説明

触媒組成物及び芳香族のアルキル化における該触媒組成物の使用

本開示は(a)MCM−49モレキュラーシーブ、及び(b)少なくとも1重量%のチタニア化合物を含むバインダーを含む触媒組成物に関する。本開示の1つの態様において、このチタン化合物は、酸化チタン、水酸化チタン、硫酸チタン、リン酸チタンの少なくとも1つ、又はこれらの任意の組合せを含む。他の側面において、この触媒組成物は、MCM−22、MCM−36、MCM−49、MCM−56、ITQ−1、ITQ−2、ITQ−3、PSH−3、ERB−1、SSZ−25の少なくとも1つ、又はこれらの任意の組合せを含む、MCM−22ファミリー物質を更に含む。他の態様において、本開示は本開示の触媒組成物を調製する方法に関する。この方法は(a)結晶性MCM−49モレキュラーシーブ及び少なくとも1重量%のチタン化合物を含むバインダーを提供して、混合物を生成する工程、及び(b)この混合物を触媒組成物に成形する工程とを含む。好適な態様において、成形工程は押出成形を含む。更なる態様において、本開示は芳香族炭化水素とアルキル化剤とを、触媒組成物に接触させてアルキル化された芳香族生成物を生成する方法を開示する。
なし

【発明の詳細な説明】
【発明の分野】
【0001】
本発明は新規な触媒組成物、その製造方法、及びそれを芳香族のアルキル化に使用する方法に関する。特に、本発明の新規な触媒組成物はMCM−49モレキュラーシーブ及び/又はMCM−22モレキュラーシーブ等のMCM−22ファミリー物質とチタン化合物を含む。炭化水素転換工程はアルキル化可能な芳香族のアルキル化を含む。
【背景技術】
【0002】
ゼオライト触媒を用いた芳香族炭化水素のアルキル化は知られており、当分野で理解されている技術である。米国特許No.5,334,795は液相において、MCM−22の存在下、エチレンでベンゼンをアルキル化してエチルベンゼンを製造する方法を開示する。及び米国特許No.4,891,458はゼオライトベータを用いた液相でのアルキル化及びトランスアルキル化を開示する。
【0003】
ゼオライトベースの触媒はベンゼンをプロピレンでアルキル化してクメンを生成することに使用されている。米国特許No.4,992,606は液相でMCM−22を用いてクメンを調製する方法を開示する。
【0004】
米国特許出願No.11/823129(内容の全てを参照により本明細書に援用する)はEMM−10−Pといわれる、合成されたままの、結晶性モレキュラーシーブとその製造方法を開示する。米国特許出願No.11/823129の態様において、EMM−10−Pは、合成されたままの形態で、13.18±0.25及び12.33±0.23オングストロームの格子面最大間隔(d−spacing maxima)を含むX線解析パターンを有し、13.18±0.25オングストロームにおける格子面最大間隔のピーク強度が12.33±0.25オングストロームにおける格子面最大間隔のピーク強度の少なくとも約90%であることを特徴とする。更に、EMM−10−PのX線回折パターンは11.06±0.18及び9.25±0.13オングストロームにおける格子面最大間隔において2つのXRDで区別可能なピークを更に有し、11.06±0.18オングストロームにおける格子面最大間隔のピーク強度は9.25±0.13オングストロームにおける格子面最大間隔のピーク強度と少なくとも同じである。更に、11.06±0.18及び/又は9.25±0.13オングストロームにおける格子面最大間隔でのピークは分離していないピークである。
【0005】
米国特許出願No.11/824742(内容の全てを参照により本明細書に援用する)はEMM−10といわれる新規なモレキュラーシーブ及びその製造方法を開示する。米国特許出願No.11/824742の幾つかの態様において、EMM−10は、アンモニウム交換した形態又はか焼形態において、MWWトポロジーを有する単位セルを含む。この結晶性モレキュラーシーブはセル単位がc方向に配列している縞模様を示す回折により特徴付けられる。更に、EMM−10は電子解析パターンのhk0アークにより更に特徴付けられる。特許出願No.11/824742の更なる追加的な態様において、EMM−10は更にc方向に沿った単位セルの縞によっても特徴付けられる。
【0006】
米国特許出願No.11/827953(内容の全てを参照により本明細書に援用する)は、合成されたままの状態で、12.33±0.23オングストロームの格子面最大間隔におけるピーク、12.57乃至14.17オングストローム間の格子面最大間隔における区別可能なピーク、及び8.8乃至11の格子面最大間隔における分離していないピークを含むX線回折パターンを有する、結晶性MCM−22ファミリーモレキュラーシーブを開示する。12.57乃至14.17オングストロームの間の格子面最大間隔のピーク強度は12.33±0.23オングストロームにおける格子面最大間隔のピーク強度の90%未満である。
【0007】
米国特許出願Nos.11/823129、11/824742、及び/又は11/827953で開示されている又は特徴付けられているモレキュラーシーブ組成物は本明細書と同様に、EMM−10ファミリーモレキュラーシーブを意図するものである。
【0008】
エチレン又はプロピレンを用いてベンゼンをアルキル化して、エチルベンゼン(EB)又はクメンをそれぞれ製造することは、拡散的に限界がある。それゆえ、エチレンとプロピレンを用いてベンゼンのアルキル化に対して高い活性を有する触媒を開発する必要がある。我々は、MCM−49モレキュラーシーブ及び/又は結晶性MCM−22モレキュラーシーブのようなMCM−22ファミリー物質及びチタニウム化合物を含む組成物は高いアルキル化活性を有することを発見した。
【発明の概要】
【0009】
本開示は(a)MCM−49モレキュラーシーブ及び/又は結晶性MCM−22モレキュラーシーブ等のMCM−22ファミリー物質と、(b)チタニウム化合物を触媒組成物の重量に基づいて約1重量%乃至約35重量%の範囲で含むバインダーとを含む触媒組成物に関係する。
【0010】
1つの好適な態様において、本開示のMCM−22ファミリー物質はMCM−22、MCM−49、MCM−56、及びEMM−10ファミリーモレキュラーシーブの少なくとも1つを含む。
【0011】
本開示の1つの側面において、チタニウム化合物は酸化チタン、水酸化チタン、硫酸チタン、リン酸チタンの少なくとも1つ、又はこれらの組合せを含む。本開示の他の態様において、この触媒組成物は、MCM−22、MCM−36、MCM−56、ITQ−1、ITQ−2、ITQ−3、ITQ−30、PSH−3、ERB−1、SSZ−25の少なくとも1つ、又はこれらの任意の組合せを有する結晶性MCM−22ファミリーモレキュラーシーブを更に含む。
【0012】
本開示の幾つかの態様において、触媒組成物は更に、拘束指数が2乃至12の中口径モレキュラーシーブ及び拘束指数が2未満の大口径モレキュラーシーブからなる群より選択されるMCM−22ファミリー以外のモレキュラーシーブを更に含む。1つの態様において、MCM−22ファミリー以外のモレキュラーシーブはFAU、*BEA、MFI、MTWの少なくとも1つ又はこれらの任意の組合せのフレームワークタイプを有する。
【0013】
本開示の好適な態様において、本開示の触媒組成物は、触媒組成物の重量に基づいて、少なくとも1重量%、好ましくは少なくとも10重量%、より好ましくは少なくとも50重量%、さらに好ましくは少なくとも65重量%、更に好ましくは少なくとも80重量%の結晶性MCM−49モレキュラーシーブを含む。
【0014】
本開示の他の好適な態様において、本開示の触媒組成物は、触媒組成物の重量に基づいて、少なくとも1重量%、好ましくは少なくとも10重量%、より好ましくは少なくとも50重量%、さらに好ましくは少なくとも65重量%、更に好ましくは少なくとも80重量%の結晶性MCM−22モレキュラーシーブを含む。
【0015】
本開示の更なる他の好適な態様において、本開示の触媒組成物は、触媒組成物の重量に基づいて、少なくとも1重量%、好ましくは少なくとも10重量%、より好ましくは少なくとも50重量%、さらに好ましくは少なくとも65重量%、更に好ましくは少なくとも80重量%の結晶性MCM−22ファミリーモレキュラーシーブを含む。
【0016】
更なる他の態様において、本開示の触媒組成物は触媒組成物の重量に基づいて、少なくとも5重量%、好ましくは少なくとも5重量%、最も好ましくは少なくとも10重量%のチタン化合物を含む。
【0017】
更なる他の好適な態様において、本開示の触媒組成物は触媒組成物の重量に基づいて、約1重量%乃至約35重量%の範囲で、好ましくは約1重量%乃至約30重量%の範囲で、より好ましくは約5重量%乃至約25重量%の範囲でチタン化合物を含む。
【0018】
幾つかの態様において、触媒組成物は、触媒組成物の重量に基づいて、少なくとも5重量%の*BEAフレームワークタイプを有するモレキュラーシーブを更に含む。
【0019】
本開示の幾つかの側面において、本開示の触媒組成物は更にアルミニウム化合物を含む。幾つかの態様において、アルミニウム化合物は酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、硫酸アルミニウム、リン酸アルミニウムの少なくとも1つ、又はこれらの任意の組合せを含む。好ましくは、この触媒組成物は触媒組成物の重量に基づいて少なくとも1重量%のアルミニウム化合物を含む。より好ましくは、この触媒組成物は、触媒組成物の重量に基づいて、34重量%未満、好ましくは30重量%未満、より好ましくは20重量%未満、さらにより好ましくは10重量%未満のアルミニウム化合物を含む。
【0020】
他の態様において、本開示は本開示の触媒組成物の調製方法に関する。この調製方法は(a)MCM−22ファミリー物質及びチタン化合物を含むバインダーを提供して混合物を生成する工程、及び(b)この混合物から触媒組成物を成形する工程を含む。この触媒組成物は触媒組成物の総重量に基づいて、約1重量%乃至約35重量%の範囲でチタン化合物を含む。好適な態様において、成形する工程は押出成形を含む。他の好適な態様において、この触媒組成物はクアドルローブ(quadrulobe)の形である。1つの態様において、用いられる触媒組成物は触媒組成物の重量に基づいて、少なくとも60重量%のMCM−22ファミリー物質を含む。
【0021】
更なる他の態様において、本開示は本開示の触媒組成物の調製方法に関する。この調製方法は、(a)MCM−49モレキュラーシーブ及びチタン化合物を含むバインダーを提供して混合物を生成する工程、及び(b)この混合物から触媒組成物を成形する工程を含む。好適な態様において、形成する工程は押出成形を含む。他の好適な態様において、触媒組成物は四葉乃至クアドルローブ(quadrulobe)の形である。他の態様において、この触媒組成物は触媒組成物の重量に基づいて、少なくとも60重量%の結晶性MCM−49モレキュラーシーブを含む。
【0022】
他の態様において、本開示は芳香族炭化水素をアルキル化剤でアルキル化して、アルキル化された芳香族生成物を生成する方法に関する。この方法はアルキル化剤で芳香族炭化水素をアルキル化するのに効果的なアルキル化条件下で、触媒組成物を用いて、芳香族炭化水素とアルキル化剤を接触させてアルキル化された芳香族生成物を含む排出液を生成する工程を含む。好適な態様において、アルキル化条件は少なくとも部分的に液相であり、アルキル化を確実に行えるように維持されている。本開示で用いる「少なくと液相」の語は、芳香族炭化水素、アルキル化剤、及びアルキル化された芳香族生成物を組み合わせた総重量に基づいて、(アルキル化ゾーンの供給点において)芳香族炭化水素とアルキル化剤との総重量、あるいは(アルキル化ゾーンの供給点以降の任意のポイントにおける)芳香族炭化水素、アルキル化剤、及びアルキル化された芳香族炭化水素生成物の総重量の少なくとも1重量%、好ましくは少なくとも5重量%、より好ましくは少なくとも10重量%、さらに好ましくは少なくとも50重量%、及び最も好ましくは少なくとも90重量%が液相にあることを意味する。幾つかの好適な態様において、この芳香族炭化水素は、ベンゼンを含み、アルキル化剤はエチレンを含み、アルキル化された芳香族生成物はエチルベンゼンを含む。他の好適な態様において、この芳香族炭化水素はベンゼンを含み、アルキル化剤はプロピレンを含み、アルキル化された芳香族生成物はクメンを含む。幾つかの態様において、本開示の方法により生成された排出液は少なくとも1重量%、少なくとも5重量%、更に好ましくは少なくとも10重量%、及び最も好ましくは少なくとも20重量%のアルキル化された芳香族生成物を含む。この量は、アルミナからなるバインダーを含む同じ重量のアルミナ結合触媒組成物に接触させて生成された排出液の中のアルキル化された芳香族生成物の量より多い。幾つかの態様において、本開示の触媒組成物の触媒活性(実施例において行っているような、130℃の温度及び2170kPa−aの条件下でのプロピレンを用いたベンゼンのアルキル化により測定して)は、同じアルキル化条件下でのアルミナからなるバインダーを含み、モレキュラーシーブと同じ重量のアルミナ結合触媒組成物の触媒活性よりも、(実施例において行っているような、130℃の温度及び2170kPa−aの条件下でのプロピレンを用いたベンゼンのアルキル化により測定して)少なくとも5%、好ましくは少なくとも10%、更により好ましくは少なくとも20%、更により好ましくは少なくとも40%、及びもっとも好ましくは少なくとも60%高い。
【発明の詳細な説明】
【0023】
序論
全ての特許、特許出願、試験手順、優先権書類、文献、刊行物、マニュアル、及び本明細書で引用される他の書類は開示の内容が本願発明と矛盾せず、法制度において認められている限り、参照により本明細書に援用される。
【0024】
本明細書において、数値の下限値及び上限値が列挙されている場合、任意の下限値から任意の上限値によって構成される範囲も本願に含まれる。
【0025】
本明細書において、「フレームワークタイプ」の語は「ゼオライトフレームワークタイプのアトラス(Atlas of Zeolite Framework Types),2001」に記載されているものと同じ意味に用いる。
【0026】
本明細書における「MCM−22ファミリー物質」(又は「MCM−22ファミリーの物質」又は「MCM−22ファミリーモレキュラーシーブ」)の語は以下を含む。
(i)「MWWフレームワークトポロジーを有する単位セル」である、共通の開始結晶構造物のブロックから生成された分子。単位セルは、参照により本明細書に援用される、「ゼオライトフレームワークのアトラス(Atlas of Zeolite Framework Types)」、第5版、2001に記載のように、結晶を説明するための3次元空間中にあるタイル状の原子の特定の配列である;
(ii)「1つの単位セル厚の1つの層」、好ましくは1つの単位セル厚を形成している、共通の2次的な構造ブロック、MWWフレームワークタイプ単位セルの2次元的タイリング、から形成されたモレキュラーシーブ;
(iii)共通の2次的構造ブロック、「1つの単位セル厚以上の1つ又はそれ以上の相」、1つの単位セル厚以上の相はMWWフレームワークトポロジーを有する単位セルの1つの単位セル厚の少なくとも2つの層における少なくとも、タッキング、パッキング、又はビルディングから形成されたモレキュラーシーブ。そのような2次的構造ブロックのスタッキングは規則的なつくりでも不規則的なつくりでも、これらの組合せでもよい、又は
(iv)MWWフレームワークトポロジーを有する単位セルの任意の規則的な又はランダムな2次元又は3次元の組合せにより生成されたモレキュラーシーブ。
【0027】
MCM−22ファミリー物質は(か焼又は合成されたままのいずれかの状態で)12.4±0.25、3.75±0.07、及び3.42±0.07オングストロームの格子面最大間隔を含むX線回折パターンを有することを特徴とする。このMCM−22ファミリー物質は(か焼又は合成されたままのいずれかの状態で)12.4±0.25、6.9±0.15、3.75±0.07、及び3.42±0.07オングストロームの格子面最大間隔を含むX線回折パターンを有することも特徴とする。モレキュラーシーブを特徴付けるためのX線回折データは、入射放射線として銅のK−アルファダブレット(doublet)、並びに(データ)収集システムとしてシンチレーションカウンターとこれと連動するコンピューターとを備えた解析装置を用いた従来の方法により得ることができる。MCM−22ファミリーに属する物質はMCM−22(米国特許No.4,954,325に記載)、PSH−3(米国特許No.4,439,409に記載)、SSZ−25(米国特許No.4,826,667に記載)、ERB−1(欧州特許No.0293032に記載)、ITQ−1(米国特許No.6,077,498に記載)、ITQ−2(WO97/17290に記載)、ITQ−30(WO2005/118476に記載)、MCM−36(米国特許No.5,250,277に記載)、MCM−49(米国特許No.5,236,575に記載)、UZM−8(米国特許No.6,756,030に記載)、米国特許出願Nos.11/823129、11/824742、及び11/827953に記載の物質の少なくとも1つを含むEMM−10ファミリーモレキュラーシーブ、及びMCM−56(米国特許No.5,362,697に記載)を含む。これらの特許の全ての内容を参照により本明細書に援用する。
【0028】
MCM−22物質はモレキュラーシーブの10員環内部孔に繋がらない12員環表面ポケットを有していることから、MCM−22モレキュラーシーブは、モルデナイトのような、前述の従来の大口径ゼオライトアルキル化触媒とは区別される。
【0029】
MWWトポロジーであるIZA−SCのより設計されたゼオライト物質は10員環及び12員環の両方の2つの細孔システムが存在する多層物質である。「ゼオライトフレームワークのアトラス(Atlas of Zeolite Framework Types)」は、MCM−22、ERB−1、ITQ−1、ITQ−2、PHS−3、及びSSZ−25の5つの異なる名称の物質を、同じトポロジーを有する物質として分類している。
【0030】
MCM−22ファミリーのモレキュラーシーブは各種炭化水素転換に有用であることが発見されている。MCM−22ファミリーの例としては、MCM−22、MCM−49、MCM−56、ITQ−1、PHS−3、SSZ−25、及びERB−1がある。そのようなモレキュラーシーブは芳香族化合物のアルキル化に有用である。米国特許No.6,936,744は、モノアルキル化芳香族化合物、特にクメン、のアルキル化を開示する。このアルキル化は、ポリアルキル化された芳香族化合物をアルキル化可能な芳香族化合物に、少なくとも部分的に液相条件下で、トランスアルキル化触媒の存在下で、接触させて、モノアルキル化芳香族化合物を生成する工程を含む。ゼオライトトランスアルキル化触媒は少なくとも2つの結晶性モレキュラーシーブの組合せを含み、各モレキュラーシーブはゼオライトベータ、ゼオライトY、モルデナイト、及び12.4±0.25、6.9±0.15、3.75±0.07、及び3.24±0.07オングストロームの格子面最大間隔を含むX線回折パターンを有する物質から選択される。
【0031】
EMM−10ファミリーモレキュラーシーブは米国特許出願Nos.11/823129、11/824742、及び11/827953に記載の物質の少なくとも1つを含む。
【0032】
米国特許出願No.11/823129に記載のEMM−10ファミリーモレキュラーシーブはEMM−10−Pである。EMM−10−Pモレキュラーシーブは、合成されたままでは、13.18±0.25及び12.33±0.23オングストロームの格子面最大間隔を含むX線回折パターンを有する結晶性モレキュラーシーブである。13.18±0.25オングストロームにおける格子面最大間隔のピーク強度は12.33±0.23オングストロームにおける格子面最大間隔のピーク強度の少なくとも約90%である。
【0033】
更に、EMM−10−PモレキュラーシーブのX線回折パターンは、更に格子面最大間隔11.06±0.18及び9.25±0.13オングストロームにおける2つの区別可能なXRDを含む。11.06±0.18オングストロームにおける格子面最大間隔のピーク強度は9.25±0.13オングストロームにおける格子面最大間隔のピーク強度と少なくとも同程度である。更に、11.06±0.18及び9.25±0.13オングストロームにおいて格子面最大間隔を有するピークは分離していないピークである。
【0034】
好適な態様において、EMM−10−PモレキュラーシーブはNBET法により測定して、450m/gより大きい総表面面積を有する。EMM−10−Pの結晶性MCM−22ファミリーモレキュラーシーブは好ましくは、硝酸アンモニウムを用いた交換によるH型への転換及びか焼の後の総表面面積に対する外部表面面積の割合が0.15未満である。外部表面面積はNBET法のt−プロットで決定される。
【0035】
更なる追加的な態様において、EMM−10−Pモレキュラーシーブはテーブル状の相の形態を有する。ここにおいて、EMM−10−Pモレキュラーシーブの少なくとも50重量%がSEMで測定して、1μmより大きい、好ましくは2μmより大きい結晶直径を有する。
【0036】
幾つかの側面において、このEMM−10−Pモレキュラーシーブテーブル状の相の形態を有する。ここにおいて、EMM−10−Pモレキュラーシーブの少なくとも50重量%がSEMで測定して約0.025μmの厚さの結晶を有する。
【0037】
EMM−10−Pモレキュラーシーブを製造する方法は以下の工程を含む。
(a)少なくとも1つの4価元素(Y)の少なくとも1つの供給源、少なくとも1つのアルカリ又はアルカリ土類金属元素の少なくとも1つの供給源、少なくとも1つの指向剤(R)、水、及び任意で、少なくとも1つの3価元素(X)の少なくとも1つの供給源を含む混合物を提供する工程であり、ここにおいて、この混合物が以下のモル比を有する:
Y:X=10乃至無限大、好ましくは10乃至10000、より好ましくは10乃至55
O:Y=1乃至10,000、好ましくは1乃至5000、より好ましくは5乃至35
3価元素の供給源の補正を行っていない場合、OH:Y=0.001乃至0.59及び/又は3価元素の供給源の補正を行っている場合、OH:Y=0.001乃至0.39
:Y=0.001乃至2、好ましくは0.1乃至1
R:Y=0.001乃至2、好ましくは0.1乃至1
ここにおいて、Mはアルカリ金属であり、Rは少なくとも1つのN,N,N,N’N’N’−ヘキサメチル−1,5−ペンタエンジアミニウム塩(Me−ダイクオット−5塩)であり、好ましくは、Rは、Me−ダイクオット−5二臭化物、Me−ダイクオット−5二塩化物、Me−ダイクオット−5二フッ化物、Me−ダイクオット−5二ヨウ化物、Me−ダイクオット−5二水酸化物、Me−ダイクオット−5硫酸塩、Me−ダイクオット−5二硝酸塩、Me−ダイクオット−5水酸化臭化物塩、Me−ダイクオット−5水酸化塩化物、Me−ダイクオット−5水酸化フッ化物、Me−ダイクオット−5水酸化ヨウ化物、Me−ダイクオット−5水酸化硝酸塩、Me−ダイクオット−5フッ化臭化物塩、Me−ダイクオット−5フッ化塩化物、Me−ダイクオット−5フッ化ヨウ化物、Me−ダイクオット−5フッ化硝化物、Me−ダイクオット−5塩化臭化物、Me−ダイクオット−5塩化ヨウ化物、Me−ダイクオット−5塩化硝化物、Me−ダイクオット−5ヨウ化臭化物、Me−ダイクオット−5臭化硝化物、及びこれらの組合せからなる群より選択され、より好ましくは、Rは、Me−ダイクオット−5二臭化物である。及び
(b)前記混合物を結晶化条件に曝して、所望のEMM−10−Pモレキュラーシーブを含む生成物を製造する工程であって、前記結晶化条件が100℃乃至250℃の範囲の温度、好ましくは約140℃乃至約180℃、約1時間乃至400時間、好ましくは約1時間乃至200時間の間の結晶化時間、任意で0乃至1000の、好ましくは0乃至400RPMの撹拌速度を含む、工程。
【0038】
他のEMM−10−Pモレキュラーシーブを製造する方法は以下の工程を含む。
(a)少なくとも1つの4価元素(Y)の少なくとも1つの供給源、少なくとも1つのアルカリ又はアルカリ土類金属元素の少なくとも1つの供給源、少なくとも1つの指向剤(R)、水、及び任意で、少なくとも1つの3価元素(X)の少なくとも1つの供給源を含む混合物を提供する工程であり、ここにおいて、この混合物が以下のモル比を有する:
Y:X=10乃至無限大、好ましくは10乃至10000、より好ましくは10乃至55
O:Y=1乃至10,000、好ましくは1乃至5000、より好ましくは5乃至35
3価元素の供給源の補正を行っていない場合、OH:Y=0.61乃至0.72及び/又は3価元素の供給源の補正を行っている場合、OH:Y=0.41乃至0.49又は0.51乃至0.62
:Y=0.001乃至2、好ましくは0.1乃至1
R:Y=0.001乃至2、好ましくは0.1乃至1
ここにおいて、Mはアルカリ金属であり、Rは少なくとも1つのN,N,N,N’N’N’−ヘキサメチル−1,5−ペンタエンジアミニウム塩(Me6−ダイクオット−5塩)であり、好ましくは、Rは、Me−ダイクオット−5二臭化物、Me−ダイクオット−5二塩化物、Me−ダイクオット−5二フッ化物、Me−ダイクオット−5二ヨウ化物、Me−ダイクオット−5二水酸化物、Me−ダイクオット−5硫酸塩、Me−ダイクオット−5二硝酸塩、Me−ダイクオット−5水酸化臭化物塩、Me−ダイクオット−5水酸化塩化物、Me−ダイクオット−5水酸化フッ化物、Me−ダイクオット−5水酸化ヨウ化物、Me−ダイクオット−5水酸化硝酸塩、Me−ダイクオット−5フッ化臭化物塩、Me−ダイクオット−5フッ化塩化物、Me−ダイクオット−5フッ化ヨウ化物、Me−ダイクオット−5フッ化硝化物、Me−ダイクオット−5塩化臭化物、Me−ダイクオット−5塩化ヨウ化物、Me−ダイクオット−5塩化硝化物、Me−ダイクオット−5ヨウ化臭化物、Me−ダイクオット−5臭化硝化物、及びこれらの組合せからなる群より選択され、より好ましくは、Rは、Me−ダイクオット−5二臭化物である、及び
(b)前記混合物を結晶化条件に曝して、所望のEMM−10−Pモレキュラーシーブを含む生成物を製造する工程であって、前記結晶化条件が100℃乃至250℃の範囲の温度、好ましくは約140℃乃至約180℃、約1時間乃至400時間、好ましくは約1時間乃至200時間の間の結晶化時間、任意で0乃至1000の、好ましくは0乃至400RPMの撹拌速度を含む、工程。
【0039】
更なるEMM−10−Pモレキュラーシーブを製造する方法は以下の工程を含む。
(a)少なくとも1つの4価元素(Y)の少なくとも1つの供給源、少なくとも1つのアルカリ又はアルカリ土類金属元素の少なくとも1つの供給源、少なくとも1つの指向剤(R)、水、及び任意で、少なくとも1つの3価元素(X)の少なくとも1つの供給源を含む混合物を提供する工程であり、ここにおいて、この混合物が以下のモル比を有する:
Y:X=10乃至無限大、好ましくは10乃至10000、より好ましくは10乃至55
O:Y=1乃至35、好ましくは5乃至35
OH:Y=0.001乃至2、好ましくは0.01乃至0.5
:Y=0.001乃至2、好ましくは0.1乃至1
R:Y=0.001乃至2、好ましくは0.1乃至1
ここにおいて、Mはアルカリ金属であり、Rは少なくとも1つのN,N,N,N’N’N’−ヘキサメチル−1,5−ペンタエンジアミニウム塩(Me−ダイクオット−5塩)であり、好ましくは、Rは、Me−ダイクオット−5二臭化物、Me−ダイクオット−5二塩化物、Me−ダイクオット−5二フッ化物、Me−ダイクオット−5二ヨウ化物、Me−ダイクオット−5二水酸化物、Me−ダイクオット−5硫酸塩、Me−ダイクオット−5二硝酸塩、Me−ダイクオット−5水酸化臭化物塩、Me−ダイクオット−5水酸化塩化物、Me−ダイクオット−5水酸化フッ化物、Me−ダイクオット−5水酸化ヨウ化物、Me−ダイクオット−5水酸化硝酸塩、Me−ダイクオット−5フッ化臭化物塩、Me−ダイクオット−5フッ化塩化物、Me−ダイクオット−5フッ化ヨウ化物、Me−ダイクオット−5フッ化硝化物、Me−ダイクオット−5塩化臭化物、Me−ダイクオット−5塩化ヨウ化物、Me−ダイクオット−5塩化硝化物、Me−ダイクオット−5ヨウ化臭化物、Me−ダイクオット−5臭化硝化物、及びこれらの組合せからなる群より選択され、より好ましくは、Rは、Me−ダイクオット−5二臭化物であり、OH:Yは3価元素の供給源の補正を行って、又は行わずに計算される。及び
(b)前記混合物を結晶化条件に曝して、所望のEMM−10−Pモレキュラーシーブを含む生成物を製造する工程であって、前記結晶化条件が100℃乃至250℃の範囲の温度、好ましくは約140℃乃至約180℃、約1時間乃至400時間、好ましくは約1時間乃至200時間の間の結晶化時間、任意で0乃至1000の、好ましくは0乃至400RPMの撹拌速度を含む、工程。
【0040】
米国特許出願No.11/824742に記載のEMM−10ファミリーモレキュラーシーブはEMM−10である。EMM−10モレキュラーシーブはそのアンモニウム交換の形態又はか焼形態において、MWWトポロジーを有するセル単位を含む結晶性モレキュラーシーブである。この結晶性モレキュラーシーブはセル単位がc方向に配列しているような縞模様の回折により特徴付けられる。
【0041】
追加的な態様において、このEMM−10モレキュラーシーブは電子回折パターンのアークhk0パターンにより更に特徴付けられる。
【0042】
更なる態様において、このEMM−10モレキュラーシーブはこの結晶性モレキュラーシーブは更にc方向に沿ったセル単位の縞模様によっても特徴付けられる。
【0043】
更なる態様において、このEMM−10モレキュラーシーブは更にc方向に配列された二重単位セルにより特徴付けられる。
【0044】
更なる態様において、このEMM−10モレキュラーシーブはNBET法により測定して、450m/gより総表面面積を有する結晶性MCM−22ファミリーモレキュラーシーブの1つである。この結晶性MCM−22ファミリーモレキュラーシーブは硝酸アンモニウムを用いたH型への転換及びか焼後において、総表面面積に対する外部表面面積の比が0.15未満である。この外部表面面積はNBETのt−プロットから決定される。
【0045】
更なる幾つかの追加的な態様において、このEMM−10モレキュラーシーブは形態学的にテーブル状の相を有する。少なくとも50重量%のEMM−10がSEMで測定して、1μmより大きい結晶直径を有している。
【0046】
幾つかの側面において、EMM−10モレキュラーシーブは形態学的にテーブル状の相を有し、少なくとも50重量%のEMM−10はSEMで測定して約0.025μmの結晶の厚みを有している。
【0047】
EMM−10モレキュラーシーブはEMM−10−Pモレキュラーシーブを回収し、後に回収されたEMM−10−Pモレキュラーシーブを以下のように処理することにより生成される。
(1) アンモニウム塩溶液を用いたEMM−10−Pモレキュラーシーブのイオン交換;
(2) か焼条件下でのEMM−10−Pモレキュラーシーブのか焼;又は
(3) アンモニウム塩溶液を用いたEMM−10−Pモレキュラーシーブのイオン交換及びか焼条件下でイオン交換されたEMM−10−Pモレキュラーシーブのか焼。
【0048】
米国特許出願No.11/827953に記載のEMM−10ファミリーモレキュラーシーブは、合成されたままの状態で、12.33±0.23オングストロームの格子面最大間隔を含むX線回折パターン、12.57乃至約14.17オングストロームの間の格子面最大間隔における区別可能なピーク、及び8.8乃至11オングストロームの間の格子面最大間隔における分離していないピークを有する、結晶性MCM−22ファミリーモレキュラーシーブの1つである。12.57乃至約14.17オングストロームの間の格子面最大間隔のピーク強度は、12.33±0.23オングストロームにおける格子面最大間隔のピーク強度の90%未満である。
【0049】
幾つかの態様において、米国特許出願No.11/827953に記載のEMM−10ファミリーモレキュラーシーブは、以下の工程を含む方法により生成される。
(a)少なくとも1つの4価の元素(Y)の少なくとも1つの供給源、少なくとも1つのアルカリ又はアルカリ土類金属元素の少なくとも1つの供給源、少なくとも1つの指向剤(R)、水、及び任意で、少なくとも1つの3価元素(X)の少なくとも1つの供給源を含む混合物を提供する工程であり、ここにおいて、前記混合物が以下のモル比を有する:
Y:X=10乃至無限大
O:Y=1乃至10,000
3価元素の供給源の補正を行っていない場合、OH:Y=0.001乃至0.59及び/又は3価元素の供給源の補正を行っている場合、OH:Y=0.001乃至0.39
:Y=0.001乃至2
R:Y=0.001乃至2
ここにおいて、Mはアルカリ金属であり、Rは少なくとも1つのN,N,N,N’N’N’−ヘキサメチル−1,5−ペンタエンジアミニウム塩(複数を含む)、N,N,N,N’N’N’−ヘキサメチル−1,6−ヘキサエンジアミニウム塩(複数を含む)、又は任意のこれらの混合物であり、前記OH:Yは計算された値である、工程、
(b)前記混合物を結晶化条件に曝して、所望の結晶性モレキュラーシーブを含む生成物を製造する工程であって、前記結晶化条件が100℃乃至250℃の範囲の温度、少なくとも150RPM乃至5000RPM未満の撹拌速度、及び約1時間乃至400時間の間の結晶化時間を含む、工程、並びに
(c)前記結晶性モレキュラーシーブを回収する工程を含む。
【0050】
更なる他の態様において、米国特許出願No.11/827953に記載のEMM−10ファミリーモレキュラーシーブは、以下の工程を含む方法により生成される。
(a)少なくとも1つの4価の元素(Y)の少なくとも1つの供給源、少なくとも1つのアルカリ又はアルカリ土類金属元素の少なくとも1つの供給源、少なくとも1つの指向剤(R)、水、及び任意で、少なくとも1つの3価元素(X)の少なくとも1つの供給源を含む混合物を提供する工程であり、ここにおいて、前記混合物が以下のモル比を有する:
Y:X=10乃至無限大
O:Y=1乃至10,000
3価元素の供給源の補正を行っていない場合、OH:Y=0.74乃至2及び/又は3価元素の供給源の補正を行っている場合、OH:Y=0.64乃至2
:Y=0.001乃至2
R:Y=0.001乃至2
ここにおいて、Mはアルカリ金属であり、Rは少なくとも1つのN,N,N,N’N’N’−ヘキサメチル−1,5−ペンタエンジアミニウム塩(複数を含む)、N,N,N,N’N’N’−ヘキサメチル−1,6−ヘキサエンジアミニウム塩(複数を含む)、又は任意のこれらの混合物であり、前記OH:Yが3価元素の供給源の補正を行っていない、工程、
(b)前記混合物を結晶化条件に曝して、所望の結晶性モレキュラーシーブを含む生成物を製造する工程であって、前記結晶化条件が100℃乃至200℃の範囲の温度、少なくとも150RPM乃至5000RPM未満の撹拌速度、及び約1時間乃至400時間の間の結晶化時間を含む、工程、並びに
(c)前記結晶性モレキュラーシーブを回収する工程。
【0051】
更なる他の態様において、米国特許出願No.11/827953に記載のEMM−10ファミリーモレキュラーシーブは、以下の工程を含む方法により生成される。
a)少なくとも1つの4価の元素(Y)の少なくとも1つの供給源、少なくとも1つのアルカリ又はアルカリ土類金属元素の少なくとも1つの供給源、少なくとも1つの指向剤(R)、水、及び任意で、少なくとも1つの3価元素(X)の少なくとも1つの供給源を含む混合物を提供する工程であり、ここにおいて、前記混合物が以下のモル比を有する:
Y:X=10乃至無限大
O:Y=5乃至35
OH:Y=0.001乃至2
:Y=0.001乃至2
R:Y=0.001乃至2
ここにおいて、Mはアルカリ金属であり、Rは少なくとも1つのN,N,N,N’N’N’−ヘキサメチル−1,5−ペンタエンジアミニウム塩(複数を含む)、N,N,N,N’N’N’−ヘキサメチル−1,6−ヘキサエンジアミニウム塩(複数を含む)、又は任意のこれらの組合せであり、前記OH:Yが3価元素の供給源の補正を行っていない、又は補正を行っている、工程、
(b)前記混合物を結晶化条件に曝して、所望の結晶性モレキュラーシーブを含む生成物を製造する工程であって、前記結晶化条件が100℃乃至200℃の範囲の温度、少なくとも150RPM乃至5000RPM未満の撹拌速度、及び約1時間乃至400時間の間の結晶化時間を含む、工程、並びに
(c)前記結晶性モレキュラーシーブを回収する工程。
【0052】
更なる他の態様において、米国特許出願No.11/827953に記載のEMM−10ファミリーモレキュラーシーブは、以下の工程を含む方法により生成される。
a)少なくとも1つの4価の元素(Y)の少なくとも1つの供給源、少なくとも1つのアルカリ又はアルカリ土類金属元素の少なくとも1つの供給源、少なくとも1つの指向剤(R)、水、少なくとも1つの核、及び任意で、少なくとも1つの3価元素の少なくとも1つの供給源(X)を含む混合物を提供する工程であり、ここにおいて、前記混合物が以下のモル比を有する:
Y:X=10乃至無限大
O:Y=1乃至10,000
OH:Y=0.001乃至2
:Y=0.001乃至2
R:Y=0.001乃至2
ここにおいて、Mはアルカリ金属であり、Rは少なくとも1つのN,N,N,N’N’N’−ヘキサメチル−1,5−ペンタエンジアミニウム塩(複数を含む)、N,N,N,N’N’N’−ヘキサメチル−1,6−ヘキサエンジアミニウム塩(複数を含む)、又は任意のこれらの組合せであり、前記OH:Yが3価元素の供給源の補正を行っていない又は行われており、前記核が前記混合物中の3価元素酸化物の重量に基づいて0.01乃至10%の範囲で含まれている、工程
(b)前記混合物を結晶化条件に曝して、所望の結晶性モレキュラーシーブを含む生成物を製造する工程であって、前記結晶化条件が100℃乃至200℃の範囲の温度及び約1時間乃至400時間の結晶化時間を含む、工程、並びに
(c)前記結晶性モレキュラーシーブを回収する工程。
【0053】
更なる他の態様において、米国特許出願No.11/827953に記載のEMM−10ファミリーモレキュラーシーブは、以下の工程を含む方法により生成される。
(a)ゲルマニウムではない少なくとも1つの4価元素(Y)の少なくとも1つの供給源、少なくとも1つのゲルマニウム(Ge)の供給源、少なくとも1つの指向剤(R)、水、及び任意で少なくとも1つの3価元素(X)の少なくとも1つの供給源、及び少なくとも1つのアルカリ又はアルカリ土類金属元素の少なくとも1つの供給源を含む混合物を提供する工程であって、前記混合物が以下のモル比を有し、
(Ge+Y):X=10乃至無限大
O:Y=1乃至10,000
:Y=0乃至2
R:Y=0.001乃至2
ここにおいて、Mはアルカリ金属であり、Rは少なくとも1つのN,N,N,N’N’N’−ヘキサメチル−1,5−ペンタエンジアミニウムエン(複数を含む)、N,N,N,N’N’N’ヘキサメチル−1,6−ヘキサエンジアミニウムエン(複数含む)、又は任意のこれらの組合せである、工程、
(b)前記混合物を結晶化条件に曝して、所望の結晶性モレキュラーシーブを含む生成物を形成する工程であって、前記結晶化条件が100℃乃至200℃の範囲の温度及び約1乃至400時間の間の結晶化時間を含む、工程、並びに
(c)前記結晶性モレキュラーシーブを回収する工程。
【0054】
本開示において用いる「アルキル化可能な芳香族化合物」の語は、アルキル基を受け取る化合物であり、「アルキル化剤」はアルキル基の供与体である化合物である。
【0055】
本開示で用いる「wppm」の語は、重量による百万分率を意味である。
【0056】
本開示において、モレキュラーシーブの重量、バインダーの重量、及び触媒組成物の重量は(510℃で少なくとも1時間)か焼された重量に基づいている。
【0057】
本開示で用いる「芳香族」の語はアルキル置換された又は置換されていない、単環及多環式の化合物を含むと当業者に理解されている範囲の化合物を意味する。ヘテロ原子を有する芳香特性のある化合物も、選択された反応条件下で触媒毒として作用するときも、十分な活性を提供することができるならば有用である。芳香族化合物の例の非限定的な例としては、ベンゼン及びトルエンがある。
【0058】
触媒
本開示の触媒組成物は(a)結晶性MCM−49モレキュラーシーブ及び/又はMCM−22モレキュラーシーブ等のMCM−22ファミリー物質、及び/又は(b)触媒組成物の重量に基づいて約1重量%乃至約35重量%の範囲のチタン化合物を含むバインダーを含む。
【0059】
MCM−22ファミリー物質は、アモルファス物質;非MWWフレームワークトポロジーを有する単位セル(例えば、MFI、MTW)の不純物、及び/又は他の不純物(例えば、重質物質及び/又は有機炭化水素)を含むことが当業者に理解されている。本発明のMCM−22ファミリー物質はMCM−22ファミリー物質以外のものを実質的に含まないことが好ましい。本発明において、「MCM−22ファミリー物質以外のものを実質的に含まない」とは、MCM−22ファミリー物質中に、マイナーな部分として(50重量%未満、好ましくは20重量%未満、より好ましくは10重量%未満、更に好ましくは5重量%未満、最も好ましくは1重量%未満)のMCM−22ファミリー物質以外の物質(不純物)を含むことを意味する。重量パーセント(重量%)の値は不純物とMCM−22ファミリー物質との合計重量に基づいている。
【0060】
MCM−22ファミリー物質はMCM−22、MCM−49、MCM−56、EMM−10ファミリーモレキュラーシーブ等の結晶性MCM―22ファミリーモレキュラーシーブを含む。好ましくは、本発明のこのMCM−22ファミリー物質はMCM−22、MCM−49、MCM−56、及びEMM−10ファミリーモレキュラーシーブの少なくとも1つを含む。
【0061】
結晶性MCM−22ファミリーモレキュラーシーブは以下のモル比の組成を有する。
:(n)YO
式中、Xはアルミニウム、臭素、鉄、及び/又はガリウム等の三価元素であり、アルミニウムが好ましい。Yはケイ素及び/又はゲルマニウム等の四価元素であり、ケイ素が好ましい。nは少なくとも約10であり、通常、約10乃至約150、より好ましくは約10乃至約60、更に好ましくは約20乃至約40である。合成されたままの状態において、この物質は、YOのnモル当たりの酸素のモル数について、無水ベースで、以下のような式で表される。
(0.005−1)MO:(1−4)R:X:nYO
式中、Mはアルカリ又はアルカリ土類金属であり、Rは有機部分である。M及びR成分は合成の間に存在している物質に関係している成分であり、通常、当業者に知られている方法及び/又は以下で詳細に説明する方法により合成後に除去される。
【0062】
幾つかの態様において、本開示のこの結晶性MCM−22ファミリーモレキュラーシーブはMCM−22、MCM−36、MCM−49、EMM−10ファミリーモレキュラーシーブ、MCM−56、ITQ−1、ITQ−2、ITQ−3、これらの合生相(intergrowth−phase)、又はこれらの組合せを含む。本開示の好適な態様において、本開示の触媒組成物は、触媒組成物の重量に基づいて、少なくとも1重量%、好ましくは少なくとも10重量%、より好ましくは少なくとも50重量%、さらにより好ましくは少なくとも65重量%の結晶性MCM−22ファミリーモレキュラーシーブを含む。
【0063】
本開示の結晶性MCM−22ファミリーモレキュラーシーブは10重量%未満、好ましくは5重量%未満、更に好ましくは1重量%未満のMCM−22ファミリーモレキュラーシーブ以外の物質を含む。本開示のMCM−22ファミリーモレキュラーシーブと共押出成形されるMCM−22ファミリーモレキュラーシーブ以外の物質の典型的な例としては、Kenyaite(ケニヤライト)、EU−1、ZSM−50、ZSM−12、ZSM−48、ZSM−5、フェリライト(Ferrierite)、モルデナイト、ソライト(Solite)及び/又はアナルシム(Analicine)がある。本開示のMCM−22ファミリーモレキュラーシーブと共押出成形されるMCM−22ファミリーモレキュラーシーブ以外の物質の他の例としては、EUO、MTW、FEB、MOR、SOD、ANA、及び/又はMFIのフレームワークタイプを有するモレキュラーシーブがある。合成生成物は合成生成物の重量に基づいて、10重量%未満、好ましくは5重量%未満、更に好ましくは1重量%未満の非結晶物質、例えば、石英を含む。
【0064】
合成された物質の元の金属カチオンは、出来る限り、イオン交換により他のカチオンに少なくとも部分的にイオン交換して置き換える。好適な置換するカチオンは金属イオン、水素イオン、水素前駆体、例えば、アンモニウムイオン、及びこれらの組合せを含む。特に好適なカチオンは特定の炭化水素転換のために触媒活性を調整することができるものである。これらは、水素、希土類金属、及び周期表の1乃至17族、好ましくは2乃至12の金属を含む。
【0065】
チタン化合物は、酸化チタン、水酸化チタン、硫酸チタン、リン酸チタン、チタンアルコキシド又はこれらの任意の組合せを含むがこれらに限定されない。幾つかの態様において、本開示の触媒組成物は、触媒組成物の重量に基づいて、少なくとも1重量%、好ましくは少なくとも5重量%、より好ましくは少なくとも10重量%、ときには少なくとも15重量%、又は少なくとも20重量%のチタン化合物を含む。
【0066】
他の態様において、本開示の触媒組成物は触媒組成物の重量に基づいて、約1乃至約35重量%の範囲でチタン化合物を含む。本開示の触媒組成物の重量に基づいて、本開示の触媒組成物に含まれるチタン化合物の重量パーセントの下限値は、2、3、4、5、10、15、20、25、及び30のいずれかである。本開示の触媒組成物の重量に基づいて、本開示の触媒組成物に含まれるチタン化合物の重量パーセントの上限値では、2、3、4、5、6、10、11、15、16、20、21、25、26、30、31、及び35のいずれかである。触媒組成物の重量に基づく、触媒組成物中のチタン化合物の重量パーセントは、下限値が上限値以下の値をとりうる限り、前述の任意の下限値と前述の任意の上限値からなる範囲内でよい。
【0067】
幾つかの態様において、触媒組成物は、拘束指数が2乃至12の中口径モレキュラーシーブ及び拘束指数が2未満の大口径モレキュラーシーブからなる群より選択されるMCM−22ファミリーモレキュラーシーブ以外の物質を更に含む。他の態様において、このMCM−22ファミリーモレキュラーシーブ以外の物質はFAU、*BEA、MFI、MTW、の少なくとも1つ又はこれらの任意の組合せのフレームワークタイプを有する。幾つかの態様において、触媒組成物は更に、触媒組成物の重量に基づいて、*BEAフレームワークタイプを有するモレキュラーシーブを含む。
【0068】
拘束指数が2乃至12の中口径モレキュラーシーブとして好適なものは(米国特許No.4,016,218にあるように)、ZSM−5、ZSM−11、ZSM−12、ZSM−23、ZSM−35、及びZSM−48を含む。ZSM−5は米国特許No.3,702,886及びRe.29,948に記載されている。ZSM−11は米国特許No.3,709,979に記載されている。ZSM−12は米国特許No.3,823,449に記載されている。ZSM−22は米国特許No.4,556,477に記載されている。ZSM−23は米国特許No.4,076,842に記載されている。ZSM−35は米国特許No.4,016,245に記載されている。ZSM−48は特に、米国特許No.4,234,231に記載されている。これらの明細書の内容の全てを参照により本明細書に援用する。
【0069】
好適な大口径モレキュラーシーブは、ゼオライトベータ、ゼオライトY、ウルトラスタブル(Ultrastable)Y(USY)、デアルミナイズド(Dealminized)Y(Deal Y)、モルデナイト、ZSM−3、ZSM−4、ZSM−18、及びZSM−20を含む。ゼオライトZSM−14は米国特許No.3,923,636に記載されている。ゼオライトZSM−20は米国特許No.3,972,983に記載されている、ゼオライトベータは米国特許No.3,308,069及びRe.28,341に記載されている。低ナトリウムウルトラスタブル(Ultrastable)Y(USY)は米国特許No.3,293,192及び3,449,070に記載されている。デアルミナイズド(Dealminized)Y(Deal Y)は米国特許No.3,442,795に記載の方法で調製することができる。ゼオライトUHP−Yは米国特許No.4,401,556に記載されている。希土類交換されたY(REY)は米国特許No.3,524,820に記載されている。モルデナイトは自然発生物質であるが、TEAモルデナイト(テトラエチルアンモニウムを指向剤として含む反応混合物から調製された合成モルデナイト)のように、合成により生成することもできる。TEAモルデナイトは米国特許No.3,766,093及び3,894,104に記載されている。これらの明細書の全内容を参照により本明細書に援用する。
【0070】
拘束指数(constraint index)はアルミノケイ酸塩またはモレキュラーシーブが、その内部構造にアクセスすることができる各種分子サイズの程度を示すのに用いる値である。例えば、その内部構造へのアクセス及び退出が高度に制限されたアルミノシリケートは高い値の制約指数を示す。この種のアルミノシリケートは通常、例えば、5オングストローム未満の小さい細孔サイズを有している。一方、内部アルミノシリケートへのアクセスが比較的自由なアルミノシリケートは低い制約指数を示し、大きい細孔サイズを有する。制約指数を決定する方法は米国特許No.4,016,218に記載されており、参照により本文献を本明細書に援用する。
【0071】
本開示で用いる触媒の安定性はスチーミングにより高めることができる。米国特許Nos.4,663,492;4,522,929;及び4,429,176は触媒を蒸気により安定化させるための、ゼオライト触媒の蒸気安定化のための条件を記載する。これらの文献には、本発明の触媒に用いることができる蒸気安定化の詳細な説明が記載されている。蒸気安定化条件は通常、少なくとも約300℃の温度(例えば、300℃乃至650℃)、101乃至2,500kPa(絶対キロパスカル)で、少なくとも1時間(例えば、1時間乃至200時間)蒸気に触媒を接触させることを含む。より好適な態様において、大気圧下の315乃至500℃で75乃至100%の蒸気に、2乃至25時間曝して、この触媒を蒸気処理する、この触媒の蒸気処理は触媒のアルファ値を初めに高めるのに十分な条件下で行われる。有効な条件は以下で説明する。このような条件は高められたアルファ値を有する蒸気処理された触媒を生成する。必要に応じて、蒸気処理を続けて、高められたアルファ値を蒸気処理されていない触媒のアルファ値と実質的に同じになるまで低めることができる。
【0072】
アルファ値の試験は、触媒の分解活性の測定であり、米国特許第No.3,354,078及び「The Journal of Catalysis」のVol. 4, p. 527 (1965); Vol. 6, p. 278 (1966); 及びVol. 61, p. 395 (1980)に記載されている。これらの文献を参照により本明細書に援用する。本明細書で用いるこの試験の実験条件は538℃の一定の温度、及び「The Journal of Catalysis」のVol. 61, p. 395 (1980)に記載の各種流速を含む。
【0073】
本開示の幾つかの側面において、本開示の触媒組成物はアルミニウム化合物を更に含む。いくつかの態様において、このアルミニウム化合物は、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、硫酸アルミニウム、リン酸アルミニウムの少なくとも1つ、又はこれらの組合せを含む。好ましくは、この触媒組成物は触媒組成物の総重量に基づいて、少なくとも1重量%のアルミニウム化合物を含むことが好ましい。
【0074】
更なる他の態様において、本開示は本開示の触媒組成物を調製するための方法に関し、この方法は、(a)結晶性MCM−22ファミリーモレキュラーシーブ及び少なくとも1重量%のチタン化合物を含むバインダーを提供して、混合物を形成する工程、及び(b)この混合物から触媒組成物を形成する工程を含む。1つの好適な態様において、この結晶性MCM−22ファミリーモレキュラーシーブはMCM−22、MCM−49、及びMCM−59の少なくとも1つを含む。本発明により調製された触媒は幅広い粒子サイズに成形することができる。一般的には、この粒子サイズは、粉末、顆粒、又は押し出し成形物のような成形製品の形態を意味する。触媒が押出し成形のように、成形される場合、この触媒は乾燥又は部分的な乾燥をする前に押出し成形することもでき、乾燥の後に押し出し形成することもできる。好適な態様において、成形工程は押出し成形を含む。他の好適な態様において、この触媒組成物はクアドルローブ(quadrulobe)の形態を有している。1つの態様において、本開示に用いられる触媒組成物は、触媒組成物の重量に基づいて、少なくとも60重量%、好ましくは少なくとも65重量%、より好ましくは少なくとも80重量%、の結晶性MCM−22ファミリーモレキュラーシーブを含む。
【0075】
他の態様において、本開示は本開示の触媒組成物を調製する方法に関する。この方法は(a)結晶性MCM−22ファミリーモレキュラーシーブ及び少なくとも1重量%のチタン化合物を含むバインダーを提供して、混合物を生成成する工程、及び(b)この混合物から触媒組成物を成形する工程を含む。この触媒組成物は触媒組成物の総重量に基づいて、約1重量%乃至約35重量%の範囲でチタン化合物を含む。好適な態様において、結晶性MCM−22ファミリーモレキュラーシーブはMCM−22、MCM−49、及びMCM−56の少なくとも1つを含む。好適な態様において、成形する工程は押出成形を含む。他の好適な態様において、この触媒組成物はクアドルローブ(quadrulobe)の形をしている。1つの態様において、本発明の触媒組成物は触媒組成物の重量に基づいて、少なくとも60重量%のMCM−22ファミリー物質を有する。
【0076】
従来の方法を用いて触媒粒子を形成することができる。そのような方法は、主要成分として、モレキュラーシーブ及びバインダーを含むバッチ物質を混合する工程、この混合物をブレンドする工程、このバッチを素地(green body)に成形又はシェイプする工程、乾燥工程、及び、後にこの素地をか焼して担体を形成する。通常、成形する工程は押出成形により、又は加圧及び/又は過熱することができる他の方法により、行われる。押出成形助剤、可塑剤、及び燃焼助剤(例えば、グラファイト)等の添加剤を混合工程の間に、混合物に添加することが便利である。ポリビニルアルコール(PVA)等のポリマーは押出し成形助剤として用いることができる。1つの態様において、PVAは、混合工程の間に、0.01重量%乃至5重量%のレベルで添加して用いられる。
【0077】
バインダー又は共バインダーとして用いて、触媒を滑らかにする、チタニアの添加は、表面のキメを殆どなくし、高い活性を示す。Degussa‘sP25チタニアはルチル及びアナターゼ相の混合物であり、この方法に用いることができる。
【0078】
本開示の触媒組成物の利点は、アルキル化反応における高い活性である。この触媒組成物の製造工程はシンプルである。より小さい粒子を使用する場合、球状の固形チタニアも押出成形物を生成するために用いる成形工程において、有利である。幾つかの態様において、触媒組成物は有機転換工程に用いる温度及び他の条件に耐性を有する物質を更に含む。そのような物質の例としては、クレイ、シリカ、及び/又はアルミナ等の金属酸化物を含む。後者は天然のもの、あるいはシリカ又は他の酸化物を含む混合物を含むゼラチン状の沈殿物の形態又はゲルの形態のいずれかでよい。これらの物質を、ベントナイト及びカオリン等の天然のクレイに取り込んで、商業的操作条件下での衝撃強度を改善することができる。これらの物質、即ちクレイ、酸化物等は、触媒のバインダーとして機能する。商業的な使用においては、触媒が粉末状の物質に壊れることは避けた方が好ましいので、良好な衝撃強度を有する触媒を提供することが好ましい。
【0079】
結晶性モレキュラーシーブに合成される天然クレイはモントモリロナイト及びカオリンファミリーを含む。これらのファミリーはサブベントナイト(subbentonites)及びディクシー(Dixie)、マクナミー(Mcnamee)、ジョージア(Georgia)、及びフロリダ(Florida)クレイとして通常知られているカオリン類、又は主要なミネラル成分が、ハロサイト(halloysite)、カオリナイト(kaolinite)、ディクタイト(dictite)、ナルサイト(narcite)、又はアナクサイト(anauxite)を主要ミネラル成分として含むである多の物質を含む。そのようなクレイは、採掘されたままの状態で、又は後にか焼、酸処理、又は化学修飾された状態で用いることができる。本発明の触媒に組み込むのに有用なバインダーは、無機酸化物、特にアルミナも含む。
【0080】
前述の物質に加えて、結晶性モレキュラーシーブはシリカ−アルミナ、シリカ−マグネシア、シリカ−ジルコニア、シリカ−トリア、シリカ−ベリリア、シリカ−チタニアのほか、シリカ−アルミナ−トリア、シリカ−アルミナ−ジルコニア、及びシリカ−マグネシア−ジルコニア等の三成分の細孔性物質を取り込むこともできる。

細かく分類されている結晶性モレキュラーシーブと無機酸化物の相対的な割合は、結晶含量が重量により約1乃至約99%となるように、大きく変動する。より一般的には、特に合成物がビーズの形状に成形される場合には、組成物の約20乃至80重量%である。
【0081】
モレキュラーシーブ及び/又はゼオライトの製造、修飾、及び特徴づけについての概要は、「Molecular Sieves-Principles of Synthesis and Identification」(R. Szostak, Blackie Academic & Professional, London, 1998, Second Edition)に記載されている。モレキュラーシーブに加えて、アモルファス物質、主としてシリカ、ケイ酸アルミニウム、及び酸化アルミニウムが吸着体及び触媒担体として用いられている。スプレードライ、プリリング(prilling)、及び押出成形等の長年に渡りよく知られている技術は、例えば、微孔質及び触媒、吸着体、及びイオン交換に用いる他のタイプの細孔性物質の両方を球状の粒子、押出成形物、ペレット、及びタブレットに成形するために用いることができる。これらの技術の概要は、「Catalyst Manufacture」 A. B. Stiles And T. A. Koch, Marcel Dekker, New York, 1995に記載されている。
【0082】
アルキル化反応
他の態様において、本開示は芳香族炭化水素をアルキル化剤でアルキル化して、アルキル化された芳香族生成物を生成する方法を開示する。この方法は芳香族炭化水素をアルキル化剤でアルキル化して、アルキル化された芳香族生成物を含む排出液を生成するのに有効なアルキル化条件下で、芳香族炭化水素とアルキル化剤を本発明の触媒組成物と接触させる工程を含む。幾つかの好適な態様において、この芳香族炭化水素はベンゼンを含み、アルキル化剤はエチレンを含み、アルキル化された芳香族炭化水素生成物は、エチルベンゼンを含む。他の好適な態様において、芳香族炭化水素はベンゼンを含み、アルキル化剤はプロピレンを含み、アルキル化された芳香族化合物はクメンを含む。
【0083】
本発明の触媒組成物は例えば、ポリアルキルベンゼントランスアルキル化のような、トランスアルキル化に有用な触媒である。
【0084】
本発明に用いる、置換された芳香族化合物は芳香核に直接結合している、少なくとも1つの水素原子を有する。この芳香環はアルキル基、アリール基、アルカリル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、シクロアルキル基、ハライド基の1つ以上、及び/又はアルキル化反応に影響しない他の基で置換されている。
【0085】
本発明に用いるのに有用な芳香族化合物は、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、ナフタセン、ペリレン、コロネン、及びフェナトレンを含むが、ベンゼンが好ましい。
【0086】
本発明に用いる好適なアルキル置換された芳香族化合物は、トルエン、キシレン、イソプロピルベンゼン、ノルマルプロピルベンゼン、アルファ−メチルナフタレン、エチルベンゼン、ミスチレン、ジュレン、シメン、ブチルベンゼン、プセウドクメン、o−ジエチルベンゼン、m−ジエチルベンゼン、p−ジエチルベンゼン、イソアミルベンゼン、イソヘキシルベンゼン、ペンタエチルベンゼン、ペンタメチルベンゼン、1,2,3,4−テトラエチルベンゼン、1,2,3,5−テトラメチルベンゼン、1,2,4−トリエチルベンゼン、1,2,3−トリメチルベンゼン、m−ブチルトルエン、p−ブチルトルエン、3,5−ジエチルトルエン、o−エチルトルエン、p−エチルトルエン、m−プロピルトルエン、4−メチル−m−キシレン、ジメチルナフタレン、エチルナフタレン、2,3−ジメチルアントラセン、9−エチルアントラセン、2−メチルアントラセン、o−メチルアントラセン、9,10−ジメチルフェナントラセン、及び3−メチルフェナントラセンを含む。より高い分子量のアルキル化芳香族化合物も開始物質として用いることができ、芳香族炭化水素をオレフィンオリゴマーでアルキル化して生成された芳香族炭化水素を含む。そのような生成物はアルキレートと当分野では言われており、ヘキシルベンゼン、ノニルベンゼン、ドデシルベンゼン、ペンタデシルベンゼン、ヘキシルトルエン、ノニルトルエン、ドデシルトルエン、ペンタデシルトルエン等を含む。通常、アルキレートは、アルキル基が約C乃至約C12の範囲で変動する、芳香核に結合している高い沸点分画として得られる。
【0087】
相当量のベンゼン、トルエン、及び/又はキシレンを含むリフォメート流れは、本発明の方法の特に好適な原料である。この方法は、ポリマーグレード及び希釈エチレンからエチルベンゼンを生成することに関するが、クメン、及びC乃至C16の直鎖及びほぼ直鎖であるアルキルベンゼンのような、C+アルキル化芳香族等の他のC乃至C20アルキル芳香族にも同様に適用することができる。
【0088】
本発明に用いることができる好適なアルキル化剤は、アルケン化合物及び/又はアルコール化合物、並びにこれらの混合物を含む。本発明に有用な他の好適なアルキル化剤は通常、任意の脂肪族化合物、又はアルキル化可能な芳香族化合物と反応することができる1つ以上の利用可能なアルキル化脂肪族基を有する芳香族有機化合物を含む。好適なアルキル化剤の例としては、C乃至Cオレフィン、即ち、エチレン、プロピレン、ブテン、及びペンテン等のC乃至C16オレフィン;C乃至C12アルカノール類(モノアルコール、ジアルコール、トリアルコール等を含む)、好ましくはメタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、及びペンタノール等のC乃至Cアルカノール;C乃至C20エーテル、例えば、ジメチルエーテル、及びジエチルエーテル等のC乃至Cエーテル;ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ブチルアルデヒド、及びn−バレアルデヒド等のアルデヒド;並びに塩化メチル、塩化エチル、塩化プロピル、塩化ブチル、及び塩化ペンチル等のアルキルハライド、及び同種のものがある。アルキル化剤が5炭素原子を超えない、より好ましくは3炭素原子を超えない、炭素数であることが好ましい。従って、アルキル化剤はC乃至Cオレフィン及びC乃至Cアルカノールからなる群より選択されることが好ましい。アルキル化剤は濃縮されたアルケン原料(例えば、ポリマーグレードのオレフィン)及び希釈されたアルケン原料(例えば、触媒分解からのオフガス)を含む。
【0089】
本発明のアルキル化工程から調製される好適なアルキル置換された芳香族化合物は、トルエン、キシレン、イソプロピルベンゼン(クメン)、ノルマルプロピルベンゼン、アルファメチルナフタレン、エチルベンゼン、メシチレン、ジュレン、シメン、ブチルベンゼン、プセウドクメン、o−ジエチルベンゼン、m−ジエチルベンゼン、p−ジエチルベンゼン、イソアミルベンゼン、イソヘキシルベンゼン、ペンタエチルベンゼン、ペンタメチルベンゼン、1,2,3,4−テトラエチルベンゼン、1,2,5−テトラメチルベンゼン、1,2,4−トリエチルベンゼン、1,2,3−トリメチルベンゼン、m−ブチルトルエン、p−ブチルトルエン、3,5−ジエチルトルエン、o−エチルトルエン、p−エチルトルエン、m−プロピルトルエン、4−エチル−m−キシレン、ジメチルナフタレン、エチルナフタレン、2,3−ジメチルアントラセン、9−エチルアントラセン、2−メチルアントラセン、o−メチルアントラセン、9,10−ジメチルフェナントラセン、及び3−メチルフェナントラセンを含む。好ましくは、アルキル化された芳香族化合物はモノアルキルベンゼンを含む。より高い分子量の芳香族炭化水素も開始物質として用いることができ、オレフィンオリゴマーを用いて芳香族炭化水素をアルキル化して得られた芳香族炭化水素を含む。そのような生成物はアルキレートと当分野で言われており、ヘキシルベンゼン、ノニルベンゼン、ドデシルベンゼン、ペンタデシルベンゼン、ヘキシルトルエン、ノニルトルエン、ドデシルトルエン、ペンタデシルトルエン等を含む。通常、アルキレートは芳香核に結合しているアルキル基の炭素数が約C乃至C16の範囲である高い沸点を有する分画として得られる。
【0090】
アルキル化反応は、アルキル化又はトランスアルキル化条件下の反応領域においてアルキル化可能な芳香族化合物とアルキル化剤とを用いて行われる。このアルキル化又はトランスアルキル化条件は100乃至285℃の温度、689乃至4601kPa−a、好ましくは1500乃至3000kPa−aの圧力、反応器全体に対するアルキル化剤(例えば、アルケン)に基づいて、0.1乃至10hr−1、好ましくは0.2乃至2hr−1、より好ましくは0.5乃至1hr−1のWHSV、又は反応器全体に対するアルキル化剤とアルキル化可能な芳香族の両重量に基づいて、10乃至100hr−1、好ましくは20乃至50hr−1のWHSVを含む。アルキル化可能な芳香族化合物は1つの又は複数の反応領域で、アルキル化触媒又はトランスアルキル化触媒の存在下で、アルキル化剤(例えば、アルケン)を用いてアルキル化される。反応領域は、単一の反応管の中にあることが好ましいが、反応器に通じていて、反応性保護床として操作することができる、別の反応管の中に位置し、アルキル化又はトランスアルキル化触媒床を有する他の反応領域を含んでいても良い。反応性保護床において用いる触媒組成物は反応領域で用いられる触媒組成物と異なっていてもよい。反応保護床において用いる触媒組成物は複数の触媒組成物を含んでいても良い。少なくとも1つの反応領域、及び通常、各反応領域は、アルキル化又はトランスアルキル化触媒の存在下でアルキル化剤を用いてアルキル化可能な芳香族化合物のアルキル化を引き起こすのに有効な条件に維持されている。
【0091】
反応領域からの排出液は所望のアルキル化された芳香族生成物、未反応のアルキル化可能な芳香族化合物、未反応のアルキル化剤(例えば、アルケン、アルケン転換率は少なくとも90モル%、好ましくは約89乃至99.9999モル%であると予測される。)、及びアルケン化合物、並びに他の不純物を含む。1つの態様において、この排出液の少なくとも一部分は他の反応領域に提供され、アルキル化剤を添加して、アルキル化又はトランスアルキル化触媒を用いて、未反応のアルキル化可能な芳香族化合物を反応させる。更に、任意の反応領域からの排出液の少なくとも一部分はトランスアルキル化単位に直接的又は間接的に提供される。幾つかの態様において、本発明の方法により精製されたアルキル化された芳香族生成物の量は、アルミナからなるバインダーを含み、同じ重量比のモレキュラーシーブを含むアルミナ結合触媒組成物と接触させて得られた排出液中のアルキル化された芳香族生成物の量よりも、少なくとも1重量%、好ましくは少なくとも5重量%、更に好ましくは少なくとも10重量%。及び最も好ましくは少なくとも20重量%多い。
【0092】
反応領域に加え、及びその上流において、反応器と繋がっている反応性又は非反応性保護床が、通常、アルキル化反応器とは別の反応器中に存在する。そのような保護床は、反応領域で用いる触媒と同じか又は異なるアルキル化又はトランスアルキル化触媒を含む。そのような保護床は大気条件下、又はアルキル化又はトランスアルキル化に適した条件に維持されている。アルキル化可能な芳香族化合物の少なくとも一部分、及び任意でアルキル化剤の一部分は反応領域に入る前に未反応又は反応性の保護床を通過する。これらの保護床は所望のアルキル化反応に影響を与えるだけでなく、残りのアルキル化又はトランスアルキル化触媒に毒となる、窒素化合物等の、原料中の他の不純物を除去するためにも用いる。反応性又は非反応性の保護床の触媒はアルキル化又はトランスアルキル化触媒の残りよりもより頻繁に再生され及び/又は置き換えられ、従って、保護床は通常、アルキル化原料が、保護床が作動していない間に、一連の繋がっている反応領域に供給されるように、直接供給される。この反応性又は非反応性の保護床は上昇又は下降する並流として操作されてもよい。
【0093】
本発明の方法に用いる反応領域は、基本的に、アルケンを完全に転換するように操作される。しかしながら、幾つかの用途については、アルケン転換率を100%以下にすることが好ましい。反応領域の下流に別の仕上げ用反応器を用いることも、場合によっては望ましい。仕上げ反応器は他の反応領域で用いるアルキル化又はトランスアルキル化触媒と同じか、又は異なるアルキル化又はトランスアルキル化触媒を含み、少なくとも部分的に液相又は、液相と交互に気相であるアルキル化又はトランスアルキル化条件に維持されている。排出液中のポリアルキル化された芳香族化合物はアルキル化可能な芳香族化合物を用いたトランスアルキル化のために分離される。このアルキル化された芳香族化合物はポリアルキルされた芳香族化合物及びアルキル化可能な芳香族化合物の間のトランスアルキル化により生成される。
【0094】
本発明の方法に用いるアルキル化又はトランスアルキル化反応器はエチルベンゼン等の所望のモノアルキル化生成物に対して選択性が高いが、通常、少なくとも幾つかのポリアルキル生成物も生成する。1つの態様において、最終的なアルキル化反応器領域からの排出液はポリアルキル化された芳香族化合物を回収するために分離工程を経る。他の態様において、ポリルキル化された芳香族化合物の少なくとも一部分は、アルキル化反応器とは別のトランスアルキル化反応器に供給される。このトランスアルキル化反応器はポリアルキル化生成物をアルキル化可能な化合物と反応させて得られた追加的なモノアルキル化生成物を含む。これらの排出液の少なくとも一部分はアルキル化された芳香族化合物(モノアルキル化芳香族化合物及び/又はポリアルキル化された芳香族化合物)を回収するために分離工程を経る。
【0095】
少なくとも部分的に液相で、ベンゼンをエチレンでアルキル化するための特定の条件は、約120乃至285℃、好ましくは約150℃乃至260℃の範囲の温度、689乃至4601kPa−a、好ましくは1500乃至4137kPa−aの圧力、反応器全体の総エチレン及び総触媒に基づいて0.1乃至10hr−1、好ましくは0.2乃至2hr−1、より好ましくは0.5乃至1hr−1のWHSV、又は反応器全体に対するエチレンとベンゼンの総量並びに総触媒量に基づいて、10乃至100hr−1、好ましくは10乃至50hr−1のWHSV、及び約1乃至約10のエチレンに対するベンゼンのモル比を有する。
【0096】
少なくとも部分的に液相で、ベンゼンをプロピレンでアルキル化するための特定の条件は、約80乃至160℃の温度と約680乃至約4800kPa−aの圧力、好ましくは約100乃至140℃の温度と約2000乃至3000kPa−aの圧力、約0.1乃至約10hr−1のプロピレンに基づくWHSV、及び約1乃至約10のエチレンに対するベンゼンのモル比を含む。
【0097】
アルキル化システムが反応性保護床を含む場合、このシステムは少なくとも部分的に液相条件に維持されている。この保護床は好ましくは約120乃至285℃の温度、好ましくは約150乃至260℃の温度、689乃至4601kPa−a、好ましくは1500乃至4137kPa−ano圧力、反応器全体に対する総エチレンと総触媒の量に基づいて0.1乃至10hr−1、好ましくは0.2乃至2hr−1、より好ましくは0.5乃至1hr−1のWHSV、又は反応器残体の総エチレンと総ベンゼン並びに総触媒量に基づいて10乃至100hr−1、好ましくは20乃至50hr−1のWHSV、及び約1乃至約10のエチレンに対するベンゼンのモル比を含む。
【0098】
トランスアルキル化は少なくとも部分的に液相条件下で行われる。ポリエチルベンゼン又はポリイソプロピルベンゼン等のポリアルキル化された芳香族化合物を少なくとも部分的に液相でトランスアルキル化を行うために条件は、約100℃乃至約300℃の温度、696乃至4137kPa−aの圧力、アルキル化反応領域に供給されるポリアルキル化された芳香族化合物の重量に基づいて、約0.5乃至約100hr−1のWHSV、1:1乃至30:1、好ましくは1:1乃至10:1、より好ましくは1:1乃至5:1のベンゼン対ポリアルキル化された芳香族化合物のモル比を含む。
【0099】
他の態様において、トランスアルキル化反応は気相条件で行うこともできる。ポリエチルベンゼン又はポリイソプロピルベンゼン等のポリアルキル化された芳香族化合物を気相でトランスアルキル化を行うために条件は、約350℃乃至約450℃の温度、696乃至1601kPa−aの圧力、アルキル化反応領域に供給されるポリアルキル化された芳香族化合物の重量に基づいて、約0.5乃至約20hr−1、好ましくは約1乃至約10hr−1のWHSV、1:1乃至5:1、好ましくは2:1乃至3:1のベンゼン対ポリアルキル化された芳香族化合物のモル比を含む。
【0100】
工業的な適用
本発明の触媒組成物は、例えば、エチレン又はプロピレンでベンゼンをアルキル化する、炭化水素転換工程に有用である。幾つかの態様において、本開示の触媒組成物(MCM−49モレキュラーシーブ及びチタニア)は、同じ条件下で、チタニアを含まない当量のMCM−49モレキュラーシーブを含む触媒組成物の触媒活性よりも、少なくとも1%、好ましくは少なくとも5%、更に好ましくは少なくとも10%、最も好ましくは少なくとも20%高い。
【0101】
幾つかの態様において、本発明は以下の各パラグラフの発明に関する。
パラグラフ1:(a)MCM−22ファミリー物質及び(b)触媒組成物の重量に基づいて約1重量%乃至約35重量%のチタン化合物を含むバインダーを含む触媒組成物。

パラグラフ2:チタン化合物が酸化チタン、水酸化チタン、硫酸チタン、リン酸チタンの少なくとも1つ、又はこれらの組合せを含む、パラグラフ1の触媒組成物。

パラグラフ3:追加的な結晶性MCM−22ファミリーモレキュラーシーブを更に含むパラグラフ1又は2の触媒組成物であって、前記MCM−22ファミリーモレキュラーシーブがMCM−22、MCM−36、MCM−49,MCM−56、ITQ−1、ITQ−2、ITQ−3の少なくとも1つ、又はこれらの任意の組合せを含む触媒組成物。

パラグラフ4:FAU、*BEA、MFI、MTWの少なくとも1つ又はこれらの任意の組合せのフレームワークタイプを有するモレキュラーシーブを更に含む、パラグラフ1乃至3のいずれか1つに記載の触媒組成物。

パラグラフ5:前記MCM−22ファミリー物質が、MCM−22、MCM−36、MCM−49、MCM−56、EMM−10ファミリーモレキュラーシーブ、ITQ−1,ITQ−2、及びITQ−3の少なくとも1つを含む、パラグラフ1乃至4のいずれか1つに記載の触媒組成物。

パラグラフ6:触媒組成物の総重量に基づいて少なくとも65重量%の前記MCM−22ファミリー物質を含む、パラグラフ1乃至5のいずれか1つに記載の触媒組成物。

パラグラフ7:触媒組成物の総重量に基づいて少なくとも60重量%の前記結晶性MCM−49モレキュラーシーブを含む、パラグラフ1乃至5のいずれか1つに記載の触媒組成物。

パラグラフ8:前記バインダーが触媒組成物の重量に基づいて30重量%以下のチタン化合物を含む、パラグラフ1乃至7のいずれか1つに記載の触媒組成物。

パラグラフ9:前記バインダーが触媒組成物の重量に基づいて20重量%以下のチタン化合物を含む、パラグラフ1乃至8のいずれか1つに記載の触媒組成物。

パラグラフ10:前記触媒組成物の重量に基づいて、少なくとも1重量%アルミニウム化合物を更に含む、パラグラフ1乃至9のいずれか1つに記載の触媒組成物。

パラグラフ11:前記アルミニウム化合物が酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、硫酸アルミニウム、リン酸アルミニウムの少なくとも1つ又は任意のこれらの組合せを含むパラグラフ10に記載の触媒組成物。

パラグラフ12:触媒組成物の重量に基づいて少なくとも5重量%の*BEAフレームワークタイプタイプを有するモレキュラーシーブを更に含む、パラグラフ1乃至11のいずれか1つに記載の触媒組成物。

パラグラフ13:アルキル化剤で芳香族炭化水素をアルキル化して、アルキル化された芳香族生成物を生成する方法であって、前記方法が芳香族炭化水素をアルキル化剤でアルキル化するのに有効なアルキル化条件下で芳香族炭化水素とアルキル化剤とをパラグラフ1乃至12の触媒組成物と接触させて、アルキル化された芳香族化合物を含む排出液を生成する工程を含む、方法。

パラグラフ14:前記芳香族炭化水素がベンゼンを含み、前記アルキル化剤がエチレンを含み、前記アルキル化された芳香族生成物がエチルベンゼンを含む、パラグラフ13の方法。

パラグラフ15:前記芳香族炭化水素がベンゼンを含み、前記アルキル化剤がプロピレンを含み、前記アルキル化された芳香族生成物がクメンを含む、パラグラフ13の方法。

パラグラフ16:生成されたアルキル化された芳香族生成物の量が、同じアルキル化条件下でにおいて、アルミナを含み、同じ量のモレキュラーシーブを含むアルミナ結合触媒組成物に接触させて生成された排出液におけるアルキル化された芳香族生成物よりも、少なくとも1重量%多い、パラグラフ13乃至15のいずれか1つの方法。

パラグラフ17:パラグラフ1乃至12のいずれか1つに記載の触媒組成物の生成方法であって、
(a)MCM−22ファミリー物質と少なくとも1重量%のチタン化合物を含むバインダーを提供して、混合物を生成する工程、及び
(b)前記混合物から触媒組成物を成形する工程、を含む方法。

パラグラフ18:前記形成する工程が押出成形を含む、パラグラフ16の方法。

パラグラフ19:前記触媒組成物がクアドルローブ(quadrulobe)の形状である、パラグラフ16又は17のいずれか1つに記載の方法。

パラグラフ20:
前記触媒組成物が、触媒組成物の重量に基づいて少なくとも5重量%の*BEAフレームワークタイプを有するモレキュラーシーブを含む、パラグラフ16乃至19のいずれか1つに記載の方法。
【0102】
本発明のこれらの及び他の側面は以下の実施例により例示的に説明される。
【0103】
試験方法
原料の前処理
ベンゼン(99.96重量%)をエクソンモービルケミカルプラントより入手した。このベンゼンを吸着体を含む前処理管(2L Hoke vessel)に入り口から出口に向かって通過させた。全ての原料前処理管の吸着体は使用前に260℃で12時間乾燥させたものである。
【0104】
ポリマーグレードのプロピレンをScott Specialty Gases(Pasadene、TX、USA)から入手した。プロピレンを、使用前に260℃で12時間乾燥させた吸着体を含む300mlの管を通過させた。
【0105】
超高純度の窒素をScott Specialty Gasesから入手した。この窒素を使用前に260℃で12時間乾燥させた吸着体を含む300mlの管を通過させた。
【0106】
触媒調製及びローディング
MCM−22触媒を米国特許No.4,954,325に従って調製した。この文献の全ての内容を参照により本明細書に援用する。MCM−49触媒は米国特許No.5,236,575に従って調製した。この文献の全ての内容を参照により本明細書に援用する。
【0107】
チタニアはAEROXIDE(商標)TiOP25(以下、「P25チタニア」)であり、Degussa Corporation(Degussa AG、PO Box 30 20 43 40402 Dusseldorf、Germany)から入手した。アルミナはVersal−300又はVersal−200アルミナであり、UOP LLC(UOP、LLC、25 East Algonquin Road、Des Plaines、IL 60017−5017、USA)より入手した。
【0108】
ボンノット(Bonnot)シングルスクリュー押出成形器(Bonnot Company、1520 Corporate Woods Parkway、Uniontown、OH、44685、USA)で押出成形器を行った。有機押出成形助剤、ポリビニルアルコール(以下、「PVA」)はCelaneseからCelvol603として入手した。HITACHI S4800 Filed Emission Scaning Electoron マイクロスコープ(SEM)を用いて、走査型電子顕微鏡(SEM)像を得た。
【0109】
触媒1グラムを260℃で2時間乾燥させた。この触媒を乾燥後、直ちに除去する。触媒バスケットの底を石英チップで覆って、この石英チップの上に0.5グラムの触媒を装填した。この触媒の上を別の石英チップで覆った。触媒及び石英チップを含む触媒バスケットを大気中260℃で約16時間乾燥させた。
【0110】
各試験を行う前に、反応器及び全てのラインを(トルエン等の)好適な溶媒で洗浄し、全ての洗浄溶媒を除去した後、空気を通した。触媒及び石英チップを含む触媒バスケットを乾燥後、直ちに反応器内に置いた。
【0111】
撹拌棒及び固定された触媒バスケットを有する300mlのペア(Parr)(商標)バッチ反応管(固定された触媒バスケットを含むSeriese4563ミニベンチトップ反応器、Parr Instruments Company, Moline、IL USA)を活性及び選択性の測定に用いた。この反応管はベンゼン及びプロピレンをそれぞれ導入するための2つの分離した管に結合されている。
【0112】
触媒活性及び選択性
触媒の活性及び選択性をプロピレンを用いたベンゼンのアルキル化に基づいて測定した。触媒活性は反応条件下(130℃の温度及び2170kPa−aの圧力)で、クメン生成の二次速度係数を用いて計算した。反応速度係数は当業者に知られている方法を用いて計算した。「Principles and Practice of Heterogeneous Catalyst」, J.M. Thomas, W.J. Thomas, VCH, 1st EDITION, 1997を参照のこと。該文献の開示事項を参照により本明細書に援用する。触媒活性は反応条件下(130℃の温度及び2170kPa−aの圧力)で生成されるジイソプロピルベンゼンに対する生成されたクメンの重量比を用いて計算した。
【0113】
反応器を100ml/分の処理された超高純度窒素、N、を用いて170℃で2時間洗浄した。この後、この反応器温度を窒素流れの下で130℃に低くした。次いで、反応器の全てのライン及び出口を閉鎖した。前処理したベンゼン(156.1グラム)を791kPa−aの超高純度窒素雰囲気下で、反応器に移した。この反応器を500rpmで1時間撹拌した。前処理した液体プロピレン(28.1グラム)を、2170kPa−aの超高純度窒素雰囲気下で、この反応器に移した。この反応器を2170kPa−a超高純度窒素で、2170kPa−aに維持した。液体サンプルをプロピレンを添加して、15、30、60、120、180、及び240分後に採取した。
【0114】
実施例1
MCM−49を以下のように5.08cm(2”)押出成形器において、押出成形した。MCM−49結晶とP25チタニアの混合物(重量比80:20)を(MCM−49結晶、P25チタニア、及びPVAの総重量に基づいて)1重量%のPVAと共に、押出成形して、0.127cm(1/20”)の押出成形物を生成した。この押出成形物を510℃の窒素中で予備か焼し、硝酸アンモニウムを用いてアンモニウム交換し、空気/N混合気体中、538℃でか焼した。実施例1の触媒について、液相のバッチオートクレーブでのベンゼンのアルキル化試験を行い、結果を表1に示した。
【0115】
実施例2
MCM−49を以下のように5.08cm(2”)押出成形器において、押出成形した。MCM−49結晶、P25チタニア、及びVersal−300アルミナの混合物(重量比80:10:10)を(MCM−49結晶、P25チタニア、Versal−300アルミナ、及びPVAの総重量に基づいて)1重量%のPVAと共に、押出成形して、0.127cm(1/20”)の押出成形物を生成した。この押出成形物を510℃の窒素中で予備か焼し、硝酸アンモニウムを用いてアンモニウム交換し、空気/N混合気体中、538℃でか焼した。実施例2の触媒について、液相のバッチオートクレーブでのベンゼンのアルキル化試験を行い、結果を表1に示した。
【0116】
実施例3(比較例)
MCM−49を以下のように12.7cm(5”)押出成形器において、押出成形した。MCM−49結晶及びVersal−300アルミナの混合物(重量比80:20)を(MCM−49結晶、Versal−300アルミナ、PVA、及び硝酸の総重量に基づいて)2重量%のPVA及び2重量%の硝酸と共に、押出成形して、0.127cm(1/20”)の押出成形物を生成した。この押出成形物を510℃の窒素中で予備か焼し、硝酸アンモニウムを用いてアンモニウム交換し、空気/N混合気体中、538℃でか焼した。実施例3の触媒について、液相のバッチオートクレーブでのベンゼンのアルキル化試験を行い、結果を表1に示した。
【0117】
実施例4
MCM−49を以下のように5.08cm(2”)押出成形器において、押出成形した。MCM−49結晶、P25チタニア、及びVersal−200アルミナの混合物(重量比60:20:20)を1重量%のPVA(MCM−49結晶、P25チタニア、Versal−300アルミナ、及びPVAの総重量に基づいて)と共に、押出成形して、0.127cm(1/20”)の押出成形物を生成した。この押出成形物を510℃の窒素中で予備か焼し、硝酸アンモニウムを用いてアンモニウム交換し、空気/N混合気体中、538℃でか焼した。実施例4の触媒について、液相のバッチオートクレーブでのベンゼンのアルキル化試験を行い、結果を表1に示した。
【0118】
実施例5(比較例)
MCM−49を以下のように5.08cm(2”)押出成形器において、押出成形した。MCM−49結晶及びVersal−200アルミナの混合物(重量比60:40)を押出成形して、0.127cm(1/20”)の押出成形物を生成した。この押出成形物を510℃の窒素中で予備か焼し、硝酸アンモニウムを用いてアンモニウム交換し、空気/N混合気体中、538℃でか焼した。実施例5の触媒について、液相のバッチオートクレーブでのベンゼンのアルキル化試験を行い、結果を表1に示した。
【0119】
実施例1及び2の触媒活性を実施例3を100として比較した。実施例4の触媒活性は実施例5を100として比較した。これらの実施例の結果はチタニアを含む実施例の触媒がチタニアを含まない実施例の触媒よりも高い活性を有することを示す。
【0120】
【表1】

【0121】
実施例6
MCM−22を以下のように12.7cm(2”)押出成形器において、押出成形した。MCM−22結晶及びP25チタニアの混合物(重量比60:40)を押出成形して、0.159cm(1/16”)の押出成形物を生成した。この押出成形物を510℃の窒素中で予備か焼し、硝酸アンモニウムを用いてアンモニウム交換し、空気/N混合気体中、538℃でか焼した。実施例6の触媒について、液相のバッチオートクレーブでのベンゼンのアルキル化試験を行い、結果を表2に示した。
【0122】
実施例7(比較例)
MCM−22を以下のように5.08cm(5”)押出成形器において、押出成形した。MCM−22結晶及びVersal−200アルミナの混合物(重量比65/35)を押出成形して、0.159cm(1/16”)の押出成形物を生成した。この押出成形物を510℃の窒素中で予備か焼し、硝酸アンモニウムを用いてアンモニウム交換し、空気/N混合気体中、538℃でか焼した。実施例7の触媒について、液相のバッチオートクレーブでのベンゼンのアルキル化試験を行い、結果を表2に示した。
【0123】
チタニウムを含む触媒の実施例における触媒活性を実施例7の触媒活性を100として比較した。この結果は、実施例6の触媒活性は実施例7の触媒活性の約92%であることを示している。しかしながら、同じMCM−22モレキュラーシーブ含量となるように計算した場合、チタニアを含む実施例はチタニアを含まない触媒と同等の活性を有することを示している。
【0124】
【表2】

【0125】
実施例8
ゼオライトベータを以下のようにして押出成形器において、押出成形した。ゼオライトベータ結晶及びP25チタニアの混合物(重量比80:20)を押出成形して、0.127cm(1/20”)の押出成形物を生成した。この押出成形物を510℃の窒素中で予備か焼し、硝酸アンモニウムを用いてアルキル化アンモニウム交換し、空気/N混合気体中、538℃でか焼した。実施例8の触媒について、液相のバッチオートクレーブでのベンゼンのアルキル化試験を行い、結果を表3に示した。
【0126】
実施例9(比較例)
ゼオライトベータを以下のようにして12.7cm(2”)押出成形器において、押出成形した。ゼオライトベータ結晶及びVersal−300アルミナの混合物(重量比80:20)を押出成形して、0.127cm(1/20”)の押出成形物を生成した。この押出成形物を510℃の窒素中で予備か焼し、硝酸アンモニウムを用いてアンモニウム交換し、空気/N混合気体中、538℃でか焼した。実施例9の触媒について、液相のバッチオートクレーブでのベンゼンのアルキル化試験を行い、結果を表3に示した。
【0127】
【表3】

【0128】
この結果はチタニア化合物を含むバインダーを用いたゼオライトベータ(触媒組成物)は活性が高くならないことを示している。
【0129】
実施例10(比較例)
MCM−22を以下のように押出成形した。MCM−22とVersal−300アルミナの混合物(重量比で80:20)を1重量%のPVA(MCM−22結晶、アルミナ、及びPVAの総重量に基づいて)と共に、0.127cm(1/20”)押出成形物を形成した。この押出成形物を510℃の窒素中で予備か焼し、硝酸アンモニウムを用いてアルキル化アンモニウム交換し、空気/N混合気体中、538℃でか焼した。実施例10の触媒について、液相のバッチオートクレーブでのベンゼンのアルキル化試験を行い、結果を表4に示した。
【0130】
実施例11
MCM−22を以下のように押出成形した。MCM−22とP25チタニアの混合物(重量比で80:20)を1重量%のPVA(MCM−22結晶、チタニア、及びPVAの総重量に基づいて)と共に、0.127cm(1/20”)押出成形物を形成した。この押出成形物を510℃の窒素中で予備か焼し、硝酸アンモニウムを用いてアンモニウム交換し、空気/N混合気体中、538℃でか焼した。実施例11の触媒について、液相のバッチオートクレーブでのベンゼンのアルキル化試験を行い、結果を表4に示した。
【0131】
【表4】

【0132】
これらのデータはMCM−22及びMCM−49触媒の両方にチタニアを添加すると触媒活性が改善されることを示している。活性の改善はチタニアの量又はチタニアとアルミナの混合物の量が35重量%以下である場合、又はMCM−49又はMCM−22の量が65重量%より多い場合に、顕著であった。理論により拘束されることは意図しないけれども、プロピレン及び/又はエチレンを用いたベンゼンのアルキル化において、低いチタニア含量又はMCM−22又はMCM49等のMCM−22ファミリー物質の高い含量が触媒活性を改善するという驚くべき結果は、物質移動が制限されている液相の性質に関係があると考える。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)MCM−22ファミリー物質及び(b)触媒組成物の重量に基づいて約1重量%乃至約35重量%のチタン化合物を含むバインダーを含む触媒組成物。
【請求項2】
ゼオライトチタン化合物が酸化チタン、水酸化チタン、硫酸チタン、リン酸チタンの少なくとも1つ又はこれらの組合せを含む、請求項1の触媒組成物。
【請求項3】
追加的な結晶性MCM−22ファミリーモレキュラーシーブを更に含む請求項1又は2の触媒組成物であって、前記MCM−22ファミリーモレキュラーシーブはMCM−22、MCM−36、MCM−49、MCM−56、ITQ−1、ITQ−2、ITQ−3の少なくとも1つ、又はこれらの任意の組合せを含む、触媒組成物。
【請求項4】
FAU、*BEA、MFI、MTWの少なくとも1つ又はこれらの任意の組合せのフレームワークタイプを有するモレキュラーシーブを更に含む、請求項1乃至3のいずれか1つに記載の触媒組成物。
【請求項5】
前記MCM−22ファミリーモレキュラーシーブが、MCM−22、MCM−36、MCM−49、MCM−56、EMM−10ファミリーモレキュラーシーブ、ITQ−1、ITQ−2、及びITQ−3の少なくとも1つを含む、請求項1乃至4のいずれか1つに記載の触媒組成物。
【請求項6】
触媒組成物の総重量に基づいて少なくとも65重量%の前記MCM−22ファミリー物質を含む、請求項1乃至5のいずれか1つに記載の触媒組成物。
【請求項7】
触媒組成物の総重量に基づいて少なくとも60重量%の前記結晶性MCM−49モレキュラーシーブを含む、請求項1乃至5のいずれか1つに記載の触媒組成物。
【請求項8】
前記バインダーが触媒組成物の重量に基づいて30重量%以下のチタン化合物を含む、請求項1乃至7のいずれか1つに記載の触媒組成物。
【請求項9】
前記バインダーが触媒組成物の重量に基づいて20重量%以下のチタン化合物を含む、請求項1乃至8のいずれか1つに記載の触媒組成物。
【請求項10】
前記触媒組成物の重量に基づいて、少なくとも1重量%アルミニウム化合物を更に含む、請求項1乃至9のいずれか1つに記載の触媒組成物。
【請求項11】
前記アルミニウム化合物が酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、硫酸アルミニウム、リン酸アルミニウムの少なくとも1つ又は任意のこれらの組合せを含む請求項10に記載の触媒組成物。
【請求項12】
触媒組成物の重量に基づいて少なくとも5重量%の*BEAフレームワークタイプタイプを有するモレキュラーシーブを更に含む、請求項1乃至11のいずれか1つに記載の触媒組成物。
【請求項13】
アルキル化剤で芳香族炭化水素をアルキル化して、アルキル化された芳香族生成物を生成する方法であって、前記方法が芳香族炭化水素をアルキル化剤でアルキル化するのに有効なアルキル化条件下で芳香族炭化水素とアルキル化剤とを請求項1乃至12の触媒組成物と接触させて、アルキル化された芳香族化合物を含む排出液を生成する工程を含む、方法。
【請求項14】
前記芳香族炭化水素がベンゼンを含み、前記アルキル化剤がエチレンを含み、前記アルキル化された芳香族生成物がエチルベンゼンを含む、請求項13の方法。
【請求項15】
前記芳香族炭化水素がベンゼンを含み、前記アルキル化剤がプロピレンを含み、前記アルキル化された芳香族生成物がクメンを含む、請求項13の方法。
【請求項16】
生成されたアルキル化された芳香族生成物の量が、同じアルキル化条件下において、アルミナを含み、同じ量のモレキュラーシーブを含むアルミナ結合触媒組成物に接触させて生成された排出液におけるアルキル化された芳香族生成物よりも、少なくとも1重量%多い、請求項13乃至15のいずれか1つの方法。
【請求項17】
請求項1乃至12のいずれか1つに記載の触媒組成物の生成方法であって、
(a)MCM−22ファミリー物質と少なくとも1重量%のチタン化合物を含むバインダーを提供して、混合物を生成する工程、及び
(b)前記混合物から触媒組成物を成形する工程、を含む方法。
【請求項18】
前記成形する工程が押出成形を含む、請求項16の方法。
【請求項19】
前記触媒組成物がクアドルローブ(quadrulobe)の形状である、請求項16又は17のいずれか1つに記載の方法。
【請求項20】
前記触媒組成物が、触媒組成物の重量に基づいて少なくとも5重量%の*BEAフレームワークタイプを有するモレキュラーシーブを含む、請求項16乃至19のいずれか1つに記載の方法。

【公表番号】特表2010−515572(P2010−515572A)
【公表日】平成22年5月13日(2010.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−546390(P2009−546390)
【出願日】平成19年12月20日(2007.12.20)
【国際出願番号】PCT/US2007/088395
【国際公開番号】WO2008/088659
【国際公開日】平成20年7月24日(2008.7.24)
【出願人】(599134676)エクソンモービル・ケミカル・パテンツ・インク (301)
【Fターム(参考)】