知られている。
【0004】
例えば特許文献1においては、配線基板を作製する具体的な方法として、凹部が形成された基板を準備し、次に、パラジウムからなる触媒を基板上に吸着させ、その後、基板を銅めっき液に浸すことによって凹部の内部に銅めっき層を形成する方法が提案されている。銅めっき層が形成された基板は、化学機械研磨などの研磨方法によって薄膜化され、これによって、銅が埋め込まれた貫通ビアホールを有する配線基板が作製される。
【0005】
一方、近年、半導体装置の高密度化を実現するため、貫通ビアホールの直径の微細化が進められている。このため、基板に形成された凹部の下部にまで十分に触媒を吸着させることの困難度が高まっている。
【0006】
高いアスペクト比を有する凹部に対処するための方法の一例として、特許文献2において、銅などの比電気抵抗の小さい材料からなる微粒子に高周波振動を付与しながら、凹部に材料を充填する方法が提案されている。なお、特許文献2において提案されている方法は、凹部に触媒を吸着させる方法ではなく、凹部に材料を充填する方法ではあるが、参考のためにここで説明した。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2010−185113号公報
【特許文献2】特開平11−97392号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
一般に、微粒子は体積に対する表面積の割合が大きいので、凝集が生じやすいことが知られている。従って、触媒を構成する微粒子を含む触媒溶液に対して高周波振動を付与した場合、微粒子が凝集し、これによって凹部の側面への微粒子の吸着が妨げられてしまうことが考えられる。
【0009】
本発明は、このような課題を効果的に解決し得る触媒の吸着処理方法および吸着処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の第1の観点によれば、凹部が形成された基板を準備する工程と、前記基板と、分散剤で被覆されたナノ粒子からなる触媒を含む触媒溶液とを接触させ、これによって前記基板の表面に前記触媒を吸着させる吸着工程と、を備え、前記吸着工程において、前記触媒溶液に高周波振動が付与されることを特徴とする触媒の吸着処理方法が提供される。
【0011】
本発明の第2の観点によれば、凹部が形成された基板を保持する基板保持部と、前記基板と、分散剤で被覆されたナノ粒子からなる触媒を含む触媒溶液とが接触するよう、前記基板に対して前記触媒溶液を供給する触媒溶液供給部と、前記基板に対して供給される前記触媒溶液に高周波振動を付与する高周波振動部と、を備えたことを特徴とする触媒の吸着処理装置が提供される。
【発明の効果】
【0012】
本発明の触媒の吸着処理方法および吸着処理装置によれば、分散剤で被覆されたナノ粒子からなる触媒を含む触媒溶液に高周波振動が付与される。このため、凹部の側面全域にわたって、触媒を短時間で十分に吸着させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】図1は、本発明の実施の形態における配線形成システムを示すブロック図。
【図2】図2は、本発明の実施の形態における触媒吸着装置を示す縦断面図。
【図3】図3(a)〜(d)は、本発明の実施の形態において、配線基板の作製方法を示す図。
【図4】図4(a)〜(d)は、本発明の実施の形態の第1の変形例において、配線基板の作製方法を示す図。
【図5】図5(a)〜(c)は、本発明の実施の形態の第2の変形例において、配線基板の作製方法を示す図。
【図6】図6は、実施例1において、基板の凹部の側面に吸着された触媒の様子を観察した結果を示す図。
【図7】図7は、比較例1において、基板の凹部の側面に吸着された触媒の様子を観察した結果を示す図。
【図8】図8(a)〜(c)は、実施例1および比較例1において、基板の凹部に吸着された触媒の密度の時間変化を示す図。
【図9】図9は、実施例2において、基板の凹部の側面に吸着された触媒の様子を観察した結果を示す図。
【図10】図10は、実施例3において、基板の凹部の側面に吸着された触媒の様子を観察した結果を示す図。
【図11】図11は、比較例2において、基板の凹部の側面に吸着された触媒の様子を観察した結果を示す図。
【図12】図12は、比較例3において、基板の凹部の側面に吸着された触媒の様子を観察した結果を示す図。
【図13】図13は、触媒が吸着される前の基板の凹部の様子を観察した結果を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
配線形成システム
以下、図1乃至図4を参照して、本発明の実施の形態について説明する。まず図1を参照して、半導体装置の配線形成システム1について説明する。図1は、本実施の形態における配線形成システム1を示すブロック図である。
【0015】
図1に示すように、配線形成システム1は、触媒吸着装置10と、めっき処理装置6と、化学機械研磨装置7と、を備えている。このうち触媒吸着装置10は、凹部が形成された基板の表面に触媒を吸着させるよう構成された装置であり、また、めっき処理装置6は、触媒が吸着された基板の表面にめっき層を形成するよう構成された装置である。また、化学機械研磨装置7は、めっき層が形成された基板を化学機械研磨によって薄膜化し、これによって、めっき層が形成された貫通ビアホールを有する配線基板を作製するよう構成された装置である。
【0016】
また図1に示すように、配線形成システム1は、塗布/現像装置2、露光装置3、エッチング装置4またはバリア膜形成装置5などをさらに備えていてもよい。このうち塗布/現像装置2、露光装置3およびエッチング装置4は、基板上に絶縁層を形成し、この絶縁層に凹部を形成するよう構成された装置である。またバリア膜形成装置5は、基板の表面に形成されるめっき層を構成する金属元素が基板の内部(例えば絶縁層の内部)に浸透することを防止するためのバリア膜を形成するよう構成された装置である。
【0017】
触媒吸着装置
次に上述の触媒吸着装置10について、図2を参照して詳細に説明する。図2は、触媒吸着装置10を示す縦断面図である。
【0018】
触媒吸着装置10は、凹部が形成された基板20を保持する基板保持部13と、基板20に対してナノ粒子からなる触媒を含む触媒溶液12を供給する触媒溶液供給部と、基板20に対して供給される触媒溶液12に高周波振動を付与する高周波振動部と、を備えている。本実施の形態においては、図2に示すように、触媒溶液供給部は、触媒溶液12が貯留される触媒溶液槽11、および、触媒溶液槽11に対して触媒溶液12を供給する供給管(図示せず)などを含んでいる。また高周波振動部は、図2に示すように、触媒溶液槽11内に配置された超音波振動子などの高周波振動子14からなっている。図2において矢印で示すように、基板保持部13は、触媒溶液12内で回転可能となるよう構成されていてもよい。これによって、触媒溶液槽11内の触媒溶液12を対流させることができる。
【0019】
本件発明者らが鋭意実験を重ねたところ、一例として後述する実施例での実験結果で支持されているように、基板20に供給される触媒溶液12に高周波振動を付与することにより、基板20の凹部の側面全域にわたって触媒を短時間で十分に吸着させることができる、ということを見出した。このため本実施の形態によれば、基板20の表面に触媒を吸着させる吸着工程に要する時間を、従来に比べて短縮することができる。また、基板20の凹部の側面全域にわたって触媒をより確実に吸着させることができる。このため、その後のめっき処理工程において、基板20の凹部の側面全域にわたってより確実にめっき層を形成することができる。
【0020】
以下、触媒溶液12に高周波振動を付与することにより基板20の凹部における触媒の吸着を促進することができることの推定メカニズムについて説明する。しかしながら、本実施の形態はこの推定メカニズムに限定されるものではない。
【0021】
基板20の凹部の側面に触媒を吸着させる吸着工程においては、はじめに、触媒溶液12内の触媒が基板20の凹部の側面近傍まで拡散または移動し、その後、触媒が基板20の凹部の側面に吸着する。触媒溶液12内において触媒が拡散または移動する原理としては、触媒の濃度勾配や触媒溶液12の対流に基づく原理、または、触媒がランダムに運動することに基づく原理などが考えられる。ここで本実施の形態によれば、上述のように、高周波振動子14によって触媒溶液12に高周波振動が付与される。このため、高周波振動によって触媒のランダム運動を促進することができると考えられる。例えば、触媒において発生するランダム運動の頻度を増加させることができると考えられる。このため本実施の形態によれば、触媒溶液12内における触媒の拡散を促進することができ、このことにより、基板20の凹部の直径が小さい場合であっても、凹部の下部にまで短時間で触媒を吸着させることができる。
【0022】
高周波振動部によって触媒溶液12に付与される高周波振動の周波数範囲は、所望の時間内で基板20の凹部の下部にまで触媒が到達できるよう適宜設定されるが、例えば1kHz〜1MHzの範囲内に設定される。高周波振動の周波数を1kHz以上に設定することにより、触媒溶液12内における触媒のランダム運動を十分に促進することができ、これによって、基板20の凹部の下部にまで短時間で触媒を到達させることができる。また高周波振動の周波数を1MHz以下に設定することにより、基板20に形成されている各種パターン、例えば絶縁層のパターンなどを損傷させることなく、触媒溶液12内における触媒の拡散を促進することができる。
【0023】
以上のように構成される触媒吸着装置10は、記憶媒体に記録された各種のプログラムに従って駆動制御され、これにより基板20に対する様々な処理が行われる。ここで、記憶媒体は、各種の設定データや後述する触媒の吸着処理プログラム等の各種のプログラムを格納している。記憶媒体としては、コンピューターで読み取り可能なROMやRAMなどのメモリーや、ハードディスク、CD−ROM、DVD−ROMやフレキシブルディスクなどのディスク状記憶媒体などの公知のものが使用され得る。
【0024】
触媒溶液および触媒
次に、基板20に供給される触媒溶液12、および触媒溶液12に含まれる触媒について説明する。はじめに触媒について説明する。
【0025】
基板20に吸着される触媒としては、めっき反応を促進することができる触媒作用を有する触媒が適宜用いられるが、例えば、ナノ粒子からなる触媒が用いられる。ここでナノ粒子とは、触媒作用を有する粒子であって、平均粒径が20nm以下、例えば0.5nm〜20nmの範囲内となっている粒子のことである。ナノ粒子を構成する元素としては、例えば、パラジウム、金、白金などが挙げられる。
【0026】
また、ナノ粒子を構成する元素として、ルテニウムが用いられてもよい。
【0027】
ナノ粒子の平均粒径を測定する方法が特に限られることはなく、様々な方法が用いられ得る。例えば、触媒溶液12内のナノ粒子の平均粒径を測定する場合、動的光散乱法などが用いられ得る。動的光散乱法とは、触媒溶液12内に分散しているナノ粒子にレーザー光を照射し、その散乱光を観察することにより、ナノ粒子の平均粒径などを算出する方法である。また、基板20の凹部に吸着したナノ粒子の平均粒径を測定する場合、TEMやSEMなどを用いて得られた画像から、所定の個数のナノ粒子、例えば20個のナノ粒子を検出し、これらのナノ粒子の粒径の平均値を算出することもできる。
【0028】
次に、ナノ粒子からなる触媒が含まれる触媒溶液12について説明する。触媒溶液12は、触媒となるナノ粒子を構成する金属のイオンを含有するものである。例えばナノ粒子がパラジウムから構成されている場合、触媒溶液12には、パラジウムイオン源として、塩化パラジウムなどのパラジウム化合物が含有されている。
【0029】
触媒溶液12の具体的な組成は特には限られないが、好ましくは、触媒溶液12の粘性係数が0.01Pa・s以下となるよう触媒溶液12の組成が設定されている。触媒溶液12の粘性係数を上記範囲内とすることにより、基板20の凹部の直径が小さい場合であっても、基板20の凹部の下部にまで触媒溶液12を十分に行き渡らせることができる。このことにより、基板20の凹部の下部にまで触媒をより確実に吸着させることができる。
【0030】
好ましくは、触媒溶液12中の触媒は、分散剤によって被覆されている。これによって、触媒の界面における界面エネルギーを小さくすることができる。従って、触媒溶液12内における触媒の拡散をより促進することができ、このことにより、基板20の凹部の下部にまで触媒をより短時間で到達させることができると考えられる。また、複数の触媒が凝集してその粒径が大きくなることを防ぐことができ、このことによっても、触媒溶液12内における触媒の拡散をより促進することができると考えられる。
【0031】
分散剤で被覆された触媒を準備する方法が特に限られることはない。例えば、予め分散剤で被覆された触媒を含む触媒溶液が、触媒吸着装置10に対して供給されてもよい。若しくは、触媒を分散剤で被覆する工程を触媒吸着装置10の内部、例えば触媒溶液供給部で実施するよう、触媒吸着装置10が構成されていてもよい。
【0032】
分散剤としては、具体的には、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリアクリル酸(PAA)、ポリエチレンイミン(PEI)、テトラメチルアンモニウム(TMA)、クエン酸等が好ましい。
【0033】
その他、特性を調整するための各種薬剤が触媒溶液12に添加されていてもよい。
【0034】
配線基板の作製方法
次に、このような構成からなる本実施の形態の作用について説明する。ここでは、配線基板を作製する方法について、図3(a)〜(d)を参照して説明する。
【0035】
はじめに、図3(a)に示すように、凹部22が形成された基板20を準備する。凹部22が形成された基板20を準備するための具体的な方法は特には限られないが、例えば、はじめに塗布/現像装置2によって絶縁層21を形成し、次に、塗布/現像装置2および露光装置3によって絶縁層21上にマスクを形成し、その後、エッチング装置4によって絶縁層21をエッチングする。これによって、凹部22が形成された絶縁層21を含む基板20が得られる。絶縁層21の材料としては、所望の絶縁性が達成される限りにおいて特には限定されないが、例えば二酸化ケイ素などの無機絶縁材料や、有機ポリマーなどが用いられる。
【0036】
本実施の形態によれば、上述のように、基板20の凹部22の直径が小さい場合であっても、凹部22の下部にまで短時間で触媒を吸着させることができる。従って、好ましくは、基板20の絶縁層21に形成された凹部22の直径d(図3(a)参照)が100nm〜100μmの範囲内となっている。また好ましくは、凹部22のアスペクト比h/d(図3(a)参照)が1以上となっている。
【0037】
(吸着工程)
次に、触媒吸着装置10によって基板20と触媒溶液12とを接触させる。具体的には、図2に示すように、触媒溶液槽11に貯留された触媒溶液12に基板20を浸漬する(浸漬工程)。これによって、図3(b)に示すように、基板20の表面に触媒23を吸着させる。ここで本実施の形態によれば、浸漬工程の際、高周波振動子14によって触媒溶液12に高周波振動が付与される。このため、基板20の凹部22の下部にまで十分に触媒23を拡散させることができ、このことにより、図3(b)に示すように、凹部22の下部にまで短時間で触媒を吸着させることができる。
【0038】
(めっき工程)
次に、めっき処理装置6によって、触媒23が吸着された基板20の表面にめっき層24を形成する。めっき層24を形成するための具体的な方法は特には限られないが、例えば、めっき液が貯留されためっき液槽(図示せず)を準備し、次に、めっき液槽に基板20を浸漬する。これによって、図3(c)に示すように、基板20の表面にめっき層24が無電解めっきにより形成される。
【0039】
めっき層24を構成する材料は、半導体装置の用途に応じて適宜選択されるが、例えば銅が用いられる。この場合、めっき液には、銅イオン源となる銅塩、例えば硫酸銅、硝酸銅、塩化銅、臭化銅、酸化銅、水酸化銅、ピロリン酸銅などが含まれている。まためっき液には、銅イオンの錯化剤および還元剤がさらに含まれている。まためっき液には、めっき反応の安定性や速度を向上させるための様々な添加剤が含まれていてもよい。
【0040】
(化学機械研磨工程)
次に、絶縁層21の裏面側(凹部22が露出していない側)を化学機械研磨し、これによって、絶縁層21の裏面側にまで凹部22を露出させる。このことにより、図3(d)に示すように、めっき層24が形成された貫通ビアホール26を有する配線基板が作製される。なお図示はしないが、この後、貫通ビアホール26上にバンプを形成する工程や、絶縁層21の表面上または裏面上に所定のパターンを形成する工程などが適宜実施されてもよい。
【0041】
このように本実施の形態によれば、基板20と触媒溶液12とを接触させる吸着工程の際、触媒溶液12に高周波振動が付与される。このため、基板20の凹部22の下部にまで十分に触媒23を拡散させることができ、これによって、凹部22の下部にまで短時間で触媒を吸着させることができる。このことにより、凹部22の下部にまで均一にめっき層24を形成することができる。
【0042】
なお、上述した実施の形態に対して様々な変更を加えることが可能である。以下、変形の一例について説明する。
【0043】
第1の変形例
上述した実施の形態において、触媒23が絶縁層21上に吸着される例を示したが、これに限られることはない。例えば、基板20の表面にバリア膜が形成される場合、触媒23をバリア膜上に吸着させてもよい。このような例について、図4(a)〜(d)を参照して説明する。
【0044】
はじめに図4(a)に示すように、凹部22が形成された絶縁層21を有する基板20を準備する。次に図4(b)に示すように、バリア膜形成装置5によって絶縁層21の表面にバリア膜25を形成する。バリア膜25は、銅などの導電性材料からなるめっき層24が絶縁層21内に浸透することを防ぐための膜であり、例えばタンタル窒化膜などから構成される。絶縁層21の表面にバリア膜25を形成する方法が特に限られることはなく、例えば、化学気相蒸着法が用いられる。
【0045】
次に、図3(b)に示す上述の実施の形態の場合と同様にして、基板20と触媒溶液12とを接触させる。これによって、図4(c)に示すように、凹部22の下部にまで、バリア膜25上に十分に触媒23を吸着させることができる。その後、図4(d)に示すように、触媒23が吸着されたバリア膜25の表面にめっき層24を形成する。これによって、凹部22の下部にまで均一にめっき層24を形成することができる。
【0046】
第2の変形例
また上述した実施の形態において、基板20の凹部22が、絶縁層21に形成された非貫通孔からなる例を示したが、これに限られることはない。本実施の形態による吸着処理方法および吸着処理装置によれば、基板20の凹部22が貫通孔であるか非貫通孔であるかに依らず、凹部22の下部にまで短時間で触媒を吸着させることができる。
【0047】
例えば図5(a)に示すように、基板20の凹部22が、基板20の絶縁層21に形成された貫通孔からなっていてもよい。この場合、基板20は、その他の配線基板30によって下方から支持されていてもよい。その他の配線基板30は、図5(a)に示すように、例えば、絶縁層31と、基板20の凹部22に接続され、銅などの導電性材料からなる配線層34と、を有している。
【0048】
図5に示す例においても、図3(b)に示す上述の実施の形態の場合と同様にして、基板20と触媒溶液12とを接触させる。これによって、図5(b)に示すように、凹部22の側面およびその他の基板の上面に十分に触媒23を吸着させることができる。このことにより、その後のめっき工程において、図5(c)に示すように、凹部22の下部にまで均一にめっき層24を形成することができる。
【0049】
その他の変形例
また本実施の形態および各変形例において、めっき工程により、基板20の凹部22の側面近傍にのみめっき層24が形成される例を示した。しかしながら、これに限られることはなく、基板20の凹部22内の全空間に銅などの導電性材料が埋め込まれるよう、めっき工程を実施してもよい。この場合、凹部22の側面近傍に形成されためっき層24をシード層とする電解めっきが実施されてもよい。
【0050】
また本実施の形態および各変形例において、半導体装置の配線を構成する銅などの導電性材料のための触媒が、基板20の凹部22の側面に吸着される例を示した。しかしながら、これに限られることはなく、その他の目的で利用される触媒を基板20の凹部22の側面に吸着させるために、本実施の形態および各変形例による吸着処理方法および吸着処理装置が用いられてもよい。例えば、銅の下地層として基板20の凹部22の表面に形成されるタングステンやコバルトの合金のための触媒を基板20の凹部22の側面に吸着させるために、本実施の形態および各変形例による吸着処理方法および吸着処理装置が用いられてもよい。
【0051】
また、基板20の表面に触媒23を吸着させる上述の触媒吸着工程に先立って、基板20の表面にシランカップリング剤等のカップリング剤を吸着させておいてもよい。これによって、その後、基板20の表面により容易に触媒23を吸着させることができる。
【0052】
なお、上述した実施の形態に対するいくつかの変形例を説明してきたが、当然に、複数の変形例を適宜組み合わせて適用することも可能である。
【実施例】
【0053】
以下、実施例を用いて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこの実施例に限定されるものではない。
【0054】
(実施例1)
二酸化ケイ素からなる絶縁層21を有する基板20に、直径約5μm、深さ約30μm(即ち、アスペクト比が約6)の凹部22を形成した。次に、触媒溶液槽11に貯留された触媒溶液12に基板20を浸漬した(浸漬工程)。その際、触媒溶液槽11内に用いられた高周波振動子14を用いて、触媒溶液12に約37kHzの高周波振動を付与した。
【0055】
・触媒溶液の組成
パラジウム(0.1wt%)
分散剤(ポリビニルピロリドン)
この場合、触媒は、パラジウムからなる平均直径(平均粒径)4nmのナノ粒子によって構成されていた。
・浸漬条件
温度 :常温
浸漬時間 :5分
【0056】
(比較例1)
触媒溶液12に高周波振動を付与しなかったこと以外は、実施例1と同様にして、触媒溶液槽11に貯留された触媒溶液12に基板20を浸漬した。
【0057】
実施例1および比較例1によって基板20の凹部22の側面に吸着された触媒23の様子を、SEMを用いて観察した。観察は、凹部22の上部、すなわち凹部22の開口部近傍と、凹部22の下部、すなわち凹部22の底部近傍と、上部と下部との間の中間部とで実施した。実施例1において得られた観察結果を図6に示し、比較例1において得られた観察結果を図7に示す。
【0058】
図6に示すように、実施例1においては、凹部22の上部、中間部および下部のいずれにおいても、凹部22の側面に略均一に触媒23が吸着している様子が観察された。一方、図7に示すように、比較例1においては、凹部22の中間部および下部においてはほとんど触媒23が観察されなかった。実施例1によれば、浸漬工程の際に触媒溶液12に高周波振動を付与することによって、触媒溶液12内における触媒の拡散を促進することができ、これによって、凹部22の下部にまで触媒23を十分に吸着させることができたと言える。
【0059】
また、実施例1および比較例1によって基板20の凹部22に吸着された触媒23の密度の時間変化を測定した。なお、各時間における触媒23の密度の算出は、各時間経過時点での基板20を触媒溶液槽11から取り出し、その際の凹部22の側面をSEMにより観察し、得られた画像に基づいて触媒23の数をカウントすることによって行った。測定結果を図8に示す。
【0060】
図8に示すように、実施例1においては、浸漬工程を開始してから5分後には、十分な密度の触媒23が凹部22の側面に吸着されていた。具体的には、浸漬工程を開始してから5分後には、触媒23の密度が4000個/cm以上に達していた。一方、比較例1においては、浸漬工程を開始してから60分経過後であっても、触媒23の密度が4000個/cmに達しなかった。実施例1によれば、浸漬工程の際に触媒溶液12に高周波振動を付与することによって、触媒溶液12内における触媒の拡散を促進することができ、これによって、基板20の凹部の側面全域にわたって触媒を短時間で十分に吸着させることができた。
【0061】
なお上述の実施例1においては、浸漬工程を常温で実施した場合について示したが、本件発明者は、その他にも、触媒溶液12の温度を60℃としたこと以外は実施例1と同様にして、浸漬工程を実施した。その結果、触媒23のSEM観察および触媒23の密度の時間変化の測定において、実施例1の場合とほぼ同等の結果を得た。このことから、触媒溶液12に高周波振動を付与することにより、凹部22の側面への触媒23の吸着を温度によらず十分に促進することができると言える。
【0062】
(実施例2)
浸漬時間を1時間としたこと以外は、実施例1と同様にして、触媒溶液槽11に貯留された触媒溶液12に基板20を浸漬した。
【0063】
(実施例3)
浸漬時間を3時間としたこと以外は、実施例1と同様にして、触媒溶液槽11に貯留された触媒溶液12に基板20を浸漬した。
【0064】
(比較例2)
二酸化ケイ素からなる絶縁層21を有する基板20に、直径約3μm、深さ約25μm(即ち、アスペクト比が約8)の凹部22を形成した。次に、触媒溶液槽11に貯留された触媒溶液12に基板20を浸漬した(浸漬工程)。触媒溶液としては、塩化スズで保護したパラジウムのコロイド溶液(以下、Pd/Snコロイド溶液とも称する)を含む溶液を用いた。その後、後処理工程として、硫酸(10%)を含む酸性アクセラレーター浴に基板20を20分間にわたって浸漬した。
【0065】
・触媒溶液の成分
OPC−80 catalyst(奥野製薬製):50ml/L
OPC−SAL(奥野製薬製) M:260g/L
・触媒溶液の浸漬条件
温度 :常温
浸漬時間 :1時間
【0066】
(比較例3)
浸漬工程において触媒溶液に約37kHzの高周波振動を付与したこと以外は、比較例2と同様にして、触媒溶液槽11に貯留された触媒溶液12に基板20を浸漬した。
【0067】
実施例2,3および比較例2,3によって基板20の凹部22の側面に吸着された触媒23の様子を、SEMを用いて観察した。観察は、凹部22の上部、すなわち凹部22の開口部近傍と、凹部22の下部、すなわち凹部22の底部近傍と、上部と下部との間の中間部とで実施した。また比較例2,3においては、凹部22の上部と中間部との間の部分において凹部22の側面に吸着された触媒23の様子についても観察した。実施例2,3において得られた観察結果を図9,10にそれぞれ示し、比較例2,3において得られた観察結果を図11,12にそれぞれ示す。図11,12において、(a),(c),(d)で示されている画像はそれぞれ、凹部22の上部,中間部,下部における観察結果を示している。また図11,12において、(b)で示されている画像は、凹部22の上部と中間部との間の部分における観察結果を示している。また、浸漬工程を実施する前の基板20の凹部22を観察した結果を、対照のために図13に示す。
【0068】
図9,10に示すように、実施例2,3においては、凹部22の上部、中間部および下部のいずれにおいても、凹部22の側面に略均一に触媒23が吸着している様子が観察された。また、ナノ粒子が凝集している様子はほとんど見られなかった。
【0069】
一方、図11に示すように、比較例2においては、凹部22の側面の上部、中間部および下部のいずれにおいても、Pd/Snコロイドが凝集している様子が見られた。例えば凹部22の内部には、50〜100nmのPd/Snコロイドの凝集体が観察された。凝集体は、特に凹部22の上部において厚い膜として観察された。一方、凹部22の下部に向かうにつれて、凹部22の側面に吸着したPd/Snコロイドの密度が小さくなっていた。
【0070】
図12に示すように、比較例3においては、比較例2に比べて軽微ではあるが、凹部22の上部、中間部および下部のいずれにおいても、Pd/Snコロイドが凝集している様子が見られた。例えば凹部22の内部には、10〜20nmのPd/Snコロイドの凝集体が観察された。凝集体は、特に凹部22の上部において厚い膜として観察された。一方、凹部22の下部に向かうにつれて、凹部22の側面に吸着したPd/Snコロイドの密度が小さくなっていた。また比較例3において、凹部22の側面にPd/Snコロイドをさらに吸着させるため、高周波振動を付与しながらの浸漬工程をさらに長時間、例えば1時間にわたって継続したところ、時間の経過とともにPd/Snコロイドの凝集が進行した。このため比較例3においては、浸漬時間を長くしても、凹部22の下部にまで十分にPd/Snコロイドを吸着させることができなかった。
【0071】
比較例3に示されているように、Pd/Snコロイド溶液を用いた従来の吸着工程においては、触媒に対して高周波振動を付与することは触媒の吸着の妨げになるというのが当業者の一般的な認識であった。一方、実施例2,3に示されているように、分散剤で被覆されたナノ粒子からなる触媒を含む触媒溶液を用いた場合、高周波振動を付与しながらの吸着工程(浸漬工程)を長時間にわたって継続したとしても、ナノ粒子が凝集している様子はほとんど見られなかった。すなわち本件発明者は、分散剤で被覆されたナノ粒子からなる触媒を含む触媒溶液を用いることにより、触媒が凝集することを防ぎながら、触媒の吸着に有効である高周波振動を利用することができることを見出した。
【0072】
以下、実施例1〜3から得られた知見について総括する。実施例1に示されているように、浸漬工程の際に触媒溶液12に高周波振動を付与することによって、5分間のような短時間であっても、基板20の凹部の側面全域にわたって触媒を十分に吸着させることができた。また図8に示されているように、高周波振動を付与しながらの浸漬工程をさらに継続した場合、例えば1時間にわたって実施した場合、触媒をさらに基板20の凹部の側面に吸着させることができた。また実施例2,3に示されているように、分散剤で被覆されたナノ粒子からなる触媒を含む触媒溶液を用いることによって、ナノ粒子が凝集することを防ぐことができた。従って、任意に浸漬工程の時間を設定し、これによって触媒の吸着密度を任意に制御することが可能となる。このことは、Pd/Snコロイド溶液を用いた従来の触媒吸着方法に対する顕著な効果であると言える。
【符号の説明】
【0073】
10 触媒吸着装置
11 触媒溶液槽
12 触媒溶液
13 基板保持部
14 高周波振動子
20 基板
21 絶縁層
22 凹部
23 触媒
24 めっき層
25 バリア膜

【特許請求の範囲】
【請求項1】
凹部が形成された基板を準備する工程と、
前記基板と、分散剤で被覆されたナノ粒子からなる触媒を含む触媒溶液とを接触させ、これによって前記基板の表面に前記触媒を吸着させる吸着工程と、を備え、
前記吸着工程において、前記触媒溶液に高周波振動が付与されることを特徴とする触媒の吸着処理方法。
【請求項2】
前記分散剤が、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリアクリル酸(PAA)、ポリエチレンイミン(PEI)、テトラメチルアンモニウム(TMA)またはクエン酸を含むことを特徴とする請求項1に記載の吸着処理方法。
【請求項3】
前記ナノ粒子が、パラジウム、金または白金を含むことを特徴とする請求項1または2に記載の吸着処理方法。
【請求項4】
前記ナノ粒子が、ルテニウムを含むことを特徴とする請求項1または2に記載の吸着処理方法。
【請求項5】
前記吸着工程において、前記触媒が前記基板の前記凹部の側面に吸着されることを特徴とする請求項1に記載の吸着処理方法。
【請求項6】
前記吸着工程が、ナノ粒子からなる触媒を含む触媒溶液に前記基板を浸漬する浸漬工程を含むことを特徴とする請求項1に記載の触媒の吸着処理方法。
【請求項7】
前記基板に形成された前記凹部の直径が、100nm〜100μmの範囲内となっていることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載の触媒の吸着処理方法。
【請求項8】
凹部が形成された基板を保持する基板保持部と、
前記基板と、分散剤で被覆されたナノ粒子からなる触媒を含む触媒溶液とが接触するよう、前記基板に対して前記触媒溶液を供給する触媒溶液供給部と、
前記基板に対して供給される前記触媒溶液に高周波振動を付与する高周波振動部と、を備えたことを特徴とする触媒の吸着処理装置。
【請求項9】
前記分散剤が、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリアクリル酸(PAA)、ポリエチレンイミン(PEI)、テトラメチルアンモニウム(TMA)またはクエン酸を含むことを特徴とする請求項8に記載の吸着処理装置。
【請求項10】
前記ナノ粒子が、パラジウム、金または白金を含むことを特徴とする請求項8または9に記載の吸着処理装置。
【請求項11】
前記ナノ粒子が、ルテニウムを含むことを特徴とする請求項8または9に記載の吸着処理装置。
【請求項12】
前記触媒が前記基板の前記凹部の側面に吸着されることを特徴とする請求項8に記載の吸着処理装置。
【請求項13】
前記触媒溶液供給部が、前記触媒溶液が貯留される触媒溶液槽を含み、
前記高周波振動部が、前記触媒溶液槽内に配置された高周波振動子を含むことを特徴とする請求項8に記載の触媒の吸着処理装置。
【請求項14】
前記基板に形成された前記凹部の直径が、100nm〜100μmの範囲内となっていることを特徴とする請求項8乃至13のいずれか一項に記載の触媒の吸着処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図8】
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【図6】
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【図7】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2013−67856(P2013−67856A)
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−176343(P2012−176343)
【出願日】平成24年8月8日(2012.8.8)
【出願人】(399030060)学校法人 関西大学 (208)
【出願人】(000219967)東京エレクトロン株式会社 (5,184)
【Fターム(参考)】