言語選択方法、再生装置及び記録媒体
【課題】 DVD−VIDEOに記録されている音声や字幕の言語判別は、言語コードによって行っている。しかしながら、例えば全ての種類の中国語は、単一の言語として扱われるので、北京語と広東語の区別をすることができない。あらたな言語コードを設けると、全く別の言語として扱われるために、言語選択のアルゴリズムが複雑になり、適切に取り扱うことができない場合が多い。
【解決手段】 言語コードの他に、方言コードを設け、両方のコードを用いて言語判別を行う。方言コードが一致しない場合には、同一の言語コードの言語を選択する。
【解決手段】 言語コードの他に、方言コードを設け、両方のコードを用いて言語判別を行う。方言コードが一致しない場合には、同一の言語コードの言語を選択する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、再生装置および媒体に関するものであり、特に、映像とともに複数の字幕や音声が記録された記録媒体から所望の言語の字幕や音声を選択するための方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
光ディスクなどの記録媒体に、映画などのコンテンツを記録したいわゆるビデオディスクが広く普及している。代表的なものにDVD(Digital Versatile Disc)−Videoがある。これらビデオディスクを用いると、家庭でも容易に映画の再生を行うことができる。
【0003】
これらビデオディスクにおいては、映像とともに音声や字幕が記録されている。音声や字幕は、言語によって異なるため、複数の言語に対応した音声や字幕を記録しておき、ユーザーが必要に応じて選択を行うことができるようにすることが多い。
【0004】
映像とともに複数の異なる字幕を記録しておき、ユーザーが選択を行うよう構成された再生装置が、特許文献1に記載されている。
【0005】
【特許文献1】特開平9−231726号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記のような再生装置において、言語選択を行う場合に、以下のような問題点があった。
【0007】
例えば、中国語は“zh”という一つの言語コードで表されているために、北京語、広東語、上海語などの違いを区別することができないという欠点があった。すなわち、同一のディスク上に北京語と広東語を記録した場合、同一の言語が記録されていることになり、言語の選択処理において混乱が生じる。
【0008】
一方、これらを明確に区別するために、異なった言語コードを割り当てるということも可能であるが、この場合、異なった言語として扱われてしまうので、やはり問題が生じる。例えば、ディスク上に英語と北京語が記録されていて、ユーザーが広東語を指定していると、ユーザーの指定に一致する言語がないことになり、使い勝手の悪いものになる。
【0009】
上記のように、本発明の第1の目的は、同一の言語コードが割り当てられている言語の方言を容易に取り扱うことができるようにするとともに、言語の選択の手順を簡単にすることである。
【0010】
また、本発明の第2の目的は、言語選択に拡張を行った場合にも、従来の言語コードのみが記録されている記録媒体を再生した場合にも問題なく再生できる再生装置、ならびに従来の言語コードにのみ対応した再生装置でも問題なく再生できる記録媒体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の課題を解決するために本発明は、
複数の異なる言語に対応する情報から指定する言語に対応する情報を選択する際に、
それぞれの情報は情報言語コードと情報方言コードを持ち、
情報を選択するために選択言語コードと選択方言コードを設定し、
情報言語コードと選択言語コードが一致し、かつ、情報方言コードと選択方言コードが一致する情報が存在する場合には、双方の一致する情報を選択し、
情報言語コードと選択言語コードが一致し、かつ、情報方言コードと選択方言コードが一致する情報が存在しない場合で、情報言語コードと選択言語コードのみが一致する情報が存在する場合には、情報言語コードと選択言語コードのみが一致する情報を選択するように制御することを特徴とする情報選択方法を提供する。
【0012】
本発明にかかる言語選択方法においては、言語コードとともに方言コードを使用して言語選択を行うので、複数の異なる方言が存在する言語においても、それらを異なった言語として扱うことができる。
【0013】
また、言語コードと方言コードの両方を使用して言語の選択を行うので、方言の一致しない言語においても、言語コードの一致した言語を優先して選択することができるので、ユーザーの指定した言語により近い言語を選択することが容易である。
【発明の効果】
【0014】
本発明により、適切な言語を選択でき、使い勝手の向上した情報選択方法、再生装置及び記録媒体を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
図1に、本発明にかかる再生装置のブロック図を示す。図1中、101は光ディスク、102はピックアップ、103は再生信号処理回路、104は出力制御回路、105はサーボ部、106はドライブ制御部、107は音声デコーダ、108は音声出力端子、109は映像デコーダ、110は字幕合成部、111は字幕出力部、112は映像出力端子、113はシステム制御部、114はリモコン受信部である。
【0016】
図2は、言語コードの一例である。本発明の再生装置では、言語コードはISO−639で規定されている3文字の言語コードで示す。また、各言語について、その方言のコードも規定している。すなわち、中国語については、「標準語」「北京語」「広東語」「上海語」「福建語」「湖南語」「客家語」が定められており、それぞれ0から6番の方言コードが対応している。ここで、「方言」という表現を用いているが、これは、各言語における差異を表すものであり、日本語における「方言」とは若干意味合いが異なる。同様に、英語、フランス語などについても、それぞれの差異に基づいて、方言コードを設定する。ここで、各言語において標準的と思われる言語を、方言コードに0番に対応させる。
【0017】
再生装置では、再生を行う前の初期設定において、ユーザーが使用する言語を設定しておく。具体的には、ユーザーがリモコン(図示せず)の初期設定ボタンを押して初期設定指令を送信すると、リモコン受信部114が受信し、システム制御部113に初期設定指令が入力される。システム制御部113は、初期設定指令に応じて、字幕表示部111を利用して初期設定画面を表示する。
【0018】
ここで、ユーザーは、言語選択メニューを選択し、デフォルト設定とする使用言語を選択する。この時、図2の右列に示した言語を一覧として表示し、その中からユーザーが通常使用する言語を選択するように促せばよい。
【0019】
ユーザーによって選択された言語に対応した言語コードと方言コードは、システム制御部内の言語設定レジスターに設定される。この言語設定レジスターは、図3に示すような構造であり、全部で32ビットの長さである。このうち、上位8ビットには方言コードを設定し、下位24ビットには、3文字の言語コードを設定する。この言語設定レジスターは、再度設定を行わない限り、電源を切ってもその内容を保持することが望ましい。
【0020】
以上のようにして、再生装置で用いる言語コードの設定が行われる。
【0021】
次に、光ディスクの再生時の動作を以下に説明する。図4に、本発明にかかる光ディスクに記録されているファイルの構造を示す。
【0022】
図4中、401はDVRディレクトリ中のプレイリストの数やファイル名などの情報が書かれたinfo.dvrファイル、402はメニュー表示を行うプログラムを記録したmenu.java(登録商標)ファイル、403は映像の再生位置や順序およびマーク位置などの情報が記録されたプレイリストファイル、404はストリームファイル上の再生開始点とそのパケット位置などの情報を記録したクリップ情報、405は映像や音声などの情報パケットが記録されたストリームファイルである。
【0023】
ここで、ストリームファイル405について説明する。映像情報は、画像情報圧縮技術の一つであるMPEG2方式でデータ量が削減され、トランスポートストリーム形式に変換されて記録される。MPEG2は、NTSC形式の画像やハイビジョンに代表される高画質のHD画像に対しても優れたデータ量削減を行うことができ、原画像に対して1/10〜1/50程度にデータ量を削減することができる。例えば、NTSC形式の画像では6Mbps程度、HD画像でも20Mbps程度のデータ量で十分な画質を得ることができる。MPEG2による画像圧縮は、DVDをはじめとする画像蓄積や、デジタル放送などにも広く用いられている。
【0024】
ここでは、MPEG2形式を例にとって説明するが、もちろん他の画像圧縮方法を用いてデータを符号化しても差し支えない。
【0025】
映像と同様に、音声情報に関しても、音声圧縮技術を用いてデータ量圧縮を行う。音声圧縮技術には、MPEG1オーディオやBSデジタル放送で用いられるAAC形式など様々な圧縮技術がある。また、音声情報は映像情報に比べてデータ量が少ないため、圧縮を行わないリニアPCM形式でデータを記録することも可能である。
【0026】
図5にMPEG2方式のパケットの記録形式を示す。図5中、501はパケットヘッダー、502はMPEGパケット、503は同期バイト、504はパケットID、505はデータ記録領域である。
【0027】
前述のように、符号化された映像情報および音声情報などの各情報は、伝送や蓄積が容易とするため、トランスポートストリームとして多重化し、一つのストリームファイルとして記録する。映像情報、音声情報などの情報は、それぞれ188バイトのMPEGパケット形式に分割して伝送する。その際、各パケット先頭にはパケット識別のためのPID(パケットID)を含める。一連の情報には単一のPIDを付加することにより、再生時に容易にパケットの分別を行うことができる。188バイトのMPEGパケット形式のデータには、4バイトのパケットヘッダーを付加して192バイトの記録パケットする。パケットヘッダーのうち、30ビットに、パケットの伝送時刻を示す30ビットのタイムスタンプを記録する。パケットヘッダーを付加した記録パケットは、ストリームファイルとして光ディスク上に記録する。
【0028】
ここで、トランスポートストリームには、複数の音声を多重化することができる。すなわち、原語の音声の他に、日本語の吹き替え音声を記録したり、より音質の良い音声を多重化することも可能である。この場合、各音声毎に異なったPIDを付加することにより、多重化およびストリームからの分離が可能である。
【0029】
トランスポートストリームには、映像・音声のほか、字幕情報や図形情報、制御コマンドなどの各種情報パケットを多重化することができる。
【0030】
字幕情報は、表示を行う文字列をいわゆるHTMLやXML形式で記述したものを、MPEGパケットに変換したものである。字幕情報についても、言語に応じて複数の字幕情報を用意し、トランスポートストリームに多重化しておけばよい。もちろん、文字列の形式ではなく、文字を図形に変換してグラフィック形式のデータとして記録しておいても構わない。
【0031】
字幕情報も、音声ストリームと同様に、MPEGパケット形式に変換し、言語毎に異なったPIDを付加してトランスポートストリームに多重化することにより、容易に所望の言語の字幕情報を取り出すことができる。
【0032】
トランスポートストリームには、上記のストリームの他に、各PIDの関係を表したPMT(Program Map Table)やPAT(Program Allocation Table)、時刻情報を表すPCR(Program Clock Reference)などのパケットも多重化する。このようにして情報の多重化を行ったトランスポートストリームは、トランスポートストリームファイル405として光ディスク上に記録しておく。
【0033】
次に、クリップ情報ファイル404について説明する。前述のように、映像情報はMPEG2形式の画像圧縮を行った上で記録をしている。MPEG2形式では、連続した画像の相関性を用いてデータ量削減を行っている。具体的には、連続した画像間で変化のない部分の情報は再送せずに、直前の画像のデータをそのまま使用するような処理を行っている。そのため、変化分のみが符号化された画像データでは、そのデータから全画素の情報を復号できないという欠点がある。したがって、早送りやスキップ操作などで再生を開始できる画像は、全画素が符号化された画像のみである。
【0034】
一般的に、MPEG2形式での画像圧縮は、15枚程度の画像を組にして圧縮を行うことが多い。この画像の組をGOP(Group Of Pictures)と呼ぶ。このGOPの先頭から再生を行えば、即座に画像の再生を行うことができる。
【0035】
クリップ情報ファイルには、このGOP先端のパケット位置を、その画像の符号化時刻(Presentation Time Stampの値に対応)ととも記録しておく。これにより、サーチやスキップで再生を開始する位置が容易に検索できる。
【0036】
クリップ情報ファイルは、トランスポートストリームファイルと一対一に対応している。01000.m2tsというトランスポートストリームファイルに対応して、01000.clpiというクリップ情報ファイルを記録しておけば、ファイル間の対応が容易に識別できる。
【0037】
次に、プレイリストファイル403について説明する。プレイリストファイルは、トランスポートストリームファイルの再生順序を規定する情報が記録されたファイルである。プレイリストファイルには、再生を行うストリームファイルのファイル識別子、再生開始時刻、再生終了時刻などの情報の組がプレイアイテム情報として一組ないし複数組記録されている。
【0038】
また、プレイリストファイルには、各情報に対応したPIDと、そのPIDに対応したストリームエンコード情報、言語情報などが含まれている。
【0039】
図6にプレイリストファイル中の字幕情報のPIDと言語情報の関係を示すデータ構造を示す。length は当該情報のデータ長、ref_to_stream_PID は字幕情報のPIDである。stream_coding_type は情報の種類判別に用いる値であり、字幕情報では0x90とする。PG_language_code は、字幕の言語コードを示す値であり、ISO−639に定義された3文字の文字列である。PG_dialect_code は、字幕の方言コードである。
【0040】
図7は、プレイリストファイル中の音声情報のPIDと言語情報の関係を示すデータ構造を示す。length は当該情報のデータ長、ref_to_stream_PID は音声情報のPIDである。stream_coding_type は情報の種類判別に用いる値であり、音声情報では0x80とする。audio_language_code は、音声の言語コードを示す値であり、ISO−639に定義された3文字の文字列である。audio_dialect_code は、字幕の方言コードである。
【0041】
具体的なデータと言語コードの対応を図8に示す。字幕のストリームの数と言語コード、方言コード、ストリームのPIDが組にして記録されている。再生時には、これらの情報を用いて言語選択を行うことができる。音声情報の言語コードに関しても同様である。
【0042】
再生時には、まず、ユーザーが光ディスク101をセットし、リモコン(図示せず)を用いて再生開始指令を入力する。入力された再生開始指令は、リモコン受信部114を介してシステム制御部113に入力される。
【0043】
再生開始指令が入力されると、システム制御部113は、内蔵された再生プログラムの手順にしたがって、再生処理を行う。再生処理では、まず、光ディスク上のファイル管理情報を読み出して、ディスク上に記録されているファイルの情報を取得する。ここで、ファイル管理情報は、例えば、UDF(Universal Disc Format)で規定されるものを用いればよい。
【0044】
具体的には、システム制御部113は、ドライブ制御部106に対して、データ読み出し指令を発行し、ファイル管理情報の記録されているセクターのデータを読み出すよう指示する。ドライブ制御部106は、入力されたデータ読み出し指令にしたがい、指定されたセクターのデータを読み出すべく、サーボ部105を制御する。サーボ部は、ドライブ制御部からの制御に応じて、光ディスクの回転速度やピックアップの位置を制御する。ピックアップ102は、光ディスクにレーザ光を照射し、その反射光を検出することで、光ディスク上のデータの読み出しを行う。ピックアップ102で検出された反射光は、所定の増幅処理や復調処理が行われた後、再生信号処理回路103に入力される。再生信号処理回路は、ドライブ制御部からの制御にしたがい、ピックアップからの信号に所定の復調処理、誤り訂正処理などを施し、セクターデータとする。ドライブ制御部106は、再生信号処理回路103により準備されたセクターデータをシステム制御部113に出力する。以上の手順により、システム制御部により指定されたセクターのデータが光ディスクより読み出される。以降、データの読み出し手順は同一である。
【0045】
光ディスクから読み出されたファイル管理情報にしたがい、システム制御部は図4に示した各ファイルのファイル識別子(ファイル名)や記録セクター番号、データ長などの情報を得ることができる。
【0046】
光ディスク上のコンテンツを再生するために、まず、メニュー表示プログラム402が読み出され実行が行われる。メニュー表示プログラムは、光ディスク上に記録されているコンテンツの選択ができるようなメニューを表示するようにプログラムされている。
【0047】
具体的なメニュー表示プログラムの読み出し手順は、前述のセクターデータの読み出し手順で行い、メニュー表示プログラムにしたがって、メニュー表示動作を行う。ここで、メニュー表示プログラムは、いわゆるJava(登録商標)と呼ばれる汎用のプログラム言語で書かれているものとする。もちろん、これは限定されるものではなく、メニュー表示専用の言語により行われてもよいし、XMLやHTMLのような表示言語を用いてもよい。また、映像コンテンツを用いて表示を行ってもよい。
【0048】
ユーザーは、メニュー表示にしたがい、所望のコンテンツの選択を行う。ここで、各コンテンツはプレイリスト403に対応しており、ユーザーが選択したコンテンツに対応したプレイリスト403が読み出され、再生が行われる。
【0049】
システム制御部は、ユーザーが選択したコンテンツに対応するプレイリスト403を読み出し、内容の解析を行う。具体的には、プレイリストに含まれる各プレイアイテムの情報から、各ストリーム405の再生開始時刻および再生終了時刻を得る。一方で、音声情報および字幕情報の言語選択を行うために、音声パケットのPIDの選択、および字幕情報パケットのPIDの選択を行う。ここでは、字幕情報のPID選択を例に挙げて説明を行う。
【0050】
前述のように、再生を行うストリーム中には、複数の言語の字幕情報ストリームが含まれており、図8に示したように、それぞれ字幕データに対応した言語コードと方言コードがプレイリスト中に記載されている。システム制御部113は、ユーザーが設定した音声言語選択レジスター(図3)の値と、前記プレイリスト中の言語コードおよび方言コードを比較して、最適な音声ストリームの選択を行う。
【0051】
図9に、本発明にかかる字幕情報PIDの選択手順を示す。まず、言語選択が開始される(S1)と、システム制御部113は、ユーザーが言語設定レジスター(図3)に設定した指定の言語コードに対応した字幕ストリームがあるかどうかを判断する(S2)。
【0052】
ここで、ユーザーの指定した言語コードに対応した字幕ストリームが存在しない場合には、ユーザーの指定した言語に対応していないものとして、ストリーム情報中の最初に出現する音声ストリームを選択し(S3)、そのストリームのPIDを字幕情報選択用に用いる。
この場合、ユーザーの希望する言語に対応しないディスクである。すなわち、選択された言語をユーザーが理解できない可能性が高いので、必要に応じてユーザーに手動で言語切り替えを行うよう促す。これは、例えば、広東語を指定したが、中国語グループの言語が全く含まれない場合である。
【0053】
S2で、ユーザーの指定した言語が存在することが判断されると、次にユーザーの指定した方言コードと一致するストリームがあるかどうかを判断する(S4)。ここで、ユーザーの指定した方言コードと同じ方言コードを持つストリームが存在する場合には、ユーザーの指定した言語と一致したものであるため、この言語に対応したPIDを、字幕情報選択用に用いる(S5)。これは、広東語を指定し、広東語が存在する場合である。
【0054】
S4で、ユーザーの指定した方言コードに対応するストリームが存在しない場合、S6に進み、ユーザーが指定した言語コードで、かつ、方言コードが0番であるストリームが存在するかどうかを判断する。ここで、方言コード0番には、その言語グループで最も標準的に用いられている言語が指定されている。すなわち、ユーザーの指定の言語で、方言コードが0番のストリームは、ユーザーの指定した言語に近いものであるから、この言語に対応したストリームのPIDを字幕選択に用いる(S7)。これは、例えば、広東語を指定していたが、広東語がなく、北京語が存在する場合である。この場合、ユーザーが選択されたストリームの言語を理解できる可能性は極めて高い。
【0055】
S6で、再生ストリーム中にユーザーの指定した言語の標準的な言語がない場合、ユーザーが指定した言語コードに属する他の方言を選択し、その言語に対応したストリームのPIDを字幕選択に用いる。具体的には、広東語を指定したが、広東語、北京語ともになく、上海語が存在するような場合である。この場合、同じ言語グループなので、ユーザーが理解できる可能性が比較的高い。
【0056】
以上のような手順により、ユーザーの指定した言語に近い字幕のPIDが選択され、再生に用いられる。
【0057】
同様な手順により、音声パケットのPIDも決定される。ここでは、言語設定レジスターは一つだけ設けているが、これは限定されるものではなく、字幕言語設定レジスターと音声言語設定レジスターを別々に設けることにより、それぞれ別の言語を選択させることも可能である。また、音声をユーザーの指定した言語を選択した場合、字幕を表示しないようにしてもよく、字幕をユーザーの指定した言語を選択した場合、音声はユーザー指定の言語とは異なるものとしてもよい。
【0058】
システム制御部113は、上記の手順により選択された音声ストリームのPID、字幕情報ストリームのPIDを出力制御部104に設定する。また、プレイリスト中に記録されている映像ストリームのPIDも出力制御部104に設定する。
【0059】
それぞれのストリームのPIDを出力制御部に設定した後、ストリームファイルの再生を開始する。具体的には、システム制御部113がドライブ制御部106に対して、プレイリストに含まれる各プレイアイテムに対応したストリームの再生を指示する。プレイアイテムには、再生を行うストリームファイルのファイル名や再生開始時刻、再生終了時刻が記載されており、この情報に基づいて再生が行われる。さらに、再生開始時刻、再生終了時刻は、クリップ情報ファイル404を用いて、時刻情報からパケット番号に変換され、再生を開始するMPEGストリームファイル405のパケット番号やセクター番号を求める。
【0060】
システム制御部113は、プレイリストファイル403およびクリップ情報ファイル404から求めたMPEGストリームファイル405のファイル名、セクター番号、パケット番号などの情報から、光ディスク上の再生セクターを求め、ドライブ制御部106にデータの再生を指示する。
【0061】
ドライブ制御部106は、指定されたセクター番号のデータの再生を行い、再生したデータを出力制御部104に出力する。ここで、MPEGストリームファイル405は、MEPGパケットを連続して記録したものであるが、188バイトのMPEGパケットには、図5に示したように、4バイトのパケットヘッダーが付加されている。このうち、30ビットをパケットの出力時刻を制御するタイムスタンプとして利用することにより、パケットの出力タイミングを制御する。
【0062】
具体的には、各パケットを記録する際に、27MHzでカウントした30ビットのカウンターの値をタイムスタンプとして、パケットヘッダーに記録しておく。再生時には、同様に27MHzの30ビットカウンターを用意し、カウンターの値と、パケットヘッダー内のタイムスタンプの値とを比較して、一致した時点でパケットの出力を行う。これにより、記録時のパケット間隔と同じタイミングで、出力制御部からパケットの出力を行うことができる。
【0063】
出力制御部104は、上記の出力タイミングの制御に加えて、各パケットの出力の可否の判断を行う。
【0064】
MEPGストリームファイル405には、映像パケットの他、複数種類の音声パケット、複数種類の字幕情報パケットなどが多重化されている。出力制御部104には、前述の言語選択手順で選択された音声パケットのPID、字幕情報パケットのPID、映像パケットのPIDがセットされているので、各PIDにしたがって、出力するパケットの選択を行う。すなわち、音声パケットのPIDに一致したパケットのみを音声デコーダ107に出力し、字幕情報パケットのPIDに一致したパケットのみを字幕出力部111に出力する。映像パケットのPIDに一致したパケットは、映像デコーダ109に出力される。
【0065】
音声デコーダ108は、入力された音声パケットに含まれる音声データをデコードし、音声信号に変換して音声信号出力端子108に出力する。同様に、映像デコーダ109は、入力された映像パケットに含まれる映像信号をデコードし、映像信号に変換して、字幕合成部110に出力する。字幕出力部111は、字幕情報パケットに含まれる字幕情報にしたがい、映像信号の形式で字幕情報を、字幕合成部110に出力する。字幕合成部110は、映像デコーダ109から出力された映像信号と、字幕出力部111から出力された字幕情報である映像信号とを合成し、字幕が合成された映像信号として、映像信号出力端子112に、出力を行う。
【0066】
上記の手順により、光ディスク上から再生された各データがデコードされ、字幕を含んだ映像信号と、音声信号が再生装置から出力される。このとき、ユーザーが指定した言語に対応し、音声および字幕として、最も適当な言語が選択される。
【0067】
以上、本発明にかかる再生装置における再生手順を説明した。
【0068】
なお、上記実施例では、記録媒体として光ディスクを例に取り説明したがこれは限定されるものではない。例えば、ハードディスクドライブのような磁気ディスク装置や半導体メモリのような記録媒体を用いてもよい。さらには、記録媒体の代わりに放送を受信するチューナを用いた場合にも同様にして言語選択を行うことができる。本発明の目的は言語選択において最適な言語を選択するように制御することにあり、言語選択処理を行うデータの再生手段に関係なく適応が可能である。
【0069】
次に、本発明にかかる光ディスクを、従来の再生装置で再生を行った場合の動作を以下に説明する。図10は、従来の再生装置における言語設定レジスターの構造である。
【0070】
従来の再生装置では、図3に示した本発明の言語設定レジスターとは異なり、上位8ビットを使用していない。すなわち、下位24ビットのみを使用して、言語選択を行う。
【0071】
ユーザーによる言語選択の結果、下位24ビットのレジスターには、ISO−639で指定される3文字の言語コードが設定される。上位8ビットは未使用なので、0が設定される。
【0072】
ディスク再生時には、プレイリスト403中のストリーム情報から、方言コードを除く情報が取得される。従来の再生装置では、方言コードを取り扱うことはできないので、方言コードの情報は、単に無視される。
【0073】
従来の再生装置における言語選択の手順を図11に示す。ここで、光ディスクに記録されているストリーム情報は、図8に示したものであるとする。
【0074】
図11に示したフローチャートにおいて、言語選択が開始される(S1)と、ユーザー指定の言語コードに対応した言語があるかどうかが判断される(S2)。ここで、ユーザーの指定した言語コードに対応した言語がストリーム情報中になかった場合(S3)、ストリーム情報中に現れる最初の言語を選択し、そのPIDをストリーム選択に使用する。一方、ユーザーの指定した言語コードの言語が存在した場合、ユーザーの指定した言語を選択し、そのPIDをストリーム選択に使用する(S10)。
【0075】
以上の手順により言語選択が行われる。
【0076】
従来の再生装置では、ユーザーが広東語を使用したい場合でも、言語選択に「広東語」はなく、「中国語」の選択肢があるだけである。したがって、ユーザーは仕方なく中国語を選択する。再生装置は、言語設定レジスター(図10)に中国語が設定されているので、ストリーム情報中から順番に中国語のストリームを探し、図8におけるストリーム番号4の「北京語」を選択する。このように、従来の再生装置で、本発明の光ディスクを再生した場合にも、自動である程度選択を行うことができる。もちろん、ユーザーは、必要に応じて手動でストリームを切り替えることもできるので、広東語で視聴を行うことも可能である。
【0077】
以上のように、本発明による光ディスクを従来の再生装置で再生しても何ら問題は生じない。
【0078】
次に、本発明にかかる再生装置で、方言コードを含まない、従来の光ディスクを再生した場合の動作を説明する。本発明にかかる再生装置では、図9に示した手順で言語選択が行われる。
【0079】
従来の光ディスクにおいては、複数の同一言語を含まないので、図12に示したように、中国語であれば、北京語のみが記録されている。なお、従来の光ディスクでは、方言コードの情報が含まれていないので、方言コードは0として扱う。
【0080】
図9のフローチャートにおいて、ユーザーが広東語を設定している場合には、北京語が、S2でユーザーの設定した言語コードと一致するので、S4に進む。S4において、ユーザーが指定している言語は、方言コードが設定されているが、光ディスク上に記録されている字幕情報には、方言コードが設定されていないので、方言コードが一致せず、S6に進む。S6において、光ディスク上に記録されている字幕情報には、方言コードが設定されていないので、0番として扱い、S7に進む。すなわち、北京語が選択され、字幕表示に使用される。これは、ユーザーが言語設定に中国語を選択した場合と同一の動作であり、最も最適な言語を選択したことになる。
【0081】
もちろん、従来の光ディスクが挿入されたことを判断した場合には、図11で示した言語選択手順に切り替えて処理を行うように構成しても同様に実現が可能である。
【0082】
以上説明したように、本発明にかかる言語選択方法を用いれば、光ディスク上に、従来同一言語として扱われていた複数の方言の言語を記録することができ、かつ、最も最適な言語を選択することが可能となる。また、本発明にかかる再生装置では、従来の方式に対応した光ディスクを再生した場合にも、最適な言語選択を行うことができる。さらには、本発明にかかる光ディスクを、従来の再生装置で再生した場合にも、従来の光ディスクと同等に取り扱うことができる。
【0083】
なお、上記実施例では、ユーザーが初期設定時に使用言語を設定するようにしていたが、これは限定されるものではない。例えば、再生開始時に、ストリーム中の含まれる言語コードと方言コードを取得し、これらの情報から言語名へと変換することで、光ディスク上に記録されている言語の一覧を表示することができる。具体的には、図8に示したストリームPIDのリストから、図2の表を用いて言語名へと変換すればよい。
【0084】
また、言語の設定においては、ユーザー識別のために用いられるICカードなどから言語情報を取得し、これをユーザーの使用言語として設定することもできる。これによりユーザーが言語設定を意識することなく、自動的に使用言語が設定され、本発明にかかる情報選択方法により言語が選択されるため、使い勝手のよい再生装置を提供することができる。
【0085】
また、上記実施例における記録媒体を生産する方法や、記録媒体に情報を記録する方法も本発明の一つである。
【図面の簡単な説明】
【0086】
【図1】再生装置のブロック図
【図2】言語と言語コード方言コードの対応例
【図3】言語設定レジスターの構造
【図4】光ディスク上のファイル構造
【図5】MPEGパケットの構造
【図6】字幕情報のPIDと言語コード方言コードの記録構造
【図7】音声情報のPIDと言語コード方言コードの記録構造
【図8】ストリームのPIDと言語コードとの対応
【図9】言語選択手順を示すフローチャート
【図10】従来の言語設定レジスターの構造
【図11】従来の言語選択手順を示すフローチャート
【図12】従来のストリームのPIDと言語コードの記録例
【符号の説明】
【0087】
101…光ディスク、102…光ピックアップ、103…再生信号処理回路、104…出力制御部、105…サーボ、106…ドライブ制御部、107…音声デコーダ、108…音声出力端子、109…映像デコーダ、110…映像合成部、111…字幕出力部、112…映像出力端子、113…システム制御部、114…リモコン受信部、401…ディスク情報ファイル、402…メニュー表示プログラムファイル、403…プレイリストファイル、404…クリップ情報ファイル、405…ストリームファイル、501…パケットヘッダー、502…MPEGパケット、503…同期バイト、504…PID、505…データ記録領域、S1…開始ステップ、S2…言語コード判別ステップ、S3…言語不一致ストリーム選択ステップ、S4…方言コード一致判別ステップ、S5…方言コード一致ストリーム選択ステップ、S6…方言コード0番判別ステップ、S7…方言コード0番ストリーム選択ステップ、S8…言語コード一致ストリーム選択ステップ
【技術分野】
【0001】
本発明は、再生装置および媒体に関するものであり、特に、映像とともに複数の字幕や音声が記録された記録媒体から所望の言語の字幕や音声を選択するための方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
光ディスクなどの記録媒体に、映画などのコンテンツを記録したいわゆるビデオディスクが広く普及している。代表的なものにDVD(Digital Versatile Disc)−Videoがある。これらビデオディスクを用いると、家庭でも容易に映画の再生を行うことができる。
【0003】
これらビデオディスクにおいては、映像とともに音声や字幕が記録されている。音声や字幕は、言語によって異なるため、複数の言語に対応した音声や字幕を記録しておき、ユーザーが必要に応じて選択を行うことができるようにすることが多い。
【0004】
映像とともに複数の異なる字幕を記録しておき、ユーザーが選択を行うよう構成された再生装置が、特許文献1に記載されている。
【0005】
【特許文献1】特開平9−231726号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記のような再生装置において、言語選択を行う場合に、以下のような問題点があった。
【0007】
例えば、中国語は“zh”という一つの言語コードで表されているために、北京語、広東語、上海語などの違いを区別することができないという欠点があった。すなわち、同一のディスク上に北京語と広東語を記録した場合、同一の言語が記録されていることになり、言語の選択処理において混乱が生じる。
【0008】
一方、これらを明確に区別するために、異なった言語コードを割り当てるということも可能であるが、この場合、異なった言語として扱われてしまうので、やはり問題が生じる。例えば、ディスク上に英語と北京語が記録されていて、ユーザーが広東語を指定していると、ユーザーの指定に一致する言語がないことになり、使い勝手の悪いものになる。
【0009】
上記のように、本発明の第1の目的は、同一の言語コードが割り当てられている言語の方言を容易に取り扱うことができるようにするとともに、言語の選択の手順を簡単にすることである。
【0010】
また、本発明の第2の目的は、言語選択に拡張を行った場合にも、従来の言語コードのみが記録されている記録媒体を再生した場合にも問題なく再生できる再生装置、ならびに従来の言語コードにのみ対応した再生装置でも問題なく再生できる記録媒体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の課題を解決するために本発明は、
複数の異なる言語に対応する情報から指定する言語に対応する情報を選択する際に、
それぞれの情報は情報言語コードと情報方言コードを持ち、
情報を選択するために選択言語コードと選択方言コードを設定し、
情報言語コードと選択言語コードが一致し、かつ、情報方言コードと選択方言コードが一致する情報が存在する場合には、双方の一致する情報を選択し、
情報言語コードと選択言語コードが一致し、かつ、情報方言コードと選択方言コードが一致する情報が存在しない場合で、情報言語コードと選択言語コードのみが一致する情報が存在する場合には、情報言語コードと選択言語コードのみが一致する情報を選択するように制御することを特徴とする情報選択方法を提供する。
【0012】
本発明にかかる言語選択方法においては、言語コードとともに方言コードを使用して言語選択を行うので、複数の異なる方言が存在する言語においても、それらを異なった言語として扱うことができる。
【0013】
また、言語コードと方言コードの両方を使用して言語の選択を行うので、方言の一致しない言語においても、言語コードの一致した言語を優先して選択することができるので、ユーザーの指定した言語により近い言語を選択することが容易である。
【発明の効果】
【0014】
本発明により、適切な言語を選択でき、使い勝手の向上した情報選択方法、再生装置及び記録媒体を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
図1に、本発明にかかる再生装置のブロック図を示す。図1中、101は光ディスク、102はピックアップ、103は再生信号処理回路、104は出力制御回路、105はサーボ部、106はドライブ制御部、107は音声デコーダ、108は音声出力端子、109は映像デコーダ、110は字幕合成部、111は字幕出力部、112は映像出力端子、113はシステム制御部、114はリモコン受信部である。
【0016】
図2は、言語コードの一例である。本発明の再生装置では、言語コードはISO−639で規定されている3文字の言語コードで示す。また、各言語について、その方言のコードも規定している。すなわち、中国語については、「標準語」「北京語」「広東語」「上海語」「福建語」「湖南語」「客家語」が定められており、それぞれ0から6番の方言コードが対応している。ここで、「方言」という表現を用いているが、これは、各言語における差異を表すものであり、日本語における「方言」とは若干意味合いが異なる。同様に、英語、フランス語などについても、それぞれの差異に基づいて、方言コードを設定する。ここで、各言語において標準的と思われる言語を、方言コードに0番に対応させる。
【0017】
再生装置では、再生を行う前の初期設定において、ユーザーが使用する言語を設定しておく。具体的には、ユーザーがリモコン(図示せず)の初期設定ボタンを押して初期設定指令を送信すると、リモコン受信部114が受信し、システム制御部113に初期設定指令が入力される。システム制御部113は、初期設定指令に応じて、字幕表示部111を利用して初期設定画面を表示する。
【0018】
ここで、ユーザーは、言語選択メニューを選択し、デフォルト設定とする使用言語を選択する。この時、図2の右列に示した言語を一覧として表示し、その中からユーザーが通常使用する言語を選択するように促せばよい。
【0019】
ユーザーによって選択された言語に対応した言語コードと方言コードは、システム制御部内の言語設定レジスターに設定される。この言語設定レジスターは、図3に示すような構造であり、全部で32ビットの長さである。このうち、上位8ビットには方言コードを設定し、下位24ビットには、3文字の言語コードを設定する。この言語設定レジスターは、再度設定を行わない限り、電源を切ってもその内容を保持することが望ましい。
【0020】
以上のようにして、再生装置で用いる言語コードの設定が行われる。
【0021】
次に、光ディスクの再生時の動作を以下に説明する。図4に、本発明にかかる光ディスクに記録されているファイルの構造を示す。
【0022】
図4中、401はDVRディレクトリ中のプレイリストの数やファイル名などの情報が書かれたinfo.dvrファイル、402はメニュー表示を行うプログラムを記録したmenu.java(登録商標)ファイル、403は映像の再生位置や順序およびマーク位置などの情報が記録されたプレイリストファイル、404はストリームファイル上の再生開始点とそのパケット位置などの情報を記録したクリップ情報、405は映像や音声などの情報パケットが記録されたストリームファイルである。
【0023】
ここで、ストリームファイル405について説明する。映像情報は、画像情報圧縮技術の一つであるMPEG2方式でデータ量が削減され、トランスポートストリーム形式に変換されて記録される。MPEG2は、NTSC形式の画像やハイビジョンに代表される高画質のHD画像に対しても優れたデータ量削減を行うことができ、原画像に対して1/10〜1/50程度にデータ量を削減することができる。例えば、NTSC形式の画像では6Mbps程度、HD画像でも20Mbps程度のデータ量で十分な画質を得ることができる。MPEG2による画像圧縮は、DVDをはじめとする画像蓄積や、デジタル放送などにも広く用いられている。
【0024】
ここでは、MPEG2形式を例にとって説明するが、もちろん他の画像圧縮方法を用いてデータを符号化しても差し支えない。
【0025】
映像と同様に、音声情報に関しても、音声圧縮技術を用いてデータ量圧縮を行う。音声圧縮技術には、MPEG1オーディオやBSデジタル放送で用いられるAAC形式など様々な圧縮技術がある。また、音声情報は映像情報に比べてデータ量が少ないため、圧縮を行わないリニアPCM形式でデータを記録することも可能である。
【0026】
図5にMPEG2方式のパケットの記録形式を示す。図5中、501はパケットヘッダー、502はMPEGパケット、503は同期バイト、504はパケットID、505はデータ記録領域である。
【0027】
前述のように、符号化された映像情報および音声情報などの各情報は、伝送や蓄積が容易とするため、トランスポートストリームとして多重化し、一つのストリームファイルとして記録する。映像情報、音声情報などの情報は、それぞれ188バイトのMPEGパケット形式に分割して伝送する。その際、各パケット先頭にはパケット識別のためのPID(パケットID)を含める。一連の情報には単一のPIDを付加することにより、再生時に容易にパケットの分別を行うことができる。188バイトのMPEGパケット形式のデータには、4バイトのパケットヘッダーを付加して192バイトの記録パケットする。パケットヘッダーのうち、30ビットに、パケットの伝送時刻を示す30ビットのタイムスタンプを記録する。パケットヘッダーを付加した記録パケットは、ストリームファイルとして光ディスク上に記録する。
【0028】
ここで、トランスポートストリームには、複数の音声を多重化することができる。すなわち、原語の音声の他に、日本語の吹き替え音声を記録したり、より音質の良い音声を多重化することも可能である。この場合、各音声毎に異なったPIDを付加することにより、多重化およびストリームからの分離が可能である。
【0029】
トランスポートストリームには、映像・音声のほか、字幕情報や図形情報、制御コマンドなどの各種情報パケットを多重化することができる。
【0030】
字幕情報は、表示を行う文字列をいわゆるHTMLやXML形式で記述したものを、MPEGパケットに変換したものである。字幕情報についても、言語に応じて複数の字幕情報を用意し、トランスポートストリームに多重化しておけばよい。もちろん、文字列の形式ではなく、文字を図形に変換してグラフィック形式のデータとして記録しておいても構わない。
【0031】
字幕情報も、音声ストリームと同様に、MPEGパケット形式に変換し、言語毎に異なったPIDを付加してトランスポートストリームに多重化することにより、容易に所望の言語の字幕情報を取り出すことができる。
【0032】
トランスポートストリームには、上記のストリームの他に、各PIDの関係を表したPMT(Program Map Table)やPAT(Program Allocation Table)、時刻情報を表すPCR(Program Clock Reference)などのパケットも多重化する。このようにして情報の多重化を行ったトランスポートストリームは、トランスポートストリームファイル405として光ディスク上に記録しておく。
【0033】
次に、クリップ情報ファイル404について説明する。前述のように、映像情報はMPEG2形式の画像圧縮を行った上で記録をしている。MPEG2形式では、連続した画像の相関性を用いてデータ量削減を行っている。具体的には、連続した画像間で変化のない部分の情報は再送せずに、直前の画像のデータをそのまま使用するような処理を行っている。そのため、変化分のみが符号化された画像データでは、そのデータから全画素の情報を復号できないという欠点がある。したがって、早送りやスキップ操作などで再生を開始できる画像は、全画素が符号化された画像のみである。
【0034】
一般的に、MPEG2形式での画像圧縮は、15枚程度の画像を組にして圧縮を行うことが多い。この画像の組をGOP(Group Of Pictures)と呼ぶ。このGOPの先頭から再生を行えば、即座に画像の再生を行うことができる。
【0035】
クリップ情報ファイルには、このGOP先端のパケット位置を、その画像の符号化時刻(Presentation Time Stampの値に対応)ととも記録しておく。これにより、サーチやスキップで再生を開始する位置が容易に検索できる。
【0036】
クリップ情報ファイルは、トランスポートストリームファイルと一対一に対応している。01000.m2tsというトランスポートストリームファイルに対応して、01000.clpiというクリップ情報ファイルを記録しておけば、ファイル間の対応が容易に識別できる。
【0037】
次に、プレイリストファイル403について説明する。プレイリストファイルは、トランスポートストリームファイルの再生順序を規定する情報が記録されたファイルである。プレイリストファイルには、再生を行うストリームファイルのファイル識別子、再生開始時刻、再生終了時刻などの情報の組がプレイアイテム情報として一組ないし複数組記録されている。
【0038】
また、プレイリストファイルには、各情報に対応したPIDと、そのPIDに対応したストリームエンコード情報、言語情報などが含まれている。
【0039】
図6にプレイリストファイル中の字幕情報のPIDと言語情報の関係を示すデータ構造を示す。length は当該情報のデータ長、ref_to_stream_PID は字幕情報のPIDである。stream_coding_type は情報の種類判別に用いる値であり、字幕情報では0x90とする。PG_language_code は、字幕の言語コードを示す値であり、ISO−639に定義された3文字の文字列である。PG_dialect_code は、字幕の方言コードである。
【0040】
図7は、プレイリストファイル中の音声情報のPIDと言語情報の関係を示すデータ構造を示す。length は当該情報のデータ長、ref_to_stream_PID は音声情報のPIDである。stream_coding_type は情報の種類判別に用いる値であり、音声情報では0x80とする。audio_language_code は、音声の言語コードを示す値であり、ISO−639に定義された3文字の文字列である。audio_dialect_code は、字幕の方言コードである。
【0041】
具体的なデータと言語コードの対応を図8に示す。字幕のストリームの数と言語コード、方言コード、ストリームのPIDが組にして記録されている。再生時には、これらの情報を用いて言語選択を行うことができる。音声情報の言語コードに関しても同様である。
【0042】
再生時には、まず、ユーザーが光ディスク101をセットし、リモコン(図示せず)を用いて再生開始指令を入力する。入力された再生開始指令は、リモコン受信部114を介してシステム制御部113に入力される。
【0043】
再生開始指令が入力されると、システム制御部113は、内蔵された再生プログラムの手順にしたがって、再生処理を行う。再生処理では、まず、光ディスク上のファイル管理情報を読み出して、ディスク上に記録されているファイルの情報を取得する。ここで、ファイル管理情報は、例えば、UDF(Universal Disc Format)で規定されるものを用いればよい。
【0044】
具体的には、システム制御部113は、ドライブ制御部106に対して、データ読み出し指令を発行し、ファイル管理情報の記録されているセクターのデータを読み出すよう指示する。ドライブ制御部106は、入力されたデータ読み出し指令にしたがい、指定されたセクターのデータを読み出すべく、サーボ部105を制御する。サーボ部は、ドライブ制御部からの制御に応じて、光ディスクの回転速度やピックアップの位置を制御する。ピックアップ102は、光ディスクにレーザ光を照射し、その反射光を検出することで、光ディスク上のデータの読み出しを行う。ピックアップ102で検出された反射光は、所定の増幅処理や復調処理が行われた後、再生信号処理回路103に入力される。再生信号処理回路は、ドライブ制御部からの制御にしたがい、ピックアップからの信号に所定の復調処理、誤り訂正処理などを施し、セクターデータとする。ドライブ制御部106は、再生信号処理回路103により準備されたセクターデータをシステム制御部113に出力する。以上の手順により、システム制御部により指定されたセクターのデータが光ディスクより読み出される。以降、データの読み出し手順は同一である。
【0045】
光ディスクから読み出されたファイル管理情報にしたがい、システム制御部は図4に示した各ファイルのファイル識別子(ファイル名)や記録セクター番号、データ長などの情報を得ることができる。
【0046】
光ディスク上のコンテンツを再生するために、まず、メニュー表示プログラム402が読み出され実行が行われる。メニュー表示プログラムは、光ディスク上に記録されているコンテンツの選択ができるようなメニューを表示するようにプログラムされている。
【0047】
具体的なメニュー表示プログラムの読み出し手順は、前述のセクターデータの読み出し手順で行い、メニュー表示プログラムにしたがって、メニュー表示動作を行う。ここで、メニュー表示プログラムは、いわゆるJava(登録商標)と呼ばれる汎用のプログラム言語で書かれているものとする。もちろん、これは限定されるものではなく、メニュー表示専用の言語により行われてもよいし、XMLやHTMLのような表示言語を用いてもよい。また、映像コンテンツを用いて表示を行ってもよい。
【0048】
ユーザーは、メニュー表示にしたがい、所望のコンテンツの選択を行う。ここで、各コンテンツはプレイリスト403に対応しており、ユーザーが選択したコンテンツに対応したプレイリスト403が読み出され、再生が行われる。
【0049】
システム制御部は、ユーザーが選択したコンテンツに対応するプレイリスト403を読み出し、内容の解析を行う。具体的には、プレイリストに含まれる各プレイアイテムの情報から、各ストリーム405の再生開始時刻および再生終了時刻を得る。一方で、音声情報および字幕情報の言語選択を行うために、音声パケットのPIDの選択、および字幕情報パケットのPIDの選択を行う。ここでは、字幕情報のPID選択を例に挙げて説明を行う。
【0050】
前述のように、再生を行うストリーム中には、複数の言語の字幕情報ストリームが含まれており、図8に示したように、それぞれ字幕データに対応した言語コードと方言コードがプレイリスト中に記載されている。システム制御部113は、ユーザーが設定した音声言語選択レジスター(図3)の値と、前記プレイリスト中の言語コードおよび方言コードを比較して、最適な音声ストリームの選択を行う。
【0051】
図9に、本発明にかかる字幕情報PIDの選択手順を示す。まず、言語選択が開始される(S1)と、システム制御部113は、ユーザーが言語設定レジスター(図3)に設定した指定の言語コードに対応した字幕ストリームがあるかどうかを判断する(S2)。
【0052】
ここで、ユーザーの指定した言語コードに対応した字幕ストリームが存在しない場合には、ユーザーの指定した言語に対応していないものとして、ストリーム情報中の最初に出現する音声ストリームを選択し(S3)、そのストリームのPIDを字幕情報選択用に用いる。
この場合、ユーザーの希望する言語に対応しないディスクである。すなわち、選択された言語をユーザーが理解できない可能性が高いので、必要に応じてユーザーに手動で言語切り替えを行うよう促す。これは、例えば、広東語を指定したが、中国語グループの言語が全く含まれない場合である。
【0053】
S2で、ユーザーの指定した言語が存在することが判断されると、次にユーザーの指定した方言コードと一致するストリームがあるかどうかを判断する(S4)。ここで、ユーザーの指定した方言コードと同じ方言コードを持つストリームが存在する場合には、ユーザーの指定した言語と一致したものであるため、この言語に対応したPIDを、字幕情報選択用に用いる(S5)。これは、広東語を指定し、広東語が存在する場合である。
【0054】
S4で、ユーザーの指定した方言コードに対応するストリームが存在しない場合、S6に進み、ユーザーが指定した言語コードで、かつ、方言コードが0番であるストリームが存在するかどうかを判断する。ここで、方言コード0番には、その言語グループで最も標準的に用いられている言語が指定されている。すなわち、ユーザーの指定の言語で、方言コードが0番のストリームは、ユーザーの指定した言語に近いものであるから、この言語に対応したストリームのPIDを字幕選択に用いる(S7)。これは、例えば、広東語を指定していたが、広東語がなく、北京語が存在する場合である。この場合、ユーザーが選択されたストリームの言語を理解できる可能性は極めて高い。
【0055】
S6で、再生ストリーム中にユーザーの指定した言語の標準的な言語がない場合、ユーザーが指定した言語コードに属する他の方言を選択し、その言語に対応したストリームのPIDを字幕選択に用いる。具体的には、広東語を指定したが、広東語、北京語ともになく、上海語が存在するような場合である。この場合、同じ言語グループなので、ユーザーが理解できる可能性が比較的高い。
【0056】
以上のような手順により、ユーザーの指定した言語に近い字幕のPIDが選択され、再生に用いられる。
【0057】
同様な手順により、音声パケットのPIDも決定される。ここでは、言語設定レジスターは一つだけ設けているが、これは限定されるものではなく、字幕言語設定レジスターと音声言語設定レジスターを別々に設けることにより、それぞれ別の言語を選択させることも可能である。また、音声をユーザーの指定した言語を選択した場合、字幕を表示しないようにしてもよく、字幕をユーザーの指定した言語を選択した場合、音声はユーザー指定の言語とは異なるものとしてもよい。
【0058】
システム制御部113は、上記の手順により選択された音声ストリームのPID、字幕情報ストリームのPIDを出力制御部104に設定する。また、プレイリスト中に記録されている映像ストリームのPIDも出力制御部104に設定する。
【0059】
それぞれのストリームのPIDを出力制御部に設定した後、ストリームファイルの再生を開始する。具体的には、システム制御部113がドライブ制御部106に対して、プレイリストに含まれる各プレイアイテムに対応したストリームの再生を指示する。プレイアイテムには、再生を行うストリームファイルのファイル名や再生開始時刻、再生終了時刻が記載されており、この情報に基づいて再生が行われる。さらに、再生開始時刻、再生終了時刻は、クリップ情報ファイル404を用いて、時刻情報からパケット番号に変換され、再生を開始するMPEGストリームファイル405のパケット番号やセクター番号を求める。
【0060】
システム制御部113は、プレイリストファイル403およびクリップ情報ファイル404から求めたMPEGストリームファイル405のファイル名、セクター番号、パケット番号などの情報から、光ディスク上の再生セクターを求め、ドライブ制御部106にデータの再生を指示する。
【0061】
ドライブ制御部106は、指定されたセクター番号のデータの再生を行い、再生したデータを出力制御部104に出力する。ここで、MPEGストリームファイル405は、MEPGパケットを連続して記録したものであるが、188バイトのMPEGパケットには、図5に示したように、4バイトのパケットヘッダーが付加されている。このうち、30ビットをパケットの出力時刻を制御するタイムスタンプとして利用することにより、パケットの出力タイミングを制御する。
【0062】
具体的には、各パケットを記録する際に、27MHzでカウントした30ビットのカウンターの値をタイムスタンプとして、パケットヘッダーに記録しておく。再生時には、同様に27MHzの30ビットカウンターを用意し、カウンターの値と、パケットヘッダー内のタイムスタンプの値とを比較して、一致した時点でパケットの出力を行う。これにより、記録時のパケット間隔と同じタイミングで、出力制御部からパケットの出力を行うことができる。
【0063】
出力制御部104は、上記の出力タイミングの制御に加えて、各パケットの出力の可否の判断を行う。
【0064】
MEPGストリームファイル405には、映像パケットの他、複数種類の音声パケット、複数種類の字幕情報パケットなどが多重化されている。出力制御部104には、前述の言語選択手順で選択された音声パケットのPID、字幕情報パケットのPID、映像パケットのPIDがセットされているので、各PIDにしたがって、出力するパケットの選択を行う。すなわち、音声パケットのPIDに一致したパケットのみを音声デコーダ107に出力し、字幕情報パケットのPIDに一致したパケットのみを字幕出力部111に出力する。映像パケットのPIDに一致したパケットは、映像デコーダ109に出力される。
【0065】
音声デコーダ108は、入力された音声パケットに含まれる音声データをデコードし、音声信号に変換して音声信号出力端子108に出力する。同様に、映像デコーダ109は、入力された映像パケットに含まれる映像信号をデコードし、映像信号に変換して、字幕合成部110に出力する。字幕出力部111は、字幕情報パケットに含まれる字幕情報にしたがい、映像信号の形式で字幕情報を、字幕合成部110に出力する。字幕合成部110は、映像デコーダ109から出力された映像信号と、字幕出力部111から出力された字幕情報である映像信号とを合成し、字幕が合成された映像信号として、映像信号出力端子112に、出力を行う。
【0066】
上記の手順により、光ディスク上から再生された各データがデコードされ、字幕を含んだ映像信号と、音声信号が再生装置から出力される。このとき、ユーザーが指定した言語に対応し、音声および字幕として、最も適当な言語が選択される。
【0067】
以上、本発明にかかる再生装置における再生手順を説明した。
【0068】
なお、上記実施例では、記録媒体として光ディスクを例に取り説明したがこれは限定されるものではない。例えば、ハードディスクドライブのような磁気ディスク装置や半導体メモリのような記録媒体を用いてもよい。さらには、記録媒体の代わりに放送を受信するチューナを用いた場合にも同様にして言語選択を行うことができる。本発明の目的は言語選択において最適な言語を選択するように制御することにあり、言語選択処理を行うデータの再生手段に関係なく適応が可能である。
【0069】
次に、本発明にかかる光ディスクを、従来の再生装置で再生を行った場合の動作を以下に説明する。図10は、従来の再生装置における言語設定レジスターの構造である。
【0070】
従来の再生装置では、図3に示した本発明の言語設定レジスターとは異なり、上位8ビットを使用していない。すなわち、下位24ビットのみを使用して、言語選択を行う。
【0071】
ユーザーによる言語選択の結果、下位24ビットのレジスターには、ISO−639で指定される3文字の言語コードが設定される。上位8ビットは未使用なので、0が設定される。
【0072】
ディスク再生時には、プレイリスト403中のストリーム情報から、方言コードを除く情報が取得される。従来の再生装置では、方言コードを取り扱うことはできないので、方言コードの情報は、単に無視される。
【0073】
従来の再生装置における言語選択の手順を図11に示す。ここで、光ディスクに記録されているストリーム情報は、図8に示したものであるとする。
【0074】
図11に示したフローチャートにおいて、言語選択が開始される(S1)と、ユーザー指定の言語コードに対応した言語があるかどうかが判断される(S2)。ここで、ユーザーの指定した言語コードに対応した言語がストリーム情報中になかった場合(S3)、ストリーム情報中に現れる最初の言語を選択し、そのPIDをストリーム選択に使用する。一方、ユーザーの指定した言語コードの言語が存在した場合、ユーザーの指定した言語を選択し、そのPIDをストリーム選択に使用する(S10)。
【0075】
以上の手順により言語選択が行われる。
【0076】
従来の再生装置では、ユーザーが広東語を使用したい場合でも、言語選択に「広東語」はなく、「中国語」の選択肢があるだけである。したがって、ユーザーは仕方なく中国語を選択する。再生装置は、言語設定レジスター(図10)に中国語が設定されているので、ストリーム情報中から順番に中国語のストリームを探し、図8におけるストリーム番号4の「北京語」を選択する。このように、従来の再生装置で、本発明の光ディスクを再生した場合にも、自動である程度選択を行うことができる。もちろん、ユーザーは、必要に応じて手動でストリームを切り替えることもできるので、広東語で視聴を行うことも可能である。
【0077】
以上のように、本発明による光ディスクを従来の再生装置で再生しても何ら問題は生じない。
【0078】
次に、本発明にかかる再生装置で、方言コードを含まない、従来の光ディスクを再生した場合の動作を説明する。本発明にかかる再生装置では、図9に示した手順で言語選択が行われる。
【0079】
従来の光ディスクにおいては、複数の同一言語を含まないので、図12に示したように、中国語であれば、北京語のみが記録されている。なお、従来の光ディスクでは、方言コードの情報が含まれていないので、方言コードは0として扱う。
【0080】
図9のフローチャートにおいて、ユーザーが広東語を設定している場合には、北京語が、S2でユーザーの設定した言語コードと一致するので、S4に進む。S4において、ユーザーが指定している言語は、方言コードが設定されているが、光ディスク上に記録されている字幕情報には、方言コードが設定されていないので、方言コードが一致せず、S6に進む。S6において、光ディスク上に記録されている字幕情報には、方言コードが設定されていないので、0番として扱い、S7に進む。すなわち、北京語が選択され、字幕表示に使用される。これは、ユーザーが言語設定に中国語を選択した場合と同一の動作であり、最も最適な言語を選択したことになる。
【0081】
もちろん、従来の光ディスクが挿入されたことを判断した場合には、図11で示した言語選択手順に切り替えて処理を行うように構成しても同様に実現が可能である。
【0082】
以上説明したように、本発明にかかる言語選択方法を用いれば、光ディスク上に、従来同一言語として扱われていた複数の方言の言語を記録することができ、かつ、最も最適な言語を選択することが可能となる。また、本発明にかかる再生装置では、従来の方式に対応した光ディスクを再生した場合にも、最適な言語選択を行うことができる。さらには、本発明にかかる光ディスクを、従来の再生装置で再生した場合にも、従来の光ディスクと同等に取り扱うことができる。
【0083】
なお、上記実施例では、ユーザーが初期設定時に使用言語を設定するようにしていたが、これは限定されるものではない。例えば、再生開始時に、ストリーム中の含まれる言語コードと方言コードを取得し、これらの情報から言語名へと変換することで、光ディスク上に記録されている言語の一覧を表示することができる。具体的には、図8に示したストリームPIDのリストから、図2の表を用いて言語名へと変換すればよい。
【0084】
また、言語の設定においては、ユーザー識別のために用いられるICカードなどから言語情報を取得し、これをユーザーの使用言語として設定することもできる。これによりユーザーが言語設定を意識することなく、自動的に使用言語が設定され、本発明にかかる情報選択方法により言語が選択されるため、使い勝手のよい再生装置を提供することができる。
【0085】
また、上記実施例における記録媒体を生産する方法や、記録媒体に情報を記録する方法も本発明の一つである。
【図面の簡単な説明】
【0086】
【図1】再生装置のブロック図
【図2】言語と言語コード方言コードの対応例
【図3】言語設定レジスターの構造
【図4】光ディスク上のファイル構造
【図5】MPEGパケットの構造
【図6】字幕情報のPIDと言語コード方言コードの記録構造
【図7】音声情報のPIDと言語コード方言コードの記録構造
【図8】ストリームのPIDと言語コードとの対応
【図9】言語選択手順を示すフローチャート
【図10】従来の言語設定レジスターの構造
【図11】従来の言語選択手順を示すフローチャート
【図12】従来のストリームのPIDと言語コードの記録例
【符号の説明】
【0087】
101…光ディスク、102…光ピックアップ、103…再生信号処理回路、104…出力制御部、105…サーボ、106…ドライブ制御部、107…音声デコーダ、108…音声出力端子、109…映像デコーダ、110…映像合成部、111…字幕出力部、112…映像出力端子、113…システム制御部、114…リモコン受信部、401…ディスク情報ファイル、402…メニュー表示プログラムファイル、403…プレイリストファイル、404…クリップ情報ファイル、405…ストリームファイル、501…パケットヘッダー、502…MPEGパケット、503…同期バイト、504…PID、505…データ記録領域、S1…開始ステップ、S2…言語コード判別ステップ、S3…言語不一致ストリーム選択ステップ、S4…方言コード一致判別ステップ、S5…方言コード一致ストリーム選択ステップ、S6…方言コード0番判別ステップ、S7…方言コード0番ストリーム選択ステップ、S8…言語コード一致ストリーム選択ステップ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の異なる言語に対応する情報から指定する言語に対応する情報を選択する情報選択方法であって、
それぞれの情報は情報言語コードと情報方言コードを持ち、
情報を選択するために選択言語コードと選択方言コードを設定し、
情報言語コードと選択言語コードが一致し、かつ、情報方言コードと選択方言コードが一致する情報が存在する場合には、双方の一致する情報を選択し、
情報言語コードと選択言語コードが一致し、かつ、情報方言コードと選択方言コードが一致する情報が存在しない場合で、情報言語コードと選択言語コードのみが一致する情報が存在する場合には、情報言語コードと選択言語コードのみが一致する情報を選択するように制御することを特徴とする情報選択方法。
【請求項2】
記録媒体上に記録された複数の異なる言語に対応する情報から指定する言語に対応する情報を選択して出力する再生装置であって、
それぞれの情報は情報言語コードと情報方言コードを持ち、
ユーザーは選択を行う言語を選択し、
前記ユーザーにより選択された言語に基づき情報を選択するための選択言語コードと選択方言コードを設定し、
情報言語コードと選択言語コードが一致し、かつ、情報方言コードと選択方言コードが一致する情報が存在する場合には、双方の一致する情報を選択し、
情報言語コードと選択言語コードが一致し、かつ、情報方言コードと選択方言コードが一致する情報が存在しない場合で、情報言語コードと選択言語コードのみが一致する情報が存在する場合には、情報言語コードと選択言語コードのみが一致する情報を選択し、
前記情報選択方法により選択された言語に対応した情報が出力するように制御することを特徴とする再生装置。
【請求項3】
記録媒体上に記録された複数の異なる言語に対応する情報から指定する言語に対応する情報を選択して出力する再生装置であって、
それぞれの情報は情報言語コードと情報方言コードを持ち、
ユーザーは選択を行う言語を選択し、
前記ユーザーにより選択された言語に基づき情報を選択するための選択言語コードと選択方言コードを設定するレジスタを有することを特徴とする再生装置。
【請求項4】
請求項3に記載の再生装置であって、
前記レジスタは32ビット長であることを特徴とする再生装置。
【請求項5】
請求項3に記載の再生装置であって、
前記レジスタは32ビット長であり、下位24ビットに選択言語コードを設定するとともに、上位8ビットに選択方言コードを設定することを特徴とする再生装置。
【請求項6】
請求項5に記載の再生装置であって、
前記選択言語コードはISO−639に定義される言語コードであることを特徴とする再生装置。
【請求項7】
複数の異なる言語に対応する情報を記録した記録媒体であって、
記録媒体上に、各情報に対応する言語コードおよび方言コードを記録した言語識別ファイルを記録されたことを特徴とする記録媒体。
【請求項8】
請求項7に記載の記録媒体であって、
複数の異なる言語に対応する記録する情報は、所定バイト数のパケット形式で記録され、各パケットにはパケットの種別を判別するパケットIDが付加されており、
前記パケットIDを言語毎に異なるように設定されてなることを特徴とする記録媒体。
【請求項9】
請求項8に記載の記録媒体であって、
上記言語識別ファイルは、上記パケットIDと言語コードおよび方言コードとの対応を記録することを特徴とする記録媒体。
【請求項10】
請求項7ないし請求項8ないし請求項9に記載の記録媒体であって、
前記言語コードはISO−639に定義されている言語コードであることを特徴とする記録媒体。
【請求項11】
請求項7ないし請求項8ないし請求項9ないし請求項10に記載の記録媒体であって、
各言語における標準的な方言を、前記方言コードに0として設定されてなることを特徴とする記録媒体。
【請求項1】
複数の異なる言語に対応する情報から指定する言語に対応する情報を選択する情報選択方法であって、
それぞれの情報は情報言語コードと情報方言コードを持ち、
情報を選択するために選択言語コードと選択方言コードを設定し、
情報言語コードと選択言語コードが一致し、かつ、情報方言コードと選択方言コードが一致する情報が存在する場合には、双方の一致する情報を選択し、
情報言語コードと選択言語コードが一致し、かつ、情報方言コードと選択方言コードが一致する情報が存在しない場合で、情報言語コードと選択言語コードのみが一致する情報が存在する場合には、情報言語コードと選択言語コードのみが一致する情報を選択するように制御することを特徴とする情報選択方法。
【請求項2】
記録媒体上に記録された複数の異なる言語に対応する情報から指定する言語に対応する情報を選択して出力する再生装置であって、
それぞれの情報は情報言語コードと情報方言コードを持ち、
ユーザーは選択を行う言語を選択し、
前記ユーザーにより選択された言語に基づき情報を選択するための選択言語コードと選択方言コードを設定し、
情報言語コードと選択言語コードが一致し、かつ、情報方言コードと選択方言コードが一致する情報が存在する場合には、双方の一致する情報を選択し、
情報言語コードと選択言語コードが一致し、かつ、情報方言コードと選択方言コードが一致する情報が存在しない場合で、情報言語コードと選択言語コードのみが一致する情報が存在する場合には、情報言語コードと選択言語コードのみが一致する情報を選択し、
前記情報選択方法により選択された言語に対応した情報が出力するように制御することを特徴とする再生装置。
【請求項3】
記録媒体上に記録された複数の異なる言語に対応する情報から指定する言語に対応する情報を選択して出力する再生装置であって、
それぞれの情報は情報言語コードと情報方言コードを持ち、
ユーザーは選択を行う言語を選択し、
前記ユーザーにより選択された言語に基づき情報を選択するための選択言語コードと選択方言コードを設定するレジスタを有することを特徴とする再生装置。
【請求項4】
請求項3に記載の再生装置であって、
前記レジスタは32ビット長であることを特徴とする再生装置。
【請求項5】
請求項3に記載の再生装置であって、
前記レジスタは32ビット長であり、下位24ビットに選択言語コードを設定するとともに、上位8ビットに選択方言コードを設定することを特徴とする再生装置。
【請求項6】
請求項5に記載の再生装置であって、
前記選択言語コードはISO−639に定義される言語コードであることを特徴とする再生装置。
【請求項7】
複数の異なる言語に対応する情報を記録した記録媒体であって、
記録媒体上に、各情報に対応する言語コードおよび方言コードを記録した言語識別ファイルを記録されたことを特徴とする記録媒体。
【請求項8】
請求項7に記載の記録媒体であって、
複数の異なる言語に対応する記録する情報は、所定バイト数のパケット形式で記録され、各パケットにはパケットの種別を判別するパケットIDが付加されており、
前記パケットIDを言語毎に異なるように設定されてなることを特徴とする記録媒体。
【請求項9】
請求項8に記載の記録媒体であって、
上記言語識別ファイルは、上記パケットIDと言語コードおよび方言コードとの対応を記録することを特徴とする記録媒体。
【請求項10】
請求項7ないし請求項8ないし請求項9に記載の記録媒体であって、
前記言語コードはISO−639に定義されている言語コードであることを特徴とする記録媒体。
【請求項11】
請求項7ないし請求項8ないし請求項9ないし請求項10に記載の記録媒体であって、
各言語における標準的な方言を、前記方言コードに0として設定されてなることを特徴とする記録媒体。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2006−24297(P2006−24297A)
【公開日】平成18年1月26日(2006.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−202567(P2004−202567)
【出願日】平成16年7月9日(2004.7.9)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年1月26日(2006.1.26)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年7月9日(2004.7.9)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】
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