説明

触媒的水素移動による6−ケトノルモルフィナンの還元アミノ化

本発明は、6−α−アミノモルフィナンの立体選択的合成のためのプロセスを提供する。特に、本発明は、触媒的移動水素化による6−ケトノルモルフィナンの還元アミノ化のためのプロセスを提供する。本発明の一態様は、6−α−アミノ−N17−ホルミルモルフィナンを調製するためのプロセスを包含する。プロセスは、6−ケトノルモルフィナンを、アミン源、ギ酸イオンを含む水素供与体、遷移金属触媒、およびプロトン受容体と接触させて6−α−アミノ−N17−ホルミルモルフィナンを形成することを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連する出願との相互参照)
本願は、2009年6月11日に出願された米国仮特許出願第61/186,047号の利益を主張する。
【0002】
(発明の分野)
本発明は、一般的に、6−α−アミノエピマーを形成するための6−ケトノルモルフィナンの還元アミノ化に関する。特に、本発明は、N−ホルミル化6−α−アミノエピマーを形成するための触媒的水素移動による6−ケトノルモルフィナンの還元アミノ化に関する。
【背景技術】
【0003】
N−アルキル化モルフィナンおよびノルモルフィナンを包含するモルフィナンは、重要な医薬品であり、典型的には、鎮痛薬または薬物/アルコール停止剤として使用される。6−アミノ誘導体などの置換されたモルフィナンは、それらが、より高い有効性、より大きな効力を有し、かつ/またはプロドラッグとしての役割を果たすことがあるため、治療的に有用であることがある。6−ケトモルフィナンから6−アミノモルフィナンを形成するためのいくつの方法が文献で報告されてきたが、どれも、良好な収率で6−α−アミノエピマーの立体選択的合成を提供しない。さらに、既存の方法は、極めて反応性に富む還元剤および/または水素ガスの使用を必要とする。したがって、高いエナンチオマー純度の6−α−アミノモルフィナンを調製するための簡便な、緩和な、かつ効率的なプロセスが必要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、水素移動供与体環境における6−ケトノルモルフィナンの還元アミノ化による6−α−アミノエピマーの立体選択的合成のためのプロセスを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
したがって、手短に言えば、本発明の一態様は、6−α−アミノ−N17−ホルミルモルフィナンを調製するためのプロセスを包含する。プロセスは、6−ケトノルモルフィナンを、アミン源、ギ酸イオンを含む水素供与体、遷移金属触媒、およびプロトン受容体と接触させて6−α−アミノ−N17−ホルミルモルフィナンを形成することを含む。
【0006】
本発明の別の態様は、式(IV)を含む化合物を調製するためのプロセスを提供する。
【0007】
【化1】

プロセスは、アミン源(RNH)、ギ酸イオンを含む水素供与体、遷移金属触媒、およびプロトン受容体の存在下で式(I)を含む化合物を還元して式(IV)を含む化合物を形成することを含む。式(I)の化合物は、
【0008】
【化2】

を含む。
【0009】
式(I)または(IV)を含む化合物の各々について、変数は、下記の、
およびRは、水素、ヒドロカルビル、置換されたヒドロカルビル、ハロゲン、および{−}OR15からなる群から独立して選択され、
、RおよびRは、水素、ヒドロカルビル、置換されたヒドロカルビル、および{−}OR15からなる群から独立して選択され、
は、水素、ヒドロカルビルおよび置換されたヒドロカルビルからなる群から選択され、
14は、水素および{−}OR15からなる群から選択され、
15は、水素、ヒドロカルビル、置換されたヒドロカルビル、およびヒドロキシ保護基からなる群から選択されることを表す。
【0010】
本発明のさらなる態様は、式(IV)の化合物および式(IV)を含む化合物の6−βアミノエピマー約5%未満を含む組成物を包含し、
【0011】
【化3】

式中、
およびRは、水素、ヒドロカルビル、置換されたヒドロカルビル、ハロゲン、および{−}OR15からなる群から独立して選択され、
、RおよびRは、水素、ヒドロカルビル、置換されたヒドロカルビル、および{−}OR15からなる群から独立して選択され、
は、水素、ヒドロカルビルおよび置換されたヒドロカルビルからなる群から選択され、
14は、水素および{−}OR15からなる群から選択され、
15は、水素、ヒドロカルビル、置換されたヒドロカルビル、およびヒドロキシ保護基からなる群から選択される。
【0012】
本発明の他の特徴および反復については、下でより詳細に記載される。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明は、6−α−アミノモルフィナンエピマー、その塩、中間体、または類似体の立体選択的合成のための改善されたプロセスを提供する。特に、ノルモルフィナンの6−ケト部分は、移動水素化環境における還元アミノ化により6−α−アミノエピマーに変換される。具体的には、ノルモルフィナンの6−ケト部分を、6−α−アミノ−N17−ホルミルモルフィナンが形成されるように、遷移金属触媒およびギ酸イオンを含む水素供与体の存在下でアミン源と縮合させる。したがって、本発明のプロセスは、水素ガスおよび極めて反応性に富む主族還元剤の使用を避ける。したがって、プロセスは、全く穏やかであり、あまり有害ではない主族還元剤の存在下で還元されることがある多くの官能基が耐える。有利なことに、本発明のプロセスは、高い収率および高いエピマー純度の6−α−アミノエピマーを提供する。本発明は、6−α−アミノ−N17−ホルミルモルフィナンエピマーおよび5%未満、好ましくは、2%未満、さらにより好ましくは、1%未満の6−βアミノエピマーを含む組成物も提供する。
(I)6−α−アミノ−N17−ホルミルモルフィナンを調製するためのプロセス
本発明の一態様は、6−α−アミノ−N17−ホルミルモルフィナンの立体選択的合成のためのプロセスを包含する。プロセスは、6−ケトノルモルフィナンを、一級アミンまたはアンモニウム塩などのアミン源、ギ酸イオンを含む水素供与体、遷移金属触媒、およびプロトン受容体と接触させて6−α−アミノ−N17−ホルミルモルフィナンを形成することを含む。
【0014】
一般に、本明細書で詳述されているモルフィナンは、コアモルフィナン構造を有する任意の化合物を含む。例示の目的で、コアモルフィナン構造の環原子を、下に示されているダイヤグラムで番号付けする。ノルモルフィナンは、17位における窒素上の置換基を欠く。すなわち、少なくとも1つの水素原子が、環の窒素に連結している。
【0015】
【化4】

6−ケトノルモルフィナンと、アミン源、遷移金属触媒、および水素供与体との接触は、2つの中間体化合物、すなわち、6−イミンノルモルフィナンのビス−ギ酸塩および6−イミン−N17−ホルミルモルフィナンのギ酸塩の形成につながる。各中間体のイミン部分は、その場で、6−α−アミノエピマーに変換される。反応の延長は、6−α−アミノ−N17−ホルミル種の形成を推進する。6−α−アミノ−N17−ホルミルモルフィナンのギ酸塩とプロトン受容体との接触は、6−α−アミノ−N17−ホルミルモルフィナンをもたらす。
(II)式(IV)を含む化合物を調製するためのプロセス
本発明の一実施形態において、式(IV)を含む化合物は、式(I)を含む化合物から調製される。プロセスは、アミン源(RNH)、ギ酸イオンを含む水素供与体、および遷移金属触媒の存在下で式(I)を含む化合物を還元することを含み、式(IIa)または(IIb)を含む2つの中間体化合物が形成される。式(IIa)または(IIb)を含む化合物は、その場で、式(III)を含む化合物に変換される。プロセスは、式(III)を含む化合物をプロトン受容体と接触させて式(IV)を含む化合物を形成することをさらに含む。例示の目的で、反応スキーム1は、本発明の一態様による式(IV)を含む化合物の合成を描いており、
【0016】
【化5】

式中、
およびRは、水素、ヒドロカルビル、置換されたヒドロカルビル、ハロゲン、および{−}OR15からなる群から独立して選択され、
、RおよびRは、水素、ヒドロカルビル、置換されたヒドロカルビル、および{−}OR15からなる群から独立して選択され、
は、水素、ヒドロカルビルおよび置換されたヒドロカルビルからなる群から選択され、
14は、水素および{−}OR15からなる群から選択され、
15は、水素、ヒドロカルビル、置換されたヒドロカルビル、およびヒドロキシ保護基からなる群から選択される。
【0017】
1つの好ましい実施形態において、R、R、R、およびRの各々は、水素である。別の好ましい実施形態において、R14は、水素またはヒドロキシである。さらに別の好ましい実施形態において、Rは、アルコキシ、ヒドロキシ、および保護されたヒドロキシからなる群から選択される。
(a)プロセスのステップA
プロセスは、式(I)を含む6−ケトノルモルフィナンを、アミン源、ギ酸イオンを含む水素供与体、および遷移金属触媒と合わせることによる反応混合物の形成で始まり、式(I)を含む化合物は、還元アミノ化を受ける。式(I)を含む様々な化合物は、プロセスにおける使用に適している。例示的実施形態において、R、R、R、およびRは、各々水素であり、Rは、ヒドロキシまたはメトキシであり、R14は、水素またはヒドロキシである。式(I)を含む代表的な化合物は、下に描かれているノルヒドロコドン、ノルヒドロモルホン、ノルオキシコドン、およびノルオキシモルホンを包含するが、それらに限定されるものではない。
【0018】
【化6】

(i)アミン源
反応混合物は、式RNHを含むアミン源も含み、式中、Rは、水素、ヒドロカルビルおよび置換されたヒドロカルビルからなる群から選択される。Rが、水素である実施形態において、アミン源、アンモニア(NH)は、アンモニウム塩により提供される。アンモニウム塩は、無機アニオンまたは有機アニオンを含むことがある。適当な無機アニオンの非限定的な例は、重炭酸、炭酸、塩化物、水酸化物、硝酸、リン酸、硫化物、および硫酸イオンを包含する。適当な有機アニオンの例は、安息香酸、ブタン酸、酢酸、クエン酸、ギ酸、フマル酸、グルタミン酸、乳酸、リンゴ酸、プロピオン酸、シュウ酸、コハク酸、および酒石酸(tartarate)イオンを包含するが、それらに限定されるものではない。好ましい実施形態において、アンモニウム塩は、酢酸アンモニウムである。
【0019】
が、ヒドロカルビルおよび置換されたヒドロカルビルである実施形態において、アミン源は、一級アミンである。好ましい実施形態において、Rは、アルキル、置換されたアルキル、アルケニル、置換されたアルケニル、アルキニル、置換されたアルキニル、アリール、ヘテロアリール、炭素環式、またはヘテロ環式である。適当な一級アミンの非限定的な例は、メチルアミン、エチルアミン、イソプロピルアミン、アリルアミン、N−ベンジルアミン(n−benzylamine)、アニリン(すなわち、フェニルアミン)、メタノールアミン、エタノールアミン、およびアラニンまたはアラニンのメチルエステルなどのアミノ酸を包含する。
【0020】
式(I)を含む化合物とアミン源のモル比は、アミン源が、アンモニウム塩であるか一級アミンであるかに応じて変わることがありかつ変わるであろう。アミン源が、アンモニウム塩である実施形態において、式(I)を含む化合物とアンモニウム塩のモル比は、典型的には、約1:2から約1:20までの範囲であろう。アミン源が、アンモニウム塩である一部の実施形態において、式(I)を含む化合物とアンモニウム塩のモル比は、約1:2から約1:5まで、約1:5から約1:10まで、約1:10から約1:15まで、または約1:15から約1:20までの範囲であってよい。アミン源が、アンモニウム塩である好ましい実施形態において、式(I)を含む化合物とアンモニウム塩のモル比は、約1:11から約1:13までの範囲であってよいか、より好ましくは、約1:12である。アミン源が、一級アミンである実施形態において、式(I)を含む化合物と一級アミンのモル比は、典型的には、約1:1から約1:5までの範囲であろう。アミン源が、一級アミンである様々な実施形態において、式(I)を含む化合物と一級アミンのモル比は、約1:1から約1:2まで、約1:2から約1:3まで、または約1:3から約1:5までの範囲であってよい。アミン源が、一級アミンである好ましい実施形態において、式(I)を含む化合物と一級アミンのモル比は、約1:1.25から約1:2までの範囲であってよい。
【0021】
(ii)ギ酸イオンを含む水素供与体
式(I)を含む化合物およびアミン源に加えて、反応混合物は、移動水素化反応が起きるように、ギ酸イオンを含む水素供与体も含む。ギ酸イオンを含む適当な水素供与体の非限定的な例は、ギ酸、ギ酸の無機塩、ギ酸の有機塩、またはギ酸と有機塩基の混合物を包含する。ギ酸の適当な無機塩は、ギ酸カルシウム、ギ酸セシウム、ギ酸リチウム、ギ酸マグネシウム、ギ酸カリウム、およびギ酸ナトリウムを包含するが、それらに限定されるものではない。ギ酸の適当な有機塩の非限定的な例は、ギ酸アンモニウム、ギ酸エチル、ギ酸メチル、ギ酸アミン(amine formate)、ギ酸ブチル、ギ酸プロピル、オルトギ酸トリエチル、オルトギ酸トリエチル、ギ酸トリエチルアンモニウム、ギ酸トリメチルアンモニウムなどを包含する。ギ酸と合わせるのに適している有機塩基は、ピリジン、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、N−メチルモルホリン、およびN,N−ジメチルアミノピリジンを包含するが、それらに限定されるものではない。例示的実施形態において、水素供与体は、ギ酸と有機塩基の混合物を含み、有機塩基は、トリエチルアミンである。
【0022】
式(I)を含む化合物と水素供与体のモル比は、変わることがありかつ変わるであろう。一般に、式(I)を含む化合物と水素供与体のモル比は、約1:1から約1:20までの範囲であろう。様々な実施形態において、式(I)を含む化合物と水素供与体のモル比は、1:1から約1:3、約1:3から約1:10、または約1:10から約1:20までの範囲であってよい。好ましい実施形態において、式(I)を含む化合物と水素供与体のモル比は、1:11から約1:13までの範囲であってよい。水素供与体が、ギ酸およびトリエチルアミンを含む例示的実施形態において、式(I)を含む化合物とトリエチルアミンのモル比は、約1:1から約1:10まで、またはより好ましくは、約1:3から約1:5までの範囲であってよい。水素供与体は、反応混合物中にゆっくりと導入されることがある。例えば、水素供与体は、反応混合物に少量ずつ分けて添加されるか滴下されることがある。
【0023】
(iii)遷移金属触媒
反応混合物は、遷移金属触媒も含む。本明細書で使用されているように、遷移金属触媒は、少なくとも1つの配位子と錯体を形成している少なくとも1つの金属を含む。触媒遷移金属錯体の金属は、ルテニウム、オスミウム、ロジウム、イリジウム、パラジウム、または白金であってよい。好ましい実施形態において、遷移金属は、ルテニウム、イリジウム、またはロジウムであってよい。遷移金属の原子価状態は、変わることがある。例えば、適当な遷移金属の非限定的な例は、ルテニウム(II)、ルテニウム(III)、ルテニウム(IV)、オスミウム(II)、オスミウム(III)、オスミウム(IV)、ロジウム(I)、ロジウム(III)、イリジウム(III)、イリジウム(IV)、パラジウム(II)、パラジウム(IV)、白金(II)、および白金(IV)を包含する。典型的には、錯体における金属の配位子に対する比は、約1:1である。触媒遷移金属錯体の配位子は、単座または二座の窒素供与体、リン供与体配位子、シクロペンタジエニル配位子、アレーン配位子、オレフィン配位子、アルキン配位子、ヘテロシクロアルキル配位子、ヘテロアリール配位子、水素化物配位子、アルキル配位子、またはカルボニル配位子であってよい。
【0024】
好ましい実施形態において、触媒遷移金属錯体は、ジクロロ(アレーン)Ru(II)ダイマー、ジクロロ(ペンタメチルシクロペンタジエニル)Ru(II)ダイマー、BINAP−Ru(II)二酢酸塩、BINAP−Ru(II)二塩化物、BINAP−Ru(II)二臭化物、BINAP−Ru(II)二ヨウ化物、[RuCl((RまたはS)BINAP)(C)]Cl、ジクロロ(ペンタメチルシクロペンタジエニル)イリジウム(III)ダイマー、Ru(III)塩化物、RuCl水和物、Ru(III)アセチルアセトネート、テトラアルキルアンモニウムRuCl、またはピリジニウムRuClであってよい。例示的実施形態において、遷移金属触媒は、ジクロロ(p−シメン)Ru(II)ダイマーであってよい。
【0025】
他の実施形態において、触媒遷移金属錯体は、少なくとも1つの金属が、窒素、酸素、またはリン供与体原子を使用して少なくとも1つの二座のキラル配位子と錯体を形成している不斉触媒であってよい。これらの触媒は、野依触媒と呼ばれることがあり、例えば、US5,693,820(Helmchenら)およびR.Noyoriら、Asymmetric Catalysts by Architechtural and Functional Molecular Engineering:Practical Chemo− and Stereoselective Hydrogenation of Ketones、Agew.Chem.Int.Ed. 2001、40、40〜73頁により完全に記載されている。1例において、キラル配位子は、下に示されているように、式(670)、(680)、(690)、または(700)を含むことがあり、
【0026】
【化7】

式中、R671、R672、R673、R681、R691、R692、R701、およびR702は、独立して、アルキルまたはアリールであり、式(690)のR691およびR692ならびに式(700)のR701およびR702、ならびにそれらが結合している炭素原子は、環式または二環式の化合物を形成していてもよい。上の構造において、「」は、キラル炭素原子を示している。不斉触媒のキラル炭素の立体配置は、RR、RS、SR、またはSSであってよい。
【0027】
一実施形態において、配位子は、式(670)を含み、R672およびR673は、各々フェニルであり、R671は、アリールである。この実施形態の別の例において、R671は、トリル、メシチル、またはナフチルである。代替実施形態において、配位子は、式(680)を含み、R681は、トリル、メシチル、2,4,6−トリイソプロピルフェニル、またはナフチルである。別の例において、配位子は、式(690)を含み、R691およびR692は、水素であり、したがって、化合物、アミノエタノールを形成する。代替例において、配位子は、式(690)を含み、R691およびR692は、下記の化合物
【0028】
【化8】

を形成するように選択される。
【0029】
別の実施形態において、配位子は、式(700)に該当し、R701およびR702は、水素であり、したがって、化合物、エチレンジアミンを形成する。
【0030】
好ましい例において、キラル配位子は、p−トルエンスルホニル−1,2−ジフェニルエチレンジアミン、(1S,2S)−(+)−N−4−トルエンスルホニル−1,2−ジフェニルエチレン−1,2,−ジアミン、(1R,2R)−(−)−N−4−トルエンスルホニル−1,2−ジフェニルエチレン−1,2,−ジアミン、dl−N−トシル−1,2−ジフェニルエチレンジアミン、N−トシル−1,2−ジフェニルエチレンジアミン、N−トシル−1,2−エチレンジアミン、またはN−トシル−1,2−ジアミノシクロヘキサンであってよい。
【0031】
適当なルテニウムまたはロジウム不斉触媒は、下記の、
【0032】
【化9】

を包含する。
【0033】
式(I)を含む化合物および遷移金属触媒のモル比は、例えば、遷移金属触媒の性質に応じて変わることがありかつ変わるであろう。一般に、式(I)を含む化合物および遷移金属触媒のモル比は、約1:0.0001から約1:0.01までの範囲であろう。一部の実施形態において、式(I)を含む化合物および遷移金属触媒のモル比は、約1:0.0001から約1:0.001まで、またはより好ましくは、約1:0.001から約1:0.01までの範囲であってよい。
【0034】
(iv)溶媒
反応混合物は、本明細書に詳述されているように、溶媒も含む。溶媒は、プロセスにおいて使用される出発基質および反応剤に応じて変わることがありかつ変わるであろう。溶媒は、プロトン性溶媒、非プロトン性溶媒、非極性溶媒、またはそれらの組合せであってよい。プロトン性溶媒の適当な例は、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−プロパノール、イソブタノール、n−ブタノール、s−ブタノール、t−ブタノール、水、およびそれらの組合せを包含するが、それらに限定されるものではない。適当な非プロトン性溶媒の非限定的な例は、アセトニトリル、ジエトキシメタン、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAC)、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、N,N−ジメチルプロピオンアミド、1,3−ジメチル−3,4,5,6−テトラヒドロ−2(1H)−ピリミジノン(DMPU)、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン(DMI)、1,2−ジメトキシエタン(DME)、ジメトキシメタン、ビス(2−メトキシエチル)エーテル、1,4−ジオキサン、N−メチル−2−ピロリジノン(NMP)、ギ酸エチル、ホルムアミド、ヘキサメチルリン酸アミド、N−メチルアセトアミド、N−メチルホルムアミド、塩化メチレン、ニトロベンゼン、ニトロメタン、プロピオニトリル、スルホラン、テトラメチル尿素、テトラヒドロフラン(THF)、2−メチルテトラヒドロフラン、トリクロロメタン、およびそれらの組合せを包含する。非極性溶媒の適当な例は、アルカンおよび置換されたアルカン溶媒(シクロアルカンを包含する)、芳香族炭化水素、エステル、エーテル、それらの組合せなどを包含するが、それらに限定されるものではない。用いられることがある具体的な非極性溶媒は、例えば、ベンゼン、酢酸ブチル、t−ブチルメチルエーテル、クロロベンゼン、クロロホルム、クロロメタン、シクロヘキサン、ジクロロメタン、ジクロロエタン、ジエチルエーテル、酢酸エチル、ジエチレングリコール、フルオロベンゼン、ヘプタン、ヘキサン、酢酸イソプロピル、メチルテトラヒドロフラン、酢酸ペンチル、酢酸n−プロピル、テトラヒドロフラン、トルエン、およびそれらの組合せを包含する。例示的溶媒は、アセトニトリル、クロロホルム、ジクロロメタン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチル−2−ピロリジノン、酢酸エチル、エタノール、およびメタノールを包含する。アミン源が、一級アミンである実施形態において、好ましい溶媒は、アセトニトリルである。アミン源が、アンモニウム塩である実施形態において、好ましい溶媒は、エタノールである。
【0035】
一般に、溶媒の、式(I)を含む化合物に対する重量比は、約0.5:1から約100:1までの範囲であろう。様々な実施形態において、溶媒の、式(I)を含む化合物に対する重量比は、0.5:1から約5:1まで、約5:1から約25:1まで、または約25:1から約100:1までの範囲であってよい。好ましい実施形態において、溶媒の、式(I)を含む化合物に対する重量比は、約2:1から約10:1までの範囲であってよい。
【0036】
(v)反応条件
一般に、反応は、約20℃から約100℃まで、またはより好ましくは、約20℃から約70℃までの範囲である温度にて行われるであろう。様々な実施形態において、反応の温度は、ほぼ室温(約23℃)、約30℃、約40℃、約50℃、約60℃、または70℃であってよい。反応は、典型的には、周囲雰囲気および圧力下で行われる。
【0037】
一般的に、反応は、クロマトグラフィー(例えば、HPLC)などの、当業者に公知である任意の方法により決定されるように、反応が完了するまで十分な時間にわたって進めることが可能である。反応の時間は、約12時間から3日超までの範囲であってよい。一部の実施形態において、反応は、12時間、18時間、24時間、36時間、48時間、60時間、72時間、または84時間にわたって進めることが可能であってよい。この文脈において、「完了した反応」とは、一般的に、反応混合物が、有意に減少した量の式(I)を含む化合物を含有することを意味する。典型的には、反応混合物中に残っている式(I)を含む化合物の量は、約3%未満、好ましくは、約1%未満であってよい。
(b)中間体化合物
プロセスのステップAの間に、式(I)を含む化合物の還元アミノ化は、反応スキーム1に描かれているように、式(IIa)または(IIb)を含む2つの中間体化合物の形成につながる。各々のイミン部分は、その場で、6−α−アミノエピマーに変換され、反応の延長は、N17−ホルミル化モルフィナンの形成に有利に働く。結果として、反応スキーム1に示されているように、式(III)を含む中間体が形成される。さらに、反応混合物の溶媒は、共沸的に乾燥され、それによって、式(III)を含む化合物の形成をさらに推進する。
【0038】
式(III)を含む化合物は、反応混合物から沈殿することがあり、標準的手順を使用して反応混合物から回収されることがある。他の実施形態において、式(III)を含む化合物は、当業者に公知である標準的手順を使用して反応混合物から単離されることがある。
【0039】
(c)プロセスのステップB
プロセスは、式(III)を含む化合物をプロトン受容体と接触させることをさらに含み、式(IV)を含む化合物が形成される。様々なプロトン受容体は、プロセスのこのステップにおいて使用するのに適している。一般に、プロトン受容体は、約9超のpKaを有するであろう。この特性を有する適当なプロトン受容体は、アンモニア、ホウ酸塩(例えば、NaBOなど)、重炭酸塩(例えば、NaHCO、KHCO、LiCOなど)、炭酸塩(例えば、NaCO、KCO、LiCOなど)、水酸化物塩(例えば、NaOH、KOHなど)、有機塩基(例えば、ピリジン、メチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、N−メチルモルホリン、N,N−ジメチルアミノピリジンなど)、および上のうちのいずれかの混合物を包含する。好ましい実施形態において、プロトン受容体は、アンモニア、水酸化アンモニウム、水酸化カリウム、または水酸化ナトリウムであってよい。例示的実施形態において、プロトン受容体は、アンモニアであってよい。
【0040】
典型的には、反応物に添加されるプロトン受容体の量は、9と10の間の値に反応混合物のpHを調整するのに十分であろう。反応混合物のpHは、10を超えないことが好ましい。一部の実施形態において、反応混合物のpHは、約9.0から約9.2まで、約9.2から約9.4まで、約9.4から約9.6まで、約9.6から約9.8まで、または約9.8から約10.0までの範囲であってよい。例示的実施形態において、反応混合物のpHは、約9.3から約9.6までの範囲であってよい。プロトン受容体は、望ましいpHに達するまで、反応混合物に少量ずつ分けて添加されるか滴下されることがある。
【0041】
反応混合物は、プロトン性溶媒をさらに含む。適当なプロトン性溶媒は、(II)(a)(iv)項で上に列挙されている。例示的実施形態において、プロトン性溶媒は、水であってよい。
【0042】
典型的には、反応は、室温で反応が完了するまで十分な時間にわたって進めることが可能である。一般的に、式(IV)を含む化合物は、反応混合物から沈殿する。したがって、反応は、さらなる沈殿が形成されない場合に完了であってよい。あるいは、反応は、クロマトグラフィー(例えば、HPLC)などの、当業者に公知であるいずれかにより完了と決定されることがある。この文脈において、「完了した反応」とは、一般的に、反応混合物が、反応の始めに存在する各々の量と比較して有意に減少した量の式(III)を含む化合物および有意に増加した量の式(IV)を含む化合物を含有することを意味する。典型的には、反応混合物中に残っている式(III)を含む化合物の量は、約3%未満、好ましくは、約1%未満であってよい。
【0043】
式(IV)を含む化合物は、当業者に公知である技法を使用して反応混合物から単離されることがある。適当な技法の非限定的な例は、沈殿、抽出、クロマトグラフィー、および結晶化を包含する。
【0044】
式(IV)を含む化合物の収率は、変わることがありかつ変わるであろう。典型的には、式(IV)を含む化合物の収率は、少なくとも約60%であってよい。一実施形態において、式(IV)を含む化合物の収率は、約60%から約70%までの範囲であってよい。別の実施形態において、式(IV)を含む化合物の収率は、約70%から約80%までの範囲であってよい。さらなる実施形態において、式(IV)を含む化合物の収率は、約80%から約90%までの範囲であってよい。さらに別の実施形態において、式(IV)を含む化合物の収率は、約90%超であってよい。
【0045】
アミン源が、アンモニウム塩である実施形態において、最終生成物は、式(V)
【0046】
【化10】

を含むN−ホルミル−6−α−アミノモルフィナンをさらに含み、
式中、R、R、R、R、R、およびR14は、反応スキーム1で上に定義されている通りである。
【0047】
式(IV)または(V)を含む化合物は、そのままで使用されるか、当業者によく知られている技法を使用して別の化合物に変換されることがある。式(IV)または(V)を含む化合物は、薬学的に許容される塩に変換されることもある。薬学的に許容されるカチオンは、金属イオンおよび有機イオンを包含する。より好ましい金属イオンは、適切なアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、および他の生理学的に許容される金属イオンを包含するが、それらに限定されるものではない。例示的イオンは、それらの通常の原子価でアルミニウム、カルシウム、リチウム、マグネシウム、カリウム、ナトリウム、および亜鉛を包含する。好ましい有機イオンは、部分的に、トリメチルアミン、ジエチルアミン、N,N’−ジベンジルエチレンジアミン、クロロプロカイン、コリン、ジエタノールアミン、エチレンジアミン、メグルミン(Nメチルグルカミン)およびプロカインを包含するプロトン化した三級アミンおよび四級アンモニウムカチオンを包含する。例示的な薬学的に許容される酸は、塩酸、臭化水素酸、リン酸、硫酸、メタンスルホン酸、酢酸、ギ酸、酒石酸、マレイン酸、リンゴ酸、クエン酸、イソクエン酸、コハク酸、乳酸、グルコン酸、グルクロン酸、ピルビン酸、オキサル酢酸、フマル酸、プロピオン酸、アスパラギン酸、グルタミン酸、安息香酸などを包含するが、それらに限定されるものではない。
【0048】
一般に、本発明のプロセスにより調製される1つまたは複数の化合物は、最終生成物が、6−β−アミノエピマー約5%未満を含むという点でエナンチオマー的に純粋である。一部の実施形態において、最終生成物は、6−β−アミノエピマー約2%未満を含むことがある。さらなる実施形態において、最終生成物は、6−β−アミノエピマー約1%未満を含むことがある。
【0049】
式(I)、(IIa)、(IIb)、(III)、(IV)、または(V)のうちのいずれかを含む化合物は、偏光の回転に関して(−)または(+)配向を有することがある。より具体的に、モルフィナンの各キラル中心は、RまたはS立体配置を有することがある。本明細書に記載されている化合物は、少なくとも4つのキラル中心、すなわち、炭素C−5、C−9、C−13、およびC−14を有することがある。各キラル中心において、炭素原子における立体化学は、独立して、RまたはSである。C−5、C−9、C−13、およびC−14の立体配置は、それぞれ、RRRR、RRRS、RRSR、RSRR、SRRR、RRSS、RSSR、SSRR、SRRS、SRSR、RSRS、RSSS、SRSS、SSRS、SSSR、またはSSSSであってよく、ただし、C−15およびC−16原子は、共に分子のα面の上にあるか共に分子のβ面の上にある。6−α−アミノ基、すなわち、{−}NHRは、Rの独自性(すなわち、優先度)に応じて、RまたはSであってよい。
【0050】
好ましい実施形態において、本発明のプロセスにより製造される化合物は、下に図示されている化合物またはその化合物の薬学的に許容される塩であり、
【0051】
【化11】

式中
は、水素、アルキル、および保護基なる群から選択され、
は、水素、ヒドロカルビル、および置換されたヒドロカルビルからなる群から選択され、
14は、水素およびヒドロキシからなる群から選択される。
【0052】
好ましい実施形態において、Rは、メチル、シクロプロピルメチル、またはアリルであり、Rは、水素またはメチルである。
【0053】
(iii)組成物
本発明のさらなる態様は、式(IV)の化合物および式(IV)を含む化合物の6−βアミノエピマー約5%未満を含むエピマー的に純粋な組成物を包含し、
【0054】
【化12】

式中、R、R、R、R、R、R、およびR14は、反応スキーム1で上に定義されている通りである。
【0055】
さらに、組成物の化合物は、(II)(c)項で上に詳述されているように、式(IV)を含む化合物の薬学的に許容される塩であり得る。
【0056】
一実施形態において、本発明の組成物は、6−βアミノエピマー約2%未満を含む。別の実施形態において、本発明の組成物は、6−βアミノエピマー1%未満を含む。さらなる実施形態において、本発明の組成物は、6−α−アミノエピマー約95%超を含む。さらに別の実施形態において、本発明の組成物は、6−α−アミノエピマー約98%超を含む。さらなる実施形態において、本発明の組成物は、6−α−アミノエピマー99%超を含む。
【0057】
本発明の組成物は、治療有効投与量を送達する多くの異なる手段による投与のために製剤化されることがある。そのような製剤は、望まれるように、従来の無毒性の薬学的に許容される担体、補助剤、およびビヒクルを含有する用量単位製剤で経口的に、非経口的に、吸入スプレーにより、直腸に、皮内に、経皮的に、または局所的に投与することができる。局所投与には、経皮パッチなどの経皮投与またはイオン注入装置などの使用が関わることもある。本明細書で使用されるような非経口という用語は、皮下、静脈内、筋肉内、もしくは胸骨内注射、または注入技法を包含する。薬物の製剤化については、例えば、Gennaro,A.R.、Remington’s Pharmaceutical Sciences、Mack Publishing Co.、Easton、Pa.(第18版、1995)、およびLiberman,H.A.およびLachman,L.、編、Pharmaceutical Dosage Forms、Marcel Dekker Inc.、New York、N.Y.(1980)で議論されている。
【0058】
定義
本明細書に記載されている化合物は、不斉中心を有する。非対称に置換された原子を含有する本発明の化合物は、光学活性かラセミの形態で単離されることがある。具体的な立体化学または異性形態が具体的に指示されていない限り、構造のすべてのキラルな、ジアステレオマーの、ラセミの形態およびすべての幾何学的異性形態が意図されている。
【0059】
「アシル」という用語は、単独でまたは別の基の一部として本明細書で使用されているとき、有機カルボン酸の基COOHからのヒドロキシ基の除去により形成される部分、例えば、RC(O)−(式中、Rは、R、RO−、RN−、またはRS−であり、Rは、ヒドロカルビル、ヘテロ置換されたヒドロカルビル、またはヘテロシクロであり、Rは、水素、ヒドロカルビル、または置換されたヒドロカルビルである)を示す。
【0060】
「アシルオキシ」という用語は、単独でまたは別の基の一部として本明細書で使用されているとき、酸素連結(O)を通して結合している上に記載されているようなアシル基、例えば、RC(O)O−(式中、Rは、「アシル」という用語に関連して定義されている通りである)を示す。
【0061】
「アリル」という用語は、本明細書で使用されているとき、単純なアリル基(CH=CH−CH−)を含有する化合物ばかりでなく、置換されたアリル基または環系の一部を形成するアリル基を含有する化合物も指す。
【0062】
本明細書で使用されている「アルキル」という用語は、主鎖内に1から8個までの炭素原子および最大で20個までの炭素原子を含有する低級アルキルであることが好ましい基について記載している。それらは、直鎖もしくは分枝鎖または環式であってよく、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、ヘキシルなどを包含する。
【0063】
本明細書で使用されている「アルケニル」という用語は、主鎖内に2から8個までの炭素原子および最大で20個までの炭素原子を含有する低級アルケニルであることが好ましい基について記載している。それらは、直鎖もしくは分枝鎖または環式であってよく、エテニル、プロペニル、イソプロペニル、ブテニル、イソブテニル、ヘキセニルなどを包含する。
【0064】
本明細書で使用されている「アルキニル」という用語は、主鎖内に2から8個までの炭素原子および最大で20個までの炭素原子を含有する低級アルキニルであることが好ましい基について記載している。それらは、直鎖または分枝鎖であってよく、エチニル、プロピニル、ブチニル、イソブチニル、ヘキシニルなどを包含する。
【0065】
本明細書で使用されている、「6−アミノ」という用語は、モルフィナンのC−6に共役している一級および二級のアミン部分を包含する。
【0066】
単独でまたは別の基の一部として本明細書で使用されているとき、「芳香族」という用語は、置換されていてもよいホモ環式またはヘテロ環式の共役した平面環または非局在化電子を含む環系を示す。これらの芳香族基は、環部分に5から14個までの原子を含有する単環式(例えば、フランまたはベンゼン)、二環式、または三環式の基であることが好ましい。「芳香族」という用語は、下で定義されている「アリール」基を包含する。
【0067】
単独でまたは別の基の一部として本明細書で使用されているとき、「アリール」または「Ar」という用語は、フェニル、ビフェニル、ナフチル、置換されたフェニル、置換されたビフェニル、または置換されたナフチルなどの、置換されていてもよいホモ環式芳香族基、好ましくは、環部分に6から10個までの炭素を含有する単環式または二環式の基を示す。
【0068】
単独でまたは別の基の一部として本明細書で使用されているような「カルボシクロ」または「炭素環式」という用語は、置換されていてもよい、芳香族または非芳香族の、ホモ環式環あるいは各環に5または6個の炭素原子のあることが好ましい、環の原子のすべてが炭素である環系を示す。例示的置換基は、下記の基のうちの1つまたは複数を包含する:ヒドロカルビル、置換されたヒドロカルビル、アルキル、アルコキシ、アシル、アシルオキシ、アルケニル、アルケノキシ(alkenoxy)、アリール、アリールオキシ、アミノ、アミド、アセタール、カルバミル、カルボシクロ、シアノ、エステル、エーテル、ハロゲン、ヘテロシクロ、ヒドロキシ、ケト、ケタール、ホスホ、ニトロ、およびチオ。
【0069】
単独でまたは別の基の一部として本明細書で使用されているとき、「ハロゲン」または「ハロ」という用語は、塩素、臭素、フッ素、およびヨウ素を指す。
【0070】
「ヘテロ原子」という用語は、炭素および水素以外の原子を指す。
【0071】
単独でまたは別の基の一部として本明細書で使用されているとき、「ヘテロ芳香族」という用語は、少なくとも1つの環に少なくとも1個のヘテロ原子、および、好ましくは、各環に5または6個の原子を有する置換されていてもよい芳香族基を示す。ヘテロ芳香族基は、環に1または2個の酸素原子および/または1〜4個の窒素原子を有し、炭素を介して分子の残りに結合していることが好ましい。例示的な基は、フリル、ベンゾフリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、オキサジアゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾオキサジアゾリル、ピロリル、ピラゾリル、イミダゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、ピリジル、ピリミジル、ピラジニル、ピリダジニル、インドリル、イソインドリル、インドリジニル、ベンゾイミダゾリル、インダゾリル、ベンゾトリアゾリル、テトラゾロピリダジニル、カルバゾリル、プリニル、キノリニル、イソキノリニル、イミダゾピリジルなどを包含する。例示的置換基は、下記の基のうちの1つまたは複数を包含する:ヒドロカルビル、置換されたヒドロカルビル、アルキル、アルコキシ、アシル、アシルオキシ、アルケニル、アルケノキシ、アリール、アリールオキシ、アミノ、アミド、アセタール、カルバミル、カルボシクロ、シアノ、エステル、エーテル、ハロゲン、ヘテロシクロ、ヒドロキシ、ケト、ケタール、ホスホ、ニトロ、およびチオ。
【0072】
単独でまたは別の基の一部として本明細書で使用されている「ヘテロシクロ」または「ヘテロ環式」という用語は、少なくとも1つの環に少なくとも1個のヘテロ原子、および好ましくは、各環に5または6個の原子を有する、置換されていてもよい、完全飽和または不飽和の、単環式または二環式の、芳香族または非芳香族の基を示す。ヘテロシクロ基は、環に1または2個の酸素原子および/または1〜4個の窒素原子を有し、炭素もしくはヘテロ原子を通して分子の残りに結合していることが好ましい。例示的なヘテロシクロ基は、上に記載されているようなヘテロ芳香族を包含する。例示的置換基は、下記の基のうちの1つまたは複数を包含する。ヒドロカルビル、置換されたヒドロカルビル、アルキル、アルコキシ、アシル、アシルオキシ、アルケニル、アルケノキシ、アリール、アリールオキシ、アミノ、アミド、アセタール、カルバミル、カルボシクロ、シアノ、エステル、エーテル、ハロゲン、ヘテロシクロ、ヒドロキシ、ケト、ケタール、ホスホ、ニトロ、およびチオ。
【0073】
本明細書で使用されている「炭化水素」および「ヒドロカルビル」という用語は、排他的に元素炭素および水素からなる有機化合物またはラジカルについて記載している。これらの部分は、アルキル、アルケニル、アルキニル、およびアリール部分を包含する。これらの部分は、アルカリール、アルケンアリール(alkenaryl)およびアルキンアリール(alkynaryl)などの他の脂肪族または環式の炭化水素基で置換されているアルキル、アルケニル、アルキニル、およびアリール部分も包含する。他に指示がない限り、これらの部分は、1〜20個の炭素原子を含むことが好ましい。
【0074】
本明細書で使用されている「保護基」という用語は、酸素原子を保護することができる(したがって、保護されたヒドロキシを形成する)基を示し、保護基は、分子の残りに支障を来すことなく、保護が用いられている反応の後で、除去することができる。例示的保護基は、エーテル(例えば、アリル、トリフェニルメチル(トリチルまたはTr)、p−メトキシベンジル(PMB)、p−メトキシフェニル(PMP)、アセタール(例えば、メトキシメチル(MOM)、β−メトキシエトキシメチル(MEM)、テトラヒドロピラニル(THP)、エトキシエチル(EE)、メチルチオメチル(MTM)、2−メトキシ−2−プロピル(MOP)、2−トリメチルシリルエトキシメチル(SEM))、エステル(例えば、安息香酸エステル(Bz)、アリルカーボネート、2,2,2−トリクロロエチルカーボネート(Troc)、2−トリメチルシリルエチルカーボネート)、シリルエーテル(例えば、トリメチルシリル(TMS)、トリエチルシリル(TES)、トリイソプロピルシリル(TIPS)、トリフェニルシリル(TPS)、t−ブチルジメチルシリル(TBDMS)、t−ブチルジフェニルシリル(TBDPS)などを包含する。様々な保護基およびそれらの合成は、T.W.GreeneおよびP.G.M.Wutsによる「Protective Groups in Organic Synthesis」、John Wiley & Sons、1999中に見いだすことができる。
【0075】
本明細書に記載されている「置換されたヒドロカルビル」部分は、炭素鎖原子が、窒素、酸素、ケイ素、リン、ホウ素、またはハロゲン原子などのヘテロ原子で置換されている部分および炭素鎖が、追加の置換基を含む部分を包含する、炭素以外の少なくとも1つの原子で置換されているヒドロカルビル部分である。これらの置換基は、アルキル、アルコキシ、アシル、アシルオキシ、アルケニル、アルケノキシ、アリール、アリールオキシ、アミノ、アミド、アセタール、カルバミル、カルボシクロ、シアノ、エステル、エーテル、ハロゲン、ヘテロシクロ、ヒドロキシ、ケト、ケタール、ホスホ、ニトロ、およびチオを包含する。
【0076】
本発明の要素またはそれらの好ましい1つまたは複数の実施形態を導入する場合、「ある(a)」、「ある(an)」、「その(the)」および「前記(said)」という冠詞は、要素のうちの1つまたは複数が存在することを意味することが意図されている。「含む」、「包含する」および「有する」という用語は、包括的であることが意図されており、列挙された要素以外の追加要素が存在し得ることを意味する。
【0077】
本発明について詳細に記載してきたが、添付の特許請求の範囲で定義されている本発明の範囲を逸脱することなく修正および変形が可能であることは明らかであろう。
【実施例】
【0078】
下記の実施例は、本発明の好ましい実施形態を明らかにするために包含される。実施例に開示されている技法が、本発明の実施において十分に機能する発明者らにより発見された技法に相当することは、当業者により理解されるべきである。しかしながら、当業者は、本開示に照らして、多くの変更が、本発明の精神および範囲を逸脱することなく、開示されている具体的な実施形態において行うことができ、それでもなお同様または類似の結果を得ることができ、したがって、示されているすべての事柄が、例示であって限定する意味ではないと解釈されるべきであることを理解するべきである。
【0079】
(実施例1)
(−)−ノルオキシモルホンのベンジルアミンとの還元アミノ化
下記の反応スキームは、(−)−ノルオキシモルホンの6−α−アミノ誘導体の調製を描いている。
【0080】
【化13】

反応1。丸底フラスコ中に、ノルオキシモルホン(2.50g、0.009モル)、ベンジルアミン(1.86g、0.017モル、1.83mL)、トリエチルアミン(4.40g、0.044モル、6.06mL)、およびアセトニトリル(10mL)を加えた。この溶液に、>96%ギ酸(5.01g、0.109モル、4.10mL)を加えた。反応温度は、50℃まで発熱した。反応物を、温度が25℃に達するまで30分にわたって撹拌した。次いで、ジクロロ(p−シメン)Ru(II)ダイマー(27mg)を加え、反応物を、18時間にわたって60℃まで温めた。LCは、ノルオキシモルホンが消費され、2つの生成物、N−ホルミルおよびN−H化合物が存在することを示した。反応混合物を、室温まで冷却し、次いで、蒸発させて油とした。残渣を、アセトニトリル(5mL)に溶かし、29% NH/HOを、混合物のpHが9.4になるまで滴下した。1時間にわたって撹拌した後、水性混合物を、10%イソプロパノール/クロロホルム(3×25mL)で抽出した。抽出液を合わせ、無水MgSOで乾燥し、濾過し、蒸発乾固させた。N−ホルミル化合物(2.30g、65%収率)は、5% MeOH/CHClで溶出する重力カラムクロマトグラフィー(Silica Gel G60、15g)により単離された。所望の画分を合わせ、溶媒を蒸発させ、得られる残渣を、真空下に置いた(24時間、室温)。
【0081】
反応2。丸底フラスコ中に、(−)−ノルオキシモルホン(2.50g、0.009モル)、ベンジルアミン(1.86g、0.017モル、1.83mL)、トリエチルアミン(4.40g、0.044モル、6.06mL)、およびアセトニトリル(10mL)を加えた。この溶液に、>96%ギ酸(5.01g、0.109モル、4.10mL)を加えた。反応物は、50℃まで発熱した。反応物を、温度が25℃に達するまで30分にわたって撹拌した。次いで、ジクロロ(p−シメン)Ru(II)ダイマー(27mg)を加え、反応物を、30時間にわたって室温にて撹拌した。LCは、ノルオキシモルホンが消費され、2つの生成物、N−ホルミルおよびN−H化合物が存在することを示した。次いで、反応物を、48時間にわたって60℃まで加熱した。HPLCは、主にN−ホルミルと一部のN−Hを示した。反応物を、室温まで冷却し、次いで、反応混合物を、蒸発させて油とした。残渣を、アセトニトリル(5mL)に溶かし、29% NH/HOを、pH9.4まで滴下した。1時間にわたって撹拌した後、蒸留水(5mL)を加え、次いで、混合物を、10%イソプロパノール/クロロホルム(3×25mL)で抽出した。抽出液を合わせ、無水MgSOで乾燥し、濾過し、蒸発乾固させた。N−ホルミル化合物(2.30g、65%収率)は、5% MeOH/CHClで溶出する重力カラムクロマトグラフィー(Silica Gel G60、20g)により単離され、所望の画分を合わせ、蒸発させ、次いで、残渣を真空下に置いた(24時間、室温)。
【0082】
(実施例2)
(+)−ノルオキシモルホンのベンジルアミンとの還元アミノ化
(+)−ノルオキシモルホンの6−α−アミノ誘導体を、下記の反応スキームに従って調製した。
【0083】
【化14】

反応1。丸底フラスコ中に、(+)−ノルオキシモルホン(0.50g、1.74ミリモル)、アセトニトリル(20.0mL)、次いで、ベンジルアミン(0.37g、3.45ミリモル)を充填した。この混合物を、5分にわたって室温にて撹拌し、次いで、トリエチルアミン(0.88g、8.7ミリモル、1.21mL)を加えた。次に、>96%ギ酸(1.0g、21.72ミリモル、0.82mL)を滴下した。温度は、45℃まで発熱した。ギ酸の添加が完了した後、ジクロロ(p−シメン)Ru(II)ダイマー(5mg、0.008ミリモル)を加えた。反応混合物を、48時間にわたって60℃にて撹拌した。次いで、追加量の>96%ギ酸(0.61g、13.25ミリモル、0.5mL)を加えた。60℃にてさらに24時間にわたって撹拌した後、反応は、HPLCにより完了していると判断された。反応混合物を、減圧下で蒸発させて濃厚な油とした。この油に、蒸留水(10mL)を加え、次いで、この溶液のpHを、29% NH/HOを使用して9.6に調整した。水層を、CHCl(3×25mL)で抽出し、抽出液を合わせ、無水MgSOで乾燥し、濾過し、蒸発させて油とした。生成物(600mg、1.47ミリモル、85%収率)は、2.5% MeOH/CHClから5.0% MeOH/CHClまでのグラジエント溶出を使用するカラムクロマトグラフィー(Silica Gel G60、70〜230メッシュASTM)により単離された。適切な画分を合わせ、溶媒を蒸発させ、得られた油を、室温にて24時間にわたって真空下に置くと、灰色がかった白色の泡が生成した。
【0084】
反応2。丸底フラスコ中に、(+)−ノルオキシモルホン(0.48g、0.002モル)、ベンジルアミン(0.27g、0.003モル、0.27mL)、トリエチルアミン(0.84g、0.008モル、1.16mL)、およびアセトニトリル(5.0mL)を加えた。反応物を5℃まで冷却した後(氷/水)、>96%ギ酸(0.96g、0.021モル、0.79mL)を滴下した。反応温度は、50℃まで発熱した。反応物を、温度が25℃に達するまで30分にわたって撹拌した。次いで、ジクロロ(p−シメン)Ru(II)ダイマー(5mg)と、続いて、アセトニトリル(5.0mL)を加え、反応物を、48時間にわたって室温にて撹拌した。LCは、ノルオキシモルホンが消費され、2つの生成物、N−ホルミルおよびN−H化合物が存在することを示した。次いで、反応物を、48時間にわたって65℃まで加熱した。LCは、主にN−ホルミルと一部のN−Hを示した。反応物を、室温まで冷却し、丸底フラスコ中に移し(アセトニトリル5.0mLで反応フラスコをすすぐ)、次いで、反応混合物を、蒸発させて油とした。残渣を、蒸留水(10mL)に溶かし、29% NH/HOを、pH9.8まで滴下した。1時間にわたって撹拌した後、混合物を、10%イソプロパノール/クロロホルム(3×25mL)で抽出した。有機抽出液を合わせ、無水MgSOで乾燥し、濾過し、蒸発乾固させた。残った水溶液を、蒸発乾固させた。有機抽出液および水溶液からの残渣を合わせた後、N−ホルミル化合物(0.39g、57%収率)は、CHClから5% MeOH/CHClまでのグラジエント溶出を使用する重力カラムクロマトグラフィー(Silica Gel G60、15g)により単離され、所望の画分を合わせ、蒸発させ、次いで、残渣を真空下に置いた(24時間、室温)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
6−α−アミノ−N17−ホルミルモルフィナンを調製するためのプロセスであって、6−ケトノルモルフィナンを、アミン源、ギ酸イオンを含む水素供与体、遷移金属触媒、およびプロトン受容体と接触させて前記6−α−アミノ−N17−ホルミルモルフィナンを形成することを含むプロセス。
【請求項2】
前記6−ケトノルモルフィナンが、ノルヒドロコドン、ノルヒドロモルホン、ノルオキシコドン、およびノルオキシモルホンから選択され、前記アミン源が、一級アミンおよびアンモニウム塩から選択され、前記ギ酸イオンを含む水素供与体が、ギ酸、ギ酸の塩、およびギ酸と有機塩基の混合物から選択され、前記遷移金属触媒が、ルテニウム、ロジウム、またはイリジウムを含み、前記プロトン受容体が、約9超のpKaを有する、請求項1に記載のプロセス。
【請求項3】
6−イミン部分を含む少なくとも1つの中間体化合物が、前記プロセスの間に生成される、請求項1または2のいずれかに記載のプロセス。
【請求項4】
6−β−アミノエピマーが、約2%以下を占める、請求項1から3のいずれかに記載のプロセス。
【請求項5】
式(IV)を含む化合物を調製するためのプロセスであって、
【化15】

式(I)を含む化合物を、アミン源(RNH)、ギ酸イオンを含む水素供与体、遷移金属触媒、およびプロトン受容体の存在下で還元して前記式(IV)を含む化合物を形成することを含み、式(I)の化合物が、
【化16】

含み、
式中、
およびRは、水素、ヒドロカルビル、置換されたヒドロカルビル、ハロゲン、および{−}OR15から独立して選択され、
、RおよびRは、水素、ヒドロカルビル、置換されたヒドロカルビル、および{−}OR15から独立して選択され、
は、水素、ヒドロカルビルおよび置換されたヒドロカルビルから選択され、
14は、水素および{−}OR15から選択され、
15は、水素、ヒドロカルビル、置換されたヒドロカルビル、およびヒドロキシ保護基から選択される、プロセス。
【請求項6】
、R、R、およびRが、水素であり、Rが、アルコキシ、ヒドロキシ、および保護されたヒドロキシから選択され、R14が、水素またはヒドロキシであり、Rが、水素、アルキル、置換されたアルキル、アルケニル、置換されたアルケニル、およびアリールから選択され、前記ギ酸イオンを含む水素供与体が、ギ酸、ギ酸の塩、およびギ酸と有機塩基の混合物から選択され、Rが、アルキル、置換されたアルキル、アルケニル、置換されたアルケニル、およびアリールから選択され、前記アミン源が、一級アミンであり、前記式(I)を含む化合物と前記一級アミンと前記水素供与体のモル比が、約1:1:1から約1:5:20までであり、前記遷移金属触媒が、ルテニウム、ロジウム、またはイリジウムを含み、前記式(I)を含む化合物と前記遷移金属触媒のモル比が、約1:0.0001から約1:0.01までであり、前記式(I)を含む化合物、前記アミン源、前記遷移金属触媒、および前記水素供与体の反応が、非プロトン性溶媒、プロトン性溶媒、非極性溶媒、およびそれらの組合せから選択される溶媒の存在下、そして、約20℃から約100℃までの温度にて起き、前記プロトン受容体が、約9超のpKaを有し、前記プロトン受容体が、アンモニア、水酸化アンモニウム、水酸化カリウム、および水酸化ナトリウムから選択される、請求項5に記載のプロセス。
【請求項7】
前記水素供与体が、ギ酸およびトリエチルアミンを含む、請求項5または6のいずれかに記載のプロセス。
【請求項8】
前記遷移金属触媒が、野依触媒である、請求項5から7のいずれかに記載のプロセス。
【請求項9】
前記式(I)を含む化合物を、前記アミン源、水素源、および前記遷移金属触媒と接触させた後に、式(IIa)および式(IIb)を含む2つの第一中間体が形成され、前記第一中間体が、その場で、式(III)を含む第二中間体に変換され、
【化17】

式中、
およびRは、水素、ヒドロカルビル、置換されたヒドロカルビル、ハロゲン、および{−}OR15から独立して選択され、
、RおよびRは、水素、ヒドロカルビル、置換されたヒドロカルビル、および{−}OR15から独立して選択され、
は、水素、ヒドロカルビルおよび置換されたヒドロカルビルから選択され、
14は、水素および{−}OR15から選択され、
15は、水素、ヒドロカルビル、置換されたヒドロカルビル、およびヒドロキシ保護基から選択される、請求項5から8のいずれかに記載のプロセス。
【請求項10】
6−α−アミノ−N17−ホルミルモルフィナン生成物が、式(V)を含む化合物をさらに含み、
【化18】

式中、
およびRは、水素、ヒドロカルビル、置換されたヒドロカルビル、ハロゲン、および{−}OR15から独立して選択され、
、RおよびRは、水素、ヒドロカルビル、置換されたヒドロカルビル、および{−}OR15から独立して選択され、
14は、水素および{−}OR15から選択され、
15は、水素、ヒドロカルビル、置換されたヒドロカルビル、およびヒドロキシ保護基から選択される、請求項5から9のいずれかに記載のプロセス。
【請求項11】
前記アミン源が、一級アミンであり、前記式(I)を含む化合物と前記一級アミンのモル比が、約1:2であり、前記水素供与体が、ギ酸およびトリエチルアミンを含み、前記式(I)を含む化合物とギ酸とトリエチルアミンのモル比が、約1:12:3であり、前記遷移金属触媒が、ジクロロ(p−シメン)Ru(II)ダイマーであり、前記式(I)を含む化合物と前記Ru(II)ダイマーのモル比が、約1:0.001から1:0.01までであり、前記一級アミン、Ru(II)ダイマー、およびギ酸/トリエチルアミンとの反応が、アセトニトリルの存在下で約20℃から約70℃までの温度にて起き、前記プロトン受容体が、アンモニアであり、前記プロトン受容体との反応が、約9.5のpHにて、および室温にて、水を含むプロトン性溶媒系中で起きる、請求項5に記載のプロセス。
【請求項12】
前記アミン源が、酢酸アンモニウムであり、前記式(I)を含む化合物と酢酸アンモニウムのモル比が、約1:12であり、前記水素供与体が、ギ酸およびトリエチルアミンを含み、前記式(I)を含む化合物とギ酸とトリエチルアミンのモル比が、約1:12:5であり、前記遷移金属触媒が、ジクロロ(p−シメン)Ru(II)ダイマーであり、前記式(I)を含む化合物と前記Ru(II)ダイマーのモル比が、約1:0.001から1:0.01までであり、前記酢酸アンモニウム、前記Ru(II)ダイマー、および前記ギ酸/トリエチルアミンの反応が、エタノールの存在下で約20℃から約70℃までの温度にて起き、前記プロトン受容体が、アンモニアであり、前記プロトン受容体との反応が、約9.5のpHにて、および室温にて、水を含むプロトン性溶媒系中で起きる、請求項5に記載のプロセス。
【請求項13】
前記式(I)または(IV)を含む化合物の光学活性が、(−)または(+)であり、C−5、C−13、C−14、およびC−9における立体配置が、それぞれ、RRRR、RRRS、RRSR、RSRR、SRRR、RRSS、RSSR、SSRR、SRRS、SRSR、RSRS、RSSS、SRSS、SSRS、SSSR、およびSSSSから選択され、ただし、C−15とC−16が共に、分子のα面かβ面のどちらかの上にあり、6−β−アミノエピマーが、2%未満を占める、請求項5から12のいずれかに記載のプロセス。
【請求項14】
a)式(IV)を含む化合物、および
b)前記式(IV)を含む化合物の6−β−アミノエピマー約5%未満
を含み、
【化19】

式中、
およびRは、水素、ヒドロカルビル、置換されたヒドロカルビル、ハロゲン、および{−}OR15から独立して選択され、
、RおよびRは、水素、ヒドロカルビル、置換されたヒドロカルビル、および{−}OR15から独立して選択され、
は、水素、ヒドロカルビルおよび置換されたヒドロカルビルから選択され、
14は、水素および{−}OR15から選択され、
15は、水素、ヒドロカルビル、置換されたヒドロカルビル、およびヒドロキシ保護基から選択される、組成物。
【請求項15】
、R、R、およびRが、水素であり、Rが、アルコキシ、ヒドロキシ、および保護されたヒドロキシから選択され、R14が、水素またはヒドロキシルであり、Rが、水素、アルキル、置換されたアルキル、アルケニル、置換されたアルケニル、アリール、および置換されたアリールから選択され、前記エピマーの光学活性が、(−)または(+)であり、C−5、C−13、C−14、およびC−9における立体配置が、それぞれ、RRRR、RRRS、RRSR、RSRR、SRRR、RRSS、RSSR、SSRR、SRRS、SRSR、RSRS、RSSS、SRSS、SSRS、SSSR、およびSSSSから選択され、ただし、C−15とC−16が共に、分子のα面かβ面のどちらかの上にあり、6−α−アミノエピマーが、約98%超であり、前記6−β−アミノエピマーが、約2%以下である、請求項14に記載の組成物。

【公表番号】特表2012−529532(P2012−529532A)
【公表日】平成24年11月22日(2012.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−515119(P2012−515119)
【出願日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【国際出願番号】PCT/US2010/038065
【国際公開番号】WO2010/144640
【国際公開日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【出願人】(511215045)マリンクロッド エルエルシー (12)
【Fターム(参考)】