説明

計算機式断層写真法スキャナにおける音響的雑音緩和のシステム及び方法

【課題】CTスキャナの雑音を緩和する。
【解決手段】外筐体と、外筐体の内部に配置されて、走査される対象を収容するガントリ開口を有する回転式ガントリと、回転式ガントリに装着されて、対象へ向けてX線ビームを投射するように構成されているX線源と、回転式ガントリに装着されて、対象を通過したX線エネルギを検出し、該検出に応答して、対象の画像として再構成され得る検出器出力を発生するように構成されている検出器アレイとを含んでいるCTシステムが提供される。このCTシステムにはハイブリッド雑音緩和システムが含まれており、ハイブリッド雑音緩和システムは、運転中にCTシステムによって発生される雑音を緩和するように構成されており、受動式態様で雑音を制御するように構成されている受動式雑音緩和装置と、能動式態様で雑音を制御するように構成されている能動式雑音緩和装置とを含んでいる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の各実施形態は一般的には、計算機式断層写真法(CT)スキャナに関し、さらに具体的には、CTスキャナにおける音響的雑音を緩和するシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
典型的には、CTイメージング・システムでは、X線源が患者又は手荷物のような被検体又は物体へ向けてファン(扇形)形状のビームを放出する。以下では、「被検体」及び「対象」「物体」等の用語は、撮像されることが可能な任意の物体を含むものとする。ビームは被検体によって減弱された後に放射線検出器のアレイに入射する。検出器アレイにおいて受光される減弱後のビーム放射線の強度は典型的には、被検体によるX線ビームの減弱量に依存する。検出器アレイの各々の検出器素子が、各々の検出器素子によって受光される減弱後のビームを示す別個の電気信号を発生する。電気信号はデータ処理システムへ伝達されて解析され、ここから最終的に画像を形成する。
【0003】
一般的には、X線源及び検出器アレイは、撮像平面内で被検体を中心としてガントリの周りを回転する。X線源は典型的には、焦点においてX線ビームを放出するX線管を含んでいる。X線検出器は典型的には、検出器において受光されるX線ビームをコリメートするコリメータと、コリメータに隣接して設けられておりX線を光エネルギへ変換するシンチレータと、隣接するシンチレータから光エネルギを受け取ってここから電気信号を発生するフォトダイオードとを含んでいる。典型的には、シンチレータ・アレイの各々のシンチレータがX線を光エネルギへ変換する。各々のシンチレータは、当該シンチレータに隣接するフォトダイオードに光エネルギを放出する。各々のフォトダイオードが光エネルギを検出して、対応する電気信号を発生する。次いで、フォトダイオードの出力はデータ処理システムへ伝達されて、画像再構成を施される。
【0004】
動作時には、CTスキャナは多様な発生源から音響的雑音を発生する。例えば、様々なサブシステムのための冷却ファン、冷却ポンプ、X線管回転子、ガントリ軸受、及びガントリ・ファン等は全ての音響的雑音を発生し得る。加えて、ガントリの回転も音響的雑音を発生し、ガントリの回転からのかかる雑音は高速化されるガントリ回転に基づく将来世代CTシステムでは増大する一方であり、これに伴いガントリ回転から発生される空力音響的雑音の増大が見られることが認められている。これらの発生源からの雑音の発生は医療撮像工程に直接的な影響を与えるわけではないが、被撮像体にとって雑音は不快又は負担であり得る。このことは特に、空冷式ガントリを有するCTシステムに見受けられ、このシステムでは走査室の空気を用いてガントリを冷却するファンの利用に基づいて音響的雑音が増大する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
幾つかの従来技術CTシステムでは雑音問題は無視されており、CTシステムによって発生される雑音を低減する雑音低減方法又はシステムは用いられていない。他の従来技術CTシステムでは、被撮像体による雑音の知覚を低下させてこれにより撮像工程時に被検体にとってさらに快適な環境を提供することを試みる「雑音消去(ノイズ・キャンセレーション)」装置が開発されている。しかしながら、従来の雑音消去装置及び方法は、幾つかの理由のため広い支持を得られていない。例えば、空冷式ガントリを有する幾つかの従来技術CTシステムでは、雑音緩和はシステム内の冷却ファンの定格出力を下げることにより達成されている。しかしながら、冷却ファンのかかる減定格は一般的には、雑音問題に完全に対処するためには依然として不十分である。雑音問題に取り組むために、他の従来技術CTシステムは、外部環境に対して閉じている又は封止されている冷却式ガントリを用いている。かかる冷却式のガントリ冷却系の構成は、CTシステムを冷却して環境に対する音響的雑音のレベルを低下させるのに実効的であるが、冷却式ガントリは、CTシステムに十分な冷却を提供するために大型で高価な熱交換器が必要とされるため、構築及び運転が極めて高価である。
【0006】
従って、CTスキャナの雑音を緩和する装置及び方法を設計することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の各実施形態は、CTスキャナの音響的雑音を緩和することを指向した方法及びシステムを含んでいる。
【0008】
本発明の一つの観点によれば、CTシステムが、外筐体と、外筐体の内部に配置されて、走査される対象を収容するガントリ開口を有する回転式ガントリと、回転式ガントリに装着されて、対象へ向けてX線ビームを投射するように構成されているX線源と、回転式ガントリに装着されて、対象を通過したX線エネルギを検出し、該検出に応答して、対象の画像として再構成され得る検出器出力を発生するように構成されている検出器アレイと、運転中にCTシステムによって発生される雑音を緩和するように構成されているハイブリッド雑音緩和システムとを含んでおり、ハイブリッド雑音緩和システムは、受動式態様で雑音を制御するように構成されている受動式雑音緩和装置と、能動式態様で雑音を制御するように構成されている能動式雑音緩和装置とを含んでいる。
【0009】
本発明のもう一つの観点によれば、CTシステムが、走査される対象を収容するガントリ開口を有する回転式ガントリと、回転式ガントリの周囲に配置されている外筐体であって、当該外筐体内部に空気をそれぞれ流入及び流出させるファンを各々含むガントリ入口ダクト及びガントリ排気ダクトを内部に形成した外筐体とを含んでいる。このCTシステムはまた、回転式ガントリに装着されて、対象へ向けてX線ビームを投射するように構成されているX線源と、回転式ガントリに装着されて、対象を通過したX線エネルギを検出し、該検出に応答して、対象の画像として再構成され得る検出器出力を発生するように構成されている検出器アレイと、X線源及び検出器アレイの各々に対応して回転式ガントリに装着されて、X線源及び検出器アレイに冷却を提供するように構成されている熱交換器とを含んでいる。このCTシステムはさらに、CTシステムの運転中にCTシステムによって発生される雑音を緩和するように構成されている複数の雑音緩和装置を含んでおり、雑音緩和装置はガントリ入口ダクト、ガントリ排気ダクト、及び熱交換器の各々に設けられて、該ガントリ入口ダクト、ガントリ排気ダクト、及び熱交換器により発生される雑音を受動式態様及び能動式態様の少なくとも一方で緩和する。
【0010】
本発明のさらにもう一つの観点によれば、CTシステムの雑音を緩和する方法が、CTシステムの既存の構成要素及び特徴に複数の雑音緩和装置を一体化させるステップと、CTシステムによって発生される可聴の音響的雑音のレベルを複数の雑音緩和装置を介して受動式で低下させるステップと、CTシステムによって発生される可聴の音響的雑音のレベルを複数の雑音緩和装置を介して能動式で低下させるステップとを含んでいる。複数の雑音緩和装置は、CTガントリの回転、ガントリ・ファン、X線管運転、X線管熱交換器ファン、及びX線検出器熱交換器ファンの少なくとも一つによって発生される可聴の音響的雑音のレベルを低下させるように構成されている。
【0011】
他の様々な特徴及び利点が、以下の詳細な説明及び図面から明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図面は、本発明を実施するために現状で思量される好ましい各実施形態を示す。
【図1】CTイメージング・システムの見取り図である。
【図2】図1に示すシステムのブロック概略図である。
【図3】図1に示すシステムのブロック概略図であって、CTイメージング・システムの運転中に雑音を発生する雑音発生源を示す図である。
【図4】本発明の一実施形態による図1のCTシステムの熱交換器に組み入れられる雑音緩和装置の概略図である。
【図5】本発明のもう一つの実施形態による図1のCTシステムの熱交換器に組み入れられる雑音緩和装置の概略図である。
【図6】本発明の一実施形態による図1のCTシステムのガントリ排気ダクトに組み入れられる雑音緩和装置の概略図である。
【図7】本発明の一実施形態による図1のCTシステムのガントリ入口ダクトに組み入れられる雑音緩和装置の概略図である。
【図8】本発明の一実施形態によるCTイメージング・システムの運転中に雑音を発生する雑音発生源を制御するシステム・レベルの雑音制御器を有するCTイメージング・システムのブロック概略図である。
【図9】本発明の一実施形態に従って非侵襲型小包検査システムと共に用いられるCTシステムの見取り図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1には、計算機式断層写真法(CT)イメージング・システム10が、「第三世代」CTスキャナに典型的なガントリ12を含むものとして示されている。外筐体13が、ガントリを実質的に包囲するようにガントリ12の周囲に配置されている。ガントリ12はX線源14を有し、X線源14は、ガントリ12の反対側に位置する検出器アセンブリ又はコリメータ18へ向けてX線のビームを投射する。図2を参照すると、検出器アセンブリ18は、複数の検出器20及びデータ取得システム(DAS)32によって形成されている。複数の検出器20は、患者22を透過する投射X線16を感知し、DAS32は後続の処理のためにデータをディジタル信号へ変換する。各々の検出器20が、入射X線ビームの強度を表わし従って患者22を透過した減弱後のビームを表わすアナログ電気信号を発生する。X線投影データを取得するための1回の走査の間に、ガントリ12及びガントリ12に装着されている構成部品は回転中心24の周りを回転する。
【0014】
ガントリ12の回転及びX線源14の動作は、CTシステム10の制御機構26によって制御される。制御機構26は、X線制御器28とガントリ・モータ制御器30とを含んでおり、X線制御器30はX線源14に電力信号及びタイミング信号を供給し、ガントリ・モータ制御器32はガントリ12の回転速度及び位置を制御する。画像再構成器34が、標本化されてディジタル化されたX線データをDAS32から受け取って高速再構成を実行する。再構成された画像はコンピュータ36への入力として印加され、コンピュータ36は大容量記憶装置38に画像を記憶させる。
【0015】
コンピュータ36はまた、キーボード、マウス、音声作動式コントローラ、又は他の任意の適当な入力装置のような何らかの形態の操作者インタフェイスを有するコンソール40を介して、操作者から命令及び走査用パラメータを受け取る。付設されている表示器42によって、操作者は、再構成された画像及びコンピュータ36からの他のデータを観察することができる。操作者が供給した命令及びパラメータはコンピュータ36によって用いられて、DAS32、X線制御器28及びガントリ・モータ制御器30に制御信号及び情報を供給する。加えて、コンピュータ36は、電動テーブル46を制御するテーブル・モータ制御器44を動作させて、患者22及びガントリ12を配置する。具体的には、テーブル46は患者22を図1のガントリ開口48を通して全体として又は部分的に移動させる。
【0016】
図1及び図2にさらに示すように、CTシステム10はまた、CTシステム10に許容され得る温度及び動作環境を提供して運転中にCTシステム10及びCTシステム10の特定の構成要素の過熱を防ぐように作用する複数の冷却系又は冷却構成要素を含んでいる。図1に示すように、CTシステム10は、CTシステム10のガントリ12が空冷されるように構成されている。ガントリ入口ダクト50がCTシステム10の外筐体13に設けられており、ガントリ入口ダクト50に含まれるファン52が周囲環境からCTシステム10の筐体13の内部に空気を引き込み、回転式ガントリ12に冷却を提供するように回転式ガントリ12に空気を接触させる。また、ガントリ排気ダクト54が筐体13に設けられており、ガントリ排気ダクト54に含まれるファン56が、ガントリ12との接触から熱せられた空気を筐体13の内部から周囲環境へ強制排出する。また、図2に示すように、X線源14及びX線検出器アレイ18をそれぞれ冷却する熱交換器58、60がCTシステム10に含まれており、熱交換器58、60はガントリ12の上で回転するようにガントリ12に装着されている。本発明の一実施形態によれば、熱交換器58、60は類似の構成を有し、X線源14及び検出器アレイ18から熱を引き出してX線源14及び検出器アレイ18の動作温度を低下させるように、X線源14及び検出器アレイ18に冷却流体をポンプ供給する液気式熱交換器として構成されている。
【0017】
動作時には、CTシステム10は、多様な発生源から音響的雑音を発生する。例えば、様々なサブシステムのための冷却ファン、冷却ポンプ、X線管回転子、ガントリ軸受、及びガントリ・ファン等は全ての音響的雑音を発生し得る。かかる雑音発生源を図3に全体的に示しており、X線源14(すなわちX線管回転子)からの雑音を参照番号62で示し、X線源熱交換器58からの雑音を参照番号64で示し、X線検出器熱交換器からの雑音を参照番号66で示し、ガントリ排気ダクトのファン56からの雑音を参照番号68で示し、ガントリ入口ダクトのファン52からの雑音を参照番号70で示し、ガントリ12の回転からの雑音を参照番号72で示している。
【0018】
図4〜図7には、CTシステム10に組み入れられて可聴の音響的雑音のレベルを低下させる雑音緩和構成要素/装置が本発明の様々な実施形態に従って示されている。本発明の各実施形態によれば、受動式雑音緩和装置/方法、能動式雑音緩和装置/方法、及び/又はハイブリッド受動能動式雑音緩和方法を装置レベル及びCTシステム・レベルにおいて用いて、CTシステム10のガントリ開口48(図1)及び周囲の外部環境に放出される雑音のレベルを制御することができる。
【0019】
図4には、雑音緩和特徴を内部に組み入れた本発明の一実施形態によるX線検出器熱交換器及びX線源熱交換器58、60の詳細図を掲げる。上述のように、一実施形態によれば、管熱交換器58及び検出器熱交換器60の構造は類似/同等であり、従って図4は両方の熱交換器の説明となっている。熱交換器58、60は、冷却ユニット74と、冷却流体を循環させる配管構成76とを含んでいる。冷却された冷却流体が冷却ユニット74からポンプ排出されて液気式熱交換器58、60の配管76を通り、X線源14又は検出器アレイ18に達してここから熱を除去し、次いで熱せられた流体は熱交換器58、60へ戻る。複数のファン78が熱交換器58、60に含まれており、ファン・プレナム80内で冷却ユニット74に隣接して配置されて、冷却流体から熱を除去するのを支援する。図4の実施形態によれば、ファン78は「吸引(pull)」モードで動作して、冷却ユニット74の近傍の熱せられた空気を冷却ユニット74から引き出して取り去る。さらに明確に述べると、空気は空気フィルタ82を通ってファン・プレナム80に引き込まれ、冷却ユニット74を通過して熱せられ、次いでファン78によって引き起こされる空気の「吸引」を介して引き出されて取り去られる。次いで、ファン78によって吸引されて取り去られた熱せられた空気は熱交換器58、60の出口ダクト84から吹き出され、次いで空気は引き続きガントリ排気ファン56(図1〜図3)を経てCTシステム10から排出される。
【0020】
図4に示すように、熱交換器58、60は、内部に含まれているファン78によって発生される雑音を「受動式」で緩和するように構成されている。かかる受動式雑音緩和を提供するために、発泡体の層86がダクト84の内部に配置されて、熱交換器58、60のファン78によって発生される可聴の音響的雑音のレベルを低下させる。発泡体層86は、雑音の高周波成分を減少させることにより、ファン78によって発生される雑音を緩和するように構成されている。本発明の各実施形態によれば、発泡体層86は、ポリウレタン又は他の適当なポリマー複合材のような適当な防音性発泡材で形成されて、層はさらに、渦パターン(すなわち枡形凹凸(egg-crate)パターン)、楔形(wedge)パターン、角錐パターン、又は他の適当な外形のような所望の外形を有し得る。加えて、ポンプ(図示されていない)及びX線管14(図1)の回転子のような他の雑音発生源から発生される雑音も、受動式振動絶縁を用いて且つ/又はCTシステム10の上部構造にかかる構成要素を適当に装着することにより、減衰させ得ることが認められている。
【0021】
本発明のもう一つの実施形態によれば、熱交換器58、60は、「ハイブリッド」形式の雑音緩和構成を用いるように構成される。すなわち、発泡体層86によって提供される受動式雑音緩和に加えて、熱交換器58、60はさらに、ファン78によって発生される雑音について「能動式」雑音緩和を適用するように構成される。一実施形態では、かかる能動式雑音消去は、CTシステムによって発生される雑音のレベルが最小雑音閾値を上回ったときに用いられる。かかる雑音閾値は、CTシステムが高出力で高温の走査室環境において動作しているときには超えられ、CTシステムが低出力で低温の走査室環境において動作しているときには超えられないものであり得る。
【0022】
図4に示すように、スピーカ(又は複数スピーカ構成)88が出口ダクト84の内部に配置されて能動式雑音緩和を提供する。スピーカ88は、ファン78と同じ周波数であるがファン78によって発生される雑音と位相の異なる音を発生するように構成される。従って、スピーカ(1又は複数)88によって発生されるファンの雑音と同じ周波数で位相の異なる音は、ファン78によって発生される雑音を相殺するように作用し、これにより熱交換器58、60のファン78によって発生される可聴の音響的雑音のレベルを低下させる。
【0023】
ファン78によって発生される音響的雑音の周波数を決定するために、1又は複数のマイクロフォン90、91が設けられてファン雑音を測定/記録する。本発明の一実施形態では、フィード・フォワード型の能動式雑音緩和手法に従って、スピーカ88によって発生されるべき音の周波数を決定する目的のために参照マイクロフォン91のみを用いる。参照マイクロフォン91は、出口ダクト84の内部に配置されてファン雑音を測定/記録し、参照マイクロフォン91によって測定/記録されたファン雑音は、ディジタル信号処理(DSP)アルゴリズムを記憶した制御器92に出力/供給される。制御器92は参照マイクロフォン91からの出力を受け取り、フィード・フォワード型手法に従って、スピーカ(1又は複数)88によって発生されるべき雑音の正しい周波数及び位相を決定するためにこの出力をDSPアルゴリズムに入力する。
【0024】
もう一つの実施形態では、フィード・バック型能動式雑音緩和手法に従って、スピーカ88によって発生されるべき音の周波数を決定する目的のために参照マイクロフォン91及び誤差マイクロフォン90の両方を用いる。参照マイクロフォン91は、出口ダクト84の内部に配置されてファン雑音を測定/記録し、誤差マイクロフォン90は出口ダクト84に隣接して配置されて音響的雑音をさらに最小にする。すなわち、参照マイクロフォン91によって測定/記録されたファン雑音は、ディジタル信号処理(DSP)アルゴリズムを記憶した制御器92に出力/供給され、制御器92は参照マイクロフォン91からの出力を受け取って、スピーカ(1又は複数)88によって発生されるべき雑音の正しい周波数及び位相を決定するためにこの出力をDSPアルゴリズムに入力する。次いで、スピーカ(1又は複数)は、ファン雑音を緩和/相殺するように、ファン78によって発生される雑音と同じ周波数であるが位相の異なる音を発生する。誤差マイクロフォン90は、ファン雑音とスピーカ音との間の雑音消去の後にも依然存在し得るあらゆる音響的雑音を測定/記録して、スピーカ(1又は複数)88によって発生される音の調節がさらに必要とされるか否かを決定する。このように、スピーカ(1又は複数)88によって発生されるべき雑音の周波数及び位相に対する調節を決定するために、誤差マイクロフォン90によって出力が発生され、制御器92に供給されてDSPアルゴリズムに入力され得る。このように、スピーカ88の動作を制御器92のDSPアルゴリズムによって制御することにより、スピーカ88は雑音を複数の異なるファン速度で能動式で制御することができる。
【0025】
図5には、本発明のもう一つの実施形態による熱交換器58、60(すなわち検出器熱交換器及び管熱交換器の両方)の詳細図を掲げる。熱交換器58、60の構成は図4に示すものと同様であるが、熱交換器58、60に含まれるファン78が冷却ユニット74を横断して空気を吹き入れる「吹き込み(push)」モードで動作する点が異なる。熱交換器58、60の動作時には、空気が空気フィルタ82を通ってファン・プレナム80に引き込まれ、空気は冷却ユニット74の周囲を流れ/通過して冷却流体から熱を除去するようにファン78によって「吹き込」まれる。空気流は冷却ユニット74を通過して吹き込まれ、熱交換器58、60の出口ダクト84を通して吹き出され、次いで空気は引き続き排気ファン56(図1〜図3)を経てCTシステム10から排出される。
【0026】
図5に示すように、熱交換器58、60は、ファン78によって発生される雑音を出口ダクト84の内部に配置されている発泡体層86を介して「受動式」で緩和するように構成されている。発泡体層86は、熱交換器58、60のファン78によって発生される可聴の音響的雑音のレベルを低下させるように、雑音の高周波成分を減少させることにより、ファン78によって発生される雑音を緩和するように構成されている。発泡体層86は、ポリウレタン又は他の任意の適当なポリマー複合材のような適当な防音性発泡材で形成されて、例えば渦パターン(すなわち枡形凹凸パターン)、楔形パターン、又は角錐パターンのような任意の適当な外形又はパターンを有し得る。
【0027】
本発明のもう一つの実施形態によれば、図5の透視図に示すように、熱交換器58、60は、出口ダクト84の内部に配置されて「能動式」雑音緩和を提供するスピーカ(又は複数スピーカ構成)88を含んでいる。スピーカ88は、ファン78と同じ周波数であるがファン78によって発生される雑音と位相の異なる音を発生するように構成される。従って、スピーカ(1又は複数)88によって発生されるファンの雑音と同じ周波数で位相の異なる音は、ファン78によって発生される雑音を相殺するように作用し、これにより熱交換器58、60のファン78によって発生される可聴の音響的雑音のレベルを能動式で低下させる。ファン78によって発生される雑音の周波数を決定するために、1又は複数のマイクロフォン90、91が出口ダクト84に隣接して配置されて、ファン雑音を測定/記録する。マイクロフォン90によって測定/記録されたファン雑音は、スピーカ(1又は複数)88によって発生されるべき雑音の正しい周波数及び位相を決定するために、制御器92に記憶されたディジタル信号処理(DSP)アルゴリズムに供給される。本発明の一実施形態によれば、フィード・フォワード型能動式雑音緩和手法に従って、スピーカ88によって発生されるべき音の周波数を決定する目的のために参照マイクロフォン91のみを用いて制御器92に入力を供給する。本発明のもう一つの実施形態によれば、フィード・バック型能動式雑音緩和手法に従って、スピーカ88によって発生されるべき音の周波数を決定する目的のために参照マイクロフォン91及び誤差マイクロフォン90の両方を用いて制御器92に入力を供給する。制御器92のDSPアルゴリズムを介してスピーカ88の動作を制御することにより、スピーカ(1又は複数)88は雑音を複数の異なるファン速度で能動式で制御することができる。このように、熱交換器58、60は「ハイブリッド」式の雑音緩和方法/構造を用いる。すなわち、発泡体層86によって提供される受動式雑音緩和に加えて、スピーカ(1又は複数)88はファン78によって発生される雑音のための「能動式」雑音緩和を提供する。
【0028】
図6には、雑音緩和特徴を内部に組み入れたCTシステム10のガントリ入口ダクト50の詳細図を示す。ガントリ入口ダクト50はCTシステム10の筐体13に形成されており、ファン52を内部に配置して含んで、外部の周囲環境からCTシステム10の筐体13の内部に空気を引き込み/吸引して、回転式ガントリ12に冷却を提供するように回転式ガントリ12に空気を接触させる。空気は、ファン52によって空気フィルタ94を通ってガントリ入口ダクト50に引き込まれ、空気はCTシステム10の回転式ガントリ12を冷却するように筐体13に導かれる。
【0029】
また、ガントリ入口ダクト50には、ファン52によって発生される可聴の音響的雑音のレベルを低下させるように構成されている発泡体の層86が含まれている。発泡体層86は、ファン52によって発生される雑音を、雑音の高周波内容を減少させることにより緩和するように、防音性発泡材(例えばポリウレタン又は他の適当なポリマー複合材)で形成される。このように、発泡体層86は、ガントリ入口ダクト50のファン52の受動式雑音緩和方法/装置として作用する。
【0030】
本発明の一実施形態によれば、能動式雑音緩和を提供するスピーカ(又は複数スピーカ構成)88がガントリ入口ダクト50の内部に配置される。スピーカ88は、ファン52と同じ周波数であるが雑音と位相の異なる音を発生するように構成される。このように、スピーカ88によって発生されるファン雑音と同じ周波数で位相の異なる音は、ファン52によって発生される雑音を相殺するように作用し、これによりガントリ入口ダクト50のファン52によって発生される可聴の音響的雑音のレベルを能動式で低下させる。ファン52によって発生される雑音の周波数を決定するために、1又は複数のマイクロフォン90、91を配置してファン雑音を測定/記録する。マイクロフォン90によって測定/記録されたファン雑音は、スピーカ88によって発生されるべき雑音の正しい周波数及び位相を決定するために制御器92のディジタル信号処理(DSP)アルゴリズムに供給される。本発明の一実施形態によれば、フィード・フォワード型能動式雑音緩和手法に従って、スピーカ88によって発生されるべき音の周波数を決定する目的のために参照マイクロフォン91のみを用いて制御器92に入力を供給する。本発明のもう一つの実施形態によれば、フィード・バック型の能動式雑音緩和手法に従って、スピーカ88によって発生されるべき音の周波数を決定する目的のために参照マイクロフォン91及び誤差マイクロフォン90の両方を用いて制御器92に入力を供給する。DSPアルゴリズムを介してスピーカ88の動作を制御することにより、スピーカ88は、雑音を複数の異なるファン速度で能動式で制御することができる。このように、一実施形態によれば、ガントリ入口ダクト50は「ハイブリッド」式の雑音緩和方法/構造を含んで用いる。すなわち、発泡体層86によって提供される受動式雑音緩和に加えて、スピーカ(1又は複数)88は、ガントリ入口ダクト50のファン52によって発生される雑音のための「能動式」雑音緩和を提供する。
【0031】
図7には、雑音緩和特徴を内部に組み入れたCTシステム10のガントリ排気ダクト54の詳細図が示されている。ガントリ排気ダクト54はCTシステム10の筐体13に形成されて、ガントリ12との接触から熱せられた空気をCTシステム10から除去するように、CTシステム10の筐体13の内部から外部の周囲環境へ空気を押し出すように配置されたファン56を内部に含んでいる。CTシステム10の内部からの空気はファン56を経てガントリ排気ダクト54に引き込まれ、引き続き周囲環境に押し出される。
【0032】
また、ガントリ排気ダクト54には、ファン56によって発生される可聴の音響的雑音のレベルを低下させるように構成されている発泡体の層86が含まれている。発泡体層86は、ファン56によって発生される雑音を、雑音の高周波内容を減少させることにより緩和するように、防音性発泡材(例えば、ポリウレタン又は他の適当なポリマー複合材)で形成される。このように、発泡体層86は、ガントリ排気ダクト54のファン56の受動式雑音緩和方法/装置として作用する。
【0033】
本発明の一実施形態によれば、図7の透視図に示すように、能動式雑音緩和を提供するスピーカ(又は複数スピーカ構成)88がガントリ排気ダクト54の内部に配置される。スピーカ88は、ファン56と同じ周波数であるが雑音と位相の異なる音を発生するように構成される。このように、スピーカ88によって発生されるファン雑音と同じ周波数で位相の異なる音は、ファン56によって発生される雑音を相殺するように作用し、これによりガントリ排気ダクト54のファン56によって発生される可聴の音響的雑音のレベルを能動式で低下させる。ファン56によって発生される雑音の周波数を決定するために、1又は複数のマイクロフォン90、91を配置してファン雑音を測定/記録する。マイクロフォン90によって測定/記録されるファン雑音は、スピーカ88によって発生されるべき雑音の正しい周波数及び位相を決定するために制御器92のディジタル信号処理(DSP)アルゴリズムに供給される。本発明の各実施形態によれば、それぞれフィード・バック型及びフィード・フォワード型の能動式雑音緩和手法に従って、参照マイクロフォン91及び誤差マイクロフォン90の両方を用いるか、参照マイクロフォン90のみを用いて、スピーカ88によって発生されるべき音の周波数を決定する目的のために制御器92に入力を供給することができる。DSPアルゴリズムを介してスピーカ88の動作を制御することにより、スピーカ88は雑音を複数の異なるファン速度で能動式で制御することができる。このように、ガントリ排気ダクト54は「ハイブリッド」式の雑音緩和方法/構造を含んで用いる。すなわち、発泡体層86によって提供される受動式雑音緩和に加えて、スピーカ88はガントリ排気ダクト54のファン56によって発生される雑音のための「能動式」雑音緩和を提供する。
【0034】
図8には、本発明のもう一つの実施形態によるCTシステム10のブロック概略図が示されている。図8の実施形態では、CTシステム10はシステム・レベル雑音制御器96を含んでおり、制御器96は、CTシステム10によって発生される音響的雑音を最小にするための能動式雑音緩和方式を決定するためにCTシステム10の複数のサブシステム又は構成要素から雑音入力を受け取る。かかる雑音発生源及び関連する雑音入力としては、X線源熱交換器ファン78及び該ファン78の雑音入力64、X線検出器熱交換器ファン78及び該ファン78の雑音入力66、ガントリ排気ダクトのファン56及び該ファン56の雑音入力68、ガントリ入口ダクトのファン52及び該ファン52の雑音入力70、並びにCTシステムに含まれる他のあらゆる冷却ファン97及び該ファン97の雑音入力98等がある。また、ガントリの回転によって発生される雑音を示す雑音入力72もシステム・レベル雑音制御器96に入力され得る。システム・レベル雑音制御器96は、各々のそれぞれの構成要素/サブシステム(すなわちX線管回転子14、X線源熱交換器58、X線検出器熱交換器、ガントリ排気ダクトのファン56、ガントリ入口ダクトのファン52、及び回転式ガントリ12)毎に理想的な能動式雑音緩和制御方式を決定するように作用し、この決定は、各構成要素/サブシステムから受け取られる関連する雑音入力に基づいて、ディジタル信号処理(DSP)アルゴリズムに雑音信号を入力して制御信号を発生し、この制御信号を各々のそれぞれの構成要素/サブシステムに含まれているスピーカ(1又は複数)88に伝達し、この制御信号によって、スピーカ(1又は複数)に雑音消去を促す正しい周波数及び位相の音を発生させること等により行なわれる。本発明の各実施形態によれば、システム・レベル雑音制御器96を、各々の個々の雑音発生構成要素/サブシステムに付設された制御器92の代わりに代用してもよいし、制御器92と併用してもよいことが認められている。
【0035】
また、図8にさらに詳細に示すように、受動式雑音緩和を用いて、ポンプ及びX線管の回転子のような参照番号99として同図に全体的に示されている他の雑音発生源から発生される雑音を緩和する。かかる構成要素/サブシステムからの雑音は、受動式振動絶縁を用いて、且つ/又はCTシステム10の上部構造にかかる構成要素を適当に装着することにより、減衰させることができる。このように、システム・レベル雑音制御器96によって他の構成要素/サブシステム99の受動式雑音緩和と組み合わせて提供され制御される能動式雑音緩和を介して、CTシステム10のガントリ開口48(図1)の内部でも、またCTシステム10を包囲する区域(すなわち筐体13の外部)でも、可聴の音響的雑音のレベルを低下させるハイブリッド雑音緩和方式がCTシステム10に提供される。このように、患者及びシステム操作者にさらに配慮した「静音」システムが提供される。
【0036】
図9を参照すると、小包/手荷物検査システム100が、小包又は手荷物を通過させ得る開口104を内部に有する回転式ガントリ102を含んでいる。回転式ガントリ102は、高周波電磁エネルギ源106と、検出器アセンブリ108とを収容している。また、コンベヤ・システム110が設けられており、コンベヤ・システム110は、構造114によって支持されて走査のために小包又は手荷物116を自動的に且つ連続的に開口104に通すコンベヤ・ベルト112を含んでいる。物体116をコンベヤ・ベルト112によって開口104に送り込み、次いで撮像データを取得し、コンベヤ・ベルト112によって開口104から小包116を除去することを、制御された連続的な態様で行なう。結果として、郵便物検査官、手荷物積み降ろし員及び他の警備人員が、爆発物、刃物、銃及び密輸品等について小包116の内容を非侵襲的に検査することができる。
【0037】
図9に示すように、システム100は空冷式システムとなるように構成されている。ガントリ入口ダクト50がシステム100の外筐体13に設けられて、ファン52がガントリ入口ダクト50に含まれており、空気を周囲環境からシステム100の筐体13に引き込み、回転式ガントリ102に冷却を提供するように回転式ガントリ102に空気を接触させる。また、ガントリ排気ダクト54が筐体13に設けられて、ファン56がガントリ排気ダクト54に含まれており、ガントリ102との接触から熱せられた空気を筐体13の内部から周囲環境へ強制排出する。上で詳細に述べたように、受動式雑音緩和装置及び能動式雑音緩和装置を装置レベル及びCTシステム・レベルでシステム100に設けて、システム100のガントリ開口104及び周囲の外部環境に放出される雑音のレベルを制御することができる。各実施形態によれば、システム100内及び周囲の可聴の音響的雑音のレベルを低下させるように雑音を受動式で及び能動式でそれぞれ緩和するために、図4〜図7に示すような発泡体層86及びスピーカ88を実装することができる。
【0038】
このように、本発明の各実施形態はCTシステム10、100のための雑音緩和のシステム及び方法を有益に提供する。受動式及び能動式の両方の雑音制御方法を用いるハイブリッド雑音緩和方式が装置構成要素レベル及びシステム・レベルの両方で提供される。ハイブリッド雑音緩和方式は、CTシステム10、100(図1、9)のガントリ開口48、104の内部でも、またCTシステム10、100内及び周囲の区域でも、可聴の音響的雑音のレベルを低下させる。
【0039】
従って、本発明の一実施形態によれば、CTシステムが、外筐体と、外筐体の内部に配置されて、走査される対象を収容するガントリ開口を有する回転式ガントリと、回転式ガントリに装着されて、対象へ向けてX線ビームを投射するように構成されているX線源と、回転式ガントリに装着されて、対象を通過したX線エネルギを検出し、該検出に応答して、対象の画像として再構成され得る検出器出力を発生するように構成されている検出器アレイと、運転中にCTシステムによって発生される雑音を緩和するように構成されているハイブリッド雑音緩和システムとを含んでおり、ハイブリッド雑音緩和システムは、受動式態様で雑音を制御するように構成されている受動式雑音緩和装置と、能動式態様で雑音を制御するように構成されている能動式雑音緩和装置とを含んでいる。
【0040】
本発明のもう一つの実施形態によれば、CTシステムが、走査される対象を収容するガントリ開口を有する回転式ガントリと、回転式ガントリの周囲に配置されている外筐体であって、当該外筐体内部に空気をそれぞれ流入及び流出させるファンを各々含むガントリ入口ダクト及びガントリ排気ダクトを内部に形成した外筐体とを含んでいる。このCTシステムはまた、回転式ガントリに装着されて、対象へ向けてX線ビームを投射するように構成されているX線源と、回転式ガントリに装着されて、対象を通過したX線エネルギを検出し、該検出に応答して、対象の画像として再構成され得る検出器出力を発生するように構成されている検出器アレイと、X線源及び検出器アレイの各々に対応して回転式ガントリに装着されて、X線源及び検出器アレイに冷却を提供するように構成されている熱交換器とを含んでいる。このCTシステムはさらに、CTシステムの運転中にCTシステムによって発生される雑音を緩和するように構成されている複数の雑音緩和装置を含んでおり、雑音緩和装置はガントリ入口ダクト、ガントリ排気ダクト、及び熱交換器の各々に設けられて、該ガントリ入口ダクト、ガントリ排気ダクト、及び熱交換器により発生される雑音を受動式態様及び能動式態様の少なくとも一方で緩和する。
【0041】
本発明のさらにもう一つの実施形態によれば、CTシステムの雑音を緩和する方法が、CTシステムの既存の構成要素及び特徴に複数の雑音緩和装置を一体化させるステップと、CTシステムによって発生される可聴の音響的雑音のレベルを複数の雑音緩和装置を介して受動式で低下させるステップと、CTシステムによって発生される可聴の音響的雑音のレベルを複数の雑音緩和装置を介して能動式で低下させるステップとを含んでいる。複数の雑音緩和装置は、CTガントリの回転、ガントリ・ファン、X線管運転、X線管熱交換器ファン、及びX線検出器熱交換器ファンの少なくとも一つによって発生される可聴の音響的雑音のレベルを低下させるように構成されている。
【0042】
この書面の記載は、最適な態様を含めて発明を開示し、また任意の装置又はシステムを製造して利用すること及び任意の組み込まれた方法を実行することを含めてあらゆる当業者が本発明を実施することを可能にするように実例を用いている。本発明の特許付与可能な範囲は特許請求の範囲によって画定され、当業者に想到される他の実例を含み得る。かかる他の実例は、特許請求の範囲の書字言語に相違しない構造要素を有する場合、又は特許請求の範囲の書字言語と非実質的な相違を有する等価な構造要素を含む場合には、特許請求の範囲内にあるものとする。
【符号の説明】
【0043】
10:CTイメージング・システム
12:ガントリ
13:外筐体
14:X線源
16:X線ビーム
18:検出器アセンブリ又はコリメータ
20:複数の検出器
22:患者
24:回転中心
26:制御機構
28:X線制御器
30:ガントリ・モータ制御器
32:データ取得システム(DAS)
34:画像再構成器
36:コンピュータ
38:大容量記憶装置
40:コンソール
42:表示器
44:テーブル・モータ制御器
46:電動テーブル
48:ガントリ開口
50:ガントリ入口ダクト
52、56:ファン
54:ガントリ排気ダクト
58、60:熱交換器
62:X線源からの雑音
64:X線源熱交換器からの雑音
66:X線検出器熱交換器からの雑音
68:ガントリ排気ダクトのファンからの雑音
70:ガントリ入口ダクトのファンからの雑音
72:ガントリの回転からの雑音
74:冷却ユニット
76:配管
78:ファン
80:ファン・プレナム
82:空気フィルタ
84:出口ダクト
86:発泡体層
88:スピーカ
90:誤差マイクロフォン
91:参照マイクロフォン
92:制御器
94:空気フィルタ
96:システム・レベル雑音制御器
97:冷却ファン
98:冷却ファンの雑音入力
99:他の雑音発生源
100:小包/手荷物検査システム
102:回転式ガントリ
104:開口
106:高周波電磁エネルギ源
108:検出器アセンブリ
110:コンベヤ・システム
112:コンベヤ・ベルト
114:構造
116:小包又は手荷物

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外筐体と、
該外筐体の内部に配置されて、走査される対象を収容するガントリ開口を有する回転式ガントリと、
該回転式ガントリに装着されて、前記対象へ向けてX線ビームを投射するように構成されているX線源と、
前記回転式ガントリに装着されて、前記対象を通過したX線エネルギを検出し、該検出に応答して、前記対象の画像として再構成され得る検出器出力を発生するように構成されている検出器アレイと、
運転中に当該計算機式断層写真法(CT)システムにより発生される雑音を緩和するように構成されているハイブリッド雑音緩和システムと
を備えた計算機式断層写真法(CT)システムであって、
前記ハイブリッド雑音緩和システムは、受動式態様で雑音を制御するように構成されている受動式雑音緩和装置と、能動式態様で雑音を制御するように構成されている能動式雑音緩和装置とを含んでいる、計算機式断層写真法(CT)システム。
【請求項2】
前記外筐体は、
前記CTシステムを冷却するために周囲空気を周囲の環境から当該外筐体の内部容積に受け入れるガントリ入口ダクトであって、前記周囲空気を周囲の環境から当該外筐体の前記内部に吸引するファンを内部に配置して含んでいるガントリ入口ダクトと、
前記CTシステムを冷却するために空気を前記外筐体の前記内部容積から周囲の環境へ排出するガントリ排気ダクトであって、空気を前記外筐体の前記内部容積から周囲の環境に押し出すファンを内部に配置して含んでいるガントリ排気ダクトと
を含んでいる、請求項1に記載の計算機式断層写真法(CT)システム。
【請求項3】
前記受動式雑音緩和装置は、前記ガントリ入口ダクト及び前記ガントリ排気ダクトの少なくとも一方の内部に配置されて、前記ファンにより発生される可聴の音響的雑音のレベルを低下させるように、前記ファンにより発生される雑音の高周波内容を減少させるように構成されている防音性発泡体の層を含んでいる、請求項2に記載の計算機式断層写真法(CT)システム。
【請求項4】
前記能動式雑音緩和装置は、
前記ガントリ入口ダクト及び前記ガントリ排気ダクトの少なくとも一方の内部に配置されているスピーカと、
前記ガントリ入口ダクト及び前記ガントリ排気ダクトの前記少なくとも一方に近接して配置されて、前記ファンにより発生される雑音を測定する参照マイクロフォンと、
制御器と
を含んでおり、該制御器は、
前記ファンにより発生される前記測定された雑音を示す出力を前記参照マイクロフォンから受け取り、
前記測定された雑音に基づいて、前記スピーカにより発生されるべき雑音の正しい周波数及び位相を決定するためにディジタル信号処理(DSP)アルゴリズムを適用し、
前記ファンにより発生される前記雑音を相殺して前記ファンにより発生される可聴の音響的雑音のレベルを低下させるように、前記ファンにより発生される前記雑音と同じ周波数であるが前記ファンにより発生される前記雑音と位相の異なる音を発生するように前記DSPアルゴリズムを介して前記スピーカを制御する
ように構成されている、請求項2に記載の計算機式断層写真法(CT)システム。
【請求項5】
前記X線源に冷却を提供するように構成されているX線源熱交換器と、
前記検出器アレイに冷却を提供するように構成されている検出器熱交換器と
をさらに含んでおり、
前記X線源熱交換器及び前記検出器熱交換器の各々が、
冷却流体を冷却して、配管を通して該冷却流体をポンプ供給するように構成されている冷却ユニットと、
ファン・プレナムと、
該ファン・プレナムの内部に配置されて、熱エネルギを前記冷却流体から引き出すように、空気を前記冷却ユニットの周囲に吹き込む又は空気を前記冷却ユニットから吸引するの何れかを行なうように構成されているファンと、
熱せられた空気を前記熱交換器空気から排出するように構成されている出口ダクトと
を含んでいる、請求項1に記載の計算機式断層写真法(CT)システム。
【請求項6】
前記受動式雑音緩和装置は、前記出口ダクトの内部に配置されて、前記ファンにより発生される可聴の音響的雑音のレベルを低下させるように、前記ファンにより発生される雑音の高周波内容を減少させるように構成されている防音性発泡体の層を含んでいる、請求項5に記載の計算機式断層写真法(CT)システム。
【請求項7】
前記能動式雑音緩和装置は、
前記出口ダクトの内部に配置されているスピーカと、
前記出口ダクトの近傍に配置されて、前記ファンにより発生される雑音を測定する参照マイクロフォンと、
制御器と
を含んでおり、該制御器は、
前記ファンにより発生される前記測定された雑音を示す出力を前記参照マイクロフォンから受け取り、
前記測定された雑音に基づいて、前記スピーカにより発生されるべき雑音の正しい周波数及び位相を決定するためにディジタル信号処理(DSP)アルゴリズムを適用し、
前記ファンにより発生される前記雑音を相殺して前記ファンにより発生される可聴の音響的雑音のレベルを低下させるように、前記ファンにより発生される前記雑音と同じ周波数であるが前記ファンにより発生される前記雑音と位相の異なる音を発生するように前記DSPアルゴリズムを介して前記スピーカを制御する
ように構成されている、請求項5に記載の計算機式断層写真法(CT)システム。
【請求項8】
前記制御器は、前記スピーカを制御するためにフィード・フォワード型又はフィード・バック型の制御手法の一方を実装しており、前記制御器は、前記フィード・フォワード型制御手法を実装するときには前記参照マイクロフォンのみから入力を受け取り、前記フィード・バック型制御手法を実装するときには前記参照マイクロフォン及び別個の誤差マイクロフォンから入力を受け取る、請求項7に記載の計算機式断層写真法(CT)システム。
【請求項9】
前記ハイブリッド雑音緩和システムは、前記ガントリ開口の内部及び当該CTシステムの周囲の区域において当該CTシステムにより発生される可聴の音響的雑音のレベルを低下させるように構成されている、請求項1に記載の計算機式断層写真法(CT)システム。
【請求項10】
前記外筐体は、当該CTシステムにより発生される雑音を受動式態様で制御するように、前記回転式ガントリを実質的に包囲している、請求項1に記載の計算機式断層写真法(CT)システム。
【請求項11】
走査される対象を収容するガントリ開口を有する回転式ガントリと、
該回転式ガントリの周囲に配置されている外筐体であって、当該外筐体の内部に空気をそれぞれ流入及び流出させるファンを各々含むガントリ入口ダクト及びガントリ排気ダクトを内部に形成した外筐体と、
前記回転式ガントリに装着されて、前記対象へ向けてX線ビームを投射するように構成されているX線源と、
前記回転式ガントリに装着されて、前記対象を通過したX線エネルギを検出し、該検出に応答して、前記対象の画像として再構成され得る検出器出力を発生するように構成されている検出器アレイと、
前記X線源及び前記検出器アレイの各々に対応して前記回転式ガントリに装着されて、前記X線源及び前記検出器アレイに冷却を提供するように構成されている熱交換器と、
運転中に当該計算機式断層写真法(CT)システムにより発生される雑音を緩和するように構成されている複数の雑音緩和装置と
を備えた計算機式断層写真法(CT)システムであって、
雑音緩和装置は、前記ガントリ入口ダクト、ガントリ排気ダクト、及び熱交換器の各々に設けられて、該ガントリ入口ダクト、ガントリ排気ダクト、及び熱交換器により発生される雑音を受動式態様及び能動式態様の少なくとも一方で緩和する、計算機式断層写真法(CT)システム。
【請求項12】
前記複数の雑音緩和装置は、前記ガントリ入口ダクト及び前記ガントリ排気ダクトの内部に配置されて、内部の前記ファンにより発生される可聴の音響的雑音のレベルを受動式で低下させるように、前記ファンにより発生される雑音の高周波内容を減少させるように構成されている防音性発泡体の層を含んでいる、請求項11に記載の計算機式断層写真法(CT)システム。
【請求項13】
前記複数の雑音緩和装置は、前記ガントリ入口ダクト及び前記ガントリ排気ダクトの各々に対応して能動式雑音緩和装置を含んでおり、各々の能動式雑音緩和装置が、
前記ガントリ入口ダクト及び前記ガントリ排気ダクトの内部に配置されているスピーカと、
前記ガントリ入口ダクト及び前記ガントリ排気ダクトの近傍に配置されて、前記それぞれのファンにより発生される雑音を測定するマイクロフォンと、
制御器と
を含んでおり、該制御器は、
前記それぞれのファンにより発生される前記測定された雑音を示す出力を前記マイクロフォンから受け取り、
前記測定された雑音に基づいて、前記スピーカにより発生されるべき雑音の正しい周波数及び位相を決定するためにディジタル信号処理(DSP)アルゴリズムを適用し、
前記それぞれのファンにより発生される前記雑音を相殺して前記それぞれのファンにより発生される可聴の音響的雑音のレベルを能動式で低下させるように、前記それぞれのファンにより発生される前記雑音と同じ周波数であるが前記ファンにより発生される前記雑音と位相の異なる音を発生するように前記DSPアルゴリズムを介して前記それぞれのスピーカを制御する
ように構成されている、請求項11に記載の計算機式断層写真法(CT)システム。
【請求項14】
前記X線源及び前記検出器アレイの各々に対応する前記熱交換器は、
冷却流体を冷却して、配管を通して該冷却流体をポンプ供給するように構成されている冷却ユニットと、
ファン・プレナムと、
該ファン・プレナムの内部に配置されて、熱エネルギを前記冷却流体から引き出すように、空気を前記冷却ユニットの周囲に吹き込む又は空気を前記冷却ユニットから吸引するの何れかを行なうように構成されているファンと、
熱せられた空気を前記熱交換器から排出するように構成されている出口ダクトと
を含んでいる、請求項11に記載の計算機式断層写真法(CT)システム。
【請求項15】
前記複数の雑音緩和装置は、前記出口ダクトの内部に配置されて、前記ファンにより発生される可聴の音響的雑音のレベルを受動式で低下させるように、前記ファンにより発生される雑音の高周波内容を減少させるように構成されている防音性発泡体の層を含んでいる、請求項14に記載の計算機式断層写真法(CT)システム。
【請求項16】
前記複数の雑音緩和装置は、前記熱交換器の各々に対応する能動式雑音緩和装置を含んでおり、各々の能動式雑音緩和装置が、
前記出口ダクトの内部に配置されているスピーカと、
前記出口ダクトに隣接して配置されて、前記ファンにより発生される雑音を測定するマイクロフォンと、
制御器と
を含んでおり、該制御器は、
前記ファンにより発生される前記測定された雑音を示す出力を前記マイクロフォンから受け取り、
前記測定された雑音に基づいて、前記スピーカにより発生されるべき雑音の正しい周波数及び位相を決定するためにディジタル信号処理(DSP)アルゴリズムを適用し、
前記ファンにより発生される前記雑音を相殺して前記ファンにより発生される可聴の音響的雑音のレベルを能動式で低下させるように、前記ファンにより発生される前記雑音と同じ周波数であるが前記ファンにより発生される前記雑音と位相の異なる音を発生するように前記DSPアルゴリズムを介して前記スピーカを制御する
ように構成されている、請求項14に記載の計算機式断層写真法(CT)システム。
【請求項17】
計算機式断層写真法(CT)システムの雑音を緩和する方法であって、
当該CTシステムの既存の構成要素及び特徴に複数の雑音緩和装置を一体化させるステップと、
当該CTシステムにより発生される可聴の音響的雑音のレベルを前記複数の雑音緩和装置を介して受動式で低下させるステップと、
当該CTシステムにより発生される可聴の音響的雑音のレベルを前記複数の雑音緩和装置を介して能動式で低下させるステップと
を備えており、前記複数の雑音緩和装置は、CTガントリの回転、ガントリ・ファン、X線管運転、X線管熱交換器ファン、及びX線検出器熱交換器ファンの少なくとも一つにより発生される可聴の音響的雑音のレベルを低下させるように構成されている、方法。
【請求項18】
可聴の音響的雑音のレベルを受動式で低下させる前記ステップは、内部に含まれているファンにより発生される雑音を緩和するように、ガントリ筐体入口ダクト、ガントリ筐体排気ダクト、前記X線源熱交換器、及び前記検出器熱交換器の各々に防音性発泡体の層を一体化することを含んでおり、該防音性発泡体の層は、前記ファンにより発生される可聴の音響的雑音のレベルを受動式で低下させるように、前記ファンにより発生される雑音の高周波内容を減少させるように構成されている、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
可聴の音響的雑音のレベルを能動式で低下させる前記ステップは、前記それぞれのファンにより発生される前記雑音を相殺して前記それぞれのファンにより発生される可聴の音響的雑音のレベルを能動式で低下させるように、前記それぞれのファンにより発生される前記雑音と同じ周波数であるが前記それぞれのファンにより発生される前記雑音と位相の異なる音を発生するように、制御器を介して前記ガントリ・ファン、X線管熱交換器ファン、及びX線検出器熱交換器ファンの各々の近傍に配置されているスピーカを制御することを含んでいる、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
それぞれのスピーカを制御する前記ステップは、フィード・フォワード型手法に従ってそれぞれのスピーカを制御することを含んでおり、前記フィード・フォワード型手法は、
それぞれのファンの近傍に配置されている参照マイクロフォンを介してそれぞれのファンにより発生される雑音を測定するステップと、
前記ファンにより発生される前記測定された雑音を示す出力を前記参照マイクロフォンから前記制御器に供給するステップと、
前記スピーカにより発生されるべき雑音の正しい周波数及び位相を決定するために、前記制御器によりディジタル信号処理(DSP)アルゴリズムを前記測定された雑音に適用するステップと、
前記ファンにより発生される前記雑音を相殺して前記ファンにより発生される可聴の音響的雑音のレベルを能動式で低下させるように、前記ファンにより発生される前記雑音と同じ周波数であるが前記ファンにより発生される前記雑音と位相の異なる音を発生するように前記DSPアルゴリズムを介して前記スピーカを制御するステップと
を含んでいる、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
それぞれのスピーカを制御する前記ステップは、フィード・バック型手法に従ってそれぞれのスピーカを制御することを含んでおり、前記フィード・バック型手法は、
それぞれのファンの近傍に配置されている参照マイクロフォンを介してそれぞれのファンにより発生される雑音を測定するステップと、
前記ファンにより発生される前記測定された雑音を示す出力を前記参照マイクロフォンから前記制御器に供給するステップと、
前記スピーカにより発生されるべき雑音の正しい周波数及び位相を決定するために、前記制御器によりディジタル信号処理(DSP)アルゴリズムを前記測定された雑音に適用するステップと、
前記ファンにより発生される前記雑音を相殺して前記ファンにより発生される可聴の音響的雑音のレベルを能動式で低下させるように、前記ファンにより発生される前記雑音と同じ周波数であるが前記ファンにより発生される前記雑音と位相の異なる音を発生するように前記DSPアルゴリズムを介して前記スピーカを制御するステップと、
前記スピーカ音の発生の後に存在するあらゆる音響的雑音を誤差マイクロフォンを介して測定するステップと、
音響的雑音のレベルをさらに最小化するように、前記スピーカにより発生される前記音を調節する出力を前記誤差マイクロフォンから前記制御器に供給するステップと
を含んでいる、請求項19に記載の方法。
【請求項22】
前記制御器は、構成要素レベル制御器及びCTシステム・レベル制御器の一方を含んでいる、請求項19に記載の方法。
【請求項23】
前記複数の雑音緩和装置は、雑音レベル閾値を上回って上昇した雑音レベルの検出時に、前記CTシステムにより発生される可聴の音響的雑音のレベルを能動式で低下させるようにされる、請求項17に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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