説明

記憶ディスク収納用パッケージ

【課題】 記憶ディスクとパッケージ間の擦れによる微小粒子の発生をなくす。
【解決手段】 容器本体1と下蓋2と上蓋3との組合せである。容器本体1は、両側面4,4に記憶ディスクDを差し込む保持溝15を有する無底、無蓋の角形容器であり、記憶ディスクDは、円形をなし、容器本体1の長手方向に列状に収納される。下蓋2は、容器本体1の下面開口を施蓋するものである。上蓋3は、容器本体1の少なくとも開放された上面を施蓋するものであり、刻み目14と、弾性突縁18とを有している。刻み目14は、保持溝15,15に差し込まれた記憶ディスクDの上縁を支えて列方向の振れを抑え、弾性突縁18は、刻み目14の両側にハの字型に張出し、自身の有する弾性力で記憶ディスクDの両肩を圧下し、記憶ディスクDの半径方向の振れを抑えて、記憶ディスクの振れを阻止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報記憶用媒体、特に中央に孔を有する円盤状(ドーナツ状)の記憶ディスクの収納用パッケージに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、コンピュータの記憶装置などに使用されるハードディスク,CD,磁気ディスクのような記憶ディスク、とりわけハードディスクは、その表面に極めて高い平面性と、清浄性とが要求され、また、製造工程中においては、表面に触れることが絶対に許されない。
【0003】
記憶ディスクは、パッケージ内に収容した状態で工程間の運搬,保管さらに工程内で洗浄処理が行われる。上記記憶ディスク収納用パッケージは、多数のディスクを垂直姿勢で収納する容器本体と、その上面開口を覆う上蓋と、底面開口を覆う下蓋の組合せが用いられ、記憶ディスクを収容した容器本体に上蓋と下蓋とを結合して複数枚の記憶ディスクを安全且つ非汚染状態に保持させるが、予期しない事態の影響を受けてパッケージ内の記憶ディスクに塵や埃が付着することがある。このため、上蓋と容器本体との結合に関しても空気中に含まれる微細なごみを伴って周囲の空気が容器本体に吸い込まれないように、また、記憶ディスクを収納したパッケージの運搬中に受ける振動や衝撃によって荷崩れを起さないように考慮されている。
【0004】
運搬中に受ける振動や衝撃によって記憶ディスクの荷崩れ防止対策として特許文献1には、磁気ディスク用収納容器を容器本体(収納部本体)と、上蓋(蓋部)と、下蓋(底部)との3部材で構成し、下蓋を容器本体の下部開口に取付け、磁気ディスクを容器本体のディスク保持溝内に差込み、上蓋を容器本体の上部にかぶせて容器本体の上部開口および前後の切欠き部をふさいで上蓋を容器本体に結合するが、特許文献1の磁気ディスク用収納容器では、上蓋には、互いに間隔を拡げつつ下方に向かって延びる2枚の押さえ板が形成されており、容器本体の保持溝に差し込まれた磁気ディスクは、この押さえ板で上方から強く抑えられて運搬中の振動による荷崩れが防止されるというのである。
【0005】
また、特許文献2には、上蓋に、ハードディスクを自身の弾性により上から押さえる取り外し可能で断面が逆V字形状を有する2本の対向片条列を設ける例が示され、さらに、特許文献3にもハードディスクの両肩部を弾力付勢状態で接触保持させるハードディスク支片を設けることが記載されている。
【0006】
ところが、最近、ハードディスクは、大容量で、しかもコンパクト化の傾向をたどり、さらなる高密度、高性能が要求されるようになり、従来は、あまり問題とはならなかったような微小粒子(パーティクル)の付着が許されないようになってきた。
【0007】
上記特許文献1〜3に記載されたハードディスクの固定方法は、要するにディスクが運送中に容器本体内で動かないように上蓋に、弾性を有する張出し部分の対を設けてハードディスクを弾性的に押さえ込む方式であるが、特許文献4では逆に、ディスクに弾性を有する張出し部分が接している箇所に微小粒子の付着が多いことを指摘し、このような方法だけでは微小粒子の発生が避けられないとし、このような張出し部分をなくして内面側に平滑面を有し、ハードディスクと間隙を置いて容器本体を施蓋する上蓋を用いることが記載されている。
【0008】
たしかに、上蓋に設けた弾性を有する張出し部分をハードディスクの上縁に押付けるだけでハードディスクを固定するのは難しいが、実際問題として容器本体の両側の保持溝内にディスクを差し込むだけで定位置に固定して動きを止めることは難しい。
【特許文献1】公開実用昭和61−134993号公報
【特許文献2】公開実用昭和62−146788号公報
【特許文献3】公開実用昭和63−49387号公報
【特許文献4】特開2000−25871号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
解決しようとする問題点は、複数枚の記憶ディスクを記憶ディスク収納用パッケージ内に固定保持して輸送中受ける振動による微小粒子の発生を防止する対策として、上蓋に設けた弾性を有する張出し部分の対を記憶ディスクの上縁に単に押付けるだけでは、記憶ディスクの振れ防止には不十分であり、まして、容器本体の両側の形成された溝内に単に記憶ディスクを差し込むだけで定位置に固定して動きを止めることは難しいという点である。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、容器本体内に収納された記憶ディスクを容器本体の両側の保持溝と上蓋の刻み目との3点で支持させた上でさらに、上蓋の刻み目を挟んでその両側に下向きにハの字型に張出させた弾性突縁を記憶ディスクに圧接して記憶ディスクを定位置に固定した点を最も主要な特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明による記憶ディスク収納用パッケージは、容器本体に収納する記憶ディスクを容器本体の両側の保持溝と、上蓋の刻み目との3点で列方向の振れを抑え、さらにその両肩部分をハの字型に張出させた弾性突縁で抑えるため、弾性突縁は、実質的に半径方向の振れを抑えるだけでよく、弾性突縁に2方向の力が加わらず、記憶ディスクを定位置に安定に支え、輸送中に振動を受けても微小粒子の発生がなく、記憶ディスクの表面の清浄に維持できる効果がある。
【0012】
また、容器本体は無底、無蓋の合成樹脂容器であるため、成形加工時の歪の影響を受け、両側面部に反りが生じて両側面部間の間隔が開拡するという問題が生じるが、弾性突縁の長さ方向の下端縁を中高状に突出させることによって、あるいは、上蓋自体を長さ方向に弯曲形状に反りを形成することによって、容器本体の両側面部間の間隔が例え開拡したとしても記憶ディスクは弾性突縁の中高部分に押し下げられて各溝内に差し込まれた記憶ディスクの振れは阻止される。また、弾性突縁には、細かい切れ目を付すことによって、個々の記憶ディスクごとに個別に押圧して安定に支えることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
パッケージとパッケージの内部に収容された記憶ディスク間の摩擦による微小粒子の発生を防止するという目的を、容器本体の上蓋の部分の形状、構造を改良することによって実現した。
【実施例1】
【0014】
以下に本発明による記憶ディスク収納用パッケージの一実施形態を図によって説明する。図1において、本発明の記憶ディスク用パッケージは、容器本体1と、下蓋2と、上蓋3との組合せからなる合成樹脂成形品である。
【0015】
図2において、容器本体1は、記憶ディスクとして例えば、円盤状(ドーナツ状)のハードディスクを長手方向に列状に収納する無底、無蓋の角形容器であり、実質的に長辺側の両側面部4と、短辺側の両端面部5とに囲まれ、両端面部5には挿込溝6が開口されている。
【0016】
挿込溝6は、上縁が開放された切欠きであり、記憶ディスクの自動処理工程において、取出手段としてのロボットアーム(図示略)を出し入れするための開口である。図3において、下蓋2は、容器本体1の下面開口を塞ぐものであり、長方形の皿型をなし、両側及び両端縁には容器本体1の下面開口縁を嵌合させる立上り縁7を有している。また、両端縁には、両側の立上り縁7、7間に図3に示す固定フック11が形成されている。この固定フック11は、両端面の正面に水平方向に張り出す突条である。固定フック11は、後述するように、上蓋3の端面カバー8の下端に設けた可動フック12を引っ掛けて容器本体1に、上蓋3及び下蓋2とを一体に結合させるためのものである。
【0017】
図4において、上蓋3は、容器本体1の上面開口を覆う蓋部13と容器本体1の両端面の挿込溝6を覆う端面カバー8とを有している。蓋部13は、容器本体1の上面開口を塞ぐものであり、端面カバー8はその両端から直角に延びて蓋部13と一体に形成されたものである。上蓋3は、その両側縁に、容器本体1の両側面部4の上縁に嵌合させる立下り部9を有している。
【0018】
端面カバー8は、容器本体1の両端面部5,5の外面にあてがって、両端面部5,5に開口された挿込溝6を外から塞ぐものである。端面カバー8の板面には、挿込溝6の開口形状を象って内方に膨出する突出部10が形成されている。
【0019】
突出部10は、容器本体1を上蓋3で施蓋する際に、挿込溝6に落とし込まれ、挿込溝6に嵌合着座して挿込溝6の開口を閉じるとともに施蓋の方向を規定するガイドとして機能し、施蓋後は挿込溝6を密閉する。
【0020】
上蓋3は、容器本体1に脱着可能に結合されるのであるが、本発明において、端面カバー8の下縁には、前記固定フック11に引掛ける可動フック12を一体に設けている。可動フック12は、端面カバー8の薄肉部に形成され、端面カバーの材質が有する弾性を利用して開拡或いは復帰させ、固定フック11に係合、離脱させるものである。また、図4(d)に示すように端面カバー8の一部には、可動フック12の形成位置と並行に図4(f)に示すように端面カバー8の一部に、板面を貫通する円弧状のスリット17、あるいは図4(g)のように端面カバー8の裏面側に一定深さに切欠いた円弧状の凹所17aを設ける。
【0021】
端面カバー8の一部にカバー8の表裏に貫通するスリット17を設ければ、端面カバー8の弾力性が向上し、前記固定フック11に可動フック12を係合・離脱させやすくすることができる。もっともスリット17は、必ずしも、貫通させる必要はなく、凹所17aであっても、前記固定フック11に可動フック12を係合・離脱させるために必要な柔軟性を端面カバー8に確保させることは可能であり、むしろ、端面カバー8の前面が塞がれることで容器本体1内へのゴミの侵入の虞がなくなり、さらには、端面カバー8の割れ、欠けの発生を減少させることができる。
【0022】
容器本体1の両側面部4の内面には、図2のようにディスク保持溝15が列状に形成されている。ディスク保持溝15は、容器本体1内に収容する複数の記憶ディスクDを互いに接触することがないように一定の間隔を置いて直立姿勢に保持させる溝であり、記憶ディスクDは、両側のディスク保持溝15に跨って保持される。
【0023】
図5において、上蓋3の長手方向中央部位には、ディスク保持溝15,15に保持された記憶ディスクDの上縁一部を支える刻み目14と、該刻み目14を挟んでその両側に下向きにハの字型に張出させた弾性突縁18が形成されている。刻み目14は、容器本体1を上蓋3で施蓋することによって、容器本体1の両側の各挿込溝6内に受け入れられている記憶ディスクDの上縁部分をさらに受け入れるものであり、弾性突縁18は、上蓋3の材質が有する弾力性を保有しており、その張出し部分の端縁で、刻み目14を挟んで記憶ディスクDの両肩部分をその端縁で圧接するものである。
【0024】
容器本体1の下縁に下蓋2をはめ込み、容器本体1の上部および前後開口を上蓋3で施蓋し、上蓋3の端面カバー8の可動フック12を下蓋2の固定フック11に結合させることにより、容器本体1と下蓋2及び上蓋3が一体に結合される。記憶ディスクDを収容した容器本体1を上蓋3で施蓋するときには、上蓋3の両端面カバー8の突出部10を容器本体1の挿込溝6間に落し込み、容器本体1の上面開口を上蓋3で施蓋するとともに両挿込溝6を端面カバー8で塞ぎ、そのまま上蓋3を圧下する。
【0025】
この操作によって、可動フック12が端面カバー8の弾性に抗して固定フック11に押し上げられ、ついで固定フック11を乗り越えて可動フック12が固定フック11に係止され、この結果、容器本体1に組付けられた下蓋2には、さらに上蓋3が一体的に結合され、容器本体1は密閉される。この結果、記憶ディスクDは、両側部分と、上縁部分とがディスク保持溝15,15及び刻み目14との3点支持で保持されて列方向(容器本体の長手方向)の動きが止められ、さらに刻み目14を挟んで記憶ディスクDの両肩部分が弾性突縁18から加圧されて半径方向の動きが止められて安定に保持される。
【0026】
容器本体1に下蓋2を取付けることによって、容器本体1は有底の箱になり、複数枚の記憶ディスクDは、ロボットアーム(図示略)に一括保持されたまま容器本体1に搬入される。このとき、ロボットアームは、容器本体1の挿込溝6内に上方から挿し込まれ、記憶ディスクDは、ロボットアームに支えられたまま、容器本体1の上面開口より内部へ挿入され、それぞれ、対応するディスク保持溝15,15に嵌合保持される。その後、記憶ディスクDを容器本体1内に残してロボットアームは外部へ引き抜かれる。
【0027】
図5中、16は、容器本体1に設けられた位置決め用の切欠きである。切欠き16は、下蓋3を外した容器本体1をコンベアラインに沿って搬送するときに、コンベアの一部を嵌合させて搬送中の位置決めに用いられる。なお、容器本体1,下蓋2及び上蓋3は合成樹脂成形品のため、静電対策が必要である。このため、例えば、少なくとも容器本体1の成形樹脂にステンレス繊維,Ni繊維,Cu繊維などの金属繊維、Ni,Cu又はAlをコーティングした炭素繊維のいずれか又は、その組合せを配合する。さらに成形樹脂には必要により、帯電防止剤あるいはカーボンブラックなどの導電化剤を配合することができる。また、該合成樹脂成形品の表面に、ポリピロールやポリアニリン,ポリチオフェン等の導電性ポリマー層を被覆させてもよい。
【0028】
弾性突縁18の断面形状は、図6(a)に示すように横長の長方形で、図6(b)のように下向きに先細りのテーパを付しておくことが好ましい。弾性突縁18は、上蓋3の材質が有する弾力性を利用して記憶ディスクDを上方から抑え込むものであるため、肉厚が薄いと記憶ディスクDの抑えこみに必要な強度が得られず、また自身を一定の姿勢に保形することができないが、先細りにテーパを付してその肉厚を変化させることによって、弾性突縁18の基部に強度が確保されてハの字の形に一定の姿勢を保ち、先端部分に柔軟性が得られ、記憶ディスクDと接触した際に記憶ディスクの曲縁に追従してその形状になじみやすく、肉厚が増大しても可撓性を保つ一定の範囲が加圧力を保持して記憶ディスクDの外縁一部に接触し、記憶ディスクDの保持力が向上し、容器本体1が搬送中に振動しても内部の記憶ディスクDには振れが生ぜず、輸送中に振動をうけても容器本体1と、記憶ディスクD間の擦れによる微小粒子の発生がなく、したがって記憶ディスクDの表面を清浄に維持できる。
【0029】
また、容器本体1は合成樹脂成形品のため、樹脂の成形加工時に反りが生じ、容器本体1の両側面部に反りが生じるという問題がある。すなわち、容器本体1は、無底、無蓋であり、左右の側面部4,4は、挿込溝6が開口された端面部5によってつながれている。したがって、左右の側面部の間隔は、専ら端面部5の強度によって支えられるが、端面部5による支持強度の影響が及ばない両側面部間の中央領域の間隔が開拡するという問題が生じるのである。図7は、弾性突縁18の長さ方向の中央部分の特定領域にさらに突出縁19を設けて弾性突縁18を中高状に形成した例を示している。
【0030】
左右の側面部4,4の間隔が開拡すると、容器本体1内に差し込まれた記憶ディスクDは、容器本体1内に深く差し込まれることになる。弾性突縁18に形成された中高状の突出縁19は、反りによる開拡の程度の大きい側面部4,4の中央領域に深く差し込まれた記憶ディスクDの両肩部分を圧接するためのものである。図7においては、中高状の突出縁19の突出高さを強調して描かれているが、実際の突出高さは、弾性突縁18の全長170mmに対して3mm程度の高さでよく、容器本体1と下蓋2と上蓋3とを結合した状態において、弾性突縁18が記憶ディスクDに1mm程度当たっていれば(実際は、記憶ディスクDに当たって、弾性突縁18の先端形状が記憶ディスクDの形状に沿って変形する。)十分である。
【0031】
図8に、弾性突縁18にスリット20を付した例を示す。スリット20は、弾性突縁18の突出縁19下端縁から一定の深さの範囲にわたって形成された切込みである。スリット20の位置は、容器本体1に列状に形成された隣接相互の記憶ディスク保持溝15,15間に形成するのが望ましい。弾性突縁18に切込みを付すことによって各スリット20によって切り離された弾性突縁18の一部分が保有する力がそれぞれの記憶ディスクDに個別に作用して隣接する2以上の記憶ディスクD,Dが同じ力で圧接されることがなくなり、特に中高状の突出縁を形成した弾性突縁に適用して有効である。
【0032】
また、容器本体1の両側面部4,4に生じる反りによる不都合は、上蓋3の形状を変形させることによっても解消することができる。図9は、上蓋3に、予め両端を上向きとする反りを付して弯曲形状に成形した例を示している。上蓋3を弯曲形状に成形することによって、上蓋3の下面の弾性突縁18が上蓋3の反りの形状を倣って下縁が中高状に形成される。上蓋3に反りの形状を保たせたままこの上蓋3を容器本体1に取り付ければ、容器本体1内に弾性突縁18が中高状に突出し、その突出縁部で容器本体1の中央領域で深く差し込まれた記憶ディスクDの肩部を抑えて容器本体1の反りに起因した記憶ディスクDの振れが阻止される。この場合にも、図8に示した弾性突縁と同じようにスリット20を設けておくと好都合である。
【0033】
以上実施例においては、一定の外径の記憶ディスクを収納するパッケージの例を説明したが、本発明は、大きさが異なる2種類またはそれ以上の記憶ディスクを選択的に収納する2種類以上のディスク保持溝を有するディスクボックスについても同様に適用することができる。図10a,bにおいて、容器本体1内には、大径の記憶ディスクD1を差し込む第1の保持溝15aと小径の記憶ディスクD2を差し込む第2の保持溝15bとを容器本体1の長手方向の交互に形成して容器本体1に大小2種類の記憶ディスクD1,D2を収容した状況を図示しているが、実際には大径の記憶ディスクD1又は小径の記憶ディスクD2が選択的に収納されるのであって、図10bに図示のように大小の記憶ディスクを区別なく同時に収納されることはない。2種類以上の記憶ディスク保持溝を設けた場合にも同じである。
【0034】
上蓋3には、ディスク保持溝15a,15bに保持された記憶ディスクD1及びD2の一部を支える刻み目14と、その両側に弾性突縁18が形成されている。容器本体1内に収容された大小の記憶ディスクD1,D2は、その上縁の支持高さが同じであるため、図5のように直径の大小の区別なく、容器本体1に収納された記憶ディスクD1,D2は、容器本体1を施蓋する上蓋3の刻み目14にも共通に受け入れられ、端面カバー8の可動フック12を下カバー2の固定フック11に結合させることによって、記憶ディスクD1,D2は、その両側部分と、上縁部分とがディスク保持溝15a又は15b及び刻み目14に支えられ、かつ対の弾性突縁18に抑えられて振動を受けても振れが生ぜず、記憶ディスクと、パッケージ間の擦れによる微細粒子の発生が阻止される。
【産業上の利用可能性】
【0035】
コンピュータの外部記憶装置として使用される磁気ディスク,CD,ハードディスクのような記憶ディスクの複数枚を整列させて収納し、工程間を搬送するパッケージとして、収容した記憶ディスクの性能を高度に保持できる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明の一実施例を示す一部断面側面図である。
【図2】(a)は、容器本体の平面図、(b)は(a)の中央縦断側面図、(c)は(a)のA−A線断面図、(d)は(a)のB部拡大図、(e)は(b)のC部拡大図である。
【図3】(a)は下蓋の平面図、(b)は(a)の中央縦断側面図、(c)は(b)のE−E線断面図である。
【図4】(a)は上蓋の平面図、(b)は(a)の中央縦断側面図、(c)は端面図、(d)は(b)のF部拡大図、(e)は(b)のG部拡大図、(f)は(c)のスリット部分を示すJ−J線断面の拡大図、(g)は(c)のスリット部分に変えて凹所を設けた場合のJ−J線に相当する部分の断面の拡大図である。
【図5】記憶ディスクを収納した状態を示す記憶ディスク収納パッケージの断面拡大図である。
【図6】(a)は、弾性突縁の基本形を示す側面図、(b)は同正面図である。
【図7】中央領域に突出縁を設けた弾性突縁の側面図である。
【図8】スリットを設けた弾性突縁の側面図である。
【図9】弾性突縁と共に弯曲形状に成形した上蓋の側面図である。
【図10a】大小異形の記憶ディスクを収納する保持溝を設けた容器本体の一部断面図である。
【図10b】図10aのH−H断面およびI−I断面を拡大して大小2種類の記憶ディスクの収納状態を示す図である。
【符号の説明】
【0037】
1 容器本体
2 下蓋
3 上蓋
4 側面部
5 端面部
6 挿込溝
7 立上り縁
8 端面カバー
9 立下り縁
10 突出部
11 固定フック
12 可動フック
13 蓋部
14 刻み目
15,15a,15b ディスク保持溝
16 切欠き
17,17a スリット
18 弾性突縁
19 突出縁
20 スリット
D1,D2 記憶ディスク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器本体と、下蓋と、上蓋との組合せを有する記憶ディスク収納用パッケージであって、
容器本体は、両側面に記憶ディスクを差し込む保持溝を有する無底、無蓋の角形容器であり、
記憶ディスクは、円形をなし、容器本体の長手方向に列状に収納され、
下蓋は、容器本体の下面開口を施蓋するものであり、
上蓋は、容器本体の少なくとも開放された上面を施蓋するものであり、刻み目と、弾性突縁とを有し、
刻み目は、容器本体の両側の保持溝に差し込まれた記憶ディスクの上縁を支えて列方向の振れを抑えるものであり、
弾性突縁は、刻み目の両側にハの字型に下向きに張出し、自身の有する弾性力で記憶ディスクの両肩を圧下し、記憶ディスクの半径方向の振れを抑えるものであることを特徴とする記憶ディスク収納用パッケージ。
【請求項2】
弾性突縁の断面形状は、横長の長方形で、先細りのテーパを有するものであることを特徴とする請求項1に記載の記憶ディスク収納用パッケージ。
【請求項3】
弾性突縁は、突出縁を有し、
突出縁は、弾性突縁の長さ方向の中央部分の特定領域をさらに突出し、容器本体の成形加工時に生じた反りにより、側面部の中央領域の両保持溝間に深く差し込まれたディスクの両肩部分を圧接するものであることを特徴とする請求項2に記載の記憶ディスク収納用パッケージ。
【請求項4】
弾性突縁はスリットを有し、
スリットは、弾性突縁の突出縁の下端縁から一定の深さの範囲にわたって形成された切込みであり、容器本体に列状に形成された隣接相互のディスク保持溝間に形成され、各スリットによって切り離された弾性突縁の部分をそれぞれの記憶ディスクに個別に作用させ、隣接する2以上のディスクが同じ力で圧接されるのを阻止するものであることを特徴とする請求項3に記載の記憶ディスク収納用パッケージ。
【請求項5】
上蓋は、予め弯曲形状に成形され、弾性突縁は、上蓋の弯曲形状を倣って容器本体内の長さ方向に中高状に突出させ、その突出縁分で容器本体の中央領域の保持溝内に深く差し込まれた記憶ディスクの肩部を抑えて容器本体の反りに起因した記憶ディスクの振れを阻止するものであることを特徴とする請求項2、3又は4に記載の記憶ディスク収納用パッケージ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10a】
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【図10b】
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【公開番号】特開2007−145403(P2007−145403A)
【公開日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−345594(P2005−345594)
【出願日】平成17年11月30日(2005.11.30)
【出願人】(503361248)富士電機デバイステクノロジー株式会社 (1,023)
【出願人】(000000077)アキレス株式会社 (402)
【Fターム(参考)】