説明

触媒担持体

【課題】触媒機能に優れる触媒担持体の提供。
【解決手段】多孔質アルミナ担体と、前記多孔質アルミナ担体に担持された触媒とを有する、触媒担持体であって、前記多孔質アルミナ担体の表面が、平均波長5〜100μmの凹凸、平均波長0.5〜5μmの凹凸および平均波長0.01〜0.5μmの凹凸からなる群から選ばれる少なくとも一つを有する、触媒担持体。多孔質アルミナ担体の表面は、大波構造、中波構造および小波構造からなる群から選ばれる少なくとも一つを有するが、触媒効率を高くすることができる点で、これらの二つ以上を重畳して有するのが好ましく、三つすべてを重畳して有するのがより好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、触媒担持体およびそれを用いた触媒ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
金属および半導体の薄膜、細線、ドット等の技術領域では、ある特徴的な長さより小さいサイズにおいて自由電子の動きが閉じ込められることにより、電気的、光学的および化学的に特異な現象が見られることが知られている。このような現象は「量子力学的サイズ効果(量子サイズ効果)」と呼ばれている。このような特異な現象を応用した機能性材料の研究開発が、現在、盛んに行なわれている。具体的には、数百nmより微細な構造を有する材料が、「微細構造体」または「ナノ構造体」と称されており、材料開発の対象の一つとされている。
【0003】
こうした微細構造体の作製方法としては、例えば、フォトリソグラフィ、電子線露光、X線露光等の微細パターン形成技術を初めとする半導体加工技術によって直接的にナノ構造体を作製する方法が挙げられる。
【0004】
中でも、規則的な微細構造を有する微細構造体を作製する方法についての研究が注目され、多く行われている。
例えば、自己規制的に規則的な構造が形成される方法として、電解液中でアルミニウムに陽極酸化処理を施して得られる陽極酸化アルミナ膜(陽極酸化皮膜)が挙げられる。陽極酸化皮膜には、数nm程度から数百nm程度の直径を有する複数の微細孔(マイクロポア)が規則的に形成されることが知られている。この陽極酸化皮膜の自己規則化を用い、完全に規則的な配列を得ると、理論的には、マイクロポアを中心に底面が正六角形である六角柱のセルが形成され、隣接するマイクロポアを結ぶ線が正三角形を成すことが知られている。
【0005】
このようなマイクロポアを有する陽極酸化皮膜の用途例の一つとして、触媒担持体が知られている。例えば、特許文献1には、少くとも10μmのアルミニウム層を有する熱伝導性担体のアルミニウム表面に多孔質なアルミナ層を形成させ次いで50℃〜350℃で熱水処理した後、又は、熱水処理を行いながら触媒活性を有する金属を前記アルミナ層に担持せしめることを特徴とする熱伝導性触媒体の製造方法が記載されている。
【0006】
【特許文献1】特許第2528701号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、本発明者が検討したところ、特許文献1に記載されている方法で得られる触媒体は、触媒機能が低いことが分かった。
したがって、本発明は、触媒機能に優れる触媒担持体およびそれを用いた触媒ユニットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者は、上記目的を達成すべく鋭意研究した結果、多孔質アルミナ担体と前記多孔質アルミナ担体に担持された触媒とを有する触媒担持体であって、前記多孔質アルミナ担体の表面が特定の大きさの凹凸を有する触媒担持体が、触媒機能に極めて優れることを見出し、本発明を完成させた。
【0009】
即ち、本発明は、以下の(i)〜(iii)を提供する。
(i)多孔質アルミナ担体と、前記多孔質アルミナ担体に担持された触媒とを有する、触媒担持体であって、
前記多孔質アルミナ担体の表面が、平均波長5〜100μmの凹凸、平均波長0.5〜5μmの凹凸および平均波長0.01〜0.5μmの凹凸からなる群から選ばれる少なくとも一つを有する、触媒担持体。
(ii)原子間力顕微鏡を用いて、前記多孔質アルミナ担体の前記表面の50μm×50μmの範囲を512×512点測定して得られる3次元データから近似三点法により求められる実面積Sxと、幾何学的測定面積S0とから、下記式(1)により求められる表面積差ΔSが5%以上である、上記(i)に記載の触媒担持体。
【0010】
ΔS=(Sx−S0)/S0×100(%) (1)
【0011】
(iii)上記(i)または(ii)に記載の触媒担持体を有する触媒ユニット。
【発明の効果】
【0012】
本発明の触媒担持体は、触媒機能に優れる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下に、本発明を詳細に説明する。
本発明の触媒担持体は、多孔質アルミナ担体と、前記多孔質アルミナ担体に担持された触媒とを有する、触媒担持体であって、
前記多孔質アルミナ担体の表面が、平均波長5〜100μmの凹凸、平均波長0.5〜5μmの凹凸および平均波長0.01〜0.5μmの凹凸からなる群から選ばれる少なくとも一つを有する、触媒担持体である。
【0014】
<多孔質アルミナ担体>
<表面形状>
本発明に用いられる多孔質アルミナ担体は、その表面が、平均波長5〜100μmの凹凸、平均波長0.5〜5μmの凹凸および平均波長0.01〜0.5μmの凹凸からなる群から選ばれる少なくとも一つを有する。
多孔質アルミナ担体の表面がこのような凹凸を有すると、比表面積が大きくなり、その結果、後述する触媒を多く担持することができる。このため、本発明の触媒担持体は、触媒機能に優れる。従来のアルミニウム表面の多孔質アルミナ層を用いた触媒担持体(例えば、特許文献1に記載されている方法で得られる触媒体)は、本発明の触媒担持体に比べて、触媒を担持することができる量が少ない。
また、本発明の触媒担持体は、触媒担持量あたりの触媒機能に優れる。この理由は、用いられる多孔質アルミナ担体が上述したような凹凸を有するため、触媒を用いた反応系において、触媒付近の反応物質(例えば、反応ガス)やキャリヤガスの流れがよくなり、反応物質の触媒への接近が効率的に起こり、その結果、反応効率が高くなるためであると考えられる。従来のアルミニウム表面の多孔質アルミナ層を用いた触媒担持体(例えば、特許文献1に記載されている方法で得られる触媒体)は、触媒付近の反応物質やキャリヤガスの流れが悪く、反応効率が低い。
【0015】
平均波長5〜100μmの凹凸(以下「大波構造」ともいう。)は、反応物質の流れがよりよくなる点で、平均波長7〜75μmであるのが好ましく、平均波長10〜50μmであるのがより好ましい。
平均波長0.5〜5μmの凹凸(以下「中波構造」ともいう。)は、比表面積がより大きくなり、また、反応物質の流れがよりよくなる点で、平均波長0.7〜4μmであるのが好ましく、平均波長1〜3μmであるのがより好ましい。
平均波長0.01〜0.5μmの凹凸(以下「小波構造」ともいう。)は、比表面積がより大きくなる点で、平均波長0.015〜0.4μmであるのが好ましく、平均波長0.02〜0.3μmであるのがより好ましい。
多孔質アルミナ担体の表面は、上述した大波構造、中波構造および小波構造からなる群から選ばれる少なくとも一つを有するが、触媒効率をより高くすることができる点で、これらの二つ以上を重畳して有するのが好ましく、三つすべてを重畳して有するのがより好ましい。
【0016】
多孔質アルミナ担体は、原子間力顕微鏡を用いて、その表面の50μm×50μmの範囲を512×512点測定して得られる3次元データから近似三点法により求められる実面積Sxと、幾何学的測定面積(見掛け面積)S0とから、下記式(1)により求められる表面積差ΔSが、5%以上であるのが好ましく、10%以上であるのがより好ましく、20%以上であるのが更に好ましい。
【0017】
ΔS=(Sx−S0)/S0×100(%) (1)
【0018】
表面積差ΔSは、多孔質アルミナ担体の表面の凹凸の程度を示すファクターの一つである。ΔSが大きいと、後述する触媒を多く担持することができ、触媒の作用効率が高くなる。
【0019】
本発明においては、ΔSを求めるために、原子間力顕微鏡(Atomic Force Microscope:AFM)により表面形状を測定し、3次元データを求める。測定は、例えば、以下の条件で行うことができる。
即ち、多孔質アルミナ担体を1cm角の大きさに切り取って、ピエゾスキャナー上の水平な試料台にセットし、カンチレバーを試料表面にアプローチし、原子間力が働く領域に達したところで、XY方向にスキャンし、その際、試料の凹凸をZ方向のピエゾの変位でとらえる。ピエゾスキャナーは、XY方向について150μm、Z方向について10μm、走査可能なものを使用する。カンチレバーは共振周波数120〜150kHz、バネ定数12〜20N/mのもの(SI−DF20、NANOPROBE社製)を用い、DFMモード(Dynamic Force Mode)で測定する。また、求めた3次元データを最小二乗近似することにより試料のわずかな傾きを補正し基準面を求める。計測の際は、表面の50μm×50μmの範囲を512×512点測定する。XY方向の分解能は1.9μm、Z方向の分解能は1nm、スキャン速度は60μm/secとする。
【0020】
上記で求められた3次元データ(f(x,y))を用い、隣り合う3点を抽出し、その3点で形成される微小三角形の面積の総和を求め、実面積Sxとする。表面積差ΔSは、得られた実面積Sxと幾何学的測定面積S0とから、上記式(1)により求められる。
【0021】
上述した表面形状を有する多孔質アルミナ担体は、製造方法を特に限定されず、例えば、アルミニウム板に粗面化処理および陽極酸化処理を含む表面処理を施すことによって得ることができる。
【0022】
<アルミニウム板>
本発明の多孔質アルミナ担体の製造には、公知のアルミニウム板を用いることができる。本発明に用いられるアルミニウム板は、寸度的に安定なアルミニウムを主成分とする金属であり、アルミニウムまたはアルミニウム合金からなる。純アルミニウム板のほか、アルミニウムを主成分とし微量の異元素を含む合金板を用いることもできる。
【0023】
本明細書においては、上述したアルミニウムまたはアルミニウム合金からなる各種の基板をアルミニウム板と総称して用いる。前記アルミニウム合金に含まれてもよい異元素には、ケイ素、鉄、銅、マンガン、マグネシウム、クロム、亜鉛、ビスマス、ニッケル、チタン等があり、合金中の異元素の含有量は10質量%以下である。
【0024】
このように本発明に用いられるアルミニウム板は、その組成が特定されるものではなく、例えば、アルミニウムハンドブック第4版(1990年、軽金属協会発行)に記載されている従来公知の素材、例えば、JIS A1050、JIS A1100、JIS A1070、Mnを含むJIS A3004、国際登録合金 3103A等のAl−Mn系アルミニウム板を適宜利用することができる。また、引張強度を増す目的で、これらのアルミニウム合金に0.1質量%以上のマグネシウムを添加したAl−Mg系合金、Al−Mn−Mg系合金(JIS A3005)を用いることもできる。更に、ZrやSiを含むAl−Zr系合金やAl−Si系合金を用いることもできる。更に、Al−Mg−Si系合金を用いることもできる。
【0025】
JIS1050材に関しては、特開昭59−153861号、特開昭61−51395号、特開昭62−146694号、特開昭60−215725号、特開昭60−215726号、特開昭60−215727号、特開昭60−216728号、特開昭61−272367号、特開昭58−11759号、特開昭58−42493号、特開昭58−221254号、特開昭62−148295号、特開平4−254545号、特開平4−165041号、特公平3−68939号、特開平3−234594号、特公平1−47545号、特開昭62−140894号、特公平1−35910号および特公昭55−28874号の各公報に記載されている。
【0026】
JIS1070材に関しては、特開平7−81264号、特開平7−305133号、特開平8−49034号、特開平8−73974号、特開平8−108659号および特開平8−92679号の各公報に記載されている。
【0027】
Al−Mg系合金に関しては、特公昭62−5080号、特公昭63−60823号、特公平3−61753号、特開昭60−203496号、特開昭60−203497号、特公平3−11635号、特開昭61−274993号、特開昭62−23794号、特開昭63−47347号、特開昭63−47348号、特開昭63−47349号、特開昭64−1293号、特開昭63−135294号、特開昭63−87288号、特公平4−73392号、特公平7−100844号、特開昭62−149856号、特公平4−73394号、特開昭62−181191号、特公平5−76530号、特開昭63−30294号、特公平6−37116号、特開平2−215599号および特開昭61−201747号の各公報に記載されている。
【0028】
Al−Mn系合金に関しては、特開昭60−230951号、特開平1−306288号、特開平2−293189号、特公昭54−42284号、特公平4−19290号、特公平4−19291号、特公平4−19292号、特開昭61−35995号、特開昭64−51992号および特開平4−226394号の各公報、米国特許第5,009,722号明細書、同第5,028,276号明細書等に記載されている。
【0029】
Al−Mn−Mg系合金に関しては、特開昭62−86143号、特開平3−222796号、特公昭63−60824号、特開昭60−63346号、特開昭60−63347号および特開平1−293350号の各公報、欧州特許第223,737号、米国特許第4,818,300号、英国特許第1,222,777号の各明細書等に記載されている。
【0030】
Al−Zr系合金に関しては、特公昭63−15978号、特開昭61−51395号、特開昭63−143234号および特開昭63−143235号の各公報等に記載されている。
【0031】
Al−Mg−Si系合金に関しては、英国特許第1,421,710号明細書等に記載されている。
【0032】
アルミニウム合金を板材とするには、例えば、下記の方法を採用することができる。まず、所定の合金成分含有量に調整したアルミニウム合金溶湯に、常法に従い、清浄化処理を行い、鋳造する。清浄化処理には、溶湯中の水素等の不要ガスを除去するために、フラックス処理、アルゴンガス、塩素ガス等を用いる脱ガス処理、セラミックチューブフィルタ、セラミックフォームフィルタ等のいわゆるリジッドメディアフィルタや、アルミナフレーク、アルミナボール等をろ材とするフィルタや、グラスクロスフィルタ等を用いるフィルタリング処理、あるいは、脱ガス処理とフィルタリング処理を組み合わせた処理が行われる。
【0033】
これらの清浄化処理は、溶湯中の非金属介在物、酸化物等の異物による欠陥や、溶湯に溶け込んだガスによる欠陥を防ぐために実施されることが好ましい。溶湯のフィルタリングに関しては、特開平6−57432号、特開平3−162530号、特開平5−140659号、特開平4−231425号、特開平4−276031号、特開平5−311261号、特開平6−136466号の各公報等に記載されている。また、溶湯の脱ガスに関しては、特開平5−51659号公報、実開平5−49148号公報等に記載されている。本願出願人も、特開平7−40017号公報において、溶湯の脱ガスに関する技術を提案している。
【0034】
ついで、上述したように清浄化処理を施された溶湯を用いて鋳造を行う。鋳造方法に関しては、DC鋳造法に代表される固定鋳型を用いる方法と、連続鋳造法に代表される駆動鋳型を用いる方法がある。
DC鋳造においては、冷却速度が0.5〜30℃/秒の範囲で凝固する。1℃未満であると粗大な金属間化合物が多数形成されることがある。DC鋳造を行った場合、板厚300〜800mmの鋳塊を製造することができる。その鋳塊を、常法に従い、必要に応じて面削を行い、通常、表層の1〜30mm、好ましくは1〜10mmを切削する。その前後において、必要に応じて、均熱化処理を行う。均熱化処理を行う場合、金属間化合物が粗大化しないように、450〜620℃で1〜48時間の熱処理を行う。熱処理が1時間より短い場合には、均熱化処理の効果が不十分となることがある。
【0035】
その後、熱間圧延、冷間圧延を行ってアルミニウム板の圧延板とする。熱間圧延の開始温度は350〜500℃が適当である。熱間圧延の前もしくは後、またはその途中において、中間焼鈍処理を行ってもよい。中間焼鈍処理の条件は、バッチ式焼鈍炉を用いて280〜600℃で2〜20時間、好ましくは350〜500℃で2〜10時間加熱するか、連続焼鈍炉を用いて400〜600℃で6分以下、好ましくは450〜550℃で2分以下加熱するかである。連続焼鈍炉を用いて10〜200℃/秒の昇温速度で加熱して、結晶組織を細かくすることもできる。
【0036】
以上の工程によって、所定の厚さ、例えば、0.1〜0.5mmに仕上げられたアルミニウム板は、更にローラレベラ、テンションレベラ等の矯正装置によって平面性を改善してもよい。平面性の改善は、アルミニウム板をシート状にカットした後に行ってもよいが、生産性を向上させるためには、連続したコイルの状態で行うことが好ましい。また、所定の板幅に加工するため、スリッタラインを通してもよい。また、アルミニウム板同士の摩擦による傷の発生を防止するために、アルミニウム板の表面に薄い油膜を設けてもよい。油膜には、必要に応じて、揮発性のものや、不揮発性のものが適宜用いられる。
【0037】
一方、連続鋳造法としては、双ロール法(ハンター法)、3C法に代表される冷却ロールを用いる方法、双ベルト法(ハズレー法)、アルスイスキャスターII型に代表される冷却ベルトや冷却ブロックを用いる方法が、工業的に行われている。連続鋳造法を用いる場合には、冷却速度が100〜1000℃/秒の範囲で凝固する。連続鋳造法は、一般的には、DC鋳造法に比べて冷却速度が速いため、アルミマトリックスに対する合金成分固溶度を高くすることができるという特徴を有する。連続鋳造法に関しては、本願出願人によって提案された技術が、特開平3−79798号、特開平5−201166号、特開平5−156414号、特開平6−262203号、特開平6−122949号、特開平6−210406号、特開平6−26308号の各公報等に記載されている。
【0038】
連続鋳造を行った場合において、例えば、ハンター法等の冷却ロールを用いる方法を用いると、板厚1〜10mmの鋳造板を直接、連続鋳造することができ、熱間圧延の工程を省略することができるというメリットが得られる。また、ハズレー法等の冷却ベルトを用いる方法を用いると、板厚10〜50mmの鋳造板を鋳造することができ、一般的に、鋳造直後に熱間圧延ロールを配置し連続的に圧延することで、板厚1〜10mmの連続鋳造圧延板が得られる。
【0039】
これらの連続鋳造圧延板は、DC鋳造について説明したのと同様に、冷間圧延、中間焼鈍、平面性の改善、スリット等の工程を経て、所定の厚さ、例えば、0.1〜0.5mmの板厚に仕上げられる。連続鋳造法を用いた場合の中間焼鈍条件および冷間圧延条件については、本願出願人によって提案された技術が、特開平6−220593号、特開平6−210308号、特開平7−54111号、特開平8−92709号の各公報等に記載されている。
【0040】
アルミニウム板の結晶組織は、化学的粗面化処理や電気化学的粗面化処理を行った場合、アルミニウム板の表面の結晶組織が面質不良の発生の原因となることがあるので、表面においてあまり粗大でないことが好ましい。アルミニウム板の表面の結晶組織は、幅が200μm以下であるのが好ましく、100μm以下であるのがより好ましく、50μm以下であるのが更に好ましく、また、結晶組織の長さが5000μm以下であるのが好ましく、1000μm以下であるのがより好ましく、500μm以下であるのが更に好ましい。これらに関して、本願出願人によって提案された技術が、特開平6−218495号、特開平7−39906号、特開平7−124609号の各公報等に記載されている。
【0041】
アルミニウム板の合金成分分布は、化学的粗面化処理や電気化学的粗面化処理を行った場合、アルミニウム板の表面の合金成分の不均一な分布に起因して面質不良が発生することがあるので、表面においてあまり不均一でないことが好ましい。これらに関して、本願出願人によって提案された技術が、特開平6−48058号、特開平5−301478号、特開平7−132689号の各公報等に記載されている。
【0042】
アルミニウム板の金属間化合物は、その金属間化合物のサイズや密度が、化学的粗面化処理や電気化学的粗面化処理に影響を与える場合がある。これらに関して、本願出願人によって提案された技術が、特開平7−138687号、特開平4−254545号の各公報等に記載されている。
【0043】
本発明においては、上記に示されるようなアルミニウム板をその最終圧延工程等において、積層圧延、転写等により凹凸を形成させて用いることもできる。
【0044】
本発明に用いられるアルミニウム板は、アルミニウムウェブであってもよく、枚葉状シートであってもよい。
アルミニウムウェブの場合、アルミニウムの荷姿としては、例えば、鉄製パレットにハードボードとフェルトとを敷き、製品両端に段ボールドーナツ板を当て、ポリチュ−ブで全体を包み、コイル内径部に木製ドーナツを挿入し、コイル外周部にフェルトを当て、帯鉄で絞め、その外周部に表示を行う。また、包装材としては、ポリエチレンフィルム、緩衝材としては、ニードルフェルト、ハードボードを用いることができる。この他にもいろいろな形態があるが、安定して、キズも付かず運送等が可能であればこの方法に限るものではない。
【0045】
本発明に用いられるアルミニウム板の厚みは、0.1〜0.6mm程度であり、0.15〜0.4mmであるのが好ましく、0.2〜0.3mmであるのがより好ましい。この厚さは、ユーザーの希望等により適宜変更することができる。
【0046】
<表面処理>
多孔質アルミナ担体を製造する際の表面処理は、粗面化処理および陽極酸化処理を含む。この多孔質アルミナ担体の製造工程は、粗面化処理および陽極酸化処理以外の各種の工程を含んでいてもよい。
上述した表面形状を形成させるための代表的方法として、アルミニウム板に機械的粗面化処理、アルカリエッチング処理、酸によるデスマット処理および電解液を用いた電気化学的粗面化処理を順次施す方法、アルミニウム板に機械的粗面化処理、アルカリエッチング処理、酸によるデスマット処理および異なる電解液を用いた電気化学的粗面化処理を複数回施す方法、アルミニウム板にアルカリエッチング処理、酸によるデスマット処理および電解液を用いた電気化学的粗面化処理を順次施す方法、アルミニウム板にアルカリエッチング処理、酸によるデスマット処理および異なる電解液を用いた電気化学的粗面化処理を複数回施す方法が挙げられるが、本発明はこれらに限定されない。これらの方法において、前記電気化学的粗面化処理の後、更に、アルカリエッチング処理および酸によるデスマット処理を施してもよい。
【0047】
中でも、他の処理(アルカリエッチング処理等)の条件にもよるが、大波構造、中波構造および小波構造が重畳した表面形状を形成させるには、機械的粗面化処理、硝酸を主体とする電解液を用いた電気化学的粗面化処理および塩酸を主体とする電解液を用いた電気化学的粗面化処理を順次施す方法が好適に挙げられる。また、大波構造および小波構造が重畳した表面形状を形成させるには、塩酸を主体とする電解液を用い、アノード反応にあずかる電気量の総和を大きくした電気化学的粗面化処理のみを施す方法が好適に挙げられる。
【0048】
以下、表面処理の各工程について、詳細に説明する。
【0049】
<機械的粗面化処理>
機械的粗面化処理は、電気化学的粗面化処理と比較して、より安価に、平均波長5〜100μmの凹凸のある表面を形成することができるため、大波構造を形成させる粗面化処理の手段として有効である。
機械的粗面化処理方法としては、例えば、アルミニウム表面を金属ワイヤーでひっかくワイヤーブラシグレイン法、研磨球と研磨剤でアルミニウム表面を砂目立てするボールグレイン法、特開平6−135175号公報および特公昭50−40047号公報に記載されているナイロンブラシと研磨剤で表面を砂目立てするブラシグレイン法を用いることができる。
また、凹凸面をアルミニウム板に圧接する転写方法を用いることもできる。即ち、特開昭55−74898号、特開昭60−36195号、特開昭60−203496号の各公報に記載されている方法のほか、転写を数回行うことを特徴とする特開平6−55871号公報、表面が弾性であることを特徴とする特開平6−24168号公報に記載されている方法も適用可能である。
また、放電加工、ショットブラスト、レーザ、プラズマエッチング等を用いて、微細な凹凸を食刻した転写ロールを用いて繰り返し転写を行う方法や、微細粒子を塗布した凹凸のある面を、アルミニウム板に接面させ、その上より複数回繰り返し圧力を加え、アルミニウム板に微細粒子の平均直径に相当する凹凸パターンを複数回繰り返し転写させる方法を用いることもできる。転写ロールへ微細な凹凸を付与する方法としては、特開平3−8635号、特開平3−66404号、特開昭63−65017号の各公報等に記載されている公知の方法を用いることができる。また、ロール表面にダイス、バイト、レーザ等を使って2方向から微細な溝を切り、表面に角形の凹凸をつけてもよい。このロール表面には、公知のエッチング処理等を行って、形成させた角形の凹凸が丸みを帯びるような処理を行ってもよい。
また、表面の硬度を上げるために、焼き入れ、ハードクロムメッキ等を行ってもよい。
そのほかにも、機械的粗面化処理としては、特開昭61−162351号公報、特開昭63−104889号公報等に記載されている方法を用いることもできる。
本発明においては、生産性等を考慮して上述したそれぞれの方法を併用することもできる。これらの機械的粗面化処理は、電気化学的粗面化処理の前に行うのが好ましい。
【0050】
以下、機械的粗面化処理として好適に用いられるブラシグレイン法について説明する。ブラシグレイン法は、一般に、円柱状の胴の表面に、ナイロン(商標)、プロピレン、塩化ビニル樹脂等の合成樹脂からなる合成樹脂毛等のブラシ毛を多数植設したローラ状ブラシを用い、回転するローラ状ブラシに研磨剤を含有するスラリー液を噴きかけながら、上記アルミニウム板の表面の一方または両方を擦ることにより行う方法である。上記ローラ状ブラシおよびスラリー液の代わりに、表面に研磨層を設けたローラである研磨ローラを用いることもできる。ローラ状ブラシを用いる場合、曲げ弾性率が好ましくは10,000〜40,000kgf/cm2、より好ましくは15,000〜35,000kgf/cm2であり、かつ、毛腰の強さが好ましくは500gf以下、より好ましくは400gf以下であるブラシ毛を用いる。ブラシ毛の直径は、一般的には、0.2〜0.9mmである。ブラシ毛の長さは、ローラ状ブラシの外径および胴の直径に応じて適宜決定することができるが、一般的には、10〜100mmである。
【0051】
研磨剤は公知の物を用いることができる。例えば、パミストン、ケイ砂、水酸化アルミニウム、アルミナ粉、炭化ケイ素、窒化ケイ素、火山灰、カーボランダム、金剛砂等の研磨剤;これらの混合物を用いることができる。中でも、パミストン、ケイ砂が好ましい。特に、ケイ砂は、パミストンに比べて硬く、壊れにくいので粗面化効率に優れる点で好ましい。研磨剤の平均粒径は、粗面化効率に優れ、かつ、砂目立てピッチを狭くすることができる点で、3〜50μmであるのが好ましく、6〜45μmであるのがより好ましい。研磨剤は、例えば、水中に懸濁させて、スラリー液として用いる。スラリー液には、研磨剤のほかに、増粘剤、分散剤(例えば、界面活性剤)、防腐剤等を含有させることができる。スラリー液の比重は0.5〜2であるのが好ましい。
【0052】
機械的粗面化処理に適した装置としては、例えば、特公昭50−40047号公報に記載された装置を挙げることができる。
【0053】
<電気化学的粗面化処理>
電気化学的粗面化処理(以下「電解粗面化処理」ともいう。)には、通常の交流を用いた電気化学的粗面化処理に用いられる電解液を用いることができる。中でも、塩酸または硝酸を主体とする電解液を用いるのが、上述した表面形状を得やすいので好ましい。
【0054】
電解粗面化処理は、例えば、特公昭48−28123号公報および英国特許第896,563号明細書に記載されている電気化学的グレイン法(電解グレイン法)に従うことができる。この電解グレイン法は、正弦波形の交流電流を用いるものであるが、特開昭52−58602号公報に記載されているような特殊な波形を用いて行ってもよい。また、特開平3−79799号公報に記載されている波形を用いることもできる。また、特開昭55−158298号、特開昭56−28898号、特開昭52−58602号、特開昭52−152302号、特開昭54−85802号、特開昭60−190392号、特開昭58−120531号、特開昭63−176187号、特開平1−5889号、特開平1−280590号、特開平1−118489号、特開平1−148592号、特開平1−178496号、特開平1−188315号、特開平1−154797号、特開平2−235794号、特開平3−260100号、特開平3−253600号、特開平4−72079号、特開平4−72098号、特開平3−267400号、特開平1−141094の各公報に記載されている方法も適用できる。また、前述のほかに、電解コンデンサーの製造方法として提案されている特殊な周波数の交番電流を用いて電解することも可能である。例えば、米国特許第4,276,129号明細書および同第4,676,879号明細書に記載されている。
【0055】
電解槽および電源については、種々提案されているが、米国特許第4203637号明細書、特開昭56−123400号、特開昭57−59770号、特開昭53−12738号、特開昭53−32821号、特開昭53−32822号、特開昭53−32823号、特開昭55−122896号、特開昭55−132884号、特開昭62−127500号、特開平1−52100号、特開平1−52098号、特開昭60−67700号、特開平1−230800号、特開平3−257199号の各公報等に記載されているものを用いることができる。また、特開昭52−58602号、特開昭52−152302号、特開昭53−12738号、特開昭53−12739号、特開昭53−32821号、特開昭53−32822号、特開昭53−32833号、特開昭53−32824号、特開昭53−32825号、特開昭54−85802号、特開昭55−122896号、特開昭55−132884号、特公昭48−28123号、特公昭51−7081号、特開昭52−133838号、特開昭52−133840号号、特開昭52−133844号、特開昭52−133845号、特開昭53−149135号、特開昭54−146234号の各公報等に記載されているもの等も用いることができる。
【0056】
電解液である酸性溶液としては、硝酸、塩酸のほかに、米国特許第4,671,859号、同第4,661,219号、同第4,618,405号、同第4,600,482号、同第4,566,960号、同第4,566,958号、同第4,566,959号、同第4,416,972号、同第4,374,710号、同第4,336,113号、同第4,184,932号の各明細書等に記載されている電解液を用いることもできる。
【0057】
酸性溶液の濃度は0.5〜2.5質量%であるのが好ましいが、上記のスマット除去処理での使用を考慮すると、0.7〜2.0質量%であるのが特に好ましい。また、液温は20〜80℃であるのが好ましく、30〜60℃であるのがより好ましい。
【0058】
塩酸または硝酸を主体とする水溶液は、濃度1〜100g/Lの塩酸または硝酸の水溶液に、硝酸アルミニウム、硝酸ナトリウム、硝酸アンモニウム等の硝酸イオンを有する硝酸化合物または塩化アルミニウム、塩化ナトリウム、塩化アンモニウム等の塩酸イオンを有する塩酸化合物の少なくとも一つを1g/Lから飽和するまでの範囲で添加して使用することができる。また、塩酸または硝酸を主体とする水溶液には、鉄、銅、マンガン、ニッケル、チタン、マグネシウム、シリカ等のアルミニウム合金中に含まれる金属が溶解していてもよい。好ましくは、塩酸または硝酸の濃度0.5〜2質量%の水溶液にアルミニウムイオンが3〜50g/Lとなるように、塩化アルミニウム、硝酸アルミニウム等を添加した液を用いることが好ましい。
【0059】
更に、Cuと錯体を形成しうる化合物を添加して使用することによりCuを多く含有するアルミニウム板に対しても均一な砂目立てが可能になる。Cuと錯体を形成しうる化合物としては、例えば、アンモニア;メチルアミン、エチルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、トリメチルアミン、シクロヘキシルアミン、トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、EDTA(エチレンジアミン四酢酸)等のアンモニアの水素原子を炭化水素基(脂肪族、芳香族等)等で置換して得られるアミン類;炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム等の金属炭酸塩類が挙げられる。また、硝酸アンモニウム、塩化アンモニウム、硫酸アンモニウム、リン酸アンモニウム、炭酸アンモニウム等のアンモニウム塩も挙げられる。温度は10〜60℃が好ましく、20〜50℃がより好ましい。
【0060】
電気化学的粗面化処理に用いられる交流電源波は、特に限定されず、サイン波、矩形波、台形波、三角波等が用いられるが、矩形波または台形波が好ましく、台形波が特に好ましい。台形波とは、図1に示したものをいう。この台形波において電流がゼロからピークに達するまでの時間(TP)は1〜3msecであるのが好ましい。1msec未満であると、アルミニウム板の進行方向と垂直に発生するチャタマークという処理ムラが発生しやすい。TPが3msecを超えると、特に硝酸電解液を用いる場合、電解処理で自然発生的に増加するアンモニウムイオン等に代表される電解液中の微量成分の影響を受けやすくなり、均一な砂目立てが行われにくくなる。
【0061】
台形波交流のduty比は1:2〜2:1のものが使用可能であるが、特開平5−195300号公報に記載されているように、アルミニウムにコンダクタロールを用いない間接給電方式においてはduty比が1:1のものが好ましい。台形波交流の周波数は0.1〜120Hzのものを用いることが可能であるが、50〜70Hzが設備上好ましい。50Hzよりも低いと、主極のカーボン電極が溶解しやすくなり、また、70Hzよりも高いと、電源回路上のインダクタンス成分の影響を受けやすくなり、電源コストが高くなる。
【0062】
電解槽には1個以上の交流電源を接続することができる。主極に対向するアルミニウム板に加わる交流の陽極と陰極との電流比をコントロールし、均一な砂目立てを行うことと、主極のカーボンを溶解することとを目的として、図2に示したように、補助陽極を設置し、交流電流の一部を分流させることが好ましい。図2において、11はアルミニウム板であり、12はラジアルドラムローラであり、13aおよび13bは主極であり、14は電解処理液であり、15は電解液供給口であり、16はスリットであり、17は電解液通路であり、18は補助陽極であり、19aおよび19bはサイリスタであり、20は交流電源であり、40は主電解槽であり、50は補助陽極槽である。整流素子またはスイッチング素子を介して電流値の一部を二つの主電極とは別の槽に設けた補助陽極に直流電流として分流させることにより、主極に対向するアルミニウム板上で作用するアノード反応にあずかる電流値と、カソード反応にあずかる電流値との比を制御することができる。主極に対向するアルミニウム板上で、陰極反応と陽極反応とにあずかる電気量の比(陰極時電気量/陽極時電気量)は、0.3〜0.95であるのが好ましい。
【0063】
電解槽は、縦型、フラット型、ラジアル型等の公知の表面処理に用いる電解槽が使用可能であるが、特開平5−195300号公報に記載されているようなラジアル型電解槽が特に好ましい。電解槽内を通過する電解液は、アルミニウムウェブの進行方向に対してパラレルであってもカウンターであってもよい。
【0064】
(硝酸電解)
硝酸を主体とする電解液を用いた電気化学的粗面化処理により、平均波長0.5〜5μmの凹凸を形成させることができる。ただし、電気量を比較的多くしたときは、電解反応が集中し、波長5μmを超える凹凸も生成する。
このような表面形状を得るためには、電解反応が終了した時点でのアルミニウム板のアノード反応にあずかる電気量の総和が、1〜1000C/dm2であるのが好ましく、50〜300C/dm2であるのがより好ましい。この際の電流密度は20〜100A/dm2であるのが好ましい。
また、例えば、高濃度、例えば、硝酸濃度15〜35質量%の硝酸電解液を用いて30〜60℃で電解を行ったり、硝酸濃度0.7〜2質量%の硝酸電解液を用いて高温、例えば、80℃以上で電解を行ったりすることで、平均波長0.20μm以下の小波構造を形成させることもできる。その結果、ΔSを大きくすることができる。
【0065】
(塩酸電解)
塩酸はそれ自身のアルミニウム溶解力が強いため、わずかな電解を加えるだけで表面に微細な凹凸を形成させることが可能である。この微細な凹凸は、平均波長が0.01〜0.2μmであり、アルミニウム板の表面の全面に均一に生成する。
このような表面形状を得るためには電解反応が終了した時点でのアルミニウム板のアノード反応にあずかる電気量の総和が、1〜100C/dm2であるのが好ましく、20〜70C/dm2であるのがより好ましい。この際の電流密度は20〜50A/dm2であるのが好ましい。
【0066】
このような塩酸を主体とする電解液での電気化学的粗面化処理では、アノード反応にあずかる電気量の総和を400〜2000C/dm2と大きくすることでクレーター状の大きなうねりを同時に形成することも可能である。この場合は平均波長10〜30μmのクレーター状のうねりに重畳して平均波長0.01〜0.4μmの微細な凹凸が全面に生成する。この場合、平均波長0.5〜5μmの中波構造は生成しない。
【0067】
ΔSを大きくするには、小さな凹凸を表面に多数設けることが有効である。このように小さな凹凸を表面に多数設ける方法としては、例えば、塩酸を主体とする電解液を用いた電解粗面化処理、高濃度かつ高温の硝酸を主体とする電解液を用いた電解粗面化処理が好適に挙げられる。機械的粗面化処理や、通常の硝酸を主体とする電解液を用いた電解粗面化処理によってもΔSは大きくなるが、その程度は小さい。
【0068】
上記の硝酸、塩酸等の電解液中で行われる電解粗面化処理の前および/または後に、アルミニウム板に陰極電解処理を行うことが好ましい。この陰極電解処理により、アルミニウム板表面にスマットが生成するとともに、水素ガスが発生してより均一な電解粗面化処理が可能となる。
陰極電解処理は、酸性溶液中で陰極電気量が好ましくは3〜80C/dm2、より好ましくは5〜30C/dm2で行われる。陰極電気量が3C/dm2未満であると、スマット付着量が不足する場合があり、また、80C/dm2を超えると、スマット付着量が過剰となる場合がある。電解液は、電解粗面化処理で使用する溶液と同一であっても異なっていてもよい。
【0069】
<アルカリエッチング処理>
アルカリエッチング処理は、上記アルミニウム板をアルカリ溶液に接触させることにより、表層を溶解させる処理である。
電解粗面化処理より前に行われるアルカリエッチング処理は、機械的粗面化処理を行っていない場合には、アルミニウム板(圧延アルミ)の表面の圧延油、汚れ、自然酸化皮膜等を除去することを目的として、また、既に機械的粗面化処理を行っている場合には、機械的粗面化処理によって生成した凹凸のエッジ部分を溶解させ、急峻な凹凸を滑らかなうねりを持つ表面に変えることを目的として行われる。
【0070】
アルカリエッチング処理の前に機械的粗面化処理を行わない場合、エッチング量は、0.1〜10g/m2であるのが好ましく、1〜5g/m2であるのがより好ましい。エッチング量が0.1g/m2未満であると、表面の圧延油、汚れ、自然酸化皮膜等が残存する場合があるため、後段の電解粗面化処理において均一な凹凸生成ができずムラが発生してしまう場合がある。一方、エッチング量が1〜10g/m2であると、表面の圧延油、汚れ、自然酸化皮膜等の除去が十分に行われる。上記範囲を超えるエッチング量とするのは、経済的に不利となる。
【0071】
アルカリエッチング処理の前に機械的粗面化処理を行う場合、エッチング量は、3〜20g/m2であるのが好ましく、5〜15g/m2であるのがより好ましい。エッチング量が3g/m2未満であると、機械的粗面化処理等によって形成された凹凸を平滑化できない場合があり、後段の電解粗面化処理において均一な凹凸形成ができない場合がある。一方、エッチング量が20g/m2を超えると、凹凸構造が消滅してしまう場合がある。
【0072】
電解粗面化処理の直後に行うアルカリエッチング処理は、酸性電解液中で生成したスマットを溶解させることと、電解粗面化処理により形成された凹凸のエッジ部分を溶解させることを目的として行われる。電解粗面化処理で形成される凹凸は電解液の種類によって異なるためにその最適なエッチング量も異なるが、電解粗面化処理後に行うアルカリエッチング処理のエッチング量は、0.1〜5g/m2であるのが好ましい。硝酸電解液を用いた場合、塩酸電解液を用いた場合よりもエッチング量は多めに設定する必要がある。電解粗面化処理が複数回行われる場合には、それぞれの処理後に、必要に応じてアルカリエッチング処理を行うことができる。
【0073】
アルカリ溶液に用いられるアルカリとしては、例えば、カセイアルカリ、アルカリ金属塩が挙げられる。具体的には、カセイアルカリとしては、例えば、カセイソーダ、カセイカリが挙げられる。また、アルカリ金属塩としては、例えば、タケイ酸ソーダ、ケイ酸ソーダ、メタケイ酸カリ、ケイ酸カリ等のアルカリ金属ケイ酸塩;炭酸ソーダ、炭酸カリ等のアルカリ金属炭酸塩;アルミン酸ソーダ、アルミン酸カリ等のアルカリ金属アルミン酸塩;グルコン酸ソーダ、グルコン酸カリ等のアルカリ金属アルドン酸塩;第二リン酸ソーダ、第二リン酸カリ、第三リン酸ソーダ、第三リン酸カリ等のアルカリ金属リン酸水素塩が挙げられる。中でも、エッチング速度が速い点および安価である点から、カセイアルカリの溶液、および、カセイアルカリとアルカリ金属アルミン酸塩との両者を含有する溶液が好ましい。特に、カセイソーダの水溶液が好ましい。
【0074】
アルカリ溶液の濃度は、エッチング量に応じて決定することができるが、1〜50質量%であるのが好ましく、10〜35質量%であるのがより好ましい。アルカリ溶液中にアルミニウムイオンが溶解している場合には、アルミニウムイオンの濃度は、0.01〜10質量%であるのが好ましく、3〜8質量%であるのがより好ましい。アルカリ溶液の温度は20〜90℃であるのが好ましい。処理時間は1〜120秒であるのが好ましい。
【0075】
アルミニウム板をアルカリ溶液に接触させる方法としては、例えば、アルミニウム板をアルカリ溶液を入れた槽の中を通過させる方法、アルミニウム板をアルカリ溶液を入れた槽の中に浸せきさせる方法、アルカリ溶液をアルミニウム板の表面に噴きかける方法が挙げられる。
【0076】
<デスマット処理>
電解粗面化処理またはアルカリエッチング処理を行った後、表面に残留する汚れ(スマット)を除去するために酸洗い(デスマット処理)が行われるのが好ましい。
用いられる酸としては、例えば、硝酸、硫酸、リン酸、クロム酸、フッ化水素酸、ホウフッ化水素酸が挙げられる。上記デスマット処理は、例えば、上記アルミニウム板を塩酸、硝酸、硫酸等の濃度0.5〜30質量%の酸性溶液(アルミニウムイオン0.01〜5質量%を含有する。)に接触させることにより行う。アルミニウム板を酸性溶液に接触させる方法としては、例えば、アルミニウム板を酸性溶液を入れた槽の中を通過させる方法、アルミニウム板を酸性溶液を入れた槽の中に浸せきさせる方法、酸性溶液をアルミニウム板の表面に噴きかける方法が挙げられる。デスマット処理においては、酸性溶液として、上述した電解粗面化処理において排出される硝酸を主体とする水溶液もしくは塩酸を主体とする水溶液の廃液、または、後述する陽極酸化処理において排出される硫酸を主体とする水溶液の廃液を用いることができる。デスマット処理の液温は、25〜90℃であるのが好ましい。また、処理時間は、1〜180秒であるのが好ましい。デスマット処理に用いられる酸性溶液には、アルミニウムおよびアルミニウム合金成分が溶け込んでいてもよい。
【0077】
<陽極酸化処理>
以上のように処理されたアルミニウム板に、更に、陽極酸化処理を施す。陽極酸化処理により、ポア(マイクロポア)と呼ばれる孔を多数有するアルミナからなる多孔質皮膜(陽極酸化皮膜)がアルミニウム板の表面に形成され、多孔質アルミナ担体が得られる。
【0078】
陽極酸化処理は、従来行われている方法で行うことができる。この場合、例えば、硫酸濃度50〜300g/Lで、アルミニウム濃度5質量%以下の溶液中で、アルミニウム板を陽極として通電して陽極酸化皮膜を形成させることができる。陽極酸化処理に用いられる溶液としては、硫酸、リン酸、クロム酸、シュウ酸、スルファミン酸、ベンゼンスルホン酸、アミドスルホン酸等を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0079】
この際、少なくともアルミニウム板、電極、水道水、地下水等に通常含まれる成分が電解液中に含まれていても構わない。更には、第2、第3の成分が添加されていても構わない。ここでいう第2、第3の成分としては、例えば、Na、K、Mg、Li、Ca、Ti、Al、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn等の金属のイオン;アンモニウムイオン等の陽イオン;硝酸イオン、炭酸イオン、塩化物イオン、リン酸イオン、フッ化物イオン、亜硫酸イオン、チタン酸イオン、ケイ酸イオン、ホウ酸イオン等の陰イオンが挙げられ、0〜10000ppm程度の濃度で含まれていてもよい。
【0080】
陽極酸化処理の条件は、使用される電解液によって種々変化するので一概に決定され得ないが、一般的には電解液濃度1〜80質量%、液温5〜70℃、電流密度0.5〜60A/dm2、電圧1〜100V、電解時間15秒〜50分であるのが適当であり、所望の陽極酸化皮膜量となるように調整される。
【0081】
また、特開昭54−81133号、特開昭57−47894号、特開昭57−51289号、特開昭57−51290号、特開昭57−54300号、特開昭57−136596号、特開昭58−107498号、特開昭60−200256号、特開昭62−136596号、特開昭63−176494号、特開平4−176897号、特開平4−280997号、特開平6−207299号、特開平5−24377号、特開平5−32083号、特開平5−125597号、特開平5−195291号の各公報等に記載されている方法を使用することもできる。
【0082】
中でも、特開昭54−12853号公報および特開昭48−45303号公報に記載されているように、電解液として硫酸溶液を用いるのが好ましい。電解液中の硫酸濃度は、10〜300g/Lであるのが好ましく、また、アルミニウムイオン濃度は、1〜25g/Lであるのが好ましく、2〜10g/Lであるのがより好ましい。このような電解液は、例えば、硫酸濃度が50〜200g/Lである希硫酸に硫酸アルミニウム等を添加することにより調製することができる。
【0083】
硫酸を含有する電解液中で陽極酸化処理を行う場合には、アルミニウム板と対極との間に直流を印加してもよく、交流を印加してもよい。アルミニウム板に直流を印加する場合においては、電流密度は、1〜60A/dm2であるのが好ましく、5〜40A/dm2であるのがより好ましい。連続的に陽極酸化処理を行う場合には、アルミニウム板の一部に電流が集中していわゆる「焼け」が生じないように、陽極酸化処理の開始当初は、5〜10A/dm2の低電流密度で電流を流し、陽極酸化処理が進行するにつれ、30〜50A/dm2またはそれ以上に電流密度を増加させるのが好ましい。連続的に陽極酸化処理を行う場合には、アルミニウム板に、電解液を介して給電する液給電方式により行うのが好ましい。
【0084】
陽極酸化皮膜に存在するマイクロポアは、通常、その平均ポア径が5〜50nm程度であり、平均ポア密度が300〜800個/μm2程度である。
【0085】
陽極酸化皮膜の量は1〜5g/m2であるのが好ましい。1g/m2未満であると本発明に関する多孔質アルミナ担体に傷が入りやすくなり、一方、5g/m2を超えると製造に多大な電力が必要となり、経済的に不利となる。陽極酸化皮膜の量は、1.5〜4g/m2であるのがより好ましい。また、アルミニウム板の中央部と縁部近傍との間の陽極酸化皮膜量の差が1g/m2以下になるように行うのが好ましい。
【0086】
陽極酸化処理に用いられる電解装置としては、特開昭48−26638号、特開昭47−18739号、特公昭58−24517号の各公報等に記載されているものを用いることができる。中でも、図3に示す装置が好適に用いられる。図3は、アルミニウム板の表面を陽極酸化処理する装置の一例を示す概略図である。陽極酸化処理装置410において、アルミニウム板416は、図3中矢印で示すように搬送される。電解液418が貯溜された給電槽412にてアルミニウム板416は給電電極420によって(+)に荷電される。そして、アルミニウム板416は、給電槽412においてローラ422によって上方に搬送され、ニップローラ424によって下方に方向変換された後、電解液426が貯溜された電解処理槽414に向けて搬送され、ローラ428によって水平方向に方向転換される。ついで、アルミニウム板416は、電解電極430によって(−)に荷電されることにより、その表面に陽極酸化皮膜が形成され、電解処理槽414を出たアルミニウム板416は後工程に搬送される。前記陽極酸化処理装置410において、ローラ422、ニップローラ424およびローラ428によって方向転換手段が構成され、アルミニウム板416は、給電槽412と電解処理槽414との槽間部において、前記ローラ422、424および428により、山型および逆U字型に搬送される。給電電極420と電解電極430とは、直流電源434に接続されている。
【0087】
図3の陽極酸化処理装置410の特徴は、給電槽412と電解処理槽414とを1枚の槽壁432で仕切り、アルミニウム板416を槽間部において山型および逆U字型に搬送したことにある。これによって、槽間部におけるアルミニウム板416の長さを最短にすることができる。よって、陽極酸化処理装置410の全体長を短くできるので、設備費を低減することができる。また、アルミニウム板416を山型および逆U字型に搬送することによって、各槽412および414の槽壁432にアルミニウム板416を通過させるための開口部を形成する必要がなくなる。よって、各槽412および414内の液面高さを必要レベルに維持するのに要する送液量を抑えることができるので、稼働費を低減することができる。
【0088】
<封孔処理>
本発明においては、必要に応じて陽極酸化皮膜に存在するマイクロポアを封じる封孔処理を行ってもよい。封孔処理は、沸騰水処理、熱水処理、蒸気処理、ケイ酸ソーダ処理、亜硝酸塩処理、酢酸アンモニウム処理等の公知の方法に従って行うことができる。例えば、特公昭56−12518号公報、特開平4−4194号公報、特開平5−202496号公報、特開平5−179482号公報等に記載されている装置および方法で封孔処理を行ってもよい。
【0089】
<水洗処理>
上述した各処理の工程終了後には水洗を行うのが好ましい。水洗には、純水、井水、水道水等を用いることができる。処理液の次工程への持ち込みを防ぐためにニップ装置を用いてもよい。
【0090】
<触媒>
本発明に用いられる触媒は、特に限定されない。具体的には、以下のものが好適に例示される。
【0091】
AlCl3およびAlBr3(代表的な触媒反応/用途(以下同じ。):アルキル化、骨格異方化、アシル化(Friedel−Crafts反応))、Al23(アルコール脱水、オレフィン異方化、パラフィン−重水素交換、担体)、SiO2(担体)、SiO2−Al23(クラッキング、異性化、アルキル化)、ゼオライト(クラッキング、異性化、アルキル化、MTG、担体)、SiO2−NiO(エチレン二量化)、活性炭(担体)、PbO/Al23(トルエン酸化的二量化)、LaCoO3(燃焼触媒)、H3PO4およびH427(重合、異性化、アルキル化、水和)、Bi23−MoO3(酸化、アンモ酸化)、Sb25、SbO5−Fe23およびSnO2−Sb25(酸化、アンモ酸化、脱水素化)、Cu(メタノール酸化、アクリロニトリル水和→アクリルアミド)、Cu2O−Cr23(CO水素化、脱水素、水素化分解(エーテル→アルコール)、Cu−Cr23−ZnO(アセチレン+アルデヒド→アルキノール)、Cu−ZnO(低温COシフト反応、メタノール合成)、Cu/SiO2(ニトロベンゼン→アニリン)、CuCl2(エチレンのオキシ塩基化)、Ag/α−Al23(エチレン→酸化エチレン、メタノール→ホルムアルデヒド)、ZnO(アルコール脱水、水素化)、ZnO−Cr23(メタノール合成)、ZnCl2(ROH+HX→RX+H2O)、ZnO−Al23−CaO(エチルベンゼン脱水素化)、TiO2(担体)、TiCl4・Al(C253(オレフィン重合)、Pt/TiO2(水の光分解)、V25(o−キシレン、ベンゼン、SO2酸化)、V25−P25(ブタン酸化→無水マレイン酸)、V25/TiO2(NOx還元)、Cr23(脱水素、水素化)、Cr23/Al23(脱水素)、MoO3(メタセシス、脱水素環化、水素化、酸化)、MoO3−SnO2(プロピレン酸化、アンモ酸化)、Co・Mo/Al23(水素化脱硫)、Ni・Mo/Al23(水素化脱窒素)、MoS2(水素化、オレフィン異性化)、Mo−Bi−O(イソブテン酸化→メタクロレイン、イソブテンアンモ酸化→メタクリロニトリル)、MoO3−Fe23(メタノール酸化)、H3PMo1240(オレフィン水和、アルコール脱水、イソ酪酸の脱水素)、WO3(メタセシス、脱水素環化、酸化)、H3PW1240(オレフィン水和、アルコール脱水)、MnO2(CO酸化、N2O分解)、Fe−K2O−Al23(アンモニア合成、Fischer−Tropsch合成)、Fe23−Cr23(高温COシフト反応)、Fe23−Cr23−K2O(エチルベンゼン酸化脱水素化)、Fe23(エチルベンゼン酸化脱水素化、NOx還元)、Co(Fischer−Tropsch合成)、Co/活性炭(エチレン二量化)、Co34(酸化)、Coカルボニル錯体(オレフィンのヒドロホルミル化)、Ni(Raney Ni)(水素化)、Ni/担体(水素化、水蒸気改質、メタネーション)、修飾Ni(不斉水素化)、Pt(水素化、脱水素、酸化)、Pt/Al23(石油の改質)、Pt−Rh−Pd/担体(自動車排ガス浄化)、Pd(水素化)、Pd/SiO2,Al23(部分水素化)、PdCl2−CuCl2(オレフィン酸化(Wacker法))、Re(水素化、酸化)、Re−Pt/Al23(石油の改質)、Re27/Al23(メタセシス)、Ru(水素化、アンモニア合成)、Ru/Al23(メタネーション、Fischer−Tropsch合成)、Rh(CO水素化)、Rh錯体(ヒドロホミル化、CO水素化(含酸素化合物合成))。
【0092】
耐熱性が求められる触媒の用途としては、例えば、自動車排ガス浄化、高温COシフト反応、脱水素反応等が挙げられる。中でも、自動車排ガス浄化用として用いられるPt系触媒を用いた場合、極めて有用である。
【0093】
本発明の触媒担持体においては、上述した触媒が、上述した多孔質アルミナ担体に担持されている。
担持の方法は、特に限定されず、例えば、従来公知の方法を用いることができる。
具体的には、例えば、電着法;触媒粒子の分散液を、陽極酸化皮膜を有するアルミニウム部材に塗布し乾燥させる方法が好適に挙げられる。触媒は、単一粒子または凝集体であるのが好ましい。
電着法は、従来公知の方法を用いることができる。具体的には、例えば、金電着法の場合、1g/LのHAuCl4と7g/LのH2SO4を含有する30℃の分散液に、アルミニウム部材を浸せきさせ、11Vの定電圧(スライダックで調整)で、5〜6分間電着処理する方法が挙げられる。
電着法としては、現代化学,1997年1月号,p.51−54に銅、スズおよびニッケルを用いた例が詳細に記載されており、この方法を用いることもできる。
【0094】
触媒粒子を用いる方法に用いられる分散液は、従来公知の方法により得ることができる。例えば、低真空蒸発法による微粒子の作製方法、触媒塩の水溶液を還元する触媒コロイド作製方法により得ることができる。
触媒コロイド粒子は、平均粒径が1〜200nmであるのが好ましく、1〜100nmであるのがより好ましく、2〜80nmであるのが更に好ましい。
分散液に用いられる分散媒としては、水が好適に用いられる。また、水と混合しうる溶剤、例えば、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、i−プロピルアルコール、1−ブチルアルコール、2−ブチルアルコール、t−ブチルアルコール、メチルセルソルブ、ブチルセルソルブ等のアルコールと、水との混合溶媒も用いることができる。
【0095】
触媒コロイド粒子を用いる方法において、塗布方法は特に限定されず、例えば、バーコーター塗布、回転塗布、スプレー塗布、カーテン塗布、浸せき塗布、エアーナイフ塗布、ブレード塗布、ロール塗布等が挙げられる。
【0096】
触媒コロイド粒子を用いる方法に用いられる分散液としては、例えば、金コロイド粒子の分散液、銀コロイド粒子の分散液が好適に用いられる。
金コロイド粒子の分散液としては、例えば、特開平2001−89140号公報および特開平11−80647号公報に記載されているものを用いることができる。また、市販品を用いることもできる。
銀コロイド粒子の分散液は、陽極酸化皮膜から溶出する酸によって影響を受けない点で、銀とパラジウムの合金の粒子を含有するのが好ましい。この場合、パラジウムの含有量は、5〜30質量%であるのが好ましい。
【0097】
分散液を塗布した後、水等の溶媒を用いて適宜洗浄する。これにより、マイクロポアに担持された触媒粒子のみ陽極酸化皮膜に残存し、マイクロポアに充填されなかった触媒粒子は除去される。
【0098】
触媒担持体における多孔質アルミナ担体上の触媒の付着量は、10〜1000mg/m2であるのが好ましく、50〜800mg/m2であるのがより好ましく、100〜500mg/m2であるのが更に好ましい。
また、触媒担持体における多孔質アルミナ担体の表面空隙率は、70%以下であるのが好ましく、50%以下であるのがより好ましく、30%以下であるのが更に好ましい。ここで、表面空隙率は、多孔質アルミナ担体の表面の面積に対する触媒を担持していないマイクロポアの開口部の面積の合計の割合である。
【0099】
分散液に用いられる触媒コロイド粒子は、通常、粒径分布のばらつきが変動係数で10〜20%程度である。本発明においては、ポア径のばらつきを特定の範囲にすることにより、粒径分布にばらつきのあるコロイド粒子を効率よく封孔に用いることができる。
【0100】
ポア径が50nm以上である場合は、触媒コロイド粒子を用いる方法が好適に用いられる。また、ポア径が50nm未満である場合は、電着法が好適に用いられる。両者を組み合わせる方法も好適に用いられる。
【0101】
また、上記のような電着担持の方法以外にも、例えば、特開平2−144154号公報に記載されているような熱水処理による担持方法も行うことができる。
熱水処理の方法としては、例えば、触媒を担持させる多孔質アルミナ担体の表面を50〜350℃の熱水または水蒸気によって処理する方法が挙げられる。これにより、表面積が増加する。この場合、50℃未満では触媒担持体の表面積が不十分となる場合があり、また、350℃を超えてもよりよい効果を得ることができず経済的ではない。
熱水は、処理時間が短くなる点で、pH7以上であるのが好ましく、pH10〜12であるのがより好ましい。
熱水処理の処理時間は、熱水のpHによっても異なるが、表面積を十分に増加させる点で、5分以上とするのが好ましく、30分以上とするのがより好ましく、1時間以上とするのが更に好ましい。
上述した熱水処理により、多孔質アルミナ担体の表面積を10倍程度まで増加させることができ、その結果、触媒の担持可能量も10倍程度まで増加する。
また、熱水処理前の多孔質アルミナ担体の表面に、特開昭62−237947号公報に記載されている方法により、シリカ、γ−アルミナ等の触媒担持活性を有する微粒子を結着させることもできる。この場合には、この処理を行わずに熱水処理のみを行った場合に比べて、1.7倍程度まで表面積を大きくすることができる。
【0102】
本発明の触媒担持体は、用いられる触媒の種類に応じて、種々の用途に用いることができる。
【0103】
本発明の触媒担持体は、触媒ユニットに用いることができる。即ち、本発明の触媒ユニットは、本発明の触媒担持体を有する触媒ユニットである。
本発明の触媒ユニットは、本発明の触媒担持体を有するものであれば特に限定されず、例えば、積層した複数の本発明の触媒担持体を有するメタン改質用積層型反応器、放電反応を利用したプラズマ脱臭装置が挙げられる。
【実施例】
【0104】
以下に実施例を示して本発明を具体的に説明する。ただし、本発明はこれらに限定されない。
(実施例1〜6ならびに比較例1および2)
1.多孔質アルミナ担体の作製
Si:0.06質量%、Fe:0.30質量%、Cu:0.005質量%、Mn:0.001質量%、Mg:0.001質量%、Zn:0.001質量%、Ti:0.03質量%を含有し、残部はAlと不可避不純物のアルミニウム合金を用いて溶湯を調製し、溶湯処理およびろ過を行った上で、厚さ500mm、幅1200mmの鋳塊をDC鋳造法で作成した。表面を平均10mmの厚さで面削機により削り取った後、550℃で、約5時間均熱保持し、温度400℃に下がったところで、熱間圧延機を用いて厚さ2.7mmの圧延板とした。更に、連続焼鈍機を用いて熱処理を500℃で行った後、冷間圧延で、厚さ0.24mmに仕上げ、JIS 1050材のアルミニウム板を得た。このアルミニウム板を幅1030mmにした後、以下に示す表面処理に供し、多孔質アルミナ担体を得た。
【0105】
表面処理は、以下の(a)〜(j)の各種処理のうち、第1表に「○」で示されるものを第1表の左から順に連続的に行うことにより行った。なお、各処理および水洗の後にはニップローラで液切りを行った。
【0106】
(a)機械的粗面化処理
図4に示したような装置を使って、研磨剤(パミス)と水との懸濁液(比重1.12)を研磨スラリー液としてアルミニウム板の表面に供給しながら、回転するローラ状ナイロンブラシにより機械的粗面化処理を行った。図4において、1はアルミニウム板、2および4はローラ状ブラシ、3は研磨スラリー液、5、6、7および8は支持ローラである。研磨剤の平均粒径は40μm、最大粒径は100μmであった。ナイロンブラシの材質は6・10ナイロン、毛長は50mm、毛の直径は0.3mmであった。ナイロンブラシはφ300mmのステンレス製の筒に穴をあけて密になるように植毛した。回転ブラシは3本使用した。ブラシ下部の2本の支持ローラ(φ200mm)の距離は300mmであった。ブラシローラはブラシを回転させる駆動モータの負荷が、ブラシローラをアルミニウム板に押さえつける前の負荷に対して7kWプラスになるまで押さえつけた。ブラシの回転方向はアルミニウム板の移動方向と同じであった。ブラシの回転数は200rpmであった。
【0107】
(b)アルカリエッチング処理
アルミニウム板をカセイソーダ濃度2.6質量%、アルミニウムイオン濃度6.5質量%、温度70℃の水溶液を用いてスプレーによるエッチング処理を行い、アルミニウム板を6g/m2溶解した。その後、スプレーによる水洗を行った。
【0108】
(c)デスマット処理
温度30℃の硝酸濃度1質量%水溶液(アルミニウムイオンを0.5質量%含む。)で、スプレーによるデスマット処理を行い、その後、スプレーで水洗した。デスマット処理に用いた硝酸水溶液は、硝酸水溶液中で交流を用いて電気化学的粗面化処理を行う工程の廃液を用いた。
【0109】
(d)電気化学的粗面化処理
60Hzの交流電圧を用いて連続的に電気化学的な粗面化処理を行った。このときの電解液は、硝酸10.5g/L水溶液(アルミニウムイオンを5g/L、アンモニウムイオンを0.007質量%含む。)、液温50℃であった。交流電源波形は図1に示した波形であり、電流値がゼロからピークに達するまでの時間TPが0.8msec、duty比1:1、台形の矩形波交流を用いて、カーボン電極を対極として電気化学的な粗面化処理を行った。補助アノードにはフェライトを用いた。使用した電解槽は図2に示すものを使用した。電流密度は電流のピーク値で30A/dm2、電気量はアルミニウム板が陽極時の電気量の総和で220C/dm2であった。補助陽極には電源から流れる電流の5%を分流させた。その後、スプレーによる水洗を行った。
【0110】
(e)アルカリエッチング処理
アルミニウム板をカセイソーダ濃度26質量%、アルミニウムイオン濃度6.5質量%の水溶液を用いてスプレーによるエッチング処理を32℃で行い、アルミニウム板を1.0g/m2溶解し、前段の交流を用いて電気化学的粗面化処理を行ったときに生成した水酸化アルミニウムを主体とするスマット成分を除去し、また、生成した凹凸のエッジ部分を溶解してエッジ部分を滑らかにした。その後、スプレーによる水洗を行った。
【0111】
(f)デスマット処理
温度30℃の硫酸濃度15質量%水溶液(アルミニウムイオンを4.5質量%含む。)で、スプレーによるデスマット処理を行い、その後、スプレーで水洗した。デスマット処理に用いた硝酸水溶液は、硝酸水溶液中で交流を用いて電気化学的粗面化処理を行う工程の廃液を用いた。
【0112】
(g)電気化学的粗面化処理
60Hzの交流電圧を用いて連続的に電気化学的な粗面化処理を行った。このときの電解液は、塩酸7.5g/L水溶液(アルミニウムイオンを5g/L含む。)、温度35℃であった。交流電源波形は図1に示した波形であり、電流値がゼロからピークに達するまでの時間TPが0.8msec、duty比1:1、台形の矩形波交流を用いて、カーボン電極を対極として電気化学的粗面化処理を行った。補助アノードにはフェライトを用いた。使用した電解槽は図2に示すものを使用した。電流密度は電流のピーク値で25A/dm2、電気量はアルミニウム板が陽極時の電気量の総和で50C/dm2であった。その後、スプレーによる水洗を行った。
【0113】
(h)アルカリエッチング処理
アルミニウム板をカセイソーダ濃度26質量%、アルミニウムイオン濃度6.5質量%の水溶液を用いてスプレーによるエッチング処理を32℃で行い、アルミニウム板を0.1g/m2溶解し、前段の交流を用いて電気化学的粗面化処理を行ったときに生成した水酸化アルミニウムを主体とするスマット成分を除去し、また、生成した凹凸のエッジ部分を溶解してエッジ部分を滑らかにした。その後、スプレーによる水洗を行った。
【0114】
(i)デスマット処理
温度60℃の硫酸濃度25質量%水溶液(アルミニウムイオンを0.5質量%含む。)で、スプレーによるデスマット処理を行い、その後、スプレーによる水洗を行った。
【0115】
(j)陽極酸化処理
図3に示す構造の陽極酸化装置を用いて陽極酸化処理を行った。第1および第2電解部に供給した電解液としては、硫酸を用いた。電解液は、いずれも、硫酸濃度170g/L(アルミニウムイオンを0.5質量%含む。)、温度38℃であった。その後、スプレーによる水洗を行った。最終的な酸化皮膜量は2.7g/m2であった。
【0116】
2.多孔質アルミナ担体の表面形状の測定
上記で得られた多孔質アルミナ担体の表面の凹凸について、下記(1)〜(3)の測定を行い、大波構造、中波構造および小波構造の各平均波長を算出した。
結果を第1表に示す。なお、第1表中、「−」は、該当する平均波長の凹凸がなかったことを示す。
【0117】
(1)大波構造の平均波長
触針式粗さ計(sufcom575、東京精密社製)で2次元粗さ測定を行い、ISO4287に規定されている平均山間隔Smを5回測定し、その平均値を平均波長とした。 2次元粗さ測定は、以下の条件で行った。
【0118】
<測定条件>
カットオフ値0.8mm、傾斜補正FLAT−ML、測定長3mm、縦倍率10000倍、走査速度0.3mm/sec、触針先端径2μm
【0119】
(2)中波構造の平均波長
SEMを用いて多孔質アルミナ担体の表面を真上から倍率2000倍で撮影し、得られたSEM写真において凹凸の周囲が環状に連なっている中波構造の凹凸を50個抽出し、その直径を読み取って波長とし、平均波長を算出した。
【0120】
(3)小波構造の平均波長
高分解能SEMを用いて多孔質アルミナ担体の表面を真上から倍率50000倍で撮影し、得られたSEM写真において小波構造の凹凸を50個抽出し、その直径を読み取って波長とし、平均波長を算出した。
【0121】
3.多孔質アルミナ担体の表面形状のファクターの算出
上記で得られた多孔質アルミナ担体の表面についてΔSを求めるために、原子間力顕微鏡(SP13700、セイコー電子工業社製)により表面形状を測定し、3次元データを求めた。以下、具体的な手順を説明する。
多孔質アルミナ担体を1cm角の大きさに切り取って、ピエゾスキャナー上の水平な試料台にセットし、カンチレバーを試料表面にアプローチし、原子間力が働く領域に達したところで、XY方向にスキャンし、その際、試料の凹凸をZ方向のピエゾの変位でとらえた。ピエゾスキャナーは、XY方向について150μm、Z方向について10μm、走査可能なものを使用した。カンチレバーは共振周波数120〜150kHz、バネ定数12〜20N/mのもの(SI−DF20、NANOPROBE社製)を用い、DFMモード(Dynamic Force Mode)で測定した。また、求めた3次元データを最小二乗近似することにより試料のわずかな傾きを補正し基準面を求めた。
計測の際は、表面の50μm□を512×512点測定した。XY方向の分解能は1.9μm、Z方向の分解能は1nm、スキャン速度は60μm/secとした。
上記で求められた3次元データ(f(x,y))を用い、隣り合う3点を抽出し、その3点で形成される微小三角形の面積の総和を求め、実面積Sxとした。表面積差ΔSは、得られた実面積Sxと幾何学的測定面積S0とから、上記式(1)により求めた。
結果を第1表に示す。
【0122】
4.触媒の担持
実施例1〜4および比較例1については、上記で得られた多孔質アルミナ担体を、1g/LのHPtCl4と7g/LのH2SO4とを含有する温度30℃の分散液に浸せきさせ、11Vの定電圧(スライダックで調整)で5分間電着処理を行い、多孔質アルミナ担体の表面にPt触媒を担持させ、触媒担持体を得た。
実施例5および6については、上記で得られた多孔質アルミナ担体を、0.05質量%のHAuCl4水溶液1.5mLに1質量%のクエン酸水溶液1.5mLを添加して、アルコールランプを用いて室温から徐々に加熱し、赤紫色に変化した状態で加熱を停止し、室温まで冷却して得た金コロイド粒子分散液(金コロイド粒子の平均粒径120nm)に、1分間浸せきさせた後、水洗し乾燥させ、多孔質アルミナ担体の表面にAu触媒を担持させ、触媒担持体を得た。比較例2については、浸せき時間を20秒間とした以外は、実施例5および6と同様の方法により、触媒担持体を得た。
触媒担持体について、EPMAを用いて単位面積あたりの触媒担持量を測定した。結果を第1表に示す。
【0123】
5.触媒担持体の触媒機能の測定
上記で得られた触媒担持体の触媒機能を確認するため、250℃、1atmの雰囲気下で、触媒担持体の表面に、10molのシクロヘキサンを霧状に吹き付けた後、揮発成分を捕捉し、冷却により液化させて回収し、液体クロマトグラフィーにより、シクロヘキサンからシクロヘキセン、シクロヘキサジエンまたはベンゼンに変換された変換率を求めた。変換率が高いものほど触媒機能が高いことを示す。結果を第1表に示す。
【0124】
第1表から明らかなように、本発明の触媒担持体(実施例1〜6)は、表面に凹凸を有しない多孔質アルミナ担体を用いた場合(比較例1および2)と比べて、触媒機能に優れる。
特に、実施例6と比較例2との比較から、触媒担持量が同じであっても、本発明の触媒担持体(実施例6)は、表面に凹凸を有しない多孔質アルミナ担体を用いた場合(比較例2)と比べて、触媒機能に優れることが分かる。
【0125】
【表1】

【0126】
【表2】

【図面の簡単な説明】
【0127】
【図1】本発明の触媒担持体の作製における電気化学的粗面化処理に用いられる交番波形電流波形図の一例を示すグラフである。
【図2】本発明の触媒担持体の作製における交流を用いた電気化学的粗面化処理におけるラジアル型セルの一例を示す側面図である。
【図3】本発明の触媒担持体の作製における陽極酸化処理に用いられる陽極酸化処理装置の概略図である。
【図4】本発明の触媒担持体の作製における機械粗面化処理に用いられるブラシグレイニングの工程の概念を示す側面図である。
【符号の説明】
【0128】
1 アルミニウム板
2、4 ローラ状ブラシ
3 研磨スラリー液
5、6、7、8 支持ローラ
11 アルミニウム板
12 ラジアルドラムローラ
13a、13b 主極
14 電解処理液
15 電解液供給口
16 スリット
17 電解液通路
18 補助陽極
19a、19b サイリスタ
20 交流電源
40 主電解槽
50 補助陽極槽
410 陽極酸化処理装置
412 給電槽
414 電解処理槽
416 アルミニウム板
418、426 電解液
420 給電電極
422、428 ローラ
424 ニップローラ
430 電解電極
432 槽壁
434 直流電源

【特許請求の範囲】
【請求項1】
多孔質アルミナ担体と、前記多孔質アルミナ担体に担持された触媒とを有する、触媒担持体であって、
前記多孔質アルミナ担体の表面が、平均波長5〜100μmの凹凸、平均波長0.5〜5μmの凹凸および平均波長0.01〜0.5μmの凹凸からなる群から選ばれる少なくとも一つを有する、触媒担持体。
【請求項2】
原子間力顕微鏡を用いて、前記多孔質アルミナ担体の前記表面の50μm×50μmの範囲を512×512点測定して得られる3次元データから近似三点法により求められる実面積Sxと、幾何学的測定面積S0とから、下記式(1)により求められる表面積差ΔSが5%以上である、請求項1に記載の触媒担持体。
ΔS=(Sx−S0)/S0×100(%) (1)
【請求項3】
請求項1または2に記載の触媒担持体を有する触媒ユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−245116(P2007−245116A)
【公開日】平成19年9月27日(2007.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−76152(P2006−76152)
【出願日】平成18年3月20日(2006.3.20)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】