説明

計量装置

【課題】動的計量値を補正するための補正値をより精確に求める。
【解決手段】動的計量値を補正するための補正値を算出するための補正モードでは、静止重量値が既知のサンプル物品を搬送しながら計量する動的計量を複数回行い、CPU11は、荷重センサ5から増幅器8、A/D変換器9及び入出力回路10を介して与えられる荷重信号から取得した複数の各動的計量が、補正値を算出するのに適しているか否かを判定し、例えば、バラツキの大きい動的計量値、あるいは、偶然の床振動や風等の機械ノイズや電磁波による電気ノイズが混入した動的計量値といった補正値の算出に適していない動的計量値を除外するようにしている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、計量装置に関し、更に詳しくは、物品を搬送しながら計量する計量装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の計量装置、例えば、重量選別機は、物品を計量コンベヤによって搬送しながら計量し、計量された物品の重量に応じて計量コンベヤの下流側で物品を振り分けて選別するものである。
【0003】
かかる重量選別機では、計量コンベヤによって物品を搬送しながら短い時間内で計量するので、荷重信号には、計量コンベヤに付属するモータによる振動成分が重畳したり、物品の計量コンベヤへの載り込みによって生じる荷重信号の過渡応答が十分に収束しない短い時間内に計量されるために、計量誤差が生じ、物品を搬送しながら計量して得られる動的計量値が、物品の真の重量値である静的計量値(静止重量値)と異なってしまう。
【0004】
このため、例えば、特許文献1では、静的計量値が既知の物品を、複数回計量コンベヤによって搬送しながら計量し、得られる動的計量値に基づいて、静的計量値に略等しくなるように動的計量値を補正する補正値を求めるための設定モードを設けている。そして、この設定モードによって、前記補正値を求めておき、物品の選別を行う通常の計量モードでは、動的計量値を、予め求めた前記補正値によって、静的計量値に略等しくなるように補正し、この補正した補正重量値に基づいて物品を選別するようにしている。
【0005】
この特許文献1の設定モードでは、補正値は、次のようにして求められる。
【0006】
すなわち、静的計量値Wsが既知である物品をサンプル物品とし、その静的計量値Wsを設定する。
【0007】
次に、このサンプル物品を計量コンベヤによって搬送しながら1回目の計量を行い、1回目のサンプル物品の動的計量値W1が得られると、(Ws−W1)/W1を算出し、補正値A1を次式で算出する。
【0008】
1=1+(Ws−W1)/W1=Ws/W1
補正状態を表示するために、この1回目の計量時には、静的計量値Wsと1回目の動的計量値W1との差であるWs−W1が算出されて表示される。
【0009】
次に、上記サンプル物品を計量コンベヤによって搬送しながら2回目の計量を行い、2回目のサンプル物品の動的計量値W2が求まると、前記1回目の補正値A1を用いて動的計量値を補正した補正重量値W2・A1を算出し、2回目の補正値A2を次式で算出する。
【0010】
2={(Ws/W2)+A1}/2
補正の状態を表示するために、2回目の計量時には、静的計量値Wsと補正重量値W2・A1との差であるWs−W2・A1が算出されて表示される。
【0011】
同様にしてN回目のサンプル物品の動的計量値Wnが求まると、N−1回目の補正値An-1を用いて補正重量値Wn・An-1を算出し、N回目の補正値Anを次式で算出する。
【0012】
n={(Ws/Wn)+An-1}/2
補正の状態を表示するために、n回目の計量時は、静的計量値Wsと補正重量値Wn・An-1との差であるWs−W2・An-1が算出されて表示される。
【0013】
この補正状態を示す表示値が、所定の誤差の範囲内になったときに、補正重量値が静的計量値Wsに略等しくなったとして設定モードを終了する。
【0014】
例えば、N回の動的計量によって設定モードを終了したときには、最終的に記憶される補正値Anは、
n={(Ws/Wn)+An-1}/2
となる。
【0015】
物品の選別を行う通常の計量モードにおいては、物品を搬送しながら計量して得られる動的計量値を、設定モードで求めた前記補正値Anを用いて静的計量値に略等しくなるように補正し、この補正した補正重量値と、良品とされる重量の上限値及び下限値とを比較して、物品を良品と不良品とに選別するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【特許文献1】特公平6−95034号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
上記設定モードにおける1回からN回までの動的計量値W1,W2,W3,……Wnは、計量コンベヤの振動成分等によるばらつきを有している。また、前記設定モードを終了するか否かの判定は、補正の状態を示す上記表示値(Ws−Wn・An-1)によって行っているが、この表示値には、ばらつきを有する動的計量値Wnが含まれているので、動的計量値Wnのばらつきが毎回現れることになる。
【0018】
このため、補正値が未だ正しく求まっておらず、充分良好な補正値ではないにも拘らず、動的計量値のばらつきによって、前記表示値が、たまたま所定の誤差の範囲内に入ってしまい、補正値を求めるための設定モードを終了してしまう場合があり、よりよい補正値があっても不充分な補正値のままで設定モードを終了してしまうことになる。このような設定モードの終了は、前記表示値と動的計量値のばらつきの大きさとが近接しているときには、度々生じることになる。
【0019】
また、設定モードにおける動的計量値の測定中に、偶然に生じた床振動や風等の機械ノイズや電磁波による電気ノイズが混入し、本来、除外すべき動的計量値が取込まれてしまう場合があり、かかる場合には、正しい動的計量値に比べてかけ離れた動的計量値が取込まれるので、前記表示値が所定の誤差の範囲内に入るまでに不必要に多くの計量回数が必要となってしまう。
【0020】
本発明は、上述のような点に鑑みて為されたものであって、動的計量値を補正するための補正値を精確に求めることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0021】
上記目的を達成するために、本発明では、次のように構成している。
【0022】
(1)本発明の計量装置は、物品を搬送しながら計量する動的計量を行なうことによって得られる動的計量値を、補正値によって補正して補正重量値を算出する計量モードと、
前記補正値を算出するために、静止重量値が既知のサンプル物品を搬送しながら計量する動的計量を、予め設定される設定数以上の複数回行って複数の動的計量値を取得する補正モードとを備え、
前記補正モードで取得する複数の各動的計量値が、前記補正値を算出するのに適しているか否かをそれぞれ判定する判定手段を備える。
【0023】
サンプル物品とは、計量モードで実際に計量する物品のサンプルとなる代表的な物品であり、例えば、計量モードで実際に計量される物品の平均的な重量及び平均的な性状を有する物品であるのが好ましい。
【0024】
本発明の計量装置によると、動的計量値を補正するための補正値を算出するための補正モードでは、設定数以上の動的計量を行なうことによって取得した複数の各動的計量値が補正値を算出するのに適しているか否かをそれぞれ判定するので、補正モードの実施中に得られたバラツキの大きい動的計量値、例えば、偶然に生じた床振動や風等の機械ノイズや電磁波による電気ノイズが混入した動的計量値など、補正値の算出に適していない動的計量値を除外することが可能となり、これによって、補正値の算出に適した動的計量値のみを用いて精確な補正値を算出することができ、この補正値によって補正された補正後の動的計量値も精確なものとなる。
【0025】
(2)本発明の計量装置の好ましい実施態様では、前記判定手段は、前記各動的計量値が、前記複数の動的計量値の平均値を中心とした許容範囲内に在るか否かによって、前記補正値を算出するのに適しているか否かをそれぞれ判定する。
【0026】
この実施態様によると、複数の動的計量値の平均値に対する許容範囲から外れるような動的計量値は、補正値の算出に適していない動的計量値として除外されるので、補正値の算出に適した動的計量値のみを用いて精確な補正値を算出することができる。
【0027】
(3)本発明の計量装置の他の実施態様では、前記計量モードでは、前記補正重量値が静止重量値に等しくなるように、動的計量値を前記補正値によって補正するものであり、
前記判定手段による判定に用いられる前記許容範囲の境界値が、前記計量モードの前記補正重量値の許容精度と前記設定数とに基づいて規定される。
【0028】
この実施態様によると、動的計量値を補正値によって補正した補正重量値の許容精度、すなわち、静止重量値の許容精度と補正モードで動的計量を実施する最小回数である設定数とが設定されると、判定手段の判定基準となる許容範囲の境界値が自動的に規定されることになる。
【0029】
なお、本発明の他の実施態様として、前記境界値を、補正値によって補正される補正重量値が、その許容精度を満たすように規定してもよい。
【0030】
(4)本発明の計量装置の好ましい実施態様では、前記判定手段によって、前記補正値を算出するのに適していると判定された動的計量値の数が、前記設定数以上になったときには、前記補正値を算出するのに適していると判定された動的計量値と前記静止重量値とに基づいて、前記補正値を算出する演算手段を備える。
【0031】
演算手段では、前記設定数以上の複数の動的計量値を用いて補正値を算出する。
【0032】
この実施態様によると、補正値を算出するのに適していると判定された動的計量値の数が、予め設定される設定数以上になったときに、適していると判定された動的計量値と前記静止重量値とに基づいて、補正値を算出するので、設定数以上の動的計量値を用いて補正値が算出されることになり、精確な補正値を得ることができる。
【0033】
なお、本発明の他の実施態様として、前記補正値を算出するのに適していると判定された動的計量値の数が、予め設定される設定数に達したときには、補正値を算出すると共に、補正モードにおける動的計量の回数が設定数に達したこと、あるいは、補正モードが終了したことを報知するようにしてもよい。これによって、使用者は、不必要にサンプル物品の動的計量を行う必要がない。
【0034】
(5)本発明の計量装置の他の実施態様では、前記補正モードにおいて前記サンプル物品の動的計量を行った回数が、前記設定数以上の回数に達した場合に、前記判定手段によって、前記補正値を算出するのに適していると判定された動的計量値の数が、前記設定数に達していないときには、前記補正モードにおいて前記サンプル物品の動的計量を行う回数が不足しているとして報知する報知手段を備える。
【0035】
報知手段は、不足している回数を報知するのが好ましいが、不足している回数を報知することなく、不足している旨だけを報知するものであってもよい。この報知手段は、表示出力によって報知するのが好ましいが、音声出力や印字出力、あるいは、それらを組合せて報知するものであってもよい。
【0036】
この実施態様によると、補正モードにおいてサンプル物品の動的計量を、予め設定される設定数以上の回数行なっても、補正値を算出するのに適していると判定された動的計量値の数が、予め設定される設定数に達していないときには、サンプル物品についての動的計量の回数が不足していることが報知されるので、使用者は、サンプル物品についての動的計量の回数が不足していることを認識して、サンプル物品についての動的計量を追加して行うことができる。
【0037】
なお、本発明の他の実施態様として、前記補正モードにおいて前記サンプル物品の動的計量を行った回数が、前記設定数に達してしない場合に、サンプル物品の動的計量を行う回数が不足しているとして報知手段で報知するようにしてもよい。
【0038】
(6)本発明の計量装置の他の実施態様では、前記計量モードで算出される前記補正重量値に基づいて、物品の良否を判別する判別手段を備える。
【0039】
この実施態様によると、補正重量値に基づいて、物品の良否を判別するので、物品を良品と不良品とに選別する重量選別機として好適である。
【発明の効果】
【0040】
本発明によると、設定数以上の動的計量を行なうことによって取得した複数の各動的計量値が補正値を算出するのに適しているか否かをそれぞれ判定するので、例えば、バラツキの大きい動的計量値、あるいは、偶然に生じた床振動や風等の機械ノイズや電磁波による電気ノイズが混入した動的計量値などの補正値の算出に適していない動的計量値を除外することが可能となり、これによって、補正値の算出に適した動的計量値のみを用いて精確な補正値を算出することができ、この補正値によって補正された補正後の動的計量値も精確なものとなる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】図1は本発明の一実施形態に係る計量装置としての重量選別機の概略構成および計測タイミング等を示す図である。
【図2】図2は、図1の重量選別機のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0042】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0043】
図1は、本発明の一つの実施形態に係る計量装置としての重量選別機の概略構成および計測タイミング等を示す図であり、図2は、図1の重量選別機のブロック図である。
【0044】
この実施形態の重量選別機1は、図1(a)に示すように、搬入コンベヤ2と、計量コンベヤ3と、搬出コンベヤ4と、計量コンベヤ3を支持する、例えばロードセル(LC)からなる荷重センサ5と、計量コンベヤ3に搬入される直前の物品6を検出する物品センサ7とを備えている。
【0045】
各コンベヤ2,3,4は、矢符Aで示される搬送方向の前後に配置されたローラに巻回された無端状のベルトで物品6を搬送するベルトコンベヤであり、図示しない駆動手段によって同期してローラが駆動される。なお、各コンベヤ2,3,4は、ベルトコンベヤに限らず、チェーンコンベヤ、ローラコンベヤ等であってもよい。
【0046】
搬入コンベヤ2は、搬送方向の上流側から供給される物品6を計量コンベヤ3に搬入し、計量コンベヤ3は、搬入コンベヤ2から順次搬入される物品6を搬送して搬出コンベヤ4に搬出する。この計量コンベヤ3によって物品6を搬送している期間における荷重センサ5の荷重信号から後述のように物品6の動的計量値を取得する。また、搬出コンベヤ4の下流側には、図示しない振分け装置が装備されており、物品6の計量結果に応じて、正常重量の良品と重量に過不足がある不良品との搬送先が振分け選別されるように構成されている。
【0047】
図2に示すように、重量選別機1は、荷重センサ5からのアナログの荷重信号を増幅する増幅器8と、増幅器8からの荷重信号をデジタル信号に変換するA/D変換器9と、入出力(I/O)回路10と、入出力回路10からの荷重信号に含まれる振動ノイズ等を減衰させるためのフィルタ処理を行なうと共に、各部を制御するCPU11と、制御プログラムが記憶されていると共に、動的計量値等のデータが記憶されるメモリ12と、各種の設定や運転モードの切換えなどのために操作される操作キーを備える入力部13と、計量値やメッセージを表示する液晶ディスプレイ等からなる表示部14とを備えている。入力部13及び表示部14は、それらを一体化したタッチパネルで構成してもよい。
【0048】
CPU11は、上記フィルタ処理に加えて、荷重信号から風袋となる計量コンベヤ3の重量や零点調整によってメモリ12に記憶している零点移動量を差し引いて物品6の動的計量値を算出したり、動的計量値を補正する補正値を算出するなどの各種の演算処理を行なう演算手段としての機能を有すると共に、動的計量値が補正値を算出するのに適している否かを判定する判定手段としての機能を有する。
【0049】
この実施形態では、物品6を計量して選別する稼動運転モードでは、選別すべき物品6が搬入コンベヤ2に供給され、搬入コンベヤ2は、物品6を計量コンベヤ3へ搬送する。搬入コンベヤ2からの物品6は、計量コンベヤ3の直前の位置で、フォトセンサなどからなる物品センサ7で検出され、この検出出力が、入出力回路10を介してCPU11に入力される。そして、物品6が計量コンベヤ3上に搬入されると、物品6の荷重が、図1(b)の負荷直線L1に示されるように荷重センサ5に負荷され、荷重センサ5は、図1(c)の過渡応答曲線L2に示す荷重信号を出力する。この荷重信号は、CPU11でフィルタ処理されて図1(d)に示すフィルタ応答曲線L3となる。物品センサ7による物品6の検出から一定時間が経過して荷重信号が安定したタイミングである、例えばp点で荷重信号から動的計量値を取得する。この動的計量値を、後述の動補正テストモードによって予め求めた補正値で補正し、この補正後の動的計量値と、上限値および下限値とを比較して、正常重量範囲内の良品と重量に過不足がある不良品とに物品6を選別する。
【0050】
フィルタ処理した荷重信号であっても、なお小さい振動成分が残留するので、荷重信号から取得した動的計量値には、バラツキ誤差成分が含まれると共に、物品が計量コンベヤ3上に存在している短時間に荷重信号を取得しなければならないので、動的計量値の取得時点であるp点では、図1(d)に示すように物品6の真の重量値を表す荷重、つまり、高い精度を持つ計量器において十分な過渡応答の収束時間を見込んで測定した静的計量値(静止重量値)Wsに対してフィルタの応答遅れに基づく固定的な偏差成分eが含まれている。
【0051】
したがって、物品6を搬送しながら計量した動的計量値は、計量コンベヤ3を停止させ、物品6を計量コンベヤ3上に載置し、十分長い時間をおいた場合に測定される重量値である静的計量値(静止重量値)Wsと異なってしまう。
【0052】
このため、この実施形態の重量選別機1では、通常の製品である物品を計量して選別する計量モードとしての上述の稼動運転モードと、静的計量値が既知であって、実際の製品と同様の重量および性状を有するサンプル物品を、稼動運転モードと同じ動作条件で搬送しながら計量する動的計量を複数回行い、この動的計量によって得られる複数回の動的計量値に基づいて、動的計量値が静的計量値に略等しくなるように補正するための補正値を求める補正モードとしての動補正テストモードとの二つの運転モードを備えており、上記入力部13のキー操作によって運転モードを選択することができる。
【0053】
稼動運転モードでは、通常の物品を計量して得られる動的計量値を、動補正テストモードで予め求めた補正値によって静的計量値に略等しくなるように補正し、補正後の動的計量値である静的計量値に基づいて、物品を良品と不良品とに選別する。
【0054】
ここで、動的計量値を静的計量値に補正する動補正について説明する。
【0055】
重量選別機では、同種の外形・性状を有する重量差が殆どない物品の重量を測定するので、全ての物品の重量選別機における過渡応答特性は略等しいとみなし、物品の中で平均的な重量と平均的な外形形状とを有するものをサンプル物品として補正値を求める。このサンプル物品は、製品の中で代表的な物品を選択してもよいし、物品に近い性状のサンプル物品を特別に製作してもよい。
【0056】
従来の一般的な方法として、静的計量値(静止重量)Wsが既知の物品をサンプル物品として搬送させて計量する動的計量をP回行い、P個の動的計量値を得ると、動的計量値のP個の平均値であるWpaを求め、補正値としての動補正値をwdとすると、
wd=Wpa−Ws ……(1)
を求め、稼動運転モードにおいて、任意の物品の動的計量値Wxが測定されると、該任意の物品の静的計量値(=補正後の動的計量値)Wsxを、
Wsx=Wx−wd ……(2)
と補正する。
【0057】
あるいは、補正値としての動補正係数をKとすると、
K=Wpa/Ws ……(3)
を求め、稼動運転モードにおいて、任意の物品の動的計量値Wxが測定されると、該任意の物品の静的計量値(=補正後の動的計量値)Wsxを、
Wsx=(1・K)・Wx ……(4)
と補正する。
【0058】
この実施形態では、この従来と同様の動補正を行なうものであり、補正値として、動補正値wdを用いてもよいし、動補正係数Kを用いてもよい。
【0059】
更に、この実施形態では、動補正テストモードにおいて、動的計量値を補正するための補正値をより精確に求めるために、動補正テストモードの動的計量によって得られる複数の動的計量値の内、補正値を算出するのに適した動的計量値であるか否かを判定し、補正値を算出するのに適した動的計量値のみを用いて補正値を算出するようにしている。
【0060】
この実施形態では、補正値を算出するのに適した動的計量値であるか否かは、得られる動的計量値が、動的計量値の許容精度を満たしているか否かによって判定する。
【0061】
この動的計量値の許容精度は、動的計量値を補正値によって補正した動的計量値、すなわち、静的計量値の許容バラツキ幅に基づいて規定される。この静的計量値の許容バラツキ幅は、動補正テストモードにおいて、後述のように、静的計量値の許容精度として、入力部13のキー操作で設定される。
【0062】
以下、この動的計量値の許容精度について説明する。
【0063】
上述のように動的計量値を、静的計量値に補正するには、動的計量値の平均値に基づいて上記(1)式または(3)式に従って算出される補正値を求め、この補正値を、上記(2)式または(4)式に示されるように、動的計量値に対して、加減、乗除するなど演算処理を施さなければならないが、補正値を算出する基となる動的計量値に、振動成分等によるバラツキ分が含まれているので、この動的計量値を用いて算出される補正値にも動的計量値のバラツキ分が含まれることになる。
【0064】
したがって、動的計量値を補正値によって補正した静的計量値の許容精度の評価においては、動的計量値に含まれるバラツキ分と補正値に含まれるバラツキ分との両方を考慮した上で行なわなければならない。
【0065】
動補正テストモードでは、静的計量値の許容精度として、±a(g)が設定されると共に、動的計量値を求めるべき最小テスト回数N(回)とが、入力部13のキー操作によって設定される。静的計量値の許容精度±a(g)は、静的計量値の許容バラツキ幅E=2・a(g)を意味しており、この実施形態では、静的計量値の許容バラツキ幅Eを用いる。最小テスト回数Nは、動補正テストモードにおいて、サンプル物品の動的計量を行うべき最小の回数であり、この最小テスト回数Nは、重量選別機の製造メーカが、推奨値を予め設定するか、使用者が推奨値に基づいた任意の値(少なくとも推奨値以上の値)を予め設定する。
【0066】
Nを、動補正テストモードにおける動的計量値を求める最小テスト回数とし、動的計量値の標準偏差をSdとすると、補正値は、上記(1)式または(3)式に示すように、標準偏差Sdのバラツキを有する動的計量値のN回の平均値を、静的計量値Wsで減算あるいは除算したものであるから、この補正値は、Sd/N1/2のバラツキを有することになる。
【0067】
したがって、動的計量値を補正値によって補正した補正後の動的計量値、すなわち、静的計量値の標準偏差Ssは、動的計量値の標準偏差Sdと、動的計量値を平均処理することによって求めた補正値の標準偏差Sd/N1/2とによって、
Ss={Sd2+(Sd/N1/221/2
={(N+1)/N}1/2・Sd ……(5)
と表される。
【0068】
すなわち、(5)式は、動的計量値の標準偏差Sdと動的計量値の最小テスト回数Nとによって、補正後の動的計量値である静的計量値のバラツキの標準偏差Ssを表している。
【0069】
補正後の動的計量値である静的計量値のバラツキ幅を6・Ssとすると、(5)式より、
6・Ss=6・{(N+1)/N}1/2・Sd ……(6)
ここで、補正後の動的計量値である静的計量値のバラツキ幅6・Ssは、上記のようにして設定される静的計量値の許容バラツキ幅E以下である必要がある。すなわち、
6・Ss≦E
この左辺に上記(6)式を代入すると、
6・{(N+1)/N}1/2・Sd≦E
となる。
【0070】
したがって、動的計量値の標準偏差Sdの3倍は、
3・Sd≦E/[2・{(N+1)/N}1/2] ……(7)
となる。
【0071】
動的計量値の標準偏差Sdが、上記(7)式を満足すれば、それら動的計量値を用いて補正された補正後の動的計量値である静的計量値は、設定された許容バラツキ幅E内にあることになる。
【0072】
そこで、この実施形態では、動的計量値の許容精度を、動的計量値の平均値を中心とした±3・Sdの許容範囲として規定するための境界値3・Sdを、上記(7)式の上限値である、
3・Sd=E/[2・{(N+1)/N}1/2
とし、
複数回の動的計量によって得られる動的計量値の平均値をWaとすると、動的計量値が、Waを中心としたWa±3・Sdの許容範囲内、すなわち、
Wa±E/[2・{(N+1)/N}1/2
の許容範囲内に在るか否かを、動的計量値が補正値を算出するのに適しているか否かの判定基準としている。この判定基準を満たす動的計量値は、適正な動的計量値であり、かかる動的計量値を用いて算出される補正値も適正な補正値であり、かかる補正値によって補正された動的計量値、すなわち、静的計量値は、静的計量値の許容精度である許容バラツキ幅Eを満たすことになる。
【0073】
なお、動的計量値の許容範囲の境界値は、標準偏差Sdの3倍に限らず、標準偏差Sdの2倍などであってもよい。
【0074】
ここで、上記(5)式に基づいて、最小テスト回数Nについて、検討する。
【0075】
この最小テスト回数を表す整数Nの値が小さいと、{(N+1)/N}1/2の値は、1より大きく離れるので、静的計量値のバラツキSsが大きくなる。従って、動的計量値を求める最小テスト回数Nの設定値が小さければ、動補正による静的計量値のバラツキSsは、最小テスト回数Nが大きい場合に比べて大きくなり、そのような補正値を用いて補正した動的計量値である静的計量値では、許容バラツキ幅Eを満足することがより困難になる。
【0076】
この最小評価テスト回数Nとして、N=20程度の値が設定され、補正値が、動的計量値の20個の平均値を用いて求められているとすると、上記(5)式より
Ss={(N+1)/N}1/2・Sd=(21/20)1/2・Sd
≒4.5826/4.47211・Sd
=1.025・Sd
≒1・Sd
となり、動的計量値の個数が20個程度と多ければ、補正後の動的計量値である静的計量値のバラツキSsは、動的計量値のバラツキSdと略等しくなるので、動的計量値のバラツキSdは、補正後の動的計量値である静的計量値の精度に影響を与えない。しかし、最小テスト回数Nが少なく、得られる動的計量値の個数Nが少ないと、1より大きくなるために、補正後の動的計量値である静的計量値のバラツキSsは、動的計量値のバラツキSdよりも大きくなるので、動的計量値のバラツキSdの影響が大きくなる。
【0077】
最小テスト回数Nとして、例えば、N=5が設定されたとすると、
Ss={(N+1)/N}1/2・Sd=(6/5)1/2・Sd
=1.095・Sd
となって、補正後の動的計量値である静的計量値のバラツキSsが、動的計量値のバラツキSdの約1.1倍となり、約10%の影響がある。
【0078】
動的計量の最小テストの回数Nを少なく済ませるためには、元々の動補正前の動的計量値のバラツキ量(標準偏差値)Sdが許容精度に対して10%以上の余裕を持った小さい値であることが必要である。そうすれば、動補正テストの最小テスト回数Nが5回程度であっても誤差が吸収できる。したがって、重量選別機の製造メーカ側において、予め動的計量値の標準偏差Sdが、小さくなるように調整しておけば、使用者側における動補正テストモードにおける動的計量の最小テスト回数Nを少なく設定することができる。この最小テスト回数Nは、上述のように重量選別機の製造メーカが推奨値を規定するものであり、製造メーカにおいて、調整した重量選別機の計量精度または許容精度に応じて最小テスト回数Nの推奨値を規定することになる。
【0079】
次に、この実施形態の動補正テストモードの具体的な操作について説明する。
【0080】
先ず、使用者は、入力部13のモード切換えキーを操作して、動補正テストモードを選択する。動補正テストモードが選択されると、メモリ12の動的計量値等を記憶するための動補正テストデータ記憶用領域のデータがリセットされる。
【0081】
使用者は、静的計量値の許容精度±a(g)及び予め設定される設定数としての最小テスト回数N(回)を入力部13の操作キーを操作して設定する。
【0082】
使用者は、更に、上記(1)式または(3)式に従って補正値を算出するのに必要なサンプル物品の静的計量値Wsを入力部13の操作キーを操作して入力する。なお、サンプル物品の静的計量値Wsは、入力部13による入力に代えて、計量コンベヤ3を停止させ、サンプル物品を計量コンベヤ3上に載置し、静的計量値を測定、記憶させてもよい。
【0083】
次に、前記サンプル物品を、計量コンベヤ3上を搬送させながら計量する動的計量を、少なくとも最小テスト回数であるN回以上繰り返す。各回の動的計量によって得られた動的計量値は、メモリ12に順次記憶される。
【0084】
少なくともN回の動的計量が終了した後、使用者は、入力部13の動補正値算出キーを操作する。
【0085】
この動補正値算出キーが操作されると、判定手段としての上述のCPU11は、得られた少なくともN個の動的計量値が、補正値の算出に適した動的計量値であるか否かを判定し、補正値の算出に適した動的計量値の個数が、最小テスト回数であるN以上であるか否かをチェックする。
【0086】
すなわち、上述のように、得られた少なくともN個の動的計量値の平均値Waを算出し、得られた動的計量値が、Wa±E/[2・{(N+1)/N}1/2]の許容範囲内に在るか否かを判定し、前記許容範囲内に在る動的計量値の個数が、N個以上であるか否かをチェックする。なお、静的計量値の許容バラツキ幅Eは、設定された静的計量値の許容精度±a(g)からE=2・a(g)として算出する。
【0087】
判定の結果、前記許容範囲内に在る動的計量値、すなわち、補正値を算出するのに適した動的計量値の個数が、N個未満であったときには、動的計量の追加テストを必要とする旨及び動的計量値の不足個数を、動的計量の追加テスト回数として、報知手段としての表示部14に表示する。なお、この場合、補正値は算出されず、また、補正値を算出するのに適していないと判定された動的計量値は、削除される。
【0088】
判定の結果、補正値を算出するのに適した動的計量値の個数が、N個以上であったときには、それら動的計量値を用いて、上記(1)式または(3)式に従って補正値を算出し、その補正値をメモリ12に記憶すると共に、動補正テストが完了した旨を、表示部14に表示する。
【0089】
表示部14に、追加テストを必要とする旨及び追加テスト回数が表示されたときには、使用者は、前記サンプル物品を、計量コンベヤ3上を搬送させながら計量する動的計量を、その追加テスト回数以上繰り返して行い、これによって、得られた動的計量値が、メモリ12に追加して記憶される。
【0090】
追加テスト回数以上の動的計量が終了して、使用者が、入力部13の動補正値算出キーを再び操作すると、最初の動的計量によって得られた前記範囲内の動的計量値に、追加テストによって追加された動的計量値を加えて、その平均値Waを算出し、追加テストによって得られた動的計量値と最初の動的計量によって得られた動的計量値がそれぞれ
Wa±E/[2・{(N+1)/N}1/2
の許容範囲内に在るか否かを判定する。
【0091】
そして、前記許容範囲内に在る動的計量値の個数が、N個以上であるか否かをチェックする。
【0092】
動的計量値の個数が、N個以上であるときには、補正値を算出するのに適した動的計量値の個数が、N個以上になったとして、上記(1)式または(3)式に従って補正値を算出し、その補正値をメモリ12に記憶すると共に、動補正テストが完了した旨を、表示部14に表示する。
【0093】
動的計量値の個数が、N個以上でないときには、追加テストを必要とする旨及び不足する個数を、追加テスト回数として表示部14に表示して、上述と同様の操作を行う。
【0094】
なお、動補正テストの回数が最小テスト回数Nに到達した時点で動的計量値記憶キーを押さなくても自動的に、これまでに得られた動的計量値の適否の判定を上述と同様に行ない、除外する動的計量値がなければ、それら動的計量値を用いて、補正値を算出してメモリ12に記憶すると共に、動補正テストが完了した旨を、表示部14に表示し、除外すべき動的計量値があれば、その時点で追加テストを必要とする旨を表示すると共に、不足する動的計量値の個数を、必要な追加テスト回数として表示するようにしてもよい。
【0095】
表示部14に動補正テストが完了した旨が表示されたときには、使用者は、入力部13のモード切換えキーの操作によって、物品を選別する稼動運転モードに移行する。
【0096】
この稼動運転モードでは、選別すべき物品6を計量コンベヤ3によって搬送しながら計量して動的計量値を取得し、演算手段としてのCPU11は、動的計量値を、動補正テストモードで求めた補正値によって補正して補正後の動的計量値である静的計量値を算出し、判別手段としてのCPU11は、算出した静的計量値と、上限値および下限値とを比較して、正常重量範囲内の良品と重量に過不足がある不良品とを判別し、その判別結果に基づいて、搬出コンベヤ4の下流側の振分け装置(図示せず)が、物品6を選別する。
【0097】
なお、メモリ12に記憶されている動的計量値、補正値、静的計量値や標準偏差は、入力部13のキー操作によって、表示部14に表示することができ、また、重量選別機1に接続されているパーソナルコンピュータへ伝送したり、プリンタで印字出力することができる。
【0098】
ここで、具体的な数値の一例を挙げて動補正テストモードの事例を説明する。
【0099】
サンプル物品の静的計量値(静止重量値)Wsが、150(g)であり、静的計量値の許容精度が、±0.6(g)であり、最小テスト回数Nが、10であり、それらの数値が、上述のように、入力部13の操作キーの操作によって設定される。
【0100】
静的計量値の許容精度は、±0.6(g)であるので、上述の静的計量値のバラツキ幅Eは、E=1.2(g)となり、最小テスト回数N=10となる。
【0101】
したがって、動的計量値が、補正値の算出に適しているか否かの判定基準となる上述の許容範囲の境界値E/[2・{(N+1)/N}1/2]は、
E/[2・{(N+1)/N}1/2
=1.2/2・(11/10)1/2
=0.572
となる。
【0102】
サンプル物品を計量コンベヤ3によって搬送しながら計量する動的計量を10回繰り返し、例えば、下記表1に示されるNo.1〜10までの10個の動的計量値が得られたとする。
【0103】
【表1】

【0104】
この表1では、得られた10個の動的計量値の平均値である上述のWaと標準偏差を併せて示している。
【0105】
10回の動的計量が終了して使用者が、入力部13の動補正値算出キーを操作すると、CPU11は、得られた10個の動的計量値の平均値Wa=149.8を算出し、得られた各動的計量値が、Wa±E/[2・{(N+1)/N}1/2]の許容範囲内に在るか否か、すなわち、149.8±0.572の許容範囲内に在るか否かを判定する。
【0106】
表1では、10番目のデータであるNo.10の動的計量値が、151.0であり、149.8+1.2となり、前記許容範囲内にないので、除外し、動的計量値の残りの個数が9個となり、最小テスト回数N=10に1個不足するので、表示部14に、追加テストが1回必要である旨を表示する。
【0107】
使用者は、表示部14の表示に従って、サンプル物品の動的計量を1回行って、例えば、下記表2に示すように、No.10の動的計量値149.7が新たに追加されたとする。
【0108】
【表2】

【0109】
使用者が、入力部13の動補正値算出キーを操作すると、追加された1個を含む10個の動的計量値の平均値Wa=149.6を算出し、各動的計量値が、149.6±0.572の許容範囲内に在るか否かを判定する。
【0110】
この場合、10個の動的計量値の全てが、前記許容範囲内に在る適正な動的計量値であるので、補正値として、例えば、動補正値wdを、上記(1)式に従って算出する。
【0111】
wd=Wpa(=Wa)−Ws
=149.6−150.0
=−0.4(g)
算出した動補正値wdをメモリ12に記憶し、表示部14に動補正テストが完了した旨を表示する。
【0112】
使用者は、入力部13のモード切換えキーを操作して、動補正テストモードから実際の物品を計量して選別する稼動運転モードに移行する。この稼動運転モードでは、選別すべき物品の動的計量値Wxが得られると、その物品の静的計量値(=補正後の動的計量値)Wsxを、メモリ112に記憶した動補正値wdを用いて上記(2)式に従って算出する。
【0113】
Wsx=Wx−wd
=Wx−(−0.4)
算出された補正後の動的計量値である静的計量値Wsxに基づいて、物品の良否を選別する。
【0114】
以上のように、この実施形態によれば、動補正テストモードでは、動的計量値が、適正であるか否かを判定し、適正でない動的計量値は排除するので、例えば、ばらつきの大きな動的計量値、あるいは、重量選別機1が偶然に大きな床振動や風を受けたり、サンプル物品のテスト時の搬送姿勢が適切でなかったりなどして、不適切な条件で取得された動的計量値を排除することができる。これによって、適正な動的計量値のみを用いて精確な補正値を算出することが可能となる。また、この精確な補正値によって補正された動的計量値、すなわち、静的計量値も精確なものとなる。
【0115】
したがって、上述の特許文献1の従来例のように、精確な補正値が求まっていないにも拘らず、動的計量値のばらつきによって、たまたま表示値が所定の誤差の範囲内に入って設定モードを終了してしまったり、あるいは、床振動や風等の影響を受けた不適切な条件で得られた動的計量値を取込んでしまって、表示値が所定の誤差の範囲内に入るまでに不必要に多くの動的計量回数を必要とするといった不具合もない。
【0116】
また、この実施形態では、動補正テストモードにおいて、サンプル物品の動的計量の回数が不足するときには、それが表示されるので、使用者は、動補正テストモードの進捗状態を把握することができ、動的計量の不足回数を知って必要な回数の動的計量を行うことができる。
【符号の説明】
【0117】
1 重量選別機
2 搬入コンベヤ
3 計量コンベヤ
4 搬出コンベヤ
5 荷重センサ
6 物品
7 物品センサ
11 CPU
13 入力部
14 表示部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品を搬送しながら計量する動的計量を行なうことによって得られる動的計量値を、補正値によって補正して補正重量値を算出する計量モードと、
前記補正値を算出するために、静止重量値が既知のサンプル物品を搬送しながら計量する動的計量を、予め設定される設定数以上の複数回行って複数の動的計量値を取得する補正モードとを備え、
前記補正モードで取得する複数の各動的計量値が、前記補正値を算出するのに適しているか否かをそれぞれ判定する判定手段を備える、
ことを特徴とする計量装置。
【請求項2】
前記判定手段は、前記各動的計量値が、前記複数の動的計量値の平均値を中心とした許容範囲内に在るか否かによって、前記補正値を算出するのに適しているか否かをそれぞれ判定する、
請求項1に記載の計量装置。
【請求項3】
前記計量モードでは、前記補正重量値が静止重量値に等しくなるように、動的計量値を前記補正値によって補正するものであり、
前記判定手段による判定に用いられる前記許容範囲の境界値が、前記計量モードの前記補正重量値の許容精度と前記設定数とに基づいて規定される、
請求項2に記載の計量装置。
【請求項4】
前記判定手段によって、前記補正値を算出するのに適していると判定された動的計量値の数が、前記設定数以上になったときには、前記補正値を算出するのに適していると判定された動的計量値と前記静止重量値とに基づいて、前記補正値を算出する演算手段を備える、
請求項1ないし3のいずれかに記載の計量装置。
【請求項5】
前記補正モードにおいて前記サンプル物品の動的計量を行った回数が、前記設定数以上の回数に達した場合に、前記判定手段によって、前記補正値を算出するのに適していると判定された動的計量値の数が、前記設定数に達していないときには、前記補正モードにおいて前記サンプル物品の動的計量を行う回数が不足しているとして報知する報知手段を備える、
請求項1ないし4のいずれかに記載の計量装置。
【請求項6】
前記計量モードで算出される前記補正重量値に基づいて、物品の良否を判別する判別手段を備える、
請求項1ないし5のいずれかに記載の計量装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2013−76661(P2013−76661A)
【公開日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−217377(P2011−217377)
【出願日】平成23年9月30日(2011.9.30)
【出願人】(000208444)大和製衡株式会社 (535)