説明

触覚インターフェイス及びその制御方法

【課題】それ単体で、多数の道具に対応することのできる触覚インターフェイスを提供する。
【解決手段】操作態様の異なる多種類の道具ディバイスを用意するとともに、アーム機構により空間移動される触覚指ベース20に設けられた複数の触覚指21〜25の先端の球軸受けに、各道具ディバイスにそれぞれ複数設けられた関節球を脱着可能に連結する構造とすることで、触覚インターフェイスの操作に用いる道具ディバイスを必要に応じて容易に交換可能とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、触覚インターフェイス及びその制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
触覚インターフェイスは、入力に対して力覚を発生させ、フォース・フィードバックを行う入出力装置であり、例えば仮想現実空間での作業やロボットなどの遠隔操作に用いられている。こうした触覚インターフェイスを用いれば、現実には物理的に隔絶された操作対象の重量感やその動作に対する抵抗感などを操作者に提示することができる。また、発生する力覚の細密な制御を通じて、操作対象が触れた物体の形状や質感を提示可能な触覚インターフェイスも実用されている。
【0003】
従来、そうした触覚インターフェイスとして、特許文献1に記載のような多指型の触覚インターフェイスが提案されている。この多指型触覚インターフェイスは、アーム機構により空間移動される触覚指ベースに5本の触覚指が配設された構造とされている。各触覚指にはそれぞれ、操作者の指先を保持する指フォルダが先端に設置されており、その指先の動きを検知するセンサが内蔵されている。そして検知した指先の動きに連動して、触覚指の力制御を行うことで、操作者の指先に力覚を提示することができるようになっている。また同文献に記載の多指型触覚インターフェイスでは、各触覚指がそれぞれの保持する操作者の指先に触覚指ベースが対向するように、アームの位置及び姿勢の制御を行うようにしている。具体的には、
(1)操作者の手と触覚指ベースとが、操作者の各指先によって形成される平面に面対称となるように触覚指ベースを配置させる、
(2)操作者の指と触覚インターフェイスの触覚指とを、中指、拇指、示指の順に指先同士が幾何学的に対向されるように触覚指ベースを配置させる、
(3)触覚指の可操作性が最大となるように触覚指ベースを配置させる、
といった3つのいずれか手法にて、上記アームの位置及び姿勢の制御を実現するようにしている。
【特許文献1】特開2003−300188号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで近年、こうした触覚インターフェイスを、バーチャル・リアリティ技術を用いた医療や精密作業の訓練に利用することが検討されており、そのための技術開発が進められている。こうした仮想現実での訓練をより実際のものに近づけるには、医療や精密作業の現場で実際に用いられる道具と操作部の形状や操作態様が同じであることが望ましい。そのため、各種の道具に合わせた形状や操作態様に操作部が形成された様々な触覚インターフェイスが提案されている。
【0005】
しかしながら、医療や精密作業は、すべてを単一の道具のみで行う作業よりも、形状や操作態様の異なる多種の道具を場面に応じて取り替えながら行われる作業の方が多い。操作部の形状、操作の入力点の数やその位置関係、提示の必要な力覚の発生態様などの違いのため、道具の種別により触覚インターフェイスに求められる機能は異なったものとなっている。そのため、多数の道具を用いる訓練を行う場合、道具の数分の触覚インターフェイスを用意しなければならず、訓練システムは高価となり、広い設置スペースが必要となる。
【0006】
一方、図11に示すように、指を使って物体Oを把持して持ち上げる場合を考えると、支持点と物体Oの重心とのずれにより、その物体Oには重力Gによって直線Lを軸心とした回転モーメントMが発生する。そしてその回転モーメントが、物体Oの表面との摩擦を通じて指先に伝達されるようになる。ところが、物体を把持したときの押し付け力や摩擦力を提示可能な触覚インターフェイスは、従来より実用されているが、こうした指先に伝わる回転モーメントまでも提示可能なものは未だ提案されていないのが現状である。
【0007】
更に、上述した従来の多指型触覚インターフェイスのアームの位置及び姿勢の制御については、次のような問題がある。上述したように、上記従来の多指型触覚インターフェイスでは、触覚インターフェイスの触覚ベースが常に操作者の指先と対向して配置されるように、アームの位置及び姿勢の制御が行われている。こうした場合、たとえ操作者の行った操作が僅かなものであっても、上記のような指先と触覚ベースとの位置関係を保つには、アームを大きく動かさなければならないことがある。このように、行った操作の大きさに対してアームが不相応に大きく動作されると、操作者に不安感を与えてしまう虞がある。
【0008】
本発明は、以上のような実情に鑑みてなされたものであり、その解決しようとする第1の課題は、それ単体で、多数の道具に対応することのできる触覚インターフェイスを提供することにある。
【0009】
また本発明の解決しようとする第2の課題は、物体を把持したときに指先に伝達される回転モーメントを提示することのできる触覚インターフェイスを提案することにある。
更に本発明の解決しようとする第3の課題は、触覚指の操作性能を好適に確保しながらも、行われた操作の大きさに対して不相応に大きいアームの動作を抑制することのできる触覚インターフェイス及びその制御方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記第1の課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、アーム機構により空間移動される触覚指ベースと、その触覚指ベースに設けられて操作の入力及び力覚の出力にそれぞれ用いられる複数の触覚指と、を備える触覚インターフェイスにおいて、操作態様の異なる複数種の道具ディバイスを備えるとともに、前記触覚指の先端にそれぞれ設けられた受け部に脱着自在に連結可能な装着ポイントをそれら道具ディバイスにそれぞれ設けるようにしている。
【0011】
上記構成では、道具ディバイスに連結される触覚指が、操作入力の検出機能、力覚の出力機能を有しているため、道具ディバイス側にセンサやアクチュエータを設けずとも、操作に応じた力覚の提示を行うことができる。また複数の触覚指の姿勢変更を通じて、操作の入力点や力覚の出力点の数や位置関係を、各触覚指の自由度によって許容される範囲内で自在に変更することができ、操作態様や必要な力覚の発生態様の異なる多様な道具ディバイスに柔軟に対応することができる。そのため、必要とする道具の操作部の形状や機構を模した道具ディバイスを用意するだけで、触覚インターフェイスの操作態様を、多種類の道具に対応した態様に容易に変更可能となる。
【0012】
なお請求項2に記載のように、触覚指に設けられる受け部を、道具ディバイスの装着ポイントに対して回動可能に連結するようにすれば、触覚指と道具ディバイスとの連結部に受動関節を追加することができ、道具ディバイスの取付態様の自由度を増すことができる。特に請求項3に記載のように装着ポイントと受け部とが球関節を形成するように構成すれば、触覚指と道具ディバイスとの連結部に3自由度の受動関節が追加されるようになる。更に、以上の如く構成された各触覚インターフェイスにおいて、請求項4に記載のように、その装着ポイントと受け部との連結を磁力により行うこととすれば、道具ディバイスの脱着を容易且つ迅速に行うことができるようになる。
【0013】
一方、上記第2の課題を解決するために請求項5に記載の発明では、上記請求項1〜4のいずれか1項に記載の触覚インターフェイスにおいて、道具ディバイスにあって、操作時に操作者の指先が当接される部分に、回転可能に軸支された回転板を設けるとともに、その回転板に回転トルクを付与するアクチュエータを設けるようにしている。また請求項6に記載の発明では、アーム機構により空間移動される触覚指ベースと、その触覚指ベースに設けられて操作の入力及び力覚の出力にそれぞれ用いられる複数の触覚指と、それら触覚指の先端に設けられて操作者の指先を保持する指フォルダと、を備える触覚インターフェイスにおいて、その指フォルダの内部に保持された操作者の指先に当接され、且つ回転可能に軸支された回転板と、その回転板に付与される回転トルクを発生させるアクチュエータと、を備えるようにしている。
【0014】
上記各構成では、アクチュエータの発生した回転トルクが回転板に付与されると、その回転板に触れた操作者の指先に回転板との摩擦を通じて回転モーメントが伝達されるようになる。そのため、アクチュエータを制御して必要に応じて回転トルクを発生させることで、物体を把持したときに操作者の指先に伝わる回転モーメントを提示することができるようになる。
【0015】
更に上記第3の課題を解決するため、請求項7に記載の発明では、上記請求項1〜6のいずれか1項に記載の触覚インターフェイスにおいて、アーム機構を目標とする位置及び姿勢に駆動したときの触覚指の可操作性の大きさの指標値から、アーム機構を現状の位置及び姿勢から目標とする位置及び姿勢に駆動するためのアーム機構の関節角度の変化度合の指標値を減算した値が最大となるように、アーム機構の位置及び姿勢の制御を行う制御手段を備えるようにしている。また請求項8に記載の発明では、アーム機構により空間移動される触覚指ベースと、その触覚指ベースに設けられて操作の入力及び力覚の出力にそれぞれ用いられる複数の触覚指と、を備える触覚インターフェイスにおいて、アーム機構を目標とする位置及び姿勢に駆動したときの触覚指の可操作性の大きさの指標値から、アーム機構を現状の位置及び姿勢から目標とする位置及び姿勢に駆動するためのアーム機構の関節角度の変化量の指標値を減算した値が最大となるように、アーム機構の位置及び姿勢の制御を行う制御手段を備えるようにしている。更に請求項9に記載の発明では、アーム機構により空間移動される触覚指ベースと、その触覚指ベースに設けられて操作の入力及び力覚にそれぞれ用いられる複数の触覚指と、を備える触覚インターフェイスの制御を行う方法として、アーム機構を目標とする位置及び姿勢に駆動したときの触覚指の可操作性の大きさの指標値から、アーム機構を現状の位置及び姿勢から目標とする位置及び姿勢に駆動するためのアーム機構の関節角度の変化量の指標値を減算した値が最大となるように、アーム機構の位置及び姿勢の制御目標を算出するようにしている。
【0016】
これらの構成及び制御方法によれば、触覚指の高い可操作性を維持しながらも、アーム機構の関節角度の変化量が小さく抑えられるように制御目標が設定されるようになる。そのため、触覚指の操作性能を好適な状態に保ち、高精度の力覚提示を可能としながらも、アーム機構の位置や姿勢の変化が、行われた操作の大きさに対して不相応に大きくならないように抑えられるようになる。
【発明の効果】
【0017】
本発明の請求項1〜4に記載の触覚インターフェイスによれば、単体の触覚インターフェイスのみで、多数の道具に対応することができる。
また本発明の請求項5及び6に記載の触覚インターフェイスによれば、物体を把持したときに指先に伝わる回転モーメントの提示が可能となる。
【0018】
更に本発明の請求項7、8に記載の触覚インターフェイス及び請求項9に記載の触覚インターフェイスの制御方法によれば、触覚指の操作性能を好適に確保しながらも、行われた操作の大きさに対して不相応に大きいアームの動作を抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の触感インターフェイス及びその制御方法を具体化した一実施形態を、図1〜図9を参照して詳細に説明する。本実施形態の触覚インターフェイスは、6自由度のアーム機構と5本の触覚指を備え、それら触覚指による多点力覚提示を行うように構成されている。そしてこの触覚インターフェイスは大きくは、
・交換可能な道具ディバイスの装備による操作態様を多様に変更できること、
・物体を把持したときに作用する回転(摩擦)モーメントを操作者の指先に提示できること、
・触覚指の可操作性の増大とアーム機構の関節変化の抑制とを考慮したアーム機構の位置及び姿勢の制御を行うことで、行われた操作に対して不相応に大きいアーム動作を抑制できること、
といった3つの特徴を有するものとなっている。
【0020】
ここではまず、こうした本実施形態の触覚インターフェイスのアーム機構の構成を、図1及び図2を参照して説明する。なお図1は本実施形態の触覚インターフェイスの側面構造を、図2は触覚インターフェイスのアームのリンク構造をそれぞれ示している。
【0021】
図1に示すように、触覚インターフェイスの基台となる支柱10の上端には、アームベース11が設置されている。このアームベース11に取り付けられたアーム機構12は、人間の腕と同様の概観となるように、ほぼ同じ長さの2つのリンク、すなわちアーム第1リンク13とアーム第2リンク14を有して構成されている。そしてアーム第1リンク13は、肩関節部15を介してアームベース11に連結され、またアーム第1リンク13とアーム第2リンク14とは、肘関節部16を介して互いに連結されている。更にアーム第2リンク14の先端には、手首関節部17を介して触覚指ベース20が連結されている。この触覚指ベース20には、人間の手の5本の指にそれぞれ対応した第1〜第5触覚指21〜25がそれぞれ設置されている。
【0022】
本実施形態の触覚インターフェイスでは、こうしたアーム機構12を6自由度機構として構成している。具体的には、図2に示すように、肩関節部15に2自由度を、肘関節部16に1自由度を、手首関節部17に3自由度を、それぞれ設定するようにしている。そしてアーム第1リンク13は、肩関節部15によって、アームベース11に対する捻り(回動方向Φ1)と前後屈(回動方向Φ2)とがそれぞれ許容されるようになっている。またアーム第2リンク14は、肘関節部16によって、アーム第1リンク13に対する前後屈(回動方向Φ3)が許容されるようになっている。更に触覚指ベース20は、手首関節部17によって、アーム第2リンク13に対する捻り(回動方向Φ4)、前後屈(回動方向Φ5)及び内外転(回動方向Φ6)がそれぞれ許容されている。なお各関節部(15,16,17)の各回動軸には、図示しないサーボモータ及びエンコーダが設けられ、各回動軸の駆動及び回動角の検出がそれぞれ個別に行われるようになっている。
【0023】
続いて、上記触覚指ベース20に設置される各触覚指21〜25の構成を、第1触覚指21の斜視構造を模式的に示した図3を参照して説明する。なお各触覚指21〜25は、いずれも同様の構成とされている。同図に示すように、各触覚指21〜25は、2つのリンク(指第1リンク26、指第2リンク27)をそれぞれ有して構成されている。指第1リンク26は、その前後屈(回動方向Φ6)及び内外転(回動方向Φ7)を許容する2自由度の指第1関節部28を介して触覚指ベース20に連結されている。また指第2リンク27は、その前後屈(回動方向Φ8)を許容する1自由度の指第2関節部29を介して指第1関節部28に連結されている。なお触覚指21〜25においても、各関節部(28,29)の各回動軸には、図示しないサーボモータ及びエンコーダがそれぞれ設けられており、各回動軸の駆動及び回動角の検出がそれぞれ個別に行われるようになっている。また各触覚指21〜25の指第2リンク27には、3軸力センサ30が設置されており、この3軸力センサ30は、触覚指21〜25に印加された力が、互いに直交する3軸方向において検出されるようにもなっている。
【0024】
こうした触覚インターフェイスのアーム機構12及び各触覚指21〜25の各関節の回動角、及び3軸力センサ30により検出された各触覚指21〜25に印加された力の検出信号は、外部制御装置18に入力される。外部制御装置18はこれらの検出信号に基づき、アーム機構12及び各触覚指21〜25の位置や姿勢、発生する力覚の制御目標を設定し、各関節のサーボモータに制御信号を出力する。なお、こうした外部制御装置18による触覚インターフェイスの制御の詳細は、後述する。
【0025】
<道具ディバイスの交換>
本実施形態の触覚インターフェイスでは、こうした触覚指21〜25の先端に、操作者が操作に用いる道具ディバイスが着脱自在に連結されるようになっている。道具ディバイスは、用途に応じて複数種用意されており、必要に応じて容易に交換可能となっている。こうした道具ディバイスの着脱を行うため、各触覚指21〜25の指第2リンク27の先端には、半球形状に凹設された球軸受け32が形成されるとともに、その直下には永久磁石31が内蔵されている。こうした球軸受け32には、道具ディバイスに設けられた関節球33が装着されるようになっている。関節球33は、例えば鋼のような強磁性体によって形成された球体で、永久磁石31によって球軸受け32に吸着されるようになっている。球軸受け32に対して関節球33は回動自在に連結され、これら球軸受け32及び関節球33により、3自由度の受動球関節が形成される。
【0026】
次に、この触覚インターフェイスに用意された各種の道具ディバイスについて説明する。この触覚インターフェイスには、外科手術において使用される3種の道具の操作、及び手での直接的な対象物の操作を再現するための4つの道具ディバイスが用意されている。
【0027】
図4は、切断する、挟み込む、押し切るといった用途に用いられる鋏型の道具の操作を再現するための鋏型道具ディバイスの概観形状を示している。外科手術の現場では、様々な種類の鋏型の道具が用いられるが、基本的な操作態様は共通しているため、1つの道具ディバイスで多種の鋏型手術道具の操作を再現することができる。
【0028】
同図に示すように、鋏型道具ディバイス40は、一般的な鋏とほぼ同様に、一方の端部に刃部41が、他方の端部に握り部42がそれぞれ形成された2枚の刃44,45を、中間部分に設けられた支点部43を中心に互いに回動可能に連結した構造となっている。そしてこの鋏型道具ディバイス40には、上記のような関節球33が3つ設けられている。詳しくは、関節球33は、鋏型道具ディバイス40の支点部43及び作用点となる両握り部42にそれぞれ設置されている。
【0029】
図5は、触覚インターフェイスの触覚指21〜25に対する鋏型道具ディバイス40の取り付け態様の一例を示している。同図の例では、環指に相当する第4触覚指24の先端に鋏型道具ディバイス40の支点部43の関節球33が連結され、母指に相当する第1触覚指21及び示指に相当する第2触覚指22の先端に鋏型道具ディバイス40の両握り部42の関節球33がそれぞれ連結されている。なお連結に使用されない残りの触覚指、すなわち第3触覚指23及び第5触覚指25は、鋏型道具ディバイス40の操作や動作の邪魔にならない位置に、折り込まれた状態で退避されている。こうした取り付け態様によれば、鋏型道具ディバイス40を3点支持してその姿勢を保持しつつ、鋏の開閉による物の切断時の力覚を、第1及び第2触覚指21,22の制御を通じて提示することができる。また鋏の先端や側面などに物が触れたときの力覚は、主にアーム機構12の制御で提示することができる。
【0030】
次に、こうした鋏型道具ディバイス40を用いた切断シミュレーションについて説明する。ここでは、座標τにおける切断時の抵抗感に相当する応力R(τ)を、次式(1)にて算出する。
【0031】
【数1】

上式(1)では、支点から作用点までの距離を「σ」、支点から鋏の握りまでの距離を「ψ」、粘性及び弾性を考慮した見かけの弾性係数を「K」、両刃の開閉角を「θ」、二枚の刃の間の間隔を「d」、粘性係数を「γ」、支点を中心とした回転運動の角速度を「ω」でそれぞれ表している。また上式(1)において、「Ts=tan(θ/2)」である。こうした上式(1)を用いて、鋏の刃と切断対象の物体との接触範囲における座標τの応力R(τ)を求め、その応力R(τ)を接触範囲の長さで積分することで、操作者の手にフィードバックする抵抗力の大きさを求めることができる。
【0032】
図6は、本実施形態の触覚インターフェイスに鋏型道具ディバイス40を取り付け、自由空間で、すなわち切断対象の無い状態で、2秒毎に鋏を開閉したときの抵抗力の測定結果を示している。この結果から、触覚インターフェイスに取り付けた状態で鋏型道具ディバイス40を開閉する場合、触覚インターフェイスの機構の動作抵抗が加わる分、鋏型道具ディバイス40単体で開閉操作を行ったときよりも、抵抗力が大きくなることが確認された。したがって、切断シミュレーションを行う場合には、加算される機構の抵抗を考慮して、鋏型道具ディバイス40に印加する力覚(抵抗力)の大きさを決定する必要がある。
【0033】
図7は、外科手術用メスの操作の再現に用いられるメス型道具ディバイスの触覚インターフェイスへの取り付け態様の一例を示している。同図では、このメス型道具ディバイスの操作時の手の状態が一点鎖線で併せ示されている。外科手術用のメスに形状を模したメス型道具ディバイス50には、関節球33が3箇所に設置されており、それらの関節球33はそれぞれ第1〜第3触覚指21〜23の先端に連結されている。こうした取り付け態様によれば、メスによる対象物の切断時の力覚を第1〜第3触覚指21〜23の制御を通じて提示することができる。またメス型道具ディバイス50の移動、及びメスが周囲の物に触れたときの力覚の提示は、主にアーム機構12の制御を通じて行うことができる。
【0034】
図8は、注射器の操作の再現に用いられる注射器型道具ディバイスの触覚インターフェイスへの取り付け態様の一例を示している。同図においても、注射器型道具ディバイスの操作時の手の状態が一点鎖線で併せ示されている。注射器型道具ディバイス60は、シリンダ部61及びそのシリンダ部61内に往復直動可能に挿嵌されたピストン部62の2つのパールからなっている。関節球33は、シリンダ部61の先端及びピストン部62の端部にそれぞれ設けられており、第1触覚指21及び第5触覚指25にそれぞれ連結されるようになっている。これら2つの関節球33は共に、シリンダ部61の中心軸上に位置されている。ピストン部62の押し込みによる注射器の注入操作に伴う力覚の提示は、第1触覚指21及び第5触覚指25の制御により行うことができる。また注射器型道具ディバイス60の移動、及び注射器が周囲の物体に接触したときの力覚の提示は、主にアーム機構12の制御を通じて行うことができる。なお、同図の取り付け態様では、注射器型道具ディバイス60をその両端にて2点支持しているだけであるため、注射器の軸周りのモーメントの提示はできないようになっている。もっとも、シリンダ部61の中心軸からある程度離心した位置に触覚指との連結部をもう一点増やせば、そうしたモーメントの提示は可能となる。しかしながら、そうしたモーメントの提示は、注射器の操作訓練に際しては殆ど不要なため、ここではそうしたモーメントを敢えて無視して、構成及び制御の簡易化を図るようにしている。
【0035】
更に本実施形態の触覚インターフェイスには、手で直接、物をつかんだり、触れたりする操作を行うための道具ディバイスも用意されている。図9は、そうした操作に際して使用される道具ディバイスである指フォルダの概観を示している。この指フォルダ70は、操作者の指先が挿入され、その保持を行う略籠状のフォルダ部71を備えている。フォルダ部71の先端部には、関節球33が固定され、その関節球33を介して回動自在に触覚指21〜25の先端に連結されるようになっている。こうした指フォルダ70は、触覚インターフェイスの5本の触覚指21〜25のそれぞれに連結される。この状態では、各触覚指21〜25は、能動関節である指第1関節部28及び第2関節部29による3自由度に、関節球33による3自由度が加えられ、全体として6自由度が設定されるようになる。これにより、触覚指21〜25は、操作者の指の動きに柔軟に追従可能とされている。なお指フォルダ70は、触覚指21〜25に内蔵された永久磁石31の磁力により吸着されているだけであるため、触覚指21〜25と操作者の指先との間に過剰な力が作用したときには、指フォルダ70と触覚指21〜25とが容易に分離されるようになっている。
【0036】
このように本実施形態の触覚インターフェイスでは、多種類の道具ディバイスを容易に交換可能となっている。この触覚インターフェイスでは、道具ディバイスの連結される触覚指21〜25が、入力された操作力の検出機能、及び力覚の出力機能をそれぞれ有しているため、連結される道具ディバイスにセンサやアクチュエータを設けずとも、操作に応じた力覚の提示を行うことができる。また複数(ここでは5本)の触覚指21〜25の姿勢変更により、操作態様、及び必要とされる力覚の発生態様の異なる様々な道具ディバイスに柔軟に対応することができるようにもなっている。
【0037】
こうした触覚インターフェイスを使用してバーチャル・リアリティ技術による外科手術の訓練を行う場合、ディスプレイ等に表示される仮想現実空間での手術の進行状況に合わせて必要とされる道具に対応するものに、触覚指21〜25に連結される道具ディバイスを順次交換することができる。そのため、実際により近い状態で訓練を行うことができる。なお道具ディバイスは、触覚指21〜25に対して永久磁石31の磁力で吸着されているだけであるため、極めて容易かつ迅速に交換可能となっている。
【0038】
以上では、外科手術用の道具に対応した各種道具ディバイスを備える場合について説明したが、必要とされる道具に対応した道具ディバイスを用意すれば、上記触覚インターフェイスは精密加工などの外科手術以外の訓練にも利用可能となる。ちなみに道具ディバイスは、対応する道具の全体の形状、機構を具備する必要はなく、少なくともその道具の操作部の形状や機構と同様に形成さえすれば、その道具と同様の操作感を再現することができる。例えば上記鋏型道具ディバイス40の場合、その支点部43よりも刃先側の部分が省略されていても、その2つの握り部42が支点部43にて開閉動作可能に連結されていれば、鋏型をした各種道具の操作感の再現は可能である。もっとも、道具ディバイスが、対応する道具の全体の形状、機能を模して形成されていれば、その道具の再現性を視覚的な面で高めることはできる。
【0039】
なお、本実施形態の触覚ディバイスでは、球軸受け32が上記「受け部」に、関節球33が上記「装着ポイント」にそれぞれ相当する構成となっている。
<物体の把持に伴う回転(摩擦)モーメントの提示>
次に、上述したような、物体を把持したときに指先に作用する回転(摩擦)モーメントの提示を実現するための構成について説明する。ここでは、回転モーメントの提示に係る機構を、上記指フォルダに内蔵させるようにした場合について述べる。
【0040】
図10は、そうした回転モーメント提示機能付きの指フォルダの断面構造を示している。同図に示すように、指フォルダのフォルダ部75の内周において、挿入される操作者の指先に当接される部分には、円板形状の回転板76が回転可能に軸支された状態で設置されている。この回転板76は、フォルダ部75に取り付けられた関節球78の内部に挿入固定されたモータ77の出力軸に一体回転可能に固定されている。
【0041】
モータ77に動作電圧を印加すると、モータ77は回転トルクを発生する。このとき、操作者の指先によって回転板76がある程度の力で押圧されていると、回転板76の回転は制限されることになるが、モータ77の発生した回転トルク分の摩擦モーメントが回転板76に触れた操作者の指先に伝達されるようになる。ここでは、この摩擦モーメントを、上記のような物体を把持したときに感じる回転モーメントとして提示するようにしている。すなわち、仮想空間内で操作者が物体を把持する操作を行ったとき等、必要に応じてモータ77を制御して、操作者の指先に回転モーメントを提示することができる。なお、本実施形態では、モータ77が「回転板に回転トルクを付与するアクチュエータ」に相当する構成となっている。
【0042】
<不相応なアーム動作の抑制を考慮したアーム制御>
次に、上述したような、操作の大きさに対して不相応に大きいアームの動作を抑制するためのアームの位置及び姿勢の制御について説明する。
【0043】
触覚インターフェイスの外部制御装置18(図1参照)は、各触覚指21〜25の3軸力センサ30の検出結果、及び仮想現実空間のシミュレーションの結果を基に、各触覚指21〜25の力制御を行うとともに、アーム機構12及び各触覚指21〜25の関節角度の検出結果に基づき、アーム機構12の位置・姿勢制御を行う。本実施形態では、このときのアーム機構12の位置・姿勢制御に際して、次のような評価関数を用いる。この評価関数は、下式(2)で与えられる。
【0044】
【数2】

上式(2)において「αi 」,「βi 」はそれぞれ第i触覚指についての重み係数を示している。また「Wi 」は第i触覚指の可操作性をそれぞれ示しており、同第i触覚指の運動学ヤコビ行列を「Ji 」とすると、下式(3)で与えられる。下式(3)において「li1」,「li2」はそれぞれ、第i触覚指の指第1リンク、及び指第2リンクの長さを、「qi2」,「qi3」はそれぞれ、同第i触覚指の第2関節(回動方向Φ8)の角度,第3関節(回動方向Φ9)の角度を表している。
【0045】
【数3】

一方、上式(2)において「Pi 」は、第i触覚指についてその各関節の回動角が稼動範囲内に収まるようにするために与えられるペナルティ関数で、下式(4)にて与えられる。下式(4)において「aij」,「bij」は、第i触覚指の第j関節の左右の可動限界を、「kj 」は第j関節の重み係数を、「l」は指数関数の形状を調整する係数である。
【0046】
【数4】

更に上式(2)において「Qa 」は、アーム機構12の関節角度ベクトルqa の変化量を評価する項であり、下式(5)にて与えられる。下式(5)での「qa0」は計算初期のアーム機構12の関節角度ベクトルを、「Γ」は重み行列をそれぞれ表している。
【0047】
【数5】

以上のような評価関数の右辺第1項の値は、アーム機構12を目標とする位置及び姿勢に駆動したときの触覚指21〜25の可操作性の大きさの指標値となっている。また右辺第2項は、アーム機構12を現状の位置及び姿勢から目標とする位置及び姿勢に駆動するためのアーム機構12の関節角度の変化度合の指標値となっている。そして外部制御装置18は、前者の指標値から後者の指標値を減算した評価関数の値PIが最大となるように、最終的なアーム機構12の位置及び姿勢の制御目標を算出するようにしている。
【0048】
こうしたアーム機構12の位置・姿勢制御によれば、各指関節の回動角を可動範囲内に収めて各触覚指21〜25の高い可操作性を維持しながらも、アーム機構12の関節角度の変化量が小さく抑えられるように制御目標が設定される。そのため、各触覚指21〜25の操作性能を好適な状態に保ち、高精度の力覚提示を可能としながらも、操作の大きさに対して不相応に大きくアーム機構12の位置や姿勢が変化されることを好適に抑制して、操作者に不安感を与えないようにすることができる。
【0049】
本実施形態の触覚インターフェイス及びその制御方法によれば、次の効果を奏することができる。
(1)操作態様の異なる複数種の道具ディバイス(40,50,60,70)を用意するとともに、各触覚指21〜25の先端にそれぞれ設けられた球軸受け32に脱着自在に連結可能な関節球33を各道具ディバイスにそれぞれ設けるようにしている。こうした触覚インターフェイスでは、触覚指21〜25が、操作入力の検出機能、力覚の出力機能を有しているため、敢えて道具ディバイス側にセンサやアクチュエータを設けずとも、操作に応じた力覚の提示を行うことができる。また各触覚指21〜25の姿勢変更を通じて、操作の入力点や力覚の出力点の数や位置関係を、各触覚指21〜25の自由度によって許容される範囲内で自在に変更することができ、操作態様や必要な力覚の発生態様の異なる多様な道具ディバイスに柔軟に対応することができる。そのため、必要とする道具の操作部の形状や機構を模した道具ディバイスを用意するだけで、触覚インターフェイスの操作態様を、多種類の道具に対応した態様に容易に変更することが可能となる。
【0050】
(2)道具ディバイスの関節球33と触覚指21〜25の先端の球軸受け32との連結部に3自由度の受動関節が追加されるため、道具ディバイスの取付態様についての自由度を増すことができ、より多様な道具ディバイスの利用を可能とすることができる。
【0051】
(3)道具ディバイスと触覚指21〜25とが磁力による吸着により連結されるため、道具ディバイスを容易且つ迅速に交換することができる。
(4)道具ディバイスと触覚指21〜25とが容易に脱着可能なため、それらの間に過剰な力が作用したときに、両者が容易に分離するようになり、道具ディバイスや操作者に過剰な負担を与えることを回避することができる。
【0052】
(5)道具ディバイスの一つとして各触覚指21〜25の先端に連結される指フォルダにあって、その内周の操作時に操作者の指先が当接される部分に、回転可能に軸支された回転板76を設けるとともに、その回転板76に回転トルクを付与するモータ77を設けるようにしている。こうした指フォルダでは、モータ77の発生した回転トルクが回転板76に付与されると、その回転板76に触れた操作者の指先に回転板76との摩擦を通じて回転モーメントが伝えられる。そのため、モータ77を制御して必要に応じて回転トルクを発生させることで、物体を把持したときに操作者の指先に伝わる回転モーメントを提示することができる。
【0053】
(6)アーム機構12を目標とする位置及び姿勢に駆動したときの触覚指21〜25の可操作性の大きさの指標値から、アーム機構12を現状の位置及び姿勢から目標とする位置及び姿勢に駆動するためのアーム機構12の関節角度の変化度合の指標値を減算した値が最大となるように、アーム機構12の位置及び姿勢の制御を行うようにしている。こうした制御態様によれば、触覚指21〜25の高い可操作性を維持しながらも、アーム機構12の関節角度の変化量が小さく抑えられるように制御目標が設定されるようになる。そのため、触覚指21〜25の操作性能を好適な状態に保ち、高精度の力覚提示を可能としながらも、アーム機構12の位置や姿勢の変化が、行われた操作の大きさに対して不相応に大きくならないように抑えることができる。
【0054】
(7)5本の触覚指21〜25による多点力覚提示を行うことができる。
(8)アーム機構12により、力覚提示点(触覚指ベース20)の空間移動を自在に行うことができる。
【0055】
(9)アーム機構12が6自由度機構に構成されているため、操作者の腕の動きに柔軟に追従して触覚指ベース20を移動させることができる。
なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
【0056】
・上記実施形態では、触覚指21〜25と道具ディバイスとを連結するための永久磁石31を、道具ディバイス側に設けるようにしたり、触覚指21〜25側と道具ディバイス側との双方に設けるようにしたりしても良い。またそれらの連結を永久磁石に代えて電磁石を用いて行うようにしても良い。こうした場合にも、上記実施形態の触覚インターフェイスと容易且つ迅速な道具ディバイスの脱着が可能である。
【0057】
・触覚指21〜25と道具ディバイスとを、例えば嵌合等の磁力以外の手段で連結するようにしても良い。その場合にも、それらが脱着自在に連結されていれば、道具ディバイスの交換は可能である。
【0058】
・触覚指21〜25と道具ディバイスとの連結部を、1自由度、或いは2自由度の受動関節とするようにしても良い。この場合にも、道具ディバイスに設けられた装着ポイントが、触覚指21〜25の先端に設けられた受け部に対して回動可能に連結されているのであれば、それらの連結部に受動関節が追加されることにはなるため、道具ディバイスの取付態様の自由度を増すことができる。もっとも、それらの連結部が完全に固定(0自由度)されていても、触覚指21〜25がそもそも高い自由度を有しているのであれば、多様な道具ディバイスへの対応は可能である。
【0059】
・上記実施形態の触覚インターフェイスは大きくは、
1)交換可能な道具ディバイスの装備による操作態様を多様に変更可能とすること、
2)物体を把持したときに作用する回転(摩擦)モーメントを操作者の指先に提示可能とすること、及び
3)触覚指の可操作性の増大とアーム機構の関節変化の抑制とを考慮したアーム機構12の位置及び姿勢の制御を行うこと、
の3つの特徴を有するものとなっているが、そのうちのいずれか1つまたは2つを割愛した構成としても良い。
【0060】
・触覚インターフェイスのアーム機構12や各触覚指21〜25のリンク構造(リンク数、関節数など)、或いは触覚指の本数などは、上記実施形態で例示された構成に限らず、任意に変更しても良い。ただし、操作者の腕の動きに合わせて力覚発生点を十分柔軟に追従させるには、アーム機構の自由度は6以上確保することが望ましい。また多様な道具ディバイスの取り付けや、操作者の指の動きに十分柔軟に追従した触覚指の動作を行うには、触覚指の本数や自由度をある程度多く確保する必要がある。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】本発明の一実施形態に係る触覚インターフェイスについてその全体構造を示す側面図。
【図2】同触覚インターフェイスのアーム機構のリンク構造を示す模式図。
【図3】同触覚インターフェイスの触覚指の構成を模式的に示す斜視図。
【図4】同触覚インターフェイスに取り付け可能な鋏型道具ディバイスの斜視構造を示す斜視図。
【図5】同触覚インターフェイスに対する上記鋏型道具ディバイスの取付態様の一例を模式的に示す斜視図。
【図6】同触覚インターフェイスに取り付けられた状態での鋏型道具ディバイスの開閉操作に伴う抵抗力の測定結果を示すグラフ。
【図7】同触覚インターフェイスに対するメス型道具ディバイスの取付態様の一例を模式的に示す斜視図。
【図8】同触覚インターフェイスに対する注射器型道具ディバイスの取付態様の一例を模式的に示す斜視図。
【図9】同触覚インターフェイスに取り付け可能な指フォルダの斜視図。
【図10】回転モーメントの提示機能の付与された指フォルダの変形例についてその側部断面構造を示す断面図。
【図11】物体を把持したときに指先に作用する回転モーメントの発生態様を示す斜視図。
【符号の説明】
【0062】
10…支柱、11…アームベース、12…アーム機構、13…アーム第1リンク、14…アーム第2リンク、15…肩関節部、16…肘関節部、17…手首関節部、18…外部制御装置(制御手段)、20…触覚指ベース、21…第1触覚指、22…第2触覚指、23…第3触覚指、24…第4触覚指、25…第5触覚指、26…指第1リンク、27…指第2リンク、28…指第1関節部、29…指第2関節部、30…3軸力センサ、31…永久磁石、32…球軸受け(受動球関節)、33,78…関節球(受動球関節)、40…鋏型道具ディバイス、41…刃部、42…握り部、43…支点部、44,45…刃、50…メス型道具ディバイス、60…注射器型道具ディバイス、61…シリンダ部、62…ピストン部、70…指フォルダ、71,75…フォルダ部、76…回転板、77…モータ(アクチュエータ)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アーム機構により空間移動される触覚指ベースと、その触覚指ベースに設けられて操作の入力及び力覚の出力にそれぞれ用いられる複数の触覚指と、を備える触覚インターフェイスにおいて、
操作態様の異なる複数種の道具ディバイスを備えるとともに、前記触覚指の先端にそれぞれ設けられた受け部に脱着自在に連結可能な装着ポイントをそれら道具ディバイスにそれぞれ設ける
ことを特徴とする触覚インターフェイス。
【請求項2】
前記装着ポイントは、前記受け部に対して回動可能に連結される
ことを特徴とする請求項1に記載の触覚インターフェイス。
【請求項3】
前記装着ポイントと前記受け部とが球関節を形成する
請求項1に記載の触覚インターフェイス。
【請求項4】
前記装着ポイントと前記受け部との連結が磁力によりなされる
請求項1〜3のいずれか1項に記載の触覚インターフェイス。
【請求項5】
前記道具ディバイスにあって、操作時に操作者の指先が当接される部分に、回転可能に軸支された回転板を設けるとともに、その回転板に回転トルクを付与するアクチュエータを設けた
ことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の触覚インターフェイス。
【請求項6】
アーム機構により空間移動される触覚指ベースと、その触覚指ベースに設けられて操作の入力及び力覚の出力にそれぞれ用いられる複数の触覚指と、前記触覚指の先端に設けられて操作者の指先を保持する指フォルダと、を備える触覚インターフェイスにおいて、
前記指フォルダの内部に保持された前記操作者の指先に当接され、且つ回転可能に軸支された回転板と、
その回転板に付与される回転トルクを発生させるアクチュエータと、
を備えることを特徴とする触覚インターフェイス。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1項に記載の触覚インターフェイスにおいて、
前記アーム機構を目標とする位置及び姿勢に駆動したときの前記触覚指の可操作性の大きさの指標値から、前記アーム機構を現状の位置及び姿勢から目標とする位置及び姿勢に駆動するための前記アーム機構の関節角度の変化度合の指標値を減算した値が最大となるように、前記アーム機構の位置及び姿勢の制御を行う制御手段を備える
ことを特徴とする触覚インターフェイス。
【請求項8】
アーム機構により空間移動される触覚指ベースと、その触覚指ベースに設けられて操作の入力及び力覚の出力にそれぞれ用いられる複数の触覚指と、を備える触覚インターフェイスにおいて、
前記アーム機構を目標とする位置及び姿勢に駆動したときの前記触覚指の可操作性の大きさの指標値から、前記アーム機構を現状の位置及び姿勢から目標とする位置及び姿勢に駆動するための前記アーム機構の関節角度の変化量の指標値を減算した値が最大となるように、前記アーム機構の位置及び姿勢の制御を行う制御手段を備える
ことを特徴とする触覚インターフェイス。
【請求項9】
アーム機構により空間移動される触覚指ベースと、その触覚指ベースに設けられて操作の入力及び力覚にそれぞれ用いられる複数の触覚指と、を備える触覚インターフェイスの制御を行う方法であって、
前記アーム機構を目標とする位置及び姿勢に駆動したときの前記触覚指の可操作性の大きさの指標値から、前記アーム機構を現状の位置及び姿勢から目標とする位置及び姿勢に駆動するための前記アーム機構の関節角度の変化量の指標値を減算した値が最大となるように、前記アーム機構の位置及び姿勢の制御目標を算出する
ことを特徴とする触覚インターフェイスの制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2007−316936(P2007−316936A)
【公開日】平成19年12月6日(2007.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−145689(P2006−145689)
【出願日】平成18年5月25日(2006.5.25)
【出願人】(304019399)国立大学法人岐阜大学 (289)
【出願人】(504331392)株式会社丸富精工 (11)
【出願人】(502000595)株式会社 ダイニチ (4)