説明

計量装置

【課題】
物品の重量を計量手段によって計量する計量装置において、物品の計量条件に応じて、最適なフィルタ処理を行い、高精度の計量が可能な計量装置を提供することを課題とする。
【解決手段】
物品Mが搬入コンベア2から計量コンベア3に移載完了した時点から搬出コンベア4への受け渡しが開始される時点までの間に一定のサンプリング周期で入力されたデジタルデータをデータ記憶装置8にストックし、計量終了時点までにストックされた全てのデータをデジタルフィルタ9に入力し、入力されたデータの数に応じて最適なフィルタ特性を選択した上でノイズ成分の処理を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品を計量する計量装置に関し、計量技術の分野に属する。
【背景技術】
【0002】
従来、製造ラインで製造された物品を計量する計量装置が用いられることがある。図6に示すように、前記計量装置50は、一般に、物品Mが上流側の搬入コンベア51から計量コンベア52を経由して下流側の搬出コンベア53まで搬送され、物品Mが前記計量コンベア52に載っている間に該計量コンベア52の重量検出器54により該物品Mの重量が計量されるように構成されている。
【0003】
その場合、重量検出器54によるアナログデータは、例えば特許文献1〜3に開示されているように、概ね増幅器55により増幅されてAD変換器56に出力され、該AD変換器56により一定のサンプリング周期でデジタルデータに変換された後、デジタルフィルタ57を経由してノイズ成分が除去された上で出力され、計量装置50の目的に応じて処理される。
【0004】
また、計量コンベア52による計量に際しては、図7に示すように、搬送方向に対して傾きが無い状態で物品M1が搬入コンベア51から計量コンベア52に完全に乗り移った時点、つまり物品M1の後端部が計量コンベア52に乗り移った時点が計量開始の時点、物品M1の先頭部が計量コンベア52から搬出コンベア53に乗り移り始めた時点が計量終了の時点とされている。そして、前記デジタルフィルタ57により、前記計量時間内に一定の周期でサンプリングされたデジタルデータから振動外乱等のノイズ成分が除去される。
【0005】
次に、前記デジタルフィルタ57の動作原理について説明する。デジタルフィルタ57は、一般的にローパスフィルタとしてFIR型のフィルタが使用されており、物品Mが計量コンベア52上で計量されている間に、一定のサンプリング周期で一つずつデジタルデータが入力されるようになっている。
【0006】
例えば、デジタルフィルタ57は、図8(a)に示すように、データのストック場所をn個有しており、入力されたn個のデジタルデータd1〜dnは、各ストック場所にストックされる。その際、古いデータから順に図の右側のストック場所にストックされる(サンプリングされたデータd1〜dnにおいて、d1が最も初期に入力された古いデータで、dnが最も新しいデータである)。これらn個のデータd1〜dnを加算してデータの個数nで割ることにより、デジタルデータの平均化処理が行われる。
【0007】
そして、図8(b)に示すように、次のサンプリングにより、新しいデジタルデータdn+1が入力されると、該データdn+1は、最新のデータとして最も左端のストック場所にストックされ、データd1〜dnはそれぞれ一つ右側のストック場所にシフトされて、n固のデータの内で最も古いデータd1が右端のストック場所から廃棄され、このデータd1に代わってこの場所にストックされるデータd2が最も古いデータとなる。これらn個のデータd2〜dn+1についても同様に、総和をデータの個数nで割ることにより平均化処理が行われる。
【0008】
以上のように、一定のサンプリング周期で入力された全てのデジタルデータについて、1データずつシフトさせながら、一定個数ずつ逐次的に平均化処理が行われる。これにより、急激に変化する信号が平均化され、該信号を波形で見たときには滑らかな波形となる。
【0009】
なお、デジタルフィルタ57におけるn個のデータの平均化処理は、以下の式(1)を用いて行われる。フィルタ係数anは、デジタルフィルタ57のフィルタ特性を決めるものであり、予め設定された固有の係数が用いられている。
S=(a1×d1+a2×d2+…+an×dn)/n …(1)
ここで、n:データのサンプリング回数
S:平均化処理後のデジタルデータ
dn:平均化処理前のデジタルデータ
an/n:フィルタ係数
【0010】
なお、前記特許文献1には、計量コンベアで検出したアナログデータを増幅器で増幅した後、AD変換器によりデジタルデータに変換し、該デジタルデータの周波数成分の解析結果に基づいてノイズ成分が0となるようにAD変換器のサンプリング周期を設定した上で、デジタルフィルタによる平均化処理を行うように構成された計量装置が、また、前記特許文献2には、床振動や機械振動の振動周波数とその振幅とを解析し、その結果に応じて振動周波数を除去するデジタルフィルタのフィルタ特性を設定するように構成された計量装置が、そして、前記特許文献3には、所定の演算式を用いてデジタルフィルタのフィルタ係数を簡単に変更可能で、その結果簡単にノイズ成分の除去を行うように構成された計量装値がそれぞれ開示されている。
【0011】
【特許文献1】特開平8−297044号公報
【特許文献2】特開平11−316153号公報
【特許文献3】特開2004−150883号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
ところで、従来の装置では、図7に示すように、物品M2が搬送方向に対して傾いた状態で計量コンベア52に搬入されることがある。ここで、計量コンベア52の長さをL、前記物品M1の搬送方向の長さをL1、前記物品M2の搬送方向の長さをL2、計量コンベア52の搬送速度をvとすると、長さL2は、物品M1が搬送方向に対して傾きが無い状態で搬送されてきたときの長さL1よりも長くなるため、物品M2において計量に供せられる時間T2=(L−L2)/vは、物品M1において計量に供せられる時間T1=(L−L1)/vより短くなる。なお、物品M2は、搬送方向の長さL2が最も長くなるように搬送方向に対して傾いたものを例示している。
【0013】
その場合、サンプリング周期が一定であるから、計量に供せられる時間が短いほど得られるデータの数が少なくなる。よって、物品M2では、物品M1と比較して得られるデータの数が少なくなる。
【0014】
このため、物品Mが搬送方向に対して種々傾いて搬入される場合、データ数の点で最悪の状態を前提とし、その場合にサンプリング可能なデータ数に基づいた計量を行うことになるから、本来ならば計量時間を長く設定することができる物品M1の場合にも前述したやり方、つまり少ないデータ数による平均化処理が適用されることとなり、計量精度の点で犠牲を強いられるという問題がある。
【0015】
そこで、本発明は、計量される物品の条件に応じて最適なフィルタ処理を行い、高精度の計量が可能な計量装置を提供することを課題とする。なお、前記条件とは、例えば物品を搬送しつつ計量する重量チェッカでは、重量、長さ等、また、複数の物品を目標重量に計量する組合せ計量装置では、落下距離、物品群の量等が当てはまる。
【課題を解決するための手段】
【0016】
前記課題を解決するため、本発明は次のように構成したことを特徴とする。
【0017】
まず、請求項1に記載の発明は、物品の重量を計量する計量手段と物品を搬送する搬送手段とを有する計量装置であって、上流側から前記計量手段への物品の移載が完了したことを検出する移載検出手段と、前記計量手段での計量完了時点を判別する判別手段と、前記計量手段からの計量信号をAD変換するAD変換器と、前記移載検出手段によって計量手段への物品の移載完了を検知した時点から前記判別手段によって計量の完了を判別した時点までの間、前記AD変換器から出力されるデジタルデータをストックするデータストック手段と、該データストック手段によるデータのストックが終了した後に、計量条件に応じた特性でフィルタリングするフィルタ手段とを有することを特徴とする。
【0018】
そして、請求項2に記載の発明は、前記請求項1に記載の発明において、前記計量条件は、前記物品の搬送方向の長さ及び搬送手段の搬送速度であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
まず、請求項1に記載の発明によれば、計量手段への物品の移載完了から下流側への受け渡し開始までの間、AD変換器から出力されるデジタルデータをストックし、データのストックが終了した後に、その計量条件に応じた特性でフィルタリングするようにしたから、データが出揃った時点でフィルタの特性を決定して、物品の計量条件に応じて最適かつ最善のフィルタリングを行い、高精度の計量が可能となる。すなわち、適切な計量条件で物品の計量が行われる場合には、最適な特性のフィルタが用いられるため、高精度の計量が犠牲にされることはない。
【0020】
また、複数のフィルタを並列に処理し、その中から最適な条件のものを選択する場合に比べて演算量、データストック量ともに軽減できる。
【0021】
さらに、AD変換器から出力されるデータをストックしておいて、必要なだけデータがストックされたら、必要な時期にまとめて一括して演算を行うため、物品が計量手段上にある間に一定の個数のデータを逐次的に処理する場合とは違い、演算時の負担が低減されるメリットがある。
【0022】
そして、請求項2に記載の発明によれば、前記計量条件を具体化することができる。すなわち、計量条件として、物品の搬送方向の長さ及び搬送手段の搬送速度を採用するようにしたから、これらの値に応じて最適な特性のフィルタを選択した上でフィルタリングを行い、高精度の計量を一層確実に実現することが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
[第1の実施の形態]
以下、本発明の第1の実施の形態に係る計量装置について説明する。
【0024】
まず、図1に示すように、本発明の第1の実施の形態に係る計量装置1は、物品Mが上流側の搬入コンベア2から計量コンベア3を経由して下流側の搬出コンベア4まで搬送され、物品Mが前記計量コンベア3に載っている間に該計量コンベア3の重量検出器5により該物品Mの重量が計量されるように構成されている。
【0025】
そして、この計量装置1は、該物品Mの重量に相当するアナログデータを検出する重量検出器5と、該重量検出器5によって検出されたアナログデータを増幅させる増幅器6と、該増幅器6により増幅されたアナログデータを一定のサンプリング周期でデジタルデータに変換するAD変換器7と、該AD変換器7により一定のサンプリング周期で変換されたデジタルデータをストックするデータ記憶装置8と、該データ記憶装置8にストックされた一定数のデジタルデータのノイズ成分を除去するフィルタ特性が変更可能なデジタルフィルタ9とが備えられている。
【0026】
そして、データ記憶装置8に制御信号を出力して、どの時点からどの時点までの間のデジタルデータをストックさせるかを指示し、デジタルフィルタ9に制御信号を出力して、該ストックされたデジタルデータの数に応じた最適なフィルタ特性の選択を指示するコントロールユニット10が前記データ記憶装置8及びデジタルフィルタ9に接続されている。
【0027】
また、計量コンベア3の上流端近傍には、物品Mの搬入コンベア2から計量コンベア3への移載が完了したことを検出する移載検出センサ11が設けられ、計量コンベア3の下流端近傍には、物品Mが計量コンベア3から搬出コンベア4に受け渡しが開始される時点を検出する受け渡し検出センサ12が設けられている。
【0028】
計量コンベア3による計量に際しては、物品Mが搬入コンベア2から計量コンベア3に移載完了した時点、つまり物品Mの後端部が計量コンベア3に乗り移った時点が計量開始の時点、物品Mの先頭部が計量コンベア3から搬出コンベア4に乗り移り始めた時点が計量終了の時点とされており、前記コントロールユニット10は、移載検出センサ11及び受け渡し検出センサ12からの信号を入力して、データ記憶装置8に制御信号を出力し、計量時間内、つまり計量開始の時点から計量終了の時点までの間のデジタルデータを、一定のサンプリング周期でストックさせる。
【0029】
このとき、コントロールユニット10が、計量終了の時点で、サンプリングされたデジタルデータの総数を認識し、デジタルフィルタ9に制御信号を出力して、該デジタルデータの総数に応じたフィルタ特性を選択した上でノイズ成分の処理を行わせる。
【0030】
ここで、この計量装置1の作用について説明する。物品Mが上流側から搬入コンベア2を介して計量コンベア3に供給されると、移載検出センサ11が物品Mの搬入コンベア2から計量コンベア3への移載を検出してから受け渡し検出センサ12が物品Mの計量コンベア3から搬出コンベア4への受け渡しを検出するまでの間に、重量検出器5による該物品Mの重量に相当するアナログデータが増幅器6に出力されて増幅され、AD変換器7により一定のサンプリング周期でデジタルデータに変換されて、データ記憶装置8にストックされる。そして、デジタルフィルタ9において、該デジタルデータの平均化処理が行われてノイズ成分が処理される。
【0031】
その場合、サンプリング周期が一定であるため、前述の図7(a)及び(b)を用いて説明したように、計量コンベア3上で計量されているときの搬送方向に対する物品Mの長さつまり傾き具合に応じて、サンプリングされるデジタルデータの数が変わるが、前記デジタルフィルタ9は、前記データ記憶装置8から入力されるデジタルデータの数に応じて最適なフィルタ特性を選択してから、データの平均化処理を行う。
【0032】
なお、デジタルデータの平均化処理は、前述した式(1)を用いて行われ、デジタルフィルタ9の特性を決定するフィルタ係数の数列(a1,a2,…,an)については、サンプリングされたデジタルデータの数nに応じて最適な数列が採用されることになる。
【0033】
以上のように構成したことにより、計量コンベア3への物品Mの移載完了から下流側の搬出コンベア4への受け渡し開始までの間、前記AD変換器7から出力されるデジタルデータをデータ記憶装置8にストックし、データのストックが終了した後に、そのデータ数に応じた特性でフィルタリングするようにしたから、データが出揃った時点でデジタルフィルタ9のフィルタ特性を決定して、物品Mの搬送方向に対する傾きに応じて最適かつ最善のフィルタリングを行い、高精度の計量が可能となる。すなわち、搬送方向に対して正常な向きで物品Mが受け渡された場合には、データ数が適切な多さとなるため、高精度の計量が犠牲にされることはない。
【0034】
そして、AD変換器7から出力されるデータをデータ記憶装置8にストックしておいて、必要なだけデータがストックされたら、必要な時期にまとめて一括して演算を行うため、物品Mが計量コンベア3上にある間に一定の個数のデータを逐次的に処理する場合とは違い、演算手段の負担が低減されるメリットがある。
【0035】
また、複数のフィルタを並列に処理し、その中から最適な条件のものを選択する場合に比べて演算量、データストック量ともに軽減できる。
【0036】
ここで、図2は、デジタルフィルタ9を用いてフィルタリングを行った場合の入出力信号のゲインと周波数との関係を表した周波数特性を示しており、例としてサンプリングしたデジタルデータの数nがn=100の場合とn=120の場合とにおいて、それぞれの場合に最適かつ最善のフィルタ特性を選択して平均化処理を行ったときの特性を示している。
【0037】
この特性から、データ数の多いn=120の場合におけるカットオフ周波数μ1の方が、データの少ないn=100の場合におけるカットオフ周波数μ2よりも低周波数側にあり、サンプリングしたデータの数が多いn=120の場合の方が高い周波数の信号をカットできており、高精度の計量が実現できることがわかる。
【0038】
[第2の実施の形態]
次に、本発明の第2の実施の形態に係る計量装置について説明する。但し、前記第1の実施の形態と重複する箇所についてはその説明を省略する。
【0039】
図3に示すように、本発明の第2の実施の形態に係る計量装置1′は、データ記憶装置にストックされた一定数のデジタルデータのノイズ成分を除去するためのフィルタとしてデジタルフィルタ9′が備えられている。このデジタルフィルタ9′は、それぞれ異なるフィルタ特性を有するN種類のフィルタからなるものであり、前記記憶装置8から入力されてくるデジタルデータの個数に応じて、N種類のフィルタの中から最適な特性のフィルタを選択した上でデータのノイズ成分の除去を行うように構成されている。
【0040】
ここで、この計量装置の作用について説明する。物品Mが搬入コンベア2を介して計量コンベア3に供給されると、移載検出センサ11が物品Mの搬入コンベア2から計量コンベア3への移載を検出してから受け渡し検出センサ12が物品Mの計量コンベア3から搬出コンベア4への受け渡しを検出するまでの間に、重量検出器5による該物品Mの重量に相当するアナログデータが増幅器6に出力されて増幅され、AD変換器7により一定のサンプリング周期でデジタルデータに変換されて、データ記憶装置8にストックされる。そして、デジタルフィルタ9′において、入力されるデジタルデータの個数に応じた最適な特性のフィルタがN種類のフィルタの中から選択され、該最適な特性のフィルタによりデジタルデータの平均化処理が行われてノイズ成分が処理される。
【0041】
このとき、コントロールユニット10が、物品Mの受け渡し開始の時点で、サンプリングされたデジタルデータの総数を認識し、デジタルフィルタ9′に制御信号を出力して、複数のフィルタの中から該デジタルデータの総数に応じた最適な特性のフィルタを選択した上でノイズ成分の処理を行わせる。
【0042】
以上のように構成したことで、計量コンベア3への物品Mの移載完了から下流側の搬出コンベア4への受け渡し開始までの間、前記AD変換器7から出力されるデジタルデータをストックし、該データのストックが終了したら、データの数に応じて最適な特性を有するフィルタを選択したのちフィルタリングを行うようにしたから、高精度の計量が実現可能となる。
【0043】
[第3の実施の形態]
【0044】
次に、本発明の第3の実施の形態に係る計量装置について説明する。但し、前記第2の実施の形態と同様に、前記第1の実施の形態と重複する箇所についてはその説明を省略する。
【0045】
図4に示すように、本発明の第3の実施の形態に係る計量装置1″では、移載検出センサ11が、物品Mが搬入コンベア2から計量コンベア3に移載されるときに、その先頭部と後端部とを検出し、タイマ13が内蔵されているコントロールユニット10が、前記移載検出センサ11が物品Mの先頭部を検出してから後端部を検出するまでの時間から該物品Mの長さを算出すると共に、その長さと計量コンベア3の長さと該計量コンベア3の速度とに基づき、物品Mの計量コンベア3への移載完了時点から下流側への受け渡し開始時点までの時間Tを算出し、この時間Tに基づいて物品の下流側への受け渡しが開始される時点を判別するようになっている。
【0046】
その場合に、前記コントロールユニット10は、物品Mの計量コンベア3への移載完了時点から時間Tが経過するまでの間に、データ記憶装置8に制御信号を出力して一定のサンプリング周期でデジタルデータをストックさせた後、デジタルフィルタ9に制御信号を出力して該デジタルデータのノイズ成分を除去させる。
【0047】
ここで、この時間Tは、以下に説明する方法でコントロールユニット10が算出する。すなわち、図5に示すように、計量コンベア3の長さをL、該計量コンベア3が物品Mを上流側から下流側へ搬送する速度をvとすると、前記移載検出センサ11が、物品Mの前端部及び後端部が計量コンベア3の上流端を通過する時点t1,t2を検出し、この時点t1,t2及び搬送速度vから物品Mの搬送方向の長さL3が、L3=(t2−t1)×vの式を用いて算出され、そして、この長さL3から物品Mにおいて計量に供せられる時間Tが、T=(L−L3)/vの式を用いて算出される。
【0048】
以上のように構成したことにより、コントロールユニット10によって物品Mの計量コンベア3への移載完了から下流側への受け渡し開始までに要する計量時間Tを算出し、この計量時間Tに基づいて物品Mの下流側への受け渡しが開始される時点を判別するようにしたから、移載検出センサ11により物品Mの計量コンベア3への移載開始の時点と移載完了の時点とさえ検出すれば、例えばセンサを設置して下流側への受け渡しが開始される時点を検出しなくてもよく、計量装置1″の構成を簡素化することができる。
【0049】
なお、本発明は、計量コンベア3を用いて上流側から搬送されてくる物品Mの計量を行う例えば重量チェッカのような計量装置1,1′,1″に適用されていたが、例えば複数の計量手段を有して組合せ演算を行うことにより物品を目標重量に計量する組合せ計量装置等の他のタイプの計量装置にも適用可能である。
【産業上の利用可能性】
【0050】
以上説明したように、本発明によれば、物品の計量条件に応じて、最適なフィルタ処理を行い、高精度の計量が可能な簡素化された計量装置が提供され、本発明は、計量技術の技術分野に広く好適である。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る計量装置の概略全体側面図である。
【図2】物品の重量を計量する際の、デジタルフィルタに入出力される信号のゲインと周波数との関係を表したグラフである。
【図3】本発明の第2の実施の形態に係る計量装置の概略全体側面図である。
【図4】本発明の第3の実施の形態に係る計量装置の概略全体側面図である。
【図5】図4の計量コンベア近傍の模式図である。
【図6】従来の計量装置の概略全体側面図である。
【図7】従来の計量装置の計量コンベア近傍の模式図であって、(a)は側面図、(b)は平面図を示す。
【図8】従来の計量装置におけるデジタルフィルタのデータのストック場所を説明するための模式図であって、(a)はn個のデータが各ストック場所にストックされている状態、(b)はn+1個目のデータが入力されてきたときの状態を示す。
【符号の説明】
【0052】
1,1′,1″ 計量装置
3 計量コンベア(計量手段)
7 AD変換器
8 データ記憶装置(データストック手段)
9,9′ デジタルフィルタ(フィルタ手段)
10 コントロールユニット(判別手段)
11 移載検出センサ(移載検出手段)
M 物品

【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品の重量を計量する計量手段と物品を搬送する搬送手段とを有する計量装置であって、
上流側から前記計量手段への物品の移載が完了したことを検出する移載検出手段と、
前記計量手段での計量完了時点を判別する判別手段と、
前記計量手段からの計量信号をAD変換するAD変換器と、
前記移載検出手段によって計量手段への物品の移載完了を検知した時点から前記判別手段によって計量の完了を判別した時点までの間、前記AD変換器から出力されるデジタルデータをストックするデータストック手段と、
該データストック手段によるデータのストックが終了した後に、計量条件に応じた特性でフィルタリングするフィルタ手段とを有することを特徴とする計量装置。
【請求項2】
前記請求項1に記載の計量装置において、
前記計量条件は、前記物品の搬送方向の長さ及び搬送手段の搬送速度であることを特徴とする計量装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−101333(P2007−101333A)
【公開日】平成19年4月19日(2007.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−290743(P2005−290743)
【出願日】平成17年10月4日(2005.10.4)
【出願人】(000147833)株式会社イシダ (859)