説明

触媒リポーター付着促進用組成物

【課題】ペルオキシダーゼ酵素によるフェノール基質の生成物への変換を高める方法を提供する。
【解決手段】検出可能に標識されたフェノール含有分子を含む結合体とペルオキシダーゼ酵素とを、
次式、


示される有機化合物を含む促進試薬の存在下に反応させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、酵素分析、更に詳細には触媒リポーター付着において用いられるエンハンサーに関する。
【背景技術】
【0002】
ペルオキシダーゼは、その代謝回転速度が大きく、安定性が良好で、利用可能性があることから、酵素に基づく分析法に広く用いられている。例えば、ホースラディッシュペルオキシダーゼ(HRP)(EC 1.11.1.7)は、様々な水素供与基質の水素ペルオキシダーゼによる酸化を触媒する。HRPは、また、触媒リポーター付着に用いるのに好ましい酵素の1種である。
触媒リポーター付着(CARD)は、米国特許第5,863,748号、同第5,688,966号、同第5,767,287号、同第5,731,158号、同第5,583,001号、同第5,196,306号の内容を構成している新規なシグナル増幅法である。Bowbrow et al., Journal of Immunological Methods, 125:279-285(1989)やBobrow et al., Journal of Immunological Methods, 137:103-112(1991)にも述べられている。
該方法は、分析の基本骨格の固相に検出可能な標識を付着させることを触媒する被検体依存性酵素活性化システム(“ADEAS”)を用いるものである。これらの酵素的に付着した標識は、直接又は間接に検出することができ、シグナル増幅と改善された検出限界がもたらされる。好適実施態様においては、HRPは酵素である。
HRPは、ADEASに特異的な検出可能に標識された基質からなる結合体(conjugate)と反応する。ADEASと結合体が反応するとき、活性化結合体のリポーター部位が固定化されるところでは共有結合で付着する活性化結合体が形成される。
分析用の場合、着色、蛍光又は化学発光する生成物を生じるようにHRPによる基質酸化が用いられてきた。これらの生成物は、可溶性のままか又は不溶性になって固相上に沈殿する。CARD法は、検出可能に標識されたフェノール基質の生成物が固相に共有結合で結合する点で異なっている。
【0003】
分析方法における検出限界を改善するために、酵素による基質の生成物への変換を増強又は促進することが望ましい。用いられる基質と無関係にHRP触媒作用を促進させる物質は発見されなかったが、可溶性生成物を生じるHRP基質に特異的な数種のエンハンサーが記載されてきた。不溶性生成物を生じる基質に特異的なエンハンサージアミノベンジジンが記載された。HRPの触媒活性により共有結合で付着可能な生成物を生じる基質用のエンハンサーは記載されていない。
J.R. Whitaker & A.L. Tappel, Biochimica et Biophysica Acta, p.310-317, Vol. 62, 1962には、KCl、NaCl、Na2SO4、少しの範囲までのLiClがグアヤコールの酸化を促進させることが示されている。
1986年7月1日に発行されたKrickaらの米国特許第4,598,044号には、可溶性化学発光生成物を生じる2,3-ジヒドロ-1,4-フタラジンジオン基質のHRP触媒酸化を種々のフェノール化合物により促進させることが記載されている。
1988年3月8日に発行されたKrickaらの米国特許第4,729,950号には、2,3-ジヒドロ-1,4-フタラジンジオン基質のHRP触媒酸化を種々の芳香族アミン化合物により促進させることが記載されている。表1と表2には、種々の基質/エンハンサーの組合わせが纏められている。表と考察(第3欄67行〜第4欄34行)から、基質のHRP触媒酸化がある化合物によって促進されるかは予想できないことが結論されている。
1997年5月13日に発行されたKrickaの米国特許第5,629,168号には、2,3-ジヒドロ-1,4-フタラジンジオン基質のHRP触媒酸化を芳香族有機ホウ素化合物により促進させることが記載されている。
1985年6月4日に発行されたStoutの米国特許第4,521,511号には、2,2-アジノジ(3-エチルベンゾチアゾロン-6-スルホン酸)基質のHRP触媒酸化を種々のフェノール化合物によって促進させることが記載されている。
W. Straus, Journal of Histochemistry & Cytochemistry, Vol. 30, p. 491-493, 1982には、不溶性生成物に生じるジアミノベンジジンのHRP触媒酸化をイミダゾールが促進させることが示されている。
【0004】
A.S.H de Jong et al., Histochemical Journal, Vol. 17, p.1119-1130, 1985にもイミダゾールがジアミノベンジジンの酸化を約4倍だけ、p-フェニレンジアミンピロカテコールの基質組合わせを2倍だけ促進させ、4-クロロ-1-ナフトールに対しては効果がなく、すべて不溶性生成物を生じることが示されている。
イミダゾールを除いて上記エンハンサーは、可溶性基質を可溶性生成物に変換するだけである。更に、エンハンサーは基質特異的である。グアヤコールの酸化のKCl、NaCl、Na2SO4、LiCl促進は、グアヤコールに特異的である。これらの塩は、不溶性生成物を生じる基質の酸化を促進せず、オルトフェニレンジアミン又はテトラメチルベンジンのような可溶性生成物を生じる一般に用いられる基質の酸化も促進しない。2,3-ジヒドロ-1,4-フタラジンジオンに対するエンハンサーも、不溶性生成物を生じる基質の酸化を促進せず、オルトフェニレンジアミン又はテトラメチルベンジンのような可溶性生成物を生じる一般に用いられる基質の酸化も促進しない。ジアミノベンジジンの酸化を促進させることが示されたイミダゾールは、p-フェニレンジアミンピロカテコールに対する効果は取るに足りないものであり、4-クロロ-1-ナフトールに対する効果はなく、共有結合で付着可能な生成物を生じる基質に対する効果もない。ある基質のHRPによる酸化がある化合物によって高められるかは予想することができない。
従って、HRPの触媒作用を高める試薬を有しかつ以前の技術に基づいて予想されるより促進作用が大きいことが有利であり望ましい。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、検出可能に標識されたフェノール含有分子を含む結合体とペルオキシダーゼ酵素とを反応させることにより触媒リポーター付着(CARD)法の促進に関し、該反応は有機促進化合物又は無機塩と該有機促進化合物の混合物を含む促進試薬の存在下に行われる。
有機促進試薬は、下記構造:
【0006】
【化1】

【0007】
(式中、Rは各々独立して水素及びC1-12置換基からなる群より選ばれ、V、W、Y、Zは各々独立してH、ハロゲン、該C1-12置換基、NR2、OR及びSRからなる群より選ばれ、XはH、Br、Cl、F、該C1-12置換基、NR2、OR及びSRからなる群より選ばれる。)
を有する有機化合物、又は無機塩と該有機化合物の相乗混合物である。C1-12置換基は直鎖、分枝鎖又は環状である。C1-12置換基はアルキル、アルケニル、アルキニル、ヘテロ原子置換アルキル、ヘテロ原子置換アルケニル、ヘテロ原子置換アルキニル、アリール、アリールアルキル、アリールアルケニル又はアリールアルキニルである。更に、ヘテロ原子はN、O、S又はハロゲンである。C1-12置換基におけるC、N、O又はSは、場合によっては、カルボニル、ヒドロキシル、カルボキシル、アミン、チオール、チオエステル、チオエーテル、ホスフェート、アルコキシ、アリール、アリールアルキル、スルホンアミド又はアルキルハライドであるペンダント部分を有する。
本明細書に記載される酵素反応の検出を高める促進試薬を使用説明書と共に含むキットを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、検出可能に標識されたフェノール含有分子を含む結合体とペルオキシダーゼ酵素とを反応させることによるCARD又はチラミドシグナル増幅(TSA)法におけるHRPの触媒作用の促進に関し、該反応は有機促進化合物又はNaCl、MgCl2、KCl、CaCl2、リン酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、酢酸アンモニウム又は硫酸アンモニウムのような無機塩と該有機促進試薬の存在下に行われる。
促進試薬として用いられる有機化合物は、下記構造
【0009】
【化2】

【0010】
(式中、Rは各々独立して水素及びC1-12置換基からなる群より選ばれ、V、W、Y、Zは各々独立してH、ハロゲン、該C1-12置換基、NR2、OR及びSRからなる群より選ばれ、XはH、Br、Cl、F、該C1-12置換基、NR2、OR及びSRからなる群より選ばれる。)
を有する有機化合物、又は無機塩と該有機化合物の相乗混合物である。C1-12置換基は、直鎖、分枝鎖又は環状である。C1-12置換基は、アルキル、アルケニル、アルキニル、ヘテロ原子置換アルキル、ヘテロ原子置換アルケニル、ヘテロ原子置換アルキニル、アリール、アリールアルキル、アリールアルケニル又はアリールアルキニルである。更に、ヘテロ原子は、N、O、S又はハロゲンである。C1-12置換基におけるC、N、O又はSは、場合によっては、カルボニル、ヒドロキシル、カルボキシル、アミン、チオール、チオエステル、チオエーテル、ホスフェート、アルコキシ、アリール、アリールアルキル、スルホンアミド又はアルキルハライドが例示的に含まれるペンダント部分を有する。
無機促進試薬の濃度は、広範囲には約0.1 M(モル)から飽和までの範囲にある。無機促進試薬の濃度は、好ましくは少なくとも約0.5 Mである。無機促進試薬の濃度は、最も好ましくは少なくとも約2 Mから飽和までの範囲にある。
有機促進試薬の濃度は、好ましくは約1×10-6M〜1×10-1Mの範囲にある。有機化合物の濃度は、更に好ましくは約1×10-5M〜1×10-2Mの範囲にある。
好ましい有機促進試薬は、p-フルオロボロン酸、m-フルオロボロン酸、p-クロロボロン酸、m-クロロボロン酸、p-ブロモボロン酸、m-ヨードボロン酸又は下記構造:
【0011】
【化3】

【0012】
を有する化合物である。
本明細書に用いられる結合体という用語は、HRP酵素の基質である検出可能に標識されたフェノール含有分子を意味する。好ましい基質としては、チラミド化合物やp-ヒドロキシケイ皮酸化合物が含まれる。米国特許第5,196,306号や同第5,863,748号等に記載されているチラミド化合物やp-ヒドロキシケイ皮酸化合物の誘導体も好ましい基質である。
それ故、結合体は2つの成分を含んでいる。一方の成分は酵素の基質として働くフェノール含有分子である。もう一方は、検出可能な標識である。本明細書に用いられる検出可能に標識されたとは、基質がリポーターか又は特定の結合対の標識されていない最初の部分に結合することができることを意味する。基質が特定の結合対の標識されていない部分に結合したとき、活性化結合体の共有結合後、基質特異的結合対複合体と、リポーターに結合する結合対の第二部分と反応させる。リポーターの具体例は、酵素、放射性同位体、蛍光発生素物質、化学発光物質又は電気化学物質又は特定の結合対の一部である。好ましい結合体は、シアニン-3-チラミドである。
本明細書に用いられる受容体部位という用語は、活性化結合体が共有結合の形成によって表面に結合する部位を意味する。フェノール基質の受容体部位組成物の例としては、タンパク質のチロシン残基、フェノール、他の電子濃厚有機分子が挙げられる。受容体部位は、固体支持体の表面の反応性成分であってもよく、固体支持体の表面に付加してもよい。
本明細書に用いられる活性化結合体という用語は、結合体が受容体部位への結合を開始したことを意味する。
本明細書に用いられるハロゲンという用語には、塩素、フッ素、臭素、又はヨウ素が含まれる。
本明細書に用いられるアルキルという用語は、直鎖又は分枝鎖炭化水素を意味する。アルキル基の代表例は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、イソブチル、ブチル、tert-ブチル、sec-ブチル、ペンチル、又はヘキシルである。
本明細書に用いられるヘテロ原子という用語には、酸素、窒素、イオウ又はハロゲンが含まれる。
【0013】
本発明の実施に用いるのに適した特定の結合対の部分は、免疫型又は非免疫型であり得る。免疫特異結合対は、抗原/抗体系又はハプテン/抗ハプテン系によって例示される。結合対の抗体部分、そのポリクローナル断片、モノクローナル断片又は免疫反応性断片でも当業者によく知られた通例の方法で生産することができる。免疫反応性抗体断片又は免疫反応性断片という用語は、抗体の結合領域を含む断片を意味する。そのような断片は、Fc部分を欠く断片、例えば、Fab、Fab' 又はF(ab')2断片として定義されるFab型断片であってもよく、無傷抗体の重鎖成分を結合しているジスルフィド結合の還元的切断によって得られるいわゆる“ハーフ分子”断片であってもよい。特定の結合対の抗原部分が免疫原性でない、例えば、ハプテンの場合には、免疫原性にするためにキャリヤタンパク質に共有結合することができる。
非免疫結合対には、2つの成分が相互に自然親和性を共有するが抗体ではないシステムが含まれる。具体的な非免疫結合対は、ビオチン-アビジン又はビオチン-ストレプトアビジン、葉酸-葉酸塩結合タンパク質、相補的プローブ核酸、受容体-リガンド、毒素-毒素結合タンパク質又はレクチン-オリゴ糖である。具体的な共有結合対としては、マレイミドやハロアセチル誘導体のようなスルフヒドロリル反応性基又はイソチオシアネートのようなアミン反応性基、スクシニミジルエステル、スルホニルハライド、又は3-メチル-2-ベンゾチアゾリノンヒドラゾン(MBTH)や3-(ジメチルアミノ)安息香酸(DMAB)のようなカプラー色素が挙げられる。
本明細書に用いられる促進試薬という用語は、受容体部位への活性化結合体の結合速度を増加又は促進させる試薬を意味する。受容体部位への活性化結合体の結合速度の増加又は促進は、結合体の検出可能な標識から直接又は間接にモニタされる。
本発明の予期しない態様は、検出可能に標識された基質についてエンハンサー部分の分子の種類に関する。結合体を受容体部位に結合させることができるには2つの反応が必要である。第一に、ペルオキシダーゼ酵素が結合体の酸化、又は活性化を触媒し、第二に、活性化結合体と受容体部位とを反応させ、共有結合を形成する。有機エンハンサーの構造は、それ自体がHRPの基質及び/又は活性化結合体の受容体部位として適合している。それ故、これらの部分はエンハンサーとしてよりも第一、第二、又はその双方の反応のインヒビターとして作用すると予想される。
本発明は、更に、無機塩と有機エンハンサー間の相乗作用によるものである。
本発明は、更に、本明細書に記載される酵素反応の検出するための促進試薬を使用説明書と共に含むキットを含んでいる。
【実施例】
【0014】
実施例1- パラ又はメタハロゲンフェニルボロン酸で促進させたシアニン-3-チラミドを用いたサイトメガロウイルス(CMV)の検出
Hemagen Diagnostics, Inc.から入手しうる、CMVに感染したMRC-5細胞を含む8ウェルのスライドをリン酸緩衝生理食塩水(PBS)で2分間水和する。Ishikawa, E., et al., J. Immunoassay, 209-237, 1983の方法を変更することにより抗CMVホースラディッシュペルオキシダーゼを調製する。抗CMVホースラディッシュペルオキシダーゼを0.1 Mトリス、0.15 M NaCl、0.5%カゼイン、pH 7.5で希釈し、室温で30分間スライド上でインキュベートする。次に、スライドを0.1 Mトリス、0.15 M NaCl、0.05%トゥイーン20、pH 7.5(TNT)緩衝液と2分間洗浄する。その洗浄を更に2回繰り返す。シアニン-3チラミドを、1)添加剤なし、2)m-フルオロフェニルボロン酸(Frontier Scientific, Inc., ユタ州ローガン)を20μg/ml、3)m-クロロフェニルボロン酸(Frontier Scientific, Inc.)を20μg/ml、4)m-ヨードフェニルボロン酸(Frontier Scientific, Inc.)を20μg/ml、5)p-フルオロフェニルボロン酸(Frontier Scientific, Inc.)を20μg/ml、6)p-クロロフェニルボロン酸(Frontier Scientific, Inc.)を20μg/ml、7)p-ブロモフェニルボロン酸(Frontier Scientific, Inc.)を20μg/ml含有するPerkinElmer Life Sciences, FP-485から入手しうる1×増幅希釈剤で2μg/mlまで希釈する。これらの溶液の各々をCMVスライド上のウェルの1つに加え、室温で10分間インキュベートする。スライドを3回各々5分間TNTで洗浄する。TNT中5μg/mlのDAPIと5分間インキュベートすることによりスライドの対比染色を行う。スライドをTNT、次に脱イオン水ですすぐ。
図1は、種々のエンハンサー化合物の添加がホースラディッシュペルオキシドによるシアニン-3チラミドの付着を示している。
【0015】
実施例2- パラハロゲンとアルキルフェニルボロン酸で促進させたシアニン-3チラミドを用いたサイトメガロウイルス(CMV)の検出
Hemagen Diagnostics, Inc.から入手しうる、CMVに感染したMRC-5細胞を含む8ウェルのスライドをリン酸緩衝生理食塩水(PBS)で2分間水和する。Ishikawa, E., et al., J. Immunoassay, 209-237, 1983の方法を変更することにより抗CMVホースラディッシュペルオキシダーゼを調製する。抗CMVホースラディッシュペルオキシダーゼを0.1 Mトリス、0.15 M NaCl、0.5%カゼイン、pH 7.5で希釈し、室温で30分間スライド上でインキュベートする。次に、スライドを0.1 Mトリス、0.15 M NaCl、0.05%トゥイーン20、pH 7.5(TNT)緩衝液と2分間洗浄する。その洗浄を更に2回繰り返す。シアニン-3チラミドを、1)添加剤なし、b)p-ブロモフェニルボロン酸(Frontier Scientific, Inc.)を20μg/ml、c)チオアニソールボロン酸(Frontier Scientific, Inc.)を20μg/ml、d)p-ヨードフェニルボロン酸(Frontier Scientific, Inc.)を20μg/ml、e)p-アセチルフェニルボロン酸(Frontier Scientific, Inc.)を20μg/ml含有する1×増幅希釈剤(PerkinElmer Life Sciences, FP-485)で2μg/mlまで希釈する。これらの溶液の各々をCMVスライド上のウェルの1つに加え、室温で10分間インキュベートする。スライドをTNTで3回各々5分間洗浄する。TNT中5μg/mlのDAPIと5分間インキュベートすることによりスライドの対比染色を行う。スライドをTNT、次に脱イオン水ですすぐ。
図2は、種々のエンハンサー化合物の添加がホースラディッシュペルオキシドによるシアニン-3チラミドの付着を促進させることを示している。
本明細書で述べたいずれの特許も文献も本発明が関係している当業者のレベルを示している。これらの特許と文献の記載は、各々個々の文献が詳しくかつ個別に本願明細書に含まれることを意味するのと同じ程度まで本明細書に含まれるものとする。
当業者は、本発明がその目的を行うとともに述べられた目的と利点、及びここでの固有のものを得るように十分に適合することを容易に理解するであろう。本明細書に記載される本方法、手順、処理、分子、及び特定の化合物は現在代表的な好適実施態様であり、具体例であり、本発明の範囲の制限することを意味しない。当業者は、本発明の範囲によって定義された本発明の真意の範囲内に包含されるその中の変更と他の使用を講じるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1−1】図1A〜図1Dは、シアミン-3チラミドを用いた触媒リポーター付着(CARD)検出促進を示す写真であり、種々のエンハンサー: (A)エンハンサーなし、(B)p-フルオロボロン酸、(C)m-ボロン酸、(D)p-クロロボロン酸が用いられている。
【図1−2】図1E〜図1Gは、シアミン-3チラミドを用いた触媒リポーター付着(CARD)検出促進を示す写真であり、種々のエンハンサー: (E)m-クロロボロン酸、(F)p-ブロモボロン酸、(G)m-ヨードボロン酸が用いられている。
【図2】図2A〜図2Dは、シアニン-3チラミドを用いた触媒リポーター付着(CARD)検出促進を示す写真であり、種々のエンハンサー: (A)エンハンサーなし、(B)p-ブロモボロン酸、(C)p-アセチルボロン酸、(D)p-チオアニソールボロン酸が用いられている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
酵素反応の検出を高める方法であって、
検出可能に標識されたフェノール含有分子を含む結合体とペルオキシダーゼ酵素とを、下記構造
【化1】

(式中、Rは各々独立して水素及びC1-12置換基からなる群より選ばれ、V、W、Y、Zは各々独立してH、ハロゲン、該C1-12置換基、NR2、OR及びSRからなる群より選ばれ、XはH、Br、Cl、F、該C1-12置換基、NR2、OR及びSRからなる群より選ばれる。)
を有する有機化合物、又は無機塩と該有機化合物の相乗混合物を含む促進試薬の存在下に反応させるステップを含む、前記方法。
【請求項2】
前記有機化合物が、m-ハロフェニルボロン酸、m-ハロフェニルボロン酸のエステル、p-ハロフェニルボロン酸、p-ハロフェニルボロン酸のエステル、チオアニソールボロン酸、チオアニソールボロン酸のエステル、p-アセチルフェニルボロン酸、p-アセチルフェニルボロン酸のエステル、及びそれらの組合せからなる群から選択される請求項1に記載の方法。
【請求項3】
酵素反応の検出用キットであって、
検出可能に標識されたフェノール含有分子を含む結合体と、
下記構造
【化2】

(式中、Rは各々独立して水素及びC1-12置換基からなる群より選ばれ、V、W、Y、Zは各々独立してH、ハロゲン、該C1-12置換基、NR2、OR及びSRからなる群より選ばれ、XはH、Br、Cl、F、該C1-12置換基、NR2、OR及びSRからなる群より選ばれる。)
を有する有機化合物、又は無機塩と該有機化合物の相乗混合物を含む、該酵素反応の該検出を高めるための促進試薬と
を含む、前記キット。
【請求項4】
前記有機化合物が、m-ハロフェニルボロン酸、m-ハロフェニルボロン酸のエステル、p-ハロフェニルボロン酸、p-ハロフェニルボロン酸のエステル、チオアニソールボロン酸、チオアニソールボロン酸のエステル、p-アセチルフェニルボロン酸、p-アセチルフェニルボロン酸のエステル、及びそれらの組合せからなる群から選択される請求項3に記載のキット。
【請求項5】
酵素反応の検出を高めるキットであって、
使用説明書と、
下記構造
【化3】

(式中、Rは各々独立して水素及びC1-12置換基からなる群より選ばれ、V、W、Y、Zは各々独立してH、ハロゲン、該C1-12置換基、NR2、OR及びSRからなる群より選ばれ、XはH、Br、Cl、F、該C1-12置換基、NR2、OR及びSRからなる群より選ばれる。)
を有する有機化合物、又は無機塩と該有機化合物の相乗混合物を含む、該酵素反応の該検出を高めるための促進試薬と
を含む、前記キット。
【請求項6】
前記有機化合物が、m-ハロフェニルボロン酸、m-ハロフェニルボロン酸のエステル、p-ハロフェニルボロン酸、p-ハロフェニルボロン酸のエステル、チオアニソールボロン酸、チオアニソールボロン酸のエステル、p-アセチルフェニルボロン酸、p-アセチルフェニルボロン酸のエステル、及びそれらの組合せからなる群から選択される請求項5に記載のキット。

【図1−1】
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【図1−2】
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【図2】
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【公開番号】特開2009−268459(P2009−268459A)
【公開日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−189947(P2008−189947)
【出願日】平成20年7月23日(2008.7.23)
【分割の表示】特願2003−509095(P2003−509095)の分割
【原出願日】平成14年6月28日(2002.6.28)
【出願人】(504006010)パーキンエルマー ラス インコーポレイテッド (7)
【Fターム(参考)】